説明

骨再構築のプロセスに関与するポリヌクレオチド及びポリペプチド配列

本発明は部分的に、骨再構築のプロセスに関与する特有、且つ新規に同定された遺伝的ポリヌクレオチド;前記ポリヌクレオチド及び対応するポリペプチドのバリアント及び誘導体;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、バリアント、及び誘導体の使用;並びに骨再構築障害によって引き起こされる症状を改善するための方法及び組成物に関する。特に開示されるのは、破骨活性に関与するポリヌクレオチド、ポリペプチド、バリアント、及び誘導体の単離及び同定、前記同定されたポリヌクレオチドの治療用標的としてのそれらの可能性の確認、並びに病状の改善及び研究目的のためのポリヌクレオチド、ポリペプチド、バリアント、及び誘導体の使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部分的に、骨再構築のプロセスに関与する特有、且つ新規に同定された遺伝的ポリヌクレオチド;前記ポリヌクレオチド及び対応するポリペプチドのバリアント及び誘導体;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、バリアント、及び誘導体の使用;骨粗しょう症、骨減少症、骨軟化症、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、甲状腺中毒症、全身性肥満細胞症、成人型低ホスファターゼ症、副腎皮質機能亢進症、骨形成不全症、パジェット病、クッシング病/症候群、チューマー症候群、ゴーシェ病、エーラース-ダンロス症候群、マルファン症候群、メンケス症候群、ファンコニー症候群、多発性骨髄腫、高カルシウム血症、低カルシウム血症、関節炎症、歯周病、くる病(ビタミンD依存性、タイプI及びII、並びにx染色体関連低ホスファターゼ症くる病を含む)、線維形成不全症骨、ピクノディスオストーシス等の骨硬化症障害、及びマクロファージ媒介性炎症プロセスによって引き起こされる障害を含むが、これに制限されない、骨再構築障害によって引き起こされる症状を改善するための方法及び組成物に関する。
【0002】
特に本発明は、活性破骨細胞のポリヌクレオチドの発現プロファイル、破骨活性に関与するポリヌクレオチド、ポリペプチド、バリアント、及び誘導体の単離及び同定、前記同定されたポリヌクレオチドの治療用標的としてのそれらの可能性の確認、並びに病状の改善及び研究目的、並びに病状または病状が発症する素因の診断におけるポリヌクレオチド、ポリペプチド、バリアント、及び誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
骨は、骨の構造的、機械的、及び生化学的完全性の持続、並びにヒト身体のミネラルの恒常性を必要とする機能的に異なる細胞群からなる動的結合組織である。関連する主な細胞型には、骨形成及び骨質量の維持を担う骨芽細胞、及び骨吸収を担う破骨細胞が含まれる。骨芽細胞及び破骨細胞は、骨再構築と称される動的プロセスにおいて働く。これらの細胞のそれらの前駆体からの発生及び増殖は、骨のミクロ環境中で産生される増殖因子及びサイトカインのネットワーク、並びに全身性ホルモンによって支配されている。骨再構築は個体の生存期間中続き、健康な骨組織及びミネラルの恒常性の維持に必要不可欠である。前記プロセスは大部分が平衡状態であり、全身性ホルモン、ペプチド及び下流シグナル経路のタンパク質、局所的転写因子、サイトカイン、増殖因子、及びマトリクス再構築遺伝子の複雑な相互作用によって支配されている。
【0004】
骨再構築プロセスにおいて生じるいずれかの干渉または不均衡によって骨疾患が生じる可能性があり、最も一般的な骨障害は骨質量の正味の減少によって特徴づけられる。この骨質量の減少の主な原因は、破骨細胞数及び/または活性の増大である。最も一般的なこのような疾患、及び恐らく最も良く知られているのは、特に更年期の発症後の女性において生じる骨粗しょう症である。実際骨粗しょう症は、中年後期及び老年女性における骨折の最も重大な根本的原因である。エストロゲンの欠乏は閉経後の骨粗しょう症の要因として強く関連づけられているが、Frostによって40年以上前に最初に記載されたように(Frost H.M. 1964)、再構築は骨格中の離散した小部位において生じる局所的に制御されたプロセスであるという長期にわたる証拠が存在する。
【0005】
骨再構築は離散した小部位において生じるので、局所で産生されるホルモン及び酵素は、骨吸収の開始及び正常な再構築プロセスのために、全身性ホルモンより重要である可能性がある。このような局所的制御は、骨芽細胞及び破骨細胞によってそれらが作用するミクロ環境において媒介される。例えば、破骨細胞は骨基質と結合し、それ自体と波状縁周囲のアクチン環により形成される密封帯によって境界が画される骨表面との間に分離した区画を形成する。多数の小胞が酵素を骨基質に運び、部分的に消化された骨基質を内面化する。前記密封帯内のミクロ環境にはリソソーム酵素が多量に存在し、それは身体の正常な生理的pHと比較して非常に酸性である。前記波状縁膜はいずれも破骨細胞の分化を担うRANK、RANKLの受容体、及びマクロファージ−コロニー刺激因子(M-CSF)受容体、並びに破骨細胞を急速に不活性状態にし得るカルシトニン受容体も発現する(Baron, R. 2003)。
【0006】
依然として完全には理解されていない複雑なパターンの阻害及び刺激では、成長ホルモン、インスリン様増殖因子-1、性ステロイド、甲状腺ホルモン、PTH及びプロスタグランジンE2等のカルシウム要求性ホルモン、インターロイキン−1β、インターロイキン−6、及び腫瘍壊死因子α等の種々のサイトカイン、並びに1,25-ジヒドロキシビタミンD(カルシトリオール)は、骨再構築プロセスにおいて調和的に作用する(Jilka et al. 1992;Poli et al. 1994;Srivastava et al. 1998;de Vemejoul 1996)。
【0007】
従って、これらの分化した細胞によって生じる特有の局所環境は、他の組織中で発現しない特有の遺伝子配列、及び/または他の組織中で発現するポリヌクレオチド及びポリペプチドのスプライスバリアントのどちらかの発現によるものであると理由づけることは妥当である。破骨活性に特異的なポリヌクレオチド、ポリペプチド、並びにそれらのバリアント及び誘導体の単離及び同定は、前記再構築プロセスの明確な理解を可能にし、骨再構築と関連する病状を治療するための組織特異的な治療用標的を提供するであろう。
【0008】
骨再構築と関連する多くの疾患はあまり理解されておらず、一般に治療不能であるか、あるいは限られた程度でのみ治療可能である。例えば、骨関節炎は治療法がなく、治療は痛みを軽減し冒された関節が変形状態になるのを防ぐことに焦点を合わせているので、治療することが難しい。痛みを軽減するために、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が一般に使用される。
【0009】
他の例は骨粗しょう症であり、米国における使用に関してFDAにより認可されている現在の唯一の薬剤が骨の破壊を予防する抗吸収薬である。エストロゲン補充療法剤は抗吸収薬の一例である。他には、アレンドロネート(Fosamax-ビスホスホネート抗吸収薬)、リセドロネート(Actonel-ビスホスホネート抗吸収薬)、ラロキシフェン(Evista-選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM))、カルシトニン(Calcimar-ホルモン)、及び副甲状腺ホルモン/テリパラチド(Forteo-カルシウム代謝の制御を助けるヒトホルモン、副甲状腺ホルモンの合成型)がある。
【0010】
アレンドロネート及びリセドロネート等のビスホスホネートは骨の表面に永久的に結合し、破骨活性に干渉する。これによって骨芽細胞の吸収率を増大させ得る。最も一般的な副作用は吐き気、腹痛及び緩い便通である。しかしアレンドロネートは、食道の過敏症及び炎症、並びにいくつかの場合、食道の潰瘍を引き起こすことも報告されている。リセドロネートはアレンドロネートと化学的に異なり、食道の過敏症を引き起こす可能性が低い。しかし、いくつかの食品、カルシウム、鉄サプリメント、ビタミン及びミネラル、あるいはカルシウム、マグネシウム、またはアルミニウムを含む酸中和剤はリセドロネートの吸収を低下させ、これによって有効性の消失をもたらす可能性がある。
【0011】
ラロキシフェン及び他のSERMS(タモキシフェン等)の最も一般的な副作用は、顔面潮紅である。しかし、ラロキシフェン及び他のホルモン補充療法剤は、深部静脈血栓症及び肺塞栓症を含めた凝血、心臓血管疾患、及び癌の危険を増大させることが示されてきている。
【0012】
カルシトニンは、骨密度の増大及び骨の強化において、エストロゲン及び他の抗吸収薬ほど有効ではない。注射用または鼻腔スプレー用カルシトニンの一般的な副作用は、吐き気及び潮紅である。患者は鼻過敏症、鼻水、または鼻血を発症する可能性がある。注射用カルシトニンは、注射部位における局所的な皮膚の発赤、皮膚の発疹、及び潮紅を引き起こす可能性がある。
【0013】
骨再構築に関するいくつかの障害または病状間の関連を例証する場面は、パジェット病を治療するためにFDAによって最初に認可されたエチドロネート(ジドロネル)を使用するものである。パジェット病は、無秩序且つ加速的な骨の再構築によって特徴づけられる骨疾患であり、骨の弱化及び痛みをもたらす。ジドロネルは「オフラベル」で使用されており、且ついくつかの試験では、確定した骨粗しょう症を有する閉経後の女性の骨密度を増大させることが示されている。ジドロネルは、長期のステロイド療法(プレドニソンまたはコルチゾン等)を必要とする患者の、骨の消失を予防する際に有効であることも見出されてきている。しかし、高用量のジドロネルまたはその連続的使用は、骨軟化症と称される他の骨疾患を引き起こす可能性がある。骨粗しょう症と同様に、骨軟化症は骨折の危険性が増した弱い骨をもたらす可能性がある。骨軟化症に関する懸念、及び骨折率の低下に関する研究が依然として不十分であるために、米国FDAはジドロネルを骨粗しょう症の治療用に認可していない。
【0014】
骨粗しょう症療法は、骨の消失率を低下させる抗吸収薬に主に焦点を合わせているが、新興療法は単に骨のミネラル密度を維持するかあるいはその劣化を遅らせるのではなく、それを増大させることに有望性を示す。骨粗しょう症初期段階用のパイプライン化合物は、新しい治療クラスの薬剤候補、特にカテプシンK(Cathepsin K)インヒビター、オステオプロテゲリン、及びカルシウム受容体アンタゴニスト(calcilytics)、並びに新規のビスホスホネートから主に構成される。これらのいくつかは、骨の生物学の深い理解に基づきゲノムプログラムを利用して新規の薬剤を開発している例であり、長期間の骨障害の治療の様相を変える可能性を有する。
【特許文献1】米国特許第5,712,127号
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0153333号
【特許文献3】米国特許出願第11/000,958号
【特許文献4】米国特許第6,617,434号
【特許文献5】米国特許第6,451,555号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、当該技術分野における必要性を満たす。従って、骨の再構築プロセスをさらに理解して、骨の再構築及び関連障害の療法の診断、予後、治療、予防、及び評価に有用である新たな組成物を提供する必要性が依然として存在する。ポリヌクレオチドの発現パターンを分析するための方法が開発されており、これを適用して骨の再構築に特に関与するポリヌクレオチド、ポリペプチド、バリアント、及び誘導体を同定する。
【0016】
本発明は、これら及び他の必要性に見合うよう試みる。
【0017】
本発明の記載はいくつかの文書を参照し、その内容は参照によりその全容を本明細書に組み込む。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、そのオープンリーディングフレーム、実質的に同一である配列、実質的に相補的である配列及びそれらの断片を含めた骨再構築のプロセスに関与する配列を含むポリヌクレオチドに関する。
【0019】
本発明は、その生物学的な活性がある類似体及び生物学的な活性がある断片を含めた、骨再構築のプロセスに関与する配列を含むポリペプチドに関する。
【0020】
本発明はまた、骨の再構築及び関連障害の療法の診断、予後、治療、予防、及び/または評価に有用である組成物に関する。
【0021】
さらに本発明は、ポリヌクレオチドの発現パターンを分析するための方法に関するものであって、これを適用して骨の再構築に特に関与するポリヌクレオチド、ポリペプチド、バリアント、及び誘導体を同定する。
【0022】
さらに本発明は、可能性のある治療用標的として確認されているポリヌクレオチド及びポリペプチド配列、そのバリアント及び誘導体に関する。
【0023】
破骨細胞の分化及び機能の制御に関与する遺伝子産物の同定は、異常な骨再構築によって特徴づけられる病状の新しく且つ特異的な療法を開発するための新規の標的の発見につながっている。
【0024】
本発明は、破骨細胞のポリヌクレオチドの発現プロファイル、破骨活性に関与するポリヌクレオチド、その対応するポリペプチド、バリアント、及び誘導体の単離及び同定、治療用標的としてのそれらの能力に関するこれらの同定した要素の確認、並びに病状を改善するための前記ポリヌクレオチド、ポリペプチド、バリアント、及び誘導体の使用に関する。
【0025】
本発明の目的は、単離及び同定したポリヌクレオチド及び関連ポリペプチドを提供することである。とりわけ本発明は、破骨細胞中で非常に特異的な形式で上方制御されることが示されている、配列番号1−57または83−89のいずれか1つ、そのコード配列(オープンリーディングフレーム)を含むポリヌクレオチド、及び配列番号93−155のいずれか1つを含む関連ポリペプチドを提供する。
【0026】
本発明はとりわけ、破骨細胞の分化に必要または重要であることが明らかに示されているポリヌクレオチド、そのコード配列(オープンリーディングフレーム)、及び関連ポリペプチドに関する(例えば、配列番号1−7、88、及び89)。
【0027】
その遺伝子発現が上方制御されるポリヌクレオチド(例えば配列番号8−56)の中で、37個はsiRNAを使用するモデルにおいて生物学的有効性に関して試験され、12個は依然試験されていない状態であり、28個は使用されたモデルにおいて破骨細胞の分化を表現型上混乱させることはないようであり、一方で9個は混乱させたようである(配列番号16、配列番号19、配列番号21、配列番号24、配列番号29、配列番号31、配列番号37、及び配列番号42)。しかし、表現型上、測定不能であったさらに別の影響は、これら28個に関して除外することはできない。特定のモデルに限らずに、これは部分的に非機能的siRNA及び/または破骨細胞の下流工程の骨再構築活動におけるそれらの役割が原因である可能性がある。例えば、カテプシンK(CTSK)及びマトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP-9)に関するポリヌクレオチドは良く知られているマーカーであり、これらは骨再構築における破骨活性に必要不可欠であるが、破骨細胞の分化には必要とされない。NSEQは本発明のポリヌクレオチド配列を一般に指し、例えば配列番号1−56及び83−89を含み、一方PSEQは本発明のポリペプチド配列を一般に指し、例えば配列番号93−99及び101−155を含む。当然ながら、NSEQは配列番号1−57及び83−89から、とりわけそのコード配列から設計または誘導されるポリヌクレオチド配列も含むことを理解しているはずである。このような配列の非制限的な例を本明細書に開示する(例えば、配列番号64−82及び90)。
【0028】
本発明はまた、配列番号1−57及び83−89、とりわけそのコード配列及びそのコードポリペプチドから選択されるポリヌクレオチドの使用方法を提供し、特異的結合を可能にする条件下で分子または化合物のライブラリーとポリヌクレオチドを組み合わせ、特異的結合を検出し、それによって前記ポリヌクレオチドと特異的に結合するリガンドを同定または精製することによって、前記ポリヌクレオチドと特異的に結合するリガンドを同定または精製するための分子または化合物(例えば、DNA分子、RNA分子、PNA、模倣体、及びタンパク質)のライブラリーをスクリーニングする。
【0029】
本発明は、その1つの特徴点において、(a)配列番号1−57及び83−89のいずれか1つを含むポリヌクレオチド、(b)(a)のオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド、(c)(a)または(b)の完全相補配列を含むポリヌクレオチド、及び(d)(a)から(c)のいずれか1つの断片を含むポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチド配列と、少なくとも約80%−約100%(例えば、80%、90%、95%等)の核酸配列同一性を有する単離ポリヌクレオチド配列に関する。
【0030】
本発明によって含まれる単離ポリヌクレオチド配列の相補配列は、例えば非常に厳密な条件下で(a)または(b)中のヌクレオチド配列のいずれかとハイブリダイズするものであって良い。前記非常に厳密な条件とは、例えば、65℃で、5×SSC、5×デンハート溶液、1%SDS、及び100μg/mLの変性したサケ精子のDNA中におけるハイブリダイゼーション反応を含んで良い。
【0031】
本発明によれば、例えば骨の再構築に関係する疾患または障害の治療において、前記ポリヌクレオチド配列を使用できる。
【0032】
実験目的または骨の再構築に関係する疾患または障害の診断目的で、サンプル、細胞、組織等の中の、例えば単離ポリヌクレオチド(またはその相補配列またはそれらの断片)の存在を測定するためのプローブとして、ポリヌクレオチドの断片を使用できる。
【0033】
本発明はまた、骨の再構築に関与することが知られている1つ以上の遺伝子と共発現させ得る(実質的に精製及び/または単離した)複数のポリヌクレオチドを含む組合せに関し、前記複数のポリヌクレオチドは、例えば(a)配列番号1−57、83−89のいずれか1つを含むポリヌクレオチド、(b)(a)のオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド、(c)(a)または(b)の完全相補配列を含むポリヌクレオチド、(d)非常に厳密な条件下で(a)または(b)中のヌクレオチド配列のいずれかとハイブリダイズする配列を含むポリヌクレオチド、及び(e)(a)、(b)、(c)、または(d)の断片を含むポリヌクレオチドからなる群から選択されて良い。
【0034】
本発明はさらに、本明細書に記載のポリペプチドのいずれか1つをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明によれば、前記ポリヌクレオチド(RNA、DNA等)は、配列番号93−155のいずれか1つからなる群から選択されて良いポリペプチド、その類似体または断片(例えば、生物学的な活性がある断片、免疫学的な活性がある断片等)をコードして良い。
【0035】
本発明はまた、異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と作用上連結し、それによって融合ポリペプチドをコードする、本発明のポリヌクレオチドを含む単離核酸分子に関する。
【0036】
本発明はさらに、骨の再構築に関与することが知られている1つ以上の遺伝子と共発現される遺伝子の産物を含む、配列番号1−56または83−89のポリヌクレオチド、とりわけ配列番号1−56または83−89のいずれか1つのオープンリーディングフレーム、またはその一部分に由来するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに関する。
【0037】
本発明はさらに、分子または化合物(DNA分子、RNA分子、PNA、模倣体、タンパク質、アゴニスト、アンタゴニスト、及び抗体)のライブラリーをスクリーニングするためのポリペプチドまたはその一部分の使用に関し、特異的結合を可能にする条件下で分子または化合物のライブラリーとポリペプチドまたはその一部分を組み合わせ、前記ポリペプチドとリガンドの間の特異的結合を検出し、それによって前記ポリペプチドと特異的に結合するリガンドを同定または精製することによって、前記ポリペプチドと特異的に結合する少なくとも1つのリガンドを同定または精製する。
【0038】
単離した自然に存在する対立遺伝子バリアント、並びに合成バリアント(例えば、組換えDNA技術または化学合成等によって作製された)、例えば1つ以上の保存的アミノ酸置換を含み得る生物学的な活性があるバリアント等(例えば、自然に存在するポリペプチドと比較して)も本発明によって含まれる。
【0039】
本発明はさらに、発現ベクター等の、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはその断片を含む(哺乳動物、細菌、ウイルス等の)ベクターを提供する。前記ベクターは、タグ(例えば、親和性タグ:HA、GST、His等)をコードするポリヌクレオチド及び/またはヌクレオチド配列の発現の制御に役立ち得る核酸配列をさらに含んで良い。
【0040】
本発明によれば、発現ベクターは、例えば以下の作用上連結したエレメント:
a)転写プロモーター;
b)(オープンリーディングフレームを含み得る)ポリヌクレオチドセグメント;及び
c)転写ターミネーター;
を含んで良い。
【0041】
本発明はまた、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター、前記発現ベクターで形質転換した宿主細胞、及び本発明のポリペプチドを作製するための方法に関する。
【0042】
従って、とりわけ本発明は、本発明のポリヌクレオチド(相補配列及び断片を含む)及び/またはポリペプチドを含む及び/または発現するために遺伝的に工学処理した細胞を提供する。前記細胞は、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、細菌細胞等であって良い。
【0043】
従って本発明は、本明細書に記載のベクターを含み得る宿主細胞を提供する。前記細胞は、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、細菌細胞等であって良い。前記細胞はまた、本明細書に記載のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現し得る可能性があるか、あるいは発現する。
【0044】
本明細書に含まれる本発明のポリペプチドを作製する方法は、例えば、前記ポリペプチドの発現を可能にする条件で細胞を培養する工程を含む。前記ポリペプチドは、例えば細胞溶解物から、あるいは前記細胞上清から回収できる。
【0045】
本発明はまた、生物学的システムにおいて選択されたポリヌクレオチド配列の活性を制御するDNA分子、RNA分子、PNA(ペプチド核酸)、ペプチド、リボザイム、抗体、アゴニスト、アンタゴニスト、免疫グロブリン、インヒビター、転写因子、エンハンサー、リプレッサーを含むタンパク質、及び薬剤等に限られないが、これらを含む分子または化合物のライブラリーをスクリーニングするための本明細書に記載のポリヌクレオチドを使用する方法に関し、特異的結合を可能にする条件下で分子または化合物のライブラリーとポリヌクレオチドを組み合わせ、特異的結合を検出し、それによって前記ポリヌクレオチドと特異的に結合し得るリガンドを同定または精製することによって、ポリヌクレオチドと特異的に結合し得るリガンドを同定または精製する。
【0046】
このように同定されたアンタゴニスト、アゴニスト、リガンドは、骨再構築の疾患または障害の治療に使用されて良い。
【0047】
本発明は、配列番号1−57及び/または83−89のいずれか1つ、そのコード配列、その実質的に同一である配列、実質的に相補的である配列及び断片を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドのアレイ上での使用、並びに複合体形成を可能にする条件下で患者サンプルと前記アレイをハイブリダイズさせ、複合体形成を検出し、且つ患者サンプル中の複合体形成の量を正常及び疾患組織の標準の量と比較することによる(患者サンプル中の前記複合体形成は、骨再構築の疾患または障害の存在を示す)、骨再構築の疾患または障害の診断方法における前記アレイの使用に関する。当然ながら、診断方法における本発明のポリヌクレオチドの使用は、アッセイのみに依存するわけではない。前記配列は、当該技術分野で公知の従来使用される診断方法において使用されて良い。
【0048】
本発明はまた、骨再構築の疾患または障害症状を改善する、あるいは骨疾患または障害を抑制するまたは遅延させるための方法に関し、前記方法は骨再構築の疾患または障害の症状を改善し得るように、あるいは前記疾患または障害を予防する、遅延させる、または低下させ得るように、破骨細胞中において、本明細書に記載するポリヌクレオチド配列または本明細書に記載のポリペプチドの活性または発現を特異的に抑制し得る化合物を接触させる工程を含んで良い。
【0049】
本発明はさらに、骨再構築の疾患または障害症状を改善するための、あるいは骨疾患または障害を抑制するまたは遅延させるための方法に関し、前記方法は骨再構築の疾患または障害の症状を改善し得るように、あるいは前記疾患または障害を予防する、遅延させる、または低下させ得るように、破骨細胞中において、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列または本明細書に記載するポリペプチドの活性または発現を特異的に促進させ得る化合物を接触させる工程を含んで良い。
【0050】
