説明

駅務機器、駅務システム、および、代替えルートの案内方法

【課題】交通機関の運行状況に応じた案内を行う駅務機器、および駅務システムを提供することを目的とする。
【解決手段】実施形態によれば、駅務機器は、読取手段と、取得手段と、判断手段と、検索手段と、表示手段とを有する。読取手段は、乗車券に記憶されている情報を読み取る。取得手段は、読取手段により乗車券から読み取った情報に基づく乗車区間の運行状況を示す情報を取得する。判断手段は、取得手段により取得した乗車区間の運行状況を示す情報に基づいて乗車区間内に回避すべき区間が存在するか否かを判断する。検索手段は、判断手段により乗車区間内に回避すべき区間が存在すると判断した場合、その回避すべき区間を回避する乗車区間に対する代替えルートの候補を検索する。表示手段は、検索手段により検索した代替えルートの候補を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駅務機器、駅務システム、および、代替えルートの案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道やバスなどの交通機関では、災害や事故などにより運行を見合わせることがある。運行が停止されている区間(運行停止区間)は、駅でのアナウンスなどによって利用者に報知される。駅などで運行停止区間を知らされた利用者は、係員に他社線の運行状況などを確認しつつ、運行停止区間を回避して目的地へ行くための経路を調べる。定期券を所持している利用者は、運行停止区間を回避する経路を係員から案内されることもある。しかしながら、係員による口頭での経路案内は分かりにくいことが多く、混雑時には係員の案内を受けること自体も難しいことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−33829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、交通機関の運行状況に応じた案内を行うことができる駅務機器、駅務システム、および、代替えルートの案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、駅務機器は、読取手段と、取得手段と、判断手段と、検索手段と、表示手段とを有する。読取手段は、乗車券に記憶されている情報を読み取る。取得手段は、読取手段により乗車券から読み取った情報に基づく乗車区間の運行状況を示す情報を取得する。判断手段は、取得手段により取得した乗車区間の運行状況を示す情報に基づいて乗車区間内に回避すべき区間が存在するか否かを判断する。検索手段は、判断手段により乗車区間内に回避すべき区間が存在すると判断した場合、その回避すべき区間を回避する乗車区間に対する代替えルートの候補を検索する。表示手段は、検索手段により検索した代替えルートの候補を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態に係る駅務システムの概略構成を示す図である。
【図2】図2は、各駅務機器およびホストコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、駅器機器における代替えルートの案内処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、駅務機器における処理に対応したホストコンピュータの動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る駅務システムの構成例を概略的に示す図である。図1は、鉄道などの交通機関で利用される駅務システムの構成を概略的に示している。この駅務システムは、図1に示すように、定期券発行機1、自動券売機2、精算機3および窓口処理機4などの駅務機器を有する。駅務システムにおいて、各駅務機器は、上位装置としてのホストコンピュータ5に接続される。
【0008】
本駅務システムにおいて、定期券、ストアードフェアカード(SFカード)、あるいは、普通乗車券などの乗車券として用いられる記録媒体は、ICカード、および、磁気券を想定する。すなわち、定期券発行機1、自動券売機2、精算機3、および、窓口処理機4などの駅務機器は、それぞれICカードあるいは磁気券などの記録媒体からなる乗車券(定期券、普通乗車券、SFカードなど)を処理する機能を有する。
【0009】
定期券発行機1は、駅などに設置され、利用者自身の操作に応じて定期券を発売する装置である。自動券売機2は、駅などに設置され、利用者自身の操作に応じて乗車券を発券する装置する。精算機3は、駅構内に設置され、利用者自身の操作により乗車料金の精算を行う。窓口処理機4は、駅の窓口内に設定され、駅などの係員の操作によって利用者が所持する乗車券を処理する。
【0010】
