説明

骨代謝疾患の処置のための医薬の製造のための、ゾレドロネートの使用

【課題】腫瘍による高カルシウム血症、骨転移又は多発性骨髄腫などの骨代謝疾患治療薬の提供。
【解決手段】ビスホスホネート処置を必要とする患者にビスホスホネートを投与する方法であって、当該方法が当該処置を必要とする患者に15分かけてビスホスホネート、2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ゾレドロン酸)又はその薬学的に許容される塩を静脈内投与することを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスホスホネート処置を必要とする患者にビスホスホネート、特には2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ゾレドロン酸)を静脈内投与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビスホスホネートは、過剰又は不適切な骨吸収が関与する種々の良性及び悪性の骨性疾患において破骨細胞活性を抑制するために広範に利用されている。これらのピロリン酸類似物は、骨関連事象の発症を減少させるだけでなく、患者に臨床上の有用性および生存率の改善をもたらす。ビスホスホネートは、インビボでの骨吸収を阻止することも可能である;ビスホスホネートの治療有効性は、骨粗鬆症、骨減少症、骨ページェット病、腫瘍による高カルシウム血症(TIH)、そして最近では骨転移(BM)及び多発性骨髄腫(MM)の処置において実証されている(例えば、レビューのために、Bisphosphonates in Bone Disease, From the Laboratory to the Patent 中の、Fleisch H 1997 Bisphosphonates clinical.編集:The Parthenon Publishing Group, New York/London pp 68-163 参照)。
【0003】
最近、ビスホスホネート(クロドロネート、エチドロネート、アレンドロネート、及びパミドロネート)の投与により、前立腺癌腫転移患者の骨の痛みに良好な効果をもたらすことが報告されている(Silvio Adami, Cancer 1997; 80: 1674-79)。最近では、ビスホスホネートがインビトロで、胸部及び前立腺癌細胞の骨への接着を抑制すること(Boissier et al., Cancer Res; 57: 3890-3894, 1997)、そして更にビスホスホネートによる胸部及び前立腺癌細胞の前処置により、腫瘍細胞への直接的な作用を介して腫瘍細胞の侵入が抑制されることが報告されている。更に最近ではインビトロで、ゾレドロン酸による前立腺癌細胞株の処置により、当該細胞株の成長が有意に低下されることが報告されており(Brown et al. Effects of Zoledoronate on Prostate Cancer Cells, ASBMR 2000; Lee et al., Bisphosphonate Treatment Inhibits the Growth of Prostate Cancer Cells, Cancer Research, 2000/2001);一方ゾレドロン酸で処置した皮下の前立腺癌細胞株の腫瘍については、有意な腫瘍量の減少は検出されなかった(Corey et al., Effects of Zoledronic Acid on Prostate Cancer in Vitro and in Vivo, Amer. Assoc. Cancer Res. 2000年10月提出)。
【0004】
更に現在、二重盲検・プラセボ対照臨床試験において、ゾレドロン酸(ゾレドロネート)が、前立腺癌患者の骨転移の処置においてプラセボよりも統計的に有意に有効性があり、そしてビスホスホネートが、より一般的には骨形成性(骨硬化性)転移、特に哺乳類における前立腺癌及び同様の悪性疾患に関連した骨形成性転移のような骨転移の処置に利用され得ることが示されている。
【0005】
1−ヒドロキシ−2(1H−イミダゾル−1−イル)−ホスホノ−エチルホスホン酸(ゾレドロン酸、ゾロドロネート)は、第3世代のビスホスホネート化合物である。動物モデルにおいて、ゾレドロン酸は、骨形成及び石灰化に影響を与えず、腎機能にも明確な影響を与えることがない用量で、石灰化骨基質に対して高い親和性を示し、そして破骨細胞の骨吸収を早い世代のビスホスホネートよりもより効果的に抑制する。この結果、腎臓への影響に対する吸収抑制率が改善される(Green et al., 1994; Green et al., 1997)。ゾレドロン酸(ゾメタ(登録商標))は現在、用量設定試験における安全性及び有効性(Vigneron et al., 1995)及び2つの中核の臨床試験(Mull et al., 1999; O'Neill et al., 1999)のデータ、更に骨転移した癌患者における他の数種の試験からの安全性を支持するデータ(van Valen et al., 1999; Goas et al., 1999; Borg et al., 1999)に基づいて、腫瘍による高カルシウム血症(TIH)の処置に対して規定された再調査をされている。臨床試験により、破骨細胞の機能亢進を低下させるゾレドロン酸の薬理学的作用の結果、TIH患者の血中での骨吸収及びカルシウム遊離が臨床上効果的に抑制されることが証明された。
【発明の概要】
【0006】
4mg用量のゾレドロン酸をおよそ15分間かけて静注投与すると1)臨床上の実用性の改善が示され、2)より短時間でより少ない容量を注入するのに対して15分かけて100mlを使用する場合に注入速度がより再現性よくなり得ることが示され、3)現在の標準的な処置である、2−4時間かけて90mgを投与するAredia(登録商標)(パミドロン酸2ナトリウム)に相当する有効性を示し、そして4)4mg/5分間、及び更に高用量のゾレドロン酸/15分間に対して、4mg/15分間で腎臓の安全性が改善されることが見出された。従って1つの実施態様において本発明は、ビスホスホネート処置を必要とする患者に、2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ゾレドロン酸、ゾレドロネート)を投与する方法に関し、当該方法は、当該患者に4mgの2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸又は当量のその薬学的に許容される塩を15分間かけて静脈内投与することを含む。
【0007】
別の実施態様において本発明は、例えば腫瘍による高カルシウム血症(TIH)、人工関節のゆるみのような骨代謝疾患の処置、例えば腫瘍血管新生のような病理所見に対する血管新生の処置又は抑制の方法に関し、当該方法は、当該処置を必要とする患者に4mgの2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸又は当量のその薬学的に許容される塩を15分間かけて静脈内投与することを含む。
【0008】
更なる実施態様において本発明は、骨転移の処置法に関し、当該方法は、当該処置を必要とする患者に4mgの2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸又は当量のその薬学的に許容される塩を15分間かけて静脈内投与することを含む。
【0009】
更なる実施態様において本発明は、多発性骨髄腫の処置又は予防法に関し、当該方法は、当該処置を必要とする患者に4mgの2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸又は当量のその薬学的に許容される塩を15分間かけて静脈内投与することを含む。
【0010】
本明細書において、「処置」又は「処置する」なる用語は、TIH、BM、又はMMを発症する危険性がある患者、あるいは例えばTIHのような疾患にかかる可能性のある患者、及びビスホスホネートにより処置可能な病気又は特定の疾患又は病状にかかっていると診断された患者の処置を含む、治療的又は疾患を緩和する処置のみならず予防又は防止的処置の両方を意味する。
【0011】
以下に示す構造
【化1】

