説明

駆虫薬としての線状ジカチオンターフェニル及びそのアザ類似体

【課題】微生物感染症を抑制すること。
【解決手段】新規のジカチオンテルフェニル化合物及びそれらのアザ類似体。新規のジカチオンテルフェニル化合物及びそれらのアザ類似体によって微生物感染症を抑制するための方法。新規のジカチオンテルフェニル化合物及びそれらのアザ類似体を合成するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、新規のジカチオンターフェニル化合物及びそのアザ類似体による微生物感染症抑制方法、新規のジカチオンターフェニル化合物及びそのアザ類似体の合成方法、及び新規のジカチオンターフェニル化合物及びそのアザ類似体そのものに関する。
【0002】
略語
δ =化学シフト
Ac =アセチル
AcO =アセトキシル
AcOH =酢酸
AcO =無水酢酸
Am =アミジン
AmOH =アミドキシム
Bu =ブチル
℃ =摂氏温度
calcd =計算された
cm =センチメートル
CsCO =炭酸セシウム
CT =細胞毒性
dec =分解点
DIBAL =水素化ジイソブチルアルミニウム
DMF =ジメチルホルムアミド
DMSO =ジメチルスルホキシド
O =酸化重水素
EtOAc =酢酸エチル
EtOH =エタノール
g =グラム
h =時間
HAT =ヒトアフリカトリパノソーマ症
HCl =塩化水素又は塩酸
HPLC =高圧液体クロマトグラフィー
Hz =ヘルツ
ip =腹腔内
kg =キログラム
KO−t−Bu =カリウムtert−ブトキシド
L.d. =レーシュマニアドノヴァニ
M =モル
Me =メチル
MeO =メトキシ
MHz =メガヘルツ
mL =ミリリットル
mm =ミリメートル
mM =ミリモル
m.p. =融点
MS =質量分析
NaCO =炭酸ナトリウム
NaSO =硫酸ナトリウム
NBS =N−ブロモスクシンイミド
NHOH・HCl =塩酸ヒドロキシルアミン
NMR =核磁気共鳴
p =パラ
Pd−C =10%パラジウム炭素
Pd(PPh =テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
P.f. =プラスモジウムファルシパルム
po =経口
psi =ポンド/平方インチ
spp. =種
T.b.r. =ローデシアトリパノソーマブルセイ
T.cruzi =トリパノソーマクルージ
THF =テトラヒドロフラン
TLC =薄層クロマトグラフィー
TMS =トリメチルシリル
UV =紫外線
【背景技術】
【0003】
(背景)
芳香族ジアミジンの抗微生物活性が、1930年代に初めて報告された(非特許文献1参照。)。そのとき以来、ジカチオン分子は、潜在的な新規の治療剤として大いに注目された。これらの努力にもかかわらず、1942年に初めて報告されたペンタミジン(非特許文献2参照。)が、ヒトへの用途が大きい、このクラスの分子による唯一の化合物である。ペンタミジンは、現在、一次段階のヒトアフリカトリパノソーマ症(HAT)及び抗アンチモンレーシュマニア症に対して、またエイズ関連P.カリーニ肺炎(PCP)に対する二次薬として使用されている。非特許文献1を参照されたい。しかし、ペンタミジンは、非経口投与しなければならず、潜在的に苛酷な副作用を引き起こす。さらに、寄生体の間で薬物抵抗が生じる。したがって、当該技術分野では、上記病原体に対して、又は他の病原体に対して、所望の抗微生物活性を有するさらなる化合物を求めて改善を行う必要性が継続的に存在している。
【非特許文献1】Tidwell, R. R.及びBoykin, D. W.の論文、「抗菌剤としてのジカチオンDNA副溝結合剤」(Small Molecule DNA and RNA Binders: From Synthesis to Nucleic Acid Complexes, vol. 2, (M. Demeunynck、C. Bailly及びW. D. Wilson編、Wiley-VCH, New York, 2003), 416-460)
【非特許文献2】Ashley, J. N.らの論文、J. Chem. Soc., 103-106, (1942)
【非特許文献3】Fairlamb, A.H.の論文、Trends Parasitol., 19, 488-494 (2003)
【非特許文献4】Bouteille, B.らの論文、Fundam. Clin. Pharmacol., 17, 171-181 (2003)
【非特許文献5】Dykstra, C. C.らの論文、Antimicrob. Agents Chemother., 38, 1890-1898 (1994)
【非特許文献6】Bailly, C.らの論文、Anti-Cancer Drug Design, 14, 47-60 (1999)
【非特許文献7】Fitzgerald, D. J.及びJ. N. Andersonの論文、J. Biol. Chem., 274, 27128-27138 (1999)
【非特許文献8】Henderson, D.及びL. H. Hurleyの論文、Nature Med., 1, 525-527 (1995)
【非特許文献9】Corey, Mらの論文、J. Med. Chem., 35, 431-438 (1992)
【非特許文献10】Crarny, A. Dらの論文、J. Am. Chem. Soc., 117, 4716 (1995)
【非特許文献11】Mazur, S. Fらの論文、J. Mol. Bio., 300, 321-337 (2000)
【非特許文献12】Wilson, W.Dらの論文、J. Am. Chem. Soc., 120, 10310-10321 (1998)
【非特許文献13】Shaikn, S. Aらの論文、Arch. Biochem. Biophys., 429, 81-99 (2004)
【非特許文献14】Boykin, D. Wらの論文、J. Med. Chem., 41, 124-129 (1998)
【非特許文献15】Boykin, D.Wらの論文、J. Med. Chem., 38, 912 (1995)
【非特許文献16】Das, B. P.及びBoykin, D. W.の論文、J. Med. Chem., 20, 531 (1977)
【非特許文献17】Cory, M.らの論文、J. Med. Chem., 35, 431-438 (1992)
【特許文献1】米国特許第5,628,984号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駆虫薬としての線状ジカチオンターフェニル及びそのアザ類似体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩を提供する。
−Ar−(CH−Ar−(CH−Ar−L (I)
(式中、p及びqは、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、
Ar及びArは、独立に、
【0006】
【化1】

【0007】
からなる群から選択され、
A、Y、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Xは、O、S、NH、及びSeからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各sは、独立に、0〜2の整数であり、
各R、R、及びRは、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Arは、
【0008】
【化2】

【0009】
からなる群から選択され、
、A、A、Y、Y、Y、Z、Z、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各tは、独立に、0〜6の整数であり、
各R、R、R、R、及びR10は、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
及びLは、
【0010】
【化3】

【0011】
からなる群から選択され、
11、R12、R13、R14、R15、及びR20は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、あるいは
11及びR12は、ともに、C〜C10アルキル、C〜C10ヒドロキシアルキル、又はC〜C10アルキレンを表し、あるいは
11及びR12は、ともに、
【0012】
【化4】

【0013】
であり、
uは、1〜4の整数であり、R16は、H又は−CONHR17NR1819であり、R17はアルキルであり、R18及びR19は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。)。
【0014】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、微生物感染症の治療を必要とする対象において微生物感染症を治療するための方法であって、有効量の式(I)の化合物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、微生物感染症を治療するための薬剤を調製するための上述の活性化合物、すなわち式(I)の化合物の使用法を提供する。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、式(I)の化合物を含む医薬製剤を提供する。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、式(I)の化合物を調製する方法を提供する。
【0015】
よって、本明細書に開示される主題の目的は、トリパノソーマブルーセイローデシエンス、トリパノソーマブルーセイガンビエンス、トリパノソーマブルーセイブルーセイ、及びトリパノソーマクルージを含むが、それらに限定されないトリパノソーマ属、プラスモジウムファルシパルムを含むが、それに限定されないプラスモジウム属、ならびにレーシュマニアドノヴァニ及びレーシュマニアメキシカナアマゾネンシスを含むが、それらに限定されないレーシュマニア属によって引き起こされる微生物感染症を含むが、それらに限定されない微生物感染症を治療するための方法及び組成物を、それらを必要としている被験者において、提供することである。
【0016】
本明細書に開示される主題が全面的又は部分的に取り扱う、上述した本明細書に開示される主題の特定の目的、他の目的及び態様は、以下に最適に記載される付随の実施例とともに説明を読むに従って明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(詳細な説明)
次に、代表的な実施態様が示される付随の実施例を参照しながら、本明細書に開示される主題を以下により詳細に説明する。しかし、本明細書に開示される主題は、異なる形態で具体化することが可能であり、本明細書に記載される実施態様に限定されるものと見なされるべきではない。むしろ、これらの実施態様は、この開示内容が完全かつ完璧になり、実施態様の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0018】
特に指定のない限り、すべての科学技術用語は、本明細書に開示される主題が属する技術分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書において言及されているすべての出版物、特許出願、特許及び他の参考文献は、そのすべてが参照により組み込まれている。
【0019】
明細書及び請求の範囲全体を通じて、所定の化学式又は名称は、すべての光学及び立体異性体、ならびにラセミ混合物を、当該異性体及び混合物が存在する場合に包括するものとする。
【0020】
I.定義
本明細書に用いられるように、「アルキル」という用語は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ブタジエニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、及びアレニル基を含む、C〜C20の線状(すなわち「直鎖状」)、分枝状又は環状の飽和又は少なくとも部分的及び場合によっては全面的に不飽和の(すなわちアルケニル及びアルキニル)炭化水素鎖を意味する。「分枝状」とは、メチル、エチル、又はプロピルのような低級アルキル基が線状アルキル鎖に結合したアルキル基を意味する。「低級アルキル」とは、1から約8の炭素原子、例えば1、2、3、4、5、6、7、又は8の炭素原子を有するアルキル基(すなわちC〜Cのアルキル)を意味する。「高級アルキル」とは、約10から約20の炭素原子、例えば10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20の炭素原子を有するアルキル基を意味する。特定の実施態様において、「アルキル」とは、特に、C〜Cの直鎖アルキルを意味する。他の実施態様において、「アルキル」とは、特に、C〜Cの分枝鎖アルキルを意味する。
【0021】
アルキル基は、場合によっては、同一又は異なり得る1つ又は複数のアルキル置換基で置換されうる(「置換アルキル」であり得る)。「アルキル置換基」という用語は、アルキル、置換アルキル、ハロ、アリールアミノ、アシル、ヒドロキシル、アリールオキシル、アルコキシル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルオキシル、アラルキルチオ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、オキソ、及びシクロアルキルを含むが、それらに限定されない。場合によっては、アルキル鎖とともに、1つ又は複数の酸素、硫黄、あるいは置換又は無置換の窒素原子を挿入することが可能であり、その窒素置換基は水素、低級アルキル(本明細書において「アルキルアミノアルキル」とも称する。)、又はアリールである。
【0022】
したがって、本明細書に用いられているように、「置換アルキル」という用語は、アルキル基の1つ又は複数の原子又は官能基が、例えば、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、例えばXがCl、Br、F、及びIからなる群から選択されるハロゲンである−CHX、−CHX及び−CX、アリール、置換アリール、アルコキシル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、スルフェート、及びメルカプトを含む1つ又は複数の原子又は官能基で置き換えられている、本明細書に定められたアルキル基を含む。
【0023】
「アリール」という用語は、本明細書において、単一の芳香族環、あるいは互いに融合した、共有結合した、又はメチレン若しくはエチレン成分を含むが、それらに限定されない共通の基に結合した複数の芳香族環であり得る芳香族置換基を意味するために用いられる。共通の結合基は、ベンゾフェノンにおけるカルボニル、ジフェニルエーテルにおける酸素、ジフェニルアミンにおける窒素とすることも可能である。「アリール」という用語は、具体的には、複素環式芳香族化合物を包括する。芳香族環は、とりわけフェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、及びベンゾフェノン等を含むことが可能である。特定の実施態様において、「アリール」という用語は、約5から約10の炭素原子、例えば5、6、7、8、9、又は10の炭素原子を含み、5又は6員環炭化水素及び複素環式芳香族環を含む環状芳香族を意味する。
【0024】
アリール基を、場合によっては、同一又は異なり得る1つ又は複数のアリール置換基で置換すること(「置換アリール」とすること)が可能であり、「アリール置換基」は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、アラルキルオキシル、カルボキシル、アシル、ハロ、ニトロ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルオキシル、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールチオ、アルキルチオ、アルキレン、及び−NR’R”(R’及びR”は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、及びアラルキルであり得る。)を含む。
【0025】
したがって、本明細書に用いられているように、「置換アリール」という用語は、アリール基の1つ又は複数の原子又は官能基が、例えば、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、アリール、置換アリール、アルコキシル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、スルフェート、及びメルカプトを含む他の原子又は官能基で置き換えられている、本明細書に定められたアリール基を含む。
【0026】
アリール基の具体例としては、シクロペンタジエニル、フェニル、フラン、チオフェン、ピロール、ピラン、ピリジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、ピラジン、トリアジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、インドール、及びカルバゾール等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0027】
本明細書に用いられているように、「アザ」という用語は、少なくとも1つの窒素原子を含む複素環構造を意味する。アザ基の具体例としては、ピロリジン、ピペリジン、キヌクリジン、ピリジン、ピロール、インドール、プリン、ピリダジン、ピリミジン、及びピラジンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0028】
【化5】

【0029】
のような式で一般に表される構造は、本明細書に用いられるように、例えば、置換R基(ただし、R基は存在することもしないことも可能であり、存在する場合は、1つ又は複数のR基が、それぞれ環構造の1つ又は複数の利用可能な炭素原子に対して置換されて、R基が存在しない場合はその炭素に結合されているであろうH原子を置き換えることができる。)を含む3炭素、4炭素、5炭素、6炭素等の脂環式、及び/又は芳香族環状化合物が挙げられるが、それらに限定されない環構造を指す。R基の存否及び数は、整数nの値によって決定づけられる。各R基は、2つ以上存在する場合は、他のR基ではなく、環構造の利用可能な炭素に対して置換される。例えば、
【0030】
【化6】

【0031】
(式中、nは0〜2の整数である。)の構造は、
【0032】
【化7】

【0033】
等を含むが、それに限定されない化合物基を含む。
融合環状系の場合は、融合系を通じて、R基を任意のさもなければ無置換の炭素に置換させることができる。したがって、
【0034】
【化8】

【0035】
(式中、nは1である。)置換基X及びYにより炭素2及び6が既に置換されている構造を有するナフチル基の場合は、
【0036】
【化9】

【0037】
(ただし、この場合は、炭素6がXで置換され、炭素2がYで置換されているため、1つのR置換基は、他の指定置換基に占領されていないナフチル親構造上の任意の炭素に結合することが可能である。)を含む化合物基を含む。
【0038】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題によって示される化合物は、結合基を含む。本明細書に用いられているように、「結合基」という用語は、2つ以上の他の化学成分、特にアリール基に結合して、安定構造を形成するフラニル、フェニレン、チエニル、及びピロリル基といった化学成分を含む。
「フェニレン」という用語は、2つの水素原子を除去することによってベンゼンから誘導され、いくつかの実施態様において、
【0039】
【化10】

【0040】
からなる群から選択される構造を有する二価の有機基Cを意味する。したがって、「フェニレン」という用語は、「1,4−フェニレン」、「1,3−フェニレン」、及び「1,2−フェニレン」をそれぞれ意味することが可能である。
「フラニル」という用語は、2つの水素を除去することによってフランから誘導され、いくつかの実施態様において、
【0041】
【化11】

【0042】
からなる群から選択される構造を有する二価の有機基COを意味する。したがって、「フラニル」という用語は、2,5−フラニル、2,4−フラニル、及び2,3−フラニルをそれぞれ意味することが可能である。
「ナフチル」という用語は、2つの水素を除去することによってナフタレンから誘導され、いくつかの実施態様において、
【0043】
【化12】

