説明

駐車場

【課題】ヒートアイランド軽減のため芝生を植生して緑化した駐車場において、芝生に対する保護が充分に行えるようにする。
【解決手段】縦桟2と横桟3を格子状に組合わせ、左右両側に縦桟2を密に配置した箇所7を設けて車輌のタイヤが乗り入れるようにし、該箇所7から車を乗り降りする際、縦桟2が密に配置されていることにより、ハイヒールを履いていても踵が挟まらないようにする。そして駐車時における芝生5への荷重が分散されると共に、タイヤが直接土壌に接触しないため土壌がタイヤで踏み固められたり、芝生5を押し潰して芝生5の生育が阻害されないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑化した駐車場、或いは河川や水路上に設置される駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒートアイランド軽減対策のため駐車場に芝生を植生して駐車場を緑化し、更には車両による芝生への荷重を分散させて芝生を保護するために網状又はハニカム状のシートや構造材を設置する試みがなされている。
【0003】
一方、市街地では、駐車場確保のため河川にコンクリート製の路盤を張り出して設置したり、水路上にコンクリート製の蓋をして駐車場を設置することも行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緑化した駐車場に網状又はハニカム状のシートや構造材を設置する場合、従来のシートや構造材では概して植生された芝生等の植物に対する荷重分散効果が小さく、芝生等の植物に対する保護が充分でないことが多い。
【0005】
また河川や水路上にコンクリート製の路盤や蓋を設置する場合、問題の一つは雨水等の排水に支障を来たしがちであることである。
【0006】
本発明者らは、従来溝蓋として用いられているグレーチングについて、グレーチングの新たな用途として駐車場に着目し、本発明を完成するに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係わる発明の駐車場は、芝生等の植物を植生した駐車場に縦桟と横桟を組合せて格子状に構成したグレーチングを設置することを特徴とするものである。
本発明で用いるグレーチングは、金属製であってもよいし、車両の重量に耐えられるようなFRP製等の樹脂製であってもよい。
またグレーチングを構成する縦桟と横桟の少なくとも一方には、好ましくはその表面に歩行時や車両駐車時の滑り止めのために突起が形成される。
【0008】
請求項2に係わる発明の駐車場は、縦桟と横桟を組合せて格子状に構成したグレーチングを河川上に張出して設置するか、或いは水路上に設置して形成することを特徴とする。
本発明で用いるグレーチングも金属製であってもよいし、FRP等の樹脂製であってもよいが、好ましくは強度の大きな金属製とされる。
【0009】
請求項3に係わる発明の駐車場は、請求項1又は2に係わる発明において、縦桟と横桟のうち、少なくともタイヤが走行する箇所の縦桟を密にしたグレーチングを用い、該グレーチングを並べて配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係わる発明によると、グレーチングはある一定の厚みを有し、剛性を有しているから植物への荷重が分散され、植物に対する保護が比較的充分に行えること、タイヤが土壌と直接接触することがないため、土壌を圧縮して硬化し、植物の育成を阻害する、といった問題を生じないこと、車両が頻繁に駐車し、タイヤが通る箇所であっても格子間内の植物は少なくともグレーチングの厚み分は生育を阻害されることがない等の効果を奏する。
【0011】
請求項2に係わる発明によると、グレーチングを設置してなる駐車場は、溝に設置されるグレーチングと同様、排水を充分に行うことができる。
【0012】
請求項3に係わる発明によると、縦桟を密にした箇所に車両のタイヤが乗り入れるように駐車することにより、
(1)駐車場には、通常白線が引かれ、白線間が一台分の駐車スペースとなっているが、縦桟を密にした箇所と箇所の間が一台分の駐車スペースの境界となるため、駐車スペースに境界となる白線を引かなくてもすむこと、
(2)縦桟を密にした箇所は強度が大で、駐車した車両の強度に充分に耐えられること、
(3)縦桟は必要な箇所だけ密にされ、他は疎にできるためグレーチングの重量を軽減できること、
(4)駐車した車両から乗り降りする際、足元は縦桟が密となって靴等の履物、ことにハイヒールの踵が挟まりにくいため、乗り降りに支障を来たすことがないこと、
