説明

駆動伝達装置及び画像形成装置

【課題】、センサにより基準位置を検出できるマーキングを備えつつ射出成型上で生じる歯面の偏心を小さく抑えることができ、軸心のずれない駆動伝達装置及びこの駆動伝達装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタAの感光体ドラム1に結合されるドラム駆動ギヤ33と、ドラム駆動ギヤ33を介して感光体ドラム1を回転駆動する駆動モータ31と、ドラム駆動ギヤ33に配置された検知用マーク35と、この検知用マーク35を検知して前記被駆動部材の回転位置を検出する位置検出センサ34とを備えるものとし、検知用マーク35を、ドラム駆動ギヤ33の表面状態を荒くした領域として構成した。検知用マーク35は、ドラム駆動ギヤ33の側面に複数を円周上複数個形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動伝達装置及び画像形成装置に係り、特に被駆動部材に結合される駆動伝達部、前記駆動伝達部を介して前記被駆動部材を回転駆動する駆動手段、前記駆動伝達部に配置された位置検知部及びこの位置検知部を検知して前記被駆動部材の回転位置を検出する位置検出手段を備えた駆動伝達装置及びこの駆動伝達装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の像担持体としての感光体ドラムを有した多色の画像形成装置において、各感光体ドラムの速度変動の偏差が、各色の色ずれとなって、形成した画像に現れてしまう問題がある。すなわち、感光体ドラムには、駆動伝達部材が係合などで一体的に結合され、この駆動伝達部材に駆動力が伝達されて該感光体ドラムを所定に駆動するようにしており、前記の速度変動の偏差は、駆動伝達部材の精度誤差や、感光体ドラムに対する駆動伝達部材の取り付け偏芯などによって生起することが多く、これらに対処することは困難である。このため、各感光体ドラム軸つまり各感光体ドラムの速度変動周期を、ある1つの周期に一致させるようにして、相対的な色ずれ量を最小限に抑え、高画質化を図るようにしていた。
【0003】
この速度変動周期を一致させる方法、つまり各速度変動周期の位相を所定に調整する方法としては、中間転写ベルトなどの中間担持体上に描いた色ずれ補正パターンをパターン検出装置で読み取り、各感光体ドラム軸の速度変動周期及び周期ずれ量を割り出し、色ずれ量が最小となるような各感光体ドラム間の位相差を求め、この位相差の情報をプロファイルとして書き換え可能な不揮発性メモリ等に記憶させ、画像形成前に各感光体ドラム軸の位相関係をプロファイルに倣わせる方法が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
従、従来、各感光体ドラムをプロファイルに倣った位相関係とするため、各感光体ドラムそれぞれの駆動ギヤもしくは専用部材等には、回転位置検出の基準となる位置(以降、マーキングと称する)を一個所設定するとともに、装置本体側にマーキングを検出するマーキング検出センサを固定配置し、これらのマーキング検出センサによって、各感光体ドラムの所定回転位置の検出タイミング差を測定し、この測定した差に基づき、各感光体ドラムの速度変動周期を一致させるように、各感光体ドラム駆動モータを制御した構成があった。すなわち、この構成では、それぞれのマーキングが、各感光体ドラムの回転に伴い各マーキング検出センサの検知範囲を通過する際には、このマーキングの通過を表した検出信号がマーキング検出センサから発信され、これらの検出信号の発信タイミングの差から現状の位相関係を検出し、次に各感光体ドラム駆動モータを所定に制御することで、各感光体ドラムの回転状態をプロファイルに倣わせた位相関係にしている。
【0005】
しかし、駆動ギヤにマーキングを有することで駆動ギヤ一回転変動周期の速度変動が生じる問題があった。これはマーキングの重量の影響で重心が中心からずれて偏心が生じてしまうことが原因と考えられていた。このため、特許文献3に記載のものは、マーキングの重量による軸の鉛直方の重心ずれをなくすようバランスをとり質量回転モーメントが円周方向に一定となった構成としている。これにより、均一化されて重心バランスの安定化が図られる。すなわち、マーキングにより重心バランスの釣合いがとれない場合においても、ドラム駆動ギヤの軸の鉛直方向における重心を感光体ドラム軸芯と一致させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献3に記載のものは、ギヤ歯面形状に大きな偏心や歯累積ピッチ誤差に起因した速度変動により一回転周期の速度変動が生じてしまう。図17は従来例に係るドラム駆動ギヤを示す斜視図である。このドラム駆動ギヤ61は型成型品であり、マーキング(以下フィラー62と呼ぶ)も一体化されている。この場合、フィラーの存在により射出成型時の内圧や温度の不均一性から歯面に部分的な引けが発生してしまうため歯面形状には偏心が生じる。具体的には、フィラー62近辺ではフィラー62の体積分だけ材料が余分に必要となるため先端の歯面まで届きにくくなる他、温度もフィラー分だけ表面積が広くなるため部分的に低い分布となる。その結果、フィラー62近傍の歯面に引けが生じやすくなってしまい温度や圧力の偏差から偏心が生じる。図18は従来例に係るギヤの歯筋を計測したグラフである。細線が基準円、太線が計測した歯筋であり、可視化のために太線は基準円からの誤差を1000倍に拡大している。同図から分かるように、フィラーがある上部には大きな引けが発生していることが確認できる。以上より、特許文献3に記載のものでは、重心バランスを補正できるが、ギヤ歯面形状の偏心や累積ピッチ誤差が生じやすくなる問題が残ってしまうため、ドラム1回転周期変動の色ずれ量を最小限に抑えることができないことが判明した。
【0007】
