説明

香料を有する洗剤の錠剤

本発明は、改善された香料安定性を有する洗剤の錠剤を対象とする。それは洗剤の錠剤に関し、少なくとも2つの不連続領域、並びに多孔質担体物質及び前記多孔質担体物質の孔の中に含有される香料を含む香料粒子を洗剤の錠剤の0.05重量%〜10重量%含み、香料粒子が、錠剤の1つの領域中にそのもう1つの領域中より高濃度で含まれる洗剤の錠剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された香料安定性を有し、及び長持ちする乾いた布地の臭いの効果を供給する洗剤の錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤形態の組成物、例えば、特に洗濯又は自動食器洗浄操作用のものは、それらが簡単な投与、容易な貯蔵及び取り扱いを提供するため、益々消費者の好評を博している。また洗剤製造業者にとっても、錠剤組成物は、輸送費用、取り扱い費用、及び貯蔵費用の低減などの多くの利益を有する。錠剤は、様々な構成成分の圧縮により典型的には形成される。製造される錠剤は、損傷を受けずに、取り扱い及び輸送に耐えられるほど十分に堅固でなくてはならない。加えて錠剤はまた、洗剤組成物が洗浄水中に洗浄サイクルの開始時にできるだけ早く放出されるように、迅速に溶解しなければならない。こうした性能の側面は、洗剤の錠剤の重要な特性であり、及びそれらは必ずしも本発明の焦点ではないが、それらは本質的に本発明の背景の一部である。
【0003】
大部分の消費者が、香りのする洗濯製品を求めるようになってきているし、及び洗濯された布地もまた心地よい芳香を有することを求めるようになってきている。香料添加物は、洗濯組成物を、消費者にとってより審美的に心地よいものにし、場合によっては、香料が心地よい芳香をそれで処置された布地に付与することもある。しかしながら、洗濯水溶液から布地上へ送達される香料の量は、多くの場合ほんの僅かである。業界は、長持ちする貯蔵安定性の芳香を製品に提供する、並びに芳香の有効な付着を洗濯された布地上に提供する洗濯製品に用いるのに有効な香料デリバリーシステムを長いこと捜し求めてきた。こうした組成物からの香料の放出を妨げ又は遅らせ、その結果それらがより長期間にわたって審美的に心地よく残るように、様々な技術が開発されてきた。しかしながら現在のところ、ほとんどの方法は、著しい布地の臭いの効果を、布地の長期間の貯蔵後にまでもたらさない。
【0004】
洗濯をする消費者は、布地が心地よい臭いを、湿った段階での洗浄サイクルの後だけでなく、また乾燥中及び後(乾いた布地の臭い)にも有することを求める。本発明は、長持ちする香料の効果を、この製品で洗濯された布地に提供する洗剤の錠剤に関する。その上、この組成物は、製造プロセス、長期間の貯蔵及び洗濯の両方の間の香料の損失を最小にする。
【0005】
香料を洗濯溶液から布地表面上に有効に及び効率的に送達する方法及び組成物が継続的に捜し求めてられてきた。洗浄サイクル全体を通した香料の保護を、香料の布地上への放出と共に伴う、香料送達の様々な方法が開発されてきた。例えば、香料は、粘土又はゼオライト物質上に吸着され、それは次に粒子状洗剤組成物中に混合される。米国特許第4,539,135号は、香料を有する粘土又はゼオライト物質を含む粒子状洗濯化合物を開示する。一般に、より大きい孔径のゼオライト、例えばゼオライトX及びYとの香料の組み合わせもまた当該技術分野において教示されている。東ドイツ特許公報(East German Patent Publication)第248,508号は、香料を装填されたフォージャサイト型ゼオライト(例えば、ゼオライトX及びY)を含有する香料ディスペンサーに関する。また、東ドイツ特許公報(East German Patent Publication)第137,599号(1979年9月12日公開)は、香料の温度調節された放出を提供する、粉末洗浄剤に用いる組成物を教示する。ゼオライトA、X及びYはこれらの組成物中への使用が教示されている。
【0006】
ゼオライト又はポリマー担体上への香料の吸着は、洗剤組成物と混合された生のままの香料の添加と比べて、おそらく幾らかの改善を提供する場合もあるが、業界はそれでもなお、強度、布地に供給される芳香の量、及びおそらく最も重要なことには、処置された布地表面上の香料の香りの持続時間のような香料の特徴を失わずに、洗濯組成物の貯蔵時間の長さを改善することを捜し求めている。以下に記載されるように、ゼオライト担体物質からの香料の放出は、水分により活性化される放出である。こうした物質を使用する際の複雑な要因は、洗濯プロセスの初期における香料構成成分の早過ぎる放出である。
【0007】
香料粒子のコーティング/封入のような幾つかの解決策が、担体からの香料構成成分の早過ぎる放出を防ぐために提案されてきた。PCT国際公開特許WO94/28107は、少なくとも6オングストロームの孔径を有するゼオライト、ゼオライトの孔の中に放出可能に組み込まれた香料、及び香料を有するゼオライト上にコーティングされたマトリックスを含む組成物を教示し、マトリックスは、3を超えるヒドロキシル部分を含有する少なくとも1つの固体ポリオールの0重量%〜80重量%、及び流体ジオール又はポリオールの20重量%〜100重量%を含む水溶性組成物を含み、その中で香料は実質的に不溶性であり、及びその中で固体ポリオールは実質的に可溶性である。PCT国際公開特許WO97/34982は、香料を装填されたゼオライト及び放出障壁を含む粒子を開示するが、この放出障壁はワックスから得られ、及びゼオライト担体の孔開口部のサイズより大きいサイズを有する剤である。PCT国際公開特許WO01/40430は、香料のような添加物をその孔の中に含有する多孔質担体物質のコア、前記コアを封入する疎水性油の第1コーティング、及び疎水性油でコーティングされたコアを封入する、デンプン又は変性デンプンのような水溶性であるが油不溶性物質の第2コーティングを含む粒子である。PCT国際公開特許WO02/090481は、香料組成物と、香料担体、好ましくはゼオライト、水和物質、及びこれらの混合物から選択される物質、並びに耐湿性包装を含む温度及び湿度安定性の1回用量の香料送達物品を提供し、その際構成成分の少なくとも30容量%が、微細粉末又は100μ未満の平均粒径を有する粒子状物質の形態である。PCT国際公開特許WO02/089862は、その中に取り込まれた香料組成物を有する多孔質担体物質、水の吸収及び/若しくは吸着を遅延する並びに/又は水分を多孔質担体物質に提供するための第2構成成分、並びに任意に、遊離香料、着色剤、崩壊剤、水膨張剤、及び/又は吸湿調整剤(porosity modifier)から選択される第3構成成分を包含する空気清浄組成物を記載する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、洗剤の錠剤の安定性をその調製から最終使用まで確実にする一方で、取り扱い及び輸送を乗り切るために十分な硬度を有し、残留物を残さずに洗浄水の中に迅速に溶解し、及び香料構成成分を布地上に、洗浄サイクルの間だけでなく、乾燥段階の間及び後にも同様に放出する洗剤の錠剤を提供することである。特に、本発明の目的は、洗剤の錠剤の香料構成成分の長期間の安定性を確実にすることである。本発明は、大気中の水分又は湿気の存在下で乾いた布地から放出されるべき、より多くの香料が布地上に洗濯プロセスを通して保持されるように、ゼオライト担体物質中への香料の改善された保持を提供する。本発明はまた、貯蔵され、乾燥され、又はアイロンを掛けられる間に湿気に暴露された時に、洗濯された布地からの連続した臭いの放出の利益を提供し、長続きする芳香を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、その孔の中に香料を含む多孔質物質のコアを含む香料粒子を全洗剤の錠剤の0.05重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜3重量%含む洗剤の錠剤に関し、その際香料粒子は、錠剤の1つの領域(領域2)中に、そのもう1つの領域(領域1)中より高濃度で含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の物品は、取り扱い及び輸送を乗り切るために十分な硬度を有し、短いサイクルの洗浄及び/又はすすぎプロセスの間に残留物を残さずに水の中に迅速に溶解し、及び香料構成成分を布地上に付着させ、及び大気中の水分に暴露された時にそれらの構成成分の持続放出を提供する。香料粒子の優れた長期安定性は、香料粒子を洗剤の錠剤の不連続領域中に分離することにより保証されると考えられている。
【0011】
