説明

香料前駆物質としての短鎖エノールエステル

本発明は、下式(I)の化合物の香料前駆物質としての使用に関する。
【化1】


(式中、
R1は、(a)6個以上の炭素原子を有するアルデヒドのエノール型又は(b)10個以上の炭素原子を有するケトンの基であり、かつ
R2は、(a)分岐又は非分岐のC1〜C4アルキル基又は(b)分岐又は非分岐のC2〜C4アルキレン基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感覚刺激的に活性なアルデヒド又はケトンを制御放出するための前駆物質としてのある種の短鎖エノールエステルの使用に関する。特に、放出されるアルデヒド又はケトンは香料である。香料前駆物質は、アルデヒド又はケトンとカルボン酸無水物との反応により得られる。
本発明は更に、香料物質の放出方法ならびに(a)化粧品、洗剤及び/又は洗浄剤配合物及び(b)本発明による香料前駆物質を含む香油に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者製品を芳香で満たす主要な方法は、香料を含む香油を直接製品と混合する方法である。この場合に生じる問題は、多くの物質、特にアルデヒド、場合によってはケトンが所与の条件下では不安定であり、貯蔵中に部分的又は完全にこれらの分子が分解してしまうということである。この結果は、前述の問題を生ずるすべての物質が最終製品において知覚的にごく弱くしか、又は少しも認められないということである。個々の場合には、このことは組成物のにおいの影響全体において許容できない変化となりうる。
米国特許第5,649,979号明細書には、下式(II)のエノールエステルが開示されている。
【0003】
【化1】

(式中、Yは、非分岐又は分岐の、飽和又は不飽和C7〜C24基を表し、R1=HでR2が香料アルデヒドR2CHOの基を表すか、R1及びR2が下式の香料ケトン:
【0004】
【化2】

【0005】
の基を表す。)
【0006】
記載したエノールエステルはアルデヒド又はケトンをゆっくり放出し、粉末洗剤及び織物軟化剤における使用が特許請求されている。
米国特許第6,207,857号明細書には、下式(III)のエノールエステルが開示されている。





【0007】
【化3】

(式中、R1は、更に詳細に定義されたアルデヒド又はケトンのエノール型を表し、Xは、例えば、更に詳細に定義された炭化水素基を表し、R2は、例えば、更に詳細に定義された炭素環式又は複素環式基又はCOOYを表し、式中のYはH原子、金属又はR3であり、R3はアルコール又はフェノールの基であるかR1と同一の定義を有し、nは0又は1である。)
【0008】
式(III)の化合物は実質的には無臭であり、活性化条件下で感覚刺激的及び/又は抗微生物性を有する1種以上の化合物を放出するといわれている。式(III)の香料前駆物質は更に、活性分子を比較的ゆっくり放出する。
更に米国特許第6,479,682号明細書には、下式(IV)の保護されたヒドロキシエステルが開示されている。
【0009】
【化4】

(式中、置換基は更に詳細に定義された意味を有する。)
【0010】
式(IV)の化合物は2工程で解離する。まず、“保護基”Zが分離してヒドロキシエステルが形成され、第二工程でヒドロキシエステルが環化して対応するラクトンを形成し、この間にアルコール、アルデヒド又はケトンを分離する。式(IV)の化合物は実質的に無臭であるといわれており、この場合もまた活性分子の放出がゆっくり起こる。
米国特許第6,262,287号明細書には、下式(Va)及び(Vb)のシロキサンが開示されている。
【0011】
【化5】

(式中の基は、更に詳細に定義された意味を有する。)
【0012】
開示されている式(Va)及び(Vb)の化合物は実質的に無臭であり、皮膚との接触又は香料アルコール、又はアルデヒド又はケトンが放出されるようなリパーゼにより切断される。
前述の認識されている先行技術は、エステル基によりアルデヒド又はケトンのエノール型を結合し、活性化の後アルデヒド又はケトンをゆっくり、すなわち数時間又は数日にわたって放出する多くの香料前駆物質が公知であることを示す。米国特許第5,649,979号、同第6,207,857号、同第6,479,682号及び同第6,262,287号明細書に開示されているような香料前駆物質は、活性化後のアルデヒド又はケトンの実質的に自発的な放出には適さないということは欠点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、製品に添加した後(それらのエノール型を経て結合された)対応するアルデヒド又はケトンより貯蔵安定性が非常にずっと高く、活性化(切断)後実質的に自発的にアルデヒド又はケトンを放出する化合物の香料前駆物質としての使用を提供することが本発明の第一の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、この目的は下式(I)の化合物の香料前駆物質としての使用により達成される。
【0015】
【化6】

(式中、
R1は、(a)6個以上の炭素原子を有するアルデヒドのエノール型又は(b)10個以上の炭素原子を有するケトンの基であり、かつ
R2は、(a)分岐又は非分岐のC1〜C4アルキル基又は(b)分岐又は非分岐のC2〜C4アルキレン基である。)
【0016】
これに関連して、R2は、特に以下の基でもよい。
メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、又はtert-ブチル。しかしながら、メチル、エチル、n-プロピル及びiso-ブチルのアルキル基が好ましく、メチル、エチル及びiso-ブチルのアルキル基が特に好ましい。
エテニル、メチルエテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、3-ブテニル。しかしながら、エテニル、メチルエテニル、1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル及び1-メチル-1-プロペニルのアルキレン基が好ましく、エテニル、メチルエテニル及び1-プロペニルのアルキレン基が特に好ましい。
驚くべきことに、対応するアルデヒド又はケトンと比較して、香料前駆物質として本発明にしたがって使用される式(I)の化合物は、(a)酸性、酸化性媒体中及び(b)含水率が≦10%のアルカリ性媒体中で貯蔵安定性が良好である。米国特許第3923247号及びGerasimovich, T. B. et al. Natural'nykh Dushistykh Veshchestv, 1965, 38-42において、酢酸エノールは6N H2SO4の存在下で加水分解されることが報告されているので、酸性、酸化性媒体中の貯蔵安定性は驚くべきことである。
本発明はまた、以下の工程:
−下式(I)の化合物の提供、

