説明

駆除剤

【課題】好ましくは動物において、長時間、節足動物を効率的に駆除するための方法を提供する。
【解決手段】ピレスロイドまたはピレトリン、並びに節足動物のニコチン作動性アセチルコリン受容体のアゴニスト(例えばイミダクロプリド、ニチアジン、又はスピノシン化合物)と組み合わせた液体組成物を、温血動物に局所適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは動物において、有効かつ持続可能なやり方で節足動物を駆除するための、節足動物のニコチン作動性アセチルコリン受容体のアゴニストと組み合わせたピレスロイド/ピレトリン(pyrethrin)クラス由来の節足動物駆除成分の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
動物の寄生性昆虫を制御するためのペルメトリン、即ち(3−フェノキシフェニル)メチル3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(CAS No[52645−53−1])を含む局所用製剤の使用は、知られている。(例えば、WO95/17090、JP−07247203、EP−A−567368、EP−A−461962、US−5236954およびUS−5074252参照)。
【0003】
昆虫のニコチン作動性アセチルコリン受容体のアゴニストは、例えば、欧州公開公報第464830号、第428941号、第425978号、第386565号、第383091号、第375907号、第364844号、第315826号、第259738号、第254859号、第235725号、第212600号、第192060号、第163855号、第154178号、第136636号、第303570号、第302833号、第306696号、第189972号、第455000号、第135956号、第471372号、第302389号;ドイツ公開公報第3639877号、第3712307号;日本公開公報第03220176号、第02207083号、第63307857号、第63287764号、第03246283号、第049371号、第03279359号、第03255072号;米国特許明細書第5034524号、第4948798号、第4918086号、第5039686号、第5034404号;PCT出願第WO91/17659号、第92/4965号;フランス出願第2611114号;ブラジル出願第8803621号から、知られている。動物の寄生性昆虫を制御するための昆虫のニコチン作動性アセチルコリン受容体のアゴニストまたはアンタゴニストを含有するスポットオン(spot-on)製剤の使用は、同様に知られている(例えば、WO98/27817、EP−A−682869およびEP0976328参照)。
【0004】
寄生虫と戦うためのペルメトリンのニコチン作動性アセチルコリン受容体のアゴニストまたはアンタゴニストとの組合せも、先行技術で記載されてきた(例えば、CN−1245637、WO00/54591、US−6080796、EP−A−981955、US−6033731、JP−07089803参照)。I型ピレスロイド類の節足動物駆除活性は、US−4178384(Pyrethroid insect repellent. Ensing, Kenneth J., 1979, US 4178384)に最初に記載され、Matthewson ら (1981, Screening techniques for the evaluation of chemicals with activity as tick repellent s. Matthewson, Michael D.; Hughes, Graham; Macpherson, Ian S.; Bernard, Colette P., Pesticide Science, 12(4), 455-62) および Shemanchuk (1981, repellent action of permethrin, cypermethrin, and resmethrin against black flies (Simulium species) attacking cattle. Shemanchuk, Joseph A., Pesticide Science, 12(4), 412-16) は、各々マダニおよびノミに対するI型およびII型ピレスロイド類の駆除活性を記載している。
【0005】
スポットオン製剤、例えばペルメトリンをベースとするスポットオン製剤の不利益は、それらのノミ、ユスリカ(midge)およびハエに対する低活性である。
概して、ニコチン作動性アセチルコリン受容体のアゴニストおよびアンタゴニスト(例えば、WO96/17520参照)は、昆虫に対して良好な活性を有する。しかしながら、それらの不利益は、マダニに対して事実上無効であり、マダニ駆除活性を示さないことである。
【0006】
これが、マダニおよびノミを成功裏に制御し、ユスリカおよびハエを駆除するために、様々な製剤を用いる動物の複合的処置が今日まで必要とされた理由である。経済的および環境的理由で、これらの製剤を、皮膚に良好に耐容され、中毒学的に許容し得、かつ、特にマダニ、ノミ、ユスリカおよびハエに対する、低適用量(例えば、0.1ml/1.0kg[処置しようとする動物の体重])でのそれらの少なくとも3ないし4週間の良好な長期作用によりさらに卓越している他のもので置き換えるのが望ましい。さらに、そのような製剤は、例えば常套のスポットオンチューブの場合、全気候で、通常少なくとも3年間、十分に保存中に安定であるべきである。
【0007】
WO02/087338は、寄生性昆虫、特にマダニおよびノミに対して有効である、皮膚科学および環境的に許容し得る、使用者に親切な、ペルメトリンおよび昆虫のニコチン作動性アセチルコリン受容体のアゴニストまたはアンタゴニストを含む皮膚適用製剤を記載している。
【発明の概要】
【0008】
驚くべきことに、この度、ピレスロイド/ピレトリン群からの活性化合物を、節足動物のニコチン受容体にアゴニスト的に作用する活性化合物と組み合わせて含有する組成物は、例えばマダニ、ユスリカおよびハエなどの節足動物に対して、ピレスロイド/ピレトリンを単独で含有する製剤の駆除効果を超越する、非常に良好な駆除特性を有することが判明した。これは、処置された動物と外寄生生物の相対的接触時間と、接触後100%の死亡率を達成するのに必要な接触時間との両方に関する。インビトロの比較研究からわかるように、この効果がこの製剤に起因すると考えることはできない。
【0009】
従って、本明細書で以下により詳しく説明するタイプの係る組合せ製剤は、既に動物を攻撃した寄生虫を制御することができるのみならず、驚くべきことに、急性攻撃を非常に効率的に防止し、従って、節足動物、特にマダニ、ユスリカおよび吸血ハエによる、起こりえる病原体の伝染を防止する。
【0010】
本発明は、以下に関するものである;
1.節足動物を駆除するための、ニコチン性アゴニストと組み合わせたピレスロイドまたはピレトリンの使用。
2.ピレスロイドが以下の群:
I.I型ピレスロイド化合物
II.II型ピレスロイド化合物
III.非エステル性ピレスロイド化合物
IV.天然ピレトリン化合物
から選択される、1項の使用。
3.ニコチン性アゴニストが以下の群:
V.ネオニコチノイド化合物
VI.ニチアジン(Nithiazine)
VII.スピノシン(Spinosyn)化合物
から選択される、1項の使用。
4.温血種上のマダニ、ノミ、ユスリカおよび/またはハエを駆除するための、1項に記載の使用。
5.ピレスロイドまたはピレトリンをニコチン性アゴニストと組み合わせて温血動物に局所適用する、温血種から節足動物を駆除する方法。
6.ニコチン性アゴニストと組み合わせたピレスロイドまたはピレトリンを、そこから節足動物を駆除しようとする場所または物に適用する、節足動物をそれらが望ましくない場所または物から駆除する方法。
【0011】
本発明による組成物は、好ましくは液体であり、皮膚適用に適し、特にポアオン(pour-on)またはスポットオン製剤として知られるものである。他の適用形が実施可能である(下記参照)。
【0012】
それらは、通常、ピレスロイドまたはピレトリンを以下の量で含有する:
I.例えばペルメトリンなどのI型ピレスロイド化合物:15−75重量%、好ましくは33−55重量%。
II.例えばシペルメトリンなどのII型ピレスロイド化合物:1−20重量%、好ましくは5−15重量%。
III.例えばエトフェンプロックス(etofenprox)、シラフルオフェン(silafluofen)などの非エステル性ピレスロイド化合物:15−75重量%、好ましくは40−60重量%。
IV.例えばピレトリンI、ジャスモリン(jasmolin)I、シネリン(cinerin)I、ピレトリンII、ジャスモリンII、シネリンIIなどの天然ピレトリン化合物:25−75%、好ましくは30−50重量%。
【0013】
本発明に従い使用できる組成物は、ニコチン性アゴニストV−VIIのクラスから、活性化合物を以下の量で含有する:
V.ネオニコチノイド化合物:1−25重量%、好ましくは5−15重量%。言及し得る例は:イミダクロプリド(imidacloprid)、チアクロプリド(thiacloprid)、クロチアニジン(clothianidin)、ニテンピラム(nitenpyram)、ジノテフラン(dinotefuran)、チアメトキサム(thiamethoxam)である。
VI.ニチアジン20−40重量%、好ましくは25−35重量%。
VII.スピノシン化合物:1−25重量%、好ましくは5−15重量%。言及し得る例は:スピノサド(spinosad)、ブチル−スピノサドである。
【0014】
さらに、本発明に従い使用できる組成物は、一般的に、常套の溶媒および展着剤(spreading agent)、そして、適するならば、常套の補助剤を含有する。
【0015】
重量パーセントは、総重量に対するものである。
ピレスロイド化合物/ピレトリン化合物の、I型ピレスロイド化合物、II型ピレスロイド化合物、非エステル性ピレスロイド化合物および天然ピレトリン化合物への分類は、出典明示により本明細書の一部とする Encyclopedic Reference of Parasitology 2nd ed., Disease, Treatment, Therapy, (H. Mehlhorn ed.), 2001, pages 91-96 に詳述されている。
【0016】
I型ピレスロイド化合物の例は、アレトリン(allethrin)、バイオアレトリン(bioallethrin)、ペルメトリン、フェノトリン(phenothrin)、レスメトリン(resmethrin)、テトラメトリン(tetramethrin)である。
【0017】
II型ピレスロイド化合物の例は:アルファ−シペルメトリン、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シペルメトリン、デルタメトリン(deltamethrin)、フェンバレレート、フルシトリネート(flucythrinate)、フルメトリン(flumethrin)、タウ−フルバリネート(tau-fluvalinate)である。
【0018】
非エステル性ピレスロイド化合物の例は、例えば、エトフェンプロックス、シラフルオフェンである。
天然ピレトリン化合物の例は、ピレトリンI、ピレトリンII、シネリンI、シネリンII、ジャスモリンI、ジャスモリンIIである。
【0019】
好ましく言及される昆虫のニコチン作動性アセチルコリン受容体のアゴニストは、ネオニコチノイド化合物である。
【0020】
ネオニコチノイド化合物は、特に、式(I)
【化1】

