説明

香料可溶化剤

【課題】 種々の香料に対して可溶化能に優れ、各種温度で長期間保存しても可溶化能を維持できる香料可溶化剤を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)、ヒドロキシル基を有する油脂のアルキレンオキサイド付加物(B)及び両性界面活性剤(C)を含有してなる香料可溶化剤。
1O−[(C24O)p・(A1O)q]−(C24O)r−(A2O)s−H (1)
式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシロキシアルキル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシルアミノアルキル基及び炭素数8〜24のアリールアルキル基からなる群から選ばれる1種以上;A1O及びA2Oはそれぞれ独立して炭素数3又は4のオキシアルキレン基;pは0〜50の数;qは0〜20の数;rは2〜50の数;sは0〜20の数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料可溶化剤に関する。更に詳しくは部屋、トイレ及び車等に使用される芳香剤や各種の化粧品において、香料を芳香剤や化粧品中に安定に可溶化させるための可溶化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、芳香剤や化粧品等において、香料の分離を防止するための可溶化剤としては、多くのものが提案されている。例えば、分枝アルキル基又はアルケニル基を有する高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物(特許文献−1)、フェノール類のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物(特許文献−2)、脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物及びトリグリセリドのエチレンオキサイド付加物の配合物(特許文献−3)、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物と硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド付加物(特許文献−4)等が知られている。しかしながら、これまでに提案された可溶化剤は、特定の香料に対しては可溶化能を発揮するが、香料の種類を代えると可溶化効果が発揮できなくなることが多く、種々の香料に対して可溶化能が発揮できないという課題があった。また、香料との配合直後は透明に可溶化できていても、各種温度(例えば5℃〜40℃)で長期間保存すると、香料の種類によっては白濁化したり、冬季に凍結した後、室温に戻して溶融させてもかすみがなくならないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献−1】特開昭54−132491号公報
【特許文献−2】特開昭57−70197号公報
【特許文献−3】特表2003−534431号公報
【特許文献−4】特開平9−301844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、種々の香料に対しても可溶化能に優れ、各種温度で長期間保存しても可溶化能を維持できる経日安定性に優れた可溶化剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)、ヒドロキシル基を有する油脂のアルキレンオキサイド付加物(B)及び両性界面活性剤(C)を含有する可溶化剤;及び前記香料可溶化剤と香料を必須成分とし、更に親水性有機溶媒(G)、その他の添加剤(H)及び水からなる群から選ばれる1種以上を含有してなる芳香剤;である。
1O−[(C24O)p・(A1O)q]−(C24O)r−(A2O)s−H (1)
式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシロキシアルキル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシルアミノアルキル基及び炭素数8〜24のアリールアルキル基からなる群から選ばれる1種以上;A1O及びA2Oはそれぞれ独立して炭素数3又は4のオキシアルキレン基;pは0〜50の数;qは0〜20の数;rは2〜50の数;sは0〜20の数;[(C24O)p・(A1O)q]はランダム付加及び/又はブロック付加した基を表す。
【発明の効果】
【0006】
本発明の香料可溶化剤は、種々の香料に対しても可溶化能に優れ、各種温度で長期間保存しても可溶化能を維持でき経日安定性に優れる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明における非イオン性界面活性剤(A)は一般式(1)で表され、式中のR1としては、炭素数8〜24のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシロキシアルキル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシルアミノアルキル基又は炭素数8〜24のアリールアルキル基からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらのうち、経日安定性の観点から好ましいのは、炭素数8〜24のアルキル基及びアルケニル基である。
【0008】
