説明

骨セメントのための保存および混合装置

【課題】本発明は、液体および固体成分を保存および混合するための保存および混合装置、特に骨セメントを生成するためのモノマー液体および粉末を混合し、保存するための装置に関する。
【解決手段】その装置は2つのチャンバを含み、そのうちの第1のチャンバは固体成分を含有し、開口可能な分離部によって液体成分を含有する第2のチャンバから分離されている。圧力差により駆動可能な混合器が第1のチャンバに配置される。この保存および混合システムにおいて、手術室で利用可能な真空が、真空中でモノマー液体および骨セメント粉末を混合し、同時に混合器を作動するために使用される。さらに、真空はまた、モノマー液体と混合空間との間の分離部を開口し、モノマー液体を混合空間に移動させるために使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体成分を含み、負圧源のための接続部を備え、開口可能な分離部により第2のチャンバから分離されている、第1のチャンバを有し、該第2のチャンバは液体成分を含む、請求項1の包括的部分の特徴に係る液体および固体成分を保存し、混合するための保存および混合装置に関する。これは特に、骨セメントを生成するためのモノマー液体および粉末を混合し、保存するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PMMA骨セメントは、Sir Charnleyの先駆的な研究に基づく(非特許文献1)。それらは液体モノマー成分および粉末成分からなる。モノマー成分は通常、モノマーである、メチルメタクリレートおよびそれに溶解される活性化剤である、(N,N−ジメチル−p−トルイジン)を含む。骨セメント成分とも呼ばれる粉末成分は、メチルメタクリレートおよびコモノマーに基づいた重合により生成される1つ以上のポリマー、例えばスチレン、メタクリレートまたは類似のモノマー、放射線不透過剤(radiopaquer)、および開始剤である、過酸化ジベンゾイルを含む。
【0003】
ガラスアンプルまたは複合プラスチックフィルムもしくは複合アルミニウムホイル製のポーチにモノマー液体を保存することが慣習となっている。その主モノマー容器は、手動で破壊して開口するか、または開口するように穴を開けるかもしくは切断して、セメントを混合する直前に開口される必要がある。紙−プラスチックバッグにセメント粉末を保存することが慣習となっている。それらはまた、切断もしくは引き裂いて混合する前に開口される必要がある。
【0004】
粉末成分およびモノマー成分を混合し、メチルメタクリレート中に粉末成分のポリマーを膨張させることにより、塑性的に成形され得、実際の骨セメントであるドウ(dough)が生成する。粉末成分およびモノマー成分を混合することにより、活性化剤である、N,N−ジメチル−p−トルイジンが、ラジカルを形成しながら、過酸化ジベンゾイルと反応する。このように形成されるラジカルはメチルメタクリレートのラジカル重合を誘発する。メチルメタクリレートの重合を進行する際に、セメントドウの粘性は、セメントドウが凝固するまで増加する。
【0005】
ポリメチルメタクリレート骨セメントは、スパチュラを用いて適切な混合ビーカー中でセメント粉末およびモノマー液体を混合することにより混合され得る。この手順は、空気含有物が、セメントドウ中に存在する可能性があり、後で骨セメントの不安定化が生じ、引き起こされるという点で不都合がある。この理由のために、真空混合システム中で骨セメント粉末およびモノマー液体を混合することが好ましい。なぜなら、真空中での混合により、セメントドウから大部分、空気含有物が除去されるからである(非特許文献2)。真空中で混合された骨セメントは、明らかに減少した多孔率を有するので、改良された機械特性を示す。多数の真空セメンティングシステムが開示されており、例示的な目的のために以下にそれを記載する:特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、および特許文献15。
【0006】
真空セメンティングシステムは、セメント粉末およびモノマー液体が、混合システムの別の区画において既に予め詰められており、例えば、特許文献16、特許文献12、特許文献17に記載されているセメンティングシステムにおいてセメントを適用する直前にのみ互いに混合されるという、改良型である。しかしながら、これらのシステムの1つの本質的な問題は、セメント粉末および事前に滅菌濾過されたモノマー液体を含むシステム全体の殺菌である。
【0007】
