説明

香料システム

本出願は、香料原材料、香料送達システム、並びに、かかる香料原材料及び/又はかかる香料送達システムを含む消費者製品、並びに、かかる香料原材料、香料送達システム及び消費者製品の製造及び使用プロセスに関する。本明細書に開示される、送達システムを含む香料原材料及び組成物は、かかる香料原材料が性質上の多様性を提供することができ、かかる組成物が所望の匂い特性を提供することができるといったように、香料コミュニティーの選択肢を拡大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、香料原材料、香料送達システム、並びに、かかる香料原材料及び/又はかかる香料送達システムを含む消費者製品、並びに、かかる香料原材料、香料送達システム及び消費者製品の製造及び使用プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者製品は、かかる製品及び/又はかかる製品と接触する部位へ所望の香りを提供することができ、並びに/又は望ましくない匂いを隠すことができる香料及び/又は香料送達システムの1種以上を含むことができる。現行の香料及び香料送達システムは所望の香りを提供しているが、消費者は、より長続きでき、自分たちの個人的な所望に合った香りを有する製品を求め続けている(例えば、米国特許出願第2007/0275866(A1)号及び米国特許出願シリアル番号12/133866を参照されたい)−不幸なことに、利用可能である香料原材料及び香料送達システムの集合は、香料コミュニティーの必要を完全に満たすにはあまりにも制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0275866(A1)号
【特許文献2】米国特許出願シリアル番号12/133866
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえに、調香師は、香料原材料及び香料送達システムの従来よりも大きな集合を必要とする。
【0005】
本出願者らは、本明細書に開示される、送達システムを含む香料原材料及び組成物が、かかる香料原材料が性質上の多様性を提供することができ、かかる組成物が所望の匂い特性を提供することができるといったように、香料コミュニティーの選択肢を拡大すると考えている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、香料原材料、香料システム、並びに、かかる香料原材料及び/又はかかる香料システムを含む消費者製品、並びに、かかる香料原材料、香料システム及び消費者製品の製造及び使用プロセスに関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
本明細書で使用するとき、「消費者製品」は、販売される形態での使用又は消費を一般に意図する、ベビーケア、ビューティケア、衣類及びホームケア、ファミリーケア、フェミニンケア、ヘルスケア、スナック、並びに/又は飲料製品若しくは装置を意味する。このような製品としては、おむつ、よだれかけ、拭き取り用品;脱色、着色、染色、コンディショニング、シャンプー、スタイリングなどの毛髪(ヒト、イヌ及び/若しくはネコ)処理用製品及び/又はその処理に関する方法;脱臭剤及び制汗剤;パーソナルクレンジング;化粧品;クリーム、ローション、及び高級芳香剤を含む消費者使用のための他の局所塗布製品などのスキンケア;シェービング製品;エアフレッシュナー及び香り送達システム、自動車ケア、食器洗浄、布地コンディショニング(柔軟化及び/若しくはフレッシュニングを含む)、洗濯洗浄、洗濯及びすすぎ添加剤及び/又はケア、床及び便器クリーナーなどの硬質表面の洗浄及び/又は処理、消費者若しくは業務用の他の洗浄などの、布地及びホームケアの領域のうちの布地、硬質表面及び任意の他の表面の処理用製品及び/又はその処理に関する方法;トイレットペ−パー、顔用ティッシュ、紙ハンカチ及び/若しくはペーパータオルに関する製品及び/又は方法;タンポン、女性用ナプキン;練り歯磨き、歯用ゲル、歯用リンス、義歯接着剤、歯のホワイトニングなどの口腔ケアに関する製品及び/又は方法;咳及び風邪治療薬、鎮痛剤、処方薬、ペットヘルスと栄養などの店頭販売ヘルスケア;主として慣習的な食事間用又は食事随伴物としての消費が意図される加工食品(非限定的な実施例としては、ポテトチップス、トルティーヤチップス、ポップコーン、プレッツェル、コーンチップス、シリアルバー、野菜チップス又はクリスプ、スナックミックス、パーティミックス、マルチグレインチップス、スナッククラッカー、チーズスナック、ポークラインズ、コーンスナック、ペレットスナック、押出成形スナック及びベーグルチップが挙げられる);並びにコーヒーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
本明細書で使用するとき、用語「洗浄及び/又は処理組成物」は、特に断りのない限り、ビューティケア、布地及びホームケア製品を包含する消費者製品の部分集合である。かかる製品としては、脱色、着色、染色、コンディショニング、シャンプー、スタイリングなどの毛髪(ヒト、イヌ及び/若しくはネコ)処理用製品及び/又はその処理に関する方法;脱臭剤及び制汗剤;パーソナルクレンジング;化粧品;クリーム、ローション、及び高級芳香剤を含む消費者使用のための他の局所塗布製品などのスキンケア;シェービング製品;エアフレッシュナー及び香り送達システム、自動車ケア、食器洗浄、布地コンディショニング(柔軟化及び/若しくはフレッシュニングを含む)、洗濯洗浄、洗濯及びすすぎ添加剤及び/又はケア、床及び便器クリーナーなどの硬質表面の洗浄及び/又は処理、粒状若しくは粉末形態の、汎用若しくは「強力」洗浄剤、特に洗濯洗剤などの布地、布地及びホームケアの領域のうちの布地、硬質表面及び任意の他の表面の処理用製品;液体、ゲル又はペースト形態の汎用洗浄剤、特にいわゆる強力液体タイプ;高級布地用液体洗剤;手洗い用食器洗剤又は低負荷用食器洗剤、特に高発泡型のもの;家庭用及び業務用の様々なタブレット、粒、液体及びすすぎ補助型などの機械用食器洗剤;抗菌手洗い型、洗浄バー、マウスウォッシュ、義歯洗浄剤、歯磨き、自動車若しくはカーペットシャンプー、便器クリーナーなどの浴室洗剤などの、液体の洗剤及び消毒剤;ヘアシャンプー及びヘアリンス;シャワーゲル、高級芳香剤及び発泡入浴剤及び金属洗浄剤;並びに、漂白添加剤、及び「ステインスティック」などのクリーニング補助剤、又はドライヤー付与シート、乾燥、及び湿潤型拭取り布、及びパッドなどの前処理型基材付与製品、不織基材、及びスポンジ;並びに、全ての家庭用及び/又は業務用のスプレー剤、及びミスト剤;並びに/あるいは、練り歯磨き、歯用ゲル、歯用リンス、義歯接着剤、歯のホワイトニングなどの口腔ケアに関する方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「布地及び/又は硬質表面の洗浄及び/又は処理組成物」は、特に断りのない限り、粒状若しくは粉末形態の、汎用若しくは「強力」洗浄剤、特に洗濯洗剤;液体、ゲル若しくはペースト形態の汎用洗浄剤、特にいわゆる強力液体タイプ;高級布地用液体洗剤;手洗い用食器洗剤又は低負荷用食器洗剤、特に高発泡型のもの;家庭用及び業務用の様々なタブレット、粒、液体及びすすぎ補助型などの機械用食器洗剤;抗菌手洗い型、洗浄バー、自動車若しくはカーペットシャンプー、便器クリーナーなどの浴室洗剤などの、液体の洗剤及び消毒剤;並びに、金属洗浄剤、液体、固体及び/若しくは乾燥シート形態であり得る柔軟剤及び/又はフレッシュニング剤を含む布地コンディショニング剤;並びに、漂白添加剤及び「ステインスティック」などのクリーニング補助剤、又は、ドライヤー付与シート、乾燥、及び湿潤型拭取り布、及びパッドなどの前処理型基材付与製品、不織基材、及びスポンジ;並びに、スプレー剤及びミスト剤が挙げられる洗浄及び処理組成物を包含する、これらの部分集合である。適用可能であったかかる製品の全ては、標準形態、濃縮形態であり得、又は、かかる製品が特定の態様では非水性であり得る程度まで高度濃縮形態にすらなり得る。
【0010】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」のような冠詞は、特許請求の範囲で使用されるときには、1つ以上の請求又は記載されるものを意味するものと理解される。
【0011】
本明細書で使用するとき、「包含する(include)」、「包含する(includes)」及び「包含している(including)」という言葉は、非限定的であるように意味される。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「固体」は、顆粒、粉末、塊、及び錠剤の製品形態を含む。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「流体」は、液体、ゲル、ペースト及びガスの製品形態を含む。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「部位(situs)」には、紙製品、布、衣服、硬質表面、毛髪、及び皮膚が含まれる。
【0015】
特記しない限り、成分又は組成物の濃度は全て、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0016】
百分率及び比率は全て、特に指示しない限り、重量で計算される。百分率及び比率は全て、特に指示しない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0017】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されたものとして包含すると理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載される最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載される数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0018】
好適な香料原材料(本明細書では以降より「PRM」)
好適なPRMには、下記の表1に列挙されるPRM及びこれらの立体異性体が挙げられる。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

