説明

駅務システム

【課題】 携帯端末と改札機や精算機との間で取り引きが確立しているかを明確に確認できる駅務システムを提供する。
【解決手段】 利用者Uが所持する携帯端末10と改札機21との間で光通信を行ってデータの送受を行うことによって改札機21の通過を可能とする駅務システム20であって、改札機21は、表示灯24,25と、表示灯近傍に設けられた携帯端末からのデータを受信するデータ受信手段24a,25aと、データ受信手段で受信したデータを処理し、その処理結果に基づいて表示灯の点灯状態を変える点灯状態変調手段と、を備え、携帯端末10は、光信号送受信手段とデータ処理手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駅務システムに関し、特に、人が所持する携帯端末と改札機に設けられた表示灯との間での光通信を利用した駅務システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駅の改札機等の駅務システムは、非接触式ICカードを利用する方式のものになってきている。非接触式ICカードを利用した駅務システムは、電波を利用して通信を行っている。電波による通信は、電波が不可視であり取り引きが確立しているか不明瞭なため、音による通知をするなどの工夫を行っている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−293193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
非接触式ICカードを利用した駅務システムは、電波により通信を行っているため、電波が不可視であり取り引きが確立しているか不明瞭なため、音による通知をするなどの工夫が必要であった。
【0004】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、携帯端末と改札機や精算機との間で取り引きが確立しているか明確に確認できる駅務システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る駅務システムは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0006】
第1の駅務システム(請求項1に対応)は、利用者が所持する携帯端末と改札機との間で光通信を行ってデータの送受を行うことによって改札機の通過を可能とする駅務システムであって、改札機は、表示灯と、携帯端末からのデータを受信する表示灯近傍に設けられたデータ受信手段と、データ受信手段で受信したデータを処理し、その処理結果に基づいて表示灯の点灯状態を変える点灯状態変調手段と、を備え、携帯端末は、光信号送受信手段とデータ処理手段とを備えることで特徴づけられる。
【0007】
上記の構成によれば、利用者が所持する携帯端末と改札機に備えられた可視光を発する表示灯からの点灯状態を変調した光によって光通信を行い、取り引きが行われるので、取り引きが確立しているかどうかが明確に確認できる。
【0008】
第2の駅務システム(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、改札機は、故障したとき故障箇所を保守パネルのパイロットランプの光に故障箇所のデータをのせて変調する光変調手段を備えることで特徴づけられる。
【0009】
第3の駅務システム(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、表示灯は、非接触通信位置指示のための表示灯であることで特徴づけられる。
【0010】
第4の駅務システム(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、表示灯は、改札機の進入通路表示灯であることで特徴づけられる。
【0011】
第5の駅務システム(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは、精算機は、光信号送受信手段と、携帯端末からのデータに基づいて精算処理を行う精算処理手段と、を備え、改札機は、携帯端末からの精算データに基づいて改札処理を行うことで特徴づけられる。
【0012】
第6の駅務システム(請求項6に対応)は、上記の構成において、好ましくは、携帯端末は、情報サービス受信手段を備えることで特徴づけられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、利用者が所持する携帯端末と改札機に備えられた可視光を発する表示灯からの点灯状態を変調した光によって光通信を行い、取り引きが行われるので、取り引きが確立しているか明確に確認できる。
また、本発明によれば、改札機は、故障したとき故障箇所を保守パネルのパイロットランプの光に故障箇所のデータをのせて変調する光変調手段を備えるため、故障箇所が容易に分かり、保守を容易に行うことができる。
さらに、本発明によれば、精算機には、光信号送受信手段と、携帯端末からのデータに基づいて精算処理を行う精算処理手段と、を備え、改札機は、携帯端末からの精算券データに基づいて改札処理を行うため、容易に精算ができ、改札処理を円滑に行うことができる。
また、携帯端末は、情報サービス受信手段を備えるため、駅務システムからサービスを受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図7を参照して本発明の第1実施形態に係る駅務システムの構成を説明する。この実施形態では、携帯端末として携帯電話10の例で説明する。なお携帯端末は、当該携帯電話10に限定されず、PDAやこれに類似する機器等を用いることができる。図1に示すように、駅務システム20は、利用者Uが所持する携帯電話10と改札機21の間で可視光通信で通信を行って、データの送受を行い、携帯電話10を用いて駅の改札などの駅務を行うための装置である。
【0016】
図1において、駅務システム20は、改札機21、精算機26から主に構成される。
【0017】
改札機21は、改札機本体22とゲート23と非接触通信位置指示のための表示灯24と進入通路表示灯25を有している。表示灯24の近傍には、データ受信部24aが設けられている。進入通路表示灯25の近傍には、データ受信部25aが設けられている。利用者Uが予めホームへの入場を許可されるためのデータを記憶している携帯電話10からその入場を許可するデータ情報を発光部からデータ情報で変調させた可視光により改札機21のデータ受信部24aあるいはデータ受信部25aに送信することにより、ゲート23が開く。それにより、利用者Uは、ホームに入場することができる。