ICカードは、所定の規格に準じて動作する携帯可能な電子装置である。ICカードは、カード状の本体に、制御部、メモリ、通信インターフェースなどを具備したICチップを内蔵したものである。たとえば、定期券あるいはストーアートフェアカード(SFカード)として利用されるICカードとしては、非接触式のICカードが想定される。また、ICカードの代わりとしては、ICカードと同様な処理機能を有する携帯電話機などの携帯端末装置を用いても良い。また、磁気券は、磁気ストライブなどの磁気情報を記憶する磁気記憶部を有する媒体である。たとえば、普通乗車券としては、磁気券が想定される。
【0011】
また、図1に示すように、定期券発行機1、自動券売機2、精算機3、および、窓口処理機4などの各駅務機器は、ディスプレイA、磁気券口Bおよびカード口Cを有する。
ディスプレイAは、タッチパネルを有する表示装置である。ディスプレイAは、後述する各駅器機器の表示部および操作部として機能する。磁気券口Bは、乗車券としての磁気券を機体内に受け入れたり、機体外へ排出したりするものである。磁気券口Bは、後述する各駅務機器の磁気券処理部に接続される。たとえば、利用者は、処理対象とする乗車券としての磁気券を磁気券口Bに挿入する。各駅務機器は、新規に発券する磁気券あるいは利用者へ返却する磁気券を磁気券口Bから排出する。
【0012】
カード口Cは、乗車券としてのICカードあるいは金額カードを機体内に受け入れたり、機体外へ排出したりするものである。カード口Cは、後述する各駅務機器のカード処理部に接続される。たとえば、利用者は、処理対象とする定期券或いはSFカードなどの乗車券としてのICカードをカード口Cに挿入する。各駅務機器は、新規に発券するICカード、あるいは、利用者へ返却するICカードをカード口Cから排出する。また、カード処理部がクレジットカードおよびキャッシュカードなどの金額カードを処理できるようにする場合、カード口Cには処理対象とする金額カードが挿入され、機体内で処理した後の金額カードがカード口Cから排出される。
【0013】
また、利用者自身の操作に応じて動作する定期券発行機1、自動券売機2および精算機3などの各駅務機器は、現金の受入れ、および、排出を行うための現金口Dが設けられている。現金口Dは、紙幣投入口D1、紙幣排出口D2、硬貨投入口D3および硬貨排出口D4を有する。現金口Dは、後述する各駅務機器の金額処理部に接続される。たとえば、現金口Dの紙幣投入口D1には、利用者が紙幣を挿入し、紙幣排出口D2は、機体が利用者に返却すべき紙幣が排出する。硬貨投入口D3には、利用者が硬貨を投入し、硬貨排出口D4は、機体が利用者に返却すべき硬貨を排出する。
【0014】
定期券発行機1は、利用者の操作によって定期券を発行する。また、自動券売機2は、利用者の操作によって乗車券を発行する。また、自動券売機2は、利用者が提示する定期券に対して処理を行う処理機能も有する。精算機3は、利用者が所持する定期券あるいは乗車券に対する運賃精算を行う。窓口処理機4は、駅の係員の操作によって定期券あるいは乗車券として利用されるICカードあるいは磁気券を処理する。
【0015】
上記定期券発行機1は、新規の定期券を発券したり継続の定期券を発券したりする機能の他に、利用者が所持している定期券に対して種々の処理を施す機能を有する。また、定期券発行機1は、現在の運行状況を示す情報を取得する機能、および、様々な条件の元で特定の区間における経路(特定の目的地へのルート)を検索する機能を有する。これらの機能により、定期券発行機1は、利用者が提示する定期券の定期区間において運行が停止している区間(運行停止区間)が有るか否かを判断し、運行停止区間が有る定期区間については運行停止区間を回避する代替えのルートを検索し、検索した代替えルートを案内表示することができる。
【0016】
上記自動券売機2は、乗車券を発券する機能の他に、利用者が所持している乗車券に対して種々の処理を施す機能を有する。また、自動券売機2は、現在の運行状況を示す情報を取得する機能、および、様々な条件の元で特定区間における経路(特定の目的地へのルート)を検索する機能を有する。たとえば、自動券売機2は、利用者の乗車区間(例えば、定期区間)内に運行停止区間が有る場合、当該乗車区間に対して運転停止区間を回避する代替えルートを検索し、検索した代替えルートを案内表示することができる。
【0017】
上記精算機3は、精算処理を行う機能の他に、現在の運行状況を示す情報を取得する機能、様々な設定条件の元で特定区間における経路(特定の目的地へのルート)を検索する機能を有する。たとえば、自動精算機3は、利用者の乗車区間(たとえば、定期区間)内に運行停止区間がある場合、当該乗車区間に対して運行停止区間を回避する代替えルートを検索し、検索した代替えルートを案内表示することができる。
【0018】
