説明

駐車場管理システム

【課題】駐車場を遠隔地にある管理センタによって管理するシステムであって、ユーザの負担を軽減しつつ、駐車場の管理コストおよび設備コストを低減することが容易であるものを提供する。
【解決手段】前記駐車場には、ユーザが直接的に解読可能である実データを、ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできる暗号データに暗号化し、実データと暗号データとを駐車票上に印刷し、その印刷された駐車票をユーザに対して発行する発券機が設置される。前記管理センタには、ユーザが駐車票上の暗号データを読み上げて発した音声であって、ユーザから電話を介して送信され、かつ、管理センタにおいて受信されたものが入力されると、その音声によって表される暗号データを解読し、実データを復元する暗号解読器180が設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のための複数の駐車位置を有する駐車場に、前記複数の駐車位置について共通に使用されるように設置される発券機を用いて前記駐車場を管理する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のための複数の駐車位置を有する駐車場が既に広く普及している。この種の駐車場は、駐車位置への車両の搬送方式の観点で分類すると、ユーザが自ら車両を運転して駐車位置に搬送する方式と、パレットやケージを機械的に移動させて車両を機械的に駐車位置に搬送する機械式とに分類される。また、その駐車場は、ユーザに無料で貸される場合もあれば、有料で貸される場合もある。有料駐車場は、ユーザに貸す時間の長さという観点で分類すれば、月極めと、時間貸し(「日貸し」を含む。)とに分類される。
【0003】
時間貸し駐車場は、駐車料金の支払い方式という観点で分類すれば、駐車開始に先立ってユーザが駐車料金を支払う前払い式(ただし、出庫時に、駐車料金の不足分を支払う可能性を含む。)と、駐車終了時にユーザが駐車料金を支払う後払い式とに分類される。
【0004】
また、時間貸し駐車場は、その管理方式という観点で分類すれば、その駐車場を管理・監視する担当者が現場に常駐している有人式と、そのような担当者が常駐しておらず、散発的に現場に派遣される無人式とに分類される。
【0005】
この種の駐車場およびその駐車場に設置される設備(発券機を含む。)を開示している公知文献として、例えば、特許文献1および2が存在する。
【0006】
特許文献1は、設備コストがかからず管理が容易で十分に採算がとれる自転車を対象とした駐車場を管理する技術を開示している。この技術によれば、不正駐車を行った自転車の出庫を阻止するための装置を設置せずに済むため、駐車場の設備コストが低減する。
【0007】
具体的には、特許文献1に開示された技術によれば、ユーザは、空いている駐車位置に自転車を駐車させた後、発券機に移動し、その発券機に自身の登録番号を入力し、さらに、必要な駐車料金を投入する。発券機は、入力された登録番号を、駐車料金が精算済みである自転車についての登録番号として記録する。
【0008】
さらに、特許文献1に開示された技術によれば、駐車場を管理する管理作業者は、自身の携帯端末により、駐車中の自転車に貼付されているラベルから登録番号を読み取る。一方、管理作業者は、発券機から、その発券機に記録されている登録番号、すなわち、駐車料金が精算済みである自転車についての登録番号を取り込む。
【0009】
その後、管理作業者は、駐車中の自転車から読み取った登録番号と、発券機から取り込んだ登録番号との照合を行い、その照合の結果により、駐車中の自転車について駐車料金が精算済みであるか否か、すなわち、その自転車が不正駐車されていないか否かを確認する。管理作業者は、駐車料金が未清算である自転車に、料金支払いを催促するシールを貼付し、それにより、その自転車の持ち主であるユーザに、駐車料金が未清算であることを通知する。
【0010】
特許文献2は、前払い式の無人駐車場を開示している。この駐車場には、駐車が許可された時間を記録した駐車カードを有料で発行するカード発行機と、常には閉じられている入庫ゲートと、入庫口に設置され、駐車カードが挿入されると、その駐車カードが適切であることを条件に入庫ゲートを開く入庫管理装置とが設置される。さらに、この駐車場には、常には閉じられている出庫ゲートと、出庫口に設置され、駐車カードが挿入されると、その駐車カードが適切であることを条件に出庫ゲートを開く出庫管理装置とが設置される。
【0011】
特許文献2に開示された技術によれば、ユーザは、この駐車場からの出庫時、出庫管理装置に対して駐車カードを挿入する。出庫管理装置は、その挿入された駐車カードから情報を読み取り、その読み取られた情報が、実際駐車時間の長さが見込み駐車時間を超過したことを示す場合には、出庫管理装置は、ユーザに対し、追加駐車料金の支払いを請求する。その請求に応じ、ユーザが追加駐車料金を出庫管理装置に対して支払えば、出庫ゲートが開かれる。必要な追加駐車料金をユーザが支払わない限り、出庫ゲートが開かれないため、ユーザが追加駐車料金を支払うことなく出庫する不正行為が防止される。
【0012】
したがって、特許文献2に開示された技術によれば、前払い式の無人駐車場でありながら、駐車場管理者が駐車場に定期的に出向いて不正駐車を発見するための作業を不可欠とすることなく、不正駐車を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−242537号公報
【特許文献2】特開2006−146325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1に開示された技術によれば、作業管理者は、不正駐車している自転車を発見することと、不正駐車の継続を止めさせることが可能である。しかし、特許文献1に開示された技術では、不正駐車している自転車を発見するために、作業管理者は、自ら駐車場に定期的に出向いて、駐車中のすべての自転車について個別に、前述の、携帯端末を用いた照合を行うことが必要である。また、不正駐車の継続を止めさせるために、作業管理者は、不正駐車している自転車に個別に、前述のシールを貼付するという作業を行うことが必要である。
【0015】
このように、特許文献1に開示された技術では、不正駐車を防止するために、作業管理者に課される負担が大きく、そのため、駐車場につき、人件費を含む管理コストを削減することが困難であった。
【0016】
したがって、駐車場の管理コストを削減することが容易である駐車場用発券機を提供することが望ましい。
【0017】
また、特許文献1に開示された技術では、ユーザは、発券機に対し、駐車に先立って駐車料金を支払うために、ユーザ識別番号を発券機に入力しなければならず、面倒であった。また、それに伴い、発券機は、ユーザ識別番号を入力する機能と、入力されたユーザ識別番号を表すデータを記録する機能と、その記録されたデータを外部に出力する機能とを有するように設計しなければならず、発券機の設備コストを低減させるにも限界があった。
【0018】
したがって、駐車場を利用するユーザの負担を軽減するとともに、発券機の設備コストを低減させることが容易である駐車場用発券機を提供することが望ましい。
【0019】
また、特許文献2に開示された技術によれば、駐車場に、カード発行機、入庫ゲート、入庫管理装置、出庫ゲートおよび出庫管理装置を設置することが必要である。これは、駐車場に発券機しか設置せずに済む場合より、駐車場の設備コスト(装置コストおよび設置作業コストを含む。)を増加させる要因となる。また、この技術によれば、入庫管理装置も出庫管理装置も、駐車カードから情報を読み取る機能を有することが必要である。このことは、入庫管理装置および出庫管理装置の設備コストの増加を招来し、このことも、駐車場の設備コストを増加させる要因となる。
【0020】
したがって、駐車場の設備コストおよび発券機の設備コストを削減することが容易である駐車場用発券機を提供することが望ましい。
【0021】
さらに、駐車場が前払いであるか後払いであるかを問わず、また、駐車場が無人であるか有人であるかを問わず、駐車場において発券機によりユーザに対して発行された駐車票のような駐車票の記載事項につき、ユーザと、遠隔地にいる駐車場管理者とが、内容を確認することが必要となる場合がある。
【0022】
この場合、ユーザは、駐車票そのものを駐車場管理者に提示すべく、その駐車票を持参したり、ファクリミリにて送信することが可能であるが、面倒である。そのため、電話等の通信機器を用いて、ユーザと遠隔地にいる駐車場管理者とが、駐車票の内容を確認することができれば、ユーザの負担が軽減される。しかし、この場合には、駐車場管理者は、駐車票そのものを目視して検証することができず、ユーザからの発言のみを頼りに、駐車票の記載事項を確認せざるを得ない。
【0023】
したがって、遠隔地にいる駐車場管理者にとっては、駐車票の記載事項に関するユーザからの発言のみからでも、ユーザの発言の真正性を客観的に判断できるようにすることが望ましい。この要望を満たすことは特に、例えば、前述の出庫阻止装置が設置されていない前払い式の無人駐車場において不正駐車を防止するために有効である。
【0024】
以上の知見を背景にして、本発明は、車両のための複数の駐車位置を有する駐車場に、前記複数の駐車位置について共通に使用されるように設置される発券機を用いて前記駐車場を管理する技術であって、ユーザの負担を軽減しつつ、駐車場の管理コストおよび設備コストならびに当該発券機の設備コストを低減することが容易であるものを提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
その課題を解決するために、本発明の一側面によれば、駐車場を遠隔地にある管理センタによって管理する駐車場管理システムであって、
前記駐車場に設置される発券機であって、駐車に関する実データであってユーザが直接的に解読可能であるものを、前記ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできる暗号データに暗号化する暗号化部と、前記実データと前記暗号データとを駐車票上に印刷し、その印刷された駐車票を前記ユーザに対して発行するプリンタとを有するものと、