炭素数が8〜24のアルキル基としては、直鎖若しくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基等が挙げられ、例えばn−又はイソ−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、n−又はイソ−ノニル基、3−シクロヘキシルプロピル基、n−又はイソ−デシル基、n−又はイソ−ドデシル基、n−又はイソ−トリデシル基、n−又はイソ−テトラデシル基、n−又はイソ−ヘキサデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基及びテトラコシル基等が挙げられる。これらのうち、経日安定性の観点から好ましいのは、炭素数8〜20のアルキル基であり、更に好ましいのは炭素数10〜18のアルキル基である。
【0009】
炭素数8〜24のアルケニル基としては、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、オレイル基及びガドレイル基等が挙げられる。これらのうち、経日安定性の観点から好ましいのは、炭素数8〜20のアルケニル基であり、更に好ましいのは炭素数10〜18のアルケニル基である。
【0010】
炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシロキシアルキル基としては、ラウロイロキシエチル基、ラウロイロキシプロピル基、ステアロイロキシエチル基、ステアロイロキシプロピル基、オレオイロキシエチル基及びオレオイロキシプロピル基等が挙げられる。これらのうち、経日安定性の観点から好ましいのは、炭素数8〜20のアシル基と炭素数1〜4のアルキル基を有するアシロキシアルキル基であり、更に好ましいのは、炭素数10〜18のアシル基と炭素数1又は2のアルキル基を有するアシロキシアルキル基である。
【0011】
炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシルアミノアルキル基としては、ラウラミドエチル基、ラウラミドプロピル基、ステアラミドエチル基及びステアラミドプロピル基等 が挙げられる。これらのうち、経日安定性の観点から好ましいのは、炭素数12〜20のアシルアミノ基と炭素数1〜4のアルキル基を有するアシルアミノアルキル基であり、更に好ましいのは、炭素数14〜20のアシルアミノ基と炭素数1又は2のアルキル基を有するアシルアミノアルキル基であり、特に好ましいのは、16〜20のアシルアミノ基と炭素数1又は2のアルキル基を有するアシルアミノアルキル基である。
【0012】
炭素数8〜24のアリールアルキル基としては、6−フェニルヘキシル基、7−フェニルヘプチル基、8−フェニルオクチル基、10−フェニルデシル基及び12−フェニルドデシル基等が挙げられる。これらのうち、経日安定性の観点から好ましいのは、アルキル基の炭素数2〜18の炭素数8〜24のアリールアルキル基である。
【0013】
一般式(1)におけるA1O及びA2Oは、それぞれ独立して炭素数3又は4のオキシアルキレン基であり、1,2−プロピレン基、1,2−ブチレン基、2,3−ブチレン基及び1,4−ブチレン基が挙げられる。これらのうち、経日安定性の観点から好ましいのは1,2−プロピレン基である。またA1O及びA2Oは、2種以上のオキシアルキレン基の併用であってもよく、2種以上を併用する場合の付加形式はブロック状でもランダム状でもよい。
【0014】
一般式(1)におけるpは0〜50の数であり、好ましいのは0〜40の数であり、更に好ましいのは0〜30の数である。pが50を越えると、経日安定性が低下するため好ましくない。qは0〜20の数であり、好ましいのは0〜18の数であり、更に好ましいのは0〜15の数である。qが20を越えると、経日安定性が低下するため好ましくない。rは2〜50の数であり、好ましいのは4〜40の数であり、更に好ましいのは5〜30の数である。rが2未満又は50を超えると、経日安定性が低下するため好ましくない。sは0〜20の数であり、好ましいのは0〜10の数であり、更に好ましいのは0〜6となる数である。sが20を越えると、経日安定性が低下するため好ましくない。なお、p、q、r及びsは、いずれもオキシアルキレン基の平均付加モル数を表しているので、整数であるとは限らず小数の場合もある。
【0015】
一般式(1)における[(C24O)p・(A1O)q]は、オキシエチレン基及びA1Oがランダム付加及び/又はブロック付加した基を表す。
【0016】
非イオン性界面活性剤(A)の製造方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
1−OHで表されるアルコールを加圧反応容器に仕込み、無触媒又は触媒の存在下に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを吹き込み、常圧又は加圧下に1段階又は多段階で反応を行なう。触媒としては、アルカリ触媒[例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウム等)]の水酸化物、酸[過ハロゲン酸(過塩素酸、過臭素酸及び過ヨウ素酸等)、硫酸、燐酸及び硝酸等(好ましくは過塩素酸)]及びこれらの塩[好ましくは2価又は3価の金属(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Co、Ni、Cu及びAl等)の塩]が挙げられる。触媒の使用量は、前記アルコールの重量に基づき、通常0.05〜2重量%である。反応温度は通常50〜150℃であり、反応時間は通常2〜20時間である。アルキレンオキサイドの付加反応終了後は、必要により触媒を中和し、吸着剤で処理して触媒を除去・精製することができる。
【0017】
