説明

香料組成物

【課題】拡散性と香りの持続性に優れ、かつ、硫黄系臭気の感覚消臭効果に優れたトイレ用液体組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、(A)4級アンモニウム基又は3級アミノ基を有するモノマー単位を構成単位として有する重合体、(B)界面活性剤、(C)蟻酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸オクチル、酢酸1−フェニル−2−メチル−2−プロピル、酢酸cis−3−ヘキセニル、酢酸ブチル、酢酸ゲラニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、酪酸メチル、酪酸へキシル、酪酸ゲラニル、酪酸2−メチルブチル、酪酸シトロネリル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、2−メチル酪酸エチル、カプロン酸アリル、3−シクロヘキシルプロピオン酸アリル、2−ペンチルオキシグリコール酸アリル、2−シクロヘキシルオキシグリコール酸アリル、ジヒドロジャスモン酸メチル、γ−デカラクトン、エチル トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−イル カルボキシレートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の香料成分を含有する香料組成物、を含む液体組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短時間で拡散し、香りの持続性に優れ、かつ、優れた消臭効果、特に硫黄系臭気の消臭に優れた効果のある香料組成物を含有するトイレ用液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生活環境において発生する臭気成分の中でも、硫化水素、メルカプタン、スルフィド、ジスルフィド等の硫黄系化合物は、一般に閾値が低く、強い不快臭を有しており、人の排便時に発生する臭気の主要成分でもある(非特許文献1)。近年の水洗式トイレの普及により、臭気成分の中でもアンモニアや低級脂肪酸のような水溶性臭気成分は、汚物を水中に沈めることによってその臭気が比較的抑制されるが、水への溶解性が低く、閾値も低い硫黄系臭気は、トイレ空間内に拡散しやすく、迅速に消臭することが難しい。
【0003】
トイレ内の臭気を消臭する手段として、水洗による汚物処理や、便器や床面等の清掃による悪臭発生成分の除去などが挙げられるが、通常の洗浄剤は、トイレ空間の低位置にある便器内や床面に散布されるものであるため、空間に拡散しやすく閾値も低い硫黄系臭気に対する消臭は不十分であった。
【0004】
特許文献1には、洗浄成分として陰イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と、特定の香料成分を組合せてなる消臭剤組成物の発明が開示されている。また、特許文献2には、硬質表面に対する防汚効果と防臭効果を高めるべく、4級アンモニウム基又は3級アミノ基を含有する重合体と界面活性剤、さらに、特定の香料成分を配合してなる洗浄剤組成物の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−313582号公報
【特許文献2】特開2002−348596号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】中野幸一、他3名「トイレ臭気の臭気成分分析とその除去技術」、臭気の研究、第33巻、第1号、p.19−24 臭気対策研究協会 2002年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、短時間で拡散しやすく、香りの持続性に優れ、かつ、優れた消臭効果、特に硫黄系臭気の消臭に優れた効果のある香料組成物を含有するトイレ用液体組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、成分(A)4級アンモニウム基又は3級アミノ基を有するモノマー単位を構成単位として有する重合体及び成分(B)界面活性剤を含有する液体組成物に成分(C)特定のエステル香料成分を含有する香料組成物を配合することによって、汚れの付着防止効果に優れているのみならず、臭気に対するマスキング及びマッチング効果により少量で十分な香りの強さを持たせることができ、消臭効果特にメルカプタン、スルフィド類のような硫黄系臭気に対する消臭効果に優れ、香りの拡散速度が速く、かつ香りの持続性のよいトイレ用液体組成物が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(A)4級アンモニウム基又は3級アミノ基を有するモノマー単位を構成単位として有する重合体、
(B)界面活性剤、及び
(C)蟻酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸オクチル、酢酸1−フェニル−2−メチル−2−プロピル、酢酸cis−3−ヘキセニル、酢酸ブチル、酢酸ゲラニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、酪酸メチル、酪酸へキシル、酪酸ゲラニル、酪酸2−メチルブチル、酪酸シトロネリル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、2−メチル酪酸エチル、カプロン酸アリル、3−シクロヘキシルプロピオン酸アリル、2−ペンチルオキシグリコール酸アリル、2−シクロヘキシルオキシグリコール酸アリル、ジヒドロジャスモン酸メチル、γ−デカラクトン、エチル トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−イル カルボキシレートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の香料成分を含有する香料組成物
を含有するトイレ用液体組成物である。
【0010】
本発明には、成分(D)リモネン及び/又はリモネンを含む天然オレンジ油を含有する香料組成物、をさらに含むことができる。また、本発明には、成分(E)メントール、ネオメントール、イソメントール、ネオイソメントール、メントン、イソメントン、プレゴン、カルボン、イソプレゴール、メントフラン、ピペリトン、酢酸メンチル、1,8−シネオール、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油、ユーカリプタス油からなる群より選ばれる1種又は2種以上の香料成分を含む香料組成物、をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、(A)4級アンモニウム基又は3級アミノ基を有するモノマー単位を構成単位として有する重合体及び(B)界面活性剤を含有する液体組成物に(C)特定のエステル香料成分を含有する香料組成物を配合することによって、汚れの付着防止効果に優れているのみならず、臭気に対するマスキング及びマッチング効果により少量で十分な香りの強さを持たせることができ、消臭効果特にメルカプタン、スルフィド類のような硫黄系臭気の消臭効果に優れ、香りの拡散速度が速く、かつ香りの持続性のよいトイレ用液体組成物を得ることができる。
また、上記成分(A)、(B)及び(C)に、成分(D)リモネン及び/又はリモネンを含む天然オレンジ油、成分(E)を加えることにより、組成物に爽やかさ、清潔感を賦与することができ、商品の付加的価値を高くすることを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の成分(A)は、重合体を構成しているモノマー単位として、重合性不飽和化合物由来の4級アンモニウム基又は3級アミノ基を有するモノマー単位を構成単位として有する重合体である。特に、分子中に、3級アミノ基及び4級アンモニウム基から選ばれる基を1種以上有するモノマー単位Aと、−SO2−で表されるモノマー単位Bとを有し、モノマー単位Aを全モノマー単位に対して10〜99モル%含み、且つモノマー単位B/モノマー単位Aのモル比が0.01〜1である重合体〔以下、(a)成分という〕が好ましい。
モノマー単位Aを構成するために用いられるモノマーとしては、下記一般式(1)の化合物及び一般式(2)の化合物から選ばれる1種以上が好適である。
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、R1、R2、R3、R7、R8、R9は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数1〜3のアルキル基である。X、Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキレン基、−COOR12−、−CONHR12−、−OCOR12−、−R13−OCO−R12−から選ばれる基である。ここでR12、R13は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキレン基である。R4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR12C=C(R3)−X−である。R5は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基であり、R6はヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、又はベンジル基であり、R6がアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基の場合は、Z-は陰イオンを示す。
6がカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基を含む場合、Z-は存在せず、R6中のこれらの基は陰イオンとなる。Z-の陰イオンとしては、たとえばハロゲンイオン、硫酸イオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよい芳香族スルホン酸イオン、ヒドロキシイオンを挙げることができる。R10は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR78C=C(R9)−Y−である。R11は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。]
【0015】
一般式(1)の化合物として具体的に好ましいものはアクリロイル(又はメタクリロイル)アミノアルキル(炭素数1〜5)−N,N,N−トリアルキル(炭素数1〜3)4級アンモニウム塩、アクリロイル(又はメタクリロイル)オキシアルキル(炭素数1〜5)−N,N,N−トリアルキル(炭素数1〜3)4級アンモニウム塩、N−(ω−アルケニル(炭素数2〜10))−N,N,N−トリアルキル(炭素数1〜3)4級アンモニウム塩、N,N−ジ(ω−アルケニル(炭素数2〜10))−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)4級アンモニウム塩が好適であり、特にジアリルジメチルアンモニウム塩が良好である。
