説明

駆動伝達装置、駆動装置および画像形成装置

【課題】被検出ギヤの損傷を生じさせることなく、摩擦帯電した被検出ギヤと検出装置との間で絶縁破壊が生じることを抑制することが出来る駆動伝達装置、並びに、これを備えた駆動装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】駆動装置500は、透過センサ51に対する電磁波の影響を抑制する形状変更可能なセンサカバー54を有し、透過センサ51及びセンサカバー54は、同一の部材であるセンサホルダ55に対して組み付けられるものであり、センサカバー54に精度誤差が生じていても、透過センサ51及びセンサカバー54を組み付けるときに、センサカバー54が透過センサ51に突き当たり、センサカバー54の発光保護部54a及び受光保護部54bの透過センサ51に対する位置が感光体駆動ギヤ52に接触しない範囲内となるように、センサカバー54の形状が透過センサ51の外周面によって矯正されることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源から駆動対象まで駆動を伝達する駆動伝達部材の全部または一部がギヤ列からなる駆動伝達装置、並びにこの駆動伝達装置を備えた駆動装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、黒色を含む複数色のトナー像をそれぞれの色に対応した像担持体上に形成する複数の画像形成部が設けられた画像形成装置が知られている(特許文献1など)。
この種の画像形成装置では、それぞれの色に対応した像担持体上に形成されたトナー像を記録体上で重ね合わせて記録体上にフルカラー画像を形成する。このため、記録体上で高精度な色合わせを達成するには、各像担持体の回転周期の周期変動等による各色の重ね合せ偏差を抑制することが求められる。各色の像担持体同士の回転位相を合わせ、各色の重ね合せ偏差を抑制するために、各色の像担持体の回転位置を検出し、その検出結果に基づいて像担持体を回転駆動させる駆動源の駆動を制御し、各色の位相を合せる制御を実施している。
各色の像担持体の回転位置を検出する構成としては、像担持体と同軸に固定され、駆動源からの回転駆動が伝達される像担持体駆動ギヤに回転位置を検出するための位置検出部材を設け、装置本体側の検出装置によって位置検出部材を検出するものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、像担持体駆動ギヤを備え、駆動源からの回転駆動を像担持体に伝達する駆動伝達装置では、像担持体駆動ギヤが高電位に帯電することがあった。これは、像担持体駆動ギヤに歯合して駆動を伝達する駆動伝達ギヤと、像担持体駆動ギヤとの摺動摩擦によって像担持体駆動ギヤが摩擦帯電するためである。像担持体駆動ギヤが高電位に帯電すると、像担持体駆動ギヤに近接して配置された検出装置と像担持体駆動ギヤとの間で絶縁破壊が生じ、検出装置の出力に異常が生じるおそれがある。ここで、この絶縁破壊の発生を抑制する構成として、検出装置の周辺に導電性部材を配置することが考えられる。しかし、像担持体駆動ギヤに近接して配置された検出装置の設置位置に対して導電性部材の設置位置の誤差が大きいと、導電性部材が像担持体駆動ギヤに接触し、像担持体駆動ギヤの損傷を生じさせるおそれがある。
このような問題は、検出装置によって回転位置が検出される被検出ギヤが像担持体駆動ギヤである駆動伝達装置に限るものではなく、ギヤ列を構成する少なくとも一つのギヤの回転位置を検出装置によって検出するものであれば生じ得る問題である。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、被検出ギヤの損傷を生じさせることなく、摩擦帯電した被検出ギヤと検出装置との間で絶縁破壊が生じることを抑制することが出来る駆動伝達装置、並びに、これを備えた駆動装置、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、駆動源から駆動対象まで駆動を伝達する駆動伝達部材の少なくとも一部がギヤ列からなり、該ギヤ列を構成する被検出ギヤの回転位置を検出する検出手段を有し、該検出手段が、該被検出ギヤに設けられ、該被検出ギヤの回転位置の変位によって位置が変位する位置検出部材と、該被検出ギヤに近接して配置され、検出位置における該位置検出部材を検出する検出装置とを備える駆動伝達装置において、上記検出装置に対する電磁波の影響を抑制する導電性部材からなる形状変更可能な保護部材を有し、該検出装置と該保護部材とは装置本体に対して設置するために同一の部材に対して組み付けられるものであり、該保護部材における上記被検出ギヤに対する最近接部の該検出装置に対する位置が所定の範囲外となる程度に該保護部材の精度誤差が生じている場合、該検出装置及び該保護部材を組み付けるときに、該保護部材が該検出装置に突き当たり、該最近接部の該検出装置に対する位置が所定の範囲内となるように、該保護部材の形状が該検出装置によって矯正されることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の駆動伝達装置において、上記保護部材は板金で形成され、一部が接地されていることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の駆動伝達装置において、上記保護部材は上記検出装置を導電テープで被覆したものであり、一部が接地されていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動伝達装置において、上記被検出ギヤの近傍に、該被検出ギヤの帯電電位が大きくなることを防止する帯電防止部材を備えることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の駆動伝達装置において、上記帯電防止部材は、除電性能を有するブラシであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4または5の駆動伝達装置において、上記帯電防止部材を、上記被検出ギヤのギヤ歯面の近傍に備えることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4または5の駆動伝達装置において、上記帯電防止部材を、上記被検出ギヤに設けられた上記位置検出部材が該被検出ギヤの回転時に通過する箇所の近傍に備えることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項4乃至7の駆動伝達装置において、上記帯電防止部材が上記被検出ギヤに対して最近接する位置が、上記検出位置の近傍で、且つ、該検出位置に対して該被検出ギヤの回転方向上流側であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の駆動伝達装置において、上記位置検出部材は、上記被検出ギヤが帯電した状態で、表面電位がギヤ歯面の表面電位に対して半分となる位置よりも該被検出ギヤの回転中心側の位置に配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、回転駆動する駆動源と、該駆動源の回転駆動を駆動対象に伝達する駆動伝達手段とを有する駆動装置において、上記駆動伝達手段として、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の駆動伝達装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、像担持体上に形成された画像を最終的に記録体上に転写して、記録体上に画像を形成する画像形成部と、装置本体に設けられた駆動対象を駆動させる駆動手段とを備えた画像形成装置において、上記駆動手段として、請求項10の駆動装置を備えることを特徴とするものである。