式中:
Rは、水素、アシル、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは複素環アルキルの基の置換されていることもある基を表し;
Aは、水素、アシル、アルキル、アリールの群からの一官能基、または基Zに連結している二官能基を表し;
Eは、電子吸引基を表し;
Xは、基−CH=または=N−を表し、基−CH=はH原子の代わりに基Zに連結していてもよく;
Zは、アルキル、−O−R、−S−R、
【化2】

(式中、Rは、同一または異なる基を表し、上述の意味を有する)
の群からの一官能基を表すか、または、
Zは、基Aまたは基Xに連結している二官能基を表す、
の化合物を意味すると理解される。
【0021】
特に好ましいのは、式中の基が以下の意味を有する式(I)の化合物である:
Rは、水素および、アシル、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環アルキルの群からの置換されていることもある基を表す。
【0022】
言及し得るアシル基は、ホルミル、(C1−8−アルキル)−カルボニル、(C6−10−アリール)−カルボニル、(C1−8−アルキル)−スルホニル、(C6−10−アリール)−スルホニル、(C1−8−アルキル)−(C6−10−アリール)−ホスホリルであり、これらは全て置換されていてもよい。
【0023】
言及し得るアルキル基は、C1−10−アルキル、特にC1−4−アルキル、ことさらにメチル、エチル、i−プロピル、sec−またはt−ブチルであり、これらは全て置換されていてもよい。
【0024】
アリールは、特に、C6−10−アリールであり、言及し得る例は、フェニル、ナフチル、特にフェニルである。
アラルキルは、特に、(C6−10−アリール)−(C1−4−アルキル)であり、言及し得る例は、フェニルメチル、フェネチルである。
【0025】
言及し得るヘテロアリール基は、10個までの環の原子を有し、N、O、S、特にNを、ヘテロ原子として有するヘテロアリール基である。以下のものは特に言及し得る:チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ベンゾチアゾリル。
【0026】
ヘテロアリールアルキルは、特に、ヘテロアリール−(C1−4−アルキル)であり、ヘテロアリールは上記定義の通りである。言及し得る例は、6個までの環の原子を有し、N、O、S、特にNを、ヘテロ原子として有するヘテロアリールメチル、ヘテロアリールエチルである。
【0027】
複素環は、特に、6個までの環原子を有し、N、O、Sから選択される3個までのヘテロ原子を有する、不飽和であるが非芳香族性の、または飽和のヘテロ環、例えばテトラヒドロフリルである。
【0028】
複素環アルキルは、特に、複素環−C1−2−アルキル、例えば:テトラヒドロフラニルメチルおよびテトラヒドロフラニルエチルである。
【0029】
例えば、そして好ましく言及し得る置換基は、以下のものである:
好ましくは1個ないし4個、特に1個または2個の炭素原子を有するアルキル、例えばメチル、エチル、n−およびi−プロピル並びにn−、i−およびt−ブチル;好ましくは1個ないし4個、特に1個または2個の炭素原子を有するアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n−およびi−プロピルオキシ並びにn−、i−およびt−ブチルオキシ;好ましくは1個ないし4個、特に1個または2個の炭素原子を有するアルキルチオ、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−およびi−プロピルチオ、並びにn−、i−およびt−ブチルチオ;好ましくは1個ないし4個、特に1個または2個の炭素原子を有し、そして好ましくは1個ないし5個、特に1個ないし3個のハロゲン原子を有するハロゲノアルキル、ハロゲン原子は同一かまたは異なり、そしてハロゲン原子は好ましくはフッ素、塩素または臭素、特にフッ素である、例えばトリフルオロメチル;ヒドロキシル;ハロゲン、好ましくはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素、特にフッ素、塩素および臭素;シアノ;ニトロ;アミノ;好ましくはアルキル基毎に1個ないし4個、特に1個または2個の炭素原子を有する、モノアルキル−およびジアルキルアミノ、例えば、メチルアミノ、メチル−エチル−アミノ、n−およびi−プロピルアミノおよびメチル−n−ブチルアミノ;カルボキシル;好ましくは2個ないし4個、特に2個または3個の炭素原子を有するカルボアルコキシ、例えばカルボメトキシおよびカルボエトキシ;スルホ(−SOH);好ましくは1個ないし4個、特に1個または2個の炭素原子を有するアルキルスルホニル、例えばメチルスルホニルおよびエチルスルホニル;好ましくは6個または10個のアリール炭素原子を有するアリールスルホニル、例えばフェニルスルホニル、並びにヘテロアリールアミノおよびヘテロアリールアルキルアミノ、例えばクロロピリジルアミノおよびクロロピリジルメチルアミノ。
【0030】
Aは、ことさら好ましくは、水素、および好ましくはRについて述べた意味を有するアシル、アルキル、アリールの群からの置換されていることもある基を表す。Aは、さらに、二官能性の基を表す。言及し得るA基は、1個ないし4個、特に1個ないし2個のC原子を有する、置換されていることもあるアルキレンであり、ここで、上述の置換基は、上記でさらに列挙された置換基であってもよく、アルキレン基は、N、O、Sの群からのヘテロ原子により中断されていてもよい。
【0031】
AおよびZは、それらが結合している原子と一緒になって、飽和または不飽和複素環式環を形成できる。複素環式環は、1個または2個のさらなる、同一かまたは異なるヘテロ原子および/またはヘテロ基を含有し得る。ヘテロ原子は、好ましくは酸素、硫黄または窒素であり、ヘテロ基は、好ましくはN−アルキル基であり、N−アルキル基のアルキルは、好ましくは1個ないし4個、特に1個または2個の炭素原子を含有する。言及し得るアルキル基は、メチル、エチル、n−およびi−プロピル並びにn−、i−およびt−ブチルである。複素環式環は、5個ないし7個、好ましくは5個または6個の環構成員を有する。
【0032】
言及し得る複素環式環の例は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、モルホリンおよびオキサジアジンであり、それらは全て、好ましくはメチルにより、置換されていることもある。
【0033】
Eは電子吸引基を表し、言及し得る基は、特にNO、CN、ハロゲノアルキルカルボニル、例えば1個ないし9個のハロゲン原子を有するハロゲノ−C1−4−アルキルカルボニル、特にCOCF、およびC1−4−アルキルスルホニルおよび1個ないし9個のハロゲン原子を有するハロゲノ−C1−4−アルキルスルホニル、特にSOCFである。
【0034】
Xは、−CH=または−N=を表す。
Zは、置換されていることもある基アルキル、−OR、−SR、−NRRを表し、ここで、Rおよび置換基は、好ましく上述の意味を有する。
Zは上述の環を形成するだけでなく、それが結合している原子、およびXの代わりに基
【化3】