そこで本発明は、センサにより基準位置を検出できるマーキングを備えつつ射出成型上で生じる歯面の偏心を小さく抑えることができ、軸心のずれない駆動伝達装置及びこの駆動伝達装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、被駆動部材に結合される駆動伝達部と、前記駆動伝達部を介して前記被駆動部材を回転駆動する駆動手段と、前記駆動伝達部に配置された位置検知部と、この位置検知部を検知して前記被駆動部材の回転位置を検出する位置検出手段とを備え、前記検知部として、前記駆動伝達部材の表面状態を荒くした領域を形成したことを特徴とする駆動伝達装置である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の駆動伝達装置において、前記検知部は周回上に複数あることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、請求項1又は2記載の駆動伝達装置を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記被駆動部材は像担持体であることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記駆動装置により前記位置検出手段が検出した複数の検出結果に基づいて、複数の前記像担持体間の位相差を調整するように、前記各駆動手段を制御する制御手段を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、駆動伝達部に検知部が一体成型された部品において、この検知部は前記駆動伝達部材の表面形状を荒くした領域であり、この検知部はその体積が実質的に0であり検知部の存在が体積的な影響を与えず、成型時の圧力分布や温度分布が均一状態になるため、駆動伝導部の形状形成時における引けを最小限に抑えることができ、駆動伝達の際の一回転周期変動成分を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置の基本構造を示すものであり、(a)は画像形成装置の断面構成図、(b)はイエロートナー像を生成するためのプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【図2】各感光体ドラムをその軸方向から見たときのプリンタの模式図である。
【図3】実施例に係る画像形成装置におけるドラム駆動ギヤを示す斜視図である。
【図4】位置検出センサの検知状態を示す模式図である。
【図5】ドラム駆動ギヤを一回転させたときの位置検出センサの出力を示すグラフである。
【図6】ドラム駆動ギヤを一回転させたときの位置検出センサの出力を示すグラフである。
【図7】実施例に係るギヤの歯筋を計測したグラフである。
【図8】第2の実施例に係るドラム駆動ギヤを示す斜視図である。
【図9】第2の実施例に係るドラム駆動ギヤを一回転させたときの位置検出センサの出力を示すグラフである。
【図10】実施例に係る画像形成装置の電気回路の一部を示すブロック図である。
【図11】位置ずれ検知用のY、C、M、Kそれぞれの基準パターン像群を示す模式図である。
【図12】各色の位置検出センサの出力を示すグラフである。
【図13】基準位置からのずれを示すグラフである。
【図14】演算により得られたK色の感光体ドラムの回転速度変動と、M色の感光体ドラムの回転速度変動とを示すグラフである。
【図15】位相差調整の手順の示すフローチャートである。
【図16】図15に示したフローチャートに従って位相差調整時の駆動モータと各クラッチのON/OFFの状態を示すタイミングチャートである。
【図17】従来例に係るドラム駆動ギヤを示す斜視図である。
【図18】従来例に係るギヤの歯筋を計測したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
電子写真方式の画像形成装置において、被駆動部材である感光体ドラムを駆動伝達部であるドラム駆動ギヤで駆動する。ドラム駆動ギヤには、位置検出用に反射型フォトセンサである位置検出センサが近接配置され、感光体ドラムの位置を検出して各色の印字位置の制御を行なう。検知用マークとして、ドラム駆動ギヤの側面に他の領域に比べて表面荒さを荒くした領域を形成し、これを位置検出センサで検出する。この検知用マークは、周回上に複数形成している。
【0016】
このような構成により、検知用マークの形成は、表面荒さを荒くするものであるので、体積の増加、減少が実質的に0となり、検知用マークを形成することによるドラム駆動ギヤの成型時における圧力分布や温度分布が均一状態になり、歯面の引けを最小限に抑えることができ、駆動伝達の際の一回転周期変動成分を低減できる。また、検知用マークを周回上に複数設けるので、ドラム駆動ギヤが一回転する間に複数の基準位置を検出できるため、初期検出を早めることができる。画像形成装置は、感光体ドラムの一回転変動を小さくできるので、感光体ドラムの一回転変動周期における色ずれを低減することができる。
【実施例】
【0017】
以下本発明の実施例に係る画像形成装置について説明する。図1は画像形成装置の基本構造を示すものであり、(a)は画像形成装置の断面構成図、(b)はイエロートナー像を生成するためのプロセスカートリッジを示す概略構成図、図2は各感光体ドラムをその軸方向から見たときのプリンタの模式図である。図1(a)、(b)及び図2に示すように、プリンタAは、装置本体3内に、最終的な画像定着対象である転写材としての用紙Pに対して転写するためのトナー像が一時的に転写され担持する中間的な像担持体として中間転写ベルト8と、この中間転写ベルト8に当接する複数の像担持体である感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kと、それぞれの感光体ドラム1Y〜1Kに駆動伝達部材である感光体ドラム駆動伝達ギヤ(以降、ドラム駆動ギヤと称する)33Y,33M,33C,33Kを係合させて回転駆動する複数の駆動手段である駆動モータ31Y,31M,31C,31Kと、前記各感光体ドラム1Y〜1Kの回転位置を検知する位置検出手段である位置検出センサ34Y,34M,43C,34Kと、前記複数の感光体ドラム1Y〜1Kの全てを回転させ、前記各位置検出センサ34Y〜34Kによって検出したドラム間位相差情報に基づいて感光体ドラム1Y〜1Kの回転駆動を所定に制御、つまり回転速度を変更する、あるいは回転開始時間や回転停止時間を感光体ドラム1Y〜1Kごとに変更することにより、前記複数の感光体ドラム1Y〜1Kの位相を調整する制御を行なう制御手段を、収容した構成とされている。
