説明

駐車装置

【課題】 電源を動力源として車両を駐車させる駐車装置または駐車装置群を提供する。
【解決手段】
従来の駐車装置に変わって、交流回路と電動機と駐車機構と前記交流回路から入力した電力を電動機へ給電しまた電動機が出力した回生電力を前記交流回路へ給電する駆動デバイスと、蓄電デバイスと、前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ又は前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電できる充放電デバイスと、を備え、前記回生モードのときに前記充放電デバイスが前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ、前記力行モードであって電源からの消費電力が所定の電源容量を越えるときに前記充放電デバイスが前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電する、ものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源を動力源として車両を駐車させる駐車装置に係る。
【背景技術】
【0002】
複数の車両を駐車させるのに駐車装置を用いることがある。
駐車装置は、電動機と駐車機構とで構成される。
電動機は、電源を動力源として動力を出力する。
駐車機構は、電動機に駆動されて車両を入出庫空間と駐車空間との間で移動させて駐車させる。
例えば、駐車機構は、メリーゴーランド方式駐車機構、エレベータ方式駐車機構、エレベータ・スライド方式駐車機構、平面往復方式駐車機構、運搬格納方式駐車機構、二段方式・多段方式駐車機構がある。
例えば、メリーゴーランド方式駐車機構では、上下に配された1対のスプロケットに掛け渡されたチェーンに所定の間隔で吊られたケージに車両を駐車させる。電動機がスプロケットを回転駆動する。
例えば、エレベータ方式駐車機構では、垂直になった昇降路に沿って上下方向に多段の駐車空間を配し、車両を載せたケージを昇降路の中に昇降させて、車両をケージから駐車空間に移載し、駐車させる。電動機は、ケージを吊るケーブルを巻上げ、巻き下げする。さらに、他の電動機が、車両をケージと駐車空間との間で移動させる。
例えば、エレベータ・スライド方式駐車機構では、駐車空間を垂直方向と水平方向に多段に配列し、車両を搬送台車に乗せて入出庫空間と駐車空間の横との間で搬送し、車両を搬送台車と駐車空間との間で移載する。電動機が、搬送台車を移動させる。他の電動機が、車両を搬送台車と駐車空間との間で移動させる。
例えば、平面往復方式駐車機構では、駐車空間を水平に配列し、搬送台車が車両を入出庫空間と駐車空間の横との間で搬送し、車両を搬送台車と駐車空間との間で移載する。電動機が、搬送台車を移動させる。他の電動機が、車両を搬送台車と駐車空間との間で移動させる。
例えば、運搬格納方式駐車機構では、車両を載せる複数のパレットを碁盤目状に配列し、複数のパレットを水平方向に循環できる。電動機が複数のパレットを間欠的に循環する。他の電動機が、車両を入出庫空間とパレットとの間で移載する。
【0003】
近年、地球温暖化対策の必要性が認識されている。
地球温暖化対策のひとつとして省エネルギーな装置の使用が有効である。
駐車装置においても、電力消費を少なくする工夫が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、電源を動力源として車両を駐車させる駐車装置または駐車装置群を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る電源を動力源として車両を駐車させる駐車装置であって、電源から交流の電力を給電される回路である交流回路と、電力で作動し運転モードを動力を出力する力行モードと制動して回生電力を出力する回生モードとに変更できる電動機と、前記電動機に駆動されて車両を入出庫空間と駐車空間との間で移動させて駐車させる駐車機構と、前記運転モードが前記力行モードであるときに前記交流回路から入力した電力を電動機へ給電し前記運転モードが前記回生モードにあるときに電動機が出力した回生電力を前記交流回路へ給電する駆動デバイスと、電力を充電できまたは放電できる蓄電デバイスと、前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ又は前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電できる充放電デバイスと、を備え、前記運転モードが前記回生モードであるときに前記充放電デバイスが前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ、前記運転モードが前記力行モードであって電源からの消費電力が所定の電源容量を越えるときに前記充放電デバイスが前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電する、ものとした。