【0017】
【化7】

(式中、
R1は、(a)6個以上の炭素原子を有するアルデヒドのエノール型又は(b)10個以上の炭素原子を有するケトンの基であり、かつ
R2は、(a)分岐又は非分岐のC1〜C4アルキル基又は(b)分岐又は非分岐のC2〜C4アルキレン基である。)
【0018】
−式(I)の化合物が配合物中で安定であるような式(I)の化合物及び媒体を含む配合物を調製する工程、及び
−式(I)の化合物が解離して香料を放出するように配合物を処理する工程、
を有する香料の放出方法に関する。
有利な貯蔵安定性によれば、媒体は、(a)酸性及び酸化的であるか、又は(b)アルカリ性であって媒体の総質量に対する含水率が≦10質量%であるのが有利である。
次いで配合物の処理は、好ましくは、
−(a)の場合に配合物のpHを≧8.5の値に上昇させる、又は
−(b)の場合に配合物の含水率を>10質量%に上昇させる、
工程を含む。
式(I)の化合物が自発的に解離して香料を放出することはこのようにして確保される。
配合物自体は、好ましくは、
(a)の場合に、パーマネントヘア着色組成物のための顕色剤、パーマネントウェーブ定着組成物、漂白クリーム、にきび用クリーム、トイレ洗浄剤及び表面洗浄剤からなる群から選択されるか、又は
(b)の場合に、水溶性フィルム内に包装するための液体洗剤、消臭剤又は制汗剤のスティック及び石鹸からなる群から選択される。
この面を以下に詳細に説明する。
【0019】
(a)の場合には、pHをアルカリ範囲に直接上昇させて≧8.5のpH値にすることにより、香料前駆物質として使用される式(I)の化合物の活性化及び実質的に自発的な解離がおこり、好ましくはそれに伴うアルデヒド又はケトンの放出がおこる。(b)の場合には、水の添加により好ましくは活性化がおこり、その結果として香料前駆物質として使用される式(I)の化合物の実質的に自発的な解離がおこる。
本発明はまた、
−下式(I)の化合物、及び
【0020】
【化8】

(式中、
R1は、(a)6個以上の炭素原子を有するアルデヒドのエノール型又は(b)10個以上の炭素原子を有するケトンの基であり、かつ
R2は、(a)分岐又は非分岐のC1〜C4アルキル基又は(b)分岐又は非分岐のC2〜C4アルキレン基である。)
【0021】
−更に配合物成分を含む媒体又は更なる配合物成分、
を含む又はそれらからなる化粧品、洗剤及び/又は洗浄剤配合物であって、前記配合物中の前記式(I)の化合物の含量が配合物の総質量に対して1質量%未満であり、前記式(I)の化合物が前記配合物中で安定であるような前記媒体が選択される配合物に関する。
式(I)の化合物及びその好ましい実施態様に関して、前述の記述を再び適用する。
本発明による配合物においては、媒体は、(a)酸性及び酸化的であるか、又は(b)アルカリ性であって媒体の総質量に対する含水率が≦10質量%であるのが前述の理由で有利である。
従って好ましくは、配合物は、(a)の場合に、パーマネントヘア着色組成物のための顕色剤、パーマネントウェーブ定着組成物、漂白クリーム、にきび用クリーム、トイレ洗浄剤及び表面洗浄剤からなる群から選択されるか、又は
(b)の場合に、水溶性フィルム内に包装するための液体洗剤、消臭剤又は制汗剤のスティック及び石鹸からなる群から選択される。
本発明による配合物においては、
(a)式(I)の化合物が媒体中に分散しているか溶解している、及び/又は
(b)式(I)の化合物が、媒体中に分散しているか溶解している香油(これに関しては以下を参照されたい)の一成分として使用される、
ことが有利である。
これに関連して、(b)の場合には、香油は任意に、(i)キャリヤー物質上に吸着されているか、(ii)マイクロカプセル化されているか、又は(iii)噴霧乾燥されているか、又はそれが(iv)包接錯体として又は(v)押出製品として使用されるか、又は(vi)塗布されている。
本発明はまた、
−下式(I)の化合物、及び
【0022】
【化9】

