説明

駅務機器管理システム

【課題】最適な改修用プログラムを駅務機器用プログラム部に適用することが可能な駅務機器管理システムを提供する。
【解決手段】本発明は、不図示の駅務機器管理サーバが発信する電子ブリテン102によって駅務機器が内蔵するプログラムのプログラム改修を行う駅務機器管理システムであり、駅務機器は駅務機器本体の処理を制御する駅務機器用プログラム部120と、この駅務機器用プログラム部120のプログラムの改修を行う電子ブリテン処理プログラム部110と、電子ブリテン102を解読し該電子ブリテンが実行可能な形式に変換する電子ブリテン解釈部130と、を具備している。電子ブリテン102には、電子ブリテン解釈部130で変換されたとき、電子ブリテン処理プログラム部110に駅務機器用プログラム部120に係る情報の問い合わせを実行させる複数のコマンドが記述されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフト改修を保守員が行う際に都度作成される作業手順書(作業ブリテン)を電子化した命令書である電子ブリテンを利用した駅務機器管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動改札機、自動券売機、自動精算機などの駅務機器は通信回線で接続され、管理センターなどに設置されるサーバにて総合的に管理されている。このような例としては、特許文献1(2005−346631号公報)には、鉄道会社の本社等の所定の中央に設けられ、その鉄道会社の駅に設置されている駅務機器と通信回線を介して接続されている保守サーバと、前記保守サーバと通信回線により接続され、前記駅務機器を保守管理する保守管理会社に設けられている端末機と、前記駅務機器の所定の保守点検作業終了時にその保守点検作業を行って前記保守管理会社の保守係員のIDの記憶されている保守IDカードの存在の下に所定の確認テストを実行し、その確認テストの結果をその保守係員のID、その駅務機器を特定する所定のデータ及び保守点検日時等からなる所定の保守データを前記保守サーバに送信して記憶させる送信記憶手段と、
前記保守サーバに記憶されている所定の保守データを必要に応じて前記端末機で受信して所定の保守作業報告書を作成する作成手段と、からなることを特徴とする駅務機器用保守管理システム が開示されている。
【特許文献1】特開2005−346631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の駅務機器管理システムにおいては、駅務機器に対して運賃判定用のデータ等のデータ系のダウンロードを行っていた。このようなデータ系のダウンロードの場合には、駅務機器がデータを受信して展開及び切り替えを行う処理手順は固定化されており、一連の処理を行う際のソフトロジックは一定であった。実際の駅務機器のソフト改修においては、データ系だけのケースはほとんどなく、プログラム改修も伴うソフト改修が多くを占める。しかしながら、従来の、駅務機器へのダウンロードにおいては、上述のようにデータ系のダウンロードに限定されていた、という問題があった。
【0004】
そこで、駅務機器にプログラムのダウンロード機能を付与することも検討されていたが、駅務機器における現状としては、機器の製造者が異なっていたり、同じ駅務機器であっても駅の特徴によりソフトウエアが異なったり、同じ駅務機器でもインストールされているソフトウエアのバージョンが異なっていたりと、多種多様であったために、結局は一律的、一斉的に全ての駅務機器へプログラムのダウンロードは困難を極めていた。したがって、現状では、駅務機器にプログラムの改修においては、保守員が都度作成される作業手順書(作業ブリテン)に基づいて、駅務機器設置箇所にて保守作業を行っている。しかしながら、このようなプログラム改修では、多大なコストや時間がかかることは言うまでもなく問題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、請求項1に係る発明は、駅務機器管理サーバが発信する電子ブリテンによって駅務機器が内蔵するプログラムのプログラム改修を行う駅務機器管理システムにおいて、駅務機器は駅務機器本体の処理を制御する駅務機器用プログラム部と、該駅務機器用プログラム部のプログラムの改修を行う電子ブリテン処理プログラム部と、該電子ブリテンを解読する電子ブリテン解釈部と、を具備し、該電子ブリテンには、該電子ブリテン解釈部で解読されたとき、該電子ブリテン処理プログラム部に該駅務機器用プログラム部に係る情報の問い合わせを実行させる複数のコマンドが記述されることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の駅務機器管理システムにおいて、該コマンドは該駅務機器用プログラム部に該駅務機器の製造者を問い合わせるコマンドであることