説明

香料ポリマー粒子

香料ポリマー粒子、特定の香料原料物質に対して親和性を有するポリマー粒子、それらを含有する組成物、及びそれらを製造するための方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料原料物質の送達システムとして有用である、香料ポリマー粒子に関する。本発明はまた、この香料ポリマー粒子を含む組成物及びその組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの消費者製品において、香料、特に香料原料物質類(「PRM類」)を長時間に渡ってゆっくりと放出することが望ましい。ほとんどの揮発性香料原料物質、「トップノート」と称されるものは、「フレッシュな香り」の消費者経験に対して役割を担っているので、より揮発性の高いトップノートは制御され持続した様式で放出されることが望ましい。さらに、トップノートは蒸発及び/又は水性媒体への溶解のせいで失われることが多い。
【0003】
配合者にとっての課題の1つは、トップノートの基材への付着を高める技術の探求によって、特に水が存在する場合又は基材がその後に水若しくは水分に曝される場合に、トップノートの喪失を最小限に抑えることである。配合者にとってのもう1つの課題は、フレッシュなにおいのする香りが短いバーストで使い尽くされないように、付着されたトップノートの放出を制御し延長させることである。
【0004】
これらの課題を満たすための最近の進展のいくつかは、香料、特に香料原料物質を重合して、ポリマー粒子にすることを対象とし、これらの進展の詳細はPCT国際公開特許WO01/79303及びEP925,776に記載されている。その他の進展は香料をポリマー粒子に吸収させることを対象とし、これらの進展の詳細は米国特許第6,149,375号、PCT国際公開特許WO00/68352、PCT国際公開特許WO98/28398及びPCT国際公開特許WO98/28339に記載されている。これらの進展はトップノートを選択的に吸収/吸着するポリマー粒子を教示できていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、PRM類を選択的に吸収/吸着し、これらのPRM類を基材に効果的に送達する香料ポリマー粒子が必要とされている。さらに、基材に対する送達及びそれに続く放出のために利用可能であるPRM類の量が増加するように、PRM類に対する、より高い親和性を有する香料ポリマー粒子が必要とされている。このような香料ポリマー粒子が、一旦基材上に付着されると、PRM類、特に揮発性トップノート類の長期間に渡る制御され持続した放出を提供することが、さらに必要とされている。洗い、すすぎ及び乾燥を通して香料ポリマー粒子と共に残るPRM類の量が増加するように、このような香料ポリマー粒子を含む組成物もまた、必要とされている。加えて、このような香料ポリマー粒子を製造するプロセス及びこれらを含有する組成物もまた必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態は、ポリマー;並びに、約1000〜約1400のコバッツ指数値(Kovats Index value)及び所望により次の特徴:約200未満の分子量;約250℃未満の沸点;約3未満のClogPのうちの1つ以上を有する香料原料物質を含む香料を含む香料ポリマー粒子に関し;この香料ポリマー粒子のレスポンスファクター(RF)は、寿命試験プロトコルI又はIIにより測定した場合に、少なくとも約1.5である。
【0007】
本発明の別の実施形態は、ポリマー;並びに、それぞれが約1000〜約1400のコバッツ指数を有し、LKI香料原料物質が集合的に第1の平均レスポンスファクター(ARFLKI)を提供する、1を超えるLKI香料原料物質;及びそれぞれが約1700を超えるコバッツ指数値を有し、HKI香料原料物質が集合的に第2の平均レスポンスファクター(ARFHKI)を提供する、1を超えるHKI香料原料物質を含む香料を含む香料ポリマー粒子に関し、この香料ポリマー粒子は、寿命試験プロトコルI又はIIにより測定した場合に、少なくとも約1.2のARFLKI/ARFHKI比を示す。
【0008】
本発明はまた、ポリマー粒子、上記の実施形態による香料ポリマー粒子を含む組成物、及びこの香料ポリマー粒子を製造する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(定義)
「非重合的に結合した」とは、本明細書で使用するとき、香料は、ポリマー粒子が形成された後に、そのポリマー粒子中に吸収されるか、そのポリマー粒子上に吸着されるか、又は他の方法でポリマー粒子と結合することを意味する。換言すれば、香料はポリマー粒子の重合又は溶融の間は存在しない。具体的には、香料は、予め形成されたポリマー粒子と混合されて本発明に従う香料ポリマー粒子を生成する。本発明の目的のためには、香料とポリマー粒子との間の結合は封入を除外し、封入とは、ポリマーが香料をコアシェル型構造でほぼ完全に包囲することを意味する。
【0010】
「寿命(Longevity)」とは、有益剤送達システムと接触した後の任意の時点において、基材から放出される香料原料物質の量の向上及び/又は増加によって示される。
【0011】
「有益剤送達システム」は、本明細書で使用するとき、基材が前記有益剤送達システムに曝露された後の任意の時点において、前記基材への香料原料物質の付着及び/若しくは前記基材からの香料原料物質の放出を増加又は向上させるような方法で組み合された、香料原料物質、ポリマー粒子及び所望により補助成分を含む香料組成物を指す。
【0012】
(香料)
香料類又は香油類は香料原料物質類(「PRM類」)並びに他の揮発性のより低い物質類を含んでいる。PRM類はそれらの沸点(B.P.)、オクタノール/水分配係数(P)、及びコバッツ指数値によって特徴付けられる。
【0013】
多くの香料成分の沸点は、例えば「香料及び風味料化学(Perfume and Flavor Chemicals)(アロマケミカルズ(Aroma Chemicals))」(ステフェン・アークタンダー(Steffen Arctander)、著者により出版、1969年)に報告されている。
【0014】
物質のオクタノール/水分配係数は、その物質のオクタノール中及び水中における平衡濃度間の比である。オクタノール/水分配係数は、あるいは、10を基準とした(base 10)対数目盛ではlogPとして報告され、その計算値が報告される場合は、ClogPとして報告される。本発明での使用に好適な香料成分は典型的には約3未満のlogPを有する。
【0015】
多くの香料成分のlogPが報告されている;例えば、カリフォルニア州アーヴァイン(Irvine)のデイライト・ケミカル・インフォメーション・システムズ社(Daylight Chemical Information Systems,Inc.)(デイライトCIS(Daylight CIS))より入手可能なポモナ92データベース(Pomona92 database)には、元の文献の引用と共に多くのものが入れられている。しかし、logP値は、最も簡便には、同様にデイライト(Daylight)CISから入手可能な「CLOGP」プログラムにより計算される。このプログラムはまた、ポモナ92データベースにおいて入手可能な場合には、実験的なlogP値も一覧にしている。「logPの計算値」(ClogP値)は、ハンシュ(Hansch)及びレオ(Leo)のフラグメント手法により求められる(A.レオ、「総括医薬品化学(Comprehensive Medicinal Chemistry)」、第4巻、C.ハンシュ(C.Hansch)、P.G.サメンス(P.G.Sammens)、J.B.テイラー(J.B.Taylor)、及びC.A.ラムズデン(J.B.Ramsden)編、295頁、ペルガモンプレス(Pergamon Press)、1990年参照)。このフラグメント手法は、各香料成分の化学構造を基にして、原子の数と種類、原子の結合性、及び化学結合を考慮に入れている。この物理化学的特性のために最も信頼でき広く用いられている推定値であるClogP値は、好ましくは本発明で有用な香料成分の選択においてlogPの実験値の代わりに用いられる。
【0016】
コバッツ保持指数システムは、研究室間の物質同定のためのガスクロマトグラフィー(GC)データを報告するための精密法である。それは、GCによる保持時間と化学同定との間の相関における機器パラメータの影響を除去するために使用される。多くの香料成分のコバッツ指数(KI又はI)値が報告されてきた。未知の物質のコバッツ指数値は次の等式により計算できる:
【数1】

【0017】
この等式はGCカラムにおける特定の固定相に当てはまることが指摘されている。上記の等式に基づき、直鎖アルカンのコバッツ指数は炭素原子の数の100倍に等しい。例えば、オクタンはKI値が800であり、デカンはKI値が1000である。別の例では、オクタノールは特定の層においてKI値が826であり、ヘキサデカノールはKI値が1626である。本明細書で用いられるKI値は、カラム(「DB−5カラム」と称される)における非極性固定相としてポリジメチルシロキサンを用いて決定される。
【0018】
代表的なPRM類は本明細書に記載されたKI表において識別される。
【表1】