【表1−13】

【表1−14】

【表1−15】

【表1−16】

【表1−17】

【表1−18】

【表1−19】

【表1−20】

【0019】
上記の表1に開示されたPRMは、一般のPRMについては予期されないと本出願者らが考えるレベルで、以下の効果のうちの1つ以上を提供し得る:きちんとした製品の匂い;布地に適用された際の濡れた布地の匂い;布地に適用された場合の乾いた布地の臭い;香料マイクロカプセルのような封入体などの封入体からの漏れの低減;特定の香料送達技術におけるニートオイルに対するヘッドスペースの増加;パッケージに適用されるマトリックス香料送達で使用された場合の匂い;洗浄及び/又は処理組成物に適用された場合のきちんとした製品の匂い;高級芳香剤に使用された場合の高級芳香剤組成物の匂い;かかるPRMを含む組成物が毛髪に適用される場合の乾いた毛髪の匂い;部位に適用された場合のかかるPRMを含む溶液からのPRMのブルーム及び新たなPRMの特性。かかる効果の確認は、標準的な試験方法を適用することにより、行うことができる。
【0020】
上記の表1に開示されたPRM及びかかるPRMの立体異性体(本明細書の実施例における分子としても既知)は、例えば、本明細書の実施例において見出される各教示に従って製造することができる。
【0021】
一態様では、表1のPRM 16、20、27、28、118、123及び140の構造を有するPRMが開示される。
【0022】
一態様では、表1に開示されたPRM及びこれらの立体異性体は、本明細書により定義されるように、消費者製品総重量に基づいて、約0.0001%〜約25%、約0.0005%〜約10%、約0.001%〜約5%、約0.005%〜約2.5%、又は更には0.01%〜約1%の濃度での消費者製品における使用に好適である。かかるPRM及びこれらの立体異性体は、上記消費者製品と組み合わせて使用され得る。一態様では、表1のPRM 16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、118、123、140及びかかるPRMの立体異性体から選択される1つ以上のPRMを含み得る消費者製品が、開示される。
【0023】
一態様では、表1に開示されたPRM及びこれらの立体異性体は、本明細書により定義されるように、洗浄及び処理製品総重量に基づいて、約0.0001%〜約25%、約0.0005%〜約10%、約0.001%〜約5%、約0.005%〜約2.5%、又は更には0.01%〜約1%の濃度での洗浄及び/又は処理組成物における使用に好適である。かかるPRM及びこれらの立体異性体は、上記洗浄及び/又は処理組成物(cleaning and/ treatment compositions)において、組み合わせて使用され得る。一態様では、表1のPRM 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、77、100、101、107、108、110、117、118、123、127、140及びかかるPRMの立体異性体から選択される1つ以上のPRMを含み得る洗浄及び/又は処理組成物が、開示される。
【0024】
一態様では、表1に開示されたPRM及びこれらの立体異性体は、本明細書により定義されるように、布地及び/又は硬質表面用の、洗浄及び/又は処理組成物総重量に基づいて、約0.00001%〜約25%、約0.00005%〜約10%、約0.0001%〜約5%、約0.0005%〜約1.0%、又は更には0.001%〜約0.5%の濃度での布地及び/又は硬質表面用の、洗浄及び/又は処理組成物における使用に好適である。かかるPRM及びこれらの立体異性体は、上記布地及び/又は硬質表面用の、洗浄及び/又は処理組成物において、組み合わせて使用され得る。一態様では、表1のPRM 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、33、34、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、74、75、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、117、118、119、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161及びかかるPRMの立体異性体から選択される1つ以上のPRMを含み得る布地及び/又は硬質表面用の、洗浄及び/又は処理組成物が、開示される。
【0025】
一態様では、上記布地及び硬質表面の、洗浄及び/又は処理組成物について開示したのと同一の濃度のPRMを含み得る洗剤が、開示される。一態様では、表1のPRM 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、33、34、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、74、75、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、117、118、119、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161及びかかるPRMの立体異性体から選択される1つ以上のPRMを含み得る洗剤が、開示される。
【0026】
一態様では、表1に開示されたPRM及びこれらの立体異性体は、組成物総重量に基づいて、約0.00001%〜約25%、約0.00005%〜約10%、0.0001%〜約5%、0.0005%〜約1.0%、又は更には0.001%〜約0.5%の濃度での、布地及び硬質表面用の、超コンパクト化洗浄及び/又は処理組成物(例えば、固体又は液体であり得る超コンパクト化洗剤)などの、超コンパクト化消費者製品における使用に好適である。かかるPRM及びこれらの立体異性体は、上記超コンパクト化洗剤組成物において、組み合わせて使用され得る。かかる超コンパクト洗剤は典型的には、通常よりも高い百分率の有効成分を含む。一態様では、表1のPRM及びかかるPRMの立体異性体から選択される1つ以上のPRMを含み得る超コンパクト化洗剤が、開示される。別の態様では、表1のPRM 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161及びかかるPRMの立体異性体から選択される1つ以上のPRMを含み得る超コンパクト化洗剤が、開示される。
【0027】
香料送達システム
特定の香料送達システム、特定の香料送達システムの製造方法及びかかる香料送達システムの使用が、米国特許出願第2007/0275866(A1)号に開示されている。かかる香料送達システムには以下のものが挙げられる。
【0028】
I.ポリマー支援型送達(PAD):この香料送達技術は、香料物質を送達するうえでポリマー性材料を用いるものである。古典的なコアセルベーション、水溶性又は部分水溶性〜非水溶性の荷電又は中性ポリマー、液晶、ホットメルト、ヒドロゲル、香料付与プラスチック、マイクロカプセル、ナノ−、及びマイクロラテックス、ポリマー性フィルム形成剤、ポリマー性吸収剤、ポリマー性吸着剤などが一部の例である。PADにはこれらに限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
【0029】
a.)マトリックスシステム:芳香剤をポリマーマトリックス又は粒子中に溶解又は分散させる。香料は例えば、1)製品に配合する前にポリマー中に分散させるか、又は2)製品の配合時又は配合後にポリマーとは別に添加すればよい。ポリマーからの香料の拡散は、所望の表面(部位)に付着又は塗布されたポリマー性マトリックスシステムからの香料の放出を可能とするかその放出速度を増大させるうえで一般的な誘因であるが、香料の放出を制御する他の多くの誘因が知られている。ポリマー性粒子、フィルム、溶液などの内部又は外部への吸収、及び/又は吸着はこの技術の側面である。有機材料(例、ラテックス)からなるナノ−又はマイクロ粒子がその例である。好適な粒子としては、これらに限定されるものではないが、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリクロロプレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリクロロプレン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリケトン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンクロリネート、ポリイミド、ポリイソプレン、ポリ乳酸、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、並びにアクリロニトリル−ブタジエン、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル、エチレンビニルアルコール、スチレン−ブタジエン、酢酸ビニル−エチレン、及びこれらの混合物などに基づいたポリマー又はコポリマーなどの広範な材料が挙げられる。
【0030】
「標準的な」システムとは、ポリマーに結合した予備充填された香料を香料の放出の瞬間まで保持することを意図して香料で予備充填されたもののことを指す。こうしたポリマーは、未希釈の製品の匂いを抑制し、香料の放出速度に応じてブルーム、及び/又は持続性の効果も与え得る。こうしたシステムにおける課題の1つは、1)製品内安定性(必要時まで担体内部に香料を保持すること)と、2)適時放出(使用時又は乾燥部位から)との理想的なバランスを実現することである。こうした安定性の実現は、製品内保存時、及び製品のエイジング時に特に重要である。この課題は、強力液体洗濯用洗剤などの、水ベースの界面活性剤含有製品において特に明らかである。利用可能な多くの「標準的」マトリックスシステムは、水ベースの製品に配合した場合に効果的に「平衡」システムとなる。「平衡」システム又はリザーバシステムを選択することができ、これは許容可能な製品内拡散安定性及び利用可能な放出誘因(例えば、摩擦)を有する。「平衡」システムは、香料及びポリマーが製品に別々に添加され得るものであり、香料とポリマーとの間の平衡相互作用が、1つ以上の消費者接触点にて効果を引き起こす(これに対し、自由香料制御はポリマー支援型送達技術を有さない)。このポリマーも香料で予備充填することができるが、香料の一部又は全部が製品内保存時に拡散し、所望の香料原材料(PRM)がポリマーに結合した平衡状態に達する場合がある。するとポリマーは香料を表面へと輸送し、通常、香料が拡散することで放出が行われる。こうした平衡システムポリマーの使用は、未希釈の製品の未希釈の匂いの強度を低下させる可能性を有する(通常、予備充填された標準システムの場合に特にそうした傾向がある)。こうしたポリマーの蓄積は放出プロファイルを「平坦化」し、持続性を高め得る。上記に示したように、こうした持続性は初期の強度を抑制することによって得られ、配合者が、より高いインパクト又は低い嗅覚閾値(ODT)又は低いコバッツ・インデックス(KI)のPRMを用いて、初期の強度が強すぎたり、変質したりすることなくFMOTの効果を得ることが可能となる。所望の消費者の接触点に影響を与えるためには香料の放出は、適用のタイムフレーム内で起きることが重要である。好適なマイクロ粒子、及びマイクロラテックス並びにその製造方法は米国特許出願第2005/0003980(A1)号に見ることができる。マトリックスシステムは更にホットメルト接着剤、及び芳香性プラスチックを含む。更に、疎水的に改質された多糖類を香料添加製品に配合することによって香料蓄積を増大させ、及び/又は香料放出を改変することができる。多糖類、及びナノラテックスなどのこうしたマトリックスシステムはすべて、PADリザーバシステムなどの他のPADシステムを含む他のPDTと組み合わせて香料マイクロカプセル(PMC)の形態とすることができる。ポリマー支援型送達(PAD)マトリックスシステムとしては下記の参考文献に記載のものが挙げられる:米国特許出願第2004/0110648(A1)号、同第2004/0092414(A1)号、同第2004/0091445(A1)号、及び同第2004/0087476(A1)号、並びに米国特許第6,531,444号、同第6,024,943号、同第6,042,792号、同第6,051,540号、同第4,540,721号、及び同第4,973,422号。
【0031】
シリコーンはまた、PDTとして使用され得るポリマーの例であり、ポリマー支援型送達「マトリックスシステム」と同様に香料効果を提供することができる。かかるPDTは、シリコーン支援型送達(SAD)と呼ばれる。シリコーンを香料で予備充填したり、シリコーンをPADについて述べたような平衡システムとして使用することができる。好適なシリコーン並びにその製造方法は、国際公開第2005/102261号、米国特許出願第2005/0124530(A1)号、同第2005/0143282(A1)号、及び国際公開第2003/015736号に見ることができる。米国特許出願第2006/003913(A1)号に記載されるように機能化したシリコーンを使用することも可能である。シリコーンの例としては、ポリジメチルシロキサン、及びポリアルキルジメチルシロキサンが挙げられる。他の例としてはアミン機能性を有するものがあり、これを用いてアミン支援型送達(AAD)、及び/又はポリマー支援型送達(PAD)、及び/又はアミン反応生成物(ARP)に関連した効果を与えることができる。他のこうした例を米国特許第4,911,852号、米国特許出願第2004/0058845(A1)号、同第2004/0092425(A1)号、及び同第2005/0003980(A1)号に見ることができる。
【0032】
b.)リザーバシステム:リザーバシステムはコア/シェル型技術、すなわちフレグランスが保護シェルとして機能し得る香料放出制御膜によって包囲される技術としても知られる。マイクロカプセル内部の物質がコア、内部相、又は充填物と呼ばれるのに対して、壁は時としてシェル、コーティング、又は膜と呼ばれる。マイクロ粒子、感圧カプセル又はマイクロカプセルはこうした技術の例である。本発明のマイクロカプセルは、これらに限定されるものではないが、コーティング、押出し、スプレー乾燥、界面重合、その場での重合、及びマトリクス重合などの様々な方法によって形成される。使用可能なシェル材料は水に対する安定性が大きく異なる。最も安定したものとして、水溶液(又は製品)中に特定のPRMをより長期にわたって保持することが可能なポリオキシメチレン尿素(PMU)系材料がある。こうしたシステムにはこれらに限定されるものではないが、尿素−ホルムアルデヒド、及び/又はメラミン−ホルムアルデヒドが含まれる。例えば架橋度に応じて水に速やかに又はゆっくりと溶解するようにゼラチン系マイクロカプセルを調製してもよい。多くの他のカプセル壁材料が入手可能であり、観察される香料の拡散安定性の程度が異なっている。理論に束縛されるものではないが、例えば一旦所定の表面に付着したカプセルからの香料の放出速度は、通常、製品内の香料拡散安定性の逆の次数である。このため、例えば尿素−ホルムアルデヒド、及びメラミン−ホルムアルデヒドマイクロカプセルは通常、機械力(例、摩擦力、圧力、剪断応力)などの、カプセルを破壊して香料(フレグランス)の放出速度を増大させる、拡散以外(拡散に加えて)の放出機構を香料の放出のために必要とする。他の誘因としては、融解、溶解、加水分解又は他の化学反応、電磁放射などが挙げられる。予備充填されたマイクロカプセルの使用には、製品内安定性、及び使用時、及び/又は表面上(部位上)放出の適正な比に加えてPRMの適切な選択が求められる。尿素−ホルムアルデヒド、及び/又はメラミン−ホルムアルデヒドに基づいたマイクロカプセルは特に中性に近い水溶液中で比較的安定している。これらの材料は摩擦誘因を必要とする場合があるが、これはすべての製品用途に適用できるものではない。他のマイクロカプセル材料(例、ゼラチン)は水性製品中では不安定な場合があり、製品内エイジングした場合に(自由香料制御に対して)効果が低下する場合もある擦ると香りが出る(スクラッチアンドスニッフ)技術はPADの更なる別の例である。香料マイクロカプセル(PMC)としては、以下の参考文献に記載のものを挙げることができる:米国特許出願第2003/0125222(A1)号、同第2003/215417(A1)号、同第2003/216488(A1)号、同第2003/158344(A1)号、同第2003/165692(A1)号、同第2004/071742(A1)号、同第2004/071746(A1)号、同第2004/072719(A1)号、同第2004/072720(A1)号、同第2006/0039934(A1)号、同第2003/203829(A1)号、同第2003/195133(A1)号、同第2004/087477(A1)号、同第2004/0106536(A1)号、並びに、米国特許第6,645,479(B1)号、同第6,200,949(B1)号、同第4,882,220号、同第4,917,920号、同第4,514,461号、同第6,106,875号及び同第4,234,627号、同第3,594,328号、並びに、米国再発行特許第32713号。
