説明

養蜂産品を含むグネツム組成物

【課題】優れた抗酸化作用を有するグネツム、その加工物又はそれらの抽出物を含む組成物を提供する。更に、該組成物を含む抗酸化剤、PPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、化粧料及び医薬組成物を提供する。
【解決手段】グネツム、その加工物又はそれらの抽出物、及び養蜂産品を含む組成物、並びに該組成物を含む抗酸化剤、PPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、化粧料及び医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた抗酸化作用を有するグネツム、その加工物又はそれらの抽出物を含む組成物に関する。更に、本発明は、該組成物を含む抗酸化剤、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)α及び/又はPPARβ/δ活性化剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、食品、化粧料並びに医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グネツム(別名メリンジョ、学名Gnetum gnemon L.、英名Gnemon tree、インドネシア名Melinjo、Belinjo)は、グネツム科の植物であり、東南アジアで栽培されている。特に、インドネシアでは昔からグネツムの葉、花、実を食料としている。また、グネツムの種子は潰してから乾燥後、油で揚げて菓子(ウンピン:emping)とされている。このようなグネツムの利用方法としては、グネツム種子から抽出したグネツムエキスやグネツム果実の発酵食品等が報告されている(特許文献1〜7)。
【0003】
特許文献1には、グネツム種子を用いたグネツム食品について記載され、当該グネツム食品は、安全であり、抗菌作用及びラジカル消去作用を有するので、安心して食することができ、種々の加工食品の日持ち向上などが期待されることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、グネツム種子の水及び/又は有機溶剤を抽剤とした抽質物を含有することを特徴とするグネツムエキスについて記載され、当該グネツムエキスは食品中脂質の酸化を抑制及び生物の酸化的障害を保護する抗酸化作用、チロシナーゼ阻害作用等の効果を有することが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、熟成させたグネツムエキス中の主たる有用成分は、グネチンC(gnetin C)、グネモノシドA(gnemonoside A)、グネモノシドC(gnemonoside C)、グネモノシドD(gnemonoside D)であり、これら4つの化合物は何れもスチルベノイド(stilbenoid)に属するポリフェノールであること、グネチンCの抗菌作用は酸性領域からアルカリ性領域までpH依存性がなく、特に他の抗菌性物質に見られないような中性領域でも示すことが特長的であることが記載されている。
【0006】
特許文献3には、グネツム果実に有用微生物を作用させることを特徴とする発酵食品について記載され、当該発酵食品は、安全であり、抗菌作用及びラジカル消去作用を有するポリフェノールの一種であるスチルベノイドを含有しているので、雑菌の増殖が抑えられて雑味がなく、空気酸化による風味低下もないために食し易いばかりか、機能性食品として心疾患等の予防が期待されることが記載されている。
【0007】
また、特許文献4にはグネツム由来のスチルベノイドを有効成分とする健康飲料が、特許文献5にはグネツムのレスベラトロール2量体を有効成分とする健康保持剤が、特許文献6にはグネツムのエキスを有効成分とする免疫賦活剤が、特許文献7にはグネツムのエキスを有効成分とする肥満・糖尿病改善剤がそれぞれ記載されている。
【0008】
更に、特許文献8には、メリンジョ内乳から単離された、抗菌作用、抗酸化作用及び抗リパーゼ作用に優れる新規化合物が記載されている。
【0009】
一方、今日、養蜂産品は、健康食品、医薬品、化粧料などに広く利用されており、血管拡張、血圧降下、抗菌作用など種々の薬理作用及び栄養生理的作用が報告されている。
【0010】
例えば、養蜂産品の1種であるプロポリスは、大変古くから人々の生活に用いられており、ヨーロッパではアピセラピー(養蜂産品による治療法)として、ローヤルゼリー、蜂蜜、花粉荷など、他の養蜂産品とともに、現在も人々の健康のために利用されている。プロポリスは、フラボノイド、テルペノイド、有機酸、アミノ酸、多糖類、ミネラルなどの多種多様な天然成分からなっており、これまでに、抗菌活性、抗炎症活性、鎮痛活性、鎮痒活性、免疫賦活活性、抗腫瘍活性、抗酸化活性など、様々な生物活性を有することが報告されている(特許文献9)。
【0011】
同じく、養蜂産品の1種であるローヤルゼリーは、タンパク質やビタミン、ミネラルをバランスよく含んでおり、血流増加作用、血圧降下作用、成長促進作用、性ホルモン様作用、脂質低下作用、抗菌作用、抗腫瘍作用、創傷治癒促進作用、自律神経失調症治癒作用等が報告されている(非特許文献1)。また、抗ストレス作用の報告もある(非特許文献2)。そのため、医薬部外品、健康食品、そして化粧料などに使用されている。特に、ローヤルゼリータンパク質のプロテアーゼ処理物については、カルシウム吸収促進作用(非特許文献3)、血糖値低下作用(非特許文献4)が知られ、抗酸化作用についても報告されているが(非特許文献5)、その効果は、ビタミンEよりも弱いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−81405号公報
【特許文献2】国際公開第2006/030771号
【特許文献3】特開2008−22726号公報
【特許文献4】特開2009−247254号公報
【特許文献5】特開2009−13123号公報
【特許文献6】特開2009−46446号公報
【特許文献7】特開2009−249320号公報
【特許文献8】特開2010−184886号公報
【特許文献9】特開2003−55297号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】藤井彰、ミツバチ科学、16(3)、97(1995年)
【非特許文献2】池田勇五ら、ミツバチ科学、17(3)、103(1996年)
【非特許文献3】仲佐輝子、食品と開発、34,5(1999年)
【非特許文献4】上田修一郎、Food Style 21,6,5(2002)