従って、特許文献18は、骨セメントを混合し、分配するための装置であって、軸方向に動く2部分プランジャシステムが、第1のシリンダ端部の領域に配置され、殺菌プランジャおよび密閉プランジャを備える、装置を提案している。殺菌プランジャおよび密閉プランジャは、互いの作動棒分離部に軸方向に移動するように配置され、殺菌プランジャが、ガスが透過可能な形態で混合シリンダに接近し、密閉プランジャが、ガスが気密の形態で混合シリンダに接近する。
【0008】
液体セメント成分および粉末形状成分の混合が、混合機構を有する混合棒の手動の作動により影響を受けるという点でこのシステムは不都合である。それに必要とする力以外に、手動により引き起こされる混合は、混合の結果が、個人が混合プロセスを行う方法に強く依存するため、不都合である。人により使用される力、垂直の混合動作の数、混合動作の回転の角度、プランジャヘッドおよびプランジャフロアの方向における混合機構の最大偏向、および全混合時間が、セメントドウの均質性に関する混合結果に影響を与える。従って、セメントの質は異なる医療従事者の間で非常に変わり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,033,105A号
【特許文献2】米国特許第5,624,184A号
【特許文献3】米国特許第4,671,263A号
【特許文献4】米国特許第4,973,168A号
【特許文献5】米国特許第5,100,241A号
【特許文献6】国際公開第99/67015A1号
【特許文献7】欧州特許第1020167A2号
【特許文献8】米国特許第5,586,821A号
【特許文献9】欧州特許第1016452A2号
【特許文献10】独国特許第3640279A1号
【特許文献11】国際公開第94/26403A1号
【特許文献12】欧州特許第0692229A1号
【特許文献13】欧州特許第1005901A2号
【特許文献14】米国特許第5,344,232A号
【特許文献15】欧州特許第1920738A2号
【特許文献16】米国特許第5,997,544号
【特許文献17】米国特許第6,709,149号
【特許文献18】独国特許出願第10 2009 031178A1号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Charnley,J.:Anchorage of the femoral head prosthesis of the shaft of the femur.J.Bone Joint Surg.42(1960)28−30
【非特許文献2】Breusch S.J.ら:Der Stand der Zementiertechnik in Deutschland.Z.Orthop.1999,137:101−07
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、混合プロセスが、ほとんど力を必要とせず、また、個々の医療従事者と関係なく進行させて、再現可能な結果を生じる、骨セメントを混合するための装置を生成することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、請求項1の特徴と有する骨セメントを保存し、混合するための装置が提案される。各独立請求項は好ましい改良を規定する。
【0013】
本発明に係る保存および混合装置は液体成分および固体成分を混合するように機能する。その装置は、固体成分を含有する第1のチャンバと、液体成分を含有する第2のチャンバと、開口可能であり、液体成分と第1のチャンバとの間に配置される分離部と、を含む。第1のチャンバは、負圧源のための接続部を備え、圧力差により駆動され得る、第1のチャンバに配置される混合器を有する。
【0014】
好ましくは、第1のチャンバは、細長い形状であり、その長さの長手部分に沿って同じ断面を有する。特に好ましくは、これは円筒形であるが、直方柱または他の角柱が同様に考えられる。
【0015】
混合される液体成分は第2のチャンバに存在する。第2のチャンバは任意の形状をとってもよく、また、最初に液体成分のための保存容器としても機能する。これに関して、第2のチャンバは、1つの構成要素として保存および混合装置に直接一体化されてもよいか、または保存および混合装置に配置される液体成分のための滅菌されたパッケージユニットもしくは保存容器であってもよい。特に装置が骨セメントを混合する機能をする場合、特に有益なガラス製のアンプルが滅菌保存容器として有効性が実証されており、それらは十分に滅菌され、保存の間に汚染しない。しかしながら、他の保存容器も同様に考えられる。
【0016】
