説明

駐車場における電気自動車への充放電制御システム

【課題】駐車場や併設建物の運営者の要求を、電気自動車への充放電の条件に適切に反映させることが可能となる充放電制御システムを提供すること。
【解決手段】駐車場1に駐車された電気自動車の蓄電池に対する充電又は放電のための制御を行う充放電制御システム50であって、駐車場1又は併設建物15における運営者の運営者側放電要求又は運営者側充電要求に関する要求情報を取得する要求情報取得部55aと、この要求情報に基づいて自動車充電条件又は自動車放電条件を設定する条件設定部55bと、これら自動車充電条件又は自動車放電条件に基づいて充電又は放電に関する制御を行う退出制御部55fとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場に駐車された電気自動車の蓄電池に対して充電又は放電を行うための充放電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電気自動車の普及化に伴い、駐車場で充放電を行うための各種の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、電気自動車用駐車場システムが開示されている。この電気自動車用駐車場システムは、電気自動車を駐車する駐車場及びPOS端末を備えて構成されており、駐車場には電気自動車に接続可能な接続端子と充電装置が設けられ、この接続端子を介して充電装置から電気自動車のバッテリを充電することができると共に、POS端末を介して電気自動車のコンピュータに広告情報や交通情報を送信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−086058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のこのような各種のシステムにおいては、電気自動車のバッテリに対して充電を行った際に、駐車場の運営者が電気自動車の運転者に対して課金する料金等の各種の条件が、単に予め固定的に設定されており、条件を変動させることができないものであったので、運営者の各種の要求を適切に満たすことが困難であった。例えば、駐車場で想定を上回る数の電気自動車が充電を行うことにより、充電に伴う電力使用量が、駐車場が電力会社と予め取り決めた契約受電量を超えてしまいそうな場合において、運営者が電気自動車に対する充電の回数や量を減らしたいと考えた場合であっても、このような対応を取ることが困難であった。あるいは、逆に、駐車場に設けた蓄電池に蓄電した電力に余裕がある場合において、運営者が駐車場で一層多くの電気自動車に充電を行ってもらうことで充電による収益を増加させたいと考えた場合であっても、このような対応を取ることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、駐車場又は当該駐車場に併設された併設建物の運営者の要求を、駐車場における電気自動車への充放電の条件に適切に反映させることが可能となる、駐車場における電気自動車への充放電制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムは、駐車場に駐車された電気自動車に対する充電又は放電のための制御を行う充放電制御システムであって、前記駐車場又は当該駐車場に併設された併設建物の運営者の要求であって、当該駐車場又は当該併設建物の蓄電設備から放電したいとの要求である運営者側放電要求、又は、当該駐車場又は当該併設建物の蓄電設備に対して充電したいとの要求である運営者側充電要求、に関する要求情報を取得する要求情報取得手段と、前記要求情報取得手段にて取得された要求情報に基づいて、前記駐車場又は前記併設建物の蓄電設備から放電を行うことによって前記電気自動車の蓄電池に対して充電を行うために前記運営者が設定すべき自動車充電条件、又は、前記電気自動車の蓄電池から放電を行うことによって前記駐車場又は前記併設建物の蓄電設備に対して充電を行うために前記運営者が設定すべき自動車放電条件、を設定する条件設定手段と、前記条件設定手段にて設定された前記自動車充電条件又は前記自動車放電条件に基づいて、前記電気自動車に対する充電又は放電に関する制御を行う充放電制御手段とを備える。
【0007】
また、請求項2に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムは、請求項1に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムにおいて、前記条件設定手段は、前記自動車充電条件として、前記駐車場又は前記併設建物の蓄電池から放電を行うことによって前記電気自動車の蓄電池に対して充電を行う際の自動車充電単価を設定し、あるいは、自動車放電条件として、前記電気自動車の蓄電池から放電を行うことによって前記駐車場又は前記併設建物の蓄電池に対して充電を行う際の自動車放電単価を設定する。
【0008】
また、請求項3に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムは、請求項1又は2に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムにおいて、前記要求情報取得手段は、前記要求情報として、前記駐車場又は前記併設建物が電力会社と契約している契約受電量と、前記駐車場又は前記併設建物の現在の電力使用量と、に関する電力量情報を取得し、前記条件設定手段は、前記要求情報取得手段にて取得された電力量情報に基づいて、前記自動車充電条件又は前記自動車放電条件を設定する。
【0009】
また、請求項4に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムにおいて、前記要求情報取得手段は、前記要求情報として、前記駐車場又は前記併設建物の蓄電設備の蓄電状態に関する蓄電状態情報を取得し、前記条件設定手段は、前記要求情報取得手段にて取得された蓄電状態情報に基づいて、前記自動車充電条件又は前記自動車放電条件を設定する。
【0010】
また、請求項5に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムにおいて、前記要求情報取得手段は、前記要求情報として、前記併設建物の利用者による当該併設建物の利用状態に関する利用状態情報を取得し、前記条件設定手段は、前記要求情報取得手段にて取得された利用状態情報に基づいて、前記自動車充電条件又は前記自動車放電条件を設定する。
【0011】
また、請求項6に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムにおいて、前記条件設定手段にて設定された前記自動車充電条件又は前記自動車放電条件を、電気自動車の運転者に対して報知するための出力手段を備える。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムによれば、駐車場又は当該駐車場に併設された併設建物の運営者の要求が自動車充電条件や自動車放電条件に反映されるので、自動車に充電を行いたいという運転者の意欲や自動車から放電を行いたいという運転者の意欲を制御することができ、運営者の要求を満たすことが可能になる。
【0013】
請求項2に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムによれば、自動車充電条件を自動車充電単価に反映させ、あるいは、自動車放電条件を自動車放電単価に反映させるので、例えば、運営者側放電要求の度合いが高い場合には、自動車充電単価を低額にすることで、駐車場又は併設建物の蓄電設備からの放電によって電気自動車の蓄電池に対して充電する回数や量を増やし、運営者側充電要求の度合いが高い場合には、自動車放電単価を高額にすることで、電気自動車の蓄電池からの放電によって駐車場又は併設建物の蓄電設備に対して充電する回数や量を増やす等、自動車充電単価や自動車放電単価を介して、運営者の要求を満たすことが可能になる。
【0014】
請求項3に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムによれば、駐車場又は併設建物が電力会社と契約している契約受電量と、駐車場又は併設建物の現在の電力使用量とを、自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるので、例えば、現在の電力使用量が契約受電量を超えていない場合には、駐車場又は併設建物の蓄電設備からの放電によって電気自動車の蓄電池に対して充電する回数や量を増やし、現在の電力使用量が契約受電量を超えている場合には、電気自動車の蓄電池からの放電によって駐車場又は併設建物の蓄電設備に対して充電する回数や量を増やす等、自動車充電条件又は自動車放電条件を介して、電力使用量が契約受電量を超過することを防止したり、電力使用量が契約受電量を超過する程度を軽減することができるので、契約受電量自体を見直して低くすること等が可能になり、契約受電量に基づいて算定される電気料金を低減することが可能になる。
