説明

駐車場管理システム

【課題】車載カメラ、センサーに基づく情報を駐車場管理に役立てることが可能な駐車場管理システムを提供する。
【解決手段】本発明の駐車場管理システムは、複数の駐車スペースを有する駐車場における交通を管理する駐車場管理システムであって、車両周辺の状態を検出する車両周辺状態検出手段を有する車両を、所定の駐車スペースに駐車させるように誘導する誘導手段を有しており、前記車両周辺状態検出手段による検出情報を利用して管理を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の駐車スペースを有する駐車場における交通を管理する駐車場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車、ハイブリッド車、電気自動車などの車両においては、当該車両の周辺状況を検出(センシング)するセンサー、カメラ類を搭載し、これらから得られる情報を車両ドライバーに提供することによって、ドライバーのアシストを行い、安全を担保しようとするものが種々開発されている。基本的にはこれまで、車両周辺を撮像する車載カメラ及び車両周辺状況をセンシングするセンサー類は、車両の走行時の安全確保のみに利用され、車両停止中は利用されることはなく、リソースの有効活用の点で問題があった。
【0003】
そこで、上記のような車載カメラを車両停止中においても、積極的に活用しようとする試みが提案されている。例えば、特許文献1(特開2009−129254号公報)には、自宅で電気自動車に充電する際に車載のカメラに電力を供給し、画像を記録することで車両盗難を抑制する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2009−129254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術において、車載カメラを活用するためには、車両に電力供給可能な電力供給設備を有し、かつ、画像を記録することが可能な記録装置を有する自宅などの場所での活用が前提となり、しかも、車載カメラ活用目的は車両盗難抑止に限定される、という問題がある。
【0005】
ところで、ショッピングセンターなどの店舗に併設されている駐車場などは、歩行者と車両とが混在する環境であるので、車両ドライバーにとっては死角から小さな子供が急に飛び出しがありハッとしたり、或いは、歩行者にとっては不用意に駐車スペースから発進する車両により危ない思いをしたり、というような危険事例があまた見受けられる。一方、停車中の車両であっても、車載のカメラ、センサー類は車両周辺の状況を把握することが可能であり、これらのカメラ、センサー類を駐車場の管理に活用することができれば、上記のような危険事例を回避することが可能であるにも関わらず、従来はこのような試みが全くなされておらず、問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、複数の駐車スペースを有する駐車場における交通を管理する駐車場管理システムであって、車両周辺の状態を検出する車両周辺状態検出手段を有する車両を、所定の駐車スペースに駐車させるように誘導する誘導手段を有しており、前記車両周辺状態検出手段による検出情報を利用して管理を行うことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の駐車場管理システムにおいて、前記誘導手段は、複数の駐車スペースのうち、歩行者の存在密度がより高いゾーンに位置する駐車スペースに対する誘導を、歩行者の存在密度が低いゾーンに位置する駐車スペースより優先して行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の駐車場管理システムにおいて、前記誘導手段は、所定の蓄電量を満足しない車両については、前記所定の駐車スペースに誘導しないことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の駐車場管理システムにおいて、前記誘導手段が車両を誘導する駐車スペースには、施設設備が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明に係る駐車場管理システムにおいては、車両周辺の状態を検出する車両周辺状態検出手段を有する車両を、所定の駐車スペースに駐車させるように誘導して、前記車両周辺状態検出手段による検出情報を利用して管理を行うように構成されているので、このような本発明に係る駐車場管理システムによれば、前記車両からのカメラ、センサー類に基づく情報を有効活用して、駐車場内における危険回避に役立てることが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る駐車場管理システムにおいては、車両を駐車スペースに駐車させるように誘導する構成となっているので、このような本発明に係る駐車場管理システムによれば、駐車場の混雑を回避することができ、さらにドライバーにとっては空き駐車スペースを探し回る手間が省けるのでストレスフリーとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る駐車場管理システムにより管理される駐車場の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る駐車場管理システムで用いられる車両の概要を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る駐車場管理システムと車両のシステム構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る駐車場管理システムによる管理形態のバリエーションを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る駐車場管理システムによって管理される駐車スペースデータを説明する図である。
