説明

駐車場抽出装置及び駐車場抽出方法、並びに、経路探索装置及び経路探索方法

【課題】降雪,積雪,除雪,融雪の内の少なくとも1つに関する雪関連情報を参照してユーザにとって適切な駐車場を抽出することができる駐車場抽出装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション制御部33Aは、DSRCで配信される駐車場情報に基づいて、複数の駐車場から所定の条件に合致する駐車場を抽出する。ナビゲーション制御部33Aは、DSRCで配信される駐車場の降雪,積雪,除雪,融雪の内の少なくとも1つである雪関連情報を取得する。主制御部31は、駐車場の情報と雪関連情報とを対応させて、表示部33Gに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降雪,積雪,除雪,融雪の内の少なくとも1つに関する雪関連情報を参照してユーザにとって適切な駐車場を抽出することができる駐車場抽出装置及び駐車場抽出方法、並びに、雪関連情報を参照してユーザに駐車場まで走行しやすい経路を案内することができる経路探索装置及び経路探索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、道路の積雪の状況を参照して積雪している道路を回避するように目的地までの経路を案内する経路探索装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−51682号公報
【特許文献2】特開2004−205348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1,2に記載の発明では、積雪している道路を回避して目的地に到達できたとしても、目的地周辺に位置する駐車場や目的地である駐車場に積雪があって駐車が困難であるという場合が起こり得る。ユーザにとっては、雪関連情報を考慮して駐車場を選択して提示したり案内したりすることが求められる。
【0005】
本発明はこのような要望に対応するため、降雪,積雪,除雪,融雪の内の少なくとも1つに関する雪関連情報を参照してユーザにとって適切な駐車場を抽出することができる駐車場抽出装置及び駐車場抽出方法を提供することを目的とする。また、雪関連情報を参照してユーザに駐車場まで走行しやすい経路を案内することができる経路探索装置及び経路探索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、複数の駐車場から所定の条件に合致する駐車場を抽出する駐車場抽出部(2または33A)と、前記駐車場抽出部が抽出したそれぞれの駐車場に対応付けられた、それぞれの駐車場が位置する場所の降雪に関する情報と、それぞれの駐車場における積雪に関する情報と、それぞれの駐車場における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである雪関連情報を取得する雪関連情報取得部(2または33A)と、前記駐車場抽出部が抽出したそれぞれの駐車場の情報と前記雪関連情報取得部が取得した雪関連情報とを対応させて、表示部(33G)に表示させるよう制御する表示制御部(31)とを備えることを特徴とする駐車場抽出装置を提供する。
【0007】
上記の駐車場抽出装置において、前記駐車場抽出部は、前記所定の条件として、現在位置から所定の距離以内の駐車場を抽出するか、または、駐車場に駐車する時間における前記雪関連情報に基づいて駐車場を抽出することが好適である。
【0008】
また、上記の駐車場抽出装置において、現在位置から目的地までの経路を案内する経路案内部(2または33A)をさらに備え、前記駐車場抽出部は、前記所定の条件として、前記目的地から所定の距離以内の駐車場または前記目的地に対応付けられている駐車場を抽出することが好適である。
【0009】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、車載器(5)または情報配信装置(2)が、複数の駐車場から所定の条件に合致する駐車場を抽出し、前記車載器または前記情報配信装置が、抽出したそれぞれの駐車場に対応付けられた、それぞれの駐車場が位置する場所の降雪に関する情報と、それぞれの駐車場における積雪に関する情報と、それぞれの駐車場における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである雪関連情報を取得し、前記車載器の表示部(33G)に、抽出したそれぞれの駐車場の情報と前記雪関連情報取得部が取得した雪関連情報とを対応させて表示することを特徴とする駐車場抽出方法を提供する。
【0010】
上記の駐車場抽出方法において、前記所定の条件として、現在位置から所定の距離以内の駐車場を抽出するか、または、駐車場に駐車する時間における前記雪関連情報に基づいて駐車場を抽出することが好適である。
【0011】
また、上記の駐車場抽出方法において、前記車載器または前記情報配信装置が、現在位置から目的地までの経路を案内し、前記車載器または前記情報配信装置が、前記所定の条件として、前記目的地から所定の距離以内の駐車場または前記目的地に対応付けられている駐車場を抽出することが好適である。
【0012】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、複数の駐車場から所定の条件に合致する駐車場を抽出する駐車場抽出部(2または33A)と、前記駐車場抽出部が抽出したそれぞれの駐車場に対応付けられた、それぞれの駐車場が位置する場所の降雪に関する情報と、それぞれの駐車場における積雪に関する情報と、それぞれの駐車場における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである第1の雪関連情報を取得する第1の雪関連情報取得部(2または33A)と、前記第1の雪関連情報に基づいて、前記駐車場抽出部が抽出した駐車場の内のいずれかを選択する選択部(31)と、前記選択部が選択した駐車場を目的地として設定し、現在位置から目的地までの複数の経路を探索する経路探索部(2または33A)と、前記経路探索部で探索された経路上の道路の降雪に関する情報と、道路における積雪に関する情報と、道路における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである第2の雪関連情報を取得する第2の雪関連情報取得部(2または33A)と、前記第2の雪関連情報に基づいて、前記経路探索部が探索する複数の経路の内から所定の経路を設定して経路案内する経路案内部(2または33A)とを備えることを特徴とする経路探索装置を提供する。
【0013】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、車載器(5)または情報配信装置(2)が、複数の駐車場から所定の条件に合致する駐車場を抽出し、前記車載器または前記情報配信装置が、抽出したそれぞれの駐車場に対応付けられた、それぞれの駐車場が位置する場所の降雪に関する情報と、それぞれの駐車場における積雪に関する情報と、それぞれの駐車場における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである第1の雪関連情報を取得し、前記車載器が、前記第1の雪関連情報に基づいて、前記駐車場抽出部が抽出した駐車場の内のいずれかを選択し、前記車載器または前記情報配信装置が、選択した駐車場を目的地として設定し、現在位置から目的地までの複数の経路を探索し、前記車載器または前記情報配信装置が、探索された経路上の道路の降雪に関する情報と、道路における積雪に関する情報と、道路における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである第2の雪関連情報を取得し、前記車載器または前記情報配信装置が、前記第2の雪関連情報に基づいて、前記経路探索部が探索する複数の経路の内から所定の経路を設定して経路案内することを特徴とする経路探索方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の駐車場抽出装置及び駐車場抽出方法によれば、ユーザにとって適切な駐車場、即ち、積雪がない、除雪または融雪されている等の駐車しやすい駐車場を抽出することができる。また、本発明の経路探索装置及び経路探索方法によれば、ユーザに駐車場まで積雪がない、除雪または融雪されている等の走行しやすい経路を案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】DSRCを用いた通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1における情報配信装置2の具体的構成例を示すブロック図である。
【図3】図1における路側無線装置3A,3Bの構成例を示す図である。
【図4】図1における車載器5の具体的構成例を示す図である。
【図5】マルチコンテンツフォーマットで編成されたデータ群を概念的に示す図である。
【図6】マルチコンテンツフォーマットに従った配信データに含まれるコンテンツ情報に基づいて表示される画面遷移例を示す図である。
【図7】マルチコンテンツフォーマットに従った配信データに含まれるコンテンツ情報のデータフォーマットの一例を示す図である。
【図8】図7に示すデータフォーマットにおけるID=50に分類される駐車場情報の詳細の一例を示す図である。
【図9】図7に示すデータフォーマットにおけるID=51に分類される駐車場追加更新情報の詳細の一例を示す図である。
【図10】図9に示す駐車場IDに含まれる情報の詳細の一例を示す図である。
【図11】アップリンクタグエリアに記憶される情報の一例を示す図である。
【図12】図1における車載器5と情報配信装置2との間で行われる路車間通信のトランザクションを示す図である。
【図13】図1における車載器5から情報配信装置2へのアップリンク処理を示すフローチャートである。
【図14】実施例1による駐車場選択処理を示すフローチャートである。
【図15】図14における通常検索処理の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図16】図14における雪道対応検索処理の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図17】実施例2による雪道対応検索処理の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図18】実施例3による駐車場選択処理を示すフローチャートである。
【図19】実施例3による駐車場提示画面の一例を示す図である。
【図20】実施例4による駐車場選択処理を示すフローチャートである。
【図21】実施例4による駐車場提示画面の一例を示す図である。
【図22】図21の駐車場提示画面で駐車場を選択した場合の画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の駐車場抽出装置及び駐車場抽出方法、並びに、経路探索装置及び経路探索方法の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。本実施形態においては、DSRC(Dedicated Short Range Communications:狭域通信)を用いた通信システムを利用してユーザにとって適切な駐車場を抽出したり、ユーザに駐車場まで走行しやすい経路を案内したりする例を示している。本発明はDSRCを利用したものに限定されるものではない。