を有する1−ヒドロキシ−2−(イミダゾル−1イル)エタン−1,1−ジホスホン酸として化学的にデザインされたゾレドロン酸は既知であり、例えば米国特許第4,939,130号(及び米国特許第4,777,163号及び4,687,767号)に示すように調製可能であり、後ろ3つの特許の内容は、出典明示で本明細書の一部とする。
【0012】
1−ヒドロキシ−2−(イミダゾル−1イル)エタン−1,1−ジホスホン酸の薬学的に許容される塩は、塩基との塩であるのが好ましく、例えばカリウム及び特にはナトリウム塩であるアルカリ金属塩、又は好ましくはカルシウム又はマグネシウム塩であるアルカリ土類金属塩、及びアンモニア又は有機アミンを有するアンモニウム塩も含む、元素周期表のIa、Ib、IIa,IIbグループ由来の金属塩が好都合である。
【0013】
特に好ましい薬学的に許容される塩は、ビスホスホン酸のうち1、2、3、又は4つ、好ましくは1つ又は2つの酸性水素が、薬学的に許容されるカチオン、特にはナトリウム、カリウム、又はアンモニウムで置換された塩であり、まず第1にはナトリウムである。
【0014】
薬学的に許容される塩の非常に好ましい基は、ホスホン酸のそれぞれの基に、1つの酸性水素及び1つの薬学的に許容されるカチオン、特にはナトリウムを有することにより特徴付けられる。
【0015】
ゾレドロン酸は、水和物の形態でも利用可能であり、あるいは結晶化に利用される他の溶媒を含んでもよい。
ゾレドロン酸は、任意で無機又は有機の固体又は液状の静脈内投与に適した薬学的に許容される担体と一緒に又は混合物で治療的有効量である4mgを含有する医薬品組成物の形態で投与されるのが好ましい。
本発明による方法は、ゾレドロン酸の静脈内投与についての方法である。
【0016】
本発明の方法に使用される静脈内投与製剤は、好ましくは等張水溶液である注射可能な流動体であり、それは例えば活性成分を単独で、又は薬学的に許容される担体と一緒に含有する凍結乾燥した形態から、当分野では周知の方法により使用する前に調製可能である。医薬品は、無菌化されてもよく、及び/又は補助剤、例えば防腐剤、安定剤、湿潤剤、及び/又は乳化剤、溶解剤、浸透圧を調節するための塩及び/又は緩衝液を含有してもよい。好ましい静注溶液は、約15分±約45秒間かけて注入するために約5から最大約200ml、好ましくは約50から最大約100ml、及び更に好ましくは100ml用量の注入溶液中に1回用量当たり4mgのゾレドロン酸を含有する溶液である。
【0017】
好ましくは、本発明の組成物は緩衝剤を含む。緩衝剤の種類と量は、本発明の組成物が例えば水に溶解したときに5〜7の範囲のpH、例えばpH5.9を得る目的で選択されてもよい。我々は、これらのpH値で安定性が最良となることを見出だした。pHは、塩基性溶液、例えば水酸化ナトリウム溶液を用いて調節してもよい。好ましい緩衝剤として、クエン酸3ナトリウムを使用してもよい。
【0018】
本発明の組成物が、好ましくは等張化剤として作用可能な充填剤を含んでいるのも好ましい。充填剤/等張化剤が化学的に不活性であり、低吸湿性及び良好なバルク特性を有するのが好ましい。充填剤/等張化剤の量は、本発明の組成物が溶解したときに等張溶液を得る目的で選ばれてもよい。例えば、充填剤/等張化剤に対するゾレドロン酸の重量比は、1:5〜1:4000の範囲であり、例えば1:10〜1:3000、例えば1:20〜1:2500、例えば1:30〜1:1000、例えば1:40〜1:500、例えば1:50〜1:150である。好ましい充填剤/等張化剤として、マンニトールを使用してもよい。