【非特許文献5】(社)全国ローヤルゼリー公正取引協議会「ローヤルゼリー(Royal Jelly)に関する研究」平成13年度研究報告書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、優れた抗酸化作用を有するグネツム、その加工物又はそれらの抽出物を含む組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、該組成物を含む抗酸化剤、PPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、化粧料並びに医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、ローヤルゼリー、プロポリス、花粉荷、蜂の子、蜂蜜のような養蜂産品とグネツム種子抽出物を併用し、養蜂産品とグネツム種子抽出物の混合組成物とすることによって、抗酸化力を予想値より向上させることができるという知見を得た。また、当該混合組成物は、更に、PPARα及びPPARβ/δアゴニスト活性、並びにアンジオテンシン変換酵素阻害活性を予想値より向上させることができるという知見も得た。
【0016】
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の組成物並びに該組成物を含む抗酸化剤、PPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、化粧料並びに医薬組成物を提供するものである。
【0017】
項1.グネツム、その加工物又はそれらの抽出物、及び養蜂産品を含む組成物。
【0018】
項2.前記養蜂産品が、ローヤルゼリー、プロポリス、花粉荷、蜂の子、及び蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載の組成物。
【0019】
項3.前記グネツム、その加工物又はそれらの抽出物がグネツム種子抽出物である、項1又は2に記載の組成物。
【0020】
項4.前記養蜂産品がローヤルゼリーであり、該ローヤルゼリー1重量部に対して前記グネツム種子抽出物を0.1〜20重量部含む、項3に記載の組成物。
【0021】
項5.前記養蜂産品がプロポリスであり、該プロポリス1重量部に対して前記グネツム種子抽出物を0.01〜20重量部含む、項3に記載の組成物。
【0022】
項6.前記養蜂産品が花粉荷であり、該花粉荷1重量部に対して前記グネツム種子抽出物を0.01〜20重量部含む、項3に記載の組成物。
【0023】
項7.前記養蜂産品が蜂の子であり、該蜂の子1重量部に対して前記グネツム種子抽出物を0.01〜20重量部含む、項3に記載の組成物。
【0024】
項8.前記養蜂産品が蜂蜜であり、該蜂蜜1重量部に対して前記グネツム種子抽出物を0.1〜20重量部含む、項3に記載の組成物。
【0025】
項9.項1〜8のいずれかに記載の組成物を含む抗酸化剤。
【0026】
項10.項1〜3及び6のいずれかに記載の組成物を含むPPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤。
【0027】
項11.項1〜3及び5のいずれかに記載の組成物を含むアンジオテンシン変換酵素阻害剤剤。
【0028】
項12.項1〜8のいずれかに記載の組成物を含む食品。
【0029】
項13.項1〜8のいずれかに記載の組成物を含む化粧料。
【0030】
項14.項1〜8のいずれかに記載の組成物を含む医薬組成物。
【発明の効果】
【0031】
本発明の組成物は、グネツムと養蜂産品の相乗効果により優れた抗酸化力を有している。更に、本発明の組成物は、グネツムと養蜂産品の相乗効果により優れたPPARα及び/又はPPARβ/δアゴニスト活性並びにACE阻害活性を有している。そのため、本発明の組成物は、食品、化粧料及び医薬組成物の成分として有用である。
【0032】
また、本発明の組成物は、従来から食品素材として用いられてきたグネツムを使用するものであるから、安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ローヤルゼリーの酵素分解物とグネツム種子抽出物の各配合割合に対応するORAC値の期待値に対する実測値の増加率(%)を示すグラフである。
【図2】プロポリスエタノール抽出エキスとグネツム種子抽出物の各配合割合に対応するORAC値の期待値に対する実測値の増加率(%)を示すグラフである。
【図3】花粉荷とグネツム種子抽出物の各配合割合に対応するORAC値の期待値に対する実測値の増加率(%)を示すグラフである。
【図4】蜂の子酵素分解物とグネツム種子抽出物の各配合割合に対応するORAC値の期待値に対する実測値の増加率(%)を示すグラフである。
【図5】蜂蜜とグネツム種子抽出物の各配合割合に対応するORAC値の期待値に対する実測値の増加率(%)を示すグラフである。
【図6】蜂の子酵素分解物とグネツム種子抽出物の各配合割合に対応するDPPHラジカル消去活性の期待値に対する実測値の増加率(%)を示すグラフである。
【図7】花粉荷とグネツム種子抽出物の各配合割合に対応するPPARαアゴニスト活性の期待値に対する実測値の増加率(%)を示すグラフである。
【図8】花粉荷とグネツム種子抽出物の各配合割合に対応するPPARβ/δアゴニスト活性の期待値に対する実測値の増加率(%)を示すグラフである。
【図9】プロポリスエタノール抽出エキスとグネツム種子抽出物の各配合割合に対応するACE阻害活性の期待値に対する実測値の増加率(%)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0035】
グネツム、その加工物又はそれらの抽出物
本発明においてグネツム(学名Gnetum gnemon L.)の使用する部位については、実(又は種子)、花及び葉など部位に制限されないが、好ましくは種子である。また、グネツムは加工されたものであってもよく、そのような加工としては、乾燥、加熱乾燥、切断、粉砕などが挙げられる。
【0036】
また、本発明においてグネツム又はその加工物の抽出物を使用することもできる。このような抽出物を製造する際の抽出方法は特に制限されないが、極性溶媒を用いて抽出する方法や二酸化炭素等による超臨界抽出法を用いて抽出する方法が挙げられる。
【0037】
本発明において、グネツム種子とは、種皮、薄皮、及び胚/胚乳(内乳)からなるものとする。本発明で使用するグネツム種子の形状・形態としては、本発明の効果が得られるものであればどのような形状・形態のものであってもよいが、長径:約1.3〜2.3 cm、短径:約0.6〜1.3 cmであり、ピーナッツ状の形状であるものが好ましい。グネツム種子としては、グネツム種子が含まれている形態のものであれば本発明に使用することができ、例えばグネツム種子に果皮を有する形態であるグネツム果実の形態であってもよい。
【0038】
本発明で使用するグネツム種子としては、加工されたものあってもよく、このようなグネツム種子の加工物としては、乾燥されていない生の状態のもの、(天日干し等により)乾燥された状態のもの、又は加熱乾燥された状態のもののいずれであってもよい。また、グネツム種子は、切断や粉砕されていない原形のままの状態で原料として使用することができるが、スライスや粉砕されたグネツム種子の加工物であってもよい。本発明には、グネツム種子の胚/胚乳(内乳)、又は種皮のみのグネツム種子の加工物を使用することもできる。