【0018】
このプリンタAは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、それぞれ「Y」、「M」、「C」、「K」と記す)色の可視像としてのトナー像を生成する4つのプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kを有している。すなわち、これらの4つのプロセスカートリッジ6Y〜6Kは、それぞれの感光体ドラム1Y〜1Kを、水平な回転軸を中心に回転可能にかつ、そのドラム表面の一部分を、各プロセスカートリッジ6Y〜6Kの外部に露出させて収納しており、各プロセスカートリッジ6Y〜6Kは、前記の一部分を、中間転写ベルト8に接した状態で装置本体3内に装着され、この状態で、同ドラム表面に、それぞれが担当したY〜Kのいずれかの色のトナー像を生成するようにしている。これらのプロセスカートリッジ6Y〜6Kは、基本的に同一に構成され、それぞれには、画像形成剤として、互いに異なる色のYトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーが供給されている。また各プロセスカートリッジ6Y〜6Kは、それぞれ装置本体3に簡易に着脱可能に構成され、消耗品として交換できるようになっており、寿命到達時に新品に交換される。以下に、Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yについて説明するが、他の色トナー像用のプロセスカートリッジ6M〜6Kも、基本的に同一の部材を有して同一に構成されている。
【0019】
図1(b)に示すように、プロセスカートリッジ6Yは、少なくとも、装置本体3に装着した状態で水平な軸を中心に所定に回転駆動される像担持体としての感光体ドラム1Yを有し、この感光体ドラム1Yの周りに、その図中時計回りの回転方向の上流側から下流側に向けて、順次、ドラムクリーニング装置2Y、図示しない除電装置、帯電装置4Y、剤供給対象である現像装置5Yなどのいずれか1つ以上を設けた構成とされている。帯電装置4Yは、所定電圧が印加されて感光体ドラム1Yに従動回転する帯電ローラを有し、前記の時計回りに回転される感光体ドラム1Yの表面を一様帯電する。一様帯電された感光体ドラム1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像が生成される。
【0020】
現像装置5Yは、感光体ドラム1Y表面に所定の微小間隔を設けて、感光体ドラム1Yに従動するように回転する現像ローラを有し、この現像ローラにYトナーのトナーブラシを形成するように構成され、形成したブラシ状のYトナーがドラム表面に移動できるようにしている。従、感光体ドラム1Y表面上に生成されたY静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に可視像化され、このYトナー像が中間転写ベルト8上に中間転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体ドラム1Y表面に、所定圧かつ所定の当接角度でその先端のブレードエッジが接したクリーニングブレードを有し、前記の表面に残留してドラム回転に伴い運ばれてくるトナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体ドラム1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体ドラム1Yの表面が初期化されて次の画像形成に供せられる。他のプロセスカートリッジ6M,6C,6Kにおいても、同様に動作して各感光体ドラム1M,1C,1K上にそれぞれMトナー像、Cトナー像、Kトナー像が形成され、これらのトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねられて中間転写される。
図1(a)に示すように、各プロセスカートリッジ6Y〜6Kの図中下方には、露光装置7が配設されている。すなわち、潜像形成手段である露光装置7は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y〜6Kにおけるそれぞれの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに照射して露光する。この露光により、各感光体ドラム1Y〜1K上にそれぞれY静電潜像、M静電潜像、C静電潜像、K静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体ドラムに照射するものである。この露光装置7は、プロセスカートリッジ6Y〜6Kなどとともに、感光体ドラム1Y〜1K上に可視像であるトナー像を形成する可視像形成手段を構成している。
【0021】
また、図1(a)に示すように、露光装置7の図中下側には、給紙手段が配設され、この給紙手段は、紙収容カセット26、これに組み込まれた給紙ローラ27、レジストローラ対28など有している。紙収容カセット26には、記録材としての用紙Pが、複数枚、積層されて収納しており、一番上の用紙Pには、給紙ローラ27が当接されている。従、給紙ローラ27が図示しないモータなどの駆動手段によって図中反時計回りに回転させられると、一番上の用紙Pだけが、レジストローラ対28のローラ間に向けて搬送経路上に送給される。この用紙Pを挟み込むように、レジストローラ対28は、その両ローラを回転駆動されるが、挟み込むとすぐに回転を一旦停止させ、用紙Pを挟持する。そして、レジストローラ対28は、用紙Pを、中間転写ベルト8上のトナー像を用紙Pに転写させる適切なタイミングで、2次転写ニップに向けて送り出すようにしている。
