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香料組成物
説明

香料組成物

【課題】ベースとなる香料組成物の香調を変えることなく、香り立ち、持続性等の芳香特性、保留特性の高い香料改善剤、それを含有する香料組成物、該香料組成物が配合されている各種製品類及び下記一般式(1)に包含される新規化合物を提供する。
【解決手段】一般式(1)


(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4の炭化水素基、水酸基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。)で表されるアルコール誘導体を配合してなることを特徴とする香料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料組成物、更に詳細には、香り立ち、残香性などの芳香特性及び保留効果に優れた香料組成物、及びそれを含有する香粧品、トイレタリー製品、入浴剤、医薬部外品または医薬品等の各種製品類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有香物質を調香し、優れた香料組成物を調製する際、所望の香気を持続させるため、有香物質の芳香特性及び保留性を調整する各種保留剤又は香質改善剤が香料に配合されている。このような保留剤又は香質改善剤として、具体的にはジプロピレングリコール、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルサリシレート、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート等が提案され、利用されている。これらの内、ベンジルサリシレートには遅延型接触皮膚炎を誘起することが報告されており(非特許文献1)、安全性上好ましくない。また、ジエチルフタレートは、内分泌撹乱物質としてその使用が自粛されており好ましくない。その他の保留剤も残香性付与効果が低くかったり、保留剤自体の香気が香料組成物の香質を望ましくない方向に変調させたりする場合があり、このため、優れた香気持続性を付与することが可能で、かつ香料組成物の香質の変調をきたさない無臭性の香質改善剤の開発が望まれている。
【0003】
かかる状況下、こうような要求を満たすべく、種々の保留剤、香質改善剤が提案されている。例えば、p−メンタン−3,8−ジオール(特許文献1)、2−ヒドロキシメチル−シクロアルカノール誘導体(特許文献2)、特定のビフェニル化合物等(特許文献3)、グリセリルエーテル誘導体(特許文献4)、ジアセチルロドデンドロール(特許文献5)が保留剤として提示されている。しかしこれらの化合物も、保留剤として汎用性、保留効果等の条件を満足させるものとはいい難いものであった。
【0004】
また、上述のような保留剤、香質改善剤については、調合香料としての匂い紙上での官能評価による効果について述べられているものの、該調合香料を賦香してなる製品類での効果には全く触れられておらず、製品形態において優れた香質改善効果を反映した調合香料、及び該香質改善剤の開発が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−337395号公報
【特許文献2】特開平5−295388号公報
【特許文献3】特開平7−62383号公報
【特許文献4】特開2003−238985号公報
【特許文献5】特開2010−90259号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「皮膚」、第23巻、第4号、421−441頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、香料組成物の芳香特性及び残香性を改善させると共に、その改善効果を反映した製品類を提供することを目的とする。すなわち、より具体的には、ベースとなる香料組成物の香調を変えることなく、香り立ち、持続性等の芳香特性、保留特性の高い香質改善剤、及びそれを含有する香料組成物、更に該香料組成物が配合されていて、香り立ち、持続性等の芳香特性、保留特性の良好な各種製品類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解消すべく鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)で表されるアルコール誘導体が香料組成物の香り立ち、残香性を著しく高めることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下の(1)〜(9)の発明に関するものである。
【0009】
(1)一般式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4の炭化水素基、水酸基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。)
で表されるアルコール誘導体を配合してなることを特徴とする香料組成物。
【0010】
(2)前記一般式(1)のアルコール誘導体が、式中のRが炭素数2〜4の炭化水素基であり、Rが水酸基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であるアルコール誘導体であることを特徴とする(1)項記載の香料組成物。
【0011】
(3)前記一般式(1)のアルコール誘導体が、一般式(2)
【化2】

