説明

駆動アセンブリロック機構を有するローディングユニット

【課題】DLUが外科用ファスナー付与デバイスに取付けられるまで、DLUの駆動アセンブリをその発射前位置に保持またはロックする外科用ファスナー付与デバイスのための改良されたDLUを提供すること。
【解決手段】使い捨てローディングユニットであって、外科用器具を取り外し可能に係合するように適合された本体部分;この本体部分の遠位端上に支持されるツールアセンブリ;この本体部分内に支持される駆動アセンブリ;およびこの本体上に支持されるロック部材であって、外科用器具に対するこの使い捨てユニットの直線的な移動に応答して、この駆動アセンブリに係合された第1の位置から該駆動アセンブリから係合をはずれた第2の位置へ移動可能である、ロック部材、を備える使い捨てローディグユニットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(技術分野)
本開示は、外科用デバイスとともに使用するための使い捨てローディングユニット(「DLU」)または単回使用ローディングユニット(「SULU」)に関する。より具体的には、本開示は、ローディングユニットが外科用デバイスに取付けられるまで、ローディングユニットの駆動アセンブリをその発射前位置に保持するためのロック機構を含む、外科用器具とともに使用するためのDLUまたはSULUに関する。簡単のために、以後、SULUまたはDLUは、これ以降、「DLU」と称されるが、DLUまたはSULUのいずれかまたはその両方を含むことが理解されるべきである。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
例えば、ステープル、クリップなどのファスナーを組織に適用するための外科用デバイスは周知である。このようなデバイスは、単一のファスナーで予め装填されかつそのデバイスの単回使用の後に廃棄可能な単回使用デバイスを含む。このようなデバイスはまた、複数のファスナーで予め装填され、かつファスナーの供給物が尽きたかまたは外科手順が完了された後に廃棄可能である複数回使用デバイスを含む。ファスナーの供給物が外科手順の完了の前に尽きた場合は、新しいデバイスがその外科手順を完了するために必要とされ得る。単一の外科手順のためのさらなる外科用デバイスの使用は、費用がかかるものとなり得る。
【0003】
単一手順のために複数の外科用デバイスを使用することの高い費用に対処するために、交換可能なファスナーカートリッジを有する外科用デバイスが開発されている。このようなデバイスにおいて、ファスナーは、カートリッジ内に収容される。カートリッジ中のそのファスナーが尽きると、そのカートリッジはその外科用デバイスから取り除かれ得、そしてファスナーのさらなる供給物を有する新しいカートリッジと交換され得る。
【0004】
本出願の譲受人であるTyco Healthcare Group,LPは、交換可能なカートリッジを有する内視鏡用ステープリングデバイス、例えば、Multifire ENDO GIATM 30およびMultifire ENDO GIATM 60デバイスを、多年にわたって製造し販売してきた。これらのデバイスは、外科用ステーリング装置およびDLUを含む。代表的には、このDLUは、近位本体部分および遠位ツール部材を含み、手術の直前に外科用装置に取付けられる。この遠位ツール部材は、複数のステープルを収容するカートリッジを含む。使用後に、このDLUは、さらなるステープリング操作および/または切断操作を実施するために、その装置から取り外され得、新しいDLUと交換され得る。駆動アセンブリは、このDLU内に支持され、装置の作動を容易にするために、外科用装置の制御棒と係合可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのデバイスは、重要な臨床上の恩恵を提供しているが、これらのデバイスに対する改良は、依然として可能である。従って、DLUが外科用ファスナー付与デバイスに取付けられるまで、DLUの駆動アセンブリをその発射前位置に保持またはロックする外科用ファスナー付与デバイスのための改良されたDLUを提供することは望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
本開示によれば、本体部分およびツールアセンブリを含むDLUが提供される。駆動アセンブリは、この本体部分内に、退却位置から前進位置へ移動可能に支持される。ロック部材は、その本体部分に支持され、そして駆動アセンブリを係合する第1の位置からその駆動アセンブリとの係合をはずれた第2の位置へ移動可能である。ロック部材アクチュエーターは、上記ロック部材と作動可能に係合され、上記DLUが外科用器具の遠位端に直線的に挿入される場合に、そのロック部材をその第1の位置からその第2の位置へ動かす。
