説明

駐車容易性情報作成システム及びその方法、並びに駐車容易性情報を作成するためのコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体

【課題】駐車に運転技術的な困難性を伴うか否かの指標となる駐車容易性情報を自動的に作成する。
【解決手段】プローブカーP1により、一連の駐車動作において運転者にかかる負荷が特定され、その負荷に関する情報が駐車場に関連付けられてサーバ装置30へ送られる。サーバ装置30では負荷に関する情報を駐車場ごとに蓄積する。その蓄積量が、統計処理等の計数処理が可能な量となったとき、駐車容易性判定部35が所定のルールの従い蓄積された負荷に関する情報を処理して、当該駐車場の駐車容易性を判定し、判定結果を受けた駐車容易性情報作成部が当該情報を作成し、保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駐車容易性情報作成システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のナビゲーションシステムでは駐車場に関する情報が案内されるようになった。
例えば特許文献1に開示の駐車場利用情報提供機能を備えたナビゲーションシステムでは、ネットワークを介して駐車場の利用状況を取得して、現在の空き台数と駐車場の混雑状況から駐車しやすいか否かを判定、利用者に案内している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−30163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術で判定する駐車しやすいか否かは、駐車場の空きスペースをスムーズに確保できるか否かと同意である。
他方、駐車マスの広狭や駐車マスの配置の如何によって、当該駐車マスへの駐車に手間がかかるか否か、換言すれば駐車するのに運転技術的な困難性が伴うか否かが問題になることがある。特に多くの女性ドライバーや高齢ドライバーにとっては、かかる意味での駐車容易性は駐車場を選択する上で大きなウェートを占める。以下、この明細書において「駐車容易性」とは駐車に運転技術的な困難性を伴うか否かの指標を指すものとする。
しかしながら、このような駐車容易性を駐車場について案内できるナビゲーションシステムは知られていない。
そこでこの発明は、駐車場における駐車容易性情報作成システムを提供し、もってナビゲーションシステムで駐車容易性の案内を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はかかる目的を達成すべくなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
プローブカーとサーバ装置とを備えてなる駐車場の駐車容易性情報を作成する駐車容易性情報作成システムであって、
前記プローブカーは、
一連の駐車動作において運転者にかかる負荷を特定する負荷特定部と、
前記特定された負荷に関する情報及び前記駐車場を特定する駐車場情報を前記サーバ装置へ発信する発信部と、を備え、
前記サーバ装置は、
前記プローブカーからの負荷に関する情報を、前記駐車場情報に基づき、前記駐車場ごとに蓄積する負荷情報蓄積部と、
負荷情報蓄積部に蓄積された負荷に関する情報を処理して前記駐車場ごとに駐車容易性を判定する駐車容易性判定部と、
該駐車容易性判定部の判定結果に基づき、駐車容易性情報を作成する駐車容易性情報作成部と、を備える、ことを特徴とする、
駐車容易性情報作成システム。
【0006】
このように規定される第1の局面の駐車容易性情報作成システムによれば、プローブカーにより、一連の駐車動作において運転者にかかる負荷が特定され、その負荷に関する情報が駐車場に関連付けられてサーバ装置へ送られる。サーバ装置では負荷に関する情報を駐車場ごとに蓄積する。その蓄積量が、統計処理等の計数処理が可能な量となったとき、駐車容易性判定部が所定のルールの従い蓄積された負荷に関する情報を処理して、当該駐車場の駐車容易性を判定する。
これにより、多数の駐車場についてその駐車容易性情報を均一な条件で提供可能となり、ナビゲーションシステムで利用される情報の作成に適したものとなる。
【0007】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面で規定される駐車容易性情報作成システムにおいて、前記プローブカーは前記負荷特定部で過去に特定された負荷を蓄積してその平均値を演算する平均負荷演算部と、
前記特定された負荷と前記平均負荷とを比較する負荷比較部と、を備え、
前記負荷に関する情報は前記負荷比較部の比較結果である。
【0008】
