説明

駐車装置

【課題】パレットにおける所定範囲から車両がはみ出ていても、人が車両を再び運転して車両の位置を修正する必要がない駐車装置を提供する。
【解決手段】車両1が入庫する入庫位置から、車両を駐車させる駐車位置へ移動するパレット3を備え、パレット3が入庫位置にある時に、パレット3に車両1が乗り込み可能である。パレット3に乗り込んだ車両1の位置を調節する位置調整機構5が、パレット3に設けられ、位置調整機構5は、パレット3に乗り込んだ車両1のタイヤが積載されるタイヤ積載面5aを有する。タイヤ積載面5aがパレット3の幅方向に駆動されることにより、パレット3上の車両1を位置調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が乗り込んだパレットを入庫位置から駐車位置へ移動させる駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車装置において、パレットは、車両が入庫する入庫位置から、車両を駐車させる駐車位置へ移動させられる。パレットが入庫位置にある時に、該パレットに車両が自走して乗り込み可能である。
【0003】
従来において、図1のように、パレット31には、タイヤガイド31aが設けられている。タイヤガイド31aは、パレット31の幅方向に関して、パレット31における所定範囲内に車両1が乗り込むように車両1を案内する。なお、図1(A)は平面図であり、図1(B)は、図1(A)のB−B矢視図である。
【0004】
上述のようなパレットは、例えば、下記の特許文献1に記載されている。なお、本発明に関連する駐車装置として、下記の特許文献2〜5に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−024337号公報
【特許文献2】特開2009−256978号公報
【特許文献3】特開2003−343110号公報
【特許文献4】特開平10−121764号公報
【特許文献5】特開2003−343108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タイヤガイド31aにより、パレット31上における人の歩行が不便になることがある。タイヤガイド31aは、パレット31において、車両1のタイヤが積載されるタイヤ積載面31bから立ち上がった部分である。従って、タイヤガイド31aにより、パレット31上面には凹凸が形成される。この凹凸は、パレット31上における人の歩行の妨げになり得る。
【0007】
そこで、パレット上面を平坦に形成することが行われているが、パレットにおける所定範囲内に車両を停止させたかを目視で判断するのは困難であり、車両の停止位置を修正するのに手間と時間を要する。
【0008】
タイヤガイド31aを無くして、パレット31上面を平坦に形成した場合には、パレットにおける所定範囲内に車両1が停止されないことがある。人が、車両1を運転して、パレットにおける所定範囲内に車両1を停止させたかを、運転席から目視で判断することは困難である。
【0009】
そのため、センサにより、パレットにおける所定範囲内に車両が停止されたかどうかを検出し、所定範囲内に車両が停止されていないと検出した場合には、その旨のアラームを発する。このアラームにより、人が車両を再び運転して車両の位置を修正する方法もある。しかし、この修正には手間と時間を要してしまう。
【0010】
このような問題に基づいて、本発明の目的は、パレットにおける所定範囲から車両がはみ出ていても、人が車両を再び運転して車両の位置を修正する必要がない駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明によると、車両が入庫する入庫位置から、車両を駐車させる駐車位置へ移動するパレットを備え、該パレットが前記入庫位置にある時に、該パレットに車両が乗り込み可能である駐車装置であって、
パレットに乗り込んだ車両の位置を調節する位置調整機構が、前記パレットに設けられ、
位置調整機構は、パレットに乗り込んだ車両のタイヤが積載されるタイヤ積載面を有し、タイヤ積載面がパレットの幅方向に駆動されることにより、パレット上の車両を位置調整可能である、ことを特徴とする駐車装置が提供される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によると、前記入庫位置の近傍には、位置調整機構に動力を与えることによりタイヤ積載面を駆動する駆動装置が設けられ、
