説明

駆動装置及びこれを有するロボット

【課題】駆動ユニットの回転力を従動ユニットに伝達するケーブルに充分な張力を発生させることで、駆動ユニット及び従動ユニットとケーブルとの間に発生するスリップを防止し、回転力を損失なしに伝達する駆動装置及びこれを有するロボットを提供する。
【解決手段】駆動ユニット30と、前記駆動ユニット30と接触しないように離隔空間を挟んで設けられ、前記駆動ユニット30から発生した回転力を受けて回転する従動ユニット40と、前記駆動ユニット30と前記従動ユニット40とを連結し、前記回転力を前記従動ユニット40に伝達するケーブル50と、前記離隔空間に設けられ、前記ケーブル50に張力が発生するように前記ケーブル50が互いに接近する方向に前記ケーブル50を加圧する加圧ユニット60とを含んで駆動装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置及びこれを有するロボットに関するもので、より詳細には、加圧ユニットを設けて、駆動ユニット及び従動ユニットとケーブルとの間にスリップが発生しないように張力を与えられる駆動装置及びこれを有するロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、駆動装置とは、機械や計測器などの動力機構を動かす装置を意味する。駆動装置は、内燃機関やモーターによって発生した回転力などを動力機構に伝達し、動力機構が意図的な動作を行えるようにする装置である。
【0003】
駆動装置として、キャプスタン(Capstan)方式で回転力を伝達するものがある。キャプスタン方式の駆動装置は、ケーブルを用いて回転力を始めとする動力を伝達する。すなわち、ケーブルを多数の軸に巻くか、ケーブルを多数の軸から巻き戻す動作を通して、回転力を駆動ユニットから従動ユニットに伝達させることができる。
【0004】
一方、最近、ロボットと関連した技術が発展するにつれて、従来の単純に特定の動作のみを遂行していた産業用ロボットから逸脱し、人間の外形と類似したロボットを開発しようとする試みがある。
【0005】
人間型ロボットを具現するためには、腕及び脚などを駆動するための回転力を最小限の空間内で効果的に伝達する必要があり、このような要求事項を満足させるためにキャプスタン方式を適用しようとする試みがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャプスタン方式のようにケーブルを用いた駆動装置においては、ケーブルが緩むと、ケーブルが巻かれている軸とケーブルとの間にスリップが発生し、回転力が円滑に伝達されないので、ケーブルに一定程度以上の張力が加えられるべきである。
【0007】
しかしながら、従来の駆動装置においては、ケーブルが軸に巻き取られる回数を増やす方法でケーブルと軸との間のスリップを防止しているので、軸が長くなり、駆動装置の全体的な大きさが増加するという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのもので、その目的は、駆動ユニットの回転力を従動ユニットに伝達するケーブルに充分な張力を発生させることで、駆動ユニット及び従動ユニットとケーブルとの間に発生するスリップを防止し、回転力を損失することなく、伝達することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、駆動ユニットと、前記駆動ユニットと接触しないように離隔空間を挟んで設けられ、前記駆動ユニットから発生した回転力を受けて回転する従動ユニットと、前記駆動ユニットと前記従動ユニットを連結し、前記回転力を前記従動ユニットに伝達するケーブルと、前記離隔空間に設けられ、前記ケーブルに張力が発生するように前記ケーブルが互いに接近する方向に前記ケーブルを加圧する加圧ユニットとを含む駆動装置によって達成される。
【0010】
前記加圧ユニットは、前記ケーブルのなすループの外側から内側に前記ケーブルを加圧するように設けられることが好ましい。
【0011】