【0044】
からなる群から選択される構造を有する二価の有機基C10を意味する。したがって、「ナフチル」という用語は、1,4−ナフチル及び2,6−ナフチル等を意味することが可能である。
芳香族環又は複素環式芳香族環の指定原子が「不在」とされる場合は、指定原子は直接結合に置き換えられる。結合基又はスペーサー基が不在とされる場合は、結合基又はスペーサー基は、直接結合に置き換えられる。
【0045】
「アルキレン」とは、1から約20炭素原子、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20の炭素原子を有する直鎖又は分枝状の二価の脂環式炭化水素基を意味する。アルキレン基は直鎖、分枝又は環状であり得る。アルキレン基は、場合によっては、不飽和で、かつ/又は1つ若しくは複数の「アルキル置換基」で置換されうる。場合によっては、アルキレン基とともに、1つ又は複数の酸素、硫黄あるいは置換又は無置換の窒素原子(本明細書において「アルキルアミノアルキル」とも称する)を挿入することが可能であり、その窒素置換基は先述したアルキルである。例示的なアルキレン基としては、メチレン(−CH−)、エチレン(−CH−CH−)、プロピレン(−(CH−)、シクロへキシレン(−C10−)、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−、−(CH−N(R)−(CH(式中、q及びrの各々は、独立に、0から約20の整数、例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20であり、Rは、水素又は低級アルキルである。)、メチレンジオキシル(−O−CH−O−)、及びエチレンジオキシル(−O−(CH−O−)が挙げられる。アルキレン基は、約2〜約3の炭素原子を有することが可能で、さらに6〜20の炭素を有することが可能である。
【0046】
本明細書に用いられているように、「アシル」という用語は、カルボキシル基の−OHが他の置換基で置換された有機酸基(すなわち、Rが、本明細書に定められるアルキル又はアリール基であるRCO−で表される。)を意味する。そのように、「アシル」という用語は、具体的には、アセチルフランのようなアリールアシル基及びフェナシル基を含む。アシル基の具体例としては、アセチル及びベンゾイルが挙げられる。
【0047】
「環状」及び「シクロアルキル」とは、約3〜約10、例えば3、4、5、6、7、8、9、又は10の炭素原子を有する非芳香族の単又は多環式環系を意味する。シクロアルキル基は、場合によっては部分的に不飽和であり得る。また、シクロアルキル基は、場合によっては、本明細書に定められているアルキル置換基、オキソ、及び/又はアルキレンで置換されうる。場合によっては、環状アルキル鎖とともに、1つ又は複数の酸素、硫黄、あるいは置換又は無置換の窒素原子を挿入することが可能であり、その窒素置換基は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、又は置換アリールであり、複素環基が与えられる。代表的な単環シクロアルキル環としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。多環式シクロアルキル環としては、アダマンチル、オクタヒドロナフチル、デカリン、カンファ、カンファン、及びノルアダマンチルが挙げられる。
【0048】
「アルコキシル」又は「アルコキシアルキル」とは、アルキル−O基(式中、アルキルは先述の通りである。)を意味する。本明細書に用いられている「アルコキシル」という用語は、例えばメトキシル、エトキシル、プロポキシル、イソプロポキシル、ブトキシル、t−ブトキシル、及びペントキシルを含むC〜C20の線状、分枝状又は環状の飽和又は不飽和オキソ炭化水素鎖を意味することが可能である。
【0049】
「アリールオキシル」とは、アリール−O基(式中、アリール基は、置換アリールを含めて、先述の通りである。)を意味する。本明細書に用いられる「アリールオキシル」という用語は、フェニルオキシル又はヘキシルオキシル、及びアルキル、置換アルキル、ハロ、又はアルコキシル置換フェニルオキシル若しくはヘキシルオキシルを意味することが可能である。
【0050】
「アラルキル」とは、アリール−アルキル基(式中、アリール及びアルキルは先述の通りであり、置換アリール及び置換アルキルを含む。)を意味する。例示的なアラルキル基としては、ベンジル、フェニルエチル、及びナフチルエチルが挙げられる。
「アラルキルオキシル」は、アラルキル−O−基(式中、アラルキル基は先述の通りである)を意味する。例示的なアラルキルオキシル基としては、ベンジルオキシルがある。
【0051】
「ジアルキルアミノ」とは、−NRR’基(式中、R及びR’の各々は、独立に、先述したアルキル基及び/又は置換アルキル基である。)を意味する。例示的なアルキルアミノ基としては、エチルメチルアミノ、ジメチルアミノ、及びジエチルアミノが挙げられる。
「アルコキシカルボニル」とは、アルキル−O−CO−基を意味する。例示的なアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、及びt−ブチルオキシカルボニルが挙げられる。
【0052】
「アリールオキシカルボニル」とは、アリール−O−CO−基を意味する。例示的なアリールオキシカルボニル基としては、フェノキシ−及びナフトキシ−カルボニルが挙げられる。
「アラルコキシカルボニル」とは、アラルキル−O−CO−基を意味する。例示的なアラルコキシカルボニル基としては、ベンジルオキシカルボニルがある。
「カルバモイル」とは、HN−CO−基を意味する。
「アルキルカルバモイル」は、R’RN−CO−基(式中、R及びR’の一方が水素であり、R及びR’の他方が、先述したアルキル及び/又は置換アルキルである。)を意味する。
「ジアルキルカルバモイル」とは、R’RN−CO−基(式中、R及びR’の各々が、独立に、先述したアルキル及び/又は置換アルキルである。)を意味する。
【0053】
「アシルオキシル」とは、アシル−O−基(式中、アシルは先述した通りである。)を意味する。
「アシルアミノ」とは、アシル−NH−基(式中、アシルは先述の通りである。)を意味する。
「アロイルアミノ」とは、アロイル−NH−基(アロイルは先述した通りである。)を意味する。
「アミノ」という用語は、−NH基を意味する。
「カルボニル」という用語は、−(C=O)−基を意味する。
「カルボキシル」という用語は、−COOH−基を意味する。
本明細書に用いられている「ハロ」、「ハライド」、又は「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基を意味する。
【0054】
「ヒドロキシル」という用語は、−OH基を意味する。
「ヒドロキシアルキル」という用語は、−OH基で置換されたアルキル基を意味する。
「メルカプト」という用語は、−SH基を意味する。
「オキソ」という用語は、炭素原子が酸素原子で置き換えられた、本明細書で既に述べた化合物を意味する。
「ニトロ」という用語は、−NO基を意味する。
「チオ」という用語は、炭素又は酸素原子が硫黄原子で置き換えられた、本明細書で既に述べた化合物を意味する。
「スルフェート」という用語は、−SO基を意味する。
【0055】
「独立に選択される」という用語が用いられるときは、言及されている置換基(例えばR及びRのようなR基又はX及びY基)は、同一又は異なり得る。例えば、R及びRがともに置換アルキル又はRが水素で、Rが置換アルキル等であり得る。
【0056】
指定の「R」、「R’」、「X」、「Y」、「Y’」、「A」、「A’」、「B」、「L」、又は「Z」基は、本明細書において特に指定のない限り、その名称を有する基に対応するものとして当該技術分野で認識されている構造を一般に有することになる。例示を目的として、上述の特定の代表的な「R」、「X」、「Y」、及び「A」基を以下に定める。これらの定義は、本開示を吟味すると当業者にとって明らかとなる定義を補足かつ例示することを意図しており、排除することを意図するものではない。
【0057】
「還流」、及びその文法的派生語は、溶媒のような液体を、コンデンサを伴う反応フラスコのような容器内で煮沸することによって、コンデンサの内壁での蒸気の凝縮による液体のロスを生じない連続的な煮沸を促進することを意味する。
【0058】
「非プロトン性溶媒」という用語は、プロトンを受容することも供与することもできない溶媒分子を意味する。典型的な非プロトン性溶媒としては、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、ブタノン、ブチロニトリル、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、1、2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ヘキサン、N−メチルピロリドン、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、及びトルエンが挙げられるが、それらに限定されない。特定の非プロトン性溶媒は、極性溶媒である。極性非プロトン性溶媒の例としては、アセトン、アセトニトリル、ブタノン、N、N−ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドが挙げられるが、それらに限定されない。特定の非プロトン性溶媒は、非極性溶媒である。非極性の非プロトン性溶媒の例としては、ジエチルエーテル、ヘキサンのような脂環式炭化水素、ベンゼン、及びトルエンのような芳香族炭化水素、ならびに四塩化炭素のような対称ハロゲン化炭化水素が挙げられるが、それらに限定されない。
【0059】
「極性溶媒」とは、酸素原子又は窒素原子のような陰性原子に結合する水素原子を含む溶媒分子を意味する。典型的なプロトン性溶媒としては、酢酸のようなカルボン酸、メタノール及びエタノールのようなアルコール、アミン、アミド、ならびに水が挙げられるが、それらに限定されない。
【0060】
「金属アルキル」という用語は、一般式MRn(式中、Mは、アルミニウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛、ガリウム、インジウム、アンチモン、及び関連金属を含むが、それらに限定されない金属原子であり、Rは本明細書に定められたアルキル基であり、nは整数である。)の化合物を意味する。代表的な金属アルキルとしては、Al(CH又はAlMeと省略されるトリメチルアルミニウムがある。
【0061】
「アルカリ金属アルコラート」という用語は、一般式MOR(式中、Maは、リチウム、ナトリウム、又はカリウムのようなアルカリ金属であり、Oは酸素であり、Rは本明細書に定められているアルキル基であり、nは整数である。)を有するアルコールのアルカリ金属誘導体を意味する。代表的なアルカリ金属アルコラートとしては、NaOCH又はNaOMeと省略されるナトリウムメタノラート、及びKOC(CHと省略されるカリウムブトキシドが挙げられるが、それらに限定されない。
【0062】
「酸無水物」という用語は、有機酸の無水物を意味し、無水酢酸((CHC=O)O又はAcO)及び無水安息香酸(CC=O)O)を含むが、それらに限定されない。
【0063】
II.新規の化合物
ペンタミジン(I)、フラミジン(II)、CGP40215A(III)、3,5−ビス[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)フェニル]ピリジン(IV)、ビス−4,4’−アミジノビフェニル(V)、及びビス−4,4’−アミジノフェニルエチン(VI)の構造をスキームAに示す。
【0064】
【化13】

【0065】
フラミジンの経口有効プロドラッグが、現在、マラリア、HAT、及びPCPに対するフェーズII臨床試験の段階にある(非特許文献1、非特許文献3、及び非特許文献4参照。)。この種のジカチオン分子は、ATリッチの部位におけるDNAの微小溝での結合によって作用しDNA依存酵素の阻害、又は恐らくは転写の直接的な阻害をもたらすものと考えられる。さらに、副溝結合が、DNA依存酵素の阻害をもたらし、又は転写の阻害を誘導する可能性があると想定された(非特許文献1、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、及び非特許文献8参照。)。いかなる特定の理論に拘束されるのは望ましくないが、少なくともトリパノソーマに対するこれらの分子の選択性は、アミジン輸送体を必要とする細胞浸入成分を含む可能性が大きいことが示唆される。
【0066】
新規の潜在的な芳香族ジアミジン治療の設計における要素は、アミジン単位を担持する分子骨格が、DNAの微小溝の曲線と相補的な三日月形構造を示すということである(非特許文献9参照。)。溝の壁とのファンデルワールス接触は、結合親和力に重要な貢献を果たすことが証明されている(非特許文献10、非特許文献11、及び非特許文献12参照。)。25の微小溝結合剤の結合相互作用の現行の理論的分析により、小さい分子曲率は、エネルギー的に好適なファンデルワールス接触を与えることが示される(非特許文献13参照。)。ペンタミジン、フラミジン、及び多くの類似体は、この三日月形プロフィルを満たす(非特許文献1、非特許文献9、非特許文献14、非特許文献15、及び非特許文献16参照。)。強力な副溝結合剤溶液構造は、溝曲線に対応するか、又は錯体形成において溝を補完する低エネルギー配座を容易に占めるものと考えられている。過大又は過小の曲率を示す分子は、副溝との接触を最大にするのが困難であるため、典型的には低い結合親和性を示す(非特許文献17参照。)。
【0067】
本明細書に開示される主題は、テルフェニル骨格に基づく線形結合系を提供する。本明細書では、新規のテルアリールジカチオン、アミジン、グアニジン、及びグアニルヒドラゾンの合成、ならびに副溝結合剤及び抗原虫剤としての潜在性としてのそれらの評価を提示する。
【0068】
II.A.式(I)の化合物
本明細書では、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩が記載される。
−Ar−(CH−Ar−(CH−Ar−L (I)
(式中、p及びqは、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、
Ar及びArは、独立に、
【0069】
【化14】

【0070】
からなる群から選択され、
A、Y、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Xは、O、S、NH、及びSeからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各sは、独立に、0〜2の整数であり、
各R、R、及びRは、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Arは、
【0071】
【化15】

【0072】
からなる群から選択され、
、A、A、Y、Y、Y、Z、Z、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各tは、独立に、0〜6の整数であり、
各R、R、R、R、及びR10は、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
及びLは、
【0073】
【化16】

【0074】
からなる群から選択され、
11、R12、R13、R14、R15、及びR20は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、あるいは
11及びR12は、ともに、C〜C10アルキル、C〜C10ヒドロキシアルキル、又はC〜C10アルキレンを表し、あるいは
11及びR12は、ともに、
【0075】
【化17】

【0076】
であり、
uは、1〜4の整数であり、R16は、H又は−CONHR17NR1819であり、R17はアルキルであり、R18及びR19は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。)。
いくつかの実施態様において、Arはフェニレンであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する。
【0077】
【化18】

【0078】
いくつかの実施態様において、Arはフェニレンであり、Arはフラニルであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する。
【0079】
【化19】

【0080】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフラニルであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する。
【0081】
【化20】

【0082】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する。
【0083】
【化21】

【0084】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれ、
【0085】
【化22】

【0086】
であり、各A及び各Yの少なくとも一方はNであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する。
【0087】
【化23】

【0088】
いくつかの実施態様において、式(II)の化合物は:
N−ヒドロキシ−5−[4’−(N−ヒドロキシアミジノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
N−メトキシ−5−[4’−(N−メトキシアミジノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
5−(4’−アミジノビフェニル−4−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
N−ヒドロキシ−5−{4−[5−(N−ヒドロキシアミジノ)−フラン−2−イル]−フェニル}−フラン−2−カルボキサミジン;
5−[4−(5−アミジノフラン−2−イル)−フェニル]−フラン−2−カルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−アセトキシカルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−カルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン;
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−アミジン;
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−メトキシカルボキサミジン;
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−アミジン;
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−メトキシカルボキサミジン;
1,4−ビス−(5’−アミジノピリジン−2’−イル)−フェニレン;
1,4−ビス−[5’−N−ヒドロキシアミジノピリジン−2’−イル)]−フェニレン;
1,4−ビス−[5’−N−メトキシアミジノピリジン−2’−イル)]−フェニレン;
5−[4’−(ヒドラゾノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−ヒドラゾン;
5−{4’−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ビフェニル−4−イル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
5−[4−(2−ヒドラゾノ)−フラン−5−イル−フェニル]−フラン−2−ヒドラゾン;
5−{4−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−フラン−5−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
4,4”−ビス−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル;
4,4”−ビス(N’−メチル)−グアニジノ−[1,1’:4’,1”]テルフェニル;
4,4”−ビス(N’−イソプロピル−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル;
1,4−ビス−(5’−グアニジノピリジン−2’−イル)フェニレン;
1,4−ビス−{5’−[(N’−イソプロピル)−グアニジノ]−ピリジン−2’イル}フェニレン;
1,4−ビス[4−アミジノフェニル]−2,5−ビス[メトキシ]ベンゼン;
1,4−ビス[5−(N−エトキシカルボニルグアニジノ)ピリジン−2−イル]ベンゼン;
1,4−ビス[5−(N−エトキシカルボニル−N’−メチルグアニジノ)ピリジン−2−イル]ベンゼン;
1,4−ビス[5−(N−メチルグアニジノ)ピリジン−2−イル]ベンゼン;
1−[4−アミジノフェニル]−4−[4−アミジノベンジル]ベンゼン;及びこれらの医薬として許容し得る塩からなる群から選択される。
【0089】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、Arは、
【0090】
【化24】

【0091】
であり、Z、A、及びYの少なくとも1つはNであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する。
【0092】
【化25】

【0093】
いくつかの実施態様において、AはNであり、式(III)の化合物は、下記の構造を有する。
【0094】
【化26】

【0095】
いくつかの実施態様において、Arはフェニレンであり、Arはフラニルであり、式(IIIa)の化合物は、下記の構造を有する。
【0096】
【化27】

【0097】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、pは0であり、qは1であり、式(IIIa)の化合物は、下記の構造を有する。
【0098】
【化28】

【0099】
いくつかの実施態様において、YはNであり、式(III)の化合物は、下記の構造を有する。
【0100】
【化29】

【0101】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(IIIb)の化合物は、下記の構造を有する。
【0102】
【化30】

【0103】
いくつかの実施態様において、Arはフェニレンであり、Arはフラニルであり、式(IIIb)の化合物は、下記の構造を有する。
【0104】
【化31】

【0105】
いくつかの実施態様において、Z及びYは、それぞれNであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する。
【0106】
【化32】

【0107】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(IIIc)の化合物は、下記の構造を有する。
【0108】
【化33】

【0109】
いくつかの実施態様において、A及びYは、それぞれNであり、式(III)の化合物は、以下の式を有する。
【0110】
【化34】

【0111】
いくつかの実施態様において、式(III)の化合物は:
N−ヒドロキシ−5−{6−[4−(N−ヒドロキシアミジノ)−フェニル]−ピリジン−3−イル}−フラン−2−カルボキサミジン;
5−[6−(4−アミジノフェニル)−ピリジン−3−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−カルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン;
2−[4−(N−ヒドロキシアミジノ)フェニル]−5−[4”−(N−ヒドロキシアミジノ)−ベンジル]ピリジン;
2−(4−アミジノフェニル)−5−(4”−アミジノベンジル)ピリジン;
5−[4−(2−ヒドラゾノ)−ピリジン−5−イル−フェニル]−フラン−2−ヒドラゾン;
5−{4−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ピリジン−5−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
5−{4−[5−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ピリジン−2−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
2,5−ビス−(4’−アミジノフェニル)−ピリミジン;
2,5−ビス−[4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェニル]−ピリミジン;
2,5−ビス−[4’−(N−メトキシアミジノ)フェニル]−ピリミジン;
3,6−ビス[4−アミジノフェニル]ピリダジン;
3,6−ビス[4−N−ヒドロキシアミジノフェニル]ピリダジン;
3,6−ビス[4−N−メトキシアミジノフェニル]ピリダジン;及びこれらの医薬として許容し得る塩からなる群から選択される。
【0112】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、Arはナフチルであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する。
【0113】
【化35】

【0114】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(IV)の化合物は、下記の構造を有する。
【0115】
【化36】

【0116】
いくつかの実施態様において、ナフチル基は、1及び4位で置換され、式(IVa)の化合物は、下記の構造を有する。
【0117】
【化37】

【0118】
いくつかの実施態様において、ナフチル基は、2及び6位で置換され、式(IVa)の化合物は、下記の構造を有する。
【0119】
【化38】

【0120】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物は:
フェニル[1,1’]ナフチル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−アミジン;
フェニル[1,1’]ナフチル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ナフチル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン;
フェニル[1,2’]ナフチル[6’,1”]フェニル−4,4”−ビス−アミジン;及びこれらの医薬として許容し得る塩からなる群から選択される。
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、Arは、
【0121】
【化39】

【0122】
であり、式(I)の化合物は、以下の式を有する。
【0123】
【化40】

【0124】
いくつかの実施態様において、A及びYは、それぞれNであり、式(V)の化合物は、以下の式を有する。
【0125】
【化41】

【0126】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(Va)の化合物は以下の式を有する。
【0127】
【化42】