【0016】
一般式(2)の化合物として具体的に好ましいものはアクリロイル(又はメタクリロイル)アミノアルキル(炭素数1〜5)−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アミン、アクリロイル(又はメタクリロイル)オキシアルキル(炭素数1〜5)−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アミン、N−(ω−アルケニル(炭素数2〜10))−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アミン、N,N−ジ(ω−アルケニル(炭素数2〜10))−N−アルキル(炭素数1〜3)アミン、アリルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルアミンが好適であり、特に、アリルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン、アクリロイル(又はメタクリロイル)アミノプロピル−N,N−ジメチルアミン、アクリロイル(又はメタクリロイル)オキシエチル−N,N−ジメチルアミンが良好である。モノマー単位Aは全モノマー単位に対して10〜99モル%の割合で含まれる。好ましくは20〜99モル%、より好ましくは30〜90モル%の割合で含まれる。
【0017】
前記(a)成分の重合体においてモノマー単位Bは−SO2−であり、このようなモノマー単位を重合体に導入する方法としては、所定量のSO2ガスを一般式(1)の化合物及び/又は一般式(2)の化合物を含有する溶液に吹き込み、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレルニトリロ、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、過酢酸、過安息香酸、過硫酸塩、過酸化水素から選ばれる重合開始剤を用いて重合することで得られる。重合時には溶媒を用いることができ、具体的には水、メタノール、エタノール、プロパノールから選ばれるアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンから選ばれるケトン類、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルイミダゾリジノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、キシレン、ヘキサンを用いることが可能である。重合温度は溶媒や開始剤の組み合わせにより異なり、好ましくは−20〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。また、本発明では光や放射線によっても重合することが可能であり、特に300〜450nmの波長の光を照射することで効率良く重合することができる。
【0018】
モノマー単位Bを加えることにより、防錆効果に加えて、重合体の濃度が低い場合でもトイレの硬質表面に対する十分な付着性を示し、また陽イオン界面活性剤との併用による影響も受け難くなる。
本発明では、さらに防汚効果を向上させる目的から、前記(a)成分が、下記(i)〜(iv)から選ばれるモノマーに由来するモノマー単位Cを含有することが好適である。
【0019】
(i)アクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸、スチレンスルホン酸塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩、アリルスルホン酸塩、ビニルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸塩、スルホプロピルメタクリレート、リン酸モノ−ω−メタクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜12)
【0020】
(ii)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアクリル(又はメタクリル)アミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノメチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドンから選ばれるアミド基含有化合物
【0021】
(iii)アクリル酸(又はメタクリル酸)アルキル(炭素数1〜5)、アクリル酸(又はメタクリル酸)2−ヒドロキシエチル、アクリル酸(又はメタクリル酸)−N,N−ジメチルアミノアルキル(炭素数1〜5)、酢酸ビニルから選ばれるエステル基含有化合物
(iv)エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、n−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンから選ばれるオレフィン系化合物
【0022】
これらの中でも特に防汚効果の点から(i)又は(ii)のモノマー由来のモノマー単位が好ましく、中でも(i)のモノマー由来のモノマー単位が最も好ましく、これらの中でもアクリル酸またはそのナトリウム塩もしくはカリウム塩、メタクリル酸またはそのナトリウム塩もしくはカリウム塩、マレイン酸またはそのナトリウム塩もしくはカリウム塩が好ましい。ここで(i)のモノマー由来のモノマー単位の対イオンは、含有する重合体のカチオン基部分であっても良い。
前記(a)成分がモノマー単位Cを有する場合、モノマー単位C/モノマー単位Aのモル比は、防汚効果の点から、0.05〜1、更には0.1〜0.75、特には0.2〜0.5が好ましい。
【0023】
本発明の重合体は重量平均分子量が好ましくは1,000〜6,000,000、より好ましくは1,000〜500,000、さらに好ましくは1,000〜100,000、特に好ましくは5,000〜60,000であり、この重量平均分子量はアセトニトリルと水の混合溶媒(リン酸緩衝液)を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコールを標準物質として求めたものである。
【0024】
本発明で用いる(a)成分の重合体は、モノマー単位A、モノマー単位B及び好ましくはモノマー単位Cが、重合体中の主鎖または側鎖のいずれに存在していても構わない。これらはランダム重合したもの、ブロック重合したものでも、グラフト重合したものなどでも構わない。本発明ではモノマー単位A、モノマー単位B及びモノマー単位Cのみから構成される重合体を用いることが最も好ましい。
【0025】
(A)成分は、本発明の組成物中に好ましくは0.01〜35質量%、より好ましくは0.02〜25質量%含有され、トリガーやエアゾールなどの噴霧装置で噴霧する方法や、塗布するような方法にて対象のトイレ硬質表面を洗浄するような場合は、(A)成分の濃度は0.01〜10質量%、より好ましくは0.02〜5質量%、更に好ましくは0.05〜2質量%である。
更に本発明の重合体は、陽イオン界面活性剤と併用する際であっても、陽イオン界面活性剤の影響を受けにくく、少量で十分な防汚効果を発揮することができる。
【0026】
本発明の組成物の20℃におけるpHは、好ましくは2〜12、より好ましくは3〜11、特に好ましくは5〜8が防汚洗浄効果の点から好適である。pH調節剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いても構わない。また、これらの酸剤とアルカリ剤を組み合わせて緩衝剤系として用いても構わない。
【0027】
本発明の組成物には、防汚洗浄効果を高める目的や、使用時の洗浄効果感や付着性を高めるための起泡性を付与する目的で界面活性剤(B)を含有する。界面活性剤(B)としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましい。
【0028】
陰イオン界面活性剤としてはアルキル基の炭素数8〜18のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、αオレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数1〜10)アルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数1〜10)アルキルエーテル酢酸塩等を挙げることができ、中でも、アルキル基の炭素数10〜15のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数8〜14アルキル硫酸エステル塩、アルキル基の炭素数10〜14のポリオキシエチレン(平均付加モル数1〜5)アルキルエーテル硫酸塩が好ましい。また塩としてはナトリウム塩またはカリウム塩が好ましい。
【0029】
非イオン界面活性剤としては下記一般式(3)の化合物及び/又は一般式(4)の化合物が防汚洗浄効果の点から好ましい。
【0030】
14−T−[(R15O)a−R16]b (3)
〔式中、R14は、炭素数8〜20、好ましくは10〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R15は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。R16は、炭素数1〜3のアルキル基、又は水素原子である。aは1〜100、好ましくは3〜80、より好ましくは5〜40、特に好ましくは5〜20の数を示す。Tは−O−、−COO−,−CON−又は−N−であり、Tが−O−又は−COO−の場合はbは1であり、Tが−CON−又は−N−の場合はbは1又は2である〕。
【0031】
17−(OR18)cd (4)
〔式中、R17は直鎖の炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14のアルキル基、R18は炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、特にエチレン基であり、Gは還元糖に由来する残基、cは平均値0〜6の数、dは平均値1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜2の数を示す。〕。
【0032】
一般式(3)の化合物の具体例として以下の化合物を挙げることができる。
14−O−(C24O)e−H
〔式中、R14は、炭素数8〜20、好ましくは10〜18のアルキル基又はアルケニル基である。eは1〜100、好ましくは5〜20の数である。〕
14−O−(C24O)f−(C36O)g−H
〔式中、R14は、炭素数8〜20、好ましくは10〜18のアルキル基又はアルケニル基である。f及びgはそれぞれ独立に1〜20、好ましくは1〜10の数であり、EOとプロピレンオキシドはランダムあるいはブロック付加体であってもよい。〕
【0033】
【化2】

