説明

駆動装置およびこれを搭載するハイブリッド車並びに駆動装置の制御方法

【課題】複数の電動機に対する複数のリレーの一部に固着による異常が生じているときでも大電流を生じることなくシステム起動する。
【解決手段】システム起動時に走行用の複数のモータに対する複数のリレーのいずれかに固着による異常が生じているときには、プリチャージ用リレーをオフとすると共に固着により異常が生じているリレーに対するモータに対してd軸電流が流れるようそのインバータを制御して対応するコンデンサに蓄えられている電荷を放電し(S130〜S160)、その後、プリチャージ用リレーと複数のモータに対するリレーの全てをオンとして対応する複数の平滑用コンデンサを充電する(S180〜S200)。そして、複数の平滑用コンデンサの充電が完了すると、プリチャージ用リレーをオフとすると共に2つのキャパシタに対するリレーをオンとして起動処理を完了する(S210,S220)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置およびこれを搭載するハイブリッド車並びに駆動装置の制御方法に関し、詳しくは、動力を入出力する複数の電動機とこの複数の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段とを備える駆動装置およびこうした駆動装置を搭載するハイブリッド車並びにこうした駆動装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の駆動装置としては、複数のモータとこれらのモータと電力のやりとりが可能なバッテリとを備え、車両に搭載されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、複数のモータとしてエンジンの回転数を調整すると共にエンジンからの動力の一部を後輪側に出力するためのモータMG1と後輪に動力を出力するモータMG2と前輪に動力を出力するモータMG3と有し、こうした三つのモータと電力のやりとりが可能なバッテリを備えている。
【特許文献1】特開2005−161961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数のモータを備える駆動装置では、各モータを並列にバッテリに接続するときには、各モータとバッテリとの接続やその解除を個別に行なうことができるように、各モータを駆動するインバータに対して個別のリレーを取り付けることがある。こうした装置で個別のリレーのうちの一部のリレーに固着による異常が生じ、このリレーに対するインバータの平滑用コンデンサに充電電荷が存在しているときに他のリレーをオンすると、充電電荷が存在する平滑用コンデンサからの放電電流が生じ、場合によっては過大な電流が流れる場合が生じる。
【0004】
本発明の駆動装置およびこれを搭載するハイブリッド車並びに駆動装置の制御方法は、複数の電動機に対する複数のリレーの一部に固着による異常が生じているときでも大電流を生じることなくシステム起動することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の駆動装置およびこれを搭載するハイブリッド車並びに駆動装置の制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の駆動装置は、
動力を入出力する複数の電動機と、前記複数の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える駆動装置であって、
前記蓄電手段の正極に接続されると共に前記複数の電動機側の各々の正極側端子に接続される正極用接続部材と、
前記蓄電手段の負極に接続されると共に前記複数の電動機側の各々の負極側端子に接続される負極用接続部材と、
前記蓄電手段の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう電源用リレーと、
抵抗とリレーと有し、前記電源用リレーに対して並列に接続されてなるプリチャージ用回路と、
前記複数の電動機の各々の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう複数の電動機用リレーと、
前記複数の電動機用リレーより前記複数の電動機側に取り付けられた複数の平滑用コンデンサと、
システム起動時に前記複数の電動機用リレーのいずれかの電動機用リレーに固着による異常が判定されているときには、前記電源用リレーと前記プリチャージ用回路におけるリレーと前記複数の電動機用リレーのいずれもがオフとされた状態で前記固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を駆動することにより前記固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサに充電されている電荷が放電されるよう前記固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を制御し、前記固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサの放電完了後に前記複数の電動機用リレーの全てをオンとすると共に前記プリチャージ用回路におけるリレーをオンすることにより前記複数の平滑用コンデンサが充電されるよう前記複数の電動機用リレーと前記プリチャージ用回路におけるリレーとを制御し、前記複数の平滑用コンデンサの充電が完了したときに前記プリチャージ用回路におけるリレーがオフされると共に前記電源用リレーがオンされるよう前記前記プリチャージ用回路におけるリレーと前記電源用リレーとを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の駆動装置では、システム起動時に複数の電動機用リレーのいずれかの電動機用リレーに固着による異常が判定されているときには、電源用リレーとプリチャージ用回路におけるリレーと複数の電動機用リレーのいずれもがオフとされた状態で固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を駆動することにより固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサに充電されている電荷が放電されるよう固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を制御する。これにより、固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサに充電されている電荷を放電することができる。続いて、固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサの放電完了後に複数の電動機用リレーの全てをオンとすると共にプリチャージ用回路におけるリレーをオンすることにより複数の平滑用コンデンサが充電されるよう複数の電動機用リレーとプリチャージ用回路におけるリレーとを制御する。これにより、予期しない大電流を生じることなく複数の電動機用リレーのすべてを充電することができる。そして、複数の平滑用コンデンサの充電が完了したときにプリチャージ用回路におけるリレーがオフされると共に電源用リレーがオンされるようプリチャージ用回路におけるリレーと電源用リレーとを制御する。これにより、蓄電手段との電力のやりとりを伴って複数の電動機を駆動することができる状態とすることができる。これらにより、複数の電動機用リレーの一部に固着による異常が生じたときでも大電流を生じることなくシステム起動することができる。