【0015】
請求項4に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムによれば、駐車場又は併設建物の蓄電設備の蓄電状態を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるので、例えば、蓄電設備の蓄電量に余力がある場合には、駐車場又は併設建物の蓄電設備からの放電によって電気自動車の蓄電池に対して充電する回数や量を増やし、蓄電設備の蓄電量に余力がない場合には、電気自動車の蓄電池からの放電によって駐車場又は併設建物の蓄電設備に対して充電する回数や量を増やす等、自動車充電条件又は自動車放電条件を介して、蓄電設備の蓄電状態を適正化することが可能になる。
【0016】
請求項5に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムによれば、併設建物の利用状態を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるので、例えば、併設建物の利用者が多い場合には、駐車場又は併設建物の蓄電設備からの放電によって電気自動車の蓄電池に対して充電を行いたいとの運転者側充電要求を低下させると共に、駐車場又は併設建物の蓄電設備を充電するために電気自動車の蓄電池から放電したいとの運転者側放電要求を低下させるように、自動車充電条件又は自動車放電条件を設定し、併設建物の利用者が少ない場合には、駐車場又は併設建物の蓄電設備からの放電によって電気自動車の蓄電池に対して充電を行いたいとの運転者側充電要求を増加させると共に、駐車場又は併設建物の蓄電設備を充電するために電気自動車の蓄電池から放電したいとの運転者側放電要求を増加させるように、自動車充電条件又は自動車放電条件を設定する等、自動車充電条件又は自動車放電条件を介して、併設建物の利用状態を適正化することが可能になる。
【0017】
請求項6に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システムによれば、自動車充電条件又は自動車放電条件を電気自動車の運転者に対して報知することにより、運転者が駐車場を利用するか否かを判断するための情報として自動車充電条件又は自動車放電条件を提供することで、運転者の判断に自動車充電条件又は自動車放電条件を迅速かつ容易に反映させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る駐車場及び併設建物の平面図である。
【図2】充放電制御システムを機能概念的に示すブロック図である。
【図3】条件情報の構成例を示す図である。
【図4】要求情報取得処理のフローチャートである。
【図5】条件設定処理のフローチャートである。
【図6】条件報知処理のフローチャートである。
【図7】進入制御処理のフローチャートである。
【図8】充放電制御処理のフローチャートである。
【図9】退出制御処理のフローチャートである。
【図10】実施の形態2に係る充放電制御システムを機能概念的に示すブロック図である。
【図11】要求情報取得処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る駐車場における電気自動車への充放電制御システムの各実施の形態を詳細に説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。各実施の形態に係る駐車場における電気自動車への充放電制御システムは、駐車場に駐車された電気自動車の蓄電池に対して充電又は放電を行うためのシステムである。
【0020】
ここで、駐車場の構造や規模は任意であり、例えば、構造的には、平面駐車場と立体駐車場を含み、規模的には、不特定多数の運転者の電気自動車が駐車可能な大規模駐車場と特定少数の運転者の電気自動車のみが駐車可能な専用駐車場を含む。以下では、駐車場が、不特定多数の運転者が利用する平面駐車場である場合について説明する。
【0021】
また、電気自動車とは、蓄電池に蓄えた電力を用いて走行を行うことができる自動車を意味し、電力のみでモータ走行する電気自動車のみならず、電力によるモータ走行とガソリンによるエンジン走行とを切り替えて走行が可能なハイブリッド自動車を含む。また、以下では、電気自動車の蓄電池に充電を行った場合には、自動車の運転者に対して充電料金を請求し、電気自動車の蓄電池から放電を行った場合には、運転者に対して放電料金を支払うことを想定している。このような電気自動車の蓄電池に対する充電又は放電の具体的な構造は任意であり、例えば、コンセントプラグを用いたプラグイン式の充放電構造の他、電界や磁界を用いた非接触式の充放電構造であってもよい。以下では、電気自動車が、プラグイン式の充放電が可能な電気自動車である場合について説明するものとし、電気自動車を単に「自動車」と称する。
【0022】
また、各実施の形態においては、駐車場に併設建物が併設されている場合について説明している。この併設建物の目的や規模は任意であり、例えば、ショッピングセンターや映画館の如き商業施設や、マンションの如き住宅施設を含む。以下では、併設建物が、ショッピングセンターである場合について説明する。
【0023】
また、各実施の形態で使用する用語を、以下のように定義する。
自動車の運転者が当該自動車の蓄電池に対して充電したいとの要求を「運転者側充電要求」、駐車場や併設建物の運営者が当該駐車場や当該併設建物の蓄電設備に対して充電したいとの要求を「運営者側充電要求」、自動車の運転者が当該自動車の蓄電池から放電することによって当該蓄電池に蓄電されている電気を売りたいとの要求を「運転者側放電要求」、駐車場や併設建物の運営者が当該駐車場や当該併設建物の蓄電設備から放電することによって当該蓄電設備に蓄電されている電気を売りたいとの要求を「運営者側放電要求」と称する。
「運営者側充電要求」を示す指標(数値)を「運営者側充電要求指標」、「運営者側放電要求」を示す指標(数値)を「運営者側放電要求指標」と称する。
駐車場又は併設建物の蓄電設備から放電を行うことによって自動車の蓄電池に対して充電を行うために運営者が設定すべき条件を「自動車充電条件」、自動車の蓄電池から放電を行うことによって駐車場又は併設建物の蓄電設備に対して充電を行うために運営者が設定すべき条件を「自動車放電条件」と称する。
駐車場又は併設建物を利用する者を「利用者」と称する。この利用者には、自動車の運転者の他、自動車の同乗者や、自動車以外の手段で併設建物に来た者を含む。
駐車場で自動車の蓄電池に対する充電を行った際に運転者に請求する標準的な単価(単価の単位は、例えば円/1kwh。以下同じ)を「標準自動車充電単価」、駐車場1で自動車の蓄電池から放電を行った際に運転者に支払う放電料金の標準的な単価を「標準自動車放電単価」と称する。
電力会社との契約によって定められた駐車場の受電量を「駐車場契約受電量」、電力会社との契約によって定められた併設建物の受電量を「併設建物契約受電量」と称する。
駐車場の蓄電設備に対して蓄電しておくべき最低限の電力量を「駐車場下限蓄電電力量」、併設建物の蓄電設備に対して蓄電しておくべき最低限の電力量を「併設建物下限蓄電電力量」と称する。
【0024】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1について説明する。実施の形態1は、駐車場又は併設建物に設置された蓄電設備の蓄電状態に関する蓄電状態情報に基づいて、自動車充電条件又は自動車放電条件を設定する形態である。
【0025】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る駐車場の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る駐車場及び併設建物の平面図である。駐車場1は、平面駐車場として構成されており、複数台の自動車を駐車させることが可能な複数の駐車スペース2、駐車スペース2の周囲において自動車が走行可能な車路3、駐車スペース2に自動車が進入する進入路4、及び駐車スペース2から自動車が退出する退出路5を備える。各駐車スペース2には、当該各駐車スペース2に駐車された自動車に対して充電又は放電を行うための充放電端末6が配置されている。進入路4と車路3の境界近傍には、自動車に駐車券を発券する発券機7と、自動車の進入を規制する進入ゲート8が設置されており、退出路5と車路3の境界近傍には、自動車の駐車料金を駐車券に基づいて精算する精算機9と、自動車の退出を規制する退出ゲート10が設置されている。
【0026】