(式中、
R1は、(a)6個以上の炭素原子を有するアルデヒドのエノール型又は(b)10個以上の炭素原子を有するケトンの基であり、かつ
R2は、(a)分岐又は非分岐のC1〜C4アルキル基又は(b)分岐又は非分岐のC2〜C4アルキレン基である。)
【0023】
−1種以上の香料、
を含む香油であって、前記香油中の前記式(I)の化合物の含量が香油の総質量に対して0.1質量%以上である香油自体に関する。
これに関連して、本発明による香油は任意に、(i)キャリヤー物質上に吸着されているか、(ii)マイクロカプセル化されているか、又は(iii)噴霧乾燥されているか、又はそれが(iv)包接錯体として又は(v)押出製品として使用されるか、又は(vi)塗布されている。
特に本発明による配合物の調製、本発明による方法の実施及び本発明による使用に使用しうる本発明による香油に関する更に詳細な記述を以下に示す。(好ましくは)使用される式(I)の化合物に関する本明細書の本文におけるすべての説明は、本発明のすべての面(使用、方法、配合物、香油等)に関連することは明白である。
【0024】
香料前駆物質として本発明にしたがって使用される式(I)の化合物の切断後に好ましくは放出されるアルデヒドの非限定例を以下に記載する。
フェニルアセトアルデヒド、p-メチルフェニルアセトアルデヒド、p-イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、フェニルプロパナール、3-(4-t-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール(Lilial)、3-(4-t-ブチルフェニル)-プロパナール(bourgeonal)、3-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパナール(canthoxal)、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール(cymal)、3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-2-メチルプロパナール(Helinal)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(floralozone)、フェニルブタナール、3-メチル-5-フェニルペンタナール、ヘキサナール、trans-2-ヘキセナール、cis-ヘキサ-3-エナール、ヘプタナール、cis-4-ヘプテナール、2-エチル-2-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール(melonal)、2,4-ヘプタジエナール、オクタナール、2-オクテナール、cis-5-オクテナール、3,7-ジメチルオクタナール、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-アール、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-3-アール、3,7-ジメチル-6-オクテナール(citronellal)、3,7-ジメチル-7-ヒドロキシオクタン-1-アール(hydroxycitronellal)、ノナナール、cis-6-ノネナール、2,4-ノナジエナール、2,6-ノナジエナール、デカナール、2-メチルデカナール、4-デカナール、9-デセナール、2,4-デカジエナール、ウンデカナール、2-メチルデカナール、2-メチルウンデカナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール(adoxal)、ウンデカ-10-エニルアルデヒド、ウンデカ-8-エナナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、アニスアルデヒド、シンナムアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、メトキシシンナムアルデヒド、イソシクロシトラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、コルテクスアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、フロルヒドラール(florhydral)、ヘリオトロピン、ヒドロアトロパアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ベンズアルデヒド、p-メチルベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、3-及び4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド(Lyral)、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド(Triplal)、1-メチル-3-(4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド(vernアルデヒド)又はp-メチルフェノキシアセトアルデヒド(Xiアルデヒド)。
【0025】
香料前駆物質として本発明にしたがって使用される式(I)の化合物の切断後に放出されるケトンの非限定例を以下に記載する。
α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、β-ダマスセノン、ムスコン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5h)-インダノン(Cashmeran)、cis-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、α-イオノン、β-イオノン、ジヒドロ-β-イオノン、γ-メチルイオノン、α-iso-メチルイオノン、4-(3,4-メチレンジオキシフェニル)ブタン-2-オン、4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン、メチルβ-ナフチルケトン、メチルセドリルケトン、6-アセチル-1,1,2,4,4,7-ヘキサメチルテトラリン(Tonalid)、l-カルボン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、アセトフェノン、デカトン、p-ヒドロキシフェニルブタン-2-オン、2-[2-(4-メチル-3-シクロヘキセニル-1-イル)プロピル]シクロペンタン-2-オン、2-sec-ブチル-シクロヘキサノン、β-ジヒドロイオノン、アリルイオノン、α-イロン、α-セトン、α-イリソン、アセトアニソール、ゲラニルアセトン、1-(2-メチル-5-イソプロピル-2-シクロヘキセニル)-1-プロパノン、アセチルジイソアミレン、メチルシクロシトロン、4-t-ペンチルシクロヘキサノン、p-t-ブチルシクロヘキサノン、o-t-ブチルシクロヘキサノン、エチルアミルケトン、エチルペンチルケトン、メントン、メチル-7,3-ジヒドロ-2h-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン又はフェンコン。
式(I)中のR1基は、もちろんそれらの特定のエノール型への変換後の前述のアルデヒド及びケトンに由来する。
香料前駆物質として使用される本発明による式(I)の化合物の切断後のアルデヒド又はケトンの実質的に自発的な放出は、例えば、頭髪、人の皮膚、洗濯物及び塗装面のような多くの基質の処理(例えば、香り付け)のために使用しうる。
香料前駆物質として本発明にしたがって使用される式(I)の化合物が組み合わせると有利な香料の例は、例えば、S. Arctander, Perfume and Flavor materials, vol. I and II, Montclair, N. J., 1969, author and publisher, 又はK. Bauer, D. Garbe and H. Surburg, Common Fragrance and Flavor Materials, 3rd ed., Wiley-VCH, Weinheim 1997に見出される。
【0026】
詳細に記載されている。
精油のような天然原料からの抽出物、凝結物、そのもの、樹脂、樹脂状物質、バルサム、チンキ剤、例えば、琥珀色のチンキ剤、アミリス(amyris)油、アンゲリカ種油、アンゲリカ根油、アニス油、カノコソウ油、バジル油、木コケそのもの、ベイ油、アーテミシア油、ベンゾイン樹脂、ベルガモット油、蜜蝋そのもの、バーチ・タール・オイル、苦扁桃油、豆葉油、ミカン科の木の葉油、カブレウバ(cabreuva)油、ジュニバータール油、菖蒲油、樟脳油、カナンガ油、カルダモン油、カスカリラ油、カッシア油、カッシアそのもの、ビーバー香、ニオイヒバ油、セダー油、シスタス(cistus)油、シトロネラ油、レモン油、コパイババルサム、コパイババルサム油、コリアンダー油、コスタス(costus)根油、クミン油、ヒノキ油、ダバナ(davana)油、ディルの葉油、ディル種油、若芽の水(eau de brouts)そのもの、オークのコケそのもの、エレミ油、タラゴン油、ユーカリシトリオドラ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、スプルース葉油、ガルバヌム油、ガルバヌム樹脂、ゼラニウム油、グレープフルーツ油、グアヤク木油、グルユネンバルサム、グルユネンバルサム油、ヘリクリサム(helichrysum)そのもの、ヘリクリサム油、ジンジャー油、イリス根そのもの、イリス根油、ジャスミンそのもの、ショウブ油、青色のカムミール油、ローマのカムミール油、ニンジン種油、カスカリラ油、松葉油、スペアミント油、カラウェー油、ラブダナム油、ラブダナムそのもの、ラブダナム樹脂、ラバンジンそのもの、ラバンジン油、ラベンダーそのもの、ラベンダー油、レモングラス油、ラベージ油、蒸留したライム油、圧搾したライム油、リナロア(linaloa)油、リトシー・キュービバ油、ベイリーフ油、ニクズク花油、マジョラム油、マンダリン油、マッソイ(massoi)の樹皮油、ミモザそのもの、麝香種油、麝香チンキ剤、マスカテルセージ油、ニクズク油、ミルラそのもの、ミルラ油、ミルテ油、丁子葉油、丁子花油、橙花油、オリバナムそのもの、オリバナム油、オポパナクス油、オレンジ花そのもの、オレンジ油、オレガノ油、パルマローザ油、パチョリ油、シソ油、ペルーバルサム油、パセリ葉油、パセリ種油、プチグレン油、ハッカ油、コショウ油、ピメント油、松根油、ポレイハッカ油、バラそのもの、バラ木油、バラ油、ローズマリー油、ダルマチアのセージ油、スペインのセージ油、ビャクダン油、セロリ種油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、スティラックス油、マンジュギク油、モミ葉油、ティーツリー油、テルペンタイン(terpentine)油、タイム油、トルーバルサム油、トンカそのもの、月下香そのもの、バニラエッセンス、スミレの花びらそのもの、バーベナ油、ベチベル油、ジュニパーベリー油、ブドウ酒酵母油、ヨモギ油、ウィンターグリーン油、イランイラン油、ヒソップ油、シベットそのもの、桂皮葉油、桂皮樹皮油、及びそれらの留分又はそれらから単離された成分。
【0027】
炭化水素群からの個々の香料、例えば、3-カレン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、p-シメン、ビサボレン、カンフェン、カリオフィレン、セドレン、ファルネセン、リモネン、ロンギホレン、ミルセン、オシメン、バレンセン(valencene)及び(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン;
脂肪族アルコール、例えば、ヘキサノール、オクタノール、3-オクタノール、2,6-ジメチルヘプタノール、2-メチルヘプタノール、2-メチルオクタノール、(E)-2-ヘキセノール、(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オール及び3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールの混合物、(E,Z)-2,6-ノナジエノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、9-デセノール及び10-ウンデセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール;脂肪族アルデヒド及びその1,4-ジオキサシクロアルケン-2-オン、例えば、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、2-メチルオクタナール、2-メチルノナナール、(E)-2-ヘキセナール、(Z)-4-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、10-ウンデセナール、(E)-4-デセナール、2-ドデセナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ヘプタナールジエチルアセタール、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン及びシトロネリルオキシアセトアルデヒド;