と一緒になって、飽和または不飽和の複素環式環を形成し得る。複素環式環は、1個または2個のさらなる、同一かまたは異なるヘテロ原子および/またはヘテロ基を含有し得る。ヘテロ原子は、好ましくは酸素、硫黄または窒素であり、ヘテロ基は、好ましくはN−アルキル基であり、アルキルまたはN−アルキル基は、好ましくは1個ないし4個、特に1個または2個の炭素原子を含有する。言及し得るアルキル基は、メチル、エチル、n−およびi−プロピル、並びにn−、i−およびt−ブチルである。複素環式環は、5個ないし7個、好ましくは5個または6個の環構成員を含有する。
言及し得る複素環式環の例は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミン、モルホリンおよびn−メチルピペラジンである。
【0035】
本発明に従いことさら非常に好ましく使用できる化合物として言及し得る化合物は、一般式(II)、(III)および(IV)のものである:
【化4】

【化5】

【化6】

式中、
nは、1または2を表し、
mは、0、1または2を表し、
置換基は、上述の置換基の1つ、特にハロゲン、非常にことさらに塩素を表し、
A、Z、XおよびEは、上述の意味を有する。
【0036】
以下の化合物に特に言及し得る:
【化7】

【0037】
【化8】

【0038】
【化9】

【0039】
以下のことさらに好ましい化合物は、個別に言及し得る:
【化10】

【0040】
ネオニコチノイドの群からのニコチン性アゴニストに加えて、他のニコチン性アゴニストも本発明に従い使用し得る。
この文脈で言及し得る例は、スピノシンの群からの化合物、特に Boeck らのEP375316A1および Deamicis らのWO97/00265A1に記載されている通りの、スピノシンAおよびDである;
【化11】

上述の文献を出典明示により本明細書の一部とする。
【0041】
本明細書の文脈では、スピノシン化合物は、天然スピノシン化合物の合成および半合成誘導体、または、遺伝子改変された株、例えば、WO02/77004およびWO02/77005に記載のサッカロポリスポラ(Saccharopolyspora)の種から得られる誘導体を意味するとも理解される;上述の文献を出典明示により本明細書の一部とする。
【0042】
言及し得る例は、Rがグリコシドであり(R=R)、Rが、H、OHまたはアルコキシ(通常1個ないし8個、好ましくは1個ないし4個の炭素原子を有する)であり;Rが、H、メチルであり、RおよびRがHであるか、または一緒になって二重結合またはエポキシ基を形成し、式I中のRが、トランス−1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、ブチル、3−ヒドロキシ−ブテニル、プロピル、1−プロペニル、1,2−エポキシ−1−ブチル、3−オキソ−1−ブテニル、CHCH(OCH)CH=CH−、CHCH=CHCH(CHCOCH)−またはCHCH=CHCH[CHCON(CH]−であり;RがHまたはグリコシドである(R=R)、式IおよびIIの化合物である。
【0043】
【化12】

【0044】
ニコチン受容体のアゴニストとして活性であり、同様に群1からの化合物と成功裏に組み合わせることができる他の化合物は、例えば、ニコチンまたはニチアジンである。
【化13】