【0006】
本発明においては、導電性部材からなる保護部材によって検出装置に対する電磁波の影響を抑制することができる。これにより、摩擦帯電した被検出ギヤと検出装置との間で絶縁破壊が生じることを抑制することが出来る。
また、本発明においては、検出装置と保護部材とを装置本体に対して設置するために同一の部材に対して組み付けることで、組み付け誤差の積み上がりによって検出装置の設置位置に対する保護部材の設置位置の誤差が大きくなることを抑制する。さらに、保護部材における被検出ギヤに対する最近接部の検出装置に対する位置が所定の範囲外となる程度に保護部材の精度誤差が生じている場合、検出装置及び保護部材を組み付けるときに、保護部材が検出装置に突き当たる。そして、保護部材における被検出ギヤに対する最近接部の検出装置に対する位置が所定の範囲内となるように、形状変更可能な保護部材の形状が検出装置によって矯正されることで、保護部材における被検出ギヤに対する最近接部の検出装置に対する位置のばらつきを最小限に抑制する。よって、被検出ギヤに近接して配置された検出装置の設置位置に対する保護部材の設置位置の誤差で、保護部材が被検出ギヤに接触することを防止することができる。これにより、保護部材が被検出ギヤに接触することに起因して、被検出ギヤに損傷が生じることを防止することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被検出ギヤの損傷を生じさせることなく、摩擦帯電した被検出ギヤと検出装置との間で絶縁破壊が生じることを抑制することが出来るという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る駆動装置のセンサユニット、感光体駆動ギヤ及び駆動モータの説明図、(a)は、ブラケット側から見た斜視説明図、(b)は、側壁板側から見た斜視説明図、(c)は、センサユニットの拡大説明図。
【図2】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図3】同プリンタのプリンタ部の拡大説明図。
【図4】二つの駆動装置の斜視説明図、(a)は、側壁板とブラケットとを図示した図面、(b)は、(a)に対して側壁板、ブラケット及び感光体ドラムの図示を省略した図面。
【図5】軸受を取り付けた状態のブラケット等の斜視説明図。
【図6】側壁板側から感光体駆動ギヤ及びブラケットを見た状態の説明図。
【図7】センサカバーの縁をのこぎり上に形成した構成のセンサユニットの斜視図。
【図8】実施例2に係る駆動装置の斜視図。
【図9】実施例3に係る駆動装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラーレーザプリンタ(以下、単にプリンタ100という)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図2は、プリンタ100を示す概略構成図である。図2に示すように、プリンタ100は、プリンタ部150を備えている。図3は、プリンタ部150の拡大説明図である。
【0010】
プリンタ部150は、イエロー,マゼンタ,シアン,黒(以下、Y,M,C,Kと記す)のトナー像を形成するための4つの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kを有している。また、図2及び図3に示すように、プリンタ部150の中間転写ユニット6は、ベルトループ内側に配設された中間転写駆動ローラ8、中間転写テンションローラ15、及び、3つの一次転写ローラ26Y,26M,26Cによって水平方向に延在する姿勢で張架された中間転写ベルト12を有している。中間転写テンションローラ15は揺動可能に軸支されており、中間転写ベルト12内側から外側に向かって中間転写スプリング61により付勢されることで中間転写ベルト12に張力を与えている。像担持体としての中間転写ベルト12は、中間転写駆動ローラ8の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。3つの画像形成ユニット1Y,M,Cは、中間転写ベルト12の張架面に沿って並ぶように配設されている。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、感光体ドラム11Y,11M,11C,11K、帯電装置(図示省略)、現像装置(図示省略)、及び、ドラムクリーニング装置(図示省略)を1つのユニットとして共通の保持体で保持されている。上記帯電装置は、図示しない駆動手段によって回転駆動される感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの周面を、暗中にて、トナーの帯電極性とは逆極性に一様帯電せしめるものである。また、図3に示すように画像形成ユニット1Y,1M,1Cは、作像ユニット5として一体化されており、作像ユニット5としてプリンタ100本体から着脱可能となっている。さらに、プリンタ100本体から取り出した作像ユニット5に対して画像形成ユニット1Y,1M,1Cを各々で着脱可能に構成されている。
【0011】
カラー用の画像形成ユニット1Y,1M,1Cの上方やK用の画像形成ユニット1Kの図中左側方には、光書込ユニット2Y,2M,2C,2Kが配設されている。図示しないパーソナルコンピュータ等の外部装置から送られてくるカラー画像情報は、図示しない画像処理部でY,M,C,Kの情報に分解された後、プリンタ部150内で処理される。光書込ユニット2Y,2M,2C,2Kは、Y,M,C,Kの色分解画像情報に基づいて、周知の技術によって図示しないY,M,C,K用の光源を駆動して、Y,M,C,K用の書込光を生成する。そして、上記帯電装置によって一様帯電せしめられた感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの周面を、Y,M,C,K用の書込光で走査する。これにより、感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの周面には、Y,M,C,K用の静電潜像が形成される。書込光の光源としては、レーザーダイオードやLEDなどを例示することができる。
【0012】
感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの周面に形成された静電潜像は、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いる周知の二成分現像方式を採用した現像装置(図示省略)によって現像されてY,M,C,Kトナー像となる。なお、現像装置としては、トナーからなる一成分現像剤を用いる周知の一成分現像方式を採用したものを用いてもよい。