【0006】
上記本発明の構成により、交流回路が、電源から交流の電力を給電される回路である。電動機が、電力で作動し運転モードを動力を出力する力行モードと制動して回生電力を出力する回生モードとに変更できる。駐車機構が、前記電動機に駆動されて車両を入出庫空間と駐車空間との間で移動させて駐車させる。駆動デバイスが、前記運転モードが前記力行モードであるときに前記交流回路から入力した電力を電動機に給電し前記運転モードが前記回生モードにあるときに電動機が出力した回生電力を前記交流回路へ給電する。蓄電デバイスが、電力を充電できまたは放電できる。充放電デバイスが、前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ又は前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電できる。前記運転モードが前記回生モードであるときに前記充放電デバイスが前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させる。前記運転モードが前記力行モードであって電源からの消費電力が所定の電源容量を越えるときに前記充放電デバイスが前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電する、
その結果、駐車機構を駆動するエネルギーを少なくでき、電源容量を小さくできる。
【0007】
以下に、本発明の実施形態に係る駐車装置を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0008】
本発明の実施形態に係る駐車装置は、前記電源容量が前記駐車機構が車両の運搬を加速した後の一定速度で移動させる際の前記電動機の消費電力に近似する。
上記の実施形態の構成により、前記電源容量が前記駐車機構が車両の運搬を加速した後の一定速度で移動させる際の前記電動機の消費電力に近似する。
その結果、車両の運搬を加速させるときの消費電力のピークを下げることができる。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る電源を動力源として車両を駐車させる駐車装置群であって、電源から交流の電力を供給される回路である交流回路と、電力で作動し運転モードを動力を出力する力行モードと制動して回生電力を出力する回生モードとに変更できる電動機と前記電動機に駆動されて車両を入出庫空間と駐車空間との間で移動させて駐車させる駐車機構と前記運転モードが前記力行モードであるときに前記交流回路から入力した電力を電動機に給電し前記運転モードが前記回生モードにあるときに電動機が出力した回生電力を前記交流回路へ給電する駆動デバイスとを各々に有する複数の駐車装置と、電力を充電できまたは放電できる蓄電デバイスと、前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ又は前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電できる充放電デバイスと、を備え、前記回生電力が単数または複数の前記駐車装置で消費しきれずに前記交流回路で余ったときに前記充放電デバイスが前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ、所定の数を超える数の電動機の運転モードが前記力行モードに同時になり電源からの消費電力が所定の電源容量を越えるときに前記充放電デバイスが前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電する、ものとした。
【0010】
上記本発明の構成により、交流回路が、電源から交流の電力を供給される回路である。