プローブカーには個性があるので(運転者の運転技量、車輌の大きさ等)、同じ駐車場での駐車操作においてもプローブカーによって負荷に違いが生じることがある。例えば、男性ドライバの運転するプローブカーP1では駐車場Aでの駐車に20秒を要するのに対し、女性ドライバの運転するプローブカーP2では同じ駐車場Aでの駐車に30秒を要することがある。駐車に要するこれらの時間をそのまま利用して駐車場Aの駐車容易性を判定しても、得られる結果に含まれる誤差は大きい。
【0009】
即ち、プローブカーの個性を考慮して負荷を特定する必要がある。プローブカーの負荷を考慮する一つの方法として、この発明の第1の局面では、プローブカーが種々の駐車場において駐車したときの負荷について過去の履歴を多数蓄積し、その平均値を得る。この平均値にはプローブカーの個性が反映されるので、この平均値と判定対象駐車場について特定された負荷とを比較すれば、特定された負荷からプローブカーの個性が相殺されて、その特徴部分が明らかになる。
ここに負荷の指標として駐車に要する時間や切替し回数を挙げることができる(第3の局面)。
【0010】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、第1〜3のいずれかに規定の駐車容易性情報作成システムにおいて、前記プローブカーは駐車場の駐車マスの幅を特定する駐車マス幅特定部を備え、
特定された前記駐車マス幅は前記発信部により前記サーバ装置へ送られ、前記駐車容易性判定部の判定に利用される。
このように規定される第4の局面の駐車容易性情報作成システムによれば、駐車の容易性を判断する際に駐車マス幅が参照されるので、容易性判断の信頼性が向上する。
【0011】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、第1〜第4のいずれかの局面に規定の駐車容易性情報作成システムにおいて、前記発信部は前記プローブカーの特性を示すプローブカー特性情報を前記サーバ装置へ発信し、
前記サーバ装置は前記プローブカー特性情報に応じて前記負荷に関する情報を仕分ける仕分け部を備え、
前記駐車容易性判定部は仕分けられた前記負荷に関する情報を処理する。
このように規定される第5の局面の駐車容易性情報作成システムによれば、プローブカーの特性に応じて駐車容易性情報が作成されるので、ナビゲーションシステムでの利用に際しても、自車の特性に適合した駐車容易性情報を選択可能となり、利用者により適合した駐車場情報の提供が可能となる。
【0012】
また、この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
プローブカーを用いた駐車場の駐車容易性情報を作成する方法であって、
一連の駐車動作において運転者にかかる負荷に関する情報を特定する負荷特定ステップと、
前記特定された負荷に関する情報を駐車場ごとに蓄積する負荷情報蓄積ステップと、
前記負荷情報蓄積ステップで蓄積された負荷に関する情報を処理して前記駐車場ごとに駐車容易性を判定する駐車容易性判定ステップと、
該駐車容易性判定ステップで得られた判定結果に基づき、前記駐車容易性情報を作成する駐車容易性情報作成ステップと、
を備える、ことを特徴とする駐車容易性情報作成方法。
このように規定される第6の局面の駐車容易性情報作成方法によれば、第1の局面と同等の作用を奏する。
【0013】
この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、第6の局面に規定の駐車容易性情報作成方法において、
前記負荷特定ステップは過去に特定された負荷を蓄積してその平均値を演算する平均負荷演算ステップと、
前記特定された負荷と前記平均負荷とを比較する負荷比較ステップと、を備え、
前記負荷に関する情報は前記負荷比較ステップで得られる比較結果である。
このように規定される第7の局面の駐車容易性情報作成方法によれば、第2の局面と同等の作用を奏する。
【0014】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、第6又は第7の局面に規定の駐車容易性情報作成方法において、
前記負荷は駐車に要する時間及び/又は切替し回数である。
このように規定される第8の局面の駐車容易性情報作成方法によれば、第3の局面と同等の作用を奏する。
【0015】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、第6〜第8の局面に規定の駐車容易性情報作成方法において、
前記駐車場の駐車マスの幅を特定する駐車マス幅特定ステップを備え、
特定された前記駐車マス幅は前記駐車容易性判定ステップでの判定に利用される。
このように規定される第9の局面の駐車容易性情報作成方法によれば、第4の局面と同等の作用を奏する。
