説明

駐車位置案内システム

【課題】運転の目的に合った、より良い駐車位置に車両を案内する方法およびシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】駐車位置案内システムは、駐車位置の情報とともに、運転手が駐車時にカーナビへ入力する駐車場の空き状態,充電設備等の設備状況,走行目的に関する情報を駐車情報として各車両から取得する手段と、取得した車両からの駐車情報を蓄積する駐車情報DBを備え、各車両の駐車情報から使用された駐車場を推定して統計処理を行い作成した配送会社に対する推奨駐車場の優先順位を決定した推奨駐車場情報を駐車情報DBに記憶し、走行前にカーナビから目的地を受信すると、推奨駐車場情報の優先順位に基づき目的地における駐車位置を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車位置を案内する端末およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、配送用地図表示装置が特開平7−29099号公報で開示されている。これは、運転手が駐車場の要求を端末で行い、電話回線を介して駐車場要求信号がセンタ側へ送信される。センタ側では駐車場の予約を行い、予約完了の旨と駐車場位置が端末に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−29099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカーナビゲーション装置(以下カーナビと略す)では、指定された目的地の施設までの経路が探索されるため、そのルート案内通りに運転すると施設付近には到着できる。しかし大抵は、カーナビのルート案内が終了した後に、運転手が自身の目的に合った駐車位置を探すことになるため、駐車位置を探すために多くの時間を費やす場合がある。また、カーナビの目的地を施設の駐車場や周辺駐車場に設定しても、目的地として設定した駐車場が到着したときに空いているかどうかは実際に現地に到着しないとわからないことが多い。
【0005】
特に配送業では、配送先へ時間通りに品物を届ける、あるいは、配送先から指定された駐車位置に車両を停める必要があるといった条件が加わるため、運転手の目的に合った駐車位置へ車両を案内するシステムが求められる。例えば、目的地となる施設に複数の駐車場がある場合に、配送業者は施設の一般駐車場ではなく、納品口や資材搬入口などの近くに駐車する方が良い。また目的地が大規模な商業施設であり駐車場が複数ある場合には、配送目的の店舗に近い駐車場に停める方がより望ましい。更に、配送に用いる車両が大型車両の場合には、駐車場内の特定の位置に停める必要がある。
【0006】
本発明は、運転の目的に合った、より良い駐車位置に車両を案内する方法およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の駐車位置案内システムは、駐車位置の情報とともに、運転手が駐車時にカーナビへ入力する駐車情報を各車両から取得する手段と、取得した車両からの駐車情報を蓄積する駐車情報DBを備え、各車両の駐車情報から使用された駐車場を推定して統計処理を行い作成した配送会社に対する推奨駐車場の優先順位を決定した推奨駐車場情報を駐車情報DBに記憶し、走行前にカーナビから目的地を受信すると、推奨駐車場情報の優先順位に基づき目的地における駐車位置を通知する。
【発明の効果】
【0008】
施設に対応して複数の駐車位置がある場合、各運送会社に適した駐車位置に案内することができるため、目的地の施設に到着してから、駐車位置を探すことが無くなり、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を用いた駐車位置案内システムの構成図である。
【図2】駐車情報DBに格納されるデータの構成を示す図である。
【図3】施設に複数の駐車位置がある場合の例を示す図である。
【図4】駐車位置案内システムの全体処理を示すフローチャートである。
【図5】駐車情報を入力するカーナビ画面を示す図である。
【図6】推奨駐車場情報の生成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を用いた駐車位置案内システムの構成図を図1に示す。各配送車15は、搭載されたカーナビ16を経由して配送センタサーバ10と通信することができる。配送車15のカーナビ16では、搭載されている配送車15の走行ログを取得し、この走行ログはこのカーナビ16から配送センタサーバ10に送信される。