【0033】
II.分子支援型送達(MAD):非ポリマー物質又は分子も香料の送達を向上させるうえで機能し得る。理論に束縛されるものではないが、香料は有機物質と非共有結合的に相互作用する場合があり、香料の蓄積、及び/又は放出に影響する。こうした有機物質の非限定的な例としては、これらに限定されるものではないが、有機油、ロウ、鉱物油、ペトロラタム、脂肪酸又はエステルなどの疎水性物質、糖類、界面活性剤、リポソーム、更には他の香料原材料(香油)、並びにボディーオイルや他のソイルなどの天然油類が挙げられる。香料定着剤は更なる別の例である。一態様では、非ポリマー性材料又は分子は約2よりも大きいCLogP値を有する。分子支援型送達(MAD)には、更に米国特許第7,119,060号及び同第5,506,201号に記載のものが含まれ得る。
【0034】
III.繊維支援型送達(FAD):部位の選択又は使用はそれ自体香料の送達を向上させる可能性がある。実際、部位それ自体が香料送達技術であり得る。例えば、綿又はポリエステルなどの異なる種類の布は、香料をひき付ける、及び/又は保持する、及び/又は放出する能力に関して異なる性質を有する。繊維の表面又は内部に蓄積される香料の量は、繊維の選択によって、更に繊維の履歴又は処理によって、並びにあらゆる繊維コーティング又は処理によって変化し得る。繊維は織り繊維でも不織繊維でもよく、天然繊維でも合成繊維でもよい。天然繊維には植物、動物、及び地質学的プロセスによって作られるものが含まれ、綿、リネン、黄麻、亜麻、カラムシ、サイザルアサ、及び紙や布の製造に用いられる繊維が含まれるがこれらに限定されない。繊維支援型送達は、サーモメカニカルパルプ、晒又は未晒クラフト、又は亜硫酸パルプなどの木質繊維の使用からなりうる。動物繊維は、主として絹、腱、腸線、及び毛髪(ウールなど)などの特定のタンパク質からなるものである。合成化学物質に基づいたポリマー繊維には、これらに限定されるものではないが、ポリアミドナイロン、PET又はPBTポリエステル、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)、ポリビニルアルコール繊維(PVOH)、ポリ塩化ビニル繊維(PVC)、ポリオレフィン(PP、及びPE)及びアクリルポリマーが含まれる。こうした繊維はすべて香料で予備充填し、次いで自由香料、及び/又は1以上の香料送達技術を含んでも含まなくてもよい製品に添加することができる。一態様では、香料で充填する前に繊維を製品に添加し、次いで繊維中に拡散しうる香料を製品に添加することによって繊維を香料で充填してもよい。理論に束縛されるものではないが、香料は例えば、製品の保存時に繊維表面に吸収されるか繊維内部に吸着され、後に1以上のモーメント・オブ・トゥルース又は消費者接触点において放出されうる。
【0035】
IV.アミン支援型送達(AAD):アミン支援型送達技術の手法は、アミン基を含有する材料を使用することによって香料の蓄積量を増大させ、製品使用時の香料放出性を改変するものである。この手法では、製品への添加に先立って香料原材料とアミンとを予め複合又は予め反応させる必要がない。一態様では、本発明で使用するのに適したアミン含有AAD材料は、例えばポリエチレンイミン(PEI)などのポリアルキルイミン若しくはポリビニルアミン(PVAm)などの非芳香族、又は例えばアントラニレートなどの芳香族であってよい。こうした材料はポリマー性又は非ポリマー性であってよい。一態様では、こうした材料には少なくとも1種類の第1級アミンが含まれる。この技術は、アミンの機能性によって低ODTの香料の香り(例、アルデヒド、ケトン、エノン)の持続性を高めるとともにその放出制御を可能とし、理論に束縛されるものではないが、更にポリマー性アミンのポリマー支援型送達による他のPRMの送達を可能とするものである。この技術を用いない場合、揮発性のトップノートが失われるのが早過ぎ、トップノートに対するミドル、及びベースノートの比が高くなってしまう。ポリマー性アミンの使用により、より高濃度のトップノート、及び他のPRMを使用することで未希釈の製品の匂いが理想よりも強くなりすぎないように新鮮さを持続したり、トップノート、及び他のPRMをより効率的に利用することが可能となる。一態様では、AADシステムは中性付近よりも高いpHにおいてPRMを効果的に送達する。理論に束縛されるものではないが、AADシステムのより多くのアミンが脱プロトン化されるような条件下では、不飽和ケトン、及びダマスコーンなどのエノンを含むアルデヒド、及びケトンなどのPRMに対する、脱プロトン化されたアミンの親和性が高くなる可能性がある。別の一態様では、ポリマー性アミンは中性付近よりも低いpHにおいてPRMを効果的に送達する。理論に束縛されるものではないが、AADシステムのより多くのアミンがプロトン化されるような条件下では、アルデヒド、及びケトンなどのPRMに対する、プロトン化されたアミンの親和性が低くなり、幅広いPRMに対してポリマー骨格の親和性が高くなる可能性がある。こうした態様では、ポリマー支援型送達によってより高い香料効果が送達されうる。すなわち、こうしたシステムはAADの下位に分類されるものであり、アミン−ポリマー支援型送達すなわちAPADと呼ぶことができる。pHが7よりも低い組成物でAPADを用いるような場合には、こうしたAPADシステムはポリマー支援型送達(PAD)と考えることもできる。更なる別の態様では、AAD、及びPADシステムはアニオン界面活性剤又はポリマーなどの他の物質と相互作用してコアセルベート、及び/又はコアセルベート状のシステムを形成する。別の態様では、例えば硫黄、リン、セレニウムなどの窒素以外のヘテロ原子を含む物質をアミン化合物の代わりに使用することができる。更なる別の態様では、上記の代替化合物をアミン化合物と組み合わせて使用することができる。更なる別の態様では、1個の分子がアミン部分と、例えばチオール、ホスフィン、及びセレノールなどの1個以上の代替ヘテロ原子部分とを有していてもよい。好適なAADシステム並びにその製造方法は、米国特許出願第2005/0003980(A1)号、同第2003/0199422(A1)号、同第2003/0036489(A1)号、同第2004/0220074(A1)号、及び米国特許第6,103,678号に見ることができる。
【0036】
V.シクロデキストリン送達システム(CD):この技術手法は、環状オリゴ糖又はシクロデキストリンを用いて香料の送達を向上させる。通常は香料とシクロデキストリン(CD)との複合体を形成する。こうした複合体は、予め形成してもよく、その場で形成してもよく、部位の表面上又は内部で形成してもよい。理論に束縛されるものではないが、特に他の補助成分(例、界面活性剤)が香料とシクロデキストリンの内腔をめぐって競合するような高濃度で存在しない場合には、水の損失によって平衡状態がCD−香料複合体側に移動しうる。後の時点で水との接触や含水量の増大が起こった場合にブルーム効果が得られる可能性がある。更に、シクロデキストリンによって香料の配合者によるPRMの選択の柔軟性が高められる。シクロデキストリンは所望の香料安定性、蓄積、及び放出効果を得るうえで香料で予備充填しても香料とは別に添加してもよい。好適なCD並びにその製造方法は、米国特許出願第2005/0003980(A1)号、及び同第2006/0263313(A1)号、並びに米国特許第5,552,378号、同第3,812,011号、同第4,317,881号、同第4,418,144号、及び同第4,378,923号に見ることができる。
【0037】
VI.デンプン封入アコード(SEA):デンプン封入アコード(SEA)技術の使用により、例えばデンプンなどの成分を加えて液体香料を固体に転化することによって香料の性質を改変することが可能である。その効果としては、製品保存時の香料の保持率が特に非水性条件下において向上することがある。水分との接触時には香料のブルームが引き起こされうる。デンプンによって製品の配合者は、通常であればSEAの非存在下では使用できないPRM又はPRMの濃度を選択することが可能となることから、他のモーメント・オブ・トゥルースにおける効果が更に得られる可能性がある。別の技術の例としては、香料を液体から固体に転化するうえでシリカなどの他の有機、及び無機材料を使用することが挙げられる。好適なSEA並びにその製造方法は米国特許出願第2005/0003980(A1)号、及び米国特許第6,458,754(B1)号に見ることができる。
【0038】
VII.無機担体送達システム(ZIC):この技術は香料を送達するうえで多孔質のゼオライト又は他の無機材料を使用することに関する。香料で充填したゼオライトを、例えば香料充填ゼオライト(PLZ)をコーティングするために用いられる補助成分とともに、又はかかる補助成分なしで使用して、製品保存時、又は使用時、又は乾燥した部位からの香料放出特性を変化させることが可能である。好適なゼオライト、及び無機担体並びにその製造方法は、米国特許出願第2005/0003980(A1)号、並びに米国特許第5,858,959号、同第6,245,732(B1)号、同第6,048,830号、及び同第4,539,135号に見ることができる。シリカはZICの別の形態である。好適な無機担体の別の例としては無機チューブがあり、その場合香料又は他の活性物質がナノ又はマイクロチューブの内腔内に収容される。一態様では、香料で充填した無機チューブ(又は香料充填チューブ又はPLT)は、ハロイサイト、又はハロイサイトと他の無機材料(他の粘土など)との混合物のような、鉱物性のナノ又はマイクロチューブである。PLT技術は、製品内拡散安定性、所望の部位への蓄積を向上させ、充填された香料の放出速度を制御する目的でチューブの内側、及び/又は外側に更なる成分を有してもよい。デンプン封入体などのモノマー性、及び/又はポリマー性材料を用いてPLTをコーティング、プラギング、キャッピング又は封入することが可能である。好適なPLTシステム並びにその製造方法は米国特許第5,651,976号に見ることができる。
【0039】
VIII.プロ香料(PP):この技術は、1つ以上のPRMと1つ以上の担体との間に共有結合を有する材料を形成するために香料材料と他の基材又は化学物質とを反応させることから得られる香料技術を指す。PRMはプロPRM(すなわちプロ香料)と呼ばれる新たな材料へと転化され、これは水や光などの誘因に暴露されると最初のPRMを放出する。プロ香料は、増大した香料蓄積量、持続性、安定性、保持率などの向上した香料送達特性を与えうるものである。プロ香料には、モノマー性(非ポリマー性)又はポリマー性のものがある。プロ香料は予め形成してもよく、製品内保存時又は湿潤又は乾燥部位に存在しうるような平衡条件下でその場で形成してもよい。プロ香料の非限定的な例としては、マイケル付加物(例、ベータ−アミノケトン)、芳香族又は非芳香族イミン(シッフ塩基)、オキサゾリジン、ベータ−ケトエステル、及びオルトエステルが挙げられる。別の態様には、例えばアルファ、ベータ−不飽和ケトン、アルデヒド又はカルボキシルエステルなどの、PRMを放出可能な1以上のベータ−オキシ又はベータ−チオカルボニル部分を有する化合物が含まれる。香料を放出させるための一般的な誘因は水との接触であるが、他の誘因として、酵素、熱、光、pH変化、自動酸化、平衡のシフト、濃度又はイオン強度の変化などがある。水ベースの製品では、光誘因プロ香料が特に適している。こうした光プロ香料(PPP)には、これらに限定されるものではないが、誘発時にクマリン誘導体、及び香料、及び/又はプロ香料を放出するものが含まれる。放出されたプロ香料は、上記に述べた誘因のいずれかによって1以上のPRMを放出しうる。一態様では、光プロ香料は、光、及び/又は水分誘因に暴露された場合に窒素系プロ香料を放出する。別の態様では、光プロ香料から放出された窒素系プロ香料は、例えばアルデヒド、ケトン(エノンを含む)、及びアルコールから選択される1以上のPRMを放出する。更なる別の態様では、PPPはジヒドロキシクマリン誘導体を放出する。光誘因プロ香料は、クマリン誘導体、及び香料アルコールを放出するエステルであってもよい。一態様では、プロ香料は米国特許出願第2006/0020459(A1)号に記載のジメトキシベンゾイン誘導体である。別の態様では、プロ香料は電磁放射に暴露されるとアルコールを放出する3’,5’−ジメトキシベンゾイン(DMB)誘導体である。更なる別の態様では、プロ香料は、リナロール、テトラヒドロリナロール、又はジヒドロミルセノールなどの第3級アルコールを含む1以上の低ODTのPRMを放出する。好適なプロ香料並びにその製造方法は、米国特許第7,018,978(B2)号、同第6,987,084(B2)号、同第6,956,013(B2)号、同第6,861,402(B1)号、同第6,544,945(B1)号、同第6,093,691号、同第6,277,796(B1)号、同第6,165,953号、同第6,316,397(B1)号、同第6,437,150(B1)号、同第6,479,682(B1)号、同第6,096,918号、同第6,218,355(B1)号、同第6,133,228号、同第6,147,037号、同第7,109,153(B2)号、同第7,071,151(B2)号、同第6,987,084(B2)号、同第6,610,646(B2)号、及び同第5,958,870号、並びに米国特許出願第2005/0003980(A1)号、及び同第2006/0223726(A1)号に見ることができる。
【0040】
a.)アミン反応生成物(ARP):本願の目的では、ARPはPPの下位に分類されるものである。アミン官能基が1以上のPRMと予備反応してアミン反応生成物(ARP)を生成することから、「反応性」ポリマー性アミンという呼び方をすることもできる。一般に、反応性アミンは第1級、及び/又は第2級アミンであり、ポリマー又はモノマー(非ポリマー)の一部であり得る。こうしたARPは更なるPRMと混合することでポリマー支援型送達、及び/又はアミン支援型送達の効果を与えることも可能である。ポリマー性アミンの非限定的な例としては、ポリエチレンイミン(PEI)などのポリアルキルイミン又はポリビニルアミン(PVAm)に基づいたポリマーが挙げられる。モノマー性(非ポリマー性)アミンの非限定的な例としては、2−アミノエタノール、及びこのアルキル置換誘導体などのヒドロキシルアミン類、並びにアントラニレートなどの芳香族アミン類が挙げられる。ARPは香料と予め混合してもよく、リーブオン又はリンスオフの用途では香料と別に添加してもよい。別の態様では、例えば酸素、硫黄、リン又はセレニウムなどの窒素以外のヘテロ原子を含む物質をアミン化合物の代わりに使用することができる。更なる別の態様では、上記の代替化合物をアミン化合物と組み合わせて使用することができる。更なる別の態様では、1個の分子がアミン部分と、例えばチオール、ホスフィン、及びセレノールなどの1個以上の代替ヘテロ原子部分とを有していてもよい。その効果としては、香料の送達が向上すること、及び香料の放出制御がある。好適なARP並びにその製造方法は、米国特許出願第2005/0003980(A1)号、及び米国特許第6,413,920(B1)号に見ることができる。
【0041】
一態様では、表1に開示されたPRM及びこれらの立体異性体は、香料送達システム総重量に基づいて、0.001%〜約50%、0.005%〜30%、0.01%〜約10%、0.025%〜約5%、又は更には0.025%〜約1%での香料送達システムにおける使用に好適である。
【0042】
一態様では、本明細書に開示されている香料送達システムは、消費者製品総重量に基づいて、約0.001%〜約20%、約0.01%〜約10%、約0.05%〜約5%、約0.1%〜約0.5%の濃度で、消費者製品、洗浄及び処理組成物、並びに、布地及び硬質表面用の、洗浄及び/又は処理組成物、洗剤、並びに、超コンパクト化消費者製品(超コンパクト化布地及び硬質表面洗浄及び/又は処理組成物が挙げられ、例えば、固体又は液体であり得る超コンパクト化洗剤)において使用するに好適である。
【0043】
一態様では、表1のPRMの量は、マイクロカプセル及び/又はナノカプセル(ポリマー支援型送達(PAD)リザーバシステム)総重量に基づいて、約0.1%〜約99%、25%〜約95%、30〜約90%、45%〜約90%、65%〜約90%であり得る。一態様では、表1のPRM 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161と、表1のPRM 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161の立体異性体と、これらの混合物と、から選択される1つ以上のPRMを含み得るマイクロカプセル及び/又はナノカプセルが、開示される。PRM 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、21、22、23、24、25、26、27、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、64、65、66、67、68、69、70、71、72、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、92、93、94、95、96、97、98、99、100、102、103、104、105、107、108、110、111、112、113、114、115、117、120、122、123、125、126、127、128、131、133、134、137、140、142、144、145、146、147、149、150、151、153、154、155、156、159及び160は、ケトンである。PRM 15、16、17、18、19、20、116、118、119、129、135及び141は、アルコールである。PRM 28、29及び52は、エステルである。PRM 34、73、74、75、76、77、91、101、106、109、121、124、130、132、136、138、139、143、148、152、157、158及び161は、ニトリルである。