【0016】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、第6〜第9の局面に規定の駐車容易性情報作成方法において、
前記プローブカーの特性を示すプローブカー特性情報に応じて前記負荷に関する情報を仕分ける仕分けステップを備え、
前記駐車容易性判定ステップは仕分けられた前記負荷に関する情報を処理する。
このように規定される第10の局面の駐車容易性情報作成方法によれば、第5の局面と同等の作用を奏する。
【0017】
さらに、この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
プローブカーを用いた駐車場の駐車容易性情報を作成するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
一連の駐車動作において運転者にかかる負荷に関する情報を特定する負荷特定手段と、
前記特定された負荷に関する情報を駐車場ごとに蓄積する負荷情報蓄積手段と、
前記負荷情報蓄積手段で蓄積された負荷に関する情報を処理して前記駐車場ごとに駐車容易性を判定する駐車容易性判定手段と、
該駐車容易性判定手段で得られた判定結果に基づき、前記駐車容易性情報を作成する駐車容易性情報作成手段、
として機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
このように規定される第11の局面のコンピュータプログラムによれば、第1の局面と同等の作用を奏する。
【0018】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、第11の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、
前記負荷特定手段を過去に特定された負荷を蓄積してその平均値を演算する平均負荷演算手段と、
前記特定された負荷と前記平均負荷とを比較する負荷比較手段、として機能させ、
前記負荷に関する情報は前記負荷比較手段で得られる比較結果である。
このように規定される第12の局面のコンピュータプログラムによれば、第2の局面と同等の作用を奏する。
【0019】
この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、第11又は第12の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、
前記負荷は駐車に要する時間及び/又は切替し回数である。
このように規定される第13の局面のコンピュータプログラムによれば、第3の局面と同等の作用を奏する。
【0020】
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、第11〜第13の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記駐車場の駐車マスの幅を特定する駐車マス幅特定手段、として機能させ、
特定された前記駐車マス幅は前記駐車容易性判定手段での判定に利用される。
このように規定される第14の局面のコンピュータプログラムによれば、第4の局面と同等の作用を奏する。
【0021】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、第11〜第14の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記プローブカーの特性を示すプローブカー特性情報に応じて前記負荷に関する情報を仕分ける仕分け手段、として機能させ、
前記駐車容易性判定手段は仕分けられた前記負荷に関する情報を処理する。
このように規定される第15の局面のコンピュータプログラムによれば、第5の局面と同等の作用を奏する。
【0022】
第11〜第15の局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第16の局面として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施の形態の駐車容易性情報作成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】プローブカーの構成を示すブロック図である。
【図3】駐車容易性の判定例を示すグラフである。
【図4】サーバ装置の例を示すブロック図である。
【図5】駐車容易性の判定例を示す表である。
【図6】駐車容易性情報作成システムのハード構成を示す概念図である。
【図7】この発明の実施の形態の駐車容易性情報作成システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】サーバ装置の他の例を示すブロック図である。
