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香味抽出物の製造方法
説明

香味抽出物の製造方法

【課題】本発明の目的は、原料から香りや味を効率的に抽出し、更に油溶性の香味成分を損なうことなく抽出でき、そして水溶性の性質をも併せ持つ、従来にない良好な香味抽出物の製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、第1段階の抽出として原料に液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液を加え加熱抽出をした後、さらにエタノールを加えて第2段階の抽出をする工程を有することを特徴とする香味抽出物の製造方法である。本発明の製造方法によって製造された香味抽出物は、調味料類、飲料類、菓子類、惣菜類、スープ類、嗜好飲料類などの幅広い飲食品や飼料に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香味抽出物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レトルト食品やインスタント食品に調理感を与えるため、野菜や香辛料、畜産物、水産物、調味料などの原料の持つそのままの香味、もしくは調理したときの香味を動植物油脂や食用精製加工油脂に移行させたフレーバーが用いられる。これらは香味油と称され、シーズニングオイル、調味油、風味油、着香油とも呼ばれている。香味油は主に食品の調理や加工食品の製造において使用され、食品に旨味や香りを与え、風味を増すために多用されており、レトルト食品やインスタント食品の発展に伴い需要は増加している。
しかしながら、香味油には香りの力価が低く、油脂の酸化臭が生じるという欠点がある。
【0003】
このような欠点を解消するために、調理感のある香味抽出物の製造方法として種々の提案がなされている。例えば風味性材料をローストもしくは蒸煮した後、油脂を加えて加熱抽出する製法(特許文献1)が挙げられる。また、動植物材料から該材料中に含まれる香味を抽出する方法として、香味野菜をアルコールで抽出し粉末化基材を添加して乾燥する製法(特許文献2)、原料を50%以上のエタノール水溶液で抽出し、多価アルコール、糖類又はその加熱反応物を添加する製法(特許文献3)が挙げられる。また、保香性を高め沈殿を防止する方法としては、コーヒー豆を熱水で抽出した溶液100重量部に対し、0.5重量部のエタノールを加える製法(特許文献4)が挙げられる。さらに、褐藻類の水抽出液と、褐藻類のアルコール抽出液とを混合して濃縮した昆布様風味の有る調味料の製法(特許文献5)、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリンなどの混合液で海藻を抽出する製法(特許文献6)、水に懸濁したスピルリナ藻体をアルコール類および糖類もしくは糖アルコールの存在下で抽出する製法(特許文献7)が挙げられる。
一方、本発明者は第1段階の抽出として原料に油脂を加え加熱抽出をした後、さらにエタノールを加えて第2段階の抽出をすることを特徴とした香味抽出物の製造方法(特願2008‐193108号)を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−262561号公報
【特許文献2】特開2006−288367号公報
【特許文献3】特許第3342235号公報
【特許文献4】特開平6−62740号公報
【特許文献5】特開昭55−37225号公報
【特許文献6】特開平10−191941号公報
【特許文献7】特開平2−171167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の提案された香味抽出物の製造方法である特許文献1は、風味性材料をローストする際に好ましい調理香が揮散してしまうことから、その後原料を油脂抽出しても好ましい調理香を抽出できず、長期間保存すると油脂が酸化する恐れがある。また、特許文献2のようにアルコール抽出だけでは香りが弱くなる傾向があり、また、アルコールの沸点以上に加熱できず力価の高い香りが得られないという欠点がある。そして、特許文献3のようにエタノール抽出後に多価アルコールや糖類の加熱反応物を加えても、原料から生じる調理香や香気の一体感は得られない。さらに、特許文献4のように保香性を高めるために原料を熱水抽出した後に少量のアルコールを加えても、熱水抽出では油溶性の香ばしい調理香は得られない。また、特許文献5のように水やアルコール抽出では十分に加熱できないため、香味油のような香ばしい調理香を抽出することはできない。一方、特許文献6や特許文献7のように水やエタノール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリンなどの混合液、もしくはアルコール類および糖類、糖アルコール類の混合液で1度抽出しただけでは抽出効率が悪く、原料自体の香気や調理香が抽出できない可能性がある。以上の如く、現在提案されている香味抽出物の製造方法では、力価が高く、水溶性の性質を持ち、かつ品質を長期的に安定に保てる香味抽出物を得ることは出来なかった。
