説明

駐車場管理機

【課題】 駐車場管理機としての駐車料金精算機に設けられる案内用と設定用の画面を、1台の表示器にて賄うことができ、内部装置類のメンテナンスも、当該表示器の構造物に邪魔されることなく行うことができるようにした駐車場管理機を提供する。
【解決手段】 駐車料金精算機1の内部に設定表示装置取付けユニットTUを介して取付けられた設定表示装置30が、表示器31の案内画面31Aが前扉10の案内窓部10Aを通して前面部側から視覚可能な第1の位置と、前扉10を開いてその内側(裏面側)から表示器31を視覚可能とし、且つ、設定キー32を操作可能にする第2の位置と、横扉20を開いた側面から表示器31を視覚可能とし、且つ、設定キー32を操作可能とする第3の位置との間を、移動可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場に入場する車両の入場時刻を記録した駐車券を発行して入場ゲートを開閉する駐車券発行機や、駐車車両の駐車料金の決済を以て駐車場の出場ゲートを開閉する駐車料金精算機などに用いて好適な駐車場管理機に関し、具体的には、駐車券発行機や駐車料金精算機などの内部に使用される表示器や設定キーを含む設定表示装置の取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より使用されている駐車料金精算機や駐車券発券機などの駐車場管理機は、車両に乗ったままドライバーが操作する場合が多いため、車路方向に向いた前面部側に駐車券挿入口や、コイン投入口、紙幣挿入口、払い出し口、或いは、紛失・取消し及び領収証発行ボタン、更には、案内表示画面などが配置されていて、駐車券やコイン、又は紙幣などが詰まった場合の処置や、内部の機器が故障した場合のメンテナンス作業を容易にするために、前面が開閉扉で構成されている。
【0003】
また、従来の駐車料金精算機では、車両が装置の前に停車した状態で何らかのトラブルが発生して、後続に車列ができているような場合には、車両をバックさせることができないため、その状態で何らかの処置ができるように、特許文献1、2に記載されているように機体の横側(側面)にも横扉を設けておくことにより、前面側に車両が停車していたとしても、横から前述したメンテナンス作業等を行えるように構成されている。
【0004】
また、例えば新設駐車場の入口又は出口で、係員が利用者に駐車位置の案内や駐車方法を説明したり、釣銭を手渡したりする補助作業を行う際に、係員が車路に出ていては危険であるため、駐車料金精算機やその他各種機器の横側から安全に動作状態の説明や確認を行ったり、設定を変更操作するためにも、横扉の内側にも表示画面を有する設定表示装置を設ける必要がある。
【0005】
しかし、駐車料金精算機のような各種機器の正面部と側面部の夫々に、通常の案内画面と設定用の画面を設けた場合には、機器1台に対して少なくとも2台の表示器が必要になるため、装置全体のコストアップに繋がる問題があった。
【0006】
そこで本出願人は特許文献3で示した駐車場用管理機における内部機器の取付け構造を開発した。この特許文献3によれば駐車場に使用されている駐車券発行機や、出口料金精算機或いは事前料金精算機といった各種の駐車場管理機に使用されている案内画面と設定画面を、1台の表示器で併用して画面表示することができるため、各種駐車場管理機の単価を安くして駐車場全体のコストを安く出来る経済性を発揮できると共に、各種駐車場管理機の横扉を開くことによりその開いた位置に表示器と設定キーを備えた内部機器を移動させることで、メンテナンス処理等の作業を車両の通行路から外れた駐車場管理機の側部において安全に、且つ、円滑に行うことができる安全性と機能性も備えた技術を実現している。
【特許文献1】意匠登録第1101529号公報
【特許文献2】特開2001−267763号公報
【特許文献3】特開2007−207103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが前記の特許文献3に記載された従来の駐車場管理機における内部機器の取付け機構では、これを駐車場の料金精算機に応用した場合に、駐車券発行機の様に横扉のみを開けての設定作業時には有用な機構ではあるが、駐車料金精算機で完全にメンテナンスのみをおこなう場合などで前扉と横扉を両方開けて作業する際に、前扉に表示画面が装着されている構造では、前扉が開くことでメンテナンス作業中にはその表示画面を精算機の内側から見ることは出来ず、別途メンテナンス用の画面が内部に必要となって従来の問題点の解消が出来ずにコストアップを招いてしまうため、まず前扉が開いても表示画面が本体側に残るような構成にする必要があった。
