説明

香辛料組成物

【課題】本発明は、特に肥満、高脂血症、高血糖を抑制する効果を有する香辛料組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】少なくとも、ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガの4種の香辛料を含有する香辛料組成物が本発明により提供される。当該組成物を摂取することにより、抗肥満効果、抗高脂血症効果、及び抗高血糖効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は香辛料を含有する組成物、すなわち香辛料組成物に関し、より詳細には、少なくともガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガの4種の香辛料を含有する肥満抑制用香辛料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
香辛料は、様々な機能・効果を有するとして近年注目されている。特に、各種の香辛料を併用することで発揮される種々の複合作用も知られており複数種の香辛料を含有した香辛料組成物の機能・効果の研究も進められている。例えば非特許文献1に記載されるように、単独又は複数の香辛料により、香味を良好なものとして嗜好性を高めたり、あるいは、増甘効果(甘さ感を高めさす効果)や増塩効果(塩味感を高めさす効果)、又は誤嚥予防効果を得られるようにできること等が知られている。
【0003】
また、香辛料は人類の歴史において長く摂取されてきているため、安全性が高いことが事実上実証されているという利点も有する。
【0004】
このため、様々な有利な効果を奏する、複数の香辛料を含有する香辛料組成物の探索が進められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】食肉の科学 Vol.48 No.2 (2007) 187〜195頁「スパイスの食品機能と健康志向への活用の可能性」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特に肥満、高脂血症、及び高血糖を抑制する効果を有する香辛料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、驚くべき事に、少なくともガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガの4種の香辛料を含有する香辛料組成物を摂取することで、優れた肥満改善及び防止効果、優れた高脂血症改善及び予防効果、並びに高血糖改善及び予防効果が得られることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は例えば以下の項1〜6の香辛料組成物に係るものである。
項1.
少なくとも、ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガの4種の香辛料を含有する香辛料組成物。
項2.
ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガの4種の香辛料が、香辛料組成物全量の50質量%以上を占める、項1に記載の香辛料組成物。
項3.
ガルシニア1質量部に対し、桑葉0.35〜0.9質量部、トウガラシ0.01〜0.1質量部、ショウガ0.1〜0.7質量部、を含有する、項1又は2に記載の香辛料組成物。
項4.
抗肥満用、抗高脂血症用又は抗高血糖用である、項1〜3のいずれかに記載の香辛料組成物。
項5.
項1〜4のいずれかに記載の香辛料組成物を含む食品。
項6.
少なくとも、ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガの4種の香辛料を含有する食品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の香辛料組成物は、経口摂取することで、優れた肥満改善及び防止効果(抗肥満効果)、優れた高脂血症改善及び予防効果(抗高脂血症効果)、並びに高血糖改善及び予防効果(抗高血糖効果)を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】各種飼料により飼育したラットの体重の推移を示す。
【図2】各種飼料により飼育したラットの解剖時の体重(左)及び内臓脂肪重量(右)を示す。
【図3】各種飼料により飼育したラットの解剖写真を示す。左は高脂肪高ショ糖食群のラット、右は1.5%香辛料組成物投与群のラットである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0012】
本発明の香辛料組成物は、少なくともガルシニア、桑葉、ショウガ、及びトウガラシの4種の香辛料を含有する。
【0013】