(式中、Rは炭素数2〜4のアルキル基及び炭素数2〜4のアルケニル基から選ばれる1種。)で表される4−(3−ヒドロキシ−3−置換)ブチルフェノールであることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の香料組成物。
【0012】
(4)前記一般式(1)のアルコール誘導体が、4−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール、4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンテニル)フェノール及び4−(3−ヒドロキシ−3−メチルヘキシル)フェノールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の香料組成物。
【0013】
(5)前記一般式(1)のアルコール誘導体を1〜90質量%、好ましくは5.0〜30質量%含有することを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の香料組成物。
【0014】
(6)前記(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の香料組成物を配合してなることを特徴とする香粧品、トイレタリー製品、入浴剤、飲料、食品、医薬部外品又は医薬品。
【0015】
(7)前記一般式(1)のアルコール誘導体を香料組成物に添加することを特徴とする香料の香気持続性を強化する方法。
【0016】
(8)一般式(2)
【化3】

(式中、Rは炭素数2〜4の炭化水素基である。但し、Rが1−プロペニル基である場合を除く。)
で表される4−(3−ヒドロキシ−3−置換)ブチルフェノール。
【0017】
(9)前記一般式(2)の4−(3−ヒドロキシ−3−置換)ブチルフェノールが、4−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール、4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンテニル)フェノール、4−(3−ヒドロキシ−3−メチルヘキシル)フェノールのいずれかであることを特徴とする(8)項記載の4−(3−ヒドロキシ−3−置換)ブチルフェノール。
【発明の効果】
【0018】
一般式(1)で表されるアルコール誘導体を香料組成物に配合することよりなる本発明によれば、公知あるいは周知の香料の香調を変えることなく、かつ従来知られた保留剤、香質改善剤に比べ香り立ち、及び残香性を著しく高めることが可能となり、所望の芳香特性、及び保留性の著しく高い香料組成物を得ることが可能となる。また、その効果は本発明の香料組成物を含有してなる製品形態においても同様であり、所望の芳香特性を有し、香り立ち、残香性の高い香粧品、トイレタリー製品、入浴剤、医薬品などの製品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明の前記一般式(1)で表されるアルコール誘導体において、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4の炭化水素基、水酸基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。
【0020】
の炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、3−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、2−エチルプロピル基、ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2,4−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基などの炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ペンテン−2−イル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、2−ヘキセン−2−イル基などの炭素数2〜6のアルケニル基等が挙げられる。
【0021】
が、炭素数1〜4の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基などの炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基などの炭素数2〜4のアルケニル基等が挙げられる。
【0022】
が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
【0023】
本発明の一般式(1)で表されるアルコール誘導体を具体的に例示すれば、例えば、等が挙げられる。
4−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール、3−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール、2−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール、4−(3−ヒドロキシ−3−メチルへキシル)フェノール、3−(3−ヒドロキシ−3−メチルへキシル)フェノール、2−(3−ヒドロキシ−3−メチルへキシル)フェノール、4−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール、3−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール、2−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール、4−(3−ヒドロキシ−3,4−ジメチルペンチル)フェノール、3−(3−ヒドロキシ−3,4−ジメチルペンチル)フェノール、2−(3−ヒドロキシ−3,4−ジメチルペンチル)フェノール、4−(3−ヒドロキシ−3,5−ジメチルヘキシル)フェノール、3−(3−ヒドロキシ−3,5−ジメチルヘキシル)フェノール、2−(3−ヒドロキシ−3,5−ジメチルヘキシル)フェノール、4―(3−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンテニル)フェノール、3―(3−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンテニル)フェノール、2−(3−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンテニル)フェノール、4−(3−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−4−ペンテニル)フェノール、3−(3−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−4−ペンテニル)フェノール、2−(3−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−4−ペンテニル)フェノール、4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−5−ヘキセニル)フェノール、3−(3−ヒドロキシ−3−メチル−5−ヘキセニル)フェノール、2−(3−ヒドロキシ−3−メチル−5−ヘキセニル)フェノール。
【0024】
1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−3−ペンタノール、1−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−3−ペンタノール、1−(2−メトキシフェニル)−3−メチル−3−ペンタノール、1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘキサノール、1−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘキサノール、1−(2−メトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘキサノール、1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘプタノール、1−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘプタノール、1−(2−メトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘプタノール、1−(4−メトキシフェニル)−3,4−ジメチル−3−ペンタノール、1−(3−メトキシフェニル)−3,4−ジメチル−3−ペンタノール、1−(2−メトキシフェニル)−3,4−ジメチル−3−ペンタノール、1−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチル−3−ヘキサノール、1−(3−メトキシフェニル)−3,5−ジメチル−3−ヘキサノール、1−(2−メトキシフェニル)−3,5−ジメチル−3−ヘキサノール。
