駐輪場管理システム
【課題】 他人の自転車等が施錠されているロック装置を間違って解錠したり、悪意を持って他人の自転車等が施錠されているロック装置を解錠して持ち去る自転車等の盗難事件を防止できると共に、ロック装置の番号やIDを忘れたとしても、簡単に自分の自転車等が施錠されているロック装置を見つけ出すことができるように工夫した駐輪場管理システムを提供する。
【解決手段】 ICチップタグTPと、このチップの発行機能を備えた料金精算機50と、ICチップタグTPを読み取って施錠と解錠を行うリーダ/ライタ付き個別ロック装置10とによって、駐輪場管理システムを構築する。ロック装置10には、施錠時に当該ロック装置10の番号をICチップタグTPに書き込む個別番号記録・施錠手段と、解錠時にICチップタグTPに記録されているロック装置10の番号が、当該ロック装置10の番号と一致する場合に、解錠する解錠手段を設ける。
【解決手段】 ICチップタグTPと、このチップの発行機能を備えた料金精算機50と、ICチップタグTPを読み取って施錠と解錠を行うリーダ/ライタ付き個別ロック装置10とによって、駐輪場管理システムを構築する。ロック装置10には、施錠時に当該ロック装置10の番号をICチップタグTPに書き込む個別番号記録・施錠手段と、解錠時にICチップタグTPに記録されているロック装置10の番号が、当該ロック装置10の番号と一致する場合に、解錠する解錠手段を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車やオートバイ等の二輪車の駐輪を管理する駐輪場管理システムに関し、特に、上記二輪車の駐輪を、ICチップタグによって施錠と解錠を行うことができる二輪車用ロック装置を用いて管理する駐輪場管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の二輪車用駐輪管理システムには、機械的な鍵を複数の車輪用ロック装置の夫々に個別に具備させる鍵式構造のものと、例えば特許文献1、2に記載されているように、複数の車輪用ロック装置と料金精算機を含む駐輪管理装置の間を電気的に接続して、駐輪時には車輪を任意のロック装置に押し込むことによりロックされ、退出時には、料金精算機に対して当該ロック装置の番号を入力して駐輪料金の精算を済ませると、ロックが外されて車輪の取り出しを可能にする電機式駐輪管理システムとが存在する。
【0003】
また、駐輪場利用者は定期利用者と一時利用者に分けられ、定期利用者は定期カードを駐輪管理装置に読み取らせて、定期エリア内の施錠されているロック装置を解錠して自転車等を駐輪させるが、一時利用者は一時利用者用エリアを使用して、通常は、解錠状態にある多数台のロック装置の中から任意のロック装置を選んで、これに自転車等を駐輪した後、施錠するように構成されている。
【特許文献1】特開2005−324669号公報
【特許文献2】特開2003−44887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献2に記載されているシステムのように、料金精算機にロック装置の番号を入力して精算する構成のシステムでは、駐輪装置(ロック装置)の番号を間違って料金精算機に入力すると、他人の自転車が駐輪しているロック装置を誤って解錠してしまう場合があり、また、この間違った入力を自動で取り消す手段が存在しないため、入力を間違えた場合には、係員を呼んで精算金額を払い戻してもらって、再度料金精算するしかなく、操作が非常に煩雑であった。
【0005】
また、悪意を持って他人の自転車が駐輪しているロック装置の番号を料金精算機に入力して精算することにより、他人の自転車を持ち出すことも可能であるため、盗難防止策として、料金精算機による精算時にテンキー部で暗証番号を入力するなどの手段が講じられていたが、暗証番号を用いるには、駐輪時に暗証番号を料金精算機に入力する必要があって、朝の通勤時間帯等では暗証番号の入力操作が混雑を助長する問題があり、且つ、暗証番号を忘れてロック装置を解錠できなくなる場合もあって、利便性に欠ける問題があった。
【0006】
更に、ロック装置の番号を料金精算機に入力して解錠する際に駐輪したロック装置の番号を忘れてしまって、わざわざ自分の自転車が駐輪している場所を探しに行って、ロック装置の番号を確認する場合もあって、利用者にとって利便性が悪く、更には、自分の自転車を駐輪した場所やロック装置の番号も忘れてしまった結果、自転車を探し回ることもあって、利用者にとって甚だ不便なものであった。
【0007】
そこで本発明の技術的課題は、他人の自転車等が施錠されているロック装置を間違って解錠したり、悪意を持って他人の自転車等が施錠されているロック装置を解錠して持ち去る自転車等の盗難事件を防止できると共に、ロック装置の番号を忘れたとしても、簡単に自分の自転車等が施錠されているロック装置を見つけ出すことができるように工夫した駐輪場管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 上記の技術的課題を解決するために、本発明の請求項1に係る駐輪場管理システムは、自転車やオートバイ等の二輪車の駐輪を、書換可能なデータエリアを有する非接触型ICチップタグと、このICチップタグを読み取って有効であれば解錠して当該二輪車の車輪の挿入を可能と成し、その後施錠するICチップ読取り/書込部を個々に具備した個別式ロック装置と、ICチップタグを読み取って駐輪料金の精算を行うことができるICチップ読取り/書込部を備えた料金精算機を用いて管理する駐輪場管理システムであって、上記の個別式ロック装置に、空車状態にあるロック装置のICチップ読取り/書込部がICチップタグを読み取って、有効なICチップタグと判断した場合に、当該ロック装置の番号をICチップタグのデータエリアに書き込んで、上記二輪車の車輪を退出不可能な状態に施錠する個別番号記録・施錠手段と、駐輪中で施錠状態にあるロック装置のICチップ読取り/書込部がICチップタグを読み取った際に、読み取られたロック装置の番号が当該ロック装置の番号と一致した場合に、上記ロック装置の施錠状態を解錠状態に移行して車輪の退出を可能にする個別番号読取り・解錠手段と、を具備せしめたことを特徴としている。
【0009】
(2) また、本発明の請求項2に係る駐輪場管理システムは、前記の料金精算機に、ICチップ読取り/書込部が前記非接触型ICチップタグを読み取った際に、データエリアに記録されているロック装置の番号、若しくは、当該ロック装置が設置されている位置を特定可能とする情報を、画面表示或いは音声出力することができるロック装置特定手段を具備せしめたことを特徴としている。
【0010】
(3) また、本発明の請求項3に係る駐輪場管理システムは、前記の料金精算機を、前記複数の個別式ロック装置の夫々に、有線若しくは無線により通信接続可能に接続すると共に、この料金精算機には、前記ICチップタグのデータエリアに記録されている前記ロック装置の個々の番号、若しくは、前記位置を特定可能とする情報を読取り、且つ、その番号又は位置に該当するロック装置に対して検索信号を送って、当該ロック装置の設置位置を特定可能とするロック装置検索手段を具備せしめたことを特徴としている。
【0011】
(4) 更に、本発明の請求項4に係る駐輪場管理システムは、前記のロック装置が前記料金精算機から検索信号を受けた場合に、当該ロック装置に設けた表示手段が一定時間点灯若しくは点滅して設置位置を知らせると共に、ロック装置のICチップ読取り/書込部が、ICチップタグのデータエリアから当該ロック装置を特定できるデータまたは同じIDを読み取ると、上記表示手段の点灯若しくは点滅を停止するように構成したことを特徴としている。
【0012】
上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、二輪車(以下自転車という)の車輪をロック装置に施錠させる際に、ICチップタグのデータエリアに当該ロック装置の番号が記録されるため、利用客はこのICチップタグを所持している限り(紛失しない限り)、ロック装置の番号を忘れたとしても、ICチップタグからロック装置の番号を確認して自分の自転車を見付け出すことができると共に、自分の自転車が駐輪しているロック装置の解錠は、他人が所持するICチップタグでは出来ないため、他人のICチップタグによるロック装置の誤解錠や、自転車の盗難を防止することができる。
【0013】
上記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、料金精算機にICチップタグを読み取らせて駐輪料金の精算を行う際に、料金精算機が当該ロック装置の番号、若しくは、その位置を特定するための情報を出力するため、利用客は自分の自転車が駐輪しているロック装置の位置を簡単に、且つ、確実に知ることができる。
【0014】
上記(3)で述べた請求項3に係る手段によれば、料金精算機にICチップタグを読み取らせて駐輪料金を精算する際に、料金精算機がICチップタグの読取りによって特定されたロック装置に対して検索信号を送って、ロック装置を特定することができるため、利用者は自分の自転車が駐輪しているロック装置を容易に確認することを可能にする。
【0015】
上記(4)で述べた請求項4に係る手段によれば、前記料金精算機から検索信号が送られて特定化されたロック装置は、ロック装置に設けた表示手段が点灯若しくは点滅して当該ロック装置の位置を知らせるため、利用者は自分の自転車が駐輪しているロック装置を極めて簡単に、且つ、正確に見付け出すことを可能にする。
【発明の効果】