【0039】
本発明においてグネツム種子の抽出物が使用されることが望ましく、当該抽出物は何れの方法によりグネツム種子から抽出されたものであってもよいが、好ましくはグネツム種子を浸漬液に浸漬することにより得られるものである。
【0040】
上記浸漬液としては水、有機溶剤又は含水有機溶剤を使用することができ、有機溶媒としては、水と自由に混和可能なものが好ましく、そのようなものとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール等の炭素数1〜5の低級アルコール、ジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、酢酸、氷酢酸、プロピオン酸等の有機酸等が挙げられる。有機溶媒は、好ましくは低級アルコールである。
【0041】
浸漬を行う際の浸漬液の温度は、グネツム種子及び浸漬液の量などにより適宜設定され得るが、例えば10〜50℃、好ましくは20〜40℃である。浸漬を行う時間は、グネツム種子及び浸漬液の量などにより適宜設定され得るが、好ましくは3日以上、より好ましくは3日〜7日である。
【0042】
本発明のグネツム種子の抽出物は、以下の工程(A)及び(B)を含む方法によっても得ることができる。
(A)グネツム種子を水又は含水有機溶剤である浸漬液に浸漬し、該浸漬液について固液分離を行って固形物を回収する工程、及び
(B)工程(A)で得られた固形物を、工程(A)の浸漬液より有機溶剤の含量が10容量%以上高い浸漬液に浸漬し、該浸漬液を回収する工程。
【0043】
回収した浸漬液は、そのままでも使用できるが、必要に応じて、限外濾過、分子篩クロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、透析法、これらの組合せなどにより精製を行ってもよい。
【0044】
本発明のグネツム種子の抽出物は、回収された浸漬液(必要に応じて更に精製されたものも含む)、当該浸漬液を濃縮した濃縮液、又は凍結乾燥、スプレードライ等により当該浸漬液の溶媒が除去された固形物の何れの状態であってもよい。ここで、浸漬液の濃縮、凍結乾燥及びスプレードライは、常法に従って行うことができる。本発明のグネツム種子の抽出物の形態は、好ましくは粉末状である。
【0045】
養蜂産品
本発明において養蜂産品とは、ミツバチを飼育することにより得られる生産品を意味し、そのようなものとしては、例えば、蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリス、ミツロウ、蜂パン、花粉荷、蜂の子、それらの加工品(例えば抽出エキスなど)などが挙げられるが、本発明では、ローヤルゼリー、プロポリス、花粉荷、蜂の子及び蜂蜜が好適に用いられる。
【0046】
(ローヤルゼリー)
ローヤルゼリー(以下、RJとも称する)は、ミツバチのうち日齢3〜12日の働き蜂が下咽頭腺及び大腮腺から分泌する分泌物を混合して作る乳白色のゼリー状物質である。RJ中の主な生理活性成分としては、例えば、RJに特有な10-ハイドロキシデセン酸等の有機酸類をはじめ、タンパク質、脂質、糖類、ビタミンB類や葉酸、ニコチン酸、パントテン酸等のビタミン類、各種ミネラル類等が挙げられる。
【0047】
本発明おけるRJには、生RJ、乾燥RJ、乾燥RJ粉末、これらの酵素分解物、有機溶剤による抽出物、発酵物などが含まれる。また、RJの産地は、日本、中国、ブラジル、ヨーロッパ諸国、オセアニア諸国、アメリカ等いずれであってもよい。
【0048】
RJ酵素分解物の製造は、RJ原料を少なくともエンドペプチダーゼ作用を有する酵素、少なくともエキソペプチダーゼ作用を有する酵素、及び/又はエンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用を有する酵素で処理することにより行うことができる。
【0049】
少なくともエンドペプチダーゼ活性を有するタンパク質分解酵素としては、動物由来(例えば、トリプシン、キモトリプシン等)、植物由来(例えば、パパイン等)、微生物由来(例えば、乳酸菌、酵母、カビ、枯草菌、放線菌等)のエンドペプチダーゼなどが挙げられる。
【0050】
少なくともエキソペプチダーゼ活性を有するタンパク質分解酵素としては、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、微生物由来(例えば、乳酸菌、アスペルギルス属菌、リゾープス属菌等)のエキソペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ活性も併せて有するパンクレアチン、ペプシン等が挙げられる。
【0051】
このような各種酵素の内、エキソペプチダーゼ活性とエンドペプチダーゼ活性の両方を有する酵素の好ましいとしては、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)産生ペプチダーゼ(商品名:アクチナーゼAS)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus orizae)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼA、フレーバーザイム)、アスペルギルス・メレウス(Aspergillus melleus)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼP)が、またエキソプロテアーゼ作用を有する酵素の好ましい例としては、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus orizae)産生ペプチダーゼ(商品名:ウマミザイムG、Promod 192P、Promod 194P、スミチームFLAP)、アスペルギルス・ソーエ(Aspergillus sojae)産生ペプチダーゼ(商品名:Sternzyme B15024)、アスペルギルス属産生ペプチダーゼ(商品名:コクラーゼP)、リゾプス・オリゼー(Rhizopus oryzae)産生ペプチダーゼ(商品名:ペプチダーゼR)を挙げることができる。更にエンドプロテアーゼ作用を有する酵素の好ましい例としては、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)産生ペプチダーゼ(商品名:オリエンターゼ22BF、ヌクレイシン)、バチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)産生ペプチダーゼ(商品名:アルカラーゼ)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼS)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)産生ペプチダーゼ(商品名:ニュートラーゼ)、バチルス属産生ペプチダーゼ(商品名:プロタメックス)を挙げることができる。
