説明

駆虫活性化合物を含む薬剤組成物

【課題】駆虫活性化合物を含む薬剤組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも1種類のシクロデキストリンとの錯体として、アベルメクチン又はミルベマイシンである少なくとも1種類の駆虫活性化合物を含む薬剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は薬剤組成物、特に、広範囲スペクトルの駆虫活性を有する組成物と、ヒト及び獣医学におけるそれらの使用とに関する。
【従来の技術】
【0002】
活性物質のための錯形成剤としてのシクロデキストリンの使用は知られており、今までに例えば、PithaへのUS−A−4,727,064(非晶質薬物/シクロデキストリン複合体)、JanssenへのEP−A−0149197(b−シクロデキストリンエーテル又はエステルによる薬剤の包接複合体)、及びProcter & GambleへのEP−A−0392608(小粒度のシクロデキストリン複合体を含有する固体消費製品)に述べられている。
【0003】
シクロデキストリンがある一定の駆虫性化合物を安定化させるために有用であることは、現在判明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、少なくとも1種類のシクロデキストリンとの複合体として、アベルメクチン(avermectin)又はミルベマイシン(milbemycin)である少なくとも1種類の駆虫活性化合物を含む薬剤組成物を提供する。アベルメクチンとミルベマイシンとがシクロデキストリンと包接複合体を形成するので、このような包接複合体が本発明の特定の態様を形成すると考えられる。
【0005】
本明細書で用いる場合に、“薬剤学”なる用語は“獣医学”なる意味も包含し、“薬剤学的に”なる用語は“獣医学的に”なる意味も包含する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施に用いるために適当なアベルメクチン及びミルベマイシンは、例えばミルベマイシン、イベルメクチン(ivermectin)、ドラメクチン(doramectin)、モキシデクチン(moxidectin)、ネマデクチン(nemadectin)及びアバメクチン(abamectin)のような商業的に入手可能な化合物を含む。さらに適当な化合物は、部分式(i):
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、R1は場合により置換されたアミノ又はイミノ基、例えば、場合によりO−置換されたオキシイミノ、場合によりN−置換されたヒドラゾン又は場合によりN−置換されたセミカルバゾンであり、R2〜R5は同じ又は異なるものであり、それぞれ、水素又は有機ラジカルである]
を有する。
【0009】
式(i)の好ましい化合物は式(I):
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、R1〜R5は上記定義の通りであり;R6は水素又は場合により保護されたヒドロキシであり;R7はアルコキシ、場合により保護されたヒドロキシ、オキソ、又は場合によりO−置換されたオキシイミノであり;R8は水素、場合により保護されたヒドロキシ、又は4’−(a−−オレアンドロシル)−a−−オレアンドロシルオキシ若しくはa−−オレアンドロシルオキシ基であり、末端ヒドロキシ基は場合により保護されている]
で示される化合物である。
【0012】
式(I)化合物とそれらの製造方法とは、EP−A−0259779、EP−A−0293549、EP−A−0307225、GB−A−2192630、EP−A−0260536、EP−A−0260537、EP−A−0307220及びEP−A−0421568に述べられている。
【0013】
好ましくは、式(I)化合物はEP−A−0421568による化合物であり、より詳しくは、R1がO−置換されたオキシイミノであり、R2〜R4が水素であり、R5が有機ラジカルであり、R6とR8が水素であり、R7がヒドロキシである化合物である。
【0014】
適当なアベルメクチンはEP−A−0677054に記載のアベルメクチンであり、特に5−オキシイミノ−22,23−ジヒドロ−25−シクロヘキシルアベルメクチンB1単糖(実施例5)である。