香辛料とは、植物体の一部で、植物の果実、果皮、花、蕾(つぼみ)、樹皮、茎、葉、種子、根、地下茎等、又はこれらの抽出物であって、特有の香り、辛味、色調を有し、飲食物に香り付け、消臭、調味、着色等の目的で使用し、風味や美観をそえるものの総称であり、スパイスとハーブに大別される。スパイスとは、香辛料のうち、利用部位として茎と葉と花を除くものの総称であり、ハーブとは香辛料のうち、茎と葉と花を利用するものの総称である。
【0014】
以下、本発明の香辛料組成物が含有する4種の香辛料(ガルシニア、桑葉、ショウガ、及びトウガラシ)について説明する。
【0015】
ガルシニア
オトギリソウ科の常緑樹であるGarcinia cambogiaの果実又は果皮を、本発明における香辛料「ガルシニア」として用いることができる。当該果実又は果皮は乾燥物であってもよい。
【0016】
また、Garcinia cambogiaの果実又は果皮から得られる抽出物(ガルシニアエキス)も、本発明の香辛料「ガルシニア」として用いることができる。この場合も、当該果実又は果皮は乾燥物であってもよい。なお、当該抽出物は、噴霧乾燥又は濃縮乾固するなどして粉末化してもよい。また、当該抽出物は、例えば、果実又は果皮の乾燥物を、水、アルコール、又は含水アルコール等の溶媒によって抽出することで得ることができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール等が例示できる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、含水アルコールの水とアルコールの混合比は特に制限されず、適宜設定できる。これらの中でも特に水が好ましい。抽出方法も特に制限されず、例えば冷浸・温浸等の浸漬法、パーコレーション法等により行うことができる。また、抽出温度も特に制限されず、通常0〜100℃、好ましくは5〜95℃、さらに好ましくは10〜60℃で行うことができる。
【0017】
特に制限されないが、本発明の香辛料としては、乾燥したGarcinia cambogia果皮の水抽出物が好ましい。また、当該抽出物の乾燥粉末がより好ましい。
【0018】
桑葉
落葉性の高木である桑の葉を、本発明の香辛料「桑葉」として用いることができる。特に桑の葉の中でもMorus albaの葉を好ましく用いることができる。当該桑の葉は、乾燥物であってもよい。
【0019】
また、桑の葉から得られる抽出物(桑葉エキス)も、本発明の香辛料「桑葉」として用いることができる。この場合も、当該桑の葉は乾燥物であってもよい。なお、当該抽出物は、噴霧乾燥又は濃縮乾固するなどして粉末化してもよい。また、当該抽出物は、例えば、桑の葉の乾燥物を、水、アルコール、又は含水アルコール等の溶媒によって抽出することで得ることができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール等が例示できる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、含水アルコールの水とアルコールの混合比は特に制限されず、適宜設定できる。これらの中でも特に水が好ましい。抽出方法も特に制限されず、例えば冷浸・温浸等の浸漬法、パーコレーション法等により行うことができる。また、抽出温度も特に制限されず、通常0〜100℃、好ましくは5〜95℃、さらに好ましくは40〜90℃で行うことができる。
【0020】
特に制限されないが、本発明の香辛料としては、乾燥したMorus albaの葉の水抽出物が好ましい。また、当該抽出物の乾燥粉末がより好ましい。
【0021】
ショウガ
ショウガの根茎を、本発明の香辛料「ショウガ」として用いることができる。当該根茎は、乾燥物であってもよい。また、当該根茎をすり下ろしたものも本発明の香辛料として用いることができる。
【0022】
また、当該根茎から得られる抽出物も、本発明の香辛料「ショウガ」として用いることができる。この場合も、ショウガの根茎は乾燥物であってもよい。なお、当該抽出物は、噴霧乾燥又は濃縮乾固するなどして粉末化してもよい。また、当該抽出物を得る抽出処理において、抽出溶媒は特に制限されないが、具体的には、例えば、水、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール等)のほか、アセトン、ジエチルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、プロパンなどの溶媒単独、あるいはそれら2種以上からなる混合溶媒を用いることができる。当該混合溶媒の種類およびその混合比は特に制限されず、適宜設定することができる。抽出条件としては、特に制限されないが、冷浸・温浸等の浸漬法、パーコレーション法等により行うことができる。また、抽出温度も特に制限されず、通常、室温(20℃)から使用溶媒の沸点までの範囲で行うことができる。