【0052】
RJのアレルギー性を低減するための酵素処理は、例えば、特開2007-295919号公報や特開2007-295920号公報の記載に従い行うことができる。
【0053】
RJの有機溶剤による抽出に使用する有機溶剤としては好ましくはエタノールである。RJの発酵物は、酵母や乳酸菌等の微生物を使用して常法により製造することができる。
【0054】
(プロポリス)
プロポリスとは、セイヨウミツバチの巣の巣壁を構成する樹脂状又は蝋状の物質である。本発明においてプロポリスは、例えばブラジル、中国、ヨーロッパ諸国、オセアニア、アメリカなど、いずれの産地・植物由来のものであってもよい。従って、アレクリン、スーパーグリーン、ユーカリ、ウルトラグリーンなどいずれのプロポリスも使用できる。
【0055】
本発明におけるプロポリスには、例えば、プロポリス原塊、その粉砕物、超臨界抽出物、水又は親水性有機溶媒による抽出物、前記抽出物を粉末化した粉末、該粉末を造粒した顆粒形態などが含まれる。中でも親水性有機溶媒抽出液は、プロポリスの有効成分が短時間で効率的に、バランスよく抽出されたものであり、またスケールアップをする場合に大規模な設備が不要であるので好ましい。抽出に使用する親水性有機溶媒としてはエタノールが好ましい。
【0056】
(花粉荷)
花粉荷とは、ミツバチが花粉を蜜で固めたものであり、別名花粉だんごとも称される。該花粉荷は蜂蜜とともに巣の中に蓄えられ、この花粉荷は容易に回収することができる。
【0057】
本発明における花粉荷が由来する植物としては、アブラナ科、タデ科、ツバキ科、ハンニチバナ科、ツツジ科、フトモモ科、イネ科、ヤナギ科、ミカン科、ウリ科、バラ科などを挙げることができ、具体的には、シスタス、茶、ナタネ、そば、スイカ、トウモロコシ、ジャラ、マリ、ブルーベリー、ラズベリー、リンゴ、ナシ、チェリー、ヤナギ、オレンジ、カルーナなどが挙げられる。
【0058】
本発明における花粉荷には、そのままの形態のものに加えて、適当な溶媒で調製されてなる抽出物の形態も含まれる。ここで花粉荷の抽出は、水、含水溶媒、有機溶媒などの溶媒により行うことができる。また、当該抽出物は、必要に応じて抽出液を濃縮して得られる液(濃縮液)、又は抽出液の凍結乾燥物やスプレードライ物などの乾燥品とすることもできる。
【0059】
(蜂の子)
蜂の子とは、蜂の幼虫及びさなぎを意味する。蜂の種類は特に制限されず、在来種のミツバチ、西洋ミツバチなどの在来種以外のミツバチ、アフリカ蜂化ミツバチ、スズメバチ(クロスズメバチを含む)、アシナガバチ、マルハナバチなど、公知の蜂を広く用いることができる。好ましくは在来種又は在来種以外のミツバチであり、より好ましくは入手の容易性から西洋ミツバチである。なお、雄と雌の別は問わないが、好ましくは雄である。
【0060】
幼虫及びさなぎは、卵から孵化したものであれば特に制限されないが、好ましくは孵化後16〜23日経過した蜂の幼虫及びさなぎ、より好ましくは孵化後18〜21日経過した蜂の幼虫及びさなぎが用いられる。
【0061】
本発明において蜂の子は、生の蜂の子及び生の蜂の子を加工処理した状態で使用される。蜂の子の加工物として、具体的には、蜂の子(生又は乾燥物)を粉砕したもの、蜂の子(生又は粉砕物)を乾燥したもの、及び蜂の子(生、乾燥物又は粉砕物)を加熱処理したもの、蜂の子を水、含水エタノール等により抽出したものが含まれる。好ましくは、蜂の子(生)を乾燥した後、粉砕することによって調製されるハチノコの乾燥粉末を挙げることができる。
【0062】
本発明でいう「蜂の子」という用語には、特に言及しない限り、生の蜂の子に加えて、当該蜂の子に乾燥、粉砕又は加熱の処理を施した加工物、蜂の子(生、乾燥物及び粉砕物を含む)を水、又は含水エタノール等により抽出したもの、並びに蜂の子及びその加工物をタンパク質分解酵素(ペプチダーゼ)で処理したものが含まれる。
【0063】
蜂の子及びその加工物はタンパク質分解酵素で処理されることにより蜂の子及びその加工物に含まれるタンパク質が低分子化され、当該タンパク質に起因するアレルギー反応が抑制されてなる酵素処理物(低アレルゲン化酵素処理物)が得られることが期待される。
【0064】
蜂の子及びその加工物を酵素処理するのに使用されるタンパク質分解酵素としては、ペプチダーゼを好適に挙げることができ、ペプチダーゼの具体例としては上記「ローヤルゼリー」の項目に記載のものが挙げられる。
【0065】
(蜂蜜)
蜂蜜は、ミツバチが、花から集めた蜜を主原料として作りだし巣の中に貯蔵している天然の甘味物である。花の種類によって蜂蜜も、レンゲ蜂蜜、クローバー蜂蜜、及びアカシア蜂蜜などに分類されるが、本発明においてはその種類を特に制限されることなく、いずれの蜂蜜をも使用することができる。また2種以上の蜂蜜を混合して用いることもできる。
【0066】
組成物
本発明の組成物は、グネツム、その加工物又はそれらの抽出物(以下、グネツム等とも称する)、及び養蜂産品を含むことを特徴とする。
【0067】
このように、グネツム等と養蜂産品を併用することによって、相乗効果により抗酸化力を向上させることができる。更に、相乗効果によりPPARα及び/又はPPARβ/δアゴニスト活性、並びにACE阻害活性も向上させることができる。
【0068】
本発明の組成物中に含まれるグネツム等と養蜂産品の割合は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されないが、最終形態等に応じて適宜調整することができ、一般に、総量で0.01〜100重量%の範囲から適宜選択することが可能である。
【0069】
本発明の組成物中の養蜂産品に対するグネツム等の比率も、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されず、適宜設定することができるが、各養蜂産品についての望ましい比率を以下に記載する。
・ローヤルゼリー1重量部に対して、グネツム種子抽出物は好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部含まれる。ここで、ローヤルゼリーは好ましくはローヤルゼリー酵素分解物である。
・プロポリス1重量部に対して、グネツム種子抽出物は好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.01〜1重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部含まれる。ここで、プロポリスは好ましくはプロポリス抽出物である。