【0015】
ヒドロキシのための適当な保護基はTBDMS(t−ブチルジメチルシリル)とアシル(アルカノイルオキシ)とを包含する。さらなる適当な保護基は、例えば、「有機合成における保護基」、Theodora W.Greene、Wiley−Interscience 1981 Ch2、10〜86に記載されている。
【0016】
2〜R5のいずれかが有機ラジカルであるときに、これはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロサイクリル、モノ−、ビ−及びトリ−シクロアルキル、モノ−、ビ−及びトリ−シクロアルケニル、並びにアラルキルから成る群から有利に選択することができる。
【0017】
本明細書で用いる限り、アルキルは直鎖及び分枝鎖C1−C20、特にC1−C12、とりわけC1−C6アルキルを包含し、アルケニルとアルキニルは直鎖及び分枝鎖C2−C20、特にC2−C12、とりわけC2−C6アルケニルとアルキニルを包含する。
【0018】
2〜R5のいずれかがアルキル、アルケニル又はアルキニル部分を含む場合に、この部分はヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル及び場合により置換されたアミノから成る群から選択される1個以上の置換基によって場合により置換されることができる。
【0019】
本明細書で用いる場合に、“アリール”なる用語は、ハロゲン、C1−C6アルキル、アリール、C1−C6アルコキシ、ハロ置換(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル−(C1−C6)アルキル、C1−C6アルキルカルボニルオキシ、及びC1−C6アルキルカルボニル基から選択される5個まで、好ましくは3個までの基によって場合により置換されたフェニル及びナフチルを包含する。
【0020】
“ヘテロサイクリル”なる用語は、酸素、窒素及び硫黄から選択される4個までのヘテロ原子を環中に含み、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、ハロ−(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル(C1−C6)アルキル、アリール又はオキソ基から選択される3個までの基によって場合により置換された、飽和、不飽和及び芳香族の単環又は縮合環を包含する。
【0021】
適当には、複素環は4〜7個の環原子、好ましくは5〜6個の原子を含む。
“ハロゲン”なる用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
例えばオキシム、ヒドラゾン又はセミカルバゾン基のような、アミノ又はイミノ基のための特に適当な置換基は、R2〜R5に関して上記で定義した通りの1個以上の有機ラジカルを包含し、例えば、EP−A−0288205、EP−A−0259779、EP−A−0260537、EP−A−0260536、GB−A−2192630、EP−A−0307225及びEP−A−0421568に述べられている置換基を包含する。
【0022】
当業者は、例えばオキシムのようなN−置換されたイミノ基がE若しくはZ異性体として、又はE異性体とZ異性体との混合物として存在することができること、及びE若しくはZ異性体が他の異性体に又は異性体の混合物に、例えば酸処理のような標準方法によって転化しうることを理解するであろう。
【0023】
本明細書に用いる限り、モノ−、ビ−及びトリ−シクロアルキルはC3−C20、特にC3−C12、とりわけC4−C8基を包含し、モノ−、ビ−及びトリ−シクロアルケニルはC4−C20、特にC4−C12、とりわけC5−C8基を包含する。R2〜R5のいずれかがモノ−、ビ−若しくはトリ−シクロアルキル又はモノ−、ビ−若しくはトリ−シクロアルケニル部分を含む場合に、この部分はアルキル、アルケニル及びアルキニルに関して上述したように及び/又はメチレンとアルキルとから成る群から選択される1個以上の置換基によって置換されることができる。二環状基及び三環状基は縮合又は架橋することができ、好ましくは2環に共通である炭素原子を介して結合する。
【0024】
