説明

駆動源搭載機器の盗難防止装置

【目的】電子キーを紛失した場合や機器を売買した場合など機器側の認証用のID情報を更新する必要が生じた場合でも容易に更新することができるようにした駆動源搭載機器の盗難防止装置を提供する。
【解決手段】ID情報が格納される電子キー(30)が操作されるとき、電子キーからID情報を取得して認証用のID情報と一致するか否か判定し、一致すると判定するとき、駆動源の始動を許可する認証ECU(34)を備える駆動源搭載機器の盗難防止装置において、ID情報に電子キーの更新回数を示す情報を設けると共に、認証ECUは、電子キーが操作されるとき、電子キーのID情報に示される更新回数と認証用のID情報に示される更新回数とを比較し、電子キーのID情報に示される更新回数が認証用のID情報に示される更新回数よりも多いと判断する場合、認証用のID情報を電子キーのID情報に一致させるように認証用のID情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は駆動源搭載機器の盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源搭載機器の盗難防止装置としては、下記特許文献1に記載されるように、ID情報が格納される電子キーが操作されるとき、そのID情報をイモビライザ制御部に送信し、認証用のID情報と照合し、照合が成立した(認証した)ときに限り、その電子キーによる駆動源の始動を許可することで盗難を防止するようにしたもの(いわゆるイモビライザ)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−90908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子キーを紛失した場合、紛失した電子キーによる盗難を防止するため、新たなID情報を有する電子キーを準備すると共に、それに合わせて機器側の認証用のID情報も新たなID情報に更新する必要がある。また、例えば売買によって機器の所有者に変更があった場合でも、売主側にコピーの電子キーが残される可能性があるため、買主は新たなID情報を有する電子キーを準備すると共に、それに合わせて機器側の認証用のID情報も新たなID情報に更新する必要がある。
【0005】
そうした場合、新たなID情報を有する電子キーを準備するのはメーカに再発行を申請するだけで良いので比較的容易であるが、機器側の認証用のID情報を更新するには、メーカのサービスマンが専用機を機器の付近まで持って来て作業するか、機器自体をメーカに送る必要があり、手間がかかるといった問題があった。
【0006】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、電子キーを紛失した場合や機器を売買した場合など機器側の認証用のID情報を更新する必要が生じた場合でも容易に更新することができるようにした駆動源搭載機器の盗難防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1にあっては、駆動源と、前記駆動源が搭載される機器と、前記機器の動作を制御する機器制御手段と、ID情報が格納される電子キーが操作されるとき、前記電子キーから前記ID情報を取得して認証用のID情報と一致するか否か判定し、前記取得したID情報が前記認証用のID情報と一致すると判定するとき、前記機器制御手段に前記駆動源の始動を許可することで前記機器の盗難を防止する認証手段とを備える駆動源搭載機器の盗難防止装置において、前記ID情報に前記電子キーの更新回数を示す情報を設けると共に、前記認証手段は、前記電子キーが操作されるとき、前記電子キーのID情報に示される更新回数と前記認証用のID情報に示される更新回数とを比較し、前記電子キーのID情報に示される更新回数が前記認証用のID情報に示される更新回数よりも多いと判断する場合、前記認証用のID情報を前記電子キーのID情報に一致させるように前記認証用のID情報を更新する如く構成した。
【0008】
また、請求項2に係る駆動源搭載機器の盗難防止装置にあっては、前記認証手段は、前記電子キーから取得したID情報の内、前記更新回数を示す情報を除く情報が前記認証用のID情報と一致すると判断する場合であって、前記電子キーのID情報に示される更新回数が前記認証用のID情報に示される更新回数よりも多いと判断する場合、前記認証用のID情報を前記電子キーのID情報に一致させるように前記認証用のID情報を更新する如く構成した。
【発明の効果】
【0009】