【0013】
4つの感光体ドラム11のうち、カラー用の感光体ドラム11Y,11M,11Cは、中間転写ベルト12に当接してY,M,C用の一次転写ニップを形成している。また、中間転写ベルト12のループ内側には、中間転写ベルト12を感光体ドラム11Y,M,Cに向けて押圧する一次転写ローラ26Y,26M,26Cが配設されている。一次転写ローラ26Y,26M,26Cには、それぞれ一次転写バイアスが印加されており、これにより、Y,M,C用の一次転写ニップ内に転写電界が形成される。感光体ドラム11Y,11M,11Cの周面に形成されたY,M,Cトナー像は、転写電界やニップ圧の作用によってY,M,C用の一次転写ニップで中間転写ベルト12のおもて面(ループ外側面)に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト12のおもて面には、3色重ね合わせトナー像が形成される。
【0014】
中間転写ベルト12の図中右側方には、像担持体上のトナー像を記録体である記録紙Pに転写する記録体転写ユニット7が配設されている。この記録体転写ユニット7は、無端状の記録体転写ベルト13を有している。記録体転写ベルト13は、二次転写ローラ9、記録体転写駆動ローラ14、記録体転写テンションローラ16、及び、K用の転写ローラ36Kによって縦長の姿勢で張架されている。そして、記録体転写ベルト13は、記録体転写駆動ローラ14の回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。記録体転写テンションローラ16は揺動可能に軸支されており、記録体転写ベルト13の内側から外側に向かって記録体転写スプリング62により付勢されることで記録体転写ベルト13に張力を与えている。また、記録体転写ベルト13の二次転写ローラ9に対する掛け回し箇所を、中間転写ベルト12における中間転写駆動ローラ8に対する駆け回り箇所に当接させて二次転写ニップを形成している。二次転写ローラ9には、二次転写バイアスが印加されており、これにより二次転写ニップ内に転写電界が形成される。また、記録体転写ベルト13のK用の転写ローラ36Kに対する掛け回し箇所をK用の感光体ドラム11Kに当接させて、K用の直接転写ニップも形成している。転写ローラ36Kにも一次転写ローラ26Y,26M,26Cと同様に転写バイアスが印加されており、これによりK用の直接転写ニップ内に転写電界が形成される。
【0015】
プリンタ100内のプリンタ部150の下方には、第一給紙カセット3と第二給紙カセット4とが鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセットは、内部に収容している記録紙Pを紙搬送路に送り出す。送り出された記録紙Pは、プリンタ100内を鉛直方向に沿って延びる紙搬送路内に配設されたレジストローラ対111に突き当たってスキューが補正された後、レジストローラ対111のローラ間に挟み込まれる。そして、レジストローラ対111により、所定のタイミングで更に上方に向けて送り出される。
【0016】
レジストローラ対111から送り出された記録紙Pは、紙搬送路内に形成された、上述のK用の直接転写ニップとY,M,C用の二次転写ニップとを順次通過する。K用の直接転写ニップを記録紙Pが通過する際に、感光体ドラム11Kの周面上のKトナー像が転写電界やニップ圧の作用を受けて記録紙P上に転写せしめられる。更に、その後、記録紙Pが二次転写ニップを通過する際に、記録紙P上に転写されたKトナー像の上に対して、中間転写ベルト12上の3色(Y,M,C)重ね合わせトナー像が転写電界やニップ圧の作用を受けて一括二次転写される。これにより、記録紙Pの表面には、Y,M,C,Kの4色重ね合わせトナー像であるフルカラー画像が形成される。
【0017】
Y,M,C用の一次転写ニップやK用の直接転写ニップを通過した後の感光体ドラム11Y,1M,1C,1Kの表面に付着している転写残トナーは、上記ドラムクリーニング装置によって除去される。なお、Y,M,C,K用のドラムクリーニング装置としては、クリーニングブレードによってトナーを掻き取る方式のものでもよいし、ファーブラシローラによってトナーを掻き取る方式や、磁気ブラシクリーニング方式などのものを用いてもよい。
【0018】
二次転写ニップの上方には、加熱ローラと加圧ローラとの当接によって定着ニップを形成している定着装置10が配設されている。二次転写ニップを通過した記録紙Pは、定着装置10内の定着ニップに送られて、熱と圧力により記録紙P上にフルカラー画像を定着させる定着処理が施される。なお、二次転写ニップと定着装置10の定着ニップとの位置関係は、二次転写ニップから定着装置10に記録紙Pが真っ直ぐ搬送されるような位置関係で設定されている。この後、記録紙Pは排紙路を通り排紙ローラ対30を経由して、プリンタ100の筺体の上面に設けられた排紙トレイ31に排出されてスタックされる。
【0019】
プリンタ100において、モノクロ画像を形成するモノクロモードでは、図示しないパーソナルコンピュータ等の外部装置から送られてくるモノクロの画像データに基づいて、光書込ユニット2KによってK用の感光体ドラム11Kが光走査される。これによって感光体ドラム11Kの表面上に形成されたK用の静電潜像がK用の現像装置によってKトナー像に現像される。このKトナー像は、K用の直接転写ニップで記録紙P上に直接転写された後、定着装置10で記録紙Pに定着される。
カラー用の画像形成ユニット1Y,1M,1C及び中間転写ベルト12の駆動を停止させた状態で、モノクロ画像を形成することで、無駄な駆動による、カラー用の画像形成ユニット1Y,1M,1C(カラー用の感光体ドラム11Y,11M,11C)や中間転写ベルト12などの消耗を回避し長寿命化を図ることができる。
モノクロモードにおいては、レジストローラ対111から送出され記録体転写ベルト13によってK用の直接転写ニップに送り込まれた記録紙PにK用の画像形成ユニット1KからKトナー像を直接転写する。このため、画像形成ユニット1Y,M,Cに加えて画像形成ユニット1Kも、中間転写ベルト12の張架面に沿って並ぶように配設され、中間転写ベルト12を介してKトナー像が二次転写ニップで記録紙P上に転写されるような構成よりも、モノクロ画像の高速プリントを実現することができる。
【0020】
次に、感光体ドラム11を回転駆動する駆動装置について説明する。
4つの感光体ドラム11はそれぞれ独立した駆動源から駆動が伝達され、回転駆動する。
図4は、カラー用の感光体ドラム11Y,11M,11Cのうちの二つの感光体ドラム11の駆動装置500の斜視説明図である。図4(a)は、プリンタ100本体の筺体を構成する図2中の奥側にある側壁板70と、側壁板70に対して駆動装置500の構成部品を位置決めするブラケット71とを図示した図面である。図4(b)は、図4(a)に対して側壁板70、ブラケット71及び感光体ドラム11の図示を省略した図面である。
図5は、軸受711を取り付けた状態のブラケット71等の斜視説明図である。軸受711が感光体駆動ギヤ52の回転軸522と嵌合し、軸受711をブラケット71に固定することで、感光体駆動ギヤ52がブラケット71に対して回転可能に支持された状態となる。