【0044】
一実施形態では、香料の総量は、デンプン封入体及びデンプン凝集体(デンプン封入アコード(SEA))の総重量に基づいて、0.1%〜約99%、25%〜約95%、30〜約90%、45%〜約90%、65%〜約90%の範囲である。一態様では、表1に開示されたPRM及びこれらの立体異性体は、かかるデンプン封入体及びデンプン凝集体での使用に好適である。かかるPRM及びこれらの立体異性体は、かかるデンプン封入体及びデンプン凝集体において、組み合わせて使用され得る。
【0045】
一態様では、香料の総量は、[シクロデキストリン−香料]複合体(シクロデキストリン(CD))の総重量に基づいて、0.1%〜約99%、2.5%〜約75%、5%〜約60%、5%〜約50%、5%〜約25%の範囲である。一態様では、表1に開示されたPRM及びこれらの立体異性体は、かかる[シクロデキストリン−香料]複合体での使用に好適である。かかるPRM及びこれらの立体異性体は、かかる[シクロデキストリン−香料]複合体において、組み合わせて使用され得る。
【0046】
一態様では、香料の総量は、ポリマー支援型送達(PAD)マトリックスシステム(シリコーンを含む)の総重量に基づいて、0.1%〜約99%、2.5%〜約75%、5%〜約60%、5%〜約50%、5%〜約25%の範囲である。一態様では、香料の総量は、ホットメルト香料送達システム/香料充填プラスチックマトリックスシステムの総重量に基づいて、1%〜約99%、2.5%〜約75%、5%〜約60%、5%〜約50%、10%〜約50%の範囲である。一態様では、表1に開示されたPRM及びこれらの立体異性体は、ホットメルト香料送達システム/香料充填プラスチックマトリックスシステムなどの、かかるポリマー支援型送達(PAD)マトリックスシステムでの使用に好適である。かかるPRM及びこれらの立体異性体は、かかるポリマー支援型送達(PAD)マトリックスシステム(ホットメルト香料送達システム/香料充填プラスチックマトリックスシステムなど)において、組み合わせて使用され得る。
【0047】
一態様では、香料の総量は、アミン支援型送達(AAD)(アミノシリコーンを含む)の総重量に基づいて、1%〜約99%、2.5%〜約75%、5%〜約60%、5%〜約50%、5%〜約25%の範囲である。一態様では、表1に開示されたPRM及びこれらの立体異性体は、かかるアミン支援型送達(AAD)システムでの使用に好適である。かかるPRM及びこれらの立体異性体は、かかるアミン支援型送達(AAD)システムにおいて、組み合わせて使用され得る。一態様では、表1のPRM 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160及び161と、表1のPRM 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160及び161の立体異性体と、これらの混合物と、から選択される1つ以上のPRMを含み得るアミン支援型送達(AAD)システムが、開示される。PRM 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、21、22、23、24、25、26、27、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、64、65、66、67、68、69、70、71、72、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、92、93、94、95、96、97、98、99、100、102、103、104、105、107、108、110、111、112、113、114、115、117、120、122、123、125、126、127、128、131、133、134、137、140、142、144、145、146、147、149、150、151、153、154、155、156、159及び160は、ケトンである。PRM 15、16、17、18、19、20、116、118、119、129、135及び141は、アルコールである。PRM 34、73、74、75、76、77、91、101、106、109、121、124、130、132、136、138、139、143、148、152、157、158及び161は、ニトリルである。
【0048】
一態様では、表1のPRM 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、21、22、23、24、25、26、27、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、64、65、66、67、68、69、70、71、72、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、92、93、94、95、96、97、98、99、100、102、103、104、105、107、108、110、111、112、113、114、115、117、120、122、123、125、126、127、128、131、133、134、137、140、142、144、145、146、147、149、150、151、153、154、155、156、159及び160から選択される1つ以上のPRMを含み得るプロ香料(PP)アミン反応生成物(ARP)システムが、開示される。かかるPRMは、ケトンである。一態様では、香料の総量は、プロ香料(PP)アミン反応生成物(ARP)システムの総重量に基づいて、0.1%〜約99%、約1%〜約99%、5%〜約90%、10%〜約75%、20%〜約75%、25%〜約60%の範囲である。
【0049】
本明細書に開示されている香料送達システムとしても既知の香料送達技術は、任意のタイプの消費者製品、洗浄及び/又は処理組成物、布地及び硬質表面用の洗浄及び/又は処理組成物、洗剤、並びに超コンパクト洗剤において、任意に組み合わせて使用され得る。
【0050】
香料
香料を配合するために、表1に開示されたPRMが使用され得る。かかる香料は、表1のPRMの組み合わせ、又は表1のPRMのうちの1つ、及び、1つ以上の追加的なPRMを含み得る、PRMの組み合わせである。香料において使用する場合、表1のPRMは、香料総重量に基づいて、約0.01%〜約50%、約0.1%〜約15%、約0.1%〜約10%、又は更には約0.5%〜約10%の濃度で使用され得る。かかる香料は、未希釈での部位への適用、あるいは、消費者製品、洗浄及び/若しくは処理組成物、布地及び硬質表面用の、洗浄及び/若しくは処理組成物、洗剤並びに/又は超コンパクト洗剤の中での使用などの多用途で使用され得る。
【0051】
補助物質
本発明の目的のために、以下に例示される補助剤の非限定的な一覧は、本発明の組成物での使用に適しており、例えば、性能を補助若しくは向上させるために、洗浄される基材の処理のために、又は香料、着色剤、染料などを用いる場合のように組成物の審美性を変化させるために、望ましくは本発明の特定の実施形態に組み込むことができる。かかる補助剤は、本出願人らの香料及び/又は香料システムを介して供給される構成成分に追加されると理解される。このような追加的構成成分の明確な性質、及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び組成物が使用される作業の性質に依存する。好適な補助剤物質としては、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染抑制剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、触媒物質、漂白活性化剤、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、及び/又は色素が挙げられるが、これらに限定されない。下記開示に加えて、このような他の補助剤の好適な例、及び使用濃度は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812(B1)号及び同第6,326,348(B1)号に見られ、これらは参照により組み込まれる。
【0052】
各補助成分は、本出願者らの組成物にとって本質的なものではない。したがって、本出願人らの組成物の特定の実施形態は、以下の補助物質の1つ以上を含有しない:漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、向水性物質、加工助剤、及び/又は顔料。しかし、1つ以上の補助剤が存在する場合、このような1つ以上の補助剤は、以下に詳述されるように存在することも可能である。
【0053】
界面活性剤−本発明による組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができ、その際、界面活性剤は、非イオン性及び/若しくはアニオン性及び/若しくはカチオン性界面活性剤並びに/又は両性及び/若しくは双極性及び/若しくは半極性非イオン性界面活性剤から選択できる。界面活性剤は、典型的には洗浄組成物の約0.1重量%から、約1重量%から、又は更には約5重量%から、洗浄組成物の約99.9重量%まで、約80重量%まで、約35重量%まで、又は更には約30重量%までの濃度で存在する。
【0054】
ビルダー−本発明の組成物は、1つ以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含むことができる。存在する場合、組成物は典型的には、少なくとも約1重量%のビルダー、又は約5重量%又は10重量%から約80重量%まで、50重量%まで、又は更には30重量%までのかかるビルダーを含む。ビルダーとしては、ポリホスフェートのアルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノシリケートビルダー、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の種々のアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩、並びにメリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びそれらの可溶性塩のようなポリカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
キレート化剤−本明細書の組成物はまた、任意で1つ以上の銅、鉄、及び/又はマンガンキレート化剤を含有してもよい。使用される場合、キレート化剤は、一般に、本明細書の組成物の約0.1重量%〜約15重量%、又は更には本明細書の組成物の約3.0重量%〜約15重量%を構成する。
【0056】
移染防止剤−本発明の組成物はまた、1つ以上の移染防止剤を含んでもよい。好適なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、洗浄組成物の約0.0001重量%から、約0.01重量%から、約0.05重量%から、洗浄組成物の約10重量%まで、約2重量%まで、又は更には約1重量%までの濃度で存在する。
【0057】
分散剤−本発明の組成物はまた、分散剤を含むことができる。好適な水溶性有機材料は、ホモポリマー又はコポリマーの酸又はそれらの塩であり、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに炭素原子2個を超えない程度に離れている少なくとも2個のカルボキシル基を含み得る。
【0058】
酵素−組成物は、洗浄性能効果、及び/又は布地ケア効果を提供する1つ以上の洗浄性酵素を含むことができる。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、及び/又はセルラーゼのような従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。
【0059】
酵素安定剤−組成物、例えば洗剤において使用するための酵素は、さまざまな技術によって安定化可能である本明細書に用いられる酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。
【0060】
触媒金属錯体−本出願人らの組成物は、触媒金属錯体を包含してもよい。金属含有漂白触媒の1つの種類は、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンのカチオンのような、限定された漂白触媒活性の遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムのカチオンのような、漂白触媒活性をほとんど又は全くもたない補助金属カチオン、並びに触媒金属及び補助金属のカチオンに対して限定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びそれらの水溶性の塩類を含む触媒系である。このような触媒は、米国特許第4,430,243号に開示される。
【0061】
所望する場合、本明細書の組成物はマンガン化合物を用いて触媒可能である。このような化合物及び使用濃度は当該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号に開示されるマンガン系触媒が挙げられる。
【0062】
本明細書において有用なコバルト漂白触媒は既知であり、例えば、米国特許第5,597,936号及び第5,595,967号に記載されている。このようなコバルト触媒は、既知の手順、例えば、米国特許第5,597,936号及び第5,595,967号において教示されているような手順によって容易に製造される。
【0063】
本明細書の組成物はまた、好適なことに、大多環状の剛性配位子(「MRL」と省略される)の遷移金属錯体を含んでもよい。実際的な事柄として、限定するためではないが、本明細書の組成物及び洗浄法を水性洗浄媒体において少なくとも1億分の1のオーダーの有益剤MRL種を提供するように調整して、約0.005ppm〜約25ppm、約0.05ppm〜約10ppm、又は更には約0.1ppm〜約5ppmのMRLを洗浄溶液中に提供することができる。
【0064】
本遷移金属漂白剤触媒中の好適な遷移金属としては、マンガン、鉄、及びクロムが挙げられる。本明細書における好適なMRLは、架橋した特定の種類の超剛性配位子、例えば、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンである。
【0065】
好適な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、国際公開第00/32601号及び米国特許第6,225,464号で教示されているような手順によって容易に製造される。
【0066】
使用方法
本明細書に開示される特定の消費者製品は、部位を、とりわけ、表面又は布地を、洗浄又は処理することができる。通常、このような部位の少なくとも一部は、希釈されない形態又は希釈された液体、例えば洗浄液の、本出願人らの組成物の実施形態と接触させ、そしてその後、任意に、その部位を洗浄及び/又はすすぎ洗いしてもよい。1つの態様では、ある部位が任意で洗浄及び/又はすすがれ、本発明による粒子に又はこの粒子を含む組成物に接触され、次に任意で洗浄及び/又はすすがれる。本発明の目的のために、洗浄には擦ること及び機械的撹拌が含まれるが、これらに限定されない。布地には、通常の消費者の使用条件で洗濯又は処理することが可能なほとんどいかなる布地が含まれ得る。開示される組成物を含み得る液体のpHは、約3〜約11.5であってよい。こうした組成物は、典型的には溶液中で約500ppm〜約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水である場合、水の温度は通常約5℃〜約90℃であり、部位が布地を含む場合、水対布地の比は通常約1:1〜約30:1である。
【実施例】
【0067】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。
【0068】
実施例1:表1のPRM 1〜48についての合成例
表1の分子No.31の合成手順(7.5mmolスケールで例示):
【化1】