請求項1にあっては、駆動源と、駆動源が搭載される機器と、機器の動作を制御する機器制御手段と、ID情報が格納される電子キーが操作されるとき、電子キーからID情報を取得して認証用のID情報と一致するか否か判定し、取得したID情報が認証用のID情報と一致すると判定するとき、機器制御手段に駆動源の始動を許可することで機器の盗難を防止する認証手段とを備える駆動源搭載機器の盗難防止装置において、ID情報に電子キーの更新回数を示す情報を設けると共に、認証手段は、電子キーが操作されるとき、電子キーのID情報に示される更新回数と認証用のID情報に示される更新回数とを比較し、電子キーのID情報に示される更新回数が認証用のID情報に示される更新回数よりも多いと判断する場合、認証用のID情報を電子キーのID情報に一致させるように認証用のID情報を更新する如く構成、即ち、機器側において取得した電子キーのID情報から電子キーが更新されたものであるか否か判断し、更新されたものであると判断するとき、機器側の認証用のID情報を取得した電子キーのID情報に合わせて更新する如く構成したので、機器側の認証用のID情報を容易に更新することができる。
【0010】
それにより、電子キーを紛失した場合や機器を売買した場合でも、新たなID情報を有する電子キーさえ準備すれば、手間なく対処することができる。
【0011】
また、逆に電子キーのID情報に示される更新回数が認証用のID情報に示される更新回数よりも少ないと判断する場合は、その電子キーは古い電子キーであり、機器側の認証用のID情報を更新せず、結果としてその電子キーによる認証は成立しないため、古い電子キーによる盗難を防止することができる。
【0012】
請求項2に係る駆動源搭載機器の盗難防止装置にあっては、認証手段は、電子キーから取得したID情報の内、更新回数を示す情報を除く情報が認証用のID情報と一致すると判断する場合であって、電子キーのID情報に示される更新回数が認証用のID情報に示される更新回数よりも多いと判断する場合、認証用のID情報を電子キーのID情報に一致させるように認証用のID情報を更新する如く構成、即ち、機器側において取得した電子キーのID情報から電子キーが更新されたものであるか否か適確に判断した上で機器側の認証用のID情報を更新する如く構成したので、機器側の認証用のID情報を適確に更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施例に係る駆動源搭載機器の盗難防止装置をそれが搭載される小型電動車まで含めて全体的に示す概略図である。
【図2】図1に示す小型電動車の操作部を示す正面図である。
【図3】図1に示す駆動源搭載機器の盗難防止装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す駆動源搭載機器の盗難防止装置の特徴を示す、図3と同様なブロック図である。
【図5】図1に示す駆動源搭載機器の盗難防止装置の動作を示すフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に即してこの発明に係る駆動源搭載機器の盗難防止装置を実施するための形態について説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、この発明の実施例に係る駆動源搭載機器の盗難防止装置をそれが搭載される小型電動車まで含めて全体的に示す概略図である。
【0016】
図1において符号1は、この発明の実施例に係る駆動源搭載機器の盗難防止装置を示す。以下、駆動源搭載機器として小型電動車を例にとって説明する。
【0017】
図1において、符号10は小型電動車を示す。小型電動車10は、4個の車輪12(図1において1個見えず)で支持された車体フレーム14と、車体フレーム14上に設けられ、使用者(操作者)Pが着座すべきシート16と、使用者Pに手動操作自在な操作部20とを備えた、一人乗りの比較的小型な電動車、より正確には電動車椅子であり、高齢者などの使用に適した、人が歩く速度と同じ程度の低速で走行する移動体である。
【0018】
シート16の下部には、車輪(正確には後輪)12を駆動する電動モータ22と、電動モータ22に動作電源を供給するバッテリ24が格納される。尚、電動モータ22は、具体的にはDCブラシレスモータからなる。
【0019】
図2は、図1に示す小型電動車10の操作部20の正面図である。
【0020】
図2に示す如く、操作部20は、ダッシュボード20aから左右にループしつつ突出させられたハンドル20bと、同様に左右に突出させられた走行・停止指示用の走行レバー20cと、ダッシュボード20aに配置され、時速1km/hから6km/hの間で無段階に速度を設定可能な速度設定ノブ20dと、小型電動車10の進行方向指示(前進あるいは後進指示)を入力して進行方向を前後に切り換える前進・後進切り換えスイッチ20eと、ホーン(図示せず)を動作させるホーンスイッチ20fと、バッテリ24から電動モータ22への通電をオン・オフする電源スイッチ20gなどを備える。
【0021】
走行レバー20cの近傍には、走行スイッチ20hが配置される。走行スイッチ20hは、走行レバー20cが使用者Pによって操作されて走行指示がなされたときにオン信号を出力し、停止指示のときにオン信号の出力を終了する。また、速度設定ノブ20dの付近には、使用者Pの操作によって速度設定ノブ20dで設定された速度に応じた信号(速度指示)を出力する速度設定ノブセンサ20iが配設される。
【0022】
尚、小型電動車10の詳細は、本出願人が先に提案した特開2007−112363号公報に記載されているので、これ以上の説明は省略する。