【0018】
携帯電話10からデータがデータ受信部24aあるいはデータ受信部25aに送られたとき表示灯24あるいは進入通路表示灯25は、入場履歴情報を可視光を発する表示灯からの点灯状態を変調した光によって光通信を行い送信することによって、携帯電話10との取り引きが行われる。この取り引きは、可視光を送受することによって行われるため、改札機21と携帯電話10と取り引きをしているということを明確にすることができる。
【0019】
精算機26は、光信号送受信部26aを備えている。駅の構内から退場するときは、乗り越し精算の必要な場合は、利用者U’は、精算機26の光信号送受信部26aに携帯電話11から乗車したときの駅の改札機の表示灯から受信し、記憶した入場履歴情報を送る。それにより、精算機26は、携帯電話11から受けた入場履歴情報に基づいて乗り越し精算をし、その乗り越し精算済みの情報を光信号送受信部26aから携帯電話11に送られ、携帯電話11の記憶部に乗り越し精算済み情報が記憶される。利用者U’は、その携帯電話11から改札機21のデータ受信部24aあるいはデータ受信部25aに精算済み情報をのせた変調光を送る。それにより、ゲート23が開き、退場することができる。
【0020】
携帯電話11からデータがデータ受信部24aあるいはデータ受信部25aに送られたとき表示灯24あるいは進入通路表示灯25は、退場履歴情報を可視光を発する表示灯からの点灯状態を変調した光によって光通信を行い送信することによって、携帯電話11との取り引きが行われる。この取り引きは、可視光を送受することによって行われるため、改札機21と携帯電話11と取り引きをしているということを明確にすることができる。
【0021】
図2は、改札機21のブロック図である。改札機21は、制御装置30と図1で示したゲート23と表示灯24と進入通路表示灯25とデータ受信部24aとデータ受信部25aを備えている。制御装置30は、ゲート23の開閉の制御と、データ受信部24aまたはデータ受信部25aから入力された携帯電話10,11からの光信号を処理し、表示灯24と進入通路表示灯25から携帯電話10,11に光信号を送る制御を行う。制御装置30の内部構成として、CPU31と、光信号処理部32と、変調部33と、データ処理部34と、ゲート駆動制御部35と、記憶部36を備えている。そして、CPU31と、光信号処理部32と、変調部33と、データ処理部34と、ゲート駆動制御部35と、記憶部36は、バス37により、データを送受できるようにそれぞれ接続されている。
【0022】
CPU31は、光信号処理部32と変調部33とデータ処理部34とゲート駆動制御部35と記憶部36の制御を行う。光信号処理部32は、データ処理部34で処理されたデータに基づいて入力履歴情報あるいは退場履歴情報を作成する。変調部33は、光信号処理部32で作成された入場履歴情報あるいは退場履歴情報をのせて表示灯24,25から出力される光を変調する。データ処理部34は、データ受信部24aあるいはデータ受信部25aから入力された入場許可データあるいは退場許可データを処理し、光信号処理部32とゲート駆動制御部35に送る。ゲート駆動制御部35は、データ処理部34からのデータに基づいて、ゲート23の開閉を制御する。記憶部36は、データ処理部34と光信号処理部で処理したデータを記憶する。
【0023】
また、改札機21は、図3のブロック図で示す改札機の故障時に用いられる保守用装置40も備えている。改札機の保守用装置40は、CPU41故障箇所検知部42と光変調部43とパイロットランプ44を備えている。CPU41は、故障箇所検知部42と光変調部43を制御する。故障箇所検知部42は、改札機21が故障したとき、故障箇所を検知し、その検知場所を記憶する。光変調部43は、故障箇所検知部42で記憶された故障箇所情報をのせるためにパイロットランプ44の光を変調する。改札機が故障した場合、故障箇所検知部42により、故障箇所が記憶される。その故障箇所の情報を光変調部43によりパイロットランプ44の光を変調する。保守作業員は、携帯端末45により、パイロットランプ44の光を受信し、その受信した光から故障箇所の情報を得ることができる。
【0024】
図4は精算機26のブロック図である。精算機26は、CPU50は、光信号送受信部51と精算処理部52と発光部53と受光部54を備えている。CPU50は、光信号送受信部51と精算処理部52を制御する。光信号送受信部51は、受光部54で受けた光信号を受信し、精算処理部52に送り、また、精算処理部52で処理されて得られたデータを発光部53から送る。精算処理部52は、光信号送受信部51から受けたデータを処理し、得られた結果を光信号送受信部51に送る。
【0025】
携帯電話10は利用者Uが携帯・所持するものである。携帯電話10は、図5で示すごとく、機能部として、CPU60と光信号送受信部61とデータ処理部62と発光部63と受光部64を備えている。CPU60は、光信号送受信部61とデータ処理部62を制御する。光信号送受信部61は、受光部54で受けた光信号を受信し、データ処理部62に送り、また、データ処理部62で処理されて得られたデータを発光部63から送る。データ処理部62は、光信号送受信部61から受けたデータを処理し、得られた結果を光信号送受信部61に送る。
【0026】
上記の携帯電話10は、現在の通常の携帯電話機が備える各機能部分によって、上記の構成が実現される。また一般的に携帯端末については、専用の携帯端末機器として作製することも可能である。
【0027】
次に、本実施形態の駅務システム20における処理をフローチャートに従って説明する。図6は改札機21での処理を示すフローチャートである。
【0028】
図7で示すように、携帯電話10により、利用者Uが入場許可の情報をのせた可視光Lによる光信号を送信すると、改札機21のデータ受信部25aは、入場許可情報をのせた光信号を受信する(ステップS11)。図2で示すデータ処理部34は、その受信した光信号に基づいて利用者が入場許可を得ているかどうかの処理を行う(ステップS12)。データ処理部34の処理に基づいて、光信号処理部32は、入場履歴情報を作成する(ステップS13)。変調部33は、入場履歴情報を表示灯の光を変調してのせる(ステップS14)。携帯電話10の受光部では、そのデータを受信し、取り引きが成立する(ステップS15)。