本発明におけるヒドロキシル基を有する油脂のアルキレンオキサイド付加物(B)としては、グリセリンと1価脂肪酸(炭素数8〜24酸)(例えばカプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、安息香酸、エチル安息香酸、桂皮酸及びt−ブチル安息香酸等)とのモノ又はジエステルのアルキレンオキサイド付加物、炭素数8〜24のヒドロキシ1価脂肪酸(炭素数8〜24)(例えば2−ヒドロキシカプリル酸、2−ヒドロキシノナン酸、12−ヒドロキシラウリン酸、4−ヒドロキシパルミチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、リシノエライジン酸、2−ヒドロキシアラキン酸、2−ヒドロキシベヘン酸、2−ヒドロキシテトラコセン酸及び9,14−ジヒドロキシステアリン酸等)トリグリセライド(ヒマシ油及び硬化ヒマシ油等)のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらのうち、経日安定性の観点から好ましいのはヒドロキシ1価脂肪酸(炭素数8〜24)トリグリセライドのアルキレンオキサイド付加物であり、更に好ましいのはヒマシ油又は硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加物である。アルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド[エチレンオキサイド(以下、EOと略記する。)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記する。)及び1,2−ブチレンオキサイド等]が挙げられ、これらのうち好ましいのはEOである。炭素数2〜4のアルキレンオキサイドは、単独でも2種以上の併用であってもよく、2種以上を併用する場合の付加形式はブロック状でもランダム状でもよい。ヒドロキシル基を有する油脂1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数は、経日安定性の観点から好ましいのは10〜100モルであり、更に好ましいのは15〜80モルであり、特に好ましいのは20〜60モルである。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は平均付加モル数であるため、整数であるとは限らず小数の場合もある。
【0018】
ヒドロキシル基を有する油脂のアルキレンオキサイド付加物(B)の製造方法としては、前記非イオン性界面活性剤(A)の製造方法と同様に、ヒドロキシル基を有する油脂に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加反応する方法が挙げられる。
【0019】
本発明における両性界面活性剤(C)としては、カルボキシベタイン型両性界面活性剤[炭素数10〜18の脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えばヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等)、アルキル(炭素数10〜18)ジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えばラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、イミダゾリニウム型カルボキシベタイン(例えば2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等)]、スルホベタイン型両性界面活性剤[炭素数10〜18の脂肪酸アミドプロピルヒドロキシエチルスルホベタイン(例えばヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルヒドロキシエチルスルホベタイン等)、ジメチルアルキル(炭素数10〜18)ジメチルヒドロキシエチルスルホベタイン(例えばラウリルヒドロキシスルホベタイン等)]、アミノ酸型両性界面活性剤[例えばβ−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。これらのうち、経日安定性の観点から好ましいのはカルボキシベタイン型両性界面活性剤であり、更に好ましいのは炭素数10〜18の脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインである。
【0020】
本発明における(A)、(B)及び(C)の含有量は以下の通りである。(A)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の全重量に基づいて、経日安定性の観点から好ましいのは1〜50質量%であり、更に好ましいのは3〜40重量%であり、特に好ましいのは5〜30重量%である。(B)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の全重量に基づいて、経日安定性の観点から好ましいのは15〜80重量%であり、更に好ましいのは20〜80重量%であり、特に好ましいのは25〜75重量%である。(C)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の全重量に基づいて、経日安定性の観点から好ましいのは5〜80重量%であり、更に好ましいのは10〜75重量%であり、特に好ましいのは20〜70重量%である。
【0021】
本発明の香料可溶化剤は、更に必要により、他の非イオン界面活性剤(D)、アニオン性界面活性剤(E)又はカチオン性界面活性剤(F)を含有してもよい。これらの界面活性剤を含有させることにより、経日安定性が向上する。
【0022】