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の駅務機器管理システムにおいて、該コマンドは該駅務機器用プログラム部に該駅務機器の機器名を問い合わせるコマンドであることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の駅務機器管理システムにおいて、該コマンドは該駅務機器用プログラム部に該駅務機器の設置箇所を問い合わせるコマンドであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の駅務機器管理システムにおいて、該コマンドは該駅務機器用プログラム部には該駅務機器用プログラム部のバージョンを問い合わせるコマンドであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の駅務機器管理システムにおいて、該電子ブリテンにおいては、該駅務機器用プログラム部のプログラムの改修を行うコマンドは、該駅務機器用プログラム部に係る情報の問い合わせを実行させる複数のコマンドの後に記述されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、駅務機器により製造者、機器名、設置箇所などが異なっていたり、駅務機器で動作中のプログラムのバージョンが駅務機器毎で異なっていたりしても、電子ブリテン処理プログラム部が駅務機器用プログラム部に対して製造者、機器名、設置箇所、バージョン情報の問い合わせを行うように電子ブリテンが記述されているために、最適な改修用プログラムを駅務機器用プログラム部に適用することが可能となる。また、プログラムの誤配信が発生した場合でも異常を検知できる。また、駅務機器で改修用プログラムを適用中に異常が発生した場合でも、異常を検知し適用前の状態に戻すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる自動改札機(駅務機器)のシステム構成を示す図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる自動改札機(駅務機器)の外観を示す図である。
【0013】
図1及び図2において、20は自動改札機、21はシステムバス、22はCPU、23はRAM、24はROM、25はHDD,26は通信制御部、27は磁気カード制御部、28は磁気カードハンドル機構、29はリーダーライタ制御部、30はリーダーライタ、31はドアドライバ、32はドア、33は表示制御部、34は表示パネル、35は音声制御部、36はスピーカ、37はセンスアンプ、38は各種のセンサ類、80は改札機監視盤、81は改札機監視盤HDDをそれぞれ示している。
【0014】
自動改札機20は、不図示のICカードや、磁気券、磁気カードなどに記録された券類情報に基づいて改札・集札処理を行なう改札・集札手段として機能するものである。CPU22は中央演算装置であり、システムバス21はCPU22はとその他の構成間のデータ転送を行う伝達路である。ROM24は不揮発性の記憶手段であり、これにはハードウエアの最も基本的な制御を行うためのプログラムが記憶されており、RAM23は書き換え可能な記憶手段であり、CPU22の主メモリ、ワークエリア等として機能する。HDD25は、ハードディスクなどの大容量記憶手段であり、駅務機器の制御プログラムを動作させるための基本オペレーティングシステムプログラム(以下OS)及びこの基本オペレーティングシステムプログラム上で動作されるその他のプログラム等が記憶されている。本発明の駅務機器管理システムにおけるプログラムもこのHDD25にインストールされ実行されるものである。HDD25には、必ずしもハードディスクを用いる必要はなく、より故障率が低いシリコンディスクなどを用いることもできる。通信制御部26は、改札機監視盤80との間の通信を行うための制御部であり、この改札機監視盤80は不図示の全駅に設置される駅務機器全体を管理する駅務機器管理サーバとの通信を行い、当該駅務機器管理サーバから送信される改修プログラム、改修データなどを改札機監視盤HDD81に受信するように構成される。
【0015】
自動改札機20は前記のようにICカード共に磁気カードなども利用可能であり、CPU22はこの磁気カードを物理的に扱うための磁気カードハンドル機構28を、磁気カード制御部27を介して制御する。磁気カードハンドル機構の一部としては、例えば、図2に磁気カード挿入口39が示されている。
【0016】
ICカードとの通信手段として機能するリーダーライタ30は、非接触型のICカードとの間で無線通信を行う不図示のアンテナを備えている。このリーダーライタ30は、CPU22による制御に基づいて、アンテナの交信エリア内にかざされたICカードと交信し、ICカードのカードIDデータやSFデータに係る情報を読み取るとともに、ICカードに対して所定の情報、例えば、入場記録情報や出場記録情報、精算処理後の残額に対応した金額情報などを記録する。