【0025】
5−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−1−ペンテン−3−オール、5−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−1−ペンテン−3−オール、5−(2−メトキシフェニル)−3−メチル−1−ペンテン−3−オール、5−(4−メトキシフェニル)−3,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール、5−(3−メトキシフェニル)−3,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール、5−(2−メトキシフェニル)−3,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール、1−(4−メトキシフェニル)−3−ジメチル−5−ヘキセン−3−オール、1−(3−メトキシフェニル)−3−ジメチル−5−ヘキセンー3−オール、1−(2−メトキシフェニル)−3−ジメチル−5−ヘキセン−3−オール、1−(4−エトキシフェニル)−3−メチル−3−ペンタノール、1−(3−エトキシフェニル)−3−メチル−3−ペンタノール、1−(2−エトキシフェニル)−3−メチル−3−ペンタノール、1−(4−エトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘキサノール、1−(3−エトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘキサノール、1−(2−エトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘキサノール、1−(4−エトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘプタノール、1−(3−エトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘプタノール、1−(2−エトキシフェニル)−3−メチル−3−ヘプタノール、1−(4−エトキシフェニル)−3,4−ジメチル−3−ペンタノール、1−(3−エトキシフェニル)−3,4−ジメチル−3−ペンタノール、1−(2−エトキシフェニル)−3,4−ジメチル−3−ペンタノール、1−(4−エトキシフェニル)−3,5−ジメチル−3−ヘキサノール、1−(3−エトキシフェニル)−3,5−ジメチル−3−ヘキサノール、1−(2−エトキシフェニル)−3,5−ジメチル−3−ヘキサノール。
【0026】
5−(4−エトキシフェニル)−3−メチル−1−ペンテン−3−オール、5−(3−エトキシフェニル)−3−メチル−1−ペンテン−3−オール、5−(2−エトキシフェニル)−3−メチル−1−ペンテン−3−オール、5−(4−エトキシフェニル)−3,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール、5−(3−エトキシフェニル)−3,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール、5−(2−エトキシフェニル)−3,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール、1−(4−エトキシフェニル)−3−ジメチル−5−ヘキセン−3−オール、1−(3−エトキシフェニル)−3−ジメチル−5−ヘキセン−3−オール、1−(2−エトキシフェニル)−3−ジメチル−5−ヘキセン−3−オール。
【0027】
1−(4−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−3−ペンタノール、1−(3−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−3−ペンタノール、1−(2−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−3−ペンタノール、1−(4−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−3−ヘキサノール、1−(3−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−3−ヘキサノール、1−(2−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−3−ヘキサノール、1−(4−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−3−ヘプタノール、1−(3−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−3−ヘプタノール、1−(2−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−3−ヘプタノール、1−(4−イソプロポキシフェニル)−3,4−ジメチル−3−ペンタノール、1−(3−イソプロポキシフェニル)−3,4−ジメチル−3−ペンタノール、1−(2−イソプロポキシフェニル)−3,4−ジメチル−3−ペンタノール、1−(4−イソプロポキシフェニル)−3,5−ジメチル−3−ヘキサノール、1−(3−イソプロポキシフェニル)−3,5−ジメチル−3−ヘキサノール、1−(2−イソプロポキシフェニル)−3,5−ジメチル−3−ヘキサノール。
【0028】
5−(4−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−1−ペンテン−3−オール、5−(3−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−1−ペンテン−3−オール、5−(2−イソプロポキシフェニル)−3−メチル−1−ペンテン−3−オール、5−(4−イソプロポキシフェニル)−3,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール、5−(3−イソプロポキシフェニル)−3,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール、5−(2−イソプロポキシフェニル)−3,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール、1−(4−イソプロポキシフェニル)−3−ジメチル−5−ヘキセン−3−オール、1−(3−イソプロポキシフェニル)−3−ジメチル−5−ヘキセン−3−オール、1−(2−イソプロポキシフェニル)−3−ジメチル−5−ヘキセン−3−オール。
【0029】
前記一般式(1)において、Rがパラ位の水酸基であって、Rが炭素数2〜4の炭化水素基(但し、Rが1−プロペニル基である場合を除く。)である一般式(2)で表される4−(3−ヒドロキシ−3−置換)ブチルフェノールは、従来知られていない新規な化合物である。
【0030】
一般式(2)中のRが炭素数2〜4の炭化水素基(但し、Rが1−プロペニル基である場合を除く。)の具体例及び4−(3−ヒドロキシ−3−置換)ブチルフェノールの具体的な化合物名としては、上記一般式(1)について挙げたものと同様なものが挙げられる。なお、一般式(1)において、アルキル鎖の水酸基を有する炭素原子はRがメチル基の場合を除いて不斉炭素原子であるため、一般式(1)で表されるアルコール誘導体は光学活性体あるいはラセミ体が形成可能である。本発明においては、一般式(1)で表されるアルコール誘導体は、これら光学活性体であってもラセミ体であってもよく、いずれの場合をも含むものである。
【0031】
一般式(2)を包含する一般式(1)で示されるアルコール誘導体は、例えば次の反応式に従って合成することができる。
【0032】
【化4】