前記駆動ユニット、前記従動ユニット及び前記加圧ユニットのうち少なくとも何れか一つの外周面には、前記ケーブルが巻き取られる位置を案内するために、前記ケーブルの直径に対応する溝形状のガイドが設けられることが可能である。
【0012】
前記従動ユニットに設けられた前記ガイドは、前記従動ユニットの軸方向に対する直角方向に前記従動ユニットの外周面に設けられた平行部と、前記ケーブルが巻き取られる位置を前記従動ユニットの軸方向に平行に移動させるシフト部とを含むことが好ましい。
【0013】
前記従動ユニットは、円筒形のドラム形状を有し、平らな外周面部分を有する平面部を含み、前記シフト部は、前記平面部に設けられることが可能である。
【0014】
前記シフト部は、前記平行部に設けられた前記ガイドに対して一定角度だけ傾斜した傾斜部を含み、前記傾斜部は、少なくとも前記ケーブルの直径長さだけ前記ケーブルを平行に移動させることが好ましい。
【0015】
前記加圧ユニットは一対となるように設けられ、前記加圧ユニットに設けられた前記ガイドには、前記ケーブルが巻き取られる位置を前記加圧ユニットの軸方向に少なくとも前記ケーブルの直径の半分ずつ平行に移動させるシフト部が設けられることが可能である。
【0016】
前記加圧ユニットは、円筒形のローラ形状を有することが好ましい。
【0017】
また、上記の目的は、少なくとも一つの動作部が設けられたロボットにおいて、前記動作部が、回転力を発生させる駆動ユニットと、前記駆動ユニットと接触しないように離隔空間を挟んで設けられ、前記駆動ユニットから発生した回転力を受けて回転する従動ユニットと、前記回転力を前記従動ユニットに伝達するケーブルと、前記離隔空間に設けられ、前記駆動ユニット及び前記従動ユニットのうち少なくとも何れか一つと前記ケーブルとの間の接触が増加するように、前記ケーブルのなすループの外側から内側方向に前記ケーブルを加圧する一対の加圧ユニットとを含むことを特徴とするロボットによっても達成される。
【0018】
前記駆動ユニット、前記従動ユニット及び前記加圧ユニットのうち少なくとも何れか一つの外周面には、前記ケーブルが巻き取られる位置を案内するために、前記ケーブルの直径に対応する溝形状のガイドが設けられることが可能である。
【0019】
前記従動ユニットに設けられた前記ガイドは、前記従動ユニットの長さ方向に対する直角方向に前記従動ユニットの外周面に設けられた平行部と、前記ケーブルが巻き取られる位置を前記従動ユニットの軸方向に平行に移動させるシフト部とを含むことが好ましい。
【0020】
また、上記の目的は、少なくとも一つの動作部が設けられたロボットにおいて、前記動作部が、回転力を発生させる駆動ユニットと、前記駆動ユニットと接触しないように離隔空間を挟んで設けられ、前記駆動ユニットから発生した回転力を受けて回転する従動ユニットと、前記回転力を前記従動ユニットに伝達するケーブルと、前記離隔空間に設けられ、前記駆動ユニット及び前記従動ユニットのうち少なくとも何れか一つと前記ケーブルとの間の接触が増加するように、前記ケーブルのなすループの外側から内側方向に前記ケーブルを加圧する一対の加圧ユニットと、前記ケーブルが巻き取られる位置を前記従動ユニットの軸方向に平行に移動させるように、前記従動ユニットの外面に設けられた溝形状のシフト部とを含むことを特徴とするロボットによっても達成される。
【0021】
また、上記の目的は、少なくとも一つの動作部が設けられたロボットにおいて、前記動作部が、回転力を発生させる駆動ユニットと、前記駆動ユニットと接触しないように離隔空間を挟んで設けられ、前記駆動ユニットから発生した回転力を受けて回転する従動ユニットと、前記回転力を前記従動ユニットに伝達するケーブルと、前記離隔空間に設けられ、前記駆動ユニット及び前記従動ユニットのうち少なくとも何れか一つと前記ケーブルとの間の接触が増加するように、前記ケーブルのなすループの外側から内側方向に前記ケーブルを加圧する一対の加圧ユニットと、前記ケーブルが巻き取られる位置を前記加圧ユニットの軸方向に平行に移動させるように、前記加圧ユニットの外面に設けられた溝形状のシフト部とを含むことを特徴とするロボットによっても達成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る駆動装置及びこれを有するロボットは、駆動ユニットの回転力を従動ユニットに伝達するケーブルに充分な張力を発生させることで、ケーブルと駆動ユニットまたは従動ユニットとの間に発生するスリップを防止し、回転力を損失することなく伝達できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施例に係る駆動装置が適用されたロボットを示した側面図である。