【0017】
[通信システム1の構成]
図1はDSRCを用いた通信システム1の全体構成を示している。図1に示すように、通信システム1は、情報配信装置2と、路側無線装置3A,3Bまたは無線アクセスポイント3Cよりなる無線装置3と、車両4に搭載された車載器5とを含む。情報配信装置2と路側無線装置3A,3BとはDSRC専用のネットワーク6Aで接続されており、情報配信装置2と無線アクセスポイント3Cとは外部ネットワーク6Bで接続されている。
【0018】
車載器5はDSRC通信機能を備えており、路側無線装置3A,3Bまたは無線アクセスポイント3Cと通信する。図1の例では、路側無線装置3Aは、DSRC専用の独自プロトコルにより車載器5及び情報配信装置2と通信する。即ち、路側無線装置3Aによる通信は、IP(Internet Protocol)ではない非IP通信である。路側無線装置3Bは、IPにより車載器5及び情報配信装置2と通信(IP通信)する。無線アクセスポイント3Cによる通信もIP通信である。
【0019】
路側無線装置3A,3Bは道路、駐車場、道の駅等に設置されている。路側無線装置3A,3Bの詳細については後述する。無線アクセスポイント3Cは任意の場所に設置されている。外部ネットワーク6Bは、インターネット及びこれに接続された移動体通信網、無線LAN(Local Area Network)等の任意の無線通信網である。
【0020】
情報配信装置2は、車載器5に対して駐車場情報を配信する駐車場情報配信部2Aと、車載器5に対して天候情報を配信する天候情報配信部2Bと、車載器5に対して雪の情報を配信する雪情報配信部2Cとを備える。天候情報配信部2Bが配信する天候情報は、雪が降っているか否か、または、過去の所定の時間内(例えば1時間,6時間,24時間)の間に雪が降ったことを示す降雪情報や、将来の降雪を予報する降雪予報情報を含む。雪情報配信部2Cが配信する雪の情報は、道路や駐車場等の種々の場所において雪が積もっていることを示す積雪情報、種々の場所において融雪されていることを示す融雪情報、除雪されていることを示す除雪情報を含む。積雪情報は積もっている雪の量(例えば積雪10cm)を示してもよい。
【0021】
天候情報配信部2Bと雪情報配信部2Cが配信する降雪,積雪,除雪,融雪の内の少なくとも1つに関する情報を雪関連情報と称することとする。情報配信装置2は、天候情報配信部2Bと雪情報配信部2Cによって降雪,積雪,除雪,融雪の全ての情報を配信することが好ましいが、全ての情報を配信する必要はなく、いずれか1つのみを配信してもよい。降雪,積雪,除雪,融雪の情報に凍結の情報を加えてもよい。
【0022】
図1においては、情報配信装置2は、駐車場情報配信部2Aと天候情報配信部2Bと雪情報配信部2Cとの全てを有する単一のサーバとして図示されている。しかしながら、駐車場情報配信部2Aと天候情報配信部2Bと雪情報配信部2Cの機能の全てを単一のサーバに設ける必要はなく、別々のサーバに設けてもよいし、複数のサーバで1つの機能を実現してもよく、サーバの構成の仕方は任意である。
【0023】
さらに、情報配信装置2は、ナビゲーションデータ部2Dと案内経路探索部2Eとを備える。ナビゲーションデータ部2Dは、地図データ、地点データ群、リンクデータ群、ノードデータ群、コスト計算条件リストを記憶している。案内経路探索部2Eはナビゲーション制御プログラムを含み、車載器5から供給された車両4の現在位置の情報、目的地の情報、ナビゲーションデータ部2Dが記憶している情報、上述した駐車場情報や雪関連情報を用いて、車両4の現在位置から目的地までの経路を探索することができる。
【0024】
情報配信装置2がナビゲーションデータ部2Dと案内経路探索部2Eとを備えるのは、車両4の経路案内のための情報を車載器5に代わって情報配信装置2が生成して車載器5に配信することができるように構成されているからである。情報配信装置2は必ずしもナビゲーションデータ部2Dと案内経路探索部2Eとを備える必要はない。
【0025】
通信システム1においては、後述するように、車載器5が情報配信装置2から無線装置3を介して駐車場情報や雪関連情報等の各種の情報を取得し、取得した情報に基づいてユーザに駐車場を提示したり、所定の目的地まで経路案内したりすることができる。また、情報配信装置2は、車載器5によってユーザに駐車場を提示するために必要な情報を車載器5に配信したり、車両4を所定の目的地まで経路案内させるために必要な情報を車載器5に配信したりすることができる。勿論、情報配信装置2がナビゲーションデータ部2Dと案内経路探索部2Eとを備えず、車載器5が複数の駐車場から目的とする駐車場を抽出して提示し、車載器5自体が経路案内する機能のみを有する構成であってもよい。
【0026】
[情報配信装置2の構成]
図2を用いて、図1における情報配信装置2の具体的構成例について説明する。図2に示すように、情報配信装置2は、中央演算処理装置(CPU(Central Processing Unit))11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶部14、入力部15、出力部16、第1の通信制御部17A、第2の通信制御部17B、システムバス18を備える。
【0027】
CPU11は、ROM12または記憶部14に格納されているプログラムに応じて、各種演算処理を実行するとともに、装置の各部を制御する。ROM12は、情報配信装置2全体の動作制御に必要なOS(Operating System)や、CPU11が実行する各種動作を行うためのプログラムを格納している。ナビゲーション制御プログラムはROM12に格納されている。RAM13は、CPU11が実行するプログラムや各種のデータを一時的に記憶し、演算処理等を行うためのワークエリアとして機能する。
【0028】
記憶部14は、駐車場情報配信プログラム14A、天候情報配信プログラム14B、雪情報配信プログラム14Cを備える。駐車場情報配信プログラム14Aは、図1における駐車場情報配信部2Aとして機能し、天候情報配信プログラム14Bは、図1における天候情報配信部2Bとして機能し、雪情報配信プログラム14Cは、図1における雪情報配信部2Cとして機能する。また、記憶部14は、図1におけるナビゲーションデータ保持部2Dに相当するナビゲーションデータ保持部14Dと、コンテンツ情報データベース14Eとを備える。コンテンツ情報データベース14Eは、駐車場に関する各種情報を格納している。各種情報は一例として後述するマルチコンテンツフォーマットと称される形式で記憶されている。
【0029】
なお、記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリを用いたSSD(Solid State Drive)、DVDやブルーレイディスク等を用いた光ディスクドライブ等の任意の記憶装置であればよい。
【0030】
入力部15は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力インタフェースである。ユーザは、入力部15によってデータや指示を入力する。出力部16は一例として表示部であり、各種のデータやメッセージを表示する。第1の通信制御部17Aと第2の通信制御部17Bは、無線装置3に対して情報配信装置2からの各種の情報を送信し、無線装置3が車載器5との交信により得た各種の情報を情報配信装置2へと送信する。システムバス18は、上述した各部の間で命令やデータを転送する。
【0031】
[路側無線装置3A,3Bの構成]
ここで、図3を用いて路側無線装置3A,3Bの構成例について説明する。図3に示すように、路側無線装置3A,3Bは本体装置21とアンテナ22とを備える。アンテナ22は、道路脇、道路上方、駐車場、道の駅等に設置されている。路側無線装置3A,3Bは、アンテナ22より到達距離が限定されたDSRCの電波を放射して近傍に路側エリアZを形成する。本体装置21は、路側エリアZ内にある車両4の車載器5とだけ双方向の狭域無線通信が可能である。DSRCは5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。
【0032】
路側無線装置3A,3B及び図1では図示していない他の路側無線装置を含めて、路側無線装置からのDSRCの送信出力はいずれも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置それぞれが形成する路側エリアZは設置場所に関係なくほぼ一定である。路側無線装置3A,3Bと車載器5間の狭域無線通信を路車間通信と称する。
【0033】
本体装置21は、図示していないCPU,ROM,RAM,HDD等を備えたコンピュータ端末で構成されている。本体装置21は、アンテナ22を介して車載器5から受信した情報を、ネットワーク6Aを介して情報配信装置2へと転送する。本体装置21は、情報配信装置2から送信された各種の情報を車載器5へ転送する。
【0034】
[車載器5の構成]
図4を用いて、車載器5の具体的構成例について説明する。図4に示すように、車載器5は、主制御部31,DSRC通信部32,ナビゲーション部33を備える。
【0035】
主制御部31は、CPUがROMに記憶されている各種のプログラムやHDD等の記憶部に記憶されている各種のデータをRAMに読み出して演算することにより、DSRC通信部32とナビゲーション部33とを制御する。DSRC通信部32は、アンテナ32A,送受信/変復調部32B,DSRC制御部32C,DSRC−ASL(Application Sub-Layer)処理部32D,メモリ部32E,情報処理部32Hを備える。
【0036】
アンテナ32AはDSRCの電波を受信して所定の電気信号に変換する。送受信/変復調部32Bは、DSRCプロトコルの物理層に相当するインタフェースを実装し、アンテナ32からの電気信号を受信してデジタル復調する(ASK/QPSK)する。DSRC制御部32Cは、DSRCプロトコルのデータリンク層及びアプリケーション層に相当するインタフェースを実装し、路側無線装置3A,3Bと5.8GHz帯の無線通信を行う。また、DSRC制御部32Cは、送信されてきたデータのフレーム内に含まれる識別子(EID)により車載器5内の対応するアプリケーションプログラムを特定し、DSRC−ASL処理部32Dを制御する。
【0037】
DSRC−ASL処理部32Dは、基本アプリケーション処理及びセキュリティプラットフォームを提供する通信インタフェースを実装し、車載器5にインストールされているアプリケーションプログラムと路側無線装置3A,3Bとの間でDSRC−ASLによる通信制御を行う。なお、DSRC−ASL処理部32Dは、上述した物理層、データリンク層及びアプリケーション層におけるDSRCプロトコルスタックとアプリケーションプログラムとの橋渡しをする役割を担っている。DSRC−ASL処理部32Dは、ASL−ELCP(拡張通信制御プロトコル)上のASL−NCP(ネットワーク制御プロトコル)を識別するための接続点を設けており、特定のアプリケーションを識別する。