オーブンで乾燥させたフラスコにおいて、乾燥条件下で、7.5mmolのブタ−3−エン−2−オール(1当量)と、7.5mmolのナトリウムメトキシド(1当量)と、9.0mmolのトリブチルアミン(1.2当量)と、7.5mmolの1−ヨード−4−メチルベンゼン(1当量)とを、0.75mmolのPdCl(0.1当量)と共に、室温にて10mLの無水DMF中で混合した。温度をまず75℃に上げて3時間、続いて20℃にして1時間、この反応混合物を撹拌した。この温度サイクルを更に2回繰り返した。次に、反応混合物を短いシリカ経路で濾過した。シリカをメチルtert−ブチルエーテル(MTBE;2×3mL)で洗浄した。組み合わせた有機画分を25mLの0.5MのHClと混合し、MTBE(2×5mL)で抽出し、NaHCO飽和水溶液(5mL)及び食塩水(5mL)で洗浄した。MgSO上での乾燥、濾過及び濃縮の後、粗生成油を得た。更に、80:20の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて、フラッシュクロマトグラフィーを行ったところ、高純度で化合物が得られた。
【0069】
表1の分子No.48の化合物の合成手順:
工程1(30mmolのスケールで例示):
【化2】

オーブンで乾燥させたフラスコにおいて、乾燥条件下で、及び、窒素雰囲気下で、30mmolのアルデヒド(3.6g)を1mLの無水テトラヒドロフラン(THF)と室温にて混合した。反応混合物を氷浴中で10分にわたって撹拌し、その後、THF(2M、16.5mL)中に溶解させた1.1当量のイソプロピルマグネシウムクロリドを滴下して、この溶液に添加した。温度が室温になるようにしながら、この反応液を16時間にわたって撹拌した。次に反応液を、アイスキューブで冷却した17mLの2MのHClに添加することにより、クエンチした。この混合物に30mLのメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)を添加し、MTBE(2×10mL)で抽出した。組み合わせた有機画分をNaHCO飽和水溶液(5mL)及び食塩水(5mL)で洗浄した。MgSO上での乾燥、濾過及び濃縮の後、粗生成油を得た。9:1の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて行われたフラッシュクロマトグラフィーの後、純粋化合物が得られた。
【0070】
工程2(24mmolのスケールで例示):
【化3】

オーブンで乾燥させたフラスコにおいて、24mmolのアルコール(5.3g)を30mLのジクロロメタンと室温にて混合した。この反応混合物を氷浴中で10分にわたって撹拌し、その後、1.1当量のDess−Martinペルヨージナン(CHCl中15重量%、75g)を滴下して、この溶液に添加した。反応温度が室温になるようにしながら、この反応液を4日にわたって撹拌した。反応混合物を、アイスキューブで冷却した100mLの1NのNaOH溶液に添加することにより、クエンチした。有機相をジエチルエーテル(EtO、2×15mL)で抽出し、NaHCO水溶液(10mL)及び食塩水(10mL)で洗浄した。MgSO上での乾燥、濾過及び濃縮の後、粗生成油を得た。次にこの粗生成油を再びEtO中に溶解させ、冷凍庫内に16時間にわたって保存した。白色沈殿を濾過し、濾液を濃縮した。9:1の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて行われたフラッシュクロマトグラフィーの後、純粋化合物が得られた。
【0071】
表1の分子No.2、3及び4の化合物の合成:
【化4】