【0011】
配送センタサーバ10は、各配送車15のカーナビ16から送られてくる走行ログに記録された停車位置や日時などの情報を収集し、駐車状態に関するプローブデータとして駐車情報DB11に蓄積する。この他、駐車情報DB11には、配送先に対応する駐車場が複数存在する場合、優先的に使用する駐車位置を記憶した推奨駐車場情報も記憶しておく。また配送センタサーバ10では、配送先スケジューリングDB13のデータを基に、各配送車15について、配送先,配送時間等の指示および交通情報等を考慮した配送ルートを決定する。
【0012】
配送先で駐車する駐車場の指示は、駐車場ガイダンス処理部12により駐車情報DB11から、各駐車場について記憶されたプローブデータからその満空状態を推定し、到着時間帯における最適な駐車場の位置をカーナビに送信する。各配送先の駐車場の満空情報は、駐車情報DB11の統計データを用いて推定する他、Webから収集する情報や、駐車場の管理者から取得するなどした駐車場満空情報14からの情報も駐車情報DB11に取り込んで使用する。
【0013】
図2は駐車情報DB11に格納されるプローブデータと推奨駐車場情報の例である。図2(A)は、各配送車15に搭載されたカーナビ16から送信されてくるプローブデータの蓄積例である。図2(B)は、各運送会社毎に推奨する駐車場を優先順位付けした推奨駐車場情報の例である。各配送車は駐車位置案内システムで管理している運送会社の何れかに所属しており、配送車15の各プローブデータにはカーナビ16毎に固有のナビIDの情報が含まれるため、それぞれのプローブデータがどの運送会社に所属している車両のプローブデータなのかが判る。そこで、各配送車のプローブデータにおける駐車位置の情報を、ナビIDから判別した配送車が対応する運送会社毎に統計処理することで、各運送会社に属する配送車の運転手の嗜好あるいは、各運送会社で扱う配送物の条件に適した駐車場の位置を反映した駐車位置を優先順位付けすることが可能となる。
【0014】
図3は、配送先の施設に複数の駐車位置が存在する例である。図3(A)に示すような例の場合では、配送車両は施設へ配送物の納入を行う必要があるため、施設の一般用の入り口に面した一般駐車場に駐車するのではなく、納入口近くに駐車したほうが配送物の納入作業には良い。一方、図3(B)のような例の場合では、第1〜3駐車場のように駐車場が複数あり、使用可能な施設の入口も特に定められておらず、複数存在する場合である。このように、複数の駐車位置が存在する場合でも、運送会社によっては扱う配送物の条件に依ってより好ましい入口が存在する場合がある。運転者は、自己の作業により都合の良い駐車場、あるいは適切な入口近くの駐車場に車両を駐車させるように行動し、配送センタサーバ10から指定された駐車位置が不適切であった場合でも、実際の駐車位置をより適切な場所に移動することが予想されるため、図2(B)に示すような推奨駐車場情報を収集したプローブデータから作成しておくことにより、配送車を優先的に案内する駐車場の順番を定めておくことができる。
【0015】
図4は、本願発明を用いた駐車位置案内システムにおける配送車の運用管理処理全体の流れを説明したフローチャートである。まず各配送車15では、配送車に搭載されたカーナビ16では出発する前に運転手から目的地の入力を受付ける(S40)。カーナビ16は、運転者が入力した目的地を自身のナビIDの番号と共に配送センタサーバ10に送信する(S41)。
【0016】
カーナビ16から配送車の目的地の情報を受信した配送センタサーバ10では、駐車場ガイダンス処理部12により、共に受信したナビIDからこのナビが搭載された車両が属する運送会社を判別し、その運送会社に対応した推奨駐車場情報が配送センタサーバ10の駐車情報DB11にあるか調べる(S42)。推奨駐車場情報がある場合(S42:Yes)には、その中から受信した目的地における最も優先順位の高い推奨駐車場の位置を求め、カーナビ16へ推奨駐車場として返信する(S44)。この時、前述のように駐車情報DB11の統計データを用いてこの推奨駐車場の満空を推定して、到着時間帯に満車が予想される推奨駐車場を除き、最も優先順位の高い推奨駐車場の位置を送信するようにしても良い。これにより車両のプローブデータから得られた駐車位置あるいは実際に駐車した駐車場の満空情報により駐車場の満空情報の予測を行い、空いている駐車位置を指示することが可能となる。