【0038】
メモリ部32Eは、図示を省略しているが、CPUが実行する基本的なプログラムを格納しているROM、記憶部、CPUが演算処理を実行する際に、演算途中のプログラムまたはデータを一時的に記憶するRAM等を備える。また、メモリ部32Eは、路側無線装置3A,3Bから送信されてきた各種のサービス情報を蓄積する。メモリ部32Eには、アップリンク用情報生成プログラム32Fとナビゲーション制御プログラム32Gとが格納されている。なお、車載器5から無線装置3を介して情報配信装置2へと情報を送信することをアップリンクといい、情報配信装置2から無線装置3を介して車載器5へと情報を送信することをダウンリンクという。
【0039】
アップリンク用情報生成プログラム32Fは、メモリ部32E内のアップリンクタグエリアと称される特定の記憶領域にユーザ所望の情報を取得するための情報を格納している。アップリンク用情報生成プログラム32Fは、アップリンクタグエリアに格納された情報に基づいて情報配信装置2から情報を配信させるためのプログラムである。主制御部31は、後述するナビゲーション制御部33Aを制御してナビゲーション制御プログラム32Gを実行させる。これにより、車載器5における駐車場の提示や経路案内等の機能を実現する。
【0040】
情報処理部32Hは、IP系通信に用いるDSRC応用サービスに対応するためのHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)ブラウザ(例えばHTML4.01,CSS1及びCSS2)、IP系/非IP系通信に用いるDSRC応用サービスに対応するための文字コーデック(例えばJIS,UNICODE)、音声コーデック(例えばTTS,MP3)、画像コーデック(例えばJPEG,GIF)、動画コーデック(例えばMPEG4)等を搭載している。
【0041】
ナビゲーション部33は、ナビゲーション制御部33A,入力処理部33B,画像処理部33C,高精度測位計測部33D,ナビゲーションデータ保持部33E,操作部33F,表示部33Gを備える。ナビゲーション制御部33Aは、CPUがメモリ部32Eに記憶されているナビゲーション制御プログラム32GをRAMに読み出して実行する。これにより、情報提供制御部34A,情報収集制御部34B,情報選択制御部34Cを機能的に実現している。
【0042】
情報提供制御部34Aは、優先表示制御、情報提供判断制御、情報蓄積制御、経路案内制御等の情報を提供する際の動作を制御する。情報収集制御部34Bは、ナビゲーション部33が保持している車両4の情報を情報配信装置2に送信する動作を制御したり、ユーザが所望する情報を情報配信装置2より収集する動作を制御したりする。情報選択制御部34Cは、ユーザから指定された検索範囲に基づいて所望の情報を抽出したり、情報収集制御部34Bが収集した情報からユーザの所望する条件に合致する情報のみを抽出したりする。
【0043】
入力処理部33Bは、ユーザが操作部33Fを操作した操作入力を処理する。画像処理部33Cは、表示部33Gに画像等の各種のデータを表示するようデータを処理して表示部33Gに供給する。高精度測位計測部33Dは、例えばGPS(Global Positioning System)受信機、ジャイロセンサ等を有し、それらにより測位計測を行って車両4の位置を常に把握する。高精度測位計測部33Dは、GPS以外の他の準天頂衛星を利用してもよい。ナビゲーションデータ保持部33Eは、地図データや経路案内に必要な各種のナビゲーションデータを保持している。
【0044】
ナビゲーションデータ保持部33Eが有するナビゲーションデータは、例えば、地点データ群,リンクデータ群,ノードデータ群,コスト計算条件リストである。地点データ群は複数のレコードを有し、各レコードは1つの地点のデータを有する。地点のデータとは、例えば、それぞれの地点にある建物、店舗、施設等の名称、その地点の位置情報である。地点データ群の地点は、経路案内の際に出発地,経由地,目的地として選択可能である。
【0045】
リンクデータ群及びノードデータ群は、車両4の経路探索や経路案内において使用される。交差点等の分岐点がノードであり、2つの分岐点の間の道路等がリンクである。リンクの両端はノードに接続され、ノードには1つ以上のリンクが接続される。
【0046】
リンクデータ群は複数のレコードを有し、各レコードは1つのリンクのデータを有する。リンクのデータとは、例えば、そのリンクに関する交通規制情報、そのリンクの距離、そのリンクを通過するコスト情報、そのリンクに固有の識別番号、そのリンクが接続されるノードの識別番号である。リンクに関する交通規制情報は、例えば、一方通行路、時間帯通行禁止、右折禁止、Uターン禁止、道幅(幅員)である。なお、各レコードには、1つのリンクではなく1つの道路の全てのリンクが対応付けられていてもよい。リンクを通過するコスト情報は、リンクの通過しやすさまたは通過しにくさに応じた値を有する。リンクを通過するコスト情報は、通過しにくいほど大きな値となる。
【0047】
ノードデータ群は複数のレコードを有し、各レコードは1つのノードのデータを有する。ノードのデータとは、例えば、そのノードの位置情報、そのノードに関する交通規制情報、そのノードを通過するコスト情報、そのノードに固有の識別番号、そのノードに接続されるリンクの識別番号である。ノードに関する交通規制情報は、例えば、信号機の有無、右折禁止、Uターン禁止である。ノードを通過するコスト情報は、ノードの通過しやすさまたは通過しにくさに応じた値を有する。ノードを通過するコスト情報は、通過しにくいほど大きな値となる。
【0048】
コスト計算条件リストは、経路のコストを計算するときの計算条件を有し、例えば、渋滞係数、道なり優先係数等の各種の係数を記憶している。渋滞係数は、渋滞しているリンク及びノードのコスト情報に乗算される係数である。これにより、渋滞しているリンク及びノードの通過コストを上げることができる。渋滞係数は1より大きい値を有する。道なり優先とは、例えば車両4の進行方向や走行車線が予め分かっている場合、その進行方向の道路あるいは車線が、その他の道路と比べて案内経路として相対的に選択されやすくすることである。道なり優先係数は、その道なりのリンクのコスト情報に乗算される係数である。道なり優先係数は1より小さい値を有する。これにより、車両の進行方向の道路の通過コストを下げることができる。
【0049】
地図データは、表示部33Gに地図を表示するために使用するデータである。地図データとしては、例えば二次元あるいは三次元のベクトル地図データである。ベクトル地図データは、地図の背景画像となる背景データと、その背景画像の上に描画されるベクトルデータとを有する。背景画像は、例えば公園,河川,池等を色分けした画像データである。ベクトルデータは、例えば道路毎の描画データである。地図データとして、背景データとベクトルデータの他、ランドマーク用の三次元のポリゴンデータや各地点に対応付けられたアイコンデータを有していてもよい。
【0050】
情報配信装置2から配信された駐車場情報や雪関連情報は、ナビゲーションデータ保持部33Eに記憶されてもよいし、メモリ部32Eに記憶されてもよい。駐車場情報や雪関連情報の格納場所は任意である。なお、駐車場情報や雪関連情報を駐車場選択や経路案内を行う際に情報配信装置2から車載器5へと配信してもよく、予め配信された駐車場情報や雪関連情報を車載器5で記憶しておいてもよい。但し、駐車場情報において動的情報や雪関連情報は時間経過に伴い変化する情報であるので、所定時間毎に配信を受けて車載器5に取り込むことが好ましい。
【0051】
操作部33Fは、例えば、車載器5の本体に設けられた各種の釦や表示部33Gに設けられたタッチパネルである。操作部33Fは、リモートコントローラであってもよい。表示部33Gは、地図やDSRC応用サービスに対応した各種の案内を表示する。ここでは図示していないが、車載器5がスピーカを備え、スピーカによって音声案内を行ってもよい。
【0052】
[マルチコンテンツフォーマットについて]
ここで、通信システム1上でやり取りされるマルチコンテンツフォーマットについて説明する。マルチコンテンツフォーマットとは、1つのデータ形式でDSRCの通信方式を応用した様々なサービスに対応できるように構成された複合フォーマットのことである。マルチコンテンツフォーマットは、目的に応じて必要な項目(ID)のみで配信サービス情報を構成可能である。マルチコンテンツフォーマットを利用することで、PUSH型の通信方式で配信するDSRCにおいて個人の趣味や嗜好等に即した個別配信が可能となる。マルチコンテンツフォーマットで送信されてくる各情報は、図2に示すコンテンツ情報データベース14Eや記憶部14内の他のデータベースに記憶される。但し、各情報のデータの格納形式は必ずしもマルチコンテンツフォーマットでなくてもよい。
【0053】
マルチコンテンツフォーマットで提供されるサービス情報は、車載器5に一旦蓄積され、特定の条件を満たした場合に再生される仕組みとなっている。DSRCにより情報を送受信するためには、車両4が特定の通信エリア内に留まっていないと行うことができなかったが、受信した情報を蓄積して記憶させておくことで、通信エリア外でも情報を再生することが可能となる。地域情報や広告情報等のサービス情報の再生タイミングを設定しておくことにより、ユーザのニーズに合わせた情報を配信することが可能である。マルチコンテンツフォーマットは、配信データ量を抑えて、ネットワークトラフィックを低減することが可能である。
【0054】
図5を用いて、マルチコンテンツフォーマットで編成されたデータ群について説明する。図5に示すように、データ群は、情報グループ1〜情報グループnまでの複数の情報グループを含む。この図5に示す複数の情報グループを含むデータが情報配信装置2から無線装置3を介して車載器5へと送信される。情報グループは、ID=00,ID=01等の基本的な情報と、他の区分項目であるID等の情報とを含む。情報グループは、必ずしも全ての区分IDの情報を含んでいるわけではなく、必要なもののみが含まれて送信される。従って、マルチコンテンツフォーマットによれば、配信された順番通りにデータを再生する以外に、車載器5の機能と連動して特定の場所でサービス情報を再生したり、特定の場所へ誘導したりすることが可能である。
【0055】
また、マルチコンテンツフォーマットによれば、車載器5に設定されている目的地や経由地の情報を得たり、行動履歴や配信されたサービス情報の視聴履歴を取ったりすることもできる。
【0056】
[コンテンツ情報のデータ構成について]
次に、マルチコンテンツフォーマットに従ったコンテンツ情報のデータ構成について説明する。図6は、図5のマルチコンテンツフォーマットに従った配信データに含まれるコンテンツ情報に基づいて表示部33Gに表示される画面遷移例を示している。図7は、マルチコンテンツフォーマットに従った配信データに含まれるコンテンツ情報のデータフォーマットの一例である。
【0057】
