説明

駅務機器用案内システム

【課題】 利用者(旅客)の希望する案内形態で案内を受けられるようにする。
【解決手段】 利用者の所持する情報記録媒体(非接触型ICカード,携帯電話機等)と、その情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う自動改札機等の駅務機器と、その駅務機器が前記情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う際の利用者に対する複数種の音声案内又は表示案内の案内形態に係るデータを記憶する案内形態データ記憶手段と、その案内形態データ記憶手段に記憶されている複数の案内形態の中から前記情報記憶媒体の識別情報を対応させて案内形態を選択する選択手段と、前記駅務機器が前記情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う際、前記選択手段で選択された案内形態に基づいて案内を行う案内制御手段とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が自動改札機あるいは自動券売機等の駅務機器を利用する際に効果的な案内を受けられるようにした駅務機器用案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の駅に設置される駅務機器には、表示画面及びスピーカによる案内手段が設けられている。例えば、駅務機器が自動改札機の場合には、その自動改札機の筐体の上面に表示画面が設けられていて、その表示画面に利用者(旅客)に対する所定の内容が表示して案内できるように構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、駅務機器が自動券売機の場合の案内手段も、上記自動改札機と同様に、スピーカ又は表示画面を介して案内されるように構成されている。さらに、利用者の所持する所定のデータの記憶されているIDカードが自動券売機で使用されたときは、過剰な案内を省略できるようにした自動券売機も提案されている(特許文献2参照)。このIDカードを使用する自動券売機は、耳の不自由な利用者が所定のデータの記憶されているIDカードを自動券売機で使用したときには、音声案内を省略した画面案内のみの案内を受けることができ、また、視覚障害者が所定のデータの記憶されているIDカードを自動券売機で使用したときには、画面案内による案内を省略した音声案内のみの案内を受けることができるように構成されている。
【特許文献1】特開2003−84699号公報
【特許文献2】特開平7−182545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の駅務機器における案内は、所定の処理を実行するために必要な定型的な内容の案内であり、利用者の興味をそそるものではなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、利用者が希望する形態で案内を受けることができる駅務機器用案内システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る駅務機器用案内システムは、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、利用者の所持する情報記録媒体と、その情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う駅務機器と、その駅務機器が前記情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う際の利用者に対する複数種の音声案内又は表示案内の案内形態に係るデータを記憶する案内形態データ記憶手段と、その案内形態データ記憶手段に記憶されている複数の案内形態の中から前記情報記憶媒体の識別情報を対応させて案内形態を選択する選択手段と、前記駅務機器が前記情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う際、前記選択手段で選択された案内形態に基づいて案内を行う案内制御手段と、を有することを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の駅務機器用案内システムは、駅務機器用案内システムにおいて、選択手段で選択される案内形態は、情報記録媒体を所持する利用者が通信回線網を介して選択するものであることを特徴としている。
本発明の請求項3に記載の駅務機器用案内システムは、複数種の案内形態に係るデータは、駅務機器を管理するサーバからその駅務機器にダウンロードして記憶されるものであることを特徴としている。
本発明の請求項4に記載の駅務機器用案内システムは、複数種の案内形態の中から選択された案内形態は、利用者の所持する情報記憶媒体に記憶され、その記憶された案内形態に係る案内はその情報記憶媒体を介して行われるものであることを特徴としている。
本発明の請求項5に記載の駅務機器用案内システムは、利用者の所持する情報記録媒体は、非接触型ICカード、携帯電話機又はPDAであることを特徴としている。