前記管理センタに設置される暗号解読器であって、前記ユーザが前記駐車票上の前記暗号データを読み上げて発した音声であって、前記ユーザから電話を介して送信され、かつ、前記管理センタにおいて受信されたものが入力されると、その音声によって表される前記暗号データを解読し、前記実データを復元するものと
を含む駐車場管理システムが提供される。
【0026】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0027】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0028】
(1) 車両のための複数の駐車位置を有する前払い式の無人駐車場に、前記複数の駐車位置について共通に使用されるように設置される発券機であって、
ユーザが駐車料金を当該発券機に対して支払うと、駐車票を印刷して発行するプリンタと、
ユーザが当該発券機に対して前記駐車料金を支払うと、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つを表す実データであってユーザが直接的に解読可能であるものを、予め設定された暗号化テーブルを参照することにより、ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできる暗号データに変換する暗号化部と、
ユーザが前記駐車料金を当該発券機に対して支払うと、前記プリンタがこれから発行しようとする前記駐車票に前記実データおよび前記暗号データが印刷されるように、前記プリンタを制御するプリンタ制御部と
を含み、
ユーザが前記駐車票上の前記暗号データを読み上げて発した音声が、通信機器を介して、遠隔地にいる駐車場管理者に対して送信されれば、その駐車場管理者は、受信したユーザの音声から前記暗号データを解読して前記実データを復元することが可能である駐車場用発券機。
【0029】
この発券機によれば、ユーザが駐車料金を当該発券機に対して支払った後に、当該発券機から発行される駐車票に、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つに関し、実データと共に、暗号データが印刷される。すなわち、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つに関する同じ情報が、ユーザが解読できる実データと、ユーザが解読できない暗号データとの双方として、同じ駐車票に印刷されるのである。ユーザが暗号データを解読できないということは、ユーザが暗号データを偽造できないことにつながる。
【0030】
その暗号データは、その駐車票を所有するユーザを特定するためでも、その駐車票を特定するためでもなく、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つ、例えば、「ユーザは、ある長さを有する駐車時間に見合った額の駐車料金をある日時に当該発券機に対して支払った」というユーザの行為に関する情報についてのユーザの発言の真正性を立証するために、前記駐車票に印刷される。
【0031】
その暗号データは、ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできるデータであり、例えば、数字、アルファベット、仮名文字などである。暗号データが同一である限り、その暗号データを発音する人間が異なっても、通常の識字力を有する限り、同一の音声が生成される。
【0032】
よって、この発券機によれば、ユーザが、前記駐車票上の前記暗号データを読み上げて発した音声を、通信機器(例えば、ユーザが利用可能な携帯電話機、固定電話機、公衆電話機など、当該発券機に設置されていない通信機器)を介して、遠隔地にいる駐車場管理者に対して送信することが可能となる。その駐車場管理者は、受信したユーザの音声から前記暗号データを解読して前記実データを復元することが可能である。なぜなら、その暗号データと前記実データとの間に1対1の関係があり、暗号データから実データを復元可能であるからである。
【0033】
したがって、この発券機によれば、当該発券機が、他の装置(例えば、駐車場管理者の通信機器)との間で通信を行う機能も、前記駐車票に印刷された前記暗号データを機械的に読み取る機能も有することなく、また、ユーザが、前記駐車票を駐車場管理者に持参したり送付したりすることも、ファクシミリを用いて送信することもなく、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つを、遠隔地にいる駐車場管理者が確認することが可能となる。その結果、ユーザの負担を軽減しつつ、ユーザは、自己の行為が不正ではないことを駐車場管理者に対して証明することができる。
【0034】
よって、この発券機によれば、前払い式の無人駐車場に前述の出庫阻止装置を設置しなくても、ユーザが、追加駐車料金を支払うべき場合に、実際には、追加駐車料金を全く支払っていないか、または要求金額に対して不足した金額しか支払っていないにもかかわらず、要求金額を支払ったと、通信機器を介して、遠隔地にいる管理者に対して主張しても、その主張が虚偽であることが管理者によって判明する。したがって、前払い式の無人駐車場でありながら、ユーザが、追加駐車料金を全く支払っていないか、または要求金額に対して不足した金額しか支払っていないにもかかわらず、出庫する不正行為を防止することが容易となる。
【0035】
本項において、実データが直接的に表す「駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つ」という用語につき、「日時」は、例えば、ユーザが駐車料金を支払った日時、駐車時間の開始時刻または終了時刻、駐車場に入庫した時刻などを意味し、また、「金額」は、例えば、ユーザが支払った駐車料金の額などを意味し、また、「駐車時間の長さ」は、後述の前払い駐車料金の額に見合った有効駐車時間(最大駐車時間)、後述の追加駐車料金の額に見合った延長駐車時間などを意味する。
【0036】
本明細書の全体を通じて、「駐車票」なる用語は、駐車場に設置された発券機によって発行される小片(スリップ)をすべて含み、例えば、駐車券、領収書を含むが、それらに限定されない。
【0037】
(2) 車両のための複数の駐車位置を有する前払い式の無人駐車場に、前記複数の駐車位置について共通に使用されるように設置される発券機であって、
発券ボタンと、
料金精算ボタンと、
ユーザが、駐車開始に先立ち、前払い駐車料金を当該発券機に対して支払った後に前記発券ボタンを操作すると、駐車が許可されたことを示す駐車券、および駐車料金の精算が済んだことを示す領収書を印刷して発行する一方、ユーザが、駐車終了後、追加駐車料金を当該発券機に対して支払った後に前記料金精算ボタンを操作すると、前記領収書を印刷して発行するプリンタと、
ユーザが当該発券機に対して前記前払い駐車料金または追加駐車料金を支払うと、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つを表す実データであってユーザが直接的に解読可能であるものを、予め設定された暗号化テーブルを参照することにより、ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできる暗号データに変換する暗号化部と、
ユーザによる駐車開始に先立ち、ユーザが前記無人駐車場に連続して駐車することを希望する有効駐車時間の長さに見合った額の駐車料金をユーザが前記前払い駐車料金として当該発券機に対して支払った後、ユーザが前記発券ボタンを操作すると、前記プリンタがこれから発行しようとする前記領収書に、前記前払い駐車料金に対応する前記実データおよび前記暗号データが印刷されるように、前記プリンタを制御する第1プリンタ制御部と、
ユーザによる駐車終了時、ユーザが実際に駐車した実際駐車時間の長さが前記有効駐車時間を超過した場合に、その超過分の長さに見合った額の駐車料金をユーザが前記追加駐車料金として当該発券機に対して支払った後、ユーザが前記料金精算ボタンを操作すると、前記プリンタがこれから発行しようとする前記領収書に、前記追加駐車料金に対応する前記実データおよび前記暗号データが印刷されるように、前記プリンタを制御する第2プリンタ制御部と
を含み、
ユーザが前記領収書上の前記暗号データを読み上げて発した音声が、通信機器を介して、遠隔地にいる駐車場管理者に対して送信されれば、その駐車場管理者は、受信したユーザの音声から前記暗号データを解読して前記実データを復元することが可能である駐車場用発券機。
【0038】
この発券機によれば、ユーザの特定の行為により、ユーザがこれから支払おうとする駐車料金が前払い駐車料金であるか追加駐車料金であるかを区別することが可能となる。さらに、この発券機によれば、前記(1)項に係る発券機と共通の作用効果が得られる。
【0039】
(3) 当該発券機は、前記駐車票に記録された情報を機械的に読み取る機能も、他の装置との間で通信を行う機能も有しておらず、
前記駐車場には、ユーザが当該発券機に対して支払った前記駐車料金が不足しているにもかかわらずその不足分を当該発券機に対して支払うことなくユーザが自分の車両を前記駐車場から出庫させる行為を機械的に阻止するための装置が設置されていない(1)項に記載の駐車場用発券機。
【0040】
(4) さらに、
硬貨が投入される硬貨投入口と、
情報を画面上に表示する表示器と、
ユーザが硬貨を前記硬貨投入口に投入するごとに、それまでにユーザが投入した硬貨の合計金額を投入金額として計算する投入金額計算部と、
ユーザが硬貨を前記硬貨投入口に投入するごとに、前記計算された投入金額から、その投入金額に見合った駐車時間を計算する駐車時間計算部と、
ユーザが硬貨を前記硬貨投入口に投入するごとに、前記計算された投入金額と、前記計算された駐車時間とが前記画面上に表示されるように、前記表示器を制御する表示器制御部と
を含む(1)ないし(3)項のいずれかに記載の駐車場用発券機。
【0041】
(5) 車両のための複数の駐車位置を有する前払い式の無人駐車場に、前記複数の駐車位置について共通に使用されるように設置される発券機であって、