【0007】
1つの実施形態において、上記ロック部材は、上記ロック部材アクチュエーター中に形成されるカムスロット内に滑動可能に配置されるカム部材を含む。このロック部材アクチュエーターは、上記本体部分に形成される直線状スロット内に滑動可能に配置され、そして、上記ロック部材は、上記本体部分に形成される横断方向スロット内に滑動可能に配置される。このロック部材アクチュエーターは、本体部分の挿入チップに配置されかつそれから半径方向外側に延びる当接部材を含む。この当接部材は、上記本体部分の挿入チップが、外科用器具へのDLUの取り付けの間、その外科用器具の遠位端に挿入される場合に、その外科用器具の表面と係合するように配置される。この当接部材と外科用器具との間の係合は、上記ロック部材アクチュエーターの、退却位置から前進位置への直線的な移動をもたらす。このロック部材アクチュエーターの前進は、上記ロック部材のカム部材と上記ロック部材アクチュエーターのカムスロットとの間の相互作用を介して、ロック部材の第1の位置からその第2の位置への横断方向の移動に変換される。
【0008】
1つの実施形態において、上記ロック部材アクチュエーターを、その退却位置へ押すために、付勢部材(例えば、ばね)が提供される。このロック部材アクチュエーターの退却位置において、ロック部材は、その第1の位置またはロックされた位置に維持される。
【0009】
1つの実施形態において、このロック部材は、上記駆動アセンブリに形成されるノッチまたは凹部内に受容されるような寸法であるフィンガーを含む。上記ロック部材の第1の位置において、このフィンガーは、そのノッチ内に配置され、上記駆動アセンブリの、退却位置から前進位置への移動を防ぐ。あるいは、他の係合配置が企図される。
【0010】
1つの実施形態において、上記ツールアセンブリは、カートリッジアセンブリおよびアンビルアセンブリを含み、このアンビルアセンブリは、カートリッジアセンブリに対して、開位置と近接位置との間で移動可能である。上記ツールアセンブリは、ステープルの複数の直線状の列(例えば、6列)を含む直線状カートリッジアセンブリを含み得る。このツールアセンブリはまた、上記駆動アセンブリの遠位端に支持され得るナイフ刃を含み得る。このツールアセンブリはまた、上記本体部分に旋回可能に取り付けられ得る。あるいは、ここで開示されるロック機構は、ステープラー、クリップ付与機、および他の手持ち型デバイスまたはロボット制御デバイスを含む他の外科用器具に組込まれ得る。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、さらに以下を提供する。
(項目1)
使い捨てローディングユニットであって、
外科用器具を取り外し可能に係合するように適合された本体部分;
該本体部分の遠位端上に支持されるツールアセンブリ;
該本体部分内に支持される駆動アセンブリ;および
該本体部分上に支持されるロック部材であって、外科用器具に対する該使い捨てユニットの直線的な移動に応答して、該駆動アセンブリに係合された第1の位置から該駆動アセンブリから係合をはずれた第2の位置へ移動可能である、ロック部材、
を備える、使い捨てローディグユニット。
(項目2)
前記ロック部材と作動可能に係合されたロック部材アクチュエーターであって、外科用器具に対する前記使い捨てローディングユニットの直線的な移動に応答して退却位置から前進位置へ直線的に移動可能であり、該ロック部材の、その第1の位置からその第2の位置への移動をもたらすロック部材アクチュエーター、をさらに備える、項目1に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目3)
前記ロック部材アクチュエーターの直線的な移動が、前記ロック部材の横断方向の移動をもたらす、項目2に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目4)
前記ロック部材が、カム部材を含み、そして前記ロック部材アクチュエーターがカムスロットを含み、該カムスロットに対する該カム部材の直線的な移動が該ロック部材の横断方向の移動をもたらすように、該カム部材が該カムスロット内に配置されている、項目3に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目5)
前記本体部分が、前記ロック部材を滑動可能に受容するための横断方向スロットおよび前記ロック部材アクチュエーターを滑動可能に受けるための軸方向スロットを含む、項目4に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目6)
