説明

香料及び香味料中の芳香成分としてのカンフォレニック誘導体の使用

本発明は、一般式(I)〔式(I)中、R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、Yは、CN、C(O)R又はCR(ORα)(ORβ)基を表し、Rは水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、Rα及びRβは同時に直鎖状もしくは分枝状のC、C、C、C、又はCアルキルもしくはC、C、C、又はCアルケニル基を表すか、又は一緒になって環を形成してもよく、式中の5員環は飽和であるか又は式(I)中のC3’とC4’との間に二重結合を有し、側鎖は、任意選択で、C1とC2との間及び/又はC3とC4との間に二重結合を有し、但し、この誘導体は、3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールではないことを条件とする。〕のカンフォレニック誘導体、及び着香剤又は香味付け剤としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は香料及び香味料の分野に関する。より特に、本発明は新しいカンフォレニック誘導体と、香料及び香味料の分野でのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カンフォレン(campholene)環の1’位にC〜CもしくはC〜Cアルキル又はC〜CもしくはC〜Cアルケニル鎖を有するいくつかのカンフォレニック誘導体は、欧州特許出願公開0203528号公報、同0466019号公報、同1008579号公報、同0841318号公報、又は米国特許第5,057,158号明細書におけるように、着香料として文献に記載されている。特に、これらの文献は、特有の白檀油(サンダルウッドオイル)の芳香を与える、シクロペンタンブタノール、シクロペンテンブタノール及びシクロペンテンペンテノールの誘導体を扱っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0203528号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0466019号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第1008579号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第0841318号公報
【特許文献5】米国特許第5,057,158号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、少なくとも6個の炭素原子の側鎖で置換された、シクロペンタン又はシクロペンテン化合物に焦点を当てた。本出願人は、この群の一つの化合物である3−メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナールは公知であるが、この化合物についていかなる官能特性もこれまで開示されていないことを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、且つカンフォレニック誘導体がそれらの白檀芳香について通常知られているという事実にもかかわらず、上記の新しいカンフォレニック誘導体は、フローラル、フルーティー、又はマリーンなどの予期せぬ芳香を示した。
【0006】
新しい化合物の必要性は、香味料及び香料工業の発展のために非常に重要であり、これらの工業は、最近、特定の物質の使用についてのより厳格な国際的規制、並びに環境的関心及び向上されたパフォーマンスに対する消費者の要求に直面しなければならなかった。新しい香料化合物の製造を可能にすることは、したがって、困難なことである。
【0007】
言い換えれば、この新しいアプローチは、好ましくは簡単且つ安価な製造方法によって、新しい香味料又は香料化合物を提供するための技術課題に答えをもたらす。
【0008】
[定義]
本明細書で用いるように、「香料」及び「芳香」の用語は、嗅覚を心地よく刺激することを意図した化合物又は化合物の混合物に言及する場合はいつでも同義的に用いられる。
【0009】
本明細書で用いるように、「香味料」及び「香味付け」の用語は、味覚及び嗅覚を刺激することを意図した化合物又は化合物の混合物に言及する場合はいつでも同義的に用いられる。また、本発明の意味において、「香味付け」の用語は、任意の液体又は固体の、ヒト
又は動物用の、特に飲料、乳製品、アイスクリーム、スープ、ソース、ディップ、料理、肉製品、料理の添えもの、塩味のビスケット又はスナックの香味付けに関する。これはビール、ワイン、及びタバコの香味付けをも意味する。
【0010】
本明細書で用いるように、香料及び香味料などの「官能化合物」の用語は、臭覚又は味覚を刺激し、それによって特有の芳香及び/又は香味を有すると知覚される本発明の化合物をいう。
【0011】
本明細書で用いるように、「嗅覚に有効な量」の用語は、ある素材の中に存在する香料/香味付け化合物の量であって、その組み込まれた化合物が感覚上の効果を示すレベルを意味する。
【0012】
「マスキング」の用語は、製品の組成中に入り込んだ1種以上の分子によって生じる悪臭又は悪い香味感覚を低減又は除去することを意味する。
【0013】
本発明において、「アルキル」又は「アルキル基」の用語は、好ましくは1、2、3、4、又は5個の炭素原子を有する、任意の直鎖状又は分枝状の飽和炭化水素鎖を意味し、これは本明細書ではC1〜5アルキル基といい、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、ペンチルをいう。
【0014】
本発明において、「アルケニル」又は「アルケニル基」の用語は、好ましくは2、3、4、又は5個の炭素原子を有する任意の直鎖状又は分枝状のモノ又はポリ不飽和炭化水素鎖を意味し、これはC2〜5アルケニル基といい、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、又はペンテニルをいう。
【0015】
本発明において、「異性体」の用語は、同じ化学式を有する分子を意味し、これは原子の同じ数及び種類を意味するが、その場合に原子が異なって配置されていることを意味する。「異性体」の用語には、構造異性体、幾何異性体、光学異性体、及び立体異性体が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明はしたがって、下記一般式(I)のカンフォレニック誘導体に関する。
【0017】
【化1】

