説明

駐車支援システム

【課題】映像を含む駐車支援情報の提供を車両側の負担を極力少なくして行えるようにする。
【解決手段】駐車施設Tが、駐車スペース1を上方から撮像するカメラCと、カメラCで撮像された車両Vおよびその周囲の映像を含む駐車支援情報を生成する映像処理部12を有する。駐車支援用の映像が、映像処理部12から双方向通信によって車両Vに送信される。車両Vに送信された駐車支援用の映像は、駐車施設Tから車両V側へ送信されたプログラムを実行することにより、車両Vに搭載された表示画面35aに表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を利用して駐車支援を行う駐車支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
駐車支援を行うために、車両(自車両)の周囲状況を撮像した映像を車両に搭載された表示手段に表示させることが行われている。特許文献1には、車両に装備された制御部によって、車両に搭載された車載カメラで撮像された映像に対して駐車施設に装備された施設側カメラで撮像された映像を加味した駐車支援情報を生成して、この駐車支援情報を車両に装備された表示手段に表示させることが開示されている。
【0003】
特許文献2には、車両に搭載された制御部によって、駐車施設に装備された施設側カメラでもって駐車場全体を上方から撮像した映像を得て、駐車場平面の作成と空き駐車スペースの検出を行って、車両の現在位置から空き駐車スペースまでの誘導経路を作成して、この誘導経路を車両に搭載された表示手段に表示することが開示されている。特許文献3には、自車両が後退するときに、自車両に搭載したカメラでは死角となる領域の映像を、他車両に搭載したカメラで撮像するようにして、この他車両で撮像された死角領域の映像を自車両に搭載された表示手段に表示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−148472号公報
【特許文献2】特開2005−182504号公報
【特許文献3】特開2004−64696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の駐車支援システムにあっては、車両に駐車支援用の映像を撮像するための撮像手段を搭載する他、この撮像手段で撮像された映像を含む駐車支援情報を生成するための特別の制御部(つまりプログラム)や駐車支援情報生成のための膨大な各種データを記憶しておく必要がある。このことは、車両側にとってみれば、開発コストや製造コストがアップしたり複雑な制御を実行しなければならない等の原因となる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、映像を含む駐車支援情報の提供を車両側の負担を極力少なくして行えるようにした駐車支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
駐車施設の駐車スペースを上方から撮像する施設側撮像手段と、
駐車施設に入場する車両に搭載された車載通信手段と双方向通信を行うための施設側通信手段と、
前記施設側撮像手段で撮像された車両およびその周囲の映像を含む駐車支援情報を生成する施設側制御部と、
を備えた駐車支援システムであって、
前記施設側制御部は、前記駐車支援情報と該駐車支援情報を車両に搭載された表示手段に表示させるためのプログラムとを前記双方向通信によって車両に送信する、
ようにしてある。上記解決手法によれば、駐車支援用の映像を撮像する撮像手段を車両に搭載する必要がなく、また映像を含む駐車支援情報の生成は駐車施設側で行うので、車両側は駐車施設側から送信されてくる駐車施設情報を受信して表示手段に表示するだけでよく、車両側の負担が極めて小さくてすむことになる。
【0008】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
車両は、前記車載通信手段と前記表示手段とに接続された車両側制御部を有し、
前記車両側制御部は、前記プログラムの実行に基づいて、車両の車体寸法に関する車体情報および現在の運転状態に関する運転情報を前記双方向通信によって前記施設側制御部に送信し、
前記施設側制御部は、前記双方向通信によって得られた前記車体情報および前記運転情報に基づいてその後の車両の移動軌跡を予測して、該予測された車両の移動軌跡を前記駐車支援情報に含める処理を行なう、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、予測された車両の移動軌跡が表示されることにより、駐車支援をより一層効果的に十分に行う上で好ましいものとなる。
【0009】
前記車載側制御部は、車両の運転者から送信許可の操作があったことを条件として、前記車体情報および前記運転情報を施設側制御部に送信する、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、運転者が好ましくないと考える車両側の情報を駐車施設側に不用意に送信してしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