前記駆動装置からの動力を位置調整機構に伝達する動力伝達機構が、前記パレットに設けられ、
前記駆動装置は、前記パレットが入庫位置にある時に、動力伝達機構に連結し、この状態で、動力伝達機構を介して位置調整機構に動力を伝達する。
【0013】
また、本発明の好ましい実施形態によると、駐車装置は、パレットに乗り込んだ車両が、パレットの幅方向に関して所定範囲からはみ出していないかを検出する検出装置と、
前記検出装置により、所定範囲から車両がはみ出していると検出された場合には、前記検出装置により、所定範囲から車両がはみ出していると検出されなくなるまで、位置調整機構のタイヤ積載面を駆動させる制御装置と、を備える。
【0014】
好ましくは、前記位置調整機構が2つ設けられ、一方の前記位置調整機構のタイヤ積載面は、パレットに乗り込んだ車両の前方側のタイヤが積載され、他方の前記位置調整機構のタイヤ積載面は、パレットに乗り込んだ車両の後方側のタイヤが積載され、
駐車装置は、
パレットにおける前方側と後方側で、パレットに乗り込んだ車両がパレットの幅方向に関して所定範囲からはみ出していないかを検出するする検出装置と、
各位置調整機構のタイヤ積載面を駆動する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記検出装置により、パレットにおける前方側で、パレットの幅方向に関して、所定範囲から車両がはみ出していると検出された場合には、前記検出装置により、当該前方側において、所定範囲から車両がはみ出していると検出されなくなるまで、当該前方側に位置するタイヤ積載面を駆動させ、
前記検出装置により、パレットにおける後方側で、パレットの幅方向に関して、所定範囲から車両がはみ出していると検出された場合には、前記検出装置により、当該後方側において、所定範囲から車両がはみ出していると検出されなくなるまで、当該後方側に位置するタイヤ積載面を駆動させる。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明によると、パレットに乗り込んだ車両の位置を調節する位置調整機構が、前記パレットに設けられ、位置調整機構は、パレットに乗り込んだ車両のタイヤが積載されるタイヤ積載面を有し、タイヤ積載面がパレットの幅方向に駆動されることにより、パレット上の車両を位置調整可能であるので、パレットにおける所定範囲から車両がはみ出ていても、人が車両を再び運転して車両の位置を修正する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】タイヤガイドを備えるパレットの図である。
【図2】本発明の実施形態によるパレットを示す。
【図3】本発明の実施形態による検出装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0018】
図2は、本発明の実施形態による駐車装置に設けられるパレット3を示す。図2(A)は平面図であり、図2(B)は、図2(A)のB−B矢視断面図である。
【0019】
パレット3は、車両1が入庫する駐車装置の入庫位置から、車両1を駐車させる駐車装置の駐車位置へ移動させられる。その後、当該車両1の出庫時まで、当該車両1を積載したパレット3は、前記駐車位置において待機する。当該車両1の出庫時には、当該車両1を積載したパレット3は、前記駐車位置から出庫位置まで移動させられる。
パレット3が前記入庫位置にある時に、パレット3の縦方向に車両1が自走してパレット3へ乗り込み可能である。また、パレット3が前記出庫位置にある時に、パレット3の縦方向に車両1が自走してパレット3から乗り出し可能である。前記入庫位置と前記出庫位置は、同じ位置であってもよいし、異なる位置であってもよい。
【0020】
パレット3は、次の移動方式1、2のいずれかにより移動させられてよい。
【0021】
(移動方式1)
パレット3は、前記入庫位置と駐車位置との間で昇降させられるものであってよい。この移動方式1は、例えば、特許文献2に記載されている。
【0022】
(移動方式2)
パレット3は、昇降移動するリフト(またはケージ)や水平移動する台車などの移動台に積載され、当該移動台の移動により、若しくは、当該移動台の移動と他のパレット移動機構によるパレット3の移動との両方により、前記入庫位置から前記駐車位置へ移動させられ、前記駐車位置から前記出庫位置まで移動させられてもよい。この場合、例えば、前記移動台は、前記駐車位置(例えば、駐車棚)に隣接する位置において、パレット移動機構により、前記駐車位置との間でパレット3を水平方向に受け渡してよい。