複数の駐車装置が、電力で作動し運転モードを動力を出力する力行モードと制動して回生電力を出力する回生モードとに変更できる電動機と前記電動機に駆動されて車両を入出庫空間と駐車空間との間で移動させて駐車させる駐車機構と前記運転モードが前記力行モードであるときに前記交流回路から入力した電力を電動機に給電し前記運転モードが前記回生モードにあるときに電動機が出力した回生電力を前記交流回路へ給電する駆動デバイスとを各々に有する。蓄電デバイスが、電力を充電できまたは放電できる。充放電デバイスが、前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ又は前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電できる。前記回生電力が単数または複数の前記駐車装置で消費しきれずに前記交流回路で余ったときに前記充放電デバイスが前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させる。所定の数を超える数の電動機の運転モードが前記力行モードに同時になり電源からの消費電力が所定の電源容量を越えるときに前記充放電デバイスが前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電する。
その結果、複数の駐車機構を駆動する全体のエネルギーを少なくでき、電源容量を小さくできる。
【0011】
以下に、本発明の実施形態に係る駐車装置を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0012】
本発明の実施形態に係る駐車装置は、前記電源容量が所定の数の前記駐車機構が車両の運搬を加速した後の一定速度で移動させる際の所定の数の前記電動機の消費電力の合計値に近似する。
上記の実施形態の構成により、前記電源容量が所定の数の前記駐車機構が車両の運搬を加速した後の一定速度で移動させる際の所定の数の前記電動機の消費電力の合計値に近似する。
その結果、複数の駐車装置において同時に車両の運搬を加速させるときの消費電力のピークを下げることができる。
【0013】
本発明の実施形態に係る駐車装置は、同時に前記運転モードが前記力行モードになる前記電動機の数を所定の数を越えない様に、複数の駐車装置の前記電動機の運転モードの運用状況を調整する。
上記の実施形態の構成により、同時に前記運転モードが前記力行モードになる前記電動機の数を所定の数を越えない様に、複数の駐車装置の前記電動機の運転モードの運用状況を調整する。
その結果、複数の駐車装置の全体の消費電力のピークを下げることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係る駐車装置は、その構成により、以下の効果を有する。
電源から前記交流回路へ交流の電力を給電し、前記交流回路から車両を駐車空間で駐車させる前記駐車機構の前記電動機を駆動する前記駆動デバイスに交流の電力を給電し、前記駆動デバイスは前記力行モードで電力を前記電動機に給電し前記回生モードで回生電力を前記交流回路に給電し、前記回生モードで前記充放電デバイスが前記蓄電デバイスに前記交流回路の電力を充電し、消費電力が所定の電源容量を超えるときに放電した電力を前記交流回路に給電する様にしたので、前記駐車機構を駆動するエネルギーを少なくでき、電源容量を小さくできる。
また、電源からの消費電力が車両の運搬を加速させた後の一定速度で移動させる際の前記電動機の消費電力を越えるときに前記電動機が前記蓄電デバイスに蓄電した電力を使用する様にしたので、車両の運搬を加速させるときの消費電力のピークを下げることができる。
また、電源から前記交流回路へ交流の電力を給電し、前記交流回路から車両を駐車空間で駐車させる前記駐車機構の前記電動機を駆動する前記駆動デバイスに交流の電力を給電し、前記駆動デバイスは前記力行モードで電力を前記電動機に給電し前記回生モードで回生電力を前記交流回路に給電する複数の駐車装置に電力を給電し、回生電力が単数または複数の駐車装置で消費しきれずに余ったときに前記充放電デバイスが前記蓄電デバイスに交流回路の電力を充電し、消費電力が所定の電源容量を超えるときに放電した電力を前記交流回路に給電する様にしたので、複数の前記駐車機構を駆動する全体のエネルギーを少なくでき、電源容量を小さくできる。
また、所定の数の前記駐車機構が車両の運搬を加速した後の一定速度で移動させる際の所定の数の前記電動機の消費電力の合計値を越えているときに前記電動機が前記蓄電デバイスに蓄電した電力を使用する様にしたので、複数の駐車装置において同時に車両の運搬を加速させるときの消費電力のピークを下げることができる。
また、複数の前記駐車装置の前記電動機の運転モードの運用状況を調整して、同時に前記運転モードが前記力行モードになる前記電動機の数を所定の数を越えない様にするので、複数の駐車装置の全体の消費電力のピークを下げることができる。