ユーザが駐車料金を、駐車に先立って前払い駐車料金として当該発券機に対して支払うか、または予定の駐車時間を超過して駐車した後に追加駐車料金として当該発券機に対して支払うと、駐車票を、前払い用駐車票および追加駐車料金用駐車票のうち対応するものとして印刷して発行するプリンタと、
ユーザが当該発券機に対して前記駐車料金を支払うと、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つを表すとともに、前記駐車票が前記前払い用駐車票であるか前記追加駐車料金用駐車票であるかを識別する実データであってユーザが直接的に解読可能であるものを、予め設定された暗号化テーブルを参照することにより、ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできる暗号データに変換する暗号化部と、
ユーザが前記駐車料金を当該発券機に対して支払うと、前記プリンタがこれから発行しようとする前記駐車票に前記実データおよび前記暗号データが印刷されるように、前記プリンタを制御するプリンタ制御部と
を含み、
ユーザが前記駐車票上の前記暗号データを読み上げて発した音声が、通信機器を介して、遠隔地にいる駐車場管理者に対して送信されれば、その駐車場管理者は、暗号解読器を用いることにより、受信したユーザの音声から前記暗号データを解読して前記実データを復元することが可能である駐車場用発券機。
【0042】
この発券機によれば、駐車場管理者が、駐車票の実物または複製を目視することなく、その駐車票に関するユーザからの発言のみから、その駐車票が前払い用駐車票であるか追加駐車料金用駐車票であるかを正しく識別することが可能となる。
【0043】
(6) 車両のための複数の駐車位置を有する前払い式の無人駐車場に、前記複数の駐車位置について共通に使用されるように設置される発券機であって、
発券ボタンと、
料金精算ボタンと、
ユーザが、駐車開始に先立ち、前払い駐車料金を当該発券機に対して支払った後に前記発券ボタンを操作すると、駐車が許可されたことを示す駐車券と、前記前払い駐車料金の支払いが済んだことを示す前払い用領収書とを印刷して発行する一方、ユーザが、駐車終了後、追加駐車料金を当該発券機に対して支払った後に前記料金精算ボタンを操作すると、追加駐車料金用領収書を印刷して発行するプリンタと、
ユーザが当該発券機に対して前記前払い駐車料金または前記追加駐車料金を支払うと、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つを表すとともに、当該発券機によって発行された領収書が、前記前払い用領収書であるか前記追加駐車料金用領収書であるかを表す実データであってユーザが目視によって解読可能であるものを、予め設定された暗号化テーブルを参照することにより、ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできる暗号データに暗号化する暗号化部と、
ユーザによる駐車開始に先立ち、ユーザが前記無人駐車場に連続して駐車することを希望する有効駐車時間の長さに見合った額の駐車料金をユーザが前記前払い駐車料金として当該発券機に対して支払った後、ユーザが前記発券ボタンを操作すると、前記プリンタがこれから発行しようとする前記前払い用領収書に、前記前払い駐車料金に対応する前記実データおよび前記暗号データが印刷されるように、前記プリンタを制御する第1プリンタ制御部と、
ユーザによる駐車終了時、ユーザが実際に駐車した実際駐車時間の長さが前記有効駐車時間を超過した場合に、その超過分の長さに見合った額の駐車料金をユーザが前記追加駐車料金として当該発券機に対して支払った後、ユーザが前記料金精算ボタンを操作すると、前記プリンタがこれから発行しようとする前記追加駐車料金用領収書に、前記追加駐車料金に対応する前記実データおよび前記暗号データが印刷されるように、前記プリンタを制御する第2プリンタ制御部と
を含み、
前記追加駐車料金用領収書の発行後、ユーザが前記前払い用領収書および前記追加駐車料金用領収書上の前記暗号データを読み上げて発した音声が、通信機器を介して、遠隔地にいる駐車場管理者に対して送信されれば、その駐車場管理者は、暗号解読器を用いることにより、音声として受信した前記暗号データを解読して前記前払い用領収書および前記追加駐車料金用領収書上の前記実データを復元し、その復元された実データに基づき、前記ユーザによって前記追加駐車料金として既に支払われている金額が不足しているか否かを判断することが可能である駐車場用発券機。
【0044】
(7) 車両のための複数の駐車位置を有する前払い式の無人駐車場に、前記複数の駐車位置について共通に使用されるように設置される発券機であって、
ユーザが前記駐車場を利用したい時間帯として、夜間のみをカバーする駐車時間帯と、少なくとも昼間の一部をカバーする駐車時間帯とを含む複数の駐車時間帯のうちのいずれかを選択するためにユーザによって操作される操作部と、
ユーザによって選択された駐車時間帯の種類に応じた額の駐車料金をユーザが当該発券機に支払うと、ユーザが自身の車両を前記駐車場に入庫した入庫日時と、ユーザによって選択された駐車時間帯の種類と、ユーザによって当該発券機に支払われた駐車料金の額とを駐車票に印刷し、その印刷された駐車票をユーザに対して発行するプリンタと
を含む駐車場用発券機。
【0045】
(8) 前記駐車票は、当該発券機による発行後、ユーザにより、駐車車両の室内に、前記駐車票の印刷内容を車外から前記駐車車両の窓ガラスを通して視認することが可能であるように配置される(1)ないし(7)項のいずれかに記載の駐車場用発券機。
【0046】
この発券機によって駐車に先立って発行された駐車票は、ユーザにより、前払い式の無人駐車場に駐車しようとする自己の車両の室内に、車外から目視できるように配置される。したがって、駐車場管理者は、駐車車両内の駐車票を車外から目視するという単純な作業だけで、その車両が、不正駐車車両に該当するか否かを簡単に判断することができる。駐車場管理者は、不正駐車車両を発見した場合、例えば、警告票をその車両に貼付することにより、その車両を駐車したユーザに対して警告することができる。
【0047】
その結果、この発券機によれば、前払い式の無人駐車場に前述の出庫ゲート、フラップ式、出没式輪止め等、出庫阻止装置を設置しなくても、不正駐車を防止することが可能となる。よって、この発券機によれば、前払い式の無人駐車場でありながら、駐車場の設備コストおよび管理コストを低減しつつ、不正駐車を防止することが容易となる。
【0048】
さらに、この発券機によれば、当該発券機が、不正駐車を発見するためのデータ処理を行わずに済むため、当該発券機の機能の単純化が容易となり、その結果、当該発券機の設備コストを低減させることが容易となる。
【0049】
さらに、この発券機によれば、駐車場を利用しようとするユーザは、駐車に先立って駐車票を発行するために、ユーザ識別番号の入力も、ユーザの車両についての車両識別情報の入力も行わずに済むから、ユーザの負担が増加せずに済む。
【0050】
さらに、この発券機によれば、駐車票が、駐車車両の室内に置かれるため、天候によって損傷することも、紛失することもない。
【0051】
(9) 車両のための複数の駐車位置を有する前払い式または後払い式の無人または有人の駐車場に、前記複数の駐車位置について共通に使用されるように設置される発券機に対してユーザが駐車料金を支払うと、前記発券機によって印刷されて発行される駐車票であって、
当該駐車票上に、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つを表す実データであってユーザが直接的に解読可能であるものと、その実データが暗号化された暗号データであって、ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできるものとが印刷されている駐車票。
【0052】
この駐車票を用いれば、駐車場管理者が、駐車票の実物または複製を目視することなく、その駐車票の記載事項に関するユーザからの発言のみから、その記載事項に関するユーザの発言の真正性を客観的に判断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に従う発券機が設置された無人駐車場の一例を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示す発券機を示す正面図である。
【図3】図3は、図2に示す発券機を、扉が開いている状態で示す斜視図である。
【図4】図4は、図2に示す発券機の部品構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、図4に示すコンピュータによって実行される発券・精算プログラムを概念的に表すフローチャートである。
【図6】図6(a)−(d)は、図2に示す表示器の画面上に表示される複数の画像を示す正面図である。
【図7】図7(a)は、図2に示す発券機により、前払い駐車料金の支払い後に発行される駐車券および領収書の一例を示す正面図であり、図7(b)は、図2に示す発券機により、追加駐車料金の支払い後に発行される領収書の一例を示す正面図である。
【図8】図8(a)は、図7(a)に示す駐車券を、発行直後の状態で示す縦断面図であり、図8(b)は、その駐車券を、一部が剥がされて折り曲げられた状態で示す縦断面図である。
【図9】図9(a)は、図7(a)に示す駐車券を、駐車車両のフロントガラスの裏面に貼り付けられた状態で示す側面断面図であり、図9(b)は、その駐車券を、それの表示シートの一部がセパレータから剥がされて折り曲げられた状態で示す斜視図である。
【図10】図10は、図7(a)に示す駐車券が駐車車両のフロントガラスの裏面に貼り付けられている様子を示す斜視図である。
【図11】図11(a)−(c)は、図7(a)および(b)にそれぞれ示す領収書に印刷される暗号データの一例の構成、それに対応する実データ、および実データから暗号データへの変換工程を説明するための図である。
【図12】図12は、図7(a)および(b)にそれぞれ示す領収書に印刷される暗号データをユーザが、自分の携帯電話機を用いて、遠隔地にいる駐車場管理者に通信する様子と、その駐車場管理者が、受信した暗号データを実データに変換する様子とを説明するための斜視図である。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態に従う発券機を示す正面図である。