【0008】
しかし、上述の如く構成すると、設定表示装置がちょうど駐車券や紙幣等を発行用内部装置の上側に位置しているために作業がしづらく、また、駐車券や紙幣のつまりを解消させるようなメンテナンスの場合には、表示画面をいちいち移動させなくてはならないため、作業が面倒であった。
【0009】
また、前述した特許文献3に示した技術では、従来の駐車券発行機を想定して構成されているため、駐車券発行機に比べて多機能で内部に多数の装置と構造物を有して形状的にも大型化している駐車料金精算機の場合には、設定表示装置のガイド部材が大型化して移動距離が長く必要となり、移動の前後で設定表示装置の電気配線を絡ませずに適正に収容するのも困難であり、移動操作も長い距離を引きずるように設定表示装置を移動させるために、容易な操作とはいえないものになってしまう問題があった。
【0010】
そこで本発明の技術的課題は、駐車料金精算機などに必要とされる案内画面と設定画面を、1台の表示装置にて賄うことができるように工夫すると共に、内部装置類のメンテナンスも当該表示装置の移動軌跡や電気配線等に邪魔されることなく容易に行うことができるように工夫した、駐車場管理機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 上記の技術的課題を解決するために、本発明の請求項1に係る駐車場管理機は、車両の通行路側であり、利用者の操作側でもある前面部側に前扉を設け、この前扉の内側には各種の案内画面を表示する表示器を備えた設定表示装置が設けられ、側面部には横扉が設けられた駐車場管理機であって、上記の前扉に、上記表示器の案内画面を上記前面部側より視覚確認可能とする開口状また透過状の案内窓部を設け、上記表示器を備えた設定表示装置には、メンテナンス時に当該表示器の案内画面をメンテナンス用の設定画面に切換えて操作することができる設定キーを設けると共に、上記表示器と設定キーを備えた設定表示装置が、表示器の案内画面を上記案内窓部の内側に位置合わせして、上記前扉の前面部側より案内窓部を通して案内画面を視覚可能な状態に配置させる第1の位置と、上記前扉の開放に従って、上記設定表示装置に設けた表示器の案内画面が、開放された前扉の裏面側より視覚確認でき、且つ、上記メンテナンス用の設定キーを同じく裏面側より操作可能な状態に配置される第2の位置と、上記横扉が開放された上記駐車場管理機の機体の内側部分に、当該機体の外側より上記メンテナンス用の設定キーを操作でき、且つ、上記表示器の案内画面を視覚確認できる状態に配置される第3の位置との間を、移動操作可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
(2) また、本発明の請求項2に係る駐車場管理機は、前記前扉の内側に、前記表示器と設定キーを備えた前記設定表示装置を保持する保持部材と、この保持部材を移動可能に支持する支持手段とを設けて、当該支持手段を用いて当該保持部材を移動することにより、上記の設定表示装置を前記第1の位置と前記第2の位置及び前記第3の位置に向けて移動操作自在に構成すると共に、上記保持部材及び支持手段の夫々には、上記の設定表示装置を上記第1の位置と第2の位置、及び、第3の位置に係止することができる第1、第2、第3の係止手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
(3) また、本発明の請求項3に係る駐車場管理機は、前記設定表示装置を保持する前記保持部材としての第1の筺体に、前記前扉に平行で鉛直な中心を有する前記支持手段としての第1の回動支持軸を設け、 上記第1の筺体の第1の回動支持軸を支持する上記保持部材としての第2の筺体には、前記前扉に平行で鉛直な中心を有する前記支持手段としての第2の回動支持軸を設けて、上記第2の筺体の第2の回動支持軸を支持する基礎となる上記保持部材としての主筺体を、前記前扉の内側に一体的に構成すると共に、上記基礎となる主筺体に保持された上記第2の筺体に保持されている上記第1の筺体が、前記設定表示装置に設けた表示器の案内画面を、前記前扉の案内窓部の内側に位置合わせした位置を前記第1の位置と成し、当該第1の位置より、上記第1の筺体が上記第2の筺体に対して上記第1の回動支持軸を中心にほぼ180度反転した位置を、前記第2の位置と成し、当該第2の位置より、上記第1及び第2の筺体が上記基礎となる主筺体に対して上記第2の回動支持軸を中心にほぼ90度回動した位置を、前記第3の位置と成すことを特徴とする。
【0014】
