説明

香味付け無煙たばこおよび製造方法

本発明は無煙たばこに香味を付与する方法、およびこれによって製造された香味付け無煙たばこに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国特許仮出願番号60/516,912(2003年11月3日出願)について、35 U.S.C. §119(e)による優先権を主張する。
【0002】
本発明は無煙たばこ製品、さらに詳細には香味付け無煙たばこおよびこうした香味付け無煙たばこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
無煙たばこはその製品を燃焼させずに消費される製品である。これらの製品は噛みたばこ、乾燥型嗅ぎたばこ、および湿潤型嗅ぎたばこを含む多様な形態で生産される。一般的には、これらのタイプの製品は以下のような、特定の順番によらない段階によって製造される:好適なサイズへのたばこの切断または粉砕; たばこのケーシング溶液での浸漬または噴霧; たばこの部分的乾燥; 一定期間のたばこの容器中の保存; およびその包装。
【0004】
噛みたばこは典型的には3形態のうちの1つで販売される: たばこを多種の形状の1つに圧縮する「プラグ」: 葉をロープ型製品に撚りあわせる「ツイスト」; および封筒状の容器で提供されるバラバラの葉状の噛みたばこ。プラグは典型的には、「ハード」プラグについて体積で約15%以下、「ソフト」プラグについて15%を超える水分含量である。ツイストおよびバラ葉状材料は典型的には水分がより少ない。
【0005】
嗅ぎたばこは典型的には「乾燥型」または「湿潤型」のいずれかで市販されている。乾燥型嗅ぎたばこは水分含量が約8%である。湿潤型嗅ぎたばこは典型的には約40〜60%の水分含量であるが、製品に応じて多様な粒子サイズが可能である。
【発明の開示】
【0006】
本発明は無煙たばこに香味を付与する方法を提供する。また本発明は、本発明の方法を使用して製造された香味付け無煙たばこをも提供する。
【0007】
1態様中、本発明は無煙たばこに香味を付与する方法を提供する。こうした方法には、たばこに1種以上の固体香味料を配合して、前記1種以上の固体香味料に特徴的な香味を持つ香味付け無煙たばこを形成させることが含まれる。
【0008】
別の態様中、本発明は無煙たばこおよび1種以上の固体香味料を含む香味付け無煙たばこ組成物を提供する。
【0009】
さらに別の態様中、本発明は、無煙たばこおよび1種以上の固体香味料を配合することによって製造された、香味付け無煙たばこ組成物を提供する。
【0010】
またさらに別の態様中、本発明は香味付け無煙たばこ組成物の製造方法を提供する。こうした方法には、無煙たばこを準備し、その無煙たばこに1種以上の固体香味料を配合して、香味付け無煙たばこ組成物を形成させることが含まれる。
【0011】
一般的に、固体香味料は約1重量%〜約30重量%含まれる。代表的な固体香味料には、豆類、ナッツ類、スティック類および/または類似物が含まれる。1実施形態中、豆類、ナッツ類および/またはスティック類は全粒の豆、ナッツおよび/またはスティック自体である。代表的な豆類には、コーヒー豆、バニラビーンズまたはカカオ豆、および/または類似物が含まれる。代表的なナッツ類として限定するわけではないが、アーモンド、ピーナッツ、カシュー、胡桃、ペカン、およびピスタチオが含まれる。
【0012】
本発明で使用するコーヒー豆は全粒または挽いたもの、焙焼または非焙焼のものでもよく、天然または脱カフェインのものでもよい。特定の実施形態中、コーヒー豆は以下のものが可能である:アラビカ(Arabica)、ブラジルサントス(Brazillian Santos)、コロンビアスプレモ(Columbian Supremo)、コスタリカ(Costa Rican)、エチオピアハラー(Ethiopian Harrar)、ハワイコナ(Hawaiian Kona)、ケニアAA(Kenya AA)、ジャマイカ(Jamaica)、スマトラ(Sumatra)、タンザニアピーベリー(Tanzanian Peaberry)、またはジンバブエ(Zimbabwe)コーヒー豆。こうしたコーヒー豆にさらに、現状で入手可能な特殊コーヒーに入っている1種以上の香味料を含ませてもよい。こうした香味料として、ヘーゼルナッツ、バニラ、アマレット、果実フレーバー、アーモンド、アイリッシュクリーム、シナモン、バタースコッチおよび/または類似物が含まれる。
【0013】
1実施形態中、無煙たばこの水分含量を約25%〜約60%とすることができる。典型的には無煙たばこ製品のpHはおよそ7〜8である。さらに別の実施形態中、無煙たばこの塩分濃度は典型的には約1%〜約10%である。
【0014】