【0019】
本発明及び本明細書に記載された試験プロトコルの目的のためには、低いKIのPRM類は1000〜1400のコバッツ指数値を有するPRM類を指し、高いKIのPRM類は1700を超えるコバッツ指数値を有するPRM類を指す。
【0020】
本発明のポリマー粒子と結合する香料は次の特徴:約200未満の分子量、約250℃未満の沸点(通常の標準圧で測定)、約3未満のClogP、又は約1700未満のコバッツ指数値のうちの1つ以上の特徴を有するPRM類を含む。こうしたPRM類はしばしば「トップノート」と称される。
【0021】
本明細書で使用するのに好適なPRM類の非限定例としては、これらに限定されないが、ベンズアルデヒド、ベンジルアセテート、左旋性−カルボン、ゲラニオール、ヒドロキシシトロネラール、シス−ジャスモン、リナロール、ネロール、フェニルエチルアルコール、α−テルピネオール、オイゲノール、イソオイゲノール、インドール、メチルシンナメート、メチル−N−メチルアントラニレート、バニリン、イソボルニルアセテート、カルバクロール、α−シトロネロール、シトロネロール、アニスアルデヒド、リナリルアセテート、メチルアントラニレート、フロルアセテート(flor acetate)、及びジヒドロミルセノールが挙げられる。
【0022】
1つの実施形態では、PRM類は、ベンズアルデヒド、ベンジルアセテート、左旋性−カルボン、ゲラニオール、ヒドロキシシトロネラール、シス−ジャスモン、リナロール、ネロール、フェニルエチルアルコール、α−テルピネオール、ジヒドロミルセノール、シトロネロール、アニスアルデヒド、リナリルアセテート、メチルアントラニレート、フロルアセテート(flor acetate)、及びこれらの混合物から成る群より選択される。
【0023】
(プロトコルI 香料付着及び送達試験)
本発明の香料組成物において有用な香料ポリマー粒子は、基材上に付着される及び/又は基材から放出される香料原料物質の濃度を向上させる/増大させる香料ポリマー粒子を包含する。
【0024】
香料ポリマー粒子が基材への付着及び/又は基材からの放出を向上させる/増大させるかどうかを判定するために、以下の試験プロトコルが提供される。これらの試験プロトコルのための基材として、水性媒体中の布地物品が用いられる。以下の試験プロトコルを、香料ポリマー粒子が本発明の範囲内に入るどうかを判定するために、用いることができる。以下の試験プロトコルの全てが範囲外と示す場合には、香料ポリマー粒子は本発明の範囲外となる。
【0025】
プロトコルIA(香料アコード送達又は寿命試験):香料原料物質及びポリマー粒子を含む各有益剤送達システムをプロトコルIAに従って試験する。香料に通常見出される香料原料物質(PRM)のそれぞれは、各ポリマー粒子(PP)と共に試験されて、組み合わせ(PRM−PP)が、PRMのみの場合に得られるものよりも大きな、送達されたPRMの濃度及び/又は寿命における、向上及び/又は増大を示すかどうかが判定される。
【0026】
分析測定(クロマトグラフィーなど)がこうした組み合わせによって影響を受けない限り、市販の香料アコードにおいて入手可能なもののような複数のPRM類を、単一の又は複数のポリマー粒子の存在下で一緒に試験してもよい。
【0027】
例えば、3つのPRMを含有するPRM送達システムと単一のポリマー粒子(PP)は、次の単一変数試験(single-variable test)を必要とする:前記PRM類がクロマトグラフィーで分離可能であり、それぞれのPRMの量が他方の存在下で判別できるという条件において、PRM−PP、PRM−PP及びPRM−PPを含有する試料を、PRM、PRM、PRMを含有する対照と比較する。クロマトグラフィーで互いに分離可能でない香料原料物質は、別々の試験を行わなくてはならない。
【0028】
PRMとPRMが分離可能でない別の実施例では、以下の試験のうちの1つが必要とされる:
I.試料(PRM−PP及びPRM−PP)対、対照(PRM及びPRM)、並びに試料(PRM−PP)対、対照(PRM);又は
II.試料(PRM−PP及びPRM−PP)対、対照(PRM及びPRM)、並びに試料(PRM−PP)対、対照(PRM);又は
III.試料(PRM−PP)対、対照(PRM)、試料(PRM−PP)対、対照(PRM)、及び試料(PRM−PP)対、対照(PRM)。
【0029】
どの試験におけるPRMも、同じ試験における別のPRMの濃度より、その結果が影響を受けるほど(すなわち、PRM類を別々に試験した場合と著しく異なる結果となるほど)、ずっと高い濃度では存在すべきでない。典型的には、PRM類の濃度が約10のファクター内である場合には、結果が同じ試験における他のPRM類の存在によって影響を受けるとは思われない。試験結果が影響を受けるようであるなら、そのPRM類に対しては別個の試験を必要とする。
【0030】
(a)試料濃度
寿命試験(LT)に用いるべきPRM類とPPの濃度は、初期試験溶液(TS)から調製される一連の溶液の中で、1以上の指定された時点でその試験溶液中の各PRMが処理基材から収集されたヘッドスペース試料において検出される、最も低い濃度である。この条件がTSによって満たされないならば、試験溶液中のPRM類とPPの濃度を2倍とし、その新しい溶液(TS)を同じ様式で試験する。上記のPRM検出条件が満たされるまでこのプロセスを繰り返す。上記のPRM検出条件を満たす試験溶液(TS)におけるPRM類及びPPの濃度は、次の等式によりTS中のPRM類及びPPの濃度に関連付けられる:
[PRM、PP](TS中)=2[PRM、PP](TS中);式中、nは0、1、2、3・・・である。
【0031】
濃度を2倍にするプロセスを、PRM類の濃度及びPPの濃度の両方が試験溶液の5重量%を超えるまで繰り返しても、なお上記のPRM検出条件が満たされない場合もある。そのときは、試験を実行するために以下の代替法を用いてもよい。(i)上記のPRM検出条件が満たされるまで、又は(ii)濃度が香料の0.1重量%を超える個々のPRMに関して、以下の2つの代替条件の少なくとも1つが満たされるまで、基材上に移されるTSのアリコートを1.0mLから3mLまで、次いで10mLまで増加させ、又は基材のサイズを1.0g、3.g、次いで10gまで増加させる:
(1)試験溶液中少なくとも80%の低いKIのPRM類及び試験溶液中少なくとも80%の高いKIのPRM類が、1以上の指定された時点で処理基材から収集されたヘッドスペース試料において検出される;又は
(2)試験溶液中少なくとも10の低いKIのPRM類及び試験溶液中少なくとも5の高いKIのPRM類が、1以上の指定された時点で処理基材から収集されたヘッドスペース試料において検出される。
【0032】
(b)試験手順
試験溶液は、試験されるべきPRM(類)及びPP(類)を、組成物中に、消費者製品、例えば洗濯洗剤に使用されるものと等しい濃度で、共に溶解させる又は混合することによって調製される。例えば、消費者製品におけるPRM(類)及びPP(類)のそれぞれの濃度は、製品の2.0重量%及び4.0重量%であってよい。溶液を大気から遮断し室温で24時間ねかせて、TSで示される初期試験溶液を得る。
【0033】
重量0.45〜0.65gの4cm直径の布地の円を86/14の綿/ポリテリー(poly terry)洗い布(EMC(オハイオ州シンシナティ、レインフォルド通り7616、45237)より入手)から裁断し、試験基材として用いる。所与の試験における基材類の重量は、互いの±0.02g以内でなければならない。1.0mLアリコートのTSを、ピペットを用いて、そのピペットが基材の中央近くを指すようにして基材上に移す。次いで、1.0mLアリコートの脱イオン(DI)水を同様のやり方で基材に加える。基材をニトリルグローブをした手の平に1分間擦り付けることにより泡立てる。次に基材を40mLの35℃DI水を含有する瓶に入れる;瓶に蓋をし、30秒間振り混ぜる。次いでピンセットを用いて基材を取り出し、ペーパータオル上で静かに拭って過剰の水を除去する。上記の工程(試験溶液の充填、希釈、泡立て/洗浄及びすすぎを含む)によって処理された基材を、周囲条件下で大気に放置し、特定の期間風乾する。その後、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(HSGC)によって基材を分析し、2、6、及び24時間の各時点におけるヘッドスペース中の各香料原料物質の量を判定する。
【0034】
(c)ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(HSGC)
好適な装置は、S.マエノ(Maeno)及びP.A.ロドリゲス(Rodriguez)により、クロマトグラフィー誌、A731巻(1996年)、201〜215頁に記載されている。この装置には次のものが含まれる:
1)基材(上記のように処理され風乾されたもの)を収容し、PRM(類)をヘッドスペースに分配して平衡に到達させるためのヘッドスペースコレクター;
2)アロマ物質(香料又は香料原料物質など)を保持する能力を有する、多孔質ポリマーを含有するトラップ;
3)捕捉されたヘッドスペース蒸気を定量分析のためにGCへ移送するための移送装置;及び
4)ヘッドスペース検出能力を有するGC−MS;この装置は移動相としてヘリウムを使用する。
【0035】
上述したように処理され特定の期間風乾された基材を、ヘッドスペースコレクターに入れ、約2時間かけて分配させて平衡に到達させる。平衡後、アロマ物質を保持する能力を有する多孔質ポリマー、好ましくはテナックス(Tenax)(登録商標)TA35/60メッシュ(ゲルステル社(Gerstel,Inc.)(メリーランド州ボルチモア(Baltimore))より入手可能)を含有するトラップをヘッドスペースコレクターに有効に接続させ、平衡化されたヘッドスペース蒸気を捕集する。移送装置を用いて、香料原料物質を含有する捕捉されたヘッドスペース蒸気を、定量分析のためにGCへと移送する。この装置は、収集されたヘッドスペース蒸気を含有する多孔質ポリマートラップを加熱して、この蒸気を(一般には液体窒素によって)約−100℃未満に冷却されたコールドトラップに移送することができる。コールドトラップへの移送が完了した後、コールドトラップを短時間、典型的には約1分間で、温度約280℃まで急激に加熱することで、ヘッドスペース蒸気を直接キャピラリーGCカラムへと移送する。
【0036】
典型的なカラムは、100%ジメチルポリシロキサン(DB−5カラム)であるか又は約5%のフェニルを含有するフェニルメチルポリシロキサンであることができる固定相を有し、内径0.18〜0.32mm、長さ30〜60メートルである。GC−MSはアルデヒド型又はケトン型のPRM類を同定及び定量化する能力を有する。同定は質量分析によって達成され、定量は、FID(水素炎イオン化)検出器又はPID(光イオン化)検出器のような別個の検出器を用いて行われる。具体的なGC/MS条件を以下に記載する。
【0037】
香料構成成分をDB−5カラム(ジメチルシロキサン、60mx0.32mm、0.25μm)上でMS(同定用)とFID(定量化用)の両方にスプリットモードで分離する。GC条件は以下の通りである:試料を約35℃のオーブン温度で2分間保持し、次いでGCを、4℃/分で200℃まで昇温した後、10℃/分で325℃まで昇温するするようにプログラムする。吸入圧を9.45kPa(13.7psi(9.45N/m))で一定に保つが、この圧力は約2.4mL/分の不活性ガス(例えばヘリウム)流量に相当する。MS条件は以下の通りである:スキャン範囲35〜400amu(原子単位(atomic units))。移送ラインは約250℃に維持する。
【0038】
定量測定はランから平均の20%以内に再現可能でなければならない。所与のランからの結果が前記範囲にない場合、前記ランからのデータを破棄し、試験を繰り返さなければならない。少なくとも3回の統計ランの平均を報告する。
【0039】
(d)代表的な結果
上記のPRM検出条件又は代替条件(複数可)を満たす所与の試験溶液TSを調製する。ポリマー粒子が含まれないことを除いてはTSのすべての構成要素をTS中での濃度と同一の濃度で含有する第2の試験溶液TSを調製する。ポリマー粒子(PP類)を含有しない溶液(TS)を用いて同一の手順を行う。溶液TSは試験において対照溶液の役割を果たす。上述したような所与の試験溶液のセット(TS及びTS)に関して同一試験条件でデータを収集し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(HSGC)によって分析し、3つの指定時間(2、6、及び24時間)の各時点におけるヘッドスペース中の各PRMの量を判定する。次の表は、24時間の時点における寿命試験から得ることができる結果の型を実証する:
【表2】