【0006】
以上より、本発明の目的は原料から香気成分や呈味成分を効率的に抽出し、従来にない良好な香気および/または呈味強度を有する香味抽出物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上述の課題を解決するため、香味の抽出に関して鋭意検討した結果、原料から香気成分や呈味成分を効率的に抽出し、水溶性の性質を持つ従来にない良好な香味抽出物の製造方法を見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、第1段階の抽出として原料に液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液を加えて加熱抽出した後、さらにエタノールを加えて第2段階の抽出をすることを特徴とした香味抽出物の製造方法である。さらに、本発明は原料に液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液を加えて、80〜150℃の温度で第1段階の加熱抽出を行い、さらにエタノールを加えて15〜80℃の温度で第2段階の抽出を行うことを特徴とする香味抽出物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、香気と呈味の優れた香味抽出物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は香味抽出物の味と香りの増強効果を5点法で評価したときの12名のパネラーによる評点を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、第1段階の抽出として原料に液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液を加え加熱抽出をした後、さらにエタノールを加えて第2段階の抽出をする工程を有することを特徴とした香味抽出物の製造方法である。
【0012】
本発明に用いる原料は、香りまたは味、もしくはそれらの両方を有するものであれば特に制限されることはなく、例えば香辛料類、ハーブ類、種子類、野菜類、果実類、海産物類、畜肉類、食物加工品などから選ばれる物質を挙げることができ、これらの原料の1種又は2種以上を使用することができる。
【0013】
上記原料のうち、香辛料としては例えばトウガラシ、コショウ、マスタード、クミン、ガラムマサラ、コリアンダー、フェンネル、カルダモン、ナツメグ、オールスパイス、アニス、ターメリック、クローブ、シナモン、ジンジャー、フェヌグリーク、パプリカ、ローレルやこれらの混合物、カレー粉などが挙げられる。ハーブ類としては、ミント、パセリ、セージ、ローズマリー、タイム、オレガノやこれらの混合物などが挙げられる。種子類としては例えばゴマ、コーヒー豆、カカオ豆、バニラ豆、大豆、小豆、インゲンマメ、ソラマメ、トウモロコシ、ピーナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ、ペカンナッツ、ピスタチオ、マカデミアナッツ、クルミ、クリなどが挙げられる。野菜類としては例えばネギ、タマネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、エシャロット、セロリ、ショウガ、ミョウガ、シソなどが挙げられる。果実類としては例えば梅、かりんなどが挙げられる。海産物としては例えばコンブ、ワカメ、エビ類、カニ類、貝類などが挙げられる。畜肉類としては例えば豚肉、牛肉、鶏肉などが挙げられる。食物加工品としては例えば茶、ドライフルーツ、魚節類、干物類、ベーコンなどが挙げられる。
【0014】
本発明の多価アルコールとは、分子内に水酸基(OH基)を2個以上持つ化合物であり、第1段階の抽出溶剤に用いる多価アルコールとしては、食用に供することが可能なもので、液状の性質もしくは水溶性であれば特に限定されない。例えば、プロピレングリコールなどの2価アルコール、グリセリンなどの3価アルコール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、澱粉還元糖化物などの糖アルコール、グルコース、フルクトースなどの単糖類、マルトース、シュクロース、トレハロースなどのオリゴ糖などが挙げられる。これらの多価アルコールを単独又は2種類以上併用して抽出することができる。抽出溶剤で多価アルコールを使用することの利点は、水溶性の性質を持ちながら、香味油のような調理感のある香ばしい香気を持つ、従来にない抽出物を得ることができることである。第1段階の抽出溶剤として粘度の高い多価アルコール溶液を使用する場合は、水を加えて操作性を良くすることもできるが、含水量が多いと原料の呈味成分を多く回収することができる反面、炒めた香気よりもゆでた香気の方が強くなるので、含水量はできるだけ少ない方が望ましい。