多孔質担体物質は、典型的には、ゼオライト、マクロ孔質ゼオライト、非晶質シリケート、結晶性非層状シリケート、層状シリケート、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム/ナトリウム複塩、炭酸ナトリウム、粘土、方ソーダ石、アルカリ金属ホスフェート、キチンミクロビーズ、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルデンプン(carboxyalkylstarches)、シクロデキストリン、多孔質デンプン、及びこれらの混合物から選択される。好ましくは、担体物質は、ゼオライトX、ゼオライトY、及びこれらの混合物のようなゼオライトである。特に好ましい多孔質担体は、それらの孔の中に香料を有効に組み込むために、少なくとも約6オングストロームの公称孔径を有するゼオライト粒子である。
【0012】
理論に束縛されるものではないが、これらのゼオライトは、チャネル又はケージ様構造を提供し、その中に香料分子が捕捉されると考えられている。あいにく、こうした香料を有するゼオライトは、特に吸湿の際の香料の早過ぎる放出のために、錠剤洗剤の商業用途には、十分に貯蔵安定性ではない。しかしながら、香料を装填されたゼオライトは、錠剤洗剤の別個の不連続領域中に配合された時には安定化され得ることが現在では発見されている。理論に束縛されるものではないが、錠剤の不連続領域中への香料粒子の配合は、洗剤組成物の残りの部分からの物理的分離、及び更には吸湿に対する更なる障壁を提供し、そのため香料を装填されたゼオライトの改善された安定性を提供すると考えられている。したがって、香料は、ゼオライト粒子の孔の中に実質的に残留する。
【0013】
香料がゼオライトの相対的に大きい孔の中に組み込まれるため、香料がゼオライト表面上に主に吸着される他のより小さい孔径のゼオライトより、それは洗浄プロセスを通して、より良好な香料の保持を有するとも考えられている。好ましくは、香料粒子は、香料を充填されたゼオライト(PLZ)である。
【0014】
好ましくは、本発明の香料粒子は、80%未満の吸湿性値を有する。本明細書で使用する時、「吸湿性値」は、次の試験方法のもとで粒子重量の百分率の増加により測定される時には、粒子による吸湿の程度を意味する。本発明の粒子に必要とされる吸湿性値は、2gの粒子を開放容器のペトリ皿中に、32℃(90°F)及び80%の相対湿度の条件下で4週間の間設置することにより決定される。この期間の終了時の粒子の重量の百分率の増加は、本明細書で使用する時、粒子の吸湿性値である。本発明の好ましい粒子は、50%未満、より好ましくは30%未満の吸湿性値を有する。
【0015】
香料粒子は、典型的には、香料粒子の1重量%〜60重量%、好ましくは1重量%〜30重量%、より好ましくは10重量%〜20重量%の香料を含み、及び香料粒子の40重量%〜99重量%、好ましくは70重量%〜99重量%、より好ましくは80重量%〜90重量%の担体を含む。
【0016】
香料粒子
香料粒子は、多孔質担体物質及び前記担体物質中に装填された香料を含む。それは、本発明の洗剤の錠剤中に、全洗剤の錠剤の0.05重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜3重量%の濃度で包含される。
【0017】
こうした成分は多くの異なる方法で混合されてもよい。研究室規模では、この目的のために用いられる基礎的機器は、10〜20gのコーヒーグラインダーから100〜500gのフードプロセッサー、又は更には200〜1000gのキッチン用ミキサーまで、多様であることができる。手順は、担体物質粒子(ゼオライト)を機器の中に設置すること、及び混合が生じると同時に洗濯添加物を注入することから成る。混合時間は、0.5〜15分間である。装填された担体物質(ゼオライト)は次に、更に加工される前に、0.5〜48時間の間静置される。加熱が生じる装填プロセスの間に、冷却ジャケットを選択肢として用いてもよい。パイロットプラントのレベルでは、適した機器はリトルフォード(Littleford)型のミキサーであり、これはプラウ及びチョッパーブレードを有するバッチ型ミキサーであり、高いRPMで作動して、粉末又は粉末の混合物を連続的に混合するが、その間に液体香油がその上に噴霧される。
【0018】
多孔質担体物質
本明細書で使用する時、多孔質担体物質は、本発明の香料を支持することができる(例えば、孔の中への吸着により)いずれかの物質を意味する。こうした物質には、ゼオライトのような多孔質固体が挙げられる。好ましいゼオライトは、ゼオライトX、ゼオライトY、及びこれらの混合物から選択される。本明細書で用いられる用語「ゼオライト」は、結晶性アルミノシリケート物質を指す。ゼオライトの構造式は、結晶単位格子である、Mm/n[(AlO2)m(SiO2)y].xH2Oにより表される構造の最小単位に基づき、式中、nは陽イオンMの価数であり、xは単位格子当たりの水分子の数であり、m及びyは単位格子当たりの4面体(tetrahedra)の総数であり、及びy/mは1〜100である。最も好ましくは、y/mは1〜5である。陽イオンMは、IA族及びIIA族の元素、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウムであることができる。
【0019】
本明細書で有用なゼオライトはフォージャサイト型ゼオライトであり、X型ゼオライト又はY型ゼオライトであって、両方共、典型的には4〜10オングストローム単位の範囲、好ましくは8オングストローム単位の孔径を有するものが挙げられる。
【0020】
本発明に有用なアルミノシリケートゼオライト物質は市販されている。X及びY型ゼオライトを製造するための方法は周知であり、及び標準的な教科書で入手可能である。本明細書で有用な好ましい合成結晶性アルミノシリケート物質は、X型又はY型の表記により入手可能である。
【0021】
好ましい実施形態では、結晶性アルミノシリケート物質はX型であり、並びに次のもの:
(I)Na86[AlO86.(SiO106].xHO、
(II)K86[AlO86.(SiO106].xHO、
(III)Ca40Na[AlO86.(SiO106].xHO、
(IV)Sr21Ba22[AlO86.(SiO106].xHO、
及びこれらの混合物から選択され、式中xは0〜276である。式(I)及び(II)のゼオライトは、8.4オングストローム単位の公称孔径又は開口部を有する。式(III)及び(IV)のゼオライトは、8.0オングストローム単位の公称孔径又は開口部を有する。
【0022】
別の好ましい実施形態では、結晶性アルミノシリケート物質はY型であり、並びに次のもの:
(V)Na56[AlO56.(SiO136].xH
(VI)K56[AlO56.(SiO136].xHO、
及びこれらの混合物から選択され、式中xは0〜276である。式(V)及び(VI)のゼオライトは、8.0オングストローム単位の公称孔径又は開口部を有する。
【0023】
更に別の実施形態では、「ゼオライトMAP」として既知のゼオライトの部類もまた本発明に使用されてもよい。こうしたゼオライトは、PCT国際公開特許WO95/27030(プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Company)、1995年10月12日公開)5ページ〜8ページに記載されている。
【0024】
本発明に用いられるゼオライトは、標準粒径分析技術により測定される時、0.5μ〜120μ、好ましくは0.5μ〜30μの平均粒径を有する粒子形態である。ゼオライト粒子のサイズは、それらが接触する布地の中に取り込まれるのを可能にする。いったん布地表面上に定着すると、ゼオライトは、特に熱又は湿気のある条件を受ける時には、それらの組み込まれた洗濯剤の放出を開始することができる。
【0025】
香料
本明細書で使用する時、用語「香料」は、水溶液槽中に及び/又はそれに接触した布地若しくは他の表面上に実質的に放出されるいずれかの発香性物質を示すために用いられる。香料は周囲温度では液体であることが最も多い。多種多様な化学物質が、香料用途のために既知であり、それにはアルデヒド、特にC〜C14脂肪族アルデヒド、C〜C14非環式テルペンアルデヒド、及びこれらの混合物、ケトン、アルコール、及びエステルのような物質が挙げられる。より一般的には、様々な化学構成成分の複合混合物を含む、天然起源の植物油、動物油、及び滲出物も香料としての用途が知られている。本明細書の香料は、その組成において比較的単純であることもできるし、又は天然及び合成化学構成成分の極めて洗練された複合混合物を含むこともでき、すべていずれかの所望の臭いを提供するように選択される。典型的な香料は、例えば、ビャクダン、シベット、及びパチョリ油のようなエキゾチックな物質を含有する木/土由来のものを含むことができる。香料は、例えば、バラ抽出物、スミレ抽出物、及びライラックの淡い花の芳香のものであることができる。香料はまた、例えばライム、レモン、及びオレンジの所望の果物の臭いを提供するように配合することもできる。心地よい、又はさもなければ所望の臭いを発散する、いずれかの化学的に相溶する物質を本明細書の香料を有する組成物中に用いることができる。
【0026】