液体成分は、分離部により保存の間、液密形態で第1のチャンバから分離されるが、その分離部は、液体を、固体成分を含有する第1のチャンバに移動させることができるように開口できる。
【0017】
本発明に係る装置の有益な改良は、第1のチャンバがプランジャ空間および混合空間に細分されることを特徴とする。プランジャ空間は、そこに配置される混合器のプランジャを有する。プランジャは、混合空間において2つの成分を互いに混合する混合機構に接続される。プランジャ空間は負圧源のための接続部を含む。この接続部は装置を真空ポンプに接続するために使用され得る。次いで真空ポンプは、混合器を作動するために第1のチャンバにおいて形成される負圧を生成する。後で詳細に例示するように、負圧は最初に、液体成分、特にモノマー液体を骨セメント粉末に流す。本発明の好ましい実施形態において、負圧はまた、開口される、液体成分を含有する第2のチャンバまたは保存容器に対する分離を提供する。プランジャシステムに真空接続を配置することは、容易な利用可能性のために特に有益であることは証明されている。
【0018】
好ましくは、プランジャは、負圧または真空によりプランジャ空間において移動される。好ましくは、プランジャ空間は、プランジャ閉鎖部により一端で覆われ、他端で隔壁により混合空間から分離される中空の円筒形である。隔壁と対向する混合空間の端部は、そこに取り付けられる液体成分のための第2のチャンバに対する接続ラインを有する。
【0019】
プランジャは、円筒形軸に沿って動き、気密形態でプランジャ空間の側壁に接する。特に好ましい実施形態において、プランジャは、正の適合(positive fit)または非正の適合(nonpositive fit)などの形態で回転継ぎ手により軸方向に動く棒に接続されるので、棒は、プランジャの回転とは関係なく軸周囲で動作を行うことができる。プランジャは、プランジャ空間を、第1のプランジャ空間部分および第2のプランジャ空間部分に細分し、遮断機構を含み、その遮断機構は、開口状態において、プランジャ空間部分を互いに接続する。閉じた状態において、遮断機構は気密形態でその通路を閉じる。遮断機構は、プランジャの転換点において閉じた状態から開口状態まで切り替えられ、他の転換点において開口状態から閉じた状態まで切り替えられる。真空または圧縮ガスは、プランジャ空間内において前後に移動させるようにプランジャを移動させるために使用され、それにより、棒が回転運動をする。棒に提供される混合機構が骨セメントを混合する。
【0020】
プランジャに配置される遮断機構は、少なくとも1つの通路を含み、その遮断機構は、開口位置において、ガス透過性の形態で、プランジャの一側の第1のプランジャ空間部分と、プランジャの他側の第2のプランジャ空間部分を接続し、閉じた位置において、気密形態で互いから2つのプランジャ空間部分を分離する。
【0021】
好ましくは、遮断機構における通路の断面は気体出口の断面より大きい。遮断機構における通路の断面はガス供給口の断面より大きいこともまた好ましい。これは、遮断機構がプランジャの転換点で切り替えられるまで、周囲の外気との完全な圧力均等化が生じることを確実にする。
【0022】
好ましくは、遮断機構は回転バルブである。特に好ましくは、回転バルブは、回転バルブの外周に取り付けられ、回転バルブの回転軸から互いに対して180°未満の角度で配置される2つのピンにより制御される。ピンがプランジャ動作の結果としてプランジャ空間の壁に衝突することにより、回転バルブは、開口位置から閉じた位置まで、およびその逆に切り替えられる。そのプロセスにおいて、ピンはプランジャを押し、回転バルブがその軸周囲で回転し、開口状態から閉じた状態まで、またはその逆に切り替わる。
【0023】
他の選択が同様に考えられる。従って、ピンがプランジャ空間の壁に衝突すると、例えば、一側で閉じられ、側方開口部を有する、中空の円筒などのシフト可能な閉鎖部が、開口位置および閉じた位置までシフトできる。
【0024】
プランジャはプランジャ空間を2つのプランジャ空間部分に細分する。隔壁とプランジャとの間のプランジャ空間には、負圧源のための接続部または真空接続部が設けられるのに対して、他のプランジャ空間はガス供給口を備える。
【0025】
回転継ぎ手はプランジャを棒に接続し、その棒はそれに取り付けられる混合機構を有する。棒はプランジャ空間と混合空間との間の隔壁を通して延びる。
【0026】
弾性復元構造要素が、プランジャと、プランジャ空間と混合空間との間の隔壁との間に配置される。好ましくは、弾性復元構造要素は、スプリング要素、特に好ましくはコイルスプリングである。
【0027】