本発明はまた、骨成長または骨置換の欠陥または必要性、及び/あるいは非所望のレベルの骨の吸収によって特徴づけられる哺乳動物の状態を治療する方法に関し、前記方法は有効量の本明細書に記載の適切な化合物を、このような治療を必要とする哺乳動物被験者に投与する工程を含んで良い。
【0051】
本発明はさらに、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列、本明細書に記載するポリペプチドのアレイ上での使用方法、並びに複合体形成を可能にする条件下で患者サンプルと前記アレイをハイブリダイズさせ、複合体形成を検出し、且つ患者サンプル中の複合体形成の量を正常及び疾患組織の標準の量と比較することによる(患者サンプル中の複合体形成が骨再構築の疾患または障害の存在を示し得る)、骨再構築の疾患または障害の診断方法における前記アレイの使用に関する。
【0052】
本発明によれば、本明細書に記載の単離ポリヌクレオチド配列、本明細書に記載のアンタゴニスト、本明細書に記載のリガンド、または本明細書に記載の方法は、骨粗しょう症、骨減少症、骨軟化症、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、甲状腺中毒症、全身性肥満細胞症、成人型低ホスファターゼ症、副腎皮質機能亢進症、骨形成不全症、パジェット病、クッシング病/症候群、チューマー症候群、ゴーシェ病、エーラース-ダンロス症候群、マルファン症候群、メンケス症候群、ファンコニー症候群、多発性骨髄腫、高カルシウム血症、低カルシウム血症、関節炎症、歯周病、くる病(ビタミンD依存性、タイプI及びII、並びにx染色体関連低ホスファターゼ症くる病を含む)、線維形成不全症骨、ピクノディスオストーシス等の骨硬化症障害、及びマクロファージ媒介性炎症プロセスによって引き起こされる障害を含むが、これに制限されない疾患または障害からなる群から選択されて良い疾患または障害に使用されて良い。
【0053】
本発明によれば、投与方法は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、鞘内、脳室内、経皮、皮下、腹膜内、鼻腔内、腸、局所、舌下、または直腸手段から選択されて良いが、これに制限されない。
【0054】
本発明によれば、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列は、体細胞遺伝子療法または幹細胞遺伝子療法に使用されて良い。
【0055】
本発明はまた、本明細書に記載のポリヌクレオチド、前記選択されたポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分;選択されたポリヌクレオチド、それによってコードされるポリペプチド、またはその一部分の活性(活性化、増大または抑制)を調節する、選択されたポリヌクレオチド、前記選択されたポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分を使用して同定または精製したリガンド(アゴニストまたはアンタゴニスト);及び適切な医薬担体を含む医薬組成物に関する。
【0056】
さらに本発明は、研究、生物学的、臨床上、及び療法上の目的ための、本明細書に記載のポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、それらの一部分、それらのバリアントまたは誘導体を含む生成物、組成物、プロセス、及び方法に関する。
【0057】
NSEQ及びPSEQは、骨粗しょう症、骨減少症、骨軟化症、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、甲状腺中毒症、全身性肥満細胞症、成人型低ホスファターゼ症、副腎皮質機能亢進症、骨形成不全症、パジェット病、クッシング病/症候群、チューマー症候群、ゴーシェ病、エーラース-ダンロス症候群、マルファン症候群、メンケス症候群、ファンコニー症候群、多発性骨髄腫、高カルシウム血症、低カルシウム血症、関節炎症、歯周病、くる病(ビタミンD依存性、タイプI及びII、並びにx染色体関連低ホスファターゼ症くる病を含む)、線維形成不全症骨、ピクノディスオストーシス等の骨硬化症障害、及びマクロファージ媒介性炎症プロセスによって引き起こされる障害を含むが、これに制限されない骨再構築に関係する疾患及び障害のための診断、予後、治療、予防、及び選択、並びに療法の評価に使用されて良い。
【0058】
[スクリーニング手段としてのNSEQの使用]
本発明によって得られるポリヌクレオチドを使用して、発現産物、例えばNSEQ由来のまたはNSEQと相同的なmRNA、相補的DNA(cDNA)、及びタンパク質を検出及び単離できる。一実施態様では、本発明のNSEQと相同的なmRNAの発現を、例えばハイブリダイゼーション分析、逆転写、及びin vitro核酸増幅法によって検出できる。このような方法によって、種々の組織型または異なる発生段階におけるmRNAを検出できる。前記組織特異的または発生段階に特異的な形式で発現される対象の核酸は、組織特異的マーカーとして、あるいは特定の病状を定義し得る細胞または組織のサンプルの発生段階を定義するのに有用である。当業者は、前記NSEQをこれらの目的に容易に適合させ得る。
【0059】
当業者はまた、NSEQ、並びにcDNA核酸及びゲノムDNA等のその発現産物を使用して、短いオリゴヌクレオチド配列を調製できることを理解しているはずである。例えば、本発明のNSEQ及びcDNAと特異的にハイブリダイズし、ハイブリダイゼーションにより特有の核酸配列の検出、同定及び単離を可能にする、10-12個以上のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを調製できる。例えば、少なくとも15-20個のヌクレオチドの配列を使用することができ、他の既知の配列との相同性を欠く領域から選択できる。このような相同性を欠く20個以上のヌクレオチドの配列は、標的配列に対して特異性の増大を示す。プローブ及びプライマーに対する有用なハイブリダイゼーション条件は、当業者によって容易に決定できる。本明細書に含まれる厳密なハイブリダイゼーション条件は、90%を超えて相同的である核酸のハイブリダイゼーションを可能にするが、70%未満の相同的である核酸のハイブリダイゼーションは妨げる可能性があるものである。プローブの特異性は、それが特有の領域、制御領域、または保存的モチーフから作製されたかによって測定できる。プローブの特異性及び診断用ハイブリダイゼーションまたは増幅(最高度、高度、中程度、または低度の)反応の厳密性は、前記プローブが正確に相補的な配列、対立遺伝子バリアント、または関連配列を識別するかどうかによって測定できる。関連配列を検出するように設計されたプローブは、当該選択されたポリヌクレオチドのいずれかと少なくとも50%の配列同一性を有して良い。
【0060】
前記NSEQ(実質的に同一である配列及びその断片)は、試験サンプル中に見られる実質的に相補的である配列とハイブリダイズできることが、本明細書において理解されるはずである。さらに、NSEQと実質的に相補的である配列は、試験サンプル中に見られるNSEQと結合できる。
【0061】
当業者はまた、前記NSEQ及びPSEQを使用して、特異的結合親和性に関して分子のライブラリーをスクリーニングできることを理解しているはずである。典型的アッセイを使用して、生物学的システム中で、前記選択されたポリヌクレオチド配列の活性を制御するDNA分子、RNA分子、PNA(ペプチド核酸)、ペプチド、リボザイム、抗体、アゴニスト、アンタゴニスト、免疫グロブリン、インヒビター、転写因子、エンハンサー、リプレッサーを含むタンパク質、及び薬剤等のライブラリーをスクリーニングできる。典型的アッセイは、分子のライブラリーを提供する工程、特異的結合を可能にするのに適した条件下で分子のライブラリーとポリヌクレオチド配列またはその断片を組み合わせる工程、及び特異的結合を検出して、前記ポリヌクレオチド配列と特異的に結合し得る少なくとも1つの分子(リガンド)を同定または精製する工程を含んで良い。当業者は、前記NSEQをこれらの目的に容易に適合させ得る。
【0062】
当業者は、標準的な方法によって前記NSEQ及びPSEQを容易に標識して、ハイブリダイゼーション複合体を形成及び検出するための条件下で被験者由来のサンプルにそれらを加えて良い。インキュベーション後、前記サンプルを洗浄して良く、ハイブリッド複合体形成に関連したシグナルを定量化し、標準または正常値と比較して良い。標準または正常値は任意のコントロールサンプル、典型的には疑わしい疾患が無いサンプルから得ることができる。被験者サンプル中のシグナルの量が標準値と比較して変わる場合、前記サンプル中の変化したレベルの発現の存在は、当該疾患の存在を示し得る。被験者サンプル中で形成されるハイブリダイゼーション複合体と以前に樹立された標準を比較するための定性法及び定量法は、当該技術分野で公知である。
【0063】
さらに、当該技術分野で公知である任意の方法、例えば「レポーター分子」と連結したヌクレオチドの取り込みによってプローブを標識することができる。本明細書で使用されるような「レポーター分子」は、ハイブリダイズしたプローブの検出を可能にする分析によって識別可能なシグナルを与える分子であって良い。検出は定性的または定量的であって良い。一般的に使用されているレポーター分子には、蛍光体、酵素、ビオチン、化学発光分子、生物発光分子、ジゴキシゲニン、アビジン、ストレプトアビジン、または放射性同位体が含まれる。一般的に使用されている酵素には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、及びβ-ガラクトシダーゼが含まれる。ビオチン化プローブとともに使用するために、酵素をアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることができる。同様に、ビオチン化酵素とともに使用するために、プローブをアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることができる。DNAプローブ中へのレポーター分子の導入は、当業者に公知である任意の方法、例えばニックトランスレーション、プライマー伸張、ランダムオリゴプライマー処理によって、3'または5'末端標識あるいは他の手段によって行うことができる。さらにハイブリダイゼーションプローブは、mRNAプローブを作製するためのベクター内への核酸配列のクローニングを含む。このようなベクターは当該技術分野で知られており、商業的に入手可能であり、in vitroでRNAプローブを合成するために使用できる。前記標識したポリヌクレオチド配列は、変化した発現を検出するために被験者由来のサンプルを使用するサザンまたはノーザン分析、ドットブロット、または他の膜系技術において、PCR技術において、並びにマイクロアレイにおいて使用できる。ハイブリダイゼーションアッセイによってサンプルをスクリーニングするためのプローブとして、あるいは増幅用のプライマーとして有用なオリゴヌクレオチドを、キット中にパッケージ化して良い。このようなキットは、予め測定した量または所定量のプローブまたはプライマー、並びに特定のハイブリダイゼーションまたは増幅プロトコールに必要とされる、他の適切にパッケージ化された試薬及び物質を含んで良い。
【0064】
他の実施態様において、本発明は、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされた実質的に精製されたポリペプチド、そのポリペプチド類似体またはポリペプチド断片を含む。未熟、成熟、または融合した形態のいずれかのポリペプチドは、溶解細胞から、あるいは培養培地から単離され、且つ目的とする使用に必要とされる程度まで精製することができる。当業者はこれらのタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを、任意の利用可能な方法によって容易に精製することができる。例えば、精製は、塩分画化、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等によって実施することができる。
【0065】
本発明はさらに、骨再構築に関与することが知られている1つ以上の遺伝子と共発現される遺伝子の産物を含むNSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分を提供する。本発明はさらに、分子または化合物(DNA分子、RNA分子、PNA、模倣体、タンパク質、アゴニスト、アンタゴニスト、及び抗体)のライブラリーをスクリーニングするための前記ポリペプチドまたはその一部分の使用に関し、特異的結合を可能にする条件下で分子または化合物の前記ライブラリーと前記ポリペプチドまたはその一部分を組み合わせ、前記ポリペプチドとリガンド間の特異的結合を検出し、それによって前記ポリペプチドと特異的に結合するリガンドを同定または精製することによって、前記ポリペプチドと特異的に結合する少なくとも1つのリガンドを同定または精製する。当業者は、前記NSEQをこれらの目的に容易に適合させ得る。
【0066】
このようなスクリーニングにおいて使用されるポリペプチドの一部分は溶液中に遊離しているか、非生物または生物基質に固定されているか、あるいは細胞内に位置して良い。前記ポリペプチドと当該分子間の特異的結合を測定できる。当該アッセイを使用して、前記ポリペプチドと特異的に結合し得るDNA分子、RNA分子、PNA、ペプチド、模倣体、リボザイム、抗体、アゴニスト、アンタゴニスト、免疫グロブリン、インヒビター、ペプチド、ポリペプチド、薬剤等のライブラリーをスクリーニングできる。多くのこのようなアッセイ法は当該技術分野で公知であり、当業者によって容易に適合され得る。
【0067】
[発現系を開発するためのNSEQの使用]
生物学的な活性があるポリペプチドを発現させるために、NSEQまたはその誘導体を発現ベクター、すなわち特定の宿主中の挿入されたコード配列の転写及び翻訳制御用のエレメントを含むベクター中に挿入して良い。これらのエレメントには、エンハンサー、構成的及び誘導性プロモーター等の制御配列、並びに5'及び3'非翻訳領域等が含まれる。当業者に公知の方法を使用して、このような発現ベクターを構築できる。これらの方法には、in vitro組換えDNA技術、合成技術、及びin vivoでの遺伝的組換えが含まれる。
【0068】
当業者に公知である種々の発現ベクター/宿主細胞系を使用して、NSEQを発現させることができる。これらは、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌等の微生物;酵母発現ベクターで形質転換した酵母;バキュロウイルスベクターで感染させた昆虫細胞系;ウイルスまたは細菌発現ベクターで形質転換した植物細胞系;または動物細胞系を含むが、これに制限されない。哺乳動物系において組換えタンパク質を長期間産生するために、細胞系における安定発現を実施して良い。例えば、NSEQは、ウイルスの複製開始点及び/または内在性発現エレメント、並びに同じまたは別のベクター上に選択可能なまたは目に見えるマーカー遺伝子を含み得る発現ベクターを使用することによって、細胞系中に形質転換することができる。本発明は、使用されるベクターまたは宿主細胞によって制限されない。
【0069】
一般に、NSEQを含み、前記NSEQによってコードされるポリペプチドまたはその一部分を発現する宿主細胞は、当業者に公知である種々の方法によって同定され得る。これらの方法には、核酸またはアミノ酸配列を検出及び/または定量化するための膜、溶液、またはチップ系技術を含む、DNA-DNAまたはDNA-RNAハイブリダイゼーション、PCR増幅、及びタンパク質バイオアッセイまたは免疫アッセイ技術が含まれるが、これに制限されない。特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体を使用することによって、ポリペプチドの発現を検出及び測定するための免疫法は、当該技術分野で公知である。このような技術の例には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、及び蛍光活性化細胞選別(FACS)が含まれる。当業者はこれらの方法を本発明に容易に適合させ得る。
【0070】
本発明はさらに、本明細書に記載のポリペプチドの可能性のあるアンタゴニストとしての化合物を評価するためのバイオアッセイに関し、前記バイオアッセイは:
a)本明細書に記載するポリペプチドの作用を阻害するその能力を測定しようと試みる、濃度が増大する少なくとも1つの化合物を含む培養培地中で試験細胞を培養する工程であって、前記試験細胞は、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列を、野生型ポリヌクレオチドと比較して改善されたトランス活性化転写活性を有し、且つレポーター遺伝子と作用上連結した応答エレメントを含む形態で含み得る工程;及びその後、
b)前記培養培地中の可能性のあるアンタゴニスト化合物の濃度の関数として、前記レポーター遺伝子の産物の発現レベルを細胞において調べ、それによって本明細書に記載のポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの活性を阻害する、可能性のあるアンタゴニスト化合物の能力を示す工程;
を含んで良い。
【0071】
本発明はさらに、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの可能性のあるアンタゴニストとしての化合物を評価するためのバイオアッセイに関し、前記バイオアッセイは:
a)本明細書に記載のポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの作用を促進するその能力を測定しようと試みる、濃度が増大する少なくとも1つの化合物を含む培養培地中で試験細胞を培養する工程であって、前記試験細胞は、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列を、野生型ポリヌクレオチドと比較して改善されたトランス活性化転写活性を有し、且つレポーター遺伝子と作用上連結した応答エレメントを含む形態で含み得る工程;及びその後、
b)前記培養培地中の可能性のあるアゴニスト化合物の濃度の関数として、前記レポーター遺伝子の産物の発現レベルを細胞において調べ、それによって本明細書に記載のポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの活性を促進する、可能性のあるアゴニスト化合物の能力を示す工程;
を含んで良い。
【0072】
NSEQで形質転換された宿主細胞は、細胞培養物からのポリペプチドの発現及び回収のための条件下で培養されて良い。トランスジェニック細胞によって産生されるポリペプチドは、使用される配列及び/またはベクターに応じて、細胞内に分泌されるまたは保持される可能性がある。当業者によって理解されるであろうように、原核または真核細胞膜を通って前記ポリペプチドの分泌を誘導するシグナル配列を含むように、NSEQを含む発現ベクターを設計して良い。遺伝コードの固有の縮重性のため、実質的に同じあるいは機能上均等なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列を作製して良く、これを使用してNSEQによってコードされるポリペプチドを発現させることができる。本発明のヌクレオチド配列を、当該技術分野で一般に公知の方法を使用することによって工学処理し、遺伝子産物のクローニング、プロセシング、及び/または発現の改変を含むが、これに制限されない種々の目的のために、前記ヌクレオチド配列を変えることができる。無作為な断片化によるDNAシャッフリング、並びに遺伝子断片及び合成オリゴヌクレオチドのPCRによる再構築を使用して、ヌクレオチド配列を工学処理することができる。例えば、オリゴヌクレオチド媒介性の部位特異的突然変異誘発を使用して、新たな制限部位を生み出す突然変異を導入する、グリコシル化パターンを変える、コドンの優先性を変える、スプライスバリアントを産生すること等ができる。
【0073】
さらに、挿入された配列の発現を調節するその能力、または所望の形式で発現したポリペプチドをプロセシングするその能力に関して、宿主細胞株を選択することができる。このようなポリペプチドの修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、及びアシル化が含まれるが、これに制限されない。また、「prepro」形のポリペプチドを切断する翻訳後プロセシングを使用して、タンパク質の標的化、フォールディング、及び/または活性を特定することができる。特定の細胞機構及び翻訳後活性に特徴的なメカニズムを有する異なる宿主細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、HEK293、及びW138)はAmerican Type Culture Collection(ATCC)から商業的に入手可能であり、これらを選択して発現したポリペプチドの正確な修飾及びプロセシングを保証することができる。
【0074】
当業者は、天然、修飾、または組換え核酸配列を異種配列と結合させて、それによって前述の宿主系のいずれかにおいて、異種ポリペプチド成分を含む融合ポリペプチドの翻訳が生じることを容易に理解するはずである。このような異種ポリペプチド成分は、商業的に入手可能なアフィニティーマトリックスを使用することによって、融合ポリペプチドの精製を容易にする可能性がある。このような成分にはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質、チオレドキシン、カルモジュリン結合ペプチド、6-His(His)、FLAG、c-myc、ヘマグルチニン(HA)、及びモノクローナル抗体エピトープが含まれるが、これに制限されない。
【0075】
さらに他の特徴点において、本発明は、融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み得る単離ポリヌクレオチドに関し、前記融合タンパク質は、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質のペプチド断片、または自然に存在する対立遺伝子変異ポリペプチドと融合した融合パートナーを含んで良く、前記ペプチド断片は、哺乳動物種のうちの1種に投与した場合、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質、または自然に存在する対立遺伝子変異ポリペプチドと特異的に結合する抗体の産生を誘導することができる可能性がある。
【0076】
当業者はまた、核酸及びポリペプチド配列が、当該技術分野で公知の化学または酵素法を使用することによって、全体または一部分を合成できることを容易に理解するはずである。例えば、ペプチド合成は、種々の固相技術を使用して実施でき、ABI 431Aペプチド合成装置(PE Biosystems社)等の機械を使用して、合成を自動化することができる。所望の場合、当該アミノ酸配列を合成中に変えること、及び/または他のタンパク質由来の配列と組み合わせてバリアントタンパク質を作製できる。
【0077】
[診断用スクリーニング手段としてのNSEQの使用]
当業者は、NSEQを診断目的で使用して、当該遺伝子の非存在、存在、または変化した発現(すなわち、正常と比較して増大または低下した発現)を測定することができることを容易に理解するはずである。当該ポリヌクレオチドは少なくとも10ヌクレオチド長または少なくとも12ヌクレオチド長、あるいは少なくとも15ヌクレオチド長、任意の所望の長さまでであって良く、相補的RNA及びDNA分子、分枝した核酸、及び/またはペプチド核酸(PNA)を含んで良い。ある代替型において、前記ポリヌクレオチドを使用して、NSEQの発現が疾患と関係あるサンプル中の遺伝子発現を検出及び定量化できる。他の代替型において、NSEQを使用して、疾患と関係ある遺伝的多型を検出できる。これらの多型は転写産物cDNAにおいて検出できる。
【0078】
本発明は、NSEQ(例えば、NSEQのオープンリーディングフレーム、その実質的に相補的である配列、実質的に同一である配列、及びその断片)を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドのアレイ上での使用、並びに複合体形成を可能にする条件下で患者サンプルと前記アレイをハイブリダイズさせ、複合体形成を検出し、及び患者サンプル中の複合体形成の量を正常及び疾患組織の標準の量と比較することによる(患者のサンプル中の複合体形成は、骨再構築の疾患または障害の存在を示す)、骨再構築の疾患または障害の診断方法における前記アレイの使用を提供する。
【0079】
他の実施態様において、本発明は、骨吸収疾患の状態を検出するための1つ以上の区画化されたキットを提供する。第一のキットは、少なくとも1つの単離プローブを含む容器を有する。このようなプローブは、正常細胞のゲノムDNA中に存在する/存在しないが、感染細胞のゲノムDNA中に存在する/存在しない核酸断片であって良い。このようなプローブは、通常は活性/不活性であるが、いくつかの細胞型中では活性/不活性であるかもしれないDNA部位に特異的であって良い。同様に、このようなプローブは、いくつかの細胞型中で異常に発現するかもしれないDNA部位に特異的であって良い。最後に、このようなプローブは、特異的なDNAの突然変異を同定することができる。DNA部位に特異的であるということによって、当該プローブが突然変異するDNA配列とハイブリダイズすることができる可能性があること、あるいは突然変異するDNA配列と隣接したDNA配列とハイブリダイズすることができる可能性があることを意味する。本発明のキット中に提供されるプローブは、共有結合で付加したレポーター分子を有して良い。プローブ及びレポーター分子は、前述のように当業者によって容易に調製される得る。
【0080】
[治療法としてのNSEQの使用]