【0015】
本発明で使用する液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液の濃度は、プロピレングリコールなどの2価アルコール、グリセリンなどの3価アルコールのように25℃で液状の多価アルコールにおいては、特に70〜100質量%での使用が望ましい。一方、25℃で固体である多価アルコールのソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、澱粉還元糖化物などの糖アルコール、グルコース、フルクトースなどの単糖類、マルトース、シュクロース、トレハロースなどのオリゴ糖の場合は、水を加えて液状にして溶剤として使用する。あるいは市販品で予め水に溶解している多価アルコールを使用しても良い。より水分量が少ないほうが炒めた調理香が出やすいが、水分量が少なすぎると流動性が乏しく、操作性が悪いため、25℃で固体である多価アルコールは特に50〜90質量%での使用が望ましい。
【0016】
液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液の使用量は特に限定されるものではないが、好ましくは原料に対して質量比で1:1〜1:20、より好ましくは1:1〜1:12の範囲で用いられる。原料の密度が高い場合や原料の持つ香味が弱い場合は、原料に対する液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液の量は少量でも構わない。ただし、液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液の使用量が原料に対して1倍未満である場合は加熱の温度制御が困難になり局部的に原料が焦げ付く可能性がある。一方、原料が乾燥しており液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液を良く吸収する場合や、原料の密度が低く嵩が大きい場合、原料の持つ香味が強い場合は、原料に対する液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液の量は大量でも構わない。ただし、液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液の使用量が原料に対して100倍を超える場合は香味が弱くなる可能性がある。
【0017】
本発明の第1段階の抽出方法としては、原料を液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液とともに加熱して抽出を行う。この際、抽出の温度が上昇することで抽出効率も高まる。一般的に抽出温度としては40℃〜180℃、好ましくは80℃〜150℃の間が望ましい。温度が低いと抽出効率が低く香味も弱くなる傾向があり、逆に温度が高過ぎると、抽出釜に原料が焦げ付く恐れや、原料が炭のように焦げて苦味のあるオフフレーバーが生じる可能性がある。調理感のある香ばしい香気を得るためには40℃〜180℃、好ましくは80℃〜150℃の間が望ましい。
【0018】
本発明の第1段階の抽出においては、抽出時間は特に限定されるものではないが、抽出温度による香味への加熱の影響と抽出効率を勘案して設定される。一般的には約3分〜約3時間加熱抽出することにより原料の香味を効率的に抽出することができる。抽出は静置したまま行うことも可能であるが、抽出効率を高め製造毎の抽出率の変動を抑制するため、さらには抽出温度が高い場合に抽出釜への原料の焦げ付きを防止するために、攪拌しながら行うことが望ましい。
【0019】
本発明の第1段階の抽出後、必要に応じて抽出釜の内温を下げる。温度を下げる方法は、放冷しても構わないが、環境温度の違いによる冷却時間のぶれを抑えるために、抽出釜のジャケットに冷却水を流すなどの手段により一定の時間で設定温度まで冷却することが好ましい。温度は次の段階で加えるエタノールの沸点が約80℃なので、沸騰を避けるため60℃以下、好ましくは40℃以下まで冷却する。
【0020】
本発明の第2段階の抽出方法として、第1段階で抽出した原料と液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液の混合物にエタノールを加えて抽出を行う。本発明で使用するエタノールは含水エタノールでもよい。含水エタノールは液状多価アルコールや水と完全に混ざり合うため、含水量は自由に設定することができ、含水量が多いと呈味成分が多く抽出できるが、エタノール濃度が低いと油溶性である香気成分が十分に回収できない可能性があるので、ある程度のエタノール濃度を保つ方が良い。このため、本発明で使用するエタノールの濃度は50〜100容量%が好ましく、70〜100容量%のエタノールの使用がより好ましい。