図6に示す各画面D1〜D6は、それぞれ1つのコンテンツ情報に基づいて表示される画面を示している。1つのコンテンツ情報は、図7に示すようなID=00〜ID=256により分類される情報が格納可能なファイルにより構成される。ファイルには、提供されるコンテンツ情報の内容に応じて必要な情報が格納される。例えば、図7の画面D6を表示するためのコンテンツ情報には、ID=00,01,02,04,10の情報が必要であるため、ID=01,02,04,10の情報を含んで送信される。コンテンツ情報は、サービス事業者毎にID=00〜ID=256までのデータ形式に従って異なるサービス情報として情報配信装置2の記憶部14に格納されている。
【0058】
以上のように、マルチコンテンツフォーマットによれば、駐車場情報以外の様々な情報を送信することが可能である。本実施形態においては、以下、駐車場に関する情報を主として説明する。
【0059】
図7に示すID=50に分類される駐車場情報には、図8に示すように、駐車場1〜駐車場15までの各種の駐車場に関連する情報が含まれている。具体的には、駐車場情報には、最大15箇所まで登録できる「駐車場満空情報数」と、駐車場を一意に識別するための「駐車場ID」と、「駐車場情報設定」と、「駐車場満空情報等」とが含まれる。「駐車場情報設定」には、入出庫可能時刻、初期料金、初期料金に加算される追加料金、1日の上限最大料金等の情報が含まれる。なお、図8では「駐車場情報設定」は、駐車場情報1設定…駐車場情報15設定と記載されている。
【0060】
「駐車場満空情報等」には、最大15箇所の入口と、入口毎の空き台数情報や更新時刻等の情報が含まれる。また、上記のID=50に分類される駐車場情報には、駐車場1〜駐車場15の駐車場に関する情報以外に、最新の駐車場情報の有無がわかる最新駐車場情報有無フラグが含まれている。なお、「駐車場満空情報数」は15箇所に限定されるものではなく、14箇所以下や16箇所以上であってもよい。
【0061】
図7に示すID=51に分類される駐車場追加更新情報には、図9に示すようにID=50で配信された駐車場の静的な情報が含まれる。静的な情報とは変化しない固定的な情報のことである。具体的には、駐車場追加更新情報には、「3次メッシュ数」,「3次メッシュ1」,「駐車場ID」,「駐車場中心座標」,「入口数」,「入口1〜15」,「名称」,「収容台数」,「駐車場形式」,「車両制限」,「営業時間」,「提携店舗」,「設備状況」,「決済手段」,「予約」の情報が含まれている。3次メッシュとは、例えば、JIS X0410で規定される地域メッシュコードに関連付けられている所定の地域のことである。但し、3次メッシュはJIS X0410以外で規定されているコードに関連付けられている所定の地域であってもよい。
【0062】
「3次メッシュ数」は、3次メッシュの数を示しており、その数量により「3次メッシュ1、3次メッシュ2…」とそれぞれ表現される。3次メッシュ毎に、「駐車場ID」,「駐車場中心座標」,「入口数」,「入口1〜15」,「名称」,「収容台数」と、「駐車場形式」,「車両制限」,「営業時間」,「提携店舗」,「設備状況」,「決済手段」,「予約」等の情報が記録されている。「駐車場ID」には駐車場が一意に識別できる数値等が記録されている。「駐車場ID」の詳細は後述する。
【0063】
「駐車場中心座標」には、駐車場の緯度情報、経度情報や3次メッシュコード(上述のJIS X0410で規定される地域メッシュコードに相当)を示す情報が記録されている。「入口数」は駐車場が有している入口の数を示す情報であり、入口数により「入口1〜15」が記憶されている。「入口1〜15」には右折進入可否を示す情報、入口の緯度、経度を示す情報等が記録されている。
【0064】
「名称」には駐車場の名称を示す情報が記録されている。「収容台数」には、駐車場の収容台数を示す情報等が記録されている。「駐車場形式」には、駐車場の構造(平地、立体、地下、屋上等)や様式(自走、機械、ターンテーブル有りの機械、二段式、多段式)等を示す情報が記録されている。「車両制限」には、車両制限の有無が分かる「車両制限有無」と、車高制限、車幅制限、車長制限、車重制限等の数値が記録されている「車両制限」等が含まれている。「営業時間」には、駐車場に入出庫可能な時間情報(開始時刻、終了時刻)、駐泊可否情報(1日以上駐車できるか否かを示す情報)、備考情報、休日を示す情報等が含まれている。「提携店舗」には、駐車場が提携している施設等の文字列情報、発話用表音文字列情報等が含まれている。
【0065】
「設備状況」には、身障者専用、女性専用、RV車専用、バイク用等の駐車スペースの有無、バリアフリー対応(エレベータの有無,スロープの有無,段差の有無)、トイレの有無等各種の駐車場情報が含まれている。「決済手段」には、ICクレジットカード決済等の各種決済手段の情報、現金決済時の各種紙幣対応の有無情報等が含まれている。「予約」には、駐車場の予約対応が可能であるか否かを示すフラグを示す情報等が含まれている。なお、予約手段としては、JEITA TT−6003Aに規定されるナビブラウザ、携帯電話用ブラウザ、電話による予約対応等があり、電話による予約対応の場合には、予約専用電話番号情報が含まれていてもよい。
【0066】
図10を用いて、図9に示す「駐車場ID」に含まれる情報の詳細の一例について説明する。図10に示すように、「駐車場ID」は、例えば、JISで定められた都道府県/市区町村コードを用いる「自治体コード」を示す情報から構成される5桁の数字を含む。「駐車場ID」は、同一市区町村内の複数地区に通信システム1が導入されている等の場合に地区別に管理するための「地区コード」を示すための1桁の数字を含む。「駐車場ID」は、駐車場情報に関する種別(例えば、0=情報なし、1=民間一般、2=コインパーキング、3=路上、4=ホテル、5=大型小売付帯、6=公営、7=その他、等の種別)を示すための「種別コード」を示すための1桁の数字を含む。
【0067】
また、「駐車場ID」は、事業者毎に割り当てられた固有の識別情報としての「事業者コード」を示すための3桁の数字と、地区内の駐車場に順次付加される固有の駐車場番号としての「シーケンシャルコード」を示すための6桁の数字を含む。「駐車場ID」は、同一の駐車場であっても駐車場の形式(例えば、駐車可能な車両サイズ、フロア毎の駐車料金設定等)が異なる場合にそれらの違いを識別するための「枝番」を示すための1桁の数字を含む。このように、「駐車場ID」は合計17桁の数字から構成される固定長データで構成される。なお、桁とは10進数における桁である。
【0068】
[アップリンクタグエリアに記憶される情報について]
アップリンクタグエリアには、車載器5が無線装置3を介して駐車場情報配信装置2へ送信する情報が記憶される。図11を用いてアップリンクタグエリアに記憶される情報について説明する。なお、図11に示すアップリンク情報は、駐車場情報の配信要求を行う際に含まれる可能性のある情報である。ユーザの設定によりサービス事業者がユーザと契約を交わしていることが確認された後に、アップリンクを行うことが望ましい。
【0069】
図11に示すように、駐車場情報の検索条件として送信されてくるアップリンク情報には、たとえば、「会員情報」、「検索位置情報」、「メッシュコード情報」、「情報更新リクエスト」、「最新情報形態フラグ」、「検索条件」が含まれている。なお、図11に示す情報は、ユーザの検索条件として入力された情報に従って送信されてくるものであり、常に全てが送信されるわけではなく、一部の情報のみがアップリンク情報として送信される場合がある。
【0070】
「会員情報」は、駐車場の満空情報を得るために、事業者との何らかの契約が必要である場合にアップリンク情報に含まれる。「検索位置情報」は、測地系識別フラグ、検索の起点の位置となる緯度情報、経度情報等が含まれている。なお、この「検索位置情報」は、車載器5が任意に通知できる緯度情報、経度情報のため、例えば、自車位置(現在地)、目的地他、ユーザが設定した任意の緯度情報、経度情報とすることも可能である。「メッシュコード情報」は、検索位置に含まれる3次メッシュコード及びそのコードに含まれる駐車場情報のバージョン情報等が含まれる。これにより、ユーザの意思により、メッシュ単位での最新の駐車場情報を事業者に要求することも可能である。
【0071】
「情報更新リクエスト」は、最新の駐車場情報を取得する必要性の有無を判定するための情報である。「最新情報形態フラグ」は、最新の駐車場情報を取得する場合であって、全更新するのか、差分のみを更新するのかを判断するフラグであり、このフラグにより最新の静的情報を配信した後、満空情報を配信することが可能である。「検索条件」には、ユーザが指定した駐車場や、他の情報源から得た駐車場の駐車場IDを指定して、指定した駐車場の満空情報を検索する「ID指定検索」が含まれている。ユーザが駐車場を利用したい「開始時刻」と「終了時刻」を指定して検索が可能であり、車両情報等を入力して駐車可能な駐車場を絞り込むことも可能である。なお、「検索条件」には検索条件が指定されているか否かを判断するフラグである「検索条件有無フラグ」が含まれている。
【0072】
図11に示すアップリンク情報は、駐車場情報配信部2Aに対して駐車場の検索条件を指定する場合のデータ例を示したが、天候情報配信部2B及び雪情報配信部2Cに対する検索条件を指定する場合には、次に説明する情報を情報配信受信部2にアップリンク情報として送信すればよい。
【0073】
天候情報配信部2B及び雪情報配信部2Cに対する検索条件を指定する場合には、上述の「メッシュコード情報」の代わりに、ユーザが所望する地域に該当するリンク番号またはノード番号を示す情報をアップリンク情報として送信する。天候情報配信部2B及び雪情報配信部2Cは、リンク番号またはノード番号に対応付けた雪関連情報を有している。雪関連情報は現在の情報及び予報の情報を含む。車載器5は、リンク番号またはノード番号をアップリンク情報として送信することにより、道路の雪関連情報を取得することができる。
【0074】
リンク番号またはノード番号を示す情報ではなく、緯度経度情報と所定の半径内に含まれる範囲を示す情報をアップリンク情報として送信し、その範囲内に存在する全てのリンク番号またはノード番号を示す情報に関連付けられている雪関連情報を取得するようにしてもよい。
【0075】
さらに、天候情報配信部2Bは、駐車場情報配信部2Aが情報を有しているそれぞれの駐車場が位置する地域の天候情報を配信することができる。従って、車載器5は、それぞれの駐車場が位置する地域で雪が降っているか否か降雪があるか否かの情報を取得することができる。雪情報配信部2Cは、駐車場情報配信部2Aが情報を有しているそれぞれの駐車場の積雪情報、融雪情報、除雪情報を配信することができる。従って、車載器5は、それぞれの駐車場が、積雪しているか否か、積雪があったとしても融雪または除雪されているか否かの情報を取得することができる。
【0076】
このように、車載器5は、情報配信受信部2より、道路上の雪関連情報とそれぞれの駐車場における雪関連情報を取得することができる。なお、情報配信受信部2で使用される地図データのバージョンやデータ提供会社が、車載器5が有する地図データのそれと異なることも考えられるため、地図データのバージョンやデータ提供会社の情報をアップリンク情報として送信するようにしてもよい。
【0077】
[路車間通信について]