典型的には、香味付け無煙たばこは湿潤型嗅ぎたばこまたは噛みたばこである。本発明の方法または組成物中で使用するたばこは、バーレイ、ダーク空気乾燥型、ダーク焼成型、熱風乾燥型、オリエント、シガーフィラーまたはラッパー、さらに希少および特殊たばこを含むその他のどんなたばこでもよい。その上、たばこは発酵型(fermented)でも非発酵型でもよい。特定の実施形態中、香味付け無煙たばこを形成した後、無煙たばこから固体香味料を分離することができる。
【0015】
別に定義する以外は、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に共通して理解されているものと同一の意味を持つ。本発明を実施または試験するために、本明細書に記載するものと同様のまたは等価な方法および物質を使用することができるが、好適な方法および物質を以下に記載する。付け加えると、その物質、方法および実施例は例証のためのみのものであって、限定することを意図するものではない。本明細書中に示すすべての刊行物、特許出願、特許およびその他の引用文献は、その全部を参照として組み入れるものとする。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先する。
【0016】
本発明の実施形態の1例またはそれ以上の詳細を、添付する図面および以下の説明中に提示する。本発明のその他の様相、目的、および利点は、図面および詳細な説明、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0017】
詳細な説明
たばこ
本明細書で使用する「たばこ」は、バーレイ、ダーク空気乾燥型、ダーク焼成型、熱風乾燥型、オリエント、シガーフィラーまたはラッパー、さらに希少および/または特殊たばこの任意の部分、例えば葉または葉身および葉柄を意味する。本発明での使用に好適なたばこは全葉または葉柄が可能であるが、そのたばこを細断、切断またはその外の加工をしたものでもよい。本発明で有用なたばこは完成した無煙たばこ製品の形態のものでもよく、限定するわけではないが湿潤型嗅ぎたばこ、乾燥型嗅ぎたばこまたは噛みたばこが含まれる。例えば、本発明での使用に好適なたばこは、発酵型もしくは非発酵型たばこ、乾燥(例えば空気乾燥)型、バーレイ、ダーク、ダーク焼成型、熱風乾燥型、オリエント、およびシガーフィラーまたはラッパーが可能である。本発明で使用するたばこに、無煙たばこ分野で知られているその他の添加剤または香味を添加してもよい。したがって、たばこに関して本明細書で使用されるパーセンテージはたばこ単独に対するものか、または各種の既知の添加剤を配合したたばこに対するもののいずれかである。
【0018】
噛みたばこおよび嗅ぎたばこは多数の香味のいずれかを使用して、たばこに随伴する場合がある望ましくない味覚の特徴のいくつかを低減させることが多い。香味の付加には噴霧のための溶媒系を必要とし、一般的にはこれらをたばこ製品の調製工程中に添加する。噴霧の方法はコストが高くなり勝ちで、またその香味が製品の調製中および貯蔵中に劣化する場合もある。さらに、この方法はある種の香味を無煙たばこに移行させるのにはあまり成果をあげていない。したがって、本発明は無煙たばこ製品に従来の香味付与システムを使用しないで香味を付与する新規な方法を提供する。
【0019】
香味付け無煙たばこ(flavored smokeless tobacco)の製造
適切なたばこのタイプを選定した後、製造する無煙たばこ製品のタイプに応じて、たばこを適切なサイズに細断または粉砕する。さらに、切断したたばこをサイズ分別用の篩を通過させることによって、この材料をサイズにしたがって分離してもよい。たばこの細断または粉砕は、この目的について当分野で既知の方法を使用して、達成することができる。
【0020】
本明細書に記載するように、たばこの水分含量、pH、および塩分濃度は、味のよい香味付け無煙たばこを調製する際に重要である。たばこの水分含量、pH、および塩分濃度は当業者に既知の方法を使用して測定することができる。本発明での使用に好適なたばこは典型的には、水分含量が25%〜60%、例えば少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%、pHが7.0〜8.5、例えば少なくとも7、または8、そして塩分濃度が1%〜10%、例えば少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%である。
【0021】
本発明は香味付け無煙たばこを提供する。香味付け無煙たばことは、固体香味料からの香味が付与されたあらゆる無煙たばこである。香味に関して本明細書で使用する用語「付与する」とは、たばこに1種以上の固体香味料から所望の特徴的な、または卓越した香味を移行させるか伝達することを意味する。
【0022】