【図14】図14は、図13に示す発券機の部品構成を示すブロック図である。
【図15】図15は、図14に示すコンピュータによって実行される発券・精算プログラムを概念的に表すフローチャートである。
【図16】図16(a)は、図13に示す発券機により、前払い駐車料金の支払い後に発行される駐車券および領収書の一例を示す正面図であり、図16(b)は、図13に示す発券機により、追加駐車料金の支払い後に発行される領収書の一例を示す正面図である。
【図17】図17(a)−(c)は、図16(a)および(b)にそれぞれ示す領収書に印刷される暗号データの一例の構成、それに対応する実データ、および実データから暗号データへの変換工程を説明するための図である。
【図18】図18は、図13に示す発券機によって発行される夜間駐車用の駐車券の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の第1実施形態に従う駐車場用発券機20を例示的に図面に基づいて詳細に説明する。
【0055】
図1には、その発券機20が設置されて使用される駐車場10が平面図で示されている。その駐車場10は、複数台の自動車の同時駐車を可能にする複数の駐車位置(駐車スペース)を有する。この駐車場10の唯一の入出庫口12(入庫口でもあるし出庫口でもある)の近傍位置に、1台の発券機(一般には、「精算機」ともいう。)20が、複数の駐車位置に共通に、集中発券機として設置されている。この駐車場10は、専従者がおらず、運転者であるユーザが駐車料金の支払いを発券機20に対して行う無人式である。この発券機20は、本発明の一実施形態に従って構成されている。
【0056】
なお、「車両」なる用語の定義について付言するに、この「発明を実施するための形態」の欄においては、「車両」なる用語は、自動車のみを意味するが、本明細書の他の箇所においては、「車両」なる用語は、自動車のみならず、自転車、自動二輪車等、あらゆる種類の移動体を包含する用語として解釈すべきである。
【0057】
駐車場10の敷地には、2種類の駐車区画が存在する。それは、各車両のユーザに対し、1日単位で駐車スペースを貸し出すための区画(一時預り区画または日貸し用区画)と、各車両のユーザに対し、事前の契約を前提に、1月単位で駐車スペースを貸し出すための区画(月極用区画)とである。発券機20は、一時預り区画について使用される。以下、単に「駐車場10」というときには、この駐車場10のうち、一時預り区画、すなわち、発券機20が使用されるエリアのみを意味する。
【0058】
駐車場10を利用するために、ユーザである運転者は、自己の車両を運転して、隣接道路から入出庫口12に進入し、引き続いて運転して発券機20を素通りし、さらに、自己の車両を、自身で選択したいずれかの駐車スペース(駐車位置)まで運転してそこに駐車する。その後、ユーザは、自己の車両から降りて、入出庫口12にある発券機20まで歩いていき、そこで駐車料金を発券機20に対して支払う。
【0059】
図2には、発券機20が正面図で示されており、図3には、発券機20を、扉24が開いている状態で斜視図で示されており、図4には、発券機20の部品構成がブロック図で示されている。図5は、図4に示す制御基板34内のコンピュータ100によって実行される発券・精算プログラムが概念的にフローチャートで表されている。図6(a)−(d)には、図2に示す表示器36の画面上に表示される複数の画像が正面図で示されている。
【0060】
ユーザは、駐車料金の支払いと引き換えに、図7(a)および図8に示す駐車券80を発券機20から受け取る。その後、ユーザは、その駐車券80を、図9および図10に示すように、自己の車両のフロントガラス110(前記(1)項における「窓ガラス」の一例であるが、その「窓ガラス」は、フロントガラス110に限定されない)の裏面に貼り付ける。その駐車券80は、駐車車両の室内に置かれるため、雨風に曝されることはないし、紛失することもない。
【0061】
駐車場10は、複数の駐車位置を有する前払い式の無人駐車場であって、車両の出庫を阻止する(駐車場10からの退出を阻止する)ための装置(例えば、出庫ゲート装置や、輪止め装置(例えば、フラップ式や、出没式))を有せず、かつ、ユーザが前記複数の駐車位置のうちのいずれかを自由に選んで自己の車両を駐車することが可能である(選択された駐車位置は、発券機20によって監視されない)。このように構成された駐車場10について発券機20が使用される。
【0062】
ここで、発券機20をさらに具体的に説明する。この発券機20は、料金精算機能は有するが釣銭機能も通信機能も有しない。この発券機20は、ユーザが駐車料金を、紙幣ではなく硬貨のみで支払うことを要求する。また、この発券機20は、ユーザに対し、ユーザ識別番号の入力も、ユーザの車両についての車両識別情報(例えば、車両番号)の入力も、複数の駐車位置のうちユーザが選択するものの特定も、要求しない。
【0063】
発券機20は、図2に示すように、発券ボタン70と、料金精算ボタン74とを有する。発券機20は、ユーザが、駐車開始に先立ち、前払い駐車料金を支払った後に発券ボタン70を押すと、駐車が許可されたことを示す駐車券80(図7(a)参照)と、前払い駐車料金の精算が済んだことを示す領収書81a(図7(a)参照)とを、2枚綴りで発行する発券機能を有する。発券機20は、さらに、ユーザが、駐車終了後、追加駐車料金を支払った後に料金精算ボタン74を押すと、追加駐車料金の精算が済んだことを示す領収書81b(図7(b)参照)を発行する料金精算機能を有する。
【0064】
本実施形態においては、領収書81aが、前記(7)項における「前払い用領収書」の一例を構成し、また、領収書(以下、「精算領収書」ともいう。)81bが、同項における「追加駐車料金用領収書」の一例を構成している。すなわち、本実施形態においては、領収書81a,81bのカテゴリとして、前払い用領収書および追加駐車料金用領収書が存在し、領収書81aは、前払い用領収書というカテゴリに分類されるのに対し、領収書81bは、追加駐車料金用領収書というカテゴリに分類されるのである。
【0065】
本実施形態においては、前払い駐車料金の支払い後に発行される2枚綴りの駐車票は、駐車券80と領収書81aの2枚綴りであるが、ユーザは、それら駐車券80と領収書81aを互いに分離し、駐車券80のみ、駐車車両内に置いておき、領収書81aは、携帯することが可能である。領収書81aには、後述のように、有効駐車時間(ユーザによる駐車が許可された時間帯)の終了時刻が印刷されており、ユーザが、駐車車両から離れた場所においていつでも有効駐車時間の終了時刻を参照できるようにするために、この領収書81aをユーザが携帯することが便利である。
【0066】
図3に示すように、この発券機20は、縦長で箱状を成すケーシング22に扉24がそれの一側辺において開閉可能に取り付けられて構成されている。図3には、この発券機20の内部構成が、扉24が開いている状態で、斜視図で示されている。図4には、この発券機20の部品構成がブロック図で示されている。
【0067】
図3に示すように、この発券機20は、硬貨処理ユニット30と、金庫32と、制御基板34と、表示器36と、駐車券80および領収書81a,81bを印刷して発行するプリンタ40とを有するように構成されている。それら部品のうち、硬貨処理ユニット30のみが、扉24の背面に取り付けられ、残りの部品は、ケーシング22の内部に取り付けられている。
【0068】
図3に示すように、プリンタ40には、印刷前の連続シートが巻き付けられて収容されるローラ42が装着されている。プリンタ40は、そのローラ42から1枚分の長さずつ送り込まれる連続シートに対して印刷を行う。プリンタ40は、その印刷終了後、連続シートを随時、カッタ(図示しない)によってカットしてその連続シートから、前払い駐車料金の支払い後には駐車券80と領収書81aとの2枚綴り、追加駐車料金の支払い後には1枚分の領収書81bを切り離す。ただし、2枚綴りである駐車券80と領収書81aとの間に、図7(a)に示すように、切取り線89が形成されており、ユーザは、その切取り線89に沿って、それら駐車券80と領収書81aを簡単に互いに切り離すことが可能である。
【0069】
前記カッタは、切刃(図示しない)を有し、その切刃を連続シートの幅方向に移動させて連続シートを幅方向に切断する。また、前記カッタは、連続シートを幅方向に完全に切断する方式を採用したり、幅方向における一部のみ残して連続シートを幅方向に切断する方式を採用することが可能である。
【0070】
図2および図4に示すように、硬貨処理ユニット30は、硬貨投入口50と、返却レバー52と、硬貨セレクタ(投入された硬貨の種類の判別と、投入された硬貨が偽造硬貨でないか否かの判別とを行う)54と、硬貨返却口56とを有する。投入された硬貨のうち、硬貨返却口56からユーザに返却されなかったものは、金庫32に収容される。図4に示すように、硬貨セレクタ54に制御基板34がデータ通信可能に接続されており、その制御基板34は、硬貨セレクタ54から、投入された硬貨の種類(硬貨の単位と、偽造硬貨であるか否かの情報とを含む)と枚数を表す信号を受信する。
【0071】
図2に示すように、扉24の前面には、表示器36(例えば、液晶ディスプレイ)の画面からの表示光が透過する透過窓60と、硬貨投入口50、返却レバー52および硬貨返却口56と、プリンタ40によって印刷されて排出される駐車券80および領収書81a,81bを排出するための排出口64とが配置されている。透過窓60は、外部から表示器36への直接アクセスを阻止することによって表示器36を機械的に保護する機能も有する。
【0072】
発券機20は、さらに、ユーザが前払い駐車料金を支払った後に押される前述の発券ボタン70と、ユーザが追加駐車料金を支払った後に押される前述の料金精算ボタン74とを有するように構成されている。それら発券ボタン70および料金精算ボタン74は、図2に示すように、発券機20の扉24の前面に装着されている。それら発券ボタン70および料金精算ボタン74は、図4に示すように、制御基板34に電気的に接続されている。