他の非イオン性界面活性剤(D)は、(A)及び(B)以外の非イオン性界面活性剤であり、以下のものが挙げられる。脂肪酸(炭素数8〜18)EO(付加モル数1〜60)付加物、ポリプロピレングリコール(数平均分子量200〜4,000)EO(付加モル数1〜100)付加物、ポリオキシエチレン(付加モル数3〜60)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテル、多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステルEO付加物(付加モル数1〜60)[ソルビタンモノラウレートEO(付加モル数1〜30)付加物及びソルビタンモノオレートEO(付加モル数1〜30)付加物等]、アルキル(炭素数8〜24)アミンEO(付加モル数1〜100)−PO(付加モル数0〜20)付加物、多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレート等)、及び脂肪酸アルカノールアミド(ラウリン酸モノエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミド等)等。
【0023】
アニオン性界面活性剤(E)としては以下のものが挙げられる。炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル塩[モノ又はジアルキル(ラウリル、オクチル、2−エチルヘキシル、ミリスチル及びステアリル等)スルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム、及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)モノ又はジアルキル(ラウリルオクチル、2−エチルヘキシル、ミリスチル及びステアリル等)スルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル基を有するエーテルサルフェート[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩及びポリオキシエチレン(重合度=1〜50)テトラデシルエーテルサルフェートナトリウム塩等]、炭素数8〜24のアルキル基を有するスルホン酸塩[ドデシルスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸又はその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、アルキル(炭素数6〜18)ベンゼンスルホン酸塩、炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、及び炭素数10〜18の脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等]等。
【0024】
カチオン性界面活性剤(F)としては、第4級アンモニウム塩型又はアミン塩型のカチオン界面活性剤等が挙げられる。4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、第3級アミン類と4級化剤(メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド及びベンジルクロライド等のハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、ジメチルカーボネート、エチレンオキサイド等)との反応で得られる化合物等が使用でき、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド及びステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。アミン塩型カチオン界面活性剤としては、第1〜3級アミン類を無機酸(塩酸、硝酸、硫酸及びヨウ化水素酸等)又は有機酸(酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸及びアルキル燐酸等)で中和することにより得られる化合物が使用でき、例えば、第1級アミン塩型のものとしては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン及びロジンアミン等の高級アミン)の無機酸塩又は有機酸塩、低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸及びオレイン酸等)塩等が挙げられる。第2級アミン塩型のものとしては、例えば脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物等の無機酸塩又は有機酸塩が挙げられる。
【0025】
本発明における他の非イオン界面活性剤(D)、アニオン性界面活性剤(E)及びカチオン性界面活性剤(F)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の全重量に基づいて、経日安定性の観点から好ましいのは0〜50重量%であり、更に好ましいのは0〜30重量%であり、特に好ましいのは0〜20重量%である。
【0026】
本発明の香料可溶化剤の性状は特に限定されないが、液状、ペースト状、ゲル状、粉末状、フレーク状及びブロック状等が挙げられる。これらのうち、取り扱い易さの観点から好ましいのは液状である。
【0027】
本発明の香料可溶化剤は、性状の違いにより、以下の方法を選択して製造することができる。
(1)香料可溶化剤の性状が液状、ペースト状又はゲル状の場合
撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に、非イオン性界面活性剤(A)、ヒドロキシル基を有する油脂のアルキレンオキサイド付加物(B)及び両性界面活性剤(C)を、更に必要により他の非イオン界面活性剤(D)、アニオン性界面活性剤(E)又はカチオン性界面活性剤(F)を投入順序に特に制限なく仕込み、30〜80℃で均一になるまで撹拌して製造する方法。
(2)香料可溶化剤の性状が粉末状の場合
撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に、前記(A)、(B)及び(C)を、更に必要により(D)、(E)又は(F)を投入順序に特に制限なく仕込み、30〜80℃で均一になるまで撹拌した後、噴霧乾燥器(例えば圧力噴霧ノズル型噴霧乾燥機、2流体噴霧ノズル型噴霧乾燥機及び回転円盤式噴霧乾燥機等)で噴霧乾燥する方法。