脂肪族ケトン及びそのオキシム、例えば、2-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム及び2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン;脂肪族含硫黄化合物、例えば、3-メチルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキサノール、3-メルカプトヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキシルブチレート、3-アセチルチオヘキシルアセテート及び1-メンテン-8-チオール;
【0028】
脂肪族ニトリル、例えば、2-ノネン酸ニトリル、2-トリデセン酸ニトリル、2,12-トリデセン酸ニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸ニトリル及び3,7-ジメチル-6-オクテン酸ニトリル;
脂肪族カルボン酸及びそのエステル、例えば、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルホルメート、エチルアセトアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、(E)-2-ヘキセニルアセテート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルアセテート、オクチルアセテート、3-オクチルアセテート、1-オクテン-3-イルアセテート、エチルブチレート、ブチルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート、ヘキシルクロトネート、エチルイソバレレート、エチル2-メチルペンタノエート、エチルヘキサノエート、アリルヘキサノエート、エチルヘプタノエート、アリルヘプタノエート、エチルオクタノエート、エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート、メチル2-オクチネート、メチル2-ノニネート、アリル2-イソアミルオキシアセテート、及びメチル3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート;
非環式テルペンアルコール、例えば、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、ラバデュロール(lavadulol)、ネロリドール、ファルネソール、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロゲラニオール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール、3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール及び2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール、及びそれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2-ブテノエート;
【0029】
非環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えば、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール及びゲラニルアセトン、及びゲラニアール、ネラール及び7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル及びジエチルアセタール;
環式テルペンアルコール、例えば、メントール、イソプレゴール、α-テルピネオール、テルピネン-4-オール、メンタン-8-オール、メンタン-1-オール、メンタン-7-オール、ボルネオール、イソボルネオール、リナロールオキシド、ノポール、セドロール、アンブリノール(ambrinol)、ベチベロール(vetiverol)及びグアニオール;及びそれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2-ブテノエート;
環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えば、メントン、イソメントン、8-メルカプトメンタン-3-オン、カルボン、樟脳、フェンチョン、α-イオノン、β-イオノン、α-n-メチルイオノン、β-n-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、β-イソメチルイオノン、α-イロン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、β-ダマスセノン、δ-ダマスコン、γ-ダマスコン、1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン、ノートカトン、ジヒドロノートカトン、α-サイネンサール(sinensal)、β-サイネンサール及びアセチル化セダー油(メチルセドリルケトン);
環式アルコール、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール及び2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール;
【0030】
脂環式アルコール、例えば、α,3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ペンタン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール及び1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール;
環式及び脂環式エーテル、例えば、シネオール、セドリルメチルエーテル、シクロドデシルメチルエーテル、(エトキシメトキシ)シクロドデカン、α-セドレンエポキシド、3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、バラ酸化物及び2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン;
環式ケトン、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-ヘプチルシクロペンタノン、2-ペンチルシクロペンタノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-4-シクロペンタデセノン、3-メチル-5-シクロペンタデセノン、3-メチルシクロペンタデカノン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン、4-tert-ペンチルシクロヘキサノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、8-シクロヘキサデセン-1-オン、9-シクロヘプタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン;
【0031】
脂環式アルデヒド、例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド及び4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド;
脂環式ケトン、例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン、メチル2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン及びtert-ブチル(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトン;
環式アルコールのエステル、例えば、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、デカヒドロ-2-ナフチルアセテート、3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート、デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-及び6-インデニルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-及び6-インデニルプロピオネート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-及び6-インデニルイソブチレート及び4,7-メタノオクタヒドロ-5-及び6-インデニルアセテート;
【0032】
脂環式カルボン酸のエステル、例えば、アリル3-シクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、メチルジャスモネート、メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート、エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート及びエチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート;
芳香族炭化水素、例えば、スチレン及びジフェニルメタン;
アリール脂肪族アルコール、例えば、ベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、3-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、4-メトキシベンジルアルコール及び1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール;
アリール脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルイソブチレート、ベンジルイソバレレート、2-フェニルエチルアセテート、2-フェニルエチルプロピオネート、2-フェニルエチルイソブチレート、2-フェニルエチルイソバレレート、1-フェニルエチルアセテート、α-トリクロロメチルベンジルアセテート、α,α-ジメチルフェニルエチルアセテート、α,α-ジメチルフェニルエチルブチレート、シンナミルアセテート、2-フェノキシエチルイソブチレート及び4-メトキシベンジルアセテート;アリール脂肪族エーテル、例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル、2-フェニルエチルイソアミルエーテル、2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ヒドロアトロパアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ダイオキシン及び4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ダイオキシン;
【0033】
芳香族又はアリール脂肪族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、ヒドロアトロパアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナムアルデヒド、α-ブチルシンナムアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、3-メチル-5-フェニルペンタナール、4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール及び2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール;
芳香族又はアリール脂肪族ケトン、例えば、アセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン、4-フェニル-2-ブタノン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1-(2-ナフタレニル)エタノン、ベンゾフェノン、1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン、6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン、1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン及び5',6',7',8'-テトラヒドロ-3',5',5',6',8',8'-ヘキサメチル-2-アセトナフトン;