従って、電源を動力源として車両を駐車させる駐車装置又は駐車装置群を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の概念図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の電力系統図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係る駐車装置群の電力系統図である。
【図4】電動機の消費電力の示すグラフである。
【図5】各種の方式に係る駐車装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
説明の便宜上、エレベータ方式駐車機構に本願の発明を適用する場合を例に説明する。
【0017】
最初に、本発明の第一の実施形態にかかる駐車装置を説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の概念図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の電力系統図である。
【0018】
本発明の第一の実施形態にかかる駐車装置は、電源を動力源として車両を駐車させる駐車装置であって、
交流回路10と電動機20と駐車機構30と駆動デバイス40と蓄電デバイス50と充放電デバイス60と制御機器(図示せず)とで構成される。
【0019】
交流回路10は、電源から交流の電力を給電される回路である。
交流回路10は、電源から交流の電力を給電され、駐車機構30の電動機20を駆動する駆動デバイス40に電力を給電する。
例えば、交流回路10は、電源から3相200Vの商用電源を給電される。
【0020】
電動機20は、電力で作動し運転モードを動力を出力する力行モードと制動して回生電力を出力する回生モードとに変更できる。
例えば、電動機20は誘導モータである。
電動機20は、駆動デバイス40により駆動される。
【0021】
駐車機構30は、電動機20に駆動されて車両5を入出庫空間32と駐車空間33との間で移動させて駐車させる機構である。
例えば、駐車機構30は、エレベータ方式の駐車装置の駐車機構である。
駐車機構30は、複数のパレット31と入出庫空間32と複数の駐車空間33と搬送機構34と電源盤35とで構成される。
昇降空間Hの左右に多段に駐車空間33が設けられる。
入出庫空間32が昇降空間Hの下部に設けられる。
搬送機構34は、リフトケージとワイヤと巻上げ機構とで構成される。
電動機20が巻上げ機構を回転駆動してワイヤを巻上げまたは巻き下げしてリフトケージを昇降空間Hの中で昇降させる。
駐車空間33の横にリフトケージを停留しパレット31をリフトケージと駐車空間33との間で移載する。
車両を搭載したパレット31を駐車空間33に置き、車両5を駐車させる。
【0022】
駆動デバイス40は、電動機20を駆動するデバイスである。
駆動デバイス40は、運転モードが力行モードであるときに交流回路10から入力した電力を電動機20へ給電し、運転モードが回生モードにあるときに電動機20が出力した回生電力を交流回路10へ給電する。
例えば、駆動デバイス40は、マトリックスコンバータである。マトリックスコンバータは、交流回路から交流を入力し、周波数を変換して電動機20に給電し、電動機20の回転数を制御する。
例えば、駆動デバイスは、AC/DC電源回生コンバータとDC/ACインバータとを組み合わせたものである。
例えば、電動機が巻き線型誘導電動機である場合に、駆動デバイスは二次抵抗制御器である。
例えば、電動機は、エレベータ方式の駐車機構30の巻上機械を駆動する。
電動機20は、後述する駐車機構30のリフトケージを吊るケーブルを巻上げ巻き下げる。
カウンターウエイト(図示せず)がケーブルの他端に固定される。
リフトケージは、空車のパレット31を乗せる場合と実車のパレット31を乗せる場合がある。
例えば、リフトケージが空車のパレット31を乗せる場合、リフトケージよりカウンターウエイトの方が重くなるので、リフトケージを上昇させるときに運転モードが回生モードとなり、リフトケージを下降させる時に力行モードとなる。
例えば、リフトケージが実車のパレット31を乗せる場合、カウンターウエイトよりリフトケージの方が重くなるので、リフトケージを上昇させるときに運転モードが力行モードとなり、リフトケージを下降させる時に回生モードとなる。
また、運転モードが力行モードであるときに、パレット31を加速させる際に電動機20の消費電力はピークを発生させる。
【0023】
蓄電デバイス50は、電力を充電できまたは放電できる。
例えば、蓄電デバイス50は、バッテリである。