【0008】
こうした本発明の駆動装置において、前記電源用リレーは前記蓄電手段の正極または負極の一方の電極と前記正極用接続部材および前記負極用接続部材のうち該一方の電極に接続される接続部材との接続と接続の解除を行なうリレーであり、前記複数の電動機用リレーは前記正極用接続部材および前記負極用接続部材のうち前記一方の電極に接続される接続部材とは異なる他方の接続部材と前記複数の電動機側の各々の正極側端子および負極側端子のうち前記他方の接続部材に接続される端子との接続と接続の解除を行なうリレーである、ものとすることもできる。こうすれば、正極用接続部材および負極用接続部材の双方に対する電気的な接続を解除することができるものに比して体格を小さくすることができ、小型化を図ることができる。しかも、システムオフ時には、電源用リレーと複数の電動機用リレーのすべてをオフとすることにより、蓄電手段と複数の電動機との完全な遮断を実現することができる。
【0009】
また、本発明の駆動装置において、前記蓄電手段は複数のキャパシタであり、前記電源用リレーは前記複数のキャパシタの各々の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう複数のリレーである、ものとすることもできる。
【0010】
本発明のハイブリッド車は、走行用の動力を出力する内燃機関と上述のいずれかの態様の本発明の駆動装置、即ち、基本的には、動力を入出力する複数の電動機と、前記複数の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える駆動装置であって、前記蓄電手段の正極に接続されると共に前記複数の電動機側の各々の正極側端子に接続される正極用接続部材と、前記蓄電手段の負極に接続されると共に前記複数の電動機側の各々の負極側端子に接続される負極用接続部材と、前記蓄電手段の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう電源用リレーと、抵抗とリレーと有し、前記電源用リレーに対して並列に接続されてなるプリチャージ用回路と、前記複数の電動機の各々の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう複数の電動機用リレーと、前記複数の電動機用リレーより前記複数の電動機側に取り付けられた複数の平滑用コンデンサと、システム起動時に前記複数の電動機用リレーのいずれかの電動機用リレーに固着による異常が判定されているときには、前記電源用リレーと前記プリチャージ用回路におけるリレーと前記複数の電動機用リレーのいずれもがオフとされた状態で前記固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を駆動することにより前記固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサに充電されている電荷が放電されるよう前記固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を制御し、前記固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサの放電完了後に前記複数の電動機用リレーの全てをオンとすると共に前記プリチャージ用回路におけるリレーをオンすることにより前記複数の平滑用コンデンサが充電されるよう前記複数の電動機用リレーと前記プリチャージ用回路におけるリレーとを制御し、前記複数の平滑用コンデンサの充電が完了したときに前記プリチャージ用回路におけるリレーがオフされると共に前記電源用リレーがオンされるよう前記前記プリチャージ用回路におけるリレーと前記電源用リレーとを制御する制御手段と、を備える駆動装置とを搭載し、前記複数の電動機は走行用の動力を出力可能に取り付けられてなる、ことを要旨とする。
【0011】
この本発明のハイブリッド車では、上述のいずれかの態様の本発明の駆動装置を搭載するから、本発明の駆動装置の奏する効果、例えば、複数の電動機用リレーの一部に固着による異常が生じたときでも大電流を生じることなくシステム起動することができる効果などと同一の効果を奏することができる。
【0012】
こうした本発明のハイブリッド車において、前記内燃機関は後輪に駆動用の動力を出力するよう取り付けられてなり、前記複数の電動機は前輪に駆動用の動力を出力する前輪用電動機と後輪に駆動用の動力を出力する後輪用電動機とを含む複数の電動機であり、前記蓄電手段は並列接続された2つのキャパシタである、ものとすることもできる。
【0013】
本発明の駆動装置の制御方法は、
動力を入出力する複数の電動機と、前記複数の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、前記蓄電手段の正極に接続されると共に前記複数の電動機側の各々の正極側端子に接続される正極用接続部材と、前記蓄電手段の負極に接続されると共に前記複数の電動機側の各々の負極側端子に接続される負極用接続部材と、前記蓄電手段の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう電源用リレーと、抵抗とリレーと有し前記電源用リレーに対して並列に接続されてなるプリチャージ用回路と、前記複数の電動機の各々の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう複数の電動機用リレーと、前記複数の電動機用リレーより前記複数の電動機側に取り付けられた複数の平滑用コンデンサと、を備える駆動装置の制御方法であって、