また、駐車場1には、管理室11と電気室12が併設されている。このうち、管理室11には、充放電制御システム50が配置されている。この充放電制御システム50の詳細については後述する。また、電気室12には、蓄電設備13と電力監視装置14が配置されている。蓄電設備13は、図示しない大容量蓄電池と充放電コントローラとを備えるもので、電力会社の送電網から送電された電力と自動車から充放電端末6を介して放電された電力とを蓄電可能であり、また、電力会社に対して図示しない送電網を介して電力を逆潮流させることや、自動車に対して充放電端末6を介した充電を行うことが可能である。また、電力監視装置14は、駐車場1における充放電端末6からの情報や、駐車場1の各部に設けられた図示しない負荷や電力メータからの情報に基づいて、駐車場1における電力使用量の算定を行う。
【0027】
また、駐車場1には、併設建物15が隣接するように構築されている。この併設建物15は、ここでは上述したようにショッピングセンターであり、駐車場1と連通する出入口16を有しており、この出入口16を介して利用者が併設建物15と駐車場1に自由に出入りすることが可能となっている。
【0028】
また、併設建物15には、電気室17が併設されている。この電気室17には、蓄電設備18と電力監視装置19が配置されている。蓄電設備18は、図示しない大容量蓄電池と充放電コントローラとを備えるもので、電力会社の送電網から送電された電力と自動車から充放電装置を介して放電された電力とを蓄電可能であり、また、電力会社に対して送電網を介して電力を逆潮流させることや、自動車に対して充放電端末6を介した充電を行うことが可能である。また、電力監視装置19は、併設建物15の各部に設けられた図示しない負荷や電力メータからの情報に基づいて、併設建物15における電力使用量の算定を行う。
【0029】
なお、ここでは、駐車場1の蓄電設備13と併設建物15の蓄電設備18は、図示しない電力送電網を介して相互に電力交換が可能である。例えば、駐車場1の自動車から放電された電力を、駐車場1の蓄電設備13を介してあるいは直接的に、併設建物15の蓄電設備18に蓄電することが可能となっている。また、併設建物15の蓄電設備18に蓄電された電力を、駐車場1の蓄電設備13を介してあるいは直接的に、駐車場1の自動車の充電に使用することが可能となっている。また、これら駐車場1の蓄電設備13と併設建物15の蓄電設備18、あるいはこれら設備に関連する周辺施設に関しては、通常時における耐候性や、地震時や水害時の如き非常時における耐久性を持たせることで、雨水、振動、火災等の熱、あるいは圧力に対する耐久性を持たせることが好ましい。例えば、これら各設備を、シェルター構造にて構成したり、基礎構造部分のレベルを周囲のグランドレベルよりも高いレベルにして浸水を防止したりすることができる。
【0030】
また、駐車場1の外周には、掲示板20、FM送信装置21、及びFMアンテナ22が配置されている。掲示板20は、駐車場1の混雑状況に関する情報に加えて、充電又は放電の条件に関する情報を文字によって掲示する出力手段である。FM送信装置21及びFMアンテナ22は、駐車場1の混雑状況に関する情報に加えて、充電又は放電の条件に関する情報をFM放送信号により出力する出力手段である。
【0031】
(構成−充放電制御システム)
次に、充放電制御システム50の構成について説明する。図2は、充放電制御システム50を機能概念的に示すブロック図である。この図2に示すように、充放電制御システム50は、駐車場1に駐車された自動車の蓄電池に対する充電又は放電のための制御を行う装置であり、入力部51、出力部52、ネットワークインタフェース(以下、ネットワークIFと略記する)53、記憶部54、及び制御部55を備えて構成されている。なお、実際には、この充放電制御システム50は、公知のパーソナルコンピュータやサーバを用いて構成することが可能である。
【0032】
入力部51は、充放電制御システム50が実行する各種処理に必要な情報を当該充放電制御システム50に入力する入力手段であり、ここでは、キーボード及びマウスとして構成されている。
【0033】
出力部52は、充放電制御システム50からの情報を外部に出力する出力手段であり、ここでは、モニタ及びスピーカとして構成されている。
【0034】
ネットワークIF53は、LAN(Local Area Network)を介して通信を行うためのインタフェースであり、例えば、所定の通信規格(例えば、イーサネット)にて通信を行うネットワークボードとして構成されている。このネットワークIF53は、駐車場1の発券機7、精算機9、充放電端末6、蓄電設備13の充放電コントローラ、電力監視装置14、掲示板20、及びFM送信装置21と、併設建物15の蓄電設備18の充放電コントローラ及び電力監視装置19とに接続されている。
【0035】
記憶部54は、充放電制御システム50の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、DVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、あるいは、その他の任意の記録媒体を用いてもよい。
【0036】
この記憶部54には、駐車状況情報、駐車場1の契約受電量、併設建物15の契約受電量、標準自動車充電単価、標準自動車放電単価、運営者側充電要求指標、及び運営者側放電要求指標が記憶されていると共に、条件情報データベース(以下、データベースをDBと表記する)54aが設けられている。ただし、記憶部54には、さらに他の情報が記憶されているが、この点については後述する。
【0037】
駐車状況情報は、駐車場1における自動車の駐車状況に関する情報であり、ここでは、駐車場1に駐車可能な自動車の総数(以下、駐車可能数)と、駐車場1に現在駐車されている自動車の総数(以下、現在駐車数)である。このうち、駐車可能数は、充放電制御システム50の管理者によって入力部51を介して予め入力されて記憶部54に記憶され、現在駐車数は、後述する進入制御処理や退出制御処理によって自動的に更新される。
【0038】
駐車場1の契約受電量は、駐車場1が電力会社から電力供給を受けるに際して当該電力会社と契約している受電量であり、併設建物15の契約受電量は、併設建物15が電力会社から電力供給を受けるに際して当該電力会社と契約している受電量である。ここでは、これら契約受電量を上回る電力を使用した場合には超過料金が課せられることが想定されている。これら契約受電量は、電力会社から電力供給を受けた際に当該電力会社に支払う契約電気料金に基づいて、充放電制御システム50の管理者によって入力部51を介して予め入力されて記憶部54に記憶される。
【0039】
標準自動車充電単価及び標準自動車放電単価は、電力会社から電力供給を受けた際に当該電力会社に支払う契約電気料金や、電力会社に逆潮流により電力供給した際に当該電力会社から支払われる契約電気料金等に基づいて、充放電制御システム50の管理者によって入力部51を介して予め入力されて記憶部54に記憶される。
【0040】
運営者側充電要求指標は、運営者側充電要求の度合いが高い程、大きい数値となる。例えば、駐車場1で充電を希望している自動車の数が増加する程、駐車場1において電力を使用する必要性が高まるため、あるいは、併設建物15における図示しない空調設備による冷房温度が下がる程、併設建物15において電力を使用する必要性が高まるため、運営者側充電要求指標が大きい数値となる。この運営者側充電要求指標は、後述する要求情報取得処理によって自動的に更新される。
【0041】
運営者側放電要求指標は、運営者側放電要求の度合いが高い程、大きい数値となる。例えば、駐車場1の蓄電設備13に余剰電力がある程、駐車場1において自動車に電力を供給することで、運転者に対するサービス向上や運転者から取得する充電料金の増加を図りたいとの運営者側の要求が高まるため、運営者側放電要求指標が大きい数値となる。この運営者側放電要求指標は、後述する要求情報取得処理によって自動的に更新される。
【0042】
条件情報DB54aは、自動車の蓄電池に対する充電又は放電の条件に関する情報(以下、条件情報)を格納する条件情報格納手段である。この条件情報は、例えば、図3の構成例に示すように、項目「現在日時」、項目「充電単価」、項目「放電単価」と、これら各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。項目「現在日時」に対応する情報は、充電単価や放電単価が当該条件情報DB54aに格納された日時を特定する情報であり、例えば、「2010年10月01日15時00分」は、2010年10月01日の15時00分に充電単価や放電単価が当該条件情報DB54aに格納されたことを示す。項目「充電単価」に対応する情報は、駐車場1で自動車の蓄電池に対する充電を行った際に運転者に請求する充電料金の単価であり、自動車充電条件である。項目「放電単価」に対応する情報は、駐車場1で自動車の蓄電池からの放電を行った際に運転者に支払う放電料金の単価であり、自動車放電条件である。この条件情報は、後述する条件設定処理により自動的に条件情報DB54aに格納される。
【0043】
