説明

駐車場管理システム

【課題】 料金精算時に駐車位置番号を忘れても駐車区画に戻らずに料金精算を可能とすることを目的とする。
【解決手段】 各駐車区画に設けた車室管理端末機A1〜An側にID登録部5を設け、中央精算機B側にID入力部14及び登録IDと駐車位置番号を対応付けて記録するデータテーブル15を設ける。車両駐車時に利用者がID登録部5で登録したIDを(個人識別情報)を駐車位置番号と対応付けてデータテーブル15に記憶し、料金精算時に、ID入力部14で入力されたIDがデータテーブル15にあれば、そのID情報に基づいて料金精算処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の入出庫を各駐車区画毎に個別に管理し、各駐車区画の駐車料金を中央精算機で集中精算する構成の駐車場管理システムに関し、特に、料金精算の際における利用者の精算操作の便宜を図るようにした駐車場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の駐車場管理システムとして、例えば、各駐車区画に設ける車室管理端末機と、駐車場出口等に設けて駐車料金を集中精算する中央精算機とを備えて構成されるものがある。かかる駐車場管理システムでは、各車室管理端末機により、個々の駐車区画に入庫した車両を検知し駐車料金が精算されるまで駐車車両の出庫を阻止して各駐車区画における車両の入出庫を管理し、料金精算時には、車両を駐車した駐車区画に対して予め定められている駐車位置番号を利用者が中央精算機に入力する。これにより、中央精算機は、入力された駐車位置番号の車室管理端末機の管理情報に基づいて駐車料金を計算し、駐車料金が精算されると車室管理端末機に精算完了信号を送信する。精算完了信号を受信した車室管理端末機は、出庫阻止状態を解除して駐車車両の出庫を可能にする(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上述の駐車場管理システムの場合、料金精算時に利用者自身が中央精算機で駐車位置番号を入力する必要がある。このため、駐車位置番号を忘れたような場合には、駐車位置番号を確認するため車両を駐車させている駐車区画まで行き、再度、中央精算機の所まで戻らなければならない。また、駐車位置番号を間違って入力すると、精算したにも拘わらず出庫できないような状況が生じる。
このような問題を解消するために、従来、入庫したときに駐車位置番号を表示した駐車券を発行し、料金精算時に駐車券を挿入するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−74428号公報
【特許文献2】特許第2961429号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2のように駐車券を発行する構成では、駐車券を紛失した場合に特許文献1と同様の問題が生じる。また、駐車券発行機能を設備する必要があり、定期的に給紙する必要があり、駐車券発行機能等の維持管理が面倒であった。
【0005】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、駐車券を発行することなく料金精算時の駐車位置情報入力操作を不要して利用者の精算操作の便宜を図るようにした個別管理方式の駐車場管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、請求項1の発明では、各駐車区画に、少なくとも車両検知センサと車両退出阻止装置とを備えて車両の入出庫を管理すると共に、精算対象の駐車区画を特定するために前記各駐車区画毎に定めた駐車位置情報を用いる中央精算機を備え、該中央精算機は、特定した駐車区画の管理情報に基づいて駐車料金を精算処理する構成の駐車場管理システムにおいて、駐車場利用時に利用者が個人識別情報を登録する識別情報登録手段と、前記駐車位置情報と前記識別情報登録手段で登録された前記個人識別情報とを対応付けて記憶する情報記憶手段と、前記中央精算機に設けられ料金精算時に前記利用者が前記個人識別情報を入力操作する識別情報入力手段とを備え、前記識別情報入力手段で入力された個人識別情報が前記情報記憶手段に記憶されているとき、当該個人識別情報と対応付けられて記憶された前記駐車位置情報に基づいて前記精算対象の駐車区画を確定する構成とした。
【0007】