【図2】図1の駆動装置を示した斜視図である。
【図3】図2の駆動装置を示した分解斜視図である。
【図4】図2の駆動装置の下面を示した分解斜視図である。
【図5】図2の駆動装置を示した側面図である。
【図6】図1の駆動装置の作動を示した図である。
【図7】図1の駆動装置の作動を示した図である。
【図8】本発明の第2実施例に係る駆動装置を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面に基づいて本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1実施例に係る駆動装置が適用されたロボットの側面図である。
【0026】
図1に示すように、本発明の第1実施例に係るロボット10は、頭部12、胴体部14及び脚部16に区分され、動作が行われる各部分には駆動装置20が設けられる。
【0027】
駆動装置20は、ロボット10を動作可能にする力を発生及び伝達する。駆動装置20は、ロボット10の動作が行われる全ての部分に使用可能であるが、説明の便宜上、以下では、特別な言及がない限り、胴体部14と脚部16との連結部品である髀臼関節15に設けられた駆動装置20に対して説明することにする。制御部(図示せず)でロボット10を前方または後方に移動させる制御信号をモーター21(図2を参照)に印加すると、制御信号の強度及び持続時間によってモーター21(図2を参照)が作動する。モーター21(図2を参照)の作動によって発生した回転力は、伝達過程を経て最終的に従動ユニット40(図2を参照)に伝達される。通常、モーター21(図2を参照)は胴体部14に設けられ、従動ユニット40(図2を参照)は脚部16に設けられる。したがって、モーター21(図2を参照)の正・逆回転によって髀臼関節15が時計及び反時計方向に回動するようになり、結果的に脚部16が前後に移動し、ロボット10が前後方に移動する。モーター21(図2を参照)から発生した回転力を伝達する方法には多様なものがある。その一つとして、ギアボックス(図示せず)を使用する方案があるが、ギアボックス(図示せず)を使用する場合、回転力が伝達される過程で多様なギア比の組み合わせを経るようになり、動力伝達効率が低下する。また、強度を維持するために金属材質のギアボックス(図示せず)を使用する場合、重さ及び大きさが増加するという問題点がある。本発明は、上記のような問題点を解決するために、高い動力伝達効率を有しながらも重さ及び大きさを減少できる駆動装置20を開示する。以下、駆動装置20の具体的な構成を図2及び図3に基づいて説明する。
【0028】
図2は、図1の駆動装置を示した斜視図で、図3は、図2の駆動装置を示した分解斜視図で、図4は、図2の駆動装置の下面を示した分解斜視図である。
【0029】
図2乃至図4に示すように、本発明の第1実施例に係る駆動装置20は、駆動ユニット30、従動ユニット40、ケーブル50及び加圧ユニット60を含む。
【0030】
駆動ユニット30は、モーター軸(図示せず)と連結され、モーター21から発生した回転力を受けて回転する。すなわち、駆動ユニット30では、駆動装置20を作動可能にする力が発生する。駆動ユニット30には、胴体部14(図1を参照)に設けられたモーター21と連結されるモーター連結部32及び駆動軸34が設けられる。
【0031】