例えば、蓄電デバイス50は、キャパシタである。
例えば、蓄電デバイス50は、モータで駆動されるフライホイールである。
【0024】
充放電デバイス60は、交流回路10から入力した電力を蓄電デバイス50に充電させ又は蓄電デバイス50に放電させた電力を交流回路10に給電できる。
充放電デバイス60は、蓄電デバイス50の蓄電特性と放電特性とに対応して蓄電デバイス50を駆動する。
充放電デバイス60は、交流回路10から入力し、蓄電デバイス50の蓄電特性に合わせて交流を所定の電圧の直流に変換し、蓄電デバイス50の充電または放電を制御する。
【0025】
制御機器は、駐車装置を制御する機器である。制御機器は、コンピュータを内蔵する。
運転モードが回生モードであるときに充放電デバイス60が交流回路10から入力した電力を蓄電デバイス50に充電させる。
運転モードが力行モードであって電源からの消費電力が所定の電源容量を越えるときに充放電デバイスが蓄電デバイスに放電させた電力を交流回路に給電する。
例えば、運転モードが力行モードであるときに電源からの消費電力が所定の電源容量を越えない様に充放電デバイスが蓄電デバイスに放電させた電力を交流回路に給電する。
この様にすると、駐車装置の全体の消費電力を抑えることをできる。
【0026】
電源容量が駐車機構が車両の運搬を加速した後の一定速度で移動させる際の電動機の消費電力に近似してもよい。
図4の上図は、運転モードが力行モードであるときの、電動機の消費電力の変化を加速時、一定走行時、停止時と変移するに応じて変化する様子を示している。
この様にすると、本願の発明を適用しない駐車装置にくらべ消費電力のピークを押さえることができる。
図4の下図は、上記の手順により消費電力のピークを押さえた場合の消費電力の変化の様子を示す。
【0027】
次に、本発明の第二の実施形態にかかる駐車装置群を、図を基に、説明する。
図3は、本発明の第二の実施形態に係る駐車装置群の電力系統図である。
【0028】
本発明の第二の実施形態にかかる駐車装置群は、交流回路10と複数の駐車装置100と蓄電デバイス50と充放電デバイス60と複数の第一電力センサ81と第二電力センサ82とで構成される。
【0029】
交流回路10は、電源から交流の電力を給電される回路である。
交流回路10は、電源から交流の電力を給電され、複数の駐車装置を駆動する電動機に電力を給電する。
例えば、交流回路10は、電源から3相200Vの商用電源を給電される。
【0030】
駐車装置100は、車両を駐車させる装置であって、電動機20と駐車機構30と駆動デバイス40とで構成される。
【0031】
電動機20は、電力で作動し運転モードを動力を出力する力行モードと制動して回生電力を出力する回生モードとに変更できる。
例えば、電動機20は誘導モータである。
電動機20は、駆動デバイス40により駆動される。
【0032】
駐車機構30は、電動機20に駆動されて車両5を入出庫空間32と駐車空間33との間で移動させて駐車させる機構である。
例えば、駐車機構30は、エレベータ方式の駐車装置の駐車機構である。
駐車機構30の一例は、第一の実施形態にかかる駐車装置の記載で説明したので、説明を省略する。
【0033】
駆動デバイス40は、運転モードが力行モードであるときに交流回路10から入力した電力を電動機20へ給電し、運転モードが回生モードにあるときに電動機20が出力した回生電力を 交流回路10へ給電する。
例えば、駆動デバイス40は、マトリックスコンバータである。
例えば、駆動デバイス40は、AC/DC電源回生コンバータとDC/ACインバータとを組み合わせたものである。
例えば、電動機20が巻き線型誘導電動機であるばあいに、駆動デバイス40は二次側抵抗変換器である。
例えば、電動機20は、エレベータ方式の駐車機構30の巻上機械を駆動する。
電動機20は、後述する駐車機構30のリフトケージを吊るケーブルを巻上げ巻き下げる。
カウンターウエイト(図示せず)がケーブルの他端に固定される。
リフトケージは、空車のパレット31を乗せる場合と実車のパレット31を乗せる場合がある。
例えば、リフトケージが空車のパレット31を乗せる場合、カウンターウエイトの方が重くなるので、リフトケージを上昇させるときに運転モードが回生モードとなり、リフトケージを下降させる時に力行モードとなる。
例えば、リフトケージが実車のパレット31を乗せる場合、リフトケージの方が重くなるので、リフトケージを上昇させるときに運転モードが力行モードとなり、リフトケージを下降させる時に回生モードとなる。