図6は、一つの感光体ドラム11の駆動装置500を側壁板70側から感光体駆動ギヤ52及びブラケット71を見た状態の説明図である。
また、図1は、一つの駆動装置500が備える透過センサ51を備えたセンサユニット50、感光体駆動ギヤ52及び駆動モータ53の説明図である。図1(a)は、ブラケット71側から見た斜視説明図であり、図1(b)は、側壁板70側から見た斜視説明図である。図1(c)は、センサユニット50の拡大説明図である。
【0021】
駆動装置500では、駆動源となる駆動モータ53が駆動することにより、モータギヤ531が回転する。モータギヤ531が回転すると、モータギヤ531と歯合する感光体駆動ギヤ52に駆動が伝達されて感光体駆動ギヤ52が回転する。感光体ドラム11の不図示の回転軸は、感光体駆動ギヤ52のジョイント部524に接続されており、感光体駆動ギヤ52が回転することにより、感光体ドラム11が回転する。本実施形態では、モータギヤ531及び感光体駆動ギヤ52によって駆動伝達装置を構成する。
【0022】
感光体ドラム11を回転駆動する構成としては、本実施形態のように各色毎に駆動装置を配置する構成と、連結ギヤ構成により複数の感光体ドラム11を駆動する構成とがある。本発明はいずれの構成でも適用可能であり、その駆動装置の構成は問わない。
また本実施形態では、駆動伝達装置として、駆動モータ53の回転駆動を感光体ドラム11に伝達する構成を例として挙げている。しかし、これは一例であり、本発明を適用可能な構成は感光体に対する駆動伝達の構成のみを適用対象とするものでは無く、駆動伝達ギヤ列、位置検出部材及び検出装置を有する全ての構成に対して適用可能である。
【0023】
図1(a)及び図4(b)に示すように、感光体駆動ギヤ52のブラケット71と対向する側の面には位置検出部材であるフィラー521が形成されている。本実施形態では、位置検出部材であるフィラー521が感光体駆動ギヤ52と一体であるが、位置検出部材を感光体駆動ギヤ52と別部材で構成し、感光体駆動ギヤ52に具備させる構成であっても良い。
プリンタ100では、各感光体ドラム11の回転周期を検出するために、検出装置である透過センサ51によって、透過センサ51の検知位置におけるフィラー521の有無を検知する。図1(a)の状態では、発光部51aと受光部51bとの間にフィラー521があるため、発光部51aから照射された光がフィラー521によって遮られる。受光部51bで光が受光されないことで、透過センサ51の検知位置である発光部51aと受光部51bとの間にフィラー521が有ることを検知する。また、図4(b)の状態は、透過センサ51の検知位置にフィラー521が無い状態である。
【0024】
プリンタ100では、透過センサ51の検知位置におけるフィラー521の有無を検知することで、感光体駆動ギヤ52と共に回転する感光体ドラム11の回転開始位置及び回転周期を検出する。また、同時に中間転写ベルト12にパターンを形成させる。これにより、複数の感光体ドラム11の周期変動位相を検出し、その位相を合わせる制御を実施し、色合せの高精度化を達成している。
【0025】
ギヤ回転周期を検知するフィラー521及び透過センサ51を有する駆動装置500では、感光体駆動ギヤ52とモータギヤ531との歯合による摺動摩擦によって感光体駆動ギヤ52が帯電することがある。そして、感光体駆動ギヤ52のギヤ径や駆動負荷の条件によっては、感光体駆動ギヤ52が高電位に帯電し、その近傍が高電界状態となることがある。また、ギヤ径は大きいほど帯電量は大きくなり、より高い高電界状態となることが分かっている。
【0026】
本実施形態の駆動装置500では、感光体駆動ギヤ52として、直径が100[mm]の大径ギヤを用いている。大径ギヤを用いることで、感光体ドラム11の回転位置を精度よく制御することが可能となる。
駆動装置500を連続駆動した後に、感光体駆動ギヤ52の表面の電位を測定した。これにより、感光体駆動ギヤ52の帯電電位の発生源であるギヤ歯面から約30[mm]の範囲が、周囲に配置された電子部品との間に絶縁破壊が生じ得る程度に高電位となっていることが分かった。本発明を適用した構成では、高電位に帯電した被検出ギヤ(本実施形態では、感光体駆動ギヤ52)との間に絶縁破壊が生じ得る対象となる電子部品は検出装置(本実施形態では、透過センサ51)である。
感光体駆動ギヤ52が高電位に帯電することによる高電界状態に透過センサ51が長時間晒され続けると、透過センサ51が絶縁破壊による出力異常が発生する。駆動モータ53は透過センサ51がフィラー521を検知するタイミングをトリガとした動作シーケンスを含む制御を実行している。このため、透過センサ51の出力波形に異常が発生すると、駆動モータ53は暴走し異常処理動作が発生するおそれがある。
【0027】
高電界に起因する放電による不具合を抑制する構成として、特許文献2には転写部における高電界に金するパッション放電に起因する不具合を抑制するものが記載されている。しかし、ギヤ同士の摩擦によってギヤが高電位に帯電することに起因して生じ得る放電現象について、従来はあまり問題視されていなかった。
【0028】
〔実施例1〕
次に、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間で絶縁破壊が生じることを抑制する構成の一つ目の実施例(以下、実施例1とよぶ)について説明する。
実施例1の駆動装置500では、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間で絶縁破壊が生じることを抑制するためのセンサカバー54を備える。図1(c)に示すように、透過センサ51はセンサホルダ55に設置されている。また、センサカバー54は、透過センサ51の周囲部を囲う形状でセンサホルダ55に設置されている。このセンサカバーは導電部材により形成されるものであり、具体例として、板金、SUS板金等が挙げられる。センサカバー54は、発光部51aの上方及び側方を覆う発光保護部54a、受光部51bの下方及び側方を覆う受光保護部54b、及び、センサホルダ55に対する組み付けを行う組み付け部54cを一体とした部材である。
【0029】
センサユニット50は、ブラケット71に設けられた不図示の開口部に、センサホルダ55を嵌め込む構成(センサホルダ55の下端の爪部55bをブラケット71の開口部に引っ掛け、センサホルダ55の上端のスナップフィット55aで固定する構成)で設置されている。
このようにセンサホルダ55をブラケット71に嵌め込むことで、センサカバー54の組み付け部54cがブラケット71に接触する。ブラケット71は接地されているため、組み付け部54cがブラケット71に接触することでセンサカバー54は安定してアースを取れる状態となっている。
【0030】
このような構成により、感光体駆動ギヤ52が高電位に帯電し、放電現象が発生した場合、放電による電流はセンサカバー54へと流入するため、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間で絶縁破壊が生じることを抑制できる。