図2の制御部55は、充放電制御システム50に関する計算処理を行う処理手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及び充放電制御プログラムを含む各種のプログラムや各種のデータを格納するための内部記憶素子を備えて構成されるコンピュータである。プログラムは、磁気的記録媒体や光学的記録媒体を含む任意のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、記憶部54にインストールされることで、制御部55の各部を実質的に構成する。
【0044】
この制御部55は、機能概念的に、要求情報取得部55a、条件設定部55b、条件報知部55c、進入制御部55d、充放電制御部55e、及び退出制御部55fを備えて構成されている。要求情報取得部55aは、駐車場1又は併設建物15における運営者側放電要求又は運営者側充電要求に関する要求情報を取得する要求情報取得手段である。条件設定部55bは、要求情報取得部55aにて取得された要求情報に基づいて、自動車充電条件又は自動車放電条件を設定する条件設定手段である。条件報知部55cは、条件設定部55bにて設定された自動車充電条件又は自動車放電条件を運転者に報知するための制御を行う条件報知手段である。進入制御部55dは、駐車場1への自動車の進入に関する制御を行う進入制御手段である。充放電制御部55eは、駐車場1に駐車している自動車の蓄電池に対する充電又は放電を制御する充放電制御手段である。退出制御部55fは、駐車場1からの自動車の退出に関する制御を行う退出制御手段である。これら各部の中で、条件報知部55c、進入制御部55d、充放電制御部55e、及び退出制御部55fは、条件設定部55bにて設定された条件に基づいて、自動車の蓄電池に対する充電又は放電に関する制御を行う充放電制御手段として機能する。これら制御部55の各部の機能の詳細は後述する。
【0045】
(処理)
次に、このように構成された充放電制御システム50によって実行される処理について説明する。この処理は、要求情報取得部55aによって実行される要求情報取得処理、条件設定部55bによって実行される条件設定処理、条件報知部55cによって実行される条件報知処理、進入制御部55dによって実行される進入制御処理、充放電制御部55eによって実行される充放電制御処理、及び退出制御部55fによって実行される退出制御処理に大別される。以下、各処理について順次説明する。ただし、特記なき場合には、処理は制御部55によって実行されるものとする。
【0046】
(処理−要求情報取得処理)
最初に、要求情報取得処理について説明する。図4は、要求情報取得処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この要求情報取得処理は、要求情報を取得するための処理であり、充放電制御システム50の電源投入以降、繰り返し起動される。ここでは、要求情報として、物理的な側面からの情報を取得し、この情報を運営者側充電要求指標と運営者側放電要求指標に反映させる処理を行う。この情報としては、具体的には、電力使用情報(駐車場1における電力使用量、及び併設建物15における電力使用量)と、蓄電状態情報(駐車場1の蓄電設備13の蓄電電力量、及び併設建物15の蓄電設備18の蓄電電力量)を取得する。
【0047】
まず、要求情報取得部55aは、所定タイミングの到来を監視する(SA1)。所定タイミングとしては、運営者側放電要求又は運営者側充電要求が変化した可能性があるタイミングが設定され、例えば、毎日の駐車場1又は併設建物15の始業時間や、各週の最初の平日(すなわち月曜日)や最初の週末日(すなわち土曜日)における駐車場1又は併設建物15の始業時間、あるいは、単に毎日の所定時間毎(例えば1時間毎)が設定される。
【0048】
所定タイミングが到来した場合(SA1、Yes)、要求情報取得部55aは、記憶部54に記憶されている運営者側充電要求指標と運営者側放電要求指標を初期値(=0)で初期化する(SA2)。次いで、要求情報取得部55aは、駐車場1の電力監視装置14からその時点の駐車場1における電力使用量を取得すると共に、併設建物15の電力監視装置19からその時点の併設建物15における電力使用量を取得する(SA3)。
【0049】
そして、要求情報取得部55aは、駐車場1の電力監視装置14から取得した電力使用量が、記憶部54に記憶されている駐車場契約受電量を上回っているか否かを判定すると共に、併設建物15の電力監視装置19から取得した電力使用量が、記憶部54に記憶されている併設建物契約受電量を上回っているか否かを判定する(SA4)。
【0050】
そして、駐車場1の電力使用量が駐車場契約受電量を上回っている場合、あるいは、併設建物15の電力使用量が併設建物契約受電量を上回っている場合(SA4、Yes)、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18に対して充電したいという運営者側充電要求が高まっているとする。そして、このような運営者側充電要求を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるべく、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側充電要求指標を増加させる(SA5)。また、この場合、要求情報取得部55aは、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18から放電したいという運営者側放電要求が低下しているとする。そして、このような運営者側放電要求を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるべく、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側放電要求指標を減少させる(同じくSA5)。なお、ここでは、記憶部54の運営者側充電要求指標や運営者側放電要求指標を増加させる場合には、運営者側充電要求指標や運営者側放電要求指標を1つだけ増分させ、記憶部54の運営者側充電要求指標や運営者側放電要求指標を減少させる場合には、運営者側充電要求指標や運営者側放電要求指標を1つだけ減分させるものとする(以下同じ)。
【0051】
一方、駐車場1の電力使用量が駐車場契約受電量を上回っておらず、かつ、併設建物15の電力使用量が併設建物契約受電量を上回っていない場合(SA4、No)、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18に対して充電したいという運営者側充電要求は低下しているとする。そして、このような運営者側充電要求を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるべく、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側充電要求指標を減少させる(SA6)。また、この場合、要求情報取得部55aは、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18から放電したいという運営者側放電要求が高まっているとする。そして、このような運営者側放電要求を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるべく、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側放電要求指標を増加させる(同じくSA6)。
【0052】
次いで、要求情報取得部55aは、駐車場1の蓄電設備13の蓄電電力量を駐車場1の充放電コントローラから取得すると共に、併設建物15の蓄電設備18の蓄電電力量を併設建物15の充放電コントローラから取得する(SA7)。そして、要求情報取得部55aは、駐車場1の蓄電設備13の蓄電電力量が、記憶部54に記憶された駐車場下限蓄電電力量を上回っているか否かを判定すると共に、併設建物15の蓄電設備18の蓄電電力量が、記憶部54に記憶された併設建物下限蓄電電力量を上回っているか否かを判定する(SA8)。
【0053】
そして、駐車場1の蓄電設備13の蓄電電力量が駐車場下限蓄電電力量を上回っている場合、あるいは、併設建物15の蓄電設備18の蓄電電力量が併設建物下限蓄電電力量を上回っている場合(SA8、Yes)、SA4で駐車場基準使用量や併設建物基準使用量を上回っていないと判定した場合と同様の要求があるとし、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側充電要求指標を減少させると共に、運営者側放電要求指標を増加させる(SA9)。
【0054】
一方、駐車場1の蓄電設備13の蓄電電力量が駐車場下限蓄電電力量を上回っておらず、かつ、併設建物15の蓄電設備18の蓄電電力量が併設建物下限蓄電電力量を上回っていない場合(SA8、No)、SA4で駐車場基準使用量や併設建物基準使用量を上回っていると判定した場合と同様の要求があるとし、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側充電要求指標を増加させると共に、運営者側放電要求指標を減少させる(同じくSA10)。これにて要求情報取得処理を終了する。