当業者は、前述の発現系及びアッセイを使用して、動物試験、臨床試験における特定の療法治療措置の有効性を評価すること、または個々の被験者の治療をモニターすることができることを容易に理解するはずである。疾患の存在が確定次第、治療プロトコールが開始され、ハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイが通常の原則に基づいて繰り返され、患者中の発現のレベルが、健康な被験者中で観察されるレベルに近づき始めているかどうか測定することができる。連続アッセイから得た結果を使用して、数日から数年に及ぶ期間の治療の有効性を示すことができる。
【0081】
従って、さらなる特徴点において、本発明は、本明細書に記載のタンパク質またはポリペプチドと特異的に結合し得る抗体(例えば、単離抗体)、またはその抗原結合断片に関する。前記抗体は、例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であって良い。前記抗体は、例えば、マウス、ラットまたは任意の他の哺乳動物に由来して良い。
【0082】
前記抗体はまた、例えばヒトIg遺伝子を発現し得るトランスジェニック非ヒト哺乳動物から得ることができるヒト抗体であって良い。前記抗体はまた、例えば、非ヒト由来の1つ以上の相補性決定領域を含むことができる、ヒト化抗体であって良い。それはまた、ヒト抗体及び/またはヒト抗体のフレームワーク領域の表面残基を含んで良い。前記抗体はまた、例えば、非ヒト抗体の可変ドメインとヒト抗体の定常ドメインを含み得る、キメラ抗体であって良い。
【0083】
適切な抗体は、例えば、抗原結合断片、Fab断片、F(ab')2断片、及びFv断片、または抗原結合断片を含む単鎖抗体(例えば、単鎖Fv)も含んで良い。
【0084】
本発明の抗体は、突然変異させて良く、本明細書に記載のポリペプチドの1つに対する増大した親和性及び/または特異性に基づいて、並びに/あるいは所望の宿主中の低下した免疫原性に基づいて選択されて良い。
【0085】
前記抗体はさらに、それに付加した検出可能な標識を含んで良い。
【0086】
本発明はさらに、本明細書に記載のポリペプチド、ポリペプチド断片、またはポリペプチド類似体の1つと結合し得る抗体を作製する方法に関し、前記方法は:
a)適量の所望のポリペプチドまたはそのポリペプチド断片で哺乳動物(例えば、マウス、ヒトIgを産生し得るトランスジェニック哺乳動物等)を免疫化する工程;
b)前記哺乳動物から血清を回収する工程;及び
c)前記哺乳動物の血清から前記ポリペプチド特異的抗体を単離する工程;
を含んで良い。
【0087】
本発明はまた、本明細書に記載のポリペプチドと結合する抗体を分泌するハイブリドーマを作製する方法に関し、前記方法は:
a)適量の所望のポリペプチド、そのポリペプチド断片または類似体で哺乳動物(例えば、マウス、ヒトIgを産生し得るトランスジェニック哺乳動物等)を免疫化する工程;
b)(a)から得た前記免疫化された動物からリンパ様細胞を得る工程;
c)前記リンパ様細胞と不死化細胞を融合させてハイブリッド細胞を作製する工程;及び
d)前記ポリペプチド、そのポリペプチド断片または類似体と特異的に結合する抗体を産生するハイブリッド細胞を選択する工程;
を含んで良い。
【0088】
本発明はさらに、本明細書に記載のポリペプチドの1つと結合する抗体を作製する方法に関し、前記方法は:
a)ファージまたはリボソーム上で抗体のライブラリーを合成する工程;
b)本明細書に記載のポリペプチドまたはポリペプチド断片を含む組成物と前記ファージまたはリボソームを接触させることによって、サンプルに対してライブラリーを選別する工程;
c)前記ポリペプチドまたはポリペプチド断片と結合するファージを単離する工程;及び
d)前記ファージまたはリボソームから抗体を得る工程;
を含んで良い。
【0089】
従って、本発明の抗体は、例えば、
a)宿主哺乳動物から抗体の産生を担う細胞を抽出する工程;
b)(a)の細胞からRNAを単離する工程;
c)mRNAを逆転写してcDNAを産生する工程;、
d)(抗体特異的)プライマーを使用することによってcDNAを増幅させる工程;及び
e)抗体がファージまたはリボソーム上で発現されるように、ファージディスプレイベクターまたはリボソームディスプレイカセット中に(d)のcDNAを挿入する工程;
によって調製され得るライブラリー(例えば、バクテリオファージライブラリー)から得られて良い。
【0090】
前記宿主哺乳動物を、本明細書に記載のポリペプチド及び/またはポリペプチド断片及び/または類似体で免疫化して、抗体の産生を担う細胞を抽出する前に免疫応答を誘導することができる。
【0091】
本発明はまた、本明細書に記載のポリペプチドを特異的にアッセイするためのキットに関し、前記キットは、例えば、本明細書に記載のポリペプチドと特異的に結合し得る抗体または抗体断片を含んで良い。
【0092】
さらに、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分と特異的に結合し得るアンタゴニスト、アゴニスト、または抗体を被験者に投与して、骨再構築と関連する疾患または障害を治療または予防することができる。前記アンタゴニスト、抗体、または断片を使用して、前記ポリペプチドの活性を直接阻害することができ、あるいは前記NSEQを発現する細胞または組織に治療物質を間接的に送達することができる。前記抗体または前記アンタゴニストのポリペプチド結合部位、及び治療物質を含む免疫複合体を、必要とする被験者に投与して、疾患を治療または予防することができる。前記治療物質は、アブリン、リシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タクソール、臭化エチジウム、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルチシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、アクチノマイシンD、ジフテリア毒素、シュードモナス菌外毒素A及び40、放射性同位体、並びに糖質コルチコイドを含むが、これに制限されない群から選択される細胞毒性物質であって良い。さらに他に、前記ポリペプチドのアゴニストを被験者に投与して、NSEQの発現、寿命、または活性の低下に関連した疾患を治療または予防することができる。
【0093】
本発明はさらに、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、そのポリペプチド類似体、または一部分と結合し得る抗体を企図する。適切な抗体は、ポリペプチド、またはその一部分中の特有の抗原領域またはエピトープと結合し得る。抗体を作製するのに有用なエピトープ及び抗原領域は、当業者にとって利用可能な方法によってタンパク質、ポリペプチド、またはペプチド中に発見することができる。例えば、短鎖で特有のペプチド配列を、既知のアミノ酸配列とほとんどあるいは全く相同性がないタンパク質及びポリペプチド中に同定することができる。好ましくは、ペプチドエピトープまたは抗原として作用するように選択されるタンパク質の領域は完全には疎水性でなく、これらの領域は、当該タンパク質及びポリペプチドの内部領域ではなく表面エピトープを構成すると考えられることから、親水性領域が好ましい。これらの表面エピトープは、当該タンパク質及びポリペプチドの存在に関して試験されるサンプル中で、より容易に検出される。このような抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、及び単鎖抗体、Fab断片、及びFab発現ライブラリーによって産生される断片を含んで良いが、これに制限されない。抗体の作製は当業者に公知である。
【0094】
当業者に公知である任意の方法によって、例えばin vitro翻訳または化学合成方法を使用することによってペプチドを作製して良い。抗原エピトープを与えるが、それ自体は免疫応答を誘導するのには小さすぎる短鎖ペプチドは、適切な担体と結合させて良い。適切な担体及び結合方法は、当該技術分野で公知である。適切な担体は、典型的にはタンパク質、多糖、及びポリマーアミノ酸等の大きなマクロ分子である。例としては、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、卵白アルブミン、ポリリシン等が含まれる。当業者は利用可能な方法及びカップリング試薬を使用して、所望のペプチドエピトープとこのような担体を結合させることができる。例えば、カップリング試薬を使用して、当該担体から関心のあるペプチドまで、ジスルフィド結合またはチオエーテル結合を形成することができる。前記ペプチドがジスルフィド基を欠く場合、システイン残基を加えることによって与えることができる。あるいは、カルボキシル基の活性化によってカップリングを実施することができる。
【0095】
抗原特異的抗体を得るのに有用なペプチドの最小の大きさは、大きく変わる可能性がある。最小の大きさは、当該タンパク質またはポリペプチドに特異的な抗原エピトープを与えるのに十分でなければならない。1つの特定のエピトープに対する抗体を得ることを所望する場合以外、最大の大きさは重要ではない。例えば、大きなポリペプチドは、1つのエピトープが特に有用であり、もう1つのエピトープが免疫優性である、多数のエピトープを含んで良い。典型的には、本発明のタンパク質及びポリペプチドから選択される抗原ペプチドは、5-約100アミノ酸長に及ぶであろう。しかし、より典型的には、このような抗原ペプチドは最大約50アミノ酸長であり、好ましくは最大約30アミノ酸であろう。約10、12、または15アミノ酸、約20または25アミノ酸までの配列を選択することが通常望ましい。
【0096】
有用なエピトープを含むアミノ酸配列は、いくつかの方法で同定することができる。例えば、タンパク質配列全体に1つになって広がる一連の短鎖ペプチドの調製を使用して、前記タンパク質配列全体をスクリーニングすることができる。当業者は、日常的に、所望の反応性を示すエピトープの存在に関していくつかの大きなポリペプチドを試験し、段階的に小さく重複する断片をさらに試験して、所望の特異性及び反応性を有する好ましいエピトープを同定することができる。
【0097】
抗原ポリペプチド及びペプチドは、モノクローナル及びポリクローナル抗体を作製するのに有用である。NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、そのポリペプチド類似体または一部分に対する抗体は、当該技術分野で公知の方法を使用して作製することができる。このような抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、及び単鎖抗体、Fab断片、及びFab発現ライブラリーによって産生される断片を含んで良いが、これに制限されない。二量体形成を阻害する抗体等の中和抗体が、療法用途に特に好ましい。モノクローナル抗体は、培養中の継代細胞系による抗体分子の産生をもたらす任意の技術を使用して調製することができる。これらには、ハイブリドーマ、ヒトB細胞ハイブリドーマ、及びEBV-ハイブリドーマ技術が含まれるが、これに制限されない。さらに、キメラ抗体の作製用に開発された技術を使用して良い。あるいは、単鎖抗体の作製に関して記載した技術を使用して良い。また、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分に対して特異的な結合部位を含み得るFabを作製することができる。種々の免疫アッセイを使用して、所望の特異性を有する抗体を同定することができる。確立された特異性を備えるポリクローナルまたはモノクローナル抗体のいずれかを使用する競合結合または免疫放射分析アッセイ用の多数のプロトコールが、当該技術分野で公知である。
【0098】
ポリクローナル抗体を得るために、選択された動物をタンパク質またはポリペプチドで免疫化することができる。既知の方法に従って、前記動物由来の血清を回収し処理することができる。関心のあるタンパク質またはポリペプチドに対するポリクローナル抗体は、次いでアフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。ポリクローナル抗血清を作製するための技術は、当該技術分野で公知である。
【0099】
当業者に利用可能ないくつかの方法の1つによって、例えば、抗体産生細胞と不死化細胞を融合させ、それによりハイブリドーマを作製することによって、モノクローナル抗体(Mab)を産生することができる。抗体産生B細胞の不死化細胞系への融合に関する一般的な方法は、十分に当該技術分野内にある。他の例は、コンビナトリアル抗体ライブラリー技術を使用することによる、免疫化された動物の骨髄及び脾臓細胞から抽出したmRNAからのMabの産生である。
【0100】
動物または誘導細胞系由来のMabの主な欠点は、それらを診断または療法目的で患者に投与することはできるが、それらは免疫系によって外来性抗原として認識されることが多く、連続的な使用に適していないということである。ヒト免疫系によって外来性抗原として認識されない抗体は、診断と治療の両方に関して高い可能性を有する。ヒト及びヒト化抗体を作製するための方法は、現在、当該技術分野で公知である。
【0101】
非ヒトMabの領域がそのヒト相当物によって置換されている、キメラ抗体を構築することができる。好ましいキメラ抗体は、ヒトフレームワーク(FW)領域に移植された、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分と結合する、非ヒトMabの1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含むアミノ酸配列を有する抗体である。このような抗体を作製するための方法は、当該技術分野で公知である。CDR及びFWに相当するアミノ酸残基は当業者に公知である。
【0102】
移植CDRを含む抗体の抗原に対する親和性を維持するまたは増大させるために、種々の方法が開発されている。1つの方法は、当該CDR領域のコンフォメーションに影響を与える外来性フレームワーク残基をキメラ抗体中に含ませることである。もう1つの方法は、当該外来性可変領域と最も相同性を有するヒト可変ドメインに、外来性CDRを移植することである。従って、1つ以上の非ヒトCDRのヒト抗体への移植はまた、特定のCDR配列と隣接しているまたは前記CDR配列とは隣接していないが、抗体の可変ドメイン構造全体中のCDRに集められた、前記CDR領域のコンフォメーションに影響を与えるアミノ酸残基の置換を含み得る。従って、本発明のヒト化抗体は、1つ以上の非ヒトCDRを含むヒト抗体、及び結合特性を維持するまたは増大させるためにさらなる置換または交換が施されているような抗体を含む。
【0103】
本発明のキメラ抗体はまた、表面露出残基を交換してヒトと似たMabを産生することによって、ヒト化されている抗体を含む。抗原結合部位付近のアミノ酸残基の内部パッキングは不変状態であるので、親和性は保たれる。ヒト化目的のために、本発明に係るNSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド(またはその一部分)−抗体の表面露出残基の置換は、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分に対する親和性に影響を与えるCDR残基または隣接残基の置換を意味しない。
【0104】
キメラ抗体はまた、一部分または全ての非ヒト定常ドメインがヒト相当物と置換されている抗体も含んで良い。この手法は、当該抗原結合部位が影響を受けないままの状態にあるという利点を有する。しかし、可変ドメインが非ヒト抗体に完全に由来するという相当量の非ヒト配列が存在する可能性がある。
【0105】
本発明の抗体は、本質的にヒト配列からなる抗体であるヒト抗体を含む。ヒト抗体を、ヒト重鎖と軽鎖の可変ドメインの組合せが繊維状ファージの表面上に提示されるファージディスプレイライブラリーから得ることができる。可変ドメインの組合せは、典型的には、FabまたはscFvの形で繊維状ファージ上に提示される。前記ライブラリーを、所望の抗原結合特性を有する可変ドメインの組合せを有するファージに関してスクリーニングすることができる。好ましい可変ドメインの組合せは、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分に対する高い親和性によって特徴づけられる。好ましい可変ドメインの組合せはまた、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分に対する高い特異性、及び他の関連抗原に対してほとんど交差反応性がないことによって特徴づけることができる。抗体断片の非常に大きなレパートリーからのスクリーニングによって、(2-10×1010)の十分多様な高親和性のMabを単離することができ、多くはNSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分に対するナノモル未満の親和性を有すると予想される。
【0106】
あるいは、ヒト抗体を、非再配列ヒトIg遺伝子セグメントが導入され、内因性マウスIg遺伝子が不活性化されているトランスジェニック動物から得ることができる。好ましいトランスジェニック動物は、大きさが1Mbを超える非常に大きな隣接したIg遺伝子断片を含むが、適度な親和性のヒトポリペプチド特異的Mabを、より小さな遺伝子の遺伝子座を含むトランスジェニック動物から産生することができる。また、ヒトIg遺伝子のみを発現し得るトランスジェニック動物を使用して、ヒト由来の抗体のみを含むポリクローナル抗血清を産生することができる。
【0107】
本発明の抗体は、その結合特性が直接突然変異によって、または親和性増強法によって改善されている抗体を含んで良い。親和性及び特異性は、CDRを突然変異させること、及び所望の特性を有する抗原結合部位をスクリーニングすることによって改変または改善させることができる。CDRは種々の方法によって突然変異させることができる。1つの方法は、他の点では同一である抗原結合部位の群中において、全20個のアミノ酸を特定の位置で発見することができるように、個々の残基または残基の組合せを無作為化することである。あるいは、誤る傾向のあるPCR法によって、CDR残基の範囲で突然変異を誘導することができる。重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子を含むファージディスプレイベクターは、大腸菌の突然変異誘発株中で増大させることができる。これらの突然変異誘発法は、当業者に公知である多くの方法の例証となるものである。
【0108】
本発明の抗体は、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分に対する結合部位を含む、完全抗ポリペプチド抗体、並びに抗体断片及び誘導体を含んで良い。誘導体は、機能性ドメインと連結した結合部位を含むマクロ分子である。機能性ドメインは、シグナルドメイン、毒素、酵素、及びサイトカインを含んで良いが、これに制限されない。
【0109】
本明細書に記載の手段によって得られる抗体は、特定組織または体液中のタンパク質、バリアント、及び誘導体ポリペプチドを検出するのに有用であり得る。さらに、異常に発現するタンパク質またはタンパク質断片の検出は、病状を立証する。例えば、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされる本発明のポリペプチド、またはその一部分の発現は、当該タンパク質が不適当な割合または不適当な発生段階で発現されていることを示す可能性がある。従って、本発明の抗体は、本明細書に開示するNSEQからのタンパク質の発現に関連する疾患を検出するのに有用である可能性がある。
【0110】
ELISA、RIA、及びFACSを含むポリペプチドを測定するための種々のプロトコールは当該技術分野で公知であり、変化したレベルまたは異常なレベルの発現を診断する基準を提供する。ポリペプチド発現に関する標準値は、複合体形成の条件下で、健康な被験者、好ましくはヒトから採取したサンプルと前記ポリペプチドに対する抗体を組み合わせることによって確定する。複合体形成の量は、光度測定手段等の種々の方法によって定量化することができる。疾患サンプル中で発現されるポリペプチドの量は、標準値と比較することができる。標準値と被験者値間の偏差によって、疾患の診断するまたはモニターするためのパラメータを確定することができる。
【0111】
免疫アッセイの設計は大きな変化を受けやすく、種々のこれらが当該技術分野で公知である。免疫アッセイは、アッセイされる抗原の1つのエピトープに対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体試薬を使用して良い。あるいは、2つ以上のエピトープに対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体の組合せを使用して良い。プロトコールは、例えば、競合に基づくものであって良く、その場合、競合薬剤スクリーニングアッセイを使用して良く、前記アッセイにおいて、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドまたはその一部分の発現と結合し得る中和抗体は、前記ポリペプチドとの結合に関して試験化合物と特異的に競合する。あるいは、直接的な抗原抗体反応またはサンドイッチ型アッセイを使用して良く、プロトコールは、例えば、固形担体または免疫沈降を利用して良い。さらに、簡易検出のために、抗体をレポーター分子で標識して良い。結合試薬からシグナルを増幅させるアッセイも公知である。例としては、アビジン及びビオチンを利用する免疫アッセイ、あるいは酵素標識抗体または抗原結合体を利用する免疫アッセイ、例えばELISAアッセイ等が含まれる。
【0112】
免疫診断に適しており、且つ適切な標識試薬を含むキットは、残りの試薬とともに適切にパッケージ化されたポリペプチドタンパク質エピトープまたは抗原領域に対する抗体、及びアッセイの実施に必要とされる物質、並びにアッセイ説明書の適切なセットを含む。
【0113】
従って、本発明は、本明細書に記載のポリペプチドを特異的にアッセイするためのキットを提供し、前記キットは、例えば、本明細書に記載のポリペプチドと特異的に結合し得る抗体または抗体断片を含んで良い。
【0114】
本発明によれば、前記キットは診断用キットであって良く:
a)本明細書に記載の1つ以上の抗体;及び
b)レポーター基を含み得る検出用試薬;
を含んで良い。
【0115】
本発明によれば、前記抗体を固形担体上に固定化して良い。前記検出用試薬は、例えば、抗免疫グロブリン、プロテインG、プロテインA、またはレクチン等を含んで良い。前記レポーター基は、放射性同位体、蛍光基、発光基、酵素、ビオチン、及び色素粒子からなる群から非制限的に選択されて良い。
【0116】
本発明のさらに別の特徴点において、NSEQ、その一部分、またはその相補配列を、mRNA及びポリペプチドを発現させる目的で、あるいは逆に前記mRNAの転写または翻訳を阻害するために、発現ベクターを治療上使用することができる。レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス若しくはワクシニアウイルス、または細菌プラスミド等に由来するエレメントを使用することによって構築することができる。特定の標的器官、組織、または細胞群にヌクレオチド配列を送達するために、これらのベクターを使用することができる。当業者に公知の方法を使用して、及び核酸配列またはその相補配列を発現するベクターを構築することができる。
【0117】
あるいは、NSEQ、その一部分、またはその相補配列を、体細胞または幹細胞の遺伝子療法用に使用することができる。ベクターはin vivo、in vitro、及びex vivoに導入することができる。ex vivo療法用に、ベクターを当該被験者から採取した幹細胞に導入し、生成したトランスジェニック細胞は、同一被験者中に戻す自己移植用にクローン増殖させる。トランスフェクション、リポソーム注入、またはポリカチオン性アミノポリマーによるNSEQの送達は、当業者に公知の方法を使用することによって達成することができる。さらに、不活性遺伝子配列を当該コード領域中またはNSEQの他の標的領域中に挿入する相同組換え法を使用することによって、内因性NSEQの発現を不活性化することができる。
【0118】
NSEQを含むベクターを細胞または組織に形質転換して、欠失ポリペプチドを発現させる、あるいは非機能的ポリペプチドを置換することができる。同様に、NSEQの相補配列を発現させるために構築したベクターを細胞に形質転換して、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその一部分の過剰発現を下方制御することができる。相補的またはアンチセンス配列は、当該転写開始部位由来のオリゴヌクレオチドからなって良く、当該ATG由来の約-10と+10の位置の間のヌクレオチドが好ましい。同様に、三重らせん塩基対形成法を使用することによって、阻害を実施することができる。三重らせん塩基対形成は有用である、なぜならそれは、ポリメラーゼ、転写因子、または制御分子の結合のために十分に開環する二重らせんの能力の阻害を引き起こすからである。三重鎖DNAを使用する最近の治療上の進展は、文献中に記載されている(例えば、Gee et al. 1994を参照)。
【0119】
リボザイム、酵素的RNA分子を使用して、本発明のポリヌクレオチド配列を含むようなもの等の、mRNAの切断を触媒し、特定のmRNAのレベルの低下させることもできる。リボザイムは、特定の切断部位でmRNAを切断することができる。あるいは、リボザイムは、標的mRNAと相補塩基対を形成するフランキング領域によって示される場所でmRNAを切断することができる。リボザイムの構築及び産生は、当該技術分野で公知である。
【0120】
RNA分子を修飾して、細胞内安定性及び半減期を増大させることができる。可能な修飾は、当該分子の5'及び/または3'末端におけるフランキング配列の付加、あるいは当該分子の骨格内のホスホジエステル結合ではなくホスホロチオエートまたは2'O-メチルの使用を含むが、これに制限されない。あるいは、内因性エンドヌクレアーゼによって容易に認識されない、イノシン、ケオシン、及びビブトシン等の非従来的塩基、並びにアセチル-、メチル-、チオ-、及び同様の修飾形のアデノシン、シチジン、グアニン、チミン、及びウリジンを含んで良い。