【0023】
なお、ショウガの根茎としては、ショウガ科の植物の根茎を好ましく用いることができ、特にZingiber officinaleの根茎を好ましく用いることができる。
【0024】
トウガラシ
トウガラシの実を、本発明の香辛料「トウガラシ」として用いることができる。当該実は乾燥物又は乾燥粉末であってもよい。
【0025】
また、トウガラシの実から得られる抽出物も、本発明の香辛料「トウガラシ」として用いることができる。この場合も、トウガラシの実は乾燥物又は乾燥粉末であってもよい。なお、当該抽出物は、噴霧乾燥又は濃縮乾固するなどして粉末化されてもよい。また、当該抽出物を得る抽出処理において、抽出溶媒は特に制限されないが、具体的には、例えば、水、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール等)のほか、アセトン、ジエチルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、プロパンなどの溶媒単独、あるいはそれら2種以上からなる混合溶媒を用いることができる。当該混合溶媒の種類およびその混合比は特に制限されず、適宜設定することができる。抽出条件としては、特に制限されないが、冷浸・温浸等の浸漬法、パーコレーション法等により行うことができる。また、抽出温度も特に制限されず、通常、室温(20℃)から使用溶媒の沸点までの範囲で行うことができる。
【0026】
なお、トウガラシの実としては、ナス科トウガラシ属の植物の実を好ましく用いることができ、特にCapsium annuumの実を好ましく用いることができる。
【0027】
以上の香辛料(ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガ)については、市販品を購入して用いることもできる。
【0028】
本発明の香辛料組成物における、ガルシニア、桑葉、トウガラシ、及びショウガの配合量は、特に制限されない。例えば、乾燥物換算で、ガルシニアを0.1〜99質量%、好ましくは0.5〜98質量%、より好ましくは1〜95質量%配合することができる。また、桑葉を0.1〜99質量%、好ましくは0.5〜98質量%、より好ましくは1〜95質量%配合することができる。また、トウガラシを0.1〜99質量%、好ましくは0.5〜98質量%、より好ましくは1〜95質量%配合することができる。また、ショウガを0.1〜99質量%、好ましくは0.5〜98質量%、より好ましくは1〜95質量%配合することができる。
【0029】
本発明の香辛料組成物においては、4種の香辛料(ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガ)が、乾燥物換算で、香辛料組成物の50質量%以上を占めることが好ましく、60質量%以上を占めることがより好ましく、70質量%以上を占めることがさらに好ましい。これら4種の香辛料を一定量以上摂取することにより、本発明の効果を得られるところ、香辛料組成物中に含まれるこれら4種の香辛料量が少なすぎると、効果を得るために香辛料組成物を多量に摂取する必要が生じるが、香辛料組成物は香味が強く、口腔内や胃粘膜への刺激も強いため、一度に大量摂取することが難しいからである。この観点から、本発明の香辛料組成物としては、実質的に4種の香辛料(ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガ)からなる組成物が特に好ましい。
【0030】
また、本発明の香辛料組成物は、ガルシニア1質量部に対して、桑葉を好ましくは0.35〜0.9質量部、より好ましくは0.4〜0.8質量部含有する。また、ガルシニア1質量部に対して、トウガラシを好ましくは0.01〜0.1質量部、より好ましくは0.03〜0.07質量部含有する。また、ガルシニア1質量部に対して、ショウガを好ましくは0.1〜0.7質量部、より好ましくは0.1〜0.6質量部含有する。当該質量部比は、乾燥物換算時の質量部比であり、好ましくは植物体抽出物の乾燥物換算時の質量部比である。このような質量部比で4種の香辛料(ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガ)を混合して香辛料組成物を製造することで、特に辛み及び酸味のバランスが良好となり、飲食品に添加する等して美味しく食することができる。
【0031】
本発明の香辛料組成物には、上述の香辛料以外にも、本発明の効果を損なわない限り、他の香辛料を配合してもよい。配合する香辛料としては、例えば、アニス、オニオン、オレガノ、オールスパイス、キャラウェイ、クミン、グリーンペッパー、クローブ、コショウ、コリアンダー、サフラン、サンショウ、シソ、シナモン、スターアニス、セージ 、セロリ、タイム 、ターメリック、タデ、タラゴン、チンピ、ディル、天草、ナツメグ、ニンニク、バジル、バニラ 、パプリカ、フェヌグリーク、フェンネル、ミント 、ポピー・シード、マージョラム、マスタード、ミョウガ、メース、ローズマリー 、ローリエ、ワサビ等を挙げることができる。