【0034】
芳香族又はアリール脂肪族カルボン酸及びそのエステル、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ヘキシル、安息香酸ベンジル、メチルフェニルアセテート、エチルフェニルアセテート、ゲラニルフェニルアセテート、フェニルエチル-フェニルアセテート、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸フェニルエチル、桂皮酸シンナミル、アリルフェノキシアセテート、サリチル酸メチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シクロヘキシル、サリチル酸cis-3-ヘキセニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニルエチル、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、エチル3-フェニルグリシデート及びエチル3-メチル-3-フェニルグリシデート;
含窒素芳香族化合物、例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン、3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン、桂皮酸ニトリル、5-フェニル-3-メチル-2-ペンテン酸ニトリル、5-フェニル-3-メチルペンタン酸ニトリル、メチルアントラニレート、メチルN-メチルアントラニレート、メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール又は2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒドとのシッフ塩基、6-イソプロピルキノリン、6-イソブチルキノリン、6-sec-ブチルキノリン、インドール、スカトール、2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン及び2-イソブチル-3-メトキシピラジン;
【0035】
フェノール、フェニルエーテル又はフェニルエステル、例えば、エストラゴール、アネトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソオイゲニルメチルエーテル、チモール、カルバクロール、ジフェニルエーテル、β-ナフチルメチルエーテル、β-ナフチルエチルエーテル、β-ナフチルイソブチルエーテル、1,4-ジメトキシベンゼン、オイゲニルアセテート、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール及びp-クレシルフェニルアセテート;
複素環式化合物、例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン及び2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン;
ラクトン、例えば、1,4-オクタノリド、3-メチル-1,4-オクタノリド、1,4-ノナノリド、1,4-デカノリド、8-デセン-1,4-オリド、1,4-ウンデカノリド、1,4-ドデカノリド、1,5-デカノリド、1,5-ドデカノリド、1,15-ペンタデカノリド、cis-及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド、cis-及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオエート、エチレン1,13-トリデカンジオエート、クマリン、2,3-ジヒドロクマリン及びオクタヒドロクマリン。
【0036】
香料前駆物質として本発明にしたがって使用される1種以上の式(I)の化合物を含む本発明による香油は、溶剤で希釈された又はされない液体の形で香り付けに使用されうる。このために適する溶剤は、例えば、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、イソプロピルミリステート等である。
香料前駆物質として本発明にしたがって使用される1種以上の式(I)の化合物を含む本発明による香油は更に、キャリヤー物質上に吸着されていてもよく、このことが製品中における香料の微細な分布及び使用中の制御放出の両方を確実にする。そのようなキャリヤーは、例えば、軽質スルフェート、シリカゲル、ゼオライト、石膏、粘土、粘土顆粒、発泡コンクリートのような多孔性無機物質でも、木材及びセルロースを基剤とする物質のような有機物質でもよい。
香料前駆物質として本発明にしたがって使用される1種以上の式(I)の化合物を含む本発明による香油はまた、マイクロカプセル化した又は噴霧乾燥させた形、又は包接錯体又は押出製品の形でもよいし、この形で香り付けする製品に添加してもよい。
このようにして形を変えた香料の性質は、例えば、ポリビニルアルコールのようなろう様プラスチックが好ましくは使用されるが、適する物質のいわゆる“コーティング”により、香料の一層制御された放出に関して更に最適化されうる。
【0037】
香油のマイクロカプセル化は、例えば、ポリウレタン様の物質又は軟質ゼラチンのようなカプセル物質を用いていわゆるコアセルベーション法により実施されうる。噴霧乾燥させた香油は、例えば、香油を含む乳濁液又は分散液を噴霧乾燥させることにより調製され、変性したでんぷん、たんぱく質、デキストリン及び植物ゴムをキャリヤー物質として使用しうる。包接錯体は、例えば、香油及びシクロデキストリン又は尿素誘導体の分散液を例えば水のような適する溶剤に導入することにより調製されうる。押出製品は、香油を適するろう様物質とともに溶融し、次いで任意に例えばイソプロパノールのような適する溶剤中で固化させて押し出すことにより得られる。
香料組成物においては、香料前駆物質として使用される本発明による式(I)の化合物の使用量は、香油の総質量に対して0.01乃至75質量%、好ましくは0.05乃至50質量%であり、0.5乃至20質量%の使用量が特に好ましい。
香料前駆物質として使用される本発明による式(I)の化合物を含む香油は、化粧手入れ用品、特に、アルデヒド又はケトンの安定性が低く、(a)pH値を酸性のpH値からアルカリ性のpH値に上昇させて≧8.5のpH値とすることにより、又は(b)水の添加により活性化、及びそれによる実質的に自発的なアルデヒド又はケトンの放出がなされるヘアケア又は洗剤製品の調製のために、濃縮された形、溶液又は前述のように変性された形で使用されうる。言及されうる例は、例えば、固体及び液体石鹸、漂白クリーム、にきび用クリームのようなボディケア組成物、ヘアセットローション、パーマネントヘア着色組成物のようなヘアケア製品及び消臭剤及び制汗剤スティックのような消臭剤及び制汗剤である。
香料前駆物質として使用される本発明による式(I)の化合物を含む香油は、好ましくは、ヘアケア製品及びボディケア組成物の調製、特にパーマネントヘア着色組成物の調製のために、濃縮された形、溶液又は前述のように変性された形で使用されうる。
【0038】
香料前駆物質として使用される本発明による式(I)の化合物を含む香油は更に、例えば、床洗浄剤、窓ガラス洗浄剤、浴槽及びトイレ洗浄剤、固体及び液体手洗い所洗浄剤のような家庭用品、液体洗剤、粉末洗剤、漂白組成物、浸漬組成物及び染み抜き剤のような洗濯前処理組成物、洗剤錠剤、消毒剤及び表面消毒剤の調製のために、濃縮された形、溶液又は前述のように変性された形で使用されうる。
香料前駆物質として使用される本発明による式(I)の化合物を含む香油は、好ましくは、液体洗剤の調製のために濃縮された形、溶液又は前述のように変性された形で使用されうる。
前駆物質として本発明にしたがって使用される式(I)の化合物は、当業者に公知の方法により調製されうる。R2が、(a)分岐又は非分岐のC1〜C3アルキル基又は(b)分岐又は非分岐のC2〜C3アルキレン基を表す式(I)のエノールエステルは、D. P. Simmons et al., Helv. Chim. Acta 71, 1000(1988)の知識にしたがって調製される。R2が、(a)分岐又は非分岐のC4アルキル基又は(b)分岐又は非分岐のC4アルキレン基を表す式(I)のエノールエステルは、P. Duhamel et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 1993, 2509の知識にしたがって調製される。
以下の非限定実施例により本発明を説明する。
【実施例1】
【0039】
(E/Z)-酢酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド(13.82g、100.0ミリモル)、酢酸ナトリウム(1.54g、18.5ミリモル)及びトリエチルアミン(21.27g、210.0ミリモル)を最初に無水酢酸(150ml)に導入し、混合物を120℃に6時間加熱する。反応が終了した(TLC管理)時に混合物を冷却して反応溶液を氷水(100ml)に注ぎ、水性相をエーテル(150ml)及びシクロヘキサン(150ml)で抽出する。一緒にした有機相を、2M NaOH(100ml)及び水(100ml)で各々1回洗浄し、次いでNa2SO4上で乾燥させ、ろ過して回転エバポレータで蒸発させる。分別蒸留(60.0〜61.6℃、25Pa)後、17.5gの(E/Z)-酢酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルが無色の油として得られる。
E/Z異性体比=1:1
E異性体に対応する分光分析データ:
1H-NMR(400MHz,CDCl3): δ(ppm)=1.10(d, 7.1Hz, 3H), 1.64-1.67(m, 3H), 1.97-2.05(m, 2H), 2.14(s, 3H), 2.43(ddd, J=0.6, 7.2, 13.2Hz, 1H), 2.49(ddd, J=0.9, 5.7, 13.2Hz, 1H), 3.18-3.28(m, 1H), 5.26-5.31(m, 1H), 7.00(q, 1.1Hz, 1H)。
13C-NMR(100MHz,CDCl3): δ(ppm)=20.7, 20.8, 21.4, 23.3, 30.9, 33.4, 125.5, 126.7, 128.0, 133.3, 168.4。
【実施例2】
【0040】
(E/Z)-イソ酪酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルの調製
無水酢酸の代わりにイソ酪酸無水物を使用し、実施例1と同様にして(E/Z)-2-メチルプロピオン酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルの調製を実施する。
E/Z異性体比=1:1
E異性体に対応する分光分析データ:
1H-NMR(400MHz,CDCl3): δ(ppm)=1.07(d, 7.1Hz, 3H), 1.22(d, J=7.0Hz, 6H), 1.64-1.67(m, 3H), 1.98-2.05(m, 2H), 2.36(ddd, J=0.7, 7.3, 13.4Hz, 1H), 2.48(ddd, J=0.9, 6.1, 13.4Hz, 1H), 2.62(sep, J=7.0Hz, 1H), 3.20-3.26(m, 1H), 5.26-5.31(m, 1H), 7.00(q, 1.1Hz, 1H)。
13C-NMR(100MHz,CDCl3): δ(ppm)=18.8(2C), 20.7, 23.5, 23.8, 29.9, 31.3, 34.0, 125.5, 126.6, 127.5, 133.3, 174.1。
【実施例3】
【0041】
(E/Z)-ピバリン酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルの調製
(E/Z)-酢酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステル(26.27g、145ミリモル)を最初にTHF(200ml)に導入し、混合物を−70℃に冷却し、THF(100ml)に溶解させたカリウムtert-ブタノラート(24.75g、220ミリモル)を添加する。次いで混合物を−70℃において60分間攪拌した後、THF(60ml)に溶解させたピバリン酸クロライド(26.57g、220ミリモル)を添加し、その後混合物を更に120分間攪拌する。反応が終了した(TLC管理)時に反応溶液を飽和NaHCO3溶液(250ml)に注ぎ、相を分離させて水性相をエーテル(250ml)で更に2回抽出する。一緒にした有機相をNa2SO4上で乾燥させ、ろ過して回転エバポレータで蒸発させる。得られた粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc=60:1、Rf=0.23)により精製すると、24.50gの無色の油が得られる。
E/Z異性体比=2:1
E異性体に対応する分光分析データ:
