説明

駐車車両検知装置

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、駐車場に設置され、駐車車両の有無を検出するための駐車車両検知装置に関する。
(従来の技術)
従来、この種の駐車車両検知装置は、出入口に設置され、入車数と出車数を無人または有人で計数し、その差をその時の駐車台数としている。
(発明が解決しようとする課題)
しかしながら、上記の従来の駐車車両検知装置では、入車数と出車数との差を計算し、総合的に現時点での駐車台数としているため、どの位置に駐車可能場所(空車位置)があるかまではわからないという問題があった。これは駐車台数が多いところほど大きな問題である。
本発明の目的は、現時点の空車位置を正確かつ確実に検知して、かつ知らせることのできる駐車車両検知装置を提供することにある。
(課題を解決するための手段)
上記の目的を達成するため、本発明は、車両の底部に向けて変調した光を出射する光源と、光源から出射した光の一部を反射させる反射部と、前記車両の底部と反射部からの反射光を受光する受光部とを複数の駐車場所に設置し、前記受光部の受光信号に基づいて駐車場所の駐車状態を検知して、各駐車場所の駐車状態を表示できるように構成したことを特徴とする。
(作 用)
上記の手段を採用したため、駐車場所へ車両が入ってくると、車両底部からの反射光を受けて受光部における光強度が大きくなり、当該駐車場所が駐車状態になったことが検知され、この検知に基づいて各駐車場所の駐車状態を表示でき、また受光部で車両底部と反射部との反射光の光量変化を検出することで検知装置の故障も検知できる。
(実施例)
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は本発明の駐車車両検知装置の一実施例を示す構成図であり、1は駐車場所2に設置された装置本体、3は装置本体1の上部に傾斜状態で固定された透明ガラス、4は装置本体1に内蔵されて車両5の底部5aに向けて後述するように変調された光6を斜めに出射している光源、7は前記底部5aからの反射光6−1と、透明ガラス3の内面の反射部3aで反射された光6の一部6−2とを受光できるように装置本体1に設置された受光部、8は反射部3aで反射された光6−2の光路中に配設されて光強度を調整するための減光フィルタである。
第2図(a),(b)は上記の駐車車両検知装置の設置状態を示す説明図であって、透明ガラス3,前記光源4,受光部7,減光フィルタ8を内蔵した装置本体1は、複数の駐車場所2の表面にそれぞれ車両5の駐車に影響ないように設置されている。また、装置本体1を表面だけを外部に露呈するようにして駐車場所2に埋設してもよい。
第3図は光源4と受光部7の一例を示す構成図であり、9は発光ダイオード(LED)10をkHz程度に変調する発振素子である。11は受光素子12で受光した光6−1,6−2を増幅する増幅器であり、13は増幅器11からの後述する信号W0を比較レベルaとどちらが大小かを比較する比較器であり、14は上記と同様に比較レベルbと比較する比較器である。rは抵抗、R1,R2は可変抵抗、Cはコンデンサである。また、比較器13,14の出力信号をOUT1,OUT2で示す。
第4図は本発明の駐車車両検知装置の一実施例に使用される表示手段を示す正面図、第5図は駐車場の駐車場所のレイアウトの一例を示す説明図であり、第4図において、表示手段15は複数の表示部16をマトリックス状に配置しており、1つの表示部16は例えば緑色LEDと赤色LEDとの一対からなっており、各表示部16は、第5図に示す各駐車場所2とそれぞれ対応して、A1,A2,…,Fnの符号で区別され、第1図,第3図の受光部7と図示しない演算部を介して電気的に接続している。
次に上記実施例の動作について説明する。
上記の実施例において、車両5が駐車した時、変調された光源4の光6は車両5の底部5aに当たって反射し、その反射光6−1は受光部7に入射する。一方、光源4の光6の一部は常に透明ガラス3の反射部3aで表面反射され、その反射光6−2も受光部7に入射する。この時、上記の表面反射による反射光6−2の光調度が大きすぎる場合、減光フィルタ8が、その光強度を調整する作用を果たすようになっている。ここで、光源4から出射する光6は発振素子9により2kHz程度で変調された光で、受光部7は変調光のみを受光信号として取り出す回路から構成されている。従って、その駐車位置2に車両5が駐車していない場合には、昼の太陽光の元でも、夜間の照明灯の元でも受光部7はそれらの光に影響されない。
反射光6−1および6−2を受光した受光素子12は増幅器11で適切な大きさの信号W0に増幅され、比較器13,14でその信号W0の大きさが予め設定された基準の信号aおよびbと比較された結果、aよりも大きければOUT1は“H"で、逆に小さければ“L"の信号が出力される。同様にbと比較された結果がOUT2に出力される。