前記ロック部材をその第1の位置へ押すために、前記ロック部材アクチュエーターをその退却位置へ押すように配置された付勢部材をさらに含む、項目2に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目7)
前記本体部分が、外科用器具の遠位端内に受容されるような寸法である挿入チップを含む、項目2に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目8)
前記ロック部材アクチュエーターが、前記挿入チップの上に少なくとも部分的に配置されかつ該挿入チップの半径方向外側に延びる当接部材を含む、項目7に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目9)
前記ロック部材が、フィンガーを有し、そして前記駆動アセンブリがその中に形成されるノッチを有し、該ロック部材フィンガーは、該ロック部材がその第1の位置にあるとき、該駆動アセンブリのノッチ内に配置される、項目1に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目10)
前記ツールアセンブリが、カートリッジアセンブリおよびアンビルアセンブリを含み、該カートリッジアセンブリが、その中に支持される複数のステープルを有する、項目2に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目11)
前記複数のステープルが、複数の直線状の列で配列されている、項目10に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目12)
前記駆動アセンブリの遠位端が、少なくとも1つのカム部材を含み、該カム部材が前記アンビルアセンブリ上のカム表面との係合へ移動可能であり、前記アンビルアセンブリを前記カートリッジアセンブリに対する開位置から該カートリッジアセンブリとの並置配列にある閉位置へ移動させる、項目11に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目13)
前記ツールアセンブリが、前記本体部分に旋回可能に取り付けられる、項目12に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目14)
使い捨てローディングユニットであって、以下:
外科用器具を取り外し可能に係合するように適合された本体部分であって、外側スリーブおよび内側ハウジングを含む、本体部分;
該本体部分の遠位端上に支持されるツールアセンブリ;および
駆動アセンブリであって、該本体部分内に支持され、かつ該ツールアセンブリの作動をもたらすように該ツールアセンブリに対して移動可能である、駆動アセンブリ、
を備え、ここで該内側ハウジングが隆起した突出部を含み、そして該外側スリーブが該隆起した突出部を受けるような寸法かつ配置である切取部を含み、該隆起した突出部が該切取部内に配置されて、該外側スリーブに対する該内側ハウジングの移動を防ぐ、使い捨てローディングユニット。
(項目15)
前記内側ハウジングが、上半分および下半分から形成される、項目14に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目16)
前記隆起した突出部が、実質的に矩形である、項目14に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目17)
前記隆起した突出部が、側方寸法よりも大きい軸方向寸法を有する、項目16に記載の使い捨てローディングユニット。
(項目18)
前記隆起した突出部が、近位傾斜表面を備える、項目17に記載の使い捨てローディングユニット。
ここで開示されるDLUの種々の実施形態が、本明細書中において図面を参照して開示される。
【発明の効果】
【0012】
DLUが外科用ファスナー付与デバイスに取付けられるまで、DLUの駆動アセンブリをその発射前位置に保持またはロックする外科用ファスナー付与デバイスのための改良されたDLUが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、ここで開示されるDLUの1つの実施形態の近位端からの側方斜視図である。
【図2】図2は、近位本体部分の遠位端、取り付けアセンブリおよびツールアセンブリの側方斜視図であり、図1に示されるDLUの部品が分離されている。
【図3】図3は、図1に示されるDLUの取り付けアセンブリおよび近位本体部分の側方斜視図であり、部品が分離されている。
【図4】図4は、図1に示されるDLUのツールアセンブリの側面断面図である。