本発明の目的のために好ましい香料は、担体の孔の中に組み込まれる能力、したがって担体から水性環境を通じて送達される構成成分としてのその有用性を有するものである。PCT国際公開特許WO98/41607は、ゼオライトのような担体の孔の中に組み込まれる香料分子の能力に影響する、香料分子の特徴的な物理的パラメータ:最長寸法及び最大幅寸法、断面積、分子体積、分子面積及び形状を、9ページ16行から11ページ1行に記載する。
【0027】
言うまでもなく、香料剤が組成物により送達される本発明の組成物については、感覚認知がまた、消費者が利益を理解するために必要である。本発明の香料送達粒子について、好ましい香料剤は、50ppb(10億分の1」)以下の感知可能閾値(下文に詳細に記載されるように、慎重に制御されたGC条件下での臭気検出閾値(「ODT」)として測定される)を有する。50ppbより大きく、1ppm(100万分の1)までのODTを有する剤はあまり好ましくない。1ppmより大きいODTを有する剤は好ましくは回避される。本発明の香料送達粒子に有用な洗濯剤香料混合物は、好ましくは、50ppbより大きく1ppmまでのODTを有する送達可能剤の0%〜80%、及び50ppb以下のODTを有する送達可能剤の20%〜100%(好ましくは30%〜100%、より好ましくは50%〜100%)を含む。
【0028】
また好ましいのは、洗濯プロセスを通じて保持され、及びその後乾いた布地の周囲の空気中(例えば、貯蔵中の布地の周囲の空間など)に放出される香料である。これは、ゼオライトの孔からの香料の移動に続いて布地の周囲の空気中への分配を必要とする。好ましい香料剤は、そのため更に、それらの揮発性に基づいて識別される。沸点は、揮発性の尺度として本明細書において用いられ、及び好ましい物質は300℃未満の沸点を有する。本発明に有用な洗濯剤香料混合物は、好ましくは、300℃未満の沸点を有する送達可能剤の少なくとも50%(好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%)を含む。
【0029】
加えて、本明細書において洗濯洗剤に用いるのに好ましい香料送達粒子は、少なくとも80%、及びより好ましくは少なくとも90%の送達可能な香料剤が、1.0〜16、及びより好ましくは2.0〜8の範囲の重量平均ClogP値を有する組成物を含む。最も好ましくは、送達可能な香料剤又は混合物は、3〜4の重量平均ClogP値を有する。理論に束縛されるものではないが、好ましいClogP値を有する香料物質は、洗浄の間にゼオライト担体の孔の内部に保持され及び布地上に付着されるが、ゼオライトの孔から、適度な速度で放出され、乾いた布地から顕著な利益を提供できるために十分なほど疎水性であると考えられている。ClogP値は次のようにして得られる。
【0030】
ClogPの計算
これらの香料成分は、それらのオクタノール/水分配係数Pを特徴とする。香料成分のオクタノール/水分配係数は、オクタノール中及び水中のその平衡濃度の間の比である。大部分の香料成分の分配係数は大きいので、それらの10を底とする対数、logPの形で示すことがより便利である。多くの香料成分のlogPが報告されている、例えば、デイライト・ケミカル・インフォメーション・システムズ社(Daylight Chemical Information Systems, Inc.)(デイライトCIS(Daylight CIS))より入手可能なポモナ92データベース(Pomona92 database)には、元の文献の引用と共に多くのものが収容されている。
【0031】
しかしながら、logP値は、最も便利にはデイライトCISからまた入手できる「CLOGP」プログラムにより計算される。このプログラムはまた実測logP値も、それらがポモナ92データベースにおいて入手可能な場合には、一覧にしている。「計算されたlogP」(ClogP)は、ハンシュ(Hansch)及びレオ(Leo)のフラグメント手法により決定される(A.レオ(A. Leo)の「包括的医薬品化学(Comprehensive Medicinal Chemistry)、4巻、C.ハンシュ(C. Hansch)、P.G.サメンズ(P.G. Sammens)、J.B.テイラー(J.B.Taylor)、及びC.A.ラムスデン(C. A. Ramsden)編集、295ページ、ペルガモン出版(Pergamon Press)、1990年を参照のこと)。このフラグメント手法は、各香料成分の化学構造を基にして、原子の数と種類、原子の連結性、及び化学結合を考慮に入れている。ClogP値は、最も信頼でき、この物理化学的特性の評価に広く用いられており、香料成分の選択において実測logP値の代わりに用いることができる。
【0032】
臭気検出閾値の決定
ガスクロマトグラフは、濃度及び鎖長分布が既知の炭化水素標準を用いて、シリンジにより注入された物質の正確な容量、精密なスプリット比、及び炭化水素の応答を決定することを特徴とする。空気の流速を正確に測定し、ヒトの吸入持続時間を0.2分続くと仮定して、試料の容量を計算する。適時どの時点でも検出器における精密な濃度が分かるので、吸入された容量当たりの質量が分かり、それによって物質の濃度が求められる。物質が10ppb未満の閾値を有するかどうかを決定するために、逆算した濃度で、溶液を嗅ぎ口(sniff port)に運ぶ。パネリストはGC流出液を嗅ぎ、臭気を感知した時の保持時間を確認する。パネリスト全員の平均を感知可能閾値と決定する。
【0033】
検出器における10ppbの濃度を達成するために、必要な検体量をカラムに注入する。臭気検出閾値を決定するための典型的なガスクロマトグラフのパラメータは以下に記載のとおりである。
GC:5890シリーズ11、FED検出器付き
7673オートサンプラー
カラム:J&Wサイエンティフィック(J&W Scientific)DB−I
長さ30m内径0.25mmフィルム厚さ1μ
スプリット注入:17/1のスプリット比
オートサンプラー:1注入当たり1.13μL
カラム流量:1.10mL/分
空気流量:345mL/分
注入口温度245℃
検出器温度285℃
初期温度:50℃
速度:5℃/分
最終温度:280℃
最終時間:6分
主条件:(i)1嗅ぎ当たり0.02分(ii)GC空気が試料の希釈に加わる
【0034】
本発明に用いるのに特に好ましい香料は、高インパクト香料と呼ばれ、並びに:(1)101kPa(760mmHg)で300℃以下の標準沸点、及び、(2)2以上のClogP又は実測logP、及び、(3)50ppb以下のODTを有することを特徴とする香料である。
【0035】
好ましいゼオライト担体中の香料の組み込み
本明細書において好ましい担体として用いられるべきX型又はY型ゼオライトは、好ましくは、15%未満の脱着可能な水、より好ましくは8%未満の脱着可能な水、及び最も好ましくは5%未満の脱着可能な水を含有する。こうした物質は、任意に減圧(0.13〜2kPa(0.001〜20トール))と共に、150〜350℃に加熱することにより、最初に活性化/脱水化されることにより得られてもよい。活性化後、剤は活性化されたゼオライトと共にゆっくりと及び完全に混合され、及び任意に、60℃まで又は2時間まで加熱されて、ゼオライト粒子中の吸収平衡を促進する。香料/ゼオライト混合物は次に室温に冷却され、及び自由流動粉末の形態である。
【0036】
本発明の香料粒子は、標準粒径分析技術により測定される時、典型的には3〜100μの粒径を有する。
【0037】
香料装填ゼオライト粒子の安定性試験
香料粒子の試料(ゼオライトX上に装填された香料)が低密度ポリエチレン袋の中に、異なる貯蔵条件(27℃及び60%相対湿度(RH)、又は35℃及び80%相対湿度)で1ヶ月間保持される。その期間後、試料は取り出され及び官能評価される。粒子は均質化され、及び地域の実際の洗浄条件に従って投与される。それらは、この種の試験用に前もって承認された無臭の基剤顆粒と混合される。粒子についての香料強度の点数は、乾いた布地の臭いの点から記録される。香料を装填されたゼオライトを有する粒子は、5〜7日間の乾燥後、噴霧された香料のみを有する同様に古くなった対照に対して、香料強度の尺度において5点を超える有利点を提供することができる。
【0038】
装填されたゼオライト粒子のコーティング及び封入
本発明の香料粒子は更にコーティング及び/又は封入されることができる。
【0039】
本発明の実施形態では、自由流動粉末形態の、香料を装填されたゼオライト粒子は、鉱油又は香油のような疎水性油により完全にコーティングされる。疎水性油コーティング粒子は、変性デンプン(カプサル(CAPSUL)(登録商標)ナショナルスターチ・アンド・ケミカルズ(National Starch & Chemicals))の溶液に混合され、及び攪拌されてエマルションを形成する。次にエマルションは、回転盤を有する、羽根なし円盤を有する、羽根付き円盤若しくは車輪を有する、又は2流体ミスト噴霧ノズルを有する並流などの噴霧システムを有する噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥される。典型的条件は、注入口温度120℃〜220℃、及び排気口温度50℃〜220℃を伴う。