図12を用いて、図1における車載器5と情報配信装置2との間で行われる路車間通信のトランザクションについて説明する。図12に示すトランザクションは、車載器5の電源が投入された時点から、図4に示す路側無線装置3A,3Bの通信エリアZ内に車両4に搭載された車載器5が進入し、車載器5が通信エリアZ外に移動するまでの各部の通信処理を示している。車載器5が通信エリアZ内に進入することをエリアイン、通信エリアZ外に出ることをエリアアウトと称する。
【0078】
ステップS1:車載器5の電源が投入されると、主制御部31の全体制御により、ナビゲーション部33はDSRC通信部32にクライアントインフォメーションデータを書き込む。クライアントインフォメーションデータには、通信エリアZ内に位置している車載器5が再生可能なサービス情報の種類や、車載器5が搭載するコンテンツ再生アプリケーション等の情報が含まれている。車載器5が対応可能な言語情報、ナビゲーション部33が有する測地系情報(日本または世界の測地系情報)、対応可能なDRM(Digital Rights Management)、表示部33Gの解像度、蓄積可能なデータ量等もサプリメントインフォメーションとしてクライアントインフォメーションデータと合わせて通知が可能である。
【0079】
ステップS2:車載器5を搭載した車両4がエリアインすると、路側無線装置3A,3BとDSRC通信部32は、路側無線装置3A,3Bと車載器5の間で個別PUSH型の通信を確立すべく、DSRC接続処理(例えばDSRC−SPFにおける認証処理)を行う。なお、DSRC接続処理の詳細については省略する。
【0080】
ステップS3:DSRC接続処理が完了すると、路側無線装置3A,3Bは情報配信装置2に対して、DSRC通信部32はナビゲーション部33に対して、DSRC接続通知を行う。
【0081】
ステップS4:DSRC通信部32は、路側無線装置3A,3Bに対してナビゲーション部33により書き込まれたクライアントインフォメーションデータを送信する。また、路側無線装置3A,3Bは、クライアントインフォメーションデータを情報配信装置2に通知することができる。なお、このステップS4は、クライアント情報通知コマンドに相当する。
【0082】
ステップS5:情報配信装置2は、ステップS4で通知されたクライアントインフォメーションデータに基づき、車載器5自体を一意に識別することができるASL−IDを用いた会員判別を行い、車載器5が有する機能情報を解析して、車載器5に適したサービス情報をマルチコンテンツフォーマットで編成して、路側無線装置3A,3Bに受け渡す。情報配信装置2は、クライアントインフォメーションデータから車載器5で再生可能なサービス情報や車載器5が保有する機能が分かるため、最適なサービス情報を編成して配信することが可能である。
【0083】
また、情報配信装置2は、車載器ID通知コマンド等を用いることにより、車載器5固有のIDを取得することも可能であるため、車載器5を特定することができる。例えば、情報配信装置2と路側無線装置3A,3Bとの双方または一方において、保有する顧客データベース(図示せず)等と車載器5の固有IDとを照合するにより、車載器5の搭載された車両4を特定することも可能である。路側無線装置3A,3Bは、受け取ったサービス情報を車載器5のDSRC通信部32へ配信する。DSRC通信部32は、ナビゲーション部33にサービス情報を供給する。ASL−ID等による会員判別の詳細については省略する。
【0084】
ステップS6:情報配信装置2は、ステップS5の処理以降、特定の記憶領域であるアップリンクタグエリアに情報が書き込まれていないかを確認するため、路側無線装置3A,3Bを介して車載器5に対して定期的にポーリングを行う。ポーリングによりアップリンクタグエリアに情報が書き込まれている場合には書き込まれている情報を取得し、書き込まれていない場合にはポーリングを継続する。
【0085】
ステップS7:ナビゲーション部33は、ステップS5で受け取ったサービス情報からサービス事業者を判別して、サービス事業者用のアップリンク用データをDSRC通信部32の特定の記憶領域としてのアップリンクタグエリアに書き込む。但し、ナビゲーション部33は、サービス事業者用のアップリンク用データが存在しない場合や、そのサービス事業者の非会員である場合にはアップリンクタグエリアには原則としてアップリンク用データを書き込まない。
【0086】
ステップS8:DSRC通信部32は、ステップS7においてアップリンクタグエリアに情報が書き込まれた場合には、書き込まれた情報を路側無線装置3A,3Bに通知する。ステップS8にて通知する情報をアップリンク情報と称する。路側無線装置3A,3Bは、アップリンク情報を情報配信装置2へと受け渡す。
【0087】
ステップS9:情報配信装置2は、ステップS8の処理以降、アップリンクタグエリアの情報が更新されていないかを確認するため、路側無線装置3A,3Bを介して車載器5に対して定期的にポーリングを行う。ポーリングによりアップリンクタグエリアの情報が更新されている場合には更新された情報を取得し、更新されていない場合にはポーリングを継続する。
【0088】
ステップS10:情報配信装置2は、ステップS8においてアップリンク情報を取得したときは、取得した情報に基づき、会員嗜好に適したサービス情報をマルチコンテンツフォーマットで編成して路側無線装置3A,3Bに配信する。路側無線装置3A,3Bは、配信されたサービス情報をDSRC通信部32に配信する。DSRC通信部32は、配信されたサービス情報を解析してナビゲーション部33に適宜データを供給する。
【0089】
ステップS11:情報配信装置2は、嗜好データに適したサービス情報の配信が終了したときは、その旨をDSRC通信部32に対して通知してエリアアウトを促す。これは、1台の車両4が長時間に渡り通信エリアZを占領すると、他の会員へのサービスが提供できなくなるためである。但し、エリアアウトを促す通知は必須ではない。
【0090】
[車載器5のアップリンク処理について]
図13を用いて、車載器5が行う情報配信装置2へのアップリンク処理について説明する。図13に示すアップリンク処理は、図12のステップS7に相当する。車載器5のCPUは、車載器5の電源がオンになるとメモリ部32Eに記憶されているアップリンク用情報生成プログラム32Fを読み出す。これにより、ステップS21以降の処理が実行される。ステップS21以降の処理は、アップリンク用情報生成プログラム32Fのアルゴリズムに従って実行される。
【0091】
ステップS21:DSRC制御部32Cは、駐車場情報の検索条件が車載器5のメモリ部32Eに記憶されているか否かを判定する。主制御部31は、駐車場情報の検索条件が車載器5のメモリ部32Eに記憶されている場合(ステップS21でYES)には、ステップS22の処理へ移行する。一方、主制御部31は、駐車場情報の検索条件が車載器5のメモリ部32Eに記憶されていない場合(ステップS21でNO)には、ステップS23の処理へ移行する。主制御部31は、図11で説明した「検索条件有無フラグ」に基づいて駐車場情報の検索条件の有無を判断する。
【0092】
ステップS22:DSRC制御部32Cは、駐車場情報の検索条件が車載器5のメモリ部32Eに記憶されていると判定すると、メモリ部32Eのアップリンクタグエリアに駐車場情報の検索条件に関する情報を書き込んで、ステップS23の処理へ移行する。
【0093】
ステップS23:DSRC制御部32Cは、駐車場の検索条件以外の情報をアップリンクタグエリアに書き込んで、ステップS24の処理へ移行する。アップリンクタグエリアに書き込むべき情報がない場合には、ステップS22からそのままステップS24の処理へと移行してもよい。
【0094】
ステップS24:DSRC制御部32Cは、アップリンクタグエリアに記録されている情報を、路側無線装置3A,3Bを介して情報配信装置2へアップリンクして、処理を終了する。
【0095】
このような処理により、ユーザが所望する地域付近の駐車場情報を情報配信装置2より取得することができる。情報配信装置2から取得した駐車場情報はDSRC通信部32のメモリ部32Eに記憶される。また、駐車場情報に対応させて、雪関連情報を取得することができる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態によれば、車載器5は走行する道路に関する雪関連情報や駐車しようとする駐車場に関する雪関連情報を取得することができるので、雪関連情報を参照して、複数の駐車場から適切な駐車場を抽出したり、経路案内を行ったりすることが可能である。また、情報配信装置2は道路に関する雪関連情報や駐車場に関する雪関連情報を有しているので、雪関連情報を参照して、複数の駐車場から適切な駐車場を抽出して車載器5に抽出した駐車場の情報を配信したり、経路案内を行うための情報を配信したりすることが可能である。
駐車場の抽出及び経路案内に関して種々の実施例があり、以下、各実施例について説明する。
【実施例1】
【0097】
実施例1は、駐車場を選択するに際して、降雪や積雪がある時期か否かによって処理を異ならせるようにした例である。また、実施例1は、道路に関する雪関連情報を参照して駐車場を抽出し、駐車場まで経路案内するようにした例である。図14を用いて、実施例1の駐車場選択処理について説明する。図14に示す処理は、例えばユーザが操作部33Fを操作することにより、ナビゲーション制御部33Aがナビゲーション制御プログラム32GをRAMに読み出して実行することにより開始される。
【0098】
ステップS31:ナビゲーション制御部33Aは、「雪情報対応検索モード」に設定されているか否かを判定して、設定されている場合(ステップS31でYES)にはステップS32の処理へ移行し、設定されていない場合(ステップS31でNO)にはステップS33の処理へ移行する。雪情報対応検索モードとは、ナビゲーション制御プログラム32Gが実現するナビゲーション機能により、各経路のリンクまたはノードの現在の降雪/積雪情報、降雪/積雪の予報情報、除雪/融雪情報等の交通規制情報を考慮して検索処理がなされる設定をいう。交通規制情報を考慮する他に、車両に滑り止め装備(スタッドレスタイヤやタイヤチェーン等)がないときに自動または手動で雪情報対応検索モードに設定してもよいし、滑り止め装備の有無にかかわらずユーザの操作により設定してもよい。
【0099】
ステップS32:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS31で「雪情報対応検索モード」に設定されていると判定したので、現在の時期が降雪または積雪のある時期であるか否かを判定して、降雪または積雪のある時期ではないと判定した場合(ステップS32でNO)には、ステップS33の処理に移行して「通常検索処理」を実行して駐車場選択処理を終了する。一方、ナビゲーション制御部33Aは、現在の時期が降雪または積雪のある時期であると判定した場合(ステップS32でYES)には、ステップS34の処理に移行して「雪情報対応検索処理」を実行し、駐車場選択処理を終了する。
【0100】