【0073】
それら発券ボタン70および料金精算ボタン74は、いずれも、実在する物理的なスイッチとして構成されているが、これに限定されず、例えば、表示器36の画面上に表示される仮想的なスイッチ(例えば、ボタン、キー、アイコン)として構成してもよい。
【0074】
制御基板34は、コンピュータ100を主体として構成されている。この制御基板34は、時計102を内蔵しており、常に現在日時(例えば、発券ボタン70が押された日時、料金精算ボタン74が押された日時)を取得可能となっている。この制御基板34は、さらに、メモリ104を内蔵している。そのメモリ104には、後述の暗号化テーブルが、権限を有する者のみが書き換え可能である状態で保存されている。
【0075】
なお付言するに、制御基板34は、コンピュータ100と同じ機能をシーケンサ(シーケンス制御)によって実現する形式とすることが可能である。
【0076】
図5に示す発券・精算プログラムがコンピュータ100によって実行されると、まず、ステップS1において、図6(a)に示す初期画面が表示器36の画面上に表示される。次に、ステップS2において、硬貨セレクタ54からの信号に基づき、ユーザによる硬貨の投入があったか否かが判定される。硬貨が未投入であると、ステップS2に戻るが、硬貨の投入があると、ステップS3において、それまでにユーザが投入した硬貨の合計金額が投入金額として計算される。
【0077】
続いて、ステップS4において、その計算された投入金額から、その投入金額に見合った駐車時間が駐車時間(今回支払われた駐車料金が前払い駐車料金である場合には、有効駐車時間を意味する一方、今回支払われた駐車料金が追加駐車料金である場合には、延長駐車時間を意味する)として計算される。投入金額と駐車時間の長さとの関係、すなわち、時間単位の料金設定は、コンピュータ100にとって既知であるから、コンピュータ100は、その料金設定に従い、投入金額から駐車時間を計算することができる。料金設定については、例えば、駐車場管理者が、表示器36のタッチパネルを操作することにより、各時間単位で個別に入力することが可能である。
【0078】
上記料金設定の一例によれば、連続駐車時間が2時間までは300円、4時間までは400円であり、6時間までは500円、12時間までは1000円、24時間までは1500円である。この例の料金設定のもとでは、例えば、図7に示す例のように、ユーザが400円を前払い駐車料金として支払うと、コンピュータ100は、4時間を有効駐車時間として計算することになる。また、ユーザが300円を追加駐車料金として支払うと、2時間を延長駐車時間として計算することになる。
【0079】
その後、ステップS5において、図6(b)に示す硬貨投入中画面が表示器36の画面上に表示される。このとき、前記計算された投入金額および駐車時間(有効駐車時間または延長駐車時間)の長さが表示される。
【0080】
続いて、ステップS6において、発券ボタン70が押されたか否かが判定される。発券ボタン70が未だ押されていない場合には、ステップS7において、料金精算ボタン74が押されたか否かが判定される。料金精算ボタン74も未だ押されていない場合には、ステップS2に戻る。
【0081】
硬貨投入開始後、発券ボタン70と料金精算ボタン74とのいずれかが押されるまで、ステップS2−S7の実行が反復される。その結果、ユーザが硬貨を硬貨投入口50に投入するごとに、投入開始時から現時点までにユーザが投入した硬貨の合計金額を投入金額として計算することと、その計算された投入金額から、その投入金額に見合った駐車時間を計算することと、前記計算された投入金額および駐車時間(有効駐車時間または延長駐車時間)を表示器36の画面上に表示することとが行われる。
【0082】
発券ボタン70が押されると、ステップS8において、図6(c)に示す駐車券/領収書発行画面が表示器36の画面上に表示される。このとき、ユーザによる発券ボタン70の操作によって確定された駐車料金の額が、前払い駐車料金の額として表示される。この場合には、先行するステップS4において計算された駐車時間は、有効駐車時間を意味することになる。
【0083】
続いて、ステップS9において、ユーザが駐車場10に入庫した入庫時刻(またはユーザが前払い駐車料金を支払った日時、駐車券80を発券した時刻、駐車時間の開始時刻など)および前記有効駐車時間の長さ(またはユーザが支払った前払い駐車料金の額など)を表す実データであってユーザが直接的に解読可能であるものが、前記暗号化テーブルを参照することにより、ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできる暗号データ130に変換される。暗号化が行われるのであり、これにより、暗号データ130が作成される。
【0084】
本実施形態においては、暗号データ130が、図11(a)に示すように、一列に並んだ9桁(それより多い桁数としても、それより少ない桁数としてもよい。)の記号で定義されている。各桁の記号は、例えば、0から9までの10個の数字と複数のアルファベットとのうちのいずれかとして選択される。その複数桁の記号は、複数のグループに分割されて領収書81a上に印刷され、隣接するグループ同士がハイフンでつながれており、これにより、ユーザは、複数桁の記号を、一息で一気に発音するのではなく、いくつかの区切りを入れて、より楽にかつ正確に発音できるようになっている。
【0085】
実データの一般的な構成の一例(実データの桁数削減のため、西暦の表記を省略した)は、図11(b)に示すように、「MM月DD日のhh時mm分に入庫し、有効駐車時間の長さは、TT時間である。」というデータである。この実データは、図11(c)に示すように、月を表す数字MMと、日を表す数字DDと、時刻のうちの時間を表す数字hhと、時刻のうちの分を表す数字mmと、駐車時間(該当する領収書が前払い用である場合には、有効駐車時間を意味する一方、該当する領収書が追加駐車料金用である場合には、延長駐車時間を意味する)の長さを表す数字TTという、5つの要素を有している。
【0086】
前記暗号化テーブルは、図11(c)に示すように、月を表す数字MMを暗号化するために参照される月単位暗号化テーブルと、日を表す数字DDを暗号化するために参照される日単位暗号化テーブルと、時刻のうちの時間を表す数字hhを暗号化するために参照される時間単位暗号化テーブルと、時刻のうちの分を表す数字mmを暗号化するために参照される分単位暗号化テーブルと、駐車時間の長さを表す数字TTを暗号化するために参照される時間用暗号化テーブルとを有する。上述の5つの要素は、それぞれ、対応する暗号化テーブルを参照することにより、暗号化され、それにより、9桁の暗号データ130が作成される。
【0087】
本実施形態においては、暗号化テーブルが、毎日、更新されるが、24時間より長い期間が経過するごとに更新する方式(同じ期間内においては、暗号化テーブルは更新されない)を採用したり、24時間より長い期間を1周期として、同じ周期内においては、毎日、暗号化テーブルを更新する方式(ある周期内の期間と、別の周期内の期間との間では、暗号化テーブルが日々更新されるパターンが共通する)を採用することが可能である。
【0088】
一例においては、メモリ104において、暗号化テーブルが毎日更新される場合に、一月分の暗号化テーブルである暗号化テーブルセットが一月ごとに更新される。この場合、暗号化テーブルセットは、例えば、毎月、管理者が駐車場10に出向くごとに、管理者によって更新される。
【0089】
また、一例においては、前述の5つの要素MM,DD,hh,mmおよびTTのそれぞれにつき、暗号化テーブルにおける実データと暗号化データとの関係、すなわち、暗号化前の数字(例えば、「2月」を表す「2」)と暗号化後の符号との間の対応関係が、暗号化前の各数字ごとに乱数を発生させ、その乱数を暗号化後の符号として採用することにより、生成される。
【0090】
図5に示すステップS9において暗号化が終了すると、ステップS10において、駐車券80および領収書81aがプリンタ40によって印刷されて発行される。領収書81aには、図7(a)に示すように、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つに関する同じ情報が、ユーザが解読できる実データと、ユーザが解読できない暗号データ130との双方として印刷されるのである。以上で、この発券・精算プログラムの今回の実行が終了する。
【0091】
具体的には、図7(a)に示すように、駐車券80には、ユーザが支払った前払い駐車料金の額に見合った有効駐車時間の終了時刻と、駐車場10の場所を特定するための表示とが印刷される。また、領収書81aには、入庫時刻と、ユーザが支払った前払い駐車料金の額と、前記有効駐車時間の終了時刻と、駐車場10の場所を特定するための表示とが印刷される。領収書81aには、さらに、「ABC−DEF−ABC」で例示された暗号データ130も併せて印刷される。この暗号データ130は、図11(b)に文章化して示すように、前記入庫時刻(これは、前払い駐車料金を支払った時刻とも、駐車時間の開始時刻とも、駐車券80および領収書81aが発券された時刻とも等価である。)と前記有効駐車時間の長さ(これは、支払った前払い駐車料金の額と等価である。)とを表す実データが暗号化されたものである。
【0092】
これに対し、発券ボタン70に代えて料金精算ボタン74が押されると、ステップS11において、図6(d)に示す精算領収書発行画面が表示器36の画面上に表示される。このとき、ユーザによる料金精算ボタン74の操作によって確定された駐車料金の額が、追加駐車料金の額として表示される。この場合には、先行するステップS4において計算された駐車時間は、延長駐車時間を意味することになる。
【0093】
続いて、ステップS12において、ステップS9と同様にして、ユーザが追加駐車料金を支払ったために領収書81bが発券された時刻(これは、追加駐車料金を支払った時刻と等価である。)と前記延長駐車時間の長さ(これは、支払った追加駐車料金の額と等価である。)とを表す実データが、前記暗号化テーブルを参照することにより、暗号データ140に変換される。
【0094】