【0045】
驚くべきことに、ピレスロイド/ピレトリンの群からの活性化合物と組み合わせた、ニコチン性アゴニストの群からの活性化合物の、本発明に従い使用される組合せの駆除効果および短い接触での死亡率は、個々の成分の活性に基づいて予想されたものを上回る。従って、これらの組成物の使用により、活性化合物の適用割合を減らし、持続的活性を延長させることが可能である。従って、それらの使用には経済的かつ環境的な利益がある。
【0046】
本発明に従い使用される組合せは、寄生虫の駆除における使用、およびそのような寄生虫により伝染する病原体の伝染の防止に、抜群に適する。寄生虫は、ヒトまたは動物において直接、または環境中で駆除できる。さらに、上述の活性化合物の組合せは、また、物の保護に、即ち、それらが望ましくない場所および物から節足動物を駆除するために、使用できる。
【0047】
言及し得る寄生虫は:
シラミ目(Anoplura)から、例えば、ヘマトピナス属(Haematopinus spp.)、リノグナタス属(Linognathus spp.)、ソレノポテス属(Solenopotes spp.)、ペジクラス属(Pediculus spp.)、プチラス属(Pthirus spp.);
ハジラミ目(Mallophaga)から、例えば、トリメノポン属(Trimenopon spp.)、メノポン属(Menopon spp.)、エオメナカンタス属(Eomenacanthus spp.)、メナカンタス属(Menacanthus spp.)、トリコデクテス属(Trichodectes spp.)、フェリコラ属(Felicola spp.)、ダマリネア属(Damalinea spp.)、ボビコラ属(Bovicola spp.);
ハエ目(Diptera)から、例えば、アエデス属(Aedes spp.)、クレックス属(Culex spp.)、シムリウム属(Simulium spp.)、フレボトマス属(Phlebotomus spp.)、ルトゾミア属(Lutzomyia spp.)、クリソプス属(Chrysops spp.)、タバナス属(Tabanus spp.)、ムスカ属(Musca spp.)、ヒドロタエア属(hydrotaea spp.)、ムスシナ属(Muscina spp.)、ヘマトボスカ属(Haematobosca spp.)、ヘマトビア属(Haematobia spp.)、ストモキシス属(Stomoxys spp.)、ファンニア属(Fannia spp.)、グロッシナ属(Glossina spp.)、ルシリア属(Lucilia spp.)、カリフォラ属(Calliphora spp.)、アウチメロミア属(Auchmeromyia spp.)、コルジロビア属(Cordylobia spp.)、コチリオミア属(Cochliomyia spp.)、クリソミア属(Chrysomyia spp.)、サルコファーガ属(Sarcophaga spp.)、ウオールファルチア属(Wohlfartia spp.)、ガステロフィラス属(Gasterophilus spp.)、オエステロミア属(Oesteromyia spp.)、オエデマゲナ属(Oedemagena spp.)、ヒポデルマ属(Hypoderma spp.)、オエストラス属(Oestrus spp.)、リノエストラス属(Rhinoestrus spp.)、メロファガス属(Melophagus spp.)、ヒポボスカ属(Hippobosca spp.)、
ノミ目(Siphonaptera)から、例えば、クテノセファリデス属(Ctenocephalides spp.)、エチドノファーガ属(Echidnophaga spp.)、セラトフィラス属(Ceratophyllus spp.)、プレックス属(Pulex spp.)、
マダニ亜目(Metastigmata)から、例えば、ヒアローマ属(Hyalomma spp.)、リピセファラス属(Rhipicephalus spp.)、ボーフィラス属(Boophilus spp.)、アンブリオーマ属(Amblyomma spp.)、ヘマフィサリス属(Haemaphysalis spp.)、ダーマセンター属(Dermacentor spp.)、イクソデス属(Ixodes spp.)、アラガス属(Argas spp.)、オルニトドラス属(Ornithodorus spp.)、オトビウス属(Otobius spp.);
トゲダニ亜目(Mesostigmata)から、例えば、ダーマニッサス属(Dermanyssus spp.)、オルニトニッサス属(Ornithonyssus spp.)、ニューモニッサス属(Pneumonyssus spp.)、
ケダニ亜目(Prostigmata)から、例えば、チェイレチエラ属(Cheyletiella spp.)、ソーラルガテス属(Psorergates spp.)、ミオビア属(Myobia spp.)、デモデックス属(Demodex spp.)、ネオトロンビキュラ属(Neotrombicula spp.);
コナダニ亜目(Astigmata)、例えば、アカラス属(Acarus spp.)、ミオコプテス属(Myocoptes spp.)、ソーロプテス属(Psoroptes spp.)、コリオプテス属(Chorioptes spp.)、オトデクテス属(Otodectes spp.)、サルコプテス属(Sarcoptes spp.)、ノトエドレス属(Notoedres spp.)、ネミドコプテス属(Knemidocoptes spp.)、ネオネミドコプテス属(Neoknemidocoptes spp.)、シトディテス属(Cytodites spp.)、ラミノシオプテス属(Laminosioptes spp.)、である。
【0048】
本発明に従い、動物、特に温血種において、節足動物、好ましくはマダニ、ノミ、ユスリカおよびハエを駆除するために本組成物を使用する。ヒトでの使用も可能である。
【0049】
動物の例は、飼育している動物または家畜:ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラクダ、スイギュウ、ロバ、ウサギ、ダマジカ、トナカイ、ミンク、チンチラ、アライグマなどの毛皮獣などの哺乳動物;例えば、ニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ、アヒルおよびダチョウなどの鳥類である。
【0050】
それらはさらに、例えば、マウス、ラット、モルモット、ゴールデンハムスター、イヌおよびネコなどの研究用動物および実験用動物である。
イヌおよびネコなどの愛玩動物での使用はことさら好ましい。
【0051】
概して、処置された動物は、例えば摩擦により、または屑(debris)と一緒に、相当量の用いた組成物を環境中に分散させるので、本発明による組成物は、動物に直接的に作用するだけでなく、対応して、それらの環境中でも作用し得る。
【0052】
当然、本発明に従って使用される組成物は、上述の活性化合物に加えて、他の適する活性化合物を付加的に含み得る。
【0053】
言及し得る例は、成長阻害活性化合物および佐薬であり、例えば、ピリプロキシフェン{2−[1−メチル−2−(4−フェノキシフェノキシ)−エトキシ]−ピリジン CAS No.:95737−681}、メトプレン[(E,E)−1−メチルエチル 11−メトキシ−3,7,11−トリメチル−2,4−ドデカジエノエートCAS No.:40596−69−8]およびトリフルムロン{2−クロロ−N−[[[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ]カルボニル]ベンズアミドCAS No.:64628−44−0}である。
【0054】
DEET(ジエチルトルアミド)、Bayrepel(登録商標)(CAS名称:1−ピペリジンカルボン酸,2−(2−ヒドロキシエチル)−,1−メチルプロピルエステル)、2−(オクチルチオ)エタノールまたはエチル3−(N−アセチル−N−ブチルアミノ)プロピオネートなどの駆除効果のあるさらなる物質の添加も、実施できる。
【0055】
動物への投与は、概して、直接または適する調製物の形態で、皮膚経路を介するものである。
ピレスロイド化合物/ピレトリン化合物の駆除メカニズムは、活性化合物と接触する可能性を必要とするので、保護しようとする表面全体にわたり、例えば処置する動物の体の全部分に、活性化合物を分配するのが望ましい。皮膚に浸透した活性化合物は駆除作用のために利用できないので、活性化合物の皮膚を介する浸透は、駆除効果に不利な傾向がある。
皮膚投与は、例えば、スプレー、ポアオンおよびスポットオンの形態で実施する。
【0056】
適する調製物は:
皮膚または体腔内に使用するために希釈後に適用するための液剤または濃縮剤、ポアおよびスポットオン製剤、ゲル剤;
乳剤および懸濁剤、半固体調製物;
活性化合物を軟膏基剤または水中油もしくは油中水乳液基剤に組み込んだ製剤;
粉末剤、予混合剤(premix)または濃縮製剤などの固体製剤、顆粒剤、ペレット剤、エアゾル剤および活性化合物含有成形品、である。
【0057】
言及し得る溶媒は:生理的に許容し得る溶媒、例えば水、アルコール類、例えばエタノール、ブタノール、ベンジルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール類、N−メチルピロリドン、2−ピロリドンおよびこれらの混合物である。
【0058】
適するならば、活性化合物は、生理的に許容し得る植物油または合成油にも溶解させることができる。
言及し得る可溶化剤は、主溶媒中での活性化合物の溶解を促進するか、またはその沈殿を防止する溶媒である。例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエトキシル化ひまし油、ポリエトキシル化ソルビタンエステル類である。
保存剤は:ベンジルアルコール、トリクロロブタノール、p−ヒドロキシ安息香酸のエステル類、n−ブタノールである。
【0059】
液剤は、直接投与できる。濃縮液剤は、使用濃度への事前の希釈の後に使用する。
液剤は、皮膚にスポットオン、ポイントオン(pointed on)、擦り込み、噴出またはスプレーできる。
【0060】