この移動方式2では、複数の前記移動台の移動により、前記入庫位置から前記駐車位置へ移動させられ、前記駐車位置から前記出庫位置まで移動させられてもよい。この場合、前記入庫位置から前記駐車位置へパレット3が移動させられる途中で、または、前記駐車位置から前記出庫位置までパレット3が移動させられる途中で、パレット3が、複数の移動台の間でパレット移動機構により移動させられる。
上述のような移動方式2は、例えば、特許文献3〜5に記載されている。
【0023】
駐車装置は、位置調整機構5と動力伝達機構7と駆動装置9を備える。
【0024】
位置調整機構5は、パレット3に設けられ、パレット3に乗り込んだ車両1の位置を調節する。位置調整機構5は、パレット3に乗り込んだ車両1のタイヤが積載されるタイヤ積載面5aを有する。タイヤ積載面5aがパレット3の幅方向に駆動されることにより、パレット3上の車両1を位置調整可能である。
【0025】
位置調整機構5は、本実施形態では、スラットコンベアとして構成される。スラットコンベア5は、スプロケット5bとチェーン5cとスラット5dとを有する。
2つのスプロケット5bが、パレット3の幅方向両端部にそれぞれ設けられ、当該2つのスプロケット5bに無端状のチェーン5cが掛けられている。これらの2つのスプロケット5bとチェーン5cを1組として、2組がパレット3の縦方向に間隔をおいて設けられる。
スラット5dは、パレット3の縦方向に長く延びる横板であり、その両端部が、それぞれ上述した2組のチェーン5cに連結されている。このようなスラット5dが、チェーン5cの長手方向に隙間をおいて多数設けられている。
各スラット5dは、スプロケット5bの回転により、パレット3の上面側と下面側をパレット3の幅方向に移動する。すなわち、各スラット5dは、パレット3の上面側を移動した後、スプロケット5bを通過すると、パレット3の下面側を移動し、その後、スプロケット5bを通過すると、再び、パレット3の上面側を移動する。パレット3の上面側にあるスラット5dの上面は、パレット3の本体3aの上面と同じ高さに位置するとともに、上述のタイヤ駆動面5aを構成する。従って、タイヤ駆動面5aとパレット3の本体3aの上面とで、車両1が乗り込む平坦なパレット3の上面を形成する。
【0026】
動力伝達機構7は、パレット3に設けられ、駆動装置9からの動力を位置調整機構5に伝達する。本実施形態では、動力伝達機構7は、パレット3の幅方向一端部に位置する2つのスプロケット5bに同軸に固定され、これら2つのスプロケット5bの軸方向に延びる動力伝達シャフト7aを有する。また、動力伝達機構7は、動力伝達シャフト7aに同軸に固定され、駆動装置9から動力を受けるギア7bを有する。
【0027】
駆動装置9は、入庫位置の近傍に設けられ、位置調整機構5に動力を与えることによりタイヤ積載面5aを駆動する。駆動装置9は、パレット3が入庫位置にある時に、動力伝達機構7に連結し、この状態で、動力伝達機構7を介して位置調整機構5に動力を伝達する。駆動装置9は、パレット3ではない静止側の構造体に設置される。
【0028】
駆動装置9は、本実施形態では、動力伝達シャフト7aに固定されたギア7bを回転駆動して、位置調整機構5に動力を与える。好ましくは、駆動装置9は、パレット3が入庫位置にある状態で、動力伝達シャフト7aに固定されたギア7bに噛み合う位置と、ギア7bに噛み合わない位置との間で移動可能なギア9aを有する。
【0029】
駆動装置9は、さらに、モータ9bと可動台9cと往復駆動部9dを有する。モータ9bは、可動台9cに固定され、ギア9aを回転駆動する。可動台9cは、ギア9aの軸回りにギア9aを回転可能に支持する。図2の例では、駆動装置9は、ギア9aに同軸に結合されたシャフト9eと、可動台9cに設けられシャフト9eを回転可能に支持する支持部9fを有する。モータ9bは、例えば、モータ9bの出力軸に同軸に固定されたスプロケット9gと、シャフト9eに同軸に固定されたスプロケット9hと、これらのスプロケット9g、9hに掛けられた無端状のチェーン9iとにより、ギア9aを回転駆動してよい。往復駆動部9dは、パレット3が入庫位置にある状態で、動力伝達シャフト7aに固定されたギア7bにギア9aが噛み合う係合位置と、ギア7bにギア9aが噛み合わない非係合位置との間で、可動台9c(ギア9a)を往復動させる。往復駆動部9dは、図2の例では、静止側の構造体に対し可動台9cを往復動させるシリンダである。好ましくは、ギア9aが前記非係合位置にある状態で、パレット3が入庫位置へ移動させられ、パレット3が入庫位置にある状態で、可動台9c(ギア9a)が、前記非係合位置から前記係合位置へ移動させられる。ギア9aが、前記係合位置でギア7bに噛み合っている状態で、モータ9aがギア9aを回転駆動させることにより、タイヤ積載面5aを駆動する。