本発明の請求項6に記載の駅務機器用案内システムは、駅務機器は、自動改札機、自動券売機及び自動精算機等の入出場に係る機器の他に駅の売店等の所定の場所に設置され、所定の商品を購入したときの支払時に使用される情報記録媒体対応型の支払機等の情報記録媒体対応型処理機を含むことを特徴としている。
本発明の請求項7に記載の駅務機器用案内システムは、選択手段で選択されて行われる案内は、情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて行われる所定の処理が駅務機器で正常に処理されるときに行われるものでることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に記載の駅務機器用案内システムは、利用者の所持する情報記録媒体と、その情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う駅務機器と、その駅務機器が前記情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う際の利用者に対する複数種の音声案内又は表示案内の案内形態に係るデータを記憶する案内形態データ記憶手段と、その案内形態データ記憶手段に記憶されている複数の案内形態の中から前記情報記憶媒体の識別情報を対応させて案内形態を選択する選択手段と、前記駅務機器が前記情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う際、前記選択手段で選択された案内形態に基づいて案内を行う案内制御手段とからなるので、利用者は、複数の案内形態の中から利用者の希望する案内形態で案内を受けることができ、定型化された案内ではなく興味ある案内を受けることが可能となる。
本発明の請求項2に記載の駅務機器用案内システムにおいては、選択手段で選択される案内形態は、情報記録媒体を所持する利用者が通信回線網を介して選択するので、利用者は通信回線網を介して、いわゆるインターネットを利用して利用者の希望する案内形態を容易に選択することができる。
本発明の請求項3に記載の駅務機器用案内システムにおいて、複数種の案内形態に係るデータは、駅務機器を管理するサーバからその駅務機器にダウンロードして記憶されるので、案内形態に係るデータを効率よく配信することができる。
本発明の請求項4に記載の駅務機器用案内システムにおいて、複数種の案内形態の中から選択された案内形態は、利用者の所持する情報記憶媒体に記憶され、その記憶された案内形態に係る案内はその情報記憶媒体を介して行われるので、利用者の希望する案内形態の案内を利用者の所持する情報記録媒体を用いて容易に受けることができる。
本発明の請求項5に記載の駅務機器用案内システムにおいて、利用者の所持する情報記録媒体は、非接触型ICカード、携帯電話機又はPDAであるので、汎用の非接触型ICカードや携帯電話機等を用いて容易に利用者の希望する形態の案内を受けることができる。
本発明の請求項6に記載の駅務機器用案内システムにおいて、駅務機器は、自動改札機、自動券売機及び自動精算機等の入出場に係る機器の他に駅の売店等の所定の場所に設置され、所定の商品を購入したときの支払時に使用される情報記録媒体対応型の支払機等の情報記録媒体対応型処理機を含むので、あらゆる駅務機器で案内を受けることができ、利用者の利便性を高めることができる。
本発明の請求項7に記載の駅務機器用案内システムにおいて、選択手段で選択されて行われる案内は、情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて行われる所定の処理が駅務機器で正常に処理されるときに行われるので、例えば、入出場が拒否されたような所定の処理が正常に行われないときには、異常処理時の所定の定型の案内を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は、一実施の形態に係る駅務機器用案内システムの概略構成図であり、図1中、Cは、本発明の利用者の所持する情報記録媒体に相当する非接触型ICカード(以下、「ICカード」という。)であり、無線通信機能を備えたICカードからなり、後述する自動改札機等の駅務機器との間で、非接触でデータ授受が行えるように構成されている。また、図1中、Kは、本発明の利用者の所持する情報記録媒体に相当する携帯電話機であって、周知の携帯電話機の機能を有する他に、上記ICカードCと同様に、自動改札機等の駅務機器との間で非接触でデータ授受が行えるように構成されている。すなわち、この携帯電話機Kには、ICカードCの機能も備えられている。なお、この携帯電話機Kには、PHSも含まれる。また、本発明に係る利用者の所持する情報記録媒体としては、上述のICカードC及び携帯電話機Kの他にPDA等の利用者が携帯可能で、自動改札機等の駅務機器との間で非接触でデータ授受が可能な情報処理機であってもよい。
【0009】
図1中、Gはある一つの駅に設置されている自動改札機(以下「改札機」という。)、1は自動券売機(以下「券売機」という。)、2は自動精算機(以下、「精算機」という。)及び3は支払機であり、これらは、本発明の駅務機器に相当している。なお、本発明に係る駅務機器としては、上述の他にICカードC又は携帯電話機Kと非接触でデータ授受の行える自動定期券発売機や自動積増機等の駅務機器であってもよい。