【0128】
式(I)から(V)の化合物のいくつかの実施態様において、L及びLは、それぞれ、
【0129】
【化43】

【0130】
である。
式(I)から(V)の化合物のいくつかの実施態様において、L及びLは、それぞれ
【0131】
【化44】

【0132】
である。
式(I)から(V)の化合物のいくつかの実施態様において、L及びLは、それぞれ
【0133】
【化45】

【0134】
である。
いくつかの実施態様において、式(I)から(V)の化合物は、医薬として許容し得る塩を含む。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は、塩酸塩を含む。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は、酢酸塩を含む。
【0135】
II.B.プロドラッグ
代表的な実施態様において、本明細書に開示される化合物はプロドラッグである。プロドラッグとは、受容体に投与すると、本明細書に開示される主題の化合物、又は阻害活性代謝物質若しくはその残渣を(直接又は間接的に)供給することが可能な化合物を意味する。プロドラッグは、例えば、当該化合物が対象に投与されるときに本明細書に開示される主題の化合物の生体利用度を(例えば、経口投与化合物が血液により容易に吸収されることを可能にすることによって)高める、又は代謝物質種と比べて生体区画(例えば脳又はリンパ系)に対する親化合物の送達を増強することが可能である。本明細書に開示されている化合物のいくつか(例えば化合物18、21、24a、25a、24b、25b、50a、50b、50c、57b、57c、57a、24c、25c、67、68、33、29、3、4)はプロドラッグである。
【0136】
II.C.医薬として許容し得る塩
さらに、本明細書に記載されている活性化合物を医薬として許容し得る塩として投与することが可能である。当該医薬として許容し得る塩としては、グルコン酸塩、乳酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、硝酸塩、硫酸塩、及び塩酸塩が挙げられる。本明細書に記載されている化合物の塩は、例えば2当量の塩基化合物を溶液中で所望の酸と反応させることによって調製されうる。反応が完了した後に、塩が溶解しない適切な量の溶媒を添加することによって、塩を溶液から結晶化させる。いくつかの実施態様において、以下により詳細に記載するように、アミドキシム化合物の塩酸塩は、塩化水素ガスを遊離塩基のエタノール溶液に吹き込むことによって製造される。いくつかの実施態様において、以下により詳細に記載するように、本明細書に開示されるジアミジン化合物の酢酸塩及び/又は対応するN−メトキシ類似体は、適切なN−ヒドロキシ類似体から直接製造される。よって、いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は塩酸塩である。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は酢酸塩である。
【0137】
III.医薬製剤
式(I)から(V)の化合物、その医薬として許容し得る塩、式(I)から(V)の化合物に対応するプロドラッグ、及びその医薬として許容し得る塩を本明細書ではすべて「活性化合物」と呼ぶ。上記活性化合物を含む医薬製剤も本明細書に提示される。これらの医薬製剤は、薬学的に許容可能な担体において、本明細書に記載されている活性化合物を含む。以下により詳細に論述されるように、医薬製剤は、経口、静脈、又はエーロゾル投与に向けて調製されうる。また、本明細書に開示される主題は、凍結乾燥された当該活性化合物、及び例えば静脈又は筋肉注射による投与に応じた薬学的に許容可能な製剤を形成するように再構成することが可能である当該活性化合物を提供する。
【0138】
その使用が本明細書に記載されている実施態様の範囲内にある任意の特定活性化合物の治療有効投与量は、化合物及び患者に応じていくらか変動し、患者の状態及び投与ルートに依存することになる。一般的な提案として、塩が採用される場合を含めて、すべての重量を活性化合物の重量に基づいて計算すると、約0.1から約50mg/kgの投与量が治療効果を有することになる。より多量になると毒性の懸念があるため、静脈投与量は、塩が採用される場合を含めて、すべての重量を活性塩基の重量に基づいて計算すると、約10mg/kg以下というより低い量に限定されうる。経口投与については、約10mg/kgから約50mg/kgの投与量を採用することが可能である。筋肉注射については、典型的には、約0.5mg/kgから5mg/kgの投与量を採用することが可能である。静脈又は経口投与についての化合物は、好ましい投与量は、1μmol/kgから50μmol/kgで、より好ましくは22μmol/kg及び33μmol/kgである。治療の継続期間は、通常は2から3週間の期間、又は状態が実質的に抑制されるまでの期間にわたって一日に一度である。より低頻度で与えられるより定量の投与を予防的に用いて、感染症の再発を防止、又はその頻度を低下させることが可能である。
【0139】
本方法によれば、本明細書に記載されている薬学活性化合物を固体又は液体として経口投与することが可能であり、溶液、懸濁物、又はエマルジョンとして筋肉又は静脈投与することが可能である。あるいは、化合物又は塩をリポソーム懸濁物として吸入、静脈又は筋肉投与することが可能である。活性化合物又は塩は、吸入を通じて投与される場合は、粒径が約0.5から約5ミクロン、好ましくは約1から約2ミクロンの複数の固体粒子又は液滴の形をとるものとする。
【0140】
静脈又は筋肉注射に好適な医薬製剤は、本明細書に提示されるさらなる実施態様である。医薬製剤は、任意の薬学的に許容可能な担体において、本明細書に記載されている式(I)から(V)の化合物、本明細書に記載されているプロドラッグ、又はその医薬として許容し得る塩を含む。溶媒が望まれる場合は、水溶性化合物又は塩に対して、水が好適な担体である。水溶性化合物又は塩に対しては、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、又はそれらの混合物のような有機媒体が好適であり得る。後者の場合は、有機媒体は、実質的な量の水を含有し得る。次いで、両者の場合における溶液を、当業者に知られている好適な方法、典型的には0.22ミクロンフィルタによる濾過によって滅菌することが可能である。滅菌に続いて、溶液を脱パイロジェンガラスバイアルのような適切な容器に分配することが可能である。分配は、好ましくは無菌の方法で行われる。次いで、滅菌した栓をバイアルに配置することが可能であり、要望に応じて、バイアルの内容物を凍結乾燥することが可能である。
【0141】
式(I)から(V)の化合物、それらの塩又はプロドラッグに加えて、医薬製剤は、pH調整添加剤のような他の添加剤を含有することが可能である。特に、有用なpH調整剤としては、塩酸のような酸、塩基、あるいは乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、又はグルコン酸ナトリウムのような緩衝剤が挙げられる。さらに、製剤は、抗微生物性防腐剤を含有することが可能である。有用な抗微生物性防腐剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びベンジルアルコールが挙げられる。抗微生物性防腐剤は、典型的には、複数投与用途に向けて設計されたバイアルに仕込まれるときに採用される。本明細書に記載されている医薬製剤を、当該技術分野でよく知られている技術を用いて凍結乾燥することが可能である。
【0142】
本明細書に記載されている主題のさらに他の実施態様において、密封容器での単一投与形態の、化合物(I)から(V)又はその塩の化合物を含む注射可能で安定した無菌製剤が提供される。その化合物又は塩は、好適な薬学的に許容可能な担体で再構成されて、対象へのその注射に好適な液体製剤を形成することが可能な凍結乾燥物の形態で提供される。単一投与形態は、典型的には、約10mgから約10グラムの化合物塩を含む。化合物又は塩が実質的に水不溶性であるときは、生理学的に許容可能な十分な量の乳化剤を、水性担体において化合物又は塩を乳化するのに十分量採用することが可能である。1つの当該有用な乳化剤は、ホスファチジルコリンである。
【0143】
水性塩基エマルジョンのような本明細書に開示されている水不溶性化合物、又はその塩から他の医薬製剤を調製することが可能である。そのような場合、製剤は、所望の量の化合物又はその塩を乳化するための十分量の薬学的に許容可能な乳化剤を含有することになる。特に有用な乳化剤としては、ホスファチジルコリン及びレシチンが挙げられる。
【0144】
本明細書に提示されるさらなる実施態様は、本明細書に開示されている活性化合物のリポソーム製剤を含む。リポソーム懸濁物を形成するための技術は、当該技術分野でよく知られている。化合物が水溶性塩である場合は、従来のリポソーム技術を用いて、それを脂質ベシクルに取り込むことが可能である。そのような場合は、活性化合物が水溶性であるために、活性化合物は、リポソームの親水性の中心又はコア内に実質的に取り込まれることになる。採用する脂質層は、任意の従来の組成とすることができ、コレステロールを含むこともできるし、コレステロールを含んでいなくてもよい。対象となる活性化合物が水溶性である場合は、ここでも従来のリポソーム形成技術を採用し、リポソームの構造を形成する疎水性脂質二重層内に塩を実質的に取り込むことが可能である。いずれの場合も、標準的な音波処理及び均質化技術を用いることにより、生成されるリポソームのサイズを小さくすることが可能である。
【0145】
本明細書に開示されている活性化合物を含むリポソーム製剤を凍結乾燥して、凍結乾燥物を生成し、それを水のような薬学的に許容可能な担体で再構成して、リポソーム懸濁物を再生することが可能である。
【0146】
吸入によりエーロゾルとしての投与に好適である医薬製剤も提供される。これらの製剤は、本明細書に記載されている所望の化合物若しくはその塩の溶液又は懸濁物、あるいはその化合物又は塩の複数の固体粒子を含む。所望の製剤を小さいチャンバに仕込んで、噴霧化することが可能である。圧縮空気又は超音波エネルギーによって噴霧化を行って、その化合物又は塩を含む複数の液滴又は固体粒子を形成することができる。液滴又は固体粒子は、約0.5から約10ミクロン、より好ましくは約0.5から約5ミクロンの範囲の粒径を有するものとする。微粉化のような当該技術分野で知られている任意の適切な方法で固体化合物又はその塩を処理することによって、固体粒子を得ることが可能である。最も好ましくは、固体粒子又は液滴の粒径は、約1から約2ミクロンになる。この点において、この目的を達成するために、市販の噴霧器が利用可能である。その開示内容が全面的に参照により本明細書に組み込まれている特許文献1に記載されている方法で、吸入性粒子のエーロゾル懸濁物を介して化合物を投与することができる。
【0147】
エーロゾルとしての投与に好適な医薬製剤が液体の形をとるときは、製剤は、水を含む担体において、水溶性活性化合物を含む。噴霧化されると所望のサイズ範囲内の液滴を形成させるのに十分な製剤の表面張力を低下させる界面活性剤が存在し得る。
示唆されるように、水溶性及び水不溶性の両方の活性化合物が提供される。本明細書で用いられているように、「水不溶性」という用語は、約50mg/mL又はそれ以上の水溶性を有する任意の組成物を定めることを意図する。また、本明細書で用いられるように、「水不溶性」という用語は、約20mg/mL未満の水溶解性を有する任意の組成物を定めることを意図する。ある実施態様において、水溶性化合物又は塩が所望されうるのに対し、他の実施態様においては、同様に水不溶性組成物又は塩が所望されうる。
【0148】
IV.微生物感染症を処理するための方法
微生物感染症の対象を本明細書に記載されている方法で治療することが可能である。当該感染症は、真菌、藻類、原虫、バクテリア、及びウイルスを含む様々な微生物によって引き起こされうる。本明細書に開示される主題の方法によって治療することが可能である例示的な微生物感染症としては、トリパノソーマ属(例えば、トリパノソーマブルーセイローデシエンス、トリパノソーマブルーセイガンビエンス、トリパノソーマブルーセイブルーセイ、及びトリパノソーマクルージ)、プラスモジウム属(例えば、プラスモジウムファルシパルム)、結核菌、ニューモシスティスカリーニ、ジアルディアランブリア、クリプトスポリジウムパルブム、クリプトコックスネオフォルマンス、カンジダアルビカンス、カンジダトロピカリス、サルモネラチフィムリウム、レーシュマニアドノヴァニ、及びレーシュマニアメキシカナアマゾネンシスが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に用いられているように、トリパノソーマ属、プラスモジウム属、及びレーシュマニア属という用語は、それぞれトリパノソーマ類、プラスモジウム類、及びレーシュマニア類に従って分類された微生物を包括する。
【0149】
本明細書に開示される主題の方法は、状態の発症、進行及び拡大を抑制し、状態の減衰を生じさせ、状態を治癒し、あるいはその状態にかかっている対象、又はその状態に陥る危険性のある対象の全体的な快適さを向上させるという点で、これらの状態を治療するのに有用である。したがって、本明細書に開示される主題によれば、「治療する」、「治療すること」及びそれらの文法的変形、ならびに「治療方法」という表現は、対象における既存の感染症を治療するための方法、ならびに本明細書に開示されている微生物にさらされた対象、又は本明細書に開示されている微生物にさらされる見込みのある対象における感染の予防(すなわち防止)のための方法を含むが、それらに限定されない任意の所望の治療行為を包括することを意図している。
【0150】
微生物感染症を治療するための方法は、それを必要とする被験者に対して、本明細書に記載されている活性化合物を投与することを含む。上述したこれらの活性化合物は、式(I)から(V)の化合物、それらの対応するプロドラッグ、ならびにそれらの化合物及びプロドラッグの医薬として許容し得る塩を含む。
本明細書記載の方法の実施態様に関して、式(I)の化合物は、以下の構造又はその医薬として許容し得る塩を有するものと定義づけることができる。
−Ar−(CH−Ar−(CH−Ar−L (I)
(式中、p及びqは、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、
Ar及びArは、独立に、
【0151】
【化46】

【0152】
からなる群から選択され、
A、Y、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Xは、O、S、NH、及びSeからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各sは、独立に、0〜2の整数であり、
各R、R及びRは、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Arは、
【0153】
【化47】

【0154】
からなる群から選択され、
、A、A、Y、Y、Y、Z、Z、及びZは、独立に、N、及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各tは、独立に、0〜6の整数であり、
各R、R、R、R、及びR10は、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
及びLは、
【0155】
【化48】

【0156】
からなる群から選択され、
11、R12、R13、R14、R15、及びR20は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、あるいは
11及びR12は、ともに、C〜C10アルキル、C〜C10ヒドロキシアルキル、又はC〜C10アルキレンを表し、あるいは
11及びR12は、ともに、
【0157】
【化49】

【0158】
であり、
uは、1〜4の整数であり、R16は、H又は−CONHR17NR1819であり、R17はアルキルであり、R18及びR19は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。)。
【0159】
いくつかの実施態様において、Arはフェニレンであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する。
【0160】
【化50】

【0161】
いくつかの実施態様において、Arはフェニレンであり、Arはフラニルであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する。
【0162】
【化51】

【0163】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフラニルであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する。
【0164】
【化52】

【0165】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する。
【0166】
【化53】

【0167】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれ、
【0168】
【化54】

【0169】
であり、各A及び各Yの少なくとも一方はNであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する。
【0170】
【化55】

【0171】
いくつかの実施態様において、式(II)の化合物は:
N−ヒドロキシ−5−[4’−(N−ヒドロキシアミジノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
N−メトキシ−5−[4’−(N−メトキシアミジノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
5−(4’−アミジノビフェニル−4−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
N−ヒドロキシ−5−{4−[5−(N−ヒドロキシアミジノ)−フラン−2−イル]−フェニル}−フラン−2−カルボキサミジン;
5−[4−(5−アミジノフラン−2−イル)−フェニル]−フラン−2−カルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−アセトキシカルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−カルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン;
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−アミジン;
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−メトキシカルボキサミジン;
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−アミジン;
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−メトキシカルボキサミジン;
1,4−ビス−(5’−アミジノピリジン−2’−イル)−フェニレン;
1,4−ビス−[5’−N−ヒドロキシアミジノピリジン−2’−イル)]−フェニレン;
1,4−ビス−[5’−N−メトキシアミジノピリジン−2’−イル)]−フェニレン;
5−[4’−(ヒドラゾノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−ヒドラゾン;
5−{4’−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ビフェニル−4−イル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
5−[4−(2−ヒドラゾノ)−フラン−5−イル−フェニル]−フラン−2−ヒドラゾン;
5−{4−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−フラン−5−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
4,4”−ビス−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル;
4,4”−ビス(N’−メチル)−グアニジノ−[1,1’:4’,1”]テルフェニル;
4,4”−ビス(N’−イソプロピル−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル;
1,4−ビス−(5’−グアニジノピリジン−2’−イル)フェニレン;
1,4−ビス−{5’−[(N’−イソプロピル)−グアニジノ]−ピリジン−2’イル}フェニレン;
1,4−ビス[4−アミジノフェニル]−2,5−ビス[メトキシ]ベンゼン;
1,4−ビス[5−(N−エトキシカルボニルグアニジノ)ピリジン−2−イル]ベンゼン;
1,4−ビス[5−(N−エトキシカルボニル−N’−メチルグアニジノ)ピリジン−2−イル]ベンゼン;
1,4−ビス[5−(N−メチルグアニジノ)ピリジン−2−イル]ベンゼン;
1−[4−アミジノフェニル]−4−[4−アミジノベンジル]ベンゼン;及びこれらの医薬として許容し得る塩からなる群から選択される。
【0172】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、Arは、
【0173】
【化56】

【0174】
であり、Z、A、及びYの少なくとも1つはNであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する。
【0175】
【化57】

【0176】
いくつかの実施態様において、AはNであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する。
【0177】
【化58】

【0178】
いくつかの実施態様において、Arはフェニレンであり、Arはフラニルであり、式(IIIa)の化合物は、下記の構造を有する。
【0179】
【化59】

【0180】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、pは0であり、qは1であり、式(IIIa)の化合物は、下記の構造を有する。
【0181】
【化60】

【0182】
いくつかの実施態様において、YはNであり、式(III)の化合物は、下記の構造を有する。
【0183】
【化61】

【0184】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(IIIb)の化合物は、下記の構造を有する。
【0185】
【化62】

【0186】
いくつかの実施態様において、Arはフェニレンであり、Arはフラニルであり、式(IIIb)の化合物は、下記の構造を有する。
【0187】
【化63】

【0188】
いくつかの実施態様において、Z及びYは、それぞれNであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する。
【0189】
【化64】

【0190】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(IIIc)の化合物は、下記の構造を有する。
【0191】
【化65】

【0192】
いくつかの実施態様において、A及びYは、それぞれNであり、式(III)の化合物は、以下の式を有する。
【0193】
【化66】

【0194】
いくつかの実施態様において、式(III)の化合物は:
N−ヒドロキシ−5−{6−[4−(N−ヒドロキシアミジノ)−フェニル]−ピリジン−3−イル}−フラン−2−カルボキサミジン;
5−[6−(4−アミジノフェニル)−ピリジン−3−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−カルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン;
2−[4−(N−ヒドロキシアミジノ)フェニル]−5−[4”−(N−ヒドロキシアミジノ)−ベンジル]ピリジン;
2−(4−アミジノフェニル)−5−(4”−アミジノベンジル)ピリジン;
5−[4−(2−ヒドラゾノ)−ピリジン−5−イル−フェニル]−フラン−2−ヒドラゾン;
5−{4−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ピリジン−5−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
5−{4−[5−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ピリジン−2−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
2,5−ビス−(4’−アミジノフェニル)−ピリミジン;
2,5−ビス−[4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェニル]−ピリミジン;
2,5−ビス−[4’−(N−メトキシアミジノ)フェニル]−ピリミジン;
3,6−ビス[4−アミジノフェニル]ピリダジン;
3,6−ビス[4−N−ヒドロキシアミジノフェニル]ピリダジン;
3,6−ビス[4−N−メトキシアミジノフェニル]ピリダジン;及びこれらの医薬として許容し得る塩からなる群から選択される。
【0195】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、Arはナフチルであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する。
【0196】
【化67】

【0197】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(IV)の化合物は、下記の構造を有する。
【0198】
【化68】

【0199】
いくつかの実施態様において、ナフチル基は、1及び4位で置換され、式(IVa)の化合物は、下記の構造を有する。
【0200】
【化69】

【0201】
いくつかの実施態様において、ナフチル基は、2及び6位で置換され、式(IVa)の化合物は、下記の構造を有する。
【0202】
【化70】

【0203】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物は:
フェニル[1,1’]ナフチル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−アミジン;
フェニル[1,1’]ナフチル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ナフチル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン;
フェニル[1,2’]ナフチル[6’,1”]フェニル−4,4”−ビス−アミジン;及びこれらの医薬として許容し得る塩からなる群から選択される。
【0204】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、Arは、
【0205】
【化71】

【0206】
であり、式(I)の化合物は、以下の式を有する。
【0207】
【化72】

【0208】
いくつかの実施態様において、A及びYは、それぞれNであり、式(V)の化合物は、以下の式を有する。
【0209】
【化73】

【0210】
いくつかの実施態様において、Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(Va)の化合物は以下の式を有する。
【0211】
【化74】