システム起動時に前記複数の電動機用リレーのいずれかの電動機用リレーに固着による異常が判定されているときには、前記電源用リレーと前記プリチャージ用回路におけるリレーと前記複数の電動機用リレーのいずれもがオフとされた状態で前記固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を駆動することにより前記固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサに充電されている電荷が放電されるよう前記固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を制御し、前記固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサの放電完了後に前記複数の電動機用リレーの全てをオンとすると共に前記プリチャージ用回路におけるリレーをオンすることにより前記複数の平滑用コンデンサが充電されるよう前記複数の電動機用リレーと前記プリチャージ用回路におけるリレーとを制御し、前記複数の平滑用コンデンサの充電が完了したときに前記プリチャージ用回路におけるリレーがオフされると共に前記電源用リレーがオンされるよう前記前記プリチャージ用回路におけるリレーと前記電源用リレーとを制御する、
ことを特徴とする。
【0014】
この本発明の駆動装置の制御方法では、システム起動時に複数の電動機用リレーのいずれかの電動機用リレーに固着による異常が判定されているときには、電源用リレーとプリチャージ用回路におけるリレーと複数の電動機用リレーのいずれもがオフとされた状態で固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を駆動することにより固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサに充電されている電荷が放電されるよう固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を制御する。これにより、固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサに充電されている電荷を放電することができる。続いて、固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサの放電完了後に複数の電動機用リレーの全てをオンとすると共にプリチャージ用回路におけるリレーをオンすることにより複数の平滑用コンデンサが充電されるよう複数の電動機用リレーとプリチャージ用回路におけるリレーとを制御する。これにより、予期しない大電流を生じることなく複数の電動機用リレーのすべてを充電することができる。そして、複数の平滑用コンデンサの充電が完了したときにプリチャージ用回路におけるリレーがオフされると共に電源用リレーがオンされるようプリチャージ用回路におけるリレーと電源用リレーとを制御する。これにより、蓄電手段との電力のやりとりを伴って複数の電動機を駆動することができる状態とすることができる。これらにより、複数の電動機用リレーの一部に固着による異常が生じたときでも大電流を生じることなくシステム起動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の一実施例としての駆動装置を搭載したレース用に開発されたハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、左右前輪29a,29bに取り付けられた二つの前輪用モータ24,26を有する前輪駆動系21と、エンジン32とエンジン32のクランクシャフト33にクラッチ33aを介して取り付けられたモータ36とからの動力をトランスミッション34とデファレンシャルギヤ38とを介して左右後輪39a,39bに出力する後輪駆動系31と、前輪用モータ24,26やモータ36と電力のやり取りを行なう二つのキャパシタ(第1キャパシタ,第2キャパシタ)50,51と、左右前輪29a,29bや左右後輪39a,39bに取り付けられたホイールシリンダ66a,66b,68a,68bに油圧を作用させることにより制動トルクを付与する電子制御式油圧ブレーキユニット(以下、「ECB」という。)60と、ハイブリッド自動車20の全体をコントロールするメイン電子制御ユニット70とを備える。
【0017】
前輪用モータ24,26は、同期発電電動機として構成された互いに同一のものであり、インバータ42,44およびジャンクボックス54を介して第1キャパシタ50および第2キャパシタ51と電力のやりとりを行なう。即ち、前輪用モータ24,26は、左右前輪29a,29bに対して制動力や駆動力を左右独立に分配して出力可能な動力ユニットとして機能する。前輪用モータ24,26は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という。)40により駆動制御を受けている。
【0018】
モータ36は、発電機として作動することができると共に電動機として作動可能な周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ46およびジャンクボックス54を介して第1キャパシタ50および第2キャパシタ51と電力のやりとりを行なう。モータ36は、前輪用モータ24,26と同様に、モータECU40により駆動制御を受けている。モータECU40には、前輪用モータ24,26やモータ36を駆動制御するために必要な信号、例えば前輪用モータ24,26やモータ36の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ25,27,37からの信号や図示しない電流センサにより検出される前輪用モータ24,26やモータ36に印加される相電流等が入力されており、モータECU40からは、インバータ42,44,46へのスイッチング制御信号が出力されている。インバータ42,44,46は、それぞれ6つのスイッチング素子と6つのダイオードとからなる周知のインバータ回路として構成されている。
【0019】
第1キャパシタ50および第2キャパシタ51は、例えば電気二重層キャパシタとして構成されており、ジャンクボックス54を介してインバータ42,44,46に接続されている。
【0020】
図2は、実施例のハイブリッド自動車20の電気系の構成の一例を示す構成図である。図示するように、ジャンクボックス54には、第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の正極側端子に接続されると共に前輪用モータ24,26やモータ36のインバータ42,44,46の正極側端子に接続され導電性材料(例えば銅)により形成された正極用バスバー54aと、第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の負極側端子に接続されると共に前輪用モータ24,26やモータ36のインバータ42,44,46の負極側端子に接続され導電性材料(例えば銅)により形成された負極用バスバー54bと、正極用バスバー54aと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の正極側端子とに介在するリレー55、56と、リレー55をオンする際に突入電流を回避するためのリレー55に並列に接続されたプリチャージ用リレー55aおよび抵抗55bと、負極用バスバー54bと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の負極側端子とに介在するリレー57a,58a,59aと、正極用バスバー54aと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の正極側端子とに介在するヒューズ57b,58b,59bと、が配置されている。