また、透過センサ51は発光部51aの発光素子や受光部51bの受光素子を樹脂カバーにより保護されている形状が一般的である。このため、センサ近傍にセンサカバー54のような導電部材がある場合には放電現象による電流は格段に導電部材へと流入しやすくなる。よって、センサカバー54と感光体駆動ギヤ52との干渉を考慮すると、感光体駆動ギヤ52に対する透過センサ51の最近接部に対して、センサカバー54の感光体駆動ギヤ52に対する最近接部は透過センサ51よりも数[mm]程度離間した位置に配置してもよい。
【0031】
センサカバー54及び透過センサ51は、それぞれセンサホルダ55に組み付ける構成となっている。このため、センサホルダ55をブラケット71に固定することで、センサカバー54及び透過センサ51のプリンタ100本体に対する位置決めが成される。
また、図1(c)に示すように、センサカバー54の発光保護部54a及び受光保護部54bは透過センサ51の発光部51a及び受光部51bを囲むようにコの字型となっている。このような形状により、センサカバー54の発光保護部54a及び受光保護部54bの上下方向及び左右方向の設置範囲は、透過センサ51によって規制される。
【0032】
センサカバー54における感光体駆動ギヤ52に対する最近接部は、発光保護部54aまたは受光保護部54bである。
ここで、例えば、センサカバー54の製造公差によって、発光保護部54aが図1(c)の状態よりも下方となると、発光保護部54aの下端が透過センサ51の検知位置を通過するフィラー521と接触するおそれがある。これに対して、本実施形態では、発光保護部54aの下端がフィラー521と接触する程度にセンサカバー54に精度誤差が生じていたとしても、透過センサ51及びセンサカバー54をセンサホルダ55に組み付けるときに、発光保護部54aの上部の下面が発光部51aの上面に突き当たる。そして、センサカバー54における感光体駆動ギヤ52に対する最近接部となる発光保護部54aの下端の透過センサ51に対する位置が所定の範囲内となるように、すなわち、発光保護部54aの下端の位置がフィラー521と接触しない範囲となるように、形状変更可能なセンサカバー54が透過センサ51によって矯正される。これにより、発光保護部54aの下端の位置が規制され、発光保護部54aの下端が感光体駆動ギヤ52のフィラー521に接触することを防止できる。
【0033】
同様に、センサカバー54の製造公差によって、受光保護部54bが図1(c)の状態よりも上方となるような場合は、透過センサ51及びセンサカバー54をセンサホルダ55に組み付けるときに、受光保護部54bの下部の上面が受光部51bの下面に突き当たる。そして、センサカバー54における感光体駆動ギヤ52に対する最近接部となる受光保護部54bの上端の透過センサ51に対する位置が所定の範囲内となるように、すなわち、受光保護部54bの上端の位置がフィラー521と接触しない範囲となるように、形状変更可能なセンサカバー54が透過センサ51によって矯正される。これにより、受光保護部54bの上端の位置が規制され、受光保護部54bの上端が感光体駆動ギヤ52のフィラー521に接触することを防止できる。
【0034】
このように、発光部51aの上面が発光保護部54aの位置を規制し、受光部51bの下面が受光保護部54bの位置を規制することで、センサカバー54の発光保護部54a及び受光保護部54bの上下方向の位置が規制される。
【0035】
また、センサカバー54の製造公差によって、受光保護部54bまたは発光保護部54aが図1(c)の状態よりも左右方向にずれると、円弧状のフィラー521が受光保護部54bの上端に接触したり、発光保護部54aが感光体駆動ギヤ52の外周の縁の内側に接触したりするおそれがある。これに対して、本実施形態では、受光保護部54bまたは発光保護部54aが感光体駆動ギヤ52の一部に接触する程度にセンサカバー54に精度誤差が生じていたとしても、透過センサ51及びセンサカバー54をセンサホルダ55に組み付けるときに、受光保護部54bまたは発光保護部54aの側壁部の内側面が受光部51bまたは発光部51aの側面に突き当たる。そして、センサカバー54における感光体駆動ギヤ52に対する最近接部となる受光部51bまたは発光部51aの透過センサ51に対する位置が所定の範囲内となるように、すなわち、受光部51bまたは発光部51aが感光体駆動ギヤ52と接触しない範囲となるように、形状変更可能なセンサカバー54が透過センサ51によって矯正される。これにより、受光保護部54bまたは発光保護部54a左右方向の位置が規制され、受光保護部54bまたは発光保護部54aが感光体駆動ギヤ52に接触することを防止できる。
【0036】
このように、受光部51b及び発光部51aの側面が受光保護部54b及び発光保護部54aの側壁部の位置を規制することで、センサカバー54の発光保護部54a及び受光保護部54bの左右方向の位置が規制される。
よって、本実施形態では、センサカバー54の発光保護部54a及び受光保護部54bの透過センサ51に対する上下及び左右の2方向の位置が透過センサ51によって規制された構成である。
【0037】
このような構成により、感光体駆動ギヤ52のフィラー521の近傍に配置されている透過センサ51に対して、センサカバー54が他の部品を介さずに透過センサ51によって位置規制が成されている。このため、部品の組み付け精度のばらつきを最小限に抑制することが可能となり、組み付け時においても、2部品の寸法設定のみでセンサカバー54が透過センサ51に対して感光体駆動ギヤ52に近接しないように設定する事が可能となる。
【0038】
また、実施例1のセンサカバー54は、図1(c)に示すように、感光体駆動ギヤ52と近接する箇所の外形形状が直線状となっている。これに対して、センサカバー54の感光体駆動ギヤ52と近接する箇所を電流が流入し易い形状に変更することにより、放電現象によって透過センサ51に電流が流入することを抑制する効果の向上が見込まれる。
センサカバー54の感光体駆動ギヤ52と近接する箇所を電流が流入し易い形状とする一例としては、図7に示すように、センサカバー54の発光保護部54aや受光保護部54bの縁をのこぎり状に形成するものを挙げることができる。
【0039】
また、実施例1では、センサカバー54を形成する導電部材として薄板板金を想定しているが、銅箔テープに代表される導電テープで透過センサ51の周囲を保護しても同様の効果を得ることができる。センサカバー54に導電テープを用いる場合、透過センサ51からセンサホルダ55のブラケット71と接触する位置まで導電テープを延長することでアースを確保することができる。
【0040】
〔実施例2〕
次に、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間で絶縁破壊が生じることを抑制する構成の二つ目の実施例(以下、実施例2とよぶ)について説明する。
図8は、実施例2の構成を備えた駆動装置500をブラケット71側から見た斜視図である。
本実施形態の駆動装置500では、上述したように、感光体駆動ギヤ52とモータギヤ531との歯合による摺動摩擦によって感光体駆動ギヤ52が帯電し、感光体駆動ギヤ52の近傍領域が高電界状態となることがある。また、駆動装置500では、感光体駆動ギヤ52に付随するフィラー521がセンサユニット50に配置された透過センサ51の検知位置を通過するタイミングを検知することにより感光体ドラム11の回転開始位置及び回転周期を検知している。