【0022】
また、同図において、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの図中上方には、中間転写体としての中間転写ベルト8を張架しながら無端移動させた構成の中間転写ユニット15が配設されている。この中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8の他、ベルトクリーニング装置10などを有している。また、4つの1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9K、2次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども有している。中間転写ベルト8は、これらの7つのローラに張架されながら、少なくとも、いずれかの1つのローラが回転駆動されることによって、図中反時計回りに無端移動される。1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を対向した各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kとの間に挟み込んで、それぞれの箇所に1次転写ニップを形成している。これらの1次転写ニップには、中間転写ベルト8の裏面(ベルトループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス極性)の転写バイアスが印加されている。1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY、M、C、K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上のYトナー像、Mトナー像、Cトナー像、Kトナー像が重ね合わせて1次転写され、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像と称する)が形成される。
【0023】
また、上記中間転写ユニット15には、中間転写ベルト8が感光体ドラム1Kに接触した状態から、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y,1M,1Cに対して接離する状態にするための図示しない接離機構も設けられている。
【0024】
上記2次転写バックアップローラ12は、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この2次転写ニップで用紙Pに転写される。そして、用紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。なお、2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8表面は、用紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着していることがあるので、前記のベルト表面を、上記ベルトクリーニング装置10によって、クリーニングするようにしている。
【0025】
2次転写ニップにおいては、互いに順方向に表面移動する中間転写ベルト8と2次転写ローラ19との間に、用紙Pが挟まれて、上記レジストローラ対28側とは反対方向に搬送される。2次転写ニップから送り出された用紙Pは、定着装置20のローラ間を通過する際に、熱と圧力と影響を受けて、その表面にカラートナー像が定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部50aが形成されており、上記排紙ローラ対29によって機外に排出された用紙Pは、このスタック部50aに順次、積み重ねられる。
【0026】
上記中間転写ユニット15と、これよりも上方にあるスタック部50aとの間には、ボトル収納部51が配置されている。このボトル収納部51には、各色トナーをそれぞれ収容する剤収容器としてのトナーボトル52Y,52M,52C,52Kがセットされている。各トナーボトル52Y〜52K内の各色トナーは、それぞれ図示しないトナー供給装置により、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの現像装置に適宜補給される。各トナーボトル52Y〜52Kは、プロセスカートリッジ6Y〜6Kとは独立し、かつそれぞれ個別に、プリンタAの装置本体3に対して着脱可能に構成されている。従、プロセスカートリッジ6Y〜6Kにトナーを補給して、空になったいずれかのトナーボトル52Y〜52Kは、新品トナーが充填された新たなトナーボトル52Y〜52Kに交換される。
【0027】
次に、各感光体ドラム1Y〜1Kを互いに独立して所定に回転駆動し、これらの回転駆動を所定に制御した構成を説明する。すなわち、ドラム駆動ギヤ33Y〜33Kが結合された感光体ドラム1Y〜1Kに関して、装置本体3側に個別に設けた各感光体ドラム用の駆動源からドラム駆動ギヤ33Y〜33Kに回転駆動力を伝達して、各感光体ドラム1Y〜1Kを個別に所定に回転駆動する構成と、これらの回転駆動を所定に制御する制御手段について説明する。
図2に示すように、各感光体ドラム1Y〜1Kの軸方向一端部(図中奥側の端部)には、それぞれ、ドラム駆動ギヤ33Y,33M,33C,33Kが設けられている。これらのドラム駆動ギヤ33Y〜33Kは、その軸が感光体ドラム1Y〜1Kの感光体ドラム軸11とジョイント部材で係合されて結合され、感光体ドラム1Y〜1K端部に一体化するように設けられており、感光体ドラム1Y〜1Kと一体的に回転する。
【0028】