このように、電源用のリレー55,55a,56については正極側に取り付け、モータ用のリレー57a,58a,59aについては負極側に取り付けることにより、全てのリレーをオフすることにより、第1キャパシタ50および第2キャパシタ51と前輪用モータ24,26,モータ36とを完全に遮断することができる。また、第1キャパシタ50および第2キャパシタ51には、端子間電圧を検出する電圧センサ50a,51aや充電電流を検出する電流センサ50b,51b,第1キャパシタ50および第2キャパシタ51自体の温度Tc1,Tc2を検出する温度センサ50c、51cが取り付けられている。前輪用モータ24,26やモータ36のインバータ42,44,46の端子間には平滑用コンデンサ43,45,47が取り付けられており、平滑用コンデンサ43,45,47よりインバータ42,44,46側には端子間電圧を検出する電圧センサ42a,44a,46aやインバータ42,44,46への印加電流を検出する電流センサ42b,44b,46bが取り付けられている。各電圧センサ50a,51a,42a,44a,46aからの電圧Vc1,Vc2,Vcfr,Vcfl,Vcrや各電流センサ50b,51b,42b,44b,46bからの電流Ic1,Ic2,Ifr,Ifl,Ir,温度センサ50c,51cからの温度Tc1,Tc2は、モータECU40に入力されている。また、各リレー55,55a,56,57a,58a,59aはモータECU40からの駆動信号によりオンオフする。なお、モータECU40は、メイン電子制御ユニット70と通信しており、メイン電子制御ユニット70からの制御信号によって前輪用モータ24,26やモータ36を駆動制御すると共に必要に応じて前輪用モータ24,26やモータ36の運転状態に関するデータ,第1キャパシタ50や第2キャパシタ51の端子間電圧Vc1,Vc2,充電電流Ic1,Ic2,温度Tc1,Tc2,平滑用コンデンサ43,45,47の端子間電圧Vcfr,Vcfl,Vcr,インバータ42,44,46への印加電流Ifr,Ifl,Irなどをメイン電子制御ユニット70に出力する。また、モータECU40は、回転位置検出センサ25,27,37からの信号に基づいて前輪用モータ24,26やモータ36の回転数Nfl,Nfr,Nmも演算している。
【0021】
エンジン32は、ガソリンまたは軽油等の炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン32の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するメイン電子制御ユニット70により燃料噴射量や点火時期、吸入空気量等の制御を受けている。
【0022】
トランスミッション34は、例えば油圧駆動の6速の変速機として構成されており、ドライバーによるアップスイッチ81やダウンスイッチ82の操作に基づく信号を入力するメイン電子制御ユニット70によりアップシフトやダウンシフトが行なわれるよう変速制御される。
【0023】
ECB60は、ブレーキペダル85の踏み込みにより加圧されるマスタシリンダ61と、マスタシリンダ61の圧力(ブレーキ踏力)に応じて車両に作用させるべき制動力のうちのECB60の分担割合に応じた制動トルクが左右前輪29a,29bや左右後輪39a,39bに作用するようにホイールシリンダ66a,66b,68a,68bへの油圧を調整するブレーキアクチュエータ64と、ブレーキアクチュエータ64を駆動制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という。)62と、を備える。ブレーキECU62には、マスタシリンダ61に取り付けられたマスタシリンダ圧センサ61aにより検出されるマスタシリンダ圧(ブレーキ踏力Fb)や左右前輪29a,29bおよび左右後輪39a,39bに設けられた図示しない車輪速センサからの車輪速などが入力されており、ブレーキECU62からはブレーキアクチュエータ64への駆動信号が出力されている。ブレーキECU62は、メイン電子制御ユニット70と通信しており、メイン電子制御ユニット70からの制御信号によって左右前輪29a,29bや左右後輪39a,39bに制動トルクを作用させると共に必要に応じてECB60の状態に関するデータをメイン電子制御ユニット70に出力する。
【0024】
メイン電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。メイン電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からイグニッション信号、ステアリングに取り付けられてトランスミッション34のアップシフトやダウンシフトを指示するアップスイッチ81やダウンスイッチ82からの信号、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBPなどが入力ポートを介して入力されている。メイン電子制御ユニット70は、上述したように、モータECU40やキャパシタECU52,ブレーキECU62と通信ポートを介して接続されており、モータECU40やブレーキECU62と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0025】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、アクセルペダル83の踏み込み量に応じてエンジン32の吸入空気量などを調整すると共に第1キャパシタ50および第2キャパシタ51に蓄えられた電力を用いて前輪用モータ24,26やモータ36からトルク出力を行ない、ブレーキペダル85の踏み込み力(踏力)に応じたブレーキトルクをECB60と前輪用モータ24,26やモータ36とから出力し、前輪用モータ24,26,モータ36の回生トルクの出力により得られる回生電力を第1キャパシタ50および第2キャパシタ51に蓄える。
【0026】
次に、実施例のハイブリッド自動車20をシステム起動する際の動作、特に前輪用モータ24,26,モータ36に対するリレー57a,58a,59aのいずれかに固着による異常が生じているときにシステム起動する際の動作について説明する。イグニッションスイッチ80がオンされると、メイン電子制御ユニット70のCPU72は、エンジン32を始動すると共にモータECU40に起動処理を実行するための制御信号をモータECU40に送信する。
【0027】