【図9】この発明の駐車容易性情報作成システムで作成された駐車容易性情報を保存したナビゲーション情報を利用するナビゲーションシステムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の実施の形態の駐車容易性情報作成システムを説明する。
図1に、実施の形態の駐車容易性情報作成システム1の概略構成を示す。
この駐車容易性情報作成システム1は、プローブカーP1〜PM、及びサーバ装置30を備える。符号NはプローブカーP1〜PMとサーバ装置30とをつなぐネットワークを示す。
なお、プローブカーP1〜PMとサーバ装置30との情報伝達は必ずしもネットワークNを介する必要は無く、プローブカーP1〜PMの情報を一旦DVD等の情報記録媒体へ書込み、この情報記録媒体を介してサーバ装置30へプローブカーP1〜PMの情報を発信してもよい。
この実施例では、ネットワークNに接続されるインターフェース部13が発信部を備えることにより、サーバ装置30へプローブカーP1〜PMの情報を発信している。
【0025】
以下、プローブカーの代表としてプローブカーP1の説明をする。
このプローブカーP1は、駐車場情報保存部10、負荷特定部11、インターフェース部13及び負荷情報処理部20を備える。
駐車場情報保存部10は判定対象となる駐車場を特定するための駐車場情報を備える。例えば駐車場の中央の座標により駐車場を特定することができる。
負荷特定部11は、判定対象駐車場での一連の駐車動作において運転者にかかる負荷を特定する。負荷の例として(1)駐車に要する時間と(2)切替し回数とがあるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
(1)駐車に要する時間として、この例ではギアをバックシフトへ切り替えてからイグニッションをオフとするまでの時間を採用する。その他、ギアをバックシフトへ切り替えた後、ギアをパーキングシフトへ切り替えるまでの時間としてもよい。
(2)切替し回数として、ギアをバックシフトへ切り替えた後、イグニッションをオフとするまでにいれたバックシフトの回数を採用する。
【0027】
負荷特定部11で特定された負荷は負荷情報処理部20で処理され、インターフェース部13へ送られる。
ここに、負荷情報処理部20の例を図2に詳述している。図2の例において負荷情報処理部20は負荷保存部21、平均値演算部23、及び負荷比較部としての偏差演算部25を有する。負荷保存部21には負荷特定部11で特定された過去全ての、若しくは過去所定期間での種々の駐車場において特定された負荷が保存されている。負荷保存部21に保存されている負荷(好ましくは直近100個)の平均値が平均値演算部23で演算される。この平均値は、当該プローブカーを平均的な駐車場へ駐車させるときの平均的な負荷を表す。
【0028】
演算された平均値と判定対象の駐車場の負荷とが偏差演算部で比較され、両者の偏差(特定された負荷−平均負荷)が演算される。この偏差は、当該プローブカーからみたときの、判定対象駐車場の駐車容易性を示す。例えば、偏差がゼロのときは、判定対象駐車場の駐車容易性は平均的である。一方、偏差が正のときは、判定対象駐車場の駐車容易性は、当該プローブカーからみたときには平均的な駐車場より困難なものとなる。
【0029】
負荷比較部としての偏差演算部は、負荷特定部11で特定された負荷を平均値と比較し、両者の差が所定の範囲から外れたらその負荷はイレギュラーな場合のものであるとして判定対象から除外し、当該所定の範囲に含まれるものは負荷の値をそのままインターフェース部13へ送っても良い。更には、負荷特定部11で特定された全ての負荷をそのままインターフェース部13へ送ることもできる。
【0030】
プローブカーP1は、バックモニタ15を備え、バックモニタ15の撮影した画像を画像処理部17で処理して駐車場に描かれている駐車マスの幅を特定する。このように特定された駐車マス幅もインターフェース部13に送られる。
ID情報保存部19はプローブカーP1の特性を保存する。この特性として、車幅情報、車長情報等の車輌の特性のほか、運転者の性別情報、年齢情報等の運転者の特性がある。
以上、プローブカーP1の例について説明してきたが、他のプローブカーP2〜PMについても図1及び図2に示す各要素を備えている。
【0031】
サーバ装置30は、インターフェース部31、負荷情報蓄積部34、駐車容易性判定部35、駐車容易性情報作成部37及びナビゲーション情報保存部40を備える。
インターフェース部31はネットワークNに接続される。インターフェース部31はまた、DVD等の汎用的な情報記録媒体に対するインターフェース機能を奏する。
【0032】