すなわち、例えばドラム駆動ギヤ33Y〜33Kの図示しないギヤ軸と、各感光体ドラム1Y〜1Kの感光体ドラム軸11とが、それぞれの軸端部に固着された1対の係合部材からなるジョイント部材を介して、回転駆動力を伝達可能に、同軸上にかつ着脱自在に結合されている。すなわち、感光体ドラム軸11の端部には該軸感光体ドラム軸11と一体的に回転するジョイント部材としての第1の係合部材である図示しない第1カップリングが固着されている一方、ドラム駆動ギヤ軸の端部には該ギヤ軸と一体的に回転する同ジョイント部材としての第2の係合部材である図示しない第2カップリングが固着されている。従、プロセスカートリッジ6Y〜6Kを装置本体3の所定箇所に装着した際には、第1の係合部材である被駆動側の第1カップリングが、第2の係合部材である駆動側のカップリングに係合して噛み合い、回転駆動力を伝達可能に結合される。このようにジョイント部材を介して、同軸上に軸端同士を結合しているので、この軸結合及び同結合の解除が容易化される。また、本例では、この駆動経路には、感光体用クラッチ37Y,37M,37,37C,37K(図示していない、図10参照)が配置され、駆動モータ31Y,31M,31C,31Kからの回転を接続、切断することができるようになっている。

【0029】
そして、各ドラム駆動ギヤ33Y〜33Kには、それぞれの駆動モータ31Y,31M,31C,31Kから駆動力が伝達されて、各感光体ドラム1Y〜1Kを所定に回転駆動するようになっている。すなわち、各ドラム駆動ギヤ33Y〜33Kは、その外周面に歯が刻設された外歯状の歯車であり、このドラム駆動ギヤ33Y〜33Kの歯車径よりも小径の外歯状の歯車である駆動伝達ギヤ32Y,32M,32C,32Kに、駆動力を伝達可能に、それぞれ噛み合わされている、又は、これらの両者の外周面は、所定の摩擦係数が確保された平坦面に形成され、摩擦接触による駆動力を伝達可能に、それぞれ所定の接触圧を確保して接している。従、摩擦接触で駆動力を伝達した構成では、歯車の構成での歯同士が接する際に生じる音、衝突音を解消できるので、画像生成動作時の静粛化を図ることができる。
【0030】
そして、これらの駆動伝達ギヤ32Y〜32Kは、装置本体3側に設けた駆動手段としての駆動モータ31Y,31M,31C,31Kの出力軸に固着され、各駆動モータ31Y,31M,31C,31Kからの回転駆動力によってそれぞれ互いに独立して回転駆動される。このように、それぞれの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kごとに、個別に、駆動源としての駆動モータ31Y,31M,31C,31Kを設けているので、各感光体ドラムを、互いに独立して、個別にそれぞれの回転を制御できるようにしている。他方、このように、1段減速で各感光体ドラム1Y〜1Kを回転駆動する構成、つまり各感光体ドラム1Y〜1Kに一体となって回転するドラム駆動ギヤ33Y〜33Kに回転駆動力が伝達され、その他のギヤを介在させていない構成なので、伝達効率の向上が図れるとともに、各感光体ドラム1Y〜1Kの回転制御を正確にかつ精密に行なうことができる。
【0031】
各駆動モータ31Y,31M,31C,31Kは、制御手段としての制御部150によって、その出力軸の回転速度や、回転を開始するタイミング、停止するタイミングが制御される。また、前記感光体用クラッチ37Y,37M,37,37C,37Kも制御部150によって接続、切断の制御がなされる。また、制御部150は、プリンタ全体のプロセス制御を行なっており、IOポート、CPU、ROM、RAMなどによって構成されている。すなわち、各駆動モータ31Y〜31Kに電力を供給する図示しない駆動回路は、制御部150に配線接続され、制御部150からの指令信号に従って、所定の電力供給タイミングで、かつ所定電圧や所定電流、所定周波数に設定や調整した電力を供給し、又は所定のタイミングで供給を停止し、上記の速度やタイミングなどの各種の回転動作が制御されている。
【0032】
また制御部150には、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの回転位置を検知するために設けられた位置検出手段としての位置検出センサ34Y〜34Kに配線接続され、各位置検出センサ34Y〜34Kから出力される検知信号が入力されて、各感光体ドラム1Y〜1Kの回転位置を認識できるように構成されている。すなわち、制御部150は、この検知信号に基づいて、各駆動モータ31Y〜31Kを制御し、中間転写ベルト8上に転写される各色トナー像のずれ量が最小となるように、各感光体ドラム1Y〜1Kの駆動制御を行なうようにしている。なお、36は、中間転写ベルト8にその撮像方向が向けられて設置された画像読取センサであり、この画像読取センサ36は、制御部150に配線接続されている。従、中間転写ベルト8上のトナー像を、この画像読取センサ36が読み取り、この読み取ったトナー像を、制御部150に出力できるようにしている。
【0033】
次に、各感光体ドラムの位相差検出から位相差制御までの一連の処理プロセスの概略を説明する。4連タンデムの複合機において、中間転写ベルト上で互いに重なり合う各色トナー像間のずれ量が最小となるような各感光体ドラム間における回転位置の相対関係は、同じ製造工程を経て製造されたプリンタであっても個体差がある。このような色ずれの原因となる個体差は、感光体ドラムに設けられるドラム駆動ギヤの取り付け偏心、ギヤ成型精度、駆動ギヤと像担持体とを結合するジョイント部による速度変動等が、製造するプリンタごとに微妙に異なることから生じる。このため、色ずれは、これらの偏心により感光体ドラムの表面移動速度が変動し、中間転写ベルト上の各色トナー像がその表面移動方向に伸びたり縮んだりしたものとなることによって生じる。そして、色ずれ量が最大となるのは、中間転写ベルト上において、ある色のトナー像が伸びた部分と、他のどれかの色のトナー像が縮んだ部分とが重なり合うように転写されるときである。