窓口処理機4は、駅の係員の操作によって定期券あるいは乗車券に対して種々の処理を施す。窓口処理機4は、現在の運行状況を示す情報を取得する機能、および、様々な設定条件の元で特定区間における経路(特定の目的地へのルート)を検索する機能を設けても良い。この場合、窓口処理機4は、運行停止区間がある乗車区間に対して運行停止区間を回避する代替えルートを検索し、検索した代替えルートを案内表示する機能を設けても良い。
【0019】
ホストコンピュータ5は、各駅務機器とのデータ通信を行う機能を有する。ホストコンピュータ5は、各駅務機器における処理データなどを管理する機能の他に、各交通機関の現在の運行状況を管理する機能を有する。たとえば、災害或いは事故等により運行を見合わせる区間(運行停止区間)が発生した場合、ホストコンピュータ5は、運行状況を示す情報として、運行停止区間などを含む運行停止情報を管理する。また、遅延が発生した場合、ホストコンピュータ5は、運行状況を示す情報として、遅延時間および遅延区間などを含む遅延情報を管理する。また、運行停止区間の発生などに応じて、他の交通機関での振替輸送が設定された場合、ホストコンピュータ5は、振替輸送の交通機関及び区間などを示す振替輸送情報を管理する。
【0020】
また、ホストコンピュータ5が交通機関の会社ごとに設けられる運用形態であれば、ホストコンピュータ5は、自社の交通機関内の運行状況を示す情報だけでなく、他社の交通機関の運行状況を示す情報も管理する。これは、ホストコンピュータ5が、他社のホストコンピュータ5´から他社の交通機関の運行状況を示す情報を取得することにより実現できる。
【0021】
次に、上記駅務システムにおける各機器の構成例について説明する。
図2は、各機器の構成例を示すブロック図である。
まず、駅器機器としての定期券発行機1の構成について説明する。
図2に示す構成例において、定期券発行機1は、制御部11、通信部12、メモリ13、表示部14、操作部15、磁気券処理部16、カードリーダライタ17、および、金額処理部18などを有する。
【0022】
上記制御部11は、定期券発行機1全体の制御を行うものである。上記制御部11は、プロセッサ、および、メモリなどにより構成される。上記制御部11は、プロセッサがメモリに記憶したプログラムを実行することにより様々な処理機能を実現する。たとえば、制御部11は、プロセッサがプログラムを実行することにより、後述する代替えルートの案内処理を行う。上記通信部12は、上位装置としての上記ホストコンピュータ5との通信を行うインターフェースである。
【0023】
上記メモリ13は、不揮発性の記憶装置により構成される。たとえば、上記メモリ13は、運賃を算出するための運賃データ、および、経路を検索するための経路データなどのデータを記憶する。上記表示部14は、液晶表示器などで構成される。上記表示部14は、種々の案内などを表示する。たとえば、表示部14は、定期券の発行処理において、有効区間および有効期間の設定案内、および、定期券の料金案内などを表示する。また、表示部14は、後述する代替えルートの案内処理において経路検索機能により検索した代替えルートの候補を案内表示する。上記操作部15は、利用者が操作指示を入力するものである。上記表示部14及び上記操作部15は、例えば、タッチパネル内蔵のディスプレイなどで構成される。
【0024】
上記磁気券処理部16は、定期券あるいは乗車券として使用される磁気券に記録されている情報を読み取ったり、磁気券に情報を書込んだりするものである。上記カードリーダライタ17は、定期券あるいは乗車券として使用されるICカードに記録されている情報を読み取ったり、ICカードに情報を書込んだりするものである。また、カードリーダライタ17は、プリペイドカードあるいはクレジットカードなどの金額カードにより金額を処理するようにしても良い。上記金額処理部18は、現金を処理するユニットであり、たとえば、利用者が投入する現金を処理する。
【0025】
次に、駅器機器としての自動券売機2の構成について説明する。
図2に示す構成例において、自動券売機2は、制御部21、通信部22、メモリ23、表示部24、操作部25、磁気券処理部26、カードリーダライタ27、および、金額処理部28などを有する。制御部21、通信部22、メモリ23、表示部24、操作部25、磁気券処理部26、カードリーダライタ27、および、金額処理部28は、定期券発行機1の制御部11、通信部12、メモリ13、表示部14、操作部15、磁気券処理部16、カードリーダライタ17および金額処理部18と同様な構成で実現できる。定期券発行機1と自動券売機2とは、同様なハードウエア構成でも実現できるため、兼用の駅務機器として運用しても良い。
【0026】