【0055】
(処理−条件設定処理)
次に、条件設定処理について説明する。図5は、条件設定処理のフローチャートである。この条件設定処理は、自動車充電条件又は自動車放電条件を設定するための処理であり、充放電制御システム50の電源投入以降、繰り返し起動される。
【0056】
まず、条件設定部55bは、所定タイミングの到来を監視する(SB1)。所定タイミングとしては、自動車充電条件又は自動車放電条件が変化した可能性があるタイミングが設定され、例えば、図4の要求情報取得処理の終了タイミングが設定される。
【0057】
所定タイミングが到来した場合(SB1、Yes)、条件設定部55bは、記憶部54に記憶されている運営者側充電要求指標と運営者側放電要求指標を取得し(SB2)、記憶部54に記憶されている標準自動車充電単価と標準自動車放電単価を取得する(SB3)。
【0058】
次いで、条件設定部55bは、当該取得した運営者側充電要求指標と標準自動車充電単価に基づいて、所定の算定方法により充電単価を算定する(SB4)。この算定方法としては、運営者側放電要求指標を充電単価に反映させることができる方法である限り(運営者側放電要求指標が大きい程、充電単価が高くなり、運営者側放電要求指標が小さい程、充電単価が低くなる方法である限り)、任意に決定することができる。例えば、運営者側放電要求指標=1の場合には充電単価を標準自動車充電単価の10%増とし、運営者側放電要求指標=2の場合には充電単価を標準自動車充電単価の20%増とすることで、充電単価を算定する。あるいは、運営者側放電要求指標=−1の場合には充電単価を標準自動車充電単価の10%減とし、運営者側放電要求指標=−2の場合には充電単価を標準自動車充電単価の20%減とすることで、充電単価を算定する。
【0059】
また、条件設定部55bは、当該取得した運営者側放電要求指標と標準自動車放電単価に基づいて、所定の算定方法により放電単価を算定する(SB5)。この算定方法としては、運営者側充電要求指標を放電単価に反映させることができる方法である限り(運営者側充電要求指標が大きい程、放電単価が高くなり、運営者側充電要求指標が小さい程、放電単価が低くなる方法である限り)、任意に決定することができる。例えば、運営者側充電要求指標=1の場合には放電単価を標準自動車放電単価の10%増しとし、運営者側充電要求指標=2の場合には放電単価を標準自動車放電単価の20%増しとすることで、放電単価を算定する。あるいは、運営者側充電要求指標=−1の場合には放電単価を標準自動車放電単価の10%減とし、運営者側充電要求指標=−2の場合には放電単価を標準自動車放電単価の20%減とすることで、放電単価を算定する。
【0060】
そして、条件設定部55bは、SB4で算定した充電単価とSB5で算定した放電単価を、公知の方法で取得したその時点の現在日時に関連付けて、新規の条件情報として記憶部54の条件情報DB54aに追加格納する。これにて条件設定処理が終了する。
【0061】
(処理−条件報知処理)
次に、条件報知処理について説明する。図6は、条件報知処理のフローチャートである。この条件報知処理は、自動車充電条件又は自動車放電条件を運転者に対して報知するための処理であり、充放電制御システム50の電源投入以降、繰り返し起動される。
【0062】
まず、条件報知部55cは、所定タイミングの到来を監視する(SC1)。所定タイミングとしては、自動車充電条件又は自動車放電条件が変化した可能性があるタイミングが設定され、例えば、図5の条件設定処理の終了タイミングが設定される。
【0063】
所定タイミングが到来した場合(SC1、Yes)、条件報知部55cは、記憶部54の条件情報DB54aに記憶されている条件情報の中で、最新の現在日時に関連付けて格納されている充電単価と放電単価を取得する(SC2)。また、条件報知部55cは、記憶部54から駐車状況情報(駐車可能数と現在駐車数)を取得する(SC3)。
【0064】
そして、条件報知部55cは、SC2で取得した充電単価及び放電単価と、SC3で取得した駐車状況情報とを含んだ信号を、所定の制御コマンドと共に、掲示板20とFM送信装置21に対してネットワークIF53を介して送信する(SC4)。このことにより、掲示板20には、最新の充電単価及び放電単価と最新の駐車状況情報とが表示され、FM送信装置21からはFMアンテナ22を介して、最新の充電単価及び放電単価と最新の駐車状況情報とが放送されるので、運転者(ここでは、掲示板20の周囲を走行している自動車の運転者や、FM放送をカーラジオで受信して視聴している自動車の運転者)は、これらの情報を参考に、駐車場1を利用するか否かを判断することができる。なお、FM放送としては、例えば、駐車場1を含むエリアに向けて放送されるミニFM放送として行うことができる。これにて条件報知処理が終了する。
【0065】
(処理−進入制御処理)
次に、進入制御処理について説明する。図7は、進入制御処理のフローチャートである。この進入制御処理は、駐車場1への自動車の進入に関する制御を行うための処理であり、充放電制御システム50の電源投入以降、繰り返し起動される。
【0066】
まず、進入制御部55dは、進入路4で駐車場1への進入を待っている自動車があるか否かを判定する(SD1)。この判定は、例えば、発券機7に設けた図示しないセンサによって自動車の存在を検出することで行うことができる。そして、進入を待っている自動車がある場合(SD1、Yes)、進入制御部55dは、駐車場1の駐車スペース2が満車であるか否かを判定する(SD2)。この判定は、記憶部54に記憶されている駐車可能数と現在駐車数とに基づいて行うことができる。
【0067】
そして、駐車場1が満車である場合には(SD2、Yes)、進入制御部55dは、満車でなくなるまで待機し、駐車場1が満車でなくなった時点で(SD2、No)、進入路4で進入待ちをしている自動車に対して最新の自動車充電条件及び自動車放電条件を表示する(SD3)。具体的には、記憶部54の条件情報DB54aに記憶されている条件情報の中で、最新の現在日時に関連付けて格納されている充電単価と放電単価を取得し、これら充電単価と放電単価を、発券機7に設けた図示しないモニタを介して表示する。
【0068】
次いで、進入制御部55dは、発券指示の有無を監視する(SD4)。例えば、発券機7に設けた図示しない発券ボタンを点滅させることにより、進入路4で進入待ちをしている自動車のドライバに対して発券指示を促し、発券ボタンが押された場合には、発券指示があったものと判定する。そして、発券指示があった場合(SD4、Yes)、進入制御部55dは、公知の方法で取得したその時点の現在日時を記録した駐車券を発券機7を介して発券し、進入ゲート8を開放する(SD5)。そして、自動車が進入ゲート8を通過したか否かを、発券機7に設けた図示しないセンサを介して監視し(SD6)、進入ゲート8を通過した場合には(SD6、Yes)、進入ゲート8を閉鎖し、記憶部54の現在駐車数を1つ増分することにより更新する(SD7)。これにて進入制御処理が終了する。
【0069】
(処理−充放電制御処理)
次に、充放電制御処理について説明する。図8は、充放電制御処理のフローチャートである。この充放電制御処理は、駐車場1に駐車している自動車の蓄電池に対する充電又は放電を制御するための処理であり、充放電制御システム50の電源投入以降、繰り返し起動される。
【0070】
まず、充放電制御部55eは、駐車場1に駐車している自動車のドライバーからの充放電の要求の有無を監視する(SE1)。例えば、ドライバーが充放電端末6に設けた図示しない充電要求ボタン又は放電要求ボタンを押下した場合には、充放電の要求があったものと判定する。
【0071】
そして、充放電の要求があった場合(SE1、Yes)、充放電制御部55eは、充放電端末6に対して駐車券の挿入を促すメッセージを、当該充放電端末6に設けた図示しないスピーカやモニタを介して出力する(SE2)。そして、充放電端末6に対して駐車券が挿入された場合(SE3、Yes)、充放電制御部55eは、公知の方法で、SE1の要求に応じた充電又は放電を充放電端末6を介して実行する(SE4)。例えば、充電は、図4のSA3と同様に取得した駐車場1の電力使用量が駐車場基準使用量を上回っていない場合には、電力会社から供給された電力を用いて行い、電力使用量が駐車場基準使用量を上回っている場合には、駐車場1の蓄電設備13又は併設建物15の蓄電設備18に蓄電された電力を用いて行う。あるいは、放電は、駐車場1の蓄電設備13又は併設建物15の蓄電設備18に自動車から放電された電力を蓄電することにより行う。
【0072】
その後、充放電制御部55eは、充放電端末6に挿入された駐車券に対して充放電履歴を記録し、当該駐車券を充放電端末6から排出してドライバに返却する(SE5)。この充放電履歴としては、後述する退出制御処理において充電料金又は放電料金の算定を行うために必要な情報が記録され、ここでは、充電を行った場合には充電量、放電を行った場合には放電量がそれぞれ記録される。これにて充放電制御処理が終了する。