そこで、この実施形態では、次のようにして、中間転写ベルト上で互いに重なり合う各色トナー像間のずれ量が最小となるような各感光体ドラム間における回転位置の相対関係を測定し、この測定結果に基づいた相対関係データをROMに記憶した構成のデータ記憶手段を有している。具体的に説明すると、データ記憶手段として機能する制御部は、まず、各感光体ドラム1Y〜1Kの表面にそれぞれ色ずれ量を検出するためのテストトナー像を形成し、これらを中間転写ベルト上に転写する。この実施形態では、ブラックの感光体ドラム1Kの回転位置に対する、他の感光体ドラム1Y〜1Kの回転位置の相対角度を45°毎ずらして、各感光体ドラムについて8回テストトナー像を中間転写ベルト上に転写する。そして、このようにして転写した中間転写ベルト上の各テストトナー像を画像読取センサ36により読み取り、制御部にデータとして出力する。制御部150は、テストトナー像ごとに読み取ったデータに基づき、ブラック以外の感光体ドラム1Y,1M,1Cについて、それぞれブラックの感光体ドラム1Kのテストトナー像との色ずれ量が最も少ないときの相対角度を特定する。制御部150には、各感光体ドラム1Y〜1Kの回転位置を検知するために設けられた位置検出手段の位置検出センサ34Y〜34Kが配線接続され、各位置検出センサ34Y〜34Kから出力される検知信号が入力されて、各感光体ドラム1Y〜1Kの回転基準位置を認識できるように構成されている。すなわち、制御部は、この検知信号に基づいて、各駆動モータ31Y〜31Kを制御し、中間転写ベルト8上に転写される各色トナー像のずれ量が最小となるように、各感光体ドラム1Y〜1Kの駆動制御を行なうようにしている。
【0034】
さらに、ドラム駆動ギヤの回転基準位置検出手段について説明する。図3は実施例に係る画像形成装置におけるドラム駆動ギヤを示す斜視図である。図示のドラム駆動ギヤ33には、図中奥側に感光体ドラムが位置する。ドラム駆動ギヤ33の手前面には、位置検知部として、検知用マーク35が形成されている。ドラム駆動ギヤ33のうちこの検知用マーク35以外の平面部は従来のギヤと同様に中心平均粗さがRa32以下で表面が十分に平らであるのに対し、検知用マーク35の領域だけは中心平均粗さがRa128以上で表面の凹凸が大きく形成されている。例えるなら表面を粗めのヤスリで軽くこすり表面が荒らされたような状態となっている。駆動モータからの駆動力によりドラム駆動ギヤ33が回転すると、検知用マーク35は回転軸を中心として円周軌道を描き、装置本体3側に設置された例えば反射型フォトセンサである位置検出センサ34は、検知用マーク35の円周軌道上に焦点が当てられこの面からの反射光を受光して検知用マーク35を検出する。
【0035】
図4は位置検出センサの検知状態を示す模式図である。位置検出センサ34は、発光素子41からの光を検知物に当て、正反射してくる光を受光素子42で受けて検知する。光量がある一定量以上ある場合はHigh信号(以下Hと呼ぶ)が返され、ある一定量以下の場合はLow信号(以下Lと呼ぶ)が返される。
【0036】
図5はドラム駆動ギヤを一回転させたときの位置検出センサの出力を示すグラフ、図6は検知用マークでの位置検出センサの光の状態を示す模式図である。同図においてHは光量が多い状態を、Lは少ない状態を示す。図5でLを示しているのは反射型フォトセンサの検出位置を検知用マーク35が通過したときである。検知用マーク35のように表面の凹凸が多い領域、すなわち表面が粗い状態の領域においては、図6に示すように、乱反射により受光量が減る。一方、反射型フォトセンサの検出位置に検知用マーク35以外の平面がある場合は、図4に示したように、正反射を受光し光量が多くなるためH信号を出力する。位置検出センサ34のH信号からL信号への変化に着目することでドラム駆動ギヤ33回転時における検知用マーク35の位置を検出することが可能となる。
【0037】
従来技術では図17に示すようにドラム駆動ギヤ61の基準位置検出にフィラー12が必要であったため合、ドラム駆動ギヤ61の体積は周方向に不均一となり、フィラー12を備えたドラム駆動ギヤ61は射出成型の際フィラー12の体積分だけ材料が余分に流れ込む必要があるためその部分に近い歯面領域において引けが生じやすくなる。すなわち、ギヤ歯面の歯筋誤差は図18のように一部が引けてしまうためドラム駆動ギヤの偏心が大きくなる影響から駆動ギヤ一回転の周波数成分が感光体表面へ伝達されてしまう。
【0038】
これに対して、本実施例に係るドラム駆動ギヤ33は、検知用マークを備えている。検知用マーク35は、体積が実質的に0であるため、ドラム駆動ギヤ33は周方向に体積が均一となり射出成型の際は歯面の引けは最小限に抑えられる。図7は実施例に係るギヤの歯筋を計測したグラフである。本例に係るドラム駆動ギヤ33の歯筋誤差は真円に近くなることが分かる。本例によれば、ギヤの偏心を小さく抑えることが可能となるので、駆動伝達の際に感光体表面へ載ってくる駆動ギヤ一回転成分は微小となり、ドラム一回転周期の色ずれを小さく抑えることができる。
【0039】
図8は第2の実施例に係るドラム駆動ギヤを示す斜視図である。本例では、1つのドラム駆動ギヤ33に検知用マークを同心円状の3個所に形成している。図9は第2の実施例に係るドラム駆動ギヤを一回転させたときの位置検出センサの出力を示すグラフである。
本実施例によれば、位置検出センサ34の出力は、一回転で3回ほどL信号が出現する。すなわち、基準位置の1/3回転以内で基準位置を検出できるため検知マークが1つの構成より初期検出が早くなる。
【0040】
次にこの例での具体的な回転基準位置検出手段について述べる。まず、1つ目のL信号を検知したときを基準位置として記憶させる。次に、この基準位置が来るのはギヤが一回転した後なので4回目にL信号と検知したときに基準位置と判定する。さらに、その次は7回目にL信号と検知したときに基準位置と判定する。このようにしてギヤがn回転した場合、1+3×n(n=1,2,3…)回目にL信号を検知したときにギヤは基準位置にあると判定できる。上述した例は検知マークが3つの場合で、さらに多い場合も同様である。検知マークがk個ある場合、1+k×n(n=1,2,3…)回目にL信号を検知したときにギヤは基準位置であると判断できる。