(4) また、本発明の請求項4に係る駐車場管理機は、前記第1の位置では、前記係止手段としての第1の係止手段が前記基礎となる主筺体と前記設定表示装置を保持する第1の筺体との間を係止状態と成し、前記第2の位置では、当該第1の係止手段の係止解除に続く前記180度反転移動により、前記係止手段としての第2の係止手段が前記第2の筺体と上記第1の筺体との間を係止状態となし、前記第3の位置では、当該第2の係止手段による上記第1、第2の筺体の一体的移動による前記90度回動移動の後に、前記係止手段としての第3の係止手段が、上記主筺体と上記第2の筺体との間を係止状態にすることを特徴とする。
【0015】
(5) また、本発明の請求項5に係る駐車場管理機は、前記第1の位置では、前記第2の筺体は、少なくとも2つ以上の複数の係止手段によって複数箇所で前記主筺体の間を係止状態にすると共に、上記複数の係止手段のうちの1つの係止手段は、前記第1の筺体が前記第2の筺体に対して前記180度反転移動した前記第2の位置に移動した時に、当該第1の筺体、若しくはそれと一体的な凸部の当接によってその係止状態を解除するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
(6) 更に、本発明の請求項6に係る駐車場管理機は、前記第1の係止手段の係止状態により、前記設定表示装置を保持した前記第1の筺体が、前記第1の位置か或いはそれ以外に位置するかを判別して、その判別結果に従って前記表示器の画面モードを、上記第1の位置における通常の操作時の案内画面モードと、それ以外の位置におけるメンテナンス時の設定画面モードのいずれかに切り換えることを特徴とする。
【0017】
上記(1)で述べた本発明の請求項1に係る手段によれば、駐車場管理機の前扉を開けた状態で、表示器の案内画面が前扉の内側より、即ち、裏面側から視覚確認でき、且つ、メンテナンス用の設定キーを操作できる第2の位置状態にも配置できるために、駐車場管理機の内部を前部側よりアクセスして内部の修理等をおこなう際には、設定表示装置が前扉側にあるので邪魔にならず、前扉を開けた状態でのメンテナンス性が良い。また、駐車場管理機の内部を横側よりアクセスして内部の修理等をおこなう際には、横扉を開けたその内側部分に上記メンテナンス用の設定キーがあるため、簡単に操作でき、且つ上記表示器の案内画面若しくはメンテナンス用に切換えられた設定画面を、上記駐車場管理機の側面部より視覚確認できる第3の位置状態に配置できるために、横扉のみを開けた状態でのメンテナンス性も良好に両立できる。
【0018】
上記(2)、(3)で述べた本発明の請求項2、3に係る手段によれば、第1の筐体を180度回動させることで容易に第1の位置から第2の位置へ設定表示装置を反転させることができ、さらに第1の筐体および第2の筐体を一体的に保持させながら基礎となる主筐体に対して90度回動させることで容易に第3の位置を成すことができるため、設定画面装置の3通りの位置の変換移動が容易に操作できる。
【0019】
上記(4)、(5)で述べた本発明の請求項4、5に係る手段によれば、第2の位置から第3の位置に移動する前に、第1の筐体と第2の筐体が一体的に保持されるまでは少なくとも3つの係止手段のうちの一つは基礎となる筐体からの係合を解除しないため、第1から第2、第3の位置までの位置の変換移動動作が確実におこなえる。
【0020】
上記(6)で述べた本発明の請求項6に係る手段によれば、第1の位置で確実に通常の操作時の案内画面モードが再現でき、メンテナンス操作後の移動された設定表示装置を元に確実に戻したことが容易に確認でき、メンテナンス後の戻し操作忘れや、中途半端な位置で放置してしまう様なミスが防止できる。
【発明の効果】
【0021】
以上述べた次第で、本発明に係る駐車場管理機によれば、駐車場に使用されている出口料金精算機或いは事前料金精算機といった各種の駐車場管理機に使用されている案内画面と設定画面を、1台の表示器で併用して画面表示することができるため、各種駐車場管理機の単価を安くして駐車場全体のコストを安く出来る経済性を発揮できると共に、各種駐車場管理機の前扉を開いた内側で表示器と設定キーを備えた設定表示装置を視覚確認可能な状態に反転移動させることができるため、前扉を開けた状態でのメンテナンス作業が適切で円滑に行うことができる機能性を有し、さらに各種駐車場管理機の横扉を開くことにより、その開いた位置に表示器と設定キーを備えた内部機器を移動させることができるため、メンテナンス処理等の作業を車両の通行路に面していない駐車場管理機の側部において安全に、且つ、円滑に行うことができる安全性と機能性も備えるものであって、車両の入出庫や料金の徴収を自動管理する駐車場に実施して、頗る有益なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、上述した本発明に係る駐車場管理機の実施の形態を図面と共に説明すると、図1は本発明の実施の一例である駐車料金精算機の使用時の状態を示した斜視図であり、図2は横扉を開いた状態の斜視図、図3は表示器と設定キーを備えた内部機器を横扉を開いた駐車料金精算機の内側、即ち、設定操作可能な位置に移動(セット)した状態を示した斜視図あって、第4図は駐車料金精算機の前扉と横扉を両方開いた状態の外観図である。