固体香味料とは、香味を付与する能力を持つ固体の基剤(例えば、豆類、カカオ豆、ナッツ類、およびスティック類)のあらゆるタイプである。代表的な香味豆類には、限定するわけではないが、コーヒー豆、バニラビーンズおよびカカオ豆が含まれる。代表的な香味ナッツ類として限定するわけではないが、アーモンド、ピーナッツ、カシュー、胡桃、ペカン、およびピスタチオが含まれる。本発明で使用するための固体香味料は全粒の豆類、ナッツ類および/またはスティック類自体が可能である。あるいは、豆類、ナッツ類、またはスティック類などの固体香味料を、既知の方法を使用して粉砕してもよい。一般的に、香味付け無煙たばこ組成物中に存在する固体香味料の量は約1重量%〜約30重量%である。
【0023】
たばこおよび香味豆類またはナッツ類の混合物を、任意の種類の混合、撹拌、回転、振動、振蕩などの既知の方法によって、配合する。混合物は使用前に少なくとも2日間(例えば、7日以上、10日以上、2週間以上)貯蔵する。これは温度および使用する香味料に応じて変更されるものである。香味の移行は約2日間で検出することができるが、混合物をより長期間置いておくことで、香味をより高レベルまで発揮させることができる。固体香味料は常套的な分離技術によってたばこから除去するか、または最終製品に残留させてもよい。分離技術として、粒子サイズに基づく篩い分けなどの当分野で既知の多様な方法が含まれる。
【0024】
香味豆類またはナッツ類は豆もしくはナッツの品種およびその豆もしくはナッツが生育する環境に応じて、呈味および/または香味が異なる場合がある。例えば、コーヒー豆には特異な香味を持つ膨大なタイプがあり、以下のものなどがある:アラビカ(Arabica)、ブラジルサントス(Brazillian Santos)、コロンビアスプレモ(Columbian Supremo)、コスタリカ(Costa Rican)、エチオピアハラー(Ethiopian Harrar)、ハワイコナ(Hawaiian Kona)、ケニアAA(Kenya AA)、ジャマイカ(Jamaica)、スマトラ(Sumatra)、タンザニアピーベリー(Tanzanian Peaberry)、およびジンバブエ(Zimbabwe)。その上、本発明の固体香味料として使用するコーヒー豆は焙焼または非焙焼のものでもよく、天然または脱カフェインのものでもよい。
【0025】
本発明の香味付け無煙たばこに、固体香味料の外に1種以上の香味成分を含ませてもよい。例えば、コーヒー豆にコーヒー工業界で普通使用されている1種以上の香味成分を含ませることができる(例えば、本明細書で例示しているヘーゼルナッツおよびフレンチバニラ)。豆類および/またはナッツ類および/またはスティック類(例えば、シナモンスティック)の組み合わせを無煙たばこに混合して、新規で特異的な香味を提供することができる。
【実施例】
【0026】
本発明を以下の実施例でさらに説明するが、これらは特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。
【0027】
(実施例1)
フレンチロースト香味付け無煙たばこ
無煙たばことフレンチローストアラビカ豆を使用して、コーヒー香味付け無煙たばこ製品の製造方法を実施した。
【0028】
水分含量が24〜26%のたばこ葉を選択した。カッターを通して、このたばこ葉を細片に加工した。水の添加によって水分含量を約60%に増大させ、pHは7.9に上昇させた。最終塩分濃度は約7.5%だった。
【0029】
加工したたばこに約3%(重量)の全粒フレンチローストコーヒー豆を配合し、室温で2週間まで貯蔵した。無煙たばこサンプルは、2日後には噛んだときにフレンチローストコーヒーに特徴的な特異的香味を呈することがわかり、さらに長期の貯蔵でその香味の強度が増大した。
【0030】
(実施例2)
ヘーゼルナッツ香味付け無煙たばこ
無煙たばことヘーゼルナッツ香味アラビカ豆を使用して、ヘーゼルナッツ香味付け無煙たばこ製品の製造方法を実施した。
【0031】
水分含量が24〜26%のたばこ葉を選択した。カッターを通して、このたばこ葉を細片に加工した。水の添加によって水分含量をさらに約60%に増大させ、pHは7.9に上昇させた。最終塩分濃度は約7.5%塩分だった。
【0032】
加工したたばこに約3%(重量)の全粒ヘーゼルナッツコーヒー豆を配合し、室温で2週間まで貯蔵した。無煙たばこサンプルは、2日後には噛んだときにヘーゼルナッツコーヒーに特徴的な特異的香味を呈することがわかり、さらに長期の貯蔵でその香味の強度が増大した。
【0033】
(実施例3)
フレンチバニラ香味付け無煙たばこ
無煙たばことフレンチバニラアラビカ豆を使用して、コーヒー香味付け無煙たばこ製品の製造方法を実施した。
【0034】
水分含量が24〜26%のたばこ葉を選択した。カッターを通して、このたばこ葉を細片に 加工した。水の添加によって水分含量を約60%に増大させ、pHは7.9に上昇させた。最終塩分濃度は約7.5%塩分だった。
【0035】
加工したたばこに約3%(重量)の全粒フレンチバニラコーヒー豆を配合し、室温で2週間まで貯蔵した。無煙たばこサンプルは、2日後には噛んだときにフレンチバニラコーヒーに特徴的な特異的香味を呈することがわかり、さらに長期の貯蔵でその香味の強度が増大した。
【0036】