ブロモブタンによるベンジルイソプロピルケトンのベンジル位でのアルキル化による表1の物質No.2の合成のための、代表的な手順を与える:
フラスコにおいて、1.6mmolの3−メチル−1−フェニルブタン−2−オン(1当量)と、1.9mmolのn−ブチルブロミド(1.2当量)と、0.022mmolのN−ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド(2mol%)とを、0.5mLの50% NaOHと共に室温にて混合した。この反応混合物を室温で1時間にわたって激しく撹拌した。反応液の温度は60℃に上昇したが、その間、5時間にわたって撹拌を続けた。次に、反応混合物を、冷却した1MのHCl溶液に添加することによりクエンチした。10mLのメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)を添加し、組み合わせた有機画分をMTBE(2×5mL)で抽出し、NaHCO飽和水溶液(5mL)及び食塩水(5mL)で洗浄した。MgSO上での乾燥、濾過及び濃縮の後、粗生成油を得た。98:2の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて行われたフラッシュクロマトグラフィーの後、純粋化合物が得られた。
【0072】
類似体についての代表的なプロトコルの変更点を以下の表に与える:
【表2】

:フラッシュクロマトグラフィーは、98:2の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて行われた。
【0073】
表の分子No.15、16、17、18、19及び20の合成:
【化5】

3−(4−メチルシクロヘキサ−3−エニル)ブタナール(リモネンアルデヒド、R=H)にエチルマグネシウムブロミド(R=Et、X=Br)を付加することによる表1の分子No.16の合成のための、代表的な手順を与える:
オーブンにおいて二口4Lフラスコを24時間にわたって2kPa(20mBar)及び80℃にて乾燥させた。このガラス器具を窒素雰囲気下で周囲温度にまで放冷させ、その後、乾燥条件(カニューレ)下にて140グラムの3−(4−メチルシクロヘキサ−3−エニル)ブタナール(リモネンアルデヒド、1当量、0.85mol)を2.8L(5重量%)の無水2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)中に溶解させた。この溶液を冷却して1時間にわたって−50℃にした。次に、2−MeTHF(3.2M、1.06当量)中に溶解させた280mLのエチルマグネシウムブロミドを乾燥している滴下漏斗を介して窒素雰囲気下にて添加した(およそ45分以上にわたって;反応混合物の温度は測定されており、−40℃を超えて温まらないようにした)。反応を−50℃にて1時間にわたって持続させた。次に、反応液を0℃にて一晩撹拌した。反応液を、アイスキューブ(およそ600グラムの氷)で冷却した1リットルの1MのHClに添加することにより、クエンチした。次に、水相を2−MeTHF(2×200mL)で抽出した。組み合わせた有機相を重炭酸塩飽和水溶液(2×100mL)及び食塩水(2×100mL)で洗浄した。組み合わせた画分をMgSO上で乾燥させ、濾過し、回転蒸発器にて濃縮した。蒸留(111〜127℃、0.5〜1kPa(5〜10mbar))後、純粋化合物が得られた。
【0074】
類似体についての代表的なプロトコルの変更点を以下の表に与える:
【表3】

:フラッシュクロマトグラフィーは、85:15の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて行われた。
【0075】
表1の分子No.21、22、23、24、25、26及び27の合成
【化6】

5−(4−メチルシクロヘキサ−3−エニル)ヘキサン−3−オール(R=Me)にDess−Martinペルヨージナンを付加することによる表1の分子22の合成のための、代表的な手順を与える。
【0076】
オーブンで乾燥させたフラスコにおいて、5.5グラムの5−(4−メチルシクロヘキサ−3−エニル)ヘキサン−3−オール(1当量、30mmol)を30mLのジクロロメタンと室温にて混合した。この反応混合物を0℃で10分にわたって撹拌し、その後、1.1当量のDess−Martinペルヨージナン(CHCl中15重量%、94g)を滴下して、この溶液に添加した。反応温度が室温になるようにしながら、この反応液を3日にわたって撹拌した。反応混合物を、アイスキューブで冷却した100mLの1NのNaOH溶液に添加することにより、クエンチした。有機相をジエチルエーテル(EtO、2×15mL)で抽出し、NaHCO飽和水溶液(10mL)及び食塩水(10mL)で洗浄した。MgSO上での乾燥、濾過及び濃縮の後、粗生成油を得た。次にこの粗生成油を再びEtO中に溶解させ、冷凍庫内に16時間にわたって保存した。白色沈殿を濾過し、濾液を回転蒸発器にて濃縮した。85:15の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて行われたフラッシュクロマトグラフィーの後、純粋化合物が得られた。
【0077】
類似体についての代表的なプロトコルの変更点を以下の表に与える:
【表4】

:フラッシュクロマトグラフィーは、85:15の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて行われた。
【0078】
表1の分子No.28及び29の合成
【化7】

5−(4−メチルシクロヘキサ−3−エニル)ヘキサン−3−オールのアセチル化による表1の分子29の合成のための、代表的な手順を与える:
オーブンで乾燥させたフラスコにおいて、室温にて、ヘリウム雰囲気下で、15mLの2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)と、0.15グラムの4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP、0.08当量)と、8.2グラムのN−メチルモルホリン(NMM、5.3当量、8.9mL)と、3グラムの5−(4−メチルシクロヘキサ−3−エニル)ヘキサン−3−オール(15mmol、1当量)と、を乾燥条件下で混合した。この反応混合物を氷浴中で10分にわたって撹拌し、その後、7.8グラムの無水酢酸(5当量、7.17mL)を滴下漏斗を介して10分間添加した。反応を0℃にて1時間にわたって持続させた。次に、氷浴を取り除き、反応を室温にて1時間にわたって継続させたが、反応の転換に続いて、注射器により取り出された反応混合物のアリコートの分析を介してGC−FIDを行った。次に、30mLの水を添加し、反応混合物を加熱して15分にわたって50℃にし、抽出をこの温度にて行った(2−MeTHF;2×10mL)。有機画分を飽和重炭酸塩及び食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、回転蒸発器で濃縮した。更に、85:15の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて、フラッシュクロマトグラフィーを行ったところ、高純度で化合物が得られた。
【0079】
表1の分子No.1、5、6、8、9、10、11、12、13及び14の合成
【化8】

ベンゼンに2−シクロペンチルアセチルクロリドを付加することによる表1の分子10の合成のための、代表的な手順を与える:
2Lのフラスコと滴下漏斗と撹拌棒と隔膜とをオーブンにおいて80℃及び2kPa(20mbar)にて24時間にわたって乾燥させた。ガラス器具を窒素雰囲気下で室温まで冷却し、その後、152グラムの三塩化アルミニウム(AlCl、1.2当量)を300mLの無水ベンゼン中に溶解させた。次に、140グラムのシクロペンチルアセチルクロリド(1当量)を2時間にわたって非常にゆっくりと滴下して反応混合物に添加したが、その間、温度は、この酸塩化物の添加速度により40℃より低く制御した。反応開始及び進行に伴ない、気体が発生した。その後、反応物の混合を、45℃にて16時間にわたって継続した。この反応混合物を、大量の砕氷(1.5kg)に添加することにより、クエンチした。氷で温度を制御しながら、1Lの脱塩水を添加した。白色懸濁液を形成した。ガラス器具を100mLのメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)で洗浄し、組み合わせた有機層を濾過し、MTBE(2×100mL)で抽出した。次に、有機層をNaHCO水溶液及び食塩水で洗浄した。有機画分を採取し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下(1.5kPa(15mbar)にて70℃)にて乾燥させたところ、赤色油が得られた。この油を10重量%の活性炭素と混合し、室温にて16時間にわたって撹拌した。次に、この混合物を短いセライト経路で濾過し、ガラス器具及びフィルターを100mLのリグロインですすいだ。有機画分を組み合わせ、回転蒸発器で乾燥させたところ、黄色油が得られた。
【0080】
類似体についての代表的なプロトコルの変更点を以下の表に与える:
【表5】

:フラッシュクロマトグラフィーは、95:5の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて行われた。
【0081】
表1の分子No.30、33、34、37、38、39、40及び44の合成
【化9】

パラ−トルアルデヒド(R、R、R=H、R=Me)及びメチルエチルケトン(R=Me)を用いる表1の分子33の合成のための、代表的な手順を与える:
反応フラスコにおいて、室温にて、10.61molのケトン(1.7当量)と6.24molのアルデヒド(1当量)と0.5mol%のRuCl・nHO(9.2グラム)とを混合した。次に、油浴の温度を115〜130℃に上げながら、反応混合物を撹拌した。注射器により反応混合物のアリコートを取り出し、GC−FIDにより分析した。GC結果に基づき、出発物質の85%が7日間にわたって転化するまで、反応を進行させておいた(この特定のケースにおいて)。次に、この反応混合物を室温に冷却し、その後、1.5Lのトルエンを添加した。有機相を重炭酸塩飽和水溶液で抽出した(4×750mL)。各回、水相をトルエンで洗浄した(2×100mL)。この洗浄の後、全有機相を組み合わせ、重炭酸塩飽和水溶液(750mL)でもう一回、及び、食塩水(3×250mL)で洗浄した。
【0082】
次に、有機相を回転蒸発器で乾燥させた(10kPa(100mbar)にて70℃)後に得られた粗生成油に一連の亜硫酸水素塩洗浄を行った。この粗生成油を当量のトルエン中に溶解させ、40重量%のNaHSO水溶液(粗生成油中に存在するアルデヒドの量について計算されるように、1.5当量の亜硫酸ナトリウム)と共に室温にて混合した。この混合物を室温にて1時間にわたって激しく撹拌し、有機画分をデカントした。この水層を50mLのトルエンで一回抽出した。
【0083】
組み合わせた有機画分を重炭酸塩飽和水溶液(2×25mL)及び食塩水(2×25mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。アルデヒドの総量が4%を下回るまで、この亜硫酸水素塩洗浄を繰り返した(この特定のケースでは、3回の洗浄が行われた)。蒸留(0.4〜0.7kPa(4〜7mbar)、油浴115〜160℃)と、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE、2×200重量%)からの再結晶化とにより、この化合物を精製した。
【0084】
類似体についての代表的なプロトコルの変更点を以下の表に与える:
【表6】

:フラッシュクロマトグラフィーは、9:1の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて行われた。
:より多くのRuCl触媒を添加した。
【0085】
表1の分子No.32、35、36、41、42、43、45、46及び47の合成
【化10】