また、図5〜図7は本発明の実施例に係る駐車料金精算機における内部機器の取付け構造の実施例を示したものであって、具体的には設定表示装置取付けユニットの移動動作と詳細構成を説明する説明図である。
【0023】
これ等の図面において符号1で全体的に示したのは、駐車場管理機の一例として示した駐車料金精算機であって、駐車料金精算機1には車両の退場に際して料金の決済を行う出口精算機の他に、駐車場内や近隣に設置されて事前の料金精算を行う事前精算機などが存在するが、図面にはその代表例として出口精算機を示した。なお、これらの実施形態は本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されるものではない。
【0024】
上述した図1〜図4において、2は車両の通行路RD(図1参照)に対向する当該駐車料金精算機1の前面部、3はその側面部、10は前面部2に開閉自在に取付けた前扉、20は側面部3に開閉自在に取付けた横扉、21は横扉20の錠、2Aは前扉10を開くことによって開口された駐車料金精算機1の前面開口部、2Kは前面開口部2Aの口縁部、3Aは横扉20を開くことによって開口された駐車料金精算機1の側面開口部、3Kは側面開口部3Aの口縁部、10Aは前扉10に設けた開口状又は透過状の案内窓部、31Aはこの案内窓部10Aに表示される表示器31(後述する)の案内画面で、案内画面31Aには従来装置と同様に、現在時刻の表示や、車両が進入した際は「駐車券を入れて下さい」などのメッセージが適宜表示される仕組みに成っている。
【0025】
更に図1〜図4において、前扉10の内側(裏面側)には上記の表示器31とメンテナンス用設定キー32を備えた設定表示装置30が設けられているが、この設定表示装置30は、図1に示すように表示器31の表示画面31Aを、上記前扉10の案内窓部10Aの内側に位置合わせした第1の位置(正面位置)にセットした場合は、設定キー32は上記案内窓部からは視覚確認、並びに、キー操作が出来ないように構成されている。
【0026】
本発明の特徴として、図3に示すように上記の横扉20を開いた側面開口部3Aの上部内側位置には、上記メンテナンス用設定キー32を側面より操作可能に臨ませ、且つ、表示器31の表示画面31Aを外部より視覚確認可能に臨ませる第3の位置(側面位置)に移動操作できるように、上記設定表示装置30が取付けられている。
【0027】
上記第1の位置(正面位置)と第3の位置(側面位置)との間の角度は略90度であって、第1の位置においては表示器31の画面に前述した案内画面31Aが表示され、第3の位置においては表示器31の画面がメンテナンス用の設定画面に切換えられて表示されるが、画面表示の切換えは自動でおこなうようになっており、その切り替え方法は後述する。
【0028】
図4は、前述の如く上記駐車料金精算機1の前扉10と横扉20を開けた状態を示し、前扉10の裏側には設定表示装置30(後述する第1の筺体41の内部に取付けられている)が設定表示装置取付けユニットTUによって取り付けられている。この図の状態は、駐車場の出口車路を完全に閉鎖して、駐車料金精算機1のメンテナンスをおこなう場合などで、横扉20と前扉10の両方を開放して様々な内部機器の調整や取り外しが容易に出来るように考慮されており、従来は(特許文献1の例)では、設定表示装置取付けユニットが駐車料金精算機の内部の本体側に前面開口部に向けて取り付けられており、前扉を開放しても表示画面を設定画面として視覚確認しながら設定変更等ができるようになっていたが、本発明の実施例においては図の様に前扉10側に設定表示装置30が取り付けられているため、この状態では表示画面31Aを設定画面として利用することは出来ない。
【0029】