【図6】本発明の実施形態に係る駐車場管理システムによる誘導動作・処理に基づいて駐車された状態を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る駐車場管理システムにおける充電設備搭載駐車スペースの構成例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る駐車場管理システムによる誘導動作・処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係る駐車場管理システムにより管理される駐車場の概要を示す図である。本実施形態に係る駐車場管理システムは、店舗などの施設に併設される複数台分の駐車スペースを有する駐車場を管理するものである。ここで、駐車スペースとは車両1台分のための駐車領域を示すものとし、駐車場とは、これらの駐車スペースが全て集まった集合を示すものとする。
【0014】
本実施形態に係る駐車場管理システムは、(1)車載カメラやセンサー類など車両周辺状態検出手段を有する車両によって取得される検出情報を駐車場管理に役立てること、及び、(2)上記のような車両周辺状態検出手段を有し、駐車場管理に協力してもらえる車両を、駐車場内における適切な駐車スペースに駐車するように誘導すること、の2つを大きな柱としている。
【0015】
(2)のように車両を誘導するために、駐車場の出入り口近傍には掲示板470が設けられており、駐車場の入り口から進入した車両のドライバーは、この掲示板470を参照して、自車両を駐車させるスペースを認識することが可能となる。本実施形態に係る駐車場管理システムおいては、このように掲示板470によって車両ドライバーを誘導するものであるので、駐車場の混雑を回避することができ、さらにドライバーにとっては空き駐車スペースを探し回る手間が省けるのでストレスフリーとすることができる。
【0016】
図1において、掲示板470からの吹き出しに図示されているのは、掲示板470の表示例である。車両ドライバーは、このような表示を参照することによって、駐車場全体におけるどの駐車スペースに駐車させればよいかを確認できる。また、本実施形態に係る駐車場管理システムにおいては、駐車スペースにおける駐車状況をシステム側が把握するために撮像装置460を設けるようにしている。
【0017】
次に、以上のような本実施形態に係る駐車場管理システムで利用可能な車両周辺状態検出手段を有する車両について説明する。図2は本発明の実施形態に係る駐車場管理システムで用いられる車両の概要を示す図である。本実施形態に係る駐車場管理システムにおいては、ハイブリッド車、電気自動車など比較的大容量の車載バッテリーを有する車両が用いられることを基本前提としているが、エンジンのみを動力源とする自動車などの車両にもバッテリーは搭載されているので、このような車両についても用いることが可能である。ただ、以下の実施形態においては、車両として電気自動車が用いられている例に基づいて説明する。
【0018】
また、本実施形態に係る駐車場管理システムで利用される車両には当該車両の周辺状況をセンシングするセンサー、カメラ類を搭載していることが前提となる。本実施形態では、上記車載のカメラおよびセンサー類を利用し、車両周辺状況をセンシングすることで、駐車場管理システムが駐車場内における車両、歩行者の状況を把握することができるようになっている。
【0019】
本実施形態に係る駐車場管理システムにおいては、駐車スペースに、車載カメラやセンサー類を有する車両が駐車したときに、これらのカメラやセンサー類から情報を取得して、有効活用するものである。具体的には、車載のカメラ、センサー類を利用することで駐車車両周辺に人や走行車両がいるかを検出し、人や走行車両がいる場合は、駐車場管理システムが駐車車両に対して、ブレーキランプ、ハザードランプ、ヘッドライト、スピーカーを動作させるように指令を出したり、或いは、走行車両に対して検出データを送信したりする。
【0020】
以下に、駐車場管理システムを実現するための構成について説明する。図3は本発明の実施形態に係る駐車場管理システムと車両のシステム構成例を示す図である。
【0021】
車両側システム100における制御装置110は、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。制御装置110は、図示されている制御装置110と接続される各構成と協働・動作する。また、制御装置110は、本発明の駐車場管理システムの車両側における種々の制御処理は、制御装置110内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。また、制御装置110は、駐車場管理システム400の無線通信装置430から送信された指令に基づいて、接続される各構成を動作させることができるようになっている。