【0034】
〔式中、R14は、炭素数8〜20、好ましくは10〜18のアルキル基又はアルケニル基である。h及びiはそれぞれ独立に0〜40、好ましくは0〜20の数であり、h+iは1〜20、好ましくは1〜15の数である。R19、R20はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。〕
【0035】
一般式(4)の化合物において、Gは還元糖に由来する残基であり、原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明ではこれらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく中でもグルコースが最も好ましい。
【0036】
【化3】

【0037】
陽イオン界面活性剤としては下記一般式(5)〜一般式(7)の化合物が防汚効果の点から好ましい。
【0038】
[式中、R21は5〜18、好ましくは6〜14、特に好ましくは8〜12のアルキル基、又はアルケニル基、好ましくはアルキル基であり、R23、R24は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。Uは−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、
【0039】
【化4】

【0040】
である。jは0又は1の数である。R22は、炭素数1〜6のアルキレン基、又は−(O−R31)k−である。ここでR31はエチレン基もしくはプロピレン基、好ましくはエチレン基でありであり、kは1〜10、好ましくは1〜5の数である。R25は炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基である。R26は炭素数8〜16のアルキル基である。また、R27、R28、R29、R30はこれらの内2つ以上(好ましくは2つ)は炭素数8〜18、好ましくは8〜12のアルキル基であり、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。さらにZ-は陰イオン基、好ましくはハロゲンイオン又は炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンである。]
【0041】
本発明の最も好ましい陽イオン界面活性剤としては下記のものを挙げることができる。
【化5】

【0042】
両性界面活性剤としては下記一般式(8)の化合物、及び一般式(9)の化合物が好ましい。
【0043】
【化6】

【0044】
[式中、R32は炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、R34、R35は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R33は炭素数1〜5、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、mは0又は1、好ましくは1の数である。]
【0045】
【化7】