かかる構成では、利用者は、駐車場利用時に識別情報登録手段により個人識別情報を登録する。登録された個人識別情報は登録者が車両を駐車させた駐車区画の駐車位置情報と対応付けられて情報記憶手段に記憶される。料金精算時に、利用者は登録した個人識別情報を識別情報入力手段により入力操作する。入力された個人識別情報が情報記憶手段に記憶されていれば、その個人識別情報と対応付けて記憶されている駐車位置情報に基づいて精算対象の駐車区画を特定する。これにより、利用者は、料金精算時に駐車位置情報を入力せずに料金精算することができるようになる。
【0008】
請求項2のように、前記識別情報登録手段を、前記各駐車区画毎に設ける構成とするとよい。
かかる構成では、入庫した駐車区画で直ちに個人識別情報の登録ができるようになる。
【0009】
請求項3のように、前記車両検知センサが車両を検知すると、前記識別情報登録手段を起動して登録処理可能とするとよい。
【0010】
請求項4のように、料金精算が完了した駐車区画の駐車位置情報に対応付けられて記憶されている個人識別情報は、当該駐車区画の次の利用者により個人識別情報の登録が行われるまでには、消去する構成とするとよい。この場合、請求項5のように、料金精算が完了した駐車区画の駐車位置情報に対応付けられて記憶されている個人識別情報は、当該駐車区画から車両が出庫したときに消去する構成とするとよい。
【0011】
請求項6のように、前記料金精算が完了するまでは、識別情報登録手段による前記個人識別情報の登録を可能とするとよい。
【0012】
請求項7のように、前記識別情報登録手段及び識別情報入力手段は、カード記録媒体に記録された前記個人識別情報を読込むカード処理装置でもよく、また、請求項8のように、無線通信可能な携帯端末と無線通信して前記個人識別情報を読込む通信装置でもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明の駐車場管理システムによれば、料金精算前に登録した個人識別情報を入力するだけで精算対象の駐車区画の駐車料金精算ができるので、駐車位置情報を忘れても車両を駐車させている駐車区画まで戻る必要がない。また、駐車位置情報の入力間違いに起因する誤精算も防止できる。更に、駐車券発行機能が不要であるため、定期的な給紙作業等も不要であり、定期的なメンテナスの簡素化が図れる。
【0014】
また、識別情報登録手段を各駐車区画側に設ければ、車両を駐車させたその場で個人識別情報の登録ができるので、個人識別情報の登録のために移動する手間が省ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る駐車場管理システムの概略図である。
図1において、本実施形態の駐車場管理システムは、駐車場内の複数の各駐車区画に対する車両の入出庫を管理する各車室管理端末機A1〜Anと、該車室管理端末機A1〜Anの各管理情報に基づいて各駐車区画の駐車料金を集中精算する中央精算機Bと、を備えて構成される。
【0016】
車室管理端末機A1〜Anは、各駐車区画毎に設けられ、図2に示すように、時計ユニット1と、車両検知センサ2と、退出阻止装置3と、状態表示部4と、ID登録部5と、データ通信部6と、制御部7と、を含んで構成されている。
【0017】
前記時計ユニット1は、現在時刻を計時するものである。前記車両検知センサ2は、駐車区画内に入庫した車両を検知するもので、例えば駐車区画内の略中央に埋設される金属センサ等で構成する。前記退出阻止装置3は、駐車区画内に入庫した車両が移動できないように固定するもので、車両の不正出庫を防止するロック板と該ロック板を駆動させるモーターとを有して成る。前記状態表示部4は、駐車料金が精算済みか或いは未精算か等の駐車情報を表示するもので、該駐車情報を表示するためのLED等を備えて成る。前記ID登録部5は、駐車場利用時に利用者が固有の個人識別情報(以下、IDとする)を登録するものであり、識別情報登録手段に相当する。前記データ通信部6は、中央精算機Bとの間で情報を送受信するものである。前記制御部7は、退出阻止装置3、状態表示部4、ID登録部5及びデータ通信部6の動作を統括的に制御するもので、例えばマイクロコンピュータ等で構成される。
尚、図2は車室管理端末機A1の構成を示すが、他の車室管理端末機A2〜Anも同様の構成であるので、ここでは説明を省略する。
【0018】
前記ID登録部5は、会員カードやクレジットカード等のカード記録媒体を利用してIDを登録する場合には、カード記録媒体に記憶されたIDを読込み可能なカード処理装置で構成され、磁気カード、接触ICカード、非接触ICカード等、カード記録媒体の形態に対応したカード処理装置を設ける。また、利用者の所有する無線通信可能な携帯端末、例えば携帯電話等を利用してIDを登録する場合には、前記携帯端末と無線通信可能な通信装置で構成され、携帯端末の通信形態に応じた通信装置を設ける。尚、携帯電話では例えば電話番号をIDとすればよい。また、利用者がIDとして適当な暗証番号を入力するようにしてもよく、この場合、ID登録部5はテンキー等で構成すればよい。