【0212】
式(I)から(V)の化合物のいくつかの実施態様において、L及びLは、それぞれ、
【0213】
【化75】

【0214】
である。
式(I)から(V)の化合物のいくつかの実施態様において、L及びLは、それぞれ
【0215】
【化76】

【0216】
である。
式(I)から(V)の化合物のいくつかの実施態様において、L及びLは、それぞれ
【0217】
【化77】

【0218】
である。
いくつかの実施態様において、式(I)から(V)の化合物は、医薬として許容し得る塩を含む。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は、塩酸塩を含む。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は、酢酸塩を含む。
いくつかの実施態様において、式(I)から(V)の化合物は、医薬として許容し得る塩の形で投与される。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は、塩酸塩を含む。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は、酢酸塩を含む。
【0219】
いくつかの実施態様において、微生物感染症は、トリパノソーマブルーセイローデシエンス、トリパノソーマブルーセイガンビエンス、トリパノソーマブルーセイブルーセイ、及びトリパノソーマクルージを含むが、それらに限定されないトリパノソーマ属によって引き起こされる感染症を含む。いくつかの実施形系において、微生物感染症は、プラスモジウムファルシパルム感染症を含む。いくつかの実施態様において、微生物感染症は、レーシュマニアドノヴァニ及びレーシュマニアメキシカナアマゾネンシスを含むが、それらに限定されないレーシュマニア属によって引き起こされる感染症を含む。
【0220】
いくつかの実施態様において、式(I)から(V)の化合物は、既存の微生物感染症の対象に投与される。いくつかの実施態様において、式(I)から(V)の化合物は、微生物感染症を防ぐ、又は微生物感染症の再発を防ぐために予防的に投与される。したがって、いくつかの実施態様において、式(I)から(V)の化合物は、(a)感染の危険性を有する対象における微生物感染症、(b)微生物感染症の再発及び(c)その組合せのうちの1つを防ぐ、又はその発生率を低減するために予防的に投与される。
【0221】
本明細書に開示される主題において治療される対象は、その多くの実施態様において人間であることが望ましいが、本明細書に記載されている方法は、「対象」という用語に包括されることを意図するすべての脊椎動物種に対して有効であることが理解されるべきである。本明細書に記載されている方法は、温血性脊椎動物における感染病の治療及び/又は予防に特に有用である。したがって、それらの方法を哺乳類及び鳥類のための治療として用いることが可能である。
【0222】
より詳細には、本明細書に提示されるのは、人間のような哺乳類、ならびに絶滅の危機にあるために重要な哺乳類(シベリアトラ等)、ならびに人間にとって経済的に重要な哺乳類(人間による消費に向けて農場で飼育される動物)及び/又は社会的に重要な哺乳類(ペットとして、又は動物園で飼われる動物)、例えば人間以外の肉食動物(猫や犬等)、豚(子豚、雄豚、及び猪)、反芻動物(畜牛、雄牛、羊、キリン、シカ、ヤギ、野牛、及びラクダ)、及び馬の治療である。絶滅の危機にある鳥類、動物園で飼われている鳥類、ならびに人間にとって経済的に重要でもある家禽、より詳細には家畜化された家禽、すなわち七面鳥、鶏、カモ、ガチョウ、及びホロホロチョウ等の飼鳥類の治療を含む鳥類の治療も本明細書に提示される。したがって、本明細書に記載されている方法の実施態様は、家畜化された豚(子豚及び雄豚)、反芻動物、馬、及び飼鳥類等を含むがそれらに限定されない家畜の治療を含む。
【0223】
V.式(I)の化合物を合成するための一般的な方法
以下に提示される合成手順は、本明細書に開示される化合物を製造する代表的な新規の方法を含む。それらの方法を以下に提示するスキーム1から16に示し、代表的な非限定的な実施態様を実施例に記載する。
【0224】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、式(I)の化合物及びその医薬として許容し得る塩の製造方法であって:
(a)(i)第1の非プロトン性溶媒中で、パラジウム触媒及び第1の基剤の存在下でハロゲン化アリールニトリルを1,4−フェニレンビスボロン酸と接触させて、テルアリールジニトリル化合物を形成する、
(ii)第1の非プロトン性溶媒中で、パラジウム触媒及び第1の基剤の存在下で、ジハロゲン化アリール化合物をp−シアノフェニルボロン酸と接触させて、テルアリールジニトリル化合物を形成する、
(iii)テルアリールジアルデヒド化合物を塩酸ヒドロキシルアミンと接触させた後に、無水酢酸中で一定時間にわたって還流させて、テルアリールジニトリル化合物を形成する、
(iv)第1の非プロトン性溶媒中で、テルアリールジハライド化合物をシアン化第一銅と接触させて、テルアリールジニトリル化合物を形成する、又は
(v)第1の非プロトン性溶媒中で、ハロゲン化ジアリールニトリルをパラジウム触媒及びヘキサ−n−ブチルジチンと接触させることによって、テルアリールジニトリル化合物を形成するステップと、
(b)テルアリールジニトリル化合物を、
(i)第2の非プロトン性溶媒中で、塩酸ヒドロキシアミンと第2の基剤との混合物と接触させて、式(I)のジアミドキシムテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成する、又は
(ii)第2の非プロトン性溶媒中でリチウムトリアルキルシリルアミドと接触させた後に、強酸と接触させて、式(I)のジアミジノ化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成するステップとを含む方法。
【0225】
いくつかの実施態様において、その方法は:
(a)式(I)のジアミドキシムテルアリール化合物を金属水酸化物水和物と接触させた後に、硫酸ジアルキルと接触させて、式(I)のジアルコキシアミジノテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成するステップ、
(b)式(I)のジアミドキシムテルアリール化合物を酢酸及び無水酢酸と接触させた後に、水素及びパラジウム炭素触媒と接触させて、式(I)のジアミジノテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成するステップ、及び
(c)式(I)のジアミドキシムテルアリール化合物を氷酢酸に溶解させ、無水酢酸を添加して、式(I)のジアセトキシアミジノテルアリール化合物を形成するステップのうち1つのステップをさらに含む。
【0226】
いくつかの実施態様において、その方法は:
(a)パラジウム触媒及び第3の基剤の存在下で、4−ホルミルフェニルボロン酸を5−(ハロアリール)−フラン−2−カルボキシアルデヒドと接触させて、テルアリールジアルデヒド化合物を形成するステップ、
(b)パラジウム触媒及び第3の基剤の存在下で、4−ホルミルフェニルボロン酸をジハロアリール化合物と接触させて、ハロゲン化ジアリールアルデヒドを形成した後に、ハロゲン化ジアリールアルデヒドをパラジウム触媒及び5−(ジエトキシメチル−フラン−2−イル)−トリメチルスタナンと接触させて、テルアリールジアルデヒド化合物を形成するステップ、
(c)パラジウム触媒及び第3の基剤の存在下で、5−ハロフラン−2−カルボキシアルデヒドと1,4−フェニレンビスボロン酸を接触させて、テルアリールジアルデヒド化合物を形成するステップ、及び
(d)ジハロアリール化合物を(5−ジエトキシメチル−フラン−2−イル)−トリメチル−スタナン及びパラジウム触媒と接触させた後に、強酸と接触させて、2−ハロアリール−5−ホルミルフランを形成し、続いて、第2のパラジウム触媒及び第3の基剤の存在下で、2−ハロアリール−5−ホルミルフランを4−ホルミルフェニルボロン酸と接触させて、テルアリールジアルデヒド化合物を形成するステップのうち1つによって、テルアリールジアルデヒド化合物を形成するステップを含む。
【0227】
いくつかの実施態様において、その方法は:
(a)パラジウム触媒の存在下で1,4−ジブロモベンゼンを2−トリブチルスタニルフランと接触させて、2−(4−フラン−2−イル−フェニル)−フランを形成するステップと、
(b)2−(4−フラン−2−イル−フェニル)−フランを第3の非プロトン性溶媒中でN−ブロモスクシンイミド(NBS)と接触させて、ジブロミドを形成するステップとによって、テルアリールジハライド化合物を形成するステップを含む。
【0228】
いくつかの実施態様において、ハロゲン化アリールニトリルは、4−ブロモベンゾニトリル及び6−クロロニコチノニトリルからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、ジハロゲン化アリール化合物は、2,5−ジブロモ−1−フルオロベンゼン、1,4−ジブロモ−2−トリフルオロメチルベンゼン、2,5−ジブロモピリジン、2−クロロ−5−ブロモピリミジン、2−クロロ−5−(クロロメチル)ピリジン)、1,4−ジブロモナフタレン、及び2,6−ジブロモナフタレンからなる群から選択される。
【0229】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、式(I)のジカチオンテルアリール化合物の製造方法であって:
(a)テルアリールジアミンを提供するステップと、
(b)テルアリールジアミンを、
(i)1,3−ビス(t−ブトキシカルボニル)−2−メチルチオシュードウレアと第三級アミンとの混合物と接触させた後に、塩化水銀(II)と接触させる、又は
(ii)イソチオシアナトギ酸エチル、第一級アミン、水溶性カルボジイミド及び第三級アミンと接触させて、ビス−(アルコキシカルボニル)−グアニジノテルアリール化合物を形成するステップと、
(c)ビス−(アルコキシカルボニル)−グアニジノテルアリール化合物を酸及び水酸化物の一方と接触させて、式(I)のビスグアニジノテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成するステップとを含む方法。
【0230】
いくつかの実施態様において、テルアリールジアミンは:
(a)パラジウム触媒及び基剤の存在下でハロゲン化ニトロアリール化合物を1,4−フェニレンビスボロン酸と接触させて、ジニトロテルアリール化合物を形成するステップと、
(b)ジニトロテルアリール化合物をパラジウム炭素触媒及び水素と接触させて、テルアリールジアミンを形成するステップとによって形成される。
【0231】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、式(I)のジカチオンテルアリール化合物の製造方法であって:
(a)テルアリールジアルデヒドを提供するステップと、
(b)テルアリールジアルデヒドを、
(i)極性プロトン性溶媒中でアミノグアニジン及び基剤と接触させて、式(I)のビスヒドラゾンテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成する、又は
(ii)極性プロトン性溶媒中で2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン及び基剤と接触させて、式(I)のビス−ヒドラゾンテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成するステップとを含む方法。
【実施例】
【0232】
以下の実施例は、本明細書に開示される主題の代表的な実施態様を実施するためのガイダンスを当業者に提供するために含められたものである。本開示及び当該技術分野における一般的な熟練のレベルに鑑みて、以下の実施例は、例示のみを目的としており、本明細書に開示される主題の範囲から逸脱することなく、多くの変更、修正及び改変を採用できることを当業者は理解することができる。
【0233】
(方法及び材料)
Thomas-hoover(Uni-Melt)毛管融点装置(Thomas Scientific、米国 ニュージャージー州 スウェデスボロ)を使用して融点を記録したが、それらは無補正である。TLC分析をシリカゲル60F254プレコートアルミニウムシート上で実施し、紫外光下で検出した。Varian GX 400又はVarian Unity Plus300分光計(Varian, Inc.、米国 カリフォルニア州 パロアルト)を採用し、H及び13CNMRスペクトルを記録したが、化学シフト(δ)は内部標準としてのTMSに対してppmの単位である。質量スペクトルをVG分析70−SE分光計(VG Analytical, Ltd.、英国 マンチェスター州)で記録した。元素分析値をAtlantic Microlab Inc.(米国 ジョージア州 ノルクロッス)より取得したが、それらは理論値の±0.4以内である。それらの化合物は、溶媒和の水及び/又はエタノールによって、小数のモル数に対して正確に高頻度分析された塩として報告された。それぞれの場合において、プロトンNMRにより、指示溶媒の存在が示された(Aldrich Chemical Co.(米国 ミズーリ州 セントルイス)、Fisher Scientific(米国 ニュージャージー州 ファイルラウン)、Frontier Scientific(米国 ユタ州 ロガン)、又はLancaster Synthesis, Inc.(米国 ニューハンプシャー州 ウィンドハム))。
(実施例1)
【0234】
【化78】

【0235】
5−(4’−ホルミルビフェニル−4−イル)−フラン−2−カルボキシアルデヒド(1)。5−(4−ブロモフェニル)−フラン−2−カルボキシアルデヒド(5mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(200mg)をトルエン(10mL)に溶解させた攪拌溶液に、窒素雰囲気下で、2MのNaCO水溶液を5mL添加した後に、5mLのメタノールに4−ホルミルフェニルボロン酸(6mmol)を溶解させたものを添加した。激しく攪拌させた混合物を、12時間にわたって80℃に加温した。溶媒を蒸発させ、沈殿を塩化メチレン(200mL)と、3mLの濃縮アンモニアを含む2MのNaCO水溶液(15mL)との間で分離させた。有機層を(NaSOで)乾燥させ、次いで減圧下で濃縮して乾固させて、収率が85%で融点が173から174℃の化合物1を与えた(SiO、ヘキサン/EtOAc、70:30)。1H NMR (DMSO-d6);δ7.42 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.93-8.01 (m, 8H), 9.64 (s, 1H), 10.07 (s, 1H). 13C NMR (DMSO-d6);δ192.7, 177.9, 157.6, 151.8, 144.6, 139.6, 135.3, 130.2, 128.6, 127.9, 127.3, 125.7, 109.5. MS (ESI) m/e相対強度: 276 (M+, 100), 247 (5), 219 (25), 189 (25). C18H12O3の計算値: C% 78.24, H% 4.37;実測値C% 77.99, H% 4.44.
【0236】
5−(4’−シアノビフェニル−4−イル)−フラン−2−カルボニトリル(2)。化合物1(2mmol)を10mLのメタノールに溶解した攪拌溶液に、塩酸ヒドロキシルアミン(4mmol)及び炭酸ナトリウム(4mmol)の水溶液(8mL)を徐々に添加した。反応混合物を6時間にわたって還流させた。溶媒を蒸発させ、沈殿を水と酢酸エチル(150mL)の間で分離させ、有機層を(NaSOで)乾燥させ、次いで減圧下で濃縮して乾固させた。粗オキシムを4時間にわたって無水酢酸(8mL)中で還流させた。反応混合物を氷水に徐々に注ぎ、沈殿を濾過し、水で洗浄して、収率が89%で融点が216から218℃の化合物2を与えた。1H NMR (DMSO-d6);δ7.38 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.88-7.96 (m, 8H). 13C NMR ((DMSO-d6);δ157.4, 143.4, 138.9, 132.9, 128.3, 127.8, 127.5, 125.8, 125.4, 124.3, 118.7, 112.0, 110.4, 108.3. MS (ESI) m/e相対強度: 270 (M+, 100), 241 (5), 214 (10). C18H10N2Oの計算値: C% 79.99, H% 3.73;実測値C% 79.85, H% 3.91.
【0237】
N−ヒドロキシ−5−[4’−(N−ヒドロキシアミジノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−カルボキシアミジン(3)。無水DMSO(30mL)に塩酸ヒドロキシルアミン(1.83g、26.3mmol、10当量)を添加した混合物を5℃まで冷却し、次いでカリウムt−ブトキシド(2.95g、26.3mmol、10当量)を1部ずつ添加した。その混合物に、ジニトリル2(2.6mmol)を添加し、室温で一晩攪拌しながら、反応を維持した。反応混合物を氷/水に注ぐと、ビスアミドキシムの白色沈殿が形成された。生成物を濾過によって回収し、水で洗浄して、収率が92%で融点が229から230℃の化合物3(遊離塩基)を与えた。1H NMR (DMSO-d6);δ5.87 (s, 4H), 6.85 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.71-7.87 (m, 8H), 9.70 (s, 2H).
【0238】
化合物3の塩酸塩。融点は、300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6); 7.38 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 7.82(d, J = 3.9 Hz, 1H), 7.87(d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.92 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.01(d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.15 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 9.14 (br s, 4H), 11.36 (br s, 2H), 13.19 (br s, 2H). 13C NMR (DMSO-d6);δ158.7, 158.5, 148.7, 143.5, 138.8, 138.4, 128.6, 128.5, 127.4, 126.9, 125.5, 124.6, 119.2, 108.8. MS (ESI) m/e相対強度: 337 (M+, 65), 322 (50), 307 (100), 272 (40). C18H16N4O3-2.0HClの計算値: C% 52.82, H% 4.43, N% 13.68;実測値C% 52.60, H% 4.45, N% 13.30.
【0239】
N−メトキシ−5−[4’−(N−メトキシアミジノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−カルボキサミジン(4)。アミドキシム3(1mmol)をDMF(15mL)に懸濁させた懸濁液に、LiOH.HO(HO 3mL中6mmol)を添加し、硫酸ジメチル(5mmol)を添加した。一晩攪拌しながら反応を維持した後に、氷/水に注ぎ、沈殿を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、収率が92%で融点が214から215℃の所望の化合物を与えた。1H NMR (DMSO-d6);δ3.75 (s, 6H), 6.12 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 6.17 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.76-8.00 (m, 8H).
【0240】
化合物4の塩酸塩。融点は、194から196℃であった。1H NMR (D2O/DMSO-d6);δ3.88 (s, 6H), 7.20 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.77-8.13 (m, 8H). C20H20N4O3-2.0HClの計算値: C% 54.92, H% 5.07, N% 10.97;実測値C% 54.88, H% 5.29, N% 10.99.
【0241】
5−(4’−アミジノビフェニル−4−イル)−フラン−2−カルボキサミジン酢酸塩(5)。化合物3(1mmol)を氷酢酸(10mL)に溶解した溶液に、無水酢酸(0.35mL)を徐々に添加した。一晩攪拌した後、TLCが、開始物質のアシル化の完了を示し、次いで10%パラジウム炭素(80mg)を添加した。混合物を室温にて4時間にわたって50psiのParr水素添加装置に仕込んだ。混合物をハイフロで濾過し、フィルタパッドを水で洗浄した。濾液を減圧下で蒸発させ、沈殿を回収し、エーテルで洗浄して、収率が71%で融点が236から238℃の化合物5を与えた。1H NMR (D2O/DMSO-d6);δ1.78 (s, 2XCH3), 7.31 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.85-8.11 (m, 8H). EIMS m/e相対強度; 304 (M+, 20), 287 (100), 270 (50), 216 (30), 190 (10). C18H16N4Oの高分解能ms計算値304.13241. 実測値304.13201. C16H14N4O2-2.0AcOH-1.75H2O-0.25EtOHの計算値: C% 57.81, H% 6.25, N% 11.98;実測値C% 58.18, H% 5.90, N% 11.56.
(実施例2)
【0242】
【化79】

【0243】
4−(5−ブロモピリジン−2−イル)−ベンズアルデヒド(6)。2,5−ジブロモピリジン(1当量)及び4−ホルミルフェニルボロン酸(1当量)を採用することにより、化合物1について記載した同じ手順を用いた。収率は71%で、融点は120から121℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ7.97 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.04 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.16 (dd, J = 2.4, 8.7 Hz, 1H), 8.26 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.80 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 10.08 (s, 1H). MS (ESI) m/e相対強度: 262 (M+, 100), 232 (30), 153 (55). C12H8BrNOの計算値: C% 54.99, H% 3.08;実測値C% 54.75, H% 3.14.
【0244】
5−[6−(4−ホルミルフェニル)−ピリジン−3−イル]−フラン−2−カルボキシアルデヒド(7)。40mLの乾燥1,4−ジオキサンに化合物6(10mmol)を溶解した攪拌溶液に、パラジウムテトラキス−トリフェニルホスフィン(400mg)を添加し、次いで5−(ジエトキシメチル−フラン−2−イル)−トリメチルスタナン(10mmol)を添加し、反応混合物を100℃にて24時間にわたって還流させた。次いで、溶媒を蒸発させて乾固させて、暗褐色の残渣を与え、それを水に懸濁させ、CHClで抽出した。有機層をハイフロに通し、(NaSOで)乾燥させ、減圧下で蒸発させて乾固させた後に、2MのHClで酸加水分解を行って、化合物7を与えた。収率は79%で、融点は204から206℃(EtOH)であった。1H NMR (DMSO-d6);δ7.55 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.27 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.37-8.41 (m, 3H), 9.24 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 9.67 (s, 1H), 10.09 (s, 1H). 13C NMR (DMSO-d6);δ192.8, 178.1, 155.2, 154.7, 152.3, 146.3, 142.9, 136.5, 133.3, 130.0, 127.2, 125.1, 124.3, 121.4, 110.6. C17H11NO3の計算値: C% 73.63, H% 3.99;実測値C% 73.75, H% 3.81.
【0245】
5−[6−(4−シアノフェニル)−ピリジン−3−イル]−フラン−2−カルボニトリル(8)。化合物2について記載した同じ手順を用いて、化合物7から開始した。収率は40%で、融点は、203から205℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ7.53 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.00 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.27 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.35-8.37 (m, 3H), 9.21 (d, J = 2.1 Hz, 1H). C17H9N3Oの計算値: C% 75.26, H% 3.34;実測値C% 75.44, H% 3.54.
【0246】
N−ヒドロキシ−5−{6−[4−(N−ヒドロキシアミジノ)−フェニル]−ピリジン−3−イル}−フラン−2−カルボキサミジン(9)。化合物3について記載した同じ手順を用いて、化合物8から開始した。収率は90%で、融点は194から195℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ5.89 (s, 2H), 5.95 (s, 2H), 6.90 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.00 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.07-8.26 (m, 4H), 9.11 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 9.76 (s, 2H). C17H15N5O3の計算値: C% 60.52, H% 4.48;実測値C% 60.73, H% 4.22.
【0247】
5−[6−(4−アミジノフェニル)−ピリジン−3−イル]−フラン−2−カルボキサミジン酢酸塩(10)。化合物5について記載した同じ手順を用いて、化合物9から開始した。収率は57%で、融点は239から241℃であった。1H NMR (D2O/DMSO-d6);δ1.93 (s, 3xCH3), 7.31 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.15-8.37 (m, 4H), 9.24 (s, 1H). EIMS m/e相対強度; 305 (M++1, 55), 289 (10), 273 (15), 237 (100). C17H16N5Oの高分解能ms計算値306.1354. 実測値306.1349. C17H15N5O-3.0AcOH-2.4H2Oの計算値: C% 52.25, H% 6.02, N% 13.25;実測値C% 51.95, H% 5.70, N% 12.90.
(実施例3)
【0248】
【化80】