【0032】
また、本発明の香辛料組成物には、本発明の効果を損なわない限り、他の任意成分を配合してもよい。このような任意成分は特に制限されず、経口摂取し得るものであれば適宜選択することができる。例えば、食塩、アミノ酸、ブドウ糖、アルコール、酢、醤油等、食品の風味を整えるために用いられるものを配合してもよい。また、その他にも、甘味料、着色料、保存料、増粘剤、酸化防止剤等、公知の食品添加物を配合してもよい。
【0033】
本発明の香辛料組成物は、優れた肥満改善及び防止作用(特に内臓脂肪減少作用及び増加抑制作用)、優れた高脂血症改善及び予防作用(特に血中LDLコレステロール値低下作用、及びHDLコレステロール値増加作用)、並びに高血糖改善及び予防作用を有する。これらの効果は、本発明の香辛料組成物を経口摂取することで得ることができる。当該香辛料組成物をそのまま経口摂取してもよいし、香辛料組成物を含む食品を食することで摂取してもよい。また、当該香辛料組成物を含んでなる抗肥満剤、抗高脂血症剤、又は抗高血糖剤を常法により製造し、これを摂取してもよい。あるいは当該香辛料組成物を含む食品からなる抗肥満剤、抗高脂血症剤、又は抗高血糖剤を常法により製造し、これを摂取してもよい。なお、これらの食品及び剤を製造するにあたり、香辛料組成物を先に製造しこれを食品原料や基剤等に添加してもよいし、各香辛料を個別に食品原料や基剤等に添加してもよい。
【0034】
本発明の香辛料組成物を添加する食品は、特に制限されるものではなく、例えば、肉類、魚類、穀類、野菜類、キノコ類、海草類、卵類、乳類等の食材又はこれらを用いた料理(例えば、カレー、シチュー、スープ、唐揚げ、ステーキ、マリネ、粥、ピザ、サラダ、チャーハン、寿司等)に添加することができる。特に、カレールー、シチュールー、スープ等、製造に通常香辛料を大量に用いるものは好ましい。また、クッキー、パン、ケーキ、煎餅などの焼き菓子、ラムネ菓子等などの錠菓、羊羹などの和菓子、プリン、ゼリー、アイスクリーム類などの冷菓、チューインガム、キャンディ等の菓子類や、クラッカー、チップス等のスナック類や、うどん、そば等の麺類や、ハム、ソーセージ、ベーコン等の食肉製品、かまぼこ、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、チーズ、バターなどの乳製品や、みそ、しょう油、ドレッシング、マヨネーズ等の調味料類や、豆腐、こんにゃく、その他佃煮、餃子、コロッケ、サラダ等の各種惣菜や、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、ジュース、牛乳、豆乳、酒類、コーヒー、紅茶、煎茶、ウーロン茶、スポーツ飲料等の各種飲料等を例示することができる。
【0035】
また、本発明の香辛料組成物は、これらの食材、製品又は料理の製造過程において添加してもよい。さらにまた、本発明の香辛料組成物は、上述した有利な効果を有することから、飲食品に添加することで、抗肥満用、抗高脂血症用及び/又は抗高血糖用の加工食品、飲料、健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、サプリメント、病者用食品等を製造することもできる。なお、健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、サプリメント又は病者用食品を調製する場合は、継続的な摂取が行いやすいように、例えば顆粒、カプセル、錠剤(チュアブル剤等を含む)、飲料(ドリンク剤)等の形態で調製することが好ましく、なかでもカプセル、タブレット、錠剤の形態が摂取の簡便さの点からは好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。顆粒、カプセル、錠剤等の形態へは、薬学的及び/又は食品衛生学的に許容される担体等を用いて、常法に従って適宜調製することができる。また、他の形態に調製する場合であっても、従来の方法に従えばよい。
【0036】
本発明の香辛料組成物を含む食品はそれ単独で摂取してもよい。また、特に脂肪分やショ糖を多く含む食品(高脂肪高ショ糖食品)と一緒に摂取することにより、肥満、高脂血症、高血糖の改善及び予防をすることができる。また、高脂肪高ショ糖食そのものに香辛料組成物を添加してもよい。香辛料組成物を食品に添加する量は、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、4種の香辛料(ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガ)の量が、香辛料組成物配合後の食品全体に対して0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることがさらに好ましい。また、香辛料組成物の食品への添加量の上限は、特に制限されるものではなく、味及び消化器官への刺激が強くなりすぎないように留意して適宜設定できるが、例えば香辛料組成物配合後の食品全体に対して90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