【0019】
中央精算機Bは、各駐車区画の車室管理端末機A1〜Anの管理情報に基づいて車両の駐車料金を計算し、駐車料金が精算されると車室管理端末機A1〜Anに精算完了を通知するもので、図3に示すように、時計ユニット11と、カードリーダライタ12と、駐車位置番号入力部13と、ID入力部14と、データテーブル15と、金銭処理ユニット16と、音声案内ユニット17と、プリンタ18と、料金表示部19と、投入金表示部20と、データ通信部21と、制御部22と、を含んで構成されている。
【0020】
前記時計ユニット11は、現在時刻を計時するものである。前記カードリーダライタ12は、例えばサービス券やプリペイドカード、定期券等により駐車料金の精算を行う場合に、前記サービス券に記録された割引情報やプリペイドカード、定期券等に記録された残高情報等を読み取ると共に該サービス券やプリペイドカード、定期券等に精算情報等を書き込むものである。駐車位置番号入力部13は、料金精算時に精算対象の駐車区画を示す予め定めた駐車位置情報である駐車位置番号を利用者が入力するもので、例えばテンキーで構成する。尚、駐車位置情報は、各駐車区画を特定できればよく、文字、数字、或いは、これらの組み合わせ等が考えられる。
【0021】
前記ID入力部14は、車室管理端末機A1〜Anで登録したIDを、料金精算時に利用者が入力するものであり、識別情報入力手段に相当する。データテーブル15は、車室管理端末機A1〜An側から送信される、利用者が登録したIDを駐車位置番号に対応付けて記憶するものであり、情報記憶手段に相当する。前記金銭処理ユニット16は、料金精算時に投入された紙幣や硬貨を受け付けて計数処理するものである。前記音声案内ユニット17は、中央精算機Bの操作手順等を利用者に案内するもので、スピーカー等の音声発生機器を有して成る。プリンタ18は、図示しない領収書発行ボタンの操作により領収書を印字し発行するものである。
【0022】
料金表示部19は、精算時に算出された駐車時間に応じた駐車料金を表示するものである。投入金表示部20は、紙幣や硬貨によって投入された金額を表示するものである。データ通信部21は、前記各車室管理端末機A1〜Anとの間で各種情報を送受信するものである。制御部22は、カードリーダライタ12、ID入力部14、データテーブル15、金銭処理ユニット16、音声案内ユニット17、プリンタ18、料金表示部19、投入金表示部20及びデータ通信部21の動作を統括的に制御するもので、例えばマイクロコンピュータ等で構成される。
尚、中央精算機Bには、図示しないが駐車料金の精算操作を途中で中止したい場合に操作する精算取消ボタンや前述した領収書発行ボタン等も従来と同様に設けられる。
【0023】
前記ID入力部14は、車室管理端末機5に設けるID登録部5と同じものであり、カード記録媒体を利用してIDを登録する場合にはカード処理装置であり、利用者の所有する無線通信可能な携帯端末を利用してIDを登録する場合には通信装置となる。尚、IDを記録したカード記録媒体の形態が、カードリーダライタ12を利用するサービス券やプリペイドカード、定期券等と同じであれば、ID入力部14を別途設けずにカードリーダライタ12をID入力部として兼用することが可能である。また、IDとして適当な暗証番号を入力して登録する場合であれば、駐車位置番号入力部13のテンキーをID入力部として兼用すればよく、この場合は、IDと駐車位置番号の入力を中央精算機B側が区別して認識できるように、例えばID指定ボタンと駐車位置番号指定ボタンを設け、ID入力のときはID指定ボタンを操作し、駐車位置番号を入力するときは駐車位置番号指定ボタンを操作するようにすることが望ましい。
【0024】
次に、第1実施形態の中央精算機Bの精算処理動作及び各車室管理端末機A1〜Anの入出庫管理動作を説明する。尚、各車室管理端末機A1〜Anの動作は同じであるので、以下は車室管理端末機A1を例に説明する。
【0025】
まず、車両入出庫時の車室管理端末機A1の動作について図4のフローチャートを参照して説明する。
ステップ1(図中S1で示し、以下同様とする)では、車両検知センサ2の出力状態を監視し車両を検知したか否かを判定する。車室管理端末機A1が設置された駐車区画内に車両が入庫し車両検知センサ2がこれを検知すると、判定がYESとなり、ステップ2に進む。