駆動軸34は、モーター連結部32から延長され、実質的に回転力を伝達する部分である。駆動軸34の長さは、駆動軸34にケーブル50が巻線される回数に左右される。すなわち、駆動軸34に巻線されたケーブル50の回数が多くなると、駆動軸34の長さが相対的に長くなり、駆動軸34に巻線されたケーブル50の回数が少なくなると、駆動軸34の長さが相対的に短くなる。一方、ケーブル50が巻線される回数を増加させると、ケーブル50にかかる張力が相対的に小さい場合にも、増加した摩擦力によってスリップの発生が少なくなる。しかしながら、巻線される回数を増加させると、相対的に駆動軸34などの長さが長くなり、駆動装置20の全体的な大きさが増加する。本発明では、加圧ユニット60がケーブル50を加圧することでケーブル50に張力が発生するので、ケーブル50が駆動ユニット30と従動ユニット40に巻き取られる回数を減少させることができる。したがって、駆動装置20の全体的な大きさが減少するという効果が発生する。駆動軸34がモーター連結部32側で駆動軸ベアリング38と結合されることで、駆動軸34の回転が円滑になり、駆動軸34の終端側は第1ブラケット22によって支持される。駆動軸34には第1ガイド36が設けられる。
【0032】
第1ガイド36は、ケーブル50の位置を案内する。第1ガイド36は、駆動軸34の表面に駆動軸34の周りに沿って設けられた溝である。ケーブル50は、溝形状の第1ガイド36に沿って駆動軸34に接触する。ケーブル50が第1ガイド36によって案内されるので、駆動軸34が継続的に回転するとしても、ケーブル50がねじれたり、ケーブル50が駆動軸34から離脱されたりする現象が発生しない。
【0033】
従動ユニット40は、駆動ユニット30の回転力を受ける部分である。モーター21から発生した回転力は駆動ユニット30を回転させ、駆動ユニット30の回転力は、ケーブル50によって従動ユニット40に伝達される。モーター21が胴体部14(図1を参照)に設けられる場合、従動ユニット40は脚部16(図1を参照)に設けられる。したがって、駆動ユニット30が回転すると、従動ユニット40が設けられた脚部16(図1を参照)が前後に移動するようになる。従動ユニット40は、一方向または他方向に連続的に360度以上回転することも可能であるが、本発明の第1実施例に係る駆動装置20には下端部分の平面部42があるので、一方向または他方向に連続的に回転しない場合を説明することにする。従動ユニット40には、従動ユニット40の本体を形成する従動ドラム41と、第2ブラケット24に結合され、従動ドラム41を回転可能に結合させる従動シャフト43と、従動ドラム41に結合される従動軸45とが設けられる。駆動ユニット30が胴体部14(図1を参照)に設けられ、従動ユニット40が脚部16(図1を参照)に設けられると述べたが、場合によっては、従動軸45を除いた部分が胴体部14(図1を参照)に設けられ、従動軸45のみが胴体部14(図1を参照)から脚部16(図1を参照)側に突出されることも可能である。駆動軸34に設けられた第1ガイド36と同様に、従動ドラム41の外面にも第2ガイド46が設けられる。第2ガイド46も、第1ガイド36と同様に、従動ドラム41の外面に巻線されるケーブル50の位置をガイドする。一方、第2ガイド46にはシフト部48が設けられる。
【0034】
シフト部48は、従動ドラム41の平面部42に設けられる。一本のケーブル50は、駆動ユニット30の駆動軸34の外面と従動ユニット40の従動ドラム41の外面とを反復的に往復しながら巻き取られる。すなわち、ケーブル50は、駆動ユニット30と従動ユニット40との間を往復することで一つの閉ループをなすようになる。一本のケーブル50が駆動軸34と従動ドラム41とを往復しながら巻き取られるので、ケーブル50のもつれを防止するために、ケーブル50は、最小限にケーブル50の幅だけの間隔をおいて巻き取られるべきである。シフト部48の第2ガイド46には傾斜部47が設けられる。傾斜部47は、最小限にケーブル50の幅だけ傾斜するように設けられる。第2ガイド46に沿って巻き取られていたケーブル50は、シフト部48の傾斜部47で傾斜するように巻き取られる。したがって、ケーブル50は、互いにもつれることなく、並列に巻き取られる。シフト部48にはカバー49が設けられる。
【0035】
カバー49はシフト部48と結合される。カバー49の内側には、傾斜部47が設けられたシフト部48の形状に対応する溝44が設けられる。ケーブル50は、シフト部48と溝44の形状に沿って巻き取られる。