(式中、R及びRの定義は前記と同様であり、Xはハロゲン原子を表す。)
【0033】
一般式(1)のアルコール誘導体は、一般式(3)で示されるケトン誘導体とグリニア試薬(4)とを反応させることにより容易に製造することができる。なお、Rが水酸基の場合、予め、塩基にて水酸基の水素をアニオン化処理しておいてもよい。
上記合成法において使用される一般式(4)のグリニア試薬におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0034】
上記反応は、有機溶媒中で行うことができる。有機溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類、へキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等のエーテル類などが挙げられる。これらは単独で用いても、また二種以上の混合溶液として用いてもよい。溶媒として好ましくはエーテル類、そのうちでも、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどが汎用性があり、反応の選択性及び収率が高いことからより好ましい。
【0035】
また、これらの溶媒の使用量は、特に制限はないが、原料化合物(基質)に対して、約0.1〜30倍容量、好ましくは約0.5〜5倍容量の範囲である。また、本反応に用いられる酸性物質の量は、原料化合物(基質)1質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部程度、より好ましくは0.5〜5質量部程度の範囲で使用されるが、この範囲に限定されるものではない。反応温度は、−20〜200℃程度、好ましく −5 ℃〜使用する溶媒の沸点程度の範囲が採用され、前記の温度を保ちながら約1〜50時間、好ましくは1〜10時間で反応させることによって、反応を円滑に行うことができる。反応によって得られた反応液から、反応終了後、溶媒を減圧下留去する。得られた残留物を減圧蒸留することにより、本発明のアルコール誘導体を製造することが出来る。
【0036】
このようにして得ることができる一般式(1)で示される本発明のアルコール誘導体は、フルーティー、アニジック、スイート、ややシュガーリー、ややクレゾリック、ジャスミン様のフローラルな香気を有し、これを配合することにより嗜好性の高い香料組成物を提供することができる。
さらに、本発明の一般式(1)のアルコール誘導体を配合することにより、所望の芳香持続、残香性の使用効果、すなわち、香料の香気持続性が強化される。
【0037】
本発明の香料組成物は、一般式(1)で表されるアリコール誘導体を必須成分とするが、他に調香成分として公知あるいは周知のケトン類、アルデヒド類、エステル類、アルコール類、エーテル類、テルペン類、天然精油、合成ムスク等が単独であるいは適宜組み合わせて配合され、香料組成物とされる。
【0038】
一般式(1)で表されるアルコール誘導体が配合される香料組成物としては、例えば、化粧料、医薬部外品及び医薬品などの外用剤、身体・衣料などの洗浄剤、漂白剤、柔軟剤、入浴剤などの各種製品に通常使用される香料などが挙げられる。
【0039】
一般式(1)で表されるアルコール誘導体の香料組成物への配合量は、適用される香料組成物により、あるいは香料組成物が更に適用される製品の形態、使用態様などにより適宜の量とされるが、一般的には、適用されるアルコール誘導体をも含む香料組成物全量に対し1.0〜90質量%が好ましく、更に好ましくは5.0〜30質量%である。また、本発明により得られる香料組成物は、製品の種類、使用目的などにより、製品への配合量や適用方法を適宜変えることができる。通常、製品への香料組成物の配合量は最終製品組成物中0.01〜50質量%であり、好ましくは0.05〜30質量%である。
【0040】
本発明の香料組成物が適用される製品としては、例えば、皮膚化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー類、ヘアートニック、ヘアークリーム類等の頭髪化粧料、香水、コロン類、石鹸、室内芳香剤、歯磨、等の香粧品、洗剤、ソフトナー類、等のトイレタリー製品、入浴剤、パップ剤、軟膏等の医薬部外品または医薬品等を挙げることができる。しかし、本発明の香料組成物が適用できる製品が上記記載のものに限定されるものではない。
【0041】
香料組成物の製品への配合量を一般式(1)で表されるアルコール誘導体の量として各製品毎に示すと、皮膚化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー類、ヘアートニック、ヘアークリーム類等の頭髪化粧料、香水、コロン類、石鹸、等の香粧品類、入浴剤等に対しては、通常、製品の全組成に対して0.01〜30質量%、特に0.05〜10質量%の濃度で用いるのが好ましい。また、洗剤、ソフトナー類、等のトイレタリー製品においての同アルコール誘導体の配合量は、通常、製品の全組成に対して0.01〜1質量%、特に0.05〜0.3質量%の濃度で用いるのが好ましい。
【0042】
更に、その適用対象となる製品には、それぞれの製品の使用目的に応じた任意の成分が適宜配合され、香粧品類、トイレタリー製品、入浴剤、保険衛生材料、医薬部外品、医薬品などの最終製品として提供される。
また、前記一般式(1)で表されるアルコール誘導体は、製品に配合される際に香料組成物中に含有された状態で配合されると、前記アルコール誘導体と香料組成物とを別々の配合成分として配合する場合に比べて、製品の香り立ち、残香性などの芳香特性、残留特性などが格段に優れた製品を得ることができる。このため、本発明の香料組成物は、最終製品へ配合される香料組成物として特に好ましいものである。
【実施例】
【0043】
以下、実施例として前記一般式(1)のアルコール誘導体の合成例とその使用試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
なお、合成例中での生成物の測定は、次の機器装置類を用いて行った。
核磁気共鳴スペクトル:1H−NMR:AVANCE III 500(500MHz)(ブルッカー社製))
外部標準物質:テトラメチルシラン
【0044】
実施例1
<4−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノールの合成>
【化5】