負荷情報蓄積部34は、各プローブカーから送られた負荷に関する情報(図2の例では偏差)を、駐車場情報により特定される駐車場ごとに蓄積する。負荷情報蓄積部34における情報の蓄積量が充分(例えば20データ以上)になると、駐車容易性判定部35は負荷情報蓄積部34に蓄積された情報を読み出して処理する。処理の方法は任意に設定することができるが、例えば、負荷情報の分布のピーク値を特定し、そのピーク値を予め定められた駐車容易性の指標と比較する。勿論、負荷情報の平均値を駐車容易性の指標と対比することもできる。
【0033】
図3に、負荷情報として、駐車に要した時間とその平均値との時間差ΔTのデータ数の分布を示す。この例では、駐車容易性の指標として(−10秒以下、−10秒以上〜+10秒未満、+10秒以上の偏差ΔT)を採用し、各指標に対して駐車容易性(「易」、「普通」、「難」)が割り付けられている。
切替し回数の場合も同様に処理することができる。
【0034】
駐車容易性情報作成部37は、駐車容易性判定部35の判定結果に基づき、駐車容易性情報(「易」、「普通」、「難」)を特定してナビゲーション情報保存部40の駐車場情報保存部41に書込み、保存する。
ナビゲーション情報保存部40に保存される情報はナビゲーションシステムに読み出されて経路探索、地図表示等に使用される。
【0035】
他の実施の形態につき、図4及び図5を用いて説明する。
図4において図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
図4に示すサーバ装置130は、図1との比較において、駐車マス幅保存部32を更に備えている。
駐車マス幅保存部32にはプローブカーで取得した駐車場における駐車マス幅が保存される。この例では、プローブカーから送られてきた最新の駐車マス幅がこの駐車マス幅保存部32に保存されている。
【0036】
駐車容易性判定部35はこの駐車マス幅の情報も参照して駐車容易性を判定する。更にこの例では、負荷情報として、駐車に要した時間の偏差ΔTに加えて切替し回数の偏差ΔHを用いる。
判定基準を図5に示す。
【0037】
図6は駐車容易性情報作成システムのハード構成を示すブロック図である。
このシステムのサーバ装置130は、一般的なコンピュータシステムと同様に中央制御装置121に対してシステムバス122を介して各種の要素が結合されたものである。
中央制御装置121は汎用的なCPU、メモリ制御装置、バス制御装置、割り込み制御装置更にはDMA(直接メモリアクセス)装置を含み、システムバス122もデータライン、アドレスライン、制御ラインを含む。システムバス122にはRAM(ランダムアクセスメモリ)123、不揮発メモリ(ROM124,CMOS−RAM125等)からなるメモリ回路が接続されている。RAM123に格納されるデータは中央制御装置121や他のハードウエア要素によって読み取られたり、書き換えられたりする。不揮発メモリのデータは読み取り専用であり、装置をオフとしたときにもそこのデータは喪失されない。このハードウエアを制御するシステムプログラムはハードディスク装置127に保存されており、また、RAM123に保存されており、ディスクドライブ制御装置126を介して適宜中央制御装置121に読みこまれて使用される。このハードディスク装置127には、汎用的な構成のコンピュータシステムをサーバ装置130として動作させるためのコンピュータプログラムを保存する領域が確保される。
このハードディスク装置127の所定の領域がナビゲーション情報保存部40用に割り付けられる。
ハードディスク装置127の他の領域が負荷情報蓄積部34、駐車マス幅保存部32用に割り付けられる。
【0038】
システムバス122には、フレキシブルディスク132に対してデータの読み込み及び書き込みを行うフレキシブルドライブ制御装置131、コンパクトディスク134に対してそれからデータの読み取りを行うCD/DVD制御装置133が接続されている。この実施例ではプリンタインターフェース137にプリンタ138を接続させている。
【0039】
システムバス122にはキーボード・マウス制御装置141が接続され、キーボード142及びマウス143からのデータ入力を可能としている。モニタ145がモニタ制御装置144を介してシステムバス122に接続されている。モニタ145にはCRTタイプ、液晶タイプ、プラズマディスプレイタイプなどを利用することができる。
各種の要素(モデムなど)の増設を可能とするため空きのスロット151が準備されている。
【0040】
実施例のシステムはネットワークアダプタ161を介して、ネットワークNに接続される。このネットワーク(インターネット)Nにはプローブカーが連結されている。
【0041】