【0022】
車載カメラ120は具体的には、車両前方における風景を撮像するステレオカメラや、車両後方の風景を撮像するバックカメラを例示することができる。また、車載センサー130の具体例としては、車両前方の物体を検出するフロントソナーや、車両後方の物体を検知するバックソナーを挙げることができる。車載カメラ120、車載センサー130は上記のものに限定されず、他の種類のカメラ、センサーも利用することができる。また、車載カメラ120及び車載センサー130は、いずれも車両周辺の状態を検出する車両周辺状態検出手段として上位概念的に捉えることができる。車載カメラ120による撮像画像データ、車載センサー130による検出データはいずれも、制御装置110に送信されて処理される。
【0023】
情報提供不可スイッチ150は、駐車中に車載カメラ120、車載センサー130を動作させて、情報提供を行うか否かを設定する入力手段である。ドライバーが駐車場管理システムに車載カメラ120、車載センサー130による情報を提供してもよいと考えているときには、この情報提供不可スイッチ150をオンとし、情報を提供したくないと考えているときには、この情報提供不可スイッチ150をオフとする。
【0024】
車載バッテリー蓄電量モニター170は、車載バッテリーの蓄電量をモニターする構成であり、制御装置110からの要求に応じて、車載バッテリーの蓄電量に係る情報を制御装置110側に送信する。また、車載バッテリー蓄電量モニター170によるセンシング結果は、運転者に表示すると共に無線通信装置230を介して駐車場管理システム400へ送信される。駐車場管理システム400においては、車載バッテリー蓄電量モニター170からのデータは、車両が駐車場管理システムに対して、センシング等により協力し得る程度に十分な蓄電量(信号代替蓄電量)を備えるか否かを判定するために用いる。
【0025】
表示装置180は、車両の運転席部に設けられ、運転者に対し所定の情報などを提供する構成であり、車両のドライバーに対する視覚的な報知を行うインターフェイス手段である。この表示装置180は、本発明に係る駐車場管理システムに関連する情報の他に、ナビゲーション装置で検索された生成経路など種々の情報を表示可能に構成される。なお、このような表示装置180を補足するような音声によるインターフェイス手段、すなわちスピーカーなどを設け、音声による渋滞情報案内や警告を行い得るように構成してもよい。
【0026】
車両における無線通信装置230は、駐車場管理システム400における無線通信装置430との間でデータ通信を行うためのものであり、この無線通信装置230により、上記の車載カメラ120、車載センサー130で取得された情報が駐車場管理システム400側に送信されることとなる。また、駐車場管理システム400側では、車両に対して、車載のヘッドライト、ブレーキランプ等を動作させるように指令が発せられるが、この指令は無線通信装置230を介して受信して、制御装置110に転送される。このような指令が転送された制御装置110は、これに基づいて車載のヘッドライト、ブレーキランプ等を動作させる。
【0027】
また、無線通信装置230によって、車両自身のスペック・現状状態(蓄電量)などを駐車場管理システム400に送信することができるようになっている。
【0028】
ヘッドライト310は、車両に一般的に搭載されているもので運転席の操作部(不図示)における操作に基づいて動作するようになっているが、本実施形態に係る駐車場管理システムにおいては、車両が停止状態であっても、ヘッドライト310は制御装置110からの指令に基づいて、パッシングなどの点滅動作を行うことができるようになっている。
【0029】
ブレーキランプ320は、車両に一般的に搭載されているものでブレーキペダル(不図示)の操作に伴って点灯動作するようになっているが、本実施形態に係る駐車場管理システムにおいては、車両が停止状態であっても、ブレーキランプ320は制御装置110からの指令に基づいて、点灯動作を行うことができるようになっている。
【0030】
ハザードランプ330は、車両に一般的に搭載されているもので運転席の操作部(不図示)における操作に基づいて点滅動作するようになっているが、本実施形態に係る駐車場管理システムにおいては、車両が停止状態であっても、ハザードランプ330は制御装置110からの指令に基づいて、点滅動作を行うことができるようになっている。
【0031】
スピーカー340は、車両外部に向けて音を発音する発音手段であり、制御装置110からの指令に基づいて、駐車場管理システム側から送信される音源データによる発音を行うことが可能に構成されている。
【0032】
駐車場管理システム400は、複数の駐車スペースを有する駐車場における交通を管理するために利用されるものであり、主として、主制御部(解析手段) 410と無線通信装置430、撮像装置460、掲示板470、管理データ記憶部480とから構成されている。
【0033】
主制御部(解析手段) 410は、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。主制御部410は、図示されている主制御部410と接続される各構成と協働・動作する。また、主制御部410は、本発明の駐車場管理システムのシステム側における種々の制御処理は、主制御部410内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。