遮断機構の閉じた状態において、プランジャは、圧力差と圧力均等化によりプランジャに与えられる力の結果として動く。このことは、負圧が適用され、遮断機構が閉じられると、プランジャが隔壁の方へ動くことを意味する。プランジャが隔壁に衝突する場合、遮断機構は開口状態まで切り替えられ、圧力は均等化され得る。弾性復元構造要素の弾性力は、プランジャ空間カバーの方向にプランジャを移動させる。そのプロセスにおいて、ガス供給口を有するプランジャ部分のサイズは減少し、プランジャは対向する壁に衝突し、遮断機構は再度閉じられる。ガスが放出または供給される限り、このプロセスは反復される。
【0028】
このプロセスは、両方のプランジャ空間部分における圧力差および圧力均等化の交互の形成により行われる。圧力差はこの状況において非常に重要であるが、過圧が供給ガス側に適用されるか、または負圧が、負圧のための接続部の側に適用されるかどうかは重要ではない。負圧のための接続部の側に負圧を適用することが好ましい。なぜなら、骨セメントを脱気する役割もする真空が既にそこに存在するからである。
【0029】
プランジャは、例えば棒などの接続要素を介して混合機構に接続される。好ましくは、棒は、例えば、ねじれ継ぎ手または玉継ぎ手などの回転継ぎ手により回転されてもよい。棒は、棒の外径に対応する直径を有する開口部を有する隔壁を通して延びる。棒は、軸方向に移動するようにこの開口部に配置される。
【0030】
好ましくは、棒は、固定されるように隔壁の開口部に配置されるペグと係合する少なくとも1つの急なねじ山を有する。接続された棒は、軸方向のプランジャの動作の間に移動する。同時に、棒は、ねじ山と係合する固定ペグによってその軸周囲で回転する。結果として、棒の端部に配置される混合機構もまた、直線状の軸の動作および同時に回転動作も実施する。骨セメントはこれらの合わせた動作により混合される。
【0031】
棒は、混合機構が混合空間の床に接するように十分に長くなければならず、それにより、混合空間の床における骨セメントも混合される。好ましくは、棒は、混合機構の上側が、プランジャ閉鎖部の下側に対して接するのに十分な程度まで閉鎖端の方向においてプランジャで移動され得る。結果として、プランジャ閉鎖部の下側におけるセメントの残りさえも混合機構により安全に拭き取られ得る。混合機構が、その外端によりカートリッジの内側に対して接触することは有益である。
【0032】
本発明によれば、混合は、任意の手動により作用する力を必要とせずに、真空により駆動されるか、または圧力により駆動される駆動ユニットにより行われる。現在、市場において一般的であるセメンティングシステムは、100〜150mbarまでの真空を生成する真空ポンプを含む。本発明による装置は、推進のために約150mbarの真空を利用できる。
【0033】
その装置は、ポリメチルメタクリレート骨セメントならびに主成分としてリン酸カルシウムおよび/または硫酸カルシウムを含む無機骨セメントを混合するために使用される。これは主に、非晶質リン酸カルシウム、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウム、リン酸テトラカルシウム、ブルシャイト、モネタイト、リン酸オクタカルシウムおよびそれらの混合物に基づいたリン酸カルシウムセメントに関する。硫酸カルシウム骨セメントは硫酸カルシウム半水化物に基づく。
【0034】
本発明に係る骨セメントシステムの有益な改良は、装置、特に装置の分配開口部に対する非正適合(non−positive fit)および/または正適合(positive fit)などの接続のための接続要素を含む基礎要素が存在することを特徴とする。基礎要素の目的は、第1のチャンバおよび第2のチャンバと接続ラインを提供することである。混合空間も含む、固体成分の調整のための第1のチャンバはまた、骨セメントを分配するために使用されてもよいので、第1のチャンバを含む装置の部分が基礎要素から可逆的に分離することは有益である。これは結合要素により達成され得る。有益には、結合要素はねじ山であり、そのねじ山において、第1のチャンバを含む装置の部分を開口する分配部がねじで締められ得る。これは、接続が固定することを確実にすることを意味する。
【0035】
本発明によれば、保存および混合装置は、液体成分、特にモノマー液体のための第2のチャンバを含む。骨セメントを生成するために、モノマー液体は、骨セメント粉末に組み込まれることを必要とする。次いで骨セメントは、特定の期間の後に硬化される。従って、骨セメントは分配のために準備された状態で装置内に送達され得ない。従って、骨セメントを分配する直前まで、骨セメント粉末およびモノマー液体の両方を別々に保存することが必要である。好ましくは、第2のチャンバはモノマー液体を含む滅菌された保存ユニットを含む。例えばアンプルなどのガラス容器は容易に殺菌できることが証明されている。モノマー液体の流入を制御するために、バルブ手段が第1のチャンバと第2のチャンバとの間に配置されてもよい。そのバルブ手段は、第2のチャンバから混合空間内へのモノマーの流入を制御および/または誘発する。