【0017】
また、ドアドライバ31には、ドア32が接続されている。このドアドライバ31は、CPU22による制御に基づいて、ドア32の開閉動作を制御する。ドア32は、通路を閉鎖することにより通行者の通行を阻止したり、開放することにより通行者の改札を行ったりする。
【0018】
CPU22には、表示パネル34を駆動する表示制御部28、スピーカ36を駆動する音声制御部35が接続されている。これら表示パネル34、スピーカ36が画像表示・音声表示を行い、自動改札機20を通過する人に対するユーザーインターフェイスとして利用されるようにCPU22が、表示制御部33、音声制御部35を統括する。
【0019】
人間検知センサ等のセンサ類38は、自動改札機20を通過する通行者を検知するために必要な検知信号を出力する。また、人間検知センサ等のセンサ類38などにはセンスアンプ37が接続されている。
【0020】
次に、本発明の実施の形態の駅務機器管理システムに用いる別の駅務機器の例について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる自動券売機(駅務機器)のシステム構成を示す図であり、図4は、本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる自動券売機(駅務機器)の外観を示す図である。
【0021】
図3及び図4において、50は自動券売機、51はシステムバス、52はCPU、53はRAM、54はROM、55はHDD,56は通信制御部、57は磁気カード制御部、58は磁気カードハンドル機構、59はリーダーライタ制御部、60はリーダーライタ、61は現金ハンドル機構制御部、32は現金ハンドル機構、63は入力インターフェイス部、64はキータッチパネル、65は表示制御部、66は表示パネル、67は発券機構制御部、68は発券部をそれぞれ示している。
【0022】
自動券売機50は、不図示の現金やICカードや磁気カードなどに記録された金額情報に基づいて切符等の発行を行ったり、或いは、ICカードの金額情報記憶部に所定の金額をチャージしたりする機能を有している。CPU52、RAM53、ROM54、HDD55、通信制御部56の各機能については、前述の自動改札機20の場合と同じであるので記載を省略する。
【0023】
CPU52はこの磁気カードを物理的に扱うための磁気カードハンドル機構58を、磁気カード制御部57を介して制御する。磁気カードハンドル機構の一部としては、例えば、図4に磁気カード挿入口等が示されている。
【0024】
ICカードとの通信手段として機能するリーダーライタ60は、非接触型のICカードとの間で無線通信を行う不図示のアンテナを備えている。このリーダーライタ60は、CPU52による制御に基づいて、アンテナの交信エリア内に不図示の機構で導入されたICカードと交信し、ICカードのカードIDデータやICカードにチャージされた金額に係る情報を読み取るとともに、ICカードに対して精算処理後の残額に対応した金額情報などを記録する。
【0025】
また、現金ハンドル機構制御部61には、現金ハンドル機構62が接続されている。この現金ハンドル機構制御部61は、CPU52による制御に基づいて、投入された現金の計数や、清算後の現金の支払い等の動作を行う。
【0026】
自動券売機50には、表示パネル66上に設けられ指で触れることにより入力することができるタッチパネルやキー64が入力手段として設けられており、これらの入力手段との仲介を入力インターフェイス部63が司る。
【0027】
CPU52には、表示パネル66を駆動する表示制御部65が設けられており、表示パネル34で画像を表示し、自動券売機50の利用者に対してガイダンスを行うようになっている。
【0028】
発券部68は、CPU52からの発券の指示を受けて、切符の磁気面に情報を書き込むと共に印刷面に発行駅や切符の金額等を印刷する機構である。発券部68にはこれを制御するための発券機構制御部67が接続されている。
【0029】
上記において、自動改札機20及び自動券売機50の2種類の駅務機器の構成について説明したが、次に、本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる駅務機器に対して駅務機器管理サーバが送信する電子ブリテン関連のデータについて説明する。
【0030】
図5は、本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムにおける電子ブリテン送信ファイルのデータ構造を示す図である。図5において、101は電子ブリテン送信用圧縮ファイルであり、102は電子ブリテン、103は改修用プログラム、104は改修用データである。電子ブリテンとは、ソフト改修を保守員が行う際に都度作成される作業手順書(作業ブリテン)を電子化した命令書のようなもので、駅務機器内のプログラムの差し換え処理及び異常発生時の復旧処理の処理命令が記述されている。