また、運転モードが力行モードであるときに、パレット31を加速させる際に電動機20の消費電力はピークを発生させる。
【0034】
蓄電デバイス50は、電力を充電できまたは放電できる。
例えば、蓄電デバイス50は、バッテリである。
例えば、蓄電デバイス50は、キャパシタである。
例えば、蓄電デバイス50は、電動機で駆動されるフライホイールである。
【0035】
充放電デバイス60は、交流回路10から入力した電力を蓄電デバイス50に充電させ又は蓄電デバイス50に放電させた電力を交流回路10に給電できる。
充放電デバイス60は、蓄電デバイス50の蓄電特性と放電特性とに対応して蓄電デバイス50を駆動する。
【0036】
第一電力センサ81と第二電力センサ82とは、交流回路に設けられ電力を検知するセンサである。
第一電力センサ81または第二電力センサ82の一方のみを設けてもよい。
例えば、第一電力センサ81は、交流回路10から駐車装置100へ分岐する分岐点より駐車装置100の側へ設けられ、駐車装置100の各々に給電される電力又は回生する電力を検知する。
例えば、第二電力センサ82は、複数の駐車装置100の電力分岐箇所と充放電デバイス60の電力分岐箇所との間の交流回路に設けられ、複数の駐車装置100へ給電される電力または回生される電力を検知する。
【0037】
制御機器は、駐車装置100を制御する機器である。制御機器はコンピュータを内蔵する。
回生電力が単数または複数の駐車装置100で消費しきれずに交流回路10で余ったときに、充放電デバイスが交流回路から入力した電力を蓄電デバイスに充電させる。
例えば、回生電力が交流回路10で余ったときに、充放電デバイスが交流回路から入力した電力を蓄電デバイスに充電させる。
例えば、第二電力センサ82を複数の駐車装置100の電力分岐箇所と充放電デバイス60の電力分岐箇所との間の交流回路に設け、電力センサ82が電圧と電流の位相差を検出し、電圧と電流の位相差から回生電力が余っているか否かを判断し、回生電力が交流回路10で余ったと判断されるときに、充放電デバイス60が交流回路10から入力した電力を蓄電デバイスに充電させる。
例えば、電力センサ82の検出する電流の位相が電圧の位相より進んでいるときに、回生電流が余っていると判断し、充放電デバイス60が交流回路10から入力した電力を蓄電デバイスに充電させる。
【0038】
例えば、回生電力の合計電力と力行モードである電動機の合計の消費電力を比べ、回生電力が交流回路10で余ったと判断されるときに、充放電デバイス60が交流回路10から入力した電力を蓄電デバイス50に充電させる。
例えば、交流回路10の電圧、電圧をモニタして回生電力が交流回路10で余ったと判断されるときに、充放電デバイス60が交流回路10から入力した電力を蓄電デバイス50に充電させる。
例えば、第一電力センサ81を駐車装置100に各々に設け、各々の第一電力センサ81が検知した回生電力の総和と力行モードである駐車装置100の消費電力の総和とを比べて回生電力の総和が大きいときに、回生電力が交流回路10で余ったと判断して、充放電デバイス60が交流回路10から入力した電力を蓄電デバイス50に充電させる。
例えば、所定の数を超える数の電動機20の運転モードが力行モードに同時になり電源からの消費電力が所定の電源容量を越えるときに、充放電デバイス60が蓄電デバイス50に放電させた電力を交流回路10に給電する。
例えば、所定の数を超える数の電動機20の運転モードが力行モードに同時になるときに、電源からの消費電力が所定の電源容量を越えないように充放電デバイス60が蓄電デバイス50に放電させた電力を交流回路10に給電する。
この様にすると、複数の駐車装置のうちで、回生モードにある駐車装置100の駆動デバイス40が回線電力を交流回路10へ給電し、力行モードにある駐車装置100の駆動デバイス40が交流回路10から電力を入力し電動機に給電する。
その際に、回生電力が単数または複数の駐車装置100で消費しきれずに交流回路10で余ったときに、充放電デバイス60が交流回路10から入力した電力を蓄電デバイス50に充電させる。
さらに、所定の数を超える数の電動機の運転モードが力行モードに同時になり電源からの消費電力が所定の電源容量を越えるときに、充放電デバイス60が蓄電デバイス50に放電させた電力を交流回路10に給電する。
【0039】
電源容量が所定の数の駐車機構30が車両5の運搬を加速した後の一定速度で移動させる際の所定の数の電動機20の消費電力の合計値に近似してもよい。
この様にすると、所定の数の駐車装置100の電動機20が同時に力行モードになったときでも、消費電力のピークを押さえることをできる。
【0040】