自動券売機2の制御部21は、自動券売機2として機能するため、乗車券を発券する発券処理機能を有する。たとえば、自動券売機2の制御部21は、プロセッサが発券処理用のプログラムを実行することにより乗車券の発券を行う。制御部21は、発券処理として、利用者の操作に応じて乗車券を発行する処理を行う。たとえば、磁気券で乗車券を発券する場合、制御部21は、磁気券処理部26により乗車券を発券し、ICカードの乗車券を発券する場合、制御部21は、カードリーダライタ27により乗車券を発券する。
【0027】
次に、駅器機器としての精算機3の構成について説明する。
図2に示す構成例において、精算機3は、制御部31、通信部32、メモリ33、表示部34、操作部35、磁気券処理部36、カードリーダライタ37、および金額処理部38などを有する。制御部31、通信部32、メモリ33、表示部34、操作部35、磁気券処理部36、カードリーダライタ37、および、金額処理部28は、定期券発行機1の制御部11、通信部12、メモリ13、表示部14、操作部15、磁気券処理部16、カードリーダライタ17および金額処理部18と同様な構成で実現できる。
【0028】
精算機3の制御部31は、精算機3としての機能するため、利用者が所持する乗車券に対して精算処理を行う精算処理機能を有する。たとえば、精算機3の制御部31は、プロセッサが精算処理用のプログラムを実行することにより運賃の精算を行う。制御部31は、精算処理として、利用者の操作に応じて利用者が所持する定期券あるいは乗車券に基づいて運賃を精算する。
【0029】
次に、駅器機器としての窓口処理機4の構成について説明する。
図2に示す構成例において、窓口処理機4は、制御部41、通信部42、メモリ43、表示部44、操作部45、磁気券処理部46、および、カードリーダライタ47などを有する。制御部41、通信部42、メモリ43、表示部44、操作部45、磁気券処理部46、および、カードリーダライタ47は、窓口処理機4の制御部41、通信部42、メモリ43、表示部44、操作部45、磁気券処理部46、および、カードリーダライタ47と同様な構成で実現できる。
【0030】
窓口処理機4の制御部41は、窓口処理機4としての機能するため、利用者から提示された乗車券を処理する処理機能を有する。たとえば、窓口処理機4の制御部41は、プロセッサがプログラムを実行することにより乗車券(定期券、SFカード、普通乗車券など)に対する様々な処理を行う。制御部41は、駅の係員の操作に応じて、利用者から提示される乗車券に対して処理を行う。たとえば、制御部41は、自動改札機を通過できなかった利用者から受け取った乗車券に対して改札を通過できるようにする処理を施す。
【0031】
次に、ホストコンピュータ5の構成例について説明する。
図2に示す構成例において、ホストコンピュータ5は、制御部51、通信部52、およびメモリ53などを有する。
上記制御部51は、ホストコンピュータ5全体の制御を行うものである。制御部51は、プロセッサ、および、メモリなどにより構成される。制御部51は、プロセッサがメモに記憶されているプログラムを実行することにより様々な処理機能を実現する。たとえば、制御部51は、後述する処理のように、運行状況を示す情報を管理したり、駅務機器からの問合せに応じて運行情報を示す情報を送信したりする機能を有する。
【0032】
上記通信部52は、各駅務機器(定期券発行機1、自動券売機2、精算機3および窓口処理機4)とのデータ通信を行うためのインターフェースである。また、通信部52は、他のホストコンピュータとの通信機能を有しても良い。上記メモリ53は、不揮発性の記憶装置により構成される。たとえば、上記メモリ53は、自社の交通機関の運行状況を示す情報、他社の交通機関の運行状況を示す情報、および、運行停止などの区間に対する振替輸送情報などを記憶する。
【0033】
次に、駅務機器による代替えルートの案内処理について説明する。
代替えルートの案内処理は、定期券あるいは乗車券の読取が可能な各種の駅務機器(定期券発行機1、自動発券機2、精算機3、あるいは窓口処理機4など)により実現できるものとする。ここでは、駅務機器の一例として定期券発行機1による代替えルートの案内処理について説明するものとする。また、ここでは、主として、利用者がICカードの定期券を投入した場合を想定するものとし、定期区間に対する運行状況の案内と定期区間に対する代替えルートの案内とを含む処理について説明するものとする。
【0034】
まず、定期区間の運行状況を確認したい場合、あるいは、定期区間において運行が停止されている区間(停止区間)を回避する代替ルートを調べたい場合、利用者は、自身の所持している定期券を定期券発行機1のカード口Cに投入する。定期券発行機1の制御部11は、カード口Cに挿入された定期券に記憶されている定期区間(乗車区間)を含む情報をカードリーダライタ17により読み取る(ステップS11)。
【0035】