【0046】
[式中、R36は炭素数9〜23、好ましくは9〜17、特に好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R37は炭素数1〜6、好ましくは1〜4、特に好ましくは2又は3のアルキレン基である。Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、nは0又は1、好ましくは0である。R38、R39は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基であり、R40はヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基である。Dは−COO-、−SO3-、−OSO3-から選ばれる基であり、特に−SO3-が目的の粘度に調整するために、−COO-が起泡性の点で良好である。]
【0047】
本発明では、防汚効果の点から非イオン界面活性剤または陽イオン界面活性剤が好ましく、特に一般式(3)の化合物及び一般式(4)の化合物から選ばれる非イオン界面活性剤または一般式(5)の化合物から選ばれる陽イオン界面活性剤が好ましく、一般式(5)の化合物から選ばれる陽イオン界面活性剤が最も好ましい。
【0048】
使用時の洗浄効果感や付着性を高めるための起泡性を付与するためには、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤が好ましく、特に一般式(3)の化合物及び一般式(4)の化合物から選ばれる非イオン界面活性剤、一般式(8)の化合物及び一般式(9)の化合物から選ばれる両性界面活性剤が好ましく、さらに一般式(4)の化合物から選ばれる非イオン界面活性剤、一般式(9)の化合物から選ばれる両性界面活性剤が好ましい。
【0049】
成分(B)は本発明のトイレ用組成物中に、好ましくは0.001〜50質量%、特に好ましくは0.005〜30質量%、さらに好ましくは0.01〜25質量%含有されることが好適であり、トリガーやエアゾールなどの噴霧装置で噴霧する方法や、塗布するような方法にて対象の硬質表面を洗浄するような場合は、成分(B)の濃度は0.001〜10質量%、より好ましくは0.005〜5質量%、さらに好ましくは0.01〜3質量%である。
【0050】
本発明で成分(B)として陰イオン界面活性剤を用いる場合、防汚効果を低下させる場合があるため、陰イオン界面活性剤の含有量を成分(B)の全量に対して75質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下であることが、防汚効果の点から好ましい。特に、一般式(5)〜(7)で示される陽イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤を併用する場合、陽イオン界面活性剤の質量1に対して陰イオン界面活性剤の割合は質量比で1未満、特に0.75未満であることが好ましい。
【0051】
本発明では、任意成分の成分として、有機汚れに対する洗浄力向上の目的や貯蔵時の安定性の目的で水溶性溶剤[以下(F)成分とする]を配合することが好ましく、[1]炭素数1〜5の1価アルコール、[2]炭素数4〜12の多価アルコール、[3]下記の一般式(12)で表される化合物、[4]下記の一般式(13)で表される化合物及び[5]下記の一般式(14)で表される化合物から選ばれる一種以上を配合することがより好ましい。
【0052】
【化8】