【0017】
なお、ナビIDからそのカーナビが搭載された配送車が属する運送会社を判別するため、配送センタサーバ10で管理している各配送車15について、搭載されたナビのナビIDと所属する運送会社の情報が車両DB17に格納されているものとする。
【0018】
配送センタサーバ10から推奨駐車場の位置を得たカーナビ16は、その推奨駐車場を目的地に設定して経路探索を行い、求めたルートによりルート案内を開始する(S45)。一方、駐車情報DB11に、車両が属する運送会社について該当する目的地に対する推奨駐車場が記憶されていない場合(S42:No)には、配送センタサーバ10から推奨駐車場が送られてこないため、カーナビ16は、運転者が入力した目的地について経路探索を行い、ルート案内を開始する(S43)。
【0019】
カーナビ16へ推奨駐車場の情報を送信した後、カーナビ16から目的地到着後の駐車情報が来るまでの間、すなわち配送車15がカーナビ16のルート案内による移動途中の間、配送センタサーバ10では外部から受信した駐車場満空情報14により、カーナビ16に送信した推奨駐車場の満空状態を監視し(S46)、その満空状態が変化して満車状態になったことを検出した場合は(S46:Yes)、カーナビ16へ送信した推奨駐車場の次に優先順位の高い駐車場を新たな推奨駐車場として連絡して該当するカーナビ16へ送信し、そこへルートを再設定させることもできる(S47)。これによりS45の処理へ戻り、新たな推奨駐車場の情報を受信したカーナビ16では、改めて配送センタサーバ10から得た推奨駐車場の位置を目的地に設定した経路探索により再設定されたルートによる案内が開始される。例えば、図2(B)に示すような推奨駐車場情報が格納されていた場合、“運送会社A”に所属する配送車の目的地が“施設A”であれば、通常は優先順位の一番高い第1駐車場から案内されるが、この配送車の移動途中で第1駐車場が満車になった場合は、次に優先順位の高い第2駐車場への移動指示が送られる。同様にして、移動途中で第2駐車場が満車になった場合は、次に優先順位の高い第3駐車場への移動指示が送られることになる。
【0020】
このように目的地到着時における駐車場の満空を予測し、ルート走行中に満空情報が変化した場合は、より良い駐車位置を再検索し、ルーティングを自動的に変更することで、従来の駐車場案内と比較し精度の高い詳細な案内が可能となる。
【0021】
配送車15が推奨駐車場あるいは目的地の駐車場に到着した後、実際に駐車場に停車したら、カーナビ16では運転手から駐車情報の入力を受付けて配送センタサーバ10へ送信する(S48)。
【0022】
図5は、駐車情報を入力する際のカーナビ16の画面を示した図である。駐車情報として入力する項目は、実際の駐車位置に対応する場所を地図上に表示される矢印50をタッチパネルなどで操作することで指定した位置51,駐車日時52,配送車15の車種53,到着した駐車場の駐車時における空き状況54,登録する駐車位置の優先順位55,停めた駐車位置にEV用充電器が有るか無いかを表すEV充電器56,駐車の目的57、などである。
【0023】
運転者が配送車15を駐車場に停めたときにカーナビ16へ入力したこれらの項目からなる駐車情報は、地図上で指定された駐車位置が緯度・経度に変換され、目的地、ナビIDが付加された駐車状態に関するプローブデータとして配送センタサーバ10に送信され、駐車情報DB11に蓄積される。このように配送車15の緯度・経度と時刻情報からなる通常のプローブ情報のみの駐車情報にカーナビ16への入力情報を加えたプローブデータを収集することで、駐車情報DB11の高精度化が可能となる。
【0024】
図6は、ある施設に対して、運送会社毎の推奨駐車場を決定するための推奨駐車場情報を生成する処理を表したフローチャートである。推奨駐車場情報の生成処理では、駐車情報DB11に蓄積されたプローブデータにおける各配送車15からの駐車情報に基づき、配送車の停車位置から目的地となる施設毎に使用された駐車場を推定する(S61)。駐車場の推定では、駐車情報の駐車位置に最も近い駐車場が駐車場所であるものとする。次に、目的地となる施設と推定された駐車場について、駐車情報DB11に蓄積されたプローブデータの統計処理を行い(S62)、推定した駐車場それぞれについて、各運送会社の車両の利用回数を駐車場毎にカウントして利用頻度を求める。また、駐車場毎に、駐車日時と空き情報から、所定の時間帯毎に各駐車場の満空状態を推定し、推奨駐車場情報と同様に駐車情報DB11に格納しておく。この時、収集した駐車情報に、外部から収集した駐車場満空情報14の満空情報も加えて、各駐車場における時間帯毎の満空状態を推定するようにしても良い。