ベンズアルデヒド(R、R、R、R=H)を2−ペンタノン(R=Et、R、R=H)と縮合することによる表1の分子35の合成のための、代表的な手順を与える:
2Lのフラスコにおいて、330グラムのベンズアルデヒド(1当量)を1リットルの2−ペンタノン(3当量)と混合した。反応混合物を5〜10℃に冷却し、徹底的に撹拌し、その後、40mLのNaOH、50重量%水溶液(0.5当量、61g)をゆっくりと一回で添加した。30分後、反応混合物の温度を20℃に上昇させておいた。反応は周囲温度にて5時間にわたって継続した。次に、反応混合物を、等量の氷で冷却した2MのHCl溶液に添加することにより、クエンチした。2−ペンタノン(2×100mL)での抽出後、組み合わせた有機画分を重炭酸塩飽和水溶液(50mL)及び食塩水(50mL)で洗浄した。有機画分を組み合わせ、回転蒸発器で濃縮したところ、黄色油が得られた。この粗生成油を、400mLのジエチルエーテル(EtO)を含有する三角フラスコに注入した。このフラスコを100mLのEtOですすぎ、これを有機相に添加した。次に、500mLの飽和NaHSO水溶液を、組み合わせた有機画分に室温にて添加した。この混合物を1時間にわたって激しく撹拌し、その後、有機相をデカントし、重炭酸塩飽和水溶液(25mL)及び食塩水(25mL)で洗浄した。得られた黄色油を回転蒸発器で濃縮し、膜ポンプで乾燥させた(0.4kPa(4mbar)にて70℃)。この化合物をまず蒸留(115〜125℃、0.1〜0.3kPa(1〜3mbar))により精製した。その後、更に2回の亜硫酸水素塩洗浄を行った。
1.:Cao,Y.−Q.、Dai,Z.、Zhang,R.及びChen,B−H、Synth.Commum.,2005,35,1045〜1049と同様。
【0086】
類似体についての代表的なプロトコルの変更点を以下の表に与える:
【表7】

:フラッシュクロマトグラフィーは、7:3の石油エーテル/エチルアセテートの混合液の溶媒条件から計算されたBiotageのPS1:TLCに基づく方法を用いて行われた。
【0087】
表1の分子No.7の合成:
【化11】

【表8】

並列合成用ガラス器具(フラスコ、凝縮器及び滴下漏斗)と撹拌棒と隔膜と注射器とをオーブンにおいて80℃及び2kPa(20mbar)にて24時間にわたって乾燥させた。全てのガラス器具を前に見たように取り付け、アルゴン雰囲気下で室温に冷却し、その後、AlClをトルエン中に溶解させた。この反応槽を氷浴中に配置し、しばらくしてから酸塩化物を滴加した。滴下漏斗を介するこの酸塩化物の添加は非常にゆっくりとしているが、わずかな発熱反応が開始し、大量の気体が発生した。2分毎に圧力を解放した。この反応混合物を一晩室温にて撹拌し、その後、反応物をGC MSによりチェックした。次に、5つのアイスキューブが入った脱塩水中にて、この反応混合物をクエンチした。白色懸濁物が形成された(発熱、更にアイスキューブを添加した)。ガラス器具を25mLのEtOで洗浄し、組み合わせた有機層を濾過し、エーテル(2×20mL)で抽出した。次に、有機層を2×25mLのNaHCO水溶液で処理し、この水層を再びジエチルエーテル(2×10mL)で抽出した。次に、有機画分を採取し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で乾燥させた(低圧力、高温)ところ、暗色油が形成した。この化合物を冷蔵庫内に定置したところ、しばらく後で凝固した。
【0088】
再結晶化によるケトンの精製を試みた。まず、これを最少限の量のEtO中に溶解させた。冷却したところ、数時間後に凝固した。この手順を2回繰り返したところ、無色結晶が生じた。
【0089】
表1の分子No.49、50及び61の合成
【化12】

【表9】

表1の分子50の合成のための、代表的な手順を与える。
【0090】
工程1.
n−ブチルリチウムの溶液(シクロヘキサン中2.2M−1当量)を、無水THF中の氷冷ジイソプロピルアミン(1当量)溶液に滴加した。この温度にて10分にわたって撹拌した後、この混合物にプロピオニトリル(5当量)を添加した。更に10分にわたって0℃にて混合した後、プレニルブロミド(1当量)を添加した。反応転換に続き、GC−MSを行い、0℃における15分の撹拌後、完了したものとみなした。
【0091】
この反応液をNHCl飽和水溶液の添加によりクエンチし、EtOで抽出した。組み合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、石油エーテル−EtO混合液(9−1)での溶出によりシリカ上で急速濾過を用いて、精製した。減圧下での溶出液の濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0092】
工程2.
メチルリチウム溶液(1.2当量)をニトリル(1当量)の無水THF(0.5M)中の溶液に−20℃にて滴加した。−10/−20℃にて15分にわたって撹拌した後、完全転化がGC−MSにより観察された。この反応液をHSO溶液(2M−2当量)でクエンチし、その場で形成されたイミンの完全な加水分解が観察されるまで、周囲温度にて撹拌した。次に、この混合物をEtOで抽出し、NaHCO飽和水溶液で洗浄した。組み合わせた有機相をMgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、石油エーテル−MTBE混合液(95−5)で溶出させることにより、カラムクロマトグラフィーを用いて精製した。減圧下での所望の画分の濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0093】
表1の分子No.52の合成:
【化13】

20mmolの4,4−ジメチル−3−オキソペンタノエートから開始して、化合物52を合成した。
【0094】
工程1.
4,4−ジメチル−3−オキソペンタノエート(1当量)とKCO(2.2当量)との無水アセトン(0.9M)中の溶液にヨードメタン(3.3当量)を60℃にて添加した。この混合物を同じ温度にて16時間にわたって撹拌し、室温に冷却後、MgSO上で乾燥させた。有機混合物を減圧下で濃縮して、更なる精製なしに生成物を得た。
【0095】
工程2.
工程1で形成されたβ−ケトエステルをMTBE(0.6M)中に溶解させ、ナトリウムt−ブトキシド(1.1当量)及びプレニルブロミド(1.5当量)を室温にて添加した。この得られた混合物を同じ温度にて16時間にわたって撹拌し、HSO飽和水溶液(0.5M)でクエンチした。混合物をMTBEで抽出した後、採取した有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、溶出剤として石油エーテル−MTBE混合液(95−5)を用いるカラムクロマトグラフィーにより、精製した。減圧下での溶出液の濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0096】
表1の分子No.53の合成:
【化14】

45mmolの3,3−ジメチル−2−ブタノンから開始して、化合物53を合成した。
【0097】
n−ブチルリチウムの溶液(シクロヘキサン中2.2M−2当量)を、無水THF(0.5M)中の氷冷ジイソプロピルアミン(2当量)溶液に滴加した。この温度にて10分にわたって撹拌した後、この混合物に3,3−ジメチル−2−ブタノン(1当量)を添加した。更に10分にわたって0℃にて混合した後、プレニルブロミド(2当量)を添加した。反応転換に続き、GC−MSを行い、周囲温度にて12時間後、完了したものとみなした。
【0098】
この反応液をNHCl飽和水溶液の添加によりクエンチし、EtOで抽出した。組み合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、溶出剤として石油エーテル−MTBE混合液(95−5)を用いるカラムクロマトグラフィーにより、精製した。減圧下での溶出液の濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0099】
表1の分子No.63の合成:
【化15】

15mmolのラバンズロールから開始して、化合物63を合成した。
【0100】
ラバンズロール(1当量)の無水CHCl(0.2M)中の撹拌溶液に周囲温度にて、NaHCO(4当量)及びDess−Martinペルヨージナン(periodane)(1.5当量)を添加した。完全な反応転換は、同じ温度での1時間の撹拌後に、GC−MSを介して観察された。この反応液を石油エーテルの添加によりクエンチし、シリカゲルプラグで濾過し、石油エーテル−EtO混合液(9−1)ですすいだ。粗生成アルデヒドを、減圧下の濃縮により、得た。
【0101】
このアルデヒドをt−BuOH(0.2M)及び2−メチル−2−ブテン(0.6M)の中に溶解させた。この得られた溶液を0℃に冷却し、NaClO(10当量)とNaHPO(8当量)との水(0.3M)溶液を添加した。反応混合物を放置し周囲温度まで暖めて、2時間撹拌した。この得られた混合物を、リン酸塩緩衝液(pH 7)の添加により、クエンチした。この2つの層を分離し、水層をCHClで抽出した。組み合わせた有機相をMgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。溶出石油エーテル−EtO(1−1)を用いるカラムクロマトグラフィーにより、無色油として化合物が得られた。
【0102】
表1の分子No.73、74、75、76、77、91、106、109、121、124、130、132、136、138、139、143、148、152、157、158及び161の合成:
【化16】

【表10−1】

【表10−2】

表1の分子152の合成のための、代表的な手順を与える。
【0103】
n−ブチルリチウムの溶液(シクロヘキサン中2.2M−1当量)を、無水THF(0.5M)中の氷冷ジイソプロピルアミン(1当量)溶液に滴加した。この温度にて10分にわたって撹拌した後、この混合物にi−ブチロニトリル(1当量)を添加した。更に0℃にて10分にわたって混合した後に、3−ブロモシクロヘキサ−1−エン(1当量)を添加した。反応転換に続き、GS−MSを行い、0℃における15分の撹拌後、完了したものとみなした。
【0104】
この反応液をNHCl飽和水溶液の添加によりクエンチし、EtOで抽出した。組み合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、石油エーテル−EtO混合液(9−1)での溶出によりシリカ上で急速濾過を用いて、精製した。減圧下での溶出液の濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0105】
表1の分子No.51、54、55、56、57、58、59、60、62、64、65、66、67、68、69、70、71、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、92、93、94、95、96、97、98、99、100、102、103、104、107、108、110、111、112、113、114、115、117、122、126、127、128、131、133、134、137、142、149、150、151、153、154、155、156、159及び160の合成:
【化17】

【表11−1】

【表11−2】

表1の分子151の合成のための、代表的な手順を与える。
【0106】
メチルリチウム溶液(1.2当量)をニトリル(1当量)の無水THF(0.5M)中の溶液に−20℃にて滴加した。−10/−20℃にて15分にわたって撹拌した後、完全転化がGC−MSにより観察された。
【0107】
この反応液をHSO溶液(2M−2当量)でクエンチし、その場で形成されたイミンの完全な加水分解が観察されるまで、周囲温度にて撹拌した。次に、この混合物をEtOで抽出し、NaHCO飽和水溶液で洗浄した。組み合わせた有機相をMgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、石油エーテル−EtO混合液(9−1)での溶出によりシリカゲル上で急速濾過を用いて、精製した。減圧下での溶出液の濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0108】
表1の分子No.72、105、120、123、144、145、146及び147の合成:
【化18】

【表12】

表1の分子72の合成のための、代表的な手順を与える。
【0109】
工程1.
ホスホニウムブロミド[50889−29−7](1.2当量)の無水THF(0.3M)中の溶液に、周囲温度にてKHMDS(ヘキサメチルジシラザンカリウム−2.4当量)を添加した。同じ温度にて30分にわたって撹拌した後、アセトン(1当量)の無水THF(0.3M)中の溶液を滴加した。この混合物を3時間にわたって撹拌し、水(0.3M)でクエンチし、EtOで抽出した。この得られた水層をHCl水溶液(10%)でpH 2が得られるまで酸性化した。この混合物をEtOで抽出し、この抽出物をMgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、石油エーテル−EtO混合液(1−1)での溶出によりシリカゲル上で急速濾過を用いて、精製した。減圧下での濃縮により、わずかに黄色の油として化合物が生じた。
【0110】
工程2.
工程1で形成された酸(1当量)の無水CHCl(0.5M)中の溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(1当量)を周囲温度にて添加した。この混合物を15分にわたって撹拌し、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(1当量)を添加した。撹拌を同じ温度にて1時間にわたって継続し、この混合物をHCl水溶液(1M−1.1当量)でクエンチした。この水層をEtOで抽出し、NaHCOで洗浄し、MgSO上で乾燥させた。減圧下での濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0111】
工程3.
工程2で形成されたWeinrebアミドを無水THF(0.5M)中に溶解させ、−15℃に冷却した。この混合物にEtMgBrの溶液(1M−1.5当量)を滴加した。−10/−15℃での10分の撹拌の後、完全な反応転換がGC−MSにより観察された。この反応混合物をNHCl飽和水溶液でクエンチし、EtOで抽出し、MgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、石油エーテル−EtO混合液(9−1)での溶出によりシリカゲル上で急速濾過を用いて、精製した。減圧下での濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0112】
表1の分子No.101の合成:
【化19】