【0023】
図3は、上記した小型電動車10の盗難防止装置1の構成を示すブロック図である。
【0024】
盗難防止装置1は、ID情報(後述)を格納する電子キー30と、小型電動車10に設けられて電動モータ22の動作を制御する電子制御ユニット(Electronic Control Unit。以下「制御ECU」という)32と、小型電動車10に設けられて電子キー30の認証を行う電子制御ユニット(Electronic Control Unit。以下「認証ECU」という)34とを備える。尚、制御ECU32と認証ECU34は共に、図2に示す如く、小型電動車10の適宜位置、具体的には、操作部20のダッシュボード20aの内部に配置される。
【0025】
制御ECU32は、CPU32a、メモリ(具体的には不揮発性メモリからなるEEPROM)32bなどを備えたマイクロ・コンピュータからなる。制御ECU32には、前進・後進切り換えスイッチ20eを介して使用者Pからの進行方向指示が入力される。制御ECU32にはさらに、走行スイッチ20hを介して使用者Pからの走行指示が入力されると共に、速度設定ノブセンサ20iを介して速度指示が入力される。制御ECU32は、これらの指示に応じて電動モータ22などの動作を制御し、小型電動車10の走行を制御する。
【0026】
具体的には、使用者Pは、前進・後進切り換えスイッチ20eで進行方向を選択すると共に、速度設定ノブ20dで走行速度を選択する。そして、使用者Pがハンドル20bを把持しつつ、左右いずれか(あるいは双方)の走行レバー20cを握り込むことで小型電動車10の走行速度が決定されて走行する一方、離すと小型電動車10は停止する。
【0027】
認証ECU34は、制御ECU32と同様、CPU34a、認証用のID情報(後述)を格納するメモリ(具体的には不揮発性メモリからなるEEPROM)34bなどを備えたマイクロ・コンピュータからなる。
【0028】
認証ECU34は、電子キー30に格納されたID情報を読み込む(受信する)ためのリーダ34cを備える。また、認証ECU34はLED(発光ダイオード)からなる表示灯34dを備える。
【0029】
上記の如く構成された認証ECU34は、制御ECU32と通信線36を介して接続される。通信線36を介して後述する始動許可信号が認証ECU34から制御ECU32に送信される。尚、制御ECU32と認証ECU34には、前記したバッテリ24が電力線40を介して接続され、バッテリ24から動作電源が供給される。
【0030】
電子キー30は、CPU30aと、ID情報を格納するメモリ30bと、ID情報を近距離無線通信(RFID(Radio Frequency Identification))でリーダ34cに送信するためのアンテナ30cを備える。電子キー30は、樹脂材から製作されてその内部に前記したCPU30aなどが内蔵される。尚、電子キー30は持ち運び容易な名刺サイズのカード状を呈する。
【0031】
電子キーに格納されるID情報は、図示の如く、ID主要部と更新回数部に格納される。ID主要部には、電子キー30を携行している使用者Pを識別する識別情報(ユーザID)や小型電動車10の機種や製品番号などを識別する識別情報(製品ID)が記憶される。具体的にID主要部は数桁の文字列からなる(図中では「*****」と略して示す)。更新回数部には、電子キー30の更新回数を示す情報が記憶される。更新回数とは、電子キー30の製造元が申請者の電子キー発行の申請に基づいて電子キー30を発行した回数を言い、具体的には、初版の電子キー30の更新回数部には「00」が、1回目の再発行の電子キー30の更新回数部には「01」が、2回目の再発行の電子キー30の更新回数部には「02」が記憶される。
【0032】
認証ECU34のメモリ34bに格納される認証用のID情報も、図示の如く、ID主要部と更新回数部に格納される。電子キー30の場合と同様、ID主要部には、使用者Pを識別する識別情報(ユーザID)や小型電動車10の機種や製品番号などを識別する識別情報(製品ID)が記憶される。更新回数部には、小型電動車10が製造されたとき、初期状態を示す「00」が記憶される。
【0033】
ここで、電子キー30と認証ECU34の間の認証動作について詳説すると、認証ECU34にバッテリ24から動作電源が供給されている状態において、電子キー30がリーダ34cに使用者Pによって近接されると(かざされると)、リーダ34cは電子キー30に向けて電磁波を出力(発信)する。
【0034】
リーダ34cから電磁波が出力されると、電子キー30は内蔵されたコイル(図示せず)の電磁誘導によって発電し、CPU30aを起動する。即ち、電子キー30は、内部に電池などの電源を備えず、リーダ34cからの電磁波による電磁誘導によって動作電源が供給される。
【0035】
電子キー30は動作電源が供給されると、メモリ30bに記憶されたID情報をアンテナ30cを介してリーダ34cに出力する。認証ECU34は、電子キー30からID情報を取得し、取得したID情報とメモリ34bに格納された認証用のID情報とが一致するか否か判定する(認証を実行する)。
【0036】