【0053】
〔式中、R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示すが、R41及びR42の双方が水素原子となる場合を除く。sは0〜10の数を、tは0〜10の数を示すが、s及びtの双方が0である場合を除く。R43及びR44は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R45は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕
【0054】
[1]の炭素数2〜5の1価アルコールとしては、一般的にエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールが挙げられる。これらの低級アルコールを配合することにより低温における系の安定性を更に向上させることができる。
[2]の炭素数4〜12の多価アルコールとしては、イソプレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンの他、アルキル基の炭素数が3〜8のモノアルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0055】
[3]の化合物は、一般式(12)において、R41、R42がアルキル基である場合の炭素数は1〜4が特に好ましい。また、一般式(12)中、EO及びPOの平均付加モル数のs及びtは、それぞれ0〜10の数であるが、EOとPOの付加順序は特に限定されず、ランダム付加したものであってもよい。[3]の化合物の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数=2〜3)ポリオキシプロピレン(平均付加モル数=2〜3)グリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数=1〜4)グリコールフェニルエーテル、フェニルカルビトール、フェニルセロソルブ、ベンジルカルビトール等が挙げられる。このうち、洗浄力及び使用感の点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数=1〜4)グリコールフェニルエーテルが好ましい。
【0056】
また、[4]の化合物としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンが好適なものとして例示され、[5]の化合物としては3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−エトキシ−3−メチルブタノール等が好ましい。
【0057】
これらのなかでもプラスチックやゴムなどの基材に対する損傷性の点から[1]、[2]及び[3]の化合物から選ばれる水溶性溶剤が好ましく、特にエタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル及びアルキル基の炭素数が3〜8のモノアルキルグリセリルエーテルから選ばれる水溶性溶剤が好ましく、さらにエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ペンチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテルから選ばれる水溶性溶剤が好ましい。
前述の界面活性剤は、必要に応じて複数の界面活性剤を同時に配合できる。組成物に十分な抗菌性能を発揮させる上で、抗菌力を有する陽イオン界面活性剤又は両性界面活性剤が好適である。
【0058】
本発明の成分(C)の香料組成物は、蟻酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸オクチル、酢酸1-フェニル-2-メチル-2-プロピル、酢酸cis-3-ヘキセニル、酢酸ブチル、酢酸ゲラニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、酪酸メチル、酪酸へキシル、酪酸ゲラニル、酪酸2−メチルブチル、酪酸シトロネリル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、2−メチル酪酸エチル、カプロン酸アリル、3−シクロヘキシルプロピオン酸アリル、2−ペンチルオキシグリコール酸アリル、2−シクロヘキシルオキシグリコール酸アリル、ジヒドロジャスモン酸メチル、γ−デカラクトン及びエチル トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−イル カルボキシレートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の香料成分を含有する。
【0059】
成分(C)の香料成分の香料組成物における含有量は1〜40質量%が好ましく、より好ましくは3〜30質量%で、さらに好ましくは5〜20質量%で、特に10〜15質量%であることが好ましい。
なお、本発明において、香料組成物における含有量は配合されている全香料成分を100質量%とし、香料組成物における溶剤などの量は前記含有量の計算に考慮しないものとする。
【0060】
本発明の成分(D)としては、リモネン及び/又はリモネンを含む天然オレンジ油を挙げることができる。また、リモネンは、合成香料であってもよく、天然オレンジ油から抽出したものであっても良い。リモネンを含む天然オレンジ油は、例えば、オレンジペラ、オレンジバレンシア、オレンジブラッド、オレンジビターオイルなどを含んだものである。
成分(D)の香料組成物におけるリモネン及び/又はリモネンを含む天然オレンジ油の含有量は、1〜60質量%が好ましく、より好ましくは2〜40質量%、4〜30質量%、特に5〜25質量%が好ましい。
【0061】
本発明の成分(E)の香料組成物は、例えば、メントール、ネオメントール、イソメントール、ネオイソメントール、メントン、イソメントン、プレゴン、カルボン、イソプレゴール、メントフラン、ピペリトン、酢酸メンチル、1,8−シネオール、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油及びユーカリプタス油からなる群より選ばれる1種又は2種以上の香料成分を含むものである。また、メントール、メントン、カルボン、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油からなる群より選ばれる1種又は2種以上の香料成分を含むことが好ましい。
【0062】
成分(E)の香料組成物における香料成分の含有量は、1〜60質量%が好ましく、より好ましくは2〜40質量%、4〜30質量%、特に5〜25質量%が好ましい。
本発明において、より爽やかな香りを創作する観点から、エステル:オレンジ=1:1〜7.5:1、エステル:オレンジ=1:1.3〜1:3.0の比率で配合することが好ましい。エステル:オレンジ=4.5:1〜7.5:1の比率で配合することが特に好ましい。
また、本発明において、清潔感のある香りを創作する観点から、エステル:ミント=1.1:1〜3.3:1の比率で配合することが好ましい。特に、エステル:ミント=1:1〜1:1.2の比率で配合することが特に好ましい。
【0063】
本発明の成分(C)の香料組成物のトイレ用液体組成物における含有量は0.001〜1質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.6質量%であり、0.02〜0.3質量%が特に好ましい。