【0031】
電子ブリテン送信用圧縮ファイル101は、上記の電子ブリテン102のファイル、後述する駅務機器用プログラム部の改修用プログラム103のファイル、改修用データ104のファイルが纏められ圧縮されている。ファイルの圧縮については当該技術分野に属する者に周知である適当な方法を用いることができる。不図示の駅務機器管理サーバは、このような電子ブリテン送信用圧縮ファイル101を、プログラム改修やデータ改修が必要となっている自動改札機20や自動券売機50などの駅務機器に対して配信する。自動改札機20を例にとると、改札機監視盤80が電子ブリテン送信用圧縮ファイル101を受領すると、改札機監視盤HDD81にダウンロードした後、解凍しこれを保存する。次に、自動改札機20は、改札機監視盤HDD81より通信制御部56で電子ブリテン送信用解凍済みファイルを受領し、これらをHDD55上に保存する。なお、改修用プログラム103は、図においては1つのように表しているが、複数のパッチプログラムの集合のようになっている。
【0032】
駅務機器において改修用のプログラムのダウンロード機能を付与するような場合には、改修用データのダウンロードのように単純ではない。というのは、改修する駅務機器により製造者、機器名、設置箇所などが異なっていたり、駅務機器で動作中のプログラムのバージョンが駅務機器毎で異なっていたりするからである。したがって、それぞれの駅務機器の状況を把握した上で、この状況に最適な改修用プログラム(パッチプログラム)を選択し、駅務機器用プログラム部にインストールする必要がある。このための処理手順が、電子ブリテンに記述される。
【0033】
上記において、自動改札機20及び自動券売機50の2種類の駅務機器の構成、及び、電子ブリテン送信ファイルのデータ構造について説明したが、次に、本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる駅務機器全般における制御プログラムの構造について説明する。
【0034】
図6は、本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる駅務機器のプログラム構造を示す図である。図6において、100はOS(オペーレーティングシステム)、110は電子ブリテン処理プログラム部、120は駅務機器用プログラム部、130は電子ブリテン解釈部をそれぞれ示している。
【0035】
OS100は駅務機器の制御プログラムを動作させるための基本的なプログラムであり、例えばマイクロソフト社製のウインドウズ(登録商標)などが用いられる。駅務機器用プログラム部120は、これまで駅務機器として例示した自動改札機20及び自動券売機50を制御するためのプログラムであり、駅務機器は駅務機器用プログラム部120に基づいて通常の動作を行っている。本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムにおいては、この駅務機器用プログラム部120を、電子ブリテンを利用することによってプログラム改修することにあるが、前述したように、駅務機器により製造者、機器名、設置箇所などが異なっていたり、駅務機器で動作中のプログラムのバージョンが駅務機器毎で異なっていたりするので、電子ブリテンは改修用プログラム103を駅務機器用プログラム部120に適用する前に、駅務機器用プログラム部120に対して、必要な事項を尋ねるような構成となっている。
【0036】
電子ブリテン解釈部130は、例えばXMLなどの言語により記述されている電子ブリテン102を電子ブリテン処理プログラム部110が実行できるように構文解釈して電子ブリテン処理プログラム部110に引き渡す構成であり、例えば、マイクロソフト社製XMLパーサー(登録商標)などを用いる。
【0037】
電子ブリテン処理プログラム部110は、電子ブリテン102の記述に基づいて、実際に改修用プログラム103や改修用データ104を駅務機器用プログラム部120に適用するものであるが、前述のように駅務機器により製造者、機器名、設置箇所などが異なっていたり、駅務機器で動作中のプログラムのバージョンが駅務機器毎で異なっていたりするので、電子ブリテン処理プログラム部110はまず駅務機器用プログラム部120に対して、対象とする駅務機器や駅務機器用プログラム部120について問い合わせを行い、問い合わせの回答に応じて、駅務機器用プログラム部120に適用するに最適な改修用プログラム(パッチプログラム)を決定する。電子ブリテン処理プログラム部110が実行すべきこのような一連の処理手順は全て電子ブリテン102に記述されている。
【0038】