【表3】

ここで、レスポンスファクター(RF)はTS試料で処理された基材から特定の時点において収集されたヘッドスペースにおける有益剤(例えば香料原料物質)の量を、TSで処理された基材から同じ時点において収集されたヘッドスペースにおける同じ有益剤の量と比較した比であり、平均レスポンスファクター(ARF)は試験溶液における測定されたすべてのPRM類からのRFの平均である。
【0040】
香料ポリマー粒子の寿命利益は、3つの指定時点のいずれか1つにおいて特定のPRMのRFが少なくとも約1.5、好ましくは少なくとも約3、より好ましくは少なくとも約5、最も好ましくは少なくとも約10である場合、特定のPRMに対し確認される。寿命利益が確認されるならば、その香料ポリマー粒子は本発明の範囲内に入る。
【0041】
例えば、上記の表におけるデータは、PRM/PP両方が、24時間に等しい風乾時間においてTSのものよりも大きい(少なくとも約1.5倍の)TSからのHSGCエリアカウントを示すため、PPの存在下でのPRM及びPRMに関する寿命利益を確認する。
【0042】
加えて、寿命利益がPRM混合物に対して確認される場合、香料ポリマー粒子は本発明の範囲に入る。3つの指定時点のいずれか1時点において、RF又はARFが以下の要件の1以上を満たす場合、寿命利益はPRM混合物に対して確認される:
1.1以上のLKI香料原料物質に関するレスポンスファクターが、いずれのHKI香料原料物質に関するレスポンスファクターよりも大きい場合;又は
2.1以上のLKI香料原料物質に対するレスポンスファクターが、HKI香料原料物質に関する平均レスポンスファクター(ARF)よりも大きい場合;又は
3.測定されたすべてのLKI香料原料物質に関するARFが、測定されたすべてのHKI香料原料物質に関するARFよりも大きい場合。
【0043】
例えば、上記の表におけるデータは、PRM1〜6及びPPを含有する香料アコードの香料ポリマー粒子に関する寿命利益を確認する。
【0044】
プロトコルIB(香料原料物質アコード送達又は寿命試験):ポリマー粒子を含む各有益剤送達システムをプロトコルIBに従って試験するが、この試験では、選択された香料原料物質から作製されたアコードが各ポリマー粒子(PP)と共に試験されて、PRM類とPP(類)との組み合わせが、PRMのみの場合に得られるものと比較して、基材に送達される若しくは基材から放出されるPRM(類)の濃度の向上若しくは増大、又は持続された放出時間を実証するかどうかを判定する。
【0045】
プロトコルIBに従い、総数20のPRM類(1000〜1400のコバッツ指数値を有するPRM類を10と、1700を超えるコバッツ指数値を有するPRM類を10とを含み、それらのすべてが本明細書の上記の代表的なPRM類の表から選択される)を、香料ポリマー粒子中において、上述の試験溶液(TS及びTS)に対する寿命試験において記載したように、以下の変更を伴って、評価しなければならない。
【0046】
寿命試験に用いられるべき20のPRM類の混合物中での各PRMの相対濃度は、試験溶液中で20のPRMのうちの少なくとも18が、指定された時点(2、6、24時間)のうちの少なくとも1つにおいてHSGCによって検出される濃度である。PRMが機器検出限界よりも低いHSGCエリアカウントを有する場合は、HSGC分析においてはゼロ値を示し、こうしたPRMは「非検出」PRMと称されることに留意されたい。
【0047】
(a)この検出条件がTSによって満たされない場合には、試験溶液中におけるPRM類の全体の濃度を2倍にし、新しい溶液(TS)を同様の様式で試験する。いずれかの試験溶液におけるPRM類の全体の濃度が5重量%を超えない限り、試験溶液(TS及びTS)が上述の検出条件を満たすまでこのプロセスを繰り返す。
【0048】
(b)濃度調節(5重量%制限まで)の後、上述の検出条件がなおも満たされない場合、すなわち、試験溶液中の20のPRM類のうち18未満しか、指定時点でHSGCによって検出されない場合は、試験溶液におけるそれらの非検出PRM類の濃度を増加させることによって20のPRM類の相対濃度を調節しなければならない。
【0049】
(c)特定のPRMの濃度を増加させても上述の検出条件を満たせなかった場合は、非検出PRM(類)は以下に従って扱われることになる:
(i)非検出PRM(類)が高いKIのPRMであるならば、これを本明細書中上記の代表的な表から選択される代替の高いKIのPRMと置き換えなければならない;これは本発明のポリマー粒子が低いKIのPRM類に対する親和性を有するようになっており、したがって、高いKIのPRM類からのレスポンスは、ポリマー粒子によって達成される、そのポリマー粒子との親和性の低い又は全く親和性を有さないPRMに対する送達のレベルを示す、単なる対照にすぎないためである;及び
(ii)本発明のポリマー粒子は望ましくは低いKIのPRM類(すなわち、トップノート類)に対して向上した親和性を有するべきであるので、低いKIのPRMがTSにおいて検出不可能であり、TS中において検出可能となることが予想でき、このことは、ポリマー粒子が存在する場合に、前記PRMの基材への向上した送達が達成されることを示している;この場合、その対象である低いKIのPRMは置き換えられるべきではなく、代わりに、こうしたPRMに対するレスポンスファクター値を10倍として規定すべきである。
【0050】
(d)さらに、20のPRM類のうちのいずれかが、TS(対照溶液)におけるHSGCエリアカウントよりも小さいTS(試料溶液)におけるHSGCエリアカウントを示すならば、こうしたPRM(類)に対するレスポンスファクター値は1.0倍として規定すべきである。
【0051】
以下の表は、24時間の時点における寿命試験から得ることができる結果の型を示している:
【表4】