【0018】
式(I)中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、
・Yは、CN、C(O)R6又はCR6(ORα)(ORβ)基を表し、R6は水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、
Rα及びRβは同時に直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表すか、又は一緒になって環を形成し、好ましくは、YはCN、CHO、C(O)CH、C(O)C、又はCR6(ORα)(ORβ)を表し、R6は水素原子、メチルもしくはエチル基を表し、Rα及びRβは同時に直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表すか又は一緒になって環を形成し、
・上記の5員環は飽和であるか又は式(I)中のC3’とC4’との間に二重結合を有し、
・上記の側鎖は、任意選択で、C1とC2との間及び/又はC3とC4との間に二重結合を有していてもよく、
・但し、上記誘導体は、3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールではないことを条件とする。
【0019】
有利には、本発明の化合物は上の一般式(I)の化合物であって、式中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に、水素原子又はメチルもしくはエチル基を表し、
・Yは、CN、C(O)R6又はCR6(ORα)(ORβ)基を表し、R6は水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、
Rα及びRβは同時に直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表すか、又は一緒になって環を形成し、好ましくは、YはCN、CHO、C(O)CH、C(O)C、又はCR6(ORα)(ORβ)を表し、R6は水素原子、メチルもしくはエチル基を表し、Rα及びRβは同時に直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表すか又は一緒になって環を形成し、
・上記の5員環は飽和であるか又は式(I)中のC3’とC4’との間に二重結合を有し、
・側鎖は、任意選択で、C1及びC2、及び/又はC3及びC4の間に二重結合を有していてもよく、
・但し、上記誘導体は、3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールではないことを条件とする。
【0020】
有利には、本発明の化合物は一般式(I)の化合物であり、式(I)中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、
・Yは、CN、CHO、C(O)CH、C(O)C、又はCR6(ORα)(ORβ)を表し、R6は水素原子又はメチルもしくはエチル基を表し、
Rα及びRβは同時に直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表すか、又は一緒になって環を形成し、
・上記の5員環は飽和であるか又は式(I)中のC3’とC4’との間に二重結合を有し、
・側鎖は、任意選択で、C1及びC2、及び/又はC3及びC4の間に二重結合を有していてもよく、
・但し、上記誘導体は、3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールではないことを条件とする。
【0021】
別の有利な態様によれば、本発明の化合物は上の一般式(I)の化合物であって、式中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子又はメチルもしくはエチル基を表し、
・Yは、CN、CHO、C(O)CH、C(O)C、又はCR6(ORα)(ORβ)を表し、R6は水素原子、メチル又はエチル基を表し、
Rα及びRβは同時に直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表すか、又は一緒になって環を形成し、
・上記の5員環及び側鎖は不飽和であり、好ましくは側鎖はモノ不飽和(一不飽和)であり、
・但し、上記誘導体は、3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールではないことを条件とする。
【0022】
別の有利な態様によれば、本発明の化合物は上の一般式(I)の化合物であって、式中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、
・Yは、CN、CHO、C(O)CH、C(O)C、又はCR6(ORα)(ORβ)を表し、R6は水素原子、メチル又はエチル基を表し、
Rα及びRβは同時に直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表すか、又は一緒になって環を形成し、
・上記の5員環及び側鎖は不飽和であり、好ましくは側鎖はモノ不飽和(一不飽和)であり、
・但し、上記誘導体は、3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールではないことを条件とする。
【0023】
本発明の第一の態様によれば、本発明のカンフォレニック誘導体は下記一般式(Ia)で表される。
【0024】
【化2】