【0041】
感光体駆動ギヤ52はモータギヤ531との噛み合いの摺動摩擦によってギヤ歯面523が帯電源となる。このため、実施例2では、ギヤ歯面523近傍に帯電防止部材である除電ブラシ56を設置することにより、摺動摩擦によって帯電したギヤ歯面523の電位を除去し、感光体駆動ギヤ52が高電位と成ることを抑制し、高電界の発生を抑制する。
このような帯電防止部材を設置することにより、感光体駆動ギヤ52の電位は完全に除去はされないものの激減させることができ、感光体駆動ギヤ52が高電位となることを抑制し、結果として高電界は発生しない。これにより、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間で絶縁破壊が生じることを抑制する。また、絶縁破壊の発生を抑制することで透過センサ51が破損することを防止することができる。
【0042】
除電ブラシ56の有無の違いで感光体駆動ギヤ52のギヤ歯面523の電位を比較する実験を行ったところ、ギヤ歯面523表面電位に大きな差がみられた。
また、除電ブラシ56とギヤ歯面523とは接触してもよいが、除電ブラシ56とギヤ歯面523との最近接位置での距離が1〜2[mm]程度であることが望ましい。除電ブラシ56がギヤ歯面523に接触するのではなく若干の距離で離間により除電効果は増大し、除電ブラシ56とギヤ歯面523との接触によるブラシ抜けも防止することができる。
【0043】
図8では、センサユニット50を配置した位置に対して、感光体駆動ギヤ52の回転方向(図8中の矢印A方向)の上流側に除電ブラシ56を配置している。感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間で絶縁破壊が生じることを防止することを考慮すると、透過センサ51と近接する直前の感光体駆動ギヤ52の位置の電位を下げることが好ましい。このため、センサユニット50を配置した位置に対して、感光体駆動ギヤ52の回転方向上流側に除電ブラシ56を配置することで、より確実に感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間で絶縁破壊が生じることを防止する。
しかし、実施例2のように、ギヤ歯面523に近接して除電ブラシ56を配置する構成では、帯電源となるギヤ歯面523で電位の上昇を抑制する。このため、除電ブラシ56の設置位置がセンサユニット50の設置位置に対して感光体駆動ギヤ52の回転方向上流側でなくとも十分に絶縁破壊の発生を抑制することができる。このように、実施例2では、帯電源での電位の上昇を抑制するため、除電ブラシ56の設置位置は、センサユニット50の設置位置との関係は問わない。
【0044】
また、実施例1のセンサカバー54を備える駆動装置500に、実施例2の除電ブラシ56を配置することにより、より確実に絶縁破壊の発生を抑制することができる。
【0045】
〔実施例3〕
次に、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間で絶縁破壊が生じることを抑制する構成の三つ目の実施例(以下、実施例3とよぶ)について説明する。
図9は、実施例3の構成を備えた駆動装置500をブラケット71側から見た斜視図である。
本実施形態の駆動装置500では、上述したように、感光体駆動ギヤ52とモータギヤ531との歯合による摺動摩擦によって感光体駆動ギヤ52が帯電し、感光体駆動ギヤ52の近傍領域が高電界状態となることがある。また、駆動装置500では、感光体駆動ギヤ52に付随するフィラー521がセンサユニット50に配置された透過センサ51の検知位置を通過するタイミングを検知することにより感光体ドラム11の回転開始位置及び回転周期を検知している。
このような駆動装置500では、フィラー521が透過センサ51の検知位置(発光部51aと受光部51bとの間)を通過するときに、高電位に帯電した部材である感光体駆動ギヤ52と透過センサ51とが最近接する。このため、フィラー521が透過センサ51の発光部51aと受光部51bとの間を通過するときに、高電界による放電現象が発生する可能性が高い。
【0046】
そこで実施例3では、感光体駆動ギヤ52のギヤ側面部に配置しているフィラー521の回転通過位置近傍に除電ブラシ56を設置する。また、除電ブラシ56の設置位置については、感光体駆動ギヤ52の回転方向(図9中の矢印A方向)を考慮してフィラー521が透過センサ51の検知位置を通過する直前に除電ブラシ56を配置することが望ましい。検知位置を通過する直前にギヤ回転による帯電を除去することにより、検知位置通過時のフィラー帯電量を最大限に抑制することができるためである。
【0047】
実験により、フィラー521の通過位置近傍に除電ブラシ56を配置することによりフィラー521の表面電位を低減することができていることが確認できた。
実施例3では、図9中の矢印A方向に感光体駆動ギヤ52が回転するものであり、除電ブラシ56の設置位置はセンサユニット50の設置位置に対して感光体駆動ギヤ52の回転方向上流側となっている。これにより、透過センサ51との最近接位置を通過する直前の感光体駆動ギヤ52のギヤ側面に対して除電を行うことができる。
除電ブラシ56と感光体駆動ギヤ52のギヤ側面とは接触してもよいが、実施例2と同様に、除電ブラシ56とギヤ歯面523との最近接位置での距離が1〜2[mm]程度であることが望ましい。
【0048】
また、実施例1のセンサカバー54を備える駆動装置500に、実施例3の除電ブラシ56を配置することにより、より確実に絶縁破壊の発生を抑制することができる。
【0049】
駆動装置500の感光体駆動ギヤ52はギヤ歯面523が帯電源であるため、表面電位はギヤ外周部が一番高い状態であり、ギヤ回転軸に近接するに従って表面電位は減少傾向にある。本実施形態の感光体駆動ギヤ52は、直径が100[mm]の大径ギヤを用いているが、ギヤ歯面523から約30[mm]程度ギヤ回転軸に近づいた位置では、表面電位はギヤ歯面523に対して半減していた。このような位置では、感光体駆動ギヤ52が高電位に帯電することに起因する絶縁破壊の発生を抑制することができる。従って、感光体駆動ギヤ52におけるフィラー521の配置位置はギヤ歯面523に対して30[mm]以上回転中心側にある位置に配置することが望ましい。
【0050】