静脈注射用溶液は、上述のような薬学的に許容される組成物を、適量の非経腸的投与用の生体適合性を有する水ベースの溶媒、水、又は食塩水中に溶解して得てもよい。
【0019】
腫瘍による高カルシウム血症の処置に対して、ほとんどの患者においてはゾレドロン酸が1回投与されるのが好ましい。最初の投与から7日経過後すぐに投与され、通常は1回の実施に制限される繰り返し投与が、高カルシウム血症の調節を改善するのに利用されてもよい。骨転移の処置及び予防に対しては、個々の状況によって頻度は多少し得るけれども、多発性骨髄腫の患者に対して一般的に3〜4週間で及び1ヶ月間でゾレドロン酸が長期投与される。例えば腫瘍による高カルシウム血症の1つの標準的な二重盲検臨床試験において、ゾレドロン酸のナトリウム塩として投与される4mg又は8mg当量のゾレドロン酸を50mlの静注溶液で希釈して(本発明の組成物)、1日1回、15分かけて患者に投与する。所望であれば、8mg用量で患者を再処置する。好ましくは、最初の投与に対して完全に応答させるために再処置までに最小で7日、例えば14日経過させるべきである。
【0020】
本発明の組成物を以下に示すように調製してもよい。必要量の等張化剤を生体適合性を有する水ベースの溶媒又は水の総量の50%〜90%中に溶解する。次にゾレドロン酸を懸濁し、緩衝剤溶液を添加して溶解する。完全に溶解した後、必要量の緩衝剤を用いてpH値を所望の範囲に調節する。次に溶液を非経腸用に最終容量まで生体適合性を有する水ベースの溶媒又は水を加える。その後この工程は無菌状態で続ける。溶液を滅菌して4〜10mlのバイアル中に濾過する。プラスチックバイアル中でこの溶液を長期間保存してもよい。
【0021】
保存前に、予めプログラム化されたサイクルにより、バイアルの内容物を乾燥、例えば凍結乾燥してもよい。このサイクルが終了すると、チャンバー内部でガス、例えば窒素、二酸化炭素を流し込んだ後にバイアルに栓をする。このバイアルを、例えば滅菌エリア外で、例えばアルミニウムキャップによりシールする。その後、バイアル中の内容物を静脈内投与に適した溶媒、例えば食塩水中に再溶解することによりこの凍結乾燥物が利用されてもよい。
本発明は、以下の実施例により示される。
【実施例】
【0022】
実施例1
ステンレス製ケトル中で、注射用の水の総量のおよそ70%に必要量のマンニトールを攪拌及び窒素フラッシングしながら溶解する。ゾレドロン酸を懸濁し、10% クエン酸3ナトリウム溶液を添加して溶解する。完全に溶解後、10% クエン酸3ナトリウム溶液を用いて、pH値を5.9〜6.1に調節する。次にその溶液を注射用に最終容量まで水を加える。以下に示す手順は、無菌条件において(グレードAのクリーンエリアにおいて)実施される:溶液を滅菌膜フィルター(0.22μmのポアサイズ)を通して、充填量1.945gで6mlバイアルに充填する(回収後にバイアル中に残存する再構成溶液量を埋め合わせるために凍結乾燥される溶液の3%多い充填量を含む)。USPに従ってこの過剰充填が選ばれる。以下に示すサイクルに従ってバイアルを凍結乾燥する:
【表1】