【0121】
当業者は、本発明の抗体及び抗体結合体は、前述の療法用途の目的でヒト身体において使用する場合、組成物の形態で投与することができることを容易に理解するはずである。このような医薬組成物は、NSEQのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、もしくはその一部分、または抗体、模倣体、アゴニスト、アンタゴニスト、または前記ポリペプチドのインヒビターからなって良い。前記組成物は、単独で、あるいは少なくとも1つの他の物質、例えば、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、及び水を含むが、これに制限されない任意の滅菌済みの生体適合性医薬担体中に提供され得る安定剤化合物等、と組み合わせて投与されて良い。前記組成物は、単独で、あるいは他の物質、薬剤、またはホルモンと組み合せて被験者に投与されて良い。
【0122】
活性成分以外に、これらの医薬組成物は、製薬上使用することができる調製物への当該活性化合物の処理を容易にする賦形剤及び助剤を含む、製薬上許容され得る担体を含んで良い。製剤及び投与のための技術に関するさらなる詳細は、Remington's Pharmaceutical Sciencesの最新版(Maack Publishing Co.,Easton Pa.)中に見ることができる。
【0123】
任意の化合物に関して、治療上有効な用量を、細胞培養アッセイにおいて、あるいはマウス、ラット、ウサギ、イヌ、またはブタ等の動物モデルにおいて最初に見積もることができる。動物モデルを使用して、濃度範囲及び投与経路を決定することもできる。次いで、このような情報を使用して、ヒトにおける投与の有用な用量及び経路を決定することができる。これらの技術は当業者に公知であり、治療上有効な用量は、症状または状態を改善する活性成分の量を表す。治療上の有効性及び毒性は、ED50(50%の個体群に治療上有効な用量)及びLD50(50%の個体群に致命的な用量)統計値を算出し、且つ対比させること等によって、細胞培養または実験動物における標準的製薬方法によって決定することができる。前述の医薬組成物のいずれかを、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、及び最も好ましくはヒト等の哺乳動物を含むが、これに制限されないような療法を必要とする任意の被験者に適用することができる。
【0124】
本発明において使用される医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、鞘内、脳室内、経皮、皮下、腹膜内、鼻腔内、腸、局所、舌下、または直腸手段を含むが、これに制限されない任意のいくつかの経路によって投与されて良い。
【0125】
本開示の目的の用語「治療」は、療法治療、及び予防的または防止的措置を表し、当該目的は標的とする病状または障害を予防するあるいは遅延(軽減)させることである。治療を必要とする人には、既に当該障害に罹患した人、及び当該障害に罹患する傾向がある人、または当該障害を予防すべき人が含まれる。
【0126】
[一般的な研究におけるNSEQの使用]
本発明は最終的に、研究上、生物学的、臨床上、及び療法目的で、NSEQ、それらのオープンリーディングフレーム、あるいはNSEQのポリヌクレオチドまたはそのオープンリーディングフレームによってコードされるポリペプチド、またはその一部分、それらのバリアント、類似体、及び誘導体を利用する生成物、組成物、プロセス、及び方法を提供する。例えば、スプライスバリアント、突然変異体、及び多型を同定するために。
【0127】
部分的ヌクレオチド配列を利用することによって、及び当該技術分野で公知である種々のPCR系の方法を使用することによって、NSEQを延長させ、プロモーター及び他の制御エレメント等の上流配列を検出することができる。さらに、XL-PCRキット(PE Biosystems社、Foster City Calif.)、ネスト化プライマー、及び商業的に入手可能なcDNAライブラリー(Life Technologies社、Rockville Md.)またはゲノムライブラリー(Clontech社、Palo Alto Calif.)を使用して、配列を延長させることができる。
【0128】
当該ポリヌクレオチドはまた、マイクロアレイ中の標的として使用することができる。前記マイクロアレイを使用して、多数の遺伝子の発現パターンを同時にモニターすること、及びスプライスバリアント、突然変異体、及び多型を同定することができる。前記発現パターンの分析から得られた情報を使用して、遺伝子機能を決定すること、疾患の遺伝的基礎を理解すること、疾患を診断すること、及び疾患を治療するために使用される治療物質を開発し、その活性をモニターすることができる。マイクロアレイを使用して、ゲノムレベルで個々の群を特徴づけ得る遺伝的多様性、一ヌクレオチド多型を検出することもできる。
【0129】
さらに他の実施態様において、ポリヌクレオチドを使用して、自然に存在するゲノム配列をマッピングする際に有用なハイブリダイゼーションプローブを作製することができる。蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的な染色体マッピング技術及び遺伝子マップデータと関連づけることができる。
【0130】
本発明はとりわけ、その一特徴点において、破骨細胞の分化に関与する内在的に差異的に発現する配列を代表的に同定する方法に関する。前記配列は、例えば、未分化破骨前駆体細胞と比較して分化破骨細胞において差異的に発現する可能性がある。
【0131】
本発明の方法は:
a)分化破骨細胞及び未分化破骨前駆体細胞由来の全メッセンジャーRNAを別々に提供する工程であって、前記全メッセンジャーRNAは、例えば、少なくとも1つの内在的に差異的に発現する配列を含んでよい工程;
b)分化破骨細胞の各メッセンジャーRNA由来の一本鎖cDNA(の例えば1つのコピー)を作製し、且つ前記一本鎖cDNAの3'末端を、RNAポリメラーゼプロモーター配列及び第一の配列タグで(例えば無作為に)タグ化する工程;
c)未分化破骨前駆体細胞の各メッセンジャーRNA由来の一本鎖cDNA(の例えば1つのコピー)を作製し、且つ前記一本鎖cDNAの3'末端を、RNAポリメラーゼプロモーター配列及び第二の配列タグで(例えば無作為に)タグ化する工程;
d)b)及びc)のそれぞれに由来する部分的または完全な二本鎖5'-タグ-DNAを別々に作製する工程であって、前記二本鎖5'-タグ-DNAは、従って、二本鎖RNAポリメラーゼプロモーター、第一または第二の配列タグ及び内在的に発現される配列を5'-3'方向に含んで良い工程;
e)d)のそれぞれに由来する第一及び第二のタグ化センスRNAを、(タグ化に使用する前記プロモーターに基づいて選択されて良い)RNAポリメラーゼ酵素を用いて別々に線形的に増幅させる工程;
f)e)の1つに由来する一本鎖の相補的な第一または第二のタグ化DNAを作製する工程;
g)f)の一本鎖の相補的な第一または第二のタグ化DNAを、e)の他の線形的に増幅させたセンスRNAとハイブリダイズさせる工程;
h)前記第一または第二の配列タグの助力により(例えば、PCRまたはハイブリダイゼーションによって)ハイブリダイズされていないRNAを回収する工程;並びに
i)ハイブリダイズされていないRNAのヌクレオチド配列を同定(決定)する工程;
を含んで良い。
【0132】
前記方法はさらに、未分化破骨前駆体細胞に対して、分化破骨細胞中で同定された内在的且つ差異的に発現する配列の存在を比較して決定する工程を含んで良い。
【0133】
従って、分化破骨細胞または未分化破骨前駆体細胞の1つに実質的に存在しない(例えば、完全に存在しないあるいは非常に少量で存在する)配列、及び他の分化破骨細胞または未分化破骨前駆体細胞中に存在する配列を選択することができる。
【0134】
本発明によれば、前記配列は他の正常組織中の低下したまたは実質的に存在しない発現に基づいてさらに選択することができ、それによって破骨細胞の分化及び骨再構築に特に関与する候補配列を表すことができる。
【0135】
前記方法はまた、当該ヌクレオチド配列の完全配列を決定する工程を含んで良く、前記ヌクレオチド配列のコード配列を決定する工程を含んで良い。
【0136】
本発明はまた、他の特徴点において、本発明の方法によって同定される単離した内在的且つ差異的に発現する配列(ポリヌクレオチド及びポリペプチド)に関する。
【0137】
とりわけ本発明は、同定したポリヌクレオチド配列を含み得るポリヌクレオチド、同定したポリヌクレオチド配列のオープンリーディングフレームを含み得るポリヌクレオチド、本発明の方法によって同定されるポリヌクレオチドと実質的に同一であるヌクレオチド配列を含み得るポリヌクレオチド、本発明の方法によって同定されるポリヌクレオチドと実質的に相補的であるヌクレオチド配列を含み得るポリヌクレオチド、それらの断片及びスプライスバリアントを含んで良く、ただし、前記配列は配列番号57にはないまたは配列番号57を含まない。
【0138】
本発明によれば、本発明の単離した内在的且つ差異的に発現する配列は、完全または部分的なRNA分子であって良い。
【0139】
本発明のRNA分子に転写され得る単離DNA分子、及びこのようなDNAまたはRNA分子を含むベクター(発現ベクターを含む)も本明細書に含まれる。
【0140】
本発明はまた、本明細書で同定した少なくとも1つの単離した内在的且つ差異的に発現する配列(例えば、部分的または完全なRNAまたはDNA、実質的に同一である配列または実質的に相補的である配列(例えば、プローブ)、及びその断片(例えば、オリゴヌクレオチド))を含むライブラリーに関する。
【0141】
本発明によれば、前記単離した内在的且つ差異的に発現する配列は、例えば:
a)配列番号1−56、配列番号83、配列番号84、または配列番号87のいずれか1つ;
b)配列番号1−56、配列番号83、配列番号84、または配列番号87のいずれか1つのオープンリーディングフレーム;
c)a)またはb)と実質的に同一である配列を含み得るポリヌクレオチド;及び
d)a)からc)のいずれか1つの断片;
にある、またはこれを含み得るポリヌクレオチドからなる群から選択されて良い。
【0142】
a)またはb)と実質的に同一である代表的な配列は、例えば、配列番号84、配列番号85、配列番号88、配列番号89、及び配列番号84、配列番号85、配列番号88、配列番号89のオープンリーディングフレームからなる群から選択されて良い配列を含んで良い。
【0143】
他の特徴点において、本発明は、本発明の単離した内在的且つ差異的に発現する配列によってコードされ得るポリペプチドに関する。
【0144】
代表的なポリペプチドは、配列番号93−99、101−155のいずれか1つからなる群から選択される配列を含んで良い。
【0145】
本発明によれば、前記配列が非ヒト哺乳動物に由来する場合、前記方法はさらに、本明細書に記載の方法または当該技術分野で既知の他の方法を使用することによって、対応するヒトオルソログポリヌクレオチド配列を同定する工程を含む。
【0146】
従って本発明はまた、(骨再構築と関係がある)単離したヒトオルソログポリヌクレオチド配列、前記ヒトオルソログのオープンリーディングフレーム、実質的に同一である配列、実質的に相補的である配列、並びにそれらの断片及びスプライスバリアントに関する。
【0147】
本発明はまた、前記ヒトオルソログポリヌクレオチドによってコードされる単離ポリペプチド、並びにその生物学的な活性がある類似体及び生物学的な活性がある断片に関する。
【0148】
本明細書に含まれるヒトオルソログポリヌクレオチドの代表的な実施態様は、例えば、配列番号84、配列番号85、配列番号88、配列番号89、及び配列番号84、配列番号85、配列番号88、配列番号89のオープンリーディングフレームからなる群から選択されて良い配列を含む。
【0149】
本明細書で同定したいくつかのヒトオルソログによってコードされる単離ポリペプチドの代表的な実施態様は、例えば、配列番号150、配列番号153、配列番号154、及び配列番号155からなる群から選択されるポリペプチドを含む。
【0150】
本発明はまた、とりわけ、そのさらなる特徴点において、未分化破骨前駆体細胞と比較して分化破骨細胞において差異的に発現し得る単離ポリヌクレオチドに関する。
【0151】
前記単離ポリヌクレオチドは:
a)配列番号1−56、配列番号83、配列番号86、または配列番号87のいずれか1つを含み得るポリヌクレオチド;
b)配列番号1−56、配列番号83、配列番号86、または配列番号87のいずれか1つのオープンリーディングフレームを含み得るポリヌクレオチド;
c)a)またはb)と実質的に同一である(例えば、全配列または配列の一部分が約50-100%、または約60-100%、または約70-100%、または約80-100%、または約85、90、95-100%同一である)配列を含み得るポリヌクレオチド;
d)a)またはb)と実質的に相補的である(例えば、全配列または配列の一部分が約50-100%、または約60-100%、または約70-100%、または約80-100%、または約85、90、95-100%相補的である)配列を含み得るポリヌクレオチド;
e)a)からd)のいずれか1つの断片;
f)上記にあるポリヌクレオチド;
からなる群から選択される1種を含んで良い。
【0152】
前に列挙したものと実質的に同一である代表的なポリヌクレオチドは、例えば、配列番号84、配列番号85、配列番号88、配列番号89、及び配列番号84、配列番号85、配列番号88、または配列番号89のいずれか1つのオープンリーディングフレームからなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む。
【0153】
前に列挙したものの代表的なポリヌクレオチド断片は、配列番号1−56または配列番号83−89のいずれか1つの核酸配列と実質的に相補的であって良い少なくとも10核酸のポリヌクレオチド、例えば、配列番号64−80または90のいずれか1つからなる群から選択される断片等を含む。
【0154】
本発明はまた、破骨細胞の分化に関与する単離ポリヌクレオチドに関し、前記単離ポリヌクレオチドは、例えば:
a)配列番号1−56または83−89のいずれか1つを含むポリヌクレオチド;
b)配列番号1−56または83−89のいずれか1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド;及び
c)a)またはb)と実質的に同一であるポリヌクレオチド;
からなる群から選択されて良い。
【0155】
本発明はさらに、(例えば、哺乳動物またはその哺乳動物の細胞において)破骨細胞の分化を促進し得る単離ポリヌクレオチドに関する。前記ポリヌクレオチドは、例えば:
a)配列番号1−5、8−56、または83−89のいずれか1つ;
b)配列番号1−5、8−56、または83−89のいずれか1つのオープンリーディングフレーム;及び
c)配列番号6または配列番号7のいずれか1つの核酸配列と相補的であって良い少なくとも10核酸の配列;
を含み得るポリヌクレオチドからなる群から選択されて良い。
【0156】
さらなる特徴点において、本発明は、(例えば、哺乳動物またはその哺乳動物の細胞において)破骨細胞の分化を阻害し得る単離ポリヌクレオチドに関する。前記ポリヌクレオチドは、例えば:
a)配列番号6または配列番号7のいずれか1つ;
b)配列番号6または配列番号7のいずれか1つのオープンリーディングフレーム;及び
c)配列番号1−5、8−57、または83−89のいずれか1つの核酸配列と相補的である少なくとも10核酸の配列;
を含み得るポリヌクレオチドからなる群から選択されて良い。
【0157】
適切なポリヌクレオチドは、例えば、配列番号64−82及び90からなる群から選択されるものを有するあるいは含むポリヌクレオチドを含む。
【0158】
適切なポリヌクレオチドは、本明細書に列挙したもの等の破骨細胞の分化の誘導物質によって誘導される、破骨細胞の分化を阻害し得るポリヌクレオチドであって良い。
【0159】
本発明によれば、前記ポリヌクレオチドは、例えば、部分的または完全な、一本鎖または二本鎖、ハイブリッド等であるものを含むRNA分子、DNA分子であって良い。
【0160】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター)に関する。
【0161】
本発明はさらに、その特徴点において、未分化破骨前駆体細胞と比較して分化破骨細胞において差異的に発現し得るポリヌクレオチド配列のライブラリーに関する。前記ライブラリーは、例えば:
a)配列番号1−57及び83−89のいずれか1つを含み得るポリヌクレオチド;
b)配列番号1−57及び83−89のいずれか1つのオープンリーディングフレームを含み得るポリヌクレオチド;
c)a)またはb)と実質的に同一である(例えば、全配列または配列の一部分が約50-100%、または約60-100%、または約70-100%、または約80-100%、または約85、90、95-100%同一である)配列を含み得るポリヌクレオチド;
d)a)またはb)と実質的に相補的である(例えば、全配列または配列の一部分が約50-100%、または約60-100%または約70-100%または約80-100%または約85、90、95-100%相補的である)配列を含み得るポリヌクレオチド;及び
e)a)〜d)のいずれか1つの断片;
からなる群から選択される少なくとも1種を含んで良い。
【0162】
本発明はまた、本明細書に記載のポリヌクレオチドのライブラリーを含み得る発現ライブラリーに関する。本発明によれば、前記ポリヌクレオチドのそれぞれを発現ベクター内に含んで良い。
【0163】
本発明の(相補配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む)ポリヌクレオチド配列のライブラリーを含むアレイ及びキットも、本明細書に含まれる。
【0164】
本発明はまた、さらなる特徴点において、破骨細胞の分化(骨吸収及び骨吸収関連疾患または障害)を阻害するための医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、例えば:
a)(例えば、破骨細胞の分化を阻害し得る)本明細書で定義した単離ポリヌクレオチド;及び
b)製薬上許容し得る担体;
を含んで良い。
【0165】
本発明はまた、さらなる特徴点において、それを必要とする哺乳動物(個体)(あるいは哺乳動物の細胞)の破骨細胞の分化を阻害するため(例えば、骨吸収を阻害するため、あるいは骨吸収を改善するため)の方法を提供し、前記方法は、(例えば、破骨細胞の分化を阻害し得る)単離ポリヌクレオチドまたは適切な医薬組成物を投与する工程を含んで良い。
【0166】
本発明によれば、それを必要とする哺乳動物は、例えば非制限的に、骨粗しょう症、骨減少症、骨軟化症、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、甲状腺中毒症、全身性肥満細胞症、成人型低ホスファターゼ症、副腎皮質機能亢進症、骨形成不全症、パジェット病、クッシング病/症候群、チューマー症候群、ゴーシェ病、エーラース-ダンロス症候群、マルファン症候群、メンケス症候群、ファンコニー症候群、多発性骨髄腫、高カルシウム血症、低カルシウム血症、関節炎症、歯周病、くる病(ビタミンD依存性、タイプI及びII、並びにx染色体関連低ホスファターゼ症くる病を含む)、線維形成不全症骨、ピクノディスオストーシス等の骨硬化症障害、及びマクロファージ媒介性炎症プロセスによって引き起こされる障害等からなる群から選択される状態に罹患している可能性がある。
【0167】
さらなる特徴点において、本発明は、骨吸収疾患を治療するための医薬品を調製するための、(例えば、破骨細胞の分化を阻害し得る)単離ポリヌクレオチドの使用に関する。
【0168】
本発明は、その他の特徴点において、それを必要とする哺乳動物における破骨細胞の分化を促進するための医薬組成物を提供する。前記医薬組成物は、例えば:
a)(例えば、破骨細胞の分化を促進し得る)単離ポリヌクレオチド;及び
b)製薬上許容し得る担体;
を含んで良い。
【0169】
本発明はさらに、それを必要とする哺乳動物(あるいは哺乳動物の細胞)における破骨細胞の分化を促進するための方法も提供し、前記方法は、例えば、(例えば、破骨細胞の分化を促進し得る)単離ポリヌクレオチドまたは前述の適切な医薬組成物を投与する工程を含んで良い。
【0170】
本発明はさらに、不十分な骨吸収に関連する疾患(例えば、骨化過剰症)を治療するための医薬品を調製するための、(例えば、破骨細胞の分化を促進し得る)単離ポリヌクレオチドの使用に関する。
【0171】
本発明はまた、骨再構築に関連する状態を診断する際の:
a)配列番号1−57及び83−89のいずれか1つを含むポリヌクレオチド;
b)配列番号1−57及び83−89のいずれか1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド;
c)a)またはb)と実質的に同一である(例えば、全配列または配列の一部分が約50-100%、または約60-100%、または約70-100%、または約80-00%、または約85、90、95-100%同一である)配列を含むポリヌクレオチド;、
d)a)またはb)と実質的に相補的である(例えば、全配列または配列の一部分が約50-100%、または約60-100%、または約70-100%、または約80-100%、または約85、90、95-100%相補的である)配列を含むポリヌクレオチド;
e)a)からd)のいずれか1つの断片;及び
f)a)からd)のいずれか1つを含むライブラリー;
からなる群から選択されて良い少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用に関する。
【0172】
骨再構築に関連する状態を診断するためのキットも、本発明によって含まれる。前記キットは、例えば、配列番号1−57または83−89のいずれか1つと実質的に相補的である少なくとも1つの配列、配列番号1−57または83−89のいずれか1つのオープンリーディングフレーム、及びその断片を含んで良い。
【0173】
本発明はまた、さらなる特徴点において、(哺乳動物またはその哺乳動物の細胞における)破骨細胞の分化を促進し得る単離ポリペプチド(ポリペプチド配列)を提供する。前記ポリペプチドは:
a)配列番号93−97または101−155のいずれか1つ;
b)a)のいずれか1つの生物学的な活性がある断片;及び
c)a)のいずれか1つの生物学的な活性がある類似体;
からなる群から選択される配列を含んで良い(またはそれにあって良い)。
【0174】
本発明によれば、前記生物学的な活性がある類似体は、例えば、元の配列と比較して少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含んで良い。
【0175】
さらなる特徴点において、本発明は、破骨細胞の分化を促進するため(例えば、骨吸収を促進するため)の医薬組成物を提供する。前記医薬組成物は、例えば、(例えば、破骨細胞の分化を促進し得る)ポリペプチド及び製薬上許容し得る担体を含んで良い。
【0176】
それを必要とする哺乳動物(あるいは哺乳動物の細胞における)の破骨細胞の分化を促進するための方法も本発明によって提供され、前記方法は(例えば、破骨細胞の分化を促進し得る)単離ポリペプチドまたは本明細書に記載の適切な医薬組成物を投与する工程を含んで良い。
【0177】
さらなる特徴点において、本発明は、不十分な骨吸収に関連する疾患を治療するための医薬品を調製するための、(例えば、破骨細胞の分化を促進し得る)単離ポリペプチドの使用に関する。
【0178】
さらなる特徴点において、本発明は、(哺乳動物またはその哺乳動物の細胞における)破骨細胞の分化を抑制し得る単離ポリペプチドに関し、前記ポリペプチドは、例えば:
a)配列番号98及び配列番号99のいずれか1つを含み得る、またはそれにあり得る配列;
b)a)のいずれか1つの生物学的な活性がある断片;
c)a)のいずれか1つの生物学的な活性がある類似体;
からなる群から選択される配列を含んで良い。
【0179】
本発明によれば、前記生物学的な活性がある類似体は、例えば、他のポリペプチドと比較して、当該アミノ配列中に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含んで良い。
【0180】
本発明はさらに、本明細書に記載の単離ポリペプチドを含み得る医薬組成物を含む。
【0181】
それを必要とする個体の骨吸収を改善するための方法も本明細書に含まれ、前記方法は、例えば(例えば、破骨細胞の分化を抑制し得る)単離ポリペプチドまたはこのようなポリペプチドを含み得る適切な医薬組成物を投与する工程を含んで良い。
【0182】
さらなる特徴点において、本発明は、それを必要とする個体の骨吸収を改善するための方法を提供し、前記方法は、破骨細胞の分化に関与する(あるいは促進し得る)ポリペプチド、例えば配列番号93−97及び101−155からなる群から選択されるポリペプチド等の、活性または発現を(例えば、破骨前駆体細胞において)阻害し得る化合物を投与する工程を含んで良い。
【0183】
本発明によれば、前記哺乳動物は、例えば、骨粗しょう症、骨減少症、骨軟化症、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、甲状腺中毒症、全身性肥満細胞症、成人型低ホスファターゼ症、副腎皮質機能亢進症、骨形成不全症、パジェット病、クッシング病/症候群、チューマー症候群、ゴーシェ病、エーラース-ダンロス症候群、マルファン症候群、メンケス症候群、ファンコニー症候群、多発性骨髄腫、高カルシウム血症、低カルシウム血症、関節炎症、歯周病、くる病(ビタミンD依存性、タイプI及びII、並びにx染色体関連低ホスファターゼ症くる病を含む)、線維形成不全症骨、ピクノディスオストーシス等の骨硬化症障害、及びマクロファージ媒介性炎症プロセスによって引き起こされる障害等からなる群から選択される状態に罹患する可能性がある。