1H-NMR(400MHz,CDCl3): δ(ppm)=1.08(d, 7.1Hz, 3H), 1.25(s, 9H), 1.66-1.68(m, 3H), 1.97-2.05(m, 2H), 2.38(ddd, J=0.6, 7.2, 13.2Hz, 1H), 2.49(ddd, J=0.9, 5.7, 13.2Hz, 1H), 3.19-3.28(m, 1H), 5.27-5.31(m, 1H), 6.90(q, 2.2Hz, 1H)。
13C-NMR(100MHz,CDCl3): δ(ppm)=21.3, 23.5, 23.8, 27.1(3C), 30.0, 31.2, 38.8, 125.5, 126.5, 127.7, 133.4, 175.5。
【実施例4】
【0042】
(1E/Z)-酢酸デカ-1-エニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりにデカナールを使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。P. Z. Bedoukian, J. Am. Chem. Soc. 79, 889-892, (1957)も参照されたい。
【実施例5】
【0043】
(1E/Z)-イソ酪酸デカ-1-エニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりにデカナールを、無水酢酸の代わりにイソ酪酸無水物を使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
【実施例6】
【0044】
(1E/Z)-ピバリン酸デカ-1-エニルエステルの調製
(E/Z)-酢酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルの代わりに(1E/Z)-酢酸デカ-1-エニルエステルを使用し、実施例3と同様にして合成を実施する。
【実施例7】
【0045】
(1E/Z)-酢酸3-メチル-5-フェニルペンタ-1-エニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに3-メチル-5-フェニルペンタナールを使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
【実施例8】
【0046】
(1E/Z)-イソ酪酸3-メチル-5-フェニルペンタ-1-エニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに3-メチル-5-フェニルペンタナールを、無水酢酸の代わりにイソ酪酸無水物を使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
【実施例9】
【0047】
(1E/Z)-ピバリン酸3-メチル-5-フェニルペンタ-1-エニルエステルの調製
(E/Z)-酢酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルの代わりに(1E/Z)-酢酸3-メチル-5-フェニルペンタ-1-エニルエステルを使用し、実施例3と同様にして合成を実施する。
【実施例10】
【0048】
(1E/Z)-酢酸3-(4-tert-ブチル)-2-メチルプロパ-1-エニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナールを使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。JP 5514137 A1も参照されたい。
【実施例11】
【0049】
(1E/Z)-イソ酪酸3-(4-tert-ブチル)-2-メチルプロパ-1-エニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナールを、無水酢酸の代わりにイソ酪酸無水物を使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
【実施例12】
【0050】
(1E/Z)-ピバリン酸3-(4-tert-ブチル)-2-メチルプロパ-1-エニルエステルの調製
(E/Z)-酢酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルの代わりに(1E/Z)-酢酸3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパ-1-エニルエステルを使用し、実施例3と同様にして合成を実施する。
【実施例13】
【0051】
(1E/Z)-酢酸3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパ-1-エニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナールを使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
【実施例14】
【0052】
(1E/Z)-イソ酪酸3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパ-1-エニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナールを、無水酢酸の代わりにイソ酪酸無水物を使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
【実施例15】
【0053】
(1E/Z)-ピバリン酸3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパ-1-エニルエステルの調製
(E/Z)-酢酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルの代わりに(1E/Z)-酢酸3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパ-1-エニルエステルを使用し、実施例3と同様にして合成を実施する。
【実施例16】
【0054】
(1E/Z)-酢酸ドデカ-1-エニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりにドデカナールを使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。P. Z. Bedoukian, J. Am. Chem. Soc. 79, 889-892, (1957)も参照されたい。
【実施例17】
【0055】
(1E/Z)-イソ酪酸ドデカ-1-エニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりにドデカナールを、無水酢酸の代わりにイソ酪酸無水物を使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
【実施例18】
【0056】
(1E/Z)-ピバリン酸ドデカ-1-エニルエステルの調製
(E/Z)-酢酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルの代わりに(1E/Z)-酢酸ドデカ-1-エニルエステルを使用し、実施例3と同様にして合成を実施する。
【実施例19】
【0057】
(1E/Z)-酢酸2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに2,6-ジメチルヘプタ-5-エナールを使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。JP 55015433 B4も参照されたい。
【実施例20】
【0058】
(1E/Z)-イソ酪酸2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに2,6-ジメチルヘプタ-5-エナールを、無水酢酸の代わりにイソ酪酸無水物を使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
【実施例21】
【0059】
(1E/Z)-ピバリン酸2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニルエステルの調製
(E/Z)-酢酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルの代わりに(1E/Z)-酢酸2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニルエステルを使用し、実施例3と同様にして合成を実施する。
【実施例22】
【0060】
(1E/Z,3E/Z)-酢酸ヘキサ-1,3-ジエニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに(3E)-ヘキサ-3-エナールを使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。B. M. Trost et al. J. Am. Chem. Soc. 100, 3930-3931, (1978)も参照されたい。
【実施例23】
【0061】
(1E/Z,3E/Z)-イソ酪酸ヘキサ-1,3-ジエニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに(3E)-ヘキサ-3-エナールを、無水酢酸の代わりにイソ酪酸無水物を使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
【実施例24】
【0062】
(1E/Z,3E/Z)-ピバリン酸ヘキサ-1,3-ジエニルエステルの調製
(E/Z)-酢酸(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニリデン)メチルエステルの代わりに(1E/Z,3E/Z)-酢酸ヘキサ-1,3-ジエニルエステルを使用し、実施例3と同様にして合成を実施する。
【実施例25】
【0063】
(1E/Z,5Z)-酢酸オクタ-1,5-ジエニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに(5Z)-オクタ-5-エナールを使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
【実施例26】
【0064】
(1E/Z,6Z)-酢酸ノナ-1,6-ジエニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに(6Z)-ノナ-6-エナールを使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
【実施例27】
【0065】
(1E/Z)-酢酸3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパ-1-エニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナールを使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。米国特許第3023247号も参照されたい。
【実施例28】
【0066】
(1E/Z)-酢酸2,6,10-トリメチルウンデカ-1,9-ジエニルエステルの調製
2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒドの代わりに2,6,10-トリメチルウンデカ-9-エナールを使用し、実施例1と同様にして合成を実施する。
香料前駆物質として本発明にしたがって使用される式(I)の化合物を多くの消費者製品に添加し、それらの効用を種々の方法により研究した。消費者製品用の配合物の調製においては、アルデヒド又はケトンのモル当量は、比較可能性を確保するために一方ではエノールエステルの形で、他方では遊離アルデヒド又はケトンの形で使用した。
方法1:貯蔵安定性
香料又は香料前駆物質の貯蔵安定性は、貯蔵後にも存在する物質の%量として定義される。
(貯蔵後の量/貯蔵前の量)×100%=貯蔵安定性(%)
貯蔵安定性の決定及び比較については、香料前駆物質及び対応するアルデヒド又はケトンの両方を、例えばヘア着色組成物又は石鹸のような消費者製品の同一配合物の別々の試料に添加する。次いで別々の試料をいくつかのポーションに分ける。貯蔵前の香料前駆物質又はアルデヒド又はケトンの量を測定するために、直ちに試料の一ポーションに適する抽出及び分析測定を実施する。例えば、ガスクロマトグラフィーによる分析においては、定量化のために適する標準が使用される。第二のポーションは、所定の時間高温で貯蔵した後、同一の方法を用いて抽出及び定量化する。
【実施例29】
【0067】
パーマネントヘア着色組成物
(a)顕色剤組成物における安定性
顕色剤組成物の配合物は、典型的には、水、過酸化水素、燐酸、クエン酸等のような酸、増粘剤、乳化剤、防腐剤、錯化剤、シリコーン、溶剤及び更なる補助物質を含む。
香料前駆物質(表1を参照されたい)は、顕色剤配合物のバッチに1%の用量で添加し、混合物は40℃で1ヶ月貯蔵する。
【0068】
【表1】