ND=非検出
10個の低コバッツ指数(LKI)PRM類に対して報告されたARFが10個の高コバッツ指数(HKI)PRM類に対して報告されたARFよりも大きい場合、ポリマー粒子は本発明の範囲内に入る。具体的には、ARFLKI/ARFHKIの比は少なくとも約1.2、好ましくは少なくとも約2、より好ましくは少なくとも約4である。さらに、この比により、高いKIのPRM類よりも、低いKIのPRM類に対するポリマー粒子の選択性又は親和性もまた実証される。
【0052】
プロトコルII(香料付着)
上記のプロトコルIに対して調製された2重量%の香料ポリマー粒子を含有する布地柔軟仕上げ剤製品を用いて、通常の消費者洗濯条件下で布地類を処理する。通常の消費者洗濯条件には、64リットルの水(1ガロン当たり6グレインの硬度)中で32℃で洗浄し、水(6ppg硬度)中で21℃ですすいだ3.2Kgの布地束の洗濯物が含まれ、その際、この布地束の洗濯物には、典型的に9枚の大判綿Tシャツ(100%綿)、7枚のポリコットン枕カバー、7枚のポリコットンハンドタオル、4枚の100%綿テリークロス、及び4枚の86/14の綿/ポリテリー洗い布(プロトコル1Aで使用した布地と同じもの)が含まれる。香料の付着は、0.2グラムの86/14の綿/ポリテリー洗い布からの布地をガラス管に入れ、50mL/分のヘリウムでパージしながら20分間加熱する、布地抽出分析によって測定される。香料抽出物はテナックス(Tenax)(登録商標)TA60/80トラップ(ゲルステル社(Gerstel,Inc.)(メリーランド州ボルチモア)より入手可能)に収集し、引き続きGC/MSにより分析して、存在する各PRMの量を定量的に測定する。結果を、同じ濃度の香料を含有するがポリマー粒子を含有しない布地柔軟仕上げ剤製品で処理された布地と比較する。本発明によって提供されるトップノートPRM類の濃度の典型的な増加は、ポリマー粒子を含有しない柔軟剤製品で処理された布地のものよりも、約3倍〜約1000倍、好ましくは約5倍〜約500倍の範囲大きい。ポリマー粒子を含有しない布地柔軟剤製品については、布地上のいくつかのトップノートPRM類がGC/MS機器の検出限界未満であることもまた見出された。しかし、布地柔軟剤製品におけるポリマー粒子の存在は、布地におけるこれらのトップノートPRM類の濃度を、検出限界を超えるように増加させる。
【0053】
(プロトコルIII ポリマー粒子親和性試験)
本発明の組成物に有用なポリマー粒子は、約1000〜約1400のコバッツ指数値及び以下の特徴:約200未満の分子量;約250℃未満の沸点;約3未満のClogP;のうちの1つ以上を有するPRMに対して、これらの特徴を1つも有さない他のPRM類に対する親和性よりも高い親和性を示す。以下のポリマー粒子親和性試験プロトコルIIIを使用して、ポリマー粒子が本発明の範囲内に入るかどうかを判定することができる。
【0054】
ポリマー粒子は、香料を含有する液体消費者製品(液体布地柔軟仕上げ剤のような)中に完全に混合される(攪拌、振盪などによる)。製品及びポリマー粒子は平衡化され(例えば3〜4日間)、その間に、ポリマー粒子は香料中の1以上のPRM類と結合される(又は1以上のPRM類で「装填される」)。次いで、製品及び装填されたポリマー粒子は、4,189ラド/秒(rad/s)(40,000rpm)で16時間の超遠心分離によって分離される。遠心分離の後、内容物は、例えば上が脂質層、中間が水性層、及び下が粒子層である、識別可能な層に分離される。各層からの試料を好適な有機溶媒(例えばアセトン)で抽出し、香料同定のために、GC/MSによって、上記で規定の機器条件を用いて分析する。
【0055】
上層又は中間層のどちらかにおける上述の分子量、沸点、ClogP及び/又はコバッツ指数値を有するPRM類の濃度と比較して、下部粒子層が相対的に同様のPRM類に富む場合に、GC/MS分析結果において示されるようなポリマー粒子の選択性又は親和性が実証される。換言すれば、下部粒子層における低いKIのPRM類のARFは、上層又は中間層におけるその低いKIのPRM類のARFよりも、少なくとも約1.2倍、好ましくは少なくとも約4倍大きい。
【0056】
(ポリマー粒子)
本発明のポリマー粒子は、少なくとも1つのカチオン性モノマー及び1以上の非カチオン性モノマーから、好ましくは架橋モノマーからも、重合される。重合プロセスは、エマルション、懸濁、又はミニエマルション重合など、当該技術分野で既知のいかなる好適なプロセスであってもよい。重合中、ポリマー粒子が凝集する、及び/又はそのポリマー粒子が形成される水性溶液から結晶化する(crashing out)のを防ぐために、乳化剤又は安定化剤が存在してもよい。
【0057】
ポリマー粒子のモノマー類は、得られるポリマー粒子が約200未満の分子量、約250℃未満の沸点、約3未満のClogP、又は約1700未満のコバッツ指数値を有する香料原料物質に対する親和性を有するように選択されることができる。
【0058】
別の実施形態では、ポリマー粒子のモノマー類は、得られるポリマー粒子が、本明細書中に記載したプロトコルI及び/又はプロトコルIIによって測定した場合に、約800〜約1500、好ましくは約1000〜約1500、より好ましくは約1000〜約1400のコバッツ指数を有する香料原料物質に対して、より大きな親和性及び/又は改善された寿命利益を示すように、選択されてよい。
【0059】
ポリマー粒子は、約50重量%〜約99.9重量%、好ましくは約60重量%〜約95重量%の非カチオン性モノマー類;約0.1重量%〜約50重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%のカチオン性モノマー類;及び約0重量%〜約25重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%の架橋モノマー類を含むモノマー類の混合物から誘導できる。混合物の非カチオン性モノマーとカチオン性モノマーと架橋モノマーとの重量比は、約10:0.02:0〜5:2.5:1の範囲である。
【0060】
ポリマー粒子は、平均粒径が、ブルックヘブン(Brookhaven)粒度分析器又はホリバ(Horiba)粒度分析器を用いて光散乱によって測定した場合に約100nm〜約50μmであるミクロ粒子又はナノ粒子であることができる。1つの実施形態では、ポリマー粒子は、平均粒径が約1μm〜約39μm、好ましくは約3μm〜約20μm、より好ましくは約5μm〜約12μmであることができる。別の実施形態では、ポリマー粒子は、平均粒径が約100nm〜約1μm、好ましくは約200nm〜約900nm、より好ましくは約700nm〜約900nmであることができる。
【0061】
代表的な実施形態においては、ポリマー粒子は、ガラス転移温度(Tg)が約50℃〜約150℃、好ましくは約80℃〜約120℃である。
【0062】
1つの実施形態では、ポリマー粒子は、モノマー類の重合の後、単一のポリマーを含んでもよい。別の実施形態では、ポリマー粒子は、乳化剤又は安定化剤と重合モノマー又は得られるポリマー粒子との反応(例えばグラフト化)によって生成された2以上のポリマーを含んでもよい。例えば、ポリマー粒子は、モノマー類の重合により得られる第1のポリマーと、その第1のポリマーをグラフト化した又はそれと結合された第2のポリマー、例えばポリスチレン及びポリ(メチルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート)コポリマーとを含んでもよい。
【0063】
ポリマー粒子は水性分散物中で安定であることが望ましい。ポリマー粒子が、洗濯用補助剤、布地柔軟化剤などを含有する香料組成物又は布地柔軟仕上げ剤組成物のような、製品配合物内で安定であることもまた望ましい。
【0064】
ポリマー粒子の安定性は、得られるポリマー粒子の平均粒径、得られるポリマー粒子の実効電荷、そのポリマー粒子と乳化剤又は安定化剤のような組成物中の他の成分との相互作用又は適合性といった因子によって影響され得る。
【0065】
1つの実施形態では、ポリマー粒子は実効カチオン性電荷(net cationic charge)が、ブルックヘブンゼータ電位分析器により測定した場合に約20mV〜約80mV、好ましくは約30mV〜約50mV、より好ましくは約35mV〜約45mVである。
【0066】
水性分散物中及び/又は香料組成物のような製品配合物中のポリマー粒子の安定化を助けるために、コロイド安定化剤(colloidal stabilizer)としても既知の安定化剤をその水性分散物及び/又は製品配合物に添加してもよい。コロイド安定化剤は水性分散物及び/又は製品配合物内の他の成分と適合性であることが望ましい。
【0067】
ポリマー粒子は非水溶性であることができる。換言すれば、水に添加した場合に、「水溶性」である物質は添加後5分以内に水から物理的に分離しないのに対し、ポリマー粒子は、添加後5分以内に水から物理的に分離する(すなわち、沈殿、塊状化、乳化、又は浮揚する)。物理的分離は肉眼で見える必要はない。物理的分離は、光分散又は屈折のような機器によって検知することができる。本発明の目的のための非水溶性物質を記述する別の方法は、非水溶性物質は蒸留水(又はそれに相当する水)に、25℃で、水とポリマー粒子とを含有する混合物の約5重量%を超える、好ましくは約3重量%を超える、より好ましくは約1重量%を超える濃度で、可溶ではないという事実である。
【0068】
ポリマー粒子は、重量平均分子量が約0.0017(1,000)〜約3.32(2,000,000)、好ましくは約0.008(5,000)〜約1.66(1,000,000)、より好ましくは約0.017(10,000)〜約1.24(750,000)、より好ましくは約0.033(20,000)〜約0.83ag(500,000ダルトン)であることができる。ポリマー粒子の重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーのような従来の方法によって測定できる。
【0069】
(A)非カチオン性モノマー
非カチオン性モノマーは疎水性基含有モノマーであってよい。疎水性基の例としては、これらに限定されないが、アルキル類、シクロアルキル類、アリール類、アルカリール類、アラルキル類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
非カチオン性モノマーはヒドロキシル含有モノマー、アニオン性基含有モノマー、又は双性イオン性モノマーであってもよい。非カチオン性モノマーとしては、これらに限定されないが、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPhA)、トランス−ケイ皮酸、2−エチルヘキシルアクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0071】
好適な非カチオン性モノマー類の非限定類としては、これらに限定されないが、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、PEGアクリレート、フェニルメタクリルアミド、tーブチルメタクリルアミド、p−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、ビニルアセテート類、ビニルフェノール類、アシルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホネート、ビニルプロピオネート、メチルアリルスルホン酸、N−ビニルホルムアミド、及びN−ビニルピロリドンが挙げられる。
【0072】
(B)カチオン性モノマー
本発明のカチオン性モノマーは、カチオン性ユニットを含む。本発明の目的のために、用語「カチオン性ユニット」とは、本発明のポリマー粒子の構造に組み込まれた場合にカチオン性電荷をpH約2〜約8の範囲内に維持することができる部分として定義される。カチオン性ユニットは、約2〜約8の範囲内のすべてのpH値においてプロトン化されている必要はない。カチオン性部分を含むユニットの非限定例としては、次式を有するカチオン性ユニット類が挙げられる:
【化1】