【0036】
一本のケーブル50は、駆動ユニット30と従動ユニット40との間を往復しながら巻き取られる。本発明の第1実施例に係る駆動装置20では、一本のケーブル50が設けられた場合を説明するが、強度などの必要によって複数のケーブル50が設けられることも可能である。本発明の第1実施例による駆動装置20は、キャプスタン方式で回転力を伝達する。キャプスタン方式は、ケーブル50とケーブル50が巻き取られた従動ユニット40との間の相対位置が大きく変更されない方式で回転力を伝達する。すなわち、通常のベルト駆動装置では、駆動軸と従動軸との間に設けられたベルトの回転によって駆動軸から従動軸に回転力を伝達するが、キャプスタン方式の駆動装置20では、ケーブル50自体が通常のベルト駆動装置のように大きく回転することがない。ケーブル50は、始点52と終点54とが従動ドラム41の平面部42であるシフト部48の内部に位置するように巻き取られる。ケーブル50としては、容易に引っ張られない材質であれば、金属、プラスチック及びゴムなどが使用される。
【0037】
加圧ユニット60は、ケーブル50に張力が発生するようにケーブル50を加圧する。加圧ユニット60は、駆動ユニット30を中心にしてその左右に一対となるように設けられる。本発明の第1実施例では、加圧ユニット60が一対となるように設けられた場合を説明するが、加圧ユニット60の個数がこれに限定されることはない。一対の加圧ユニット60は、ケーブル50を外側から内側に加圧する。加圧ユニット60の表面には第3ガイド66が設けられる。第1及び第2ガイド36,46と同様に、第3ガイド66もケーブル50の位置をガイドする。ただし、第3ガイド66は、内側でケーブル50と接触するだけで、加圧ユニット60にケーブル50が巻き取られるようにしない。以下、図5を参照して加圧ユニット60に対して具体的に説明する。
【0038】
図5は、図2の駆動装置を示した側面図である。
【0039】
図5に示すように、駆動装置20の加圧ユニット60は、離隔空間Sに設けられ、加圧方向Fにケーブル50を加圧する。離隔空間Sは、離隔している駆動ユニット30と従動ユニット40との間の空間である。離隔空間Sでは、ケーブル50が駆動ユニット30及び従動ユニット40と接触しなくなる。加圧ユニット60が離隔空間Sでケーブル50を加圧方向Fに加圧すると、第一に、ケーブル50の張力が増加し、第二に、ケーブル50と駆動ユニット30及び従動ユニット40との間の接触長さが増加する。
【0040】
ケーブル50の張力は、加圧ユニット60が加圧方向Fにケーブル50を加圧することで増加する。すなわち、駆動ユニット30と従動ユニット40との間に閉ループをなして巻き取られたケーブル50を、離隔空間Sでケーブル50が互いに近づく方向に加圧すると、ケーブル50に加えられる張力が増加する。ケーブル50の張力が増加すると、ケーブル50と駆動ユニット30及び従動ユニット40との間の接触力が大きくなる。そして、接触力が大きくなると、駆動ユニット30及び従動ユニット40の表面でケーブル50が滑る可能性が減少する。駆動ユニット30の回転にもかかわらず、ケーブル50が滑る場合、回転力が伝達されない。したがって、スリップが発生しないようにケーブル50に張力を維持させることは、駆動装置20の動力伝達効率を高めるための重要な設計要素である。本発明の第1実施例に係る加圧ユニット60は、離隔空間Sで加圧方向Fにケーブル50を加圧する比較的単純な構成を適用することで、ケーブル50にかかる張力を増加させることができる。
【0041】
ケーブル50と駆動ユニット30及び従動ユニット40との間の接触長さは、加圧ユニット60が加圧方向Fにケーブル50を加圧することで増加する。これを従動ユニット40の側面で説明すると、接触角aが増加することを意味する。加圧ユニット60が設けられない場合、離隔空間Sで駆動ユニット30及び従動ユニット40とケーブル50との間の空間が相対的に多くなる。加圧ユニット60が加圧方向Fに加圧すると、ケーブル50と駆動ユニット30及び従動ユニット40との間の接触長さが一層増加し、接触角aが大きくなる。加圧ユニット60によって接触角aが大きくなり、接触長さが増加すると、駆動ユニット30及び従動ユニット40とケーブル50との間の摩擦力が大きくなるという効果が発生する。そして、摩擦力が大きくなると、ケーブル50のスリップが減少するようになり、動力伝達効率が増加する。