製造中に濃化剤を添加するのが有利であり得る。濃化剤は:ベントナイト、コロイド状シリカ、モノステアリン酸アルミニウムなどの無機濃化剤、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール類およびそれらのコポリマー、アクリル酸塩およびメタクリル酸塩などの有機濃化剤である。
【0061】
ゲル剤は、皮膚に適用または塗布するか、体腔に導入する。ゲル剤は、注入液剤に関して記載した通りに製造された液剤を、十分な濃化剤と混合し、軟膏様の粘稠度の清澄な組成物を形成させることにより製造する。用いる濃化剤は、上記でさらに示した濃化剤である。
【0062】
ポアオンおよびスポットオン製剤は、皮膚の限定的な領域に注がれるか、または噴出され、活性化合物は皮膚に浸透し、全身的に作用する。
ポアオンおよびスポットオン製剤は、適する皮膚許容性(skin-tolerable)溶媒または溶媒混合物に活性化合物を溶解、懸濁または乳化させることにより製造する。適するならば、着色剤、吸収促進物質、抗酸化剤、日焼け止め剤および/または粘着剤などのさらなる補助剤を添加する。
【0063】
言及し得る溶媒は:水、アルカノール類、グリコール類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、グリセロール、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、フェノキシエタノールなどの芳香族性アルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジルなどのエステル類、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールアルキルエーテル類のようなエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどの環状カーボネート、芳香族性および/または脂肪族炭化水素類、植物または合成油、DMF、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、n−ブチル−もしくはn−オクチルピロリドン、N−メチルピロリドンなどのn−アルキルピロリドン類、2−ピロリドン、2,2−ジメチル−4−オキシメチレン−1,3−ジオキソランおよびグリセリンホルマール(glycerine formal)である。
【0064】
着色剤は、動物への使用を認可され、溶解または懸濁できるあらゆる着色剤である。
吸収促進物質は、例えば、DMSO、イソプロピルミリステート、ジプロピレングリコールペラルゴネート(pelargonate)、シリコン油などの展着油(spreading oil)、またはそれらのポリエーテルとのコポリマー、または脂肪酸のエステル、トリグリセリド、脂肪族アルコールである。
【0065】
抗酸化剤は、亜硫酸塩、またはメタ重亜硫酸カリウムなどのメタ重亜硫酸塩、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロールである。
日焼け止め剤は、例えば、ノバアンチソリン酸(novantisolic acid)である。
粘着剤は、例えば、セルロース誘導体、スターチ誘導体、ポリアクリル酸塩、天然ポリマー、例えばアルギン酸塩、ゼラチンである。
【0066】
乳剤は、油中水タイプまたは水中油タイプのいずれかである。
それらは、活性化合物を疎水相または親水相のいずれかに溶解し、適する乳化剤、および、適するならば、着色剤、吸収促進物質、保存剤、抗酸化剤、日焼け止め剤、濃化剤などのさらなる補助剤を利用して、これを他の相の溶媒と均質化することにより製造する。
【0067】
言及し得る疎水相(油)は:パラフィン油、シリコン油、ゴマ油、アーモンド油、ひまし油などの天然植物油、カプリル酸/カプリン酸(capric acid)ビグリセリド(biglyceride)などの合成トリグリセリド類、鎖長C8−12の植物脂肪酸または他の特別に選択された天然脂肪酸とのトリグリセリド混合物、ヒドロキシル基も含有してもよい飽和または不飽和脂肪酸の部分的グリセリド混合物、C/C10脂肪酸のモノ−およびジグリセリド、
エチルステアレート、ジ−n−ブチリルアジぺート、ヘキシルラウレート、ジプロピレングリコールペラルゴネートなどの脂肪酸エステル、中鎖長分枝脂肪酸の鎖長C16−C18の飽和脂肪族アルコールとのエステル、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、鎖長C12−C18の飽和脂肪族アルコールのカプリル酸/カプリン酸エステル、イソプロピルステアレート、オレイルオレエート、デシルオレエート、エチルオレエート、エチルラクテート、合成アヒル尾腺脂などの蝋様脂肪酸エステル、ジブチルフタレート、ジイソプロピルアジペート、後者に関するエステル混合物には、イソトリデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、セチルステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコールが含まれる、
例えばオレイン酸およびその混合物などの脂肪酸、である。
【0068】
言及し得る親水相は:水、例えば、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどのアルコール類およびそれらの混合物である。
【0069】
言及し得る乳化剤は:非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエトキシル化ひまし油、ポリエトキシル化ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチルステアレート、アルキルフェニルポリグリコールエーテル類;
両性界面活性剤、例えば、ジナトリウムN−ラウリル−β−イミノジプロピオネートまたはレシチン;
陰イオン性界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、モノ/ジアルキルポリグリコールエーテルオルトホスフェートモノエタノールアミン塩;
陽イオン性界面活性剤、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、である。
【0070】
言及し得るさらなる補助剤は:カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースおよび他のセルロースおよびスターチ誘導体、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、ポリエチレングリコール類、ワックス、コロイド状シリカまたは上述の物質の混合物などの濃化および乳液安定化物質である。
【0071】
懸濁剤は、活性化合物を、適するならば湿潤剤、着色剤、吸収促進物質、保存剤、抗酸化剤、日焼け止め剤などのさらなる補助剤を添加して、賦形剤流体に懸濁することにより製造する。
言及し得る賦形剤流体は、あらゆる均質な溶媒および溶媒混合物である。
言及し得る湿潤剤(分散剤)は、上記でさらに示した界面活性剤である。
言及し得るさらなる補助剤は、上記でさらに示したものである。
【0072】
半固体製剤は、上記の懸濁剤および乳剤と、粘性が高いことでのみ異なっている。
固体製剤を製造するために、活性化合物を、適切な賦形剤と適するならば補助剤を添加して混合することにより、所望の形態にする。
【0073】
言及し得る賦形剤は、あらゆる生理的に耐容し得る固体の不活性物質である。使用されるものは、無機および有機物質である。無機物質は、例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素塩、酸化アルミニウム類、酸化チタン、シリカ類、粘土質土壌、沈殿状またはコロイド状シリカ、リン酸塩である。
【0074】
有機物質は、例えば、糖、セルロース、粉末乳、動物の粉餌(meal)、細かいか粗い穀物の粉餌、スターチなどの食料および飼料である。
補助剤は、すでに上記でさらに言及した保存剤、抗酸化剤および着色剤である。
【0075】
さらなる適する補助剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ベントナイトなどの滑沢剤および潤滑剤(glidant)、スターチまたはクロスリンクしたポリビニルピロリドンなどの崩壊剤、例えば、スターチ、ゼラチンまたは直鎖ポリビニルピロリドンなどの結合剤、そしてまた微結晶性セルロースなどの乾燥結合剤である。
【0076】
活性化合物は、佐薬との、または病原性内部寄生虫に対して活性である他の活性化合物との混合物としても調製物中に存在できる。
【0077】
特にペルメトリン含有組成物にことさらに適するのは、WO02/087338に記載の製剤である。
それらは、以下を含有する:N−メチルピロリドン27.5ないし62.5重量%、好ましくは35ないし50重量%、特に好ましくは40ないし45重量%。
抗酸化剤0−0.5重量%、好ましくは0.05−0.25重量%、特に好ましくは0.05−0.15重量%。常套の抗酸化剤は全て適し、例えば、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロールなどのフェノール性抗酸化剤が好ましい。
有機酸0−0.5重量%、好ましくは0.05−0.25重量%、特に好ましくは0.05−0.15重量%。あらゆる医薬的に許容し得る有機酸、特に、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸およびリンゴ酸などのカルボン酸が使用に適する。特に好ましいのは、有機酸のクエン酸およびリンゴ酸である。クエン酸がことさら特に好ましい。クエン酸の量は、特に0.05ないし0.25の範囲で変動することができ、0.075−0.15%の範囲の量がことさら好ましい。
共溶媒2.5−10重量%、好ましくは2.5−7.5重量%、特に好ましくは3.5−6.0重量%。
【0078】
適する共溶媒は、沸点>80℃かつ引火点>75℃の有機溶媒である。好ましくは、共溶媒は、展着剤として作用する。これに関して、高沸点脂肪族および芳香族性アルコール類、脂肪族ポリエーテル類、脂肪族および/または芳香族性エステル類、環式および/または非環式炭酸塩に言及し得る。