【0184】
さらなる特徴点において、本発明は、それを必要とする個体における骨吸収疾患を治療するための医薬品を調製する際の、破骨細胞の分化を阻害し得るポリペプチドの使用に関する。
【0185】
本発明はまた、それを必要とする個体における骨吸収疾患を治療するための医薬品を調製する際に、例えば、配列番号93−97及び101−155からなる群から選択されて良いポリペプチドの活性または発現を(例えば、破骨前駆体細胞において)阻害し得る化合物の使用に関する。
【0186】
配列番号93−97及び101−155からなる群から選択されて良いものを含む、本明細書に記載のポリペプチドのいずれかと結合し得る、抗体及びその抗原結合断片も本発明によって含まれる。
【0187】
本発明によれば、前記抗体は、例えば破骨細胞の分化を阻害することができる。
【0188】
本発明はまた、
a)請求項40に記載の抗体;及び
b)製薬上許容し得る担体;
を含み得る組成物(例えば、医薬組成物)に関する。
【0189】
本発明は、さらなる特徴点において、破骨細胞の分化を阻害する方法に関し、前記方法は、本明細書に記載の抗体またはこのような抗体を含む医薬組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与する工程を含んで良い。
【0190】
本発明は、さらなる特徴点において、それを必要とする個体における骨吸収疾患を治療するための医薬品を調製するための、本明細書で定義する抗体の使用に関する。
【0191】
さらなる特徴点において、本発明は、ポリペプチド、例えば、配列番号93−155からなる群から選択されるポリペプチド、その類似体または断片、あるいは例えば:(a)配列番号1−56及び83−89;(b)配列番号1−56及び83−89のオープンリーディングフレームを含み得るポリヌクレオチド;(c)(a)または(b)のいずれか1つと実質的に同一である配列;を含む、またはそれにある核酸からなる群から選択される核酸(ポリヌクレオチド)、あるいはそれらの免疫学的な活性があるポリペプチドをコードし得る(a)、(b)、または(c)のいずれか1つの断片を含み得る免疫性組成物に関する。
【0192】
さらなる特徴点において、本発明は、それを必要とする個体における骨吸収障害または疾患に関連する状態を診断する方法に関する。前記方法は、前記個体由来のサンプル中の、例えば本明細書に記載のポリヌクレオチド、例えば:(a)配列番号1−56及び83−89;(b)配列番号1−56及び83−89のオープンリーディングフレームを含み得るポリヌクレオチド;(c)(a)または(b)のいずれか1つと実質的に同一である配列、あるいは例えば、93−155及びその類似体からなる群から選択されて良いポリペプチド配列;を含む、またはそれらからなるポリヌクレオチドからなる群から選択されるものを、標準または正常値と比較して定量化する工程を含んで良い。
【0193】
さらなる特徴点において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、例えば、配列番号93−97及び100−155からなる群から選択されて良いもの、並びにそれらの類似体等の機能(活性)または発現を害し得る阻害化合物(インヒビター、アンタゴニスト)を同定するための方法を提供する。前記方法は、前記ポリペプチドまたは前記ポリペプチドを発現する細胞を候補化合物と接触させる工程、及び前記ポリペプチドの機能(活性)または発現を測定する工程を含んで良い。(前記候補化合物の存在しない状態と比較した)前記ポリペプチドの機能または活性の低下によって、適切な阻害化合物を明確に同定することができる。
【0194】
本発明によれば、前記害された機能または活性は、破骨細胞の分化、例えば、本明細書に記載のまたは当該技術分野で公知の誘導物質によって誘導される破骨細胞の分化等を促進する前記ポリペプチドの能力の低下と関連づけることができる。
【0195】
本発明によれば、当該細胞は、前記ポリペプチドまたは類似体を本来(内在的に)発現することができず(ポリペプチドは細胞中で実質的に発現され得ない)、あるいは本来発現されるポリペプチド類似体の発現が抑制され得る。
【0196】
例えば、配列番号153のインヒビターの適切なスクリーニング方法は、マウス破骨細胞における配列番号93の発現を抑制する工程、及び候補インヒビターの存在または非存在下での前記破骨細胞の分化を評価する工程を含んで良い。
【0197】
前記害された機能または活性はまた、既知のパートナーと相互作用する前記ポリペプチドの能力の低下とも関連づけることができる。
【0198】
例えば、配列番号154のインヒビターの適切なスクリーニング方法は、候補インヒビターの存在または非存在下で、前記ポリペプチドとv-ATPase-a3サブユニットとの相互作用を測定(評価)する工程を含んで良い。
【0199】
本発明はまた、例えば、配列番号98または配列番号99等のポリペプチドの機能(活性)または発現を害し得る阻害化合物(インヒビター、アンタゴニスト)を同定するための方法を提供する。前記方法は、例えば、前記ポリペプチドまたは前記ポリペプチドを発現する細胞を候補化合物と接触させる工程、及び前記ポリペプチドの機能(活性)または発現を測定する工程を含んで良い。従って、(前記候補化合物の存在しない状態と比較した)前記ポリペプチドの機能または活性の低下によって、適切な阻害化合物を明確に同定することができる。
【0200】
本発明によれば、前記害された機能または活性は、例えば、破骨細胞の分化を阻害する前記ポリペプチドの能力の低下と関連づけることができる。
【0201】
当該スクリーニング試験を実施するために使用される細胞は、前記ポリペプチドまたは類似体を本来(内在的に)発現することができず、あるいは本来発現されるポリペプチド類似体の発現が抑制され得る。
【0202】
本明細書で使用される用語「配列同一性」は、元のヌクレオチド配列と参照したヌクレオチド配列の(連続した)ヌクレオチドに関する。前記同一性を、核酸配列の領域または全配列と比較して良い。
【0203】
従って、例えば、3、4、5、10、19、20ヌクレオチド以上(及びこの間の任意の数)の領域で、「同一性」を比較して良い。非同一ヌクレオチドの差が同一核酸間で見られ得ることは、本明細書において理解されよう。例えば、ポリヌクレオチドは他のポリヌクレオチドとその一部分で100%の同一性を有する可能性がある。しかし、両方のポリヌクレオチドの全配列を比較した場合、前記2つのポリヌクレオチドは、互いの同一性がその全体(全)配列の50%である可能性がある。
【0204】
元のポリヌクレオチドと約50-約100%、または約60-約100%、または約70-約100%、または約80-約100%、または約85%、約90%、約95%-約100%の配列同一性を有する本発明のポリヌクレオチドまたはその一部分は、本明細書に含まれる。約50-100%の同一性を有するポリヌクレオチドが、元のポリヌクレオチドと類似した形式で機能し得(例えば、実質的に相補的である配列にアニールする)、それによって元のポリヌクレオチドの代わりに使用され得ることは、当業者に公知である。例えば、ポリヌクレオチド(核酸配列)は定義した領域で元のポリヌクレオチドと約50-100%の同一性を含むまたは有して良く、本発明を達成するのに効果的にまたは十分にさらに作用して良い。
【0205】
同一性の割合は、例えば、デフォルトギャップ加重値(default gap weight)を使用することによって、Wisconsin Genetics Software Package Release7.0におけるnアルゴリズムGAP、BESTFIT、またはFASTAで測定することができる。
【0206】
本明細書で使用される用語「配列相補性」は、参照(元の)ヌクレオチド配列と相補的であるヌクレオチド配列の(連続した)ヌクレオチドを表す。前記相補性を、核酸配列の領域または全配列と比較して良い。
【0207】
従って、元のポリヌクレオチドと約50-約100%、または約60-約100%、または約70-約100%、または約80-約100%、または約85%、約90%、約95%-約100%の配列相補性を有する本発明のポリヌクレオチドまたはその一部分は、本明細書に含まれる。元の配列と約50-100%の相補性を有するポリヌクレオチドが、本発明を実施する(例えば、前記元のポリヌクレオチドの発現を阻害する)のに十分な形式でその配列にアニールし得ることは、当業者に公知である。
【0208】
「類似体」は、本明細書に記載のポリペプチドのそれと類似する生物学的な活性及び化学構造を有する分子として本明細書では理解されるべきである。「類似体」は、元の配列または元の配列の一部分と配列類似性を有する可能性があり、また本明細書で議論されるようなその構造の修飾を有する可能性もある。例えば、「類似体」は、元の配列または元の配列の一部分と、少なくとも90%の配列類似性を有して良い。「類似体」はまた、例えば、元の配列または元の配列の一部分と、少なくとも70%あるいはさらに50%(あるいはより少ない、すなわち少なくとも40%の)の配列類似性を有して良い。
【0209】
「類似体」はまた、例えば、アミノ酸の骨格または側鎖における1つ以上の修飾、あるいは基または他の分子の付加等と組み合わせて、元の配列と少なくとも50%の配列類似性を有して良い。
【0210】
「ポリヌクレオチド」は一般に、非修飾RNAまたはDNA、あるいは修飾RNAまたはDNAであって良い任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを表す。「ポリヌクレオチド」は、非制限的に、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、一本鎖及び二本鎖領域の混合物であるRNA、並びに一本鎖より典型的には二本鎖、または一本鎖及び二本鎖領域の混合物であって良いDNA及びRNAを含むハイブリッド分子を含む。さらに「ポリヌクレオチド」は、RNAまたはDNA、あるいはRNAとDNAの両方を含む三重鎖領域を表す。用語ポリヌクレオチドはまた、1つ以上の修飾された塩基を含むDNAまたはRNA、及び安定性または他の理由で修飾された骨格を有するDNAまたはRNAも含む。「修飾」塩基は、例えば、トリチル化塩基及びイノシン等の珍しい塩基を含む。種々の修飾をDNA及びRNAに実施して良く、従って「ポリヌクレオチド」は、本来典型的に見られるような化学的、酵素的、または代謝によって修飾された形のポリヌクレオチド、並びにウイルス及び細胞に特徴的な化学的な形のDNA及びRNAを含む。「ポリヌクレオチド」は、線状分子及び末端閉環状分子を含むが、これに制限されない。「ポリヌクレオチド」はまた、しばしばオリゴヌクレオチドと称される比較的短鎖のポリヌクレオチドも含む。
【0211】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合(すなわち、ペプチドイソスター)により互いに接合した2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質を表す。「ポリペプチド」は、一般にペプチド、オリゴペプチド、またはオリゴマーと称される短鎖、一般に及びタンパク質と称される長鎖の両方を表す。前述のように、ポリペプチドは、20遺伝子コードアミノ酸以外のアミノ酸を含んで良い。
【0212】
本明細書で使用される用語「ポリペプチド類似体」は、突然変異体、バリアント、キメラ、融合体、欠失体、付加体、及び所与のポリペプチドに対して実施される任意の他の型の修飾体に関する。
【0213】
本明細書で使用される用語「生物学的な活性がある」は、元のポリペプチドの生物学的な活性の一部分または全体を保持する、すなわち破骨細胞の分化を促進または阻害し得るバリアントまたは断片を表す。
【0214】
従って、元のポリペプチド、本明細書に記載のポリペプチドの断片(修飾または非修飾)、類似体(修飾または非修飾)、誘導体(修飾または非修飾)、及びホモログ(修飾または非修飾)の形態をとる生物学的な活性があるポリペプチドが、本発明によって含まれる。
【0215】
従って、所望の生物学的な活性を著しく損なわない、元のポリペプチドと比較して修飾を有する任意のポリペプチドが、本明細書に含まれる。本発明のポリペプチドに対して、それらの生物学的な活性に有害な影響を与えずにいくつかの修飾を実施し得ることは、当該技術分野で公知である。これらの修飾は、他方で、元のポリペプチドの生物学的な活性を維持または増大させる可能性があり、あるいは1つ以上の本発明のポリペプチドの特性(例えば、安定性、生物学的利用能等)を最適化する可能性があり、それはある場合において所望され得る。本発明のポリペプチドは、例えば、翻訳後プロセシング等の自然のプロセス、または当該技術分野で公知である化学的修飾技術のいずれかによって修飾されるアミノ酸配列を含むもの等を含んで良い。ポリペプチド骨格、アミノ酸側鎖、及びアミノまたはカルボキシ末端を含むポリペプチド中の任意の場所に修飾が存在して良い。同じ型の修飾が、所与のポリペプチド中のいくつかの部位に同じまたは様々な程度で存在する可能性があることは理解されるはずである。また、所与のポリペプチドは多くの型の修飾を含んで良い。本明細書に記載のポリペプチドに対する2つ以上の修飾は、生物学的な活性が元の(親)ポリペプチドと類似した程度で、本発明によって含まれることは本明細書において理解されるべきである。
【0216】
前述のように、ポリペプチド修飾は、例えば、ポリペプチド配列中にアミノ酸の挿入(すなわち付加)、欠失、及び保存的または非保存的な(例えば、D-アミノ酸、デスアミノ酸)置換(すなわち置換え)、を含んで良く、このような変化は前記ポリペプチドの全体的な生物学的な活性を実質的に変化させない。
【0217】
置換の例は、保存的な(すなわち、残基が他の同じ一般的な型または基によって置換されている)、あるいは所望の場合は、非保存的な(すなわち、残基が他の型のアミノ酸によって置換されている)置換であって良い。さらに、天然アミノ酸を非天然アミノ酸に置換して良い(すなわち、非天然保存的アミノ酸置換または非天然非保存的アミノ酸置換)。
【0218】
理解されるように、天然アミノ酸を、酸性、塩基性、中性、並びに極性または中性及び無極性として下位分類することができる。さらに、3つのコードされたアミノ酸は芳香族である。本発明の所定のポリペプチドと異なるコードされたポリペプチドが、置換されるアミノ酸のそれと同じ型または基に由来するアミノ酸に対する置換コドンを含むことは有用である可能性がある。従って、いくつかの場合、塩基性アミノ酸Lys、Arg、及びHisは交換可能であり、酸性アミノ酸Asp及びGluは交換可能であり、中性極性アミノ酸Ser、Thr、Cys、Gln、及びAsnは交換可能であり、無極性脂肪族アミノ酸Gly、Ala、Val、Ile、及びLeuは交換可能であるが、大きさのため、GlyとAlaはより密接に関連しており、Val、Ile、及びLeuは互いにより密接に関連しており、並びに芳香族アミノ酸Phe、Trp、及びTyrは交換可能であり得る。
【0219】
当該ポリペプチドを合成によって作製する場合、DNAによって本来コードされていない(天然に存在しないあるいは非天然アミノ酸)アミノ酸による置換を実施することもできることを、さらに記さなければならない。
【0220】
非天然アミノ酸は、哺乳動物で本来産生または発見されないアミノ酸として本明細書では理解されるべきである。非天然アミノ酸は、D-アミノ酸、システインの硫黄原子に付加したアセチルアミノメチル基を有するアミノ酸、ペグ化アミノ酸等を含む。従って、非天然アミノ酸を確定ポリペプチド配列中に導入することによって、元のポリペプチドの誘導体が産生するはずである。非天然アミノ酸(残基)はまた、nが2-6である式NH2(CH2nCOOHのオメガアミノ酸、中性無極性アミノ酸、例えばサルコシン、t-ブチルアラニン、t-ブチルグリシン、N-メチルイソロイシン、ノルロイシン等を含む。フェニルグリシンでTrp、Tyr、またはPheを置換することができ、シトルリン及びメチオニンスルホキシドは中性無極性であり、システイン酸は酸性であり、且つオルニチンは塩基性である。プロリンはヒドロキシプロリンで置換することができ、コンフォメーション付与性を保持することができる。
【0221】
類似体は置換型突然変異誘発によって作製することができ、本発明のポリペプチドの生物学的な活性を保持することができることは、当該技術分野で公知である。これらの類似体は、除去されるタンパク質分子中に少なくとも1つのアミノ酸残基、及びその場所に挿入される異なる残基を有する。例えば、置換型突然変異誘発のための関心のある1つの部位は、活性部位、または免疫部位として認識される部位を含んで良いが、これに制限されない。関心のある他の部位は、例えば、様々な種から得た特定の残基が同一である部位であって良い。これらの位置は、生物学的な活性に重要である可能性がある。「保存的置換」として認識される置換の例を、表Aに示す。このような置換が非所望の変化をもたらす場合、表Aに「代表的な置換」と称され、あるいはアミノ酸分類を参照して本明細書にさらに記載されるような、他の型の置換を導入し、生成物をスクリーニングする。
【0222】
いくつかの場合、アミノ酸の置換、挿入、または欠失によって、ポリペプチドの生物学的な活性を改変することは重要である可能性がある。例えば、ポリペプチドの修飾は、ポリペプチドの生物学的な活性の増大をもたらす可能性があり、その毒性を調節する可能性があり、生物学的利用能または安定性の変化をもたらす可能性があり、あるいはその免疫学的な活性または免疫学的同一性を調節する可能性がある。機能または免疫学的同一性の実質的改変は;(a)例えばシートまたはらせん状コンフォメーションとしての、当該置換の領域中のポリペプチド骨格の構造;(b)標的部位における当該分子の電荷または疎水性;あるいは(c)当該側鎖の大きさ;を維持することへのその影響が著しく異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は、一般的な側鎖の性質に基づいて群:
(1)疎水性:ノルロイシン、メチオニン(Met)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile);
(2)中性親水性:システイン(Cys)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr);
(3)酸性:アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu);
(4)塩基性:アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、ヒスチジン(His)、リシン(Lys)、アルギニン(Arg);
(5)鎖の配向に影響を与える残基:グリシン(Gly)、プロリン(Pro);及び
芳香族:トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe);
に分けられる。
【0223】
非保存的置換は、これらの分類の1つの種と他の交換を伴うであろう。
【0224】
表A:代表的アミノ酸置換
【表1】

【0225】
物質(例えば、アミノ酸)、置換基等の「範囲」または「群」を言及する場合、あるいは他の型のある特性(例えば、温度、圧力、化学構造、時間等)を言及する場合、本発明が各それぞれの特異的要素、並びにその全ての下位範囲または下位群の組合せに関するものであって、且つそれらを本明細書に明確に組み込むことは、本明細書において理解されるべきである。従って、任意の指定範囲または群は、ある範囲または群の各それぞれの要素、及びその中に含まれる各それぞれの可能性のある下位範囲または下位群に言及する、並びに同様にその中の任意の下位範囲または下位群に関して言及する簡単な方法として理解されるべきである。従って、例えば、約80-100%の同一性のパーセンテージ(%)に関して、各それぞれの個々の%、及び例えば、80%、81%、84.78%、93%、99%等の下位範囲、並びに同様に濃度、要素等の他のパラメータに関して、本明細書に具体的に組み込まれると理解されるべきである。
【0226】
本発明の方法はそれぞれ、それに関して記載の各それぞれの個々の工程、並びに特定の工程を明確に含み、あるいは特定の工程またはその組合せを除外するとして定義されるものを含むことは本明細書において特に理解され、例えば、本発明の方法に関する除外定義は以下のように読むことができる:「ただし前記ポリヌクレオチドは、配列番号57または配列番号57のオープンリーディングフレームを含まず、それにあることはない」、「ただし、前記ポリヌクレオチドは、配列番号100を含まず、それにあることはない」、あるいは「ただし、前記ポリヌクレオチド断片または前記ポリペプチド断片は、X単位(例えば、ヌクレオチド若しくはアミノ酸)長未満、またはX単位(例えば、ヌクレオチド若しくはアミノ酸)長より大きいものとする」。
【0227】
本発明の他の目的、性質、利点、及び特徴点は、以下の記載から当業者に明らかとなるはずである。しかし、以下の記載及び具体的な実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すが、例示のみによって与えられることは理解されるべきである。開示された本発明の精神及び範囲内の、種々の変化及び変更態様が以下の記載を読むことによって、及び本開示の他の部分を読むことによって、当業者に容易に明らかとなるであろう。
【実施例】
【0228】
本出願者は、破骨細胞形成及び骨再構築に関与する遺伝子配列を同定且つ単離するために、慎重に計画されたストラテジーを用いた。当該方法は、以下の工程:1)前駆体及び破骨細胞から単離されたmRNAを用いることによって、非常に代表的なcDNAライブラリーを調製する工程;2)破骨細胞形成時に上方制御された配列を単離する工程;3)上方制御された配列を同定し且つ特徴づけする工程;4)組織特異性に関して、上方制御された配列を選択する工程;5)破骨細胞形成へのノックダウンの効果を測定する工程;及び6)骨吸収へのノックダウンの効果を測定する工程;を含む。
【0229】
本開示において検討された結果は、この分化した細胞型に特異的な破骨細胞遺伝子を標的とするという利点を実証し、且つ疾患及び障害の遺伝的基礎を研究する際のより効率的なスクリーニング方法を提供する。生物学の他の領域においてある役割を有することが知られている遺伝子が、破骨細胞形成及び破骨細胞機能において重要な役割を担うことが示された。既知であるが、本開示まで役割が特定されていなかった遺伝子が単離され、破骨細胞形成及び破骨細胞機能において重要な役割を有することが示された。最後に、新規遺伝子を同定し、この遺伝子はある役割を担うが、出願者は、さらなる研究が完了するまでそれらの開示を保留する。
【0230】
本発明を、非限定的な方法で下記により詳細に示す。
【0231】
[A−材料及び方法]
本開示において言及された商業的に入手可能な試薬は、別に指示しない限り、供給元の使用説明書に従って使用された。本開示を通して、いくつかの開始材料を以下のように調製した。
【0232】
[B−破骨細胞分化細胞の調製]
RAW264.7(RAW)破骨細胞前駆体細胞株及びヒトCD34+前駆体は、破骨細胞形成のマウス及びヒトモデルとして当該技術分野で公知である。従って、これらのマウス及びヒト破骨細胞は、破骨細胞の機能に特定化された遺伝子を単離し、且つ特徴づけするための優れた材料源である。
【0233】
RAW細胞を、American Type Culture Collectionから購入し、10%ウシ胎仔血清及び抗生物質を含有する高グルコースDMEM中で保持した。前記細胞を、最高10〜12継代まで隔週で継代培養した。破骨細胞分化実験のため、RAW細胞を、4×103細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種し、24時間平板培養した。高グルコースDMEM、10%チャコール処理ウシ胎仔血清(Hyclone社、Logan、UT)、0.05%BSA、抗生物質、10ng/mLマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、及び100ng/mLのNF-kB受容体活性化(RANK)リガンド中で分化を誘導した。3日目に前記プレートに再補給すると、4日目までに破骨細胞が明瞭に可視化された。別に指示されない限り、典型的には、前記細胞を、4日目または5日目に、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)に対して染色した。TRAP染色のために、前記細胞をPBSで洗浄し、10%ホルムアルデヒドで1時間固定した。PBSで2回洗浄後、PBS中0.2%トリトンX-100中で5分間、前記細胞を少し透過性にした後、PBS中で洗浄した。0.01%ナフトールAS-MXホスフェート、0.06%Fast Red Violet、50mM酒石酸ナトリウム、100mM酢酸ナトリウム、pH5.2、37℃で20-25分間、染色を行った。前記細胞は顕微鏡により可視化された。
【0234】
35ng/mL M-CSF及び100ng/mL RANKリガンドの存在下、供給元により説明されたように、G-CSF動員された末梢血単核細胞(Cambrex社、East Rutherford、NJ)からヒト破骨細胞を分化させた。11-14日目までに、多核化したTRAP染色破骨細胞が可視化された。また、ヒト細胞由来の破骨細胞を、ヒト破骨細胞前駆体細胞(Cambrex社、East Rutherford、NJ)から誘導し、供給元により説明されたように培養した。後者の場合、7日後に破骨細胞が得られる。
【0235】
[C−差異的に発現したmRNAを単離する方法]