【0045】
窒素雰囲気下にて、4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン16.42g (0.100 mol) を 脱水THF 50mlに溶解し、2℃まで冷却し、水素化ナトリウム 4.20g(0.105mol)を10分かけて加え、30分攪拌した。同温にてエチルマグネシウムブロミド39%エチルエーテル溶液を35ml(0.105mol)を30分かけて滴下し、室温にて1時間攪拌した。反応液を2 ℃まで冷却し、1N 塩酸水 200mlを滴下した。エバポレーターにて有機溶剤を回収したのち、水層をトルエンにて抽出し、有機層を水洗後、濃縮して粗生成物14.97gを得た。
得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、4−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール9.74g(0.050mol,50.0%yield)を得た。
【0046】
H−NMR(500MHz,CDCl):σ0.93(t,3H,J=7.5),1.20(s,3H),1.56(q,2H,J=7.5),1.73(t,2H,J=7.0),2.60(q,2H,J=6.4),5.06(s,1H),6.75(d, 2H,J=4.3),7.06(d,2H,J=4.4)
【0047】
実施例2
<4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンテニル)フェノールの合成>
【化6】

【0048】
窒素雰囲気下にて、4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン16.42g (0.100mol) を 脱水THF50mlに溶解し、2℃まで冷却し、水素化ナトリウム4.20g(0.105mol)を10分かけて加え、30分攪拌した。同温にてビニルマグネシウムブロミド28%THF溶液を53ml(0.105mol)を30分かけて滴下し、室温にて1時間攪拌した。反応液を2℃迄冷却し、1N塩酸水 200 mlを滴下した。エバポレーターにて有機溶剤を回収したのち、水層をトルエンにて抽出し、有機層を水洗後、濃縮して粗生成物15.37gを得た。
得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、4−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール9.04g(0.047mol,47.0%yield)を得た。
【0049】
H−NMR(500MHz,CDCl):σ1.38(s,3H),1.81(t, 2H,J=7.0),2.58(t,2H,J=7.0), 4.82(s,1H), 5.10(d,1H,J=10.8),5.23(d,1H,J=17.1),5.97(q, 1H,J=10.8,17.4),6.75(d,2H,J=4.3),7.06(d, 2H,J=4.4)
【0050】
実施例3
<香気質の評価>
実施例1または実施例2で得たアルコール誘導体を瓶口および濾紙につけ、5年以上の経験を有する調香師により官能評価を行った。その結果、実施例1で得たアルコール誘導体は、フルーティー、アニジック、スイート、ややシュガーリー、ややクレゾリック、ジャスミン様のフローラルな香気を有していた。