第6図に受光部7の受ける光の強さ(ここではW0)と比較レベルa,bの関係を示した。これらのレベルから車両5の有無および装置の故障判定が下記のようになされる。
すなわち、車両5が駐車している場合は、反射光6−1,6−2の両方が入射するので光強度が大きくなり、従って、OUT1,OUT2とも“H"になる。一方、車両5が駐車していない場合、反射光6−1は受光部7には入射せず、透明ガラス3の表面の反射での反射光6−2のみ入射するので、その入射信号W0は基準信号aよりも小さく、かつbより大きいレベルに存在する。このように予め上記のようなレベルになるようにW0,a,bが調整されている。この場合、OUT1は“L"になり、OUT2は“H"になる。さらに、光源4の破損などで装置で故障した場合、反射光6−1,6−2はなくなり、受光信号W0はa,bより小さく、OUT1,OUT2とも“L"になる。
上記の受光部7の受光による“H","L"と演算部による判定結果を第7図にまとめて示した。
この第7図の動作のマトリックスに基づいて2色の表示部16により、装置不良まで表示することが可能である。例えば、駐車車両有を示す場合は表示部16は緑色LEDで、装置不良を示す場合は赤色LEDを点灯する。
従って、各駐車場所2と対応した表示部16を有する表示手段15を管理事務所に置くことにより、今現在どこの場所が駐車可能かを知り、駐車しようとする車両を誘導することができるし、運転者に表示部16を見せるようにして、駐車可能な場所を知らせることができる。
また光源4は、太陽光や夜間の照明灯に影響されない変調された光6を用いているので、どのような駐車場にも設置することができる。
(発明の効果)
本発明によれば、変調した光の車両底部と反射部からの反射光により外部環境に影響されずに駐車状態と装置の故障とが検知されるため、現時点の各駐車場所の空車位置を正確かつ確実に知らせることができる駐車車両検知装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の駐車車両検知装置の一実施例を示す構成図、第2図(a),(b)は駐車車両検知装置の設置状態を示す説明図、第3図は光源と受光部の一例を示す構成図、第4図は本発明の駐車車両検知装置の一実施例に使用される表示手段を示す正面図、第5図は駐車場の駐車場所のレイアウトの一例を示す説明図、第6図は受光部が受ける光の強さと比較レベルとの関係を示す説明図、第7図は出力の“H",“L"に基づく判定結果を示す説明図である。
1……装置本体、2……駐車場所、3……透明ガラス、3a……反射部、4……光源、5……車両、5a……車両の底部、6……光、6−1,6−2……反射光、7……受光部、8……減光フィルタ、9……発振素子、10……LED、11……増幅器、12……受光素子、13,14……比較器、15……表示手段、16……表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】車両の底部に向けて変調した光を出射する光源と、光源から出射した光の一部を反射させる反射部と、前記車両の底部と反射部からの反射光を受光する受光部とを複数の駐車場所に設置し、前記受光部の受光信号に基づいて駐車場所の駐車状態を検知して、各駐車場所の駐車状態を表示できるように構成したことを特徴とする駐車車両検知装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第4図】
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【第5図】
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【第6図】
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【第7図】
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【第3図】
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【特許番号】第2588035号
【登録日】平成8年(1996)12月5日
【発行日】平成9年(1997)3月5日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−343042
【出願日】平成1年(1989)12月29日
【公開番号】特開平3−204099
【公開日】平成3年(1991)9月5日
【出願人】(999999999)松下電器産業株式会社