・花粉荷1重量部に対して、グネツム種子抽出物は好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.01〜1、10〜20重量部、更に好ましくは0.01〜1重量部含まれる。
・蜂の子1重量部に対して、グネツム種子抽出物は好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.01〜0.2重量部、更に好ましくは0.01〜0.1重量部含まれる。ここで、蜂の子は好ましくは蜂の子酵素分解物である。
・蜂蜜1重量部に対して、グネツム種子抽出物は好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.1〜2重量部、更に好ましくは0.5〜1重量部含まれる。
【0070】
本発明の組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、上記以外の公知の成分を適宜配合することができる。
【0071】
抗酸化剤
本発明の抗酸化剤は、グネツム、その加工物又はそれらの抽出物、及び養蜂産品を含む組成物を含有することを特徴とする。
【0072】
本発明の組成物は、抗酸化作用を有していることから、抗酸化剤として好適に使用することができる。
【0073】
本発明の抗酸化剤は、例えば、食品、化粧料、医薬品等の分野で好適に使用することができ、これらに配合することで製品の酸化を防止して品質劣化を抑制することができる。本発明の抗酸化剤は、対象とする製品の形状に応じて、任意の形態を有することができる。また、必要に応じて他の成分を適宜配合することができる。
【0074】
本発明の抗酸化剤中に含まれるグネツム等と養蜂産品の含量は、食品、化粧料、医薬品等に含有されたときの最終的な含量が重要であるため特に限定されないが、総量で0.01〜100重量%の範囲から適宜選択することが可能である。
【0075】
PPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤
本発明のPPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤は、グネツム、その加工物又はそれらの抽出物、及び養蜂産品を含む組成物を含有することを特徴とする。養蜂産品としては、花粉荷を好適に使用することができる。
【0076】
本発明の組成物は、PPARα及び/又はPPARβ/δアゴニスト活性を有していることから、PPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤として好適に使用することができる。
【0077】
本発明のPPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤は、例えば、食品、化粧料、医薬品等の分野で好適に使用することができる。本発明のPPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤は、対象とする製品の形状に応じて、任意の形態を有することができる。また、必要に応じて他の成分を適宜配合することができる。
【0078】
本発明のPPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤中に含まれるグネツム等と養蜂産品の含量は、食品、化粧料、医薬品等に含有されたときの最終的な含量が重要であるため特に限定されないが、総量で0.01〜100重量%の範囲から適宜選択することが可能である。
【0079】
アンジオテンシン変換酵素阻害剤
本発明のアンジオテンシン変換酵素阻害剤は、グネツム、その加工物又はそれらの抽出物、及び養蜂産品を含む組成物を含有することを特徴とする。養蜂産品としては、プロポリスを好適に使用することができる。
【0080】
本発明の組成物は、ACE阻害活性を有していることから、アンジオテンシン変換酵素阻害剤として好適に使用することができる。
【0081】
本発明のアンジオテンシン変換酵素阻害剤は、例えば、食品、医薬品等の分野で好適に使用することができる。本発明のアンジオテンシン変換酵素阻害剤は、対象とする製品の形状に応じて、任意の形態を有することができる。また、必要に応じて他の成分を適宜配合することができる。
【0082】
本発明のアンジオテンシン変換酵素阻害剤中に含まれるグネツム等と養蜂産品の含量は、食品、医薬品等に含有されたときの最終的な含量が重要であるため特に限定されないが、総量で0.01〜100重量%の範囲から適宜選択することが可能である。
【0083】
食品
本発明の食品は、グネツム、その加工物又はそれらの抽出物、及び養蜂産品を含む組成物を含有することを特徴とする。
【0084】
本発明の食品は抗酸化作用を有するので、活性酸素、不飽和脂肪酸の酸化物、脂質の過酸化物等が一因となって引き起こされる疾患又は症状を改善及び/又は予防し得、また、脂肪吸収を抑制し、及び有害な腸内細菌の増殖を抑制することにより腸内細菌叢を向上し得る。更に、本発明の食品は、PPARα及び/又はPPARβ/δ活性化作用並びにACE阻害作用を有するので、脂肪酸代謝を活性化、脂質異常症を予防及び/又は改善、肥満を予防及び/又は改善、高血圧を予防及び/又は改善、並びに動脈硬化予防及び/又は改善し得る。
【0085】
食品には、動物(ヒトを含む)が摂取できるあらゆる食品が含まれる。
【0086】
本発明の食品に含まれるグネツム等と養蜂産品の含量は、総量で0.01〜100重量%の範囲から適宜選択することが可能である。
【0087】
本発明の食品には、必要に応じて、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤等を配合することができる。
【0088】
本発明の食品の種類は、特に限定されず、例えば、飲料類(コーヒー、ジュース、茶飲料のような清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、日本酒、洋酒、果実種、蜂蜜酒のような酒等);スプレッド類(カスタードクリーム等);ペースト類(フルーツペースト等);洋菓子類(チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ、プリン等);和菓子類(大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ、羊羹等);氷菓類(アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等);食品類(カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム、蜂蜜、プロポリス等);調味料類(ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料、スープの素等)などが挙げられる。
【0089】