【図5】図5は、図3に示される近位本体部分のロック機構のロックキング部材アクチュエーターの上方からの斜視図である。
【図6】図6は、図3に示される近位本体部分のロック機構のロックキング部材の底面からの斜視図である。
【図7】図7は、図1に示されるDLUの近位本体部分の近位端の上面図であり、上記ロック機構は、そのロックされた位置にある。
【図8】図8は、図7の切断線8−8に沿って描かれた断面図である。
【図9】図9は、図1に示されるDLUの近位本体部分の近位端の上面図であり、上記ロック機構は、そのロックされていない位置にある。
【図10】図10は、図9の切断線10−10に沿って描かれた断面図である。
【図11】図11は、図1に示されるDLUが外科用器具へ取り付けられる前の、そのDLUおよび外科用器具の側方斜視図である。
【図12】図12は、外科用器具の遠位端への取り付け前の、図1に示されるDLUの近位端の平面図である。
【図13】図13は、DLUが外科用器具の遠位端の中へ直線的に前進された場合の、図11に示されるDLUの近位端の上面図である。
【図14】図14は、DLUが外科用器具の遠位端に対して直線的に前進された後であるが、そのDLUをその外科用器具に回転可能にロックする前の、図12に示されるDLUの近位端の上面図である。
【図15】図15は、DLUが外科用器具に対して直線的に前進され、そしてそのDLUをその外科用器具に回転可能にロックされた後の、図13に示されるDLUの近位端の上面図である。
【図16】図16は、一緒に取り付けられた図11に示された外科用器具およびDLUの遠位端からの側方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態の詳細な説明)
ここで開示されるDLUの実施形態は、ここで図面を参照して詳細に記載され、図面においては、類似の参照番号は、いくつかの図面の各々における同一または対応する要素を示す。
【0015】
図1を参照して、手短に言えば、DLU16は、ツールアセンブリ17、近位本体部分200および取り付けアセンブリ202を含む。本体部分200は、以下に詳細に議論されるような様式で外科用器具500(図11)の遠位端を取り外し可能に係合するように適合されている近位端を有する。取り付け部材202は、本体部分200の遠位端に旋回可能に固定され、そしてツールアセンブリ17の近位端に動かないように固定されている。本体部分200の長手方向軸に直行する軸のまわりの取り付けアセンブリ202の旋回運動は、本体部分200の長手方向軸に対して整列した配向と本体部分200の長手方向軸に対するある角度での配向との間の、ツールアセンブリ17の関節運動をもたらす。
【0016】
図2〜4も参照して、ツールアセンブリ17は、カートリッジアセンブリ18およびアンビルアセンブリ20を含む。アンビルアセンブリ20は、複数のステープル変形用凹部30(図4)を有するアンビル部分28およびアンビル部分28の頂部表面に固定されるカバープレート32を含む。カバープレート32およびアンビル部分28は、それらの間に空洞34(図4)を規定し、その空洞34は、駆動アセンブリ212の遠位端を受容するような寸法である(図3)。カバープレート32は、駆動アセンブリ212の遠位端を閉じ込め、DLU16の作動の間の組織のはさみを防ぐ。長手方向スロット38は、アンビル部分28を通って延び、駆動アセンブリ212の保持フランジ40の通過を容易にする。アンビル部分28上に形成されるカム用表面42は、駆動アセンブリ212の保持フランジ40上に支持される一対のカム部材40aと係合するように配置され、そのアンビルとカートリッジアセンブリとの接近をもたらす。アンビル部分28上に形成される一対の旋回軸部材44は、カートリッジアセンブリキャリア48中に形成されるスロット46内に配置され、アンビル部分28をその空間を空けた位置と接近した位置との間でアンビル部分28を案内する。一対の安定化部材50は、キャリア48上に形成されるそれぞれの肩部分52に係合し、カム用表面42が旋回軸44のまわりで旋回するときに、ステープルカートリッジ54に対してアンビル部分28が軸方向に滑るのを防ぐ。
【0017】
カートリッジアセンブリ18は、細長い支持チャネル56を規定するキャリア48を含み、この支持チャネル56は、ステープルカートリッジ54を受容する寸法および配置である。ステープルカートリッジ54および細長い支持チャネル56にそれぞれ沿って形成される対応するタブ58およびスロット60は、支持チャネル56内の固定位置にステープルカートリッジ54を保持する機能を果たす。ステープルカートリッジ54上に形成される一対の支柱62は、キャリア48の側壁上に静止するように配置され、ステープルカートリッジ54を支持チャネル56内にさらに安定化する。