図5は本発明の実施例に係る設定表示装置取付けユニットTUの構成と移動動作を説明する図であり、図5(1)は図4の設定表示装置取付けユニットTUの要部を拡大して表示した状態を示す。設定表示装置取付けユニットTUは、略コの字形状を成し、且つ、前扉10の裏面に固定されて基礎となる前記保持部材としての主筐体40に対して、同じく保持部材としての第2の筐体42がその下側の棚部40Bに乗り、且つ、上下の棚部40A,40Bを貫通する前記支持手段としての第2の回動支持軸52によって基礎となる主筐体40に対して相対的に回動可能に取り付けられている。また、第2の筐体42自体も全体が略コの字形状を成しており、その先端側(第2の回動支持軸52と反対側)には前記保持部材としての第1の筐体41が第2の筐体42の下側棚部42Bに乗り、且つ、上下の棚部42A,42Bを貫通する前記支持手段としての第1の回動支持軸51によって第2の筐体42に対して相対的に回動可能に取り付けられている。
【0030】
後述するが、第1の筐体41の内部には表示器31と設定キー32とから成る設定表示装置30が内蔵され、図5(1)の状態では少なくとも表示器31の画面は前扉10の前側より視覚可能な方向として、前側を向いて取り付けられており、従って図5(1)の状態では前扉10を開放した内側(裏側)より表示器31の画面を視覚確認したり、設定キー32を操作したりすることは出来ない。
【0031】
また、図5(1)の状態を第1の位置とし、後述する第3の係止手段63および第4の係止手段64によって基礎となる主筐体40に対して、第2の筐体42は回動を規制されており、さらに第1の係止手段61によって第2の筐体42に対する第1の筐体41の回動は規制されている。
【0032】
図5(2)は、第1の位置から、まず第1の係止手段61(通常は係止爪がバネ等により付勢されているが、図ではバネは省略している)の操作部61Aを引いて、第1の係止手段61の爪部を第1の係止爪引掛部61Bより解放した時の第1の筐体41の動作を示し、第1の筐体41は第1の回動支持軸51を中心に図面手前方向に起き上がる様に回動することができる。図5(2)ではちょうど第1の筐体41が当初の位置よりほぼ90度起き上がった状態を示しているが、これは移動動作の過程を示したものである。
【0033】
図5(3)は第1の筐体41がほぼ180度回動し、元の状態からは反転した姿勢に成っているが、この位置では第2の係止手段62(バネ等により軸を中心に回動する様に付勢されている)の爪部が第2の係止爪引掛部62B(図5(1)、(2)参照)に係合し、一体的に固定されている。この状態で、駐車料金精算機1の前扉10を図4の如く開放したままで、前扉10の内側より設定表示装置30を構成する表示器31の表示画面31Aが視覚確認可能で、且つ、設定キー32が操作可能となり、メンテナンスが効率よくおこなえる状態が得られ、この状態を第2の位置とする。
【0034】
図5(4)は上記第2の位置から、全体を略軸状に形成した第3の係止手段63(自重で前記主筺体40の上側の棚部40Aに設けた係止爪ガイド長溝63T内の半円径状の第3の係止爪引掛部63Aに嵌って固定され、これを持ち上げることにより係止爪ガイド長溝63T内をスライドしながら動く)のレバー形状の操作部63Lを操作して、第3の係止爪引掛部63Aから解放することで、第1の筐体41ならびに第2の筐体42が一体的で、且つ、第2の回動支持軸52を中心に図面で手前側にお起き上がる様に回動させることができ、図の様に表示器31の表示画面31Aが第2の位置よりも90度起き上がった状態となっている。これを第3の位置とする。尚、図中63Kは上記操作部63Lの根端部を上記第2の筺体42の上側の棚部42Aに回動自在で、上記操作部63Lが持ち上げられる程度に若干ルーズに取付けた取付軸である。
【0035】
この第3の位置において前扉10を閉めて、横扉20を開けた状態が前記図3の状態であり、運用中に設定変更や軽微なメンテナンスをおこなう場合などに、図示のように横扉20を開けて表示器31の表示画面31Aを視覚確認しながら設定キー32を操作することが可能であり、また、第3の位置に移動するには必ずしも前扉10を開放しなくても、前扉10が閉じて横扉20のみを開放した状態で、内部の前記各係止手段61、62、63の操作部61A,62A,63Lを容易に操作して第1から一旦第2の位置に移動させて、その後第3の位置に移動させることが出来る。
【0036】
図6は実施例に係る設定表示装置取付けユニットTUの移動動作を説明した図であり、図6(1)は第1の位置で前扉10の内側より見た状態の平面図、図6(2)は部分断面図であり、図6(3)は第2の位置を示す断面図、図6(4)は第3の位置を示す断面図である。
【0037】