2〜R5の任意の2つはそれらが結合する炭素原子(単数又は複数)と一緒になって、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール又は複素環を表示することができ、これらの基は上述したように場合により置換されていることができる。
【0025】
本発明の実施に用いるためのシクロデキストリンは、例えばa−、b−及びg−シクロデキストリン、それらの誘導体並びにこれらの混合物のような、6〜12グルコース単位を含有する置換及び非置換のシクロデキストリンを包含する。誘導体は例えばメチルb−シクロデキストリン、ヒドロキシエチルb−シクロデキストリン及びヒドロキシプロピルb−シクロデキストリンのような、C1−C6アルキル及びヒドロキシC1−C6アルキルエーテル、並びに例えばb−シクロデキストリン/エピクロロヒドリンコポリマーのようなポリマー及びコポリマーを包含する。置換シクロデキストリンは種々な置換度を示すことができ、非晶質又は結晶質であることができる。非置換シクロデキストリンは通常結晶質である。
【0026】
シクロデキストリンは特に、US−A−3,426,011、US−A−3,453,257、US−A−3,459,731、US−A−3,553,191、US−A−3,565,887、US−A−4,535,152、US−A−4,616,008、US−A−4,638,058、US−A−4,746,734及びUS−A−4,678,598に述べられている。シクロデキストリンとシクロデキストリン混合物とは、特に、Amaizo(アメリカ合衆国、インディアナ州、ハモンド);Roquette Corporation(アメリカ合衆国、イリノイ州、Gurnee);Chinoin Pharmaceutical and Chemical Works Ltd.(ハンガリー、ブタペスト);Aldrich Chemical Company(アメリカ合衆国、ウィスコンシン州、ミルウォーキー);Wacker Chemie(ドイツ);及びEnsuiko Sugar Refining Company(日本、横浜)から商業的に入手可能である。
【0027】
1態様では、本発明に用いるためのシクロデキストリンは例えばb−シクロデキストリンのような結晶質シクロデキストリン又は例えばジメチルb−シクロデキストリンのような純粋な置換シクロデキストリンであり、これは商業的に入手可能である。
【0028】
本発明の薬剤組成物はヒト又は非ヒト動物の身体の蠕虫病の治療に、特に家畜及び飼育場動物(farm animal)の線虫体内侵入を治療するために有用である。
したがって、本発明は家畜における蠕虫病、特に線虫体内侵入の治療方法であって、それを必要とする患者に本発明の薬剤組成物の駆虫有効量を投与することを含む方法をも提供する。
【0029】
したがって、本発明はヒト又は非ヒト動物の身体の治療に、特に蠕虫病の治療に、とりわけ、家畜(特にイヌとネコ)における線虫体内侵入の治療に用いるための、上記で定義した通りの薬剤組成物(以下では、“組成物”と呼ぶ)をも提供する。治療するための特定の線虫体内侵入は鞭虫(trichuris)、回虫(toxascaris)及び鈎虫(ancylostoma)を包含する。
【0030】
適切には、組成物は例えばボラス、錠剤又はカプセルのような成形組成物を含むことができる、又は組成物は動物の栄養分(foodstuffs)と直接混合することができる。場合により、組成物は滑沢剤、分散剤、結合剤、充填剤、着色剤、フレーバー等の1種類以上を含有する。好ましくは、組成物は、例えば乾燥レバー又はフィッシュミールのような食物エキス(food extract)を含めることによってより口に合うものにされた錠剤である。
【0031】
組成物を動物飼料に加えることもできる。動物が適当量の組成物をその食餌と共に摂取するように、複数回分の投与量の駆虫薬と共にこれらの動物飼料組成物を製剤化することが便利である。組成物を飼料に添加するためのプレミックスとして製造することも便利である。
【0032】
組成物は場合により付加的に、例えば他の駆虫性化合物、特にTaenia
taeniaeformis及びDipylidium caninumのような条虫に対する活性を有する少なくとも1種類の化合物のような、他の活性成分を含むことができる。このような化合物は式(II):
【0033】
【化3】