【0010】
上記駅務機器(G,1,2,3)のうち、改札機Gは、改札口の係員コーナーに設置されている監視盤4を介して駅務機器制御装置、いわゆる駅制5に接続され、この駅制5には、券売機1及び精算機2もそれぞれ接続されていて、改札機Gの通過人数や売上の集計処理等の所定の管理処理ができるように構成されている。なお、図1では、駅制5には、各1台ずつの駅務機器(G,1,2)しか接続されていないが、これは図面を簡略化するためであり、実際は複数台の改札機G等が接続されている。
【0011】
図1中、Pは、利用者の自宅や職場、あるいは駅のサービスカウンタに設置されているパーソナルコンピュータ(パソコン)であり、このパソコンには、ICカードCに記録されているデータ(カードデータ)を読取るとともに、新たなデータを書き込むことのできるリーダライタP′が接続されている。そして、このパソコンPは、インターネットを含む通信回線網L1 を介して鉄道会社の本社等の所定の中央に設置されているホストコンピュータからなるサーバ6に接続されている。また、上記携帯電話器Kも基地局7を介してサーバ6に接続されている。なお、サーバ6とパソコンPとの間にはプロバイダが存在するが、ここでは省略されている。
【0012】
図1中、L2 は鉄道会社の各駅に設置されている駅務機器(G,1,2,3)を管理するための通信ネットワーク、いわゆる駅間ネットワークであり、この駅間ネットワークL2 も上記サーバ6に接続されている。また、図1中、8は、支払機3を駅間ネットワークL2 に接続するための接続機である。なお、この駅間ネットワークL2 には、他の駅の駅務機器も接続されているが、ここでは省略されている。
【0013】
図2は、改札機Gを構成する一対の筐体のうちの一方の筐体G1 の斜視図である。なお、図示しない他方の筐体は、改札通路G′を挾んでこの一方の筐体G1 と向き合う形で設けられている。また、この改札機Gは、携帯電話器K又はICカード(特に説明に必要のないときは、ICカードCを例にして説明する。)C以外にも磁気券からなる図示しない乗車券(磁気券からなる普通乗車券、回数券、定期券、SFカード等の各種乗車券類を含んでいる。)も処理できる併用型となっているが、ICカードCのみを処理する専用型であってもよい。
【0014】
図2中、10は、筐体G1 の改札通路G′の通過方向の進入(入口)側に設けられた乗車券の投入口、11は、その筐体G1 の上面で改札通路G′の進出(出口)側に設けられた取出口であり、12は、その取出口11の近傍に設けられた利用者に対して文字により所定の内容を案内するための表示画面である。また、図2中、13は、筐体G1 の側面のほぼ中央部に設けられた利用者に対して音声により案内するためのスピーカである。このスピーカ13は、高指向性のスピーカから構成されていて、スピーカ13に対向する改札通路G′内の利用者に対してのみ明瞭に音声案内ができるように配慮されている。
【0015】
上記投入口10及び取出口11間の筐体G1 内には、図示しないカードハンドラが設けられている。このカードハンドラは、投入口10から投入された乗車券を取出口11又は筐体G1 内に設けられた図示しない集札箱まで搬送させることができるように構成されている。そして、その搬送の途中において、投入口10に投入された磁気券からなる乗車券に記録されているデータを読取り、新たなデータを書込み、必要に応じてパンチや印字を行い、利用者へ返却する必要のある乗車券を取出口11に排出し、筐体G1 内に回収する必要のある乗車券を集札箱へ集札できるように構成されている。
【0016】
図2中、aはアンテナであって、筐体G1 の投入口1側の上面に設けられていて、ICカードCと交信できるように構成されている。また、図2中、Bはセンサ取付ボックスであって、筐体G1 の上面で、かつ、改札通路G′と反対側に設けられ、その改札通路G′に沿って設けられている。このセンサ取付ボックスB内には、反射型センサからなる人間検知器S1 〜S3 が改札通路G′の入口側、中央部及び出口側にそれぞれ内蔵されていて、改札通路G′内の大人の利用者を検知することができるように構成されている。すなわち、この反射型センサからなる人間検知器S1 〜S3 は、改札通路G′の床面から所定の高さに向けて光線を照射する発光素子と、その照射された光線が物体(利用者)に当たって反射してきた光線(反射光)を受光する受光素子とにより構成されている。
【0017】