このコンピュータシステムからなるサーバ装置130を稼動させるために必要なプログラム(OSプログラム、アプリケーションプログラム(本発明のものも含む))は、各種の記録媒体を介してシステムの中にインストールされる。例えば非書き込み記録媒体(CD−ROM、ROMカード等)、書き込み可能記録媒体(FD、DVD等)、更にはネットワークNを利用して通信媒体の形式でインストールすることも可能である。勿論、不揮発メモリ124、125やハードディスク装置127に予めこれらのプログラムを書きこんでおくこともできる。
【0042】
以下、駐車容易性情報作成システムの動作を図2、図4及び図5の例に沿って説明する(図7のフローチャート参照)。
ステップ1で示すプローブカーでの前処理において、負荷保存部21に保存されている負荷の平均値を演算する。なお、負荷保存部21に保存されている負荷の数が所定のしきい値(例えば100)未満のときは、負荷数が当該しきい値を満たすように、プローブカーによる駐車を、不作為に指定した駐車場において実行し、その駐車場での負荷を特定する。そして、これを繰り返すことにより負荷の数をしきい値まで獲得する。
ステップ3では、駐車容易性判定対象の駐車場を指定する。ここに、ナビゲーションシステムにより当該駐車場を指定することにより、その座標情報が確定される。この座標情報は駐車場情報保存部10へ保存されて、判定対象駐車場を特定することに利用される。
【0043】
ステップ5において、判定対象駐車場までプローブカーを運び、ここで実際に駐車操作を行う。
この例では、負荷情報としての駐車に要する時間として、バックシフトにギア入れた時刻からイグニッションキーをオフにした時刻までの時間を採用する。このとき、途中に所定距離(例えば10m)の走行(前後方向とも対象)があったときは、時間計測をキャンセルし、再度バックシフトへギアを入れた時刻からイグニッションキーをオフにした時刻までの時間を計測しなおす。
負荷情報としての切替し回数についても、バックシフトにギアを入れたときからイグニッションキーをオフにしたときまでに再度バックシフトへギアを入れた回数を採用する。このときも、途中に所定距離(例えば10m)の走行(前後方向とも対象)があったときは、再度バックギアを入れたときからイグニッションキーをオフにしたときまでのバックギアシフトの回数を計測する。
【0044】
ステップ7では、ステップ5で特定した負荷情報(駐車に要した時間、切替し回数)とそれらの平均値との偏差を演算する。
ステップ9では駐車場の駐車マスをバックモニタ15で撮影し、撮影画像を画像処理部17で処理して駐車マスの幅を特定する。
ステップ7で得られた偏差及びステップ9で得られた駐車マス幅はステップ11においてサーバ装置130へ、ネットワークNを介して送信される。
【0045】
サーバ装置130では、プローブカーから送られた負荷情報(この例では駐車に要した時間と平均時間との時間差ΔT及び切替し回数と平均回数との回数差ΔH)を負荷情報蓄積部34に蓄積する(ステップ13)。なお、駐車マス幅は駐車マス幅保存部32に保存される(ステップ14)。
ステップ15では負荷情報蓄積部34に蓄積された負荷情報の数が充分数(所定の閾値、例えば20以上)に達した駐車場について、駐車容易性判定を行う(ステップ17)。
【0046】
ステップ17において駐車容易性判定部35は、負荷情報蓄積部34から負荷情報を読み込むと共に、駐車マス幅保存部32から駐車マス幅を読み込む。判定の基準は図5に示すとおりである。
即ち、負荷情報としての駐車に要した時間とその平均時間との時間差ΔTについては、駐車時間差が+10秒以上のときを「難」、+10秒未満〜−10秒以上のときを「普通」、−10秒未満のときを「易」とする。また、負荷情報としての切替し回数とその平均回数との差ΔHについては、+1回以上のときを「難」、ゼロ回のときを「普通」、−1回以下のときを「易」とする。
更にこの例では、駐車マス幅をも参照し、駐車マス幅が2.5m未満のときを「難」、2.5m以上2.7m未満のときを「普通」、2.7m以上のときを「易」と分類して、駐車容易性の判定に供している。
判定の手法の一例として、図5の「総合判定」の欄に記載の方法を挙げる。
【0047】
ステップ19において、駐車容易性情報作成部37は、駐車容易性判定部35の判定結果を受けて、駐車容易性情報を作成して、判定対象となった駐車場を特定する情報(この例では座標情報)とともにナビゲーション情報保存部40の駐車場情報保存部41へ保存する。
ナビゲーションシステムにおいて、当該駐車場がアクセスされたとき、駐車容易性情報が判定結果である「難」、「標準」、「易」のいずれかとして表示されることとなる。
【0048】
図8に他の例のサーバ装置150を示す。
