説明

駆動装置

【課題】部品点数を削減すると共に、コイル巻回作業を容易にする。
【解決手段】コイルボビン10は、コイル21、22を巻回するためのコイル巻回部101、102を有して一体に構成される。ヨーク41、42がコイル巻回部101に装着され、ヨーク43、44がコイル巻回部102に装着される。コイル21、22に正逆通電されると、ロータ部材51、52が往復回動する。コイル巻回部101において、軸A方向におけるコイル21の巻回可能範囲における一端101aを含み軸A方向に垂直な第1の仮想面F1aと他端101bを含み軸A方向に垂直な第2の仮想面F1bとに囲まれる領域は、コイルボビン10におけるコイル巻回部101以外の部位に干渉しないようになっている。コイル巻回部102についても同様である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボビン部に巻回したコイルに通電して駆動対象を駆動する駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボビン部に巻回したコイルに通電して駆動対象を駆動する駆動装置が知られている。例えばカメラ装置に搭載され、シャッタ等を駆動する駆動装置として、下記特許文献1、2に示される技術が知られている。
【0003】
下記特許文献1の駆動装置では、ストレート部分と円弧状部分とを有する一対のヨークがコイルボビンの貫通穴に挿入され、上地板にコイルボビンが組み合わされる。また、円周方向に複数極に着磁されたロータマグネット部材が上地板に回転可能に支持される。
【0004】
しかしながら、この駆動装置は1つの動作のみを行わせる構成である。従って、2つ以上の動作を行わせるように構成するには、駆動装置を構成する部品をそれぞれ設ける必要があり、部品点数が多くなる。
【0005】
一方、下記特許文献2の駆動装置では、2つの動作を行わせる上で、複数の電磁アクチュエータを駆動するためのボビン部を一体に構成し、部品点数の増大を抑制している。すなわち、一体成形した枠部材に2つのボビン部を設け、これらボビン部の各々にコイルを巻回している。また、2つの回転子が、地板の回転軸に回転可能に取り付けられている。2つのヨークは、一方の脚部がボビン部の中空部に嵌合される。回転子の駆動ピンでシャッタ羽根が駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−187832号公報
【特許文献2】特開2008−008947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2の技術では、小型化のため、枠部材は、略平行な2つのボビン部とそれらを繋ぐ部位とで略コ字状に形成されている。しかしながら、このような構成では、一方のボビン部にコイルを巻くときに他方のボビン部が邪魔になってしまい、コイルを巻く作業が容易でないという問題が生じる。あるいは巻回作業を簡単にするために複雑な機構や装置が必要となってしまう。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、部品点数を削減すると共に、コイル巻回作業を容易にすることができる駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の駆動装置は、各々コイルを巻回するための複数のボビン部を有して一体に構成されるコイルボビンと、前記コイルボビンの前記複数の各ボビン部に装着される複数のヨークと、前記各ボビン部に対応し、対応するボビン部に巻回されたコイルへの通電により動作するように配設される複数の可動子とを有し、前記各ボビン部の軸方向における前記コイルの巻回可能範囲の一端を含み前記軸方向に垂直な第1の仮想面と前記軸方向における前記巻回可能範囲の他端を含み前記軸方向に垂直な第2の仮想面とに囲まれる領域が、前記コイルボビンにおける当該ボビン部以外の部位に干渉しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品点数を削減すると共に、コイル巻回作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係る駆動装置の分解斜視図である。
【図2】コイルボビンを斜め下方からみた斜視図、コイルが巻回されたコイルボビンとヨークとの組み付け図である。
【図3】組み付け後の駆動装置の斜視図である。
【図4】地板における、ヨーク及びロータ部材が配設される部分の上面図である。
【図5】図4のL−L線に沿う本駆動装置の概略断面図である。
【図6】本実施の形態におけるコイルボビンの上面図、工夫を施さない場合のコイルボビンの上面図である。