同時に運転モードが力行モードになる電動機20の数を所定の数を越えない様に、複数の駐車装置の電動機の運転モードの運用状況を調整してもよい。
例えば、同時に運転モードが力行モードになる電動機20の数を所定の数に達したときに、他の電動機20の運転モードが力行モードに入るのを所定の時間だけ遅らせる。
この様にすると、複数の駐車装置の全体の消費電力のピークを押さえることができる。
【0041】
また、本発明の実施形態に係る駐車装置は、その構成により、以下の効果を有する。
電源から交流回路10へ交流の電力を給電し、交流回路10から車両を駐車空間33で駐車させる駐車機構30の電動機20を駆動する駆動デバイス40に交流の電力を給電し、駆動デバイス40は力行モードで電力を電動機20に給電し回生モードで回生電力を交流回路に給電し、回生モードで充放電デバイス60が蓄電デバイス50に交流回路の電力を充電し、消費電力が所定の電源容量を超えるときに放電した電力を交流回路10に給電する様にしたので、駐車機構30を駆動するエネルギーを少なくでき、電源容量を小さくできる。
また、電源からの消費電力が車両5の運搬を加速させた後の一定速度で移動させる際の電動機20の消費電力を越えるときに電動機20が蓄電デバイスに蓄電した電力を使用する様にしたので、車両5の運搬を加速させるときの消費電力のピークを下げることができる。
また、電源から交流回路10へ交流の電力を給電し、交流回路10から車両を駐車空間で駐車させる駐車機構30の電動機20を駆動する駆動デバイス40に交流の電力を給電し、駆動デバイス40は力行モードで電力を電動機20に給電し回生モードで回生電力を交流回路10に給電する複数の駐車装置100に電力を給電し、回生電力が単数または複数の駐車装置100で消費しきれずに余ったときに充放電デバイス60が蓄電デバイス50に交流回路の電力を充電し、消費電力が所定の電源容量を超えるときに放電した電力を交流回路10に給電する様にしたので、複数の駐車機構30を駆動する全体のエネルギーを少なくでき、電源容量を小さくできる。
また、所定の数の駐車機構30が車両の運搬を加速した後の一定速度で移動させる際の所定の数の電動機20の消費電力の合計値を越えているときに電動機20が蓄電デバイス50に蓄電した電力を使用する様にしたので、複数の駐車装置100において同時に車両5の運搬を加速させるときの消費電力のピークを下げることができる。
また、複数の駐車装置100の電動機20の運転モードの運用状況を調整して、同時に運転モードが力行モードになる電動機の数を所定の数を越えない様にするので、複数の駐車装置100の全体の消費電力のピークを下げることができる。
また、特定の電力網が給電する複数の駐車装置が本願の発明を適用すると、複数の駐車装置の全体の消費電力のピークを下げることができ、電力網の負荷を軽減できる。
【0042】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
駐車機構がエレベータ方式駐車装置の機構であるとして説明したが、これに限定されず、駐車機構は、メリーゴーランド方式駐車機構、エレベータ方式駐車機構、エレベータ・スライド方式駐車機構、平面往復方式駐車機構、運搬格納方式駐車機構、二段方式・多段方式駐車機構のいずれでもよく、また駐車装置は、メリーゴーランド方式駐車機構、エレベータ方式駐車機構、エレベータ・スライド方式駐車機構、平面往復方式駐車機構、運搬格納方式駐車機構、二段方式・多段方式駐車機構のいずれでも、または異なる方式の駐車機構の組合せでもよい。
【符号の説明】
【0043】
H 昇降空間
5 車両
10 交流回路
20 電動機
30 駐車機構
31 パレット
32 入出庫空間
33 駐車空間
34 搬送装置
35 電源盤
40 駆動デバイス
50 蓄電デバイス
60 充放電デバイス
81 第一電力センサ
82 第二電力センサ
100 駐車装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開平05−256038号
【特許文献2】特開平04−366283号
【特許文献3】特開平05−227668号
【特許文献4】特開平06−57086号
【特許文献5】特開平06−67987号
【特許文献6】特開平06−81507号
【特許文献7】特開平06−121407号
【特許文献8】特開平06−318288号
【特許文献9】特開平07−004095号
【特許文献10】特開平10−030354号
【特許文献11】特開平10−124719号
【特許文献12】特開平11−086058号
【特許文献13】特開平11−152925号