本発明の成分(D)の香料組成物のトイレ用液体組成物における含有量は0.001〜1質量%が好ましく、より好ましくは0.04〜0.9質量%であり、0.02〜0.8質量%が特に好ましい。
本発明の成分(E)の香料組成物がトイレ用液体組成物における含有量は0.002〜1.5質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜1質量%であり、0.02〜0.5質量%が特に好ましい。
【0064】
なお、本発明のトイレ用液体組成物には、本発明の成分(C)、(D)、(E)以外の香料成分も含めることができる。具体的には、α−ダマスコン、デカナール、n−ヘキサナール、n−オクタナール、n−ノナナール、アリルヨノン、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、アンブレットリド、アミルシンナミックアルデヒド、アネトール、アニスアルコール、アニスアルデヒド、α−ピネン、α−テルピネン、α−テルピネオール、バクダノール、ベンズアルデヒド、ベンジルアルコール、ボルネオール、β−ピネン、カロン、カンファー、セドロール、セドロールメチルエーテル、4−アセチルジメチル−t−ブチルインダン、シス−3−ヘキセノール、シス−ジャスモン、シトラール、シトロネロール、シトロネリルニトリル、クマリン、シクラメンアルデヒドを挙げることができる。
【0065】
また、α,α−ジメチルフェニルエチルアルコール、δ−ダマスコン、デセノール、ジヒドロジャスモン、ジヒドロミルセノール、2,6−ジメチルヘプタノール、ジペンテン、ジフェニルオキサイド、4−トリシクロデシリデンブタナール、エストラゴール、エチルリナロール、エチルマルトール、エチルバニリン、エチレンブラシレート、オイゲノール、p−エチルジメチルヒドロシンナミックアルデヒド、ゲラニオール、ゲラニルシクロペンタノン、ヘリオナール、ヘリオトロピン、ヘリオトロピルアセトン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヒドラトロピックアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、インドール、α−ヨノン、β−ヨノン、イソ・イー・スーパー、イソシクロシトラール、イソダマスコン、コアボン、3,4,5,6,6−ペンタメチル−2−ヘプタノール、リリアール、リナロール、リラール、マグノラン、マルトール、メチルb−ナフチルケトン、α−イソメチルヨノン、メチルイソオイゲノール、ムゴール、エチレンドデカンジオエート、ムスクケトン、マイラックアルデヒド、ネロール、ネロリドール、β−ナフトールエチルエーテル、β−ナフトールメチルエーテル、シクロヘキサノン、クレオゾール、ヘキサメチルヘキサヒドロシクロペンタベンゾピラン、シクロペンタデカノリド、フェノキシエチルアルコール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルエチルアルコール、ラズベリーケトンも挙げることができる。
【0066】
さらに、ルボフィクス、ローズオキサイド、ローズフェノン、イソカンフィルシクロヘキサノール、5−メチル−3−ヘプタノンオキシム、テルピネロール、テルピノーレン、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロムゴール、チモール、2,2,6−トリメチルシクロヘキシル−3−ヘキサノール、トリメチルウンデセナール、トリプラール、4−メチル−3−デセン−5−オール、バニリン、2,2,5,5−テトラメチル−4−イソプロピル−1,3−ジオキサン、ベルンアルデヒド、アニスオイル、バジルオイル、コリアンダーオイル、エレミレジノイド、ラバンジンオイル、ラベンダーオイル、レモンオイル、ライムオイル、ナツメグオイル、オークモスアブソリュート、パチュリオイル、ペッパーオイルホワイト、ペチグレンオイル、パインオイル、ローズマリーオイル、スチラックスオイル、リグストラール、ライムオキサイド、3−メチル−5−フェニルペンタノール、ルバフラン、アンブロキサン、サンダルマイソールコア、ゲラニルニトリル、イソブチルキノリン、ペリラアルデヒド、アルモーゼオイル、セダーウッドオイル、グアイアックウッドオイル、パルマローザオイル、リアトリックスレジノイド、オリバナムレジノイド、オポポナックスオイル、オポポナックスレジノイド、スチラックスレジノイド、トリーモスアブソリュート、ベチバーオイル、イランイラン、アセチルセドレンなど合成香料及び天然香料も用いることができる。
【0067】
さらに、本発明のトイレ用液体組成物は、水溶液、油剤、乳剤の形態が好ましい。容器はトリガー式スプレー容器、ポンプスプレー容器、スクイズボトル式容器などを使用できる。
【実施例】
【0068】
<香料組成物及び液体組成物の調製>
表1及び表2に示す香料組成物を調製した。また、処方例2と処方例11の香料組成物を用いてトイレ用液体組成物を調製した(表3,表4)。表3には、本発明の成分(C)の香料成分が配合されている処方例2の香料組成物を含有するトイレ用液体組成物の例を示した。また、表4には、比較例として表1に示した処方例11の香料組成物を含有するトイレ用液体組成物を示した。これらの液体組成物について、香り立ちの速さ、香りの強さ、香りの持続性、香りの質(爽やかさ、清潔さ)、そして、油性汚れの硬質表面へのつきにくさと長期(1週間)使用時の便器内への汚れのつきにくさを以下の方法で評価した。評価結果を表3および表4に示した。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
表3,4中の各成分は以下のとおりである。
重合体A:塩化ジアリルジメチルアンモニウムとマレイン酸と二酸化イオウ(モル比50/25/25)の共重合体。重量平均分子量30000。
重合体B:塩化ジアリルジメチルアンモニウムと二酸化イオウ(モル比50/50)の共重合体。重量平均分子量30000。
重合体C:塩化ジアリルジメチルアンモニウムとマレイン酸と二酸化イオウ(モル比70/25/5)の共重合体。重量平均分子量20000。
【0074】
界面活性剤A:塩化ベンゼトニウム
界面活性剤B:塩化ジデシルジメチルアンモニウム
界面活性剤C:塩化ココアルキルジメチルベンザルコニウム
界面活性剤D:塩化オクチルジメチルベンザルコニウム
界面活性剤E:アルキルグルコシド(直鎖アルキルの炭素数が12と14の混合物、糖平均縮合度1.2[縮合度1と2の混合物])
界面活性剤F:ドデシルジメチルアミンオキシド
界面活性剤G:N−ラウロイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン
【0075】
さらに、表5に示す配合処方例に従って、処方例1〜処方例9および処方例12〜処方例16に示した香料組成物を用いてトイレ用液体組成物を調製した。なお、配合例1はトイレ用液体組成物における含有率が0.2質量%で、配合例2の場合は含有率が0.4質量%で、配合例3の場合は含有率が0.6質量%であった。本発明の成分(C)の香料成分が配合されている香料組成物で賦香したトイレ用液体組成物の評価結果を表6および表7に示した。本発明の成分(C)の香料成分が配合されていない処方例10、11(表1)、および17(表2)に示した香料組成物を用いて調製したトイレ用液体組成物の評価結果を表8示した。
【0076】
【表5】