【0036】
本発明の特に好ましい改良は、適用される負圧により形成される圧力差により液体成分の経路を直接または間接的に解放する開口要素を備える保存および混合装置を提供する。
【0037】
圧力差による容器の直接開口は、外圧により、移動手段、例えば、乳棒が容器に対して動き、それにより、機械的手段、すなわち、例えば容器の一部、例えば開口される容器の壁を破壊、切断または穴を開けることにより容器を開口することが理解される。この目的のために、開口手段は、移動するような保存および混合装置において支持される。従って、圧力差が開口手段に対して作用し、その手段を移動させる。
【0038】
直接開口はまた、容器および開口装置の両方が動く場合、すなわち、両方が、動くように容器開口システムにおいて支持されている場合、確実となる。
【0039】
直接開口は、圧力差が、固定開口手段上で容器または容器の一部を押す場合、確実となる。これに関して、圧力差は移動容器に対して直接作用するので、その容器は開口手段に対して移動する。この目的のために、容器は、移動するように装置に支持される。容器を開口手段に対して押すことにより、容器が破壊、切断または穴を開けられるので、機械的手段により開口される。
【0040】
これに関して、本発明は、第2のチャンバまたは保存容器に対して移動する方向に配置される開口要素を提供できる。これに関して、開口要素もしくは容器またはその両方は、移動するように装置内に支持され得る。
【0041】
さらに、本発明は、液体成分のためのチャンバまたは保存容器が乳棒の動作により開口できるように、移動可能な形態で装置に配置される開口要素を形成する可動式乳棒を提供できる。
【0042】
本発明の改良は、破壊して開口するように容器の一部を誘導するためのフォーク型の誘導部を含み、および/または乳棒の内側が傾斜している、可動式乳棒を提供する。
【0043】
これに関して、乳棒が開口装置として作用するように、容器の少なくとも一部が、乳棒の動作により破壊され、取り除かれ、切断開口され、切断されるか、または穴が開けられ得る。
【0044】
あるいは、乳棒が、装置の一部上で容器を押す乳棒の動作に適切な形態で容器に接続され、それにより、容器が破壊され、破壊開口され、切断開口され、または穴が開けられることが有益であり得る。従って、可動式乳棒は、例えば、一側で閉じられ、その中に配置される容器を有する中空の胴体であってもよい。
【0045】
さらに、乳棒の動作は容器を傾斜させ得るので、容器の一部は、容器が破壊される固定部分についての適切な形態で容器開口システムにおいて所定の位置に固定される。
【0046】
レバーが、同様に作動機器として機能でき、レバーは、容器を有する乳棒の動作により回転または傾けられてもよく、容器の少なくとも一部は、レバーのレバーアームの回転により破壊され、切断開口されるか、または穴が開けられる。
【0047】
代替の実施形態は、好ましくはフレキシブルな壁を含む容器およびマンドレルまたはブレードである開口装置を提供し、その容器は、容器開口システムおよび/または壁内の移動が可鍛性であるように配置される。これに関して、容器がマンドレルに対して移動される場合、容器の壁は、切断開口するか、または穴が開けられるので、開口される。
【0048】
同様に、本発明は、液体、特にモノマー液体および/または粉末、特にセメント粉末を含む1つまたは複数の容器を提供でき、それにより、負圧、特に真空の作用による開口後、内容物が容器から排出され、続いて、負圧、特に真空の作用により、粉末、特にセメント粉末、または液体、特にモノマー液体と混合される。
【0049】
モノマー成分、好ましくは重合性モノマー、例えばメチルメタクリレートおよびその中に溶解される活性化剤を含む液体を含む容器が特に好ましい。
【0050】
混合空間は好ましくは、特に、ポリメチルメタクリレートおよびそのコポリマーに基づいた1つ以上のポリマーを含む粉末を含有する。
【0051】
基礎要素は、液体成分、特にモノマー液体が、保存要素から装置内に流れることができる接続ラインを含む。モノマー液体は、接続ラインを通して保存容器から混合装置内、特に混合空間内に流れる。この位置において、液体成分、特にモノマー液体は、骨セメントを形成するために固体成分、特に骨セメント粉末と混合される。
【0052】
