説明

駅務端末及びそれを備えた駅務機器システム

【課題】駅務端末に対し、壊滅経路情報を上位装置から配信し、定期券の乗車区間に壊滅経路が含まれている場合には壊滅経路払戻が可能であること通知し、払戻請求があれば、料金の払戻しを行う駅務機器端末及びそれを備えた駅務機器システムを提供すること。
【解決手段】上位装置から壊滅経路情報の配信を受ける壊滅経路情報受信手段と、上記定期券読取装置から出力された定期券の乗車情報に基づく乗車区間内に上記壊滅経路情報受信手段が受信した壊滅経路が含まれているかを判定する壊滅経路判定手段と、この判定の結果、定期券の乗車区間に壊滅経路が含まれている場合には、当該駅務端末に壊滅経路払戻が可能であることを通知する壊滅経路払戻可通知手段と、当該駅務端末操作者から壊滅経路払戻請求があった場合、壊滅経路を含む定期券の全区間について、払戻し料金を通知し、かつ、当該定期券の乗車情報の削除を行う壊滅経路払戻手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、定期券の範囲で運行不可となった経路分の払い戻しを行う定期券発行機又は窓口処理機などの駅務端末及びそれを備えた駅務機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害などで鉄道の一部の経路が長期間にわたり運行不可となった場合、その経路を含む定期券の所有者は損害を被ることになる。この場合、通常は、定期券の払戻しを行い、壊滅経路を除いた定期券を発行する必要がある。なお、列車が不通のとき、不通区間、他社線への振替輸送の有無情報など列車の運行不能の状況を利用客に案内するための列車運行不能状況案内手段が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3375461号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した壊滅経路が実際に発生した場合には、利用者が所持する定期券の乗車区間が個別に異なるため、壊滅経路を個別に判断して払戻又は壊滅経路を除いた区間の定期券を新規に発行する作業負担が大きいという課題があった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、定期券発行機又は窓口処理機などの駅務端末に対し、登録された壊滅経路情報が上位装置から配信されることにより、定期券が駅務端末の定期券読取装置によって読み取られた際、当該定期券の乗車区間に壊滅経路が含まれている場合、当該駅務端末を操作する操作者に対して壊滅経路の払戻しを行うことが可能であることを通知することができる駅務端末及びそれを備えた駅務機器システムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の駅務端末は、壊滅経路情報を登録可能な上位装置と通信可能に接続され、定期券読取装置を有する駅務端末であって、前記上位装置から壊滅経路情報の配信を受ける壊滅経路情報受信手段と、前記定期券読取装置から出力された定期券の乗車情報に基づく乗車区間内に前記壊滅経路情報受信手段が受信した壊滅経路が含まれているかを判定する壊滅経路判定手段と、この壊滅経路判定手段による壊滅経路判定の結果、定期券の乗車区間に壊滅経路が含まれている場合には、当該駅務端末に壊滅経路払戻が可能であることを通知する壊滅経路払戻可通知手段と、この壊滅経路払戻可通知手段によって当該駅務端末操作者から壊滅経路払戻請求があった場合、壊滅経路の払戻しを行う壊滅経路払戻手段と、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1に係る駅務機器システムの構成図
【図2】図1に示す上位装置及び端末間の壊滅経路情報の流れを示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例を実施するための形態は、上位装置、定期券発行機又は窓口処理機などの駅務端末で構成される。当該端末を操作する駅係員又は利用客が壊滅経路を含む定期券を当該端末の定期券読取装置に読み取らせることにより、当該端末は、上位装置から受信した壊滅経路情報が当該定期券に含まれているか判別し、壊滅経路情報が含まれている場合には、壊滅経路の払戻し処理を行う。以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、実施例1に係る駅務機器システム100の構成図である。また、図2は、図1に示す駅務機器システム100の上位装置50及び駅務端末40間の壊滅経路情報の流れを示す図である。