【0040】
更に適したコーティングは、PCT国際公開特許WO01/40430(プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter and Gamble Company)、2001年6月7日公開)に記載されている。PCT国際公開特許WO01/40430は、疎水性油の第1コーティング、及び水溶性であるが油不溶性物質、例えばデンプン又は変性デンプンの第2コーティング、疎水性油にコーティングされたコアの封入を記載する。こうした中間体の油コーティング物質(12ページ14行〜13ページ7行)は、担体中に装填された香料と同じであるか若しくは異なることができる香油、又は鉱油のような非香油であることができ、好ましくは担体の孔の中に装填された香料の重量平均ClogPより低い重量平均ClogPを有する。外側の封入物質(13ページ18行〜15ページ14行)は、水性洗浄環境において少なくとも部分的に水溶性又は水分散性の1つ以上の化合物から得られ、及び好ましくは次の物質の部類:炭水化物、すべての天然又は合成のゴム、キチン及びキトサン、セルロース及びセルロース誘導体、水溶性ポリマー、ワックス、可塑剤、長鎖(C10〜C35)脂肪族化合物、並びに/又は天然タンパク質から選択される。
【0041】
香料粒子の他の成分
洗濯及び洗浄添加物又は剤は、本発明の香料粒子中に更に包含され得、及び本発明の洗剤の錠剤の残りを配合するために典型的に用いられる剤と同じ又は異なることができる。
【0042】
洗剤の錠剤組成物
本発明の洗剤の錠剤は、少なくとも2つの異なる領域を含む。香料粒子は、錠剤の1つの領域中(領域2)に、そのもう1つの領域(領域1)より高い濃度で含まれる。好ましい実施形態では、領域1は、洗剤の錠剤の圧縮されたマトリックスであり、及び通常コアと呼ばれ、領域2は、単一又は複数のコーティング、インサート、くぼみ、ビーズ、粒子などの形態である不連続領域である。より好ましい実施形態では、すべての香料粒子は洗剤の錠剤の領域2の中に含まれる。
【0043】
異なる領域は、同じ又は異なる色のいずれかを有することができる。2又は3層を有する多層錠剤は好ましい。幾何学的図形のすべての種類の掘削穴(exacavations)及び/又は空洞及び/又は穴を有する単層及び多層錠剤もまた本発明に包含される。特に好ましいのは、半球のような埋め込まれた幾何学的図形が錠剤の表面から突き出している錠剤である。
【0044】
好ましい実施形態では、本明細書の洗剤の錠剤は2つの領域を含み、第1の領域は、その中に少なくとも1つのモールドを有する成形体の形態であり、第2の領域は、例えば物理的又は化学的接着により第1領域のモールドの中に収容された圧縮体又は成形体の形態である。より好ましくは、香料粒子はモールドの中に含まれる。
【0045】
本発明のより好ましい態様では、洗剤の錠剤は領域2として複数の粒子を含む。こうした離散粒子は香料粒子を含むが、これは、こうすることが、香料をより均一に洗濯物の周囲に分配し、したがって香料の布地へのより均一な適用、並びに香料粒子の改善された安定性を確実にするのに役立つからである。好ましくは、香料粒子を含む離散粒子は、0.5mm〜10mm、より好ましくは1.5mm〜5mm、更により好ましくは2mm〜4mmの平均粒径を有する。離散粒子は、顆粒、ビーズ、ヌードル、ペレット、圧縮錠、充填袋、及びこれらの混合物の形態のようないずれかの3次元形状であることができる。好ましくは、粒子はビーズの形態である。離散粒子が、実質的に球の形状であることは好ましい。
【0046】
香料粒子を含む不連続領域は、香料粒子に加えて、布地柔軟化剤、結合剤、溶解助剤、ビルダー、アルカリ性供給源、染料、遊離香料及び/又は発泡性システム(以下に詳細に記載されるように)のような更なる成分を含むことができる。
【0047】
離散粒子として配合される時、こうした粒子は、好ましくは、錠剤製造プロセスの圧縮工程に耐えるほど十分に強くあるべきである。圧縮への抵抗は、溶解助剤、シリカ、又はゼオライトX若しくはYなどの多孔質担体のような特定成分を添加することにより制御又は改善され得る。結合剤はまた、領域の変形可能性を低減するように選択でき、(i)12,000〜700,000の平均分子量を有するポリビニルピロリドン、600〜10,000の平均分子量を有するポリエチレングリコール、無水マレイン酸とエチレン、メチルビニルエーテル、メタクリル酸、又はアクリル酸とのコポリマーを包含するポリマー物質、(ii)糖、糖酸、糖アルコール、及び好ましくはソルビトールから選択できる。結合剤は、任意に、粘度調整剤又は構造剤、例えばルイス酸、好ましくはホウ酸のような1つ以上の追加的化合物と共にブレンドされてもよい。
【0048】
処方
本発明の洗剤の錠剤は、食器洗浄及び洗濯のようないずれかの洗浄プロセスに用いるため、好ましくは布地洗浄プロセスに用いるために配合され得る。
【0049】
洗剤の錠剤は、多種多様な異なる成分、例えばビルダー、発泡性システム、酵素、溶解助剤、崩壊剤、漂白剤、泡抑制剤、界面活性剤(非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、両性、及び/又は双極性)、布地柔軟化剤、アルカリ性供給源、着色剤、香料、石灰石鹸分散剤、ポリマー移染防止剤を包含する有機ポリマー化合物、結晶成長防止剤、再付着防止剤、汚れ放出ポリマー、ヒドロトロープ、蛍光剤、重金属イオン封鎖剤、金属イオン塩、酵素安定化剤、腐食防止剤、光学的光沢剤、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0050】
洗濯機による洗浄方法に用いるのに適した組成物として配合される時、本明細書の組成物は、典型的には界面活性剤及びビルダー化合物の両方を含有し、並びに追加的に好ましくは有機ポリマー化合物、漂白剤、追加酵素、泡抑制剤、分散剤、石灰石鹸分散剤、汚れ懸濁剤及び再付着防止剤及び腐食防止剤から選択される1つ以上の洗剤構成成分を含有する。洗濯組成物はまた追加の洗剤構成成分として、柔軟化剤を含有することもできる。
【0051】
本明細書の組成物はまた、洗剤添加物製品として用いられることもできる。このような添加物製品は、従来の洗剤組成物の性能を補助又は増強することを目的とし、洗浄プロセスのいずれの段階でも添加できる。
【0052】
本発明の洗剤の錠剤は、洗剤の基剤粉末を錠剤にすることにより製造される。基剤粉末は、典型的には予備形成された洗剤顆粒である。予備形成された洗剤顆粒は、粒塊粒子又はいずれかの他の形態であってもよい。基剤粉末の平均粒径は、典型的には100μm〜2,000μm、好ましくは200μmから、又は300μmから、又は400μmから、又は500μmから、及び好ましくは1,800μmまで、又は1,500μmまで、又は1,200μmまで、又は1,000μmまで、又は800μmまで、又は700μmまでである。最も好ましくは、基剤粉末の平均粒径は400μm〜700μmである。基剤粉末の嵩密度は、典型的には400g/L〜1,200g/L、好ましくは500g/L〜950g/L、より好ましくは600g/L〜900g/L、及び最も好ましくは650g/L〜850g/Lである。
【0053】
遊離香料
好ましくは、洗剤の錠剤は更に遊離香料、即ち本発明の香料粒子以外の遊離香料を含むことができる。遊離香料は、担体中に装填される香油と同じであることも又は異なっていることもできる。遊離香料は、洗剤の錠剤の臭い、大部分の湿った布地の臭い、及び少量の乾いた布地の臭いを提供する。香料粒子は、長持ちする乾いた布地の臭いを備えている。遊離香料及び装填された香料は異なる香料の効果を与えるため、遊離香料及び装填された香料が異なる組成物であることは好ましい。本発明の洗剤の錠剤は遊離香料を、典型的には、全洗剤の錠剤の0.05重量%〜2重量%、好ましくは0.1重量%〜1重量%の濃度で含む。遊離香料は、香料含有粒子と共に錠剤組成物中にブレンドされてもよい(例えば、吹付け技術による)。好ましくは、遊離香料は、香料粒子と共に領域2の中に配合される。
【0054】
ビルダー化合物
洗濯洗剤の錠剤中に配合される時、本明細書の基剤粉末は、好ましくは、基剤粉末の1重量%〜80重量%、好ましくは10重量%〜70重量%、最も好ましくは20重量%〜60重量%の濃度で典型的には存在するビルダー化合物を含む。
【0055】
本発明に用いるのに極めて好ましいビルダー化合物は、水溶性ホスフェートビルダーである水溶性ホスフェートビルダーの具体例は、アルカリ金属トリポリホスフェート、ナトリウムピロホスフェート、カリウムピロホスフェート及びアンモニウムピロホスフェート、ナトリウムピロホスフェート及びカリウムピロホスフェート及びアンモニウムピロホスフェート、ナトリウムオルトホスフェート及びカリウムオルトホスフェート、重合度が6〜21の範囲であるポリメタ/リン酸ナトリウム(sodium polymeta/phosphate)、並びにフィチン酸の塩である。