式中、R、R及びRのそれぞれは、独立して、水素又はC〜Cアルキルから選択され、好ましくは水素、C〜Cアルキルであり、より好ましくは水素又はメチルであり;Tは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、複素環、シリル、ニトロ、ハロ、シアノ、スルホネート、アルコキシ、ケト、エステル、エーテル、カルボニル、アミド、アミノ、グリシジル、カルバネート(carbanato)、カルバメート、カルボキシル、カルボアルコキシ、及びこれらの混合物から成る群より選択される置換又は非置換、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝状部分であり;Zは、−(CH)−、(CH−CH=CH)−、−(CH−CHOH)−、(CH−CHNR)−、−(CH−CHR−O)−及びこれらの混合物から成る群より選択される部分であり、好ましくは−(CH)−であり、式中、R及びRは、独立して、水素又はC〜Cアルキルから選択され、好ましくは水素、メチル、エチルであり;zは0〜12の整数であり、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜6であり;AはNR又はNRであり、式中、R、R、Rのそれぞれは、独立して、H、C〜C直鎖若しくは分枝状アルキル、又は次式を有するアルキレンオキシから選択され:
【化2】

式中、RはC〜C直鎖若しくは分枝状アルキレン又はカルボニルアルキルであり;R10は水素又はC〜Cアルキルであり;yは1〜約10である。1つの実施形態では、R、R及びRは、独立して、水素、C〜Cアルキルである。あるいは、NR又はNRは、4〜7個の炭素原子を含有し、所望により追加のヘテロ原子を含有し、所望によりベンゼン環に融合し、所望によりC〜Cヒドロカルビル又はアセテート類で置換された複素環を形成することができる。置換及び非置換両方の好適な複素環類の例は、インドリル、イソインドリニルイミダゾリル、イミダゾリニル、ピペリジニルピラゾリル、ピラゾリニル、ピリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、ピロリジニル、グアニジノ、アミジノ、キニジニル、チアゾリニル、モルホリン、及びこれらの混合物であるが、モルホリノ及びピペラジニルが好ましい。
【0073】
本発明のために好適なカチオン性モノマー類の非限定例としては、これらに限定されないが、ジメチルアミノアルキルアクリレート類、特にジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピロリドン類、ビニルイミダゾイル類、ジアルキルアミノ基を有するビニルエーテル類、ビニルピリジン類、アルキルアクリルアミド類、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド類、及びアミノアルキルアクリルアミド類が挙げられる。
【0074】
(C)架橋モノマー
架橋モノマーが、本発明のポリマー粒子中に存在してもよい。好適な架橋モノマー類の非限定例としては、これらに限定されないが、ジアクリレート、ジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリアリルスクロース、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルトルエン、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレアート、トリアリルマレアート、及び1,4−ブタンジオールジアクリレート、トリアリルマレアート1,2−エタンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジビニルベンゼン、及びエチレングリコールジアシレートが挙げられる。
【0075】
(D)乳化剤又はコロイド安定化剤
本発明での使用に好適な乳化剤及び/又はコロイド安定化剤は、当該技術分野で既知である。このような乳化剤又はコロイド安定化剤の非限定例としては、これらに限定されないが、リシノールアミドプロピルトリメチル(ricinolyamidopropyltrimethyl)−アンモニウムメトスルフェート、ココペンチルエトキシメチル−アンモニウムメチルスルフェート、ココビス(2−ヒドロキシエチル)塩化メチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、グリセリルステアレート、ステアラドアミドエチルジエチルアミン(stearadamidoethyl diethylamine)、エトキシル化オレイルアミン類、エトキシル化脂肪族アミン類、エトキシル化四級化脂肪族アミン類、エトキシル化脂肪族アルコール類、ソルビタンステアレート、ポリソルベート、ステアレート、ドデシル硫酸ナトリウム、ノノキシノール硫酸アンモニウム(ammoniumnonoxynol sulfate)、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ゼラチン、ポリビニルアルコール、アミノメチル化デンプン、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート)コポリマー類、変性セルロースセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリオキシエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンコポリマー類、ポリエーテル−変性ジメチコン類及びポリエーテル−アルキル−ジメチコン類コポリマー類、カチオン性シリコーン類並びにポリイミド類が挙げられる。
【0076】
コロイド安定化剤は粒子分散安定性、特に粒径のより大きい粒子の粒子分散安定性を維持するために使用されてもよい。好適なコロイド安定化剤としては、これらに限定されないが、プロピレンオキシド−エチレンオキシドコポリマー類又はエチレンオキシド−プロピレンオキシドグラフト化ポリエチレンイミン類、ポリオキシエチレン(X)イソオクチルフェニルエーテル(ここで、Xは20〜80の整数)、脂肪族アルコールエトキシレート類、ポリエトキシル化ポリテレフタレートブロックコポリマー類ポリビニルピロリドンポリビニルピロリドン及びビニルピロリドン含有コポリマー類が挙げられる。
【0077】
(E)反応開始剤
本発明の重合プロセスに用いるのに好適な反応開始剤は、当該技術分野で既知である。例としては、これらに限定されないが、過硫酸ナトリウム及びアゾ反応開始剤、例えば2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド;2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチラミジン(N,N’-dimethyleneisobutyramidine))ジヒドロクロリド;2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル);2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4ジメチルバレロニトリル);及び2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリルが挙げられる。
【0078】
(ポリマー粒子を調製するための合成例)
(実施例1−ミクロ粒子)
1080gの水
160gの88%加水分解ポリビニルアセテート(あるいはポリビニルアルコールとも称される)(4%水溶液の粘度が40mPa・sである)の10%溶液
510gのメチルメタクリレート
60gのブタンジオールジアクリレート
30gのジメチルアミノエチルメタクリレート
3.8gのt−ブチルペルピバレート
フィードストリーム1:1.08gのt−ブチルヒドロペルオキシド、水中70%強度
フィードストリーム2:0.38gのアスコルビン酸、14gの水
【0079】
最初に上記の物質を、ペルピバレートを除いて室温で導入し、10%強度の塩酸でpH6に調整する。水及びモノマー相は高速溶解攪拌器を用いて2500rmで分散される。40分の分散の後、平均粒径が2〜12μm(直径)の安定なエマルションが得られる。t−ブチルペルピバレートを添加し、エマルションをアンカー攪拌器で攪拌しながら最初は72℃に加熱し、次にさらに120分間かけて85℃に加熱し、さらに60分間85℃に保つ。得られるミクロ粒子分散物を攪拌しながら70℃まで冷却し、フィードストリーム1を添加する。70℃で80分間攪拌しながら、フィードストリーム2を計量し入れる。次いで組成物を冷却し、得られるミクロ粒子分散物は固体含有量が31.2%であり、粒径は重合前のエマルションの平均粒径と同等である。
【0080】
(実施例2−ミクロ粒子)
以下のモノマー混合物を用いて、記載されたように実施例1を繰り返す:390gのメチルメタクリレート、180gのスチレン、及び30gのジメチルアミノエチルメタクリレート。得られたミクロ粒子分散物は、固体含有量が31.1%であり、体積平均粒径が9.6μmである。
【0081】
(実施例3−ナノラテックス粒子)
蒸留脱イオン水(943.85g)及び37%塩酸(4.95g)を2000mL三口丸底フラスコに入れ、加熱用マントル、アンカー型機械的攪拌器、内部温度計、還流冷却器、及びアルゴンガス導入口を取り付ける。2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(5.26g)を攪拌しながら加える。メチルメタクリレート(100.00g)、塩化セチルピリジニウム(6.0g)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド(1.06g)を攪拌しながら加える。攪拌しながら加熱を適用し、1時間後に75℃の温度に到達させる。混合物を70℃で16時間攪拌し、ASTM4−8μmガラスフリット漏斗で濾過する。減圧回転蒸発を用いて、生成物をポリマー含有量が約30%で平均粒径が170nm(直径)のナノラテックスエマルションへと濃縮する。
【0082】
(実施例4−ナノラテックス粒子)
加熱用マントル、アンカー型機械的攪拌器、内部温度計、還流冷却器、及びアルゴンガス導入口を取り付けた2リットルフラスコに、17gのメチルメタクリレート、0.4gの硫酸(50%)、4.5gのスチレン、1.2gのジメチルアミノエチルメタクリレート、3.4gのオレイルアミノエトキシレートクワット(リパミン(Lipamin)OK、40%水溶液)、7.9gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(V−50、2.5%水溶液)、及び566gの水を入れる。攪拌しながら加熱を適用し、10分後に85℃の温度に到達させる。攪拌速度14ラド/秒(130rpm)で180分の間に、320.5gのメチルメタクリレート、8.6gの硫酸、85.5gのスチレン、64gのオレイルアミノエトキシレートクワット、68.9gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(2.5%水溶液)、及び396.7gの脱イオン水の連続添加を行う。混合物を85℃で0.5時間攪拌する。pH5.2及び平均粒径約150nm(直径)の水性分散物(固体含有量30%)が得られる。
【0083】
(実施例5−ナノラテックス粒子)
加熱用マントル、アンカー型機械的攪拌器、内部温度計、還流冷却器、及びアルゴンガス導入口を取り付けた2リットルフラスコに、1.5gの硫酸(50%)、20.0gのポリビニルアルコール(88%加水分解)、4.0gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(V−50、2.5%水溶液)、及び953gの水を入れる。攪拌しながら加熱を適用し、10分後に85℃の温度に到達させる。16ラド/秒(150rpm)の攪拌速度で105分の間に、95gのメチルメタクリレート、6.25gのジメチルアミノエチルアクリレートメトクロリド、及び116gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(2.5%水溶液)を連続添加することにより、pH2及び平均粒径110nm(直径)の水性分散物(10%固体含有量)が生ずる。