このサーバ装置150にはプローブカーID情報保存部151が備えられ、プローブカーのID情報がここに保存される。仕分け部153は、プローブカーのID情報を参照して、プローブカーから送られてきた負荷情報を仕分ける。この例では、プローブカーの性別に関するID情報を参照し、プローブカーの運転手が女性の場合は第2の負荷情報蓄積部34Fへ負荷情報を仕分け、プローブカーの運転手が男性の場合は第1の負荷情報蓄積部34Mへ負荷情報を仕分ける。各蓄積部34M,34Fに対して第1及び第2の駐車容易性判定部35M,35Fが情報処理を行い、その結果を受けて第1及び第2の駐車容易性情報作成部37M,37Fが駐車容易性情報を作成・保存することは既述の通りである。
この例では、仕分けの基準を性別にとっているが、年齢、運転年数等の運転手の特性に関するID情報の外、車幅、車長、運転席の左右等プローブカーの車輌の特性に関するID情報を利用して仕分けを行ってもよい。
【0049】
ナビゲーション情報保存部40の情報はナビゲーションシステムによりそのまま利用できる。ナビゲーションシステムの例を図9に示す。
このナビゲーションシステム200は制御部203、メモリ部204、入力部205、出力部206、インターフェース部207、自車位置特定部208、探索部209、ナビゲーション情報保存部40を備えている。
制御部203はCPU、バッファメモリその他の装置を備えたコンピュータ装置であり、ナビゲーションシステム200を構成する他の要素を制御する。メモリ部204にはコンピュータプログラムが保存され、このコンピュータプログラムはコンピュータ装置である制御部203に読み込まれて、これを機能させる。このコンピュータプログラムはDVD等の汎用的な媒体へ保存できる。
【0050】
入力部205は目的地等を設定するため用いられる。入力部205としてディスプレイの表示内容と協働するタッチパネル式の入力装置を用いることができる。
出力部206はディスプレイを含み、ナビゲーションに必要な地図情報、その他の情報を表示する。この出力部206は音声案内装置を含むこともできる。
インターフェース部207はナビゲーションシステム200を無線ネットワーク等へ連結させる。
自車位置特定部208はGPS装置やジャイロ装置を用いて利用者端末の現在の位置を検出する。
【0051】
探索部209は指定された出発地から目的地までの経路を探索する。経路探索の際に、探索部209はナビゲーション情報保存部40に保存の情報を参照する。
制御部203は、探索した駐車場について駐車場情報保存部41の情報を参照し、駐車容易性情報が存在するときはそこに規定される駐車容易性情報を表示する。
【0052】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 駐車容易性情報作成システム
11 負荷特定部
20 負荷情報処理部
30、130、150 サーバ装置
34 負荷情報蓄積部
35 駐車容易性判定部
37 駐車容易性情報作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブカーとサーバ装置とを備えてなる駐車場の駐車容易性情報を作成する駐車容易性情報作成システムであって、
前記プローブカーは、
一連の駐車動作において運転者にかかる負荷を特定する負荷特定部と、
前記特定された負荷に関する情報及び前記駐車場を特定する駐車場情報を前記サーバ装置へ発信する発信部と、を備え、
前記サーバ装置は、
前記プローブカーからの負荷に関する情報を、前記駐車場情報に基づき、前記駐車場ごとに蓄積する負荷情報蓄積部と、
前記負荷情報蓄積部に蓄積された負荷に関する情報を処理して前記駐車場ごとに駐車容易性を判定する駐車容易性判定部と、
該駐車容易性判定部の判定結果に基づき、前記駐車容易性情報を作成する駐車容易性情報作成部と、
を備える、ことを特徴とする駐車容易性情報作成システム。
【請求項2】
前記プローブカーは前記負荷特定部で過去に特定された負荷を蓄積してその平均値を演算する平均負荷演算部と、
前記特定された負荷と前記平均負荷とを比較する負荷比較部と、を備え、
前記負荷に関する情報は前記負荷比較部の比較結果である、ことを特徴とする請求項1に記載の駐車容易性情報作成システム。
【請求項3】
前記負荷は駐車に要する時間及び/又は切替し回数である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車容易性情報作成システム。
【請求項4】
前記プローブカーは駐車場の駐車マスの幅を特定する駐車マス幅特定部を備え、
特定された前記駐車マス幅は前記発信部により前記サーバ装置へ送られ、前記駐車容易性判定部の判定に利用される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の駐車容易性情報作成システム。
【請求項5】
前記発信部は前記プローブカーの特性を示すプローブカー特性情報を前記サーバ装置へ発信し、
前記サーバ装置は前記プローブカー特性情報に応じて前記負荷に関する情報を仕分ける仕分け部を備え、