【0034】
[式中、Rは場合により置換されたフェニル;C3−C8シクロアルキル;C5−C8シクロアルケニル;直鎖若しくは分枝鎖であるC1−C8アルキル;直鎖若しくは分枝鎖であるC2−C8アルケニル;五員若しくは六員ヘテロサイクリル;又は場合により置換されたフェニルC1−C4アルキルであり;同じ又は異なるものでありうるYとZの各々は酸素又は硫黄であり;Xは結合、−CH2−又は酸素である]
で示される化合物を包含する。
【0035】
Xが−CH2−又は酸素である式(II)化合物とそれらの製造方法は、EP−A−0134984とEP−A−0187012に述べられている。典型的な、このような化合物はエプシプランテル(epsiprantel)(2−(シクロヘキシルカルボニル)−4−オキソ−1,2,3,4,6,7,8,12b−オクタヒドロピラジノ[2,1−a][2]ベンズアゼピン)である。
【0036】
Xが結合である式(II)化合物とそれらの製造方法は、DE−A−1795728、DE−A−2441261、DE−A−2362539に述べられており、Andrews等によって、Medicinal Research Reviews(John Wiley & Sons,Inc.)3巻、2号、147〜200(1983)に述べられている。典型的な、このような化合物はプラジクアンテル(2−シクロヘキシルカルボニル[1,2,3,6,7,11b]ヘキサヒドロ−4H−ピラジノ[2,1−a]イソキノリン−4−オン)である。
【0037】
式(II)化合物は式(II)中の星印によって表示された不斉炭素原子を有するので、少なくとも2つの立体異性体形で存在することができる。本発明は、純粋な又は他の異性体と任意の割合で混合した、式(II)化合物の全ての異性体を包括する。
【0038】
Rが場合により置換されたフェニルであるときに、これはハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−C6アルキルアミノ、及びヒドロキシから成る群から選択される1つ以上の部分によって置換されることができる。
【0039】
Rがヘテロサイクリルである場合に、これは酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される3個までのヘテロ原子を含有する五員又は六員飽和又は不飽和基であることができる。不飽和ヘテロサイクリル基は適当には芳香族ヘテロサイクリル基を包含することは理解できるであろう。
【0040】
“ハロゲン”なる用語はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
好ましいR基はシクロヘキシルである。
式(I)化合物は特に、例えばTaenia taeniaeformis及びDipylidium caninumのような条虫に対して駆虫活性を有する。
【0041】
適切には、組成物は1回量につき動物の体重1kgにつき0.001〜100mgのアベルメクチン又はミルベマイシン化合物(単数又は複数種類)、さらに適切には0.01〜10mg/kg/1回量の投与量を提供するために充分な材料から成る。適切には、アベルメクチン/ミルベマイシン(単数又は複数種類):シクロデキストリン(単数又は複数種類)の比率は1:1から1:10(w/w)までであり、好ましくは約1:4(w/w)である。組成物はさらに、1回量につき動物の体重1kgにつき0.01〜250mgの式(II)化合物の投与量を提供するために充分な材料も含むことができる。
【0042】
本発明による組成物は、例えば栄養分又は食物エキスのような、ある一定の賦形剤の存在下でさえも、アベルメクチン/ミルベマイシン化合物の安定性を改良することができる(普通の場合、このような賦形剤はアベルメクチン/ミルベマイシンの分解を惹起する可能性がある)。
【0043】
1態様では、活性なアベルメクチン/ミルベマイシン化合物のin vivoにおける放出を遅延させるような方法で、組成物を製剤化することができる。ポリマーを含めることによって、特に、例えばエチルセルロースのようなセルロース誘導体又は例えば、メタクリル酸とメチルメタクリレートとの混合ポリマーであり、約135,000の平均分子量を有するEudragitのような合成ポリマーを含めることによって、活性化合物の放出を遅延させることができる。“Eudragit”はRoehm Pharma GmbHの登録商標である。
【0044】
本発明の他の態様は、本発明による組成物の製造方法であって、少なくとも1種類のアベルメクチン又はミルベマイシンと、少なくとも1種類のシクロデキストリンと、場合により、溶媒又は溶媒混合物との混合物を調製する工程と、次に、存在する場合の溶媒又は溶媒混合物を例えば凍結乾燥、噴霧乾燥、濾過及び/又は蒸発によって除去する工程とを含む方法を提供する。このようにして形成された複合体を次に、場合により上記で定義したような1種類以上の賦形剤を混合する及び/又は成形して、ボラス、錠剤又はカプセルを形成する。
【0045】
本発明による、適当な無溶媒方法は粉砕と混練とを含む。
適当な溶媒は例えばメタノールのような極性溶媒を包含する。混合物の調製は例えば周囲温度において適当に実施される。溶媒の蒸発は減圧下で例えば約60℃において行うことができる。
【実施例】
【0046】
下記実施例によって、本発明をさらに説明する。
実施例1
メチルb−シクロデキストリン/ミルベマイシン複合体
メチルb−シクロデキストリン(ランダムにメチル化)と、ミルベマイシン(EP−A−0421568の実施例6の化合物、E異性体とZ異性体との混合物)とを4:1の比率で計量した。各々を20mlのメタノール中に溶解し、2つの溶液を100ml丸底フラスコ中で一緒にした。次に、Buchi Rotavapor上で絶えず回転させながら、減圧下、60℃においてメタノールを除去した。得られた物質をフラスコから取り出して、100mlビーカーに移し、真空下、60℃においてさらに30分間放置して、残留する痕跡量のメタノールを除去した。この物質を次に乳棒と乳鉢によって磨砕し、微粉末を得た。
【0047】
実施例1において述べたように複合体化したミルベマイシンを非複合体化ミルベマイシンと、ミルベマイシンの分解速度に関して比較した。Arrhenius方法を用いて保存寿命予測を行った。結果は以下に報告する:
【0048】
【表1】