【0023】
このサイクルが終了すると、チャンバー内部で窒素流入した後、バイアルに栓をする。バイアルは無菌エリア外(LF下)でアルミニウムキャップを用いてシールする。各バイアルにUSP注射用の滅菌水5mlを添加して、静脈注射用の溶液を再構成してもよい。この容量を、50mlの滅菌0.9% 塩化ナトリウム USP、又は5% デキストロース注射剤 USPで更に希釈する。すぐに使用しないのであれば、微生物学的健全性のために、溶液を例えば36−46°F(2−8℃)で冷蔵する。再構成、希釈、冷蔵庫中での保存、及び投与の終了の間の総時間は、24時間を超えないのが好ましい。
【0024】
実施例2
実施例1で示されるのと同様の工程により、以下に示す組成物を得てもよい。
【表2】

【0025】
実施例9
実施例1に示されるのと同様にして、8mgの組成物を調製する。成分の種類及び量は、4mgの組成物(実施例7)と同様である。ゾレドロン酸及びクエン酸3ナトリウムの量だけ2倍にして、一方マンニトールを150mgに減らす。
実施例2に示す組成物を凍結乾燥し、実施例1に示すように再構成してもよい。
【0026】
4mgのゾレドロン酸を100mlの注入溶液中で再構成する。その溶液を15分間かけて注入する。これは、4mg/15分=0.27mg/分=1μモル/分の薬物注入速度に相当する。この15分かけて注入する4mgの用量は、以下で表に示すように、単位時間当たりの質量(mg/分)及び単位時間当たりの分子数(μモル/分)に関してより速い注入速度で非常に長い時間をかけて注入される他のビスホスホネート薬にとって替わるより実用的な方法となることが示される:
【表3】

【0027】
1. 4mgのゾレドロン酸を含有する100ml容量を点滴静注で15分かけて注入すると、薬物を均一且つ正確な速度で投与することが可能である。例えば5分間で静脈内に流し込むような、ゾレドロン酸のより短い注入時間の臨床利用〔Major P, Lortholary A, Hon J, et al., Zoledronic acid is superior to pamidronate in the treatment of hypercalcemia of malignancy: a pooled analysis of two randomized, controlled clinical trials, J Clin Oncol 2001; 19: 558-567〕は、注入時間がよりばらつく結果となり得る。注入速度の変化は、骨転移した癌患者におけるゾレドロン酸の薬物動態試験において示されるように、到達する血漿濃度のピークに影響を及ぼす。関連するデータが下の図に示されている。
【表4】

【0028】
個々の患者の血漿濃度対時間曲線、及び薬物の尿中排泄から得られた薬物動態パラメーターが、下の表に示されている。平均Cmax(注入終了時で、測定されたゾレドロン酸の最大値)の差は、統計的に有意差があった。AUC(ゾレドロン酸濃度対時間曲線下面積)及びAe(尿中に排泄された薬物量)の差には、有意差はなかった。
【表5】