図5では図示されていないが、第2の筐体42の内底部には第4の係止手段64(バネ等により軸を中心に回動する様に付勢されている)が取り付けられており、基礎となる主筐体40側の第4の係止爪引掛部64Bと係合することにより、基礎となる主筐体40と第2の筐体42は一体的に固定される。また第1の筐体41の表面には凸部41Xがあり、その凸部41Xは第1の筐体41が180度反転した際に、上記の第4の係止手段64の操作部64Aを押圧する位置に構成されている。従って第1の筐体41を図6(3)に示す様に第2の位置に反転させた際には、第4の係止手段64の係合が解放され、第2の筐体42と基礎となる主筐体40は分離可能となるが、逆に前述の第2の係止手段62により第1の筐体41と第2の筐体42は一体的係合がなされ、従って図6(3)の状態で第3の係止手段63の半円径状の第3の係止爪引掛部63Aに対する係合を解放すると、第1の筐体41と第2の筐体42が一体のままで図6(4)に示す様にさらに90度起き上がった第3の位置の状態に移動することが出来る。
【0038】
また、前述した第1の係止爪引掛部61Bの裏側には係止状態判別手段としての係止爪検知スイッチ70が取り付けられており、第1の係止手段61の係合状態を検知し、係合していれば表示器31の表示画面31Aは通常の案内画面状態とし、係合していなければ表示画面31Aは設定画面の状態とすることで、もし作業者が表示画面31Aを適切に第1の状態に戻さずに前扉10と横扉20を閉めたとしても、表示画面31Aの状態で異常が判断できる。もちろん、作業者が表示器31の画面状態で確認して閉め忘れの有無を判断するのではなく、図4に示した扉開閉検出スイッチ2S,3Sと合わせて判断し、扉10,20が閉まっているのに第1の位置に無い場合には警報を発する構成にすることは容易に実現でき、作業者のミスを確実に防止できる。
【0039】
図7と図8は、上述した第3の係止手段63とその関連部材の構成を詳細に示すと共に、表示器31に表示される表示画面31Aとして、メンテナンス用の設定画面の一例を示した図である。即ち、第3の係止手段63の先端には係止手段の爪部としてテーパーの付いた軸63Xが基礎となる主筐体40の上側の棚部40Aに設けた係止爪ガイド長溝63Tに嵌っており、係止爪ガイド長溝63Tには数箇所に円形の広がり部63A,63B(第3の係止爪の第1、第2の引掛部)があり、この図で示した第2の位置まではテーパーの付いた軸63Xは、テーパーの上側の太軸部が半円径状の第3の係止爪の第1の引掛部63Aに嵌り込み、第3の係止手段63の操作部63Lとしてのリンク板が固定されるが、テーパーの付いた軸63Xの部分を持ち上げて、テーパーの下側の細軸部を係止爪ガイド長溝63T内に位置させると、係止爪ガイド長溝63Tの長手方向に移動可能となり、第2の筐体42を基礎となる主筐体40に対して90度まで回動させることが可能となり、90度の位置では別の円径の広がり部63B(第3の係止爪の第2引掛部)にテーパーの付いた軸63Xの太軸部が嵌ることで、これを持ち上げない限り90度の位置で第2の筐体42が固定されるようになっている。
【0040】
さらに、本発明の特徴である前記第1の筺体41内に取付けられた設定表示装置30の前記第1、第2、第3の各位置への動きに際して、第1の筺体41を前扉10に平行な第1の回動支持軸51を中心に回動させているが、この回動支持軸51の位置は表示器31の電気配線としてのフラットケーブルFCがよじれたり絡んだり、または極端な移動動作により折り曲げられることが無いように考慮されている。具体的には、第1の回動支持軸51と第2の回動支持軸52の近傍にフラットケーブルFCの固定部や引き出し部を設けることで、表示器31がフラットケーブルFCを巻き込みながら反転し、さらに同様に巻き込みながら90度回動する様にしている。これは図5に示すようにフラットケーブルFCの状態とその周辺のケーブル押さえの位置の適正化により実現されている。
【0041】
これにより、表示器31をいろいろな位置に移動させる前後やその過程において、フラットケーブルFCに極度の負荷をかけることなく、また、フラットケーブルFCが他の内部機器に引っかかったりすることもなく、効率良いメンテナンスが可能となることも本発明の特徴のひとつである。
【0042】
尚、図1乃至図3に示した実施例において、駐車料金精算機1の前扉10の前面には、前述した案内窓部10Aの他に、例えば、駐車券挿入口10B、硬貨投入口10C、紙幣挿入口10D、パスカード挿入口10E、おつり紙幣取り出し口10F、おつり硬貨/領収証取り出し口10Gといった、駐車料金精算用の各種の機器類が設けられている。
【0043】