【0041】
次に、上述した位置検出センサを使用した駆動制御方法について述べる。図10は実施例に係る画像形成装置の電気回路の一部を示すブロック図である。図において制御部150は、それぞれ電気的に接続された感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、露光装置7、紙収容カセット26、レジストローラ対28、中間転写ユニット15、反射型フォトセンサ69a,69b、位置検出センサ34Y〜34K、感光体用クラッチ35Y,35M,35,35C,35Kなどに接続されている。また、この制御部150は、演算処理を実施するCPU150aと、データを記憶するRAM150bと、DSP(Digital Signal Processor)150cとを備えている。RAM150bには、反射型フォトセンサの検知結果に基づいて感光体ドラムの速度変動の位相を調整する位相調整プログラムを備えており、このプログラムがCPU150a等により実行され、制御部150が、位相差調整手段として機能している。
【0042】
図11は位置ずれ検知用のY、C、M、Kそれぞれの基準パターン像群を示す模式図である。本実施形例に係るプリンタAの制御部150は、各感光体ドラムの周期的な回転速度変動によって生じる位相差を補正して、色ずれ補正を行なっている。この色ずれ補正では、感光体ドラム1Y〜1Kのそれぞれ両端付近で基準可視像である基準像が現像され、中間転写ベルト8の端部付近に順次転写される。この転写により、中間転写ベルト8の両端には、それぞれ図11に示すように、位置ずれ検知用のY、C、M、Kそれぞれの基準パターン像群SK、SM、SC、SYが形成される。基準パターン像のうち、K色の基準パターン像(SK1〜SKn)及びC色の基準パターン像(SC1〜SCn)は中間転写ベルト8の無端移動に伴ってパターン像検知手段たる図中上側の反射型フォトセンサ69bによって検知される。一方、M色の基準パターン像(SM1〜SMn)及びY色の基準パターン像(SY1〜SYn)は中間転写ベルト8の無端移動に伴って図中下側の反射型フォトセンサ69aによって検知される。
【0043】
図12は各色の位置検出センサの出力を示すグラフ、図13は基準位置からのずれを示すグラフである。上記各色の基準パターン像群を形成する際、図12に示すように、位置検出センサ34の検知信号を揃えて、各色の感光体ドラム1Y〜1Kの基準位置を合わせておく。ここで、図13に示すように、中間転写ベルト8の図中上側の基準パターン像SUは、周期変動のない理想の感光体ドラムによって形成されたものであり、図中下側の基準パターン像SDは、回転速度変動のある感光体ドラムによって形成されていると仮定する。図中上側の基準パターン像SUは、回転速度変動のない感光体ドラムによって作成されているので、基準パターン像SUの間隔が等間隔pで形成される。その結果、反射型フォトセンサ69bの検知時間ta1、ta2、ta3・・・も等間隔となる。一方、回転速度変動のある感光体ドラムによって形成された図中下側の各基準パターン像(SD)は、副走査方向の位置ずれが生じ、基準パターン像SDの間隔が等間隔でなくなる。
【0044】
その結果、図13に示すように、中間転写ベルト8の上側に形成された理想の基準パターン像(SU)の形成位置から、中間転写ベルト8の下側各基準パターン像(SD2、SD3、SD4)は、それぞれd1、d2、d3、d4離れた位置に形成されてしまう。その結果、反射型フォトセンサ69aの検知時間tb1、tb2、tb3、tb4・・・もそれぞれ異なる。そこで、上記制御部150は、基準パターン像間の検知時間と中間転写ベルト8の移動速度とに基づいて、基準パターン像の基準位置からのずれ量(d1、d2、d3・・・)を演算することで、感光体ドラム1Y〜1Kの回転速度変動を求めるのである。
【0045】
以下具体的に説明すると、図11に示すように、中間転写ベルト8上側に形成されたK色基準パターン像群(SK)の各基準パターン像間の検知時間を制御部内の記憶部に記憶する。また、これに平行して、中間転写ベルト下側に形成されたM色基準パターン像群(SM)の各基準パターン像間の検知時間を制御部内の記憶部に記憶する。そして、K色基準パターン像の検知時間と中間転写ベルト8の移動速度とに基づいて、K色の基準パターン像についての理想位置からのずれ量(d1、d2、d3・・・)を演算するのである。これにより、K色の感光体ドラム1Kの回転速度変動を求めることができる。また、M色基準パターン像の検知時間と中間転写ベルト8の移動速度とに基づいて、M色の基準パターン像についての理想位置からのレジストずれ量(d1、d2、d3・・・)を演算して、M色の感光体ドラム1Mの回転速度変動を求める。
【0046】
K色の基準パターン像群SKの中間転写ベルト8の移動方向下流側に形成されているC色の基準パターン像群SCも、上記と同様な処理を実行して、C色の感光体ドラム1Cの回転速度変動を求める。また、M色の基準パターン像群SMの中間転写ベルト8の移動方向下流側に形成されているY色の基準像群SYも、上記と同様な処理を実行して、Y色の感光体ドラム1Yの回転速度変動を求める。
【0047】
図14は演算により得られたK色の感光体ドラムの回転速度変動と、M色の感光体ドラムの回転速度変動とを示すグラフである。図14の横軸は、基準像群の最初の基準像を反射型フォトセンサで検知してからの経過時刻であり、縦軸は各経過時刻における基準位置からのずれ量を示している。図14に示すように、K色の感光体ドラム1Kの回転速度変動とM色の感光体ドラム1Mの回転速度変動に位相差Bがある結果、ある経過時刻においては、M色とK色とが大きく色ずれしてしまう。そこで、制御部150は、上記演算により求められたK色とM色の感光体ドラム1K,1Mの周期変動に基づいて、M色とK色との位相差Bの情報を演算により求め、求めた位相差情報により位相調整を行なう。