【0016】
以上述べた次第で、本発明に係る駐輪場管理システムによれば、多数並設されたロック装置の中から、自分の自転車等が駐輪(施錠)しているロック装置を、駐輪料金の精算を済ませることによって極めて簡単に、且つ、正確に確認することができるため、料金精算から自分の自転車等を見付け出してロック装置を解錠し、退出させるまでの退出操作を円滑に行える利点を発揮できるものであって、他人の自転車等が施錠されているロック装置を間違えて解錠してしまったり、或いは、故意に解錠して他人の自転車等を持ち去る盗難事件を防止できる利点を発揮できる点と相俟って、自転車やオートバイ等の二輪車用駐輪場に実施して好適なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、上述した本発明に係る駐輪場管理システムの実施の形態を図面と共に説明すると、図1は本発明が実施された駐輪場の一部を示した構成図であって、図中、BSは二輪車としての自転車、STは駐輪場に設置された連結部材、10…は連結部材STに対してその長手方向に間隔をあけた状態で、交互に複数並設した高低2段構造の二輪車用ロック装置であって、各ロック装置10…は識別用として固有の番号を有している。また、ロック装置10…をこの様に高低2段に並設することによって、狭いスペースに多数の自転車BS…を駐輪できる仕組みに成っている。
【0018】
10Hと10Lは高低2段の各ロック装置10…に夫々連設した高低2段構造のガイドレール、BRは自転車BSの車輪、10Zは各ロック装置10…に設けた車輪BRの押し込み部(凹状嵌め込み部)、10Xは各ロック装置10毎に設けたICチップタグTP用のポケット部で、ICチップタグTPとしては書き換え可能なデータエリアを有する非接触型ICチップタグが使用される。更に図1において、31と32は上記各ロック装置10に設けたOK表示用の青色ランプとNG表示用の赤色ランプで、いずれもLED等の発光素子やランプ等を用いて構成されている。また、40は上記連結部材STに取付けた制御装置を示す。尚、ICチップタグTPには定期者用と一時利用者用とが存在し、定期者用のタグは例えば売店や管理室等で販売されるが、一時利用者用のタグは後述する料金精算機50に所定の預かり金を支払うことで発行される。
【0019】
図2と図3は上記ロック装置10の内部構成を説明した平断面図で、図2は解錠時の状態を、また、図3は施錠時の状態を示したものである。これ等の図面において、11は前記押し込み部10Zの内部に先端部を突出したセンサアームで、11Rはその支軸部、12はセンサアーム11に連設し、若しくは同軸的に形成した根端部、12Kは根端部12に形成したカム部、12Sは牽引バネ、13はアクチュエータ13Aを上記センサアーム11に連設した根端部12側に突出させた車輪センサで、図2の解錠状態で車輪BRが押し込み部10Zの内部に押し込まれてセンサアーム11を図3の状態に押圧回動すると、根端部12が図面上時計回転方向に回動してアクチュエータ13Aを押圧するため、車輪センサ13がONする仕組みに成っている。
【0020】
更に図中、14は根端部14Bを軸15を回動支軸としてロック装置10の内部に回動自在に取付けたロックアーム、16は当該ロックアーム14の根端部14Bに連設若しくは同軸的に取付けた作動片、17と21は上記ロック装置10の内部に取付けた施錠ソレノイドと解錠ソレノイドで、施錠ソレノイド17によって進退作動するロッド17Aの先端部が、連結軸17Bを用いて上記作動片16に連結され、解錠ソレノイド21のロッド21Aが同じくロック装置10の内部に設けられた解錠アーム19の一端側に連結されている。
【0021】
また、18と20は上記作動片16と解錠アーム19の一端側に取付けた牽引バネ、16Tは作動片16の先端に設けたフック部、19Aは解錠アーム19の他端側に形成した係合部であって、図2の解錠状態から、図3の如く車輪BRが押し込み部10Z内部に押し込まれてセンサアーム11を押すと、車輪センサ13がONして施錠ソレノイド17がロッド17Aを図3に示した矢印方向に吸引(PULL)作動するため、ロックアーム14が回動されてアーム先端部14Aが押し込み部10Zの入口を塞ぐため、自転車BSの車輪BRをロック装置10にロック(施錠)することができる。
【0022】
上記ロック装置10による施錠時には、図3に示すように作動片16の先端に形成したフック部16Tが解錠アーム19の係合部19Aに係合されるため、上記施錠ソレノイド17の吸引作動を停止しても、上記ロックアーム14による施錠状態は維持される。
【0023】
以上の如く施錠されたロック装置10を解錠するには、図2に示した矢印方向に解錠ソレノイド21を吸引作動すれば、解錠アーム19が回動されて上記フック部16Tに対する係合部19Aの係合を外すため、ロックアーム14は前記牽引バネ18に牽引されて図2に示す状態に解錠回動されるため、前記車輪BRに対するロックが外されて、自転車BSを自由にロック装置10より退出させることができ、また、前記センサアーム11も牽引バネ12Sの牽引作用によって図2に示した当初の解錠状態に自動復帰する。
【0024】
上記図2に示したロックアーム14の解錠状態は牽引バネ18によって維持され、また、上記図3に示したロックアーム14による施錠状態は上記フック部16Tと係合部19Aの係合によって維持されるため、施錠と解錠の各ソレノイド17,21は、ロックアーム14が完全に回動を終えるまでの数秒間だけ吸引(PULL)すれば、その後は解放(OFF)できるので、電力の消費を抑えることができる。
【0025】
尚、図2と図3において、30はロック装置10内に設けた非接触型のICチップ読取り/書込部で、前記図1に示したロック装置10のポケット部10XにICチップタグTPを載置又は挿入すると、上記ICチップ読取り/書込部30との間で非接触にてデータの読み書きが行われる仕組みに成っている。
【0026】
次に図4は上記図1に示した制御装置40の構成を説明したブロック図であって、制御装置40は前記連結部材STのブロックごと、即ち、1本の連結部材STに並設されるロック装置10…を1ブロックとする各ブロックごとに1台設けられていて、各ロック装置10…に対する自転車BSの駐輪と退出を個別に管理及び制御する仕組みに成っている。
【0027】
即ち、制御装置40は制御部の中心を構成するCPU41と、システムプログラムを格納したメモリ42と、これ等CPU41とメモリ42の間にバス43を介して接続されたインターフェイス44と、このインターフェイス44に接続された外部通信装置40Tとによって構成されている。前述した車輪センサ13と施錠と解錠の各ソレノイド17,21とICチップ読取り/書込部30及び青色と赤色の各ランプ31,32を備えた各ロック装置10…は、通信線45を介してロック装置10ごとに個別に割り振られた上記のインターフェイス44に接続されている。
【0028】
図5は、駐輪場の敷地内、又は、その近傍に設置される駐輪料金精算機50の外観を示したものであって、この料金精算機50は一時利用者用のICチップタグを発行する機能と、当該ICチップタグに書き込まれているデータから一時利用者の駐輪料金を計算して精算する機能と、駐輪料金の精算時に、当該ICチップタグに書き込まれているデータから、一時利用者が使用したロック装置10を特定及び検索するための機能を備えている。
【0029】
図5において、50Aは上記ICチップタグTPの投入口、50Bは紙幣の挿入口、50Hはコインの投入口、50CはICチップタグTPと領収証及びおつりの返却口、55は各種メッセージ等の表示器、57は精算取消/使用終了釦、58はICチップタグTPの発行釦、59は係員呼び出し釦、69は音声出力用のスピーカ、69Aはインターホンを示す。尚、定期利用者用のICチップタグTPは、前述したように、売店や管理室等で販売されるが、この料金精算機50が販売してもよく、その選択は任意とする。
【0030】
尚、上記料金精算機50としては、例えば本出願人による特開2002−216180号公報に開示されている「ICタグを用いた駐車券発行装置及び駐車料金精算装置」が使用されるが、本発明の料金精算機50の構成が、斯る公報に記載の装置にのみ限定されないことは勿論である。
【0031】
図6は上記料金精算装置50の内部構成の一例を説明した側断面図であって、図中、70は投入口50Aより投入されたICチップタグTPを、返却シュータ50Dを通して返却口50Cに返却したり、排出シュータ50Eを通して予蓄タンク50Fに送り込んだりするICチップタグリーダー/ライター部、75は予蓄タンク50Fに予蓄されたICチップタグTPを、必要に応じて循環レール部50R、上部円弧状レール部50T及び送り込みレール部50Gを通して、上記ICチップタグリーダー/ライター部70に送り込む循環装置であって、送り込みレール部50Gには、フイーダーソレノイド76によって作動されて、送られて来るICチップタグTPを一定間隔で送り込んだり、或いは送り込みを停止したりするチップストッパー76Tが設けられている。
【0032】
図7は、上述した料金精算機50の電気的構成を説明したブロック図であって、図中、51は制御部の中心を構成するCPU、52は各種のプログラムを格納したメモリ、53はこれ等CPU51とメモリ52とインターフェイス54の間を接続するバスであって、インターフェイス54には、投入口50Aに設けたシャッター(図示省略)を開閉する投入口シャッターソレノイド68と、前述したチップ発行釦58と、精算取消/使用終了釦57と、係員呼び出し釦59と、表示器55と、スピーカ69と、インターホン80と、時計回路60が接続され、更に、料金精算用の硬貨読取り部61、紙幣読取り部62、釣銭払い出し部63、人感センサ67及び外部通信装置50Tが接続されていて、夫々がCPU51の監視下でメモリ52に格納されたプログラムに従って制御作動する仕組みに成っている。