図3は、モータECU40により実行される起動処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンが実行されると、モータECU40は、プリチャージ用リレー55aをオンとし(ステップS100)、電圧センサ42a,44a,46aからの平滑用コンデンサ43,45,47の電圧Vcfr,Vcfl,Vcrを入力し(ステップS110)、入力した平滑用コンデンサ43,45,47の電圧Vcfr,Vcfl,Vcrが値0から変化したか否かを判定する(ステップS120)。起動時は、前輪用モータ24,26,モータ36に対するリレー57a,58a,59aはいずれもオフとされているから、リレー57a,58a,59aのいずれもが正常にオフしていれば平滑用コンデンサ43,45,47の電圧Vcfr,Vcfl,Vcrは値0を保持し、リレー57a,58a,59aのいずれかに固着による異常が生じていれば固着した平滑用コンデンサの端子間電圧は値0から変化する。即ち、端子間電圧が値0を保持している平滑用コンデンサに対するリレーについては固着による異常は生じていないと判定し、端子間電圧が値0から変化した平滑用コンデンサに対するリレーについては固着による異常が生じていると判定するのである。
【0028】
平滑用コンデンサ43,45,47の電圧Vcfr,Vcfl,Vcrが値0を保持しているときには、リレー57a,58a,59aのいずれにも固着による異常は生じていないと判断し、プリチャージ用リレー55aのオンに加えてリレー57a,58a,59aの全てをオンとして(ステップS180)、平滑用コンデンサ43,45,47の充電を開始し、電圧センサ50aからの第1キャパシタ50の端子間電圧Vc1と電圧センサ46aからの平滑コンデンサ47の電圧Vcrを入力すると共に(ステップS190)、入力した第1キャパシタ50の端子間電圧Vc1と平滑用コンデンサ47の電圧Vcrとの差が閾値Vref1未満に至っているか否かを判定し(ステップS200)、第1キャパシタ50の端子間電圧Vc1と平滑コンデンサ47の電圧Vcrとの差が閾値Vref1未満に至るまで第1キャパシタ50の端子間電圧Vc1と平滑コンデンサ47の電圧Vcrとを入力する処理とその電圧差を閾値Vref1と比較する処理とを繰り返す。ここで閾値Vref1は、平滑用コンデンサ43,45,47の充電がほぼ完了しているか否かを判定するための閾値であり、比較的小さな値を用いることができる。そして、第1キャパシタ50の端子間電圧Vc1と平滑用コンデンサ47の電圧Vcrとの差が閾値Vref1未満に至ったときにプリチャージ用リレー55aをオフとすると共に第1キャパシタ50,第2キャパシタ51に対するリレー55,56をオンとし(ステップS210)、起動処理完了の制御信号をメイン電子制御ユニット70に送信して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。
【0029】
一方、平滑用コンデンサ43,45,47の電圧Vcfr,Vcfl,Vcrのいずれかが値0から変化しているときには、値0から変化した平滑用コンデンサに対するリレーに固着による異常が生じていると判断し、プリチャージ用リレー55aをオフとすると共に(ステップS130)、固着による異常が生じているリレー(以下、「固着リレー」という。)に対するモータ(以下、「固着モータ」という。)に対してd軸電流が流れるよう固着モータに対するインバータを制御する(ステップS140)。このように固着モータにd軸電流を流すことにより、固着モータからトルクを出力することなく対応する平滑用コンデンサ(以下、「固着コンデンサ」という。)に蓄えられている電荷を放電することができる。続いて、固着コンデンサの端子間電圧Vcを入力すると共に(ステップS150)、入力した固着コンデンサの端子間電圧Vcと値0とを比較し(ステップS160)、固着コンデンサの端子間電圧Vcが値0となるのを待つ。即ち、固着コンデンサに蓄えられている電荷が完全に放電されるのを待つのである。固着コンデンサの端子間電圧Vcが値0になると、固着モータにd軸電流を流す制御を停止し(ステップS170)、プリチャージ用リレー55aとリレー57a,58a,59aの全てをオンとして(ステップS180)、平滑用コンデンサ43,45,47の充電を開始する。このとき、平滑用コンデンサ43,45,47の電圧Vcfr,Vcfl,Vcrはいずれも値0であるから、リレー57a,58a,59aのオンの際に大電流が流れることはない。そして、第1キャパシタ50の端子間電圧Vc1と平滑用コンデンサ47の電圧Vcrとの差が閾値Vref1未満に至るのを待って(ステップS190,S200)、プリチャージ用リレー55aをオフとすると共に第1キャパシタ50,第2キャパシタ51に対するリレー55,56をオンとし(ステップS210)、起動処理完了の制御信号をメイン電子制御ユニット70に送信して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。
【0030】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、システム起動時に前輪用モータ24,26,モータ36に対するリレー57a,58a,59aのいずれかに固着による異常が生じているときには、プリチャージ用リレー55aをオフとすると共に固着モータに対してd軸電流が流れるようそのインバータを制御して固着コンデンサに蓄えられている電荷を放電し、その後、プリチャージ用リレー55aとリレー57a,58a,59aの全てをオンとして平滑用コンデンサ43,45,47を充電し、平滑用コンデンサ43,45,47の充電が完了すると、プリチャージ用リレー55aをオフとすると共に第1キャパシタ50,第2キャパシタ51に対するリレー55,56をオンとして起動処理を完了するから、リレー57a,58a,59aのいずれかに固着による異常が生じているときでも大電流を生じることなくシステム起動することができる。
【0031】
実施例のハイブリッド自動車20では、平滑用コンデンサ43,45,47の充電完了を第1キャパシタ50の端子間電圧Vc1と平滑用コンデンサ47の電圧Vcrとの差が閾値Vref1未満に至っているか否かにより行なうものとしたが、平滑用コンデンサ43,45,47の充電完了を第2キャパシタ51の端子間電圧Vc2と平滑用コンデンサ47の電圧Vcrとの差が閾値Vref1未満に至っているか否かにより行なうものとしたり、平滑用コンデンサ43,45,47の充電完了を第1キャパシタ50の端子間電圧Vc1または第2キャパシタ51の端子間電圧Vc2と平滑用コンデンサ43の電圧Vcfrまたは平滑用コンデンサ45の電圧Vcflとの差が閾値Vref1未満に至っているか否かにより行なうものとしたりしてもよい。
【0032】
実施例のハイブリッド自動車20では、前輪用モータ24,26,モータ36の3つのモータを第1キャパシタ50および第2キャパシタ51に並列に接続するものとしたが、2つのモータを第1キャパシタ50および第2キャパシタ51に対して並列に接続するものとしたり、4つ以上のモータを第1キャパシタ50および第2キャパシタ51に対して並列に接続するものとしたりしてもよい。