【0056】
部分的に水溶性のビルダーの例には、例えばEP−A−0164514、DE−A−3417649、及びDE−A−3742043に開示されるような結晶性層状シリケートが挙げられる。極めて非水溶性のビルダーの例には、アルミノケイ酸ナトリウムが挙げられる。適したアルミノシリケートには、単位格子の式Na[(AlO(SiO)y]・HOを有するアルミノシリケートゼオライトが挙げられ、式中、zとyは少なくとも6であり、zとyとのモル比は1.0〜0.5であり、及びxは少なくとも5で、好ましくは7.5〜276、より好ましくは10〜264である。アルミノシリケート物質は水和型であり、及び好ましくは、10%〜28%、より好ましくは18%〜22%の結合形態の水を含有する結晶である。
【0057】
界面活性剤
本明細書の基剤粉末は、好ましくは少なくとも1つの界面活性剤、好ましくは2つ以上の界面活性剤を含む。総界面活性剤濃度は、典型的には、基剤粉末の1重量%〜80重量%、好ましくは10重量%〜70重量%、最も好ましくは20重量%〜60重量%である。適した界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両性、及び双極性界面活性剤、並びにこれらの混合物から選択される。
【0058】
陰イオン性、非イオン性、両性及び双極性の部類の典型的な一覧、及びこれらの界面活性剤の種類は、米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)及びヒューリング(Heuring)、1975年12月30日発行)に与えられている。適した陽イオン性界面活性剤の一覧は、米国特許第4,259,217号(マーフィ(Murphy)、1981年3月31日発行)に与えられている。洗濯洗剤組成物中に典型的に包含される界面活性剤の一覧は、例えばEP−A−0414549及びPCT国際公開特許WO93/08876及びPCT国際公開特許WO93/08874に与えられている。更に適した洗剤活性化合物が入手可能であり、及びPCT国際公開特許WO02/31100(2002年4月18日公開及びP&Gに譲渡)、並びに文献、例えば「界面活性剤及び洗剤(Surface-active agents and detergents)」、I及びII巻、シュワルツ(Schwartz)、ペリー(Perry)、及びベルヒ(Berch)著に十分に記載されている。
【0059】
崩壊助剤
本明細書の洗剤の錠剤が、次のように崩壊助剤を含むことは好ましい。
【0060】
1.本明細書の組成物は水との接触により膨張する崩壊剤を含むことができる。本明細書に用いる可能性のある崩壊剤には、医薬品賦形剤便覧(Handbook of Pharmaceutical Excipients)(1986年)に記載されるものが挙げられる。適した崩壊剤の例には、ベントナイト粘土のような粘土、天然、変性、又はアルファ化デンプン、デンプングルコン酸ナトリウム、ガム:アガーガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、ペクチンガム、トラガカントガム、クロスカミロース(croscarmylose)ナトリウム、クロスポビドン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、アルゲン酸(algenic acid)及びアルギン酸ナトリウムを包含するその塩、二酸化シリコーン、ポリビニルピロリドン、大豆多糖類、イオン交換樹脂、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
2.好ましくは、錠剤が吸湿しないように、又は非常に遅い速度でのみ吸湿するように錠剤はコーティングされる。コーティングは、溶解を維持又は改善しながら、成形された組成物の力学特性を改善することができる。これは非常に有利に多層錠剤に適用され、それによって多相を加工する機械的制約は、コーティングの使用により弱められ、したがって錠剤の機械的完全性を改善することができる。本明細書に用いるのに好ましいコーティング及び方法は、EP−A−846,754(1998年6月10日、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Company)により公開)の3ページ28行から4ページ12行までに記載されている。そこに特定されるように、好ましいコーティング成分は、例えばジカルボン酸である。特に適したジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンニ酸、ドデカンニ酸、トリデカンニ酸、及びこれらの混合物から選択される。最も好ましいのはアジピン酸である。好ましくは、コーティングは、上文に記載されたような崩壊剤を含み、これは水との接触により膨張し、及びコーティングを小片に破壊する。好ましくは、コーティングは、陽イオン交換樹脂、例えばピュロライト(Purolite)より、名称ピュロライト(Purolite)(登録商標)C100NaMR、ナトリウム塩のスルホン化ポリ(スチレンジビニルベンゼン(styenedivinylbenzene))コポリマー、及び名称ピュロライト(Purolite)(登録商標)C100CaMR、カルシウム塩のスルホン化ポリ(スチレンジビニルベンゼン(styene-divinylbenzene))コポリマーで販売されるものを含む。
【0062】
3.本明細書の組成物は発泡剤を含むことができる。本明細書で使用する時、発泡性とは、二酸化炭素ガスを生成する、可溶性酸供給源とアルカリ金属カーボネートとの間の化学反応の結果としての、液体からのガスの泡の発生を意味する。洗剤へのこの発泡剤の添加は、組成物の崩壊時間を改善する。量は、好ましくは、組成物の0.1重量%〜20重量%、より好ましくは5重量%〜20重量%である。好ましくは、発泡剤は、別個の粒子としてではなく、異なる粒子の粒塊として、又は圧縮物として添加されるべきである。
【0063】
4.更に分散助剤が、酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸及びその塩、又は尿素のような化合物を用いることにより提供され得る。適した分散助剤の一覧はまた、医薬品剤形(Pharmaceutical Dosage Forms):錠剤(Tablets)、1巻、第2版、H.A.リーバーマン(H. A. Lieberman)らによる編集、ISBN080445に見出される場合がある。非ゲル化結合が、分散を促進するために、錠剤を形成する粒子に統合され得る。それらは好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアセテート、水溶性アクリレートコポリマー、及びこれらの混合物のような合成有機ポリマーから選択される。医薬品賦形剤便覧(The handbook of Pharmaceutical Excipients)、第2版は次の結合剤の分類:アカシア、アルギン酸、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、硬化植物油の種類1、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、液体グルコース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプン及びゼインを有する。最も好ましい結合剤はまた、陽イオン性ポリマーのように洗浄において活性洗浄機能を有する。例には、エトキシル化ヘキサメチレンジアミン四級化合物、ビスヘキサメチレントリアミン、又はペンタアミンのような他のもの、エトキシル化ポリエチレンアミン、マレイン酸アクリル酸ポリマー(maleic acrylic polymers)が挙げられる。
【0064】
5.本明細書の組成物はまた膨張性粘土を含んでもよい。本明細書で使用する時、用語「膨張性」とは、水との接触により膨張する(又は膨らむ)能力を有する粘土を意味する。これらは、一般に3層粘土、例えば、少なくとも50meq/100g粘土のイオン交換容量を有するアルミノシリケート及びマグネシウムシリケートである。本明細書で用いられる3層膨張性粘土は、スメクタイトとして地質学的に分類される。本明細書で有用な粘土の例には、モンモリロナイト、ヴォルコンスキー石、ノントロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト(sauconitem)、バーミキュライト、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書の粘土は様々な5つの商品名、例えば、米国ニュージャージー州エリザベスのジョージア・カオリン社(Georgia Kaolin Co.)からのチクソゲル(Thixogel)#1及びGe1white GP、米国イリノイ州スコーキーのアメリカン・コロイド社(American Colloid Co.)からのVolclayBC及びVolclay#325、インターナショナル・ミネラルズ・アンド・ケミカルズ(International Minerals and Chemicals)からのブラックヒルズ・ベントナイトBH450(Black Hills Bentonite BH450)、及びR.T.バンダービルト(R.T. Vanderbilt)からのビーガム・プロ(Veegum Pro)及びビーガーンF(Veegurn F)のもとに入手可能である。前述の商品名のもとに得られるこうしたスメクタイト型鉱物は、様々な別個の鉱物実体の混合物を含み得ることが認識されるべきである。スメクタイト鉱物のこうした混合物は、本明細書に用いるのに適している。