更に駐車料金精算機1の内部には、図2並びに図4に示す如く、前述した設定表示装置30が設定表示装置取付けユニットTUを用いて取付けられている点に加えて、例えば、中継基板11A、制御基板11B、駐車券リーダー11C、紙幣払い出し機11D、紙幣リーダー11E、電源装置11F、硬貨循環機11G、及び、廃券箱11Hといった、駐車料金精算機1に必要な機器類や装置類が設けられているが、これ等はいずれも実施の一例であることは勿論である。
【0044】
加えて、本発明の実施例において、第2の筺体42を第2の位置から第3の位置に移動操作してそれぞれ係止する手段として、複数の円形の広がり部を有する係止爪ガイド長溝63Tにテーパーの付いた軸63Xによる係止手段63を挿入させて操作部63Lをリンクとして操作する例を示したが、他の実施形態として例えば第1,第2,第4の係止手段と同様なバネで付勢するフック状の爪部を有する機構を2箇所(第2の位置用と第3の位置用)で別々に使用する様に追加して構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る駐車場管理機の一実施例である駐車料金精算機の外観を示した斜視図。
【図2】横扉を開いた駐車料金精算機の斜視図。
【図3】横扉を開いて内部の設定表示装置の表示画面を視覚確認可能にした状態を示した駐車料金精算機の斜視図。
【図4】前扉と横扉を開いた状態を示した駐車料金精算機の斜視図。
【図5】(1)〜(4)は設定表示装置取付けユニットによる設定表示装置の移動動作を順を追って説明した動作説明図。
【図6】設定表示装置取付けユニットによる設定表示装置の移動動作の状態を説明したものであって、(1)は第1の位置の状態を示した正面図、(2)は(1)のX−X線に沿った断面図、(3)は第2の位置の状態を説明した断面図、(4)は第3の位置の状態を説明した断面図。
【図7】設定表示装置取付けユニットの要部を拡大して示した平面図。
【図8】設定表示装置取付けユニットと設定表示装置の要部を拡大して示した正面図。
【符号の説明】
【0046】
1 駐車場管理機としての駐車料金精算機
RD 車両の通行路
2 前面部
2A 前面開口部
3 側面部
3A 側面開口部
10 前扉
10A 案内窓部
20 横扉
30 設定表示装置
31 表示器
31A 表示画面
32 設定キー
TU 設定表示装置取付けユニット
40 主筺体
40A,40B 上下の棚部
41 第1の筺体
41X 凸部
42 第2の筺体
42A,42B 上下の棚部
51 第1の回動支持軸
52 第2の回動支持軸
61 第1の係止手段
61A 第1の係止爪操作部
61B 第1の係止爪引掛部
62 第2の係止手段
62A 第2の係止爪操作部
62B 第2の係止爪引掛部
63 第3の係止手段
63L 第3の係止爪操作部
63T 第3の係止爪ガイド長溝
63A 第3の係止爪第1引掛部
63B 第3の係止爪第2引掛部
64 第4の係止手段
64A 第4の係止爪操作部
64B 第4の係止爪引掛部
65 回動アーム
70 係止爪検知スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の通行路(RD)側であり、利用者の操作側でもある前面部(2)側に前扉(10)を設け、この前扉(10)の内側には各種の案内画面を表示する表示器(31)を備えた設定表示装置(30)が設けられ、側面部(3)には横扉(20)が設けられた駐車場管理機(1)であって、
上記の前扉(10)に、上記表示器(31)の案内画面を上記前面部(2)側より視覚確認可能とする開口状また透過状の案内窓部(10A)を設け、
上記表示器(31)を備えた設定表示装置(30)には、メンテナンス時に当該表示器(31)の案内画面をメンテナンス用の設定画面に切換えて操作することができる設定キー(32)を設けると共に、
上記表示器(31)と設定キー(32)を備えた設定表示装置(30)が、表示器(31)の案内画面を上記案内窓部(10A)の内側に位置合わせして、上記前扉(10)の前面部(2)側より案内窓部(10A)を通して案内画面を視覚可能な状態に配置させる第1の位置と、
上記前扉(10)の開放に従って、上記設定表示装置(30)に設けた表示器(31)の案内画面が、開放された前扉(10)の裏面側より視覚確認でき、且つ、上記メンテナンス用の設定キー(32)を同じく裏面側より操作可能な状態に配置される第2の位置と、
上記横扉(20)が開放された上記駐車場管理機(1)の機体の内側部分に、当該機体の外側より上記メンテナンス用の設定キー(32)を操作でき、且つ、上記表示器(31)の案内画面を視覚確認できる状態に配置される第3の位置との間を、移動操作可能に構成されていることを特徴とする駐車場管理機。
【請求項2】