【0018】
ステープルカートリッジ54は、複数のステープルまたはファスナー66およびプッシャー68を受容するための保持スロット64(図2)を含む。複数の側方に間隔を空けて置かれた長手方向スロット70は、ステープルカートリッジ54を通って延び、作動そり74の直立したカムくさび72を収容する(図2)。中央長手方向スロット76が、実質的にステープルカートリッジ54の長さに沿って延び、ナイフ刃78の通過を容易にする(図4)。外科用ステープラー10の作動の間、駆動アセンブリ212は、作動そり74に隣接し、作動そり74をステープルカートリッジ54の長手方向スロット70を通して押し、カムくさび72をプッシャー68との逐次的に接触するように進める。プッシャー68は、ファスナー保持スロット64内でカムくさび72に沿って垂直に並進し、そしてファスナー66を保持スロット64からアンビルアセンブリ20のステープル変形用空洞30(図4)の中へ押す。
【0019】
図3を参照して、取り付けアセンブリ235は、上方取り付け部分236および下方取り付け部分238を含む。中央に位置した旋回軸部材284は、上方取付け部分236および下方取付け部分238の各々から、結合部材246中に形成されたそれぞれの開口部246aを通って延びる。結合部材246は、各々、インターロック近位部分246bを含み、このインターロック近位部分246bは、このハウジングの上半分250およびハウジングの下半分252から形成される内部ハウジングの近位端中に形成される溝290中に受容されるような配置である。結合部材246は、取り付けアセンブリ235ならびにハウジングの上半分250およびハウジングの下半分252を互いに対して長手方向に固定された位置に保持する。
【0020】
ハウジングの上半分250およびハウジングの下半分252は、本体部分200の外側スリーブ251内に収納される。本体部分251は、ハウジングの上半分250上に形成される突起または突出部250aを受容するような寸法である切取部251aを含む。切取部251a内の突出部250aの位置決めは、本体部分200の外側スリーブ251内でのハウジングの上半分250およびハウジングの下半分252の軸方向運動および回転運動を防ぐ。1つの実施形態において、突起250aは、側方寸法よりも大きい軸方向寸法を有する実質的に矩形の配置を有する。より大きい軸方向寸法は、スリーブ251内のハウジングの上半分250およびハウジングの下半分252の回転を防ぐための増加した表面積を提供する。突起250aの近位部分250bは、傾斜している。傾斜した近位部分250bによって、ハウジングの上半分250およびハウジングの下半分252がスリーブ251内に配置されるときに、スリーブ251が、突起250aを越えて滑ることが可能になる。突起250aは、他の配置、例えば、円形、正方形、三角形などを呈し得、そして依然としてその意図された機能を達成し得ることが想定される。さらに、突起250aは、ハウジングの上半分250に沿っていずれかの位置に再配置され得るか、あるいは、その代わりに、ハウジングの下半分252の上かまたはハウジングの各半分250および252の上に部分的に配置され得る。
【0021】
ハウジングの上半分250の近位端または挿入チップ193は、差込ピンタイプの様式で外科用器具の遠位端を取り外し可能に係合するための係合こぶ254を含む。ハウジングの半分250および252は、その中に軸方向駆動アセンブリ212を滑動可能に受容するためのチャネル400を規定する。関節リンク256は、ハウジングの上半分250およびハウジングの下半分252の間に形成されるスロット402内に滑動可能に配置されるような寸法である。一対のHブロックアセンブリ255が、ハウジング部分200の遠位端に隣接してかつ軸方向駆動アセンブリ212の遠位端に隣接して配置され、外科用ステープリング装置10の関節接合および発射の間の駆動アセンブリ212の外側方向のゆがみおよび膨れを防ぐ。各Hブロックアセンブリ255は、本体部分200に動かないように固定された近位端および取り付けアセンブリ235に動かないように固定された遠位端を含む可撓性本体255aを含む。
【0022】
保持部材288は、軸方向駆動アセンブリ212の係合セクション270上に支持される。保持部材288は、ハウジングの下半分252中に形成されるスロットまたは凹部252a内に取り外し可能に配置される一対のフィンガー288aを含む。作動において、SULU16が外科用器具に取り付けられ、そして軸方向駆動アセンブリ212が、所定の力を外科用器具500(図11)の作動部材516に付与することにより作動される場合に、軸方向駆動アセンブリ212は、遠位方向に進められ、駆動アセンブリ212および保持部材288を遠位方向に動かす。保持部材288が遠位方向に進められるにつれて、フィンガー288aは、凹部252aから押されて、その外科用器具が作動されたという聞き取り可能かつ触知可能な表示を提供する。保持部材288は、所定の軸方向の力が軸方向駆動アセンブリ212に付与されるまで軸方向駆動アセンブリ212をDLU16内の固定位置に維持することにより、運搬の間のような、DLU16の過失による部分的な作動を防ぐ。