【0069】
香料前駆物質は、1ヶ月の期間後、色、におい及び分析に関して安定である。
(b)ヘアの着色中の放出速度
加水分解速度の測定においては、種々の香料前駆物質(表2を参照されたい)を各場合において0.3%の濃度で顕色剤組成物に添加した。次いで、2乃至16%のアンモニア及び/又はアルカノールアミン、特にモノエタノールアミンのような代替物、水、増粘剤、乳化剤、コンシステンシー付与剤、反応性染料、溶剤、錯化剤、安定剤及び防腐剤を含むアンモニア性着色組成物を1:1の割合で顕色剤組成物に添加する。所定の期間において試料をヘア着色組成物から採り、試料を直ちに中和して溶剤で抽出し、内部及び外部標準を用いたガスクロマトグラフィーにより香料前駆物質及び放出されたアルデヒド又はケトンの含量を測定する。

【0070】
【表2】

【0071】
ヘアの着色のための配合物中の香料前駆物質は、顕色剤組成物とアンモニア性ヘア着色溶液の混合後に対応するアルデヒドへの実質的に自発的な加水分解を示した。5分後にはすべての香料前駆物質から実質的に100%の最大アルデヒド濃度が形成されていた。
(c)においの評価
放出された個々のアルデヒドのにおいの強度は、髪の毛から感覚的に測定した。感覚的強度のスケールは、1.0=においがないから9.0=非常に強いまで達する。顕色剤は(b)の欄に記載した実験と同様にして調製し、個々の顕色剤をアンモニア性着色組成物と一緒にした後、得られるヘア着色組成物を髪の毛に塗布して放出されるアルデヒドのにおいの強度を特定の時間間隔後にパネル(5人)により決定した。
【0072】
【表3】

【0073】
ヘアを着色するための配合物中の香料前駆物質は、顕色剤組成物とアンモニア性ヘア着色剤溶液の混合後に対応するアルデヒドへの実質的に自発的な加水分解を示した。放出されたアルデヒドは、4分後にはすでにその最大値に達していた。
驚くべきことに、このことは、アルカリ性ヘア着色組成物のための香油においてアルデヒド又はケトンの制御放出のための香料前駆物質として本発明にしたがって使用される式(I)の化合物の使用においてかなり有利であることを示す。
【実施例30】
【0074】
石鹸
以下の石鹸配合物は一般的に公知の方法により調製しうる。データは質量%に合致する。得られた石鹸A及びBを洗浄に使用し、直ちに及び4週間の貯蔵後の両方に分析した。
【0075】
【表4】