ID情報が一致するとき、認証ECU34はリーダ34cにかざされた電子キー30が小型電動車10に対して正規のキーであると判定し、始動許可信号を制御ECU32に送信する。それにより、制御ECU32は電動モータ22の始動を許可の状態とする。即ち、この状態において電源スイッチ20gをオンするとバッテリ24から電動モータ22への通電がオンされると共に、走行レバー20cが握り込まれると実際に電動モータ22が駆動する。
【0037】
一方、ID情報が一致しないときは、認証ECU34は電子キー30が正規の電子キーではないと判断し、始動許可信号を制御ECU32に送信せず、そのため電源スイッチ20gをオンしたとしてもバッテリ24から電動モータ22への通電がなされず、走行レバー20cが握り込まれたとしても電動モータ22は駆動しない。
【0038】
このように、認証ECU34は電子キー30のID情報が認証用のID情報と一致した場合に電動モータ22の始動を許可する一方、一致しない場合は電動モータ22の始動を不許可とすることで小型電動車10の盗難防止を可能とするような盗難防止機能を備える。
【0039】
この発明に係る駆動源搭載機器の盗難防止装置1において特徴的なことは、前述したようにID情報の更新回数部に電子キー30の更新回数を示す情報を記憶させると共に、図4に示すように再発行(更新)された電子キー30が操作されたとき、認証ECU34において認証用のID情報をその再発行された電子キー30のID情報に一致させるように認証用のID情報を更新するように構成したことにある。以下、この発明に係る駆動源搭載機器の盗難防止装置1の動作について詳説する。
【0040】
図5は、その動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは認証ECU34によって起動されるごとに一度だけ実行される。尚、認証ECU34は適宜なスイッチがオンされるとバッテリからの電力が供給されて起動する。
【0041】
以下説明すると、まずS10において電子キー30の読み込みを待機するモードに移行させる。次いでS12に進み、電子キー30がリーダ34c付近で操作されたか否か判断する。
【0042】
S12で肯定されるとS14に進み、ID主要部が一致するか否か判断する。即ち、前述したように、電子キー30が操作されることによって電子キー30のID情報を取得し、取得した電子キー30のID情報のID主要部と認証用のID情報のID主要部が一致するか否か判断する。
【0043】
S14で肯定されると、S16に進んで取得した電子キー30のID情報の更新回数部と認証用のID情報の更新回数部が一致するか否か判断する。S14に続いてS16でも肯定される場合は、電子キー30と認証ECU34の両ID情報が全体として一致する場合であるため、S18に進んで認証許可とする。即ち、制御ECU32に始動許可信号を送信する。以降はプログラムを終了し、認証ECU34自体もオフする。
【0044】
一方、S16で否定される場合、S20に進んで更新回数部の値を比較する。具体的には、電子キー30の更新回数部の値が認証ECU34の更新回数部の値よりも大きいか否か判断する。
【0045】
S20で肯定される場合は、S22に進んで認証ECU34の更新回数部の値を更新する(書き換える)。具体的には、認証ECU34の更新回数部の値を電子キー30の更新回数部の値に一致させるように認証ECU34の更新回数部の値を更新する。
【0046】
即ち、S20で肯定される場合は、再発行された電子キー30のID情報が初めて認証ECU34に読み取られた場合であり、認証用のID情報を取得した電子キー30のID情報に合わせるように更新する。S22以降はS18に進み、認証許可とする。
【0047】
尚、再発行された電子キー30のID情報が初めて認証ECU34に読み取られる場合は、ID情報が全体として一致しない場合にあたるが、認証用のID情報が更新されることによって両ID情報が一致することになるため、次回の認証動作を待つまでもなく認証許可としても差し支えない。
【0048】
一方、S20で否定される場合は、S24に進んで認証不許可とする。即ち、制御ECU34には始動許可信号を送信しない。以降はプログラムを終了し、認証ECU34自体もオフする。
【0049】
即ち、S20で否定される場合は、再発行された電子キー30が一度読み取られた後に古い電子キー30が読み取られた場合であり、ID主要部は一致するがID情報全体として一致しないため、認証不許可とする。古い電子キー30とは例えば紛失した電子キー30あるいは売主側に残されたコピーの電子キー30のことであり、図4に示す如く、それら古い電子キー30による認証はもはや許可されない。
【0050】
尚、S12で否定されるときには、S26に進んで認証ECU34が起動されてから所定時間(例えば30sec)経過したか否か判断し、否定される場合にはS10に戻ると共に、肯定される場合にはプログラムを終了し、認証ECU34自体もオフする。
【0051】