【0025】
上記式(Ia)中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、好ましくはR1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立して水素原子又はメチルもしくはエチル基を表し、
・上記の5員環は飽和であるか又はC3’とC4’との間に二重結合を有し、
・側鎖は、式(Ia)において任意選択でC1とC2との間及び/又はC3とC4との間が不飽和であってもよい。
【0026】
本発明の第二の態様によれば、本発明のカンフォレニック誘導体は下記一般式(Ib)で表される。
【0027】
【化3】

【0028】
上記式(Ib)中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、好ましくはR1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立して水素原子又はメチルもしくはエチル基を表し、
・上記の5員環は飽和であるか又はC3’とC4’との間に二重結合を有し、
・側鎖は、式(Ib)において任意選択でC1とC2との間及び/又はC3とC4との間が不飽和であってもよく、
・R6は、水素原子、直鎖状又は分枝状のC1〜5アルキル又はC2〜5のアルケニル基を表し、好ましくは、R6は水素原子又はメチル基であり、より好ましくはR6は水素原子であり、
・但し、上記誘導体は、3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールではないことを条件とする。
【0029】
本発明の第三の態様によれば、本発明のカンフォレニック誘導体は下記一般式(Ic)で表される。
【0030】
【化4】

【0031】
上記式(Ic)中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、好ましくはR1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子又はメチルもしくはエチル基を表し、
・上記の5員環は飽和であるか又は式(Ic)中のC3’とC4’との間に二重結合を有し、
・側鎖は、式(Ic)において任意選択でC1とC2との間及び/又はC3とC4との間が不飽和であってもよく、
・Rα及びRβは同時に直鎖状又は分枝状のC1〜5アルキル又はC2〜5のアルケニル基を表し、好ましくは、Rα及びRβは同時にメチル又はエチル基であるか、又は、
・Rα及びRβは一緒になって、環を、好ましくは、5員環又は6員環を形成する。
【0032】
本発明は、上述した式(I)の化合物に関し、さらには任意のそれらの様々な異性体にも関する。
【0033】
本発明の好ましい態様によれば、本発明のカンフォレニック誘導体は以下のものを含む群から選択される:
6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4E)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4Z)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(+)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(-)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4E)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4Z)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4E)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4Z)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4E)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4Z)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エンニトリル、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4Z)- 4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4E)- 4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)ヘキサンニトリル、4-エチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)ヘキサンニトリル、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)ヘキサ-3-エンニトリル、6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4E)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(+)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(-)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エナール、(4E)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エナール、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナール、(4E)-4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナール、(4Z)-4