(3)香料可溶化剤の性状が粉末状、フレーク状及びブロック状の場合
撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に、前記(A)、(B)及び(C)を、更に必要により(D)、(E)又は(F)を投入順序に特に制限なく仕込み、30〜100℃で均一に溶融するまで撹拌した後、離型紙上に溶融物を取り出して室温まで冷却し、得られた固化物を粉砕機(例えば、ミルミキサー、ボールミル、ジェット粉砕機、コロイドミル及びホモジナイザー等)で適度な大きさ(粉状、フレーク状又はブロック状)に粉砕する方法。
【0028】
本発明の芳香剤は、本発明の香料可溶化剤と香料を必須成分とし、更に親水性有機溶媒(G)、その他の添加剤(H)及び水からなる群から選ばれる1種以上を含有する。
【0029】
本発明における香料としては、天然香料又は合成香料が挙げられ、単独でも2種以上を併用した調合香料でもよい。
【0030】
天然香料としては、動物性香料(じゃ香等)及び植物性香料(アビエス油、アジョクン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ページル油、ペルガモット油、パーチ油、ボアバローズ油、カヤブチ油、ガナンガ油、カプシカム油、キャラウエー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シンナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、キュペブ油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、ジュニパーペリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロページ油、メース油、ナツメグ油、マンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、ハッカ油、燈花油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレピン油及びウォームウッド油等)等が挙げられる。
【0031】
合成香料としては、炭化水素類(ピネン、リモネン、オシメン及びグアイエン等)、アルコール類(リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、α−フェニルエチルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、ロジノール、アンブリノール、1−オクタノール、3−オクタノール、9−デセノール、1−ウンデセノール、ジヒドロカルベオール、プレノール、エチルリナロール、3−ヘプタノール、ベンジルオイゲノール、2−エチルヘキサノール、3−ヘキセノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、P−イソプロピルシクロヘキセンメタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、P−イソプロピルシクロヘキサノール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−ヘキセノール、1−ノネン−3−オール、3−メチル−1−ベンタノール及び3,4,5,6,6−ペンタメチル−2−ヘプタノール等)、フェノール類(アネトール及びオイゲノール等)、アルデヒド類(n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、ワニリン、2−ドデセナール、2,5,6−トリメチル−4−ヘプタナール、トリメチルウンデセナール、2−デセナール、p−トリルアルデヒド、アセトアルデヒドジエチルアセタール、n−オクタナール、n−デカナール、p−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、オクタナールジメチルアセタール、n−ノナナール、ウンデカナール、10−ウンデセナール、フェニルプロピオンアルデヒド、3−ヘキセナール、2−ウンデセナール及びp−メチルヒドラトロパアルデヒド等)、ケトン類(メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセチルブチリル、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、イオノン、ジヒドロカルボン及び2−ウンデカノン等)、ラクトン又はオキシド類(アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、クマリン、シネオール、ジャスミンラクトン、メチルr−デカラクトン、2,2,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン及び5−イソプロペロル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフラン等)、エステル類(メチルフォーメート、イソプロピルフォーメート、リナリールフォーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メンチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸グラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ペラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サルチル酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルピルベート、エチルα−ブチルブチレート、酢酸デシル及びギ酸プロピル等)等が挙げられる。