等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明に係わるグレーチング1について示すもので、このグレーチング1は鋼製で、車一台が駐車できる程のスペースを有し、左右両側の縦桟2は密にされ、横桟3もグレーチングの強度を増やすために所要部が密にされている。そして縦桟2と横桟3のうち、少なくとも一方の表面には、図示していないが滑り止めのために無数の突起が形成されている。グレーチング1にはまた、その前後に車両がグレーチング1上に容易に出入りできるようにスロープ4が固定ないし取外し可能に取付けてある。このスロープ4には排水のため排水孔6が設けられている。
【0014】
図2は、図1に示すグレーチング1を芝生5の上に設置した例を示すもので、縦桟2と横桟3で構成される格子の間から芝生5が生育している態様が示されている。
グレーチング上に駐車する際には、左右両側の縦桟2が密にされた箇所7に車両のタイヤが乗り入れるようにして駐車する。
【0015】
本実施形態の駐車場によると、左右の縦桟2が密に配置されている箇所7は、車両を乗り入れる際の目安となり易いこと、車両のタイヤが乗り入れる箇所は、縦桟2が密に配置されていることから強度が大で、車輌の重量に充分に耐えられること、車輌への乗り降りは縦桟2が密に配置されている箇所7で行われるが、該箇所では縦桟2が密であるためハイヒールの踵でも挟まりにくいこと、中間部は縦桟2も横桟3も疎に配置されているからグレーチング1の重量が軽減されること、スロープ4を有しているから車輌の出入りが容易に行えること、タイヤが土壌と直接接触することがないため、土壌を踏み固めたり、芝生5を踏み潰して芝生5の育成を阻害することがないこと、横桟3及び若しくは縦桟2の表面には突起を形成されているから人の歩行時及び車両駐車時に滑りにくいこと、グレーチング1は格子構造で剛性を有しているから、駐車時における芝生5への荷重が分散され、芝生5に対する保護が行い易いこと、タイヤが乗り入れる縦桟2が密に配置されている箇所7でもグレーチング1より伸びた芝生5がタイヤで踏み潰されることはあっても、グレーチング内の芝生は少なくともグレーチング1の厚み分は生育が確保されること、芝生のメンテナンスを行う際には、取外しが容易に行えること等の効果を奏する。
【0016】
図3は、上述のグレーチング1を横一列に並べて配置した駐車場について示すもので、駐車スペースの境界に白線を引かなくても縦桟2が密に配置された箇所7のグレーチング1の境界が駐車スペースの境界と容易に認識できるようになる。
【0017】
図3に示すグレーチングは芝生の上に配置してもよいし、河川上に張り出して設けたり、水路を跨ぐようにして設置してもよい。
河川上に張り出して設けたり、水路を跨ぐようにして設置すると、河川や水路上に駐車場を簡易に設置できるほか、雨水の排水も支障なく行えるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、芝生等で緑化した駐車場や河川、水路上に設置される駐車場に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係わる駐車場に用いられるグレーチングの斜視図。
【図2】図1に示すグレーチングを芝生の上に設置した例を示す斜視図。
【図3】図1に示すグレーチングを横一列に並べた駐車場の斜視図。
【符号の説明】
【0020】
1・・グレーチング
2・・縦桟
3・・横桟
4・・スロープ
5・・芝生
6・・排水孔
7・・縦桟が密にされた箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芝生等の植物を植生した駐車場に縦桟と横桟を組合せて格子状に構成したグレーチングを設置することを特徴とする駐車場。
【請求項2】
縦桟と横桟を組合せて格子状に構成したグレーチングを河川上に張出して設置するか、或いは水路上に設置して形成することを特徴とする駐車場。
【請求項3】
縦桟と横桟のうち、少なくともタイヤが走行する箇所の縦桟を密にしたグレーチングを用い、該グレーチングを並べて配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の駐車場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−138147(P2006−138147A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329899(P2004−329899)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】