【0033】
更に上記のインターフェイス54には、前述したフィーダソレノイド76と、前述のロック装置10の内部に具備されているのと同様のチップ読取り/書込部30と、ICチップタグTPの発行/返却ソレノイド78と、タグ投入センサ79と、ステッピングモータ72と、振り分けディスク位置決めセンサ73及びタグ送り出しセンサ74(いずれも図6では図示省略)と、送り出しモータ75Aと残量センサ75B(図6では省略)とによって構成されたタグ送り出し部75とを具備したICチップタグリーダー/ライター部70が接続されていて、夫々が前記CPU51の監視下で前記メモリ52に格納されたプログラムに従って制御作動される仕組みに成っている。
【0034】
また、上述したメモリ52には、読み取った一時利用者用ICチップタグTPのデータエリアに精算済みのデータが書き込まれていない場合に、料金を決済して精算済み情報を上記のデータエリアに書き込んだ後、当該ICチップタグTPを返却する精算手段と、読み取った一時利用者用ICチップタグTPのデータエリアに精算済みを示すデータが書き込まれているが、駐輪中のステータスが書き込まれていない場合に、利用者に対してICチップタグTPの使用を終了するか否かを問い合わせて、使用者が使用終了の操作を行った場合に、当該ICチップタグTPを内部に回収するICチップタグ回収手段と、所定の預かり金の支払いを受けると一時利用者用ICチップタグTPを発行するICチップ発行手段と、一時利用者による使用終了の操作によってICチップタグTPが内部に回収される際に、上記の預かり金を返却する預かり金返却手段と、回収したICチップタグTPを順次自動的に発行待機位置まで循環移送するための再利用手段と、を実現するためのプログラムが具備されている。
【0035】
加えて、上述したメモリ52には、前記請求項2と3に記載の各手段、即ち、ICチップ読取り/書込部30が前記非接触型ICチップタグTPを読み取った際に、データエリアに記録されているロック装置10の個別の番号、若しくは、当該ロック装置10が設置されている位置を特定可能とする情報を、画面表示或いは音声出力することができるロック装置特定手段と、前記ICチップタグTPのデータエリアに記録されている前記ロック装置10の個々の番号、若しくは、前記位置を特定可能とする情報を読取り、且つ、その番号又は位置のロック装置10に対して検索信号を送って、当該ロック装置10の設置位置を特定可能とするロック装置検索手段と、を実現するためのプログラムが具備されている。
【0036】
図8は、上述した料金精算機50を中心とする制御装置40を介しての各ロック装置10…の通信接続状態を示した構成図、図9はICチップタグTPのデータフォーマットを示したものであって、ブロックNo.1、2は書換え不可能なデータエリアに製造過程で書き込まれているデータであるが、その他のブロックには書換え可能なエリアに成っている。
【0037】
次に、本発明の動作を図10乃至図15に示したフローチャートに従って説明すると、図10はロック装置10の駐輪時の動作を説明したものであって、ステップS1でロック装置10のICチップ読取り/書込部30によってICチップタグTPのデータエリアが読取られると、ステップS2でICチップタグTPの種別がOKであるか否か、即ち、定期種別か一時利用種別かを読み取って、予め設定された種別以外のICチップタグTPでNOの場合は、ステップS12に進んで赤色ランプ32(以下赤色LED32という)をG秒間(5秒程度)点滅させてエラー表示した後、解錠せずに処理を終えるが、OKの場合は次のステップS3に進んで上記データエリアに駐輪中のステータスが存在するか否かが判定されて、ステータスが無い場合(退出ステータスの場合)は次のステップS4に進み、駐輪中のステータスが存在する場合は同様に前記ステップS12に進んで、解錠せずにエラー処理を行う。
【0038】
ステップS4では、青色ランプ31(以下青色LED31という)を点滅して駐輪可能を表示し、次いで、ステップS51に進んで解錠ソレノイド21がC秒間(例えば3秒程度)PULLして、ロック装置10を図2に示した解錠状態とする。その後、ステップS6に進んで車輪センサ13が車輪BRを検知したか否かが判断される。車輪の検知は、車輪BRが押し込み部10Zに押し込まれて来て、車輪センサ13がONしたか否かで判定され、ONしない場合はステップS13に進んで最大A分間(例えば5分程度)車輪センサ13がONするまで待ち続けるが、それでもONしない場合は、ステップS14に進んで青色LED31を消灯した後、ステップS11に進んで施錠ソレノイド17をD秒間(例えば5秒程度)PULLして、ロック装置10を再度施錠する。
【0039】
一方前記ステップS6で車輪BRを検知した場合には、次のステップS7に進んでICチップタグTPの有無が判定され、YESの場合はステップS8に進んでICチップタグTPに駐輪中のステータスが書き込まれ、次いで、ステップS9で制御装置40のメモリ42にICチップタグTPのIDを書込み、その後、ステップS10に進んで青色LED31を点灯した後、ステップS11に進んで車輪BRをロック(施錠)して処理を終えるが、ステップS7でICチップタグTPが無しと判定された場合は、前記ステップS11に進んで青色LED31を消灯した後、1枚のICチップタグTPで複数箇所に駐輪するなどの不正使用の可能性が高く、ステップS11で車輪BRをロックして、自転車BSを確保してしまう。尚、上記青色LED31の点灯は、駐輪中ずっと続けられる。
【0040】
図11は、図10に示した手順で駐輪させた定期利用者が、ロック装置10から自転車BSを退出させる時の動作を説明したフローチャートであって、ステップS15で定期利用者のICチップタグTPをロック装置10のICチップ読取り/書込部30に読取らせ、次のステップS16で前述の駐輪時のステップS9で制御装置40のメモリ42に保存したIDと照合し、不一致の場合はステップS24に進んで解錠せずに赤色LED32をG秒間点滅してエラーを表示し、一致の場合はステップS17でICチップタグTPに退出ステータスを書き込んで、次のステップS18で解錠ソレノイド21をC秒間(3秒程度)PULLして解錠する。
【0041】
次のステップS19では車輪BRの有無が検知され、無い場合(車輪BRが退出した場合)は次のステップS20に進んでICチップタグTPの有無が判断される。車輪BRとICチップタグTPがいずれも有りの場合は、ステップS25に進んで両方の条件が合致するまでB分間(退出猶予時間を考慮に入れて5分程度)解錠状態を維持し、B分経過した場合はICチップタグTPを取り忘れたものと判断し、ステップS26に進んでICチップタグTPに改めて駐輪中のステータスを書込み、次いで、ステップS27に進んで施錠ソレノイド17をD秒間(5秒程度)PULLすることにより、車輪BRを再度施錠して処理を終える。
【0042】
また、前記ステップS20でICチップタグTPが無いと判定された(ICチップタグTPがポケット部10Xから取り除かれた)場合は、ステップS21に進んで制御装置40のメモリ42に記録されている当該ICチップタグTPのIDをクリアし、次いで、ステップS22に進んで施錠ソレノイド17をD秒間PULLして、空車状態のまま施錠し、更にステップS23で青色LED31を消灯することによって、処理を終える。
【0043】
図12は、一時利用者がロック装置10から自転車BSを退出させる時の動作を説明したフローチャートであって、そのステップS28からステップS41に至るまでの処理操作は、ステップS30の処理を除いて前記図11で示した定期利用者がロック装置10から自転車BSを退出させる場合の処理操作(ステップS15〜ステップS27)と同一であるため、ここでは上記ステップS30の処理内容に付いてのみ説明して、他の処理の説明は省略することにする。
【0044】
即ち、ステップS30は、料金精算を終えた時刻からの猶予時間がE分以内であるか否かの判断を行うものであって、駐輪時間によって料金を段階的に増加させる運用の場合には、精算後の退出可能時間をE分として規定することができる。また、一回の駐輪利用時に一定料金で運用する場合であっても、日付をまたいで駐輪した時は追加料金を課す場合もあり、その場合には同日精算済みかどうかの判断を行う。その場合のE分は、当日であれば不問とするものであって、従って、朝駐輪して直ぐに精算しておけば、帰りに料金精算機50の前に並んで精算する煩わしさから解放される利点がある。なお、このステップS30を省略して定期利用者用の動作と全く同じに運用することも可能である。
【0045】
次に、図13は料金精算機50によって一時利用者用ICチップタグTPが発行される処理手順を説明したフローチャートであって、発行に際しては、ステップS42で発行釦58が押下されると、次のステップS43に進んで表示器55に料金が表示され、次いで、ステップS44に進んで料金が投入されると、ステップS45で釣銭が必要か否かが判定され、必要な場合はステップS46で釣銭を払い出し、次いでステップS47で一時利用者用ICチップタグTPを送り出す操作が開始されて、次のステップS48に進む。
【0046】
