説明

駐車場

【課題】安価で施工も簡単であり車止めのように破損することがなく、白線に比べ駐車位置が分かり易い駐車場を提供する。
【解決手段】駐車時に前輪又は後輪19bを駐車路面11に設けられた凹部5に入れ駐車させる特定の者が使用する駐車場1であり、前記凹部5は、駐車方向に直交するように設けられ、縦断面形状が円弧状の浅い窪みであり、前輪又は後輪19bが凹部5に入ったことを運転手が体感できる大きさからなる。運転手は、前輪又は後輪19bが凹部5に入ったことを体感を通じて認知することができるので、白線により駐車位置を示す方法に比べ駐車位置が分かり易い。また凹部5は浅い円弧状であるので、車止めのように車輪が衝突せず破損することもない。このような駐車場1は、従業員駐車場に好適に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従業員駐車場など特定の者が使用する駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場には、店舗駐車場などのように不特定多数の者が利用する駐車場と、従業員駐車場などのように特定の者が利用する駐車場とがある。これらの駐車場では、駐車位置を示す方法として、駐車路面に突起した車止めを設ける方法、白線で示す方法、両方を併用した方法などがある。車止めが設けられた駐車場の場合は、車止めに車輪が接触するように駐車する。一方、車止めがなく駐車位置、駐車区画を示す白線のみが駐車路面に施されている駐車場の場合、運転手は、車の前面又は側面の窓から駐車位置、駐車区画を示す白線を確認しながら、又は隣の車の位置さらには周囲の物体を目印に車を移動させ所定の位置に駐車させる。車止めを備える駐車場は、駐車路面上にブロック状の車止めを設けることが一般的であるが、駐車路面に縦断面レ字状の凹部を設けこれを車止めとした駐車場もある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−351040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車止めが設けられた駐車場は、車止めに車輪が接触するよう駐車すればよいため、駐車位置が確実に分かるという長所がある。一方で駐車路面に突起するように設けられたブロック状の車止めは、一般的にコンクリート、合成樹脂材で作られているが、駐車の際、車止めに勢いよく車輪を衝突させる運転手も少なくなく、繰り返し車輪から衝撃を受けることで車止めが破損してしまう。特に従業員駐車場の場合、同じ人が同じ場所に駐車することが多いため、特定の場所の車止めが破損しやすくなる。特許文献1の駐車場も基本的に同じである。車止めがなく白線のみが施されている駐車場の場合、車止めの破損と言うことはないが、白線又は周囲の車などを視認しながら駐車する必要があるため駐車しにくい。特に夜間、雨天時は、駐車位置が分かり難くより駐車しにくい。
【0005】
本発明の目的は、安価で施工も簡単であり車止めのように破損することがなく、白線に比べ駐車位置が分かり易い駐車場を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、駐車時に前輪又は後輪を駐車路面に設けられた凹部に入れ駐車させる特定の者が使用する駐車場であり、前記凹部は、駐車方向に直交するように設けられ、縦断面形状が円弧状の浅い窪みであり、前輪又は後輪が凹部に入ったことを運転手が体感できる大きさからなることを特徴とする駐車場である。
【0007】
また本発明は、前記駐車場において、前記凹部の大きさは、幅が50〜60cmで中心部の深さが4〜6cmであることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記駐車場において、前記凹部は、側溝機能を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記駐車場において、さらに前記凹部の後方に車止めを備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記駐車場において、前記特定の者は、従業員であり、駐車場は従業員駐車場であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る駐車場は、駐車時に前輪又は後輪を駐車路面に設けられた凹部に入れ駐車させる駐車場であり、凹部は、運転手が前輪又は後輪が凹部に入ったことを体感できる大きさからなるので、運転手は、駐車位置を体感を通じて認知することができる。白線により駐車位置を示す方法に比べ明確に駐車位置を認知することができる。凹部は浅い円弧状であるので、車止めのように車輪が衝突せず破損することもない。補修費用も殆ど発生せず施工も容易で施工費用も安価である。また凹部は、側溝として利用することも可能であり、このような駐車場は、従業員駐車場に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態である駐車場1の部分縦断面図である。