【0073】
(処理−退出制御処理)
最後に、退出制御処理について説明する。図9は、退出制御処理のフローチャートである。この進入制御処理は、駐車場1からの自動車の退出に関する制御を行うための処理であり、充放電制御システム50の電源投入以降、繰り返し起動される。
【0074】
まず、退出制御部55fは、退出路5で駐車場1からの退出を待っている自動車があるか否かを判定する(SF1)。この判定は、例えば、精算機9に設けた図示しないセンサによって自動車の存在を検出することで行うことができる。そして、退出を待っている自動車がある場合(SF1、Yes)、退出制御部55fは、精算機9に対して駐車券の挿入を促すメッセージを、当該精算機9に設けた図示しないスピーカやモニタを介して出力する(SF2)。
【0075】
そして、精算機9に対して駐車券が挿入された場合(SF3、Yes)、退出制御部55fは、当該挿入された駐車券に記録されている現在日時(すなわち、当該駐車券が発券機7で発券された時点の現在日時であり、図7の進入制御処理のSD5で記録された現在日時)を読み取って取得すると共に、当該挿入された駐車券に記録されている充放電履歴(すなわち、図8の充放電制御処理のSE5で記録された充電量又は放電量)を読み取って取得する(SF4)。
【0076】
そして、退出制御部55fは、SF4で取得した現在日時と充放電履歴とに基づいて、駐車料金、充電料金、及び放電料金を算定する(SF5)。例えば、駐車料金に関しては、当該取得した現在日時と公知の方法で取得したその時点の現在日時とから駐車時間を算定し、当該算定した駐車時間に基づいて、記憶部54に予め記憶された駐車料金テーブル(駐車時間と駐車料金とを関連付けて構成されたテーブル)を参照することで、駐車料金を算定する。また、充電料金及び放電料金に関しては、当該取得した現在日時に関連付けて格納されている充電単価及び放電単価を条件情報DB54aから取得する。そして、SF5で取得した充放電履歴に充電量が含まれている場合には、当該充電量に条件情報DB54aから取得した充電単価を乗じることによって充電料金を算定する。あるいは、SF5で取得した充放電履歴に放電量が含まれている場合には、当該放電量に条件情報DB54aから取得した放電単価を乗じることによって放電料金を算定する。このことにより、自動車が駐車場1に進入した際に発券機7で提示した充電単価と放電単価に基づき、充電料金と放電料金が算定されることになる。
【0077】
そして、退出制御部55fは、当該算定した駐車料金と、当該算定した充電料金及び放電料金に基づいて、駐車場1から退出する自動車のドライバが最終的に精算すべき精算料金を算定する(SF6)。具体的には、SF5で算定した駐車料金に対して、SF5で算定した充電料金がある場合には当該充電料金を加算し、あるいは、SF5で算定した放電料金がある場合には当該放電料金を減算することで、精算料金を算定する。そして、退出制御部55fは、このように算定した精算料金の支払いを促すメッセージを、当該精算機9に設けた図示しないスピーカやモニタを介して出力する(同じくSF6)。
【0078】
その後、退出制御部55fは、精算の完了を監視する(SF7)。具体的には、発券機7を介して精算料金が支払われた場合には、精算が完了したものと判定する。ただし、SF6で算定された精算料金がマイナスである場合には、当該精算料金を精算機9から運転者に対して払い出し、払い出しが完了した時点で、精算が完了したものと判定する。
【0079】
そして、精算が完了した場合(SF7、Yes)、退出制御部55fは、退出ゲート10を開放し(SF8)、自動車が退出ゲート10を通過したか否かを、精算機9に設けた図示しないセンサを介して監視し(SF9)、退出ゲート10を通過した場合には(SF9、Yes)、退出ゲート10を閉鎖し、記憶部54の現在駐車数を1つ減算することにより更新する(SF10)。これにて退出制御処理が終了する。
【0080】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、駐車場1又は併設建物15の運営者の要求が自動車充電条件や自動車放電条件に反映されるので、自動車に充電を行いたいという運転者の意欲や自動車から放電を行いたいという運転者の意欲を制御することができ、運営者の要求を満たすことが可能になる。
【0081】
また、自動車充電条件を自動車充電単価に反映させ、あるいは、自動車放電条件を自動車放電単価に反映させるので、例えば、運営者側放電要求の度合いが高い場合には、自動車充電単価を低額にすることで、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18からの放電によって自動車の蓄電池に対して充電する回数や量を増やし、運営者側充電要求の度合いが高い場合には、自動車放電単価を高額にすることで、自動車の蓄電池からの放電によって駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18に対して充電する回数や量を増やす等、自動車充電単価や自動車放電単価を介して、運営者の要求を満たすことが可能になる。
【0082】
また、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18の蓄電状態を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるので、例えば、蓄電設備13、18の蓄電量に余力がある場合には、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18からの放電によって自動車の蓄電池に対して充電する回数や量を増やし、蓄電設備13、18の蓄電量に余力がない場合には、自動車の蓄電池からの放電によって駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18に対して充電する回数や量を増やす等、自動車充電条件又は自動車放電条件を介して、蓄電設備13、18の蓄電状態を適正化することが可能になる。
【0083】
また、自動車充電条件又は自動車放電条件を自動車の運転者に対して報知することにより、運転者が駐車場を利用するか否かを判断するための情報として自動車充電条件又は自動車放電条件を提供することで、運転者の判断に自動車充電条件又は自動車放電条件を迅速かつ容易に反映させることが可能になる。
【0084】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、併設建物15の利用者による当該併設建物15の利用状態に関する利用状態情報に基づいて、自動車の蓄電池に対する自動車充電条件又は自動車放電条件を設定する形態である。ただし、実施の形態1の構成及び方法と同様の構成及び方法については、実施の形態1で使用したものと同一の符号を付して説明を省略し、あるいは単に説明を省略する。
【0085】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る充放電制御システム60の構成について説明する。図10は、実施の形態2に係る充放電制御システム60を機能概念的に示すブロック図である。
【0086】
この図10に示すように、充放電制御システム60は、実施の形態1の充放電制御システム50とほぼ同様に構成されているが、その記憶部54には、駐車場1の契約受電量と併設建物15の契約受電量に代えて、カレンダ情報、イベント情報、及び来客数情報が記憶されている。カレンダ情報は、各日毎の曜日や祝祭日を特定するための情報である。イベント情報は、併設建物15における各日毎のイベントの種類や有無(ここでは、ショッピングセンターとしての併設建物15における特売セールの有無)を特定するための情報である。来客数情報は、併設建物15における各日毎の来客数の総数を特定するための情報である。このうち、カレンダ情報及びイベント情報は、充放電制御システム60の管理者が任意のタイミングで予め入力部51を介して記憶部54に入力し、来客数情報は、併設建物15の出入口16付近に設けた図示しない人感センサの検出結果に基づいて自動的にほぼリアルタイムで記憶部54に入力され更新される。また、充放電制御システム60の制御部55には、実施の形態1とは異なる処理を行う要求情報取得部55aが格納されている。この要求情報取得部55aの機能の詳細は後述する。
【0087】
(処理)
次に、このように構成された充放電制御システム60によって実行される処理について説明する。この処理は、実施の形態1と同様に、要求情報取得処理、条件設定処理、条件報知処理、進入制御処理、充放電制御処理、及び退出制御処理に大別される。ただし、要求情報取得処理以外の処理は、実施の形態1と同様に実行されるため、以下では、要求情報取得部55aによって実行される要求情報取得処理について説明する。
【0088】
(処理−要求情報取得処理)