上記した如く、この実施例にあっては、駆動源(電動モータ22)と、前記駆動源が搭載される機器(小型電動車10)と、前記機器の動作を制御する機器制御手段(制御ECU32)と、ID情報が格納される電子キー(30)が操作されるとき、前記電子キーから前記ID情報を取得して認証用のID情報と一致するか否か判定し、前記取得したID情報が前記認証用のID情報と一致すると判定するとき、前記機器制御手段に前記駆動源の始動を許可することで前記機器の盗難を防止する認証手段(認証ECU34)とを備える駆動源搭載機器の盗難防止装置(1)において、前記ID情報に前記電子キーの更新回数を示す情報(更新回数部)を設けると共に、前記認証手段は、前記電子キーが操作されるとき、前記電子キーのID情報に示される更新回数と前記認証用のID情報に示される更新回数とを比較し、前記電子キーのID情報に示される更新回数が前記認証用のID情報に示される更新回数よりも多いと判断する場合、前記認証用のID情報を前記電子キーのID情報に一致させるように前記認証用のID情報を更新する(S16、S20、S22)如く構成した。
【0052】
即ち、機器側において取得した電子キーのID情報から電子キーが更新されたものであるか否か判断し、更新されたものであると判断するとき、機器側の認証用のID情報を取得した電子キーのID情報に合わせて更新する如く構成したので、機器側の認証用のID情報を容易に更新することができる。
【0053】
それにより、電子キーを紛失した場合や機器を売買した場合でも、新たなID情報を有する電子キーさえ準備すれば、手間なく対処することができる。
【0054】
また、逆に電子キーのID情報に示される更新回数が認証用のID情報に示される更新回数よりも少ないと判断する場合は、その電子キーは古い電子キーであり、機器側の認証用のID情報を更新せず、結果としてその電子キーによる認証は成立しないため、古い電子キーによる盗難を防止することができる。
【0055】
また、前記認証手段は、前記電子キーから取得したID情報の内、前記更新回数を示す情報を除く情報(ID主要部)が前記認証用のID情報と一致すると判断する場合であって、前記電子キーのID情報に示される更新回数が前記認証用のID情報に示される更新回数よりも多いと判断する場合、前記認証用のID情報を前記電子キーのID情報に一致させるように前記認証用のID情報を更新する(S14、S16、S20,22)如く構成した。
【0056】
即ち、機器側において取得した電子キーのID情報から電子キーが更新されたものであるか否か適確に判断した上で機器側の認証用のID情報を更新する如く構成したので、機器側の認証用のID情報を適確に更新することができる。
【0057】
尚、上記において駆動源搭載機器として電動モータを搭載した小型電動車を例にとって説明したが、エンジンを搭載した船外機であっても良い。また、搭載される駆動源によって機器が移動しないもの、例えばエンジン発電機であっても良い。
【符号の説明】
【0058】
1:盗難防止装置、10:小型電動車、12:車輪、14:車体フレーム、16:シート、20:操作部、22:電動モータ、24:バッテリ、30:電子キー、32:制御ECU、34:認証ECU、36:通信線、40:電力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、前記駆動源が搭載される機器と、前記機器の動作を制御する機器制御手段と、ID情報が格納される電子キーが操作されるとき、前記電子キーから前記ID情報を取得して認証用のID情報と一致するか否か判定し、前記取得したID情報が前記認証用のID情報と一致すると判定するとき、前記機器制御手段に前記駆動源の始動を許可することで前記機器の盗難を防止する認証手段とを備える駆動源搭載機器の盗難防止装置において、前記ID情報に前記電子キーの更新回数を示す情報を設けると共に、前記認証手段は、前記電子キーが操作されるとき、前記電子キーのID情報に示される更新回数と前記認証用のID情報に示される更新回数とを比較し、前記電子キーのID情報に示される更新回数が前記認証用のID情報に示される更新回数よりも多いと判断する場合、前記認証用のID情報を前記電子キーのID情報に一致させるように前記認証用のID情報を更新することを特徴とする駆動源搭載機器の盗難防止装置。
【請求項2】
前記認証手段は、前記電子キーから取得したID情報の内、前記更新回数を示す情報を除く情報が前記認証用のID情報と一致すると判断する場合であって、前記電子キーのID情報に示される更新回数が前記認証用のID情報に示される更新回数よりも多いと判断する場合、前記認証用のID情報を前記電子キーのID情報に一致させるように前記認証用のID情報を更新することを特徴とする請求項1記載の駆動源搭載機器の盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−121451(P2011−121451A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279932(P2009−279932)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】