【0010】
駅務機器システム100は、定期券発行機又は窓口処理機などの駅務端末(以下、端末と称する。)40、上位装置50及び自動改札機30などが通信回線としてのLAN(Local Area Network:構内回線)60を介して接続されて構成される。
【0011】
窓口処理機は、係員操作部、チャージ部、客用表示部及びICカードリーダライタなどで構成され、駅係員によって操作される。
【0012】
上位装置50は、管轄する駅又は管轄するエリアに配置され、自動改札機30及び端末40と通信回線としてのLAN60を介して接続され、相互に通信可能である。なお、図示した例では、自動改札機30及び端末40が各1台LAN60に接続された場合を示しているが、駅の規模により駅に複数台設置されて運用されるのが一般的である。
【0013】
また、この上位装置50は、図示しないセンター装置200と接続される。定期券Tの個人ID及び乗車情報(以下、定期券情報と称する。)は、定期券読取装置41によって読み取られ当該端末40からLA60Nを介して上位装置50に送信される。
【0014】
上位装置50は、当該受信情報をセンター装置200に送信し、当該端末40から受信した定期券情報が登録された利用可能な定期券情報であるか認証を行う。この結果は、当該定期券Tが読み取られた端末40に送信される。
【0015】
上述した駅務機器システム100の構成要件を前提に、図1及び図2に示す壊滅経路情報登録に基づく壊滅経路払戻の説明を行う。
【0016】
登録権限のある駅係員は、災害などで運行不可となった経路情報(壊滅経路情報)を、上位装置50から登録を行うことができる(S1、登録手段)。上位装置50は、例えばPC(Personal Computer)で構成され、登録された壊滅経路情報を端末40に配信する(S2)。この配信はLAN60を介して行われる。
【0017】
この配信後、当該壊滅経路情報に基づく乗車不可区間を定期券の乗車区間に含む場合、当該定期券を当該定期券の利用者又は駅係員が、定期券読取装置41に読み取らせる(S3)。ここでいう定期券読取装置41は、磁気読取装置及び/又はICカード読取装置を有し、当該定期券が磁気定期券の場合には、当該磁気定期券を磁気読取装置に挿入することにより、当該磁気定期券に書き込まれている乗車情報を読み取る。一方、当該定期券が非接触無線カードからなるICカードの場合には、当該ICカードをICカード読取装置に翳すことにより、当該ICカードの個人ID及び乗車情報を読み取る。定期券読取装置41で読み取られたID及び/又は乗車情報は、端末40に出力される(S4)。
【0018】
端末40は、上位装置50から配信された壊滅経路情報を受信し(壊滅経路情報受信手段)、この壊滅経路情報受信手段によって受信された壊滅経路情報に基づく壊滅経路が、定期券読取装置41から出力された定期券の乗車情報に基づく乗車区間に含まれているかを判定する(S5、壊滅経路判定手段)。
【0019】
この判定の結果、定期券の乗車区間に壊滅経路が含まれている場合には、「壊滅経路払戻」可を端末操作者に通知する(S6、壊滅経路払戻可通知手段)。この通知手段による通知情報は、例えば窓口処理機の場合には係員操作部に表示する。
【0020】
端末操作者が、上記「壊滅経路払戻」可通知に基づく払戻請求を行った場合(S7)、壊滅経路払戻処理が開始する(S8、壊滅経路払戻手段)。なお、「壊滅経路払戻」の料金計算は、払戻し請求があった時点から当該定期券の終了時点までの期間、壊滅経路を含む定期券の全区間について、qを通知する(係員操作部に表示する。)。この払戻し料金は、当該鉄道会社が定める払戻し料金規定に従って支払われる。
【0021】
壊滅経路払戻処理は、端末操作者に対する上記払戻し料金を通知する。この通知された料金は端末操作者が操作する操作表示部(図示しない)に表示される。端末操作者が表示された払戻し料金表示内容に間違いがないことの確認操作の後、当該払戻し料金は端末操作者に返却される。なお、この端末が窓口処理機の場合には、当該窓口処理機を操作する係員から払戻し料金が当該定期券利用者に返却され、端末が定期券発行機など定期券利用者が直接操作する場合には、当該定期券発行機の出金口に当該払戻し料金が返却される(S9)。