図11は、要求情報取得処理のフローチャートである。この要求情報取得処理は、要求情報を取得するための処理であり、充放電制御システム60の電源投入以降、繰り返し起動される。ここでは、要求情報として、商業的な側面からの情報を取得し、この情報を運営者側充電要求指標と運営者側放電要求指標に反映させる処理を行う。この情報としては、具体的には、併設建物15の利用状態に関する利用状態情報(各日毎の曜日や祝祭日、併設建物15における各日毎の特売セールの有無、併設建物15におけるその時点の来客数)を取得する。なお、この処理のうち、SG1、SG2は、図4のSA1、SA2とそれぞれ同じであるため、その説明を省略する。
【0089】
要求情報取得部55aは、記憶部54からカレンダ情報を取得し(SG3)、このカレンダ情報に基づいて、当日が週末又は祝祭日のいずれかに該当するか否かを判定する(SG4)。そして、週末又は祝祭日に該当する場合(SG4、Yes)、併設建物15への来客数が平日よりも増えることが予想され、駐車場1又は併設建物15においてより多くの電力を必要とし、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18に対して充電したいという運営者側充電要求が高まっているとする。そして、このような運営者側充電要求を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるべく、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側充電要求指標を増加させる(SG5)。また、この場合、要求情報取得部55aは、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18から放電したいという運営者側放電要求が低下しているとする。そして、このような運営者側放電要求を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるべく、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側放電要求指標を減少させる(同じくSG5)。
【0090】
一方、週末又は祝祭日に該当しない場合(SG4、No)、併設建物15への来客数が週末又は祝祭日よりも減ることが予想され、駐車場1又は併設建物15において多くの電力を必要としないとし、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18に対して充電したいという運営者側充電要求は低下しているとする。そして、このような運営者側充電要求を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるべく、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側充電要求指標を減少させる(SG6)。また、この場合、要求情報取得部55aは、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18から放電したいという運営者側放電要求が高まっているとする。そして、このような運営者側放電要求を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるべく、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側放電要求指標を増加させる(同じくSG6)。
【0091】
次いで、要求情報取得部55aは、記憶部54からイベント情報を取得し(SG7)、このイベント情報に基づいて、当日に併設建物15で特売セールがあるか否かを判定する(SG8)。そして、特売セールがある場合(SG8、Yes)、併設建物15への来客数が特売セールがない場合よりも増えることが予想され、SG4で週末又は祝祭日に該当すると判定した場合と同様の要求があるとし、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側充電要求指標を増加させると共に、記憶部54の運営者側放電要求指標を減少させる(SG9)。
【0092】
一方、特売セールがない場合(SG8、No)、併設建物15への来客数が特売セールがある場合よりも減ることが予想され、SG4で週末又は祝祭日に該当しない判定した場合と同様の要求があるとし、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側充電要求指標を減少させると共に、記憶部54の運営者側放電要求指標を増加させる(SG10)。
【0093】
次いで、要求情報取得部55aは、記憶部54から最新の来客数情報を取得し(SG11)、この来客数情報により特定される併設建物15への来客数が、所定の基準来客数を上回っているか否かを判定する(SG12)。この基準来客数は、併設建物15が混雑していることを判定する指標として予め記憶部54に設定されている。そして、来客数が基準来客数を上回っている場合(SG12、Yes)、併設建物15が混雑しているため、SG4で週末又は祝祭日に該当すると判定した場合と同様の要求があるとし、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側充電要求指標を増加させると共に、記憶部54の運営者側放電要求指標を減少させる(SG13)。
【0094】
一方、来客数が基準来客数を上回っていない場合(SG12、No)、併設建物15は混雑していないため、SG4で週末又は祝祭日に該当しない判定した場合と同様の要求があるとし、要求情報取得部55aは、記憶部54の運営者側充電要求指標を減少させると共に、記憶部54の運営者側放電要求指標を増加させる(SG14)。これにて要求情報取得処理を終了する。
【0095】
以降、このように設定された運営者側充電要求指標と運営者側放電要求指標に基づいて、条件設定処理で充電単価や放電単価が設定され、これら充電単価や放電単価に基づく充電料金や放電料金の精算が退出制御処理で行われる。
【0096】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、併設建物15の利用状態を自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させるので、例えば、併設建物15の利用者が多い場合には、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18からの放電によって自動車の蓄電池に対して充電を行いたいとの運転者側充電要求を低下させるように、自動車充電条件又は自動車放電条件を設定し、併設建物15の利用者が少ない場合には、駐車場1又は併設建物15の蓄電設備13、18からの放電によって自動車の蓄電池に対して充電を行いたいとの運転者側充電要求を増加させるように、自動車充電条件又は自動車放電条件を設定する等、自動車充電条件又は自動車放電条件を介して、併設建物15の利用状態を適正化することが可能になる。
【0097】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0098】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0099】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、充放電制御システム50、60の機能の一部を他の機器に持たせることもでき、充放電制御システム50、60から発券機7、充放電端末6、あるいは精算機9を介して行うものとして説明した処理の一部を、これら発券機7、充放電端末6、あるいは精算機9が単独で行うようにしてもよい。この場合には、これら発券機7、充放電端末6、あるいは精算機9の如き各種の機器と充放電制御システム50、60とにより構成される充放電制御システムを構築することができる。
【0100】
(充電と放電について)
上記各実施の形態では、充電と放電の両方を行うものとして説明したが、いずれか一方のみを行うようにしてもよく、この場合には、各実施の形態で説明した構成及び処理の中で、当該一方のみに関する構成及び処理のみを具備又は実行すればよい。
【0101】
(運営者側放電要求と運営者側充電要求について)
上記各実施の形態では、運営者側放電要求と運営者側充電要求の両方に基づいて、自動車の蓄電池に対する自動車充電条件又は自動車放電条件を設定するものとして説明したが、運営者側放電要求と運営者側充電要求は相互に反比例関係になることも多いため、いずれか一方のみに基づいて充電又は放電の条件を設定するようにしてもよく、この場合には、各実施の形態で説明した構成及び処理の中で、当該一方のみに関する構成及び処理のみを具備又は実行すればよい。
【0102】
(運営者側充電要求指標と運営者側放電要求指標について)