真空セメンティングシステムが適用される手術室に存在する真空は、セメントドウにおけるガス含有物を除去するために使用されるだけでなく、真空の作動能により、モノマーをセメント粉末に移動させ、モノマー液体およびセメント粉末を混合して、均質なセメントドウを形成するために利用されることも本発明の主要な利点である。本発明の特に有益な実施形態において、真空はまた、モノマー容器を開口する役割も果たし、これらのプロセスは、真空の作動によりそれら自体で進行され、医療従事者は、それらの手動によるプロセスをもはや必要としない。従って、自己混合真空セメンティングシステムが医療従事者に提供される。
【0053】
好ましい実施形態を以下の添付の図面に基づいてより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明に係る保存および混合装置の概略図の断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態の詳細な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、本発明に係る保存および混合装置100を示す。保存および混合装置100は、骨セメントを混合し、分配するためのデバイス102を備える。該デバイス102は、ベアリング、示した例示的な実施形態における基礎要素120などで支持される。該基礎要素120はまた、モノマー液体のための保存チャンバ204を有する保存容器を支える。保存および混合装置100は骨セメントを混合するために機能する。この目的のために、骨セメント粉末は保存および混合装置100の混合空間116内に充填される。次いで骨セメント粉末は、骨セメントを形成するようにモノマー液体と混合され得る。
【0056】
骨セメントを混合し、分配するためのデバイス102は混合空間116を備える。混合空間116は、ねじ棒113によってプランジャ101に接続されて配置される混合機構117を有する。プランジャ101は、ガス出口118において真空を適用することにより可動できるように製造され得るので、以下の図2により詳細に記載するように骨セメントが混合され得る。
【0057】
図1により明確なように、保存チャンバ204もまた、骨セメントシステムの一部である。保存チャンバ204はモノマー液体のための保存容器202を含む。有益には、保存容器202はアンプルである。アンプル202は、アンプルヘッド203およびそのアンプルヘッドの上に配置されるアンプル本体を含む。予め規定された切断(破壊)部位が、アンプルヘッド203とアンプル本体との間に存在する。
【0058】
出口開口部206が、アンプルヘッド203の下の保存チャンバ204に設けられる。保存チャンバ204の上側は蓋207により閉じられる。蓋207は、ねじ山または他の閉鎖機構により保存チャンバ204に接続される。
【0059】
円筒開口部が、アンプルヘッド203の領域における保存チャンバ204の壁に設けられ、円筒乳棒209の対称軸に沿って移動する、その円筒開口部に配置される円筒乳棒209を有する。保存チャンバ204の内部に延びる乳棒209の側は傾斜している。乳棒209が保存チャンバ204の内側に押された場合、その傾斜により、アンプルヘッド203が、アンプル本体から容易に切断することを確実にする。同じ目的が、乳棒209と対向して位置するアンプルの固定部205における傾斜により機能し得る。両方の手段は、乳棒209により作動する力を切断領域に集中させ、力を増加させることを目的とする。
【0060】
保存チャンバ204および蓋207の壁は圧力に耐性がある。すなわち、真空が保存チャンバ204の内部に生成される場合でさえ、それらの形状を保持する。乳棒209は保存チャンバ204の壁の開口部において気密圧入で組み込まれている。
【0061】
本発明に係る装置は、例えば以下のように作動され得る:最初に、負圧が出口開口部206に適用される。これは、同様に保存チャンバ204の内部に負圧を生成する。保存チャンバ204の内部と保存チャンバ204の外部環境との間の圧力の差により、大きな圧力が生じるので、内側に向いている乳棒209の表面に対してより、外側に向いている乳棒209の表面に対して作用する大きな力が生じる。このように乳棒209は、保存チャンバ204の内部内で駆動する、生じる力を受ける。圧入である、乳棒209の静止摩擦より、生じる力が上回ると、乳棒209は保存チャンバ204の内部に移動する。最後に、乳棒209は、アンプルヘッド203に対して衝突し、それを切断する。これによりアンプル202が開口する。アンプル202の含有物は、アンプルから出口開口部206を通して外に流れ、保存チャンバ204から出ていく。
【0062】