(その他の実施形態)
本発明をその詳細な説明と関連させて説明してきたが、前記の説明は例証を意図するものであって、添付した特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではないものと理解すべきである。その他の様相、利点、および改変は添付する特許請求の範囲内のものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無煙たばこへの香味付与方法であって、たばこに1種以上の固体香味料を配合して、前記1種以上の固体香味料に特徴的な香味を持つ香味付け無煙たばこを形成させることを含む前記方法。
【請求項2】
固体香味料を約1重量%〜約30重量%含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
固体香味料が豆類、ナッツ類および/またはスティック類である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
豆類、ナッツ類および/またはスティック類が全粒の豆、ナッツおよび/またはスティック自体であるか、あるいは粉砕した豆、ナッツおよび/またはスティックである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
豆類がコーヒー豆、バニラビーンズまたはカカオ豆からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
コーヒー豆が、アラビカ(Arabica)、ブラジルサントス(Brazillian Santos)、コロンビアスプレモ(Columbian Supremo)、コスタリカ(Costa Rican)、エチオピアハラー(Ethiopian Harrar)、ハワイコナ(Hawaiian Kona)、ケニアAA(Kenya AA)、ジャマイカ(Jamaica)、スマトラ(Sumatra)、タンザニアピーベリー(Tanzanian Peaberry)、およびジンバブエ(Zimbabwe)からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ナッツ類が、アーモンド、ピーナッツ、カシュー、胡桃、ペカン、およびピスタチオからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
香味料が、ヘーゼルナッツ、バニラ、アマレット、果実フレーバー、アーモンド、アイリッシュクリーム、シナモン、およびバタースコッチからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
たばこの水分含量を約25%〜約55%に調整することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
たばこの塩分濃度を約1%〜約10%に調整することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
香味付け無煙たばこを形成させた後、無煙たばこから固体香味料を分離することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
香味付け無煙たばこが湿潤型嗅ぎたばこまたは噛みたばこである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
たばこが空気乾燥型、バーレイ、ダーク、ダーク焼成型、熱風乾燥型、オリエント、およびシガーフィラーまたはラッパーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
たばこが発酵型または非発酵型である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
香味付け無煙たばこ組成物であって、前記無煙たばこおよび1種以上の固体香味料を含む組成物。
【請求項16】
無煙たばこと1種以上の固体香味料を配合することによって製造された、香味付け無煙たばこ組成物。
【請求項17】
無煙たばこを用意し;そして、前記無煙たばこに1種以上の固体香味料を配合して、前記香味付け無煙たばこを形成させることを含む、香味付け無煙たばこ組成物の製造方法。

【公表番号】特表2007−510415(P2007−510415A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538435(P2006−538435)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/036444
【国際公開番号】WO2005/041699
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(398069229)ユーエス スモークレス タバコ カンパニー (20)
【Fターム(参考)】