【0249】
5−[4−(5−ホルミルフラン−2−イル)−フェニル]−フラン−2−カルボキシアルデヒド(11)。5−ブロモフラン−2−カルボキシアルデヒド(10mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(400mg)をトルエン(20mL)に溶解した攪拌溶液に、窒素雰囲気下で、NaCOの2M水溶液を10mL添加した後に、6mLのメタノールに1,4−フェニレンビスボロン酸(5mmol)を溶解したものを添加した。激しく攪拌した混合物を12時間にわたって80℃に加温した。溶媒を蒸発させ、沈殿を、塩化メチレン(300mL)と、5mLの濃縮アンモニアを含む2MのNaCO(15mL)との間で分離させた。有機層を(NaSOで)乾燥させ、次いで減圧下で濃縮して乾固させて、収率が93%で融点が233から234℃(EtOH)の化合物11を与えた。1H NMR (DMSO-d6);δ9.64 (s, 2H), 8.01 (s, 4H), 7.70 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.43 (d, J = 3.6 Hz, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 266 (M+, 100), 238 (5), 209 (25). C16H10O4の計算値: C% 72.16; H% 3.78;実測値C% 72.41; H% 3.93.
【0250】
2−(4−フラン−2−イル−フェニル)−フラン(15)。1,4−ジブロモベンゼン(5mmol)の攪拌溶液に、パラジウムテトラキス−トリフェニルホスフィン(400mg)を添加した。反応混合物の攪拌を15分間にわたって維持した後に、2−トリブチルスタニルフラン(10mmol)を加え、反応混合物を24時間にわたって100℃で還流させた。次いで、溶媒を蒸発させて乾固させて、暗褐色の残渣を与え、それを水に懸濁させ、CHClで抽出した。有機層をハイフロに通し、(NaSOで)乾燥させ、減圧下で蒸発させて乾固させて、収率が91%で融点が149から150℃の化合物15を与えた。1H NMR (DMSO-d6);δ6.62 (d, 2H), 7.01 (d, 2H), 7.76-7.79 (m, 6H). MS (ESI) m/e相対強度: 210 (M+, 100), 181 (40), 153 (30). C14H10O2の計算値: C% 79.98; H% 4.79;実測値C% 80.12; H% 4.59.
【0251】
2−ブロモ−5−[4−(5−ブロモフラン−2−イル)−フェニル]−フラン(16)。化合物15(5mmol)を20mLのDMFに溶解した氷浴冷却溶液に、NBS(12mmol)を1部ずつ添加した。反応混合物の攪拌を室温にて一晩維持した後に、氷/水に注いだ。形成した沈殿を濾過により回収し、水で洗浄し、次いで乾燥させ、収率は85%で、融点は155から157℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ6.74 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.10 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.72 (dd, J = 4.2, 8.7 Hz, 4H). MS (ESI) m/e相対強度: 366, 368 (M+, 100:30), 339 (40), 259 (45). C14H8Br2O2の計算値: C% 45.69, H% 2.19;実測値C% 45.52, H% 2.32.
【0252】
5−[4−(5−シアノフラン−2−イル)−フェニル]−フラン−2−カルボニトリル(12)。
方法I:化合物2について記載した同じ手順を用いて、化合物11から開始して、収率30%の化合物12を与えた。
方法II:ジブロミド16(6.25g、17mmol)を乾燥DMF(40mL)に溶解した溶液に、シアン化第一銅(4.58g、51mmol)を添加した。反応物を還流下で24時間にわたって加熱し、氷/水に注ぎ、5mLの濃縮アンモニア溶液を混合物に添加し、次いで塩化メチレン(3×150mL)で抽出した。有機層を(無水NaSOで)乾燥させ、蒸発させて乾固させて、収率が45%で融点が245から246℃の化合物12を与えた。1H NMR (DMSO-d6);δ7.39 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.75 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.96 (s, 4H). MS (ESI) m/e相対強度: 260 (M+, 100), 206 (15), 177 (25). C16H8N2O2の計算値: C% 73.82, H% 3.10;実測値C% 73.50, H% 3.34.
【0253】
N−ヒドロキシ−5−{4−[5−(N−ヒドロキシアミジノ)−フラン−2−イル]−フェニル}−フラン−2−カルボキサミジン(13)。化合物3について記載した同じ手順を用いて、化合物12から開始した。収率は93%で、融点は300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6);δ5.88 (br s, 4H), 6.86 (d, J = 3.6Hz, 2H), 7.06 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.83 (s, 4H), 9.71 (br s, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 326 (M+, 100), 311 (15), 292 (15). C16H14N4O4の計算値: C% 58.89, H% 4.32;実測値C% 58.62, H% 4.50.
【0254】
5−{4−[5−アミジノフラン−2−イル]−フェニル}−フラン−2−カルボキサミジン酢酸塩(14)。化合物4について記載した同じ手順を用いて、化合物13から開始した。収率は73%で、融点は228から230℃を上回っていた。1H NMR (D2O/DMSO-d6); 1.90 (s, 3xCH3), 7.25 (d, J = 3.3 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 3.3 Hz, 2H), 8.16 (s, 4H). EIMS m/e相対強度; 294 (M+, 35), 277 (100), 260 (50), 206 (20), 177 (10). C16H14N4O2の高分解能ms計算値294.11168. 実測値294.10975. C16H14N4O2-3.0AcOH-2.5H2O-0.5EtOHの計算値: C% 50.92, H% 6.30, N% 10.32;実測値C% 50.94, H% 6.00, N% 9.96.
(実施例4)
【0255】
【化81】

【0256】
4,4”−ビス−シアノ[1,1’;4’,1”]テルフェニル(17)。4−ブロモベンゾニトリル(2当量)及び1,4−フェニレンビスボロン酸(1当量)を採用することにより、化合物1について記載した同じ手順を用いて、収率が73%で融点が299から300℃の白色固体としての化合物17を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ7.89 (dd, J = 8.1, 2.1 Hz, 4H), 7.94-7.96 (m, 8H). MS (ESI) m/e相対強度: 280 (M+, 100). C20H12N2の計算値: C% 85.69, H% 4.31;実測値C% 85.41, H% 4.52.
【0257】
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミド(18)。化合物3について記載した同じ手順を用いて、化合物17から開始して、収率が68%で融点が300℃を上回る化合物18(遊離塩基)を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ5.67 (br s, 4H), 7.71-7.79 (m, 12H), 9.60 (br s, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 347 (M++1, 40), 279 (100).
【0258】
乾燥エタノールに遊離塩基を懸濁させ、その混合物を氷浴(5℃)で冷却し、HClガスを約10分間通すことによって、化合物18の塩酸塩を調製した。融点は300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6):δ7.33 (dd, J = 8.1, 2.1 Hz, 4H), 7.64 (br s, 8H), 7.77-7.80 (m, 8H), 10.21 (br s, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ156.1, 138.3, 137.3, 134.9, 127.7, 127.1, 124.7. C20H18N4O2-2.0HCl-0.25H2O-0.25C2H5OHの計算値: C% 56.56, H% 5.12, N% 12.55;実測値C% 56.56, H% 5.09, N% 12.87.
【0259】
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−アセトキシカルボキサミジン(19)。ジアミドキシム18(0.60g、1.73mmol)を氷酢酸(17.3mL)に溶解し、次いで無水酢酸(0.61mL)を1滴ずつ添加した。反応物を室温にて一晩攪拌させた後に、混合物を氷/水に注ぎ、形成した沈殿を濾過によって回収し、水で洗浄し、乾燥させて、収率が89%で融点が293から295℃の化合物19を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ2.14 (s, 6H), 6.87 (br s, 4H), 7.82-7.84 (m, 12H). 13C NMR (DMSO-d6):δ168.4, 156.0, 141.2, 138.6, 130.7, 127.3, 126.4, 19.8. C24H22N4O4-0.5CH3CO2Hの計算値: C% 65.20, H% 5.25;実測値C% 65.10, H% 4.99.
【0260】
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−カルボキサミジン酢酸塩(20)。化合物5について記載した同じ手順を用いて、化合物19から開始した。融点は300℃を上回っていた。1H NMR (D2O/DMSO-d6):δ1.78 (s, 2xCH3), 7.52-7.54 (m, 4H), 7.58-7.61 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.76-7.79 (m, 4H), 7.90 (d, J = 8.1 Hz, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 315 (M++1, 33), 158 (100), 121 (40). C24H22N4O4-2.0CH3CO2H-0.5H2Oの計算値: C% 64.99, H% 6.13, N% 12.63;実測値C% 64.97, H% 6.01, N% 12.60.
【0261】
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン(21)。化合物4について記載した同じ手順を用いて、化合物18から開始して、収率が72%で融点が270から272℃の化合物21の遊離塩基を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ3.75 (s, 6H), 6.10 (br s, 4H), 7.75-7.80 (m, 12H).
【0262】
化合物21の塩酸塩:融点は240から242℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ3.86 (s, 6H), 7.95-7.90 (m, 12H), 8.45 (br s, 4H). C20H18N4O2-2.0HClの計算値: C% 59.07, H% 5.41, N% 12.52;実測値C% 59.54, H% 5.44, N% 12.10.
(実施例5)
【0263】
【化82】

【0264】
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−カルボニトリル(22a)。化合物17の調製に用いた同じ手順を採用し、2、5−ジブロモ−1−フルオロベンゼン(3.50g、13.78mmol)及びp−シアノフェニルボロン酸(4.45g、30.32mmol)を使用してスズキカップリング反応を行って、収率が89%で融点が280から291℃の目標のビスシアノ誘導体を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ7.72-7.83 (m, 5H) 7.90-7.99 (m, 6H). C20H11N2の計算値: C% 80.52, H% 3.71;実測値C% 80.24, H% 3.95.
【0265】
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−アミジン塩酸塩(23a)。新たに蒸留したTHF(5mL)に懸濁させたジニトリル22a(0.5g、1.67mmol)をリチウムトリメチルシリルアミド(THFに溶解した2%溶液、3.67mmol)で処理し、一晩攪拌しながら反応を維持した。次いで、反応混合物を0℃に冷却し、4当量の6NのHClでエタノール(100mL)を飽和させると、沈殿が形成しはじめた。一晩反応を続けた後に、エーテルで希釈し、形成した固体を濾過して、融点が300℃を上回るジアミジン塩を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ7.72-7.89 (m, 5H), 7.97-8.07 (m, 6H), 9.34 (br s, 4H), 9.54 (br s, 4H). MS (ESI) m/e相対強度: 333 (M+, 100), 316 (23), 299 (27). C20H11N2-2.0HCl-0.5H2Oの計算値: C% 57.35, H% 4.93, N% 13.37;実測値C% 57.54, H% 4.88, H% 13.35.
【0266】
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン(24a)。化合物3の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物22aから開始した。収率は96%で、融点は300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6):δ5.83 (br s, 4H), 7.62-7.73 (m, 5H), 7.79-7.81 (m, 6H), 9.60 (br s, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 364 (M+, 100), 183 (42).
【0267】
化合物24aの塩酸塩:融点は282から284℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ7.74-7.86 (m, 9H), 8.02-8.05 (m, 2H), 9.10 (br s, 4H), 11.31 (br s, 2H). C20H17FN4O2-2.0HCl-0.75H2Oの計算値: C% 53.82, H% 4.51, N% 12.55;実測値C% 53.88, H% 4.43, N% 12.29.
【0268】
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−メトキシカルボキサミジン(25a)。化合物24aから開始し、化合物4について記載した同じ手順を採用して、収率が74%で融点が172から174℃の目標化合物を調製した。1H NMR (DMSO-d6):δ3.76 (s, 6H), 6.11 (br s, 4H), 7.60-7.78 (m, 11H). MS (ESI) m/e相対強度: 393 (M+, 100), 197 (28).
【0269】
化合物25aの塩酸塩:融点は250から252℃であった。C22H21FN4O2-2.0HCl-0.25H2O-0.25C2H5OHの計算値: C% 56.14, H% 5.23, N% 11.63;実測値C% 56.13, H% 4.93, N% 11.43.
【0270】
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−カルボニトリル(22b)。1,4−ジブロモ−2−トリフルオロメチルベンゼン(3.33g、10mmol)及びp−シアノフェニルボロン酸(3.23g、22mmol)を使用し、化合物22aについて採用した同じ合成手順に従って、融点が181から183℃の白色固体(87%)としてのジニトリルを与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ7.55-7.58 (m, 3H), 7.94-8.02 (m, 6H), 8.04-8.16 (m, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 298 (M+, 100), 149 (62), 122 (42). C21H11F3N2の計算値: C% 72.41, H% 3.18;実測値C% 72.68, H% 3.34.
【0271】
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−アミジン塩酸塩(23b)。化合物23aについて用いた手順に従って、融点が300℃を上回るアミジンを調製した。1H NMR (DMSO-d6):δ7.56-7.64 (m, 3H), 7.96 (dd, J = 1.5, 8.1 Hz, 2 H), 8.02 (dd, J = 1.5, 8.1 Hz, 2 H), 8.10 (dd, J = 1.5, 8.1 Hz, 2 H), 8.18 (dd, J = 1.5, 8.1 Hz, 2 H), 9.36 (br s, 4H), 9.57 (br s, 4H). MS (ESI) m/e相対強度: 383 (M+, 23), 192 (100). C21H17F3N4-2.0HCl-0.5H2O-0.1C2H5OHの計算値: C% 54.30, H% 4.42, N% 11.94;実測値C% 54.11, H% 4.24, N% 11.66.
【0272】
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン(24b)。化合物3の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物22bから開始した。収率は94%で、融点は204から206℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ5.96 (br s, 4H), 7.37 (dd, J = 1.8, 8.7 Hz, 2 H), 7.50 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.75 (dd, J = 1.8, 8.7 Hz, 2 H), 7.80-7.82 (m, 4H), 8.03-8.07 (m, 2H), 9.76 (br s, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 415 (M+, 26), 208 (100).
【0273】
化合物24bの塩酸塩:融点は229から231℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ7.55-7.61 (m, 3H), 7.84-7.92 (m, 4H), 8.07 (dd, J = 1.8, 8.7 Hz, 2 H), 8.14-8.18 (m, 2H), 9.11 (br s, 4H), 11.35 (br s, 2H). C21H17N4O2-2.0HCl-1.25H2O-0.25C2H5OHの計算値: C% 49.53, H% 4.44, N% 10.74;実測値C% 49.55, H% 4.40, N% 10.55.
【0274】
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−メトキシカルボキサミジン(25b)。上記方法を用い、アミドキシム24bを使用して、収率が72%で融点が186から188℃の対応するメトキシムを調製した。1H NMR (DMSO-d6):δ3.75 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 6.14 (br s, 4H), 7.36 (dd, J = 1.8, 8.4 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.73 (dd, J = 1.8, 8.1 Hz), 7.80-7.82 (m, 4H), 8.03-8.07 (m, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 443 (M+, 59), 222 (100).
【0275】
化合物25bの塩酸塩:融点は214から216℃であった。C23H21F3N4O2-2.0HCl-1.25H2O-0.5C2H5OHの計算値: C% 51.39, H% 5.12, N% 9.98;実測値C% 51.54, H% 4.84, N% 9.94.
【0276】
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−カルボニトリル(22c)。2,5−ジブロモピリジン及びp−シアノフェニルボロン酸を上記スズキカップリング条件下で反応させて、目標のジニトリルを与え、それをカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、80:20)で精製した。収率は84%で、融点は270から272℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ7.97-8.00 (m, 4H), 8.05 (dd, J = 1.8, 8.4 Hz, 2 H), 8.25 (dd, J = 1.8, 8.1 Hz, 1H), 8.33-8.38 (m, 3H), 9.13 (d, J = 1.8 Hz, 1H). MS (ESI) m/e相対強度: 281 (M+, 100).
【0277】
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−カルボキサミジン酢酸塩(23c)。化合物24cから開始し、化合物5及び10について記載したように、2つの連続工程、すなわち第1にアミドキシムをアセチル化してアセトキシム中間体を与え、次いで直接的な還元加水分解を行うことによってアミジンを合成した。融点は273から275℃であった。1H NMR (D2O/DMSO-d6):δ1.70 (s, 2.8xCH3), 7.84-7.89 (m, 4H), 8.06-8.25 (m, 6H), 8.95 (s, 1H). MS (ESI) m/e相対強度: 316 (M+, 100), 158 (98). 13H NMR (D2O/DMSO-d6,塩酸塩について):δ165.9, 154.8, 148.4, 143.5, 142.2, 136.5, 134.2, 129.3, 129.0, 128.5, 127.9, 127.8, 127.7, 122.0. C19H17N5-2.8CH3CO2H-0.75H2Oの計算値: C% 59.44, H% 6.02, N% 14.09;実測値C% 59.27, H% 5.92, N% 14.16.
【0278】
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン(24c)。標準的な手順を用いて、対応するビスニトリルから、収率が97%で融点が300℃を上回るビスアミドキシムを得た。1H NMR (DMSO-d6):δ5.89 (br s, 4H), 7.79-7.81 (m, 6H), 8.08-8.23 (m, 4 H), 9.03 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 9.74 (br s, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ154.3, 150.4, 150.3, 147.2, 138.3, 136.8, 134.6, 133.7, 133.4, 132.8, 126.1, 125.9, 125.8, 125.5, 119.9. MS (ESI) m/e相対強度: 348 (M+, 52), 174 (100).
【0279】
化合物24cの塩酸塩:融点は292から294℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ7.91 (dd, J = 1.8, 7.8 Hz, 4H), 8.09 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 8.27 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 8.36-8.40 (m, 3 H), 9.15 (d, J = 1.8 Hz, 1 H), 9.21 (br s, 4H), 11.42 (br s, 2H). C19H17N5O2-3.0HCl-1.0H2O-0.3C2H5OHの計算値: C% 48.18, H% 4.90, N% 14.33;実測値C% 48.18, H% 4.74, N% 14.18.
【0280】
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン(25c)。標準的な手順を用い、ビスアミドキシムを使用して、収率が89%で融点が245から247℃の目標の化合物を調製した。1H NMR (DMSO-d6):δ3.76 (s, 6H), 6.13 (br s, 4H), 7.78-7.84 (m, 6H), 8.08-8.23 (m, 4H), 9.03 (d, J = 2.4 Hz, 1H). 13C NMR (DMSO-d6):δ154.3, 150.6, 150.5, 147.5, 138.8, 137.4, 134.9, 133.5, 133.0, 132.2, 126.4, 126.3, 126.1, 126.0, 120.2, 60.6. MS (ESI) m/e相対強度: 376 (M+, 100).
【0281】
化合物25cの塩酸塩:融点は241から242℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ3.88 (s, 6H), 7.94 (dd, J = 1.8, 8.7 Hz, 4H), 8.05 (dd, J = 1.8, 8.7 Hz, 2H), 8.27 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.34-8.41 (m, 3H), 9.14 (d, J = 2.4 Hz, 1H). C21H21N5O2-3.0HCl-1.75H2O-0.5C2H5OHの計算値: C% 48.88, H% 5.69, N% 12.98;実測値C% 48.99, H% 5.56, N% 12.75.
(実施例6)
【0282】
【化83】

【0283】
2,5−ビス−(4’−シアノフェニル)−ピリミジン(26)。2−クロロ−5−ブロモピリミジンとp−シアノフェニルボロン酸とを上記スズキカップリング条件下で反応させて、目標のジニトリルを与えた。収率は91%で、融点は305から306.5℃(DMF)であった。1H NMR (DMSO-d6):δ7.98-8.07 (m, 6H), 8.58 (s, 2H), 9.34 (s, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ161.1, 155.5, 140.4, 137.8, 132.6, 132.3, 129.9, 128.0, 127.4, 118.06, 118.00, 113.0, 111.3. MS (ESI) m/e相対強度: 282 (M+, 100), 141 (10), 127 (80).
【0284】
2,5−ビス−(4’−アミジノフェニル)−ピリミジン(27)。化合物23aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物26から開始した。収率は86%で、融点は300℃を上回っていた。1H NMR (D2O/DMSO-d6):δ7.91-8.00 (m, 6H), 8.54 (s, 2H), 9.26 (s, 2H). 13C NMR (D2O/DMSO-d6):δ166.09, 166.00, 162.4, 156.3, 142.0, 139.3, 131.1, 130.3, 129.4, 129.0, 128.5, 128.0, 122.2. MS (ESI) m/e相対強度: 317 (M+ + 1, 100), 159 (45). C18H16N6-3.0HCl-0.25H2O)の計算値: C% 50.24, H% 4.57, N% 19.53;実測値C% 50.33, H% 4.80, N% 19.47.
【0285】
2,5−ビス−[4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェニル]−ピリミジン(28)。化合物3の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物26から開始した。収率は97%で融点は290から292℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ5.71 (s, 4H), 7.84-7.87 (m, 6H), 8.42 (s, 2H), 9.23 (s, 2H), 9.58 (s, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ161.6, 154.7, 150.2, 150.1, 136.9, 135.2, 133.7, 133.4, 130.2, 127.0, 126.0, 125.8, 125.3. MS (ESI) m/e相対強度: 349 (M+ + 1, 100), 332 (15), 315 (10), 282 (60).
【0286】
2,5−ビス−[4’−(N−メトキシアミジノ)フェニル]−ピリミジン(29)。化合物4の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物28から開始した。収率は64%で融点は217から218℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ3.76 (s, 6H), 6.19 (s, 4H), 7.83-7.88 (m, 6H), 8.43 (s, 2H), 9.28 (s, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ161.6, 155.0, 150.5, 150.4, 137.4, 134.5, 134.3, 132.6, 130.3, 127.2, 126.3, 126.2, 125.9, 60.5. MS (ESI) m/e相対強度: 377 (M+ + 1, 100), 347 (30), 330 (25).
【0287】
化合物29の塩酸塩:融点は242から243℃であった。C20H20N6O2-2.6HCl-0.75C2H5OH) の計算値: C% 51.18, H% 5.37, N% 16.66;実測値C% 51.35, H% 5.46, N% 16.44.
(実施例7)
【0288】
【化84】

