説明

駐車管理システム

【課題】簡易なシステムで、パーキングエリアに駐車される車の駐車違反を検知する。
【解決手段】この駐車管理システムにおいて、車を駐車するパーキングエリアに対応して設置されたパーキングメータには、パーキングエリアに駐車された車の駐車時間が規定の時間より長くなった場合に点灯又は点滅する超過灯が設置される。超過灯の光を受光する位置には超過灯の点灯又は点滅を受光して、所定の出力を発するフォトダイオードが設置される。フォトダイオードには送信側無線端末が接続される。送信側無線端末は、フォトダイオードの出力を受けて点灯又は点滅開始の情報を送信する。送信側無線端末が送信する情報は、無線ネットワークまたはIPネットワークを経由して、受信側端末により受信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駐車管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーキングメータの駐車時間超過の監視は、巡回員等の見回りによって行なわれている。監視を行なう巡回員は、パーキングメータの超過時間の表示を監視し、その超過時間に応じて、例えば、駐車時間超過を警告するステッカーを貼るなどの警告を行ったり、場合によっては、警察に通報し、レッカー車により超過している車を移動したりするなどの措置を採っていた。
【0003】
また、特許文献1には、駐車場に設置されたパーキングメータに取り付けられた駐車管理システムが開示されている。この駐車管理システムは、超音波送受信機と携帯用無線電話機とを有し、超音波送受信機により車が駐車されたことを検知する。そして、規定の駐車料金が支払われない場合や、決められた駐車時間を超過した場合、その情報が、携帯用無線電話機から発信される。発信された情報は、携帯用無線電話機の属する無線ゾーン内の基地局等を通じて、警備員や警察官の持つ無線に連絡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−305814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のような巡回員の見回りにより駐車時間の超過を監視する方法では、駐車時間超過の発見ために、適正な駐車時間内の車両のパーキングメータを含め全てのパーキングメータを監視する必要があり、監視作業が不効率である。また、パーキングメータの数に応じた巡回員の人数が必要となるため、パーキングメータが大量にある地域では、巡回員の人数を多数確保する必要がある。更に、巡回員の見回りによる監視の場合、パーキングメータ管理のための人件費が高くなることが考えられる。
【0006】
また、上記特許文献1のように、超音波送受信機と携帯用無線電話とにより違反車両とを監視するためには、パーキングメータ内或いはパーキングエリアに、違反車両の存在を検知する超音波送受信機や、検知信号を受信して携帯用無線電話を作動させるための回路や装置を新たに設置する必要がある。従って、現在設置されているパーキングメータあるいはパーキングエリアを、改造したり取り替えたりする必要が生じ、改良に伴う経費が大きくなることが考えられる。
【0007】
従って、この発明は、上記課題を解決することを目的とし、より簡易なシステムで、パーキングエリアに駐車される車の駐車違反を検知できるよう改良された駐車管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、駐車管理システムであって、
車を駐車するパーキングエリアに対応して設置されたパーキングメータと、
前記パーキングエリアに駐車された車の駐車時間が、規定の時間より長くなった場合に点灯又は点滅する超過灯と、
点灯又は点滅する前記超過灯の光を受光したときに、所定の出力を発するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードの出力を受けて、前記超過灯の点灯又は点滅開始時間並びに消灯時間、及び前記パーキングメータを特定する情報を、無線ネットワークまたはIPネットワークを介して、所定の受信側端末に送信する送信側無線端末と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明によれば、超過灯の光を受光するフォトダイオードの設置により、超過灯の光の点灯又は点滅を、即時に検知することができるため、監視員がパーキングメータを見回らなくても確実に駐車時間超過を把握することができる。従って、複数のパーキングメータの監視を効率的に行なうことができ、監視員の人数削減を図ることができる。
【0010】
また、第1の発明は、フォトダイオードの設置により超過灯の光を受光することで、駐車時間超過を検知するものである。従って、この駐車管理システム導入においては、既存のパーキングメータに、フォトダイオードとそれに接続される送信側の無線端末を設置するだけでよい。これにより、駐車管理システム導入に伴う改造や取り換え等を低減し、経費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態の駐車管理システムの全体構成を説明するための模式図である。
【図2】この発明の実施の形態の駐車管理システムの超過灯及び監視部について説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
【0013】
実施の形態.
図1はこの発明の実施の形態における駐車管理システムの全体構成について説明するための模式図である。図1のシステムは、パーキングメータ2を有している。なお、簡略化のため図1では、1のパーキングメータ2のみを図示しているが、複数の車が駐車できる場所では複数のパーキングメータ2、即ち、駐車される車1台ごとのパーキングエリアそれぞれに対して1台ずつのパーキングメータ2が設置される。
【0014】
パーキングメータ2には、超過灯4、監視部6、及び送信側広域無線端末8が備えられている。送信側広域無線端末8は、一般的に使用されるFOMAモジュール、特定小電力無線局、特定小電力無線局を利用した公衆無線に対応するよう改良したものなど、特に限定されない。
【0015】
また、このシステムは、基地局12と受信側広域無線端末14とを含む。送信側広域無線端末8と基地局12と、基地局12と受信側広域無線端末14との間は、無線ネットワーク等を通じて信号が送受信される。
【0016】
図2は、パーキングメータ2の超過灯4及び監視部6の回路の概略を示したものである。パーキングメータ2には、予め、パーキングエリアに駐車できる規定駐車時間が管理者によって設定され、記憶されている。パーキングエリアに、車10が駐車されると、パーキングメータ2には、駐車時刻を記憶し、駐車時間のカウントを開始する。