図2中、S10〜S15は、光電素子からなる透過型センサからなる人間検知器であって、一対の筐体間の改札通路G′側に所定の間隔を保って設けられていて、改札通路G′内の利用者位置を検知することができるように構成されている。これら人間検知器S10〜S15のうち、人間検知器S10は改札通路G′の入口側に、人間検知器S15は改札通路G′の出口側に、人間検知器S12及びS13は改札通路G′の中央部に、人間検知器S11は改札通路G′の入口側と中央部との中間に、そして人間検知器S14は改札通路G′の出口側と中央部との中間に設けられている。これら透過型センサからなる人間検知器S10〜S15は、一方の筐体G1 の側面に発光素子を有するとともに、他方の筐体の側面に受光素子を有して構成されている。そして、これら透過型センサからなる人間検知器S10〜S15で検知され、かつ、上述の反射型センサからなる人間検知器S1 〜S3 で検知されないときは、その利用者は子供(小児)の利用者と判定される。また、改札通路G′の中央部に設けられた一対の人間検知器S12,S13は、利用者が改札通路G′の中央部に達したことを検知するとともに、検出順序により改札通路G′内の利用者の移動方向を判定するために用いられている。
【0018】
図2中、D1 ,D2 は、改札通路G′を開閉するドアであり、これらドアD1 ,D2 のうち、ドアD1 は改札通路G′の出口側に設けられ、ドアD2 はその入口側に設けられている。そして、これらドアD1 ,D2 は、改札機本体Gを統括的に制御する後述する制御器14により駆動されるように構成されている。なお、図示しない他方の筐体にも、筐体G1 のドアD1 ,D2 に対応した位置にドアが設けられている。また、ドアD2 は、改札機Gが稼動を停止したときに閉じられるドアであり、さらに、改札機Gがノーマルオープン型のときや双方向型のときは、このドアD2 は、図1の矢印方向と反対方向から進入してくる利用者に対して改札通路G′の出口側のドアとなる。
【0019】
制御器14は、図3に示されるように、ROM20に格納されているシステムプログラム及びRAM21に格納されているワーキングデータを用いて所定の入出場の演算処理を行う中央処理部(CPU)22を有している。制御器14のCPU22は、I/Oユニット23を介して投入口10から取込んだ磁気券からなる乗車券を処理するカードハンドラ24と、ドアD1 ,D2 を駆動制御するドアドライバ25と、表示画面12を駆動制御する表示ドライバ26と、スピーカ13を駆動制御する音声ドライバ27と、ICカードCに記録されているデータを読取るとともに、新たなデータを書込むためのリーダライタ28とが接続されている。なお、I/Oユニット23には、人間検知器S1 〜S3 ,S10〜S15のセンサアンプ等も接続されているが、ここでは省略されている。
【0020】
ICカードCには、アンテナAと、改札機G側と通信(交信)するための通信制御部30と、その通信制御部30と図示しないI/Oユニットを介して接続されているCPU31と、システムプログラムデータの他に所定のカードデータの記憶されているメモリ32と、改札機Gからの電力波をアンテナAを介して受信し、ICカードCの駆動電力を生成する電力生成回路23とを有している。
【0021】
上記メモリ32は、ICカードCの識別情報(以下、「ID」という。)を記憶するためのIDNo.データ記憶部m1 、乗車区間や有効期間等の所定の定期券データを記憶する定期券データ記憶部m2 、ICカードCが定期券の乗車区間外(定期券データが有効期間切れ等により無効券のときは、定期券の乗車区間内も含む。)で使用されたときに、乗車運賃を減額処理する普通乗車券の機能を有する金額データ(SFデータ)を記憶するためのSFカードデータ記憶部m3 、及び本発明の特徴をなす案内選択データ記憶部m3 が設けていて、この案内選択データ記憶部m4 には、後述する案内形態を示す所定のデータが記憶できるように構成されている。なお、メモリ32は、これら記憶部m1 〜m4 以外に、所定の入場データ及び出場データを記憶する記憶部等も設けられているが、ここでは省略する。
【0022】
図4は、携帯電話器Kの内部構造の概略構成図であり、この携帯電話機Kは、周知の携帯電話器と同様の通信機能、インターネット機能等の各種機能を果たすための携帯電話機ユニット40と、上述したICカードCと同様の機能を果たすためのICカードユニット41と、携帯電話機Kの駆動電源のバッテリEとが設けられている。なお、ICカードユニット41は、通常、バッテリEにより駆動されるように構成されているが、このバッテリEが切れたときに、この携帯電話器Kを用いた入出場(入場又は出場を意味している。)の処理ができなくなるので、このICカードユニット41(携帯電話器K)には、上記ICカードCと同様の改札機Gからの電力波を受けて駆動電力を生成する電力生成回路(図示せず)も設けられている。
【0023】
図4中、40aは、携帯電話器Kのスピーカであり、また、41aは、カードデータを記憶するためのICカードユニット41内に設けられたメモリで、このメモリ41aには、上記ICカードCのメモリ32と同様に、IDNo.データ記憶部m1 、定期券データ記憶部m2 、SFカードデータ記憶部m3 及び案内選択データ記憶部m4 が設けられている。なお、このメモリ41aは、携帯電話機ユニット40の図示しないメモリと兼用することもできる。
【0024】
次に、図5及び図6のフローチャートを用いて本発明に係る駅務機器用案内システムの制御動作について説明する。図5は、利用者が自宅又職場等の駅から離れた場所で事前にIDカードC又は携帯電話機Kに案内形態のデータを設定する動作を示している。
【0025】