【0034】
主制御部(解析手段) 410は、無線通信装置430によって各車両から収集される車載カメラ120取得情報、車載センサー130取得情報に基づく解析を行うと共に、解析の結果に応じて車両に対する指令を生成するようにプログラムされている。
【0035】
無線通信装置430は、車両側の無線通信装置230との間でデータ通信を行うためのものであり、この無線通信装置430により、上記の車載カメラ120、車載センサー130で取得された情報を車両側から収集することができるようになっている。また、主制御部410によって生成された各車両への指令は、この無線通信装置430から発せられる。なお、無線通信装置430におけるデータ通信で用いる電波の強度は、駐車場内の駐車スペースに駐車された車両と通信を行い得る程度の強度でよく、当該駐車場を大きく越えて電波が到達する程度の強度である必要はない。
【0036】
また、駐車場管理システム400における無線通信装置430は、車両側の無線通信装置230から、各車両のスペック・現状状態などを受信することができるようになっている。
【0037】
撮像装置460は、駐車場内の様子を撮影した撮像データを取得するものであり、当該撮像データを主制御部410で画像解析することで、駐車スペースにおける駐車状況をシステム側が把握することができるようになっている。なお、撮像装置460を設ける目的は、駐車スペース毎の駐車車両の有無を検知するためであるので、この目的を達成するためであれば、他の方法も用いることができる。例えば、撮像装置460に代えて、駐車スペース毎に駐車車両の検出を行い得るセンサー等を用いることも可能である。
【0038】
掲示板470は、駐車場内に進入する車両ドライバーに対して、所定の情報を表示する装置であり、主制御部410からの指令に基づいて動作するようになっている。駐車場管理システム400は、この掲示板470に、所定の駐車スペースを表示することによって、当該所定の駐車スペースに車両を誘導するように構成しているが、このような掲示板470による誘導方法に代えて、車両側に表示データを送信し、表示装置180に所定の駐車スペースを表示することによって、車両を誘導するように構成してもよい。
【0039】
管理データ記憶部480は、主制御部410が、駐車場内における個々の駐車スペースを管理するために用いる管理データが記憶されるものである。このような管理データ記憶部480において、記憶されるデータ構造については、後述する。
【0040】
以上のように駐車場管理システム400が車両側システム100と協働して、車載カメラ120や車載センサー130からの情報を駐車場管理に活用する事例について図面を参照して説明する。図4は本発明の実施形態に係る駐車場管理システムによる管理形態のバリエーションを示す図である。図4において、駐車車両の車両側システム100は、駐車場管理システム400の管理下にあり、駐車場管理システム400に対して、車載カメラ120や車載センサー130で取得した情報を送信するように構成されている。駐車場管理システム400は、車載カメラ120や車載センサー130からの情報を取得することによって、人や走行車両の状況をシステム側が把握することができるので、これらの情報に基づいて、駐車場内における交通整理を行い、駐車場内における危険回避に役立てる。
【0041】
図4(A)は、駐車車両の前方を走行使用する車両を、車載カメラ120や車載センサー130で検知した例を示す図である。このような情報が駐車車両から、駐車場管理システム400に送信されると、次に、システム側からブレーキランプ320を点滅動作させる指令を車両側システム100に送信する。これを受けて、駐車車両がブレーキランプ320を点滅動作させることで、例えば、歩行者などは車両が接近していることを把握することが可能となる。
【0042】
図4(B)は、駐車車両の前方を走行使用する車両を、車載カメラ120や車載センサー130で検知した例を示す図である。このような情報が駐車車両から、駐車場管理システム400に送信されると、次に、システム側からは、駐車車両のスピーカー340で、所定の音声データ(例えば、「右前方より車両が接近しています。」を再生可能な音声データ)を発生させる指令を車両側システム100に送信する。これを受けて、駐車車両が「右前方より車両が接近しています。」なる音声データをスピーカー340で発生させることで、例えば、歩行者などは車両が接近していることを把握することが可能となる。
【0043】
図4(C)は、駐車車両の後方を歩行する歩行者を、車載カメラ120や車載センサー130で検知した例を示す図である。駐車車両は検知した歩行者の概略の位置データを、駐車場管理システム400に送信すると、次に、システム側からは、走行車両側に前記位置データを送信する。走行車両側では、このような歩行者の位置データを表示装置180で表示することによって、走行車両ドライバーは、駐車車両の死角を歩行する歩行者の存在を把握することが可能となる。
【0044】
以上のような本発明に係る駐車場管理システム400によれば、車両からの車載カメラ120や車載センサー130に基づく情報を有効活用して、駐車場内における危険回避、混雑回避、交通整理に役立てることが可能となる。
【0045】