ステップS48では、チップ読取り/書込部30によって上記送り出し途中のICチップタグTPの読取りが可能であるか否かが試され、可能である場合はステップS49に進んで当該チップ読取り/書込部30によって利用開始日がICチップタグTPのデータエリアに書き込まれるが、読取り不可能な場合は、ステップS53に進んでチップ回収動作が成された後、再びステップS47に戻ってICチップタグTPの送り出しが行われる。
【0047】
正常に読取り可能な場合はステップS41で利用開始日として日付を書き込み、ステップS50に進んでICチップタグTPへのデータの書込み具合がチェックされて、ステップS51でベリファイOKの場合は、ステップS52に進んでICチップタグTPを発行して処理を終えるが、ベリファイNOである場合は、前述したステップS53に進んでチップ回収動作が行われた後、ステップS47に戻ってICチップタグTPの発行動作が再び行われる。
【0048】
図14は、駐輪料金の精算動作時の処理を説明したフローチャートであって、初めのステップS54でタグ投入センサ79がICチップタグTPの投入を検知すると、ステップS55に進んでチップ読取り/書込部30がICチップタグTPのデータファイルを読取る。次のステップS56で読取りがOKの場合は、ステップS57に進んでICチップタグTPの種別、即ち、定期者用か一時利用者用かの種別が判定され、一時利用者用のICチップタグTPである場合は、ステップS58でデータファイルに駐輪中のステータスが存在するか否かが判定され、駐輪中のステータスが存在する場合はステップS59に進み、駐輪中のステータスが存在しない場合は、ステップS69に進む。
【0049】
ステップS59では、駐輪料金が精算済みか否かが判定され、精算済みの場合はステップS66に進んでICチップタグTPの発行動作を行い、ICチップタグTPを返却口50Cに返却する。尚、前記のステップS56で読取り不可の場合、及び、ステップS57で定期者用ICチップタグと判断された場合も、夫々上記ステップS66に進んでICチップタグTPが返却口50Cに返却される。更に、上記のステップS57で定期者用ICチップタグと判断された場合は、表示器55にその有効期限やその他必要な情報を表示して、当該ICチップタグTPが返却されるようにしてもよい。
【0050】
また、上記のステップS58で駐輪中のステータス無しと判断された場合は、ステップS69に進んで表示器55に「使用終了しますか」の表示や、必要に応じて音声ガイドを行い、次いで、ステップS70に進んで前記精算取消を兼ねる使用終了釦57が押下されると、ステップS71に進んで預かり金の払い戻しを行い、次いで、ステップS72に進んで当該ICチップタグTPの回収動作を行って処理を終える。しかし、上記ステップS70で使用終了釦57が押下されない場合は、ステップS73に進んでF秒間(例えば10秒程度)応答がなければ、前記ステップS66に進んで当該ICチップタグTPを返却口50Cに返却して処理を終える。
【0051】
また、上記ステップS59で精算済みでないと判断された場合は、料金計算(ステップS60)、料金表示(ステップS61)、料金投入(ステップS62)、釣銭有無の判断(ステップS63)、釣銭の払い出し(ステップS64)、精算時刻をICチップタグTPに書込処理(ステップS65)の各動作を行い、次いで、ステップS66でICチップタグTPを返却口50Cに返却した後、ステップS67に進んで精算を終えたICチップタグTPに書き込まれているロック装置10の番号を表示器55に表示し、次いで、ステップS68に進んで外部通信装置50Tを介して上記精算済みロック装置10を検索するための信号を各制御装置40に送信して処理を終える。
【0052】
図15は、ロック装置10が上記図14のステップS68で発信された検索信号を受信した時の動作を説明したフローチャートで、ステップS74で検索されているロック装置No.を有する制御装置40が検索信号を受信すると、ステップS75に進んで当該ロック装置10、即ち、駐輪料金の精算を済ませた自転車等が施錠されているロック装置10の青色LED31をY分間(例えば3分間程度)点滅動作せて、ICチップタグTPの読み込み(差込み)を待機する。
【0053】
次のステップS76では、ICチップタグTPの読み込みによって、ICチップタグTPに書き込まれているIDと、制御装置40に記録されているIDとが照合され、一致する場合で、且つ、定期利用者の場合は、図11に示したステップS17以降の退出処理に移行し、また一致する場合で、且つ、一時利用の場合は、図12に示したステップS30以降の退出処理に移行する。
【0054】
一方、ステップS77で上記のステップS76でのID照合の待機がY分間経過したと判断された場合には、ステップS78に進んで青色LED31を点滅から点灯に切換えて処理を終える。
【0055】
従って、上記本発明の構成によれば、定期利用でも一時利用でも、ICチップタグTPを投入すれば何度でも青色LED31の点滅が起こるので、やり直しが可能となる。また、一時利用者の利用料金が単一の場合(一回何円、時間に依らない)、朝駐輪した時に料金精算しておき帰りは直接ロック装置10に行けば良いが、時間が空いているためにロック装置10の番号を忘れることが多い。そのため、精算済みのICチップタグTPであっても、再度精算機50に投入した際に番号表示と検索信号発信して、青色LED31の点滅を行うので、非常に利便性が良い。同様に、定期利用者であってもいつも同じ場所を利用しない場合は、検索が非常に有効な手段といえる。
【0056】
尚、上述した実施例では、媒体として非接触型のICチップタグTPを用いて自転車BS等の駐輪を管理するシステムに付いて説明したが、ICチップタグTPに代えて非接触型ICカードを媒体として構成することも可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る駐輪場管理システムの構成を説明した斜視図。
【図2】本発明で使用するロック装置の解錠時の構成を説明した平断面図。
【図3】本発明で使用するロック装置の施錠時の構成を説明した平断面図。
【図4】ロック装置と制御装置の接続構成を説明したブロック図。
【図5】料金精算機の全体を説明した外観斜視図。
【図6】料金精算機の内部構造を説明した側断面図。
【図7】料金精算機の電気的構成を説明したブロック図。
【図8】料金精算機と制御装置及びロック装置の接続状態を説明したブロック図。
【図9】ICチップタグのデータフォーマット。
【図10】ロック装置の駐輪時の動作を説明したフローチャート。
【図11】定期利用者がロック装置から自転車を退出させる場合の動作を説明したフローチャート。
【図12】一時利用者がロック装置から自転車を退出させる場合の動作を説明したフローチャート。
【図13】一時利用者用ICチップタグの発行動作を説明したフローチャート。
【図14】駐輪料金の精算時の動作を説明したフローチャート。
【図15】ロック装置が検索信号を受信した時の動作を説明したフローチャート。
【符号の説明】
【0058】
TP 非接触型ICチップタグ
BS 二輪車としての自転車
BR 車輪
10 二輪車用のロック装置
11 センサーアーム
13 車輪センサ
14 ロックアーム
17 施錠ソレノイド
21 解錠ソレノイド
30 ICチップ読取り/書込部
31 青色ランプ(青色LED)
32 赤色ランプ(赤色LED)
40 制御装置
41 CPU
42 メモリ
44 インターフェイス
50 料金精算機
70 ICチップリーダー/ライター部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車やオートバイ等の二輪車の駐輪を管理する駐輪場管理システムに関し、特に、上記二輪車の駐輪を、ICチップタグによって施錠と解錠を行うことができる二輪車用ロック装置を用いて管理する駐輪場管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の二輪車用駐輪管理システムには、機械的な鍵を複数の車輪用ロック装置の夫々に個別に具備させる鍵式構造のものと、例えば特許文献1、2に記載されているように、複数の車輪用ロック装置と料金精算機を含む駐輪管理装置の間を電気的に接続して、駐輪時には車輪を任意のロック装置に押し込むことによりロックされ、退出時には、料金精算機に対して当該ロック装置の番号を入力して駐輪料金の精算を済ませると、ロックが外されて車輪の取り出しを可能にする電機式駐輪管理システムとが存在する。
【0003】
また、駐輪場利用者は定期利用者と一時利用者に分けられ、定期利用者は定期カードを駐輪管理装置に読み取らせて、定期エリア内の施錠されているロック装置を解錠して自転車等を駐輪させるが、一時利用者は一時利用者用エリアを使用して、通常は、解錠状態にある多数台のロック装置の中から任意のロック装置を選んで、これに自転車等を駐輪した後、施錠するように構成されている。
【特許文献1】特開2005−324669号公報
【特許文献2】特開2003−44887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献2に記載されているシステムのように、料金精算機にロック装置の番号を入力して精算する構成のシステムでは、駐輪装置(ロック装置)の番号を間違って料金精算機に入力すると、他人の自転車が駐輪しているロック装置を誤って解錠してしまう場合があり、また、この間違った入力を自動で取り消す手段が存在しないため、入力を間違えた場合には、係員を呼んで精算金額を払い戻してもらって、再度料金精算するしかなく、操作が非常に煩雑であった。
【0005】