一方、実施例2で得たアルコール誘導体は、フルーティー、アニジック、スイート、ややシュガーリー、ややクレゾリック、ジャスミン様のフローラル、ややワキシーな香気を有していた。
【0051】
実施例4
試験例1:<香料組成物の香り立ち、残香性試験>
表1の処方に従い、香料組成物を調製し、香り立ち、残香性試験を行った。方法は直径40mm、高さ50mmの広口瓶底に敷いた濾紙上に約10.0mgを量り込み、蓋を締めて30分放置して評価サンプルとした。蓋を開けた直後の香り立ち、及び開放系で約5時間経過時点での残香性を評価した。
評価は5年以上経験した調香専門パネル11人で3回繰り返して判定し(合計33人)、比較処方(比較例3)に対する強度を評価した。
【0052】
【表1】

【0053】
(1)香り立ち試験結果
比較処方(比較例3)に対して、最も香り立ちが高いと感じた人数の結果を表2に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
(2)残香性試験結果
比較処方(比較例3)に対して、最も残香性が強いと感じた人数の結果を表3に示す。
【0056】
【表3】

【0057】
試験例1における実施例4の香料組成物の評価から明らかなように、本発明のアルコール誘導体(実施例1)は上記調合香料に対して香り立ち、残香性共に優れた結果を示した。
【0058】
実施例5
試験例2:入浴剤での効果試験
実施例2及び比較例2の調合香料を1.0%附香した表4の入浴剤をそれぞれ100g調製し、20gを40〜42℃のさら湯180リットルに溶解し、直後の香気強度、及び30分後の香気強度を専門パネルにより比較評価した。
【0059】
【表4】

【0060】
(1)香り立ち試験結果
香り立ちが高いと感じた人数の結果を表5に示す。
(2)残香性試験結果
残香性が強いと感じた人数の結果を表6に示す。
【0061】
【表5】

【0062】
【表6】

【0063】
試験例2における実施例5の入浴剤に対する評価から明らかなように、本発明の調合香料を含有する入浴剤はトリエチルシトレートを含有する比較例4の入浴剤よりも香り立ち、残香性、共に優れた結果を示した。
【0064】
<実施例6>
試験例3:オーデコロンでの効果試験
表7の処方に従い、香料組成物を調製した。
【0065】
【表7】

【0066】
上記実施例6、比較例5の香料組成物を5%賦香したオーデコロン(95%エタノール溶液)を100gずつ調製し、それぞれ適量を左右前腕部内側にアトマイザー噴霧して直後の香り立ち、及び約4時間経過時点での残香性を評価した。
評価は5年以上経験した調香専門パネル13人で判定し評価した。
【0067】
(1)香り立ち試験結果
香り立ちが高いと感じた人数の結果を表8に示す。
(2)残香性試験結果
残香性が強いと感じた人数の結果を表9に示す。
【0068】
【表8】

【0069】
【表9】

【0070】
試験例3から明らかなように、本発明の調合香料を含有するオーデコロンはp−メンタン−3,8−ジオールを含有するオーデコロンよりも特に残香性に優れた結果を示した。
【0071】
<実施例7>
試験例4:シャンプー、コンディショナーでの効果試験
表10の処方に従い、実施例7、比較例6に示す香料組成物を調製した。
【0072】
【表10】