【0023】
軸方向駆動アセンブリ212は、遠位作業ヘッド268および近位係合セクション270を含む細長い駆動ビーム266を含む。1つの実施形態において、駆動ビーム266は、材料の多数の積み重ねられたシートから構築される。係合セクション270は、一対の弾性係合フィンガー270aおよび270bを含み、これらの弾性係合フィンガーは、駆動部材272中に形成される一対の対応する保持スロットに取り付けるように係合する。駆動部材272は、DLU16の近位端が外科用器具500の本体部分412と係合する場合に、外科用器具の制御棒520(図11)の遠位端を受容するような配置である近位ポートホール274を含む。
【0024】
図5〜10も参照して、DLU16は、ロック部材300およびロック部材アクチュエーター302を含むロック機構をさらに含む。ロック部材300(図6)は、DLU16の本体部分200のハウジングの上半分250の近位部分に形成される長手方向スロットまたは軸方向スロット310(図7)内に回転可能に支持される。ロック部材300は、ロック部材300が駆動アセンブリ212を発射前位置に維持する第1の位置(図7および8)から、駆動アセンブリ212が自由に軸方向に動く第2の位置(図9および10)へ移動可能である。
【0025】
図6に図示されるように、ロック部材300は、半円筒状本体312を含み、この半円筒状本体312は、本体部分200のハウジングの上半分250に形成される横断方向スロット310内に滑動可能に配置される。本体312は、半径方向内側に延びるカム部材314および半径方向内側に延びるフィンガー316を含む。フィンガー316は、駆動アセンブリ212中に形成されるノッチまたはスロット270c(図3)内に滑動可能に受容されるような寸法である。駆動アセンブリ212のノッチ270c中のフィンガー316の係合は、駆動アセンブリ212が、本体部分200内で直線的に移動することを防ぎ、そして従ってDLU16の作動を防ぐ。
【0026】
図3、5および7を参照して、ロック部材アクチュエーター302は、DLU16の本体部分200のハウジングの上半分250中に形成される軸方向スロット320(図7)内に滑動可能に配置される。アクチュエーター302は、近位当接部材322、遠位ばねガイド324、および中央カムスロット326を含む。軸方向スロット320は、横断方向スロット310を横断し、その結果、ロック部材300のカム部材314がロック部材アクチュエーター302のカムスロット326内に滑動可能に配置される。付勢部材またはばね328(図7)は、アクチュエーター302の遠位表面330と軸方向スロット320の遠位端を規定する壁332(図7)との間で、ばねガイド324の周りに配置される。ばね328は、アクチュエータ302を、軸方向スロット320内でその退却位置に押す。その退却位置において、当接部材322は、近位本体部分200の挿入チップ193に隣接するDLU16の近位端上に配置されかつそこから半径方向外側に延び、そしてカムスロット326は、ロック部材300のフィンガー316が駆動アセンブリ212のノッチ270c内に配置されるようにカム部材314を位置決めするように配置される。
【0027】
図11〜16は、DLU16が外科用器具500に取り付けられる前および取り付けられている間のDLU16および外科用器具500を図示する。図11〜13を参照して、外科用器具500は、ハンドル部分510および本体部分512を含む。ハンドル部分510は、固定ハンドル514および可動ハンドル516を含む。可動ハンドル516は、固定ハンドル514に対して移動可能であり、本体部分512の遠位端から突出する制御棒520を前進させる。外科用器具500は、米国特許6,330,965号に開示されるステープリング器具であり得、この米国特許6,330,965号は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0028】