【0289】
1,4−ビス−(5’−シアノピリジン−2’−イル)フェニレン(30)。6−クロロニコチノニトリル(2当量)及び1,4−フェニレンビスボロン酸(1当量)を採用することにより、化合物1について記載した同じ手順を用いて、収率が94%で融点が300℃を上回る(DMF)化合物30を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ8.10-8.40 (m, 8H), 9.18 (s, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 282 (M+, 100), 254 (10), 179 (20).
【0290】
1,4−ビス−(5’−アミジノピリジン−2’−イル)フェニレン(31)。化合物23aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物30から開始した。収率は90%で、融点は300℃を上回っていた。1H NMR (D2O/DMSO-d6):δ8.42 (m, 8H), 9.15 (s, 2H). 13C NMR (D2O/DMSO-d6):δ164.5, 160.3, 149.1, 139.3, 138.0, 128.5, 123.6, 121.3. MS (ESI) m/e相対強度: 317 (M+ + 1, 100), 300 (70), 283 (50), 273 (15), 246 (35). C18H16N6-4.0HCl)の計算値: C% 46.77, H% 4.36, N% 18.18;実測値C% 46.98, H% 4.55, N% 17.89.
【0291】
1,4−ビス−[5’−(N−ヒドロキシアミジノピリジン−2’−イル)フェニレン(32)。化合物3の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物30から開始した。収率は96%で、融点は300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6):δ5.88 (s, 4H), 8.03 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 8.13 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 8.23-8.36 (m, 4H), 8.99 (s, 2H), 9.75 (s, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ155.3, 148.7, 146.4, 138.6, 133.6, 127.6, 126.6, 119.3. MS (ESI) m/e相対強度: 349 (M+ + 1, 100), 334 (30), 282 (20).
【0292】
1,4−ビス−[5’−(N−メトキシアミジノピリジン−2’−イル)フェニレン(33)。化合物4の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物32から開始した。収率が70%で融点が218から219℃の遊離塩基であった。1H NMR (DMSO-d6):δ3.78 (s, 6H), 6.29 (s, 4H), 8.05-8.15 (m, 4H), 8.26 (s, 4H), 8.95 (s, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ155.7, 149.0, 146.8, 138.7, 134.3, 127.1, 126.9, 119.7, 60.8. MS (ESI) m/e相対強度: 377 (M+ + 1, 100), 330 (10), 189 (25).
【0293】
化合物33の塩酸塩:融点は251から253℃であった。C20H20N6O2-4.0HCl-2.0H2O-0.2C2H5OH)の計算値: C% 43.17, H% 5.18, N% 14.80;実測値C% 43.32, H% 5.04, N% 14.42.
(実施例8)
【0294】
【化85】

【0295】
2−(4’−シアノフェニル)−5−(4”−シアノベンジル)ピリジン(34a)。2−クロロ−5−(クロロメチル)−ピリジン(1当量)とp−シアノフェニルボロン酸(2当量)を上記スズキカップリング条件下で反応させて、目標のジニトリル34aを与えた。収率は83%で、融点は187から187.5℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ4.13 (s, 2H), 7.50 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.74-7.79 (m, 3H), 7.91 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.99 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.21-8.24 (m, 2H), 8.65 (s, 1H). 13C NMR (DMSO-d6):δ152.2, 150.0, 146.2, 142.5, 137.6, 135.8, 132.7, 132.5, 129.7, 127.0, 121.0, 118.7, 111.2, 109.2, 37.5. MS (ESI) m/e相対強度: 296 (M+ + 1, 100).
【0296】
2−[4−(N−ヒドロキシアミジノ)フェニル]−5−[4”−(N−ヒドロキシアミジノ)ベンジル]ピリジン(35a)。化合物3の調製について記載された同じ手順を用いて、化合物34aから開始した。収率は99%で、融点は205から206℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ4.01 (s, 2H), 5.77 (s, 2H), 5.85 (s, 2H), 7.28 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.60 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.68-7.78 (m, 3H), 7.90 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.59 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.57 (s, 1H), 9.71 (s, 1H). 13C NMR (DMSO-d6):δ153.4, 150.7, 150.5, 149.6, 141.3, 138.8, 137.2, 135.6, 133.5, 131.3, 128.4, 126.0, 125.7, 125.6, 120.0, 37.4. MS (ESI) m/e相対強度: 362 (M+ + 1, 60), 181 (100).
【0297】
2−(4’−アミジノフェニル)−5−(4”−アミジノベンジル)ピリジン酢酸塩(36a)。化合物5の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物35aから開始した。収率は80%で、融点は258から259℃であった。1H NMR (D2O/DMSO-d6):δ1.80 (s, 3xCH3), 4.12 (s, 2H), 7.46 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.72-7.78 (m, 3H), 7.87-7.98 (m, 3H), 8.18 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 8.64 (s, 1H). MS (ESI) m/e相対強度: 330 (M+ + 1, 50), 165 (100). C20H19N5-3.0CH3CO2H-0.45H2O)の計算値: C% 60.32, H% 6.21, N% 13.53;実測値C% 59.96, H% 6.24, N% 13.92.
【0298】
1−(4’−シアノフェニル)−4−(4”−シアノベンジル)フェニレン(34b)。1−クロロ−4−(クロロメチル)ベンゼン(1当量)とp−シアノフェニルボロン酸(2当量)を上記スズキカップリング条件下で反応させて、目標のジニトリル34bを与えた。
【0299】
1−[4−(N−ヒドロキシアミジノ)フェニル]−4−[4”−(N−ヒドロキシアミジノ)ベンジル]フェニレン(35b)。化合物3の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物34bから開始した。
【0300】
1−(4’−アミジノフェニル)−4−(4”−アミジノベンジル)フェニレン酢酸塩(36b)。化合物5の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物35bから開始した。
(実施例9)
【0301】
【化86】

【0302】
フェニル[1,1’]ナフチル[4’、1”]フェニル−4,4”−ビス−カルボニトリル(37a)。標準的な条件を用いて、1,4−ジブロモナフタレンとp−シアノフェニルボロン酸の結合によりビス−シアノ化合物を調製した。粗反応生成物をn−ブタノールから再結晶させて、収率が73%で融点が239から240℃のジトリル37aを与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ7.56-7.59 (m, 4H), 7.73 (d, J = 8.1 Hz, 4H), 7.79-7.82 (m, 2 H), 8.01-8.03 (d, J = 8.1 Hz, 4H). 13C NMR (DMSO-d6):δ144.3, 138.0, 132.0, 130.4, 126.5, 127.4, 126.2, 125.1, 118.2, 110.2. MS (ESI) m/e相対強度: 330 (M+, 100). C24H14N2の計算値: C% 87.24, H% 4.27;実測値C% 87.41, H% 4.07.
【0303】
フェニル[1,1’]ナフチル[4’、1”]フェニル−4,4”−ビス−アミジン(38a)。化合物23aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物37aから開始した。融点は300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6):δ6.75 (br s, 6H), 7.51-7.57 (m, 8H), 7.85-7.88 (m, 2H), 7.94 (dd, J = 1.8, 8.4 Hz, 4H). MS (ESI) m/e相対強度: 365 (M+, 32), 183 (100). C24H20N4-2.0HCl-0.25H2Oの計算値: C% 65.23, H% 5.13, N% 12.76;実測値C% 65.31, H% 5.19, N% 12.52.
【0304】
フェニル[1,1’]ナフチル[4’、1”]フェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン(39)。化合物3の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物37aから開始した。収率は94%で、融点は216から217℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ5.90 (br s, 4H), 7.51-7.54 (m, 10H), 7.83-7.90 (m, 4H), 9.72 (br s, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 397 (M+, 64), 199 (100).
【0305】
化合物39の塩酸塩:融点は175から176℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ7.57-7.60 (m, 4H), 7.74-7.83 (m, 6H), 7.94-7.96 (m, 4H), 9.18 (br s, 4H), 11.40 (br s, 2H), 13.18 (br s, 2H). C24H20N4O2-2.0HCl-0.75H2O-1.0C2H5OHの計算値: C% 59.03, H% 5.62, N% 10.59;実測値C% 58.95, H% 5.37, N% 10.49.
【0306】
フェニル[1,1’]ナフチル[4’、1”]フェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン(40)。化合物4の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物39から開始した。収率は85%で、融点は198から200℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ3.77 (s, 6H), 6.16 (s, 4H), 7.51-7.54 (m, 8H), 7.81-7.89 (m, 6H). 13C NMR (DMSO-d6):δ150.9, 140.9, 138.8, 131.8, 131.1, 129.7, 126.5, 126.0, 125.8, 60.7. MS (ESI) m/e相対強度: 425 (M+, 100).
【0307】
化合物40の塩酸塩:融点は226から228℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ3.89 (s, 6H), 7.56-7.59 (m, 4H), 7.70 (dd, J = 1.8, 8.7 Hz, 4H), 7.80-7.84 (m, 2H), 7.96 (dd, J = 1.8, 8.7 Hz, 4H), 8.62 (br s, 4H). C26H24N4O2-2.0HCl-0.5C2H5OHの計算値: C% 62.30, H% 5.61, N% 10.76;実測値C% 62.15, H% 5.44, N% 10.54.
【0308】
フェニル[1,2’]ナフチル[6’、1”]フェニル−4,4”−ビス−カルボニトリル(37b)。化合物37aの調製に用いた同じ手順を採用して、2,6−ジブロモナフタレンから開始し、収率が79%で融点が270から272℃のビスニトリルを得た。1H NMR (DMSO-d6):δ7.93-7.96 (m, 6H), 8.03-8.05 (m, 4H), 8.14 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.37 (3, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 330 (M+, 100). C24H14N2の計算値: C% 87.24, H% 4.27;実測値C% 86.98, H% 4.53.
【0309】
フェニル[1,2’]ナフチル[6’、1”]フェニル−4,4”−ビス−アミジン(38b)。化合物23aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物37bから開始し、融点が300℃を上回る目標の化合物を得た。1H NMR (DMSO-d6):δ7.99-8.03 (m, 6H), 8.11-8.19 (m, 6H), 8.46 (s, 2H), 9.22 (br s, 4H), 9.48 (br s, 4H). MS (ESI) m/e (rel. ab.): 365 (M+, 100), 331 (24). C24H20N4-2.0HCl-0.75H2O-0.3C2H5OHの計算値: C 63.58, H 5.48, N 12.05;実測値C 73.70, H 5.16, N 11.75.
(実施例10)
【0310】
【化87】

【0311】
5−[4’−(ヒドラゾノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−ヒドラゾン(43a)。化合物1(1mmol)と、塩酸アミノグアニジン(4mmol)とトリエチルアミン(4mmol)の混合物を無水エタノール(50mL)に加えたものを還流させながら一晩加熱した。形成した沈殿を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、収率が66%で融点が294から295℃の化合物43aを与えた。1H NMR (DMSO-d6);δ6.00 (br s, 4H), 6.60 (br s, 4H), 6.84 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.67-7.86 (m, 8H), 7.93 (s, 1H), 8.10 (s, 1H).
【0312】
(化合物43aの塩酸塩);融点は276から278℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ7.18 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.70 (br s, 8H), 7.82-7.99 (m, 8H), 8.15 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 12.07 (s, 1H), 12.12 (s, 1H). MS (ESI) m/e相対強度: 389 (M++1, 100), 333 (20), 247 (10). C20H20N8O-2.0HCl-1.1H2O-0.5EtOHの計算値: C% 50.10, H% 5.45, N% 22.27;実測値C% 50.30, H% 5.17, N% 21.90.
【0313】
5−{4’−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ビフェニル−4−イル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン(44a)。塩酸アミノグアニジンの代わりに臭化水素酸2−ヒドラジノ−2−イミダゾリンを採用することにより、化合物43aの調製について記載した同じ手順を用いた。収率は93%で、融点は299から301℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ6.50 (br s, 2H), 6.70 (br s, 1H), 6.74 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 6.87 (br s, 1H), 7.09 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.69-7.85 (m, 8H), 7.89 (s, 1H), 8.02 (s, 1H). 13C NMR;δ157.7, 157.4, 154.6, 148.0, 147.4, 140.9, 138.8, 137.5, 132.5, 128.6, 127.9, 127.0, 126.6, 124.5, 117.0, 108.6, 42.6.
【0314】
(44aの塩酸塩);融点は302から304℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ3.74 (s, 8H), 7.16 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.85-7.95 (m, 8H), 8.25 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.67 (br s, 4H), 12.84 (br s, 1H), 12.90 (br s, 1H). C24H24N8O-2.0HCl-1.5H2Oの計算値: C% 53.33, H% 5.40, N% 20.73;実測値C% 53.35, H% 5.33, N% 20.37.
【0315】
5−[4−(2−ヒドラゾノ)−ピリジン−5−イル−フェニル]−フラン−2−ヒドラゾン(43b)。化合物43aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物7から開始した。収率は、83%で、融点は253から255℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ5.65 (br s, 4H), 6.02 (br s, 4H), 6.79 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.90 (s, 1H), 8.04-8.14 (m, 5H), 9.07 (s, 1H).
【0316】
(化合物43bの塩酸塩);融点は242から244℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ7.21 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.83 (br s, 8H), 8.04 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.18 (s, 1H), 8.22-8.36 (m, 5H), 9.22 (s, 1H), 12.18 (s, 1H), 12.27 (s, 1H). 13C NMR (DMSO-d6);δ155.1, 155.0, 154.3, 152.5, 149.2, 146.9, 145.4, 139.5, 136.7, 134.5, 133.1, 128.5, 127.2, 124.9, 121.2, 117.5, 110.6, 99.9. C19H19N9O-3.0HCl-1.5H2O-0.7EtOHの計算値: C% 43.90, H% 5.27, N% 22.58;実測値C% 43.99, H% 4.95, N% 22.28.
【0317】
5−{4−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ピリジン−5−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン(44b)。化合物44aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物7から開始した。収率は88%で、融点は281から283℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ3.42 (s, 8H), 6.58 (br s, 2H), 6.76 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 6.78 (s, 1H), 6.92 (s, 1H), 7.23 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.80 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.90 (s, 1H), 8.04-8.18 (m, 5H), 9.09 (s, 1H). 13C NMR (DMSO-d6);δ1166.0, 165.5, 152.6, 149.9, 144.7, 143.8, 137.6, 137.1, 134.0, 131.2, 126.6, 126.2, 124.5, 119.9, 116.5, 111.0, 109.5, 42.3, 41.7.
【0318】
(化合物44bの塩酸塩);融点は300から302℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ3.78 (s, 8H), 7.20 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.19-8.35 (m, 6H), 8.71 (br s, 4H), 9.22 (s, 1H), 12.89 (s, 1H), 13.0 (s, 1H). C23H21N9O-3.0HCl-3.0H2O-0.25EtOHの計算値: C% 45.94, H% 5.17, N% 20.51;実測値C% 45.94, H% 5.33, N% 20.17.
【0319】
5−(4−ブロモピリジン−2−イル)−フラン−2−カルバルデヒド(41)。2,5−ジブロモピリジン及び(5−ジエトキシメチル−フラン−2−イル)−トリメチル−スタナンを使用し、化合物25の調製について採用した同じ手順を採用した後に、2MのHClで酸加水分解を行った。収率は58%で、融点は105から106℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ7.42 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.22 (dd, J = 2.1, 8.4 Hz, 1H), 8.81 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 9.68 (s, 1H). 13C NMR (DMSO-d6);δ178.55, 156.27, 152.46, 150.81, 145.75, 140.10, 124.54, 121.59, 120.40, 111.71. C10H6BrNO2の計算値: C% 47.65, H% 2.39;実測値C% 47.79, H% 2.46.
【0320】
5−[5−(4−ホルミルフェニル)−ピリジン−2−イル]−フラン−2−カルボキシアルデヒド(42)。化合物41(1当量)及び4−ホルミルフェニルボロン酸(1当量)を採用することにより、化合物12について記載した同じ手順を用いた。収率は91%で、融点は217から219℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ7.46 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.03-8.05 (m, 5H), 8.37 (dd, J = 1.8, 8.4 Hz, 1H), 9.11 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.69 (s, 1H), 10.07 (s, 1H). C17H11NO3の計算値: C% 73.63, H% 3.99;実測値C% 73.51, H% 4.23.
【0321】
5−{4−[5−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ピリジン−2−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン(44c)。化合物44aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物42から開始した。収率は75%で、融点は262から264℃であった。
(化合物44cの塩酸塩);融点は260から262℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ3.75 (s, 8H), 7.22 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.92-8.05 (m, 5H), 8.32-8.35 (m, 3H), 8.74 (br s, 4H), 9.04 (s, 1H), 12.95 (br s, 2H), 13.08 (br s, 1H). MS (ESI) m/e相対強度: 442 (M+ +1, 90), 332 (100), 221 (30). C23H23N9O-3.0HCl-4.5H2Oの計算値: C% 43.71, H% 5.58, N% 19.95;実測値C% 43.50, H% 5.42, N% 20.07.
(実施例11)
【0322】
【化88】

【0323】
5−(4−(2−ヒドラゾノ)−フラン−5−イル−フェニル)−フラン−2−ヒドラゾン(45)。収率は89.7%で、融点は273から275℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ7.90 (s, 2H), 7.78 (s, 4H), 7.07 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.77 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 5.95 (br s, 4H), 5.69 (br s, 4H). 13C NMR (DMSO-d6);δ159.7, 152.6, 151.6, 133.8, 128.8, 123.9, 111.7, 108.3.
【0324】
(化合物45の塩酸塩);融点が278から280℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ12.05 (s, 2H), 8.14 (s, 2H), 7.93 (s, 4H), 7.76 (br s, 8H), 7.27 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.18 (d, J = 3.6 Hz, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 379 (M++1, 100), 307 (5), 190 (70). C18H18N8O2-2.0HCl-1.25H2O-0.7EtOHの計算値: C% 46.12, H% 5.29, N% 22.19.実測値C% 45.90, H% 4.95, N% 21.90.
【0325】
5−{4−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−フラン−5−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン(46)。収率は90%で、融点は300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6);δ7.88 (s, 2H), 7.78 (s, 4H), 7.07 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.72 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.63 (br s, 2H), 6.56 (br s, 2H), 3.42 (s, 8H). 13C NMR (DMSO-d6);δ164.3, 152.7, 151.5, 135.1, 128.8, 124.0, 116.8, 112.0, 108.4, 42.1.
【0326】
(化合物46の塩酸塩);融点は294から296℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ12.87 (s, 2H), 8.69 (br s, 4H), 8.24 (s, 2H), 7.93 (s, 4H), 7.28 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.16 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 3.73 (s, 8H). C22H22N8O2-2.0HCl-2.25H2O-0.75EtOHの計算値: C% 48.87, H% 5.71, N% 19.41;実測値C% 48.72, H% 5.36, N% 19.19.
(実施例12)
【0327】
【化89】