【0037】
なお、ここでの高脂肪高ショ糖食品は、多くの脂肪分及びショ糖を含む食品である。例えば、食品の全カロリーを100%としたとき、カロリー比率で25%以上の脂質を含む食品、及び/又は10%以上のショ糖を含む食品等が例示できる。
【0038】
本発明の香辛料組成物は、本発明の効果が得られる限り、その摂取量は特に制限されるものではないが、成人1日あたり、4種の香辛料(ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガ)が、乾燥物換算で(好ましくは植物体抽出物の乾燥物換算で)40mg/kg以上が好ましく、50mg/kg以上がより好ましい。また、摂取量の上限も特に制限されるものではなく、口腔内や胃粘膜への負担をかけない程度あるいは健康への悪影響がでない程度に適宜設定することができるが、例えば1000mg/kg以下が好ましく、800mg/kg以下がより好ましい。
【0039】
本発明の香辛料組成物を含んでなる、あるいは本発明の香辛料組成物を含む食品からなる抗肥満剤、抗高脂血症剤、抗高血糖剤や、当該香辛料組成物を含んでなる調味料、本発明の香辛料組成物を含む食品を摂取するにあたっても、上述の摂取量を目安にするのが好ましい。また、いずれにおいても、1日に1回又は数回(例えば2〜3回)に分けて摂取することができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下%は特に断らない限り質量%を示す。
【0041】
香辛料組成物の製造及び官能評価
<各香辛料の調製>
香辛料組成物製造に用いるため、ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガの4種の香辛料として以下の市販品を購入した。
【0042】
ガルシニア;ガルシニアエキスパウダーJ(日本新薬)
桑葉;桑葉エキスパウダー(日本新薬)
ショウガ;スパイス<ケンダ>ジンジャー(日本新薬)
トウガラシ;スパイス<ケンダ>カプシクムペッパー(日本新薬)
【0043】
<各香辛料の混合>
ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガの4種の香辛料を、表1に示す質量部づつ量りとり、混合機(ロッキングミキサー)を用いて均一になるまで15分間混合して、香辛料組成物1、2、3及び4を調製した。
【0044】
<官能評価>
香辛料組成物1、2、3及び4をそれぞれパネラーが試食し、辛味及び酸味について評価した。評価結果を表1にあわせて示す。評価の欄に記載されるように、香辛料組成物1及び2が良好な評価を得た。
【0045】
【表1】

【0046】
香辛料組成物の経口投与試験
上記のようにして製造した香辛料組成物の効果を検討するため、以下の試験を行った。なお、以下の検討では、香辛料組成物として香辛料組成物2を用いた。
【0047】
<使用動物>
8週齢の雄Slc:SDラット42匹を入荷し、検疫・馴化させた。検疫・馴化後、体重を測定し、1群10匹の4群(A〜D群)に分け、A:標準食群、B:高脂肪高ショ糖食群、C:0.5%香辛料組成物投与群、D:1.5%香辛料組成物投与群とした。群構成と与えた試料を表2に示す。なお、1匹/ケージ飼いとし、試験飼料は自由に摂取させ、飲料水は水道水を自由に摂取させた。
【0048】
【表2】

【0049】
<試験飼料>
飼料の0.5質量%が香辛料組成物となるよう、高脂肪高ショ糖食に香辛料組成物を混合した飼料を0.5%香辛料組成物含有食とした。また、飼料の1.5質量%が香辛料組成物となるよう、高脂肪高ショ糖食に香辛料組成物を混合した飼料を1.5%香辛料組成物含有食とした。標準食、高脂肪高ショ糖食および1.5%香辛料組成物含有食の組成を表3に示す。標準食、高脂肪高ショ糖食および1.5%香辛料組成物含有食の調製はオリエンタル酵母工業株式会社に依頼した。0.5%香辛料組成物含有食は1.5%香辛料組成物含有食に高脂肪高ショ糖食を2:1(質量比)に混ぜフードプロセッサーにより均一に撹拌して調製した。なお、これら飼料の調製はBiosci. Biotechnol. Biochem., 70(4), 933-939, 2006を参考とした。
【0050】
表3に記載されるように、標準食と高脂肪高ショ糖食はビタミン・ミネラル等の栄養素は等しく、エネルギー源が異なる。すなわち、標準食はコーンスターチがおよそ70%含まれており、高脂肪高ショ糖食はおよそコーンスターチ15%、ラード15%、ショ糖40%が含まれる。