保存チャンバ204の開口部における乳棒209の静止摩擦および/またはアンプル202の切断領域または乳棒209の断面の安定性は、保存チャンバ204における負圧が、モノマー液体および骨セメント粉末から生成される十分に泡を含まない混合物になるのに十分な場合のみ、アンプル202が開口されるような適切な方法で調整されてもよい。
【0063】
次いでモノマー液体は、保存チャンバ204から伝導手段122を通して混合デバイス102に流れる。モノマー液体の移動流は、混合空間116に適用される負圧により増加する。
【0064】
図2から明らかなように、混合デバイス102は、圧力を均一にすることができる隔壁111により互いから分離されるプランジャ空間および混合空間116を含む。プランジャ101は、プランジャ空間を2つのプランジャ空間部分103、104に細分する。前記プランジャ101は、開口状態でそこに配置される回転バルブ105を有し、その回転バルブ105は、プランジャ空間部分103、104の両方を互いに接続する。閉じた状態において、2つのプランジャ空間部分103、104は、気密形態で互いから分離される。スプリング要素107が、混合空間116から隔壁111とプランジャ101との間に配置され、緩んだ状態において、第1のプランジャ空間部分103のプランジャ空間カバー108の内壁に対してプランジャ101を押す。
【0065】
真空が第2のプランジャ空間部分104に適用され、回転バルブ105が閉じた状態である場合、圧力差が2つのプランジャ空間部分103と104との間に形成される。第2のプランジャ空間部分104に適用される圧力は、第1のプランジャ空間部分103に適用される圧力より低い。その圧力差により、隔壁111の方へスプリング要素107の力によりプランジャ101が動く。隔壁111のすぐ近くで、回転バルブに配置されるピン110が、隔壁111に対して衝突し、隔壁によりプランジャ101を押すので、回転バルブ105は開口位置に移動する。これにより、2つのプランジャ空間部分103および104の間の圧力が均一になる。第1のプランジャ空間部分における過圧が取り除かれ、プランジャ101は、スプリング要素107の復元力により第1のプランジャ空間部分103のプランジャ空間カバー108の方向に動く。この位置において、回転バルブに配置される第2のピン110がプランジャ空間カバー108に対して衝突する。これにより、回転バルブ105が閉じた位置に切り替わる。回転バルブ105が閉じられると、再び圧力差が形成され得、再び隔壁111の方へプランジャ101が動く。真空が適用される限り、このプロセスが繰り返される。
【0066】
この上下の動きにより、回転継ぎ手114によりプランジャ101に取り付けられる棒113もまた、上下に移動できる。棒113は、隔壁111の開口部に配置されるペグ119により係合されている棒113内に埋め込まれたねじ山115を有する。棒113およびペグ119に係合しているねじ山115の上下の動きにより、棒が同時に回転する。
【0067】
従って、骨セメントが、棒113に取り付けられ、また、上下に動き、同時に回転する混合機構117(図1を参照のこと)により効果的に混合され得る。
【0068】
多くの新規の真空セメンティングシステムと同様に本発明の保存および混合システムにおいて、例えば、モノマー液体および骨セメントを真空中で混合するために真空がとにかく生成される。その真空は、本発明に係る装置において同時に使用され得、モノマー液体と混合空間との間の分離を開口し、モノマー液体を混合空間に移動させ、混合器を作動する。
【符号の説明】
【0069】
100 保存および混合装置
101 プランジャ
102 混合デバイス、骨セメントを混合し、分配するためのデバイス
103 第1のプランジャ空間部分
104 第2のプランジャ空間部分
105 遮断機構、回転バルブ
107 弾性復元要素、スプリング要素
108 プランジャ空間カバー
109 ガス注入口
110 ピン
111 隔壁
113 棒
114 回転継ぎ手
115 ねじ山
116 混合空間
117 混合機構
118 ガス出口
119 ペグ
120 基礎要素
122 接続ライン
202 保存容器、アンプル
203 アンプルヘッド
204 保存チャンバ
205 固定部
206 出口開口部
207 蓋
209 乳棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体成分および固体成分を混合するための保存および混合装置であって、
固体成分を含有し、開口可能な分離部(203)によって液体成分を含有する第2のチャンバから分離されている、第1のチャンバを備え、