なお、ナビゲーション制御部33Aが、ステップS32において、現在の時期が降雪または積雪のある時期であるか否かを判定する方法は、例えば、12月から3月までの期間を降雪、積雪がある時期として予め設定してもよいし、地域毎に異なる期間を降雪、積雪がある時期として設定してもよい。また、雪関連情報が提供されている期間を降雪、積雪がある時期として設定してもよい。さらには、車載器5のナビゲーションデータ保持部33Eが有するナビゲーションデータに、上述した時期を示す情報を予め記憶しておいてもよいし、天候情報配信部2B及び雪情報配信部2Cに対して、位置情報と検索条件をアップリンク情報として送信して降雪または積雪のある時期であるか否かの情報を取得するようにしてもよい。
【0101】
図15を用いて、図14のステップS33における通常検索処理について説明する。ステップS33の通常検索処理は、情報配信装置2(駐車場情報配信部2A)側からみると、車載器5からアップリンクされた検索条件等に基づいて抽出した駐車場を配信する駐車場情報配信処理(図12のステップS10)に相当する。図15に示す処理は、図2のCPU11が駐車場情報配信プログラム14AをRAM13に読み出して実行することにより処理が開始される。
【0102】
ステップS41:CPU11は、アップリンク情報に含まれる検索位置情報(緯度情報、経度情報)から駐車場情報を取得するための検索範囲を決定して、ステップS42の処理へ移行する。
【0103】
ステップS42:CPU11は、コンテンツ情報データベース14Eを参照して、ステップS41で決定された検索範囲に含まれる駐車場情報が示す駐車場が満車であるか空きがあるかを示す満空情報を調べて、ステップS43の処理へ移行する。具体的には、CPU11は、コンテンツ情報データベース14Eを参照して、図9に示すID=51にある「駐車場中心座標」の情報に基づいて、ステップS41で決定された検索範囲内にある駐車場情報を取得する。そして、取得した駐車場情報の図8に示すID=50にある「駐車場満空情報フラグ」の情報を参照して駐車場の満空情報を得る。
【0104】
ステップS43:CPU11は、ステップS42で得られた駐車場の満空情報から空きがある駐車場の有無を判定する。CPU11は、ステップS42で得られた駐車場の満空情報から空きがある駐車場が検索された場合(ステップS43でYES)には、ステップS44の処理へ移行し、検索されなかった場合(ステップS43でNO)には、ステップS45の処理へ移行する。
【0105】
ステップS44:CPU11は、ステップS43において検索された空きがある駐車場の中から、車載器5よりアップリンクされた情報に含まれる駐車場の検索条件に合致する駐車場情報を抽出して、ステップS46の処理へ移行する。例えば、CPU11は、図11で説明したアップリンク情報に示すような、駐車場IDの指定による検索、駐車開始時刻、駐車終了時間の指定による検索、その他車両種別等の指定による検索が検索条件として含まれる場合にはこれに合致する駐車場情報に絞り込む。
【0106】
ステップS45:CPU11は、ステップS44の抽出処理から、駐車場の検索条件に合致する駐車場情報が存在するか否かを判定し、存在する場合(ステップS45でYES)には、ステップS47の処理へ移行し、存在しない場合(ステップS45でNO)には、ステップS46の処理へ移行する。
【0107】
ステップS46:CPU11は、ステップS43の検索によって空きのある駐車場が存在しなかったため、または、ステップS45の検索によって条件に合致する駐車場が存在しなかったため、車載器5へ送信するダウンリンクデータの駐車場数を「0」に設定し、ステップS52の処理へ移行する。
【0108】
ステップS47:CPU11は、ステップS46の判定処理によって合致する駐車場情報が存在することが判明したので、さらにその合致した駐車場情報が所定件数以上(ここでは16件以上)存在するか否かを判定し、存在する場合(ステップS47でYES)には、ステップS48に移行し、存在しない場合(ステップS47でNO)には、ステップS49の処理へ移行する。なお、所定件数は16件に限定されるものではない。
【0109】
ステップS48:CPU11は、ステップS47の判定処理によって所定件数以上の駐車場情報が存在することが判明したので、さらにその所定件数以上の駐車場情報について、所定件数未満になるように所定の駐車場選定処理を実行して、ステップS50の処理へ移行する。なお、この所定の駐車場選定処理は、例えば、距離の近い順番、駐車場料金の安い順番等で並べて、所定数未満となるように選択すればよい。
【0110】
ステップS49:CPU11は、ステップS47の判定によって検索条件に合致する駐車場情報が所定数以上ないことが判明したので、ステップS44で抽出された駐車場情報数を車載器5へ送信するダウンリンクデータの駐車場数として設定し、ステップS51の処理へ移行する。
【0111】
ステップS50:CPU11は、ステップS48の処理によって検索条件に合致する駐車場情報が所定数未満となるように選択されたので、ステップS48で選択された駐車場情報数(ここでは15)を車載器5へ送信するダウンリンクデータの駐車場数として設定し、ステップS51の処理へ移行する。
【0112】
ステップS51:CPU11は、ステップS49またはステップS50で設定された駐車場数と、その設定された駐車場のそれぞれの関連情報を付加したダウンリンクデータを生成し、ステップS52の処理へ移行する。
【0113】
ステップS52:CPU11は、路側無線装置3A,3Bを介してステップS51で生成されたダウンリンクデータを車載器5に対して送信し、処理を終了する。
【0114】
次に、図16を用いて、図14のステップS34における雪道対応検索処理について説明する。
【0115】
ステップS61:ナビゲーション制御部33Aは、メモリ部32Eに記憶された駐車場情報から指定された駐車場探索範囲内にある駐車場を抽出する。具体的には、駐車場情報配信部2Aが有する駐車場情報の静的情報(図10に示すID=51)を用いて、指定された駐車場探索範囲内にある駐車場の内、指定された条件(例えば車両条件等)に合致する駐車場情報を抽出し、抽出された駐車場情報をリストとして特定の記憶領域に記憶して、ステップS62の処理へ移行する。
【0116】
ステップS62:ナビゲーション制御部33Aは、探索起点からリストアップされた各駐車場までの経路を探索し、ステップS63の処理へ移行する。ここで探索起点とは、例えば、駐車場探索範囲の中央、車両4が探索範囲内に位置するのであれば自車位置、車両4が探索範囲外に位置するのであれば車両4から最も近い探索範囲の一点等である。
【0117】
ステップS63:ナビゲーション制御部33Aは、指定された(ユーザが入力した)駐車開始予定時刻から駐車終了予定時刻までの駐車予定時間における駐車場探索範囲の現在の降雪/積雪情報、降雪/積雪の予報情報を天候情報配信部2Bまたは雪情報配信部2Cより取得し、ステップS64の処理へ移行する。
【0118】
ステップS64:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS63で取得した情報に基づいて、上述の駐車場探索範囲内において、現在雪が降っているか否かを判定し、現在雪が降っていると判定した場合(ステップS64でYES)には、ステップS68の処理へ移行し、現在雪が降っていないと判定した場合(ステップS64でNO)にはステップS65の処理へ移行する。
【0119】
ステップS65:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS64の判定で、上述の駐車場探索範囲内において現在雪が降っていないことが判明したため、さらに駐車予定時間内に雪が降る予報の有無を判定し、駐車予定時間内に雪が降る予報が出ていないと判定した場合(ステップS65でNO)には、ステップS66の判定に移行し、予報が出ていると判定した場合(ステップS65でYES)には、ステップS68の処理へ移行する。
【0120】
ステップS66:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS63で探索された全ての経路にあたる道路のリンクまたはノードについての除雪/融雪情報の検索条件を、雪情報配信部2Cに対してアップリンクすることにより問い合わせを行い、ステップS67の処理へ移行する。
【0121】
ステップS67:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS66の問い合わせにより取得した情報に基づいて、ステップS61で特定の記憶領域に記憶されたリストに含まれる駐車場情報の内、除雪または融雪されている道路(または降雪/積雪がない道路)だけに限定して到達可能な駐車場情報を選択し、ステップS70の処理へ移行する。なお、ステップS67において、ナビゲーション制御部33Aは、道路の降雪量または積雪量が定められた値以下であるか否かで到達可能であるか否かを判定し、その判定結果に応じて駐車場情報を選択するようにしてもよい。このとき、除雪または融雪されている道路(利用可能な道路)に面していない駐車場を除外してもよい。
【0122】
ステップS68:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS64で上述の駐車場探索範囲内において現在雪が降っていると判定され、またはステップS65で上述の駐車場探索範囲内において降雪または積雪の予報が出ていると判定された場合は、ステップS63で探索された全ての経路にあたる道路について、積雪情報及び除雪/融雪情報について雪情報配信部2Cより取得し、ステップS69の処理へ移行する。
【0123】
ステップS69:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS68で入手した情報に基づいて、ステップS61でリストアップされた駐車場情報の内、入庫時及び出庫時に積雪や凍結がない道路だけを通って入出庫可能であると考えられる駐車場を選択する。例えば、ある駐車場への経路にあたる道路が、昼間は定期的に除雪作業が行われ交通が確保されるが、夜間は除雪作業が行われない場合、入出庫予定時刻が昼間であれば入出庫可能と判断するが、予定時刻が夜間や早朝の場合は入出庫不可能と判断する。なお、ステップS69においても、ステップS67と同様に、主制御部31が、道路の積雪量が定められた値以下であるか否かで到達可能であるか否かを判定し、その判定結果に応じて駐車場情報を選択するようにしてもよい。
【0124】
ステップS70:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS67またはステップS69において選択された駐車場情報の満車情報、空車情報について駐車場配信部2Aに対して問い合わせる。このとき、駐車場IDを指定して問い合わせることが好ましい。
【0125】
ステップS71:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS70の問い合わせに対する回答として、空きがある駐車場がある場合には、その空きがある駐車場情報に関する情報を表示部33Gに表示させて、ユーザに案内して終了する。
【0126】
なお、ステップS67及びステップS69において、駐車場へ到達できるか否かを判定する場合に、地図データより求められる道路の勾配により通行の可否を判定するための閾値を変更するようにしてもよい。具体的には、平坦な道なら少々の積雪は通行可と判定するが、急勾配であればわずかでも積雪があれば通行不可と判定すること等である。