【0021】
本発明の第2段階で使用するエタノールの量は特に限定されないが、原料に対して質量比で1:1〜1:50が好ましい。第1段階の液状多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液の粘度が高めの場合は、第2段階の抽出時によく撹拌して抽出効率を上げることと、ろ過時の操作性をよくするためにエタノールを多く加えたほうが良い。しかしながら、エタノールの使用量が原料に対して100倍を超える場合は、原料の香味がエタノールで薄められ、香味が弱くなる可能性がある。また、エタノールの使用量が原料に対して1倍未満である場合は油溶性成分の抽出が困難となり、第1段階の抽出溶剤である液状多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液の粘度が高い場合には十分に撹拌できず、原料の香味成分が十分に抽出できない可能性がある。このような傾向から、エタノールの使用量は第1段階の抽出溶剤である液状多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液の粘度や香気の強さに応じて、原料に対して質量比で好ましくは1:1〜1:50、より好ましくは1:1〜1:30の範囲である。
【0022】
本発明の第2段階の抽出方法としては、第1段階の抽出で得た原料と液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液の混合物に上記のエタノールを加えて抽出する。抽出温度は常温でも構わないが、加熱すると抽出効率が高まる傾向にある。また加熱し過ぎるとエタノールが沸騰する可能性があるので、15℃〜80℃、好ましくは15℃〜70℃で5分〜24時間抽出を行う。抽出は静置したまま行うことも可能であるが、抽出効率を高めるために攪拌しながら行うことが望ましい。
【0023】
更に本発明において、任意の工程でフレーバーを添加することにより、より香味の増した抽出物を得ることができる。フレーバーを添加する工程としては、第1段階の抽出時に加えると抽出物と良く馴染み、違和感も無く、フレーバーが加熱されることで調理感のある抽出物を得ることができる。一方、第2段階の抽出後など製造工程において遅い段階で添加すると、添加したフレーバーそのものの香気を生かした抽出物を得ることができる。
【0024】
本発明において使用されるフレーバーは特に限定されるものではないが、例えば精油、エキストラクト、ティンクチャー、エッセンス、オレオレジン、回収フレーバー、単離香料などの天然香料素材や、炭化水素類、アルコール類、有機酸類、エステル類、ラクトン類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、含窒素化合物類、含硫化合物類などの合成香料素材の中から選ばれた1種類、もしくは2種類以上を混合したものからなり、形態として水性香料、油性香料、乳化香料、粉末香料等が挙げられる。フレーバーの原料に対する添加量は0.0001質量%〜10質量%まで、香気の力価に合わせて適宜選択することができる。
【0025】
本発明によって得られる香味抽出物は調味料類、飲料類、菓子類、惣菜類、スープ類、嗜好飲料類、インスタント食品、レトルト食品、冷凍食品、健康食品、医療用食品などの各種加工食品や各種ペットフードなどの飼料に幅広く使用することができる。これらの飲食品や飼料に対する本発明の香味抽出物の配合量は特に限定されないが、例えば0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜1質量%の如き配合量を例示することができる。
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
市販カレーパウダー100gに、100質量%プロピレングリコールを800g加え、抽出釜の中で掻き取り式の攪拌プロペラを使って十分に攪拌しながら加熱昇温し、150℃で30分間抽出を行った。抽出終了後、抽出釜のジャケットに冷却水を通し、40℃まで冷却した後、95容量%のエタノール1200gを加え、40℃で30分間攪拌した後、濾紙で固形分を濾別して抽出物1750gを得た。
【0028】
(実施例2)
市販カレーパウダー100gに、ハイフラクトース F−550(三和澱粉工業株式会社登録商標、甘味料、固形分75質量%以上)を750g、水を50g加え、抽出釜の中で掻き取り式の攪拌プロペラを使って十分に攪拌しながら加熱昇温し、80℃で90分間抽出を行った。抽出終了後、抽出釜のジャケットに冷却水を通し、40℃まで冷却した後、70容量%のエタノール1450gを加え、室温にて30分間攪拌した後、濾紙で固形分を濾別して抽出物1850gを得た。
【0029】
(実施例3)