破骨細胞に特有の差異的に発現する配列を発見する鍵は、本出願者が特許取得したSTAR技術(Subtractive Transcription-based Amplification of mRNA;米国特許第5,712,127号、Malek et al, January 27, 1998)の使用である。この方法では、完全に分化した破骨細胞から単離されたmRNAを用いて「テスターRNA」を調製し、これを、破骨細胞前駆体mRNAから調製した相補的一本鎖「ドライバーDNA」にハイブリダイズさせ、ハイブリダイズしなかった「テスターRNA」のみを回収し、「サブトラクションライブラリー(subtracted libraries)」と称されるクローン化cDNAライブラリーを作製するために使用する。従って、より優れた診断方法及び治療ストラテジーの開発のために重要な遺伝子標的の中に入ることが予想され、マイクロアレイハイブリダイゼーション分析によって見逃されることの多い、稀少且つ新規のmRNAを含む差異的に発現する配列が、前記「サブトラクションライブラリー」に多く含まれている。
【0236】
前記豊富な「サブトラクションライブラリー」に含有されたクローンをDNA配列分析によって同定し、それらの潜在的機能をデータベース解析によって評価する。次いで、非重複性クローンを用いてDNAマイクロアレイを調製し、これらを用いて、蛍光cDNAプローブに対するハイブリダイゼーションによって、それらの相対的な差異的発現パターンを定量化する。同じサブトラクションライブラリー(サブトラクションプローブ)から調製されたRNA転写体、または異なる破骨細胞サンプル(標準プローブ)から単離されたmRNAのいずれかから作製される2つのクラスのcDNAプローブを用いる。サブトラクションプローブの使用によって、低存在量のmRNA配列に対する検出感度の増大化が提供され、それがSTARによって保存され、濃縮される。さらに、種々の破骨細胞サンプル並びに種々のマウス及び/またはヒト組織由来のRNAを含むマクロアレイに、選択された各配列から調製された放射標識されたプローブをハイブリダイズすることによって、破骨細胞に対し、差異的に発現する配列の特異性を測定する。さらに、前記破骨細胞サンプル中の1つ以上の特異的mRNA種の存在を確認するために、ノーザンブロット分析を実施する。この後、前記mRNA種及び/またはスプライスバリアントを表す完全長cDNAを、大腸菌DH10B中でクローン化する。
【0237】
遺伝子発現プロファイル化における大きな課題は、分子分析のために利用できるRNAの量が限られていることである。多くの破骨細胞サンプルまたはヒト検体(針吸引、レーザー捕捉マイクロ切開(LCM)サンプル、及びトランスフェクションされた培養細胞)から単離されたRNAの量は:1)STAR用の従来のテスター及びドライバー材料;2)DNAマイクロアレイ分析用の標準的なcDNAプローブ;3)発現の特異性を試験するためのRNAマクロアレイ;4)ノーザンブロット;及び5)さらなる生物学的検証及び特徴づけのための完全長cDNAクローン;を調製するには不十分であることが多い。従って、本出願者は、RAMP(RNA Amplication Procedure)(2005年7月14日に米国特許出願公開第2005/0153333号の下に公開され、標題が「Selective Terminal Tagging of Nucleic Acids」の米国特許出願第11/000,958号)と称される特許技術を開発したが、これは、総RNAサンプルに含まれるmRNAを直線的に増幅し、種々の分析適用に十分なマイクログラム量の増幅RNAを産生する。直線的転写増幅に使用するために、一本鎖cDNA分子の3'末端に末端配列タグを付加する前記特許技術の結果、生じるRAMP RNAは概して、完全長mRNA様配列である。RAMP反応において増幅された配列の99.5%超が<2倍の変動性を示し、従って、RAMPは、破骨細胞形成に関与する独特のmRNA配列の発見を可能にするために十分な量の不偏RNAサンプルを提供する。
【0238】
[D−マウス破骨細胞サブトラクションライブラリーの調製]
RAW前駆体細胞及び対応する完全に分化した(5日目)破骨細胞を、前述のように調製した。標準的な方法(Quiagen社、Mississauga、ON)を用いることによって、細胞RNAの単離、次いで各々からのmRNAの精製を行った。Malekら(米国特許第5,712,127号)の教示に従い、各サンプルからの2μgのポリA+mRNAを用いて、テスター及びドライバー材料の調製に必要な非常に代表的な(>2×106CFU)cDNAライブラリーを、特殊化プラスミドベクター中に調製した。各々の場合において、3'ロッキングヌクレオチド(例えば、A、G、またはC)を有し、Not I認識部位を含むオリゴdT11プライマーを用いて、第一鎖cDNAを合成した。次に二本鎖cDNA合成のための製造元の方法に従って第二鎖cDNA合成を行い(Invitrogen社、Burlington、ON)、得られた二本鎖cDNAをAsc I認識部位を含むリンカー(New England Biolabs社、Pickering、ON)に結合させた。次いで、Asc I及びNot I制限酵素(New England Biolabs社、Pickering、ON)で前記二本鎖cDNAを消化し、Invitrogen社(Burlington、ON)製のcDNA分画化カラムを、製造元により指定されたように用いることによって、過剰リンカーから精製し、各々を、テスター及びドライバー材料それぞれの調製に用いられる特殊化プラスミドベクターp14(配列番号58)及びp17+(配列番号59)内に結合させる。その後、前記結合させたcDNAを、大腸菌DH10B内に形質転換し、所望のcDNAライブラリー(RAW264.7-前駆体-p14、RAW264.7-前駆体-p17+、RAW264.7-破骨細胞-p14、及びRAW264.7-破骨細胞-p17+)を得た。各cDNAライブラリーに対するプラスミドDNAプールを精製し、各々の2μg一定分量をNot I制限酵素によって線形化する。次いで、T7 RNAポリメラーゼ及びsp6 RNAポリメラーゼそれぞれで、Not Iで消化されたp14及びp17+プラスミドライブラリーのin vitro転写を実施した(Ambion社、Austin、TX)。
【0239】
次いで、3'-提示テスター及びドライバーライブラリーを調製するために、in vitro合成したRNAそれぞれの10μg一定分量を、前述のような第一鎖cDNA合成、次いで、Advantage-2 Taqポリメラーゼ(BD Bioscience Clontech社、Mississauga、ON)を用いたプライマー特異的な(p14に対してプライマーOGS77(配列番号62)、及びp17+に対してプライマーOGS302(配列番号63))第二鎖DNA合成を実施することによって、二本鎖cDNAに転換した。OGS77及びOGS302に対応する配列を、当該cDNAライブラリーの調製に用いられる特殊化ベクターによって、in vitro合成したRNA内に導入した。その後、各二本鎖cDNAの6×1μg一定分量を、以下の4塩基認識制限酵素、Rsa I、Sau3A1、Mse I、Msp I、MinPI I、及びBsh 1236I(MBI Fermentas社、Burlington、、ON)の1つで別々に消化し、当該cDNAライブラリーに含まれる各RNA種に対して、6つまでの可能な3'断片を得た。消化後、フェノールで前記制限酵素を不活化し、6つの反応物セットをプールした。次いで、制限酵素部位をT4 DNAポリメラーゼで平滑末端にし、Asc I認識部位を含むリンカーに結合させた。それぞれのリンカー適合させたプールDNAサンプルを、Asc I及びNot I制限酵素で消化し、脱塩し、特殊化プラスミドベクター、p14及びp17(p17プラスミドベクターは、配列番号63に対応する配列を除いて、p17+プラスミドベクターに類似している)に結合させ、大腸菌DH10B内に形質転換させた。p14及びp17の3'提示ライブラリーそれぞれに対するプラスミドDNAプールを精製し(Qiagen社、Mississauga、ON)、それぞれの2mg一定分量をNot I制限酵素で消化し、T7 RNAポリメラーゼまたはsp6 RNAポリメラーゼ(Ambion社、Austin、TX)のいずれかでin vitro転写した。得られたp14の3'提示RNAを「テスターRNA」として直接用い、一方、p17の3'提示RNAを、前述のように、第一鎖cDNAの合成に用い、次いで、「ドライバーDNA」として供給した。各「ドライバーDNA」反応
物を、RNase A及びRNase Hで処理して、RNAを除去し、フェノール抽出し、脱塩して使用した。
【0240】
以下の3'提示ライブラリー:
テスター1 −p14において、RAW264.7-破骨細胞-3';
テスター2 −p14において、RAW264.7-前駆体-3';
ドライバー1−p17において、RAW264.7-前駆体-3';
ドライバー2−p17において、RAW264.7-破骨細胞-3';
を調製した。
【0241】
前記テスターRNAサンプルを、Malekらの教示(米国特許第5,712,127号)に従い、1または2ラウンドのいずれかに対し、1:100の比率で、米国特許第5,712,127号の教示に従い、対応するドライバーDNAでサブトラクションした。さらに、テスターRNAとドライバーDNAなし、及びテスターRNAプラスドライバーDNAだがRNアーゼHなしのコントロール反応物を調製した。サブトラクション後に各反応物中に残留しているテスターRNAを二本鎖DNAに変換し、5%を除去し、分析目的のために標準的PCR反応において30サイクル増幅した。ドライバーDNAプラスRNアーゼHサブトラクションサンプルのみの残りの95%を、PCRで4サイクル増幅し、Asc I及びNot I制限酵素で消化し、半分をpCATRMAN(配列番号60)プラスミドベクター内に、及び残りの半分をp20(配列番号61)プラスミドベクター内に結合させた。前記結合させた材料を、大腸菌DH10B内に形質転換し、pCATRMANライブラリーに含まれる個々のクローンをさらなる分析(DNA配列決定、及びハイブリダイゼーション)のために採取し、一方、各p20ライブラリーに含まれるクローンを、サブトラクションプローブとして使用するためにプールした。4サイクル増幅させたクローン化サブトラクションライブラリーのそれぞれは、25,000-40,000コロニーを含んだ。
【0242】
以下のクローン化サブトラクションライブラリー:
T04-22−pCATRMANにおいて、テスター1(破骨細胞)−ドライバー1(前駆体)(1ラウンド);
SL22−pCATRMANにおいて、テスター1(破骨細胞)−ドライバー1(前駆体)(2ラウンド);
SL22−p20において、テスター1(破骨細胞)−ドライバー1(前駆体)(2ラウンド);
SL27−pCATRMANにおいて、テスター2(前駆体)−ドライバー2(破骨細胞)(2ラウンド);
SL27-p20において、テスター2(前駆体)−ドライバー2(破骨細胞)(2ラウンド);
を調製した。
【0243】
前記30サイクルPCR増幅させたサブトラクション材料の5μL一定分量を、エチジウムブロマイドを含む1.5%アガロースゲルで可視化し、次いで、サザンブロット分析のために、Hybond N+(Amersham Biosciece社、Piscataway、NJ)ナイロン膜に転写した。3つの同一のサザン転写物を調製し、破骨細胞において上方制御されることが知られているMMP-9(マトリックスメタロプロテアーゼ9;NM_013599.2)遺伝子及びTRAP(酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ:NM_007388.1)遺伝子、並びに非差異的に発現するハウスキーピング遺伝子であるGAPDH(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ:M32599.1)に特異的な放射標識されたプローブに別々にハイブリダイズさせた。前記ハイブリダイゼーション分析の結果を図1に示し、図1中のレーンは以下の材料:
AO1:テスター1 RNA+ドライバー1 DNA+RNアーゼH(1ラウンド);
AO2:テスター1 RNA+ドライバー1 DNA+RNアーゼH(2ラウンド);
AP1:テスター2 RNA+ドライバー2 DNA+RNアーゼH(1ラウンド);
AP2:テスター2 RNA+ドライバー2 DNA+RNアーゼH(2ラウンド);
BO1:テスター1 RNA+ドライバー1 DNA−RNアーゼH(1ラウンド);
BO2:テスター1 RNA+ドライバー1 DNA−RNアーゼH(2ラウンド);
BP1:テスター2 RNA+ドライバー2 DNA−RNアーゼH(1ラウンド);
BP2:テスター2 RNA+ドライバー2 DNA−RNアーゼH(2ラウンド);
CO1:テスター1 RNA−ドライバー1 DNA+RNアーゼH(1ラウンド);
CO2:テスター1 RNA−ドライバー1 DNA+RNアーゼH(2ラウンド);
CP1:テスター2 RNA−ドライバー2 DNA+RNアーゼH(1ラウンド);
CP2:テスター2 RNA−ドライバー2 DNA+RNアーゼH(2ラウンド);
DP:テスター2 RNA
DO:テスター1 RNA
を含む。
【0244】
これらの結果は、不完全反応物(GAPDHパネル:BO1、BO2、BP1、BP2、CO1、CO2、CP1、及びCP2)と比較して、ドライバーDNAとRNアーゼHの両方が当該反応物に存在した場合(完全)(GAPDHパネル:レーンAO1、AO2、AP1、及びAP2)、非差異的に発現する遺伝子を表すGAPDH mRNAレベルの減少を明らかに示している。さらに、1ラウンド(GAPDHパネル:AO1及びAP1)と比較して、2ラウンド(GAPDHパネル:AO2及びAP2)後に、GAPDHのものより良好なサブトラクションがあった。他方、完全テスターRNA(MMP-9パネル及びTRAPパネル:レーンDO)と同様の量を示した不完全反応物(MMP-9パネル及びTRAPパネル:BO1、BO2、CO1、及びCO2)と比較して、完全反応物(MMP-9パネル及びTRAPパネル:レーンAO1及びAO2)では、差異的に発現する上方制御された遺伝子(MMP-9及びTRAP)が多く存在した。
【0245】
これらの結果に基づき、差異的に発現する配列に対して、前記サブトラクションライブラリーが濃縮されることが予想された。従って、T04-22及びSL22ライブラリーに対して破骨細胞において上方制御される遺伝子が表され、一方、SL27に対して下方制御される遺伝子が表されるであろう。
【0246】
[E−T04-22及びSL22サブトラクションライブラリーに含まれるクローンの配列識別番号及び注釈]
GAPDH(前記参照)は、2ラウンド後に最も効率的にサブトラクションされたため(SL-22)、このライブラリーは差異的に発現する破骨細胞関連配列に対して最も濃縮されるであろうことが予想された。従って、TO4-22(576クローン)と比較して、より徹底的なDNA配列分析が、SL22に含まれるクローン(1536クローン)について実施された。
【0247】
前述のように調製されたTO4-22及びSL22-pCATRMANライブラリーに含まれる個々のコロニーを、Qbot(Genetix社、Boston、MA)を用いることによって、60μLの加圧滅菌水の中へ無作為に採取した。次いで各42μLを、オリゴヌクレオチドプライマー、OGS 1及びOGS 142を含む100μLの標準的PCR反応液中で使用し、HotStartTM Taqポリメラーゼ(Qiagen社、Mississauga、ON)を用いて、96ウェルマイクロタイタープレート中で、40サイクル(94℃を10分、40×(94℃を40秒、55℃を30秒及び72℃を2分)、その後72℃を7分)増幅した。当該完了したPCR反応物を、96ウェルフィルタープレート(Corning社)を用いて脱塩し、単位複製配列(amplicon)を、100μLの10mMトリス(pH8.0)に回収した。各PCR反応物の5μL一定分量を、エチジウムブロマイドを含む1.5%アガロースゲル上で可視化し、単一増幅した産物を含むその反応物のみを、ABI 3100機器(Applied Biosystems社、Foster City、CA)で実施される標準的DNA配列決定を用いることによって、DNA配列分析用に選択した。得られた各DNA配列に配列識別番号を与え、その後の追跡及び注釈のため、データベースに登録した。
【0248】
当該クローンの同定のための確認ストラテジーを例示する目的で、SL22に含まれるクローンに対して得られたDNA配列のみをさらに検討するであろう。それらの中で、公開データベース(例えば、NCBI)のBLAST分析用に1408が選択され、およそ53%の重複性を示し、従って、サブトラクションライブラリーの十分代表的なサンプリングとなる744のユニークな配列を得た。これらの配列には、標準的なハウスキーピング遺伝子(GAPDH、アクチン、大部分のリボソームタンパク質等)が存在せず、これは、前記サブトラクションライブラリーで、少なくとも比較的大量の非差異的に発現する配列が除去されていることを有効に示した。対応する非サブトラクションライブラリーからの96クローンの限定的検査によって、GAPDH及びベータアクチン等の、非常に既知であり、且つ大量のハウスキーピング配列が得られた(データは示されていない)。前記744のユニークな配列を、図2に示した3つのカテゴリー:Unigeneクラスターを有する522の遺伝子(70.2%)、Unigeneクラスターを有さない84の遺伝子(11.3%)、及び138の新規配列(18.5%)に広く分類した。前記Unigeneクラスターの遺伝子の中で、GO(遺伝子存在論)機能的カテゴリーに関連するものは114のみであった。従って、これらの結果から、前記サブトラクションライブラリー(SL22)には、既知の及び新規の配列が濃縮化されていることが明らかであった。
【0249】
当該選択されたクローンの配列決定及び注釈が完了すると、次の工程は、前駆体と比較して、破骨細胞で実際に上方制御された配列の同定を含んだ。
【0250】
[F−上方制御された配列を同定するためのハイブリダイゼーション分析]
前記TO4-22及びSL22ライブラリーから注釈された配列を表すPCR単位複製配列を用いて、DNAマイクイロアレイを調製した。前節において調製した70μL中に含まれた精製PCR単位複製配列を凍結乾燥し、それぞれを、3×SSC及び0.1%サルコシル(sarkosyl)を含む20μLのスポッティング溶液中で再構成した。次いで、各単位複製配列の三重のDNAマイクロアレイを、CMT-GAP2スライド(Corning社、Corning、NY)及びGMS 417スポッター(Affymetrix社、Santa Clara、CA)を用いて調製した。
【0251】
次いで、前記DNAマイクロアレイを、供給元(Amersham Bioscience社、Piscataway、NJ)により推奨されるように、標準的またはサブトラクションしたcy3及びcy5で標識したcDNAプローブとハイブリダイズした。5つの異なるマウス破骨細胞サンプル及び対応する前駆体から調製したRAMP増幅RNAを用いることによって、標準的なcDNAプローブを合成した。標準的なcDNAプローブは制限された検出感度を提供するのみであり、その結果、前記cDNAプローブに含まれる低存在量の配列が通常見逃されることは、当業者に公知である。従って、当該ハイブリダイゼーション分析はまた、サブトラクションcDNAプローブを用いて実施された。これらのサブトラクションcDNAプローブは、前記Dに記載したSL22-p20及びSL25-p20サブトラクションライブラリーから調製したin vitro転写RNAから合成された。これらのサブトラクションライブラリーは、Malekらの教示に従った結果、低存在量の配列を濃縮でき、それによって検出感度の増加を提供できる。
【0252】
全てのハイブリダイゼーション反応は、供給元(Amersham Bioscience社、Piscataway、NJ)により推奨されるように、色素交換(dye-swap)法を用いて実施された。標準的cDNAプローブを用いることによって得られたハイブリダイゼーション結果の分析後、SL22に含まれる744のユニークな配列のうち161が破骨細胞中で上方制御されることが分かり、前駆体と比較して、>2倍の差を示した。他方、前記サブトラクションcDNAプローブを用いた場合、さらに289のさらなるSL22配列が、当該破骨細胞サンプル中で同様に上方制御されることが分かった。
【0253】
従って、これらの結果から、前記SL22サブトラクションライブラリーには、破骨細胞形成におそらく関与している上方制御された配列が非常に多く存在する(>60%)ことが明白であった。前記TO4-22クローンに対して同様の分析が実施され、おそらく1ラウンドのみのSTAR操作後の不十分なサブトラクションのため、低パーセンテージの差異的に発現する配列が示された。
【0254】
[G−同定された差異的に発現する配列の破骨細胞特異性の判定]
SL22及びTO4-22双方のライブラリーに関してF節で同定した差異的に発現する配列を、ナイロン膜ベースのマクロアレイに対するハイブリダイゼーションによって、破骨細胞特異性に関して試験した。前記マクロアレイは、5つの独立した実験のマウス前駆体及び破骨細胞からのRAMP増幅RNAを用いることによって調製し、種々の正常なマウス組織(肝臓、脳、胸腺、心臓、肺、精巣、卵巣、腎臓、及び胎仔)は商業的に購入した(Ambion社、Austin、TX)。これらのサンプルの多くに対して利用できるmRNAの量が限られていたため、RAMP方法論を用いることによってまずmRNAを増幅する必要があった。増幅した各RNAサンプルを、96ウェルのマイクロタイタープレートにおいて、3×SSC及び0.1%サルコシル中で最終濃度250ng/μLに再構成し、特殊化MULTI-PRINT(登録商標)装置(VP Scientific社、San Diego、CA)を用いてHybond N+ナイロン膜上に1μLをスポットし、風乾させ、UV交差結合させた。供給元(Amersham Bioscience社、Piscataway、NJ)により推奨されたランダムプライミング法を用いることによって、SL22及びTO4-22から選択された合計556の異なる配列をα-32P-dCTPで個々に放射標識し、プローブとして前記マクロアレイ上で用いた。当業者に公知の標準的操作に従って、ハイブリダイゼーション及び洗浄工程を実施した。
【0255】
試験された前記556の配列のうち、およそ80%が、当該サブトラクションライブラリーの調製に用いられた少なくとも一次破骨細胞RNAサンプルにおいて上方制御されることが分かった。しかし、これらの配列の多くは、種々のマウス組織においても容易に検出された。これらの結果に基づき、実験のばらつきに関連すると思われたそのような配列及び他のマウス組織の多くで検出されたものを除外した。その結果、非常に破骨細胞特異的と思われた73の配列のみを、生物学的検証試験用に選択した。これらの組織に対して得られたハイブリダイゼーションシグナルは、スプライスバリアントのファミリーメンバーによる可能性が確かに存在するため、この73配列のサブセットは、前駆体レベルに関連した2つ以下のマウス組織に存在する配列を含んだ。
【0256】
図3は、検証用に選択された配列の代表的なマクロアレイパターンの例を示す。次いで、8つのさらなる正常なマウス組織(リンパ節、眼、前立腺、平滑筋、脊髄、胃、子宮、及び骨髄)のRNAを二次マクロアレイに組み込み、前記73の選択された配列の多くの特異性をさらに試験するために用いた(データは示していない)。前記73の選択された配列のうち、41の遺伝子が機能の注釈を有し、そのうち、2つだけが以前に破骨細胞形成に関連づけられており(Unigene Clusters Mm.103560及びMm.271689)、20の遺伝子は機能の注釈を有さず、12は新規配列であった(データは開示していない)。代表的配列を以下のように特徴づけする。
【0257】
<配列番号1>
配列番号1によってコードされる候補タンパク質は、精巣特異的プロテアーゼまたはTsp50という名称を有する以前に同定された遺伝子である。当該マウスのポリヌクレオチドは、1317bpのオープンリーディングフレームを含み、439アミノ酸のポリペプチドをコードする。当該ヒトのポリヌクレオチドは、1155bpのオープンリーディングフレームを含み、385アミノ酸のポリペプチドをコードする。それは本来、ヒト乳癌細胞におけるゲノムDNAの低メチル化領域において発現するために記載され、クローン化された(Yuan et al., 1999)。一次アミノ酸配列の分析により、当該タンパク質を細胞膜に標的化すると推定されるアミノ末端シグナルペプチド、当該タンパク質を細胞膜に固定するカルボキシ末端膜貫通ドメイン、及びセリンプロテアーゼに相同性の予想される触媒ドメイン(Shan et al., 2002;Netzel-Arnett et al., 2003)の存在が示唆される。Tsp50の予想される触媒活性の性質及び正確な細胞局在は、まだ結論的に確立されていない。出願者は、Tsp50が主題となっている米国特許第6,617,434号(Duffy、2003年9月9日)及び米国特許第6,451,555号(Duffy、2002年9月17日)に注意を向けるよう読者に指示する。前記の全ての知見に関わらず、破骨細胞または骨再構築障害との機能的関連は、本開示前には記載されていない。
【0258】
<配列番号2>
配列番号2によってコードされる候補タンパク質は、液胞(V-)ATPaseマルチサブユニット複合体のd2サブユニットをコードする以前同定された遺伝子である。前記d2サブユニットは膜を貫通していないが、膜貫通複合体の一部であり、膜貫通特性を含むより大型のサブユニットと直接相互作用する(Nishi and Forgac, 2002)。マウスのV-ATPase d2タンパク質をコードするcDNAが最近記載されたが、骨生理学におけるその機能はまだ確立されていない(Nishi et al., 2003)。破骨細胞または骨再構築障害との機能的関連は、本開示前には記載されていない。
【0259】
<配列番号3>
配列番号3によってコードされる候補タンパク質は、軟骨関連タンパク質、Crtapをコードする以前同定された遺伝子である(Morello et al., 1999;Tonachini et al., 1999)。前記遺伝子は、本来ニワトリ胎仔からクローン化され、軟骨組織に局在している(Morello et al., 1999)。破骨細胞または骨再構築障害との機能的関連は、本開示前には記載されていない。