【0127】
実施例1によれば、抽出した駐車場まで道路の雪関連情報を参照して、ユーザに駐車場まで走行しやすい経路を案内することができる。
【実施例2】
【0128】
実施例1は、例えば自車位置から目的とする駐車場までの道路の雪関連情報を参照して駐車場まで経路案内するのに対し、実施例2は、駐車場探索範囲内の道路のみ、雪関連情報を参照して走行可能な道路を設定するようにした例である。実施例2は実施例1と図14及び図15の処理については同じであり、ステップS34における雪道対応検索処理が異なる。図17を用いて、実施例2による雪道対応検索処理について説明する。図17において、図16と実質的に同一の処理ステップには同一の符号を付し、説明を適宜省略または簡略化する。
【0129】
ナビゲーション制御部33Aは、図17のステップS61の処理を実行すると、ステップS63の処理を実行して、ステップS64の判定を実行する。即ち、車載器5は、探索範囲内にある駐車場情報をリストアップすると共に、探索範囲内の天候情報を配信するよう天候情報配信部2Bへ要求する。車載器5は、ステップS64にて、天候情報配信部2Bから天候情報を取得し、現在雪が降っているか否かを判定する。主制御部31は、ステップS64の判定でNOの場合には、ステップS65の判定を実行する。ナビゲーション制御部33Aは、ステップS65の判定でNOの場合には、ステップS66Aの処理へ移行する。
【0130】
ステップS66A:ナビゲーション制御部33Aは、駐車場探索範囲の道路について、現在の状況である除雪/融雪の情報を雪情報配信部3Cに問い合わせて、配信されてきた情報を取得し、ステップS67Aの処理へ移行する。
【0131】
ステップS67A:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS66Aの問い合わせで取得した情報に基づいて通行可能と判定された道路を利用可能な道路に設定し、ステップS67Bの処理へ移行する。
【0132】
ステップS68A:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS64の判定で雪が降っていると判定され(ステップS64でYES)、またはステップS65の判定で降雪の予報が出ていると判定された場合(ステップS65でYES)は、駐車場の探索範囲の道路について、積雪/融雪情報を雪情報配信部2Cより取得し、ステップS68Bの処理へ移行する。
【0133】
ステップS68B:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS68Aにおいて取得した情報に基づき、入庫予定時刻と出庫予定時刻に通行可能と判定された道路を用いて利用可能な道路に設定して、ステップS67Bの処理へ移行する。例えば、ある道路について、昼間は定期的に除雪作業が行われ交通が確保されるが、夜間は除雪作業が行われない場合、入出庫予定時刻が昼間であればその道路は利用可能に設定するが、予定時刻が夜間や早朝の場合はその道路は利用可能に設定しない。
【0134】
ステップS67B:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS61で特定の記憶領域に記憶されたリスト全ての駐車場情報について、ステップS67AまたはステップS68Bで利用可能と設定された道路のみを用いて経路探索を行い、経路を見つけることができなかった駐車場情報をリストから削除し、ステップS70の処理へ移行する。このとき、利用可能な道路に面していない駐車場を除外してもよい。ステップS70及びS71の処理は図16と同じである。
【実施例3】
【0135】
実施例3は、所定の条件で駐車場を抽出して選択する際に、ユーザに駐車場の情報と対応させて雪関連情報を提示することにより、ユーザが適切な駐車場を選択できるように構成した例である。図18を用いて、実施例3の駐車場選択処理について説明する。
【0136】
ステップS81:ナビゲーション制御部33Aは、ユーザが操作部33Fによって駐車場を抽出する操作を行ったか否かを判定し、行ったと判定された場合(ステップS81でYES)は、ステップS82の処理へ移行する。駐車場を抽出する操作を行ったと判定されなかった場合(ステップS81でNO)は、ステップS81に戻り繰り返す。
【0137】
ステップS82:ナビゲーション制御部33Aは、所定の条件で駐車場をリストアップする。所定の条件とは、例えば、現在位置から所定の距離以内にある駐車場である。
【0138】
ステップS83:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS82でリストアップした駐車場の雪関連情報等を情報配信装置2より入手する。雪関連情報以外に、リストアップした駐車場の満空情報や駐車場の構造の情報を入手してもよい。
【0139】
ステップS84:主制御部31は、リストアップした駐車場の情報をステップS83で入手した雪関連情報等と対応させて表示する。図19は、ステップS84で表示部33Gに表示する駐車場提示画面の一例である。図19の例では、それぞれの駐車場に対応させて、現在位置から距離と、雪関連情報と、満空情報とを示している。少なくとも駐車場に対応させて雪関連情報を示せばよい。
【0140】
ステップS85:主制御部31は、図19の駐車場提示画面で示された駐車場のいずれかを選択したか否かを判定する。表示部33Gがタッチパネルであれば駐車場提示画面を触れていずれかの駐車場を選択すればよい。操作部33Fによるカーソル釦等の操作で選択してもよい。いずれかの駐車場が選択されたと判定された場合(ステップS85でYES)は、ステップS86の処理へ移行する。いずれかの駐車場も選択されたと判定されなかった場合(ステップS85でNO)は、ステップS87の処理へ移行する。
【0141】
ステップS86:選択された駐車場の情報はナビゲーション制御部33Aへと入力される。ナビゲーション制御部33Aは、選択された駐車場を目的地に設定して経路案内を行う。ステップS86による経路案内を省略し、表示部33Gに表示された地図上に選択された駐車場を明示するのみでもよい。
【0142】
ステップS87:主制御部31は、図19の駐車場提示画面を消去する入力がなされたか否かを判定する。例えば、操作部33Fに設けられている現在位置を表示させる釦や前の状態に戻すための釦等が操作された場合には、駐車場提示画面を消去する入力となる。駐車場提示画面を消去する入力がなされたと判定された場合(ステップS87でYES)は、ステップS88の処理へ移行する。駐車場提示画面を消去する入力がなされたと判定されなかった場合(ステップS87でNO)は、ステップS85の処理に戻る。
【0143】
ステップS88:ステップS87で駐車場提示画面を消去する入力がなされた場合には、図19の駐車場提示画面を消去してステップS81の処理に戻る。
【0144】
実施例3において、ステップS86の経路案内の際に、図16,図17と同様に、道路の雪関連情報を参照して経路を選択してもよい。実施例3は、目的地まで道路を十分に知っており、目的地まで経路案内を行う必要がないが、駐車場を探す際に、積雪がない、除雪または融雪されている等の駐車しやすい駐車場を知りたい場合に好適である。
【0145】
ここでは、車載器5で駐車場を抽出する場合について説明したが、ステップS82,S83,S86を情報配信装置2で行って、必要な情報を車載器5に配信してもよい。
【0146】
実施例3によって実現される駐車場抽出装置は次の通りである。駐車場抽出部は、複数の駐車場から所定の条件に合致する駐車場を抽出する。車載器5のナビゲーション制御部33Aまたは情報配信装置2は駐車場抽出部として動作する。雪関連情報取得部は、駐車場抽出部が抽出したそれぞれの駐車場に対応付けられた、それぞれの駐車場が位置する場所の降雪に関する情報と、それぞれの駐車場における積雪に関する情報と、それぞれの駐車場における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである雪関連情報を取得する。同様に、ナビゲーション制御部33Aまたは情報配信装置2は雪関連情報取得部として動作する。
【0147】
表示制御部は、駐車場抽出部が抽出したそれぞれの駐車場の情報と雪関連情報取得部が取得した雪関連情報とを対応させて、表示部33Gに表示させるよう制御する。主制御部31は表示制御部として動作する。駐車場抽出部及び雪関連情報取得部が情報配信装置2の場合、情報配信装置2は駐車場の情報と雪関連情報とを車載器5に送信する。
【0148】
ステップS86の経路案内の際に、図16,図17と同様に、道路の雪関連情報を参照して経路を選択するように構成した場合には、実施例3によって実現される経路探索装置は次の通りである。ナビゲーション制御部33Aまたは情報配信装置2は駐車場抽出部として、複数の駐車場から所定の条件に合致する駐車場を抽出する。ナビゲーション制御部33Aまたは情報配信装置2は第1の雪関連情報取得部として、駐車場抽出部が抽出したそれぞれの駐車場に対応付けられた、それぞれの駐車場が位置する場所の降雪に関する情報と、それぞれの駐車場における積雪に関する情報と、それぞれの駐車場における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである第1の雪関連情報を取得する。
【0149】
主制御部31は選択部として、第1の雪関連情報に基づいて、駐車場抽出部が抽出した駐車場の内のいずれかを選択する。ナビゲーション制御部33Aまたは情報配信装置2は経路探索部として、選択部が選択した駐車場を目的地として設定し、現在位置から目的地までの複数の経路を探索する。ナビゲーション制御部33Aまたは情報配信装置2は第2の雪関連情報取得部として、経路探索部で探索された経路上の道路の降雪に関する情報と、道路における積雪に関する情報と、道路における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである第2の雪関連情報を取得する。ナビゲーション制御部33Aまたは情報配信装置2は経路案内部として、第2の雪関連情報に基づいて、経路探索部が探索する複数の経路の内から所定の経路を設定して経路案内する。
【実施例4】
【0150】
実施例4は、目的地を設定して経路案内し、目的地に近付いた際に、ユーザに駐車場の情報と対応させて雪関連情報を提示することにより、ユーザが適切な駐車場を選択できるように構成した例である。図20を用いて、実施例4の駐車場選択処理について説明する。
【0151】
ステップS91:ナビゲーション制御部33Aは、ユーザが操作部33Fによって目的地を設定する操作を行ったか否かを判定し、行ったと判定された場合(ステップS91でYES)は、ステップS92の処理へ移行する。目的地を設定する操作を行ったと判定されなかった場合(ステップS91でNO)は、ステップS91に戻り繰り返す。
【0152】
ステップS92:ナビゲーション制御部33Aは、目的地までの経路を探索する。
【0153】