前記第1のチャンバは負圧源のための接続部(118)を備え、圧力差により駆動可能な混合器(102)が前記第1のチャンバに配置される、保存および混合装置。
【請求項2】
前記第1のチャンバが固体成分として粉末を含有し、前記第2のチャンバが骨セメントを生成するための液体成分としてモノマー液体を含有する、請求項1に記載の保存および混合装置。
【請求項3】
前記第1のチャンバに配置される前記混合器(102)が負圧源により駆動される、請求項1または請求項2に記載の保存および混合装置。
【請求項4】
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間の分離部が、前記負圧源により形成される圧力差のために、直接または間接的に機械的手段により開口できる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の保存および混合装置。
【請求項5】
前記第1のチャンバはプランジャ空間であり、プランジャ(101)が、前記プランジャ空間を第1のプランジャ空間部分(103)および第2のプランジャ空間部分(104)に細分し、遮断機構(105)を備え、該遮断機構(105)は、前記プランジャの転換点で切り替えられ、開口状態において、前記第1のプランジャ空間部分(103)を前記第2のプランジャ空間部分(104)に接続し、前記負圧源のための前記接続部(118)が、前記第2のプランジャ空間部分(104)に配置され、弾性復元構造要素(107)が、前記プランジャ(101)と、該プランジャと対向している前記第2のプランジャ空間部分(104)の隔壁(111)との間に配置され、ガス供給口(109)が、前記第1のプランジャ空間部分(103)に配置され、混合機構(117)が前記プランジャ(101)に接続される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保存および混合装置。
【請求項6】
真空がガス出口(118)に接続される、請求項5に記載の保存および混合装置。
【請求項7】
遮断機構(105)として回転バルブを特徴とする、請求項5または6に記載の保存および混合装置。
【請求項8】
2つのピン(110)が、前記回転バルブの外周に取り付けられ、前記回転バルブの回転軸から互いに対して180°未満の角度で配置される、請求項7に記載の保存および混合装置。
【請求項9】
ねじ棒(113)が、プランジャ(101)および混合機構(117)を互いに接続し、第2のプランジャ空間部分(104)を通して延び、前記ねじ棒(113)が回転継ぎ手(114)により前記プランジャ(101)に接続され、前記ねじ棒(113)のねじ山(115)が固定ペグ(119)により係合される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の保存および混合装置。
【請求項10】
前記分離部(203)が、圧力差により開口できる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の保存および混合装置。
【請求項11】
容器(202)が前記第2のチャンバに配置され、前記分離部が、移動できるように前記第2のチャンバにおいてベアリングのように支持される開口器により開口でき、圧力差により移動できる、請求項10に記載の保存および混合装置。
【請求項12】
前記開口器が、移動できるように支持される、乳棒、特に円筒形乳棒を含む、請求項11に記載の保存および混合装置。
【請求項13】
移動する前記乳棒(209)が、前記容器(202)の一部を切断開口するように誘導するためのフォーク型の誘導部を備え、および/または前記乳棒(209)の内側が傾斜している、請求項12に記載の保存および混合装置。
【請求項14】
容器(202)が、モノマー液体を収容するためのアンプルであり、前記保存および混合装置が、容器(202)と第1のチャンバとの間に接続ライン(122)を備える、請求項10〜13のいずれか一項に記載の保存および混合装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−111481(P2013−111481A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−256016(P2012−256016)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【出願人】(510340506)ヘレウス メディカル ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】