上記各実施の形態では、運営者側充電要求の指標として運営者側充電要求指標を使用すると共に、運営者側放電要求の指標として運営者側放電要求指標を使用するものとして説明したが、このような指標を使用することなく、運営者側充電要求や運営者側放電要求を直接的に自動車充電条件又は自動車放電条件に反映させてもよい。例えば、実施の形態1において、駐車場1の契約受電量に対する電力使用量に対する割合に応じた充電単価や放電単価を予め記憶部54に設定しておき、駐車場1の電力監視装置14から取得した電力使用量に対応する充電単価や放電単価を記憶部54から取得することにより、これら充電単価や放電単価を自動車充電条件又は自動車放電条件として設定してもよい。
【0103】
また、このような指標を使用する場合においても、その増減の考え方は任意に変更可能であり、例えば、実施の形態2において、併設建物15で特売セールがある場合には、併設建物15への来客数が特売セールがない場合よりも増えることが予想されるので、運営者側充電要求指標を増加させると共に、運営者側放電要求指標を減少させるものとして説明したが、この場合、併設建物15の特売セールにより多くの利用者を集客したいと運営者が考える場合には、充電単価を低減して利用者の集客に寄与させるべく、運営者側放電要求指標を増加させてもよい。
【0104】
(蓄電状態情報について)
蓄電状態情報としては、上記各実施の形態で説明した情報以外の情報を取得してもよく、例えば、駐車場1や併設建物15の蓄電設備13、18に電力が蓄電された場合の電力単価を取得し、電力単価が安い場合(安価な深夜電力により蓄電した場合等)には、充電単価を低額にして多くの利用者を集客するため、運営者側放電要求指標を増加させてもよい。
【0105】
(利用状態情報について)
同様に、利用状態情報としても、上記各実施の形態で説明した情報以外の情報を取得してもよく、例えば、各利用者の併設建物15における商品購入金額やサービス利用金額を取得し、これらの金額が所定金額以上の場合には、充電料金を所定額だけ割り引いたり、放電料金を所定額だけ割り増しすることで、併設建物15での商品購入やサービス利用を促進してもよい。
【0106】
(情報管理について)
上記各実施の形態では、駐車券に記録した現在日時や充放電履歴に基づき充放電制御処理を行っているが、充放電制御処理を行うための具体的な情報の記録や取得の管理方法は任意に変更可能である。例えば、上述のように商品購入金額やサービス利用金額が所定金額以上の場合には充電単価を低額する際には、運転者を一意に識別する運転者IDを付与し、この運転者IDを自動車の駐車場1への進入時に駐車券に記録する。そして、併設建物15での料金精算時には、当該駐車券の運転者IDを料金精算レジスタ等で読み取って購入金額等と共に充放電制御システム50、60の記憶部54に送信して記録する。その後、自動車の駐車場1からの退出時には、駐車券の運転者IDを精算機9で読み取り、当該運転者IDに対応する購入金額等を記憶部54から取得し、当該購入金額等に応じて充電料金の割り引き額は放電料金の割り増し額を決定し、充放電料金の算定を行ってもよい。
【0107】
(自動車充電条件又は自動車放電条件について)
自動車充電条件又は自動車放電条件としては、充電単価や放電単価以外にも種々の条件を設定することができ、例えば、1台当たりの最大充電量や最大放電量や、1台当たりに要する充電時間や放電時間を条件として設定してもよい。例えば、運営者側充電要求指標が大きい程、1台当たりの最大充電量を抑制したいと運営者が考える場合、最大充電量を少なく設定すると共に、1台から放電してもらう電力量を大きくするため、最大放電量を大きく設定する。
【0108】
(充放電制御について)
条件設定部55bにて設定された条件に基づいて、充放電制御手段が行う充電又は放電に関する制御の具体的な内容は、変更可能であり、例えば、上述のように条件として最大充電量や最大放電量を設定した場合には、充放電制御部55eによる充放電制御処理において、当該設定した最大充電量や最大放電量を取得し、1台当たりの最大充電量や最大放電量が当該取得した最大充電量や最大放電量になるように、充電量や放電量を制御する。
【0109】
(放送手段について)
自動車充電条件又は自動車放電条件を放送する放送手段としては、上述の掲示やFM放送のための手段以外にも、例えば、デジタルTV網、インターネット(Wi−FiやWiMaxの如き無線通信網を含む)、携帯電話等の電話網、GPSを用いたカーナビ位置情報システム、電子カード(ETCカード、RFID、ICカード)を用いた情報通信システムを適用してもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 駐車場
2 駐車スペース
3 車路
4 進入路
5 退出路
6 充放電端末
7 発券機
8 進入ゲート
9 精算機
10 退出ゲート
11 管理室
12、17 電気室
13、18 蓄電設備
14、19 電力監視装置
15 併設建物
16 出入口
20 掲示板
21 FM送信装置
22 FMアンテナ
50、60 充放電制御システム
51 入力部
52 出力部
53 ネットワークIF
54 記憶部
54a 条件情報DB
55 制御部
55a 要求情報取得部
55b 条件設定部
55c 条件報知部
55d 進入制御部
55e 充放電制御部
55f 退出制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場に駐車された電気自動車に対する充電又は放電のための制御を行う充放電制御システムであって、
前記駐車場又は当該駐車場に併設された併設建物の運営者の要求であって、当該駐車場又は当該併設建物の蓄電設備から放電したいとの要求である運営者側放電要求、又は、当該駐車場又は当該併設建物の蓄電設備に対して充電したいとの要求である運営者側充電要求、に関する要求情報を取得する要求情報取得手段と、
前記要求情報取得手段にて取得された要求情報に基づいて、前記駐車場又は前記併設建物の蓄電設備から放電を行うことによって前記電気自動車の蓄電池に対して充電を行うために前記運営者が設定すべき自動車充電条件、又は、前記電気自動車の蓄電池から放電を行うことによって前記駐車場又は前記併設建物の蓄電設備に対して充電を行うために前記運営者が設定すべき自動車放電条件、を設定する条件設定手段と、
前記条件設定手段にて設定された前記自動車充電条件又は前記自動車放電条件に基づいて、前記電気自動車に対する充電又は放電に関する制御を行う充放電制御手段と、
を備える駐車場における電気自動車への充放電制御システム。
【請求項2】
前記条件設定手段は、前記自動車充電条件として、前記駐車場又は前記併設建物の蓄電池から放電を行うことによって前記電気自動車の蓄電池に対して充電を行う際の自動車充電単価を設定し、あるいは、自動車放電条件として、前記電気自動車の蓄電池から放電を行うことによって前記駐車場又は前記併設建物の蓄電池に対して充電を行う際の自動車放電単価を設定する、
請求項1に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システム。
【請求項3】
前記要求情報取得手段は、前記要求情報として、前記駐車場又は前記併設建物が電力会社と契約している契約受電量と、前記駐車場又は前記併設建物の現在の電力使用量と、に関する電力量情報を取得し、
前記条件設定手段は、前記要求情報取得手段にて取得された電力量情報に基づいて、前記自動車充電条件又は前記自動車放電条件を設定する、
請求項1又は2に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システム。
【請求項4】
前記要求情報取得手段は、前記要求情報として、前記駐車場又は前記併設建物の蓄電設備の蓄電状態に関する蓄電状態情報を取得し、
前記条件設定手段は、前記要求情報取得手段にて取得された蓄電状態情報に基づいて、前記自動車充電条件又は前記自動車放電条件を設定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システム。
【請求項5】
前記要求情報取得手段は、前記要求情報として、前記併設建物の利用者による当該併設建物の利用状態に関する利用状態情報を取得し、
前記条件設定手段は、前記要求情報取得手段にて取得された利用状態情報に基づいて、前記自動車充電条件又は前記自動車放電条件を設定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システム。
【請求項6】
前記条件設定手段にて設定された前記自動車充電条件又は前記自動車放電条件を、電気自動車の運転者に対して報知するための出力手段を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の駐車場における電気自動車への充放電制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−135152(P2012−135152A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286367(P2010−286367)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】