【0328】
4,4”−ビス(N’N”−t−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル(47)。4,4”−ジアミノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル(0.30g、1.15mmol)を無水DMF(10mL)に溶解した溶液に、1,3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−2−メチルチオシュードウレア(0.71g、2.4mmol)、トリエチルアミン(0.74g、7.2mmol)及び最後に塩化水銀(II)(0.73g、2.6mmol)を添加した。室温にて24時間にわたって懸濁物の攪拌を維持した。CHCl及びNaCO溶液で希釈した反応物をセライトのパッドで濾過した。有機層を水(3倍)で洗浄した後に、塩水に漬け、次いで無水NaSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させて乾固させた後、得られた残渣をCHCl/MeOHから再結晶させて、収率が79%で融点が300℃を上回るクリーム状白色固体を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ1.50, 1.59 (2s, 36H), 7.56-7.70 (m, 12H), 10.39 (br s, 2H), 11.65 (br s, 2H). C40H52N6O8の計算値: C% 64.49, H% 7.03;実測値C% 64.31, H% 6.85.
【0329】
4,4”−ビス−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル(48)。N’,N”−ジ−BOCグアニジン(0.45g、0.60mmol)をCHCl(10mL)に溶解し、乾燥EtOH(15mL)で希釈し、冷却溶液を乾燥HClで飽和させた。次いで、生成物が沈殿を形成しはじめるまで、室温にて3日間にわたって反応物の攪拌(乾燥チューブ)を維持した。溶媒を蒸発させて乾固させた後に、残渣を複数回エーテルで洗浄し、50〜60℃にて真空下で一晩乾燥させて、融点が300℃を上回る二塩酸ビス−グアニジンの白みがかった黄色の固体を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ7.85 (dd, J = 1.5, 8.4 Hz, 4H), 7.92 (d, J = 1.2 Hz, 4H), 8.00 (dd, J = 1.5, 8.4 Hz, 4H), 9.09 (br s, 4H), 11.25 (br s, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ155.98, 138.35, 137.32, 135.00, 127.79, 127.22, 124.79. MS (ESI) m/e相対強度: 344 (M+, 6), 173 (100). C20H20N6-2.0HCl-1.0H2O-0.2C2H5OHの計算値: C% 55.11, H% 5.71, N% 18.90;実測値C% 55.39, H% 5.50, N% 18.71.
(実施例13)
【0330】
【化90】

【0331】
4,4”−ビス−(N’エトキシカルボニルチオウレア)−[1,1’;4’,1”]テルフェニル(49)。4,4”−ジアミノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル(0.50g、1.92mmol)をCHCl(10mL)に溶解した溶液に、イソチオシアナトギ酸エチル(0.55g、4.22mmol)を添加し、室温にて24時間攪拌した。フラッシュクロマトグラフィーの後に、反応物をヘキサンで希釈し、形成した沈殿を回収し、乾燥させて、収率が89%で融点が300℃を上回る白色固体としてのビス−カルバモイルチオウレアを与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ1.26 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 4.22 (q, J = 7.2 Hz, 4H), 7.70-7.79 (m, 12H), 11.29 (br s, 2H), 11.61 (br s, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 522 (M+, 13), 344 (100), 328 (63). C26H26N4O4S2の計算値: C% 59.75, H% 5.01;実測値C% 49.58, H% 5.23.
【0332】
4,4”−ビス(N’−エトキシカルボニル)−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル(50a)。カルバモイルチオウレア(0.80g、1.53mmol)と、ジオキサン(11.7mL、6.12mmol)の0.5Mアンモニア溶液と、及びジイソプロピルエチルアミン(1.18g、9.18mmol)を無水DMF(10mL)に溶解した溶液との攪拌溶液を0℃まで冷却した。EDCl(1.17g、6.12mmol)を添加し、溶液を室温で一晩攪拌した。反応混合物を氷/水に注ぎ、固体を真空濾過によって回収した。最後に、カルバモイルグアニジンをEtOHから結晶化させた。収率は67%で融点は300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6):δ1.17 (t, J = 6.9 Hz, 6H), 3.98 (q, J = 6.9 Hz, 4H), 7.53-7.71 (m, 16H), 9.05 (br s, 2H). C26H28N6O4-0.2C2H5OHの計算値: C% 63.70, H% 5.91, N% 16.88;実測値C% 63.66, H% 5.71, N% 16.65.
【0333】
4,4”−ビス(N’−エトキシカルボニル−N”−メチル)−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル(50b)。カルバモイルチオウレア(1.00g、1.91mmol)、塩酸メチルアミン(0.51mL、7.65mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(1.48g、11.48mmol)を無水CHCl(10mL)に溶解した攪拌溶液を0℃に冷却した。EDCl(1.46g、7.65mmol)を添加し、溶液を室温にて一晩攪拌した。反応混合物を水(3×100mL)で洗浄した後に、塩水に漬け、無水NaSOで乾燥させた。溶媒の除去後に残留する残渣をEtOH/水から結晶化させた。収率は82%で、融点は297から299℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ1.15 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 3.32 (s, 6H), 3.95 (q, J = 7.2 Hz, 4H), 7.45 (br s, 4H), 7.68-7.75 (m, 12H). 13C NMR (DMSO-d6):δ163.01, 158.53, 138.25, 137.50, 135.41, 126.76, 126.66, 124.14, 59.60, 28.17, 14.54. MS (ESI) m/e相対強度: 517 (M+, 30), 259 (100). C28H32N4O4-0.25C2H5OHの計算値: C% 64.81, H% 6.39, N% 15.91;実測値C% 64.84, H% 6.20, N% 15.82.
【0334】
4,4”−ビス(N’−メチル)−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル(51a)。置換グアニジン(0.5g、0.96mmol)をEtOH(10mL)に懸濁させた。次いで、1NのKOH(9.6mL、9.6mmol)を添加し、温度を55〜60℃に保ちながら、反応混合物の攪拌を一晩にわたって維持した。反応混合物を水で希釈し、形成した固体を濾過で回収し、複数回にわたって水で洗浄し、水性EtOHから再結晶させて、収率が75%で融点が243から244℃の褐色の白色固体を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ2.67 (s, 6H), 5.35 (br s, 6H), 6.87 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.53 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.64 (s, 4H). 13C NMR (DMSO-d6):δ152.2, 149.8, 138.2, 131.3, 126.5, 126.0, 123.2, 27.5. MS (ESI) m/e相対強度: 373 (M+, 6), 187 (100).
【0335】
化合物51aの塩酸塩。遊離塩基を乾燥EtOH(20mL)に溶解し、溶液を氷浴で冷却した。10分間にわたってHClガスを通した後、反応物を減圧下で濃縮し、次いでエタノールで希釈した。形成した沈殿を濾過で回収した。融点は、211から214℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ2.83, 2.85 (2 s, 6H), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.77-7.80 (m, 8H), 7.96 (br s, 4H), 10.02 (br s, 4H). C22H24N6-2.0HCl-1.25H2O-0.3C2H5OHの計算値: C% 56.34, H% 6.33, N% 17.42;実測値C% 56.69, H% 6.07, N% 17.05.
【0336】
4,4”−ビス(N’−エトキシカルボニル−N”−イソプロピル)−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル(50c)。メチルアミンの代わりにイソプロピルアミンを採用することにより、化合物50bの調製について記載した同じ手順を用いた。収率は89%で、融点は300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6):δ1.11-1.18 (m, 18H), 3.94 (q, J = 7.2 Hz, 4H), 4.01-4.14 (m, 2H), 7.45 (d, J = 7.8 Hz, 4H), 7.68-7.75 (m, 8H), 9.24 (br s, 4H). 13C NMR (DMSO-d6):δ163.40, 157.15, 138.22, 137.49, 135.21, 126.72, 126.57, 123.95, 59.58, 42.40, 22.54, 14.53. MS (ESI) m/e相対強度: 573 (M+, 17), 287 (100). C32H40N6O4の計算値: C% 67.11, H% 7.03, N% 14.67;実測値C% 66.95, H% 7.16, N% 14.37.
【0337】
4,4”−ビス(N’−イソプロピル)−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル(51b)。化合物51aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物50cから開始した。収率は73%で、融点は246から247℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ1.11 (d, J = 6.3 Hz, 18H), 3.81-3.89 (m, 2H), 5.38 (br s, 6H), 6.87 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.53 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.74 (s, 4H). 13C NMR (DMSO-d6):δ150.95, 149.36, 138.23, 131.47, 126.69, 126.14, 123.36, 41.56, 22.84. MS (ESI) m/e相対強度: 429 (M+, 8), 215 (100).
【0338】
化合物51bの塩酸塩。融点は275から277℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ1.19 (d, J = 6.6 Hz, 12H), 3.85-3.96 (m, 2H), 5.38 (br s, 6H), 7.31 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.77-7.80 (m, 8H), 8.13 (br s, 2H), 9.91 (br s, 2H). C26H32N6-2.0HCl-1.5H2O-0.25C2H5OHの計算値: C% 58.93, H% 7.18, N% 15.56;実測値C% 59.00, H% 6.82, N% 15.33.
(実施例14)
【0339】
【化91】

【0340】
1,4−ビス−(5’−ニトロピリジン−2’−イル)フェニレン(52)。化合物17の調製に用いた同じ手順を採用し、2−クロロ−5−ニトロピリジン(20mmol)及び1,4−フェニレンビスボロン酸(10mmol)を使用してスズキカップリング反応を行って、収率が90%で融点が300℃を上回る目標化合物52を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ8.33-8.39 (m, 6H), 8.67 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 2H), 9.46 (d, J = 2.1 Hz, 2H). MS (ESI) m/e相対強度: 323 (M+ +1, 100), 307 (80), 287 (15).
【0341】
1,4−ビス−(5’−アミノピリジン−2’−イル)フェニレン(53)。化合物52(10mmol)をEtOH/EtOAc(200mL、1:1)に溶解した溶液に、10%パラジウム炭素(1.2g)を添加した。混合物を室温にて8時間にわたって50psiのParr水素添加装置上に仕込んだ。混合物をハイフロ及びフィルタパッドで濾過した。濾液を減圧下で蒸発させ、沈殿を回収し、エーテルで洗浄して、収率が77%で融点が250から251℃を上回る化合物53を与えた。1H NMR (DMSO-d6):δ5.46 (br s, 4H), 6.98 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 2H), 7.65 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.93 (s, 4H), 8.02 (d, J = 2.4 Hz, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ144.0, 143.4, 137.8, 135.9, 125.0, 120.5, 120.0. MS (ESI) m/e相対強度: 263 (M+ +1, 100).
【0342】
1,4−ビス−(5’−グアニジノピリジン−2’−イル)フェニレン塩酸塩(55)。化合物48の調製に使用した同じ手順を採用し、化合物54から開始した、化合物53から開始し、化合物47について記載した同じ手順によって化合物54を調製した。
【0343】
化合物55の塩酸塩:融点は271から273℃であった。1H NMR (D2O/DMSO-d6):δ8.15-8.25 (m, 8H), 8.62 (s, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ156.4, 152.3, 144.7, 137.7, 133.7, 131.7, 126.9, 121.2. MS (ESI) m/e相対強度: 347 (M++1, 20), 305 (40), 288 (5), 263 (10), 174 (100). C18H18N8-4.0HCl-1.1H2O-1.0C2H5OHの計算値: C% 43.04, H% 5.40, N% 20.07;実測値C% 43.03, H% 5.00, N% 19.78.
(実施例15)
【0344】
【化92】

【0345】
1,4−ビス−[5’−(N’−エトキシカルボニルチオウリド)−ピリジン−2’−イル]フェニレン(56)。化合物49の調製について記載した同じ手順を用いて、化合物53から開始した。収率は89%で、融点は300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6):δ1.29 (t, J = 6.9 Hz, 6H), 4.25 (q, J = 6.9 Hz, 4H), 8.03 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 8.16-8.21 (m, 6H), 8.80 (s, 2H), 11.12 (br s, 2H), 11.51 (br s, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ179.3, 153.0, 152.4, 145.4, 138.1, 133.9, 132.6, 126.4, 119.3, 61.7, 13.6. MS (ESI) m/e相対強度: 525 (M+, 20), 409 (30), 241 (45), 163 (100).
【0346】
1,4−ビス−{5’−[(N’−エトキシカルボニル−N”−イソプロピル)グアニジノ]−ピリジン−2’−イル}フェニレン(57a)。化合物50cの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物56から開始した。収率は64%で、融点は300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6):δ1.13 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 1.20 (d, J = 6 Hz, 12H), 3.95 (q, J = 7.2 Hz, 4H), 4.03-4.14 (m, 2H), 7.86 (s, 2H), 7.99 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 8.17 (s, 4H), 8.64 (s, 2H), 9.20 (br s, 4H). MS (ESI) m/e相対強度: 575 (M++1, 100), 529 (20), 503 (5). C30H38N8O4-0.5H2Oの計算値: C% 61.73, H% 6.73, N% 19.19;実測値C% 61.75, H% 6.55, N% 18.90.
【0347】
1,4−ビス−{5’−[(N’−イソプロピル)−グアニジノ]−ピリジン−2’−イル}フェニレン(58a)。化合物51aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物57aから開始した。収率は59%で、融点は224から225℃であった。1H NMR (DMSO-d6):δ1.16 (d, J = 6.9 Hz, 12H), 3.86-3.98 (m, 2H), 6.30 (br s, 6H), 7.37 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 2H), 7.85 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.10 (s, 4H), 8.25 (d, J = 2.1 Hz, 2H). 13C NMR (DMSO-d6):δ182.9, 152.3, 148.3, 144.7, 138.1, 130.5, 125.7, 119.7, 42.0, 22.4. MS (ESI) m/e相対強度 431 (M+ + 1, 100), 372 (5), 216 (65).
【0348】
化合物58aの塩酸塩。融点は278から280℃であった。C24H30N8-4.0HCl-0.75H2Oの計算値: C% 48.90, H% 6.06, N% 18.99;実測値C% 49.15, H% 6.09, N% 18.62.
【0349】
1,4−ビス−{[5’−(N’−エトキシカルボニル)−グアニジノ]−ピリジン−2’−イル}フェニレン(57b)。化合物50aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物56から開始した。
【0350】
1,4−ビス−[5’−(グアニジノ)−ピリジン−2’−イル}フェニレン(58b)。化合物51aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物57bから開始した。
【0351】
1,4−ビス−{5’−[(N’−エトキシカルボニル−N”−メチル)−グアニジノ]−ピリジン−2’−イル}フェニレン(57c)。化合物50bの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物56から開始した。
【0352】
1,4−ビス−{5’−[(N’−メチル)−グアニジノ]−ピリジン−2’−イル}フェニレン(58c)。化合物51aの調製について記載した同じ手順を用いて、化合物57cから開始した。
(実施例16)
化合物61及び64
【0353】
【化93】

【0354】
試薬及び条件:(i)ビス(トリブチルチン)、Pd(PPh、トルエン、120℃、4時間;(ii)a)LiN(TMS)、THF、室温、一晩;b)HCl(ガス)、乾燥エタノール、室温、一晩;(iii)NHOH・HCl、KO−t−Bu、DMSO;(iv)(CHSO、LiOH。
【0355】
化合物59。2,5−ジブロモピリジンとp−シアノフェニルボロン酸を上記スズキカップリング条件下で反応させた。収率は70%で、融点は174から175℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ7.90-8.03 (m, 3H), 8.14-8.24 (m, 3H), 8.80 (s, 1H). 13C NMR;δ152.6, 150.2, 141.4, 139.7, 132.4, 127.0, 122.5, 120.1, 118.3, 111.6. MS (m/z,相対強度); 259 (M+, 100), 179 (70), 152 (55).
【0356】
化合物60。化合物59から開始するスティレホモカップリング。収率は77%で、融点は300℃を上回っていた。1H NMR (DMSO-d6);δ7.96 (d, J = 8.1 Hz, 4H), 8.20-8.37 (m, 8H), 9.18 (s, 2H). 13C NMR;δ153.4, 147.6, 142.0, 135.1, 132.3, 131.5, 126.9, 120.8, 118.2, 111.4. MS (m/z,相対強度); 358 (M+, 100), 330 (5), 256 (10), 179 (70).
【0357】
化合物61。LiN(TMS)を使用したジニトリルの還元。LiN(TMS)を使用した化合物59のシアノ基の還元。収率は81%で、融点は300℃を上回っていた。1H NMR (D2O/DMSO-d6);δ8.00 (s, 4H), 8.23-8.43 (m, 8H), 9.15 (s, 2H). 13C NMR;δ165.8, 154.3, 147.7, 142.9, 136.8, 132.3, 129.0, 128.6, 127.8, 122.3. MS (m/z,相対強度); 393 (M++1, 95), 376 (8), 359 (5), 197 (100). C24H20N6-4.0HCl-2.5H2Oの計算値: C, 49.41; H, 4.99; N, 14.40. 実測値C, 49.18; H, 4.67; N, 14.22.
【0358】
化合物62。基剤の存在下でヒドロキシルアミンを使用した化合物59のニトリルのアミドキシムへの直接的な変換。収率は87%で、融点は179から180℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ5.87 (s, 2H), 7.75 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.92-8.09 (m, 4H), 8.73 (s, 1H), 9.73 (s, 1H). 13C NMR;δ154.2, 150.4, 150.2, 139.7, 137.7, 134.1, 126.1, 125.7, 122.0, 119.2. MS (m/z,相対強度); 291 (M+, 90), 276 (100), 259 (50).
【0359】
化合物63。硫酸ジメチルを使用した化合物62のアミドキシムのメチル化。収率は68%で、融点は158から159℃であった。1H NMR (DMSO-d6);δ3.76 (s, 3H), 6.13 (s, 2H), 7.76 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.96-8.14 (m, 4H), 8.76 (s, 1H). 13C NMR;δ154.1, 150.5, 150.2, 139.8, 138.0, 133.3, 126.2, 126.1, 122.0, 119.3, 60.6. MS (m/z,相対強度); 305 (M+, 100), 290 (4), 274 (10), 259 (85).
【0360】
化合物64。化合物63のスティレホモカップリング。収率が73%で融点が232から233.5℃の遊離塩基。1H NMR (DMSO-d6);δ3.77 (s, 6H), 6.13 (s, 4H), 7.82 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 8.13-8.20 (m, 6H), 8.33 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 2H), 9.14 (d, J = 2.4 Hz, 2H). 13C NMR;δ154.7, 150.6, 147.6, 138.7, 135.1, 133.2, 131.1, 126.2, 126.1, 120.3, 60.66. MS (m/z,相対強度); 452 (M+, 100), 421 (5), 405 (50), 374 (40).
【0361】
化合物64の塩:融点は279から281℃であった。C26H24N6O2-4.0HCl-4.25H2Oの計算値: C, 46.26; H, 5.40; N, 12.44. 実測値C, 46.09; H, 5.10; N, 12.11.
【0362】
【表1】








【0363】
【表2】

【0364】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)化合物又はその医薬として許容し得る塩:
−Ar−(CH−Ar−(CH−Ar−L (I)
(式中、p及びqは、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、
Ar及びArは、独立に、
【化1】

からなる群から選択され、
A、Y、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Xは、O、S、NH、及びSeからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各sは、独立に、0〜2の整数であり、
各R、R、及びRは、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Arは、
【化2】

からなる群から選択され、
、A、A、Y、Y、Y、Z、Z、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各tは、独立に、0〜6の整数であり、
各R、R、R、R、及びR10は、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
及びLは、
【化3】

からなる群から選択され、
11、R12、R13、R14、R15、及びR20は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、あるいは
11及びR12は、ともに、C〜C10アルキル、C〜C10ヒドロキシアルキル、又はC〜C10アルキレンを表し、あるいは
11及びR12は、ともに、
【化4】