【0030】
上述した位置調整機構5と動力伝達機構7と駆動装置9を1組として、2組の位置調整機構5と動力伝達機構7と駆動装置9が設けられる。2組の位置調整機構5と動力伝達機構7と駆動装置9は、図2(A)に示すように、パレット3の縦方向に間隔を置いて設けられる。すなわち、一方の組の位置調整機構5が有するタイヤ積載面5aには、パレット3に乗り込んだ車両1の前方側のタイヤ1a(後述の図3を参照)が積載され、他方の組の位置調整機構5が有するタイヤ積載面5aには、パレット3に乗り込んだ車両1の後方側のタイヤ1b(後述の図3を参照)が積載される。タイヤ1a、1bは、図3(A)において斜線部分で示されている。
【0031】
本発明の実施形態による駐車装置は、さらに、検出装置19と制御装置21を備える。図3に基づいて、検出装置19と制御装置21を説明する。図3(A)は平面図であり、図3(B)は、図3(A)のB−B矢視図である。
【0032】
検出装置19は、パレット3に乗り込んだ車両1が、パレット3における前方側と後方側において、パレット3の幅方向に関して所定範囲内に位置しているかを検出する。所定範囲は、パレット3における幅方向一方端を含む平面(以下、境界面Pb1という)からパレット3における幅方向他端を含む平面(以下、境界面Pb2という)までの範囲である。代わりに、所定範囲は、境界面Pb1近傍に位置し境界面Pb1から境界面Pb2側にわずかにずれた平面(以下、境界面Pb3という)から、境界面Pb2近傍に位置し境界面Pb2から境界面Pb1側にわずかにずれた平面(以下、境界面Pb4という)までの範囲であってもよい。なお、境界面Pb1、Pb2、Pb3、Pb4は、図3(A)に示すように、パレット3の幅方向と直交する鉛直平面である。
【0033】
検出装置19は、走査軸C回りに光を走査し反射してきた光に基づいて、物体を検出する2つの走査型レンジセンサ19a、19bを有する。
【0034】
センサ19a、19bは、パレット3に乗り込んだ車両1の一部(例えば、ドアミラー)が、境界面Pb1、Pb2(または境界面Pb3、Pb4。以下同様)からはみ出したことを検出することができる。
センサ19a、19bは、光源により光を照射し、当該光が物体により反射された場合に、当該反射光を受光器で受けることにより、境界面Pb1、Pb2内において、物体の存在を検出するだけでなく、パレット3の縦方向に関する当該物体の位置を検出するものである。なお、物体の位置は、光の照射方向と光の照射時点と反射光の受光時点とに基づいて検出される。なお、センサ19a、19bとして、例えば、スキャナ式レンジセンサ(北陽電機株式会社製、形式UXM−30LN−P)を用いることができる。
センサ19a、19bは、光源により、走査軸Cの位置から、走査軸Cと直交する方向に光を照射する。当該光の照射方向は、図3(B)に示すように、第1の照射方向Daから第2の照射方向Dbまで、所定の走査角範囲θで変化させられる。すなわち、センサ19a、19bは、走査角範囲θ内の各照射方向毎に、光を照射して、物体の存在の有無を検出する。ここで、走査軸Cは、パレット3の幅方向を向いているので、センサ19a、19bは、図3(B)の斜線部分である境界面Pb1、Pb2内に車両1の一部が存在するかどうかを検出する。従って、パレット3に乗り込んだ車両1の一部が、境界面Pb1、Pb2からパレット3の幅方向外側へはみ出したことを、センサ19a、19bにより検出することができる。なお、センサ19a、19bにより、物体の存在の有無を検出する範囲は、自由に設定可能であり、図3(B)の斜線部分Pb1、Pb2の範囲に設定されていてよい。
【0035】
センサ19a、19bは、上述のように、境界面Pb1、Pb2内において、パレット3の縦方向におけるどの位置に物体が存在するか検出できる。