ところで、これまで説明した車載カメラ120や車載センサー130がセンシングを行い得るセンシング範囲には限りがある。したがって、車載カメラ120や車載センサー130を有し駐車場管理システム400に情報提供を行ってくれる車両(以下、「情報提供車両」ともいう)は、ある程度、まんべんなく、駐車場内に分散されて駐車され、システム側が駐車場内を全体的に把握することができるような状況が望ましい。また、歩行者の存在密度が高いゾーンに位置する駐車スペースにも、情報提供車両が駐車されることが好ましい。このような事情を鑑み、本発明に係る駐車場管理システム400においては、情報提供車両を適切な駐車スペースに誘導するように構成している。
【0046】
次に、駐車場管理システム400による情報提供車両の誘導に関する処理・動作に関して説明する。管理データ記憶部480においては、情報提供車両の誘導を行うために、駐車場の構造に関するデータと、駐車スペースの順位を収録するデータと、が記憶されている。図5は本発明の実施形態に係る駐車場管理システムによって管理される駐車スペースデータを説明する図である。
【0047】
図5(A)は、駐車場の構造を定義するためのデータである。駐車場を構成するそれぞれの駐車スペースを(1,1)、(1,2)、(1,3)・・・などの座標の形式で記憶するようにしている。また、店舗等の入り口に近い歩行者の存在密度が高いゾーンを「特別ゾーン」として定義し、上記のような特別ゾーンより歩行者の存在密度が低いゾーンを「通常ゾーン」として定義している。
【0048】
図5(B)は駐車スペース毎の優先順位を定義した優先順位テーブルである。この優先順位テーブルにおける優先順位が高い駐車スペースほど、先に情報提供車両を誘導するように構成する。
【0049】
図6は本発明の実施形態に係る駐車場管理システムによる誘導動作・処理に基づいて駐車された状態を示す図である。特別ゾーンの駐車スペースには、情報提供車両を優先的に配置する。また、特別ゾーンにおいては、全ての駐車スペースが情報提供車両で埋まるようにする。一方、通常ゾーンでは、2台分の駐車スペースの間隔を空けるようにして配置された駐車スペースが埋まるように情報提供車両を配置する。2台分の駐車スペースの間隔を空けるようにして情報提供車両を誘導するのは、例えば、駐車スペース(2,1)、(5,1)などに駐車している車両のセンシング範囲は、図中の点線で示す円内に限られるものと仮定しているからである。このようなセンシング範囲の車両が2台分の駐車スペースの間隔を空けるようにして配置されれば、システムが駐車場全体を把握することが可能であるとの想定の下、通常スペースにおける誘導が決められている。
【0050】
ここで、これまで説明した実施形態においては、情報提供車両としては、車載カメラ120や車載センサー130を、自らの車載バッテリーで駆動してシステム側に情報を提供するものであるので、インセンティブに欠けるものがある。そこで、情報提供車両に駐車してもらいたいような駐車スペースには、例えば充電設備を搭載して、無償、或いは割安で電力を提供することなども考えられる。このような目的を達成するための駐車スペースを図7に示す。図7は本発明の実施形態に係る駐車場管理システムにおける充電設備搭載駐車スペースの構成例を示す図である。図7において、駐車スペースに設ける充電設備としては充電端子450が、駐車スペース地面に埋設されるようにして設けられている。これら充電端子450は、電磁誘導などの原理を用いた非接触式給電によって、駐車スペースに駐車中の車両側に電力を伝送するものである。
【0051】
また、車両側の充電端子350は、電磁誘導などの原理を用いた非接触式給電のために用いるものであり、駐車スペースに埋設された充電端子450から電力を受電するためのものである。このような充電端子350で受電した電力は、制御装置110によって制御され、車載バッテリーに充電される。なお、駐車スペースへの駐車を促すため、上記のような充電設備を設けて、電力を無料、割安で提供したり、或いは、駐車料金を徴収するような駐車場では、駐車料金を無料、割安としたりすることもできる。
【0052】
次に、駐車場管理システム400における車両の駐車誘導処理について説明する。図8は本発明の実施形態に係る駐車場管理システムによる誘導動作・処理のフローチャートを示す図である。このようなフローチャートに基づく、処理においては、情報提供車両として適切な車両を選定する処理と、選定された車両を適切な駐車スペースに誘導する処理が実行される。以下、より詳細に説明する。
【0053】
図8に示すフローチャートにおいて、ステップS100で処理が開始されると、続いて、ステップS101に進み、駐車スペースに駐車しようとしている車両に、車両情報通信機能ありか、すなわち、無線通信装置230が搭載されているかが判定される。
【0054】
ステップS101における判定でNOであるときにはステップS110に進み、当該車両は優先順位テーブルにない任意の駐車スペースに駐車させるように決定する。一方、YESであるときにはステップS102に進む。
【0055】
ステップS102では、駐車スペースに駐車しようとしている車両の車載カメラ120や車載センサー130のセンシング距離がR[m]以上であるか否かが判定される。なお、センシング距離であるRとしては、少なくとも、車両両脇1台分程度の距離であることが望ましい。ステップS102における判定でNOであるときにはステップS110に進み、当該車両を他の駐車ゾーンへ誘導するような処置を行い、YESであるときにはステップS103に進む。