【0260】
<配列番号4>
配列番号4によってコードされる候補タンパク質は、現在のデータベースに見られ、RIKEN Genome Exploration Research Groupの一部としてクローン化された(Kawai et al., 2001)。当該mRNAは予想されるオープンリーディングフレームを含むが、本開示前に、この配列に帰属された機能はない。
【0261】
<配列番号5>
配列番号5によってコードされる候補タンパク質は、現在のデータベースに見られ、RIKEN Genome Exploration Research Groupの一部としてクローン化された(Strausberg et al., 2002)。当該mRNAは予想されるオープンリーディングフレームを含むが、本開示前に、この配列に帰属された機能はない。
【0262】
<配列番号6>
配列番号6によってコードされる候補タンパク質は、現在のデータベースに見られ、RIKEN Genome Exploration Research Groupの一部としてクローン化された(Strausberg et al., 2002)。当該mRNAは予想されるオープンリーディングフレームを含むが、本開示前に、この配列に帰属された機能はない。
【0263】
<配列番号7>
配列番号7によってコードされる候補タンパク質は、B細胞の活性化に対するリンカーをコードする以前同定された遺伝子である。当該遺伝子は胸腺細胞においてある役割を担うと報告されている(Janssen et al., 2003)。破骨細胞または骨再構築障害との機能的関連は、本開示前には記載されていない。
【0264】
<配列番号57>
配列番号57によってコードされる候補タンパク質は、jun二量体化タンパク質2をコードする以前同定された遺伝子である。この遺伝子は、アンチセンス技術を用いることによって、破骨細胞形成に関与していることが示されている(Kawaida et al., 2003)。この例は、破骨細胞特異的遺伝子の同定における出願者のアプローチについての構想のさらなる証明として役立つ。
【0265】
[H−破骨細胞mRNAから選択された配列の完全長cDNAのクローニング]
当該発現タンパク質の機能的試験を実施するために、完全長cDNA配列を得ることが必要であった。スプライスバリアントが組織特異的機能に関与していることが次第に示唆されているので、試験中の系のcDNAクローンを用いた研究が極めて必要となる。出願者はまた、スプライスバリアントが必ずしも関与していない可能性があると認識している。従って、バリアント及び特異性に関するそれらの可能性のある役割を同定するために、出願者のアプローチは、関連する完全長cDNA配列を破骨細胞から直接単離することである。
【0266】
5'-RACE法(Invitrogen社、Burlington、ON)及びPCRにおける標準的2プライマー遺伝子特異的アプローチの双方を用いることによって、コードcDNAクローンを単離した。前記5'-RACE法では、キャップ選択破骨細胞RNA及び/またはRAMP増幅破骨細胞RNAから調製されたcDNAが用いられた。遺伝子特異的プライマーを用いる増幅では、RAMP RNAから調製されたcDNAまたは総RNAのいずれかを用いた。全てのcDNAは、標準的逆転写法(Invitrogen社、Burlington、ON)に従って合成された。得られたcDNA配列は、大腸菌DH10B中でクローン化し、複数クローンに対するヌクレオチド配列を決定した。その後、各セットに対するcDNA配列を整列し、標準的ソフトウェア(例えば、ORF Finder-NCBI)を用いて、オープンリーディングフレーム(ORF)を同定した。表3は、調査中のいくつかの配列に対して得られたスプライスバリアントのcDNAクローンの例を示す。
【0267】
[I−RNA干渉試験]
RNA干渉は、分解のためのmRNAを標的とすることにより、配列特異的な遺伝子発現の低下をともなう最近発見された遺伝子制御機構であり、本来は、植物において記載されたものであるが、原生動物及び無脊椎動物からより高等な真核生物まで、多くの動物界にわたって発見されている(Agrawal et al., 2003)。生理学的設定において、RNA干渉の機構は、細胞内で活性なダイサーと称されるRNase III様タンパク質によって切断される二本鎖RNA分子の存在によって誘発され、21〜23bpのsiRNAを放出する。前記siRNAは、相同性により生じる様式で、mRNAの存在下でRISC(RNA誘導サイレンシング複合体)と称されるRNA-タンパク質結合体へと複合体を形成し、mRNA発現の低下をもたらす分解を引き起こす(Agrawal et al., 2003)。
【0268】
遺伝子ノックアウトマウス及びドミナントネガティブ等の、遺伝子機能を研究するための現在のアプローチは、しばしば非効率的で、一般に費用がかかり、且つ時間もかかる。RNA干渉は、多数の遺伝子を迅速に比較的安価な様式で分析するための選択方法であることが証明されつつある。合成siRNAのトランスフェクションは効率的な方法であるが、その作用はせいぜい一過性であることが多い(Hannon G.J., 2002)。安定なトランスフェクションによってショートヘアピンRNAを発現するプラスミドの送達により、長期試験におけるRNA干渉の分析を可能にすることが成功している(Brummelkamp et al., 2002;Elbashir et al., 2001)。さらに、最近の進歩により、レンチウイルス等のウイルス送達法を用いることによって、主要なヒト細胞内で、ショートヘアピンRNAの形態をとるsiRNA分子の発現が可能になった(Lee et al., 2004;Rubinson et al., 2003)。
【0269】
[J−破骨細胞形成へのノックダウン効果の測定]
各ヌクレオチド配列の特徴づけに利用される個々のsiRNA発現カセット及び方法の設計及びサブクローニングを下記に記載する。ポリヌクレオチドの選択は、破骨細胞におけるそれらのRANKリガンド依存性上方制御、及び他の組織と比較した破骨細胞におけるそれらの発現の選択的性質に基づいて選択された(前記、F節及びG節を参照)。siRNA配列の設計は、当業者が自由に利用可能なウェブベースのソフトウェア(例えば、Qiagen社)を用いることによって実施された。これらの選択された配列、通常19量体は、ショートヘアピンRNA、すなわち、19ntのセンス配列、9ntのリンカー領域(ループ)、19ntのアンチセンス配列、次いでRNAポリメラーゼIIIの終止用5-6ポリT領域のための鋳型を形成する2つの相補的オリゴヌクレオチド中に含まれる。これらのオリゴヌクレオチドの末端に適切な制限部位を挿入して、転写開始点がhU6プロモーターの下流の正確な位置にくるように、当該挿入体の適切な位置とりを促進した。選択された各配列に対して、少なくとも2種の異なるsiRNA発現ベクターを構築し、RNA干渉の観察機会を増加させた。
【0270】
ヒトU6プロモーターの制御下で、当該siRNAを発現するトランスフェクションプラスミドを以下のように構築した。AseI部位(正)及びKpnI部位(逆)を含む2つのプライマーを用いて、5ngのヒトゲノムDNAから、ヒトU6プロモーターを含む330bp断片をPCR増幅した。この断片を同様に消化したpd2EGFP-N1(BD Bioscience Clontech社、Mississauga、ON)に結合させ、ヒト(h)U6プロモーター配列によるpd2EGFP-N1のCMV E1プロモーターの置換を起こした。AgeI及びNotIによる消化、及び当該平滑化末端の再結合により、pd2-hU6を作出し、d2EGFP断片の除去を達成した。当該siRNAヘアピンに対する鋳型は、5'末端で平滑、3'末端にBamHI突出を有する57bp断片を生じさせる2つのオリゴヌクレオチドをアニーリングさせることによって設計した。当該アニールしたオリゴヌクレオチドを、Kpnl(平滑)及びBamHIであらかじめ消化させたpd2-hU6中に結合させ、pd2-hU6/siRNAを得た。全てのプラスミドを配列決定することによって確認し、siRNAヘアピン配列の存在及びhU6プロモーターの後の転写開始部位の適切な位置とりを確認した。
【0271】
10%ウシ胎仔血清を含有する高グルコースDMEM中、6×105細胞/ウェルの密度で、6ウェルプレートにRAW細胞を播種し、一晩平板培養し、Fugene 6試薬(Roche社、Laval、QC)を用いて、1μgのpd2-hu6/siRNAプラスミドをトランスフェクトした。16時間のインキュベーション後、安定なトランスフェクション体を選択するために400μg/mLのG418を含む新しい培地を加えた。コントロール細胞には、pd2-hU6をトランスフェクトした。およそ10日後、細胞のプール及び/または個々のクローンを単離し、96ウェルプレートにおいて、破骨細胞を形成するそれらの能力に関して分析した。得られた表現型を、TRAP染色用にアッセイした細胞の目視により、顕微鏡によって観察した。RNA干渉の有効性をまた、in vitro破骨細胞形成を受けた細胞から単離した総RNAについてノーザンブロットを実施するによって評価した。
【0272】
[K−RNA干渉試験の結果]
<配列番号1>
RNA干渉に用いた配列は、ポリヌクレオチド配列番号1から得られたものであり、配列番号64、65、及び66を有する(もちろん、他の配列を用いても良い)。3種のsiRNA、pd2-hU6/0440.1、pd2-hU6/0440.2、及びpd2-hU6/0440.3をコードするプラスミドをトランスフェクトしたRAW細胞から得られた細胞株は、その後、それぞれRAW-0440.1、(配列番号64)、RAW-0440.2(配列番号65)、及びRAW-0440.3(配列番号66)と称され、集合的にRAW-0440と称される。さらに、正常な破骨細胞形成に対するポジティブコントロールとして、RAW細胞にsiRNAを含まない空ベクター(pd2-hU6)をトランスフェクトした。全細胞系の表現型分析を、図4Aに示す。図4Aのパネルaは、多核化破骨細胞の存在が観察されず、且つ未分化RAW細胞がTRAP染色されないRANKリガンド非存在下における、コントロール細胞株RAW-hU6を示している。RANKリガンドで処理した場合、大型の多核化したTRAP陽性の破骨細胞が正常な分化を示していることが観察される(パネルb)。RAW細胞中の配列番号1に特異的なsiRNAの存在により、これらの細胞がRANKリガンドの存在下で大型の成熟した破骨細胞を形成する能力が大きく低下した(パネルc-e)。1ウェル当りの破骨細胞数の減少に加えて、前記RAW-0440細胞は、より小型であり、多くはTRAP染色のわずかな減少を示した。より詳細な検査により、これらのより小型の破骨細胞が多核化しており、RAW-0440前駆体の正常な細胞融合を示唆していることを明らかになった。等量の3種全てのsiRNA発現ベクターをトランスフェクトした他のRAW細胞株RAW-0440混合体の分析により、先の表現型の観察結果が立証された。前と同様に、空ベクターをトランスフェクトしたコントロール細胞株は、TRAPに染色される大型の多核化破骨細胞を形成した(図4、パネルb)。パネルcに示されるように、RAW-0440混合体破骨細胞は多核化していたが、小型で、且つ数がより少なかった。
【0273】
RANKリガンド処理の3日及び4日後に、成熟破骨細胞から総RNAを単離し、配列番号1のcDNAの断片でプローブすることによって、各siRNAの効果を評価し、内在性の遺伝子発現のノックダウンが生じたかどうかを判定した。代表的な実験を図5に示す。10μgの総RNAを、配列番号1のcDNAの断片でプローブした場合、1.7Kbの単一のmRNAが観察された。前記RAW-0440.1細胞株から単離されたRNA中に、配列番号1のmRNAの量の減少が特に4日目に観察され、これらの細胞においてRNA干渉が生じたことを示した(図5、上部パネル、レーン3と6を比較)。同様に、2つの既知の破骨細胞マーカー遺伝子、TRAP及びカテプシンKの発現(Boyle et al., 2003)が、RAW-0440.1細胞において有意に低下した(図5)。配列番号1の破骨細胞特異的性質は、前駆体細胞における発現の欠如によって明らかであった(レーン1及び4を参照)。配列番号1遺伝子の発現の差異は、同一の膜をハウスキーピング遺伝子、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼの断片でプローブすることによって立証されるように(GAPDH、図5)、当該ゲル上に乗せた総RNAの量の違いによるものではなかった。
【0274】
これらの結果は、RAW細胞中に生理学的レベルの配列番号1が存在しないことによって、破骨細胞へと適切に分化するそれらの能力が損なわれることを示し、これらの細胞におけるこの遺伝子の重要な役割を示唆している。
【0275】
<配列番号2>
RNA干渉に用いた配列は、ポリヌクレオチド配列番号2から得られたものであり、配列番号67、68、及び69を有する。3種のsiRNA、pd2-hU6/0179.1、pd2-hU6/0179.2、及びpd2-hU6/0179.3をコードするプラスミドをトランスフェクトしたRAW細胞から得られた細胞株は、本明細書で、それぞれ、RAW-0179.1(配列番号67)、RAW-0179.2(配列番号68)、及びRAW-0179.3(配列番号69)と称される。さらに、正常な破骨細胞形成に対するポジティブコントロールとして、RAW細胞に、任意のsiRNAを含まない空ベクター(pd2-hU6)をトランスフェクトした。全細胞系の表現型分析を、図6に示す。図6のパネルaは、多核化破骨細胞の存在が観察されず、且つ未分化RAW細胞がTRAP染色されないRANKリガンド非存在下における、コントロール細胞株RAW-hU6を示している。RANKリガンドで処理した場合、大型の多核化したTRAP陽性の破骨細胞が正常な分化を示していることが観察される(パネルb)。前記siRNAの2つ、すなわちRAW-0179.1及びRAW-0179.2によってコードされるものにより、RANKリガンドの存在下で大型の成熟した破骨細胞を形成するこれらの細胞の能力が著しく低下した(パネルc、d)。第三のsiRNA配列、RAW-0179.3は有効でなかった(図6、パネルeを参照)。1ウェル当りの破骨細胞数の減少に加えて、前記RAW-0179.1細胞及びRAW-0179.2細胞は、一般により小型であり、含有する核は少なかった。
【0276】
RANKリガンド処理の3日及び4日後に、成熟破骨細胞から総RNAを単離し、配列番号2のcDNAの断片でプローブすることによって、各siRNAの効果を評価し、内在性の遺伝子発現のノックダウンが生じたかどうかを判定した。代表的な実験を図7に示す。10μgの総RNAを、配列番号2のcDNAの断片でプローブした場合、2.3Kb及び1.6Kbの2種のmRNAが観察された。前記RAW-0179.1細胞株から単離されたRNA中に、配列番号2のmRNAの量の減少が特に4日目に観察され、これらの細胞においてRNA干渉が生じたことを示した(図7、上部パネル、レーン3と6を比較)。さらに、RAW-hU6前駆体細胞は、RANKリガンド非存在下で検出可能なレベルの配列番号2を発現したが、同様の条件下でRAW-0179.1細胞のRNAには発現が見られなかった(図7上部のレーン1と4とを比較)。まとめると、これらの結果は有効なRNA干渉が生じたことを示している。2つの既知の破骨細胞マーカー遺伝子も有意に減少し、特にカテプシンKは、コントロール細胞株と比較してRAW-0179.1細胞において、実際に検出できなかった。配列番号2遺伝子の発現の差異は、同一の膜をハウスキーピング遺伝子、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼの断片でプローブすることによって立証されるように(GAPDH、図7)、当該ゲル上に乗せた総RNAの量の違いによるものではなかった。
【0277】
これらの結果は、RAW細胞における適切な破骨細胞分化にとって配列番号2が必要であることを示し、これらの細胞におけるこの遺伝子の重要な役割を示唆している。
【0278】
<配列番号3>
RNA干渉に用いた配列は、ポリヌクレオチド配列番号3から得られたものであり、配列番号70、71、及び72を有する。配列番号1及び2に対して本発明に記載のRNA干渉の使用を、配列番号3に適用した。得られた結果は同様であり、この遺伝子もRAW破骨細胞の適切な分化にとって必要であることを示している。この結果の一例を、図8に示す。
【0279】
<配列番号4>
RNA干渉に用いた配列は、ポリヌクレオチド配列番号4から得られたものであり、配列番号73及び74を有する。配列番号1及び2に対して本発明に記載のRNA干渉の使用を、配列番号4に適用した。得られた結果は同様であり、この遺伝子もRAW破骨細胞の適切な分化にとって必要であることを示している。この結果の一例を、図9に示す。
【0280】
<配列番号5>
RNA干渉に用いた配列は、ポリヌクレオチド配列番号5から得られたものであり、配列番号75及び76を有する。配列番号1及び2に対して本発明に記載のRNA干渉の使用を、配列番号5に適用した。得られた結果は同様であり、この遺伝子もRAW破骨細胞の適切な分化にとって必要であることを示している。この結果の一例を、図10に示す。
【0281】
<配列番号6>
RNA干渉に用いた配列は、ポリヌクレオチド配列番号6から得られたものであり、配列番号77及び78を有する。この配列に対して、以下の修正をしてRNA干渉に対する同じアプローチを適用した。siRNA発現プラスミド、pd2-hU6/1200.1及びpd2-hU6/1200.2を、等量用いた混合物としてトランスフェクトした。配列番号1に対して観察されたように、siRNA発現プラスミドをプールすることによって、個々のプラスミドトランスフェクション体から得られたものと同様の結果が生じる。従って、このトランスフェクションから得られた細胞株を、RAW-1200混合体と称した(図11を参照)。
【0282】
RANKリガンドでこの細胞株を処理することによって、コントロール細胞株RAW-hU6よりも早く分化するRAW細胞が生じた。また、当該破骨細胞はより大型で、1細胞当りより多くの核を含有した(図11Aのパネルbとdを比較)。3、4、及び5日目に実施したTRAP染色で当該実験を繰り返し、RAW-1200混合体株をコントロールと直接比較した。図11Bに示されるように、前記RAW-1200混合体細胞からの破骨細胞はより早く現れ、コントロールRAW細胞が小型の多核化細胞をちょうど形成し始める時点である3日目までには成熟していた。さらに、前記RAW-1200混合体細胞株から得られた破骨細胞は、残留破骨細胞数の減少が4日目から見られ始めるように、生存率の低下があるようである。コントロール細胞は4日目までに成熟し、多くの破骨細胞は5日目でもまだ存在している。
【0283】
この結果は、本発明のアプローチを用いた破骨細胞特異的遺伝子のRNA干渉が、破骨細胞形成の刺激において役割を担う遺伝子を同定するのみだけでなく、このプロセスの負の調節因子である候補物を検証するために役立つことを示している。
【0284】
前記の観察をさらに立証するために、RAW-1220混合体細胞株から単離した総RNAに対してノーザンブロット分析を行い、コントロールのRAW-hU6と比較した。前記ブロットは、最初配列番号6のcDNAの断片でプローブしたが、この方法によって当該メッセージはほとんど検出できなかった。前述のように、破骨細胞マーカー遺伝子、TRAP及びカテプシンKに対して同じブロットをプローブした。図12に示されるように、TRAPの発現は表現型の観察と一致し、RAW-1200混合体細胞において有意に増加した。カテプシンKもまた、程度はより低いが上方制御された。また、GAPDHは、各レーンに等量のRNAが存在したことを示した。破骨細胞形成実験の結果と同様に、これらの結果は、配列番号6がRAW細胞における破骨細胞分化の負の調節因子であることを示唆している。
【0285】
<配列番号7>
RNA干渉に用いた配列は、ポリヌクレオチド配列番号7から得られたものであり、配列番号79及び80を有する。配列番号1及び2に対して本発明に記載のRNA干渉の使用を、配列番号7に適用した。得られた結果(データは示していない)は、配列番号6の結果と同様であり、この遺伝子のノックダウンが破骨細胞分化の増加をもたらすことを示し、配列番号7がRAW細胞におけるこのプロセスの負の調節因子であることを示唆している。
【0286】
<配列番号57>
RNA干渉に用いた配列は、ポリヌクレオチド配列番号57から得られたものであり、配列番号81及び82を有する。配列番号1及び2に対して本発明に記載のRNA干渉の使用を、配列番号57に適用した。得られた結果は同様であり、この遺伝子がRAW破骨細胞の適切な分化にとって必要であることを示している。この結果の一例を、図13に示す。
【0287】
[L−骨吸収へのノックダウン効果の測定]
同定した破骨細胞特異的配列の機能性を、Osteologic(登録商標)(BD Bioscience社、Mississauga、ON)ディスク上に当該細胞を播種することによって探索し、それらの骨吸収活性を測定した。Osteologic(登録商標)ディスクは商業的に入手可能であり、合成リン酸カルシウム基質を含有し、骨分解のモデルとして当業者に公知である。
【0288】
リン酸カルシウムをコーティングしたディスク(Osteologic(登録商標))を含む24ウェルプレートに35000細胞/ウェルの密度でRAW細胞を播種した。100ng/mLのRANKリガンドを含む分化培地による処理を5日間実施し、前記のようにTRAP発現に対して破骨細胞を染色した後、多核化細胞の位置及び数を測定した。破骨細胞を漂白によって除去し、製造元の修正フォンコッサ法に従って、5%硝酸銀で染色した。吸収されたピットを顕微鏡で観察した。吸収された表面積のパーセンテージを、当該ディスクの陰像を走査して測定し、Photoshop(登録商標)(Adobe)を用いて、最大コントラストでブラック画素のパーセンテージを算出する。コントロールのRAW-hU6を1の値に設定し、RANKリガンドの存在下でRAW-hU6細胞系によって観察された吸収の最高量を100%に設定した。
【0289】
<配列番号1>
RAW-0440細胞株の機能が、配列番号1のノックダウンによって影響を受けたかどうかを判定するために、当該細胞を、Osteologic(登録商標)ディスク上で培養し、分化させた。各ディスク上に等しい数のRAW細胞を播種し、4日間、RANKリガンドで処理してから、固定し、リン酸カルシウム基質を染色する製造元の修正フォンコッサ法によって染色した。前記ディスク上の白色領域が破骨細胞の吸収を示す。図14Aに示されるように、コントロール細胞株のRAW-hU6は、当該ディスク上の吸収面積に大きな増加を生じなかった(パネルa)が、破骨細胞形成を誘導するRANKリガンドの処理によって、かなりの量の基質が破骨細胞により分解される結果となった(パネルb)。全ての3種のRAW-0440細胞株は、当該基質を分解する能力を減少させ、当該ディスクは広い面積の未吸収リン酸カルシウム基質を有した(パネルc-e)。これらの結果を図14Bに示す。RAW-0440.1、RAW-0440.2、及びRAW-0440.3細胞株からの破骨細胞に対する総吸収面積の値(ブラック画素%)は、それぞれ8.7%、45.9%、及び22.2%であった。これらの結果は、破骨細胞中の配列番号1遺伝子を標的とすることは、骨基質を吸収するそれらの能力を低下させる効果を有することを示している。
【0290】
<配列番号2>
配列番号1に用いたアプローチを使用して、RAW-0179細胞株を分析した。図15に示されるように、当該破骨細胞は、基質を吸収する能力の低下を示した(図15)。当該ディスク上の残留物質の定量分析により、全吸収面積は、RAW-0179.1、RAW-0179.2、及びRAW-0179.3細胞株に対して、それぞれ36.1%、29.4%、及び51.2%であることが示された(図15B)。これらの結果は、破骨細胞中の配列番号2の遺伝子を標的とすることは、骨基質を吸収するそれらの能力を低下させる効果を有することを示している。
【0291】
[M−いくつかのマウス破骨細胞特異的配列のヒトオルソログの差異的発現]
いくつかのマウス破骨細胞特異的遺伝子に対するヒトオルソログは、RT-PCR増幅用の遺伝子特異的プライマー、及びヒト破骨細胞のmRNAからの対応する二本鎖cDNAのクローニングを用いることによって単離され、それらの差異的発現パターンは、ヒトCD34+前駆体及び破骨細胞からのRNAを用いて測定された。また、それらの組織特異性は、Ambion社(Austin、TX)から購入された30種のヒト組織(副腎、乳房、空腸、気管、肝臓、胎盤、大動脈、脳、肺、副腎皮質、食道、大腸、卵巣、腎臓、前立腺、胸腺、骨格筋、大静脈、胃、小腸、心臓、輸卵管、脾臓、膀胱、頚部、膵臓、回腸、十二指腸、甲状腺、及び精巣)のRNAを用いて測定された。全てのRNAサンプルはRAMPを用いて増幅され、マクロ配列はG節に記載したようにに調製した。各ヒトオルソログcDNAを、供給元(Amersham社、Piscataway、NJ)により指定されたランダムプライミング法を用いてα-32P-dCTPで放射標識し、マクロアレイに存在するRNAに対するプローブとして使用した。ハイブリダイゼーション及び洗浄工程は、当該技術分野で公知の標準的方法に従って実施した。図16Aは、マクロアレイ上に表される種々の組織及び破骨細胞サンプル中の配列番号2及び配列番号4に対するヒトオルソログの差異的発現の例を示している。しかし、配列番号1の場合、当該マクロアレイ上のハイブリダイゼーションシグナルは、この配列の相対的に低い存在量のため検出できなかった。このように、ヒトTSP50に対する遺伝子特異的プライマーを用いた標準的RT-PCRを、その発現を測定するために、ヒト前駆体及び破骨細胞のサンプルについて実施した(図16B)。1.3kbのTSP50 PCRの単位複製配列は、ドナー1及びドナー4(図16B、それぞれレーン2及び4)の両方に対して、ヒト破骨細胞サンプル中に検出されたが、対応する前駆体サンプル(図16B、それぞれレーン1及び3)中には検出されなかった。1.3kbのPCRの単位複製配列は、TSP50として配列分析により確認された。これらの結果から、いくつかのマウスの選択された破骨細胞特異的配列のヒトオルソログは、ヒトCD34+由来破骨細胞において同様に上方制御され、また非常に特異的であることが明白である。従って、これらの結果は、ヒト破骨細胞形成に関与する破骨細胞特異的遺伝子を同定するための前記マウスRAW264.7モデルの使用が、有効なストラテジーであることを示唆している。