ステップ2では、ID登録部5を起動して利用者がIDを登録できるようにする。
ステップ3では、入庫監視用タイマーにより車両検知からの時間を計時し、所定時間が経過すると駐車とみなし、退出阻止装置3のロック板を上昇して車両の出庫を阻止する。この際、そのときの時計ユニット1の時刻を入庫時刻として記憶する。また、状態表示部4のLEDを点灯し未精算表示する。
【0026】
ステップ4では、後述するように中央精算機Bの料金精算処理時に中央精算機Bから発せられる入庫時刻の送信要求があった否かを判定し、あればステップ5に進み、記録した入庫時刻を送信する。
ステップ6では、中央精算機Bからの精算完了信号を受信したか否かを判定し、受信すればステップ9に進む。
前記ステップ4,6で、判定がNOの場合は、ステップ7に進み、ID登録部5で利用者が自身のIDを登録したか否かを判定する。IDが登録された場合は、ステップ8で、登録されたIDと自身の駐車位置番号を中央精算機Bへ送信し、ステップ4に戻る。即ち、入庫を検知してロック板を上昇させてから中央精算機Bでの料金精算が完了するまでは、常時ID登録受付け可能な状態で、利用者はID登録を行える。
【0027】
精算完了信号を受信してステップ9に進んだ場合、ステップ9で、退出阻止装置3のロック板を下降して車両の出庫阻止状態を解除し、車両の出庫を可能な状態にする。
ステップ10では、車両検知センサ2の出力状態を監視し車両が退出したか否かを判定し、退出すれば判定がYESとなり、ステップ11に進み、車両が出庫したことを示す退出信号を中央精算機Bへ送信し、ステップ12で、ID登録部5の起動を停止してID登録の受付けを停止し、次の駐車に備える。
【0028】
次に、車室管理端末機A1が設置された駐車区画に駐車した車両の駐車料金を精算する場合の中央精算機Bの動作について図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。
ステップ21、22で、利用者により駐車位置番号或いはIDの入力があったか否かを判定する。駐車位置番号が入力されれば、ステップ28に進み、駐車位置番号が入力されずIDの入力があればステップ25に進む。また、駐車位置番号及びIDが共に入力されない状態では、ステップ23に進み、車室管理端末機A1から駐車位置番号、登録IDを受信したか否かを判定し、受信した場合はステップ24に進み、受信した登録IDをデータテーブル15の所定領域、即ち、受信した駐車位置番号領域に記録し受信した駐車位置番号と登録IDとを対応付けて記憶し、ステップ21に戻る。駐車位置番号及び登録IDの受信がなくステップ23の判定がNOの場合もステップ21に戻る。即ち、中央精算機Bは駐車位置番号及び登録IDの受信を待機することになる。
【0029】
ステップ22の判定がYESとなり、ステップ25に進んだ場合は、ステップ25で、ID入力部14で入力されたIDをデータテーブル15で検索する。
ステップ26では、データテーブル15に入力されたIDがあったか否かを判定し、あればステップ27に進み、データテーブル15において入力IDと対応付けられている駐車位置番号の駐車区画を精算対象と見なし、通信する車室管理端末機A1を特定する。入力IDがなければ例えば音声案内ユニット17で、駐車させた駐車区画の車室管理端末機A1でID登録を行うよう利用者に促し、ステップ21に戻る。音声案内に従って利用者が駐車させた駐車区画へ行き、車室管理端末機A1でID登録を行った後、再度、中央精算機BでID入力を行えば、ステップ26の判定がYESとなり、料金精算ができる。
【0030】
ステップ28では、駐車位置番号の入力或いは入力IDにより特定した車室管理端末機A1に対して入庫時刻の送信要求を発生する。
ステップ29では、入庫時刻情報を車室管理端末機A1から受信したか否かを判定し、入庫時刻情報を受信すると、ステップ30に進み精算処理を開始する。
ステップ30では、受信した入庫時刻と現在時刻とから駐車時間を計算し、駐車時間に基づいて駐車料金を算出する。
【0031】
ステップ31では、ステップ30で計算した駐車時間がサービス時間内か否かを判定し、サービス時間内であればステップ32に進み、「駐車料金なし」の音声案内を行い、ステップ36へ進む。一方、駐車時間がサービス時間を超過している場合は、ステップ33に進み、ステップ30で算出した駐車料金を料金表示部19に表示し、ステップ34で、駐車料金が「有料」であることを音声案内し、ステップ35で、駐車料金が精算されたか否かを判定する。駐車料金が精算されれば、ステップ36に進む。