【0073】
続いて実施例7、比較例6の香料組成物を0.5%賦香したシャンプー100gずつを表11の処方に従い製造した。また同様にコンディショナー100gずつを表12の処方に従い製造した。
【0074】
【表11】

【0075】
【表12】

【0076】
(評価方法)
かもじ(人毛)5gをシャンプー2.5g、及び温水(40℃)5mlにて1分間処理後、温水(40℃)1000mlにてすすぎ、タオルドライしたものをアルミホイル上に固定放置し評価サンプルとした。固定直後の香り立ち、及び室温で約5時間経過時点での残香性を評価した。
コンディショナーについては、かもじ5gに対してコンディショナー5.0gを使用し、シャンプーと同様の方法にて評価した。
評価は5年以上経験した調香専門パネル10人で3回繰り返して判定した(合計30人)。
【0077】
(1)シャンプーの香り立ち試験結果
香り立ちが高いと感じた人数の結果を表13に示す。
(2)シャンプーの残香性試験結果
残香性が強いと感じた人数の結果を表14に示す。
(1)コンディショナーの香り立ち試験結果
香り立ちが高いと感じた人数の結果を表15に示す。
(2)コンディショナーの残香性試験結果
残香性が強いと感じた人数の結果を表16に示す。
【0078】
【表13】

【0079】
【表14】

【0080】
【表15】

【0081】
【表16】

【0082】
試験例4から明らかなように、本発明の調合香料を含有するシャンプー、コンディショナーは香り立ち、残香性共に優れた結果を示し、特に残香性に顕著な効果を与えた。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の香料組成物に配合される前記一般式(1)で表されるアルコール誘導体は、ベースとなる香料組成物の香調を変えることなく、香り立ち、持続性等の芳香特性、保留特性の高い香質改善剤であるので、皮膚化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー類、ヘアートニック、ヘアークリーム類等の頭髪化粧料、香水、コロン類、石鹸、室内芳香剤、歯磨、等の香粧品、洗剤、ソフトナー類、等のトイレタリー製品、入浴剤、パップ剤、軟膏等の医薬部外品または医薬品等、香料の配合を必要とする各種製品に対する香料組成物の質の向上に寄与するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4の炭化水素基、水酸基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。)
で表されるアルコール誘導体を配合してなることを特徴とする香料組成物。
【請求項2】
前記アルコール誘導体が、前記一般式(1)におけるRが炭素数2〜4の炭化水素基であり、Rが水酸基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする請求項1記載の香料組成物。
【請求項3】
前記アルコール誘導体が、一般式(2)
【化2】

(式中、Rは炭素数2〜4のアルキル基及び炭素数2〜4のアルケニル基から選ばれる1種。)で表される4−(3−ヒドロキシ−3−置換)ブチルフェノールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の香料組成物。
【請求項4】
前記アルコール誘導体が、4−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール、4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンテニル)フェノール及び4−(3−ヒドロキシ−3−メチルヘキシル)フェノールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の香料組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)のアルコール誘導体を1〜90質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の香料組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の香料組成物を配合してなることを特徴とする香粧品、トイレタリー製品、入浴剤、飲料、食品、医薬部外品又は医薬品。
【請求項7】
一般式(1)のアルコール誘導体を香料組成物に添加することを特徴とする香料の香気持続性を強化する方法。
【請求項8】
一般式(2)
【化3】

(式中、Rは炭素数2〜4の炭化水素基である。但し、Rが1−プロペニル基である場合を除く。)
で表される4−(3−ヒドロキシ−3−置換)ブチルフェノール。
【請求項9】
前記一般式(2)で表される4−(3−ヒドロキシ−3−置換)ブチルフェノールが、4−(3−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)フェノール、4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンテニル)フェノール及び4−(3−ヒドロキシ−3−メチルヘキシル)フェノールのいずれかであることを特徴とする請求項8記載の4−(3−ヒドロキシ−3−置換)ブチルフェノール。

【公開番号】特開2013−1820(P2013−1820A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134928(P2011−134928)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】