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナール、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナール、4-エチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナール、3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナール、2,4-ジメチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナール、7- (2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘプタ-5-エン-2-オン、(4E)-7- (2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘプタ-5-エン-2-オン、(4Z)-7-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘプタ-5-エン-2-オン、2-(6,6-ジエトキシ-3-エチルヘキシル)-1,5,5-トリメチル-シクロペンタン、4-(6,6-ジエトキシ-ヘキサ-2-エニル)-1,5,5-トリメチル-シクロペンテン、4-((2E)-6,6-ジエトキシ-ヘキサ-2-エニル)-1,5,5-トリメチル-シクロペンテン、4-((2Z)-6,6-ジエトキシ-ヘキサ-2-エニル)-1,5,5-トリメチル-シクロペンテン。
【0034】
別の側面では、本発明は、香料又は香味付け剤としての、上述した式(I)の化合物の使用及び3-メチル-6-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールの1つ以上の異性体の使用に関する。本発明は、本発明の少なくとも1種のカンフォレニック誘導体及び/又は3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナール(これは官能用化合物としてこれまで記載されていない)を含む香料又は香味料組成物にも関する。
【0035】
本発明は、式(I)の化合物の1つ以上の異性体及び/又は3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールを含む任意の香料又は香味料組成物を含む。好ましい態様によれば、本発明は、式(I)の化合物の少なくとも2つ又は3つの異性体及び/又は3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールを含む組成物に関する。
【0036】
本発明の化合物は単独で、あるいは一般に使用され且つ当業者が香料及び香味料に対する所望の効果及び製品の性質に関して選択できるその他の着香もしくは香味付け成分、溶媒、添加剤、又は定着剤と組み合わせて用いることができる。
【0037】
第一の態様においては、本発明は、上述したように、少なくとも1種のカンフォレニック誘導体又はそれを含む組成物を、香料分野において、香料ベース及び香料濃縮物、香料、香水、及びその他類似の製品;局所適用用組成物;化粧品組成物、例えば、フェース及びボディークリーム、洗浄剤、顔のトリートメント剤、タルクパウダー、ヘアオイル、シャンプー、ヘアローション、バスオイル及びバス塩、シャワー及びバス用ゲル、石鹸、ボディ用制汗剤及び消臭剤、シェービング前用、シェービング用及びシェービング後用のクリーム及びローション、クリーム、歯磨きペースト、マウスウォッシュ、ポマード;洗浄用製品、例えば、柔軟剤、洗剤、空気消臭剤、及び家庭用洗剤製品を製造するために使用することに関する。したがって、本発明は、式(I)の少なくとも1つの化合物又は式(I)の化合物の1つ以上の異性体類を含む香料組成物にも関する。
【0038】
第二の態様では、本発明は、上述した化合物又は組成物を、香味付け組成物または物品、例えば、飲料、乳製品、アイスクリーム、スープ、ソース、ディップ、料理、肉製品、料理の添えもの、塩味のビスケット又はスナック、並びに、ビール、ワイン、及びタバコの製造のために使用することにも関する。したがって、本発明は、式(I)の少なくとも1つの化合物又は式(I)の化合物の1つ以上の異性体類を含む香味付けされた組成物にも関する。
【0039】
第三の態様では、本発明は、上述した化合物又は組成物の、香り及び/又は香味のマスキング剤としての使用、並びに式(I)の少なくとも1つの化合物又は式(I)の1つ以上の異性体類を含む任意の医薬組成物、化粧用組成物、又は食品組成物に関する。したがって、本発明はまた、本明細書に記載した式(I)の少なくとも1つの化合物を、任意の好適な添加剤、特に医薬用又は化粧品用又は食品用添加剤と組み合わせて含む任意の組成物にも関する。
【0040】
本発明の化合物は、0.001質量%〜99質量%、好ましくは0.1質量%〜50質量%、より特に0.l質量%〜30質量%の範囲からなる濃度で用いることができる。これらの値は着香及び/又は香味付けされる組成物/物品の性質、着香及び/又は香味の所望の強度、及びその組成物又は物品中に存在するその他の成分の性質に左右されることは当業者に知られている。本発明の好ましい態様によれば、化合物は嗅覚的に有効な量で用いられる。
【0041】
本発明の新しい誘導体は、当業者に公知の方法を用いて様々な方法で容易に調製できる。例えば、上述した一般式(I)の誘導体(式中、YはC(O)R基であり、C2−C3の間に二重結合がない)は、スキーム1に示したとおり、式(II)の化合物(式中、R1〜R6は上述したとおりである)から、クライゼン転移によって調製できる。式(II)の分子は、適切な置換グリニャール試薬と飽和又は飽和ではないカンフォレンアルデヒドとの縮合と、それに続く適切なビニルエーテルとのエーテル交換反応又は適切なアリルハライドとの反応によって、公知の方法にしたがって得ることができる。
【0042】
【化5】