【0084】
(実施例6−ナノラテックス粒子)
加熱用マントル、アンカー型機械的攪拌器、内部温度計、還流冷却器及びアルゴンガス導入口を取り付けた2リットルフラスコに、0.3gのアリルメタクリレート、17.5gのメチルメタクリレート、0.3gの硫酸(50%)、0.9gのジメチルアミノエチルメタクリレート、2.8gのオレイルアミノエトキシレートクワット(リパミン(Lipamin)OK、40%水溶液)、6.3gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(V−50、2.5%水溶液)、及び463gの水を入れる。攪拌しながら加熱を適用し、10分後に80℃の温度に到達させる。攪拌速度19ラド/秒(180rpm)で210分の間に、3.4gのアリルメタクリレート、334gのメチルメタクリレート、6.1gの硫酸、52.5gのオレイルアミノエトキシレートクワット、56.7gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(2.5%水溶液)、及び326.5gの脱イオン水の連続添加を行う。混合物を80℃で0.5時間攪拌する。pH5.6及び平均粒径約180nm(直径)の水性分散物(30%固体含有量)が得られる。
【0085】
(実施例7−コア/シェル−ナノラテックス粒子)
加熱用マントル、アンカー型機械的攪拌器、内部温度計、還流冷却器、及びアルゴンガス導入口を取り付けた2リットルフラスコに、7.4gのメチルメタクリレート、0.2gの硫酸(50%)2.3gのトリトン(Triton)X−450(70%水溶液)、6.3gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(V−50、2.5%水溶液)、及び455gの水を入れる。攪拌しながら加熱を適用し、10分後に90℃の温度に到達させる。攪拌速度15ラド/秒(140rpm)で90分の間に、5.4gのトリトン(Triton)(登録商標)X−405、140.6gのメチルメタクリレート、4.2gの硫酸、25.0gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(2.5%水溶液)、及び130.0gの脱イオン水の連続添加を行う。混合物を80℃で0.5時間攪拌する。攪拌速度(15ラド/秒)140rpmで120分の間に、33.3gのオレイルアミノエトキシレートクワット(リパミン(Lipamin)OK、40%水溶液)、166.5gのメチルメタクリレート、3.0gの硫酸、31.8gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(2.5%水溶液)、及び206gの脱イオン水の連続添加を行う。混合物を85℃で0.5時間攪拌する。pH2.3及び平均粒径約100nm(直径)からの水性分散物(29.3%固体含有量)が得られる。
【0086】
(実施例8−ナノラテックス粒子)
加熱用マントル、アンカー型機械的攪拌器、内部温度計、還流冷却器、及びアルゴンガス導入口を取り付けた2リットルフラスコに、9.1gの2−エチルヘキシルアクリレート、10.2gのメチルメタクリレート、0.35gの硫酸(50%)、1.0gのジメチルアミノエチルメタクリレート、3.8gの塩化セチルピリジニウム、6.3gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(V−50、2.5%水溶液)、及び464gの水を入れる。攪拌しながら加熱を適用し、10分後に80℃の温度に到達させる。攪拌速度14ラド/秒(130rpm)で210分の間に、174gの2−エチルヘキシルアクリレート、193.3gのメチルメタクリレート、6.1gの硫酸、3.8gの塩化セチルピリジニウム、63.0gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(2.5%水溶液)、及び360gの脱イオン水の連続添加を行う。混合物を80℃で0.5時間攪拌する。pH6.6及び平均粒径が約170nm(直径)の水性分散物、30%固体含有量が得られる。
【0087】
(実施例9−ナノラテックス粒子)
加熱用マントル、アンカー型機械的攪拌器、内部温度計、還流冷却器、及びアルゴンガス導入口を取り付けた2リットルフラスコに、7.0gのアクリル酸、20.0gのジメチルアミノエチルメタクリレート、253.9gの脱イオン水、15.75gの硫酸(50%)、及び15.7gのペルオキソ二硫酸ナトリウム(7%水溶液)を入れる。攪拌しながら加熱を適用し、15分後に温度95℃に到達させ、さらに60分間維持する。脱イオン水(560g)を加えて、30分間温度を85℃に維持する。攪拌速度16ラド/秒(150rpm)で120分の間に、190gのメチルメタクリレート、及び25.1gのペルオキソ二硫酸ナトリウム(7%水溶液)を連続添加することにより、pH2.1及び平均粒径が約250nm(直径)の水性分散物、19.7%固体含有量が生じた。
【0088】
(実施例10−ナノラテックス粒子)
加熱用マントル、アンカー型機械的攪拌器、内部温度計、還流冷却器、及びアルゴンガス導入口を取り付けた2リットルフラスコに、7.0gのアクリル酸、20.0gのジメチルアミノエチルメタクリレート、253.9gの脱イオン水、15.75gの硫酸(50%)、及び15.7gペルオキソ二硫酸ナトリウム(7%水溶液)を入れる。攪拌しながら加熱を適用し、15分後に95℃の温度に到達させ、さらに60分間維持する。脱イオン水(560g)を加えて、30分間温度を85℃に維持する。攪拌速度16ラド/秒(150rpm)で120分間の間に、190gのメチルメタクリレート、及び25.1gのペルオキソ二硫酸ナトリウム(7%水溶液)を連続添加することにより、pH2.1及び平均粒径が約250nm(直径)の19.7%固体含有量の水性分散物が生成される。
【0089】
(実施例11−ナノラテックス粒子)
加熱用マントル、加熱用マントル、アンカー型機械的攪拌器、内部温度計、還流冷却器、及びアルゴンガス導入口を取り付けた2リットルフラスコに、0.9gの水酸化ナトリウム(10%水溶液)、20.0gのポリビニルアルコール(88%加水分解)、及び954gの水を入れる。攪拌しながら加熱を適用し、10分後に85℃の温度に到達させる。温度を75℃に調節し、4.0gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(2.5%水溶液)を加える。攪拌速度16ラド/秒(150rpm)で105分の間に、95gのメチルメタクリレート、5.0gのジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、及び116gの2,2’−アゾビス(2−アミジネオプロパン(2-amidineopropane))ジヒドロクロリド(2.5%水溶液)を連続添加することにより、pH6.8及び平均粒径が133nm(直径)の水性分散物(10%固体含有量)が生ずる。
【0090】
(香料ポリマー粒子)
1つの実施形態では、香料ポリマー粒子は香料を含み、この香料はその50重量%を超える、分子量が約200未満、沸点が約250℃未満及びClogPが約3未満、及び/又はコバッツ指数値が約1700未満の香料原料物質を含む。別の実施形態では、香料はその香料の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%の低いKIの香料原料物質を含む。
【0091】
さらに別の実施形態では、香料ポリマー粒子は、約1〜約90重量%、好ましくは約5〜約60重量%の添加香料がポリマー粒子中に取り込まれるように、香料を装填されている。
【0092】
(組成物)
本発明の香料ポリマー粒子は1以上の補助成分と共に組み入れられて、香料組成物と称される香料含有組成物を形成してもよい。香料ポリマー粒子を組み入れるのに好適な組成物の例は、米国特許第4,994,193号及び米国特許第5,767,052号に開示されている。
【0093】
香料ポリマー粒子は香料組成物内にいかなる濃度で存在してもよく、典型的には香料組成物の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%の濃度で存在する。
【0094】
本発明の香料組成物は、液体、ゲル、フォーム、ペースト、顆粒、及び錠剤のような好適ないかなる形態であってもよい。
【0095】
(補助成分)
本発明の香料組成物に含めるのに好適な補助成分の非限定例としては、これらに限定されないが、界面活性剤、布地柔軟化剤、発泡剤、泡抑制剤、香料、汚れ放出剤、脂肪酸、染料、着色剤、抗菌剤及び電解質が挙げられる。
【0096】
補助成分が布地柔軟化剤(「柔軟化活性物質」とも称される)である場合、その香料組成物は布地柔軟仕上げ剤組成物と称される。布地柔軟仕上げ剤組成物には、液体布地柔軟仕上げ剤組成物及びすすぎ添加型液体布地柔軟仕上げ剤組成物を挙げることができる。1つの実施形態では、香料ポリマー粒子と布地柔軟化剤との重量比は約1:10〜約1:0.5、好ましくは約1:5〜約1:1である。別の実施形態では、香料ポリマー粒子と補助成分との重量比は約20:1〜約1:20、好ましくは約5:1〜約1:5である。
【0097】
好適な布地柔軟化剤の非限定例としては、これらに限定されないが、ジエステル四級アンモニウム布地柔軟化活性化合物類(DEQA)及びポリ四級アンモニウム化合物類が挙げられる。
【0098】
(1)DEQAの第1の型は好ましくは主活性物質として次式の化合物を含み:
[R4−m−N−[(CH−Y−R]A
式中、各R置換基は、水素;短鎖C〜Cアルキル若しくはヒドロキシアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、又はヒドロキシエチル、より好ましくはメチル;ポリ(C〜Cアルコキシ)、好ましくはポリエトキシ;ベンジル;又はこれらの混合物から選択され;各mは2又は3であり;各nは1〜約4であり;各Yは−O−(O)C−、−C(O)−O−、−NR−C(O)−、又は−C(O)−NR−であり;各Rがヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル基であって、各Rの炭素の合計(Yが−O−(O)C−、又は−NR−C(O)−の場合はプラス1)はC12〜C22、好ましくはC14〜C20であり、Aはいずれかの柔軟剤適合性アニオン、好ましくはクロリド、ブロミド、メチルスルフェート、エチルスルフェート、スルフェート及びニトレート、より好ましくはクロリド又はメチルスルフェートである。(本明細書で用いる場合、所与のR基を含有する「柔軟化活性物質のパーセント」は、全R基のうちこの所与のR基が存在するパーセンテージに基づく全活性物質のパーセンテージを取ることに基づく。)
【0099】
(2)第二の種類のDEQA活性物質は、次の一般式を有し:
[RCHCH(YR)(CHYR)]A
式中、Y、R、R、及びAの各々は、前記と同じ意味を有する。このような化合物には、次式を有するものが含まれ:
[CH(+)[CHCH(CHO(O)CR)O(O)CR]Cl(−)
式中、各Rはメチル又はエチル基であり、好ましくは各RはC15〜C19の範囲である。
【0100】
(3)上述のDEQA活性物質は、中和されたアミン柔軟化活性物質をも含み、ここで少なくとも1つのR基は水素原子である。この種類の活性物質の非限定的な例は、(不飽和アルコイルオキシエチル(alkoyloxyethyl))(不飽和アルキルアミドトリメチレン)メチルアミンの塩化物塩である。好適なアミン柔軟化活性物質の他の例はPCT特許出願WO99/06509に開示されている。
【0101】
(4)ポリ四級アンモニウム柔軟化活性物質。1より多くの正の四級アンモニウム電荷を伴う布地柔軟化活性物質は、すすぎ添加型の本発明の組成物にも有用である。この種類の柔軟化活性物質の一例は、次式を有し:
【化3】