また、悪意を持って他人の自転車が駐輪しているロック装置の番号を料金精算機に入力して精算することにより、他人の自転車を持ち出すことも可能であるため、盗難防止策として、料金精算機による精算時にテンキー部で暗証番号を入力するなどの手段が講じられていたが、暗証番号を用いるには、駐輪時に暗証番号を料金精算機に入力する必要があって、朝の通勤時間帯等では暗証番号の入力操作が混雑を助長する問題があり、且つ、暗証番号を忘れてロック装置を解錠できなくなる場合もあって、利便性に欠ける問題があった。
【0006】
更に、ロック装置の番号を料金精算機に入力して解錠する際に駐輪したロック装置の番号を忘れてしまって、わざわざ自分の自転車が駐輪している場所を探しに行って、ロック装置の番号を確認する場合もあって、利用者にとって利便性が悪く、更には、自分の自転車を駐輪した場所やロック装置の番号も忘れてしまった結果、自転車を探し回ることもあって、利用者にとって甚だ不便なものであった。
【0007】
そこで本発明の技術的課題は、他人の自転車等が施錠されているロック装置を間違って解錠したり、悪意を持って他人の自転車等が施錠されているロック装置を解錠して持ち去る自転車等の盗難事件を防止できると共に、ロック装置の番号を忘れたとしても、簡単に自分の自転車等が施錠されているロック装置を見つけ出すことができるように工夫した駐輪場管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 上記の技術的課題を解決するために、本発明の請求項1に係る駐輪場管理システムは、自転車やオートバイ等の二輪車の駐輪を、書換可能なデータエリアを有する非接触型ICチップタグと、このICチップタグを読み取って有効であれば解錠して当該二輪車の車輪の挿入を可能と成し、その後施錠するICチップ読取り/書込部を個々に具備した個別式ロック装置と、ICチップタグを読み取って駐輪料金の精算を行うことができるICチップ読取り/書込部を備えた料金精算機を用いて管理する駐輪場管理システムであって、上記の個別式ロック装置に、空車状態にあるロック装置のICチップ読取り/書込部がICチップタグを読み取って、有効なICチップタグと判断した場合に、当該ロック装置の番号をICチップタグのデータエリアに書き込んで、上記二輪車の車輪を退出不可能な状態に施錠する個別番号記録・施錠手段と、駐輪中で施錠状態にあるロック装置のICチップ読取り/書込部がICチップタグを読み取った際に、読み取られたロック装置の番号が当該ロック装置の番号と一致した場合に、上記ロック装置の施錠状態を解錠状態に移行して車輪の退出を可能にする個別番号読取り・解錠手段と、を具備せしめたことを特徴としている。
【0009】
(2) また、本発明の請求項2に係る駐輪場管理システムは、前記の料金精算機に、ICチップ読取り/書込部が前記非接触型ICチップタグを読み取った際に、データエリアに記録されているロック装置の番号、若しくは、当該ロック装置が設置されている位置を特定可能とする情報を、画面表示或いは音声出力することができるロック装置特定手段を具備せしめたことを特徴としている。
【0010】
(3) また、本発明の請求項3に係る駐輪場管理システムは、前記の料金精算機を、前記複数の個別式ロック装置の夫々に、有線若しくは無線により通信接続可能に接続すると共に、この料金精算機には、前記ICチップタグのデータエリアに記録されている前記ロック装置の個々の番号、若しくは、前記位置を特定可能とする情報を読取り、且つ、その番号又は位置に該当するロック装置に対して検索信号を送って、当該ロック装置の設置位置を特定可能とするロック装置検索手段を具備せしめたことを特徴としている。
【0011】
(4) 更に、本発明の請求項4に係る駐輪場管理システムは、前記のロック装置が前記料金精算機から検索信号を受けた場合に、当該ロック装置に設けた表示手段が一定時間点灯若しくは点滅して設置位置を知らせると共に、ロック装置のICチップ読取り/書込部が、ICチップタグのデータエリアから当該ロック装置を特定できるデータまたは同じIDを読み取ると、上記表示手段の点灯若しくは点滅を停止するように構成したことを特徴としている。
【0012】
上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、二輪車(以下自転車という)の車輪をロック装置に施錠させる際に、ICチップタグのデータエリアに当該ロック装置の番号が記録されるため、利用客はこのICチップタグを所持している限り(紛失しない限り)、ロック装置の番号を忘れたとしても、ICチップタグからロック装置の番号を確認して自分の自転車を見付け出すことができると共に、自分の自転車が駐輪しているロック装置の解錠は、他人が所持するICチップタグでは出来ないため、他人のICチップタグによるロック装置の誤解錠や、自転車の盗難を防止することができる。
【0013】
上記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、料金精算機にICチップタグを読み取らせて駐輪料金の精算を行う際に、料金精算機が当該ロック装置の番号、若しくは、その位置を特定するための情報を出力するため、利用客は自分の自転車が駐輪しているロック装置の位置を簡単に、且つ、確実に知ることができる。
【0014】
上記(3)で述べた請求項3に係る手段によれば、料金精算機にICチップタグを読み取らせて駐輪料金を精算する際に、料金精算機がICチップタグの読取りによって特定されたロック装置に対して検索信号を送って、ロック装置を特定することができるため、利用者は自分の自転車が駐輪しているロック装置を容易に確認することを可能にする。
【0015】
上記(4)で述べた請求項4に係る手段によれば、前記料金精算機から検索信号が送られて特定化されたロック装置は、ロック装置に設けた表示手段が点灯若しくは点滅して当該ロック装置の位置を知らせるため、利用者は自分の自転車が駐輪しているロック装置を極めて簡単に、且つ、正確に見付け出すことを可能にする。
【発明の効果】
【0016】
以上述べた次第で、本発明に係る駐輪場管理システムによれば、多数並設されたロック装置の中から、自分の自転車等が駐輪(施錠)しているロック装置を、駐輪料金の精算を済ませることによって極めて簡単に、且つ、正確に確認することができるため、料金精算から自分の自転車等を見付け出してロック装置を解錠し、退出させるまでの退出操作を円滑に行える利点を発揮できるものであって、他人の自転車等が施錠されているロック装置を間違えて解錠してしまったり、或いは、故意に解錠して他人の自転車等を持ち去る盗難事件を防止できる利点を発揮できる点と相俟って、自転車やオートバイ等の二輪車用駐輪場に実施して好適なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、上述した本発明に係る駐輪場管理システムの実施の形態を図面と共に説明すると、図1は本発明が実施された駐輪場の一部を示した構成図であって、図中、BSは二輪車としての自転車、STは駐輪場に設置された連結部材、10…は連結部材STに対してその長手方向に間隔をあけた状態で、交互に複数並設した高低2段構造の二輪車用ロック装置であって、各ロック装置10…は識別用として固有の番号を有している。また、ロック装置10…をこの様に高低2段に並設することによって、狭いスペースに多数の自転車BS…を駐輪できる仕組みに成っている。
【0018】
10Hと10Lは高低2段の各ロック装置10…に夫々連設した高低2段構造のガイドレール、BRは自転車BSの車輪、10Zは各ロック装置10…に設けた車輪BRの押し込み部(凹状嵌め込み部)、10Xは各ロック装置10毎に設けたICチップタグTP用のポケット部で、ICチップタグTPとしては書き換え可能なデータエリアを有する非接触型ICチップタグが使用される。更に図1において、31と32は上記各ロック装置10に設けたOK表示用の青色ランプとNG表示用の赤色ランプで、いずれもLED等の発光素子やランプ等を用いて構成されている。また、40は上記連結部材STに取付けた制御装置を示す。尚、ICチップタグTPには定期者用と一時利用者用とが存在し、定期者用のタグは例えば売店や管理室等で販売されるが、一時利用者用のタグは後述する料金精算機50に所定の預かり金を支払うことで発行される。
【0019】
図2と図3は上記ロック装置10の内部構成を説明した平断面図で、図2は解錠時の状態を、また、図3は施錠時の状態を示したものである。これ等の図面において、11は前記押し込み部10Zの内部に先端部を突出したセンサアームで、11Rはその支軸部、12はセンサアーム11に連設し、若しくは同軸的に形成した根端部、12Kは根端部12に形成したカム部、12Sは牽引バネ、13はアクチュエータ13Aを上記センサアーム11に連設した根端部12側に突出させた車輪センサで、図2の解錠状態で車輪BRが押し込み部10Zの内部に押し込まれてセンサアーム11を図3の状態に押圧回動すると、根端部12が図面上時計回転方向に回動してアクチュエータ13Aを押圧するため、車輪センサ13がONする仕組みに成っている。
【0020】
更に図中、14は根端部14Bを軸15を回動支軸としてロック装置10の内部に回動自在に取付けたロックアーム、16は当該ロックアーム14の根端部14Bに連設若しくは同軸的に取付けた作動片、17と21は上記ロック装置10の内部に取付けた施錠ソレノイドと解錠ソレノイドで、施錠ソレノイド17によって進退作動するロッド17Aの先端部が、連結軸17Bを用いて上記作動片16に連結され、解錠ソレノイド21のロッド21Aが同じくロック装置10の内部に設けられた解錠アーム19の一端側に連結されている。