【0043】
式(I)の新しい誘導体(式中、R1〜5は式(I)で定義した意味を有し、YはCN基である)は、式(III)の化合物とシアノ酢酸又はシアノ酢酸エチルとの間のクノーブナーゲル-デブナー縮合と、それに続く1つ以上の二重結合の還元によって、スキーム2に示したようにして得ることができる。化合物(III)は、カンフォレンアルデヒドと適切なオキソ化合物から、当技術分野で公知の方法にしたがい、クロトン化によって得ることができ、直接用いるか、又はそのα,β-不飽和をクノーブナーゲル縮合前に還元してもよい。
【0044】
【化6】

【0045】
式(I)の誘導体(Yはシアノ基である)が得られる場合は、例えば、ジイソブチルアルミニウムヒドリドを用いた還元によって、又はホスホニウム誘導体を用いたアルキル化によって、式(I)の化合物(YはC(O)R基である)が容易に調製できる。式(I)の化合物(YはCR(ORα)(ORβ)基である)は、次に、適切なアルコール又はジオールでのアセタール化によって、(I)(YはC(O)R基である)から簡単に得られる。
【0046】
出発物質であるカンフォレンアルデヒドは、市販されているか、あるいはα-ピネンから、ピネンオキシドを経て、公知の方法にしたがって調製される。(S)-(-)カンフォレンアルデヒド及びその(R)-(+)-エナンチオマーは、それぞれ(1R)-(+)及び(1S)-(-)-α-ピネンから調製できる。先に述べたように、二重結合を水素化して、その二重結合が存在しない式(I)の化合物を調製してもよい。
【0047】
以下の例は、本発明の化合物の調製法及びそれらの使用を詳しく説明する。これらの例は説明の目的のみで提示され、本発明の範囲を限定するものとして考えられるべきではない。
【実施例】
【0048】
[実施例1]:6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリルの調製
トルエン中の(3-シアノプロピル)トリフェニルホスホニウムクロライド〔トリフェニルホスフィンと4-クロロブチロニトリルとの間の公知の反応によって容易に調製できる〕の懸濁液を、炭酸カリウム、市販されているカンフォレンアルデヒド、及び触媒量の安息香酸とともに、24時間還流させた。この混合物を次に冷却し、濾過した。濾液を温水で2回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を蒸発させて粗製オイルを得て、これをt-ブチルメチルエーテルとともにすりつぶし、ホスフィンオキシドのほとんどを沈殿させた。濾過後、溶媒を蒸発させ、粗製オイルを蒸留した。
そのようにして得られた化合物は、シス/トランス(90:10)混合物である。
Bp=98〜100℃/0.76〜0.79Torr
【0049】
【数1】

【0050】
[実施例2]:(+)-(1’R)-(6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリルの調製
実施例1にしたがって、(R)-(+)-カンフォレンアルデヒドから調製した。
α(希釈なし)=+1.92°
【0051】
[実施例3]:6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エンニトリルの調製
6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エンニトリルは、2H-ジヒドロ-カンフォレンアルデヒドと(3-シアノプロピル)-トリフェニルホスホニウムクロライドとから、実施例1にしたがって調製した。
生成物は、シス/トランス(90:10)混合物として得られた。
Bp=82℃/0.02Torr
【0052】
【数2】

【0053】
[実施例4]:4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリルの調製
テトラヒドロフラン中の(3-シアノプロピル)-トリフェニルホスホニウムクロライド(実施例1を参照されたい)の懸濁液に、1モル当量のカリウムt-ブトキシドを分割して添加した。室温で30分間撹拌後、この混合物を冷却し(氷浴)、次にヨウ化メチルをゆっくりと添加した。混合物をさらに1時間撹拌し、もう1当量のカリウムt-ブトキシドを分割して添加した。室温でさらに一時間室温で撹拌した後、カンフォレンアルデヒドを添加し、反応混合物をさらに夜通し撹拌した。反応混合物を、水:t-ブチルメチルエーテル(50:50)中に注いだ。分離した水相を酸性化し、t-ブチルメチルエーテルで3回抽出した。一緒にした有機層を水で2回、次に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥させた後、溶媒を蒸発させ、粗生成物を蒸留によって精製した。
Bp=104〜106℃/0.7〜0.8Torr
化合物はシス/トランス(50:50)混合物として得られる。
【0054】
【数3】