ステップ36では、車室管理端末機A1に精算完了信号を送信し、ステップ37で、「精算完了」の音声案内を行い、利用者に精算処理が終了したことを知らせる。
【0032】
ステップ38では、車室管理端末機A1から退出信号を受信したか否かを判定し、受信すれば、駐車車両が出庫したと判断し、ステップ39に進み、データテーブル15から精算完了した駐車区画の駐車位置番号に対応付けられたIDを消去して精算処理を終了する。
尚、駐車位置番号を入力して精算しようとする利用者が、車両が駐車していない駐車区画に該当する駐車位置番号を誤入力した場合は、誤入力の駐車位置番号に対応する車室管理端末機側から入庫時刻なしの情報を受けてステップ29の判定がNOとなり、ステップ40に進み、「精算不可」を音声案内し、精算処理動作を終了する。
【0033】
かかる第1実施形態によれば、駐車中にIDを登録すれば、料金精算時に駐車位置番号を入力する必要がないので、従来のように駐車位置番号を忘れた場合に車両を駐車させた駐車区画まで戻るようなことがなく、利用者の料金精算操作の便宜を図ることができる。また、駐車位置番号の入力間違いに起因する誤精算も防止できる。また、駐車券発行機能が不要であるため、定期的な給紙作業等も不要となり、定期的なメンテナスの簡素化が図れる。
【0034】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、ID登録を中央精算機B側で行う構成である。
図7に、第2実施形態の中央精算機Bの構成を示す。尚、第1実施形態と同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
図7において、本実施形態では、ID入力部14がID登録部を兼ねる。また、ID登録時に操作する登録ボタン23と、精算時に操作する精算ボタン24を設ける。その他の構成は第1実施形態と同様である。
車室管理端末機A1〜Anの構成は、図2に示す第1実施形態の構成からID登録部5を除いた構成である。
【0036】
第2実施形態における中央精算機Bの精算処理動作及び各車室管理端末機A1の入出庫管理動作を説明する。尚、他の車室管理端末機の動作は、車室管理端末機A1と同様であるので説明を省略する。
まず、車両入出庫時の車室管理端末機A1の動作について図8のフローチャートを参照して説明する。
ステップ51で、図4のステップ1と同様に車両を検知したか否か判定し、検知すればステップ52で、入庫情報として駐車位置番号と車両の入庫を示す入庫信号とを中央精算機Bに送信する。
ステップ53では、ロック板を上昇させると共に、そのときの時計ユニット1の時刻を入庫時刻として記憶し、状態表示部4のLEDを点灯し未精算表示する。尚、入庫時刻情報も併せて入庫情報として送信するようにしてもよい。
【0037】
ステップ54では、中央精算機Bから発せられる入庫時刻の送信要求があった否かを判定し、あればステップ55で、入庫時刻を送信する。尚、入庫時刻を入庫情報として送信する構成の場合は、中央精算機Bからの入庫時刻送信要求動作がなくなるので、ステップ54,55の動作はなくなる。
ステップ56では、中央精算機Bからの精算完了信号を受信したか否かを判定し、受信すればステップ57で、退出阻止装置3のロック板を下降して車両の出庫阻止状態を解除し、車両の出庫を可能な状態にする。
ステップ58では、車両検知センサ2の出力状態を監視し車両が退出したか否かを判定し退出すれば、ステップ59で、車両が出庫したことを示す退出信号を中央精算機Bへ送信し、次の駐車に備える。
【0038】
次に、第2実施形態の中央精算機Bの動作について図9及び図10のフローチャートを参照して説明する。
ステップ61で、登録ボタン23が操作されたか否かを判定し、操作された場合はIDの登録操作と判断し、ステップ62に進み、操作されなければステップ65に進む。
ステップ62では、駐車位置番号及びIDが入力されたか否かを判定し、入力された場合は、ステップ63に進む。
ステップ63では、ステップ62で入力された駐車位置番号に該当する入庫情報があるか否かを判定し、あれば利用者と判断し、ステップ64で、データテーブル15の所定領域、即ち、入力された駐車位置番号に対応する領域に登録IDを記録し駐車位置番号と登録IDとを対応付けて記憶する。一方、該当する入庫情報がない場合は、例えば音声案内により入庫情報なしを通知してステップ61に戻る。
【0039】
ステップ65では、精算ボタン24が操作されたか否かを判定し、操作された場合は精算操作と判断してステップ66に進む。ステップ61,65の判定がいずれもNOの場合は、ステップ61に戻る。