また、電子ブリテン処理プログラム部110はまず駅務機器用プログラム部120に対して、対象とする駅務機器や駅務機器用プログラム部120について問い合わせを行い、駅務機器用プログラム部120に適用すべき改修用プログラム(パッチプログラム)が存在しないことが判明したような場合には、その旨配信元である駅務機器管理サーバに返信するようにも構成することができる。なお、このとき、配信された修復用プログラム103等を駅務機器管理サーバに返信するようも構成できる。このようにする構成することで、改修用プログラム103等の誤配信を防止することができる。
【0039】
電子ブリテンのコマンド体系には、ファイルのコピー命令を発出するコマンド、ファイルのリネーム命令を発出するコマンド、ディレクトリの作成命令を発出するコマンドなどの一般的に知られているコマンドの他に、駅務機器用プログラム部120に対して駅務機器の製造者を問い合わせるコマンド、駅務機器用プログラム部120に対して駅務機器の機器名を問い合わせるコマンド、駅務機器用プログラム部120に対してバージョンを問い合わせるコマンドや上位サーバとの切断・接続要求、リブート要求などの特殊コマンドを有している。
【0040】
電子ブリテン102の前段には、これらの特殊コマンドが記述され、改修用プログラムを適用する駅務機器の情報が収集される。次に、電子ブリテン102には、収集した情報を下にどの改修用プログラム(パッチプログラム)をインストールするかを決定するための判断が記述される。次に、電子ブリテン102には、改修用プログラム(パッチプログラム)をインストールする命令が記述される。最後に、電子ブリテン102には、インストールが正常に終了したかどうかを確認する命令や駅務機器のリブートに係る命令などが記述される。
【0041】
以上のような本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムの駅務機器のプログラム構成における処理手順を示す。前述したように受信した電子ブリテン送信用圧縮ファイル101は、電子ブリテン102、改修用プログラム103、改修用データ104に解凍される。電子ブリテン処理プログラム部110は、駅務機器のOS100上に常駐しており常に動作しており、電子ブリテン送信用圧縮ファイル101を受信すると、展開された電子ブリテン102を電子ブリテン解釈部130に読み込ませる。次に、電子ブリテン解釈部130で構文解釈された命令は電子ブリテン処理プログラム部110で実行される。上記のような特殊コマンドを複数用いて、駅務機器用プログラム部120に対して、駅務機器のプロフィールや駅務機器用プログラム部120のバージョンを問い合わせる。電子ブリテン処理プログラム部110はこれらの回答を受けて、改修用プログラムのうちどのパッチプログラムをインストールするかを決定する。次に、改修用プログラムのうちどのパッチプログラムのインストールを行い、必要であれば改修用データ104のインストールも行う。なお、改修用データ104は、駅務機器の分野においては、例えば改訂料金に係るデータであるので、一義的に決定するものであり、改修用プログラムを適用するときのような複雑な確認作業を要することはない。
【0042】
また、特殊コマンドを複数用いて、駅務機器用プログラム部120に対して、駅務機器のプロフィールや駅務機器用プログラム部120のバージョンを問い合わせを行った結果、インストールすべき改修用プログラムが存在しないことが判明したときには、その旨を駅務機器管理サーバに返信したり、配信された修復用プログラム103等を駅務機器管理サーバに返信したりする。
【0043】
以上まとめると、電子ブリテン102による保守点順はおおむね下記のような処理手順となる。
(a)電子ブリテン102を電子ブリテン解釈部で読み込み。
(b)解釈されたコマンドを電子ブリテン処理プログラム部110に引き渡し。
(c)製造者、機器名、設置箇所、バージョン情報の要求。
(d)製造者、機器名、設置箇所、バージョン情報の回答。
(e)改修用プログラムのうち最適なものを選択してインストール。(インストールすべき改修用プログラムがないことが判明した場合には、その旨駅務機器管理サーバに返信。)
(f)改修用データのインストール。
【0044】