【0077】
【表6】

【0078】
【表7】

【0079】
【表8】

【0080】
トイレ用液体組成物に対する評価は、香り立ちの速さ、香り強度、香り質、香りの持続性、感覚消臭(マスキング)効果、そして、油性汚れの硬質表面へのつきにくさと長期(1週間)使用時の便器内への汚れのつきにくさについて行った。香りの評価、感覚消臭効果の評価、汚れ付着防止性評価の結果を表6、表7および表8に示した。
【0081】
<香りの評価方法>
評価実験用ブース(間口110cm×奥行き110cm×高さ240cm)内の床面から高さ14cmの位
置に腰掛け式水洗トイレ便器を模したステンレス製洗面器を置き、トイレ用組成物をトリガー式スプレー容器(花王(株)製トイレマジックリン消臭・洗浄スプレー用容器)に入れて洗面器内に3回スプレーした。その後、ブース内(温度22℃〜23℃、相対湿度40%RH〜67%RH)に直立した評価者2名(身長160cm〜165cm)が、ニオイを感じるまでの時間(香り立ちの速さ)を計測した。さらに、香りの強さ、香りの質(爽やかさ、清潔さ)、時間経過によるブース空間内のニオイ強度の変化について官能評価した。評価基準は、以下のとおりである。
【0082】
(香り立ちの速さ)
スプレー後、ブース内に直立している評価者がニオイを感じるまでの時間により、以下の3段階に区分した。
A:10秒以下(香り立ちが速い)
B:11秒〜20秒以下(香り立ちがやや遅い)
C:21秒〜30秒以下(香り立ちが遅い)
【0083】
(香りの爽やかさ)
10名の評価者が、空間内に拡散した香りの爽やかさを、以下の基準で官能評価した。A:10名中8名以上の評価者が香りの爽やかさを感じた
B:10名中6名以上の評価者が香りの爽やかさを感じた
C:10名中5名以上の評価者が香りの爽やかさを感じた
D:10名中3名以上の評価者が香りの爽やかさを感じた
E:香りの爽やかさを感じた評価者がひとりもいなかった。
【0084】
(香り清潔感)
10名の評価者が空間内に拡散した香りの清潔感を、以下の基準で官能評価した。
A:10名中8名以上の評価者が香りの清潔さを感じた
B:10名中6名以上の評価者が香りの清潔さを感じた
C:10名中5名以上の評価者が香りの清潔さを感じた
D:10名中3名以上の評価者が香りの清潔さを感じた
E:香りの清潔さを感じた評価者がひとりもいなかった。
【0085】
(香りの持続性)
空間内に拡散した香りが質(爽やかさ、清潔感)の変化のない状態の持続性について、下記の基準に基づき評価した。A:スプレー後60分経過しても質の変化のない香りを感じることができる。
B:スプレー後30分経過しても質の変化のない香りを感じることができるが、
60分経過した時点では香り質が変化している。
C:スプレー後30分経過した時点で香りがほとんど感じられない。
【0086】
(ニオイ強度)
スプレー直後から5分経過時までに、ブース空間内に拡散した香りの強度を以下の7段階強度尺度で評価した。
6:非常に強くにおう
5:強くにおう
4:やや強くにおう
3:ニオイを感知できる
2:あまりにおわない
1:ほとんどにおわない
0:全くにおわない
【0087】
<油性汚れの付着防止性の評価>
液体組成物1mLを面積10cm2の陶器タイル表面に塗布し、5分間放置した後、45°の角度でたてかけて、水200mLを流速25mL/秒で流し、乾燥させることを5回繰り返した後、陶器タイル表面にスポット状にモデル汚れ(オレイン酸と菜種油を質量比で1:1で混合したもの)を0.5g滴下した。滴下したモデル汚れが流れ落ちないように水槽の底に静置し、陶器タイルに水がかからないように、静かに水槽中に水を満たした。
【0088】
水が満たされた水槽に置かれたタイルの表面に付着した汚れ(モデル汚れ)が陶器タイル表面から除去される面積の割合を判定し、次の5段階で評価した。なお、汚れ落ち率(%)は、タイル10枚の平均値とした。
5:汚れ落ち率が80%以上
4:汚れ落ち率が60%以上80%未満
3:汚れ落ち率が40%以上60%未満
2:汚れ落ち率が20%以上40%未満
1:汚れ落ち率が20%未満
【0089】
<長期使用中の汚れ付着防止性の評価>
液体組成物をトリガー式スプレー容器(花王(株)製トイレマジックリン消臭・洗浄スプレー用容器)に入れて、便器(品番C730B、東陶機器(株)製)に3回スプレーして洗浄用ブラシで軽くこすり、1週間放置した際の汚れの付きにくさを、以下の基準により肉眼で判定した。
【0090】
評価基準:
・ :汚れが付いていない
・ :汚れが僅かに付いている
・ :汚れが少し付いている
×:汚れがかなり付いている
【0091】
<感覚消臭効果の評価方法>
感覚消臭効果の評価は、下記の方法で、表9に示す組成の人工汚物臭気(イオウ系複合臭気)を用いて評価ブース内に臭気を拡散させ、トイレ内臭気のモデルを作成して実施した。
【0092】
評価用ステンレス製ブース(間口96cm×奥行き98cm×高さ195cm)の床面から高さ14cmの位置にステンレス製洗面器を置き、洗面器内に直径5cmの濾紙をたてかけ、人工汚物臭気溶液(表9)25〜30μLを滴下して、ブース内の臭気強度が3付近となるように調整した後、トイレ用組成物を専用トリガーボトルで3回スプレーし、スプレー後、5分経過時と30分経過時におけるブース内のイオウ系臭気の感じられやすさを官能評価した。評価基準は、以下の6段階とした。
【0093】
評価基準
0:ほとんどマスキングされていない(悪臭のニオイ強度が変わらない)
1:マスキング効果がやや認められる(悪臭の強さがやや低下している)
2:マスキング効果が明らかに認められる(悪臭は感知できるが明らかに弱くなっている)
3:マスキング効果が充分に認められる(悪臭が何のニオイであるかわかる程度)
4:ほとんどマスキングされている(悪臭がかすかに感知できる)
5:完全にマスキングされている(悪臭が感知できない)
【0094】
【表9】