ステップ66、67では、利用者により駐車位置番号或いは登録IDの入力があったか否かを判定する。駐車位置番号が入力されればステップ66の判定がYESとなり、駐車位置番号による精算処理と判断してステップ71に進み、駐車位置番号でなく登録IDの入力があれば登録IDによる精算処理と判断してステップ68に進む。
【0040】
ステップ67の判定がYESとなり、ステップ68に進んだ場合は、入力IDをデータテーブル15で検索し、ステップ69で、入力IDがあったか否かを判定し、あればステップ70に進み、データテーブル15において入力IDと対応付けられている駐車位置番号の駐車区画を精算対象と見なし、通信する車室管理端末機A1を特定する。入力IDがなければ例えば音声案内ユニット17で、例えば駐車させた駐車区画の駐車位置番号を入力するよう利用者に促し、ステップ66に戻る。
【0041】
その後のステップ71〜83の動作は、図5及び図6に示す第1実施形態のステップ28〜40と同様の動作となる。
即ち、特定した車室管理端末機A1に対して入庫時刻の送信を要求し、入庫時刻情報を車室管理端末機A1から受信すると精算処理を開始し、入庫時刻と現在時刻とから駐車時間を計算して駐車時間に基づいて駐車料金を算出する。更に、サービス時間内か否かを判定し、サービス時間内であれば「駐車料金なし」の音声案内を行い、サービス時間を超過していれば、駐車料金を料金表示部19に表示し、駐車料金が「有料」であることを音声案内し、駐車料金が精算されると車室管理端末機A1に精算完了信号を送信し、「精算完了」の音声案内を行い利用者に精算処理が終了したことを通知する。その後、車室管理端末機A1から退出信号を受信すると、精算完了した駐車区画について登録されているIDを消去して精算処理を終了する。
尚、車室管理端末機A1から入庫情報として入庫時刻も送信される場合は、ステップ71,72,83の動作はない。
【0042】
IDとして利用者が適当な暗証番号を登録する構成の場合は、駐車位置番号入力部13がID入力部14を兼ねることになり、駐車位置番号入力部13のテンキー操作で、登録時のID(暗証番号)入力と駐車位置番号入力及び精算時の登録ID入力或いは駐車位置番号入力を行うことになるので、例えば、ID入力ボタン等を付加し、登録時には登録ボタン操作→駐車位置番号入力→ID入力ボタン操作→ID(暗証番号)入力の順で操作するようにすればよい。料金精算時は、精算ボタンを操作した後に、例えば駐車位置番号を入力する場合は直接入力し、登録ID(暗証番号)を入力する場合はID入力ボタンを操作して登録IDを入力するようにすればよい。
【0043】
かかる第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に駐車中にID登録することで料金精算時には駐車位置番号を入力する必要がないので、従来のように駐車位置番号を忘れた場合に車両を駐車させた駐車区画まで戻るようなことがなく、利用者の料金精算操作の便宜を図ることができる。また、駐車位置番号の入力間違いに起因する誤精算も防止できる。
【0044】
また、第1及び第2実施形態において、IDの登録に使用するカード記録媒体や携帯端末がクレジット機能を有する場合には、料金精算時に登録IDを入力することでクレジット決済が可能となり、別途クレジットカード決済用のカード挿入操作が不要となる。また、料金精算時に登録IDの入力用にIDが記録された会員カード等を用いれば、会員割引やポイントサービスも同時にできると共に、入庫時から会員管理が可能になる。また、入庫時に利用者の個人識別情報(ID)を認識できるので、未精算のまま出庫した不正利用者を追跡調査できるので、不正利用の抑止効果がある。また、入庫時にID登録せずに長時間駐車する車両があれば怪しい車両の可能性があるが、このような車両を事前に察知できるようになる。
【0045】
尚、上述した各実施形態では、精算完了するまではID登録が可能な構成であるが、これに限らず、ID登録操作が行われた場合に、自動的に以後の登録受け付けを停止するようにしてもよく、また、登録完了を指示するためのボタン等を設けてこのボタン操作されたときにID登録の受け付けを停止するような構成としてもよい。
また、登録IDの消去時期も、退出信号の受信直後に限らず、例えば車両の入庫を検出したときに以前の登録IDを消去するようにしてもよく、次の利用者が登録するまでの間に登録IDが消去されればよい。
【0046】