【0049】
実施例2
β−シクロデキストリン/ミルベマイシン複合体
7gのミルベマイシンを計量して、セラミック乳鉢に移して、これに63gのβ−シクロデキストリンを計量して、加えた。次に、両方の粉末を妥当に均質になるまでスパチュラで混合してから、乳棒で少なくとも45分間磨砕した。得られた生成物はミルベマイシンとβ−シクロデキストリンとの複合体である。

実施例3
β−シクロデキストリン/ミルベマイシン複合体
7gのミルベマイシンを計量して、1000ml鋼容器に移して、これに63gのβ−シクロデキストリンを計量して、加えた。この容器に、効果的な磨砕を可能にするほど充分な鋼ボールベアリングを加えた。次に、この容器を密封して、定常な速度(約30r.p.m.)で1時間回転させた。次に、容器を開けて、物質を取り出す。生成物はミルベマイシンとβ−シクロデキストリンとの複合体である。

実施例4
【0050】
【表2】

【0051】
ペットタブ顆粒
(1)全ての物質を計量する。
(2)Texaponを脱イオン水中に溶解して、2.5%(w/v)の溶液を得る。
(3)全ての他の物質を2mmシーブスクリーンに通して、プラネタリーミキサー・ボウルに加える。
(4)物質をプラネタリーミキサー中で均質になるまで混合する。
(5)適切な稠度の粒状体が得られるまで、Texapon溶液とさらに脱イオン水とによって物質を粒状化する。
(6)水分含量が5%未満になるまで(Karl−Fischer)、顆粒を60℃において乾燥させる。
(7)顆粒を計量して、追加の(extra)粒状物質の必要量を計算する。
圧縮ミックス
(1)ペットタブ顆粒と全ての追加の粒状物質とを計量する。
(2)全ての追加の粒状物質を500μmシーブに通す。
(3)追加の粒状物質とペットタブ顆粒とをプラネタリーミキサー中で均質になるまで混合する。
(4)圧縮工程に進む。

実施例5
【0052】
【表3】

【0053】
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の発明を包含する。
(1) 少なくとも1種類のシクロデキストリンとの複合体として、アベルメクチン又はミルベマイシンである少なくとも1種類の駆虫活性化合物を含む薬剤組成物。
(2) アベルメクチン又はミルベマイシンがミルベマイシン、イベルメクチン、ドラメクチン、モキシデクチン、ネマデクチン、アバメクチン、又は部分式(i):
【0054】
【化4】

【0055】
[式中、R1は場合により置換されたアミノ又はイミノ基、例えば、場合によりO−置換されたオキシイミノ、場合によりN−置換されたヒドラゾン又は場合によりN−置換されたセミカルバゾンであり、R2〜R5は同じ又は異なるものであり、それぞれ、水素又は有機ラジカルである]
で示される化合物である、(1)記載の組成物。
(3) 式(i)の化合物が式(I):
【0056】
【化5】