【0055】
[実施例5]:4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサンニトリルの調製
2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ブタ-2-エナール(公知の方法で得られたもの)を、2,6-ルチジンの存在下で室温にてシアノ酢酸と縮合させて、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-2,4-ジエンニトリルを得た。重質副生成物を除去した後、粗製4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-2,4-ジエンニトリルをH圧下(pH=20バール、室温)で水素化して、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサンニトリルを得た。
Bp=95℃/0.07Torr
【0056】
【数4】

【0057】
[実施例6]:4-エチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサンニトリルの調製
4-エチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサンニトリルは、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ブタ-2-エナール〔公知の方法でカンフォレンアルデヒドとプロパナールとから調製したもの〕とシアノ酢酸とから、実施例5にしたがって調製した。
上記化合物は、異性体の混合物(70:30)として得られる。
Bp=112℃/0.03Torr
【0058】
【数5】

【0059】
[実施例7]:4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-3-エンニトリルの調製
2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ブチルアルデヒド〔2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)-ブタ-2-エナールから容易に調製される〕を、2,6-ルチジンの存在下、室温でシアノ酢酸と縮合させて4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-3-エンニトリルを、異性体の(40:60)混合物として得た。
Bp=95℃/0.03Torr
【0060】
【数6】

【0061】
[実施例8]:6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールの調製
トルエン中のジイソブチルアルミニウムヒドリドの1M溶液を、6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリルの溶液に、温度が40℃未満に保たれる速度で滴下により添加した。添加後、溶液を80℃で2時間加熱した。反応溶液を、酢酸と氷の混合物中に注いで注意深く加水分解を行った。水相をt-ブチルメチルエーテルで2回抽出し、一緒にした有機相を、水で2回、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、さらに食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥させた後、溶媒を蒸発させて粗製オイルを得た。精製は、バルブ-バルブ(bulb-to-bulb)蒸発とそれに続く蒸留からなる。
Bp=76〜78℃/0.2Torr
【0062】
【数7】

【0063】
[実施例9]:(+)-(1’R)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールの調製
これは実施例8にしたがって、実施例2のニトリルから調製した。
α(希釈なし)=+2°
【0064】
[実施例10]6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エナールの調製
6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エナールを、実施例8にしたがって、6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エンニトリルから得た。
生成物は、シス/トランス混合物(90:10)として得られる。
【0065】
【数8】

【0066】
[実施例11]:4-メチル-6-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールの調製
4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールを、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリルから、実施例8にしたがって、(60:40)のシス/トランス混合物として調製した。
【0067】
【数9】

【0068】
[実施例12]:4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナールの調製
4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナールを、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサンニトリルから、実施例8にしたがって調製した。
【0069】
【数10A】

【数10B】

【0070】
[実施例13]:4-エチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナールの調製
4-エチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナールを、4-エチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサンニトリルから、実施例8にしたがって調製した。この化合物はカラムクロマトグラフィーによって精製し、異性体の(50:50)混合物からなる。
【0071】
【数11】

【0072】
[実施例14]:3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナールの調製
3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナールを、5-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ペンタ-3-エン-2-オン〔カンフォレンアルデヒドとアセトンとから調製したもの〕から実施例5に従って調製したニトリルから、実施例8の手順にしたがって得た。
粗製化合物はカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0073】
【数12】

【0074】
[実施例15]:2,4-ジメチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナールの調製
実施例12からのアルデヒドを、触媒量のPTSAの存在下、トルエン中での共沸脱水を通してジイソブチルアミンを用いて得られたそのジイソブチルエナミンを介して、公知の方法にしたがってヨウ化メチルを用いてアルキル化した。
得られた生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製した。それは異性体の混合物からなり、異性体はそれぞれ2つのジアステレオマーから構成される、NMRにおいて2つの観測可能なグループ(比(60:40))からなる。
【0075】
【数13A】