【0032】
親水性有機溶媒(G)としては、炭素数2〜5の多価アルコール(2価アルコール:エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びジプロピレングリコール等、3価アルコール:グリセリン等、4価アルコール:ペンタエリスリトール等、5価アルコール:キシリトール等)、炭素数2〜6の1価アルコール(エタノール、イソプロパノール、ブタノール及び3−メチル−3−メトキシブタノール等)、炭素数3〜20のグリコールエーテル(モノアルキルエーテル:ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル及びエチレングリコールモノフェニルエーテル等、ジアルキルエーテル:エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル及びジプロピレングリコールn−プロピルメチルエーテル等)、窒素原子含有親水性溶媒(N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド及びN,N−ジメチルホルムアミド等)、ラクトン系親水性溶媒(プロピオラクトン及びブチロラクトン等)、ケトン系親水性溶媒(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン及びジアセトンアルコール等)、環状エーテル系親水性溶媒(テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピラン等)、エステル系親水性溶媒(酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチル及びアセト酢酸エチル等)から選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。これらのうち好ましいのは、炭素数2〜5の多価アルコール、炭素数2〜6の1価アルコール及び炭素数3〜20のグリコールエーテルである。また、2種以上を併用する場合の比率は特に限定されない。
【0033】
その他の添加剤(H)としては、アルカリ剤[トリエタノールアミン及びモノエタノールアミン等]、キレート剤[EDTA及びNTA等]、抗菌剤[イソチアゾリン系(2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等)、イミダゾール系(チアベンダゾール等)、カーバニリド系抗菌剤(トリクロロカルバニリド等)、トリアジン系(デブコナゾール等)、天然系(ヒノキチオール等)及びビグアナイド系(ポリヘキサメチレンビグアナイド等)]、着色剤[無機系顔料(群青、紺青及びコバルトバイオレット等)、有機系顔料(赤色201号、赤色405号、青色1号、黄色4号及び緑色3号等)及び天然色素(クロロフィル及びβ−カロチン等)]及び消泡剤(シリコーン系消泡剤、ポリオキシアルキレン系消泡剤及び鉱物油系消泡剤等)が挙げられる。
【0034】
本発明の芳香剤における本発明の香料可溶化剤、香料、親水性有機溶媒(G)、その他の添加剤(H)及び水の含有量は以下の通りである。本発明の香料可溶化剤の含有量は、芳香剤の全重量に基づいて好ましいのは0.5〜10重量%であり、更に好ましいのは1〜5重量%である。香料の含有量は、芳香剤の全重量に基づいて好ましいのは0.5〜5重量%であり、更に好ましいのは1〜3重量%である。親水性有機溶媒(G)の含有量は、芳香剤の全重量に基づいて好ましいのは0〜80重量%であり、更に好ましいのは0〜60重量%であり、特に好ましいのは10〜50重量%である。その他の添加剤(H)の含有量は、アルカリ剤及びキレート剤については、芳香剤の全重量に基づいて好ましいのは0〜10重量%であり、抗菌剤、着色剤及び消泡剤については、芳香剤の全重量に基づいて好ましいのは0〜5重量%である。水の含有量は、芳香剤の全質量に基づいて好ましいのは0〜99重量%であり、更に好ましいのは20〜97重量%である。
【0035】
本発明の芳香剤における香料/香料可溶化剤の重量比は、好ましいのは5/1〜1/5であり、更に好ましいのは3/1〜1/3である。
【0036】
本発明の芳香剤の形状は、液状、ペースト状、ゲル状、粉末状、フレーク及びブロック状等が挙げられ特に限定されないが、取り扱い易さの観点で好ましいのは液状及びゲル状である。
【0037】
本発明の芳香剤は、性状の違いにより、前記香料可溶化剤と同様の方法を選択して製造することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において、部及び%は、特記しない限りそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【0039】
<製造例1>
撹拌器、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器にトリデシルアルコール200部及び水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後密閉し、130℃に昇温した。撹拌下EO44部を1時間かけて滴下した後、130℃で1時間熟成した。次いで130℃で撹拌下PO696部を6時間かけて滴下した後、130℃で2時間熟成した。次いで130℃で撹拌下EO528部を3時間かけて滴下した後、130℃で2時間熟成した。更に130℃で撹拌下PO174部を2時間かけて滴下した後、130℃で2時間熟成し、非イオン性界面活性剤(A−1)を得た{一般式(1)におけるR1がトリデシル基、p=1、q=12、r=12、s=3、A1O及びA2Oがオキシプロピレン基、[(C24O)1・(C36O)12]がブロック付加した基である化合物}。