【0079】
用いられる共溶媒は、好ましくは脂肪族非環式または環式エーテル類またはポリエーテル類、および脂肪酸エステル、特にトリグリセリドである。
例として、エーテル類またはポリエーテル類、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールおよびテトラヒドロフルフリルエトキシレートの群からのもの(最後に言及した2つの物質が特に好ましい);脂肪酸エステル類およびトリグリセリド類、例えば、イソプロピルミリステート、Miglyol 810、Miglyol 812、Miglyol 818、Miglyol 829、Miglyol 840 および Miglyol 8810 (Miglyol 類の定義には、例えば, H.P. Fiedler Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete [Dictionary of the auxiliaries for pharmacology, cosmetology and related fields], pages 1008 1009, Vol. 2, Edito Cantor Verlag Aulendorf (1996) 参照)に、言及し得る。
【0080】
上述の共溶媒で改変された組成物は、非常に良好に皮膚および眼に耐容されるという事実、優れた生物学的活性、および常套の単回用量適用チューブにおける有利な低温で安定な挙動により、卓越している。
【0081】
上述の成分に加えて、本発明による組成物は、さらなる常套の医薬的に許容し得る補助剤を含有できる。例として言及し得るものは、展着剤および界面活性剤である。
展着剤は、例えば、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、イソプロピルミリステート、ジプロピレングリコールペラルゴネート、ジメチコンなどの環式または非環式シリコン油などの展着油、およびエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドとのさらなるそれらのコポリマーおよびターポリマー(terpolymer)、およびホルマリン、脂肪酸エステル、トリグリセリド、脂肪族アルコールである。
【0082】
言及し得る界面活性剤は:非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエトキシル化ひまし油、ポリエトキシル化ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチルステアレート、アルキルフェニルポリグリコールエーテル類;
ジナトリウムN−ラウリル−β−イミノジプロピオネートまたはレシチンなどの両性界面活性剤;
陰イオン性界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、モノ/ジアルキルポリグリコールエーテルオルトホスフェートモノエタノールアミン塩;
陽イオン性界面活性剤、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、である。
【0083】
本発明に従い使用される組成物は、常套の方法により、例えば、活性化合物をさらなる構成分と、撹拌しながら混合し、溶液を形成させることにより製造できる。適するならば、この溶液を濾過できる。それを例えばプラスチックチューブに納めることができる。
【0084】
WO02/087338に記載の製剤の好ましい適用量は、0.075−0.25ml/1.0kg[処置しようとする動物の体重]、好ましくは0.1−0.15ml/1.0kg[処置しようとする動物の体重]である。
【0085】
それらは、例えば、壁厚300−500μm、容積1.0−4.0mlの単回用量ポリプロピレンポリマーチューブなどの保存クリティカル(storage-critical)容器に納めて売却するのに抜群に適する。
【0086】
さらに、本組成物は非常に皮膚に優しく、毒性が低く、そして、生物分解可能であるお陰で環境的に優しい。
【実施例】
【0087】
実施例
実施例1
45g 40%シスおよび60%トランス異性体を含むペルメトリン
10g Bayer AG のイミダクロプリド(1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−N−ニトロ−2−イミダゾリジンイミン)
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT(ブチルヒドロキシトルエン)
を含む均質スポットオン液剤。
【0088】
実施例2
45g 40%シスおよび60%トランス異性体を含むペルメトリン
10g イミダクロプリド
40.8g N−メチルピロリドン
4.0g 水
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0089】
実施例3
45g 40%シスおよび60%トランス異性体を含むペルメトリン
10g Ti 435、Takeda AG のクロチアニジン
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0090】
実施例4
45g 40%シスおよび60%トランス異性体を含むペルメトリン
10g Syngenta AG のジアクロデン(diacloden)(チアメトキサム)
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0091】
実施例5
45g 40%シスおよび60%トランス異性体を含むペルメトリン
10g Dow Agrosciences のスピノサド(8.5gスピノシンA;1.5gスピノシンD)
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0092】
実施例6
45g 40%シスおよび60%トランス異性体を含むペルメトリン
20g Shell AG のニチアジン
34.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0093】
実施例7
45g 40%シスおよび60%トランス異性体を含むペルメトリン
10g Ti 435、Takeda AGのクロチアニジン
39.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルアルコール
を含む均質スポットオン液剤。
【0094】
実施例8
45g 40%シスおよび60%トランス異性体を含むペルメトリン
10g Syngenta AG のジアクロデン(チアメトキサム)
39.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0095】
実施例9
45g 40%シスおよび60%トランス異性体を含むペルメトリン
10g Dow Agrosciences のスピノサド(8.5gスピノシンA;1.5gスピノシンD)
39.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0096】
実施例10
45g 40%シスおよび60%トランス異性体を含むペルメトリン
20g Shell AG のニチアジン
29.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0097】
実施例11
10g α−シペルメトリン
10g イミダクロプリド
79.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT(ブチルヒドロキシトルエン)
を含む均質スポットオン液剤。
【0098】
実施例12
10g α−シペルメトリン
10g イミダクロプリド
75.8g N−メチルピロリドン
4.0g 水
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0099】
実施例13
10g α−シペルメトリン
10g Ti 435、Takeda AG のクロチアニジン
79.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0100】
実施例14
10g α−シペルメトリン
10g Syngenta AG のジアクロデン(チアメトキサム)
79.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0101】
実施例15
10g α−シペルメトリン
10g Dow Agrosciences のスピノサド(8.5gスピノシンA;1.5gスピノシンD)
79.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0102】
実施例16
10g α−シペルメトリン
20g Shell AG のニチアジン
69.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0103】
実施例17
10g α−シペルメトリン
10g Ti 435、Takeda AG のクロチアニジン
74.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルアルコール
を含む均質スポットオン液剤。
【0104】
実施例18
10g α-シペルメトリン
10g Syngenta AG のジアクロデン(チアメトキサム)
74.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0105】
実施例19
10g α−シペルメトリン
10g Dow Agrosciences のスピノサド(8.5gスピノシンA;1.5gスピノシンD)
74.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0106】
実施例20
10g α−シペルメトリン
20g Shell AG のニチアジン
64.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0107】
実施例21
45g エトフェンプロックス
10g イミダクロプリド