利用者が提示した定期券から定期区間が読み取れた場合(ステップS12、YES)、制御部11は、当該利用者の現在位置を特定する(ステップS13)。ここでは、交通機関が鉄道である場合を想定し、代替えルートの案内処理を駅に設置された定期券発行機1が実行することを想定している。このため、制御部11は、当該定期券発行機1が設置されている駅を現在駅(現在位置)として特定する。
【0036】
ただし、当該駅務機器(ここでは定期券発行機1を想定)は駅以外に設置される運用形態も考えられる。当該駅務機器が駅以外の場所に設置されている場合、制御部11は、当該駅務機器が設置されている場所に最も近い駅を現在駅(現在位置)として特定すれば良い。なお、利用者が提示する定期券から定期区間が読み取れている場合、制御部11は、当該定期区間に含まれる駅のうち当該駅務機器が設置されている場所に最も近い駅を現在駅として特定するようにしても良い。
【0037】
現在位置としての現在駅を特定すると、制御部11は、現在駅と定期区間とから検索対象とする乗車区間を設定する(ステップS14)。たとえば、定期区間がA駅とB駅との区間である場合、現在駅がA駅であれば、乗車区間をA駅からB駅までとし、現在駅がB駅であれば、乗車区間をB駅からA駅までとする。また、現在駅がA駅とB駅との間のC駅であれば、制御部11は、乗車区間をC駅からB駅までの第1の乗車区間とC駅からA駅までの第2の乗車区間との2つの乗車区間を設定しても良い。なお、制御部11は、乗車区間を1つに設定するために、第1の乗車区間あるいは第2の乗車区間の何れかを利用者に選択させるようにしても良い。
【0038】
また、定期券以外の乗車券が投入された場合、制御部11は、投入された乗車券から乗車区間を示す情報が読み取れれば、読み取った乗車区間を設定する。また、特定の乗車区間が記憶されていない乗車券が投入された場合(たとえば、乗車券がSFカードである場合、或いは、乗車情報として入場駅と乗車料金とが記憶されている乗車券である場合など)、制御部11は、乗車券から読み取った情報では乗車区間が特定できない。このように、乗車券から特定の乗車区間を示す情報が読み取れなかった場合(ステップS12、NO)、制御部11は、利用者による乗車区間の入力を受け付ける。利用者が乗車区間を入力した場合(ステップS15、YES)、制御部11は、入力された乗車区間を設定し、後述するステップS16へ進むようにすれば良い。
【0039】
なお、定期券は、SFカードなどの他の乗車券との組合せによる利用、あるいは、出場駅での精算なども考えられる。このため、挿入された定期券から定期区間が読み取れた場合であっても、制御部11は、利用者による乗車区間の入力設定を受け付けるようにしても良い。利用者が乗車区間を入力した場合には、制御部11は、運行状況の確認及び代替えルートの検索対象となる乗車区間を、利用者が入力した乗車区間に設定するようにすれば良い。
【0040】
検索対象とする乗車区間を設定すると、制御部11は、当該乗車区間の運行状況を調査する。すなわち、制御部11は、通信部12により検索対象とする乗車区間の運行状況をホストコンピュータ5へ問い合わせる(ステップS16)。ホストコンピュータ5へ運行状況の問合せを行った場合、制御部11は、通信部12によりホストコンピュータ5からの運行状況を示す情報を取得する(ステップS17)。
【0041】
なお、運行状況を示す情報は、各駅務機器が予めメモリに記憶しておくようにしても良い。これは、運行状況に変化が生じるごとに、ホストコンピュータ5から各駅務機器に運行状況を示す情報を配信することにより実現できる。たとえば、ホストコンピュータ5は、運行の停止区間が発生した場合あるいは遅延が発生した場合などの運行状況に乱れが発生した場合に、運行の停止区間を示す停止情報あるいは遅延情報などの情報を、各駅器機器に配信する。各駅務機器は、ホストコンピュータ5から配信された停止情報あるいは遅延情報などの情報をメモリに運行状況を示す情報として保持する。
【0042】
このように、各駅務機器のそれぞれが運行状況を示す情報を保持する形態であれば、各駅務機器は、代替えルートの案内処理を行うごとに、運行状況をホストコンピュータ5に問い合わせる必要が無くなる。このため、運行停止区間が発生した場合などであっても、ホストコンピュータ5とのデータ通信が混雑して運行状況を取得する処理が遅くなったりすることがなく、安定して代替えルートの案内処理を行うことができる。
【0043】
検索対象とする乗車区間の運行状況を示す情報を取得すると、制御部11は、当該乗車区間に運行が停止されている区間(停止区間)などの回避すべき区間が含まれるか否かを判断する(ステップS18)。乗車区間内に回避すべき区間が存在しないと判断した場合(ステップS18、NO)、制御部11は、当該乗車区間の運行状況を案内表示する(ステップS19)。この案内表示は、乗車区間内に停止区間などの回避すべき区間が無い旨を案内するものであっても良いし、乗車区間における運行状況(たとえば、正常運行中、或いは、遅延情報など)を案内するものであっても良い。