【0025】
そして、運送会社毎に求めた駐車場の利用頻度に基づき、最も利用回数の多い駐車場を、その運送会社の推奨駐車場1番として優先順位付けを行い、以下同様にして運送会社と目的地の組合せ毎に駐車場を優先順位付けし(S63)、その結果を推奨駐車場情報として駐車情報DB11に蓄積する(S64)。
【0026】
例えば、ある施設に第1駐車場,第2駐車場,第3駐車場があり、第2駐車場は資材搬入口に近いとする。運送会社Aが大型荷物を扱う業務が多い場合には、第2駐車場に停めるよう推奨するのが好ましい。一方、運送会社Bは主に小型荷物を扱うのであれば、施設の受付窓口がある入口1に近い第1駐車場に停めるのが好ましい。この場合、運転者は自然と自分の業務にとって望ましい駐車場へ、より頻繁に駐車することが予想されるため、図6に示した処理で生成される推奨駐車場情報における駐車場の優先順位には、運転手あるいは運送会社の好みが反映されることになる。また、一旦推奨駐車場情報が作成された後も、推奨された駐車場が実際の業務に適さない駐車場であれば、運転者はより適切な駐車場を探して駐車させることになるため、常に駐車情報を収集して推奨駐車場情報に反映させてゆくことで、不適切な駐車場は淘汰されてゆくことになるため、結果として好ましい駐車場の優先順位となることが期待できる。このように、単に駐車場を推定するだけでなく、運送会社毎にその業態を反映した駐車場の利用優先順位付けすることは重要である。
【符号の説明】
【0027】
10 配送センタサーバ
11 駐車情報DB
12 駐車場ガイダンス処理部
13 配送先スケジューリングDB
14 駐車場満空情報
15 配送車
16 カーナビ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された目的地を車両の端末から受信して駐車位置を指示する駐車位置案内システムにおいて、
車両毎に指定された目的地への配送スケジュールを記憶する配送先スケジュール記憶手段と、
車両の駐車時に、当該車両の駐車位置の情報とともに、前記端末が運転者から入力を受付けた、駐車場の空き状態,充電設備等の設備状況,走行目的に関する情報を、当該車両の駐車情報として前記端末から取得する手段と、
取得した車両からの前記駐車情報を蓄積する駐車情報記憶手段と、
を備え、
各車両の駐車情報から推定した使用駐車場を統計処理して求めた各運送会社における使用駐車場の優先順位情報を駐車情報記憶手段に記憶し、
前記端末から目的地を受信した際には、前記駐車場の優先順位情報に基づき目的地における推奨駐車場を前記端末へ指示する駐車場ガイダンス処理手段を備える
ことを特徴とする駐車位置案内システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車位置案内システムにおいて、
前記駐車情報記憶手段は、外部から取得した前記満空情報を格納し、
前記駐車場ガイダンス処理手段は、当該外部から取得した駐車場の満空情報と前記駐車情報で前記端末に入力された駐車位置の空き情報から、前記端末が搭載された車両が属する運送会社の前記目的地における駐車場の優先順位情報に登録されている駐車場の満空状態を予測し、予測した満空状態が空状態の駐車場の内、優先順位の高い駐車場を推奨駐車場として前記端末に指示する
ことを特徴とする駐車位置案内システム。
【請求項3】
請求項2において、前記駐車場ガイダンス処理手段は、前記端末から目的地に関する情報を取得後、前記駐車情報を取得するまでの間に、当該端末へ指示した推奨駐車場の満空状態が変化して満状態となったときには、新たな推奨駐車場を前記端末へ指示することを特徴とした駐車位置案内システム。
【請求項4】
請求項3において、前記駐車場ガイダンス処理手段は、新たな推奨駐車場として、前記予測した満空状態が空状態の内、既に指示された駐車場に次いで優先順位の高い駐車場を推奨駐車場として指示することを特徴とした配送案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−184974(P2012−184974A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47068(P2011−47068)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】