その後、ステップS13において、領収書81bがプリンタ40によって印刷されて発行される。領収書81bには、図7(b)に示すように、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つに関する同じ情報が、ユーザが解読できる実データと、ユーザが解読できない暗号データ140との双方として印刷されるのである。以上で、この発券・精算プログラムの今回の実行が終了する。
【0095】
具体的には、図7(b)に示すように、領収書81bには、領収書81bが発券された日時と、前記追加駐車料金の額と、駐車場10の場所を特定するための表示とが印刷される。
【0096】
さらに、領収書81bには、「123−456−789」で例示された暗号データ140も併せて印刷される。この暗号データ140は、領収書81bが発券された日時と前記延長駐車時間の長さとを表す実データが暗号化されたものである。
【0097】
図7(a)には、駐車券80および領収書81aの2枚綴りが正面図で示される一方、図7(b)には、領収書81bが正面図で示されている。駐車券80および領収書81aの2枚綴りは、駐車券80の2枚分に相当し、その2枚綴りにおいては、駐車券80と領収書81aとは、サイズも構成も、互いに共通する。また、領収書81bは、駐車券80の1枚分に相当し、駐車券80に対し、サイズも構成も共通する。以下、説明を簡単にするために、駐車券80の構成のみを代表的に説明する。
【0098】
駐車券80は、表層としての表示シート(印刷用紙)82と、中間層としての粘着層83(糊の層)と、裏層としてのセパレータ(分離シート、剥離紙)84とがそれらの順に積層されて構成されている。粘着層83は、表示シート82の裏面に、容易には剥離しないように、塗布されており、表示シート82をセパレータ84の表面から剥がした状態では、粘着層83の糊は、セパレータ84の表面には付着しない。
【0099】
図7(a)に示すように、1枚分の駐車券80においては、表示シート82の外周が、セパレータ84の外周より内側に位置するようになっている。ローラ42に巻き付けられる原反は、連続したセパレータ84に、隙間を隔てて一列に並んだ複数枚の表示シート82(空白の状態)が接着されて構成されている。
【0100】
プリンタ40における連続シート(連続したセパレータ84)は、前記カッタにより切断され、その切断は、表示シート82間の隙間の位置において行われ、表示シート82に対する切断は行われない。一方、セパレータ84のうち、表示シート82間の隙間において露出する部分の表面には糊が付着していない。
【0101】
したがって、本実施形態によれば、連続シートの切断時に、前記切刃に粘着層83の糊が付着せずに済み、一日に1回または数回、現場に派遣される管理者(例えば、サービス担当者、複数の駐車場を巡回して作業する作業者、見回りの監視員)による前記カッタのメンテナンスの頻度が減少し、ひいては、管理者にかかる人件費が低減される。
【0102】
ただし、本実施形態においては、領収書81bについては、前記カッタにより、セパレータ84が1枚分の長さで完全に切断されるのに対し、前記2枚綴りについては、セパレータ84が2枚分の長さで完全に切断される。ただし、前述のように、前記2枚綴りについては、図7(a)に示すように、前記カッタにより、セパレータ84が、駐車券80と領収書81aとの間において、部分的に切断され、それにより、切取り線89が形成される。
【0103】
図7(a)に示すように、駐車券80の表示シート82には、さらに、「駐車券」という文字列のすぐ上方に、両端を有する(閉じていない)切断線90が存在する。その切断線90は、ユーザが、表示シート82のうちの一部を、残りの部分はセパレータ84に接着されたままで、セパレータ84から剥がすことを可能にするために存在する。図8(b)に示すように、ユーザが、表示シート82の一部(切断線90によって包囲される領域)をセパレータ84から剥がして、切断線90の両端をつなぐ直線に沿って折り曲げると、その結果形成される折曲げ部92の表面(粘着層83のうち、その折曲げ部92の裏面に塗布されている部分)が、糊面として露出する。図9(a)には、その折曲げ部92が斜視図で示されている。
【0104】
本実施形態においては、ユーザによる駐車が不正駐車ではないことを証明するために、ユーザは、硬貨投入と引き換えに受領した駐車券80を、図9(b)に示すように、駐車車両のフロントガラス110の裏面に貼付することを要求される。そのため、ユーザは、図9(a)に示すように、駐車券80のうちの指定箇所(切断線90によって包囲された領域であって、最終的に折曲げ部92となる部分)を局部的に剥がして折り曲げたうえで、その折曲げ部92の表面を、図9(b)に示すように、駐車車両のフロントガラス110の裏面に貼付する。これにより、図10に示すように、駐車券80の内容(特に、ユーザに対して許可された駐車時間帯の終了時刻を特定するための情報と、この駐車券80が有効である駐車場10の場所を特定するための表示)を、外部からいつでも目視することが可能となる。
【0105】
ユーザは、実際に駐車した時間が前記有効駐車時間を超過した場合には、追加駐車料金を支払うことを要求される。しかし、駐車場10は、前述のように、無人式であり、かつ、必要な追加駐車料金を支払わない限り駐車車両の出庫を阻止する装置を有しないため、図12に示すように、ユーザは、必要な追加駐車料金を支払った事実を、駐車場10、車内、自宅などの場所から、携帯電話機や固定電話機などの通信機器により、遠隔地にある管理センタに居る駐車場管理者に通知することを要求される。
【0106】
この際、ユーザは、入庫時に発行された領収書81aに印刷されている暗号データ130と、出庫時に発行された領収書81bに印刷されている暗号データ140との双方を読み上げて音声を発し、その音声を、上記通信機器により、駐車場管理者に送信することを要求される。
【0107】
ユーザが発した、暗号データ130,140を表す音声を受信すると、前記管理センタに居る駐車場管理者は、暗号解読器180の入力装置(例えば、キーボード、タッチスクリーン、マウスなど)を操作して、ユーザの音声に対応する記号を入力する。暗号データ130,140を入力するのであり、すると、暗号解読器180は、その入力された暗号データ130,140を、前記暗号化テーブルに適合する暗号解読テーブルであって暗号解読器180に搭載されたものに従い、実データに復元する。
【0108】
これにより、駐車場管理者は、管理対象である駐車場10から場所的に離れた前記管理センタに居ながらにして、ユーザが実際に駐車していた時間である実際駐車時間の長さ(例えば、暗号データ130により特定される入庫時刻から、暗号データ140により特定される、追加駐車料金を支払った時刻までの経過時間の長さ)を知ることができ、さらに、ユーザが支払った駐車料金の合計額(例えば、暗号データ130により特定される前払い駐車料金の額と、暗号データ140により特定される追加駐車料金の額との和)を知ることもでき、ひいては、その駐車料金の合計額が、前記実際駐車時間の長さとの関係で不足していないか否かを正しく判断することができる。
【0109】
暗号解読器180に収容されている暗号解読テーブルは、駐車場管理者といえども、権限を有しない限り、知ることができないようになっているため、暗号解読テーブルに対するセキュリティが高い。
【0110】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、領収書81aおよび81bを発行する時点で、領収書81aおよび81bのそれぞれに暗号データ130,140を、ユーザが発音可能である記号で印刷し、さらに、その暗号データ130,140を音声で駐車場管理者に送信することをユーザに要求するだけで、駐車管理者は、駐車料金の不足の有無を正しく判断できる。よって、ユーザは、大きな負担を課されることなく、前記有効駐車時間を超過した駐車を安心して行うことが可能となり、駐車場10の使い勝手ひいては稼動率が向上する。
【0111】
なお付言するに、本実施形態においては、ユーザが、暗号データ130および140の送信を、音声入力によって行うが、例えば、その音声入力に代えて、データ入力(例えば、実在するかまたは仮想的なキーを用いたキー入力、イメージリーダを用いた画像入力)によって行うことが可能である。
【0112】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、説明の便宜上、制御基板34のうち、図5に示すステップS9およびS12を実行する部分が、前記(1)、(2)および(5)項における「暗号化部」の一例を構成し、また、制御基板34のうち、図5に示すステップS10およびS13を実行する部分が、前記(1)および(5)項における「プリンタ制御部」の一例を構成し、また、制御基板34のうち、図5に示すステップS6およびS9を実行する部分が、前記(2)項における「第1プリンタ制御部」の一例を構成し、また、制御基板34のうち、図5に示すステップS7およびS12を実行する部分が、同項における「第2プリンタ制御部」の一例を構成していると考えることが可能である。
【0113】
さらに、本実施形態においては、説明の便宜上、制御基板34のうち、図5に示すステップS2およびS3を実行する部分が、前記(4)項における「投入金額計算部」の一例を構成し、また、制御基板34のうち、図5に示すステップS2およびS4を実行する部分が、同項における「駐車時間計算部」の一例を構成し、また、制御基板34のうち、図5に示すステップS2およびS5を実行する部分が、同項における「表示器制御部」の一例を構成し、また、領収書81aおよび81bがいずれも、前記(6)項における「駐車票」の一例を構成していると考えることが可能である。
【0114】
次に、本発明の第2実施形態に従う発券機190を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多いため、共通する要素については、同一の符号または名称を付して引用することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
【0115】