【0029】
癌患者における幾つかの対照臨床試験で比較対照としてプラセボ又はビスホスホネートパミドロネートを用いると、4mg用量のゾレドロン酸は臨床上有効であることが示された。ゾレドロン酸がパミドロネートに相当する有効性及びプラセボに反して優れた有効性を示すことを立証する関連データが、以下に要約されている。
【表6】

【0030】
15分かけて注入した4mg用量のゾレドロン酸は、5分の短い注入時間よりも腎臓に対する耐容性に関して安全に優れた効果を発揮する。15分かけてゾレドロン酸を注入すると、5分よりも腎臓への有害事象の発生が減少することが以下に要約されている。腎臓への有害事象とは、患者の血清クレアチニンのベースラインを超える増加、すなわちベースラインが<1.4mg/dLであれば、≧0.5mg/dLの増加、ベースラインが≧1.4mg/dLであれば、≧1mg/dLの増加、ベースライン値とは関係なく2倍以上の増加として定義される。
【表7】

【0031】
15分間かけて注入したゾレドロン酸4mgは、2時間かけて注入したパミドロネート90mgと比較して腎臓に対して同等の耐容性、それぞれ8.8%対8.2%を示した。
高用量のゾレドロン酸、8mg及び16mgに対して4mgのゾレドロン酸を15分間かけて注入した結果、驚くべきことに臨床的な有効性を損なうことなく腎臓の安全性は改善された。
【0032】
以上をまとめると、15分間かけて100mLの用量で注入される4mgのゾレドロン酸は、患者の全身循環中への薬物の流入速度が分当たり1μモルとなり、これは正確に投与可能であって、他のビスホスホネート薬に対して用いる注入速度よりもかなり遅い。パミドロネートの2時間に対してゾレドニン酸は15分と、注入持続時間が短くなることにより、臨床の場においてかなりの柔軟性と実用性が与えられる。臨床研究により、5分間のより短い注入時間と対比して、腎臓への有効性は改善されるが臨床的な有効性には影響を与えないという点で、4mg用量のゾレドロン酸の15分間かけた注入という選択に臨床上の有用性が立証され、この有用性は現在の標準的なパミドロネートによる治療に相当して、プラセボよりも優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスホスホネート処置を必要とする患者のための2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を有効成分として含む薬剤であって、当該薬剤の投与が、当該処置を必要とする患者に当該有効成分の4mgを15分間かけて静脈内投与することを特徴とする、薬剤。
【請求項2】
ビスホスホネートを必要とする患者のための骨代謝疾患の処置のための2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を有効成分として含む薬剤であって、当該薬剤の投与が、当該処置を必要とする患者に当該有効成分の4mgを15分間かけて静脈内投与することを特徴とする、薬剤。
【請求項3】
当該骨代謝疾患が、腫瘍による高カルシウム血症である、請求項2に記載の薬剤。
【請求項4】
ビスホスホネートを必要とする患者のための骨転移の処置のための2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を有効成分として含む薬剤であって、当該薬剤の投与が、当該処置を必要とする患者に当該有効成分の4mgを15分間かけて静脈内投与することを特徴とする、薬剤。
【請求項5】
ビスホスホネートを必要とする患者のための多発性骨髄腫の処置のための2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を有効成分として含む薬剤であって、当該薬剤の投与が、当該処置を必要とする患者に当該有効成分の4mgを15分間かけて静脈内投与することを特徴とする、薬剤。
【請求項6】
4mgの2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸又はその薬学的に許容される塩が、約5〜約200mlの注入溶液として投与される、請求項1に記載の薬剤。
【請求項7】
該注入用量が、約50〜約100mlである、請求項6に記載の薬剤。
【請求項8】
該注入用量が、約100mlである、請求項6に記載の薬剤。
【請求項9】
2−(イミダゾル−1イル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸が、各ホスホン酸基で1つの酸性水素及び1つの薬学的に許容されるカチオンを有する薬学的に許容される塩の形態となっている、請求項1に記載の薬剤。
【請求項10】
該薬学的に許容されるカチオンがナトリウムである、請求項9に記載の薬剤。

【公開番号】特開2012−162531(P2012−162531A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−53573(P2012−53573)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2001−585739(P2001−585739)の分割
【原出願日】平成13年5月9日(2001.5.9)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】