先ず、パソコンPは、起動されて、サーバ6と交信状態に置かれる。そして、パソコンPのリーダライタP′にICカードCが挿入されてセットされる(ステップ100肯定。以下、ステップを「S」とする。)。携帯電話機Kの場合は、サーバ6と交信状態に置かれる。
【0026】
サーバ6では、パソコンPから送信されてきたICカードCのIDに基づいて、また携帯電話機Kから送信されてきたその携帯電話機KのID(このIDは、携帯電話機KのICカードユニット41の部分のIDでもある。)に基づいて、ICカードC又は携帯電話機Kの有効性が判定される。つまり、ICカードC又は携帯電話機Kが駅務機器(G,1,2,3)で使用できる有効な情報記録媒体であるかが判定される。この情報記録媒体の有効性の判定で、例えば定期券の有効期間が切れ、しかもSFカードの残額も所定金額に満たない場合、あるいは既に廃止処分となっているような情報記録媒体の場合は、以後の案内形態設定の処理は行われず、設定拒否の案内がパソコンPの表示画面又は携帯電話機Kの表示画面を介して行われる(S102否定、S103)。
【0027】
ICカードC又は携帯電話機Kが有効な情報記録媒体と判定されたときは(S102肯定)、サーバ6の図示しないメモリに予め用意されている案内形態が選択されて登録される(S104,S106肯定、S108)。すなわち、サーバ6には、図2の表示画面12及びスピーカ13から発せられるような案内形態(図2の例では、「パパ早く帰ってきてね」)が多数種用意されている。さらにその一例を挙げれば、「お父さん、いってらっしゃい」、「今日も頑張って」、「おはよう」、「早く帰ってきてね」、「おつかれさまでした」、「まっすぐ帰りましょう」等であり、これらは、子供の声、女性の声、関西弁等でも用意されている。したがって、利用者は、これら用意されている沢山の案内形態の中から希望する案内形態を選択することができる。なお、この選択にあたっては、自宅の近くの駅用と、通勤先近くの駅用とを区別して選択することもできるし、時間帯によって案内形態が変化するようにもできるし、あるいは、案内形態がサイクリックに変化するように選択するようにすることもできる。
【0028】
利用者によって選択された案内形態に係るデータは、利用者の所持するICカードCのID又は携帯電話機KのIDとともにサーバ6に登録されるとともに、その案内形態に係るデータは、ICカードCの案内選択データ記憶部m4 又は携帯電話機Kの案内選択データ記憶部m4 にも記憶される(S108)。したがって、利用者は、後にどのような案内形態を選択しているかを確認することが可能となり、他の案内形態に変更するときに便利となる。サーバ6に登録された案内形態に係るデータは、駅間ネットワークL2 を介して各駅の駅務機器(S110)。
【0029】
なお、上述の例では、サーバ6に予め用意される案内形態は、予め鉄道会社で用意したものであるが、パソコンP又は携帯電話機Kを用いて利用者自身の声で、または子供等の声で作成した案内形態をサーバ6に登録するようにしてもよい。
【0030】
図6は、上述のようにして案内形態の選択設定されたICカードCまたは携帯電話機Kを用いて改札機Gで入出場(入場または出場を意味している。)する場合の制御動作を示している。ICカードC又は携帯電話機Kがアンテナaにかざされ、又はアンテナaに軽くタッチされると(S200肯定)、ICカードC又は携帯電話機Kとの間でデータ授受が行われる。改札機Gの制御器14(CPU22)では、ICカードC又は携帯電話機Kから読取ったカードデータを用いて入出場を許可できるか否かの演算処理が行われているとともに、読取られたデータ中のICカードCのID又は携帯電話機KのIDからそのIDに対応した案内形態が準備される(S202)。
【0031】
CPU22による演算処理の結果、入出場処理が許可できると判定されたときは(S204肯定)、ドアD1 が開かれて(改札機Gがノーマルオープン型のときはそのまま)、利用者の改札通路G′の通過が可能になるとともに、スピーカ13から利用者の選択した案内形態で音声案内が行われ、また、表示画面12にも利用者の選択した案内形態で表示案内される(S206。図2の表示画面12及びスピーカ13参照。)。もちろん、この案内は、利用者が改札通路G′から進出するまでで、かつ、前後の利用者に迷惑にならない範囲で行われる。
【0032】
CPU22による演算処理の結果、入出場が許可できないと判定されたときは(S204否定)、ドアD1 がとじられて改札通路G′の利用者の通過が阻止されるとともに、表示画面12及びスピーカ13を介して、従来と同様の定型化された案内、すなわち、精算処理案内又は係員処理案内が行われる(S208)。
【0033】
なお、上述の例では、駅務機器を改札機Gとした場合であるが、券売機1、精算機2又は支払機3でICカードC又は携帯電話機Kが有効に使用された場合にも、利用者の選択した案内形態で案内が行われる。
【0034】