【0033】
実施例のハイブリッド自動車20では、第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の2つのキャパシタを前輪用モータ24,26,モータ36に並列に接続するものとしたが、一つのキャパシタを前輪用モータ24,26,モータ36に接続するものとしたり、三つ以上のキャパシタを前輪用モータ24,26,モータ36に並列に接続するものとしたりしてもよい。
【0034】
実施例のハイブリッド自動車20では、前輪用モータ24,26,モータ36と電力のやりとりを行なうよう第1キャパシタ50および第2キャパシタ51を備えるものとしたが、第1キャパシタ50および第2キャパシタ51に代えてリチウム二次電池などのバッテリを備えるものとしても構わない。
【0035】
実施例のハイブリッド自動車20では、正極用バスバー54aと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の正極側端子とに介在するようリレー55,56を取り付けると共に負極用バスバー54bと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の負極側端子とに介在するようリレー57a,58a,59aを取り付けるものとしたが、負極用バスバー54bと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の負極側端子とに介在するようリレー55,56を取り付けると共に正極用バスバー54aと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の正極側端子とに介在するようリレー57a,58a,59aを取り付けるものとしてもよい。また、正極用バスバー54aと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の正極側端子とに介在すると共に負極用バスバー54bと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の負極側端子とに介在するようリレー55,56を取り付け、正極用バスバー54aと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の正極側端子とに介在すると共に負極用バスバー54bと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の負極側端子とに介在するようリレー57a,58a,59aを取り付けるものとしてもよい。更に、正極用バスバー54aと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の正極側端子とに介在すると共に負極用バスバー54bと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の負極側端子とに介在するようリレー55,56を取り付け、正極用バスバー54aと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の正極側端子とに介在するようリレー57a,58a,59aを取り付けたり、正極用バスバー54aと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の正極側端子とに介在すると共に負極用バスバー54bと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の負極側端子とに介在するようリレー55,56を取り付け、負極用バスバー54bと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の負極側端子とに介在するようリレー57a,58a,59aを取り付けたりしてもよい。
【0036】
実施例では、本発明を実施するための最良の形態としてハイブリッド自動車20に適用して説明したが、ハイブリッド自動車以外の車両に搭載された駆動装置の形態としてもよく、車両に搭載されない駆動装置の形態としてもよい。また、駆動装置の制御方法の形態としても構わない。
【0037】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、前輪用モータ24,26,モータ36が「複数の電動機」に相当し、第1キャパシタ50および第2キャパシタ51が「蓄電手段」に相当し、正極用バスバー54aが「正極用接続部材」に相当し、負極用バスバー54bが「負極用接続部材」に相当し、リレー55,56が「電源用リレー」に相当し、プリチャージ用リレー55aおよび抵抗55bが「プリチャージ用回路」に相当し、リレー57a,58a,59aが「複数の電動機用リレー」に相当し、平滑用コンデンサ43,45,47が「複数の平滑用コンデンサ」に相当する。そして、システム起動時に前輪用モータ24,26,モータ36に対するリレー57a,58a,59aのいずれかに固着による異常が生じているときには、プリチャージ用リレー55aをオフとすると共に固着モータに対してd軸電流が流れるようそのインバータを制御して固着コンデンサに蓄えられている電荷を放電し、その後、プリチャージ用リレー55aとリレー57a,58a,59aの全てをオンとして平滑用コンデンサ43,45,47を充電し、平滑用コンデンサ43,45,47の充電が完了すると、プリチャージ用リレー55aをオフとすると共に第1キャパシタ50,第2キャパシタ51に対するリレー55,56をオンとして起動処理を完了する図3の起動処理ルーチンのステップS130〜S220の処理を実行するモータECU40が「制御手段」に相当する。また、エンジン32が「内燃機関」に相当し、前輪用モータ24,26が「前輪用電動機」に相当し、モータ36が「後輪用電動機」に相当する。
【0038】