式中、各Rは、H、短鎖C〜Cアルキル又はヒドロキシアルキル、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、又はヒドロキシエチルなど、より好ましくはメチル、ベンジル、又は(RO)2〜4Hであり;各Rは、C〜C22、好ましくはC14〜C20ヒドロカルビル、又は置換されたヒドロカルビル置換基、好ましくはC10〜C20アルキル又はアルケニル(ポリ不飽和アルキルを含む不飽和アルキル、時に「アルキレン」とも称される)、最も好ましくはC12〜C18アルキル又はアルケニルであり;各Rは、C1〜アルキレン基、好ましくはエチレン基であり;Aは、下記のように定義される。
(5)次式を有する柔軟化活性物質:
[R4−m−N−R]A
式中、各mは2若しくは3であり、各Rは直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和C〜C22部分、好ましくはC14〜C20の部分であるが、約C12未満のものが1つより多くなく、そのとき他のものは少なくとも約C16であり;又はヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビル置換基、好ましくはC10〜C20アルキル若しくはアルケニル、最も好ましくはC12〜C18アルキル若しくはアルケニルである。
【0102】
化合物(5)の例はジアルキレンジメチルアンモニウム塩類であり、例えば本発明で使用可能な市販のジアルキレンジメチルアンモニウム塩類は、ウィトコ社(Witco Corporation)より商品名アドゲン(Adogen)(登録商標)472で入手可能なジオレイルジメチルアンモニウムクロリドである。
【0103】
化合物(5)の他の例は、モノオレイルトリメチルアンモニウムクロリド、モノキャノーラトリメチルアンモニウムクロリド、及びソヤトリメチルアンモニウムクロリド(soyatrimethylammonium chloride)のような、モノアルケニルトリメチルアンモニウム塩類である。モノオレイルトリメチルアンモニウムクロリド及びモノキャノーラトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
【0104】
(6)次式を有する柔軟化活性物質:
【化4】

式中、R、R、及びAの各々は上記に与えられた定義を有し、各RはC1〜6アルキレン基、好ましくはエチレン基であり、Gは酸素原子又は−NR−基である。
【0105】
化合物(6)の例は、ウィトコ社(Witco Corporation)より商品名バリソフト(Varisoft)(登録商標)3690で市販されている、1−メチル−1−オレイルアミドエチル−2−オレイルイミダゾリニウムメチルスルフェートである。
【0106】
化合物(6)の他の例には次式を有する置換イミダゾリニウム塩類があり:
【化5】

式中、Rは水素又はC〜C飽和アルキル若しくはヒドロキシアルキル基であり、R及びAは上記のように定義される。
【0107】
(7)次式を有する柔軟化活性物質:
【化6】

式中、R、R及びGは上記(6)のように定義される。
【0108】
(8)実質的に不飽和及び/又は分枝鎖の高級脂肪酸とジアルキレントリアミン類との、例えばモル比約2:1での反応生成物であって、前記反応生成物は次式の化合物を含有し:
−C(O)−NH−R−NH−R−NH−C(O)−R
式中、R、Rは上記(6)のように定義され、各RはC1〜6アルキレン基、好ましくはエチレン基である。化合物(8)の例としては、ヘンケル社(Henkel Corporation)より入手可能である、エマーソル(Emersol)(登録商標)223LL及びエマーソル(登録商標)7021が挙げられる。
【0109】
(9)次式を有する柔軟化活性物質:
[R−C(O)−NR−R−N(R)−R−NR−C(O)−R
式中、R、R、R、R及びAは、上記(6)及び(8)のように定義される。化合物(9)の例には、ウィトコ社(Witco Corporation)より商品名バリソフト(Varisoft)(登録商標)222LTとして市販されているジ脂肪族アミドアミン系柔軟化活性物質がある。
【0110】
(10)実質的に不飽和及び/又は分枝鎖の高級脂肪酸とヒドロキシアルキルアルキレンジアミンとの、モル比約2:1での反応生成物であって、前記反応生成物は次式の化合物を含有し:
−C(O)−NH−R−N(ROH)−C(O)−R
式中、R、R及びRは、上記(8)のように定義される。化合物(10)の例としては、オレイン酸とN−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミンとのモル比約2:1での反応生成物が挙げられ、前記反応生成物混合物は次式の化合物を含有し:
−C(O)−NH−CHCH−N(CHCHOH)−C(O)−R
式中、R−C(O)は、ヘンケル社(Henkel Corporation)から入手できるエマーソル(Emersol)(登録商標)223LL又はエマーソル(Emersol)(登録商標)7021のような、植物又は動物起源から誘導された市販のオレイン酸のオレオイル基である。
【0111】
(11)次式を有するアルキルピリジニウム塩:
【化7】