また、上述の例は、利用者への案内は駅務機器を介して行われたが、駅務機器の代わりに、または駅務機器とともに、利用者の所持する情報記録媒体(ICカードC,携帯電話機K)の表示画面又はスピーカ(図4のスピーカ40a参照)を用いて行うようにしてもよい。この場合は、案内形態の選択時にその選択した案内形態を実現するための音声データ,表示データがICカードC又は携帯電話機Kの案内選択データ記憶部m4 に記憶される。そして、ICカードC又は、携帯電話機Kが駅務機器(G,1,2,3)で使用されたときに、その記憶されているデータに基づいて音声又は表示が行われる。なお、ICカードCの場合には、ICカードCに電源(電池)とスピーカ、又は表示画面を設けることにより案内を受けることが可能となり、携帯電話機Kの場合は、携帯電話機Kに設けられている表示画面又はスピーカ40aを用いて容易に実現することができる。さらに、情報記録媒体がPDAの場合も携帯電話機Kと同様にPDAに設けられている表示画面又はスピーカを用いて容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態に係る駅務機器用案内システムの概略構成図である。
【図2】改札機の斜視図である。
【図3】改札機の制御器及びICカードの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】携帯電話機の概略構成図である。
【図5】制御動作を示すフローチャートである。
【図6】制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1 自動券売機(券売機)
2 自動精算機(精算機)
3 支払機
G 自動改札機(改札機)
4 監視盤
6 サーバ
7 接続機
a アンテナ
10 投入口
11 取出口
12 表示画面
13 スピーカ
C 非接触型ICカード(ICカード)
K 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の所持する情報記録媒体と、
前記情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う駅務機器と、
前記駅務機器が前記情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う際の利用者に対する複数種の音声案内又は表示案内の案内形態に係るデータを記憶する案内形態データ記憶手段と、
前記案内形態データ記憶手段に記憶されている複数の案内形態の中から前記情報記憶媒体の識別情報を対応させて案内形態を選択する選択手段と、
前記駅務機器が前記情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行う際、前記選択手段で選択された案内形態に基づいて案内を行う案内制御手段と、
を有することを特徴とする駅務機器用案内システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駅務機器用案内システムにおいて、選択手段で選択される案内形態は、情報記録媒体を所持する利用者が通信回線網を介して選択するものであることを特徴とする駅務機器用案内システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駅務機器用案内システムにおいて、複数種の案内形態に係るデータは、駅務機器を管理するサーバからその駅務機器にダウンロードして記憶されるものであることを特徴とする駅務機器用案内システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の駅務機器用案内システムにおいて、複数種の案内形態の中から選択された案内形態は、利用者の所持する情報記憶媒体に記憶され、その記憶された案内形態に係る案内はその情報記憶媒体を介して行われるものであることを特徴とする駅務機器用案内システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の駅務機器用案内システムにおいて、利用者の所持する情報記録媒体は、非接触型ICカード、携帯電話機又はPDAであることを特徴とする駅務機器用案内システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の駅務機器用案内システムにおいて、駅務機器は、自動改札機、自動券売機及び自動精算機等の入出場に係る機器の他に駅の売店等の所定の場所に設置され、所定の商品を購入したときの支払時に使用される情報記録媒体対応型の支払機等の情報記録媒体対応型処理機を含むことを特徴とする駅務機器用案内システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1に記載の駅務機器用案内システムにおいて、選択手段で選択されて行われる案内は、情報記録媒体に記憶されているデータに基づいて行われる所定の処理が駅務機器で正常に処理されるときに行われるものであることを特徴とする駅務機器用案内システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−155171(P2006−155171A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344025(P2004−344025)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】