【0095】
<液体組成物の評価結果>
表3には、表1に示した処方例2の香料組成物を0.2質量%配合したトイレ用液体組成物の評価結果を示した。また、表4には、表1に示した処方例11の香料組成物を0.2質量%配合したトイレ用液体組成物の評価結果を示した。処方例2の香料組成物には本発明の成分(C)の香料成分が配合されており、香り立ちの速さ、香り強度、香り質(爽やか、清潔感)、香りの持続性に優れた結果を示している。これに対し、処方例11の香料組成物を配合したトイレ用液体組成物である比較例(表4)の場合は、本発明の成分(C)の香料成分が配合されておらず、香り立ちの速さ、香り強度、香り質(爽やか、清潔感)、香りの持続性のいずれにおいて、表3に示した実施例に劣った結果を示している。これによって、本発明に係る成分(C)の香料成分が、消臭対象に対するマスキング効果、及び成分(C)の香料成分と消臭対象であるトイレの臭気とのマッチング効果が実証され、本発明によるマスキング効果とマッチング効果との協働による結果が実証された。
また、本発明のトイレ用液体組成物は、油性汚れの付着防止性と長期使用中の汚れ付着防止性については、いずれの組成物においても良好という結果であった。
【0096】
表6には、本発明に係る成分(C)の香料成分、本発明に係る成分(D)の香料成分および本発明に係る成分(E)の香料成分をそれぞれ含有する処方例1〜処方例3の香料組成物を0.2%〜0.6%含有する液体組成物の例を示した。いずれの液体組成物も、香り立ちの速さ、香り強度、香り質(爽やかさ、清潔感)、香りの持続性、および感覚消臭効果について良好な結果を示した。つまり、本発明の成分(C)の香料成分が配合された液体組成物は、その含有率が0.2質量%であっても十分に優れた効果を発揮することができることを意味する。また、上記の結果によって、本発明の成分(C)の香料成分の場合のみならず、本発明の成分(C)の香料成分と成分(D)の香料成分とを組み合わせた場合、本発明の成分(C)の香料成分と成分(E)の香料成分とを組み合わせた場合も、これらの香料成分と消臭対象であるトイレの臭気とのマッチング効果が実証され、本発明によるマスキング効果とマッチング効果との協働による結果が実証された。さらに、本発明の成分(C)の香料成分と、成分(D)の香料成分と、成分(E)の香料成分とを組み合わせた場合は、前記のマスキング効果とマッチング効果に加え、香りの質(爽やかさ、清潔感)においても最も優れた評価を得ることができた。
【0097】
また、表7には、処方例4〜処方例9および処方例12〜16の香料組成物を0.2%配合した組成物の例を示す。これらは、香り立ちの速さ、香り強度、香りの持続性、感覚消臭効果、および汚れの付着防止効果については良好な結果を示したが、香り質については、香料処方によって評価結果が異なった。具体的に例を挙げて説明すると、実施例25の香りの爽やかさ、清潔感の評価はともにAであり、実施例23の場合は両方共にBであり、実施例21場合はCであった。つまり、表7に示したように、実施例21の液体組成物には、本発明の成分(C)の香料成分を含有する香料組成物(処方例6)が配合されているため、悪臭に対し優れたマスキング及びマッチング効果が発揮されている結果を得た。
【0098】
また、実施例23の液体組成物には、本発明の成分(C)の香料成分と成分(D)の香料成分とを組み合わせた香料組成物(処方例8)が配合されているため、悪臭に対し優れたマスキング及びマッチング効果が発揮されているのみならず、液体組成物の香りの爽やかさ、清潔感について実施例21の場合より評価が高い結果を得た。さらに、実施例25の液体組成物には、本発明の成分(C)の香料成分と、成分(D)の香料成分と、成分(E)の香料成分とを組み合わせた香料組成物(処方例12)が配合されたため、悪臭に対し優れたマスキング及びマッチング効果が発揮されるのみならず、液体組成物の香りの爽やかさ、清潔感について最も高い評価が得られた。
【0099】
他方、オレンジ精油のみからなる処方例10の香料成分を0.2質量%配合した比較例10は、香りの強度が1(ほとんどにおわない)で、香りの持続性の評価がC(スプレー後30分経過したら香りはほとんど感じられなくなっている)で、スプレー後5分経過の場合感覚消臭効果の評価が1(マスキング効果がやや認められる)、スプレー後30分経過の場合感覚消臭効果の評価が0(ほとんどマスキングされていない)であった(表8)。
【0100】
比較例11の場合、処方例10の香料成分を含有する香料組成物の配合率を0.6質量%に上げても、香りの評価結果は、香りの強度が2(あまりにおわない)で、香りの持続性の評価がC(スプレー後30分経過したら香りはほとんど感じられなくなっている)で、スプレー後5分経過の場合感覚消臭効果の評価が1(マスキング効果がやや認められる)、スプレー後30分経過の場合感覚消臭効果の評価が0(ほとんどマスキングされていない)であった(表8)。また、本発明に係る成分(C)の香料成分を含まない処方例11の香料組成物を配合した比較例12および13は、香り立ちが各実施例より遅く、香りの強度も各実施例より低く、感覚消臭効果も各実施例より劣る結果が得られた。また、オレンジ系香料成分とミント系香料成分を含む処方例17の香料組成物では、比較例12,13と同様に、香り立ちが各実施例より遅く、香りの強度も各実施例より低く、感覚消臭効果も各実施例より劣る結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)及び(C)を含有するトイレ用液体組成物。
(A)4級アンモニウム基又は3級アミノ基を有するモノマー単位を構成単位として有する重合体、
(B)界面活性剤、
(C)蟻酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸オクチル、酢酸1−フェニル−2−メチル−2−プロピル、酢酸cis−3−ヘキセニル、酢酸ブチル、酢酸ゲラニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、酪酸メチル、酪酸へキシル、酪酸ゲラニル、酪酸2−メチルブチル、酪酸シトロネリル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、2−メチル酪酸エチル、カプロン酸アリル、3−シクロヘキシルプロピオン酸アリル、2−ペンチルオキシグリコール酸アリル、2−シクロヘキシルオキシグリコール酸アリル、ジヒドロジャスモン酸メチル、γ−デカラクトン及びエチル トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−イル カルボキシレートからなる群から選ばれる1種又
は2種以上の香料成分を含有する香料組成物。
【請求項2】
下記成分(D)をさらに含有する請求項1に記載のトイレ用液体組成物。
(D)リモネン及び/又はリモネンを含む天然オレンジ油を含有する香料組成物。
【請求項3】
下記成分(E)をさらに含有する請求項1又は2に記載のトイレ用液体組成物。
(E)メントール、ネオメントール、イソメントール、ネオイソメントール、メントン、イソメントン、プレゴン、カルボン、イソプレゴール、メントフラン、ピペリトン、1,8−シネオール、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油及びユーカリプタス油からなる群より選ばれる1種又は2種以上の香料成分を含む香料組成物。
【請求項4】
前記成分(C)の香料組成物における香料成分の含有量は1質量%〜40質量%である請求項1乃至3のいずれかに記載のトイレ用液体組成物。
【請求項5】
前記成分(D)の香料組成物における香料成分の含有量は1質量%〜60質量%である請求項2乃至4のいずれかに記載のトイレ用液体組成物。
【請求項6】
前記成分(E)の香料組成物における香料成分の含有量は2質量%〜50質量%である請求項3乃至5のいずれかに記載のトイレ用液体組成物。

【公開番号】特開2011−21195(P2011−21195A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200960(P2010−200960)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【分割の表示】特願2004−32621(P2004−32621)の分割
【原出願日】平成16年2月9日(2004.2.9)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】