また、本発明の食品は、活性酸素、不飽和脂肪酸の酸化物、脂質の過酸化物等が一因となって引き起こされる疾患又は症状を改善及び/又は予防し、脂肪吸収を抑制し、有害な腸内細菌の増殖を抑制することにより腸内細菌叢を向上し、脂肪酸代謝を活性化し、脂質異常症を予防及び/又は改善し、肥満を予防及び/又は改善し、高血圧を予防及び/又は改善し、並びに動脈硬化予防及び/又は改善し得る健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント又は特定保健用食品としても使用できる。サプリメントとして使用する際の投与単位形態については特に限定されず適宜選択できるが、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤、散剤等が挙げられる。
【0090】
本発明の食品の製法も特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。例えば、前記のような食品の製造工程における中間製品、又は最終製品に、上記グネツム等と養蜂産品を混合又は噴霧等して、上記の目的に用いられる食品を得ることができる。
【0091】
化粧料
本発明の化粧料は、上記グネツム、その加工物又はそれらの抽出物、及び養蜂産品を含む組成物を含有することを特徴とする。
【0092】
本発明の化粧料は、抗酸化作用を有するので、肌を美白化し、肌の老化を防ぐことから、美白化粧料、抗老化化粧料(アンチエイジング化粧料)などとして有用である。更に、本発明の化粧料は、PPARα及び/又はPPARβ/δ活性化作用を有するので、表皮バリヤーの成熟、脂腺細胞の活性化や分化、ケラチノサイトの前分化などにより、皮膚バリヤー機能を改善し得る。
【0093】
本発明の化粧料には、動物(ヒトを含む)の皮膚、粘膜、体毛、頭髪、頭皮、爪、歯、顔皮、口唇等に適用されるあらゆる化粧料が含まれる。
【0094】
本発明の化粧料におけるグネツム等と養蜂産品の含量は、総量で化粧料全量中0.0001〜60重量%の範囲から適宜選択することが可能である。
【0095】
本発明の化粧料には、グネツム等と養蜂産品以外に、通常化粧品に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0096】
本発明の化粧料の剤型は、水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系、水−油2層系、水−油−粉末3層系等、幅広い剤型を採り得る。
【0097】
本発明の化粧料の用途も任意であり、例えば基礎化粧品であれば、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス、美容液、パック、マスク等が挙げられ、メークアップ化粧品であれば、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ等が挙げられ、ネイル化粧料であれば、マニキュア、ベースコート、トップコート、除光液等が挙げられ、その他、洗顔料、マッサージ用剤、クレンジング用剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、シェービングクリーム、ボディソープ、石けん、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、整髪料、ヘアートニック剤、育毛剤、制汗剤、入浴剤等が挙げられる。
【0098】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、グネツム、その加工物又はそれらの抽出物、及び養蜂産品を含む組成物を含有することを特徴とする。
【0099】
本発明の医薬組成物は抗酸化作用を有することから、活性酸素、不飽和脂肪酸の酸化物、脂質の過酸化物等が一因となって引き起こされる疾患又は症状を改善及び/又は予防し得る。更に、本発明の医薬組成物は、PPARα及び/又はPPARβ/δ活性化作用並びにACE阻害作用を有することから、脂肪酸代謝を活性化、脂質異常症を予防及び/又は改善、肥満を予防及び/又は改善、高血圧を予防及び/又は改善、並びに動脈硬化を予防及び/又は改善し得る。
【0100】
医薬組成物として調製する場合、グネツム等と養蜂産品を、医薬品において許容される無毒性の担体、希釈剤又は賦形剤とともに、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤などを含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペーストなどの形態に調製して、医薬用の製剤にすることが可能である。
【0101】
本発明の医薬組成物に含まれるグネツム等と養蜂産品の含量は、総量で0.01〜100重量%の範囲から適宜選択することが可能である。
【0102】
本発明の組成物の摂取量は、摂取者又は摂取動物の年齢、体重、症状等に応じて適宜選択することができる。
【実施例】
【0103】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
【0104】
[材料]
以下の試験例及び処方例では、それぞれ次の物を使用した。
【0105】
グネツム種子の抽出物
グネツム種子抽出物粉末としては、株式会社山田養蜂場製の原料(Lot YMP-M-100109)を用いた。
【0106】
ローヤルゼリーの酵素分解物
特許第3994120号公報の実施例1に従い、ローヤルゼリーの酵素分解物を調製した。
【0107】
プロポリスエタノール抽出エキスの調製
アレクリンプロポリス原塊(ミナスジェライス州産)のエタノール抽出物を固形分が55%になるよう濃縮して、プロポリスエタノール抽出エキスを調製した。
【0108】
花粉荷
オーストラリア産マリ花粉荷を乳鉢にて粉砕したものを用いた。
【0109】
蜂の子の酵素分解物
特開2009-159997号公報の実験例2<試料の調製>に従い、アクチナーゼASを酵素として用いて蜂の子の酵素分解物を得た。
【0110】
蜂蜜
ルーマニア産のアカシア蜂蜜を用いた。
【0111】
[試験例1]
抗酸化力測定試験
抗酸化力の測定にはORAC法を用いた。用いた試験サンプルは、グネツム種子の抽出物、ローヤルゼリーの酵素分解物、プロポリスエタノール抽出エキス、花粉荷、蜂の子の酵素分解物、蜂蜜であった。試験サンプル1重量部に対して1,000重量部の50%のエタノール水溶液を加えて攪拌し、遠心により沈殿を除いた上清を用いた。試験サンプルはそれぞれ単独か、又はそれぞれの試験サンプルを所定の配合割合で混ぜ合わせた後、リン酸緩衝液にて希釈系列を作成して抗酸化力測定試験(ORAC法)に用いた。
【0112】
96ウェルプレートにブランク(リン酸緩衝液のみ)、Trolox((±)-6-Hydroxy-2,5,7,8-tetramethylchroman-2-carboxylic acid/スタンダードとして使用)、及び、サンプルを20μlずつ注入した。その後、各ウェルに、94.4 nmol/Lのフルオレセイン液(FL液)を200μlずつ分注し、蛍光強度を測定した。さらに17.2 mg/mL AAPH(2,2’-Azobis (2-amidinopropane) Dihydrochloride)液を75μL加え、蛍光強度の経時変化を測定した。得られた蛍光強度の値を元にORAC値を算出し実測値とした。ORAC値の算出は、XIANLI WUらの報告1)に従った。