式中、Rは非環式脂肪族C〜C22炭化水素基であり、Aはアニオンである。
【0112】
(12)次式を有するアルカンアミドアルキレンピリジニウム塩:
【化8】

式中、R、R及びAは、本明細書で上記のように定義される。
【0113】
(13)例えば次式を有するモノアルキルジ四級塩類:
[R−N(+)(R)−R(+)(R)]A
式中、R、R、R及びAは、本明細書で上記(6)及び(9)のように定義される。
【0114】
化合物(13)の一例は、次式:
Cl[(タローアルキル)−N(+)(CH−CH−CH−N(+)(CH]Cl
を有するN−タローペンタメチルプロパンジアンモニウムジクロリドであり、ウィトコ社(Witco Corporation)より商品名アドゲン(Adogen(登録商標))477として入手可能である。
【0115】
(14)上記で開示された化合物(1)〜(13)の混合物。
【0116】
本明細書のカチオン性窒素含有塩において、アニオンAは柔軟化活性物質と適合性のあるアニオンであり、電気的中性を提供する。最も頻繁に、これらの塩において電気的中性を提供するのに用いられるアニオンは、強酸からであり、特にハロゲン化物、例えばクロリド、メチルスルフェート、ブロミド、又はヨージドである。しかし、他のアニオン、例えばエチルスルフェート、アセテート、ホルマート、スルフェート、カーボネートなども用いることができる。本明細書では、アニオンAとして、クロリド及びメチルスルフェートが好ましい。
【0117】
(有益剤送達システム及び製品の調製)
ポリマー粒子及び有益剤を含む有益剤送達システムは2つの方法で調製できる。1つは、最終製品配合物の調製において製品マトリクスに成分を添加するのと同様の様式で、ポリマー粒子と有益剤が製品マトリクス(液体又は顆粒)に別個に添加される個別添加式である。この個別添加式では、有益剤送達システムの形成は、その対象である有益剤に対するポリマー粒子の親和性によって容易となる。完全な混合は高剪断攪拌を用いて行われることが多い。約40℃〜約65℃の穏やかな加熱を用いてもよい。送達システムが組み込まれるべき完全な最終製品を形成するために、必須成分又は補助成分をマトリクスに添加してもよい。
【0118】
有益剤送達システムを調製するためのもう1つの方法は、ポリマー粒子及び有益剤を直接混合して有益剤送達システム、例えば香料ポリマー粒子を調製する、予備装填法(pre-loading method)である。この予備装填工程は、典型的には、混合プロセスを促進するために水又は低級アルコール類のような溶媒の存在下で行われる。典型的な実施形態では、ポリマー粒子の合成の際に使用される溶媒で十分である。予備装填された有益剤送達システムは、それから、最終製品を調製するために必須成分又は補助成分を添加するのと同様の様式で、製品マトリクス(液体又は顆粒)に添加することができる。予備装填工程又はそれに続く製品配合工程において、高剪断攪拌及び穏やかな加熱を用いることができる。
【0119】
典型的な実施形態では、ポリマー粒子、典型的には水性分散物(水中約30重量%のポリマー)の形態でのポリマー粒子、及び香料(PRM類の混合物)は、より高剪断のミキサーで室温で予備混合される。追加の溶媒(水又は低級アルコール類のような)を使用してもよいが、必ずしも必要ではない。予備混合の時間は約15分〜約16時間の範囲である。約4時間後、およそ90重量%の添加香料がポリマー粒子上に装填されることがわかる。予備装填香料ポリマー粒子を製品マトリクスに添加して、製品が使用に供される前に少なくとも約1週間、好ましくは少なくとも約2週間、平衡化させることができる。
【配合実施例】
【0120】
以下は香料組成物、特に本発明による布地柔軟仕上げ剤組成物の例である。
【表5】

【表6】

【0121】
実施例A〜Dでは、ポリマー粒子は布地柔軟仕上げ剤組成物に個別に添加される。実施例E〜Hでは、ポリマー粒子と香料は布地柔軟仕上げ剤組成物に添加される前に共に予備混合される。
【0122】
優先権書類を含め、引用されるすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれる;いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であるとの容認として解釈されるべきではない。
【0123】
本発明の特定の実施形態を例示し、記載してきたが、様々なその他の変更及び修正を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことが可能であることは、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲の対象とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリマー;並びに
b)1000〜1400のコバッツ指数値及び所望により次の特徴:
200未満の分子量;
250℃未満の沸点;又は
3未満のClogP
のうちの1つ以上を有する香料原料物質を含む香料
を含み、
前記香料ポリマー物質のレスポンスファクター(RF)が、寿命試験プロトコルI又はIIにより測定した場合に、少なくとも1.5であることを特徴とする、香料ポリマー粒子。
【請求項2】
a)ポリマー;並びに
b)それぞれが1000〜1400のコバッツ指数値を有し、LKI香料原料物質が集合的に第1の平均レスポンスファクター(ARFLKI)を与える、1以上のLKI香料原料物質;及び
それぞれが1700を超えるコバッツ指数値を有し、HKI香料原料物質が集合的に第2の平均レスポンスファクター(ARFHKI)を与える、1以上のHKI香料原料物質;
を含む香料
を含み、
前記香料ポリマー粒子が、寿命試験プロトコルI又はIIにより測定した場合に、少なくとも1.2のARFLKI/ARFHKI比を有することを特徴とする、香料ポリマー粒子。
【請求項3】
前記香料が、前記ポリマーと非重合的に結合している、請求項1又は2に記載の香料ポリマー粒子。
【請求項4】
前記ポリマーが、カチオン性モノマー類、非カチオン性モノマー類、及びこれらの混合物から成る群より選択されるモノマー類を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の香料ポリマー粒子。
【請求項5】
前記カチオン性モノマーが、次式:
【化1】

を有し、
式中、R、R及びRのそれぞれは独立して、水素又はC〜Cアルキルから選択され;Tは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、複素環、シリル、ニトロ、ハロ、シアノ、スルホネート、アルコキシ、ケト、エステル、エーテル、カルボニル、アミド、アミノ、グリシジル、カルバネート、カルバメート、カルボキシル、カルボアルコキシ、及びこれらの混合物から成る群より選択される、置換又は非置換、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖部分であり;Zは、−(CH)−、(CH−CH=CH)−、−(CH−CHOH)−、(CH−CHNR)−、−(CH−CHR−O)−、及びこれらの混合物から成る群より選択される部分であり、式中、R及びRは独立して、水素又はC〜Cアルキルであり;zは0〜12の整数であり;AはNR又はNRであり、式中、R、R及びRは独立して、H、C〜C直鎖若しくは分枝鎖アルキル、又は次式を有するアルキレンオキシから選択され:
【化2】

式中、Rは、C〜C直鎖若しくは分枝鎖アルキレン、カルボニルアルキル、又はこれらの混合物であり;R10は、水素、C〜Cアルキルカルボニルアルキル、又はこれらの混合物であり;yは1〜10の整数である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の香料ポリマー粒子。
【請求項6】
前記非カチオン性モノマーが、アルキル類、シクロアルキル類、アリール類、アルカリール類、アラルキル類、及びこれらの混合物から成る群より選択される疎水性基を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の香料ポリマー粒子。
【請求項7】
前記非カチオン性モノマーが、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、PEGアクリレート、フェニルメタクリルアミド、t−ブチルメタクリルアミド、p−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、ビニルアセテート類、ビニルフェノール類、アシルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホネート、ビニルプロピオネート、メチルアリルスルホン酸、N−ビニルホルムアミド及びN−ビニルピロリドン、並びにこれらの混合物から成る群より選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の香料ポリマー粒子。
【請求項8】
前記香料ポリマー粒子が、1μm〜39μmの平均粒径を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の香料ポリマー粒子。
【請求項9】
前記香料ポリマー粒子が、200nm〜900nmの平均粒径を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の香料ポリマー粒子。
【請求項10】
前記ポリマーが非水溶性ポリマーである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の香料ポリマー粒子。
【請求項11】
前記香料原料物質が、前記香料の少なくとも10重量%を構成する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の香料ポリマー粒子。
【請求項12】
a)請求項1〜11のいずれか一項に記載の香料ポリマー粒子;及び
b)補助成分
を含む香料組成物。
【請求項13】
a)請求項1〜12のいずれか一項に記載の香料ポリマー粒子;及び
b)布地柔軟化剤
を含む液体布地柔軟仕上げ剤組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の第1及び第2の香料ポリマー粒子;及び
補助成分
を含み;
前記第1及び第2の香料ポリマー粒子が異なっており、少なくとも1つの異なるモノマーを含むことを特徴とする、香料組成物。
【請求項15】
香料原料物質の改善された送達のための組成物を製造する方法であって:
a)請求項1〜14のいずれか一項に記載の香料ポリマー粒子を得る工程;
b)前記香料ポリマー粒子を製品マトリックスに添加する工程;及び
c)補助成分を前記製品マトリックスに添加する工程
を含む、方法。
【請求項16】
前記補助成分が、布地柔軟化剤を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
香料原料物質の改善された送達を有する2以上の香料ポリマー粒子を製造する方法であって:
第1のポリマー粒子を液体媒体に添加する工程;
第1の香料原料物質及び第2の異なる香料原料物質を含む香料を前記液体媒体に添加する工程であって、前記第1のポリマー粒子の第1の香料原料物質に対する親和性が第2の香料原料物質に対する親和性よりも高い工程;並びに
所望により、第2のポリマー粒子を前記水性媒体に添加する工程であって、前記第1及び第2のポリマー粒子が少なくとも1つの異なるモノマーを含み、前記第2のポリマー粒子の第2の香料原料物質に対する親和性が第1の香料原料物質に対する親和性よりも高い工程
を含み、
前記第1及び第2の香料原料物質が次の特徴:
200未満の分子量;
250℃未満の沸点;
3未満のClogP;又は
1700未満のコバッツ指数値
のうち1以上を有することを特徴とする、方法。
【請求項18】
前記ポリマーが、ポリマー粒子親和性試験によって測定した場合に、約1000〜約1400のコバッツ指数値を有する香料原料物質に対しての方が、少なくとも約1700のコバッツ指数値を有する香料原料物質に対するよりも高い親和性を示すことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載のポリマーを含むポリマー粒子。

【公表番号】特表2006−515029(P2006−515029A)
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550333(P2004−550333)
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/034676
【国際公開番号】WO2004/041232
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】