【0048】
図15は位相差調整の手順の示すフローチャートである。本例では、図15(a)に示すように、ステップ1で位相差情報を取得し、位相調整が必要と判断した場合、例えば±10度以下を閾値とし、±10度の範囲を超えた場合(ステップ2のYES)に、図15(b)に示す位相調整フローに入る。ここでは黒感光体ドラム1Kの速度変動の位相を基準として位相調整をドラム駆動ギヤ33に設けた感光体用クラッチ35Y,35M,35,35C,35Kで行なう。まず、ステップ3でK−M間が位相差あと判断したら、M感光体用クラッチ37MをOFF(=駆動を切断)にし(ステップ4)、駆動モータ31を位相差相当時間だけ回転し(ステップ5)、駆動モータ31を停止する。次に、ステップ4でK−C間に位相差あと判断したら(ステップ6のYES)、C感光体用クラッチ37CをOFFにし(ステップ7)、駆動モータ31を位相差相当時間だけ回転し(ステップ8)、駆動モータ31を停止する。
【0049】
最後に、K−Y間に位相差あと判断したら(ステップ9のYES)、Y感光体用クラッチ35YをOFFにし(ステップ10)、駆動モータ31を位相差相当時間だけ回転し(ステップ11)、駆動モータ31を停止する。
【0050】
ここで、終了しても良いが、図15に示した例では、再度、位相差情報を取得し(ステップ1)、位相調整が成功したかどうか確認するものとした。
【0051】
図16は図15に示したフローチャートに従って位相差調整時の駆動モータと各クラッチのON/OFFの状態を示すタイミングチャートである。感光体用クラッチはONで連結、OFFで切断するものであるが、感光体用クラッチの代わりにONで切断、OFFで連結のブレーキを用いても良い。
【0052】
以上説明したように、本実施例によれば、駆動伝達部材であるドラム駆動ギヤの表面形状を荒くした領域を検知用マークとしたので、検知用マークの形成による体積の増減がなく、検知用マークの存在がギヤの体積に影響を与えないため、ギヤ成型時における圧力分布や温度分布が均一状態となり、ギヤの歯面の引けを最小限に抑えることができ、駆動伝達の際の一回転周期変動成分を低減できる。
【0053】
また、検知用マークをドラム駆動ギヤの周回上に複数形成したので、ドラム駆動ギヤの一回転中に複数の基準位置を検出できるため、初期検出を早めることができる。また、本実施例に係る画像形成装置によれば、感光体ドラム用駆動装置において一回転変動が小さなものとできるので、感光体ドラムの一回転変動周期の色ずれを低減することができ、ずれのない良好な画像を形成することができる。
【符号の説明】
【0054】
1Y,1M,1C,1K:感光体ドラム
2Y:ドラムクリーニング装置
3:装置本体
4Y:帯電装置
5Y:現像装置
6Y,6M,6C,6K:プロセスカートリッジ
7:露光装置
8:中間転写ベルト
9Y,9M,9C,9K:1次転写バイアスローラ
10:ベルトクリーニング装置
11:感光体ドラム軸
12:2次転写バックアップローラ
13:クリーニングバックアップローラ
14:テンションローラ
15:中間転写ユニット
19:2次転写ローラ
20:定着装置
26:紙収容カセット
27:給紙ローラ
28:レジストローラ対
29:排紙ローラ対
31:駆動モータ
31Y,31M,31C,31K:駆動モータ
33:ドラム駆動ギヤ
33Y,33M,33C,33K:感光体ドラム駆動伝達ギヤ
34:位置検出センサ
34Y,34M,43C,34K:位置検出センサ
35:検知用マーク
36:画像読取センサ
37Y,37M,37,37C,37K 感光体用クラッチ
41:発光素子
42:受光素子
50a:スタック部
51:ボトル収納部
52Y,52M,52C,52K:トナーボトル
69a:反射型フォトセンサ
69b:反射型フォトセンサ
150:制御部
150a:CPU
150b:RAM
150c:DSP
A:プリンタ
B:位相差
C:C感光体ドラム用クラッチ
L:レーザ光
P:用紙
SK、SM、SC、SY:基準パターン像群
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開平9−146329号公報
【特許文献2】特開2001−305820号公報
【特許文献3】特開2006−208916号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動部材に結合される駆動伝達部と、前記駆動伝達部を介して前記被駆動部材を回転駆動する駆動手段と、前記駆動伝達部に配置された位置検知部と、この位置検知部を検知して前記被駆動部材の回転位置を検出する位置検出手段とを備え、
前記検知部として、前記駆動伝達部材の表面状態を荒くした領域を形成したことを特徴とする駆動伝達装置
【請求項2】
前記検知部は周回上に複数あることを特徴とする請求項1記載の駆動伝達装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の駆動伝達装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記被駆動部材は像担持体であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置
【請求項5】
前記駆動装置により前記位置検出手段が検出した複数の検出結果に基づいて、複数の前記像担持体間の位相差を調整するように、前記各駆動手段を制御する制御手段を設けることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−210874(P2010−210874A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56228(P2009−56228)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】