【0021】
また、18と20は上記作動片16と解錠アーム19の一端側に取付けた牽引バネ、16Tは作動片16の先端に設けたフック部、19Aは解錠アーム19の他端側に形成した係合部であって、図2の解錠状態から、図3の如く車輪BRが押し込み部10Z内部に押し込まれてセンサアーム11を押すと、車輪センサ13がONして施錠ソレノイド17がロッド17Aを図3に示した矢印方向に吸引(PULL)作動するため、ロックアーム14が回動されてアーム先端部14Aが押し込み部10Zの入口を塞ぐため、自転車BSの車輪BRをロック装置10にロック(施錠)することができる。
【0022】
上記ロック装置10による施錠時には、図3に示すように作動片16の先端に形成したフック部16Tが解錠アーム19の係合部19Aに係合されるため、上記施錠ソレノイド17の吸引作動を停止しても、上記ロックアーム14による施錠状態は維持される。
【0023】
以上の如く施錠されたロック装置10を解錠するには、図2に示した矢印方向に解錠ソレノイド21を吸引作動すれば、解錠アーム19が回動されて上記フック部16Tに対する係合部19Aの係合を外すため、ロックアーム14は前記牽引バネ18に牽引されて図2に示す状態に解錠回動されるため、前記車輪BRに対するロックが外されて、自転車BSを自由にロック装置10より退出させることができ、また、前記センサアーム11も牽引バネ12Sの牽引作用によって図2に示した当初の解錠状態に自動復帰する。
【0024】
上記図2に示したロックアーム14の解錠状態は牽引バネ18によって維持され、また、上記図3に示したロックアーム14による施錠状態は上記フック部16Tと係合部19Aの係合によって維持されるため、施錠と解錠の各ソレノイド17,21は、ロックアーム14が完全に回動を終えるまでの数秒間だけ吸引(PULL)すれば、その後は解放(OFF)できるので、電力の消費を抑えることができる。
【0025】
尚、図2と図3において、30はロック装置10内に設けた非接触型のICチップ読取り/書込部で、前記図1に示したロック装置10のポケット部10XにICチップタグTPを載置又は挿入すると、上記ICチップ読取り/書込部30との間で非接触にてデータの読み書きが行われる仕組みに成っている。
【0026】
次に図4は上記図1に示した制御装置40の構成を説明したブロック図であって、制御装置40は前記連結部材STのブロックごと、即ち、1本の連結部材STに並設されるロック装置10…を1ブロックとする各ブロックごとに1台設けられていて、各ロック装置10…に対する自転車BSの駐輪と退出を個別に管理及び制御する仕組みに成っている。
【0027】
即ち、制御装置40は制御部の中心を構成するCPU41と、システムプログラムを格納したメモリ42と、これ等CPU41とメモリ42の間にバス43を介して接続されたインターフェイス44と、このインターフェイス44に接続された外部通信装置40Tとによって構成されている。前述した車輪センサ13と施錠と解錠の各ソレノイド17,21とICチップ読取り/書込部30及び青色と赤色の各ランプ31,32を備えた各ロック装置10…は、通信線45を介してロック装置10ごとに個別に割り振られた上記のインターフェイス44に接続されている。
【0028】
図5は、駐輪場の敷地内、又は、その近傍に設置される駐輪料金精算機50の外観を示したものであって、この料金精算機50は一時利用者用のICチップタグを発行する機能と、当該ICチップタグに書き込まれているデータから一時利用者の駐輪料金を計算して精算する機能と、駐輪料金の精算時に、当該ICチップタグに書き込まれているデータから、一時利用者が使用したロック装置10を特定及び検索するための機能を備えている。
【0029】
図5において、50Aは上記ICチップタグTPの投入口、50Bは紙幣の挿入口、50Hはコインの投入口、50CはICチップタグTPと領収証及びおつりの返却口、55は各種メッセージ等の表示器、57は精算取消/使用終了釦、58はICチップタグTPの発行釦、59は係員呼び出し釦、69は音声出力用のスピーカ、69Aはインターホンを示す。尚、定期利用者用のICチップタグTPは、前述したように、売店や管理室等で販売されるが、この料金精算機50が販売してもよく、その選択は任意とする。
【0030】
尚、上記料金精算機50としては、例えば本出願人による特開2002−216180号公報に開示されている「ICタグを用いた駐車券発行装置及び駐車料金精算装置」が使用されるが、本発明の料金精算機50の構成が、斯る公報に記載の装置にのみ限定されないことは勿論である。
【0031】
図6は上記料金精算装置50の内部構成の一例を説明した側断面図であって、図中、70は投入口50Aより投入されたICチップタグTPを、返却シュータ50Dを通して返却口50Cに返却したり、排出シュータ50Eを通して予蓄タンク50Fに送り込んだりするICチップタグリーダー/ライター部、75は予蓄タンク50Fに予蓄されたICチップタグTPを、必要に応じて循環レール部50R、上部円弧状レール部50T及び送り込みレール部50Gを通して、上記ICチップタグリーダー/ライター部70に送り込む循環装置であって、送り込みレール部50Gには、フイーダーソレノイド76によって作動されて、送られて来るICチップタグTPを一定間隔で送り込んだり、或いは送り込みを停止したりするチップストッパー76Tが設けられている。
【0032】
図7は、上述した料金精算機50の電気的構成を説明したブロック図であって、図中、51は制御部の中心を構成するCPU、52は各種のプログラムを格納したメモリ、53はこれ等CPU51とメモリ52とインターフェイス54の間を接続するバスであって、インターフェイス54には、投入口50Aに設けたシャッター(図示省略)を開閉する投入口シャッターソレノイド68と、前述したチップ発行釦58と、精算取消/使用終了釦57と、係員呼び出し釦59と、表示器55と、スピーカ69と、インターホン80と、時計回路60が接続され、更に、料金精算用の硬貨読取り部61、紙幣読取り部62、釣銭払い出し部63、人感センサ67及び外部通信装置50Tが接続されていて、夫々がCPU51の監視下でメモリ52に格納されたプログラムに従って制御作動する仕組みに成っている。
【0033】
更に上記のインターフェイス54には、前述したフィーダソレノイド76と、前述のロック装置10の内部に具備されているのと同様のチップ読取り/書込部30と、ICチップタグTPの発行/返却ソレノイド78と、タグ投入センサ79と、ステッピングモータ72と、振り分けディスク位置決めセンサ73及びタグ送り出しセンサ74(いずれも図6では図示省略)と、送り出しモータ75Aと残量センサ75B(図6では省略)とによって構成されたタグ送り出し部75とを具備したICチップタグリーダー/ライター部70が接続されていて、夫々が前記CPU51の監視下で前記メモリ52に格納されたプログラムに従って制御作動される仕組みに成っている。
【0034】
また、上述したメモリ52には、読み取った一時利用者用ICチップタグTPのデータエリアに精算済みのデータが書き込まれていない場合に、料金を決済して精算済み情報を上記のデータエリアに書き込んだ後、当該ICチップタグTPを返却する精算手段と、読み取った一時利用者用ICチップタグTPのデータエリアに精算済みを示すデータが書き込まれているが、駐輪中のステータスが書き込まれていない場合に、利用者に対してICチップタグTPの使用を終了するか否かを問い合わせて、使用者が使用終了の操作を行った場合に、当該ICチップタグTPを内部に回収するICチップタグ回収手段と、所定の預かり金の支払いを受けると一時利用者用ICチップタグTPを発行するICチップ発行手段と、一時利用者による使用終了の操作によってICチップタグTPが内部に回収される際に、上記の預かり金を返却する預かり金返却手段と、回収したICチップタグTPを順次自動的に発行待機位置まで循環移送するための再利用手段と、を実現するためのプログラムが具備されている。
【0035】
加えて、上述したメモリ52には、前記請求項2と3に記載の各手段、即ち、ICチップ読取り/書込部30が前記非接触型ICチップタグTPを読み取った際に、データエリアに記録されているロック装置10の個別の番号、若しくは、当該ロック装置10が設置されている位置を特定可能とする情報を、画面表示或いは音声出力することができるロック装置特定手段と、前記ICチップタグTPのデータエリアに記録されている前記ロック装置10の個々の番号、若しくは、前記位置を特定可能とする情報を読取り、且つ、その番号又は位置のロック装置10に対して検索信号を送って、当該ロック装置10の設置位置を特定可能とするロック装置検索手段と、を実現するためのプログラムが具備されている。
【0036】
図8は、上述した料金精算機50を中心とする制御装置40を介しての各ロック装置10…の通信接続状態を示した構成図、図9はICチップタグTPのデータフォーマットを示したものであって、ブロックNo.1、2は書換え不可能なデータエリアに製造過程で書き込まれているデータであるが、その他のブロックには書換え可能なエリアに成っている。
【0037】