【0057】
[式中、R1〜R5は請求項2で定義した通りであり;R6は水素又は場合により保護されたヒドロキシであり;R7はアルコキシ、場合により保護されたヒドロキシ、オキソ、又は場合によりO−置換されたオキシイミノであり;R8は水素、場合により保護されたヒドロキシ、又は4’−(a−−オレアンドロシル)−a−−オレアンドロシルオキシ若しくはa−−オレアンドロシルオキシ基であり、末端ヒドロキシ基は場合により保護されている]
で示される化合物である、(2)記載の組成物。
(4) R1がO−置換されたオキシイミノであり、R2〜R4が水素であり、R5が有機ラジカルであり、R6とR8が水素であり、R7がヒドロキシである、(3)記載の組成物。
(5) ヒドロキシの保護基がt−ブチルジメチルシリル又はアシル(アルカノイルオキシ)である、(3)記載の組成物。
(6) R2〜R5のいずれかが有機ラジカルであるときに、これはC1−C20アルキル;C2−C20アルケニル;C2−C20アルキニル;アリール;ヘテロサイクリル;C3−C20モノ−、ビ−及びトリ−シクロアルキル;C4−C20モノ−、ビ−及びトリ−シクロアルケニル;又はアラルキルであり;任意のアルキル、アルケニル又はアルキニル部分はヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル及び場合により置換されたアミノから成る群から選択される1個以上の置換基によって場合により置換されており;この場合に(a)“アリール”なる用語は、ハロゲン、C1−C6アルキル、アリール、C1−C6アルコキシ、ハロ置換(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル−(C1−C6)アルキル、C1−C6アルキルカルボニルオキシ、及びC1−C6アルキルカルボニルから選択される5個までの基によって場合により置換されたフェニル及びナフチルを意味し;(b)“ヘテロサイクリル”なる用語は、酸素、窒素及び硫黄から選択される4個までのヘテロ原子を環中に含み、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、ハロ−(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル(C1−C6)アルキル、アリール又はオキソ基から選択される3個までの基によって場合により置換された、置換、非置換及び芳香族の単環又は縮合環を意味する、(2)又は(3)に記載の組成物。
(7) 駆虫活性化合物が5−オキシイミノ−22,23−ジヒドロ−25−シクロヘキシルアベルメクチンB1単糖である、(1)記載の組成物。
(8) シクロデキストリンがa−、b−若しくはg−シクロデキストリン、又はこれらの誘導体若しくは混合物である、(1)〜(7)のいずれかに記載の組成物。
(9) 誘導体がメチルb−シクロデキストリン、ヒドロキシエチルb−シクロデキストリン若しくはヒドロキシプロピルb−シクロデキストリン、又はb−シクロデキストリン/エピクロロヒドリンコポリマーである、(8)記載の組成物。
(10) シクロデキストリンがβ−シクロデキストリン又はジメチルβ−シクロデキストリンである、(8)記載の組成物。
(11) アベルメクチン/ミルベマイシン(単数又は複数種類):シクロデキストリン(単数又は複数種類)の比率が1:1から1:10(w/w)までである、(1)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
(12) ヒト又は非ヒト動物の身体の蠕虫病の治療用薬剤の製造への(1)〜(11)のいずれかに記載の組成物の使用。
(13) 家畜における蠕虫病、特に線虫体内侵入の治療方法であって、それを必要とする動物に(1)〜(11)のいずれかに記載の薬剤組成物の駆虫有効量を投与することを含む上記治療方法。
(14) (1)〜(11)のいずれかに記載の組成物を含有する動物食物。
(15) 条虫に対して活性を有する少なくとも1種類の化合物を付加的に含む、(1)〜(11)のいずれかに記載の組成物。
(16) (1)記載の組成物の製造方法であって、少なくとも1種類のアベルメクチン又はミルベマイシンと、少なくとも1種類のシクロデキストリンと、場合により、溶媒又は溶媒混合物との混合物を調製する工程と、次に、存在する場合の溶媒又は溶媒混合物を除去する工程とを含む上記方法。
(17) 溶媒又は溶媒混合物を凍結乾燥、噴霧乾燥、濾過及び/又は蒸発によって除去する、(16)記載の方法。
(18) (2)〜(11)のいずれかに記載の組成物が製造される、(16)又は(17)に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類のシクロデキストリンとの複合体として、アベルメクチン又はミルベマイシンである少なくとも1種類の駆虫活性化合物を含む薬剤組成物。
【請求項2】
アベルメクチン又はミルベマイシンがミルベマイシン、イベルメクチン、ドラメクチン、モキシデクチン、ネマデクチン、アバメクチン、又は部分式(i):
【化1】

[式中、R1は場合により置換されたアミノ又はイミノ基、例えば、場合によりO−置換されたオキシイミノ、場合によりN−置換されたヒドラゾン又は場合によりN−置換されたセミカルバゾンであり、R2〜R5は同じ又は異なるものであり、それぞれ、水素又は有機ラジカルである]
で示される化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
式(i)の化合物が式(I):
【化2】