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT(ブチルヒドロキシトルエン)
を含む均質スポットオン液剤。
【0108】
実施例22
45g エトフェンプロックス
10g イミダクロプリド
40.8g N−メチルピロリドン
4.0g 水
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0109】
実施例23
45g エトフェンプロックス
10g Ti 435、Takeda AG のクロチアニジン
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0110】
実施例24
45g エトフェンプロックス
10g Syngenta AG のジアクロデン(チアメトキサム)
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0111】
実施例25
45g エトフェンプロックス
10g Dow Agrosciences のスピノサド(8.5gスピノシンA;1.5gスピノシンD)
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0112】
実施例26
45g エトフェンプロックス
20g Shell AG のニチアジン
34.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0113】
実施例27
45g エトフェンプロックス
10g Ti 435、Takeda AG のクロチアニジン
39.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルアルコール
を含む均質スポットオン液剤。
【0114】
実施例28
45g エトフェンプロックス
10g Syngenta AG のジアクロデン(チアメトキサム)
39.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0115】
実施例29
45g エトフェンプロックス
10g Dow Agrosciences のスピノサド(8.5gスピノシンA;1.5gスピノシンD)
39.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0116】
実施例30
45g エトフェンプロックス
20g Shell AG のニチアジン
29.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0117】
実施例31
45g 除虫菊抽出物
10g イミダクロプリド
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT(ブチルヒドロキシトルエン)
を含む均質スポットオン液剤。
【0118】
実施例32
45g 除虫菊抽出物
10g イミダクロプリド
40.8g N−メチルピロリドン
4.0g 水
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0119】
実施例33
45g 除虫菊抽出物
10g Ti 435、Takeda AG のクロチアニジン
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0120】
実施例34
45g 除虫菊抽出物
10g Syngenta AG のジアクロデン(チアメトキサム)
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0121】
実施例35
45g 除虫菊抽出物
10g Dow Agrosciences のスピノサド(8.5gスピノシンA;1.5gスピノシンD)
44.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0122】
実施例36
45g 除虫菊抽出物
20g Shell AG のニチアジン
34.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
を含む均質スポットオン液剤。
【0123】
実施例37
45g 除虫菊抽出物
10g Ti 435、Takeda AG のクロチアニジン
39.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルアルコール
を含む均質スポットオン液剤。
【0124】
実施例38
45g 除虫菊抽出物
10g Syngenta AG のジアクロデン(チアメトキサム)
39.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0125】
実施例39
45g 除虫菊抽出物
10g Dow Agrosciences のスピノサド(8.5gスピノシンA;1.5gスピノシンD)
39.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0126】
実施例40
45g 除虫菊抽出物
20g Shell AG のニチアジン
29.8g N−メチルピロリドン
0.1g クエン酸
0.1g BHT
5.0g テトラヒドロフルフリルエトキシレート
を含む均質スポットオン液剤。
【0127】
A. 動体(moving-object)バイオアッセイにおけるマダニの駆除。先行技術との比較
方法
Dautel et al. (1999) の方法による動体バイオアッセイ
簡単な説明:個々のマダニは、水平に設置されたガラス棒の上の、温められた、ゆっくりと回転している垂直の円柱に近づく。マダニは円柱の熱に引き寄せられ、回転している円柱上の付着部位に移動する。駆除剤がこの付着部位に適用されている場合、駆除効果は以下のいずれかにより測定できる;i)円柱に向かって移動するマダニの数の減少をベースとする、または、ii)付着部位に移動するマダニの数の減少による、または、iii)付着部位から早まって落ちるマダニの数の増加による。未処理対照の円柱は、比較の役割を果たす。接触性の駆除剤と遠隔作用性の駆除剤の両方を測定できる。
【0128】
試験条件:
各試験を30匹のマダニで実施する。全部のマダニを同じ器具で個別に順々に試験する。各試験群につき、駆除剤を含まない純粋な溶媒での対照試験を実施し、マダニの基礎的活動を確認する。試験を実施するために決定的な活動は、少なくとも70%のマダニが円柱上へ移動することである。各試験目的物につき、別の試験円柱を使用する。各試験群の後、使用した全設備を注意深く清浄化する。
【0129】
以下の条件は、イクソデス・リシナス(Ixodes ricinus)およびリピセファラス・サンギネアス(Rhipicephalus sanguineus)のマダニを試験するために確立された。
I.リシナス:
標準的円柱および付着領域を使用した (Dautel et al. (1999))。付着領域は、円柱表面の1−3mm上に位置した。直径2mmのガラス棒と付着領域との距離は、1から1.5mm以内であった。
【0130】
円柱の回転速度は、3.9ないし4.1s/回転であり、マダニと相対的に7.66−8.05cm/sに相当した。付着領域の表面温度は、34.6ないし35.5℃であった。室温および大気湿度は、19.1ないし22.3℃、43.4ないし78.1%r.h.であった。
【0131】
R.サンギネアス:
成虫のR.サンギネアスは、I.リシナスの若虫よりも速く動く。従って、円柱上の付着領域は、速く移動する種でも少なくとも10秒の接触時間を確保できるように、拡大しなければならない。従って、ここでは、全円柱が付着部位の役割を果たす。マダニの濾紙への付着が弱いので、円柱を Molton 布で覆った。Molton とガラス棒(直径4mm)との間の距離は1−3mmであり、マダニはガラス棒から円柱へいつでも移動できた。
【0132】
円柱の回転速度は、5.6ないし6.0s/回転であり、マダニと相対的に5.23−5.61cm/sに相当した。付着領域の表面温度は、35ないし36℃であった。室温および大気湿度は、19.4ないし23.5℃、59.1ないし79.5%r.h.であった。
【0133】
試験物質の適用
全実験で、溶媒として、そして希釈のために、アセトンを使用した。適用は、実験開始の1−2時間前に行い、溶媒が蒸発するのに十分な時間をとった。
使い捨てピペットを使用して、活性化合物を濾紙に適用した。より大きい Molton 布表面への均一な分配は、窒素圧下で噴霧器を利用して達成した。ここで、正確な適用量を戻し秤量(back-weighing)により測定した。
【0134】
MOバイオアッセイ
ガラス管中で上端まで活発に上り、マダニを移すために使用したアナグマ毛ブラシ(0または1)へ迅速に移動したマダニのみを試験に用いた。これらのマダニを、ガラス棒の先端まで1.5cm(I.リシナス)または2.5−4cm(R.サンギネアス)の距離で、頭が円柱の方を向くようにガラス棒に置いた。実験時間は、マダニがガラス棒上の1cm(I.リシナス)または2cm(R.サンギネアス)の印を横切ってすぐに開始した。ブラシから落ちたマダニまたはマーカーに到達する前にガラス棒から落ちたマダニは、評価に含めなかった。
【0135】
ストップウォッチを利用して、以下の時間を記録した:
−印を横切ってからガラス棒の端に到達するまでの時間
−ガラス棒の先端に到達してから円柱に移動するまでの時間
−マダニが処理領域から落ちるか、またはそこを離れるまでの、濾紙または Molton 布上に留まる時間
各時間に最大120秒を想定した。2分後にマダニを取り除き、時間を120秒と評価した。
【0136】
対照と比較した総駆除効果は、円柱に向かって動かなかったマダニ、円柱に移動しなかったマダニ、付着領域から落ちたマダニを全部加算することにより算出した。これらのマダニは全て、駆除されたと評価した。駆除効果は、以下の通りに算出した:
R=100−pt/pc*100、
式中、Rは駆除効果であり、ptは駆除されなかったマダニの百分率であり、そしてpcは、駆除されなかった対照マダニの百分率である。
【0137】
マダニのリピセファラス・サンギネアスの駆除実験の結果−先行技術との比較 (Schering-Plough の Exspot(登録商標))
【表1】