【0010】
前記施設側制御部は、前記駐車支援情報の生成に用いるために取得を希望する車両側の情報の種類をあらかじめ前記車載側制御部に送信し、
前記車載側制御部は、前記施設側制御部から送信されたきた取得希望する車両側の情報の種類に応じた情報を該施設側制御部に送信する、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、駐車施設側は、移動軌跡の予測に必要となる情報を車両側から確実に入手することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、映像を含む駐車支援情報の提供を車両側の負担を極力少なくして行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】駐車施設の一例を示す図。
【図2】駐車施設側と車両側とに装備されるシステムの一例を示す図。
【図3】表示される駐車支援情報の一例を示す図。
【図4】表示される駐車支援情報の別の例を示す図。
【図5】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図6】本発明の別の制御例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、Tは屋外に設置された駐車施設を示し、図中1は多数の駐車スペースであり、隣り合う駐車スペース1同士は区分線2で区画され、各駐車スペース1の後端(奥側)位置には車止め(用のブロック)3が設置されている。駐車施設Tの入口4には、開閉されるゲートバー5が設置され、車両Vは、入口4から開いたゲートバー5を通過して、走行路6を通って任意の駐車スペース1に到達できるようにされている。なお、駐車施設Tの出口は、図示を略すが入口4とは別の場所に設けられている。
【0014】
入口4の脇には、管理棟7が設置され、この管理棟7内に、駐車施設側のコントローラUTが装備されている。また、駐車施設Tには、高い位置において、各駐車スペース1を上方から撮像する撮影手段としてのカメラC設けられている。なお、全駐車スペース1を上方から撮影するために1台のカメラCでは不十分な場合は、複数のカメラCを設けておけばよい。
【0015】
カメラCで撮像された映像は、施設側コントローラUTに入力されて、施設側コントローラUTでもって、車両Vおよびその周辺の映像を含む駐車支援用の映像が生成される。そして、施設側コントローラUTでもって生成された駐車施設用の映像は、無線通信手段を介して車両Vに送信されて、車両Vに装備された表示手段に表示されるようになっている。
【0016】
図2は、施設側コントローラUTと、車両Vに搭載された車両側コントローラUVのシステム構成例が示される。この図2において、施設側と車両側とで互いに無線によって双方向通信するために、施設側コントローラUTが無線通信部11を有する一方、車両側コントローラUVが無線通信部31を有する。
【0017】
施設側コントローラUTは、映像処理部12、障害物検出手部13,車両挙動推定部14、支援プログラム配布部15,ネットワーク状態監視部16、トリガ発生部17を有する。また、施設側コントローラUTは、駐車施設を上方から見た詳細な地図データをデータベースとして記憶しているハードディスク等の記憶手段18を有する。さらに、施設側コントローラUTには、前述した高所に設置されたカメラCで撮像された映像の他、駐車施設Tの各所に設置された非定常的な障害物(駐車施設Tに元々設置されている支柱等の固定障害物以外の障害物で、例えば買い物カートや人体等)を検出するセンサ、カメラ、レーダ等からの障害物検出センサ類19からの情報が入力される。なお、センサ類19は、図1では1つのみ示されるが、実際には、駐車施設T内の隅々を検出できるように複数(多数)設置されているものである。
【0018】
障害物検出部13は、地図データを記憶した記憶手段18とセンサ類19とからの出力を受けて、検出された障害物を地図データ中に組み込んで、映像処理部12に出力する。車両挙動推定部14は、後述するように車両側から送信されてくる車体の寸法に関する車体情報や舵角、車速、現在選択されている変速段(特に後退段)等の運転情報に基づいて、その後、車両Vが現在位置からどのような移動軌跡をたどるかの予測(推定)を行って、その予測結果を映像処理部12に出力する。映像処理部12で生成された映像は、圧縮処理された後、無線通信部11を介して車両V側に送信される。
【0019】
映像処理部12は、基本的に、カメラCで撮像された映像つまり駐車施設を受ける車両Vおよびその周辺の映像を取り込む。また、映像処理部12は、カメラCで撮像された映像中に、障害物検出部13で検出された障害物を組み込む処理と、車両挙動推定部で予測されたその後の車両の移動軌跡を映像で示すための処理を行う。
【0020】