市販カレーパウダー100gに、ソルビトール(花王株式会社、甘味料、固形分69.5〜70.5質量%)500gと、水100gとカレーフレーバーを0.1g加え、抽出釜の中で掻き取り式の攪拌プロペラを使って十分に攪拌しながら加熱昇温し、100℃で30分間抽出を行った。抽出終了後、抽出釜のジャケットに冷却水を通し、40℃まで冷却した後、70容量%のエタノール1500gを加え、50℃で30分攪拌した後、濾紙で固形分を濾別して抽出物1650gを得た。
【0030】
(実施例4)
市販カレーパウダー100gに、100質量%グリセリンを600gとカレーフレーバーを0.1g加え、抽出釜の中で掻き取り式の攪拌プロペラを使って十分に攪拌しながら加熱昇温し、145℃で30分間温抽出を行った。抽出終了後、抽出釜の外部に冷却水を通し、40℃まで冷却した後、90容量%のエタノール2500gを加え、室温にて30分攪拌した後、濾紙で固形分を濾別して抽出物2750gを得た。
【0031】
(比較例1)
市販カレーパウダー100gに、ODO(日清オイリオグループ株式会社登録商標、中鎖脂肪酸トリグリセライド)を500g加え、抽出釜の中で掻き取り式の攪拌プロペラを使って十分に攪拌しながら加熱昇温し、160℃で30分間抽出を行った。抽出終了後、抽出釜のジャケットに冷却水を通し、40℃まで冷却した後、濾紙で固形分を濾別して抽出物400gを得た。
【0032】
(比較例2)
市販カレーパウダー100gに、100質量%グリセリンを500g加え、抽出釜の中で掻き取り式の攪拌プロペラを使って十分に攪拌しながら加熱昇温し、140℃で90分間抽出を行った。抽出終了後、抽出釜のジャケットに冷却水を通し、40℃まで冷却した後、濾紙で固形分を濾別して抽出物150gを得た。
【0033】
(比較例3)
市販カレーパウダー100gに、水を500g加え、抽出釜の中で掻き取り式の攪拌プロペラを使って十分に攪拌しながら加熱昇温し、85℃で90分間抽出を行った。抽出終了後、抽出釜のジャケットに冷却水を通し、40℃まで冷却した後、濾紙で固形分を濾別して抽出物400gを得た。
【0034】
(比較例4)
市販カレーパウダー100gに、80質量%エタノールを500g加え、抽出釜の中で掻き取り式の攪拌プロペラを使って十分に攪拌しながら加熱昇温し、75℃で90分間抽出を行った。抽出終了後、抽出釜のジャケットに冷却水を通し、40℃まで冷却した後、濾紙で固形分を濾別して抽出物400gを得た。
【0035】
(試験例)
市販のカレールー150gに水850gを加えて調製したカレーベース100gに対し、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた抽出物0.1gを添加し、121℃で20分間レトルト殺菌を行ったものにつき、よく訓練されたパネル12名によって無添加のカレーベースと比較したときの味と香りの増強効果を官能評価した。
【0036】
味と香りの増強効果を5点法で評価したときの12名のパネラーによる評点の平均値を図1に示す。
【0037】
図1に記載した通り、本発明の製造方法により得られた香味抽出物は、比較例よりもはるかにカレーの香りや味を増強した。
【0038】
さらに、総合的な官能評価の結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1に示した通り、本発明の製造方法により得られた香味抽出物は、比較例に対して香気においては香ばしさやスパイシーな香気を強調し、呈味では特に辛味が増加する傾向が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の方法によって製造した香味抽出物は、調味料類、飲料類、菓子類、惣菜類、スープ類、嗜好飲料類などの幅広い飲食品や飼料に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料に液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液を加え加熱抽出をした後、さらにエタノールを加えて抽出することを特徴とする香味抽出物の製造方法。
【請求項2】
原料に液状の多価アルコール、もしくは多価アルコールの水溶液を加えて、80〜150℃の温度で加熱抽出し、さらにエタノールを加えて、15〜80℃の温度で抽出することを特徴とする請求項1に記載の香味抽出物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−227046(P2010−227046A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79649(P2009−79649)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000201733)曽田香料株式会社 (56)
【Fターム(参考)】