[式中、R1〜R5は請求項2で定義した通りであり;R6は水素又は場合により保護されたヒドロキシであり;R7はアルコキシ、場合により保護されたヒドロキシ、オキソ、又は場合によりO−置換されたオキシイミノであり;R8は水素、場合により保護されたヒドロキシ、又は4’−(a−−オレアンドロシル)−a−−オレアンドロシルオキシ若しくはa−−オレアンドロシルオキシ基であり、末端ヒドロキシ基は場合により保護されている]
で示される化合物である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
1がO−置換されたオキシイミノであり、R2〜R4が水素であり、R5が有機ラジカルであり、R6とR8が水素であり、R7がヒドロキシである、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
ヒドロキシの保護基がt−ブチルジメチルシリル又はアシル(アルカノイルオキシ)である、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
2〜R5のいずれかが有機ラジカルであるときに、これはC1−C20アルキル;C2−C20アルケニル;C2−C20アルキニル;アリール;ヘテロサイクリル;C3−C20モノ−、ビ−及びトリ−シクロアルキル;C4−C20モノ−、ビ−及びトリ−シクロアルケニル;又はアラルキルであり;任意のアルキル、アルケニル又はアルキニル部分はヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル及び場合により置換されたアミノから成る群から選択される1個以上の置換基によって場合により置換された;この場合に(a)“アリール”なる用語は、ハロゲン、C1−C6アルキル、アリール、C1−C6アルコキシ、ハロ置換(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル−(C1−C6)アルキル、C1−C6アルキルカルボニルオキシ、及びC1−C6アルキルカルボニルから選択される5個までの基によって場合により置換されたフェニル及びナフチルを意味し;(b)“ヘテロサイクリル”なる用語は、酸素、窒素及び硫黄から選択される4個までのヘテロ原子を環中に含み、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、ハロ−(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル(C1−C6)アルキル、アリール又はオキソ基から選択される3個までの基によって場合により置換された、置換、非置換及び芳香族の単環又は縮合環を意味する、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項7】
駆虫活性化合物が5−オキシイミノ−22,23−ジヒドロ−25−シクロヘキシルアベルメクチンB1単糖である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
シクロデキストリンがa−、b−若しくはg−シクロデキストリン、又はこれらの誘導体若しくは混合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
誘導体がメチルb−シクロデキストリン、ヒドロキシエチルb−シクロデキストリン若しくはヒドロキシプロピルb−シクロデキストリン、又はb−シクロデキストリン/エピクロロヒドリンコポリマーである、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
シクロデキストリンがβ−シクロデキストリン又はジメチルβ−シクロデキストリンである、請求項8記載の組成物。
【請求項11】
アベルメクチン/ミルベマイシン(単数又は複数種類):シクロデキストリン(単数又は複数種類)の比率が1:1から1:10(w/w)までである、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
ヒト又は非ヒト動物の身体の蠕虫病の治療用薬剤である、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
家畜における蠕虫病、特に線虫体内侵入の治療方法であって、それを必要とする動物に請求項1〜12のいずれかに記載の薬剤組成物の駆虫有効量を投与することを含む上記治療方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の組成物を含有する動物食物。
【請求項15】
条虫に対して活性を有する少なくとも1種類の化合物を付加的に含む、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
請求項1記載の組成物の製造方法であって、少なくとも1種類のアベルメクチン又はミルベマイシンと、少なくとも1種類のシクロデキストリンと、場合により、溶媒又は溶媒混合物との混合物を調製する工程と、次に、存在する場合の溶媒又は溶媒混合物を除去する工程とを含む上記方法。
【請求項17】
溶媒又は溶媒混合物を凍結乾燥、噴霧乾燥、濾過及び/又は蒸発によって除去する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
請求項2〜12のいずれかに記載の組成物が製造される、請求項16又は17に記載の方法。

【公開番号】特開2006−83186(P2006−83186A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357820(P2005−357820)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【分割の表示】特願平11−3730の分割
【原出願日】平成11年1月11日(1999.1.11)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】