【0113】
また、期待値は、サンプルをそれぞれ単独に用いたときに得られたORAC値から以下の計算式によって算出した。
【0114】
期待値=
(AのORAC値)×(Aの配合割合)/{(Bの配合割合)+(Aの配合割合)}
+(BのORAC値)×(Bの配合割合)/{(Bの配合割合)+(Aの配合割合)}
(ここで、Aがグネツム種子抽出物、Bがそれ以外のサンプルを示す。)
【0115】
グネツム種子抽出物のサンプルと養蜂産品の各サンプルを混合したものについて、各配合割合での期待値、実測値、及び期待値に対する実測値の増加率(%)を表1〜表5に、期待値に対する実測値の増加率(%)を図1〜5に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
【表2】

【0118】
【表3】

【0119】
【表4】

【0120】
【表5】

これらの結果から、グネツム種子の抽出物と各養蜂産品の混合物について抗酸化力を示すORAC値は、実測値が期待値よりも高くなっていた。このことから、グネツム種子の抽出物と各養蜂産品を組み合わせることによって、相乗効果が得られることが分かった。
1) XIANLI WU et al., “Lipophilic and Hydrophilic Antioxidant Capacities of Common Foods in the United States,” J. Agric. Food Chem. 2004, 52, 4026-403
【0121】
[試験例2]
抗酸化力測定試験
抗酸化力の測定にはDPPH法を用いた。用いた試験サンプルは、グネツム種子の抽出物と蜂の子の酵素分解物であった。試験サンプル10重量部に対して1,000重量部にあたる50%のエタノール水溶液を加えて撹拌したものを用いた。試験サンプルは50%のエタノール水溶液にて希釈系列を作成したもの、又はそれらを所定の配合割合で混ぜ合わせたものを抗酸化力測定試験(DPPH法)に用いた。
【0122】
コントロール(50%EtOHのみ)及び各試験サンプル100μlに、200 mM MES緩衝液を50μlと800μM DPPH溶液を50μl加えて混合し、室温で20分間反応させ、540 nmにおける吸光度を測定した。なお、DPPH溶液に代えて50%のエタノール水溶液を混合したもの(色補正用)も同様に540 nmにおける吸光度を測定した。DPPHラジカル消去活性は以下の式より求めた。
【0123】
DPPHラジカル消去活性(%)={(Ac−As)/Ac}×100
Ac:コントロールの540 nmにおける吸光度
As:(DPPHエタノール試料溶液の540 nmにおける吸光度)-(色補正用試料溶液の540 nmにおける吸光度)
【0124】
また、期待値は、配合物中のそれぞれの成分の終濃度で単独で試験を行い得られた実測値の和として算出した。
【0125】
グネツム種子抽出物のサンプルと蜂の子の各サンプルを混合したものについて、各配合割合での期待値、実測値、期待値に対する実測値の増加率(%)を表6に、期待値に対する実測値の増加率(%)を図6に示す。
【0126】
【表6】

表6に示されるように、グネツム種子の抽出物と蜂の子の混合物のDPPHラジカル消去能は、期待値よりも高くなっていた。このことから、グネツム種子の抽出物と蜂の子を組み合わせることによって、ラジカル消去能が高まることが明らかになった。
【0127】
[試験例3]
PPARsアゴニスト活性測定試験
PPARsアゴニスト活性の評価には動物培養細胞(COS-1細胞)によるレポータージーンアッセイ系を用いた。用いた試験サンプルは、グネツム種子の抽出物と花粉荷であった。試験サンプルは、DMSOを加えて撹拌したものを用いた。試験サンプルはDMSOにて希釈系列を作成した後、それぞれ単独か、又はそれぞれの試験サンプルを所定の配合割合で混ぜ合わせ、PPARsアゴニスト活性測定試験に用いた。
【0128】
COS-1細胞は、10% fetal bovine serumを含むダルベッコ変法MEM培地を用いて、5% CO2存在下37℃の条件で培養を行った。
【0129】
そのCOS-1細胞を、3種のプラスミド(pPPARα及びδ-Gal、pGal4-Luc 及びpSEAP-control)を用いてトランスフェクションし、PPARα及びPPARβ/δ活性化試験に用いた。トランスフェクションしたCOS-1細胞を回収し、96穴マイクロプレートに0.6×104cells/well (125μl/well)ずつ播種し、試験溶液1.25μlを添加し、24時間培養を行った。培養液25μlを別の96穴マイクロプレートに回収し、分泌性アルカリフォスファターゼ活性を測定した。また各ウェルに100μlずつルシフェラーゼ活性測定溶液(60 mM Tricine pH7.8, 16 mM basic MgCO3, 0.4 mM EDTA, 1% Triton X-100, 0.5 mM luciferin, 1.5 mM ATP, 0.5 mM CoA, 0.1 mM β-mercaptoethanol)を添加し、一定時間暗室にてインキュベートした後、発光強度を測定した。活性評価に際してはルシフェラーゼ活性を分泌性アルカリフォスファターゼ活性にて補正した。またPPARa及びPPARβ/δのポジティブコントロールとしては、それぞれ0.5 mMのWy14643と10 nMのGW0742を用い、ポジティブコントロールの活性を1とした時のサンプルの活性を比較した。
【0130】
PPARsアゴニスト活性は以下の式より求めた。その結果を表7及び8に示す。
【0131】
PPARsアゴニスト活性(%)=(As−Ab)/(Ac-Ab)
Ac:ポジティブコントロール(Wy14643又はGW0742)の活性
Ab:DMSOの活性
As:サンプルの活性
【0132】
また、期待値は、配合物中のそれぞれの成分の終濃度で単独で試験を行い得られた実測値の和として算出した。
【0133】
グネツム種子抽出物のサンプルと花粉荷の各サンプルを混合したものについて、各配合割合での期待値、実測値、期待値に対する実測値の増加率(%)を表7及び8に、増加率を図7及び8に示す。
【0134】
【表7】

【0135】
【表8】

表7及び表8に示されるように、グネツム種子の抽出物と花粉荷の混合物のPPARα及びPPARβ/δアゴニスト活性は、期待値よりも高くなっていた。このことから、グネツム種子の抽出物と花粉荷を組み合わせることによって、PPARα及びPPARβ/δアゴニスト活性が高まることが明らかになった。
【0136】
[試験例4]
ACE阻害試験