トリガ発生部17は、駐車支援開始の信号を発生するためのもので、実施形態では、入口4近くに設置したスイッチ9(図1参照)を車両Vの運転者が操作したときに駐車施設を受ける意思があるということで、駐車施設開始信号を出力するようになっている。支援プログラム配布部15は、車両Vでの制御に必要なプログラムを記憶していて(記憶手段)、トリガ発生部17から駐車支援開始の信号を受けたときに、記憶しているプログラムを車両Vに向けて送信する。なお、ネットワーク状態監視部16は、施設側コントローラUTが正常に作動しているか否かを監視するためのものであり、このネットワーク状態監視部16には、例えばGPSシステム等からの極めて正確な時刻情報が入力されるようになっている。
【0021】
一方、車両側コントローラUVは、無線通信部31の他、映像処理部32,車両情報送信部33,車両状態管理部34、表示装置35を有する。映像処理部32は、無線通信部31で受信した駐車支援用の圧縮された映像(映像信号)を解凍して、車両Vに搭載された表示装置35に出力する。表示装置35は、表示画面(ディスプレイ)35aと表示画面35aへの表示制御等を行う制御部35bとを有する。勿論、表示画面35aは、運転者に目視し易い位置に設置されているものである(例えばナビゲーション用の表示画面を利用することができる)。なお、表示画面35aは1つに限らず複数であってもよく、例えば運転者が後方を向いたときに運転者によって目視可能なバックモニタを表示画面35aとして利用することもできる。
【0022】
車両状態管理部34は、例えばGPS等からの正確な位置と時刻の情報が入力され、また各種車両情報が入力される。車両情報としては、実施形態では、車体の寸法(例えば全長、全幅、全高、ホイールベース等)に関する車体情報と、車速、舵角、変速段(特に後退段)等の運転情報との両方を含むものとされている。この車体情報と運転情報とは、車両Vが駐車する際に、現在位置から所定時間後(例えば1〜3秒後)までの移動軌跡を推定するために必要なデータとされる。そして、車両状態管理部34で入手された各種情報は、車両情報送信部33から無線通信部31を介して、施設側コントローラUT(の車両挙動推定部14)に送信される。
【0023】
ここで、施設側コントローラUTにおける支援プログラム配布部15から車両側コントローラUVに対して配布されるプログラムは、車両側コントローラUVの映像処理部32での映像処理と車両情報送信部33での車両情報送信を行うために必要なプログラムとされる。具体的には、映像処理部32においては、施設側コントローラUTの映像処理部12から出力される映像が圧縮されていることから、この圧縮映像を解凍(復元)して、通常の表示画面で表示可能な映像信号とするために必要なプログラムとされる。また、車両情報送信部33においては、車両挙動推定部14での移動軌跡の予測に必要な情報を選択して、施設側コントローラUT側に送信するために必要なプログラムとされる。
【0024】
図3は、車両Vに搭載された表示画面35aに表示される駐車支援用の映像例を示すものである。すなわち、表示画面35aに表示される映像は、施設側コントローラUTの映像処理部12から出力される映像信号に対応していて、車両側コントローラUVの映像処理部32から表示画面35a(の制御部35b)へ出力される映像信号に対応しているものとなる。図3の例では、複数の駐車スペース1を区別するために、個別に1a、1b、1c・・・の符合を付してある。車両Vは、駐車スペース1cに駐車しようとしているが、両隣りの駐車スペース1bおよび1dには、他車両VX1あるいはVX2が既に駐車していて、車両Vにとっては障害物となっている。
【0025】
図3に示す車両Vとその周辺の映像は、車両Vの現在位置が、駐車スペース1cや他車両VX1、VX2との関係で、上方から(俯瞰的に)見た映像として示されるので、車両Vを運転する運転者は、表示画面35aを目視しつつハンドル操作を行う等によって、車両Vを駐車スペース1cに駐車するための支援を受けることになる。
【0026】
車両Vの予測されたその後(所定時間後)の移動軌跡が、破線で示される。この破線で示す移動軌跡のうち、α1、α2は、車両Vの左右外側面位置を示すものであり、β1,β2,β3は、車両Vの後端位置を示すものである。この移動軌跡をみると、そのままでは、図3左側の他車両VX2に衝突してしまう可能性が高いことが理解され、車両Vの運転者は、より大きくハンドルを切る(右側に切る)操作をするよう促されることになる。この場合、他車両VX2と衝突する直前からその後の移動軌跡を例えば赤色で示す一方、それよりも前の時点での移動軌跡を別の色(例えば青色)で表示することもできる。なお、障害物としての他車両VX1、VX2は、元々カメラCで撮像された映像中に含まれるものであるが、障害物はカメラC以外のセンサ類18(図2参照)で検出されたものであってもよい。
【0027】
図4は、図3に対応した駐車支援用の別の映像例を示すものである。図4では、車両Vの現在位置が実線で示され、車両Vの現在から前の時点の軌跡が一点鎖線で示され(γ1,γ2)、現在から後の時点の軌跡(予測される移動軌跡)が破線で示される(δ1,δ2)。図4では、現在よりも前後の各軌跡γ1、γ2,δ1、δ2共に、車両Vを上方から見たときの外形線として表示されるようになっている。また、過去の軌跡γ1,γ2と将来の軌跡δ1,δ2とは、それぞれ2段階(2個)ずつ示すようにしているが、1段階あるいは3段階以上示すようにしてもよい。さらに、車両Vを、現在位置と過去の位置はそれぞれ不透明表示とし、予測軌跡δ1,δ2については透明表示(外形線の中味が透明)としてもよい。さらに、過去の軌跡γ1,γ2と将来の軌跡δ1,δ2とは、現在から近いほど濃く表示するようにしてもよい(現在から遠いほど薄く表示)。また、表示する過去の軌跡γ1,γ2と将来の軌跡δ1,δ2との数は、車両速度によって変更するようにしてもよい(車両速度が遅いほど過去および将来の表示数を大とする)。