以上、本実施形態の駆動装置500を構成する駆動伝達装置は、駆動源である駆動モータ53から駆動対象である感光体ドラム11まで駆動を伝達する駆動伝達部材がモータギヤ531と感光体駆動ギヤ52とのギヤ列からなる。また、駆動伝達装置は、ギヤ列を構成する被検出ギヤである感光体駆動ギヤ52の回転位置を検出する検出手段を有する。この検出手段は、感光体駆動ギヤ52に設けられ、感光体駆動ギヤ52の回転位置の変位によって位置が変位する位置検出部材であるフィラー521と、感光体駆動ギヤ52に近接して配置され、検出位置におけるフィラー521の有無を検出する検出装置である透過センサ51とを備える。このような駆動伝達装置で、透過センサ51の外周部近傍を保護して、透過センサ51に対する電磁波の影響を抑制する導電性部材からなる保護部材であるセンサカバー54を有する。このセンサカバー54を有することにより、モータギヤ531との摩擦帯電によって感光体駆動ギヤ52が高電位に帯電したとしても、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間で絶縁破壊が生じることを抑制することが出来る。これは、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間に絶縁破壊が生じる前に、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間でリークが生じるためである。よって、感光体駆動ギヤ52の近傍に透過センサ51を配置しても絶縁破壊に起因する透過センサ51の出力異常や損傷の発生を抑制することができる。
また、図1(c)に示すように、検出装置である透過センサ51とセンサカバー54とは装置本体を構成する側壁板70及びブラケット71に対して設置するために同一の部材であるセンサホルダ55に組み付けられるものである。これにより、感光体駆動ギヤ52等の回転部材近傍に配置される保護部材であるセンサカバー54の検出装置である透過センサ51に対するばらつきを最小限に抑制することができる。
また、図1(c)に示すように、センサカバー54における感光体駆動ギヤ52に対する最近接部となり得る発光保護部54a及び受光保護部54bは上下方向と左右方向とについて検出装置である透過センサ51によって設置位置の範囲が規制されている。センサカバー54を透過センサ51近傍へ配置する際に透過センサ51を利用してセンサカバー54の発光保護部54a及び受光保護部54bの設置位置を規制することにより、他部品を介さずにセンサカバー54の発光保護部54a及び受光保護部54bの位置規制することことができる。これにより、センサカバー54の発光保護部54a及び受光保護部54bと透過センサ51との設置位置のばらつきを最小限に抑制することができる。これにより、感光体駆動ギヤ52近傍におけるセンサカバー54の適切な位置決めを行うことができる。
また、図1(c)に示すように、実施例1では、センサカバー54の発光保護部54a及び受光保護部54bと透過センサ51との位置決め方法として、センサカバー54と透過センサ51とを同一の部材であるセンサホルダ55に設置する構成を有する。さらに、センサカバー54の発光保護部54a及び受光保護部54bの上下左右の2方向の設置範囲の規制は透過センサ51の形状(発光部51aの上面、受光部51bの下面及び発光部51aと受光部51bとの側面)を利用する構成とすることにより、センサカバー54と透過センサ51との組み付けのばらつきを最小限に抑制することができる。
【0051】
また、実施例1の駆動伝達装置では、保護部材であるセンサカバー54を板金で形成し、透過センサ51に対する電磁波の影響を抑制している。また、組み付け部54cがアースに繋がったブラケット71に接触することで接地されていることにより、感光体駆動ギヤ52が高電位に帯電し、放電現象が発生した場合、放電による電流はセンサカバー54へと流入し易くなり、より確実に透過センサ51に電流が流入することを抑制することができる。
【0052】
また、保護部材であるセンサカバー54としては、透過センサ51を導電テープで被覆したものであってもよく、透過センサ51に対する電磁波の影響を抑制することができる。そして、導電テープからなるセンサカバー54の一部を接地させることにより、実施例1と同様に、感光体駆動ギヤ52が高電位に帯電し、放電現象が発生した場合、放電による電流はセンサカバー54へと流入し易くなり、より確実に透過センサ51に電流が流入することを抑制することができる。
【0053】
また、実施例2の駆動装置500を構成する駆動伝達装置は、被検出ギヤである感光体駆動ギヤ52の近傍に、感光体駆動ギヤ52の帯電電位が大きくなることを防止する帯電防止部材である除電ブラシ56を備える。これにより、透過センサ51が配置された感光体駆動ギヤ52の訓ぼうに高電界が発生することを抑制し、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間での絶縁破壊の発生を抑制し、絶縁破壊に起因する透過センサ51の出力異常や損傷の発生を抑制することができる。
【0054】
また、実施例2では、帯電防止部材は、除電性能を有するブラシからなる除電ブラシ56である。これにより、感光体駆動ギヤ52の帯電電位が大きくなることを防止する構成が実現できる。
【0055】
また、実施例2では、図8に示すように、除電ブラシ56を、感光体駆動ギヤ52のギヤ歯面523の近傍に備える。感光体駆動ギヤ52が高電位に帯電する場合において、摺動摩擦による帯電が生じるギヤ歯面523近傍に感光体駆動ギヤ52の電位を除去する除電ブラシ56を配置することによって、感光体駆動ギヤ52自体の帯電量が大きくなることを抑制することができる。これにより、感光体駆動ギヤ52が高電位に帯電することを抑制し、その結果、感光体駆動ギヤ52近傍の領域に高電界が発生することを抑制できる。よって、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間での絶縁破壊の発生を抑制し、絶縁破壊に起因する透過センサ51の出力異常や損傷の発生を抑制することができる。
【0056】
また、実施例3の駆動装置500を構成する駆動伝達装置は、帯電防止部材である除電ブラシ56を、感光体駆動ギヤ52に設けられたフィラー521が感光体駆動ギヤ52の回転時に通過する箇所の近傍に備える。感光体駆動ギヤ52がモータギヤ531との摩擦帯電によって高電位に帯電する場合において、フィラー521が通過する箇所の近傍に除電ブラシ56が配置されていることによって、少なくともフィラー521近傍の感光体駆動ギヤ52の電位を下げることが出来る。これにより、感光体駆動ギヤ52の透過センサ51との最近接部(フィラー521)近傍が高電位となることを抑制することができ、感光体駆動ギヤ52の近傍で高電界が発生しても、透過センサ51近傍ではその影響を抑制することができる。よって、感光体駆動ギヤ52と透過センサ51との間での絶縁破壊の発生を抑制し、絶縁破壊に起因する透過センサ51の出力異常や損傷の発生を抑制することができる。
【0057】
また、実施例3の駆動伝達装置では、除電ブラシ56が感光体駆動ギヤ52に対して最近接する位置が、透過センサ51による検出位置の近傍で、且つ、検出位置に対して感光体駆動ギヤ52の回転方向上流側となっている。これにより、フィラー521の有無を検出する透過センサ51に対して、フィラー521が透過センサ51の検出位置を通過する直前に除電ブラシ56による除電を行うことができ、絶縁破壊の発生を抑制するための除電を効率的に行うことができる。
【0058】