【0022】
さらに、上述した定期券から乗車情報の削除を行う(S10、乗車情報削除手段)。この乗車情報の削除を行わないと壊滅経路を除いた区間を利用する場合であっても、同一経路に対して重複して定期券が発行されることになり好ましくないと解される。そのため、当該区間で、新規の定期券の発行を受けることができない場合がある。
【0023】
以上の処理で、「壊滅経路払戻」処理が終了し(S11)、定期券は端末操作者に返却される(S12)。
【0024】
以上説明したように、本実施例によれば、定期券発行機又は窓口処理機などの駅務端末に対する上位装置から壊滅経路を登録することにより、定期券の乗車区間に壊滅経路が含まれている場合、当該定期券が駅務端末の定期券読取装置によって読み取られた際、当該駅務端末を操作する操作者に対して壊滅経路払戻請求が可能であることを通知すると共に、当該端末操作者から払戻請求があった場合には、当該端末操作者に対して払戻し料金を返却することができる駅務端末及びそれを備えた駅務機器システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0025】
T ICカード(定期券)
P 端末操作者
100 駅務機器システム
30 自動改札機
40 駅務端末(定期券発行機、窓口処理機)
41 定期券読取装置
50 上位装置
60 LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壊滅経路情報を登録可能な上位装置と通信回線を経由して接続され、かつ、定期券読取装置を有する駅務端末であって、
前記上位装置から壊滅経路情報の配信を受ける壊滅経路情報受信手段と、
前記定期券読取装置から出力された定期券の乗車情報に基づく乗車区間内に前記壊滅経路情報受信手段が受信した壊滅経路が含まれているかを判定する壊滅経路判定手段と、
この壊滅経路判定手段による壊滅経路判定の結果、定期券の乗車区間に壊滅経路が含まれている場合には、当該駅務端末に壊滅経路払戻が可能であることを通知する壊滅経路払戻可通知手段と、
この壊滅経路払戻可通知手段によって当該駅務端末操作者から壊滅経路払戻請求があった場合、壊滅経路の払戻しを行う壊滅経路払戻手段と、
を備えたことを特徴とする駅務端末。
【請求項2】
前記壊滅経路払戻手段は、
前記壊滅経路払戻請求があった時点から当該定期券の終了時点までの期間、壊滅経路を含む定期券の全区間の払戻し料金を通知し、かつ、当該定期券の乗車情報の削除を行う乗車情報削除手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の駅務端末。
【請求項3】
壊滅経路情報を登録可能な上位装置と、この上位装置と通信可能に接続された、駅務システムであって、
前記上位装置は、
壊滅経路情報を登録する登録手段を備え、
前記駅務機器は、
前記上位装置に登録された壊滅経路情報の配信を受ける壊滅経路情報受信手段と、
前記定期券読取装置から出力された定期券の乗車情報に基づく乗車区間内に前記壊滅経路情報受信手段が受信した壊滅経路が含まれているかを判定する壊滅経路判定手段と、
この壊滅経路判定手段による壊滅経路判定の結果、定期券の乗車区間に壊滅経路が含まれている場合には、当該駅務端末に壊滅経路払戻が可能であることを通知する壊滅経路払戻可通知手段と、
この壊滅経路払戻可通知手段によって当該駅務端末操作者から壊滅経路払戻請求があった場合、壊滅経路の払戻しを行う壊滅経路払戻手段と、
を備え、
定期券の乗車区間内に壊滅経路があったとき、壊滅経路に伴う定期券の払戻処理を行うことができる駅務機器システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−105270(P2013−105270A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247943(P2011−247943)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】