【0017】
超過灯4は、内部にLED4aを備え、パーキングメータ2を使用している車10が、規定駐車時間を超過している場合に、点灯又は点滅するように設定されている。超過灯4のLED4aが発する光の波長は、ここでは660nm帯である。これは、現在の一般的なパーキングメータに使用されている超過灯の光の波長帯である。
【0018】
監視部6は、フォトダイオード6aを備える。フォトダイオード6aは、Geフォトダイオードであり、超過灯4の発する光を受光できる位置に設置されている。フォトダイオード6aが超過灯4の点灯又は点滅を受光すると、フォトダイオード6aから電流が流れ、送信側広域無線端末8に接続される出力端子6bに電圧Voutが出力される。尚、図2において、Vccは電源電圧、Rは抵抗を示す。これにより、超過灯4の点灯又は点滅が検知される。
【0019】
送信側広域無線端末8は、監視部6からの出力を受けることで作動し、超過灯4の点灯又は点滅の開始時刻を計測すると共に、無線ネットワークを経由して、パーキングメータ2を特定する情報、点灯又は点滅開始時刻の情報を発信する。更に、送信側広域無線端末8は、超過灯4の点灯又は点滅の後、車10が移動して超過灯4が消灯した場合、消灯した旨の情報を発信する。ここで、パーキングメータ2を特定する情報とは、パーキングメータ2の設置情報である。より具体的には、例えば、パーキングメータの位置情報とその識別番号を関連付けておき、送信側広域無線端末8に予めその識別番号を設定しておくことで、その情報が送信される。これにより違反があったパーキングメータ2の設置場所等が特定されることとなる。
【0020】
これらの情報は、無線ネットワーク及び基地局12を経由して、受信側広域無線端末14に送信される。受信側広域無線端末14は情報信号を受信した際にアラームが鳴る機能を有すると共に、受信側広域無線端末14は、受信した情報を表示する機能を有している。また、複数のパーキングメータ2に設置された各送信側広域無線端末8からの上記情報は、同一の受信側広域無線端末14に送信される場合もあり、巡回員の要因に応じていくつかの受信側広域無線端末14に送信される場合もある。
【0021】
受信側広域無線端末14を使用する巡回員は、受信側広域無線端末のアラームにより時間超過駐車の通報を受けたことを把握し、表示された端末情報により、そのパーキングメータ2の設置場所などを把握することができる。これにより、巡回員は、違反のあったパーキングメータ2に移動し、ステッカーを貼るなどの警告を行なうことができ、また、超過時間の長さ等を考慮して効率的に必要な警告を行なうこともできる。
【0022】
以上の駐車管理システムにより、巡回員は確実に駐車時間を超過した車両の存在を把握することができる。また、駐車時間超過等の違反が発生すると、超過灯4の受光により自動的に、監視員の所有する受信側広域無線端末14に送信させる。従って監視員は、逐次、違反を把握することができ、効率的に監視を行なうことができると共に、パーキングの使用の適正化を図ることができる。また、複数のパーキングについて、一括して効果的に監視を行い、使用の適正化を図ることができる。
【0023】
また、この駐車管理システムでは、従来のパーキングメータ2の外側に、超過灯4の光を受信するフォトダイオード6aを有する監視部6と、それに接続する送信側広域無線端末を追加するだけで、容易に監視を行なうことができる。従って、パーキングメータ内の大掛かりな改造や取り換え等が不要であり、駐車管理システムを導入のためのコストを低減することができる。
【0024】
なお、この実施の形態においては、受信側広域無線端末14が無線端末である場合について説明した。しかし、この発明において受信側の端末は無線端末である場合に限られるものではなく、例えば、IPネットワークに接続されるような固定端末などであってもよい。
【0025】
また、実施の形態では、送信側広域無線端末8、基地局12、受信側広域無線端末14間は、それぞれ無線ネットワークを経由する場合について説明した。しかし、無線ネットワークに限らず、IPネットワーク等を経由するものであってもよい。
【0026】
なお、実施の形態では、超過灯4として660nm帯の光を発するLED4aを用いる場合について説明した。しかしこの発明において、超過灯はLEDに限られるものではなく、他の点灯、点滅手段を用いるものであってもよい。また、超過灯の発する光の波長も、実施の形態に説明したものに限定されず、超過灯は他の波長域の光を発するものであってもよい。
【0027】
また、監視部6のフォトダイオード6aがGeフォトダイオードである場合について説明したが、この発明はこれに限られるものではない。ここでフォトダイオードは、例えばSiフォトダイオードなど一般的なフォトダイオードを用いることができる。但し、超過灯が発する光を受光するため、超過灯の光の波長に応じたものを用いる必要がある。
【0028】
これ以外の点においても、この実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、この実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【符号の説明】
【0029】
2 パーキングメータ
4 超過灯
6 監視部
6a フォトダイオード
8 送信側広域無線端末
10 車
12 基地局
14 受信側広域無線端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車を駐車するパーキングエリアに対応して設置されたパーキングメータと、
前記パーキングエリアに駐車された車の駐車時間が、規定の時間より長くなった場合に点灯又は点滅する超過灯と、
点灯又は点滅する前記超過灯の光を受光したときに、所定の出力を発するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードの出力を受けて、前記超過灯の点灯又は点滅開始時間並びに消灯時間、及び前記パーキングメータを特定する情報を、無線ネットワークまたはIPネットワークを介して、所定の受信側端末に送信する送信側無線端末と、
を備えることを特徴とする駐車管理システム。

【図1】
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【図2】
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