【0040】
<製造例2>
トリデシルアルコール200部をオクチルアルコール130部に変更した以外は製造例1と同様にして、非イオン性界面活性剤(A−2)を得た{一般式(1)におけるR1がオクチル基、p=1、q=12、r=12、s=3、A1O及びA2Oがオキシプロピレン基、[(C24O)1・(C36O)12]がブロック付加した基である化合物}。
【0041】
<製造例3>
トリデシルアルコール200部をテトラコシルアルコール354部に変更した以外は製造例1と同様にして、非イオン性界面活性剤(A−3)を得た{一般式(1)におけるR1がテトラコシル基、p=1、q=12、r=12、s=3、A1O及びA2Oがオキシプロピレン基、[(C24O)1・(C36O)12]がブロック付加した基である化合物}。
【0042】
<製造例4>
トリデシルアルコール200部をオレイルアルコール268部に変更した以外は製造例1と同様にして、非イオン性界面活性剤(A−4)を得た{一般式(1)におけるR1がオレイル基、p=1、q=12、r=12、s=3、A1O及びA2Oがオキシプロピレン基、[(C24O)1・(C36O)12]がブロック付加した基である化合物}。
【0043】
<製造例5>
トリデシルアルコール200部をラウロイロキシエチルアルコール244部に変更した以外は製造例1と同様にして、非イオン性界面活性剤(A−5)を得た{一般式(1)におけるR1がラウロイロキシエチル基、p=1、q=12、r=12、s=3、A1O及びA2Oがオキシプロピレン基、[(C24O)1・(C36O)12]がブロック付加した基である化合物}。
【0044】
<製造例6>
トリデシルアルコール200部をラウラミドエチルアルコール243部に変更した以外は製造例1と同様にして、非イオン性界面活性剤(A−6)を得た{一般式(1)におけるR1がラウラミドエチル基、p=1、q=12、r=12、s=3、A1O及びA2Oがオキシプロピレン基、[(C24O)1・(C36O)12]がブロック付加した基である化合物}。
【0045】
<製造例7>
トリデシルアルコール200部を10−フェニルデシルアルコール235部に変更した以外は製造例1と同様にして、非イオン性界面活性剤(A−7)を得た{一般式(1)におけるR1が10−フェニルデシル基、p=1、q=12、r=12、s=3、A1O及びA2Oがオキシプロピレン基、[(C24O)1・(C36O)12]がブロック付加した基である化合物}。
【0046】
<製造例8>
製造例1と同様の反応容器にトリデシルアルコール200部及び水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後密閉後130℃に昇温し、撹拌下EO1760部とPO696部を混合したものを10時間かけて滴下した後、130℃で2時間熟成した。次いで130℃で撹拌下EO528部を3時間かけて滴下した後、130℃で2時間熟成した。更に130℃で撹拌下PO174部を2時間かけて滴下した後、130℃で2時間熟成し、非イオン性界面活性剤(A−8)を得た{一般式(1)におけるR1がトリデシル基、p=40、q=12、r=12、s=3、A1O及びA2Oがオキシプロピレン基、[(C24O)40・(C36O)12]がランダム付加した基である化合物}。
【0047】
<製造例9>
POの部数174部を464部に変更した以外は製造例1と同様にして、非イオン性界面活性剤(A−9)を得た{一般式(1)におけるR1がトリデシル基、p=1、q=12、r=12、s=8、A1O及びA2Oがオキシプロピレン基、[(C24O)1・(C36O)12]がブロック付加した基である化合物}。
【0048】
<製造例10>
POの部数696部を1160部に変更した以外は製造例1と同様にして、非イオン性界面活性剤(A−10)を得た[一般式(1)におけるR1がトリデシル基、p=1、q=20、r=12、s=3、A1O及びA2Oがオキシプロピレン基、[(C24O)1・(C36O)20]がブロック付加した基である化合物}。
【0049】
<製造例11>
EOの部数528部を2200部に変更した以外は製造例1と同様にして、非イオン性界面活性剤(A−10)を得た[一般式(1)におけるR1がトリデシル基、p=1、q=12、r=50、s=3、A1O及びA2Oがオキシプロピレン基、[(C24O)1・(C36O)12]がブロック付加した基である化合物}。
【0050】
<製造例12>
製造例1と同様の反応容器にヒマシ油(水酸基価:161)523部及び水酸化カリウム0.3部を仕込み、窒素置換後密閉し、160℃に昇温した。撹拌下EO880部を4時間かけて滴下した後、160℃で3時間熟成し、非イオン界面活性剤(B−1)[ヒマシ油(EO)40モル付加物]を得た。
【0051】
<製造例13>
ヒマシ油(水酸基価:161)523部を硬化ヒマシ油(水酸基価:160)526部に変更した以外は製造例12と同様にして、非イオン界面活性剤(B−2)[硬化ヒマシ油(EO)40モル付加物]を得た。
【0052】
<製造例14>
EOの部数880部を220部に変更した以外は製造例12と同様にして、非イオン界面活性剤(B−3)[ヒマシ油(EO)10モル付加物]を得た。
【0053】
<製造例15>
EOの部数880部を2200部に変更した以外は製造例12と同様にして、非イオン界面活性剤(B−4)[ヒマシ油(EO)100モル付加物]を得た。
【0054】
<製造例16>
ヒマシ油(水酸基価:161)523部をグリセリンのステアリン酸モノエステル358部に変更した以外は製造例12と同様にして、非イオン界面活性剤(B−5)[グリセリンのステアリン酸モノエステル(EO)20モル付加物]を得た。
【0055】
<実施例1〜23及び比較例1〜3>