【0056】
ステップS103では、駐車スペースに駐車しようとしている車両にスピーカー340の装備があるかを判定する。ステップS103における判定でNOであるときにはステップS110に進み、YESであるときにはステップS104に進む。
【0057】
また、ステップS104では、車両のバッテリーに所定量以上の蓄電量があるか否かを判断する。ステップS104における判定がYES、すなわち、車両のバッテリーに所定量以上の蓄電量がある場合には、ステップS106に進み、一方、判定がNOであるときにはステップS105に進む。
【0058】
ステップS105では、ステップS104で車両バッテリーに所定未満の蓄電量しかないと判断された場合に、駐車スペースに駐車しようとしている車両の駐車予定時間がS時間であり、蓄電量(車載バッテリー蓄電量モニター170によるセンシングデータ)がS時間分あるか否かが判定される。ステップS105における判定でNOであるときにはステップS110に進み、YESであるときにはステップS106に進む。
【0059】
ステップS106では、車両における情報提供不可スイッチ150のオンオフの状態がチェックされて、駐車システムへの情報提供意思の有無が判定される。ステップS106における判定結果がNOであるときにはステップS110に進み、判定結果がYESであるときにはステップS107に進み、駐車スペースの位置を決定するためのルーチンに進む。
【0060】
ステップS108においては、管理データ記憶部480における優先順位テーブルが参照されて、当該優先順位テーブルに記載されている駐車スペースに空きがあるか否かが判定される。ステップS108における判定がNOであればステップS110に進み、YESでるとステップS109に進む。
【0061】
ステップS109では管理データ記憶部480における優先順位テーブル(図5(B))で最も順位の高い駐車スペースに決定する。
【0062】
ステップS111では、決定された駐車スペースに関する情報を掲示板470に表示する。このような表示に促されて、情報提供車両は所定の駐車スペースに駐車されることとなる。ステップS112で処理を終了する。
【0063】
以上、本発明に係る駐車場管理システムにおいては、車両周辺の状態を検出する車両周辺状態検出手段を有する車両を、所定の駐車スペースに駐車させるように誘導して、前記車両周辺状態検出手段による検出情報を利用して管理を行うように構成されているので、このような本発明に係る駐車場管理システムによれば、前記車両からのカメラ、センサー類に基づく情報を有効活用して、駐車場内における危険回避に役立てることが可能となる。
【0064】
また、本発明に係る駐車場管理システムにおいては、車両を駐車スペースに駐車させるように誘導する構成となっているので、このような本発明に係る駐車場管理システムによれば、駐車場の混雑を回避することができ、さらにドライバーにとっては空き駐車スペースを探し回る手間が省けるのでストレスフリーとすることができる。
【符号の説明】
【0065】
100・・・車両側システム
110・・・制御装置
120・・・車載カメラ
130・・・車載センサー
150・・・情報提供不可スイッチ
170・・・車載バッテリー蓄電量モニター
180・・・表示装置
230・・・無線通信装置s
310・・・ヘッドライト
320・・・ブレーキランプ
330・・・ハザードランプ
340・・・スピーカー(発音手段)
400・・・駐車場管理システム
410・・・主制御部
430・・・無線通信装置
460・・・撮像装置
470・・・掲示板
480・・・管理データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駐車スペースを有する駐車場における交通を管理する駐車場管理システムであって、
車両周辺の状態を検出する車両周辺状態検出手段を有する車両を、所定の駐車スペースに駐車させるように誘導する誘導手段を有しており、前記車両周辺状態検出手段による検出情報を利用して管理を行うことを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項2】
前記誘導手段は、複数の駐車スペースのうち、歩行者の存在密度がより高いゾーンに位置する駐車スペースに対する誘導を、歩行者の存在密度が低いゾーンに位置する駐車スペースより優先して行うことを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
前記誘導手段は、所定の蓄電量を満足しない車両については、前記所定の駐車スペースに誘導しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の駐車場管理システム。
【請求項4】
前記誘導手段が車両を誘導する駐車スペースには、施設設備が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の駐車場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−58778(P2012−58778A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198210(P2010−198210)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】