【0029】
以上のように、携帯電話10の利用者Uは、改札機21によって、入退場処理が行われる。このとき、可視光で信号のやりとりが行われるので、取り引きしている様子が明確にすることができる。
【0030】
次に、精算機26での処理を説明する。利用者は、携帯電話11の情報を精算機26に読み込ませる。読み込まれた情報に基づいて、図4で示す精算処理部52により、精算し、その精算データを携帯電話11に発光部53から送る。携帯電話11はその精算データを記憶する。利用者U’は、携帯電話11を改札機21のデータ受信部24aにかざすことにより、光通信が行われ、改札処理を済ますことができる。
【0031】
図8〜図10を参照して本発明の第2実施形態に係る駅務システムの構成を説明する。
【0032】
第2実施形態に係る駅務システムは、基本的に図1で示した駅務システムと同様であるが、図8で示すように改札機21にサービス提供部70を有し、図9で示すように携帯電話10,11に情報サービス受信部71を有している。この情報サービス受信部71はサービスを受けるためのアプリケーションプログラムを有している。利用者Uが所持する携帯電話10との間で光通信を行ってデータの送受を行い、携帯電話10にサービスを提供する装置である。改札機21は、制御装置30にサービス提供部70を備えている。改札機21と携帯電話10の他の機能は第1実施形態と同様なので同じ符号を付している。
【0033】
次に、本実施形態の駅務システム40における処理をフローチャートに従って説明する。図10は駅務システムの処理を示すフローチャートである。
【0034】
本実施形態の携帯電話10により、利用者Uが、サービスを受けるためのサービス要求信号を送信すると、改札機21は、データ受信部25aにより光信号を受信する(ステップS21)。データ処理部34は、その光信号がサービス要求信号であることを確認する(ステップS22)。サービス提供部70は、そのサービス要求信号に基づいてサービスの内容を光信号処理部32でのせて変調部33において、表示灯25の光を変調する(ステップS23)。携帯電話10は、その変調された光を受信し、その信号から情報サービスを受ける(ステップS25)。
【0035】
以上のように、携帯電話10の利用者Uは、改札機21のサービス提供部70によって当該携帯電話10にサービスを受けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、携帯電話等の携帯端末を用いた駅務システムとして利用される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る駅務システムの構成を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る駅務システムの改札機の構成を説明するための図である。
【図3】第1実施形態での改札機の保守機能のブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る駅務システムの精算機の構成を説明するための図である。
【図5】第1実施形態での携帯端末の機能ブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る駅務システムでの処理を説明するフローチャートである。
【図7】携帯電話と改札機での光通信による取り引きをしている様子を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る駅務システムの改札機の構成を説明するための図である。
【図9】第2実施形態での携帯端末の機能ブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る駅務システムでの処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
10 携帯電話
20 駅務システム
21 改札機
22 改札機本体
23 ゲート
24 表示灯
24a データ受信部
25 進入通路表示灯
25a データ受信部
26 精算機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が所持する携帯端末と改札機との間で光通信を行ってデータの送受を行うことによって改札機の通過を可能とする駅務システムであって、
前記改札機は、表示灯と、前記携帯端末からのデータを受信する前記表示灯近傍に設けられたデータ受信手段と、前記データ受信手段で受信したデータを処理し、その処理結果に基づいて前記表示灯の点灯状態を変える点灯状態変調手段と、を備え、
前記携帯端末は、光信号送受信手段とデータ処理手段とを備えることを特徴とする駅務システム。
【請求項2】
前記改札機は、故障したとき故障箇所を保守パネルのパイロットランプの光に故障箇所のデータをのせて変調する光変調手段を備えることを特徴とする請求項1記載の駅務システム。
【請求項3】
前記表示灯は、非接触通信位置指示のための表示灯であることを特徴とする請求項1または2記載の駅務システム。
【請求項4】
前記表示灯は、前記改札機の進入通路表示灯であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の駅務システム。
【請求項5】
精算機は、光信号送受信手段と、前記携帯端末からのデータに基づいて精算処理を行う精算処理手段と、を備え、
前記改札機は、携帯端末からの精算データに基づいて改札処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の駅務システム。
【請求項6】
前記携帯端末は、情報サービス受信手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の駅務システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−79723(P2007−79723A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264193(P2005−264193)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)