外科用器具500へのDLU16の取り付けの前に、ばね328は、アクチュエーター302をその退却位置に押し、ロック部材300を、上で議論されたようなそのロック位置に動かす。DLU16の挿入チップ193が、外科用器具500の本体部分(図13)の開放端522(図11)の中へ直線的に挿入される場合、こぶ254は、本体部分512の開放端522中に形成されるスロット(示さず)を通って直線的に動く。こぶ254がそのスロットを通過するとき、こぶ254から角度上斜めにある当接部材322の近位端322aが、こぶ254を受容するためのスロットを規定する壁276cに隣接する。DLU16がさらに本体部分512中に動かされる場合、ロック部材アクチュエーター302は、その退却位置からその前進位置へ、図14において矢印「T」により示される方向に移動される。アクチュエーター302がその前進位置に動かされる場合、ロック部材300は、図14において矢印「U」により示される方向に、駆動アセンブリ212と係合されるロック位置(図8)からロックされていない位置(図10)へカム作用し、ノッチ270cからフィンガー316を動かす。ロック部材300およびロック部材アクチュエーター302を含むロック機構は、DLU16の外科用器具500への装填の間のような、DLU16の駆動部材の偶然または過失による前進または操作を防ぐ。
【0029】
DLU16が、器具500に対して直線的に、本体部分200の近位表面530が本体部分512の内側表面276cに隣接する位置(図15)へ移動されるとき、DLU16は、本体部分512に対して差込ピンタイプの作用で回転され得、DLU16を本体部分512にロックするために、こぶ254を本体部分512の開口部536内に配置する。差込ピン以外の他の結合タイプ、例えば、ばね止め金(spring detent)結合またはスナップばめ結合、摩擦ばめ結合、インターロック部材、ねじ山を切った結合(threaded coupling)が使用されてDLU16を器具500に連結し得ることが想定される。
【0030】
ツールアセンブリおよび本体部分を含む使い捨てローディングユニットが提供される。駆動アセンブリは、少なくとも部分的にこの本体部分内に移動可能に配置され、そしてツールアセンブリを作動させるために、そのツールアセンブリに作動可能に結合される。ロック機構は、その駆動アセンブリを、DLUの外科用器具への取り付けの前およびその間に、発射前位置に維持するために提供される。このロック機構は、ロック部材およびロック部材アクチュエーターを含む。このロック部材アクチュエーターは、外科用器具への上記DLUの挿入チップの直線的な挿入に応答して、上記ロック部材をロックされていない位置へ動かすために移動可能である。
【0031】
種々の改変が、本明細書中に開示された実施形態に対してなされ得ることが理解される。例えば、上に記載されたロックアセンブリは、種々の外科用器具(DLUを含む)に組込まれ得、そして直線状のステープラーでの使用に限定されない。さらに、このDLUは、開示されたものと対照的に、外科用器具の挿入チップを受容するような配置であり得る。それゆえに、上記の記載は限定的と解釈されるべきではなく、単に好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲および趣旨内で他の改変を想定する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
ここで開示されるロック機構は、ステープラー、クリップ付与機、および他の手持ち型デバイスまたはロボット制御デバスを含む他の外科用器具に組込まれ得る。
【符号の説明】
【0033】
10 外科用ステープラー
16 使い捨てローディングユニット(DLU)
17 ツールアセンブリ
18 カートリッジアセンブリ
20 アンビルアセンブリ
30 変形用凹部
32 カバープレート
34 空洞
38 長手方向スロット
40 保持フランジ
48 キャリア
56 支持チャネル
54 ステープルカートリッジ
66 ファスナー
68 プッシャー
78 ナイフ刃
193 挿入チップ
200 本体部分
202 取り付けアセンブリ
212 駆動アセンブリ
284 旋回軸部材
300 ロック部材
302 ロック部材アクチュエーター
500 外科用器具
510 ハンドル部分
512 本体部分
514 固定ハンドル
516 可動ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−130729(P2012−130729A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−39314(P2012−39314)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【分割の表示】特願2006−64929(P2006−64929)の分割
【原出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】