【数13B】

【0076】
【数14】

【0077】
[実施例16]:7-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘプタ-5-エン-2-オンの調製
7-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘプタ-5-エン-2-オンを、公知の方法にしたがって、実施例1のニトリルから調製した。それは(95:5)のシス/トランス混合物として得られる。
Bp=76〜78℃/0.04Torr
【0078】
【数15A】

【数15B】

【0079】
[実施例17]:2-(6,6-ジエトキシ-3-エチル-ヘキシル)-1,1,5-トリメチル-シクロペンタンの調製
2-(6,6-ジエトキシ-3-エチル-ヘキシル)-1,1,5-トリメチル-シクロペンタンを、触媒量のPTSAとともにトリエチルオルトフォーメートの存在下で、実施例13の化合物をエタノールで処理することによって調製した。粗生成物は、さらに精製する必要がないほど充分に純粋だった。それは異性体類の(50:50)混合物からなる。
【0080】
【数16】

【0081】
[実施例18]:4-(6,6-ジエトキシ-ヘキサ-2-エニル)-1,5,5-トリメチル-シクロペンテンの調製
4-(6,6-ジエトキシ-ヘキサ-2-エニル)-1,5,5-トリメチル-シクロペンテンを、実施例8のアルデヒドから出発して、実施例17にしたがって調製した。
Bp=94℃/0.07Torr
【0082】
【数17】

【0083】
[実施例19]:本発明のカンフォレニック誘導体の嗅覚的な説明
本発明の化合物の芳香が、専門評価試験者によって説明され、以下の表1にまとめられている。
【0084】
【表1】

【0085】
[実施例20]:6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールを含む香料組成物
スズランタイプの調合を、以下の成分に記載されているように行った。
【0086】
【表2】

【0087】
これらの2つの組成物を、当業者に公知の標準的希釈でシャンプー基材に用い、式(I)の化合物を含む試料は、スズランのノートに、非常に自然な特徴を付与する、植物タイプのわずかにキノコの混じったグリーンノート(greener note)を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)のカンフォレニック誘導体:
【化1】

式(I)中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、
・Yは、CN、C(O)R又はCR(ORα)(ORβ)基を表し、Rは水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、
α及びRβは同時に直鎖状もしくは分枝状のC、C、C、C、又はCアルキルもしくはC、C、C、又はCアルケニル基を表すか、又は一緒になって環を形成してもよく、
・5員環は飽和であるか又は式(I)中のC3’とC4’との間に二重結合を有し、
・側鎖は、任意選択で、C1とC2との間及び/又はC3とC4との間に二重結合を有していてもよく、
・但し、上記誘導体は、3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールではないことを条件とする。
【請求項2】
下記一般式(Ia)の、請求項1記載のカンフォレニック誘導体:
【化2】

上記式(Ia)中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、
・式(Ia)中、5員環は飽和であるか又は式(Ia)のC3’とC4’との間に二重結合を有し、
・式(Ia)中、側鎖は任意選択で式(Ia)のC1とC2との間及び/又はC3とC4との間が不飽和であってもよい。
【請求項3】
下記一般式(Ib)の、請求項1記載のカンフォレニック誘導体:
【化3】

上記式(Ib)中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、
・5員環は飽和であるか又はC3’とC4’との間に二重結合を有し、
・式(Ib)において、側鎖は任意選択でC1とC2との間及び/又はC3とC4との間が不飽和であってもよく、
・Rは、水素原子、直鎖状又は分枝状のC、C、C、C、もしくはCアルキル又はC、C、C、もしくはCのアルケニル基を表し、好ましくは、Rは水素原子又はメチル基であり、より好ましくはRは水素原子であり、
・但し、上記誘導体は、3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールではないことを条件とする。
【請求項4】
下記一般式(Ic)の、請求項1に記載のカンフォレニック誘導体:
【化4】