【0044】
検索対象とする乗車区間内に停止区間などの回避すべき区間が存在すると判断した場合(ステップS18、YES)、制御部11は、当該区間を回避することを条件として、検索対象となる乗車区間に対する代替えルートの候補を検索する(ステップS20)。代替えルートは、検索対象とする乗車区間を移動するための経路(例えば、現在駅から目的地の駅までの経路)を示すものである。代替えルートは、1通りとは限らないので、複数の代替えルートの候補を検索するようにしても良い。
【0045】
また、代替えルートの検索には、停止区間などの特定の区間を回避するという条件の他に、様々な条件を付加しても良い。例えば、制御部11は、停止区間を回避しつつ、移動時間が短くなる順番に代替えルートを検索するようにしても良い。また、制御部11は、停止区間を回避しつつ、移動距離(総移動距離、交通機関の乗車距離、乗換等の徒歩の距離など)が短くなる順番に代替えルートを検索するようにしても良い。さらに、制御部11は、停止区間から各区間の混雑を予測し、予測した混雑をできるだけ回避できる代替えルートを検索するようにしても良い。
【0046】
また、鉄道などの交通機関では、運行を見合わせる停止区間が発生した場合に、他の路線による振替輸送が認められることがある。定期区間などの所定の乗車区間に対応する振替輸送区間は、追加の乗車料金無しで乗車できる経路である。このため、振替輸送が設定されている場合には、制御部11は、代替えルートの検索処理において、振替輸送が認められた経路を優先的に選択することにより代替えルートの候補を検索するようにしても良い。
【0047】
停止区間などの区間を回避することを条件としたルート検索により代替えルートの候補を検出すると、制御部11は、当該乗車区間における運行状況(停止区間などを示す情報)とともに、検出した代替えルートの候補を表示部14に表示する(ステップS21)。代替えルートの候補は、たとえば、路線図により表示する。また、代替えルートの候補が複数検出できた場合、制御部11は、所定の条件に基づく順番で代替えルートを表示するようにしても良い。たとえば、制御部11は、移動時間が短い順番に代替えルートの候補を表示しても良いし、移動距離が短い順番に代替えルートの候補を表示しても良い。また、振替輸送区間が設定されている場合、代替えルートの候補としては、振替輸送区間を含む代替えルートを優先的に表示するようにしても良い。
【0048】
上記の処理によれば、駅務機器は、利用者の乗車券(定期券)に記録されている乗車区間(定期区間)と現在位置とから乗車区間を判断し、当該乗車区間における運行状況を調査し、当該乗車区間内に運行停止区間などの回避すべき区間が存在する場合には停止区間などの区間を回避する代替えルートを検索し、検索した代替えルートを表示部に案内表示する。
【0049】
これにより、事故或いは災害などの突発的な理由により運行の停止区間が発生した場合であっても、利用者は、駅務機器において停止区間などの区間を回避する代替えルートを直ぐに知ることができる。また、利用者自身が操作できる駅務機器により代替えルートの案内を受けることができるため、駅の窓口が混在している場合であっても効率良く案内を受けることができる。
【0050】
次に、上記のような駅務機器における代替えルートの案内処理に対応したホストコンピュータの動作について説明する。
図4は、ホストコンピュータ5における処理例を説明するためのフローチャートである。
ホストコンピュータ5は、各路線の運行状況を示す情報をメモリ53に記憶するものとする。ホストコンピュータ5は、運行状況の変化に応じてメモリ53に記憶している運行状況を示す情報を更新する。たとえば、ホストコンピュータ5は、他のホストコンピュータ5´などの外部装置から運行状況を示す情報を収集する。また、ホストコンピュータ5は、管理者が直接入力する情報として運行状況を示す情報を収集できるようにしても良い。ホストコンピュータ5は、運行状況を示す情報を各外部装置から定期的に取得するようにしても良いし、運行見合わせあるいは遅延などのイベントが発生する毎に各外部装置から運行状況を示す情報を取得するようにしても良い。
【0051】
すなわち、ホストコンピュータ5は、外部装置あるいは管理者から運行状況を示す情報を受け付ける。運行状況を示す情報を取得すると、ホストコンピュータ5の制御部51は、取得した情報に基づいてメモリ53に保存している運行状況に変化が有るか否かを判断する(ステップS31)。運行状況に変化が有ると判断した場合(ステップS31、YES)、制御部51は、取得した情報に基づいてメモリ53に保存している運行状況を示す情報を更新する(ステップS32)。
【0052】