【特許文献14】特開2001−312772号
【特許文献15】特開2001−359203号
【特許文献16】特開2002−004620号
【特許文献17】実開平06−028124号
【特許文献18】実開平06−035535号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を動力源として車両を駐車させる駐車装置であって、
電源から交流の電力を給電される回路である交流回路と、
電力で作動し運転モードを動力を出力する力行モードと制動して回生電力を出力する回生モードとに変更できる電動機と、
前記電動機に駆動されて車両を入出庫空間と駐車空間との間で移動させて駐車させる駐車機構と、
前記運転モードが前記力行モードであるときに前記交流回路から入力した電力を電動機へ給電し前記運転モードが前記回生モードにあるときに電動機が出力した回生電力を前記交流回路へ給電する駆動デバイスと、
電力を充電できまたは放電できる蓄電デバイスと、
前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ又は前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電できる充放電デバイスと、
を備え、
前記運転モードが前記回生モードであるときに前記充放電デバイスが前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ、
前記運転モードが前記力行モードであって電源からの消費電力が所定の電源容量を越えるときに前記充放電デバイスが前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電する、
ことを特徴とする駐車装置。
【請求項2】
前記電源容量が前記駐車機構が車両の運搬を加速した後の一定速度で移動させる際の前記電動機の消費電力に近似する、
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車装置。
【請求項3】
電源を動力源として車両を駐車させる駐車装置群であって、
電源から交流の電力を供給される回路である交流回路と、
電力で作動し運転モードを動力を出力する力行モードと制動して回生電力を出力する回生モードとに変更できる電動機と前記電動機に駆動されて車両を入出庫空間と駐車空間との間で移動させて駐車させる駐車機構と前記運転モードが前記力行モードであるときに前記交流回路から入力した電力を電動機に給電し前記運転モードが前記回生モードにあるときに電動機が出力した回生電力を前記交流回路へ給電する駆動デバイスとを各々に有する複数の駐車装置と、
電力を充電できまたは放電できる蓄電デバイスと、
前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ又は前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電できる充放電デバイスと、
を備え、
前記回生電力が単数または複数の前記駐車装置で消費しきれずに前記交流回路で余ったときに前記充放電デバイスが前記交流回路から入力した電力を前記蓄電デバイスに充電させ、
所定の数を超える数の電動機の運転モードが前記力行モードに同時になり電源からの消費電力が所定の電源容量を越えるときに前記充放電デバイスが前記蓄電デバイスに放電させた電力を前記交流回路に給電する、
ことを特徴とする駐車装置群。
【請求項4】
前記電源容量が所定の数の前記駐車機構が車両の運搬を加速した後の一定速度で移動させる際の所定の数の前記電動機の消費電力の合計値に近似する、
ことを特徴とする請求項3に記載の駐車装置群
【請求項5】
同時に前記運転モードが前記力行モードになる前記電動機の数を所定の数を越えない様に、複数の駐車装置の前記電動機の運転モードの運用状況を調整する、
ことを特徴とする請求項4に記載の駐車装置群。
【請求項6】
同時に前記運転モードが前記力行モードになる前記電動機の数を所定の数を越えない様に、複数の駐車装置の前記電動機の運転モードの運用状況を調整する、
ことを特徴とする請求項3に記載の駐車装置群。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−47249(P2011−47249A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199027(P2009−199027)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】