【図7】本実施の形態におけるコイルボビンの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る駆動装置の分解斜視図である。本駆動装置は、一例としてカメラに搭載され、撮影光の遮蔽と透過とを制御する公知のシャッタの駆動と、撮影光量を規制する公知のND(Neutral Density)フィルタの駆動とに用いられる。機構MでNDフィルタを駆動し、機構Nでシャッタを駆動する。この駆動装置は、コイルボビン10を含み、コイルボビン10は機構Mの一部と機構Nの一部を兼ねる。地板3は、撮影光路用の開口を有する。以降、便宜上、地板3が本駆動装置の最下に位置するとし、図1の上側、下側を本駆動装置の上側、下側と呼称する。
【0014】
図2(a)は、コイルボビン10を斜め下方からみた斜視図である。図2(a)に示すように、コイルボビン10は、上方または下方から見て略円弧形状に一体に構成され、板状の中央部1から両側に延びる腕部にそれぞれコイル巻回部(ボビン部)101、102を有する。コイル巻回部101、102は、それぞれ、コイル21、22を巻回するための部分である。図2(a)では、コイルボビン10にコイル21、22が巻回されていない状態が示されている。
【0015】
コイル巻回部101、102はいずれも中空で、それぞれ貫通穴である角穴103、104が形成されている。角穴103、104の中心でもある軸A、軸Bの周りにおいて、コイル巻回部101、102の露出している領域にコイル21、22が巻回されることになる。中央部1には、地板3に固定されるための係合部106が形成される。また、コイルボビン10において、コイル巻回部101、102よりも軸A方向、軸B方向における中央部1より遠い側の位置には、地板3に固定されるための係合部105、107が形成される。
【0016】
図2(b)は、コイル21、22が巻回されたコイルボビン10とヨークとの組み付け図である。図1、図2(b)に示すように、コイルボビン10には、ヨーク41〜44が装着される。具体的には、ヨーク41、42の組がコイル巻回部101に組み付けられ、ヨーク43、44の組がコイル巻回部102に組み付けられる。
【0017】
ヨーク41は、ストレートな直方体部分41aと円弧部分41bとを有して一体に形成される。ヨーク42も同様に、直方体部分42aと円弧部分42bとを有して一体に形成される。ヨーク43、44の構成はヨーク41、42と同じであり、それぞれ、直方体部分43a、44aと円弧部分43b、44bとを有して一体に形成される(図1参照)。
【0018】
図2(b)に示すように、ヨーク41、ヨーク42は、角穴103に対して、それぞれ中央部1の反対側、中央部1の側から挿入される。その際、直方体部分42aが直方体部分41aの上側(図2(b)でいう下側)に重なり、円弧部分41b、42bが互いに対向するようにして挿入される。また、ヨーク43、ヨーク44も同様に、角穴104に対して、それぞれ中央部1の反対側、中央部1の側から、直方体部分44aが直方体部分43aの上側に重なり且つ円弧部分43b、44bが互いに対向するようにして挿入される。
【0019】
角穴103、104の各内部には、軸A方向、軸B方向に沿う不図示のレールが形成されており、ヨーク41及び42、ヨーク43及び44は、角穴103、104内のレールを潰しながら軽度な圧入状態で挿入される。これは、上下に積層される直方体部分42aと直方体部分41aとの間隔、及び、直方体部分44aと直方体部分43aとの間隔が開かず密着するようにするためである。直方体部分同士の接触状態が不十分であると、磁気回路の磁気抵抗が上昇し、駆動性能が低下するからである。
【0020】
図1に示すように、コイル巻回部101、102(乃至コイル21、22)に対応して、それらの下方にシート部材61、62、ロータ部材(可動子)51、52が配設される。
【0021】
図3は、組み付け後の駆動装置の斜視図である。図4は、地板3における、ヨーク41、42及びロータ部材51が配設される部分の上面図である。図5は、図4のL−L線に沿う本駆動装置の概略断面図である。
【0022】
図1、図5に示すように、ロータ部材51は、ピン503を有するアーム部材501と、円周方向に二極に着磁され、中心に貫通孔502a(図5)が形成されたマグネット502とを有して構成される。ロータ部材51は、アーム部材501の回転軸501a(図5)がマグネット502の貫通孔502aに挿入されて一体的に構成される。また、アーム部材501の回転軸501aには貫通孔501b(図5)が形成されており、地板3に設置された回転軸ピン31に貫通孔501bにてアーム部材501が軸支される。
【0023】