【0042】
以下、上記のような構成を有する本発明の第1実施例に係る駆動装置20の作動を図6及び図7に基づいて説明する。
【0043】
図6及び図7は、図1の駆動装置の作動を示した図である。
ここでは、駆動装置20が作動し、脚部16が前方側に移動した状態で次の動作のために脚部16を後方側に移動させる場合を説明する。
【0044】
図6に示すように、前方側に移動した脚部16を後方側に移動させるために、駆動ユニット30を第1方向R1に回動させる。駆動ユニット30を第1方向R1に回動させると、ケーブル50と駆動ユニット30との間の相対運動が起きるようになる。加圧ユニット60は、ケーブル50の加圧によって駆動ユニット30とケーブル50との間に発生するスリップを防止する。駆動ユニット30によってケーブル50が移動すると、加圧ユニット60も第2方向R2に回動し、結果的に従動ユニット40が第3方向R3に回動する。
【0045】
図7に示すように、駆動ユニット30の回動によって自然に脚部16が後方側に移動し、次の動作のために、駆動ユニット30は第4方向R4に回転する。駆動ユニット30の反復的な回転にもかかわらず、加圧ユニット60がケーブル50を加圧しているので、ケーブル50のスリップが発生しなく、回転力の伝達が円滑になる。
【0046】
図8は、本発明の第2実施例に係る駆動装置を示した平面図で、ここでは、本発明の第1実施例と異なる部分のみを説明する。説明のために必要であれば、第1実施例と同一の部分に対しては同一の参照符号を与えて引用し、変更された部分に対しては‘a'を付加した参照符号を与えて引用する。
【0047】
本発明の第2実施例に係る駆動装置20aにおいては、シフト部48aが加圧ユニット60aに設けられる。
【0048】
一対の加圧ユニット60aは第1及び第2加圧ユニット61a,62aに分けられ、第1及び第2加圧ユニット61a,62aにはシフト部48aがそれぞれ設けられる。各シフト部48aには、ケーブル50の厚さの半分に該当する厚さだけケーブル50を平行に移動できる傾斜部47aが設けられる。ケーブル50は、第1加圧ユニット61aの傾斜部47aでケーブル50の厚さの半分だけ移動し、第2加圧ユニット62aでケーブル50の厚さの半分だけ再び移動する。したがって、一対の加圧ユニット60aを全て通過すると、一つのケーブル50の厚さだけケーブル50が平行に移動する。
【0049】
以上説明した本発明は、上述した各実施例に限定されるものでなく、本発明の思想及び範囲を逸脱しない限り、本発明の多様な修正及び変形が可能であることは、この技術の分野で通常の知識を有する者にとって自明である。したがって、そのような修正例及び変形例は、本発明の特許請求の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0050】
10 ロボット
20 駆動装置
30 駆動ユニット
40 従動ユニット
50 ケーブル
60 加圧ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ユニットと、
前記駆動ユニットと接触しないように離隔空間を挟んで設けられ、前記駆動ユニットから発生した回転力を受けて回転する従動ユニットと、
前記駆動ユニットと前記従動ユニットとを連結し、前記回転力を前記従動ユニットに伝達するケーブルと、
前記離隔空間に設けられ、前記ケーブルに張力が発生するように前記ケーブルが互いに接近する方向に前記ケーブルを加圧する加圧ユニットと、を含むことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記加圧ユニットは、
前記ケーブルのなすループの外側から内側に前記ケーブルを加圧するように設けられたことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記駆動ユニット、前記従動ユニット及び前記加圧ユニットのうち少なくとも何れか一つの外周面には、