上記式(Ic)中、
・R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は直鎖状もしくは分枝状のC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル基を表し、
・式(Ic)中、5員環は飽和であるか又はC3’とC4’との間に二重結合を有し、
・式(Ic)中、側鎖は、任意選択でC1とC2との間及び/又はC3とC4との間が不飽和であってもよく、
・Rα及びRβは同時に直鎖状又は分枝状のC、C、C、C、もしくはCアルキル又はC、C、C、もしくはCのアルケニル基を表し、好ましくは、Rα及びRβは同時にメチル又はエチル基であり、または、
・Rα及びRβは一緒になって、環を、好ましくは、5員環又は6員環を形成できる。
【請求項5】
前記誘導体が、6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4E)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4Z)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(+)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(-)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4E)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4Z)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4E)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4Z)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4E)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4Z)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エンニトリル、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4Z)- 4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、(4E)- 4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エンニトリル、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)ヘキサンニトリル、4-エチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)ヘキサンニトリル、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)ヘキサ-3-エンニトリル、6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4E)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(+)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(-)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-((1S)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-((1R)-2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)ヘキサ-4-エナール、6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エナール、(4Z)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エナール、(4E)-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサ-4-エナール、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナール、(4E)-4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナール、(4Z)-4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナール、4-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナール、4-エチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナール、3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナール、2,4-ジメチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンチル)-ヘキサナール、7- (2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘプタ-5-エン-2-オン、(4E)-7- (2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘプタ-5-エン-2-オン、(4Z)-7-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘプタ-5-エン-2-オン、2-(6,6-ジエトキシ-3-エチルヘキシル)-1,5,5-トリメチル-シクロペンタン、4-(6,6-ジエトキシ-ヘキサ-2-エニル)-1,5,5-トリメチル-シクロペンテン、4-((2E)-6,6-ジエトキシ-ヘキサ-2-エニル)-1,5,5-トリメチル-シクロペンテン、4-((2Z)-6,6-ジエトキシ-ヘキサ-2-エニル)-1,5,5-トリメチル-シクロペンテン、
を含む群から選択される、請求項1記載のカンフォレニック誘導体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の少なくとも1つのカンフォレニック誘導体及び/又は3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナールを含む任意の香料又は香味料組成物。
【請求項7】
香料分野において、香料ベース及び香料濃縮物、香料、香水、及びその他類似の製品;局所適用用組成物;化粧品組成物、例えば、フェース及びボディークリーム、洗浄剤、顔のトリートメント剤、タルクパウダー、ヘアオイル、シャンプー、ヘアローション、バスオイル及びバス塩、シャワー及びバス用ゲル、石鹸、ボディ用制汗剤及び消臭剤、シェービング前用、シェービング用及びシェービング後用のクリーム及びローション、クリーム、歯磨きペースト、マウスウォッシュ、ポマード;洗浄用製品、例えば、柔軟剤、洗剤、空気消臭剤、及び家庭用洗剤製品を製造するための、 請求項1〜5のいずれか一項に記載のカンフォレニック誘導体及び/又は3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナール、あるいは請求項6記載の組成物の使用。
【請求項8】
香味付け組成物又は物品、例えば、飲料、乳製品、アイスクリーム、スープ、ソース、ディップ、料理、肉製品、料理の添えもの、塩味のビスケット又はスナック、並びに、ビール、ワイン、及びタバコの製造のための香味付け剤としての、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカンフォレニック誘導体及び/又は3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナール、あるいは請求項6記載の組成物の使用。
【請求項9】
香り及び/又は香味のマスキング剤としての、特に医薬組成物、化粧用組成物、又は食品組成物における、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカンフォレニック誘導体及び/又は3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナール、あるいは請求項6記載の組成物の使用。
【請求項10】
他の着香された若しくは香味付けされた成分、溶媒、又は添加剤と組み合わせての、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカンフォレニック誘導体及び/又は3-メチル-6-(2,2,3-トリメチル-シクロペンタ-3-エニル)-ヘキサ-4-エナール、あるいは請求項6記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2010−511677(P2010−511677A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539758(P2009−539758)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063435
【国際公開番号】WO2008/068310
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(504160194)
【Fターム(参考)】