また、位置検出部材であるフィラー521は、感光体駆動ギヤ52が帯電した状態で、表面電位がギヤ歯面523の表面電位に対して半分となる位置であるギヤ歯面523から回転中心側に約30[mm]の位置よりも回転中心側に配置してもよい。このように配置することで、感光体駆動ギヤ52が高電位に帯電することに起因する絶縁破壊の発生を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態の駆動装置500は、回転駆動する駆動源である駆動モータ53と、駆動モータ53の回転駆動を駆動対象である感光体ドラム11に伝達する駆動伝達手段とを有し、駆動伝達手段として、本実施形態に記載のモータギヤ531、感光体駆動ギヤ52及び透過センサ51等を備える駆動伝達装置を用いる。これにより、感光体駆動ギヤ52が高電位に帯電することに起因して透過センサ51の検出結果に異常が発生することを抑制できる。よって、透過センサ51の検出結果に基づいて駆動モータ53の駆動を制御する構成の場合、駆動モータ53の駆動を適切に制御することができる。
【0060】
また、本実施形態のプリンタ100は、像担持体である感光体ドラム11上に形成された画像を最終的に記録体である記録紙P上に転写して、記録紙P上に画像を形成する画像形成部であるプリンタ部150と、装置本体に設けられた駆動対象である感光体ドラム11を駆動させる駆動手段とを備えた画像形成装置である。このようなプリンタ100の駆動手段として、本実施形態に記載の駆動装置500を用いることによって、駆動モータ53の駆動を適切に制御することができ、駆動対象である感光体ドラム11を適切に回転駆動させることができる。また、プリンタ100のように、4つの色のそれぞれに対応した感光体ドラム11を適切に回転駆動させることによって、記録紙P上での色ずれを抑制して、高品質な画像形成を行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
1 画像形成ユニット
6 中間転写ユニット
7 記録体転写ユニット
9 二次転写ローラ
10 定着装置
11 感光体ドラム
12 中間転写ベルト
13 記録体転写ベルト
26 一次転写ローラ
31 排紙トレイ
36K 転写ローラ
50 センサユニット
51 透過センサ
51a 発光部
51b 受光部
52 感光体駆動ギヤ
53 駆動モータ
54 センサカバー
54a 発光保護部
54b 受光保護部
54c 組み付け部
55 センサホルダ
56 除電ブラシ
70 側壁板
71 ブラケット
100 プリンタ
150 プリンタ部
500 駆動装置
521 フィラー
523 ギヤ歯面
531 モータギヤ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2007−226206号公報
【特許文献2】特開2004−246323号公報
【特許文献3】特開2000−223555号公報
【特許文献4】特開2009−153350号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源から駆動対象まで駆動を伝達する駆動伝達部材の少なくとも一部がギヤ列からなり、該ギヤ列を構成する被検出ギヤの回転位置を検出する検出手段を有し、
該検出手段が、該被検出ギヤに設けられ、該被検出ギヤの回転位置の変位によって位置が変位する位置検出部材と、該被検出ギヤに近接して配置され、検出位置における該位置検出部材を検出する検出装置とを備える駆動伝達装置において、
上記検出装置に対する電磁波の影響を抑制する導電性部材からなる形状変更可能な保護部材を有し、
該検出装置と該保護部材とは装置本体に対して設置するために同一の部材に対して組み付けるものであり、該保護部材における上記被検出ギヤに対する最近接部の該検出装置に対する位置が所定の範囲外となる程度に該保護部材の精度誤差が生じている場合、該検出装置及び該保護部材を組み付けるときに、該保護部材が該検出装置に突き当たり、該最近接部の該検出装置に対する位置が所定の範囲内となるように、該保護部材の形状が該検出装置によって矯正されることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項2】
請求項1の駆動伝達装置において、
上記保護部材は板金で形成され、一部が接地されていることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項3】
請求項1の駆動伝達装置において、
上記保護部材は上記検出装置を導電テープで被覆したものであり、一部が接地されていることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動伝達装置において、
上記被検出ギヤの近傍に、該被検出ギヤの帯電電位が大きくなることを防止する帯電防止部材を備えることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項5】
請求項4の駆動伝達装置において、
上記帯電防止部材は、除電性能を有するブラシであることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項6】
請求項4または5の駆動伝達装置において、
上記帯電防止部材を、上記被検出ギヤのギヤ歯面の近傍に備えることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項7】
請求項4または5の駆動伝達装置において、
上記帯電防止部材を、上記被検出ギヤに設けられた上記位置検出部材が該被検出ギヤの回転時に通過する箇所の近傍に備えることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項8】
請求項4乃至7の駆動伝達装置において、
上記帯電防止部材が上記被検出ギヤに対して最近接する位置が、上記検出位置の近傍で、且つ、該検出位置に対して該被検出ギヤの回転方向上流側であることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の駆動伝達装置において、
上記位置検出部材は、上記被検出ギヤが帯電した状態で、表面電位がギヤ歯面の表面電位に対して半分となる位置よりも該被検出ギヤの回転中心側の位置に配置されていることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項10】
回転駆動する駆動源と、
該駆動源の回転駆動を駆動対象に伝達する駆動伝達手段とを有する駆動装置において、
上記駆動伝達手段として、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の駆動伝達装置を用いることを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
像担持体上に形成された画像を最終的に記録体上に転写して、記録体上に画像を形成する画像形成部と、
装置本体に設けられた駆動対象を駆動させる駆動手段とを備えた画像形成装置において、
上記駆動手段として、請求項10の駆動装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−32653(P2012−32653A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172947(P2010−172947)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】