ステップS93:ナビゲーション制御部33Aは、目的地付近の駐車場をリストアップする。目的地から所定の距離以内にある駐車場をリストアップすればよい。目的地と駐車場とを対応させておき、目的地に対応する駐車場をリストアップしてもよい。ステップS91で目的地を設定したら、ステップS92で経路を探索する前に目的地付近の駐車場をリストアップしてもよい。経路の探索と並行して駐車場をリストアップしてもよい。
【0154】
ステップS94:ナビゲーション制御部33Aは、目的地まで経路案内する。
【0155】
ステップS95:ナビゲーション制御部33Aは、目的地に近付いたか否かを判定する。目的地に近付いたとは現在位置から目的地までの距離が所定の距離以下になったことである。ここでの所定の距離は、ステップS93において駐車場をリストアップする際の目的地からの所定の距離よりも長いことが好ましい。目的地に近付いたと判定された場合(ステップS95でYES)は、ステップS96の処理へ移行する。目的地に近付いたと判定されなかった場合(ステップS95でNO)は、ステップS95に戻り繰り返す。
【0156】
ステップS96:ナビゲーション制御部33Aは、ステップS93でリストアップした駐車場の雪関連情報等を情報配信装置2より入手する。雪関連情報以外に、リストアップした駐車場の満空情報や駐車場の構造の情報を入手してもよい。
【0157】
ステップS97:主制御部31は、リストアップした駐車場の情報をステップS83で入手した雪関連情報等と対応させて表示する。図21は、ステップS97で表示部33Gに表示する駐車場提示画面の一例である。それぞれの駐車場に対応させて、雪関連情報と満空情報とを示している。少なくとも駐車場に対応させて雪関連情報を示せばよい。図21の例は、経路案内している地図の画面と併せて駐車場提示画面を表示するものである。図21において、車両4は現在位置マーク61で示される位置にあり、目的地マーク62で示される目的地に向かっている。駐車場提示画面で示された3つの駐車場が地図上に駐車場マーク631〜633にて示されている。
【0158】
ステップS98:主制御部31は、図21の駐車場提示画面で示された駐車場のいずれかを選択したか否かを判定する。駐車場の選択の仕方は実施例3で説明したのと同様である。いずれかの駐車場が選択されたと判定された場合(ステップS98でYES)は、ステップS99の処理へ移行する。いずれかの駐車場も選択されたと判定されなかった場合(ステップS98でNO)は、ステップS100の処理へ移行する。
【0159】
ステップS99:主制御部31は、選択された駐車場を地図上に明示する。具体的には、選択された駐車場を選択されなかった駐車場とは視覚的に異なるように表示して終了する。図22は、図21の駐車場提示画面で第2駐車場を選択した場合の表示例を示している。第2駐車場を示す駐車場マーク632が拡大され、色、輝度、模様等を異ならせて表示している。選択した駐車場の駐車場マークを点滅させたり、非選択の駐車場の駐車場マークの明るさを暗くしたり、視覚的な異ならせ方は任意である。
【0160】
ステップS100:主制御部31は、図21の駐車場提示画面を消去する入力がなされたか否かを判定する。駐車場提示画面の消去の仕方は実施例3で説明したのと同様である。駐車場提示画面を消去する入力がなされたと判定された場合(ステップS100でYES)は、ステップS101の処理へ移行する。駐車場提示画面を消去する入力がなされたと判定されなかった場合(ステップS100でNO)は、ステップS98の処理に戻る。
【0161】
ステップS101:ステップS100で駐車場提示画面を消去する入力がなされた場合には、図21の駐車場提示画面を消去して終了する。
【0162】
実施例4においては、駐車場を選択した場合には既に目的地及び駐車場に近付いており、駐車場までの経路案内は必要ないが、経路案内してもよい。ステップS92の経路案内の際に、図16,図17と同様に、道路の雪関連情報を参照して経路を選択してもよい。実施例4は、目的地に近付いた際に、目的地付近の積雪がない、除雪または融雪されている等の駐車しやすい駐車場を知りたい場合に好適である。
【0163】
ここでは、車載器5で経路探索して駐車場を抽出する場合について説明したが、ステップS92〜S96を情報配信装置2で行って、必要な情報を車載器5に配信してもよい。
【0164】
実施例4によっても、実施例3によって実現される駐車場抽出装置と同様の駐車場抽出装置が実現される。また、実施例4によれば、実施例3によって実現される駐車場抽出装置に加えて、次の構成を有する駐車場抽出装置が実現される。ナビゲーション制御部33Aまたは情報配信装置2は経路案内部として、現在位置から目的地までの経路を案内する。駐車場抽出部は、所定の条件として、目的地から所定の距離以内の駐車場または目的地に対応付けられている駐車場を抽出する。
【0165】
上述した本実施形態において、情報配信装置2や車載器5内の各構成をハードウェアで実現してもよいし、ソフトウェア(コンピュータプログラム)に置換可能な構成をソフトウェア(コンピュータプログラム)で実現してもよい。ハードウェアとソフトウェアとを混在させてもよい。また、コンピュータプログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納して配布して情報配信装置2や車載器5にダウンロードさせて、本実施形態の構成を実現してもよいし、コンピュータプログラム自体をネットワークで配信して情報配信装置2や車載器5にダウンロードさせて、本実施形態の構成を実現してもよい。
【0166】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 通信システム
2 情報配信装置
3 無線装置
3A,3B 路側無線装置
3C 無線アクセスポイント
4 車両
5 車載器
6A ネットワーク
6B 外部ネットワーク
31 主制御部
32 DSRC通信部
33 ナビゲーション部
33A ナビゲーション制御部
33G 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駐車場から所定の条件に合致する駐車場を抽出する駐車場抽出部と、
前記駐車場抽出部が抽出したそれぞれの駐車場に対応付けられた、それぞれの駐車場が位置する場所の降雪に関する情報と、それぞれの駐車場における積雪に関する情報と、それぞれの駐車場における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである雪関連情報を取得する雪関連情報取得部と、
前記駐車場抽出部が抽出したそれぞれの駐車場の情報と前記雪関連情報取得部が取得した雪関連情報とを対応させて、表示部に表示させるよう制御する表示制御部と、
を備えることを特徴とする駐車場抽出装置。
【請求項2】
前記駐車場抽出部は、前記所定の条件として、現在位置から所定の距離以内の駐車場を抽出するか、または、駐車場に駐車する時間における前記雪関連情報に基づいて駐車場を抽出することを特徴とする請求項1記載の駐車場抽出装置。
【請求項3】
現在位置から目的地までの経路を案内する経路案内部をさらに備え、
前記駐車場抽出部は、前記所定の条件として、前記目的地から所定の距離以内の駐車場または前記目的地に対応付けられている駐車場を抽出することを特徴とする請求項1記載の駐車場抽出装置。
【請求項4】
車載器または情報配信装置が、複数の駐車場から所定の条件に合致する駐車場を抽出し、
前記車載器または前記情報配信装置が、抽出したそれぞれの駐車場に対応付けられた、それぞれの駐車場が位置する場所の降雪に関する情報と、それぞれの駐車場における積雪に関する情報と、それぞれの駐車場における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである雪関連情報を取得し、
前記車載器の表示部に、抽出したそれぞれの駐車場の情報と前記雪関連情報取得部が取得した雪関連情報とを対応させて表示する
ことを特徴とする駐車場抽出方法。
【請求項5】
前記車載器または前記情報配信装置が、前記所定の条件として、現在位置から所定の距離以内の駐車場を抽出するか、または、駐車場に駐車する時間における前記雪関連情報に基づいて駐車場を抽出することを特徴とする請求項4記載の駐車場抽出方法。
【請求項6】
前記車載器または前記情報配信装置が、現在位置から目的地までの経路を案内し、
前記車載器または前記情報配信装置が、前記所定の条件として、前記目的地から所定の距離以内の駐車場または前記目的地に対応付けられている駐車場を抽出することを特徴とする請求項4記載の駐車場抽出方法。
【請求項7】
複数の駐車場から所定の条件に合致する駐車場を抽出する駐車場抽出部と、
前記駐車場抽出部が抽出したそれぞれの駐車場に対応付けられた、それぞれの駐車場が位置する場所の降雪に関する情報と、それぞれの駐車場における積雪に関する情報と、それぞれの駐車場における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである第1の雪関連情報を取得する第1の雪関連情報取得部と、
前記第1の雪関連情報に基づいて、前記駐車場抽出部が抽出した駐車場の内のいずれかを選択する選択部と、
前記選択部が選択した駐車場を目的地として設定し、現在位置から目的地までの複数の経路を探索する経路探索部と、
前記経路探索部で探索された経路上の道路の降雪に関する情報と、道路における積雪に関する情報と、道路における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである第2の雪関連情報を取得する第2の雪関連情報取得部と、
前記第2の雪関連情報に基づいて、前記経路探索部が探索する複数の経路の内から所定の経路を設定して経路案内する経路案内部と、
を備えることを特徴とする経路探索装置。
【請求項8】
車載器または情報配信装置が、複数の駐車場から所定の条件に合致する駐車場を抽出し、
前記車載器または前記情報配信装置が、抽出したそれぞれの駐車場に対応付けられた、それぞれの駐車場が位置する場所の降雪に関する情報と、それぞれの駐車場における積雪に関する情報と、それぞれの駐車場における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである第1の雪関連情報を取得し、
前記車載器が、前記第1の雪関連情報に基づいて、前記駐車場抽出部が抽出した駐車場の内のいずれかを選択し、
前記車載器または前記情報配信装置が、選択した駐車場を目的地として設定し、現在位置から目的地までの複数の経路を探索し、
前記車載器または前記情報配信装置が、探索された経路上の道路の降雪に関する情報と、道路における積雪に関する情報と、道路における除雪または融雪に関する情報との内の少なくとも1つである第2の雪関連情報を取得し、
前記車載器または前記情報配信装置が、前記第2の雪関連情報に基づいて、前記経路探索部が探索する複数の経路の内から所定の経路を設定して経路案内する
ことを特徴とする経路探索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−177673(P2012−177673A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101703(P2011−101703)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】