【0076】
(a)におい及び色の評価
石鹸配合物A及びBを室温において約3ヶ月貯蔵した。
香料前駆物質(1E/Z)-イソ酪酸デカ-1-エニルエステルを含む本発明による石鹸Aは色において全く変化を示さないか又はごくわずかな変化を示したが、(比較)石鹸Bは黄色又は灰色に変色した。したがって高い色の安定度は香料前駆物質の使用により得られる。
貯蔵後、各々の場合において1gの石鹸を100gの手に熱いお湯に溶解させ、その石鹸片を皮膚の洗浄に使用した。
すべての場合において香料前駆物質を含む本発明による石鹸Aの水溶液上の香料の印象は、遊離アルデヒドを含む石鹸Bの香料の印象より有意に強かった。
石鹸Aを用いて洗浄した洗浄された皮膚の香料の印象は、石鹸Bを用いて洗浄した後の香料の印象より同様に強かった。
(b)貯蔵安定性
石鹸配合物A及びBを暗い場所で室温において約1ヶ月貯蔵した。本発明による石鹸Aの貯蔵所における調製物は、(比較)石鹸Bにおける対応するアルデヒドより有意に高い貯蔵安定性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I)の化合物の香料前駆物質としての使用。
【化1】

(式中、
R1は、(a)6個以上の炭素原子を有するアルデヒドのエノール型又は(b)10個以上の炭素原子を有するケトンの基であり、かつ
R2は、(a)分岐又は非分岐のC1〜C4アルキル基又は(b)分岐又は非分岐のC2〜C4アルキレン基である。)
【請求項2】
前記R2が、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル及びtert-ブチル、エテニル、メチルエテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル及び3-ブテニルからなる群から選択される請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記R2が、メチル、エチル、n-プロピル及びiso-ブチル、エテニル、メチルエテニル、1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル及び1-メチル-1-プロペニルからなる群から選択される請求項2記載の使用。
【請求項4】
以下の工程、
−下式(I)の化合物を提供する工程、
【化2】

(式中、
R1は、(a)6個以上の炭素原子を有するアルデヒドのエノール型又は(b)10個以上の炭素原子を有するケトンの基であり、かつ
R2は、(a)分岐又は非分岐のC1〜C4アルキル基又は(b)分岐又は非分岐のC2〜C4アルキレン基である。)
−式(I)の化合物が配合物中で安定であるように式(I)の化合物及び媒体を含む配合物を調製する工程、及び
−式(I)の化合物が解離して香料を放出するように配合物を処理する工程、
を有することを特徴とする香料の放出方法。
【請求項5】
前記媒体が、(a)酸性及び酸化性であるか、又は(b)アルカリ性であって媒体の総質量に対して≦10質量%の含水率を有する請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記配合物の処理が、
−(a)の場合に配合物のpHを≧8.5の値に上昇させること、又は
−(b)の場合に配合物の含水率を>10質量%に上昇させること、
を含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記配合物が、
(a)の場合に、パーマネントヘア着色組成物のための顕色剤組成物、パーマネントウェーブ定着組成物、漂白クリーム、にきび用クリーム、トイレ洗浄剤及び表面洗浄剤からなる群から選択されるか、又は
(b)の場合に、水溶性フィルム内に包装するための液体洗剤、消臭剤又は制汗剤のスティック及び石鹸からなる群から選択される、
請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
−下式(I)の化合物、及び
【化3】

(式中、
R1は、(a)6個以上の炭素原子を有するアルデヒドのエノール型又は(b)10個以上の炭素原子を有するケトンの基であり、かつ
R2は、(a)分岐又は非分岐のC1〜C4アルキル基又は(b)分岐又は非分岐のC2〜C4アルキレン基である。)
−更に配合物成分を含む媒体又は更なる配合物成分、
を含む又はそれらからなる化粧品、洗剤及び/又は洗浄配合物であって、前記配合物中の前記式(I)の化合物の含量が配合物の総質量に対して1質量%未満であり、前記式(I)の化合物が前記配合物中で安定であるような前記媒体が選択される配合物。
【請求項9】
前記媒体が、(a)酸性及び酸化性であるか、又は(b)アルカリ性であって媒体の総質量に対して≦10質量%の含水率を有する請求項8記載の配合物。
【請求項10】
前記配合物が、
(a)の場合に、パーマネントヘア着色組成物のための顕色剤組成物、パーマネントウェーブ定着組成物、漂白クリーム、にきび用クリーム、トイレ洗浄剤及び表面洗浄剤からなる群から選択されるか、又は
(b)の場合に、水溶性フィルム内に包装するための液体洗剤、消臭剤又は制汗剤のスティック及び石鹸からなる群から選択される、
請求項9記載の配合物。
【請求項11】
(a)式(I)の化合物が媒体中に分散しているか溶解している、及び/又は
(b)式(I)の化合物が、媒体中に分散しているか溶解している香油の一成分として使用される、
配合物であって、(b)の場合に、香油が任意に、(i)キャリヤー物質上に吸着されているか、(ii)マイクロカプセル化されているか、又は(iii)噴霧乾燥されているか、又はそれが(iv)包接錯体として又は(v)押出製品として使用されるか、又は(vi)塗布されている請求項8乃至10のいずれかに記載の配合物。
【請求項12】
−下式(I)の化合物、及び
【化4】

(式中、
R1は、(a)6個以上の炭素原子を有するアルデヒドのエノール型又は(b)10個以上の炭素原子を有するケトンの基であり、かつ
R2は、(a)分岐又は非分岐のC1〜C4アルキル基又は(b)分岐又は非分岐のC2〜C4アルキレン基である。)
−1種以上の香料、
を含む香油であって、前記香油中の前記式(I)の化合物の含量が香油の総質量に対して0.1質量%以上であり、
前記香油が、任意に、(i)キャリヤー物質上に吸着されているか、(ii)マイクロカプセル化されているか、又は(iii)噴霧乾燥されているか、又はそれが(iv)包接錯体として又は(v)押出製品として使用されるか、又は(vi)塗布されている香油。

【公表番号】特表2007−509199(P2007−509199A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534755(P2006−534755)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052520
【国際公開番号】WO2005/037243
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(591278585)ジムリス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディットゲゼルシャフト (14)
【Fターム(参考)】