前記ケーブルが巻き取られる位置を案内するために、前記ケーブルの直径に対応する溝形状のガイドが設けられたことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記従動ユニットに設けられた前記ガイドは、
前記従動ユニットの軸方向に対する直角方向に前記従動ユニットの外周面に設けられた平行部と、
前記ケーブルが巻き取られる位置を前記従動ユニットの軸方向に平行に移動させるシフト部と、を含むことを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記従動ユニットは、円筒形のドラム形状を有し、平らな外周面部分を有する平面部を含み、
前記シフト部は、前記平面部に設けられたことを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記シフト部は、
前記平行部に設けられた前記ガイドに対して一定角度だけ傾斜した傾斜部を含み、
前記傾斜部は、少なくとも前記ケーブルの直径長さだけ前記ケーブルを平行に移動させることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記加圧ユニットは一対となるように設けられ、
前記加圧ユニットに設けられた前記ガイドには、
前記ケーブルが巻き取られる位置を前記加圧ユニットの軸方向に少なくとも前記ケーブルの直径の半分ずつ平行に移動させるシフト部が設けられたことを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記加圧ユニットは、
円筒形のローラ形状を有することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項9】
少なくとも一つの動作部が設けられたロボットにおいて、
前記動作部は、
回転力を発生させる駆動ユニットと、
前記駆動ユニットと接触しないように離隔空間を挟んで設けられ、前記駆動ユニットから発生した回転力を受けて回転する従動ユニットと、
前記回転力を前記従動ユニットに伝達するケーブルと、
前記離隔空間に設けられ、前記駆動ユニット及び前記従動ユニットのうち少なくとも何れか一つと前記ケーブルとの間の接触が増加するように、前記ケーブルのなすループの外側から内側方向に前記ケーブルを加圧する一対の加圧ユニットと、
を含むことを特徴とするロボット。
【請求項10】
前記駆動ユニット、前記従動ユニット及び前記加圧ユニットのうち少なくとも何れか一つの外周面には、
前記ケーブルが巻き取られる位置を案内するために、前記ケーブルの直径に対応する溝形状のガイドが設けられたことを特徴とする請求項9に記載のロボット。
【請求項11】
前記従動ユニットに設けられた前記ガイドは、
前記従動ユニットの長さ方向に対する直角方向に前記従動ユニットの外周面に設けられた平行部と、
前記ケーブルが巻き取られる位置を前記従動ユニットの軸方向に平行に移動させるシフト部と、を含むことを特徴とする請求項10に記載のロボット。
【請求項12】
少なくとも一つの動作部が設けられたロボットにおいて、
前記動作部は、
回転力を発生させる駆動ユニットと、
前記駆動ユニットと接触しないように離隔空間を挟んで設けられ、前記駆動ユニットから発生した回転力を受けて回転する従動ユニットと、
前記回転力を前記従動ユニットに伝達するケーブルと、
前記離隔空間に設けられ、前記駆動ユニット及び前記従動ユニットのうち少なくとも何れか一つと前記ケーブルとの間の接触が増加するように、前記ケーブルのなすループの外側から内側方向に前記ケーブルを加圧する一対の加圧ユニットと、
前記ケーブルが巻き取られる位置を前記従動ユニットの軸方向に平行に移動させるように、前記従動ユニットの外面に設けられた溝形状のシフト部と、
を含むことを特徴とするロボット。
【請求項13】
少なくとも一つの動作部が設けられたロボットにおいて、
前記動作部は、
回転力を発生させる駆動ユニットと、
前記駆動ユニットと接触しないように離隔空間を挟んで設けられ、前記駆動ユニットから発生した回転力を受けて回転する従動ユニットと、