【0028】
図5は、前述した図3、あるいは図4に示すような映像表示を車両Vの表示画面35aに行わせるための制御例を示すものである。以下、図5について説明するが、以下の説明でSはステップを示す。また、図中、左側のステップS1〜S10は施設側コントローラUTの制御内容を示し、右側のステップS21〜S25は車両側コントローラUVの制御内容を示す。
【0029】
まず、S1において、管理棟7に装備された車両センサ8によって、車両Vが入口4に到達したか否かが判別される(車両センサ8については図1参照)。このS1の判別でYESのときは、S2において、駐車支援を受けるか否かの問い合わせ、および駐車支援を希望する場合にはスイッチ9を操作する旨の案内が、車両V(の運転者)に対してなされる(例えば音声案内)。この後、S3において、入口4にある車両Vの運転者が操作可能な位置に設けられた駐車支援確認スイッチ9が操作されたか否かが判別される。すなわち、駐車支援を受ける意思があるか否かの問い合わせを受けた車両BVの運転者がスイッチ9を操作することによって、S3の判別がYESとなって、駐車支援の制御が開始される。上記S1〜S3の処理が、図2におけるトリガ発生部17での制御内容に相当する。
【0030】
S3の判別でYESのときは、S4において、無線通信部11を用いた双方向通信が開始される(車両側ではS21が対応)。この後、S5において、駐車支援のためのプログラムが、双方向通信によって、施設側コントローラUTから車両側コントローラUVに送信される。S5での処理に対応して、車両側ではS22で駐車支援用プログラムが受信されて、起動される。この後、車両側コントローラUVでは、S23において、車両情報(車体寸法に関する車体情報と、車速、舵角、選択されている変速段等に関する運転情報)が、施設側コントローラUTに向けて送信され、これに対応して、施設側コントローラUTでは、S6において、車両情報を受信する。
【0031】
S6の後、S7において、カメラCで撮像された映像を含む駐車支援情報が生成される(例えば図3、図4に示すような駐車支援の映像の生成)。生成された駐車支援の映像は、S8において、車両側コントローラUVに送信される。車両側コントローラUVでは、S24において、駐車支援用の映像を受信して、表示画面35aに表示させる。
【0032】
S8の後、S9において、車両Vの駐車が完了したか否かが判別される。この判別は、例えば、カメラCで撮像された車両Vの映像が、ある駐車スペース1内に存在し、かつ所定時間以上不動状態であることが確認されたときに、駐車完了であると判断することができる。このS9の判別でNOのときは、S6に戻って、前述した処理が繰り返される。また、S9の判別でYESのときは、S10において、駐車支援を打ち切る(終了する)旨の信号が、車両側コントローラUVに向けて送信されて、施設側コントローラUTでの制御が終了される。車両側コントローラUVでは、駐車支援が打ち切る旨の信号を受信すると、車両側コントローラUV側での駐車支援に関する制御が終了される(駐車支援終了を音声案内してもよい)。
【0033】
図6は、図5の変形例を示すもので、車両情報を車両側から施設側コントローラUTへ送信することの可否を、あらかじめ車両Vの運転者の許諾を得ることを条件に行うようにしたものである。なお、図6では、図5の場合と同じステップについて同じ符合を付してある。
【0034】
図6においては、施設側コントローラUTは、S5の後、S11において、現在からその後の車両Vの移動軌跡を予測するために必要となる車両情報(の種類)が、車両側コントローラUVに対して送信される。この送信を受信した車両側コントローラUV側では、S31において、施設側コントローラUTが希望する車両情報が表示画面35aに表示させると共に、例えば表示画面35a中に、送信可と送信不可(禁止)とを示すタッチパネル式のスイッチ部が表示される。この後、S32において、車両情報の送信許可があるか否かが判別される。例えば表示画面35aに表示される「送信可」を運転者がタッチすることにより送信許可があったものとして、S23において、施設側コントローラUTが希望する車両情報全てについて、施設側コントローラUTに送信される。また、表示画面35aに表示されている「送信不可」のスイッチ表示部を運転者がタッチ操作すると、S32の判別でNOのとなって、このときは、S33において、車両情報の送信を行わない(禁止する)旨の信号が、施設側コントローラUTに送信される。
【0035】