次に、本発明の動作を図10乃至図15に示したフローチャートに従って説明すると、図10はロック装置10の駐輪時の動作を説明したものであって、ステップS1でロック装置10のICチップ読取り/書込部30によってICチップタグTPのデータエリアが読取られると、ステップS2でICチップタグTPの種別がOKであるか否か、即ち、定期種別か一時利用種別かを読み取って、予め設定された種別以外のICチップタグTPでNOの場合は、ステップS12に進んで赤色ランプ32(以下赤色LED32という)をG秒間(5秒程度)点滅させてエラー表示した後、解錠せずに処理を終えるが、OKの場合は次のステップS3に進んで上記データエリアに駐輪中のステータスが存在するか否かが判定されて、ステータスが無い場合(退出ステータスの場合)は次のステップS4に進み、駐輪中のステータスが存在する場合は同様に前記ステップS12に進んで、解錠せずにエラー処理を行う。
【0038】
ステップS4では、青色ランプ31(以下青色LED31という)を点滅して駐輪可能を表示し、次いで、ステップS51に進んで解錠ソレノイド21がC秒間(例えば3秒程度)PULLして、ロック装置10を図2に示した解錠状態とする。その後、ステップS6に進んで車輪センサ13が車輪BRを検知したか否かが判断される。車輪の検知は、車輪BRが押し込み部10Zに押し込まれて来て、車輪センサ13がONしたか否かで判定され、ONしない場合はステップS13に進んで最大A分間(例えば5分程度)車輪センサ13がONするまで待ち続けるが、それでもONしない場合は、ステップS14に進んで青色LED31を消灯した後、ステップS11に進んで施錠ソレノイド17をD秒間(例えば5秒程度)PULLして、ロック装置10を再度施錠する。
【0039】
一方前記ステップS6で車輪BRを検知した場合には、次のステップS7に進んでICチップタグTPの有無が判定され、YESの場合はステップS8に進んでICチップタグTPに駐輪中のステータスが書き込まれ、次いで、ステップS9で制御装置40のメモリ42にICチップタグTPのIDを書込み、その後、ステップS10に進んで青色LED31を点灯した後、ステップS11に進んで車輪BRをロック(施錠)して処理を終えるが、ステップS7でICチップタグTPが無しと判定された場合は、前記ステップS11に進んで青色LED31を消灯した後、1枚のICチップタグTPで複数箇所に駐輪するなどの不正使用の可能性が高く、ステップS11で車輪BRをロックして、自転車BSを確保してしまう。尚、上記青色LED31の点灯は、駐輪中ずっと続けられる。
【0040】
図11は、図10に示した手順で駐輪させた定期利用者が、ロック装置10から自転車BSを退出させる時の動作を説明したフローチャートであって、ステップS15で定期利用者のICチップタグTPをロック装置10のICチップ読取り/書込部30に読取らせ、次のステップS16で前述の駐輪時のステップS9で制御装置40のメモリ42に保存したIDと照合し、不一致の場合はステップS24に進んで解錠せずに赤色LED32をG秒間点滅してエラーを表示し、一致の場合はステップS17でICチップタグTPに退出ステータスを書き込んで、次のステップS18で解錠ソレノイド21をC秒間(3秒程度)PULLして解錠する。
【0041】
次のステップS19では車輪BRの有無が検知され、無い場合(車輪BRが退出した場合)は次のステップS20に進んでICチップタグTPの有無が判断される。車輪BRとICチップタグTPがいずれも有りの場合は、ステップS25に進んで両方の条件が合致するまでB分間(退出猶予時間を考慮に入れて5分程度)解錠状態を維持し、B分経過した場合はICチップタグTPを取り忘れたものと判断し、ステップS26に進んでICチップタグTPに改めて駐輪中のステータスを書込み、次いで、ステップS27に進んで施錠ソレノイド17をD秒間(5秒程度)PULLすることにより、車輪BRを再度施錠して処理を終える。
【0042】
また、前記ステップS20でICチップタグTPが無いと判定された(ICチップタグTPがポケット部10Xから取り除かれた)場合は、ステップS21に進んで制御装置40のメモリ42に記録されている当該ICチップタグTPのIDをクリアし、次いで、ステップS22に進んで施錠ソレノイド17をD秒間PULLして、空車状態のまま施錠し、更にステップS23で青色LED31を消灯することによって、処理を終える。
【0043】
図12は、一時利用者がロック装置10から自転車BSを退出させる時の動作を説明したフローチャートであって、そのステップS28からステップS41に至るまでの処理操作は、ステップS30の処理を除いて前記図11で示した定期利用者がロック装置10から自転車BSを退出させる場合の処理操作(ステップS15〜ステップS27)と同一であるため、ここでは上記ステップS30の処理内容に付いてのみ説明して、他の処理の説明は省略することにする。
【0044】
即ち、ステップS30は、料金精算を終えた時刻からの猶予時間がE分以内であるか否かの判断を行うものであって、駐輪時間によって料金を段階的に増加させる運用の場合には、精算後の退出可能時間をE分として規定することができる。また、一回の駐輪利用時に一定料金で運用する場合であっても、日付をまたいで駐輪した時は追加料金を課す場合もあり、その場合には同日精算済みかどうかの判断を行う。その場合のE分は、当日であれば不問とするものであって、従って、朝駐輪して直ぐに精算しておけば、帰りに料金精算機50の前に並んで精算する煩わしさから解放される利点がある。なお、このステップS30を省略して定期利用者用の動作と全く同じに運用することも可能である。
【0045】
次に、図13は料金精算機50によって一時利用者用ICチップタグTPが発行される処理手順を説明したフローチャートであって、発行に際しては、ステップS42で発行釦58が押下されると、次のステップS43に進んで表示器55に料金が表示され、次いで、ステップS44に進んで料金が投入されると、ステップS45で釣銭が必要か否かが判定され、必要な場合はステップS46で釣銭を払い出し、次いでステップS47で一時利用者用ICチップタグTPを送り出す操作が開始されて、次のステップS48に進む。
【0046】
ステップS48では、チップ読取り/書込部30によって上記送り出し途中のICチップタグTPの読取りが可能であるか否かが試され、可能である場合はステップS49に進んで当該チップ読取り/書込部30によって利用開始日がICチップタグTPのデータエリアに書き込まれるが、読取り不可能な場合は、ステップS53に進んでチップ回収動作が成された後、再びステップS47に戻ってICチップタグTPの送り出しが行われる。
【0047】
正常に読取り可能な場合はステップS41で利用開始日として日付を書き込み、ステップS50に進んでICチップタグTPへのデータの書込み具合がチェックされて、ステップS51でベリファイOKの場合は、ステップS52に進んでICチップタグTPを発行して処理を終えるが、ベリファイNOである場合は、前述したステップS53に進んでチップ回収動作が行われた後、ステップS47に戻ってICチップタグTPの発行動作が再び行われる。
【0048】
図14は、駐輪料金の精算動作時の処理を説明したフローチャートであって、初めのステップS54でタグ投入センサ79がICチップタグTPの投入を検知すると、ステップS55に進んでチップ読取り/書込部30がICチップタグTPのデータファイルを読取る。次のステップS56で読取りがOKの場合は、ステップS57に進んでICチップタグTPの種別、即ち、定期者用か一時利用者用かの種別が判定され、一時利用者用のICチップタグTPである場合は、ステップS58でデータファイルに駐輪中のステータスが存在するか否かが判定され、駐輪中のステータスが存在する場合はステップS59に進み、駐輪中のステータスが存在しない場合は、ステップS69に進む。
【0049】
ステップS59では、駐輪料金が精算済みか否かが判定され、精算済みの場合はステップS66に進んでICチップタグTPの発行動作を行い、ICチップタグTPを返却口50Cに返却する。尚、前記のステップS56で読取り不可の場合、及び、ステップS57で定期者用ICチップタグと判断された場合も、夫々上記ステップS66に進んでICチップタグTPが返却口50Cに返却される。更に、上記のステップS57で定期者用ICチップタグと判断された場合は、表示器55にその有効期限やその他必要な情報を表示して、当該ICチップタグTPが返却されるようにしてもよい。
【0050】
また、上記のステップS58で駐輪中のステータス無しと判断された場合は、ステップS69に進んで表示器55に「使用終了しますか」の表示や、必要に応じて音声ガイドを行い、次いで、ステップS70に進んで前記精算取消を兼ねる使用終了釦57が押下されると、ステップS71に進んで預かり金の払い戻しを行い、次いで、ステップS72に進んで当該ICチップタグTPの回収動作を行って処理を終える。しかし、上記ステップS70で使用終了釦57が押下されない場合は、ステップS73に進んでF秒間(例えば10秒程度)応答がなければ、前記ステップS66に進んで当該ICチップタグTPを返却口50Cに返却して処理を終える。
【0051】
また、上記ステップS59で精算済みでないと判断された場合は、料金計算(ステップS60)、料金表示(ステップS61)、料金投入(ステップS62)、釣銭有無の判断(ステップS63)、釣銭の払い出し(ステップS64)、精算時刻をICチップタグTPに書込処理(ステップS65)の各動作を行い、次いで、ステップS66でICチップタグTPを返却口50Cに返却した後、ステップS67に進んで精算を終えたICチップタグTPに書き込まれているロック装置10の番号を表示器55に表示し、次いで、ステップS68に進んで外部通信装置50Tを介して上記精算済みロック装置10を検索するための信号を各制御装置40に送信して処理を終える。