以上、本発明によれば、駅務機器により製造者、機器名、設置箇所などが異なっていたり、駅務機器で動作中のプログラムのバージョンが駅務機器毎で異なっていたりしても、電子ブリテン処理プログラム部110が駅務機器用プログラム部120に対して製造者、機器名、設置箇所、バージョン情報の問い合わせを行うように電子ブリテン102が記述されているために、適正な改修用プログラム(パッチプログラム)を駅務機器用プログラム部120に適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる自動改札機(駅務機器)のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる自動改札機(駅務機器)の外観を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる自動券売機(駅務機器)のシステム構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる自動券売機(駅務機器)の外観を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムにおける電子ブリテン送信ファイルのデータ構造を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る駅務機器管理システムに用いる駅務機器プログラム構造を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
20・・・自動改札機、21・・・システムバス、22・・・CPU、23・・・RAM、24・・・ROM、25・・・HDD,26・・・通信制御部、27・・・磁気カード制御部、28・・・磁気カードハンドル機構、29・・・リーダーライタ制御部、30・・・リーダーライタ、31・・・ドアドライバ、32・・・ドア、33・・・表示制御部、34・・・表示パネル、35・・・音声制御部、36・・・スピーカ、37・・・センスアンプ、38・・・センサ類、50・・・自動改札機、51・・・システムバス、52・・・CPU、53・・・RAM、54・・・ROM、55・・・HDD、56・・・通信制御部、57・・・磁気カード制御部、58・・・磁気カードハンドル機構、59・・・リーダーライタ制御部、60・・・リーダーライタ、61・・・現金ハンドル機構制御部、32・・・現金ハンドル機構、63・・・入力インターフェイス部、64・・・キー、タッチパネル、65・・・表示制御部、66・・・表示パネル、67・・・発券機構制御部、68・・・発券部、80・・・改札機監視盤、81・・・改札機監視盤HDD、101・・・電子ブリテン送信用圧縮ファイル、102・・・電子ブリテン、103・・・改修用プログラム、104・・・改修用データ、100・・・OS(オペーレーティングシステム)、110・・・電子ブリテン処理プログラム部、120・・・駅務機器用プログラム部、130・・・電子ブリテン解釈部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅務機器管理サーバが発信する電子ブリテンによって駅務機器が内蔵するプログラムのプログラム改修を行う駅務機器管理システムにおいて、
駅務機器は駅務機器本体の処理を制御する駅務機器用プログラム部と、
該駅務機器用プログラム部のプログラムの改修を行う電子ブリテン処理プログラム部と、
該電子ブリテンを解読する電子ブリテン解釈部と、を具備し、
該電子ブリテンには、該電子ブリテン解釈部で解読されたとき、該電子ブリテン処理プログラム部に該駅務機器用プログラム部に係る情報の問い合わせを実行させる複数のコマンドが記述されることを特徴とする駅務機器管理システム。
【請求項2】
該コマンドは該駅務機器用プログラム部に該駅務機器の製造者を問い合わせるコマンドであることを特徴とする請求項1に記載の駅務機器管理システム。
【請求項3】
該コマンドは該駅務機器用プログラム部に該駅務機器の機器名を問い合わせるコマンドであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の駅務機器管理システム。
【請求項4】
該コマンドは該駅務機器用プログラム部に該駅務機器の設置箇所を問い合わせるコマンドであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の駅務機器管理システム。
【請求項5】
該コマンドは該駅務機器用プログラム部には該駅務機器用プログラム部のバージョンを問い合わせるコマンドであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の駅務機器管理システム。
【請求項6】
該電子ブリテンにおいては、該駅務機器用プログラム部のプログラムの改修を行うコマンドは、該駅務機器用プログラム部に係る情報の問い合わせを実行させる複数のコマンドの後に記述されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の駅務機器管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−77557(P2008−77557A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258701(P2006−258701)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)