ACE阻害活性試験にはACE Kit-WST (ACE阻害活性測定キット、株式会社同仁化学研究所製)を用いた。用いた試験サンプルは、グネツム種子の抽出物とプロポリスエタノール抽出エキスである。試験サンプルはDMSOを加えて撹拌したものを用いた。試験サンプルはDMSOにて希釈系列を作成した後、それぞれ単独か、又はそれぞれの試験サンプルを所定の配合割合で混ぜ合わせ、ACE阻害活性測定試験に用いた。
【0137】
試験はキットの使用方法に沿って行った。つまり、96ウェルマイクロプレートの各ウェルに超純水で調製したACEとアミノアシラーゼ混合液20μl、基質溶液(3-Hydroxybutyl-Gly-Gly-Gly、(3)HB-GGG) 20μl、試料希釈液20μlを混合し、37℃で1時間反応させた。これに、3-ヒドロキシブチル酸デヒドロゲナーゼと補酵素の混合液200μlを添加して10分間室温で反応させた。反応後450 nmの吸光度測定を行い、得られたデータをもとに阻害率を算出した。阻害率の算出にはキットの取り扱い説明書に記載の下記の式にて算出した。
【0138】
阻害率=[(Ac−As)/(Ac−Ab)]×100
Ac:コントロールの540 nmにおける吸光度(ACE阻害なし)
Ab:試薬ブランクの540 nmにおける吸光度(ACE活性なし)
As:サンプルの540 nmにおける吸光度
【0139】
また、期待値は、配合物中のそれぞれの成分の終濃度で単独で試験を行い得られた実測値の和として算出した。
【0140】
グネツム種子抽出物のサンプルとプロポリスエタノール抽出エキスの各サンプルを混合したものについて、各配合割合での期待値、実測値、期待値に対する実測値の増加率(%)を表9に、期待値に対する実測値の増加率(%)を図9に示す。
【0141】
【表9】

表9に示されるように、グネツム種子の抽出物とプロポリスエタノール抽出エキスの混合物のACE阻害活性は、期待値よりも高くなっていた。このことから、グネツム種子の抽出物とプロポリスエタノール抽出エキスを組み合わせることによって、高血圧予防及び改善効果が高まることが明らかになった。
【0142】
[処方例]
以下、本発明の食品、化粧料及び医薬組成物の処方例を示す。
【0143】
処方例1.錠剤
グネツム種子抽出物粉末30 mg、ローヤルゼリーの酵素分解物5 mg、ショ糖脂肪酸エステル3 mg、結晶セルロース120 mg及びデキストリン250 mgを混合・打錠し、錠剤を得た。
【0144】
処方例2.カプセル剤
グネツム種子抽出物粉末20 mg、プロポリスエタノール抽出物50 mg、ショ糖脂肪酸エステル4 mg及びデキストリン180 mgを混合し、カプセルに充填し、カプセル製剤を得た。
【0145】
処方例3.錠剤
グネツム種子抽出物粉末60 mg、オーストラリア産マリ花粉荷3 mg、ショ糖脂肪酸エステル3 mg、結晶セルロース100 mg及びデキストリン210 mgを混合・打錠し、錠剤を得た。
【0146】
処方例4.錠剤
グネツム種子抽出物粉末75 mg、蜂の子の酵素分解物4 mg、ショ糖脂肪酸エステル4 mg、結晶セルロース115 mg及びデキストリン197 mgを混合・打錠し、錠剤を得た。
【0147】
処方例5.カプセル剤
グネツム種子抽出物粉末55 mg、ルーマニア産アカシアはちみつ20 mg、ショ糖脂肪酸エステル5 mg及びデキストリン220 mgを混合し、カプセルに充填し、カプセル製剤を得た。
【0148】
処方例6.化粧水
以下の表10に表示される各成分を用い、常法に従って化粧水を調製した。ただし、養蜂産品エキスはローヤルゼリー、プロポリス、花粉荷又は蜂の子を50%の含水エタノールで抽出し、減圧濃縮によりエタノールを除いた後、1,3-ブチレングリコールと精製水を等量加え固形分を2%に調製したものを用いた。
【0149】
【表10】

【0150】
処方例7.乳液
以下の表11に表示される各成分を用い、常法に従って乳液を調製した。
【0151】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グネツム、その加工物又はそれらの抽出物、及び養蜂産品を含む組成物。
【請求項2】
前記養蜂産品が、ローヤルゼリー、プロポリス、花粉荷、蜂の子、及び蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記グネツム、その加工物又はそれらの抽出物がグネツム種子抽出物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記養蜂産品がローヤルゼリーであり、該ローヤルゼリー1重量部に対して前記グネツム種子抽出物を0.1〜20重量部含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記養蜂産品がプロポリスであり、該プロポリス1重量部に対して前記グネツム種子抽出物を0.01〜20重量部含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記養蜂産品が花粉荷であり、該花粉荷1重量部に対して前記グネツム種子抽出物を0.01〜20重量部含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記養蜂産品が蜂の子であり、該蜂の子1重量部に対して前記グネツム種子抽出物を0.01〜20重量部含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記養蜂産品が蜂蜜であり、該蜂蜜1重量部に対して前記グネツム種子抽出物を0.1〜20重量部含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の組成物を含む抗酸化剤。
【請求項10】
請求項1〜3及び6のいずれかに記載の組成物を含むPPARα及び/又はPPARβ/δ活性化剤。
【請求項11】
請求項1〜3及び5のいずれかに記載の組成物を含むアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載の組成物を含む食品。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれかに記載の組成物を含む化粧料。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれかに記載の組成物を含む医薬組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−82701(P2013−82701A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−216355(P2012−216355)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【出願人】(598162665)株式会社山田養蜂場本社 (32)
【Fターム(参考)】