たとえば、災害や事故などにより運行見合わせの区間が発生した場合、制御部51は、運行を停止した区間(停止区間)などを含む運行停止情報を外部装置あるいは管理者から取得する。運行停止情報を取得すると、制御部51は、運行の停止区間を含む運行停止情報をメモリ53に記憶することにより運行状況を示す情報を更新する。
また、運行の遅延が発生した場合も、制御部51は、遅延区間および遅延時間などを含む遅延情報を外部装置あるいは管理者から取得する。遅延情報を取得すると、制御部51は、遅延情報をメモリ53に記憶することにより運行状況を示す情報を更新する。
【0053】
また、運行の停止区間に対して振替輸送が設定された場合、制御部51は、停止区間に対する振替輸送の経路などを含む振替輸送情報を外部装置あるいは管理者から取得する。振替輸送情報を取得すると、制御部51は、停止区間に対する振替輸送の経路等を含む振替輸送情報をメモリ53に記憶することにより運行状況を示す情報を更新する。
【0054】
すなわち、ホストコンピュータ5は、各駅務機器からの運行状況の問合せを受け付け、問合せに応じて運行状況を示す情報を駅務機器へ配信する。ここでは、ホストコンピュータ5は、各駅務機器から指定区間における運行状況の問合せを受け付けるものとする。ある駅務機器から指定区間における運行状況の問合せを受信すると(ステップS33、YES)、ホストコンピュータ5の制御部51は、当該指定区間における運行状況をメモリ53から読み出し(ステップS34)、当該指定区間内に回避すべき区間(代替えルートを検索すべき区間)が存在するか否かを判断する(ステップS35)。たとえば、ホストコンピュータ5の制御部11は、運行を停止している区間、所定時間以上の遅れが生じている区間、あるいは、振替輸送が設定されている区間などを回避すべき区間(代替えルートを検索すべき区間)と判断する。
【0055】
指定区間内に回避すべき区間が無いと判断した場合(ステップS35、NO)、制御部51は、当該指定区間における運行状況を示す情報を問合せ元の駅務機器へ送信する(ステップS36)。
また、指定区間内に回避すべき区間が存在すると判断した場合(ステップS36、YES)、制御部51は、当該区分に対して振替輸送が設定されているか否かを確認する(ステップS37)。振替輸送が設定されていない場合(ステップS37、NO)、制御部11は、当該指定区間の運行状況を示す情報と、当該指定区間に隣接する各路線の運行状況を示す情報とを問合せ元の駅務機器へ送信する(ステップS38)。
【0056】
また、振替輸送が設定されている場合(ステップS37、YES)、制御部11は、当該指定区間の運行状況を示す情報と、振替輸送の設定内容を示す情報と、当該指定区間に隣接する各路線の運行状況を示す情報とを問合せ元の駅務機器へ送信する(ステップS39)。
【0057】
上記の処理によれば、ホストコンピュータは、運行状況を示す情報をメモリに記憶しておき、駅務機器からの問合せに応じて指定区間の運行状況を送信する。また、指定区間内に停止区間などの代替えルートを検索すべき区間があれば、ホストコンピュータは、代替えルートを検索するための情報として、当該指定区間に隣接する各路線の運行情報を示す情報、および、振替輸送に関する情報を駅務機器へ送信する。これにより、各駅務機器は、随時、ホストコンピュータから最新の運行状況を取得することができ、利用者の要求に応じて迅速に最新の運行状況に基づく代替えルートの検索および案内を実施できる。
【0058】
なお、ホストコンピュータは、駅務機器からの問合せに応じて代替えルートを検索し、その検索結果を駅務機器に送信しても良い。この場合、駅務機器ではルート検索機能などが不要となる。ただし、上述したように、ホストコンピュータでは代替えルートの検索などは実行ぜずに運行状況を示す情報を駅務機器へ配信するようにすれば、ホストコンピュータでの処理負担が少なく、各駅務機器での代替えルートの案内を実現できる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…定期券発行機(駅務機器)、2…自動券売機(駅務機器)、3…精算機(駅務機器)、4…窓口処理機(駅務機器)、5…ホストコンピュータ(上位装置)、11、21、31、41…制御部、12、22、32、42…通信部、13、23、33、43…メモリ、14、24、34、44…表示部、15、25、35、45…操作部、16、26、36、46…磁気券処理部、17、27、37、47…カードリーダライタ、18、28、38…金額処理部、51…制御部、52…通信部、53…メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車券に記憶されている情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段により乗車券から読み取った情報に基づく乗車区間の運行状況を示す情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記乗車区間の運行状況を示す情報に基づいて前記乗車区間内に回避すべき区間が存在するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記乗車区間内に回避すべき区間が存在すると判断した場合、その回避すべき区間を回避する前記乗車区間に対する代替えルートの候補を検索する検索手段と、