ロータ部材52もロータ部材51と同様の構成となっており、ピン506(図1)を有するアーム部材504とマグネット505とで構成され、回転軸ピン32(図1)に軸支されている。シート部材61、62は、コイル21、22とロータ部材51、52との間に配設され、ロータ部材51及び52の回転によりコイル21及び22が磨耗するのを防止する。
【0024】
図1に示すように、コイルボビン10のコイル巻回部101と、それに対応する構成部品である、コイル21、ヨーク41、42、シート部材61、ロータ部材51により機構Mが構成される。また、コイルボビン10のコイル巻回部102と、それに対応する構成部品である、コイル22、ヨーク43、44、シート部材62、ロータ部材52により機構Nが構成される。
【0025】
図1に示すように、地板3には、コイルボビン10の係合部105、106、107を係止するための突起部33、34、35が形成されている。本駆動装置の組み付けにおいては、まず、地板3の回転軸ピン31、32にロータ部材51、52を軸支し、回転軸ピン31、32の上端にシート部材61、62を当接させるよう載置する。一方、コイルボビン10のコイル巻回部101、102にコイル21、22を巻くと共に、角穴103、104にヨーク41、42、ヨーク43、44を挿入して装着しておく。
【0026】
そして、コイルボビン10の係合部105、106、107を地板3の突起部33、34、35に係止する。突起部33、34、35は鉤状になっており、上方から係合部105、106、107を押圧すると、各々が突起部33、34、35を乗り越えて係合する。それにより、係合部105、106、107は、突起部33、34、35から下方への付勢力を付与された状態で安定し、コイルボビン10が地板3に一体的に結合される。
【0027】
ヨーク41、42に対するマグネット502の位置関係やヨーク43、44に対するマグネット505の位置関係は、本駆動装置の駆動特性に影響しやすい。これらの位置関係を精度良くするために次に説明するような工夫がなされている。機構M、Nを構成する部品が組み付けられたコイルボビン10が地板3に取り付けられた状態を本駆動装置の「組み付け状態」と呼称する。
【0028】
代表して機構Mについて説明する。図4において、領域36〜38は、地板3の上面における領域である。地板3には、回転軸ピン31を囲むように、欠円型の壁部39、29が突設形成されている。壁部39の外側に壁部29が位置する。組み付け状態の本駆動装置においては、ヨーク41の円弧部分41bが領域37、38に当接すると共に、ヨーク42の円弧部分42bが領域36に当接して、ヨーク41、42の下方における位置が規制される。
【0029】
ヨーク42の円弧部分42bの内周面42b1は、地板3の壁部29の外面に突き当たって固定されている(図5)。さらに、コイルボビン10は、地板3に設けられたピン(図示せず)によって水平方向の位置が位置決めされる。ヨーク41、42はコイル巻回部101の角穴103に嵌合されているため、ヨーク41、42の、回転軸ピン31周りの回転方向の位置決めもなされている。
【0030】
また、上記したように、係合部105、106、107が突起部33、34、35に係止されることで、コイルボビン10は下方へ付勢されているので、コイルボビン10の角穴103に嵌合するヨーク41、42も下方向に付勢される。よって、ヨーク41及びヨーク42は、対応する領域36〜38に圧接状態となり、上下方向の位置が決まる。
【0031】
一方、図5に示すように、壁部39の上端にはロータ部材51の回転軸501aの下面が当接する。シート部材61は、回転軸ピン31の上端と、コイルボビン10の軸A方向におけるコイル巻回部101の両端部(両鍔部)の下面108、109とに挟まれて固定されている。従って、ロータ部材51は壁部39とシート部材61との間に存在する。
【0032】
ここで、図5に示すように、壁部39の上端とシート部材61の下面との上下方向の距離を「間隔α」とし、壁部39の上端と回転軸ピン31の上端との上下方向の間隔をロータ部材51の「高さβ」とする。各構成部品の寸法のばらつきを見越したクリアランス分のガタ(遊び)が設けられ、α>βとなっている。しかしこのガタは微小となっており、また、磁極の分極方向に対して垂直方向のガタであるため、駆動特性には影響をほとんど与えることがない。
【0033】
このような構成にすることによって、駆動装置の駆動特性を安定化させることができる。また、機構Nについても、対応する部品の配置や位置規制の構成は機構Mのものと同様であるので、その説明を省略する。
【0034】
次に、このように構成された駆動装置の動作について説明する。まず、代表して機構Mについて説明する。
【0035】