検出装置19は、上述したセンサ19a、19bを用いて、パレット3における前方側と後方側において、それぞれ、パレット3に乗り込んだ車両1がパレット3の幅方向に関して所定範囲からはみ出していないかを検出することができる。ここで、パレット3における当該前方側とは、パレット3の縦方向中央よりもパレット3の縦方向一方側であり、パレット3における当該後方側とは、パレット3の縦方向中央よりもパレット3の縦方向他方側であってよい。
すなわち、検出装置19は、センサ19a、19bを用いて、境界面Pb1、Pb2内で、パレット3における前方側と後方側の各々に、車両1の一部が存在するかどうかを検出する。検出装置19は、境界面Pb1、Pb2内で、パレット3における前方側または後方側に、車両1の一部(物体)が存在すると検出した場合には、パレット3に乗り込んだ車両1がパレット3の幅方向に関して所定範囲からはみ出していると検出する。
【0036】
制御装置21は、検出装置19により、パレット3における前方側において、パレット3の幅方向に関して、所定範囲から車両1の一部がはみ出していると検出された場合には、検出装置19により、当該前方側において、所定範囲から車両1の一部がはみ出していると検出されなくなるまで、当該前方側に位置するタイヤ積載面5aを駆動させる。ここで、制御装置21は、一方の境界面Pb1またはPb2から車両1の一部がはみ出していると検出された場合には、他方の境界面Pb2またはPb1側へ車両1を移動させるように、タイヤ積載面5aを駆動させる。
一方、制御装置21は、検出装置19により、パレット3における後方側において、パレット3の幅方向に関して、所定範囲から車両1の一部がはみ出していると検出された場合には、検出装置19により、当該後方側において、所定範囲から車両1の一部がはみ出していると検出されなくなるまで、当該後方側に位置するタイヤ積載面5aを駆動させる。ここで、制御装置21は、上述と同様に、一方の境界面Pb1またはPb2から車両1の一部がはみ出していると検出された場合には、他方の境界面Pb2またはPb1側へ車両1を移動させるように、タイヤ積載面5aを駆動させる。
【0037】
制御装置21は、モータ9bに電力を供給するモータドライバ23を制御することにより、モータ9bへの供給電力を制御して、上述のようにタイヤ積載面5aを駆動する。
【0038】
入庫位置において、パレット3に車両1が乗り込んだことを検出する入庫センサを設けてもよい。この入庫センサにより、パレット3に車両1が乗り込んだことを検出したことに反応して、検出装置19は、パレット3に乗り込んだ車両1がパレット3の幅方向に関して所定範囲内に位置しているかどうかの検出を開始してよい。
【0039】
入庫センサは、例えば、発光部25aと受光部25b、および、発光部27aと受光部27bを用いて、パレット3の縦方向両端部において、車両1が存在するかどうかを検出する。発光部25aは、パレット3への車両1の乗り込み側であるパレット3の縦方向一端部において、パレット3の幅方向に光を照射し、この光を受光部25bが受ける。同様に、発光部27aは、パレット3の縦方向他端部において、パレット3の幅方向に光を照射し、この光を受光部27bが受ける。受光部25bが、パレット3への車両1の乗り込みにより発光部25aからの光を受けなくなった後に、当該乗り込みの完了により発光部25aからの光を受けたら、入庫センサは、パレット3に車両1が乗り込んだと検出する。ただし、この時、受光部27bが、発光部27aからの光を受けている場合には、パレット3の縦方向他方側へパレット3から車両1がはみ出しているとして、アラームを発して、車両1の位置を修正することを運転者に促す。
【0040】
上述した本発明の実施形態によると、パレット3に乗り込んだ車両の位置をパレット3の幅方向に調節する位置調整機構5が、パレット3に設けられ、位置調整機構5のタイヤ積載面5aがパレット3の幅方向に駆動されることにより、パレット3上の車両1を位置調整可能である。従って、パレット3の幅方向に関して、パレット3における所定範囲から車両がはみ出ていても、人が車両1を再び運転して車両の位置を修正する必要がない。
また、検出装置19を設けたので、パレット3における所定範囲内に車両を停止させたかを人が判断する必要もない。
また、パレット3の上面全体を平坦にすることができるので、パレット3の上面を人が歩きやすくなる。
さらに、駆動装置9を、パレット3以外の構造体に設けるので、パレット3の重量増加を抑えることができる。