前記検索手段により検索した代替えルートの候補を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする駅務機器。
【請求項2】
さらに、前記読取手段が前記乗車券から読み取った情報と当該利用者の現在位置とに基づいて乗車区間を設定する区間設定手段を有し、
前記取得手段は、前記区間設定手段により設定した乗車区間における運行状況を示す情報を取得する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の駅務機器。
【請求項3】
前記利用者が所持する乗車券は、定期券であり、
前記乗車区間は、前記定期券に記憶されている定期区間である、
ことを特徴とする前記請求項1又は2の何れか1項に記載の駅務機器。
【請求項4】
駅務機器と上位装置とを有する駅務システムにおいて、
前記駅務機器は、
乗車券に記憶されている情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段により乗車券から読み取った情報に基づく乗車区間の運行状況を前記上位装置へ問い合わせる問合せ手段と、
前記問合せ手段による問合せに応じて前記上位装置から送信される運行状況を示す情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記上位装置から受信した前記乗車区間の運行状況を示す情報に基づいて前記乗車区間内に回避すべき区間が存在するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記乗車区間内に回避すべき区間が存在すると判断した場合、その回避すべき区間を回避する前記乗車区間に対する代替えルートの候補を検索する検索手段と、
前記検索手段により検索した代替えルートの候補を表示する表示手段と、を有し、
前記上位装置は、
運行状況を示す情報を記憶する記憶手段と、
前記駅務機器からの問合せに応じて前記記憶手段に記憶している運行状況を示す情報を送信する送信手段と、を有する、
ことを特徴とする駅務システム。
【請求項5】
前記駅務機器は、さらに、前記読取手段が前記乗車券から読み取った情報と当該利用者の現在位置とに基づいて乗車区間を設定する区間設定手段を有し、
前記問合せ手段は、前記区間設定手段により設定した乗車区間における運行状況を示す情報を前記上位装置へ問い合わせる、
ことを特徴とする前記請求項4に記載の駅務システム。
【請求項6】
前記利用者が所持する乗車券は、定期券であり、
前記乗車区間は、前記定期券に記憶されている定期区間である、
ことを特徴とする前記請求項4又は5の何れか1項に記載の駅務システム。
【請求項7】
駅務機器に用いられる代替えルートの案内方法であって、
乗車券に記憶されている情報を読み取り、
乗車券から読み取った情報に基づく乗車区間の運行状況を示す情報を取得し、
取得した前記乗車区間の運行状況を示す情報に基づいて前記乗車区間内に回避すべき区間が存在するか否かを判断し、
前記乗車区間内に回避すべき区間が存在すると判断した場合、前記回避すべき区間を回避する乗車区間に対する代替えルートの候補を検索し、
この検索した代替えルートの候補を表示手段に表示する、
ことを特徴とする代替えルートの案内方法。
【請求項8】
駅務機器に用いられる代替えルートの案内方法であって、
乗車券に記憶されている情報を読み取り、
前記乗車券から読み取った情報に基づく乗車区間の運行状況を上位装置へ問い合わせ、
前記問合せに応じて前記上位装置から送信される運行状況を示す情報を受信し、
前記上位装置から受信した前記乗車区間の運行状況を示す情報に基づいて前記乗車区間内に回避すべき区間が存在するか否かを判断し、
前記乗車区間内に回避すべき区間が存在すると判断した場合、その回避すべき区間を回避する前記乗車区間に対する代替えルートの候補を検索し、
その検索した代替えルートの候補を表示する、
ことを特徴とする代替えルートの案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−114492(P2013−114492A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260672(P2011−260672)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】