【0052】
図15は、ロック装置10が上記図14のステップS68で発信された検索信号を受信した時の動作を説明したフローチャートで、ステップS74で検索されているロック装置No.を有する制御装置40が検索信号を受信すると、ステップS75に進んで当該ロック装置10、即ち、駐輪料金の精算を済ませた自転車等が施錠されているロック装置10の青色LED31をY分間(例えば3分間程度)点滅動作せて、ICチップタグTPの読み込み(差込み)を待機する。
【0053】
次のステップS76では、ICチップタグTPの読み込みによって、ICチップタグTPに書き込まれているIDと、制御装置40に記録されているIDとが照合され、一致する場合で、且つ、定期利用者の場合は、図11に示したステップS17以降の退出処理に移行し、また一致する場合で、且つ、一時利用の場合は、図12に示したステップS30以降の退出処理に移行する。
【0054】
一方、ステップS77で上記のステップS76でのID照合の待機がY分間経過したと判断された場合には、ステップS78に進んで青色LED31を点滅から点灯に切換えて処理を終える。
【0055】
従って、上記本発明の構成によれば、定期利用でも一時利用でも、ICチップタグTPを投入すれば何度でも青色LED31の点滅が起こるので、やり直しが可能となる。また、一時利用者の利用料金が単一の場合(一回何円、時間に依らない)、朝駐輪した時に料金精算しておき帰りは直接ロック装置10に行けば良いが、時間が空いているためにロック装置10の番号を忘れることが多い。そのため、精算済みのICチップタグTPであっても、再度精算機50に投入した際に番号表示と検索信号発信して、青色LED31の点滅を行うので、非常に利便性が良い。同様に、定期利用者であってもいつも同じ場所を利用しない場合は、検索が非常に有効な手段といえる。
【0056】
尚、上述した実施例では、媒体として非接触型のICチップタグTPを用いて自転車BS等の駐輪を管理するシステムに付いて説明したが、ICチップタグTPに代えて非接触型ICカードを媒体として構成することも可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る駐輪場管理システムの構成を説明した斜視図。
【図2】本発明で使用するロック装置の解錠時の構成を説明した平断面図。
【図3】本発明で使用するロック装置の施錠時の構成を説明した平断面図。
【図4】ロック装置と制御装置の接続構成を説明したブロック図。
【図5】料金精算機の全体を説明した外観斜視図。
【図6】料金精算機の内部構造を説明した側断面図。
【図7】料金精算機の電気的構成を説明したブロック図。
【図8】料金精算機と制御装置及びロック装置の接続状態を説明したブロック図。
【図9】ICチップタグのデータフォーマット。
【図10】ロック装置の駐輪時の動作を説明したフローチャート。
【図11】定期利用者がロック装置から自転車を退出させる場合の動作を説明したフローチャート。
【図12】一時利用者がロック装置から自転車を退出させる場合の動作を説明したフローチャート。
【図13】一時利用者用ICチップタグの発行動作を説明したフローチャート。
【図14】駐輪料金の精算時の動作を説明したフローチャート。
【図15】ロック装置が検索信号を受信した時の動作を説明したフローチャート。
【符号の説明】
【0058】
TP 非接触型ICチップタグ
BS 二輪車としての自転車
BR 車輪
10 二輪車用のロック装置
11 センサーアーム
13 車輪センサ
14 ロックアーム
17 施錠ソレノイド
21 解錠ソレノイド
30 ICチップ読取り/書込部
31 青色ランプ(青色LED)
32 赤色ランプ(赤色LED)
40 制御装置
41 CPU
42 メモリ
44 インターフェイス
50 料金精算機
70 ICチップリーダー/ライター部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車やオートバイ等の二輪車の駐輪を、書換可能なデータエリアを有する非接触型ICチップタグと、このICチップタグを読み取って有効であれば解錠して当該二輪車の車輪の挿入を可能と成し、その後施錠するICチップ読取り/書込部を個々に具備した個別式ロック装置と、ICチップタグを読み取って駐輪料金の精算を行うことができるICチップ読取り/書込部を備えた料金精算機を用いて管理する駐輪場管理システムであって、
上記の個別式ロック装置に、
空車状態にあるロック装置のICチップ読取り/書込部がICチップタグを読み取って、有効なICチップタグと判断した場合に、当該ロック装置の番号をICチップタグのデータエリアに書き込んで、上記二輪車の車輪を退出不可能な状態に施錠する個別番号記録・施錠手段と、
駐輪中で施錠状態にあるロック装置のICチップ読取り/書込部がICチップタグを読み取った際に、読み取られたロック装置の番号が当該ロック装置の番号と一致した場合に、上記ロック装置の施錠状態を解錠状態に移行して車輪の退出を可能にする個別番号読取り・解錠手段と、
を具備せしめたことを特徴とする駐輪場管理システム。
【請求項2】
前記の料金精算機に、ICチップ読取り/書込部が前記非接触型ICチップタグを読み取った際に、データエリアに記録されているロック装置の番号、若しくは、当該ロック装置が設置されている位置を特定可能とする情報を、画面表示或いは音声出力することができるロック装置特定手段を具備せしめたことを特徴とする請求項1に記載の駐輪場管理システム。
【請求項3】
前記の料金精算機を、前記複数の個別式ロック装置の夫々に、有線若しくは無線により通信接続可能に接続すると共に、この料金精算機には、前記ICチップタグのデータエリアに記録されている前記ロック装置の番号、若しくは、前記位置を特定可能とする情報を読取り、且つ、その番号又は位置に該当するロック装置に対して検索信号を送って、当該ロック装置の設置位置を特定可能とするロック装置検索手段を具備せしめたことを特徴とする請求項2に記載の駐輪場管理システム。
【請求項4】
前記のロック装置が前記料金精算機から検索信号を受けた場合に、当該ロック装置に設けた表示手段が一定時間点灯若しくは点滅して設置位置を知らせると共に、ロック装置のICチップ読取り/書込部が、ICチップタグのデータエリアから当該ロック装置を特定できるデータまたは同じIDを読み取ると、上記表示手段の点灯若しくは点滅を停止するように構成したことを特徴とする請求項3に記載の駐輪場管理システム。
【請求項1】
自転車やオートバイ等の二輪車の駐輪を、書換可能なデータエリアを有する非接触型ICチップタグと、このICチップタグを読み取って有効であれば解錠して当該二輪車の車輪の挿入を可能と成し、その後施錠するICチップ読取り/書込部を個々に具備した個別式ロック装置と、ICチップタグを読み取って駐輪料金の精算を行うことができるICチップ読取り/書込部を備えた料金精算機を用いて管理する駐輪場管理システムであって、
上記の個別式ロック装置に、
空車状態にあるロック装置のICチップ読取り/書込部がICチップタグを読み取って、有効なICチップタグと判断した場合に、当該ロック装置の番号をICチップタグのデータエリアに書き込んで、上記二輪車の車輪を退出不可能な状態に施錠する個別番号記録・施錠手段と、
駐輪中で施錠状態にあるロック装置のICチップ読取り/書込部がICチップタグを読み取った際に、読み取られたロック装置の番号が当該ロック装置の番号と一致した場合に、上記ロック装置の施錠状態を解錠状態に移行して車輪の退出を可能にする個別番号読取り・解錠手段と、
を具備せしめたことを特徴とする駐輪場管理システム。
【請求項2】
前記の料金精算機に、ICチップ読取り/書込部が前記非接触型ICチップタグを読み取った際に、データエリアに記録されているロック装置の番号、若しくは、当該ロック装置が設置されている位置を特定可能とする情報を、画面表示或いは音声出力することができるロック装置特定手段を具備せしめたことを特徴とする請求項1に記載の駐輪場管理システム。
【請求項3】
前記の料金精算機を、前記複数の個別式ロック装置の夫々に、有線若しくは無線により通信接続可能に接続すると共に、この料金精算機には、前記ICチップタグのデータエリアに記録されている前記ロック装置の番号、若しくは、前記位置を特定可能とする情報を読取り、且つ、その番号又は位置に該当するロック装置に対して検索信号を送って、当該ロック装置の設置位置を特定可能とするロック装置検索手段を具備せしめたことを特徴とする請求項2に記載の駐輪場管理システム。
【請求項4】
前記のロック装置が前記料金精算機から検索信号を受けた場合に、当該ロック装置に設けた表示手段が一定時間点灯若しくは点滅して設置位置を知らせると共に、ロック装置のICチップ読取り/書込部が、ICチップタグのデータエリアから当該ロック装置を特定できるデータまたは同じIDを読み取ると、上記表示手段の点灯若しくは点滅を停止するように構成したことを特徴とする請求項3に記載の駐輪場管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−293472(P2007−293472A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118780(P2006−118780)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
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