ヨーク41、42の各直方体部分41a、42aがコイル21内側にあるため、コイル21に正通電が行われると、ヨーク41、42は電磁石となり円弧部分41b、42bの先端(下端)は極となる。円弧部分41b、42bの極により、マグネット502は吸引と反発を起こし、磁気的に安定な方向に回転し、ロータ部材51乃至アーム部材501が回動する。
【0036】
コイル21に逆通電が行われると、ヨーク41、42の極は反転し、吸引と反発が逆転し、アーム部材501は正通電時とは逆の方向に回転する。これはマグネット502を2極に着磁した場合を表している。上記のようにコイル21の通電方向により、円弧部分41b、42bのN極、S極が変化することでロータ部材51が往復回動する。
【0037】
ところで、正逆通電において、通電を止めてもディテントトルクによってロータ部材51の姿勢は保たれる。これは、上記のような動作を行うためにマグネット502の磁極位置(位相角)を決めているからであり、ヨーク41、42の形状によって位相角は異なる。ロータ部材51は2箇所のいずれかの位置で停止する。
【0038】
また、機構Nについても同様に、コイル22への正逆通電により、ヨーク43、44の円弧部分43b、44bのN極、S極が変化することでロータ部材52が往復回動する。
【0039】
次に、コイルボビン10のコイル巻回部101、102にコイル21、22を巻回する作業を行いやすくした工夫について説明する。
【0040】
図6(a)は、本実施の形態におけるコイルボビン10の上面図である。図6(b)は、工夫を施さない場合のコイルボビン10の上面図である。図7は、本実施の形態におけるコイルボビン10の上面図である。
【0041】
図6(a)に示すように、本駆動装置が搭載されるカメラ装置においては、コイルボビン10の平面視における円弧形状の内側(当該円弧形状が一部を構成している円の半径方向内側:P側)には、平面視で円形状のレンズユニット210が配設される。コイルボビン10は、レンズユニット210と干渉しないように、レンズユニット210の光軸方向(紙面垂直方向)から見て、レンズユニット210のある側(内周側)が、レンズユニット210の外周に沿った略円弧形状を呈するように形成されている。一方、コイルボビン10を含む駆動装置全体が、円筒形の鏡筒(図示せず)に組み込まれるため、コイルボビン10の外周側(Q側)も略円弧形状となっている。これらにより、コイルボビン10は全体が略円弧形状に湾曲して形成されている。
【0042】
コイルボビン10のコイル巻回部101とコイル巻回部102が互いに少し向き合う形態となっていることから、コイル21、22を巻回する上で注意する必要がある。まず、コイル巻回部101において、軸A方向におけるコイル21の巻回可能範囲は、中央部1に近い側の一端101aから中央部1に遠い側の他端101bまでの範囲である(図6(a))。一方、コイル巻回部102において、軸B方向におけるコイル22の巻回可能範囲は、中央部1に近い側の一端102aから中央部1に遠い側の他端102bまでの範囲である(図7)。
【0043】
ここで、一端101aを含み軸A方向に垂直な第1の仮想面F1aと他端101bを含み軸A方向に垂直な第2の仮想面F1bとに囲まれる領域が、通常の巻回作業時にコイル21が存在乃至通る領域である。この領域が、コイルボビン10におけるコイル巻回部101以外の部位に干渉しないようになっている(図6(a))。
【0044】
表現を変えると、仮想面F1a、F1bで囲まれる領域は、領域201及び領域202とからなる。領域201、202は、コイル巻回部101を、中心軸Aに対して垂直方向に、且つ、コイルボビン10が呈する円弧形状のそれぞれ内側(P側)、外側(Q側)に伸ばした領域である。領域201、202は、コイル巻回部101においてコイル21が巻回される全領域を中心軸Aに対して垂直方向に全方位延長した領域でもある。これら領域201、202が、コイル巻回部101を除くコイルボビン10の他の部分に干渉しないように、中心軸Aの角度や巻回可能範囲が設定されている。
【0045】
このような構成により、コイル21をコイル巻回部101に巻くときに、コイルボビン10の他の部分が邪魔にならないため、コイル21を容易に巻くことが可能である。
【0046】
これに対し、コイル巻回部101の配設に何ら工夫を施さない場合は、図6(b)に示すような形態となり得る。すなわち、コイル巻回部101の中心軸Cが図6(a)に示す中心軸Aに対してθ°異なり、中心軸Cと中心軸Bとが成す鋭角が、中心軸Aと中心軸Bとが成す鋭角よりも小さいとする。
【0047】
このような構成では、仮想面F1a、F1bで囲まれる領域(領域201及び領域202)のうち、領域201が、図6(b)のX領域においてコイルボビン10と干渉してしまう。こうなると、コイル21を巻回する際にコイルボビン10の干渉領域が邪魔になるので、巻回作業を容易化するために複雑な機構や装置が必要となってしまう。この点で、図6(a)の構成が優れている。