【0065】
6.本発明の組成物は、極めて可溶性の化合物を含んでもよい。こうした化合物は、混合物から又は単一化合物から形成され得る。例には、アセテートの塩、尿素、シトレート、ホスフェート、ジイソブチルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DIBS)、トルエンスルホン酸ナトリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
7.本明細書の組成物は、組成物を形成する洗剤マトリックス上に結合効果を有する化合物を含んでもよい。錠剤又は錠剤の層を形成する洗剤マトリックスの粒子状物質への結合効果は、制御された圧縮条件下で押圧される、試験される洗剤マトリックスに基づく錠剤又は層を破壊するために必要な力によって特徴付けられる。所与の圧縮力に対する錠剤又は層の高い強度は、顆粒が圧縮された時、それらが強くくっ付き合い、その結果強い結合効果が生じることを示す。錠剤又は層の強度(また、直径に沿った破壊応力(diametrical fracture stress)とも呼ばれる)を見積もるための手段は、医薬品剤形(Pharmaceutical dosage forms):錠剤、1巻、H.A.リーバーマン(H.A. Lieberman)ら編集、1989年出版に与えられている。結合効果は、結合効果を有する化合物なしの元の基剤粉末の錠剤又は層の強度と、97部の元の基剤粉末と3部の結合効果を有する化合物を含む粉末ミックスの錠剤又は層の強度を比べることにより測定される。結合効果を有する化合物は、水を実質的に含まない形態で(含水量10%未満(好ましくは5%未満))マトリックスに好ましくは添加される。添加の温度は、10〜800℃、より好ましくは10〜400℃である。化合物は、所与の3000Nの圧縮力において、50gの重量の洗剤粒子状物質及び55mmの直径を有する錠剤が、基剤粒子状物質中に結合効果を有する化合物が3%存在することにより、それらの錠剤の引張り強度が30%(好ましくは60及びより好ましくは100%)を超えて増加した時、本発明による粒子状物質に結合効果を有するとして定義される。結合効果を有する化合物の例は、ジイソアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0067】
洗剤の錠剤製造プロセス
本発明の洗剤の錠剤は、洗濯機に、引き出しを介して、又はドラムの中に直接に、場合によってはネットのような分配装置を介して投与できる。
【0068】
錠剤は、単に固体成分を共に混合し、及び混合物を、例えば製薬業界で食品業界で又は洗剤業界で用いられるような、従来の錠剤プレスで圧縮することによって調製できる。洗剤の錠剤は、いずれのサイズ又は形状で製造することもでき、及び所望であればコーティングすることもできる。錠剤を製造するために用いられる粒子状物質は、いずれかの粒子化又は造粒プロセスにより製造できる。こうしたプロセスの一例は、典型的には、600kg/m以下の低い嵩密度を与える(並流又は向流噴霧乾燥塔内での)噴霧乾燥である。より高密度の粒子状物質は、高剪断バッチミキサー/造粒機中での造粒及び緻密化によるか、又は連続的造粒及び緻密化プロセス(例えば、レーディゲ(Loedige)(登録商標)CB及び/又はレーディゲ(Loedige)(登録商標)KMミキサーを用いる)により調製できる。他の適したプロセスには、流動床プロセス、圧縮プロセス(例えば、ロール圧縮)、押出成形、並びに凝集、結晶化焼結(sentering)などのようないずれかの化学的プロセスにより製造されるいずれかの粒子状物質が挙げられる。個々の粒子はまたいずれかの他の粒子、顆粒、球体、又はグレインであることもできる。
【0069】
粒子状物質は、いずれかの従来の手段により共に混合されてもよい。バッチは、例えば、コンクリートミキサー、ナウター(Nauta)ミキサー、リボンミキサー、又はいずれかの他のものにおいて適している。あるいは、混合プロセスは、各構成成分を可動ベルト上に重量で計量し、及びそれらを1つ以上のドラム(類)又はミキサー(類)の中でブレンドすることにより、連続的に実施されてもよい。結合剤、好ましくは非ゲル化結合剤は、別個に又は予備混合されることのいずれかにより、幾つかの粒子状物質の混合物の上に、又はすべての粒子状物質の混合物の上に噴霧されることができる。例えば、香料及び光学的光沢剤のスラリーが噴霧されてもよい。超微粒子状流動助剤(ゼオライト、カーボネート、シリカのような粉剤)が結合剤の噴霧後に、好ましくは、プロセスの終了近くに、混合物をよりべたつかなくさせるために添加されることができる。
【0070】
錠剤形成、ブリケット形成又は押出成形のようないずれかの圧縮プロセスを用いることにより錠剤を製造してもよいが、好ましくは錠剤形成である。適した機器には、標準単一ストローク又はロータリープレス(例えば、コートイ(Courtoy)(登録商標)、コーチ(Korch)(登録商標)、マネスティ(Manesty)(登録商標)、又はボナルス(Bonals)(登録商標))が挙げられる。調製された錠剤は、好ましくは、40mm〜60mmの直径、及び25〜100gの重量を有するべきである。錠剤の高さと直径(又は幅)の比は、好ましくは1:3より大きく、より好ましくは1:2より大きい。これらの錠剤を調製するために用いられる圧縮圧力は、5000kN/mを超える必要はなく、好ましくは3000kN/mを超えず、及び最も好ましくは1000kN/mを超えない。
【0071】
洗剤の錠剤は、典型的には20mm〜60mmの直径を有し、及び典型的には10g〜100gの重量を有する。錠剤の高さと錠剤の幅との比は、典型的には1:3より大きい。錠剤は、典型的には、少なくとも900g/L、好ましくは少なくとも950g/L、及び好ましくは2,000g/L未満、より好ましくは1,500g/L未満、最も好ましくは1,200g/L未満の密度を有する。
【0072】
香料粒子の離散粒子中への組み込み
香料粒子を含む離散粒子は、好ましくは押出成形プロセスにより製造される。本発明に典型的に用いられる機器は、2軸押出成形機(TSE)、及びマルメライザー(Marumerizer)(登録商標)又はスフェロナイザー(Spheronizer)である。香料粒子を含む異なる粉末成分のブレンドがTSE中に供給される。任意に、遊離香料が、典型的には、最終離散粒子の2%〜16%、好ましくは6%〜12%、より好ましくは8%〜10%の濃度で添加されることができる。結合剤が次に組み込まれ、その結果押出品が形成される。これらの押出品は切断され、及び球体化(spheronization)プロセスにおいて、例えばマルメライザー(Marumerizer)(登録商標)(不二パウダル(Fuji Paudal)から)中で丸められる。
【0073】
包装
好ましくは、本発明の洗剤の錠剤は、耐湿性包装中に包装される。香料構成成分の長期安定性及び洗剤の錠剤の香料供給特性は、錠剤を、1gのHO/日/m未満、好ましくは0.1gのHO/日/m未満、及びより好ましくは0.02gのHO/日/m未満の水蒸気透過速度(MVTR)として表される防湿障壁を提供する材料で包装することにより、更に改善されることが見出された。
【0074】
実際に、香料を有する洗剤の錠剤の安定性、及び香料構成成分を有効に放出するその能力は、こうした物質が、特定の防湿障壁の特徴を有する包装により、大気中の水分から保護される時に更に改善されることが見出された。不活性化は溶解時間を長くし、及び残留物を洗濯機の中及び/又は布地上に残す場合があるため、粉末構成成分の水和は、香料を有する錠剤には有害である。更に、不完全な溶解があると、香料担体物質は、完全に放出されて布地表面上に付着せず、その結果送達される利益は目標の利益のほんの一部となる。加えて、香料がゼオライトのような感湿性担体中に取り込まれる場合、香料は水、特に水蒸気の吸着の際に脱着される。水蒸気は、ゼオライトの空洞の内部に取り込まれた香料の約95〜98%を有効に置き換えることができる。
【0075】