本実施形態に従う発券機190は、第1実施形態に従う発券機20とは異なり、ユーザが、駐車場10に駐車したい時間帯として、夜間のみをカバーする駐車時間帯(例えば、午後6時00分から翌日の午前8時00分までの時間帯)と、少なくとも昼間の一部をカバーする駐車時間帯(例えば、入庫日時が日没前の時刻である時間帯や、出庫日時が日出後の時刻である時間帯)という駐車時間帯とのうちのいずれかを選択することが可能であるように構成されている。
【0116】
すなわち、発券機190は、ユーザが、駐車の種類(「駐車モード」)として、夜間のみをカバーする駐車時間帯に駐車する夜間駐車(「夜間駐車モード」)と、少なくとも昼間の一部をカバーする駐車時間帯に駐車する通常駐車(「通常駐車モード」)」とのうちのいずれかを選択し、その選択結果に応じた額の駐車料金を前払いすることが可能であるように構成されているのである。
【0117】
そのため、図13および図14に示すように、発券機190は、第1実施形態に従う発券機20に対する追加部品として、ユーザが希望する駐車モードをデフォールトである通常駐車モードから夜間駐車モードに切り換えるためにユーザによって押して操作される夜間駐車ボタン200と、夜間駐車モードが現在選択されていることを表示するために点灯させられる夜間駐車ランプ202とを有するように構成されている。
【0118】
夜間駐車ボタン200は、実在する物理的なスイッチとして構成されているが、これに限定されず、例えば、表示器36の画面上に表示される仮想的なスイッチ(例えば、キー、アイコン)として構成してもよい。夜間駐車ボタン200は、扉24の前面に配置されている。夜間駐車ボタン200に対しては、扉24が閉じている状態でも、外部からのアクセスが可能である。したがって、夜間駐車ボタン200については、ユーザによって常時、操作可能である。
【0119】
以上要するに、本実施形態においては、夜間駐車ボタン200が、「ユーザが前記駐車場を利用したい時間帯として、夜間のみをカバーする駐車時間帯と、少なくとも昼間の一部をカバーする駐車時間帯とを含む複数の駐車時間帯のうちのいずれかを選択するためにユーザによって操作される実在するかまたは仮想的な操作部」の一例を構成しているのである。
【0120】
図15には、発券機190内の制御基板34内のコンピュータ100によって実行される発券・精算プログラムがフローチャートで概念的に表されている。コンピュータ100は、発券機190の電源投入中、その発券・精算プログラムを繰り返し実行する。
【0121】
以下、この発券・精算プログラムをさらに具体的に説明するが、この発券・精算プログラムは、図5に示す発券・精算プログラムと共通するステップが多いため、共通するステップについては、同一の符号を付して引用することによって重複した説明を省略し、異なるステップについてのみ、詳細に説明する。
【0122】
この発券・精算プログラムの各回の実行時には、まず、ステップS101において、デフォールトの駐車モード、すなわち、通常駐車を行うためにユーザが支払うことが必要な駐車料金の額(前述の料金設定の例を参照)が表示器36の画面上に表示される。このステップS101においては、図6(a)に示す初期画面も表示される。
【0123】
次に、ステップS102において、夜間駐車ボタン200の出力信号に基づき、有効な駐車モードを通常駐車モードから夜間駐車モードに切り換えるためにユーザが夜間駐車ボタン200を押したか否かが判定される。
【0124】
夜間駐車ボタン200が押されていない場合には、ステップS102の判定がNOとなり、以下、ステップS2−S5が、第1実施形態と同様にして実行される。その後、発券ボタン70が押されると、ステップS6の判定がYESとなり、その後、ステップS8が第1実施形態と同様にして実行される。
【0125】
続いて、ステップS106において、ユーザが駐車場10に入庫した入庫時刻(またはユーザが前払い駐車料金を支払った日時、駐車券80を発券した時刻、駐車時間の開始時刻など)および前記有効駐車時間の長さ(またはユーザが支払った前払い駐車料金の額など)を表すとともに、今回の領収書81aが前払い用領収書というカテゴリに分類されることを表す実データであってユーザが直接的に解読可能であるものが、前記暗号化テーブルを参照することにより、図16(a)に示すように、ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできる暗号データ210に変換される。暗号化が行われるのであり、これにより、暗号データ210が作成される。
【0126】
図16(a)に示す一例においては、実データが、具体的には、「入庫時刻が、2011年2月13日の13時20分であり、有効駐車時間が、2011年2月13日の17時20分までであり、領収書81aが、前払い用領収書というカテゴリに分類される(領収書81aのタイトルが単に「領収書」と印刷される)。」ということを表すデータである。ここに、「有効駐車時間が、2011年2月13日の17時20分までである」ということは、「有効駐車時間の長さが4時間である」ということと等価である。
【0127】
よって、この実データの一般的な構成の一例(実データの桁数削減のため、西暦の表記を省略した)は、図17(b)に示すように、「入庫時刻が、MM月DD日のhh時mm分であり、有効駐車時間の長さが、TT時間であり、領収書のカテゴリが、カテゴリXX(前払い用領収書か追加駐車料金用領収書)に分類される。」ということを表すデータである。
【0128】
本実施形態においては、暗号データ210が、図17(a)に示すように、一列に並んだ11桁(それより多い桁数としても、それより少ない桁数としてもよい。)の記号で定義されている。各桁の記号は、例えば、0から9までの10個の数字と複数のアルファベットとのうちのいずれかとして選択される。その複数桁の記号は、複数のグループに分割されて領収書81a上に印刷され、隣接するグループ同士がハイフンでつながれており、これにより、ユーザは、複数桁の記号を、一息で一気に発音するのではなく、いくつかの区切りを入れて、より楽にかつ正確に発音できるようになっている。
【0129】
この実データの一般的な構成を説明するに、図17(c)に示すように、この実データは、月を表す数字MMと、日を表す数字DDと、時刻のうちの時間を表す数字hhと、時刻のうちの分を表す数字mmと、駐車時間(今回支払われた駐車料金が前払い駐車料金である場合には、有効駐車時間を意味する一方、今回支払われた駐車料金が追加駐車料金である場合には、延長駐車時間を意味する)の長さを表す数字TTと、領収書のカテゴリを表す数字XXという、6つの要素を有している。
【0130】
本実施形態における暗号化テーブルは、図17(c)に示すように、月を表す数字MMを暗号化するために参照される月単位暗号化テーブルと、日を表す数字DDを暗号化するために参照される日単位暗号化テーブルと、時刻のうちの時間を表す数字hhを暗号化するために参照される時間単位暗号化テーブルと、時刻のうちの分を表す数字mmを暗号化するために参照される分単位暗号化テーブルと、駐車時間の長さを表す数字TTを暗号化するために参照される時間用暗号化テーブルと、領収書のカテゴリを有する表す数字XXを暗号化するために参照されるカテゴリ用暗号化テーブルとを有する。上述の6つの要素は、それぞれ、対応する暗号化テーブルを参照することにより、暗号化され、それにより、11桁の暗号データ210が作成される。
【0131】
図15に示すステップS106において暗号化が終了すると、ステップS10において、第1実施形態と同様にして、駐車券80および領収書81aがプリンタ40によって印刷されて発行される。領収書81aには、図16(a)に示すように、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つと領収書のカテゴリ(今回は、前払い用領収書というカテゴリに属する)とに関する同じ情報が、ユーザが解読できる実データと、ユーザが解読できない暗号データ210との双方として印刷されるのである。
【0132】
具体的には、図16(a)に示すように、駐車券80には、ユーザが支払った前払い駐車料金の額に見合った有効駐車時間の終了時刻と、駐車場10の場所を特定するための表示とが印刷される。
【0133】
また、領収書81aには、入庫時刻と、ユーザが支払った前払い駐車料金の額と、前記有効駐車時間の終了時刻と、駐車場10の場所を特定するための表示と、領収書81aのカテゴリ(この例においては、「領収書」というタイトルが、領収書81aが前払い用領収書というカテゴリに分類されることを意味している)が印刷される。領収書81aには、さらに、「ABC−DEF−ABC−XX」で例示された暗号データ210も併せて印刷される。
【0134】
その後、印刷された駐車券80および領収書81aが排出口64を通過して排出され、それら駐車券80および領収書81aは、ユーザに受領される。続いて、ステップS107において、夜間駐車ランプ202に対して消灯指令が出され、それにより、夜間駐車ランプ202が点灯している場合には、夜間駐車ランプ202が消灯させられる。以上で、この発券・精算プログラムの今回の実行が終了する。
【0135】
これに対し、発券ボタン70に代えて料金精算ボタン74が押されると、図15のステップS11において、図6(d)に示す精算領収書発行画面が表示器36の画面上に表示される。このとき、ユーザによる料金精算ボタン74の操作によって確定された駐車料金の額が、追加駐車料金の額として表示される。
【0136】
続いて、ステップS108において、ユーザが追加駐車料金を支払ったために領収書81bが発券された時刻(これは、追加駐車料金を支払った時刻と等価である。)と前記延長駐車時間の長さ(これは、支払った追加駐車料金の額と等価である。)と領収書81bのカテゴリ(今回は、追加駐車料金用領収書というカテゴリに属する)とを表す実データが、前記暗号化テーブルを参照することにより、暗号データ140に変換される。
【0137】
その後、ステップS13において、領収書81bがプリンタ40によって印刷されて発行される。領収書81bには、図16(b)に示すように、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つと領収書のカテゴリとに関する同じ情報が、ユーザが解読できる実データと、ユーザが解読できない暗号データ140との双方として印刷されるのである。以上で、この発券・精算プログラムの今回の実行が終了する。