【0041】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0042】
例えば、駆動装置9の可動台9c(ギア9a)は、上述した係合位置と非係合位置との間で移動しなくてもよい。すなわち、ギア9aは、ギア7bに噛み合う上述した係合位置に維持されており、パレット3が前記入庫位置へ来ると、ギア7bと噛み合い、パレット3が前記入庫位置から移動すると、ギア7bと離間する。この場合、可動台9cの代わりに、モータ9bやシャフト9eを設ける静止支持体を設け、往復駆動装置9dを省略し、他の点は、上述と同じでよい。
【符号の説明】
【0043】
1 車両、1a 前方側のタイヤ、1b 後方側のタイヤ、3 パレット、3a パレットの本体、5 位置調整機構(スラットコンベア)、5a タイヤ積載面、5b スプロケット、5c チェーン、5d スラット、7 動力伝達機構、7a 動力伝達シャフト、7b ギア、9 駆動装置、9a ギア、9b モータ、9c 可動台、9d 往復駆動部、9e シャフト、9f 支持部、19 検出装置、21 制御装置、23 モータドライバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が入庫する入庫位置から、車両を駐車させる駐車位置へ移動するパレットを備え、該パレットが前記入庫位置にある時に、該パレットに車両が乗り込み可能である駐車装置であって、
パレットに乗り込んだ車両の位置を調節する位置調整機構が、前記パレットに設けられ、
位置調整機構は、パレットに乗り込んだ車両のタイヤが積載されるタイヤ積載面を有し、タイヤ積載面がパレットの幅方向に駆動されることにより、パレット上の車両を位置調整可能である、ことを特徴とする駐車装置。
【請求項2】
前記入庫位置の近傍には、位置調整機構に動力を与えることによりタイヤ積載面を駆動する駆動装置が設けられ、
前記駆動装置からの動力を位置調整機構に伝達する動力伝達機構が、前記パレットに設けられ、
前記駆動装置は、前記パレットが入庫位置にある時に、動力伝達機構に連結し、この状態で、動力伝達機構を介して位置調整機構に動力を伝達する、ことを特徴とする請求項1に記載の駐車装置。
【請求項3】
パレットに乗り込んだ車両が、パレットの幅方向に関して所定範囲からはみ出していないかを検出する検出装置と、
前記検出装置により、所定範囲から車両がはみ出していると検出された場合には、前記検出装置により、所定範囲から車両がはみ出していると検出されなくなるまで、位置調整機構のタイヤ積載面を駆動させる制御装置と、を備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載の駐車装置。
【請求項4】
前記位置調整機構が2つ設けられ、一方の前記位置調整機構のタイヤ積載面は、パレットに乗り込んだ車両の前方側のタイヤが積載され、他方の前記位置調整機構のタイヤ積載面は、パレットに乗り込んだ車両の後方側のタイヤが積載され、
パレットにおける前方側と後方側で、パレットに乗り込んだ車両がパレットの幅方向に関して所定範囲からはみ出していないかを検出するする検出装置と、
各位置調整機構のタイヤ積載面を駆動する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記検出装置により、パレットにおける前方側で、パレットの幅方向に関して、所定範囲から車両がはみ出していると検出された場合には、前記検出装置により、当該前方側において、所定範囲から車両がはみ出していると検出されなくなるまで、当該前方側に位置するタイヤ積載面を駆動させ、
前記検出装置により、パレットにおける後方側で、パレットの幅方向に関して、所定範囲から車両がはみ出していると検出された場合には、前記検出装置により、当該後方側において、所定範囲から車両がはみ出していると検出されなくなるまで、当該後方側に位置するタイヤ積載面を駆動させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の駐車装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−19124(P2013−19124A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151532(P2011−151532)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)