【図2】図1の駐車場1に設けられた凹部5の大きさを説明するための凹部5の縦断面図である。
【図3】図1の駐車場1の平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態である駐車場50の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態である駐車場1の部分縦断面図であり、図2は、駐車場1に設けられた凹部5の大きさを説明するための縦断面図であり、図3は、駐車場1の平面図である。
【0014】
駐車場1は、白線3で区画された複数の駐車区画7が横並びに設けられ、この駐車区画が中央の通路9を挟み両側に設けられた従業員駐車場である。駐車路面11は、路盤材113の上にアスファルト15を敷き平滑に仕上げられており、長手方向に駐車方向に直交する凹部5が設けられている。運転手は車17を駐車させるとき前輪19a又は後輪19bが凹部5に入るように車17を停車させる。
【0015】
凹部5は、浅くゆるやかな縦断面が円弧状の窪みであり、この凹部5の大きさは、運転手が凹部5を認知しようと特別に意識を集中させることなく自然に、車17の前輪19a又は後輪19bが凹部5に入ったことを体感できる大きさであり、これにより運転手は、車17が所定の停車位置に来たことが分かる。このような凹部5の大きさの一例を示せば、後述の実施例で示すように幅Lが50〜60cm、また中心部の深さHが4〜6cmである。凹部5は、浅くゆるやかな縦断面が円弧状の窪みであるので、車17を凹部5に入れ停車させるとき、運転手が不安や危険を感じることは無い。凹部5が駐車路面11の平坦な部分と接続する部分である凹部の端部6は、車輪19(19a、19b)が接触しても破損しないようにスムーズな曲線状であることが望ましい。このような凹部5は、浅く形状が単純なため簡単に又安価に施工することができる。
【0016】
この駐車場1で、運転手が車17を後進させて駐車させる場合を例に説明する。車17を所定の駐車位置に駐車させる場合、運転手が凹部5の位置を確認した後、車17をゆっくりと後進させると、後輪19bが凹部5に入る。この時、運転手は、後輪19b及び/又は車体が沈み込んだこと又はこれに伴う衝撃を身体に感じるので、この時点で車17を停車させればよい。これにより車17を所定の位置に正確に駐車させることができる。
【0017】
本実施形態に示す駐車場1は、車輪19が凹部5に入ったことを体感を通じて認知できるので、白線などを視認し停車位置を確認する方法に比較して、停車すべき位置が分かりやすい。白線を視認する方法は、夜間、雨天時に特に駐車位置が分かりづらいが、本実施形態に示す駐車場1は夜間、雨天時においても明確に駐車位置を認知することができる。駐車場1に設けられた凹部5は、浅くゆるやかな縦断面が円弧状の窪みであり、ブロック状の車止め、駐車路面11をV字型又は箱型に堀って形成する車止めのように積極的に車17を停車させるものではない。このため従来の車止めのように車輪19が衝突することによる破損は生じず、補修も殆ど不要である。
【0018】
本実施形態に示す駐車場1は、前輪19a又は後輪19bを凹部5に入れ駐車させる駐車場であるので、凹部5をより明確に運転手に認知させるためには、凹部5は深くかつ曲率半径の小さいもの、又は円弧状の凹部5ではなく縦断面形状が矩形、台形、V字形の凹部が好ましいと言える。しかしながらこのような凹部は、機能的に車止めに近く、車輪19の衝突により凹部5が破損し易くなる。結果、補修費用も高く、さらに施工費用も高くなるので、必要以上に深くかつ曲率半径の小さい凹部、縦断面形状が矩形、台形の凹部は好ましくない。駐車場1に設ける凹部5は、体感により認知できかつ破損しにくいものが好ましい。
【0019】
体感により駐車すべき位置を知らしめる方法としては、凹部5とは反対に駐車路面11に突起を設ける方法も考えられるが、施工の容易さ、施工費用、破損を総合的に判断すれば凹部5の方が好ましい。本実施形態に示す駐車場1に設けられた凹部5は、浅くゆるやかな円弧状の凹部であるので、深くかつ曲率半径の小さい凹部、縦断面形状が矩形、台形の凹部などに比較し、凹部の位置を体感しにくいけれども、従業員駐車場のように特定の者が使用する駐車場に使用すれば、予め駐車場及び凹部5の情報提供、説明を行うことが可能であり、さらには日々の体験で確実に凹部5の位置を認知することができる。またこのような駐車場1は、車止めがないのでゆっくりと車17を移動させるようになり安全運転につながる。
【0020】
また凹部5は、駐車場の長手方向全体に配置されているので、駐車路面11に僅かな勾配を設けることで凹部5を簡易側溝として利用することができる。これにより駐車場1に降った雨は、凹部5に流れ込み、駐車場1に別途、排水溝を設ける必要がない。また本実施形態に示す駐車場1は、凹部5が浅く円弧状で車止めなどの突起物が無いため、人が歩いていてもつまずく心配も少なく、さらに駐車場1の清掃も容易に行える。構造が簡単で安価であり、施工も簡単に行えるので、短期間使用する臨時駐車場などに好適に使用することができる。