100mmolのニトリル[2947−60−6]から開始して、化合物101を合成した。
【0113】
ジイソプロピルアミン(2.2当量−28.1mL)の無水THF(0.5M)中の溶液に、0℃にてn−ブチルリチウムの溶液(2.2当量−100mL、2.2M)を滴加した。同じ温度にて10分撹拌した後、この溶液に2−m−トリルアセトニトリル(1当量−13mL)を添加した。補足的に10分にわたって撹拌した後に、ヨードメタン(2.5当量−15.6mL)を滴加した。0℃での10分の撹拌の後、反応完了を観察した。この混合物をNHCl飽和水溶液でクエンチし、EtOで抽出し、MgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、石油エーテル−EtO混合液(9−1)での溶出によりシリカゲル上で急速濾過を用いて、精製した。減圧下での濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0114】
表1の分子No.116、118及び129の合成
【化20】

【表13】

表1の分子116の合成のための、代表的な手順を与える。
【0115】
化合物68(1当量)の無水THF(0.5M)中の溶液に、メチルマグネシウムブロミド(1.5当量−3M)の溶液を−20℃にて添加した。反応混合物を放置して周囲温度に暖め、2時間にわたって撹拌を継続した。この反応液をNHCl飽和水溶液の添加によりクエンチし、EtOで抽出した。組み合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、溶出剤石油エーテル−MTBE混合液(95−5)を用いるカラムクロマトグラフィーにより、精製した。所望の画分の濃縮により、無色油として化合物が生じた。
【0116】
表1の分子No.119、135及び141の合成
【化21】

【表14】

表1の分子119の合成のための、代表的な手順を与える。
【0117】
化合物117(1当量)の無水EtO(0.5M)中の溶液に、少しずつ水素化アルミニウムリチウム(1当量)を0℃にて添加した。周囲温度での15分の撹拌後、反応完了をGC−MSにより観察した。この混合物を0℃に冷却し、順に、水(使用した水素化物のmgと同量のmL)、15% NaOH溶液(使用した水素化物のmgと同量のmL)及び水(使用した水素化物のmgの2倍の量のmL)を添加した。このクエンチに続いて、周囲温度にて1時間にわたって撹拌した。得られた混合物をセライトで濾過し、フィルターをEtOで洗浄した。減圧下での濾液の濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0118】
表1の分子No.125の合成:
【化22】

11mmolのイソ−ブチロニトリルから開始して、化合物125を合成した。
【0119】
工程1.
4−フルオロ−2−メチルアニソール(1当量)を無水THF(0.7M)中に溶解させ、KHMDS(ヘキサメチルジシラザンカリウム−1.5当量)を室温にて添加した。この混合物を、イソ−ブチロニトリル(4当量)の添加後に、60℃に加熱した。還流を12時間にわたって継続した。この反応液をHCl水溶液(1M)でクエンチし、EtOで抽出した。この有機層をMgSOで乾燥させ、減圧下(55℃にて0.1kPa(1mbar))で濃縮した。この得られた油を、石油エーテル−EtO混合液(9−1)での溶出によりシリカゲル上で急速濾過を用いて、精製した。減圧下での濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0120】
工程2.
工程1で形成されたニトリルを無水THF(0.5M)中に溶解させ、−20℃に冷却した。メチルリチウム(1.3当量−1.6M)の溶液を滴加した。−20℃での10分の撹拌の後、反応完了を観察した。この反応液をHSO溶液(2M−2当量)でクエンチし、その場で形成されたイミンの完全な加水分解が観察されるまで、周囲温度にて撹拌した(一晩、周囲温度)。次に、この混合物をEtOで抽出し、NaHCO飽和水溶液で洗浄した。組み合わせた有機相をMgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、石油エーテル−EtO混合液(9−1)での溶出によりシリカゲル上で急速濾過を用いて、精製した。減圧下での溶出液の濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0121】
表1の分子No.140の合成:
【化23】

24mmolの酸[6120−95−2]から開始して、化合物140を合成した。
【0122】
工程1.
1−フェニル−1−シクロプロパンカルボン酸(1当量)の無水CHCl(0.5M)中の溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(1当量)を周囲温度にて添加した。この混合物を15分にわたって撹拌し、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(1当量)を添加した。撹拌を同じ温度にて1時間にわたって継続し、この混合物をHCl水溶液(1M−1.1当量)でクエンチした。この水層をEtOで抽出し、NaHCOで洗浄し、MgSO上で乾燥させた。減圧下での濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0123】
工程2.
工程2で形成されたWeinrebアミドを無水THF(0.5M)中に溶解させ、−15℃に冷却した。この混合物にEtMgBrの溶液(1M−1.5当量)を滴加した。−10/−15℃での10分の撹拌の後、完全な反応転換がGC−MSにより観察された。この反応混合物をNHCl飽和水溶液でクエンチし、EtOで抽出し、MgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。この得られた油を、石油エーテル−EtO混合液(9−1)での溶出によりシリカゲル上で急速濾過を用いて、精製した。減圧下での濃縮により、無色油として化合物が得られた。
【0124】
実施例2予め形成されたアミン反応生成物
以下の成分:
1つ以上の表1のPRMを含む香料材料を50%、
BASFからのLupasol WF(CAS番号09002−98−6)を50%を秤量し、ガラスバイアル瓶に加え、60℃の温水浴中に使用前に1時間載置した。Ultra−Turrax T25ベーシック装置(IKA製)を使用して、2種類の成分の混合を5分間行った。混合が完了したら、サンプルを60℃の温水浴中に±12時間載置した。均質な粘稠材料が得られる。
【0125】
上記のものと同様の方法において、構成成分間において異なる比率を使用することが可能である:
【表15】

実施例3:84重量%がコア/16重量%が壁の、メラミンホルムアルデヒド(MF)のカプセル(PADリザーバシステム)
25グラムのブチルアクリレート−アクリル酸コポリマー乳化剤(Colloid C351、25%固形分、pKa 4.5〜4.7(Kemira Chemicals,Inc.(Kennesaw,Georgia U.S.A.))を脱イオン水200グラムに溶解及び混合する。溶液のpHを、水酸化ナトリウム溶液でpH 4.0に調整する。部分メチル化メチロールメラミン樹脂(Cymel 385、80%固形分、Cytec Industries West Paterson(New Jersey,U.S.A.))8グラムを乳化剤溶液に添加する。1つ以上の表1のPRMを含む香油200グラムを、先の混合物に機械撹拌しながら添加したところ、温度は50℃に上昇した。安定なエマルションが得られるまで高速で混合した後に、第2の溶液及び4グラムの硫酸ナトリウム塩をこのエマルションに添加する。この第2の溶液は、ブチルアクリレート−アクリル酸コポリマー乳化剤(Colloid C351、25%固形分、pKa 4.5〜4.7、Kemira)10グラム、蒸留水120グラム、pHを4.8に調整するための水酸化ナトリウム溶液、部分メチル化メチロールメラミン樹脂(Cymel 385、80%固形分、Cytec)25グラムを含有する。この混合物を70℃まで加熱し、連続的に攪拌しながら1晩にわたって維持して、カプセル封入プロセスを完了させる。アセトアセトアミド(Sigma−Aldrich(Saint Louis,Missouri,U.S.A.))23グラムをこの懸濁液に添加する。モデル780 Accusizerにより分析したときに30μmの平均カプセルサイズを得る。
【0126】
実施例4:ポリマー支援型送達(PAD)マトリックスシステムの製造プロセス
混合物は、1つ以上の表1のPRMを含む香料組成物を50%、カルボキシル末端Hycar(登録商標)1300X18(CAS番号0068891−50−9)(Noveon製)(混合前に1時間にわたって60℃の温水浴中に置く)を40%、Lupasol(登録商標)WF(CAS番号09002−98−6)(BASF製)(混合前に1時間にわたって60℃の温水浴中に置く)を10%、含む。Ultra−Turrax T25基本装備(IKA製)を用いて5分間混合することにより、混合を達成する。混合後、混合物を±12時間60℃の温水浴中に置く。均質な、粘稠かつ粘着性のある物質が得られる。
【0127】
上記のものと同様の方法において、構成成分間において異なる比率を使用することが可能である:
【表16】

【表17】

【0128】
実施例5:製品配合
本明細書に開示されたPRM、香料及びアミンを含有する製品配合の非限定的な例を、以下の表に要約する。
【表18】

N,N−ジ(タローオイルオキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド。
メチル−ビス(タローアミドエチル)−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート。
脂肪酸とメチルジエタノールアミンとのモル比1.5:1での反応生成物を塩化メチルで四級化して得られる、N,N−ビス(ステアロイル−オキシ−エチル)N,N−ジメチルアンモニウムクロライドとN−(ステアロイル−オキシ−エチル)N−ヒドロキシエチルN,Nジメチルアンモニウムクロライドとの1:1モル混合物。
National Starchから商品名CATO(登録商標)で入手可能なカチオン性高アミローストウモロコシデンプン。
1つ以上の表1のPRMを含む香料
米国特許第5,574,179号、第15欄、1〜5行目に記載の式を有する、エチレンオキシドとテレフタレートとのコポリマーであって、式中、各Xはメチルであり、各nは40であり、uは4であり、各R1は本質的に1,4−フェニレン部分であり、各R2は、本質的にエチレン、1,2−プロピレン部分、又はこれらの混合物である。
WackerからのSE39
ジエチレントリアミン五酢酸。
Rohm and Haas Co.から入手可能なKATHON(登録商標)CG。「PPM」は、「百万分の一」。
グルタルアルデヒド
DC2310の商品名でDow Corning Corp.から入手可能なシリコーン消泡剤。
Rohm and Haas Co.から商品名Aculan 44で入手可能な、疎水変性エトキシル化ウレタン。
本明細書に開示されているようなアミン部分を含む1種以上の材料。
†残部
【0129】
実施例6乾燥洗濯配合
【表19】

本明細書に開示されているようなアミン部分を含む1種以上の材料。
**任意
【0130】
実施例7液体洗濯配合(HDL)
【表20】

本明細書に開示されているようなアミン部分を含む1種以上の材料。
**任意。
【0131】
実施例8シャンプー配合
【表21】

【0132】
実施例9高級芳香剤配合
【表22】

【0133】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0134】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0135】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。


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【公表番号】特表2012−510561(P2012−510561A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539613(P2011−539613)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/066082
【国際公開番号】WO2010/065446
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】