前記前扉(10)の内側に、前記表示器(31)と設定キー(32)を備えた前記設定表示装置(30)を保持する保持部材と、この保持部材を移動可能に支持する支持手段とを設けて、当該支持手段を用いて当該保持部材を移動することにより、上記の設定表示装置(30)を前記第1の位置と前記第2の位置及び前記第3の位置に向けて移動操作自在に構成すると共に、上記保持部材及び支持手段の夫々には、上記の設定表示装置(30)を上記第1の位置と第2の位置、及び、第3の位置に係止することができる第1、第2、第3の係止手段(61,62,63)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理機。
【請求項3】
前記設定表示装置(30)を保持する前記保持部材としての第1の筺体(41)に、前記前扉(10)に平行で鉛直な中心を有する前記支持手段としての第1の回動支持軸(51)を設け、
上記第1の筺体(41)の第1の回動支持軸(51)を支持する上記保持部材としての第2の筺体(42)には、前記前扉(10)に平行で鉛直な中心を有する前記支持手段としての第2の回動支持軸(52)を設けて、
上記第2の筺体(42)の第2の回動支持軸(52)を支持する基礎となる上記保持部材としての主筺体(40)を、前記前扉(10)の内側に一体的に構成すると共に、
上記基礎となる主筺体(40)に保持された上記第2の筺体(42)に保持されている上記第1の筺体(41)が、前記設定表示装置(30)に設けた表示器(31)の案内画面を、前記前扉(10)の案内窓部(10A)の内側に位置合わせした位置を前記第1の位置と成し、
当該第1の位置より、上記第1の筺体(41)が上記第2の筺体(42)に対して上記第1の回動支持軸(51)を中心にほぼ180度反転した位置を、前記第2の位置と成し、
当該第2の位置より、上記第1及び第2の筺体(41,42)が上記基礎となる主筺体(40)に対して上記第2の回動支持軸(51)を中心にほぼ90度回動した位置を、前記第3の位置と成すことを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車場管理機。
【請求項4】
前記第1の位置では、前記係止手段としての第1の係止手段(61)が前記基礎となる主筺体(40)と前記設定表示装置(30)を保持する第1の筺体(41)との間を係止状態と成し、
前記第2の位置では、当該第1の係止手段(61)の係止解除に続く前記180度反転移動により、前記係止手段としての第2の係止手段(62)が前記第2の筺体(42)と上記第1の筺体(40)との間を係止状態となし、
前記第3の位置では、当該第2の係止手段(62)による上記第1、第2の筺体(41,42)の一体的移動による前記90度回動移動の後に、前記係止手段としての第3の係止手段(63)が、上記主筺体(40)と上記第2の筺体(42)との間を係止状態にすることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の駐車場管理機。
【請求項5】
前記第1の位置では、前記第2の筺体(42)は、少なくとも2つ以上の複数の係止手段(63,64)によって複数箇所で前記主筺体(40)の間を係止状態に保持されると共に、
上記複数の係止手段(63,64)のうちの1つの係止手段(64)は、前記第1の筺体(41)が前記第2の筺体(42)に対して前記180度反転移動した前記第2の位置に移動した時に、当該第1の筺体(41)、若しくはそれと一体的な凸部(41X)の当接によってその係止状態を解除するように構成されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の駐車場管理機。
【請求項6】
前記第1の係止手段(61)の係止状態により、前記設定表示装置(30)を保持した前記第1の筺体(41)が、前記第1の位置か或いはそれ以外に位置するかを判別して、その判別結果に従って前記表示器(31)の画面モードを、上記第1の位置における通常の操作時の案内画面モードと、それ以外の位置におけるメンテナンス時の設定画面モードのいずれかに切り換えることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の駐車場管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−237883(P2009−237883A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83018(P2008−83018)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】