ここで、「複数の電動機」としては、同期発電電動機として構成された前輪用モータ24,26やモータ36に限定されるものではなく、二つの電動機としたり、四つ以上の電動機としたりしてもよく、モータの種類も同期発電電動機に限定されるものではない。「蓄電手段」としては、第1キャパシタ50および第2キャパシタ51に限定されるものではなく、一つのキャパシタとしたり、三つ以上の並列接続されたキャパシタとしたりしてもよく、二次電池などのバッテリとしてもよい。「正極用接続部材」としては、導電性材料により形成された正極用バスバー54aに限定されるものではなく、蓄電手段の正極に接続されると共に複数の電動機側の各々の正極側端子に接続されて導電性を有するものであれば如何なるものとしても構わない。「負極用接続部材」としては、導電性材料により形成された負極用バスバー54bに限定されるものではなく、蓄電手段の負極に接続されると共に複数の電動機側の各々の負極側端子に接続されて導電性を有するものであれば如何なるものとしても構わない。「電源用リレー」としては、正極用バスバー54aと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の正極側端子とに介在するリレー55,56に限定されるものではなく、負極用バスバー54bと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の負極側端子とに介在する2つのリレーとしたり、正極用バスバー54aと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の正極側端子とに介在すると共に負極用バスバー54bと第1キャパシタ50および第2キャパシタ51の負極側端子とに介在する2つのリレーとするなど、蓄電手段の正極用接続部材および負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なうものであれば如何なるものとしても構わない。「プリチャージ用回路」としては、プリチャージ用リレー55aおよび抵抗55bとからなるものに限定されるものではなく、抵抗とリレーと有し、電源用リレーに対して並列に接続されてなるものであれば如何なるものとしても構わない。「複数の電動機用リレー」としては、負極用バスバー54bと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の負極側端子とに介在するリレー57a,58a,59aに限定されるものではなく、正極用バスバー54aと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の正極側端子とに介在する3つのリレーとしたり、正極用バスバー54aと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の正極側端子とに介在すると共に負極用バスバー54bと前輪用モータ24,26,モータ36のインバータ42,44,46の負極側端子とに介在する3つのリレーとするなど、複数の電動機の正極用接続部材および負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を複数の電動機毎に行なうものであれば如何なるものとしても構わない。「複数の平滑用コンデンサ」としては、平滑用コンデンサ43,45,47に限定されるものではなく、複数の電動機用リレーより複数の電動機側に取り付けられたものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、システム起動時に前輪用モータ24,26,モータ36に対するリレー57a,58a,59aのいずれかに固着による異常が生じているときには、プリチャージ用リレー55aをオフとすると共に固着モータに対してd軸電流が流れるようそのインバータを制御して固着コンデンサに蓄えられている電荷を放電し、その後、プリチャージ用リレー55aとリレー57a,58a,59aの全てをオンとして平滑用コンデンサ43,45,47を充電し、平滑用コンデンサ43,45,47の充電が完了すると、プリチャージ用リレー55aをオフとすると共に第1キャパシタ50,第2キャパシタ51に対するリレー55,56をオンとして起動処理を完了するものに限定されるものではなく、システム起動時に複数の電動機用リレーのいずれかの電動機用リレーに固着による異常が判定されているときには、電源用リレーとプリチャージ用回路におけるリレーと複数の電動機用リレーのいずれもがオフとされた状態で固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を駆動することにより固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサに充電されている電荷が放電されるよう固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を制御し、固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサの放電完了後に複数の電動機用リレーの全てをオンとすると共にプリチャージ用回路におけるリレーをオンすることにより複数の平滑用コンデンサが充電されるよう複数の電動機用リレーとプリチャージ用回路におけるリレーとを制御し、複数の平滑用コンデンサの充電が完了したときにプリチャージ用回路におけるリレーがオフされると共に電源用リレーがオンされるようプリチャージ用回路におけるリレーと電源用リレーとを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0039】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0040】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、駆動装置およびこれを搭載するハイブリッド車の製造産業などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例としての駆動装置を搭載するレース用に開発されたハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例のハイブリッド自動車20の電気系の構成の一例を示す構成図である。
【図3】モータECU40に実行される起動処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
20 ハイブリッド自動車、21 前輪駆動系、24,26 前輪用モータ、25,27 回転位置検出センサ、29a,29b 前輪、31 後輪駆動系、32 エンジン、33 クランクシャフト、33a クラッチ、34 トランスミッション、36 モータ、37 回転位置検出センサ、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 後輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、42,44,46 インバータ、42a,44a,46a,50a,51a 電圧センサ、42b,44b,46b,50b,51b 電流センサ、43,45,47 平滑用コンデンサ、50 第1キャパシタ、51 第2キャパシタ、50c,51c 温度センサ、54 ジャンクボックス、55,55a,56,57a,58a,59a リレー、55b 抵抗、57b,58b,59b ヒューズ、60 電子制御式油圧ブレーキユニット(ECB)、61 マスタシリンダ、61a マスタシリンダ圧センサ、62 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、64 ブレーキアクチュエータ、66a,66b,68a,68b ホイールシリンダ、70 メイン電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 アップスイッチ、82 ダウンスイッチ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を入出力する複数の電動機と、前記複数の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える駆動装置であって、