【0138】
具体的には、図16(b)に示すように、領収書81bには、領収書81bが発券された日時と、前記追加駐車料金の額と、駐車場10の場所を特定するための表示と、領収書81bのカテゴリ(この例においては、「精算領収書」というタイトルが、領収書81bが追加駐車料金用領収書というカテゴリに分類されることを意味している)が印刷される。さらに、領収書81bには、「123−456−789−YY」で例示された暗号データ140も併せて印刷される。この暗号データ140は、領収書81bが発券された日時と前記延長駐車時間の長さと領収書81bのカテゴリとを表す実データが暗号化されたものである。
【0139】
その後、印刷された領収書81bが排出口64を通過して排出され、その領収書81bは、ユーザに受領される。続いて、ステップS107において、夜間駐車ランプ202に対して消灯指令が出され、それにより、夜間駐車ランプ202が点灯している場合には、夜間駐車ランプ202が消灯させられる。以上で、この発券・精算プログラムの今回の実行が終了する。
【0140】
以上、図15に示す発券・精算プログラムの実行内容を、夜間駐車ボタン200が押されることなく、発券機190に硬貨が投入された場合について説明したが、駐車モードを通常駐車モードから夜間駐車モードに切り換えるためにユーザが、硬貨投入前に、夜間駐車ボタン200を押した場合には、ステップS102の判定がYESとなり、ステップS103に移行する。
【0141】
このステップS103においては、時計102が示す現在時刻を参照することにより、現在、夜間であるか否か、具体的には、午後6時00分から翌日の午前8時00分までの時間帯であるか否かが判定される。現在、夜間である場合には、ステップS103の判定がYESとなり、ステップS104において、夜間駐車モードが選択されていることを表示するために夜間駐車ランプ202が点灯させられる。続いて、ステップS105において、表示器36の画面上の表示内容が、通常駐車用の駐車料金の金額から夜間駐車用の駐車料金の金額に切り換えられる。
【0142】
夜間駐車用の料金設定の一例によれば、当日の午後6時00分以後から、翌日の午前8時00分までの間は、駐車時間の長さを問わず一律に100円である。この例の料金設定のもとでは、例えば、図18に示す例のように、ユーザが100円を前払い駐車料金として支払うと、コンピュータ100は、入庫時刻から翌日の午前8時00分までの間の時間を有効駐車時間として計算することになる。
【0143】
ただし、追加駐車料金の額は、前述の通常駐車用の料金設定のもとに決定される。よって、例えば、ユーザが300円を追加駐車料金として支払うと、2時間が延長駐車時間として計算される。
【0144】
その後、ステップS2に移行し、現在表示されている夜間駐車用の駐車料金と同額の硬貨の投入が待たれる。
【0145】
これに対し、夜間駐車ボタン200が押されたが、現在、夜間ではない場合、すなわち、操作を許可されていない時間帯に夜間駐車ボタン200が押された場合には、ステップS103の判定がNOとなり、ステップS104およびS105がスキップされ、ステップS2に移行する。この場合には、夜間駐車ボタン200の今回の操作は誤操作であるため、それが無効化され、その結果、表示されている駐車料金の金額が、通常駐車用の駐車料金の金額に維持されるとともに、夜間駐車ランプ202が消灯したままとされる。よって、ステップS2においては、現在表示されている通常駐車用の駐車料金と同額の硬貨の投入が待たれることになる。
【0146】
夜間駐車モードが選択された後に硬貨が投入され、その後、発券ボタン70が押されると、、ステップS3−S6,S8,S106およびS10が実行され、その結果、図18に示すように、プリンタ40が、夜間駐車用の駐車券80を印刷して発行する。この駐車券80は、図16(a)に示す通常駐車用の駐車券80に対し、印刷内容が部分的に異なるのみで、他の要素については共通する。
【0147】
具体的には、図18に示すように、夜間駐車用の駐車券80においては、この駐車券80が夜間駐車用であることを表示するために、「夜間」という文字が印刷されている。さらに、この駐車券80においては、ユーザに対して許可された駐車時間帯の終了時刻すなわち有効駐車時間の終了時刻が翌日の午後8時00分であることも印刷されている。
【0148】
また、領収書81aには、暗号データ210が印刷され、その暗号データ210は、有効駐車時間の長さに関するデータとして、通常駐車の場合とは異なり、時間の長さを表すデータではなく、夜間駐車であることを表すデータを有する。夜間駐車の場合には、出庫時刻にかかわらず、有効駐車時間の終了時刻が固定されているために、各回の夜間駐車において、有効駐車時間の長さがちょうど1時間の整数倍であるとは限らず、これに対し、図17に示す通常駐車の例においては、駐車時間TTは、時間単位で計算されるからである。
【0149】
管理者は、駐車場10に出向いたとき、夜間駐車用の駐車券80が駐車車両の室内に配置されていることに気づくと、現在時刻が、その駐車券80に印刷されている有効駐車時間の終了時刻より前であるか否かを判断する。現在時刻が有効駐車時間の終了時刻より前であれば、管理者は、前記駐車車両の駐車が不正駐車ではないと判断する。
【0150】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、領収書81aおよび81bに暗号コード130,140がそれぞれ、対応する領収書のカテゴリーが前払い用領収書であるか追加駐車料金用領収書であるかを区別できるように生成されて印刷される。以下、このような対策を講じた背景および効果を説明する。
【0151】
ユーザは、実際の駐車時間が前記有効駐車時間を超過した場合には、出庫時、追加駐車料金を発券機20に対して支払い、その後、発券ボタン70ではなく、料金精算ボタン74を押すことを要求される。今回は、発券機20に、前払い用領収書81aではなく、追加駐車料金用領収書81bを発行してもらうためである。
【0152】
しかし、発券機20の性能の都合上、ユーザが誤って発券ボタン70を押してしまっても、発券機20は、その誤操作を無効にできない。
【0153】
これに対し、本実施形態によれば、領収書81aおよび81bに暗号コード130,140がそれぞれ、対応する領収書のカテゴリーが前払い用領収書であるか追加駐車料金用領収書であるかを区別できるように生成されて印刷される。
【0154】
ユーザによる追加駐車料金の支払いに応答し、発券機20は、いずれかのカテゴリーに属する駐車票を印刷して発行し、その後、ユーザは、その駐車票に印刷されている暗号データを、入庫時に取得した前払い用領収書81aに印刷されている暗号データ130と共に、自ら発音することにより、通信機器を介して、前記駐車場管理者に送信する。
【0155】
駐車場管理者は、ユーザから受信した音声を解読し、その解読結果に基づき、ユーザに対して今回発行された駐車票(ユーザが今回購入した駐車票)が追加駐車用金用領収書81bであり、かつ、ユーザが出庫時に支払った追加駐車料金の額が適切であったか否かを判断できる。すなわち、駐車場管理者は、間違った駐車票をユーザが購入した事実の有無と、不適切な額の追加駐車料金をユーザが支払った事実の有無とを、その駐車票そのものを目視することなく、正確に判断できるのである。
【0156】
また、駐車場管理者は、間違った駐車票をユーザが購入したと判断した場合、ユーザが購入した駐車票が間違っているという事実をユーザに指摘することができる。これにより、駐車場管理者は、ユーザに、今回の購入操作に誤りがあったことを認識させることができるとともに、同じ間違いをユーザが繰り返すことを予防できる。また、駐車場管理者は、ユーザに対し、そのユーザが、誤って購入した前払い用領収書81aと一緒に発行された駐車券80を不正に使用して不正駐車を行わないように、警告できる。
【0157】
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場を遠隔地にある管理センタによって管理する駐車場管理システムであって、
前記駐車場に設置される発券機であって、駐車に関する実データであってユーザが直接的に解読可能であるものを、前記ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできる暗号データに暗号化する暗号化部と、前記実データと前記暗号データとを駐車票上に印刷し、その印刷された駐車票を前記ユーザに対して発行するプリンタとを有するものと、
前記管理センタに設置される暗号解読器であって、前記ユーザが前記駐車票上の前記暗号データを読み上げて発した音声であって、前記ユーザから電話を介して送信され、かつ、前記管理センタにおいて受信されたものが入力されると、その音声によって表される前記暗号データを解読し、前記実データを復元するものと
を含む駐車場管理システム。
【請求項2】
前記実データは、複数の要素を含み、
前記発券機は、前記複数の要素を、複数の暗号化テーブルをそれぞれ参照することにより、前記実データを暗号化する請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発券機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の暗号解読器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−101683(P2013−101683A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−19188(P2013−19188)
【出願日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【分割の表示】特願2011−259295(P2011−259295)の分割
【原出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(596054009)株式会社ワイティーエム (6)
【Fターム(参考)】