【0138】
驚くべきことに、実施例1の製剤は、標準(Exspot(登録商標) は、唯一の活性化合物としてペルメトリンを含有する)よりも明らかに著しい駆除効果を示す。実施例1では、円柱に移動したマダニは、標準の場合よりもかなり速く落下する。本実施例では、標準の駆除効果は、平均で4倍増強される。
【0139】
【表2】

【0140】
駆除効果の改善のさらなるしるしは、ガラス棒から円柱への移動の遅れである。再度、実施例1のマダニは標準と比較して平均で3倍長くかかることが確立された。ここでは、標準は対照の範囲内である。
【0141】
【表3】

【0142】
本発明による実施例1の製剤は、スポットオン投与で局所的に均一に分配される製剤の場合、意味のある用量範囲で、各々の対照と比較して、100%の駆除効果を有することが確立された。驚くべきことに、既知の市販製品は、同一の条件下で全てのマダニを駆除することができない。
【0143】
マダニのイクソデス・リシナスの駆除実験の結果−先行技術との比較 (Schering-Plough の Exspot(登録商標))
【表4】

【0144】
【表5】

【0145】
驚くべきことに、本発明による実施例について、Exspot(登録商標)により有効に駆除されないマダニであるイクソデスの場合でさえ、顕著に改善された駆除効果が確立された。特に、処置の始めにスポットオン適用部位からさらに離れた体表で、そして作用期間の終わりに動物の全身で予期できるような低用量割合で、本発明による実施例は高用量割合と同じ範囲の駆除を示し、一方、先行技術の駆除効果の曲線は既に6倍低下していた。
【0146】
従って、本発明による製剤は、同じ投与割合で、重要なパラメーターである、表面へ移動する可能性、表面滞在時間および低用量割合での有効性において、先行技術と比べて顕著に改善されたマダニの駆除効果を示す。
【0147】
B. 動体バイオアッセイにおけるマダニの死亡率
方法
動体バイオアッセイにおける短時間接触後の最終的死亡率の測定
要旨:曝露後、ふたに穴をあけたエッペンドルフチューブにマダニを個別に移し、90%r.h.、20℃で保存した。24時間後、そして7日後、実体鏡を利用してマダニを調べた。協調運動ができるマダニを生きているとみなした。足根または口部の小さい運動しかしないマダニ、または走ることができないマダニは、瀕死とみなした。CO刺激後または強光パルス後に動かないままのマダニは、死んでいるとみなした。
【0148】
研究の目的は、先行技術と比較して、様々な濃度で、様々な製剤の、曝露時間(=MOバイオアッセイ中の処理円柱表面滞在時間)と死亡率との間の関係を明らかにすることであった。
【表6】

【0149】
【表7】

【0150】
イクソデス属およびリピセファラス属のマダニの殺虫割合は、円柱表面接触後に高い。この高い死亡率に必要とされる平均接触時間は、本発明による製剤では先行技術より一層短かった。
【0151】
従って、本発明による製剤は、駆除されたマダニが明らかに1分未満の短い接触時間の後でさえ殺され、故に駆虫されたマダニにより他の宿主がもはや攻撃され得ないという事実により、さらなる保護を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
節足動物を駆除するための、ニコチン性アゴニストと組み合わせたピレスロイドまたはピレトリンの使用。
【請求項2】
ピレスロイドが以下の群:
I.I型ピレスロイド化合物
II.II型ピレスロイド化合物
III.非エステル性ピレスロイド化合物
IV.天然ピレトリン化合物
から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ニコチン性アゴニストが以下の群:
V.ネオニコチノイド化合物
VI.ニチアジン
VII.スピノシン化合物
から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
温血種上のマダニ、ノミ、ユスリカおよび/またはハエを駆除するための、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
ニコチン性アゴニストと組み合わせたピレスロイドまたはピレトリンを温血動物に局所適用する、温血種から節足動物を駆除する方法。
【請求項6】
ニコチン性アゴニストと組み合わせたピレスロイドまたはピレトリンを、そこから節足動物を駆除しようとする場所または物に適用する、節足動物をそれらが望ましくない場所または物から駆除する方法。

【公開番号】特開2011−168602(P2011−168602A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−85589(P2011−85589)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【分割の表示】特願2006−500515(P2006−500515)の分割
【原出願日】平成16年1月5日(2004.1.5)
【出願人】(508270727)バイエル・アニマル・ヘルス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】BAYER ANIMAL HEALTH GMBH
【Fターム(参考)】