施設側コントローラUTでは、S12において、S23あるいはS33での送信を受けた後、S7以降の処理が実行される。S7では、車両情報の送信を受けている場合は、図5の場合(図3あるいは図4の表示)と同様に、駐車支援の映像として、将来予測される移動軌跡が表示されたものを生成する。また、S7において、車両情報の送信禁止のときは、車両情報が無いために、将来の移動軌跡を含まない駐車支援用の映像を生成することになる。
【0036】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。図5のS1〜S3の処理は、施設側コントローラUTとは別の施設側コントローラで行って、駐車支援開始スイッチ9がON操作されたときに、別の施設側コントローラから施設側コントローラUTに対して駐車支援開始のトリガ情報を送信して、このトリガ情報を受信したことを条件として、施設側コントローラUTでS4の制御から開始するようにすることもできる。図5のS1S3の処理を行うに際して、車両Vが入口4に到達した時点で駐車支援プログラムを車両Vに送信して、このプログラムの実行に基づいて、駐車支援を受けるか否かの問い合わせと、その応答(車両Vの運転者からの応答)を車両V側から施設側コントローラUTに対して送信させるようにすることもできる。さらに、入口4に到達した車両Vに対して、無条件に駐車支援を行うようにしてもよい。
【0037】
カメラCが斜めから駐車施設Tを撮像する場合に、真上から見た映像に変換する処理を行うのが好ましいものである(複数台のカメラCを用いて撮像する場合も同じ)。駐車する可能性が低いと考えられる場合(例えば所定車速以上で直進しているときや、車両Vが駐車スペースの近くに位置しない場合等)は、例えば、駐車施設の地図データ上に車両Vの現在位置や既に駐車済みの駐車スペースを表示させて、駐車支援用の映像とすることもできる(駐車スペースの案内表示)。表示画面35aに表示される映像は、実際の映像を簡素化したものや例えば車両V等についてその外形のみをイラスト的に表示した画像等であってもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、車両の駐車支援を行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
T:駐車施設
V:車両(駐車希望する車両)
C:カメラ(撮像手段)
UT:施設側コントローラ
UV:車両側コントローラ
1:駐車スペース
2:区分線
3:車止め
4:入口
5:ゲートバー
6:走行路
7:管理棟
8:車両センサ
9:スイッチ(駐車支援要請用)
11:無線通信部
12:映像処理部
13:障害物検出部
14:車両挙動推定部
15:支援プログラム配布部
17:トリガ発生部
31:無線通信部
32:映像処理部
33:車両情報送信部
34:車両状態管理部
35:表示装置
35a:表示画面
35b:制御部(表示画面制御用)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車施設の駐車スペースを上方から撮像する施設側撮像手段と、
駐車施設に入場する車両に搭載された車載通信手段と双方向通信を行うための施設側通信手段と、
前記施設側撮像手段で撮像された車両およびその周囲の映像を含む駐車支援情報を生成する施設側制御部と、
を備えた駐車支援システムであって、
前記施設側制御部は、前記駐車支援情報と該駐車支援情報を車両に搭載された表示手段に表示させるためのプログラムとを前記双方向通信によって車両に送信する、
ことを特徴とする駐車支援システム。
【請求項2】
請求項1において、
車両は、前記車載通信手段と前記表示手段とに接続された車両側制御部を有し、
前記車両側制御部は、前記プログラムの実行に基づいて、車両の車体寸法に関する車体情報および現在の運転状態に関する運転情報を前記双方向通信によって前記施設側制御部に送信し、
前記施設側制御部は、前記双方向通信によって得られた前記車体情報および前記運転情報に基づいてその後の車両の移動軌跡を予測して、該予測された車両の移動軌跡を前記駐車支援情報に含める処理を行なう、
ことを特徴とする駐車支援システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記車載制御部は、車両の運転者から送信許可の操作があったことを条件として、前記車体情報および前記運転情報を施設側制御部に送信する、ことを特徴とする駐車支援システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記施設側制御部は、前記駐車支援情報の生成に用いるために取得を希望する車両側の情報の種類をあらかじめ前記車載制御部に送信し、
前記車載制御部は、前記施設側制御部から送信されたきた取得希望する車両側の情報の種類に応じた情報を該施設側制御部に送信する、
ことを特徴とする駐車支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−175509(P2011−175509A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39792(P2010−39792)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】