【0051】
【表3】

【0052】
<試験内容及び結果>
各ラットの体重は原則として飼育期間中1週間に1回測定した。投与期間終了後、解剖を行った。解剖は、解剖前日17時より絶食させ、解剖当日9時に剖検時の体重を測定し、その後エーテル麻酔を施して採血を行い、安楽死させ、肝臓、内臓脂肪(腹腔内脂肪および精巣周囲脂肪)を採取し、器官重量を測定した。血液から血清を採取し、−80℃で凍結保存した。血清を用いて、血糖(GLU)、LDLコレステロール、HDLコレステロールの3項目の値を測定した。血糖(GLU)はHK−G6PDH法、LDLおよびHDLは直接法により測定した。なお、以下、各測定値は平均値±標準偏差で示す。
【0053】
A〜Dの各群のラットの体重の推移を図1に示す。図1に示されるように、高脂肪高ショ糖食群(B群)は、標準食群(A群)より体重が増加したのに対し、香辛料組成物を含有する高脂肪高ショ糖飼料を食した群(C群及びD群)は、標準食群(A群)と同等又はそれ以下の体重であった。
【0054】
A〜Dの各群のラットの解剖時の体重及び内臓脂肪重量を表4に示す。また、表4をグラフ化した図を図2に示す。
【0055】
【表4】

【0056】
表4に示されるように、解剖時、標準食群に比べ高脂肪高ショ糖食群は有意に体重が増加していた一方、1.5%香辛料組成物投与群(D群)は、高脂肪高ショ糖食群に比べて有意に体重が減少していた。さらに、解剖時の内臓脂肪についても、同様の結果であった。特に高脂肪高ショ糖食群及び1.5%香辛料組成物投与群(D群)の内臓脂肪(腹腔内脂肪)の比較のため、各群に属するラットの解剖写真を図3に示す。図3左(高脂肪高ショ糖食群:B群)の腹腔内脂肪は、図3右(1.5%香辛料組成物投与群:D群)の腹腔内脂肪に比べ、一回り大きいことが見て取れる。
【0057】
以上のことから、ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガからなる香辛料組成物は、非常に優れた抗肥満効果(特に内臓脂肪蓄積抑制効果)を有することが確認できた。
【0058】
さらに、各群のラットの血清を用いて血糖(GLU)、LDLコレステロール、HDLコレステロールの3項目の値を測定した結果を表5に示す。
【0059】
【表5】

【0060】
表5に示されるように、香辛料組成物が配合された高脂肪高ショ糖食を食したラット(C群及びD群)は、高脂肪高ショ糖食群(B群)に比べ血糖値が低下する傾向にあった。このことから、当該香辛料組成物は血糖値低下作用を有することがわかった。
【0061】
また、高脂肪高ショ糖食群(B群)では、いわゆる悪玉コレステロールであるLDLコレステロール値が上昇しており、香辛料組成物0.5%配合の高脂肪高ショ糖食群(C群)では当該値はほとんど変化しなかった一方、香辛料組成物1.5%配合の高脂肪高ショ糖食群(D群)では標準食群(A群)よりも当該値が低下した。さらに、高脂肪高ショ糖食群(B群)では、いわゆる善玉コレステロールであるHDLコレステロール値が低下したが、香辛料組成物を配合した高脂肪高ショ糖食を食した群(C群及びD群)では当該値が上昇した。これらのことから、当該香辛料組成物は、抗高脂血症作用を有することがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガの4種の香辛料を含有する香辛料組成物。
【請求項2】
ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガの4種の香辛料が、香辛料組成物全量の50質量%以上を占める、請求項1に記載の香辛料組成物。
【請求項3】
ガルシニア1質量部に対し、桑葉0.35〜0.9質量部、トウガラシ0.01〜0.1質量部、ショウガ0.1〜0.7質量部、を含有する、請求項1又は2に記載の香辛料組成物。
【請求項4】
抗肥満用、抗高脂血症用、又は抗高血糖用である、請求項1〜3のいずれかに記載の香辛料組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の香辛料組成物を含む食品。
【請求項6】
少なくとも、ガルシニア、桑葉、トウガラシ及びショウガの4種の香辛料を含有する食品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−55759(P2011−55759A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208724(P2009−208724)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(591105801)丸大食品株式会社 (19)
【出願人】(000004156)日本新薬株式会社 (46)
【Fターム(参考)】