であり、
uは、1〜4の整数であり、R16は、H又は−CONHR17NR1819であり、R17はアルキルであり、R18及びR19は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。)。
【請求項2】
Arはフェニレンであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する、請求項1記載の化合物:
【化5】


【請求項3】
Arはフェニレンであり、Arはフラニルであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する、請求項2記載の化合物:
【化6】


【請求項4】
Ar及びArは、それぞれフラニルであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する、請求項2記載の化合物:
【化7】


【請求項5】
Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する、請求項2記載の化合物:
【化8】


【請求項6】
Ar及びArは、それぞれ、
【化9】

であり、各A及び各Yの少なくとも一方はNであり、式(II)の化合物は、下記の構造を有する、請求項2記載の化合物:
【化10】


【請求項7】
式(II)の化合物が、下記からなる群から選択される、請求項2記載の化合物:
N−ヒドロキシ−5−[4’−(N−ヒドロキシアミジノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
N−メトキシ−5−[4’−(N−メトキシアミジノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
5−(4’−アミジノビフェニル−4−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
N−ヒドロキシ−5−{4−[5−(N−ヒドロキシアミジノ)−フラン−2−イル]−フェニル}−フラン−2−カルボキサミジン;
5−[4−(5−アミジノフラン−2−イル)−フェニル]−フラン−2−カルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−アセトキシカルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−カルボキサミジン;
[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン;
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−アミジン;
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
2’−フルオロ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−メトキシカルボキサミジン;
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−アミジン;
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
2’−トリフルオロメチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4,4”−ビス−メトキシカルボキサミジン;
1,4−ビス−(5’−アミジノピリジン−2’−イル)−フェニレン;
1,4−ビス−[5’−N−ヒドロキシアミジノピリジン−2’−イル)]−フェニレン;
1,4−ビス−[5’−N−メトキシアミジノピリジン−2’−イル)]−フェニレン;
5−[4’−(ヒドラゾノ)−ビフェニル−4−イル]−フラン−2−ヒドラゾン;
5−{4’−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ビフェニル−4−イル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
5−[4−(2−ヒドラゾノ)−フラン−5−イル−フェニル]−フラン−2−ヒドラゾン;
5−{4−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−フラン−5−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
4,4”−ビス−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル;
4,4”−ビス(N’−メチル)−グアニジノ−[1,1’:4’,1”]テルフェニル;
4,4”−ビス(N’−イソプロピル−グアニジノ−[1,1’;4’,1”]テルフェニル;
1,4−ビス−(5’−グアニジノピリジン−2’−イル)フェニレン;
1,4−ビス−{5’−[(N’−イソプロピル)−グアニジノ]−ピリジン−2’イル}フェニレン;
1,4−ビス[4−アミジノフェニル]−2,5−ビス[メトキシ]ベンゼン;
1,4−ビス[5−(N−エトキシカルボニルグアニジノ)ピリジン−2−イル]ベンゼン;
1,4−ビス[5−(N−エトキシカルボニル−N’−メチルグアニジノ)ピリジン−2−イル]ベンゼン;
1,4−ビス[5−(N−メチルグアニジノ)ピリジン−2−イル]ベンゼン;
1−[4−アミジノフェニル]−4−[4−アミジノベンジル]ベンゼン;及びこれらの医薬として許容し得る塩。
【請求項8】
Arは、
【化11】

であり、Z、A、及びYの少なくとも1つはNであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する、請求項1記載の化合物:
【化12】


【請求項9】
はNであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する、請求項8記載の化合物:
【化13】


【請求項10】
Arはフェニレンであり、Arはフラニルであり、式(IIIa)の化合物は、下記の構造を有する、請求項9記載の化合物:
【化14】


【請求項11】
Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、pは0であり、qは1であり、式(IIIa)は、下記の構造を有する、請求項9記載の化合物:
【化15】


【請求項12】
はNであり、式(III)の化合物は、下記の構造を有する、請求項8記載の化合物:
【化16】


【請求項13】
Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(IIIb)の化合物は、下記の構造を有する、請求項12記載の化合物:
【化17】


【請求項14】
Arはフェニレンであり、Arはフラニルであり、式(IIIb)の化合物は、下記の構造を有する、請求項12記載の化合物:
【化18】


【請求項15】
及びYは、それぞれNであり、式(III)の化合物は、下記の構造を有する、請求項8記載の化合物:
【化19】


【請求項16】
Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(IIIc)の化合物は、下記の構造を有する、請求項15記載の化合物:
【化20】


【請求項17】
及びYは、それぞれNであり、式(III)の化合物は、下記の構造を有する、請求項8記載の化合物:
【化21】


【請求項18】
式(III)の化合物が、下記からなる群から選択される、請求項8記載の化合物:
N−ヒドロキシ−5−{6−[4−(N−ヒドロキシアミジノ)−フェニル]−ピリジン−3−イル}−フラン−2−カルボキサミジン;
5−[6−(4−アミジノフェニル)−ピリジン−3−イル]−フラン−2−カルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−カルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ピリジル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン;
2−[4−(N−ヒドロキシアミジノ)フェニル]−5−[4”−(N−ヒドロキシアミジノ)−ベンジル]ピリジン;
2−(4−アミジノフェニル)−5−(4”−アミジノベンジル)ピリジン;
5−[4−(2−ヒドラゾノ)−ピリジン−5−イル−フェニル]−フラン−2−ヒドラゾン;
5−{4−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ピリジン−5−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
5−{4−[5−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾノ]−ピリジン−2−イル−フェニル}−フラン−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ヒドラゾン;
2,5−ビス−(4’−アミジノフェニル)−ピリミジン;
2,5−ビス−[4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェニル]−ピリミジン;
2,5−ビス−[4’−(N−メトキシアミジノ)フェニル]−ピリミジン;
3,6−ビス[4−アミジノフェニル]ピリダジン;
3,6−ビス[4−N−ヒドロキシアミジノフェニル]ピリダジン;
3,6−ビス[4−N−メトキシアミジノフェニル]ピリダジン;及びこれらの医薬として許容し得る塩。
【請求項19】
Arはナフチルであり、式(I)の化合物は、下記の構造を有する、請求項1記載の化合物:
【化22】


【請求項20】
Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(IV)の化合物は、下記の構造を有する、請求項19記載の化合物:
【化23】


【請求項21】
ナフチル基は、1及び4位で置換され、式(IVa)の化合物は、下記の構造を有する、請求項20記載の化合物:
【化24】


【請求項22】
ナフチル基は、2及び6位で置換され、式(IVa)の化合物は、下記の構造を有する、請求項20記載の化合物:
【化25】


【請求項23】
式(IV)の化合物が、下記群から選択される、請求項20記載の化合物:
フェニル[1,1’]ナフチル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−アミジン;
フェニル[1,1’]ナフチル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−ヒドロキシカルボキサミジン;
フェニル[1,1’]ナフチル[4’,1”]フェニル−4,4”−ビス−N−メトキシカルボキサミジン;
フェニル[1,2’]ナフチル[6’,1”]フェニル−4,4”−ビス−アミジン;及びその医薬として許容し得る塩。
【請求項24】
Arは、
【化26】

であり、式(I)の化合物は、以下の式を有する、請求項1記載の化合物:
【化27】


【請求項25】
及びYは、それぞれNであり、式(V)の化合物は、以下の式を有する、請求項24記載の化合物:
【化28】


【請求項26】
Ar及びArは、それぞれフェニレンであり、式(Va)は以下の式を有する、請求項25記載の化合物:
【化29】


【請求項27】
及びLは、それぞれ、
【化30】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項28】
及びLは、それぞれ、
【化31】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項29】
及びLは、それぞれ、
【化32】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項30】
前記化合物は、医薬として許容し得る塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項31】
前記医薬として許容し得る塩は、塩酸塩及び酢酸塩からなる群から選択される、請求項30記載の化合物。
【請求項32】
(a)式(I)の化合物と
(b)医学として許容し得る担体とからなる医薬製剤。
【請求項33】
微生物感染症の治療を必要とする対象における微生物感染症を治療する方法であって、有効量の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩を前記対象に投与するステップを含む方法:
−Ar−(CH−Ar−(CH−Ar−L (I)
(式中、p及びqは、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、
Ar及びArは、独立に、
【化33】

からなる群から選択され、
A、Y、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Xは、O、S、NH、及びSeからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各sは、独立に、0〜2の整数であり、
各R、R、及びRは、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Arは、
【化34】

からなる群から選択され、
、A、A、Y、Y、Y、Z、Z、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各tは、独立に、0〜6の整数であり、
各R、R、R、R、及びR10は、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
及びLは、
【化35】

からなる群から選択され、
11、R12、R13、R14、R15、及びR20は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、あるいは
11及びR12は、ともに、C〜C10アルキル、C〜C10ヒドロキシアルキル、又はC〜C10アルキレンを表し、あるいは
11及びR12は、ともに、
【化36】

であり、
uは、1〜4の整数であり、R16は、H又は−CONHR17NR1819であり、R17はアルキルであり、R18及びR19は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。)。
【請求項34】
前記化合物は、医薬として許容し得る塩の形で投与される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記医薬として許容し得る塩は、塩酸塩及び酢酸塩からなる群から選択される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記微生物感染症は、トリパノソーマブルーセイローデシエンス感染症、プラスモジウムファルシパルム感染症、及びレーシュマニアドノヴァニ感染症からなる群から選択される、請求項33記載の方法。
【請求項37】
式(I)のジカチオンテルアリール化合物又はその医薬として許容し得る塩の製造方法であって:
(a)(i)第1の非プロトン性溶媒中で、パラジウム触媒及び第1の基剤の存在下でハロゲン化アリールニトリルを1,4−フェニレンビスボロン酸と接触させて、テルアリールジニトリル化合物を形成する、
(ii)第1の非プロトン性溶媒中で、パラジウム触媒及び第1の基剤の存在下で、ジハロゲン化アリール化合物をp−シアノフェニルボロン酸と接触させて、テルアリールジニトリル化合物を形成する、
(iii)テルアリールジアルデヒド化合物を塩酸ヒドロキシルアミンと接触させた後に、無水酢酸中で一定時間にわたって還流させて、テルアリールジニトリル化合物を形成する、
(iv)第1の非プロトン性溶媒中で、テルアリールジハライド化合物をシアン化第一銅と接触させて、テルアリールジニトリル化合物を形成する、又は
(v)第1の非プロトン性溶媒中で、ハロゲン化ジアリールニトリルをパラジウム触媒及びヘキサ−n−ブチルジチンと接触させることによって、テルアリールジニトリル化合物を形成するステップと、
(b)前記テルアリールジニトリル化合物を、
(i)第2の非プロトン性溶媒中で、塩酸ヒドロキシアミンと第2の基剤との混合物と接触させて、式(I)のジアミドキシムテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成する、又は
(ii)第2の非プロトン性溶媒中でリチウムトリアルキルシリルアミドと接触させた後に、強酸と接触させて、式(I)のジアミジノ化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成するステップとを含む前記方法;
−Ar−(CH−Ar−(CH−Ar−L (I)
(式中、p及びqは、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、
Ar及びArは、独立に、
【化37】

からなる群から選択され、
A、Y、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Xは、O、S、NH、及びSeからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各sは、独立に、0〜2の整数であり、
各R、R、及びRは、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Arは、
【化38】

からなる群から選択され、
、A、A、Y、Y、Y、Z、Z、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各tは、独立に、0〜6の整数であり、
各R、R、R、R、及びR10は、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
及びLは、
【化39】

からなる群から選択され、
11、R12、R13、R14、R15、及びR20は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、あるいは
11及びR12は、ともに、C〜C10アルキル、C〜C10ヒドロキシアルキル、又はC〜C10アルキレンを表し、あるいは
11及びR12は、ともに、
【化40】

であり、
uは、1〜4の整数であり、R16は、H又は−CONHR17NR1819であり、R17はアルキルであり、R18及びR19は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。)。
【請求項38】
(a)式(I)のジアミドキシムテルアリール化合物を金属水酸化物水和物と接触させた後に、硫酸ジアルキルと接触させて、式(I)のジアルコキシアミジノテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成するステップ、
(b)式(I)のジアミドキシムテルアリール化合物を酢酸及び無水酢酸と接触させた後に、水素及びパラジウム炭素触媒と接触させて、式(I)のジアミジノテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成するステップ、及び
(c)式(I)のジアミドキシムテルアリール化合物を氷酢酸に溶解させ、無水酢酸を添加して、式(I)のジアセトキシアミジノテルアリール化合物を形成するステップのうち1つを含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
(a)パラジウム触媒及び第3の基剤の存在下で、4−ホルミルフェニルボロン酸を5−(ハロアリール)−フラン−2−カルボキシアルデヒドと接触させて、テルアリールジアルデヒド化合物を形成するステップ、
(b)パラジウム触媒及び第3の基剤の存在下で、4−ホルミルフェニルボロン酸をジハロアリール化合物と接触させて、ハロゲン化ジアリールアルデヒドを形成した後に、ハロゲン化ジアリールアルデヒドをパラジウム触媒及び5−(ジエトキシメチル−フラン−2−イル)−トリメチルスタナンと接触させて、テルアリールジアルデヒド化合物を形成するステップ、
(c)パラジウム触媒及び第3の基剤の存在下で、5−ハロフラン−2−カルボキシアルデヒドと1,4−フェニレンビスボロン酸を接触させて、テルアリールジアルデヒド化合物を形成するステップ、及び
(d)ジハロアリール化合物を(5−ジエトキシメチル−フラン−2−イル)−トリメチルスタナン及びパラジウム触媒と接触させた後に、強酸と接触させて、2−ハロアリール−5−ホルミルフランを形成し、続いて、第2のパラジウム触媒及び第3の基剤の存在下で、2−ハロアリール−5−ホルミルフランを4−ホルミルフェニルボロン酸と接触させて、テルアリールジアルデヒド化合物を形成するステップのうち1つによって、テルアリールジアルデヒド化合物を形成するステップを含む、請求項37記載の方法。
【請求項40】
(a)パラジウム触媒の存在下で1,4−ジブロモベンゼンを2−トリブチルスタニルフランと接触させて、2−(4−フラン−2−イル−フェニル)−フランを形成するステップと、
(b)前記2−(4−フラン−2−イル−フェニル)−フランを第3の非プロトン性溶媒中でN−ブロモスクシンイミド(NBS)と接触させて、ジブロミドを形成するステップとによって、テルアリールジハライド化合物を形成するステップとを含む、請求項37記載の方法。
【請求項41】
前記ハロゲン化アリールニトリルは、4−ブロモベンゾニトリル及び6−クロロニコチノニトリルからなる群から選択される、請求項37記載の方法。
【請求項42】
前記ジハロゲン化アリール化合物は、2,5−ジブロモ−1−フルオロベンゼン、1,4−ジブロモ−2−トリフルオロメチルベンゼン、2,5−ジブロモピリジン、2−クロロ−5−ブロモピリミジン、2−クロロ−5−(クロロメチル)ピリジン)、1,4−ジブロモナフタレン、及び2,6−ジブロモナフタレンからなる群から選択される、請求項37記載の方法。
【請求項43】
式(I)のジカチオンテルアリール化合物又はその医薬として許容し得る塩の製造方法であって:
(a)テルアリールジアミンを提供するステップと、
(b)前記テルアリールジアミンを、
(i)1,3−ビス(t−ブトキシカルボニル)−2−メチルチオシュードウレアと第三級アミンとの混合物と接触させた後に、塩化水銀(II)と接触させる、又は
(ii)イソチオシアナトギ酸エチル、第一級アミン、水溶性カルボジイミド及び第三級アミンと接触させて、ビス−(アルコキシカルボニル)−グアニジノテルアリール化合物を形成するステップと、
(c)前記ビス−(アルコキシカルボニル)−グアニジノテルアリール化合物を酸及び水酸化物の一方と接触させて、式(I)のビスグアニジノテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成するステップとを含む方法;
−Ar−(CH−Ar−(CH−Ar−L (I)
(式中、p及びqは、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、
Ar及びArは、独立に、
【化41】

からなる群から選択され、
A、Y、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Xは、O、S、NH、及びSeからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各sは、独立に、0〜2の整数であり、
各R、R、及びRは、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Arは、
【化42】

からなる群から選択され、
、A、A、Y、Y、Y、Z、Z、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各tは、独立に、0〜6の整数であり、
各R、R、R、R、及びR10は、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
及びLは、
【化43】

からなる群から選択され、
11、R12、R13、R14、R15、及びR20は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、あるいは
11及びR12は、ともに、C〜C10アルキル、C〜C10ヒドロキシアルキル、又はC〜C10アルキレンを表し、あるいは
11及びR12は、ともに、
【化44】

であり、
uは、1〜4の整数であり、R16は、H又は−CONHR17NR1819であり、R17はアルキルであり、R18及びR19は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。)。
【請求項44】
前記テルアリールジアミンは、
(a)パラジウム触媒及び基剤の存在下でハロゲン化ニトロアリール化合物を1,4−フェニレンビスボロン酸と接触させて、ジニトロテルアリール化合物を形成するステップと、
(b)前記ジニトロテルアリール化合物をパラジウム炭素触媒及び水素と接触させて、テルアリールジアミンを形成するステップとによって形成される、請求項43記載の方法。
【請求項45】
式(I)のジカチオンテルアリール化合物又はその医薬として許容し得る塩の製造方法であって:
(a)テルアリールジアルデヒドを提供するステップと、
(b)前記テルアリールジアルデヒドを、
(i)極性プロトン性溶媒中でアミノグアニジン及び基剤と接触させて、式(I)のビスヒドラゾンテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成する、又は
(ii)極性プロトン性溶媒中で2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン及び基剤と接触させて、式(I)のビス−ヒドラゾンテルアリール化合物を含む式(I)のジカチオンテルアリール化合物を形成するステップとを含む方法;
−Ar−(CH−Ar−(CH−Ar−L (I)
(式中、p及びqは、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、
Ar及びArは、独立に、
【化45】

からなる群から選択され、
A、Y、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Xは、O、S、NH、及びSeからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各sは、独立に、0〜2の整数であり、
各R、R及びRは、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
Arは、
【化46】

からなる群から選択され、
、A、A、Y、Y、Y、Z、Z、及びZは、独立に、N及びCRからなる群から選択され、Rは、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
各mは、独立に、0〜4の整数であり、
各tは、独立に、0〜6の整数であり、
各R、R、R、R、及びR10は、独立に、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシル、アリール、置換アリール、及びアリールオキシルからなる群から選択され、
及びLは、
【化47】

からなる群から選択され、
11、R12、R13、R14、R15、及びR20は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、あるいは
11及びR12は、ともに、C〜C10アルキル、C〜C10ヒドロキシアルキル、又はC〜C10アルキレンを表し、あるいは
11及びR12は、ともに、
【化48】

であり、
uは、1〜4の整数であり、R16は、H又は−CONHR17NR1819であり、R17はアルキルであり、R18及びR19は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。)。

【公開番号】特開2006−335759(P2006−335759A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−153042(P2006−153042)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(501345323)ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル (52)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
【住所又は居所原語表記】308 Bynum Hall,Campus Box 4105,Chapel Hill,North Carolina 27599−4105, United States of America
【出願人】(503164982)ジョージア・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデーション・インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】GEORGIA STATE UNIVERSITY RESEARCH FOUNDATION, INC.
【出願人】(506170502)
【氏名又は名称原語表記】Karl Werbovetz
【住所又は居所原語表記】5558 Foster Ave., Columbus, Ohaio 43085−3604 United States of America
【出願人】(506170904)
【氏名又は名称原語表記】Reto Brun
【住所又は居所原語表記】Swiss Tropical Institute,Scoinstrasse 57, CH−Basel, 4002 Switzerland
【Fターム(参考)】