前記蓄電手段の正極に接続されると共に前記複数の電動機側の各々の正極側端子に接続される正極用接続部材と、
前記蓄電手段の負極に接続されると共に前記複数の電動機側の各々の負極側端子に接続される負極用接続部材と、
前記蓄電手段の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう電源用リレーと、
抵抗とリレーと有し、前記電源用リレーに対して並列に接続されてなるプリチャージ用回路と、
前記複数の電動機の各々の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう複数の電動機用リレーと、
前記複数の電動機用リレーより前記複数の電動機側に取り付けられた複数の平滑用コンデンサと、
システム起動時に前記複数の電動機用リレーのいずれかの電動機用リレーに固着による異常が判定されているときには、前記電源用リレーと前記プリチャージ用回路におけるリレーと前記複数の電動機用リレーのいずれもがオフとされた状態で前記固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を駆動することにより前記固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサに充電されている電荷が放電されるよう前記固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を制御し、前記固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサの放電完了後に前記複数の電動機用リレーの全てをオンとすると共に前記プリチャージ用回路におけるリレーをオンすることにより前記複数の平滑用コンデンサが充電されるよう前記複数の電動機用リレーと前記プリチャージ用回路におけるリレーとを制御し、前記複数の平滑用コンデンサの充電が完了したときに前記プリチャージ用回路におけるリレーがオフされると共に前記電源用リレーがオンされるよう前記プリチャージ用回路におけるリレーと前記電源用リレーとを制御する制御手段と、
を備える駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の駆動装置であって、
前記電源用リレーは、前記蓄電手段の正極または負極の一方の電極と前記正極用接続部材および前記負極用接続部材のうち該一方の電極に接続される接続部材との接続と接続の解除を行なうリレーであり、
前記複数の電動機用リレーは、前記正極用接続部材および前記負極用接続部材のうち前記一方の電極に接続される接続部材とは異なる他方の接続部材と前記複数の電動機側の各々の正極側端子および負極側端子のうち前記他方の接続部材に接続される端子との接続と接続の解除を行なうリレーである、
駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の駆動装置であって、
前記蓄電手段は、複数のキャパシタであり、
前記電源用リレーは、前記複数のキャパシタの各々の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう複数のリレーである、
駆動装置。
【請求項4】
走行用の動力を出力する内燃機関と請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の駆動装置とを搭載し、前記複数の電動機は走行用の動力を出力可能に取り付けられてなるハイブリッド車。
【請求項5】
請求項4記載のハイブリッド車であって、
前記内燃機関は、後輪に駆動用の動力を出力するよう取り付けられてなり、
前記複数の電動機は、前輪に駆動用の動力を出力する前輪用電動機と後輪に駆動用の動力を出力する後輪用電動機とを含む複数の電動機であり、
前記蓄電手段は、並列接続された2つのキャパシタである、
ハイブリッド車。
【請求項6】
動力を入出力する複数の電動機と、前記複数の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、前記蓄電手段の正極に接続されると共に前記複数の電動機側の各々の正極側端子に接続される正極用接続部材と、前記蓄電手段の負極に接続されると共に前記複数の電動機側の各々の負極側端子に接続される負極用接続部材と、前記蓄電手段の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう電源用リレーと、抵抗とリレーと有し前記電源用リレーに対して並列に接続されてなるプリチャージ用回路と、前記複数の電動機の各々の前記正極用接続部材および前記負極用接続部材への電気的な接続および接続の解除を行なう複数の電動機用リレーと、前記複数の電動機用リレーより前記複数の電動機側に取り付けられた複数の平滑用コンデンサと、を備える駆動装置の制御方法であって、
システム起動時に前記複数の電動機用リレーのいずれかの電動機用リレーに固着による異常が判定されているときには、前記電源用リレーと前記プリチャージ用回路におけるリレーと前記複数の電動機用リレーのいずれもがオフとされた状態で前記固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を駆動することにより前記固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサに充電されている電荷が放電されるよう前記固着が判定された電動機用リレーに対する電動機を制御し、前記固着が判定された電動機用リレーに対する平滑用コンデンサの放電完了後に前記複数の電動機用リレーの全てをオンとすると共に前記プリチャージ用回路におけるリレーをオンすることにより前記複数の平滑用コンデンサが充電されるよう前記複数の電動機用リレーと前記プリチャージ用回路におけるリレーとを制御し、前記複数の平滑用コンデンサの充電が完了したときに前記プリチャージ用回路におけるリレーがオフされると共に前記電源用リレーがオンされるよう前記プリチャージ用回路におけるリレーと前記電源用リレーとを制御する、
ことを特徴とする駆動装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−266494(P2009−266494A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113052(P2008−113052)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】