前記回転力を前記従動ユニットに伝達するケーブルと、
前記離隔空間に設けられ、前記駆動ユニット及び前記従動ユニットのうち少なくとも何れか一つと前記ケーブルとの間の接触が増加するように、前記ケーブルのなすループの外側から内側方向に前記ケーブルを加圧する一対の加圧ユニットと、
前記ケーブルが巻き取られる位置を前記加圧ユニットの軸方向に平行に移動させるように、前記加圧ユニットの外面に設けられた溝形状のシフト部と、
を含むことを特徴とするロボット。
【請求項14】
ロボットを駆動する従動ユニットと、
動力を発生させる駆動ユニットと、
前記駆動ユニットから前記従動ユニットに前記動力を伝達するケーブルと、
前記駆動ユニット及び前記従動ユニットのうち少なくとも何れか一つと前記ケーブルとの間の接触が増加するように前記ケーブルを加圧する一つまたはそれ以上の加圧ユニットと、を含むことを特徴とするロボット用駆動装置。
【請求項15】
前記ケーブルを収容するように前記従動ユニットの外面に設けられる溝形状のシフト部をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載のロボット用駆動装置。
【請求項16】
駆動ユニットと、
前記駆動ユニットから発生する回転力によって回転する従動ユニットと、
前記駆動ユニットと前記従動ユニットとを連結し、前記回転力を前記従動ユニットに伝達するケーブルと、
前記ケーブルを収容するように前記従動ユニットの外周面に設置され、第1方向に形成される第1溝部と、前記第1溝部から第2方向に延長される第2溝部とを有する溝と、を含むことを特徴とする駆動装置。
【請求項17】
前記駆動ユニット及び前記従動ユニットは、それぞれ互いに平行に配置される駆動軸及び従動軸に対して回転し、
前記第1方向は、前記従動ユニットの円周方向であることを特徴とする請求項16に記載の駆動装置。
【請求項18】
前記第2方向は、前記従動ユニットの従動軸を基準にして、前記第1方向に対して所定の角度を有することを特徴とする請求項16に記載の駆動装置。
【請求項19】
前記駆動ユニット及び前記従動ユニットは、互いに平行に配置される駆動軸及び従動軸を含み、
前記ケーブルは、前記駆動ユニット及び前記従動ユニットを何れか一方向に連結し、
前記何れか一方向は、前記従動ユニットの外周面の円周方向を基準にして、前記駆動ユニット及び前記従動ユニットのうち何れか一つと平行に配置されることを特徴とする請求項16に記載の駆動装置。
【請求項20】
前記駆動ユニットと前記従動ユニットとの間に配置され、前記ケーブルを前記駆動ユニットの駆動軸と前記従動ユニットの従動軸とを連結する仮想線方向に加圧する加圧ユニットを含み、
前記ケーブルは、前記駆動ユニットに巻き取られる第1ケーブル部と、前記従動ユニットに巻き取られ、前記第1溝部及び前記第2溝部に配置される第2ケーブル部と、前記第1ケーブル部と前記第2ケーブル部とを連結し、前記加圧ユニットによって加圧される第3ケーブル部と、を含むことを特徴とする請求項16に記載の駆動装置。
【請求項21】
前記駆動ユニットと前記従動ユニットとの間に配置され、前記ケーブルを前記駆動ユニットと前記従動ユニットの各軸を連結する仮想線方向に加圧する加圧ユニットを含み、
前記ケーブルは、前記駆動ユニットと前記従動ユニットの各軸を連結する前記仮想線を基準にして、互いに反対方向に配置される第1ケーブル部及び第2ケーブル部を含み、前記第1ケーブル部と前記第2ケーブル部との間の距離は、前記加圧ユニットの力によって前記駆動ユニット及び前記従動ユニットのうち少なくとも何れか一つの直径より小さく設けられることを特徴とする請求項16に記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−14270(P2010−14270A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137466(P2009−137466)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】