【0048】
コイル巻回部102についても同様の工夫が反映される。すなわち、図7に示すように、一端102aを含み軸B方向に垂直な第1の仮想面F2aと他端102bを含み軸B方向に垂直な第2の仮想面F2bとに囲まれる領域は、コイルボビン10におけるコイル巻回部102以外の部位に干渉しないようになっている。
【0049】
表現を変えると、仮想面F2a、F2bで囲まれる領域である領域205、206は、コイル巻回部102を、中心軸Bに対して垂直方向に、且つ、コイルボビン10が呈する円弧形状のそれぞれ内側、外側に伸ばした領域である。領域205、206は、コイル巻回部102においてコイル22が巻回される全領域を中心軸Bに対して垂直方向に全方位延長した領域でもある。これら領域205、206が、コイル巻回部102を除くコイルボビン10の他の部分に干渉しないように、中心軸Bの角度や巻回可能範囲が設定されている。これにより、コイル22をコイル巻回部102に巻くときにコイルボビン10の他の部分が邪魔にならないため、容易に巻くことが可能となる。
【0050】
本実施の形態によれば、コイルボビン10に2つのコイル巻回部101、102が設けられて一体的に構成されるので、部品点数を削減することができる。そのような構成でありながら、コイル21、22をコイル巻回部101、102に巻くときにコイル21、22の未巻回の部分がコイルボビン10に干渉しにくいので、コイル巻回作業を容易にすることができる。
【0051】
ところで、本実施の形態では、シャッタとNDフィルタを駆動するための装置として説明したが、これに限らない。例えば、シャッタ、NDフィルタ及び絞りのうち少なくとも1つを含む複数の駆動対象を駆動するものであればよい。
【0052】
また、本駆動装置が搭載される装置としてカメラ装置を例示したが、これに限らない。すなわち、複数の駆動対象を有する各種の装置に適用可能であり、駆動対象の種類にも限定はない。また、可動子としてロータ部材51、52を例示したが、駆動対象によっては、可動子の動作は回転動作に限られず、直線往復動作であってもよい。
【0053】
さらに、コイル巻回部及び駆動対象は、3つ以上であってもよく、各ボビン部(コイル巻回部)に巻回されるコイルが、コイルボビンにおける当該ボビン部以外の部位に干渉しないように構成すればよい。また、コイルボビンの全体形状は円弧形状に限定されず、搭載される装置の制約で真っ直ぐな形状にできず、湾曲した形状とする必要がある場合に特に好適である。
【符号の説明】
【0054】
10 コイルボビン
21、22 コイル
41〜44 ヨーク
51、52 ロータ部材
101、102 コイル巻回部
F1a、F2a 第1の仮想面
F1b、F2b 第2の仮想面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々コイルを巻回するための複数のボビン部を有して一体に構成されるコイルボビンと、
前記コイルボビンの前記複数の各ボビン部に装着される複数のヨークと、
前記各ボビン部に対応し、対応するボビン部に巻回されたコイルへの通電により動作するように配設される複数の可動子とを有し、
前記各ボビン部の軸方向における前記コイルの巻回可能範囲の一端を含み前記軸方向に垂直な第1の仮想面と前記軸方向における前記巻回可能範囲の他端を含み前記軸方向に垂直な第2の仮想面とに囲まれる領域が、前記コイルボビンにおける当該ボビン部以外の部位に干渉しないことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記コイルボビンは全体が略円弧形状を呈していることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
当該駆動装置はカメラ装置に用いられ、前記コイルボビンは、全体が前記カメラ装置のレンズユニットの外周に沿った円弧形状を呈していることを特徴とする請求項2記載の駆動装置。
【請求項4】
前記複数の可動子によって、シャッタ、NDフィルタ及び絞りのうち少なくとも1つが駆動されることを特徴とする請求項3記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−120308(P2012−120308A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266970(P2010−266970)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】