本発明の香料を有する洗剤の錠剤のための包装材料の選択は、次の幾つかの工程により決定され得る。第1に、性能を失わずに、香料を有する洗剤の錠剤により吸着又は吸収され得る水の臨界量を決定するが、この場合、性能の損失は、組成物/物品などの不完全な溶解による、上部の頭隙又は乾いた布地上の香料構成成分の濃度により定量できる。吸水率は、組成物/物品を一定湿度に暴露し及び時間と共に得られる質量を決定することにより決定されてもよい。次に、各香料を有する洗剤の錠剤の性能を評価し(分析的に及び/又は感覚的に)、水の臨界量を決定する。第2に、香料を有する錠剤が包装され及び市販される包装の表面積を決定する。第3に、洗剤の錠剤が使用前に包装の中に留まる可能性がある月数のような、商業上の安定性要件を決定する。洗剤の錠剤のための最大水蒸気透過速度(tansmission rate)(MVTR)は、次の等式を用いて計算されてもよい:
MVTR=(水の臨界質量)/(包装の表面積)/(必要とされる商業上の安定性)[=]gのHO/m/日。
【0076】
技術的参照文献に提供されたMVTRの集計値は、一般に、最悪の周囲条件を表すような28〜38℃、及び相対湿度80%〜90%において決定されたデータを報告する。これらの条件下で包装材料を選択することは、物品の長期安定性を確実にする。好ましくは、物品は、連続層を通じて水分浸透が生じなくてはならないように包装され、及び層の水蒸気透過速度は、物品の安定性を確実にするために、1gのHO/m/日未満、好ましくは0.5gのHO/m/日未満、より好ましくは0.1gのHO/m/日未満、更により好ましくは0.02gのHO/m/日未満、及びなおより好ましくは0gのHO/m/日である。
【0077】
ゼオライトからの最小の香油の損失を確実にするために選択される包装は、幾つかの要件を満たさなければならない。水蒸気を浸透できるフィルムは、安定性を確実にするには十分でない。香料物質は様々な臭気検出閾値を有するため、及び性能の利益は、ゼオライトから油の約20〜40%が失われた後でさえ検出される場合があるため、有効な包装材料の決定は、ケースバイケースの原則に基づいてなされなければならない。
【0078】
また、芳香剤は、普通は揮発性組成物から構成され、その結果低いMVTRは水の侵入を防ぐだけでなく、香料が出て行くことも防ぐ。この用途に適した材料には、単層、共押出、又はラミネートフィルムが挙げられる。好ましくは、包装システムは、1g/日/m2未満のMVTRを有する金属蒸着2軸延伸ポリプロピレンから構成される。フィルムは、様々な厚さを有してもよい。厚さは、典型的には、10〜150μm、好ましくは15〜120μm、より好ましくは20〜100μm、より好ましくは20〜80μm、及び最も好ましくは20〜30μmであるべきである。
【0079】
包装システムは、少なくとも1つのミクロ孔を含む。また1を超えるミクロ孔が存在してもよい。これらはピンを用いて製造され得る。請求されたMVTRを有する材料との組み合わせによりミクロ孔を用いる利点は、水分の侵入の問題とガスの排出の問題を切り離せることである。実際に、水分の侵入は、適切なMVTRを選択することにより容易に制御されるが、一方でミクロ孔は、それが包装システムの残りの表面の特徴を変更せずに、包装システム上の幾つかの点においてのみ存在するため、及びミクロ孔は圧力勾配がない場合には十分な影響を持たないため、水分の侵入に対して無視できるほどの影響しか持たない。圧力勾配は、包装システムの変形を防ぐためにガスが排出される必要があるちょうどその時に現れるため、ミクロ孔は水分の侵入に著しく影響せずにその機能を果す。
【0080】
本発明の錠剤は、包装システム上に配置された(deposed)後、包まれることができる。コールドシール又は接着剤が、本発明の包装システムに特に適している。実際に、コールドシールのバンド又は接着剤のバンドは、包装システムの表面に、包装システムの第2末端部に隣接する位置で適用されてもよく、その結果このバンドは、包装システムの最初の封止を提供してもよい。こうした場合、コールドシールバンドは、付着表面を有する領域、即ちもう1つの付着表面のみに接着する表面に対応してもよい。
【0081】
香料の布地表面上への付着
洗濯洗剤の錠剤として配合される時、布地を洗浄する及び香料をそこに付着する方法は、前記布地を、少なくとも0.1ppmの香料粒子を包含する、少なくとも100ppmの従来の洗浄成分を含む洗浄水溶液に接触させることを含む。従来の洗浄成分は、本発明の洗剤の錠剤の中に別個に添加される又は配合されることができる。洗剤の錠剤は、すべての状況下で作用するが、洗濯プロセス中に、並びに濡れた及び乾いた布地上に臭いの利益を提供するために特に有用である。方法は、香料を有する粒子が布地上に取り込まれるように、従来の洗浄成分及び香料粒子を含む水溶液を布地に接触させること、自然乾燥された布地を少なくとも20%の湿度を有する周囲条件下で貯蔵すること、布地を従来の自動乾燥機中で乾燥すること、又は自然乾燥された若しくは従来のアイロン手段で(好ましくは蒸気若しくは予備湿潤と共に)機械乾燥された布地に熱を適用することを含む。
【実施例】
【0082】
百分率、部、及び比率はすべて、指示がない限り重量による。
【0083】
実施例1:多孔質担体粒子上の香料の取り込み
170gの量の香料が、約5g/秒の速度で、香料ノズルを通じて(552kPa(80psi)、平均液滴サイズ90μm)830gのゼオライト13X(UOPリミテッド−モルジブ吸収剤(UOP Limited - Molsiv Absorbents)から)に単一バッチのレーディゲ・プラウ(Loedige Plow)ミキサー中で、激しく攪拌しながら添加される。20℃において冷却ジャケットが、香料の取り込み中に発生する熱(およそ280kJ/kgの香料)を取り除くために用いられる。ゼオライト中に装填された香料は次の組成物を有する。
【表1】

【0084】
実施例2:離散粒子(領域2)中の香料粒子
【表2】

【0085】
表1による組成物が5分間レーディゲ(Loedige)ミキサー中で混合される。このミックスは2軸押出成形機(TSE ZSK25、ワーナー・アンド・プフライデラー(Werner & Pfleiderer)から)中におよそ74重量%の濃度で供給され、次いで任意におよそ8%の香油と共に混合され、及び以下に記載される結合剤システム(およそ15%)と共にドウに捏ねられ、これはTSEの末端部に輸送され、2mmの金型プレートを通じて押圧されて押出品を製造する。
【0086】
これらの押出品は、ICLからのゼオライトA吸収剤等級(Zeolite A Absorbent grade)(3%)にまぶされ、次に切断されされ及びマルメライザー(marumerizer)(QJ−230、不二パウダル社(Fuji Paudal co. Ltd)から)中で球体化されて離散粒子を得る。これらは冷却され、及び1.0mm〜3.15mmのふるいに掛けられる。ビーズの粒径が、ASTM D502−89方法を用いて測定され、及び計算された平均粒径(PSD)はおよそ2mmである。
【0087】
上記の押出成形プロセスに用いられる結合剤システムは、95重量%PEG4000及び5重量%PEG200を含む。2構成成分が2分間の間に、ジャンケル・アンド・キュンケル(Jankel & Kunkel)ミキサー(KW20DZM)を用いて混合され、次いでTSE結合剤フィーダーに添加される。
【0088】
最終離散粒子は、以下の表2に記載される組成物を有する。
【表3】

【0089】
実施例3:離散粒子(領域2)中の香料粒子
実施例2に記載されたプロセスが次の離散粒子を調製するために用いられた[任意に10%の香油及びおよそ13%の結合剤]。
【表4】

【0090】
実施例4:洗剤の錠剤組成物
領域1(コア)の製造
コアの洗剤組成物が、顆粒構成成分を混合ドラム内で5分間混合して均質な粒子混合物を作り出すことにより調製された。この混合中、ノズル及び熱風を用い、及び結合剤を用いて吹付けが実施された。
【0091】
領域2(離散粒子)の製造
実施例2のように、離散粒子が製造されたが、上記の実施例2及び3に記載される組成物を有する。
【0092】
錠剤の製造:
インストロン4400試験機及び手動錠剤製造用の標準金型を用いて、多相錠剤組成物が調製された。35gの洗剤コアが、2.5mmの比を有する丸い端を有する41×41mmの金型の中に供給された。このミックスは、錠剤中に25mmの直径及び10mmの深さの凹型のモールドを形成するのに適した形状を有するパンチを用いて1,500Nの力により圧縮された。この形状のパンチを慎重に取り外し、錠剤を金型の中に残した。第2領域を形成する2.3gの離散粒子が、錠剤形状の中に残されたモールドの中に導入され、及び1,700Nの最終的な圧縮が平らな普通のパンチを用いて適用され、多相錠剤が製造された。次に、錠剤が手で金型から取り出される。
【0093】
領域1(コア)の組成物
【表5】

【0094】
2.表4に与えられた値は全洗剤の錠剤の重量による百分率である。
【0095】