上述の各実施形態では各駐車区画に駐車時間の計算機能や車両退出阻止装置の制御機能を備える車室管理端末機を設置する例を示したが、各駐車区画に必ずしも車室管理端末機を設置する必要はなく、少なくとも車両検知センサと車両退出阻止装置があればよく、中央精算機に車室管理端末機の機能を付加する構成でもよい。例えば、車両入庫時、中央精算機は、駐車空区画の管理情報として車両検知センサの入庫情報を受信すると、入庫情報の受信時刻を入庫時刻として記憶すると共に車両退出阻止装置のロック板上昇の制御信号を車両退出阻止装置に送信し、料金精算時、中央精算機は、駐車時間の計算、駐車料金の精算を行い、精算完了により車両退出阻止装置のロック板下降の制御信号を車両退出阻止装置に送信するような構成が考えられる。
【0047】
また、本発明の駐車場管理システムは、自動車に限らず、自転車のロック装置を備え、各自転車をロック装置でロックするような自転車の駐車場管理システムにも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る駐車場管理システムの第1実施形態を示す概略図
【図2】第1実施形態の車室管理端末機の構成図
【図3】第1実施形態の中央精算機の構成図
【図4】第1実施形態の車室管理端末機の動作を説明するフローチャート
【図5】第1実施形態の中央精算機の動作を説明するフローチャート
【図6】図7に続くフローチャート
【図7】本発明に係る駐車場管理システムの第2実施形態の中央精算機の構成図
【図8】第2実施形態の車室管理端末機の動作を説明するフローチャート
【図9】第2実施形態の中央精算機の動作を説明するフローチャート
【図10】図9に続くフローチャート
【符号の説明】
【0049】
1、11 時計ユニット
2 車両検知センサ
3 退出阻止装置
5 ID登録部
7、21 データ通信部
8、22 制御部
13 駐車位置番号入力部
14 ID入力部
15 データテーブル
16 金銭処理ユニット
23 登録ボタン
24 精算ボタン
A1〜An 車室管理端末機
B 中央精算機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各駐車区画に、少なくとも車両検知センサと車両退出阻止装置とを備えて車両の入出庫を管理すると共に、精算対象の駐車区画を特定するために前記各駐車区画毎に定めた駐車位置情報を用いる中央精算機を備え、該中央精算機は、特定した駐車区画の管理情報に基づいて駐車料金を精算処理する構成の駐車場管理システムにおいて、
駐車場利用時に利用者が個人識別情報を登録する識別情報登録手段と、
前記駐車位置情報と前記識別情報登録手段で登録された前記個人識別情報とを対応付けて記憶する情報記憶手段と、
前記中央精算機に設けられ料金精算時に前記利用者が前記個人識別情報を入力操作する識別情報入力手段と、
を備え、
前記識別情報入力手段で入力された個人識別情報が前記情報記憶手段に記憶されているとき、当該個人識別情報と対応付けられて記憶された前記駐車位置情報に基づいて前記精算対象の駐車区画を特定する構成とした駐車場管理システム。
【請求項2】
前記識別情報登録手段を、前記各駐車区画毎に設ける構成である請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
前記車両検知センサが車両を検知すると、前記識別情報登録手段を起動して登録処理可能とする請求項2に記載の駐車場管理システム。
【請求項4】
料金精算が完了した駐車区画の駐車位置情報に対応付けられて記憶されている個人識別情報は、当該駐車区画の次の利用者により個人識別情報の登録が行われるまでには、消去する構成とした請求項1〜3のいずれか1つに記載の駐車場管理システム。
【請求項5】
料金精算が完了した駐車区画の駐車位置情報に対応付けられて記憶されている個人識別情報は、当該駐車区画から車両が出庫したときに消去する構成である請求項4に記載の駐車場管理システム。
【請求項6】
前記料金精算が完了するまでは、識別情報登録手段による前記個人識別情報の登録を可能とした請求項1〜5のいずれか1つに記載の駐車場管理システム。
【請求項7】
前記識別情報登録手段及び識別情報入力手段は、カード記録媒体に記録された前記個人識別情報を読込むカード処理装置である請求項1〜6のいずれか1つに記載の駐車場管理システム。
【請求項8】
前記識別情報登録手段及び識別情報入力手段は、無線通信可能な携帯端末と無線通信して前記個人識別情報を読込む通信装置である請求項1〜6のいずれか1つに記載の駐車場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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