前記駐車容易性判定部は仕分けられた前記負荷に関する情報を処理する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の駐車容易性情報作成システム。
【請求項6】
プローブカーを用いた駐車場の駐車容易性情報を作成する方法であって、
一連の駐車動作において運転者にかかる負荷に関する情報を特定する負荷特定ステップと、
前記特定された負荷に関する情報を駐車場ごとに蓄積する負荷情報蓄積ステップと、
前記負荷情報蓄積ステップで蓄積された負荷に関する情報を処理して前記駐車場ごとに駐車容易性を判定する駐車容易性判定ステップと、
該駐車容易性判定ステップで得られた判定結果に基づき、前記駐車容易性情報を作成する駐車容易性情報作成ステップと、
を備える、ことを特徴とする駐車容易性情報作成方法。
【請求項7】
前記負荷特定ステップは過去に特定された負荷を蓄積してその平均値を演算する平均負荷演算ステップと、
前記特定された負荷と前記平均負荷とを比較する負荷比較ステップと、を備え、
前記負荷に関する情報は前記負荷比較ステップで得られる比較結果である、ことを特徴とする請求項6に記載の駐車容易性情報作成方法。
【請求項8】
前記負荷は駐車に要する時間及び/又は切替し回数である、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の駐車容易性情報作成方法。
【請求項9】
前記駐車場の駐車マスの幅を特定する駐車マス幅特定ステップを備え、
特定された前記駐車マス幅は前記駐車容易性判定ステップでの判定に利用される、ことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の駐車容易性情報作成方法。
【請求項10】
前記プローブカーの特性を示すプローブカー特性情報に応じて前記負荷に関する情報を仕分ける仕分けステップを備え、
前記駐車容易性判定ステップは仕分けられた前記負荷に関する情報を処理する、ことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の駐車容易性情報作成方法。
【請求項11】
プローブカーを用いた駐車場の駐車容易性情報を作成するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
一連の駐車動作において運転者にかかる負荷に関する情報を特定する負荷特定手段と、
前記特定された負荷に関する情報を駐車場ごとに蓄積する負荷情報蓄積手段と、
前記負荷情報蓄積手段で蓄積された負荷に関する情報を処理して前記駐車場ごとに駐車容易性を判定する駐車容易性判定手段と、
該駐車容易性判定手段で得られた判定結果に基づき、前記駐車容易性情報を作成する駐車容易性情報作成手段、
として機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記負荷特定手段を過去に特定された負荷を蓄積してその平均値を演算する平均負荷演算手段と、
前記特定された負荷と前記平均負荷とを比較する負荷比較手段、として機能させ、
前記負荷に関する情報は前記負荷比較手段で得られる比較結果である、ことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記負荷は駐車に要する時間及び/又は切替し回数である、ことを特徴とする請求項11又は12に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータを、
前記駐車場の駐車マスの幅を特定する駐車マス幅特定手段、として機能させ、
特定された前記駐車マス幅は前記駐車容易性判定手段での判定に利用される、ことを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記コンピュータを、
前記プローブカーの特性を示すプローブカー特性情報に応じて前記負荷に関する情報を仕分ける仕分け手段、として機能させ、
前記駐車容易性判定手段は仕分けられた前記負荷に関する情報を処理する、ことを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項11〜請求項15のいずれかに記載のコンピュータプログラムを記録する記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−231493(P2010−231493A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78248(P2009−78248)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【Fターム(参考)】