3.陰イオン性/陽イオン性粒塊は、20%〜45%の陰イオン性界面活性剤、0.5%〜5%の陽イオン性界面活性剤、0%〜5%のTAE80、15%〜30%のSKS6、10%〜25%のゼオライト、5%〜15%のカーボネート、0%〜5%のカーボネート、0%〜5%のサルフェート、0%〜5%のシリケート、及び0%〜5%の水を含む。
【0096】
4.陰イオン性粒塊は、40%〜80%の陰イオン性界面活性剤及び20%〜60%のDIBSを含む。
【0097】
5.非イオン性粒塊は、20%〜40%の非イオン性界面活性剤、0%〜10%のポリマー、30%〜50%の無水酢酸ナトリウム、15%〜25%のカーボネート、及び5%〜10%のゼオライトを含む。
【0098】
6.粘土粒塊は、90%〜100%のCSMクエスト5A(CSM Quest 5A)粘土、0%〜5%のアルコール又はジオール、及び0%〜5%の水を含む。
【0099】
7.層状シリケートは、90%〜100%のSKS6、及び0%〜10%のシリケートを含む。
【0100】
8.漂白活性化剤粒塊1は、65%〜75%の漂白活性化剤、10%〜15%の陰イオン性界面活性剤、及び5%〜15%のクエン酸ナトリウムを含む。
【0101】
9.エチレンジアミンN,N−二コハク酸ナトリウム塩/サルフェート粒子は、50%〜60%のエチレンジアミンN,N−二コハク酸ナトリウム塩、20%〜25%のサルフェート、及び15%〜25%の水を含む。
【0102】
10.亜鉛フタロシアニンスルホネート(Zinc phthalocyanine sulphonate)封入物は5%〜15%活性である。
【0103】
11.泡抑制剤は、10%〜15%のシリコーンオイル(ダウ・コーニング(Dow Corning)から)、50%〜70%のゼオライト、及び20%〜35%の水を含む。
【0104】
12.組成物A及びBで用いられる結合剤システムは、それぞれ90%ソルビトール/10%水、及び85%PEG4000/15%シクロヘキシルジメタノールである。
【0105】
実施例5:コーティングされた洗剤の錠剤
上記の実施例4の洗剤の錠剤(各々40g)が、錠剤を、95gのアジピン酸と5gのポリスチレンスルホン酸カルシウム樹脂(ピュロライト(Purolite)から)との混合物中に160℃の温度で浸漬することによりコーティングされ得る。
【0106】
実施例6:包装された洗剤の錠剤
実施例4の非コーティング錠剤又は実施例5のコーティング錠剤が、コールドグルーパターンを用いて20μの金属蒸着(アルミニウム)2軸延伸ポリプロピレンフィルムのフローラップの中に包装され得る。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の洗剤の錠剤の実施形態の断面図を示し、その際第1領域(1)は洗剤の錠剤コアであり、及び香料粒子を含む第2領域は、中央ビーズ(2)の形態である。
【図2】本発明の洗剤の錠剤の実施形態の断面図を示し、その際第1領域(1)は洗剤の錠剤コアであり、及び香料粒子を含む第2領域は、薄層(2)の形態である。
【図3】本発明の洗剤の錠剤の実施形態の断面図を示し、その際第1領域(1)は洗剤の錠剤コアであり、及び香料粒子を含む第2領域は、薄層(2及び3)の形態である。
【図4】本発明の洗剤の錠剤の実施形態の断面図を示し、その際第1領域(1)は洗剤の錠剤コアであり、及び香料粒子を含む第2領域は、厚い層(2)の形態である。
【図5】本発明の洗剤の錠剤の実施形態の断面図を示し、その際第1領域(1)は洗剤の錠剤コアであり、及び香料粒子を含む第2領域は、中央くぼみ(2)の形態である。
【図6】本発明の洗剤の錠剤の実施形態の断面図を示し、その際第1領域(1)は洗剤の錠剤コアであり、及び香料粒子を含む第2領域は、第1領域(1)の内部に位置する複数の離散粒子(2)の形態である。
【図7】本発明の洗剤の錠剤の実施形態の斜視図を示し、その際第1領域(1)は洗剤の錠剤コアであり、及び香料粒子を含む第2領域は、第1領域の表面に突き出る複数の離散粒子(2)の形態である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗剤の錠剤であって、少なくとも2つの不連続領域、並びに多孔質担体物質及び前記多孔質担体物質の孔の中に含まれる香料を含む香料粒子を前記洗剤の錠剤の0.05重量%〜10重量%含み、前記香料粒子が、前記錠剤の第2領域中にその第1領域中より高濃度で含まれる洗剤の錠剤。
【請求項2】
前記第1領域が、圧縮されたマトリックスであり、及び前記第2領域が、単一又は複数のコーティング、層、離散粒子、インサート、くぼみ、ビーズ、及びこれらの混合物の形態である、請求項1に記載の洗剤の錠剤。
【請求項3】
すべての香料粒子が、前記第2領域中に含まれる、請求項1または2に記載の洗剤の錠剤。
【請求項4】
前記第2領域が、複数の離散粒子の形態である、請求項1〜3に記載の洗剤の錠剤。
【請求項5】
前記離散粒子が、0.5mm〜10mmの平均粒径を有する、請求項4に記載の洗剤の錠剤。
【請求項6】
前記第1領域が、その中に少なくとも1つのモールドを有する成形体の形態であり、及び前記第2領域が前記モールド中に圧縮されている、請求項1〜3に記載の洗剤の錠剤。
【請求項7】
前記香料粒子が、前記洗剤の錠剤のすべての0.1重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜3重量%の濃度で含まれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の洗剤の錠剤。
【請求項8】
前記多孔質担体物質が、ゼオライトX、ゼオライトY、及びこれらの混合物から成る群から選択されるゼオライトである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の洗剤の錠剤。
【請求項9】
前記香料粒子が、香料粒子の1重量%〜60重量%、好ましくは1重量%〜30重量%、より好ましくは10重量%〜20重量%の香料を含み、及び前記香料粒子の40重量%〜99重量%、好ましくは70重量%〜99重量%、より好ましくは80重量%〜90重量%の前記担体を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗剤の錠剤。
【請求項10】
前記ゼオライト担体中に装填された前記香料が、1.0〜16.0の重量平均ClogP値を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の洗剤の錠剤。
【請求項11】
前記ゼオライト担体中に装填された前記香料が、(1)101kPa(760mmHg)で300℃以下の標準沸点、及び、(2)2以上のClogP又は実測logP、及び、(3)50ppb以下のODTを有することを特徴とするハイインパクト香料を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の洗剤の錠剤。
【請求項12】
好ましくはジカルボン酸により、より好ましくはアジピン酸により更にコーティングされる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の洗剤の錠剤。
【請求項13】
遊離香料を更に含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の洗剤の錠剤。
【請求項14】
前記洗剤の錠剤が、包装中に含まれる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の洗剤の錠剤。
【請求項15】
前記包装が、1gのHO/日/m未満、好ましくは0.5gのHO/日/m未満、より好ましくは0.1gのHO/日/m未満、更により好ましくは0.02gのHO/日/m未満、及びなおより好ましくは0gのHO/日/mの水蒸気透過速度を有する、請求項14に記載の洗剤の錠剤。
【請求項16】
前記包装が、フィルムである、請求項14〜15に記載の洗剤の錠剤。
【請求項17】
前記フィルムが、連続層の防湿障壁を提供する、請求項16に記載の洗剤の錠剤。
【請求項18】
前記包装システムが、少なくとも1個のミクロ孔、好ましくは1又は2個のミクロ孔を含む、請求項14〜17に記載の洗剤の錠剤。
【請求項19】
前記包装システムが、フローラッププロセスを用いて製造される、請求項14〜18に記載の洗剤の錠剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−525590(P2007−525590A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502117(P2007−502117)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/007966
【国際公開番号】WO2005/087906
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】