表1に記載した部数の香料可溶化剤の各原料を、撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に仕込み、20〜30℃で1時間攪拌して香料可溶化剤(実施例1〜23及び比較例1〜3)を作製した。
【0056】
表1の(C−1)〜(C−3)、(D−1)、(E−1)、(F−1)の組成は、以下の通りである。
(C−1):ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン「レボン2000」[三洋化成工業(株)製]
(C−2):ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン「レボンLD−36」[三洋化成工業(株)製]
(C−3):β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム「レボンAPL」[三洋化成工業(株)製]
(D−1):モノオレイン酸ソルビタン(EO)20モル付加物「イオネットT−80V」[三洋化成工業(株)製]
(E−1):ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム塩「サンモリンOT−70」[三洋化成工業(株)製]
(F−1);トリメチルセチルアンモニウムクロライド「レボンTM−16」[三洋化成工業(株)製]
【0057】
実施例1〜23及び比較例1〜3の香料可溶化剤を用いて以下の方法で芳香剤を作製し、以下の方法で芳香剤の作製直後の外観及び芳香剤の経日安定性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0058】
<芳香剤の作製>
200mlビーカーに下記の香料をそれぞれ1.5g、3−メチル−3−メトキシブタノール1.5g及び香料可溶化剤2.0g入れ、室温でマグネチックスターラーで撹拌しながら水95.0gを徐々に加えて液状の芳香剤を作製した。
香料A:ラベンダー系(グアイエン)
香料B:柑橘系(オレンジ油)
香料C:フローラル系(オシメン)
【0059】
<芳香剤の作製直後の外観評価>
前記方法で作製した芳香剤について、作製直後の芳香剤の外観を目視で観察し、以下の判定基準で経日安定性を評価した。
◎:透明均一液状
○:僅かにかすみあり
△:濃いかすみあり
×:白濁又は2層に分離
【0060】
<芳香剤の経日安定性評価>
前記方法で作製した芳香剤を、それぞれ5℃、25℃、40℃の恒温槽中で1ヶ月間静置した後の芳香剤の外観、及びサイクル試験(6時間かけて25℃から−10℃まで冷却後−10℃で30時間保持し、6時間かけて−10℃から25℃まで昇温後25℃で30時間保持する。このサイクルを連続10回繰り返す。)後の芳香剤の外観を目視で観察し、前記芳香剤の作製直後の外観評価と同様の判定基準で経日安定性を評価した。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の香料可溶化剤は、比較例の香料可溶化剤と比較して種々の香料に対しても可溶化能に優れ、また各種温度(5、25、40℃)及び−10℃と25℃のサイクル試験で1ヶ月間静置後も、透明均一液状又は僅かにかすみが出る程度であり、広範囲の温度に対する経日安定性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の香料可溶化剤は、香料以外の他の油性成分、例えば化粧品原料(各種植物性油脂及び動物性油脂等)及び医薬原料等の可溶化剤としても使用できる。また、本発明の香料可溶化剤を用いた芳香剤は、特に部屋、トイレ及び車用等の芳香剤として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)、ヒドロキシル基を有する油脂のアルキレンオキサイド付加物(B)及び両性界面活性剤(C)を含有してなる香料可溶化剤。
1O−[(C24O)p・(A1O)q]−(C24O)r−(A2O)s−H (1)
[式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシロキシアルキル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシルアミノアルキル基及び炭素数8〜24のアリールアルキル基からなる群から選ばれる1種以上;A1O及びA2Oはそれぞれ独立して炭素数3又は4のオキシアルキレン基;pは0〜50の数;qは0〜20の数;rは2〜50の数;sは0〜20の数;[(C24O)p・(A1O)q]はランダム付加及び/又はブロック付加した基を表す。]
【請求項2】
前記(B)がヒマシ油又は硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド10〜100モル付加物である請求項1記載の香料可溶化剤。
【請求項3】
前記(C)がカルボキシベタイン型両性界面活性剤である請求項1又は2記載の香料可溶化剤。
【請求項4】
前記(A)、(B)及び(C)の合計質量に基づいて、(A)を1〜50質量%、(B)を15〜80質量%、及び(C)を5〜80質量%含有してなる請求項1〜3のいずれか記載の香料可溶化剤。
【請求項5】
更に他の非イオン性界面活性剤(D)、アニオン性界面活性剤(E)又はカチオン性界面活性剤(F)を含有してなる請求項1〜4いずれか記載の香料可溶化剤。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の香料可溶化剤と香料を必須成分とし、更に親水性有機溶媒(G)、その他の添加剤(H)及び水からなる群から選ばれる1種以上を含有してなる芳香剤。

【公開番号】特開2011−38030(P2011−38030A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188412(P2009−188412)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】