【0021】
図4は、本発明の第2実施形態である駐車場50の部分縦断面図である。図1から図3に示す第1実施形態である駐車場1と同一の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0022】
駐車場50は、第1実施形態に示す駐車場1にさらに車止め52を備える。この車止め52は、安全確保のために予備的に設けるものである。車止め52は、公知のコンクリート又は合成樹脂性のブロック状の車止めである。車止め52は、凹部5から少し離れた後方に設けられている。凹部5は、第1実施形態で示したように浅くゆるやかな縦断面が円弧状の凹部であるので、積極的に車17を停車させる働きは無いが、車輪19が凹部5に入ったことを認知できることは既に記載した通りである。
【0023】
従来の駐車場では、凹部5が設けられていないため、運転手は車止めに車輪が接触するように車を運転、停車させる。このため車止めが破損する例が多く見られたが、第2実施形態に示す駐車場50では、車止め52の前に体感により認知できる凹部5が設けられているので、運転手は、凹部5に車輪19が入った時点で車17を停車させる。このため通常は、車17が車止め52に衝突することはない。このように凹部5が設けられた駐車場50では、基本的には車止め52は必要ないが、例えば、駐車位置の後方に壁が設けられているなど、確実に所定の位置に駐車しなければならないような事情がある場合には、安全確保のために車止め52を設けることが好ましい。車止め52を設けても通常、車17が車止め52に衝突することはなく、仮に停車が遅れてもその時点では、車17は殆ど停止状態であり、後方の車止め52に車輪19が衝突しても従来の車止めのように大きな衝撃は加わらず、車止め52が破損することはない。
【実施例】
【0024】
駐車場に幅及び深さが異なる凹部5を設け、凹部5に向かって車を後進させ、運転手が凹部5を認知できるか否かの実験を行った。表1は、凹部5の大きさと運転手の認知程度を示す実験結果である。表1の凹部5の幅は、図2のL、凹部5の中心部の深さは、図2中のHに該当する。
【0025】
Run−1は、凹部5の幅Lが大きく凹部5の中心部の深さHが浅いため車輪19が凹部5に入ったときの体感が少なく、凹部5を認知しようとする積極的な意識が無いと、凹部5を十分に認知することができなかった。Run−2は、Run−1に比べ凹部5の幅Lを少し小さくし、凹部5中心部の深さHを少し深くした。この場合、車輪19が凹部5へ入るときの衝撃はRun−1に比べ大きく感じられたが、凹部5を認知するためには積極的に意識する必要があった。Run−3は、Run−2に比べさらに凹部5の幅Lを小さくし、凹部5の中心部の深さHを深くした。この時、運転手は、凹部5を積極的に認知しようとする意識を持たなくても、車輪19が凹部5に入ったことを十分に認知でき、凹部5に容易に車を停車させることができた。このとき運転手は、不安や危険を感じることは無かった。
【0026】
以上の実験結果から凹部5の大きさを、幅を50〜60cm、中心部の深さを4〜6cmとすれば、運転手は、不安無く明確に凹部5の位置を認知し容易に車17を停車させることができることが分かった。また実験で、運転手は凹部5に後輪19bが入ったとき、後輪19b及び/又は車体が沈み込んだこと又はこれに伴う衝撃を認知することはできたが、後輪19bが凹部5から抜け出すときの衝撃は感じにくいことが分かった。
【0027】
【表1】

【符号の説明】
【0028】
1 駐車場
3 白線
5 凹部
7 駐車区画
11 駐車路面
17 車
19 車輪
19a 前輪
19b 後輪
50 駐車場
52 車止め

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車時に前輪又は後輪を駐車路面に設けられた凹部に入れ駐車させる特定の者が使用する駐車場であり、
前記凹部は、駐車方向に直交するように設けられ、縦断面形状が円弧状の浅い窪みであり、前輪又は後輪が凹部に入ったことを運転手が体感できる大きさからなることを特徴とする駐車場。
【請求項2】
前記凹部の大きさは、幅が50〜60cmで中心部の深さが4〜6cmであることを特徴とする請求項1に記載の駐車場。
【請求項3】
前記凹部は、側溝機能を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車場。
【請求項4】
さらに前記凹部の後方に車止めを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の駐車場。
【請求項5】
前記特定の者は、従業員であり、駐車場は従業員駐車場であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の駐車場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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