【0292】
[N−破骨細胞形成における配列番号1(配列番号88)に対するヒトオルソログの生物学的検証]
配列番号1(配列番号88)に対するヒトオルソログの生物学的重要性を検証するために、配列番号1に対してマウス破骨細胞モデルに見られる機能が、ヒト破骨細胞に保存されていることを示すことは重要であった。破骨細胞の分化に細胞株を使用し得るマウスモデルとは異なり、相当するモデルがヒトには存在しない。従って、検証試験は、別に記載されない限り、製造元(Invitrogen社、Burlington、ON)により記載された市販のレンチウイルスのショートヘアピン(sh)RNA送達システムを用いて、ヒト一次骨髄細胞において実施した。siRNA配列、5'-CTGCCTGATCTGGCGTGAT-3'(配列番号90)が、配列番号88を特異的に標的にするために使用され、当該コード配列は、組織内のヒト破骨細胞cDNAライブラリーからクローン化されたものである。
【0293】
前記shRNAの発現に対する鋳型を、レンチウイルス発現ベクター中にクローン化し、ウイルス構造タンパク質に対する発現ベクターとともに293FT細胞に共トランスフェクションした。2日後、レンチウイルスを含む上清液を回収し、-80℃で保存した。力価測定後、20のMOI(感染多重度)を使用し、Cambrex社(East Rutherford、NJ)から購入したヒト破骨細胞前駆体を感染させた。翌日、当該培地をRANKリガンドを含む新しい培地に置換して破骨細胞の分化を開始させた。およそ7日後、前記細胞を固定し、B節−破骨細胞分化細胞の調製に記載のようにTRAP染色を実施した。平行して、β-ガラクトシダーゼに対してコントロールshRNAを含むレンチウイルス粒子も使用して、ヒト破骨細胞前駆体細胞を感染させた。
【0294】
図17は、RANKリガンドの存在下でコントロールshRNA(コントロールsiRNA)を発現するレンチウイルスを感染させたヒト骨髄細胞と比較して(図17の左パネルの矢印を参照)、配列番号88(AB0440 siRNA)に特異的なshRNAを発現するレンチウイルスを用いたヒト骨髄細胞の感染が、TRAP陽性多核化破骨細胞の著しい減少をもたらしたことを示している。これらの結果は、マウスモデル(K節−RNA干渉試験結果)で得られた検証結果と一致しており、従って、配列番号1(配列番号88)に対するヒトオルソログが、ヒト破骨細胞の分化において同様に重要な役割をになっていることを立証している。
【0295】
[O−破骨細胞形成のインヒビターをスクリーンするための配列番号88に対する機能的相補性アッセイ]
対応する内因性マウスタンパク質を欠失しているRAW264.7細胞からのマウス破骨細胞の分化における、配列番号88の機能を試験するための相補性アッセイを開発した。成熟破骨細胞に分化する能力を大きく低下させることを示した配列番号1に対するマウス特異的shRNA(RAW-AB0440si)を含むRAW264.7細胞株に、Ip200-hAB0440と称される配列番号88に対して完全コード配列を含む真核生物発現ベクターをトランスフェクトした。このIp200発現ベクター(配列番号91)は、市販のベクターのpd2-EGFP-N1(Clontech社、Mountain View、CA)から修飾し、NEO-KAN抗生物質カセットを、哺乳動物細胞における選択のためにハイグロマイシン耐性遺伝子に、且つ原核生物における増殖のためにアンピシリン耐性遺伝子で置換した。挿入されたヒト遺伝子配列の発現は、Ip200における強力なCMVプロモーターの制御下にある。およそ2.5×105RAW-0440si細胞/ウェルを6ウェルプレートに接種し、Fugene 6(Roche社、Laval、QC)を用いて1μgのIp200またはIp200-hAB0440のいずれかをトランスフェクトし、安定なトランスフェクション体を50μg/mLのハイグロマイシンの存在下で5日間選択した。2種のRAW264.7-044siの安定な細胞株を選択し、1種は配列番号88(Ip200-hAB0440)を発現し、もう一方の種はベクター(Ip200)のみを含有した。これら2種の細胞株の増殖後、各々4000細胞/ウェルを96プレートに接種し、処理しない、または100ng/mLのRANKリガンドで4日間処理した。当該細胞を固定し、成熟破骨細胞を可視化するためにTRAP発現に対して染色した。
【0296】
図18は、空のIp200ベクターのみをトランスフェクトしたRAW-0440si細胞が、効率良く破骨細胞を形成できなかったことを示している(左パネル)。逆に、Ip200-hAB0440(配列番号88)をトランスフェクトした細胞は、レスキュー(補足)され、従って、RANKリガンド処理に応答して破骨細胞に分化した(右パネル)。これらの結果は、配列番号1に相当するマウス及びヒトの配列に対する機能が保存され、破骨細胞の分化に必須であることを立証する。
【0297】
従って、このタイプの相補性細胞ベースアッセイは、配列番号88の機能に結合し、その機能を阻害し得る化合物をスクリーニングするための基準として役立ち得ることが予想される。化合物のライブラリーを、この「レスキュー」細胞株に適用して、配列番号88の相補性効果を阻害し得る分子(小分子薬剤、ペプチド、または抗体)を同定することができる。その結果、破骨細胞分化におけるいずれかの測定可能な減少は、当該のアッセイにおいて配列番号88の相補性活性を低下させる化合物の指標になると考えられる。このアッセイ形式を、RAW264.7細胞の破骨細胞への分化に必要な任意の遺伝子に適用でき、薬剤スクリーニングに使用できるであろうことがさらに予想される。
【0298】
[P−配列番号1(配列番号88)のヒトオルソログタンパク質は膜結合し、グリコシル化される]
配列番号88は、Tsp50と称される膜結合または分泌プロテアーゼをコードし得ることが文献に考慮されている。配列番号88に対するポリペプチドが実際に膜結合するか、または分泌されるかどうかを判定するために、配列番号88に対する全コード配列を含むプラスミド(pCMX-HA-hAB0440)を構築した。発現ベクターのpCMX-HA(配列番号92)は、HAエピトープ及びcDNA挿入物の発現のために強力なCMVプロモーターを含む。およそ2.5×105Cos-7細胞/ウェルを6ウェルプレートに接種し、Fugene 6(Roche社、Laval、QC)を用いて、1μgのpCMX-HA-hAB0440発現プラスミドを一過性にトランスフェクトする。いくつかのウェル中の細胞は処理しなかった(−)が、他の細胞は2μg/mLのツニカマイシン(T)で24時間、または0.5単位/mLのホスホイノシトールホスホリパーゼC(P)で1時間処理した。ツニカマイシンは、糖タンパク質合成の第一工程でUDP-GlcNAc及びDol-Pの反応を阻害し、それによって全てのN-結合糖タンパク質の合成を阻害する。ホスホイノシトールホスホリパーゼCは、グリコシル−ホスホイノシトール(GPI)結合を特異的に切断し、GPIアンカータンパク質を周囲の培地中に放出する。配列番号88に対する発現したHA融合ポリペプチドを、抗HA抗体(Sigma社、St. Louis、MO)によるウェスタンブロット解析により検出した。pCMX-HA-hAB0440-Cos-7細胞を溶解後、可溶性画分を調製し、SDS-ポリアクリルアミドゲル上で分離し、PVDF膜に転写した。次いで、当該タンパク質ブロットを、抗HA抗体とともに1時間インキュベートし、バンドをRoche社(Laval、QC)製のECLキットを用いて可視化した。同じウェスタンブロットを剥離し、タンパク質サンプルを等しく充填するよう調節するために、抗アクチン抗体と反応させた。
【0299】
図19は、配列番号88に対する完全長ポリペプチドに相当する37KDaの予測されたサイズを有するポリペプチドを示している。興味深いことに、血清飢餓細胞(0%FBS)と比較して、一過性にトランスフェクトされた細胞が、培養培地中、10%FBSの存在下でツニカマイシンで処理された場合のみ、このポリペプチドの発現が観察された(図19、レーンT)。この発見は、N-結合グリコシル化の阻害が、細胞内で配列番号88のポリペプチドの捕捉をもたらすことを示唆し、当該タンパク質がグリコシル化されることを証明している。ホスホイノシトールホスホリパーゼCで処理後、配列番号88のポリペプチドは、当該可溶性画分にもはや検出されず(図19、レーンP)、当該ポリペプチドが、提示されたGPI結合の切断のため、おそらく培地中に放出されたことを示唆された。等しく充填するための調節として、膜を剥離し、ハウスキーピングタンパク質のα-アクチンに対する抗体と反応させ、配列番号88のポリペプチドの発現において観察された差が、当該ゲルの不等量の充填の結果ではないことを示した(図19、α-アクチンパネル)。
【0300】
[Q−モノクローナル抗Tsp50(配列番号1)抗体を用いたRAW264.7の破骨細胞への分化の阻害]
配列番号88(配列番号153に示された)に対するポリペプチドは、破骨細胞の分化にとって必須であり(例Nを参照)、当該ペプチドは細胞表面に局在化している(例Pを参照)ことを示す当該結果を考慮すると、このタンパク質は、骨粗しょう症の症状を治療するための抗体療法ストラテジーの開発にとって良好な候補物となる。マウスTsp50に対するモノクローナル抗体(R&D Systems社、Minneapolis、MN)を購入し、配列番号1(配列番号93に示された)に対するポリペプチドに対する特異的抗体が、RAW 264.7モデルにおいて破骨細胞の分化を阻害するか否かを試験するために使用した。およそ4000個のRAW264.7細胞/ウェルを96ウェルプレートに接種し、Tsp50に対するマウスモノクローナル抗体またはコントロール抗HA抗体(Sigma社、St. Louis、MO)のいずれかの増加濃度存在下で100ng/mLのRANKリガンドで処理した。3日後、当該細胞を固定し、TRAP発現に対して染色し、多核化細胞をカウントした。
【0301】
図20Aは、抗Tsp50抗体(抗AB0440)の濃度増加により、最大阻害が50μg/mLで見られ、多核化破骨細胞数の用量依存的減少をもたらすことを示すヒストグラムである。一方、等濃度の抗HA抗体によるRAW264.7細胞の処理は、統計的に有意な効果をもたらさなかった。図20Aは、三重で実施された実験のうちの2つの実験の平均値を表している。抗AB0440による処理は、RAW264.7細胞死を起こさなかったが、むしろ、TRAP染色後に見られる成熟破骨細胞の損失により測定された分化の阻害をもたらし、前駆体細胞数の有意な減少は生じなかった(図20B)。これらの結果は、抗AB0440により例示されるように分化に必要な破骨細胞特異的な細胞表面または分泌タンパク質を特異的に標的とする抗体が、破骨細胞数を減少させ、その結果、骨吸収活性を減少させることによって骨粗しょう症を治療するための治療薬として役立つ可能性を有することを示している。配列番号88に対するポリペプチドに対して開発された組換え及び/またはモノクローナル抗体は、この例におけるマウスモデルに見られる抗AB0440と同様に機能し得ることが考慮される。
【0302】
[R−モデルとして配列番号2を用いて破骨細胞の活性のインヒビターを選別するための機能的相互作用アッセイの開発]
配列番号2(AB0179)は、いくつかのサブユニットを含む大きなタンパク質複合体である破骨細胞特異的液胞(v)-ATPaseに属する。v-ATPaseのaサブユニットは、V0ドメインを構成する4種のイソ体(a1-a4)を含む。細胞膜を通って、成熟破骨細胞の波状膜と骨表面との間に作られるポケットへのプロトンの分泌に必要なエネルギーを提供するために、このドメインはATPの加水分解にとって重要である。破骨細胞において、a3サブユニットは、ATPase複合体の構造完全性にとって重要であるdサブユニットと相互作用する(Nishi and Forgac, 2002)。ヒトでは2種のサブユニットであるd1及びd2があり、後者はもっぱら破骨細胞に見られ、ポリヌクレオチドの配列番号89(配列番号154をコードする)に対応する配列番号2のヒトオルソログによりコードされる。配列番号2に対するsiRNAの存在下で、成熟破骨細胞の骨吸収活性が著しく低下した、RAW264.7モデルを用いた検証試験により、破骨細胞の機能におけるd2の重要性は明確に立証された(K節−RNA干渉試験の結果)。さらに、a3イソ体は、一般に破骨細胞及び骨中のv-ATPaseのaサブユニットの主要形態であることが十分に文書化されている(Smith et al., 2005)。従って、破骨細胞中のv-ATPaseの機能を阻害し得る分子を同定するために、d2サブユニットとa3サブユニットとの間の特異的相互作用を利用する。
【0303】
ヒト破骨細胞及び前駆体細胞(HOP)におけるdイソ体の発現は、ノーザンブロット解析により測定された。およそ1.5×104前駆体細胞/ウェルを96ウェルプレートに接種し、一部を、33μg/mLのM-CSF及び100ng/mLのRANKリガンドで7日間処理して破骨細胞を形成させた。総RNAを、Trizol(登録商標)(Invitrogen社、Burlington、ON)を用いて前駆体及び破骨細胞から調製し、10μg/レーンを1%アガロース/TAEゲル中で電気泳動した。当該RNAを、ナイロン膜に電気転写させ、前記d2(配列番号89)及びd1サブユニット、破骨細胞特異的遺伝子のカテプシンK、及びハウスキーピング遺伝子のβ-アクチンに特異的な[32P]dCTP標識プローブを連続的にハイブリダイズさせた。洗浄した膜を必要な時間フィルムに露光し、対応するmRNAバンドを検出した。
【0304】
図21Aは、配列番号89(d2)が、前駆体(パネル1;レーン-)と比較して、RANKリガンドに応答して上方制御されたことを示している(パネル1;レーンRL)。v-ATPaseのd1に特異的なプローブに関して、反対の発現パターンが観察され、このdイソ体が前駆体(パネル2;レーン−)と比較して、破骨細胞において下方制御されたことを示した(パネル2;レーンRL)。予想されるように、破骨細胞特異的遺伝子のカテプシンKは、RANKリガンドに応答して非常に上方制御され、前駆体には存在しなかった(パネル3)。RNAサンプルが等しく充填されたことは、ハウスキーピング遺伝子のβ-アクチンの非差異的な発現パターンにより明白であった(パネル4)。a3は破骨細胞のv-ATPaseのaサブユニットに顕著に見られるため、これらの結果は、d2サブユニットがヒト破骨細胞のv-ATPaseにおけるa3サブユニットと複合を形成する可能性が高いことを示唆している。従って、この相互作用の特異的インヒビターの単離により、破骨細胞特異的v-ATPase活性、それによる骨吸収が優先的に低下するであろう。
【0305】
d2とa3間の相互作用を実験的に立証するために、配列番号89(d2)(配列番号154)に対応するコード配列を、原核生物の発現ベクターであるpGEX-2T(Pharmacia社、GE Healthcare社)中にクローン化し、大腸菌においてGST融合タンパク質として発現させ、グルタチオンビーズにより精製した。平行して、マウスv-ATPase-a3(アミノ酸1-385)及びv-ATPase-a4(アミノ酸1-388)のcDNAフラグメントを、真核生物の発現ベクターであるpCMX-Flagにクローン化して、哺乳動物細胞においてFlag-タグ付a3サブユニットまたはa4サブユニットを発現させる。pCMX-Flag/v-ATPase-a3及びpCMX-Flag/v-ATPase-a4の組換えプラスミドを293FT細胞にトランスフェクトし、細胞ライセートを作製し、v-ATPase-a3及びv-ATPase-a4のFlag-タグ付ポリペプチドが抗Flag抗体で容易に検出された(図21B、II、上部パネル)。
【0306】
d2(配列番号89)及びa3またはa4間の相互作用を測定するために、Flagタグ付a3またはa4のいずれかを含む等量の293FTライセートを、精製GSTまたはGST-d2とともに緩やかに攪拌しながら、4℃で90分間インキュベートした。洗浄後、タンパク質混合物を、SDS-PAGE上で分離し、PVDF膜に転写した。次いで、当該膜を抗Flag抗体(Sigma社、St. Louis、MO)とともにインキュベートし、バンドをRoche社(Laval、QC)製のECLキットを用いて可視化した。GST反応物と比較して、GST-d2反応物においてa3断片だけが明らかに検出でき、d2とa4との間(図21B、I-a4、上部パネル)ではなく、d2とa3との間の特異的相互作用を示した(図21B、I-a3、上部パネル)。次いで、当該膜を抗GST抗体により再プローブし、等量のGST融合タンパク質が各反応に使用されたことが示された(図21B、I、下部パネル)。さらに、抗Flag抗体の使用により、等量のa3及びa4が、結合反応に存在したことが示され(図21B、II、上部パネル)、同じ膜を抗アクチン抗体により再プローブし、等量の対応する細胞ライセートが使用されたことが示された(図21B、II、下部パネル)。従って、d2とa3との間に見られたこの特異的相互作用は、この相互作用を阻害し得る化合物を同定するために化合物ライブラリー(小分子薬剤、ペプチド、または抗体)を識別するスクリーニングアッセイを開発するための基礎を形成する。このようなスクリーニングアッセイは、感受性が高く、マルチウェルプレート内でのハイスループットスクリーニングのために容易にスケールアップできるFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)法または任意の同様な方法として開発できる。これらの化合物は、破骨細胞特異的v-ATPaseの機能を阻害することによって、破骨細胞の骨吸収活性を調節するための治療剤として有用であり得る。
【0307】
他の組織、特に我々及び他者(Nishi et al., 2003;Smith et al., 2005)により示されるようなd2遺伝子が低レベルで発現する腎臓(Nishi and Forgac, 2002)に存在するv-ATPaseは、a3サブユニットを含まず、a4サブユニットを含むと思われる(Stehberger et al., 2003;Smith et al., 2000)。従って、d2とa3との間の相互作用のインヒビターは、ヒト破骨細胞において優先的に有効であり、他の組織におけるv-ATPaseを妨害しないと考えられる。
【0308】
全ての哺乳動物に対するオルソログを、当該技術分野において十分に確立された技術を用いることによって同定、及び検証できること、並びに本開示が決してある哺乳動物に限定されていないことを、当業者は容易に認識するであろう。本開示の目的で、用語の「哺乳動物」とは、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギ等の家畜及び畜産動物、動物園の動物、スポーツ用動物またはペット動物を含む哺乳類として分類される任意の動物を称し、好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0309】
前記で検討された実験の配列は、請求されているNSEQの代表的なものであり、決して本発明の範囲を限定するものではない。破骨細胞形成及び破骨細胞機能におけるNSEQの役割の開示は、当該技術分野において骨再構築過程をより十分に理解する必要性を満たし、骨再構築及び関連障害用の療法の診断、予後、治療、予防及び評価に有用である新規の組成物を提供するものである。
【0310】
遺伝子操作の技術、分子生物学的及び薬剤標的の開発は、この20年間でかなり進展した。遺伝子配列及び対応するタンパク質配列に対して新たに同定された機能により、遺伝子配列が関係している障害または疾患状態の研究手段、診断手段、療法、及び治療の開発のために、それらの配列、バリアント、及び誘導体の現実社会の適用における直接的または間接的な使用が可能になることが当業者にとって容易に明らかになるであろう。
【0311】
本発明をその好ましい実施態様によって前記に記載したが、本発明は添付の請求項に定義される本発明の精神及び性質から逸脱することなく修飾され得る。
【0312】
表1:破骨細胞に見られ、特異的siRNAによる阻害後の破骨細胞形成への影響を有することが示された差異的に発現する配列
【表2】

【0313】
表2:骨再構築において推定上の役割を有する破骨細胞に見られる差異的に発現する配列
【表3】




【0314】
表3:マウス及びヒト破骨細胞RNAサンプルと全く異なる、単離されたいくつかの配列IDに対するmRNAスプライスバリアントの一覧
【表4】

【0315】
表4:いくつかのヒトオルソログの一覧
【表5】

【0316】
表5:プラスミド及びsiRNAオリゴヌクレオチドのさらなる配列識別番号の一覧
【表6】

【0317】
(配列表の説明)
配列番号1−7、及び57は、破骨細胞に存在し、特異的siRNAによる阻害後、破骨細胞形成に影響を及ぼすことが立証された差異的に発現する配列を示す。配列番号8−56は、骨再構築において役割を有することが推定される破骨細胞に存在する差異的に発現する配列を示す。配列番号58−82は、本明細書で実施された実験に用いられたプラスミド、オリゴヌクレオチドプライマー、及びsiRNAのヌクレオチド配列を示す。
【0318】
配列番号83−87は、同定された破骨細胞特異的配列のいくつかに対して、破骨細胞から調製したRNAから単離したスプライスバリアントのmRNA配列を示す。従って、配列番号83−87は、例えば、特有のスプライスバリアントが存在することを示し、試験下及び他のモデル系に対して他のものも存在することを強く示唆している。より具体的には、配列番号83は配列番号1のバリアントであり、配列番号84は配列番号2に対して対応するマウスバリアント#1のヒト配列であり、配列番号85は配列番号2に対して対応するマウスバリアント#2のヒト配列であり、配列番号86は配列番号3のバリアントであり、配列番号87は配列番号3のバリアントである。
【0319】
配列番号88及び89は、それぞれ配列番号1及び2のヒトオルソログのmRNA配列を示す。
【0320】
配列番号64−82及び90は、本明細書に記載の選択されたポリヌクレオチドの配列の一部分に相補的である断片を示す。
【0321】
配列番号93−155は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを示す。
【0322】
(参考文献)




【図面の簡単な説明】
【0323】
【図1】STARを用いたRNAサブトラクションを示すMMP-9、TRAP、及びGAPDHに特異的なプローブによる「STAR」サブトラクションライブラリーのサザンブロットハイブリダイゼーション分析の画像である。
【図2】SL22サブトラクションライブラリーから単離し、且つ配列決定したクローンのパイチャートの注釈を示す図である。
【図3】生物学的検証のために選択された差異的に発現する配列の破骨細胞特異性の代表的なマクロアレイ結果を示す画像である。
【図4A】配列番号1に特異的なsiRNA存在下での破骨細胞分化に及ぼす表現型効果を示す画像である。
【図4B】配列番号1に特異的なsiRNA混合物存在下での破骨細胞分化に及ぼす表現型効果を示す画像である。
【図5】破骨細胞特異的マーカー遺伝子のTRAP及びCTSKと比較して、特異的siRNA存在下でのRAW細胞における配列番号1遺伝子発現の低下を示すノーザンブロット画像である。
【図6】配列番号2に特異的なsiRNA存在下での破骨細胞分化に及ぼす表現型効果を示す画像である。パネルa:コントロールRAW-hU6細胞、パネルb:RANKリガンドで処理したRAW-hU6、パネルc:RANKリガンド及び配列番号2に特異的なsiRNA(RAW-0179.1)で処理したRAW-hU6、パネルd:RANKリガンド及び配列番号2に特異的なsiRNA(RAW-0179.2)で処理したRAW-hU6、並びにパネルe:RANKリガンド及び配列番号2に特異的なsiRNA(RAW-0179.3)で処理したRAW-hU6。
【図7】特異的siRNA存在下でのRAW細胞における配列番号2遺伝子発現の低下を示すノーザンブロット画像である。破骨細胞特異的マーカー遺伝子のTRAP及びカテプシンKに及ぼす効果も示される。
【図8】配列番号3に特異的なsiRNA存在下での破骨細胞分化に及ぼす表現型効果を示す画像である。パネルa:コントロールRAW-hU6細胞、パネルb:RANKリガンドで処理したRAW-hU6、パネルc:RANKリガンド及び配列番号3に特異的なsiRNA(RAW-0799.1)で処理したRAW-hU6、パネルd:RANKリガンド及び配列番号3に特異的なsiRNA(RAW-0799.2)で処理したRAW-hU6、並びにパネルe:RANKリガンド及び配列番号3に特異的なsiRNA(RAW-0799.3)で処理したRAW-hU6。
【図9】配列番号4に特異的なsiRNA存在下での破骨細胞分化に及ぼす表現型効果を示す画像である。パネルa:コントロールRAW-hU6細胞、パネルb:RANKリガンドで処理したRAW-hU6、並びにパネルc:RANKリガンド及び配列番号4に特異的なsiRNA(RAW-0351.1)で処理したRAW-hU6。
【図10】配列番号5に特異的なsiRNA存在下での破骨細胞分化に及ぼす表現型効果を示す画像である。パネルa:コントロールRAW-hU6細胞、パネルb:RANKリガンドで処理したRAW-hU6、並びにパネルc:RANKリガンド及び配列番号5に特異的なsiRNA(RAW-01035.1)で処理したRAW-hU6。
【図11A】配列番号6に特異的なsiRNA存在下での破骨細胞分化に及ぼす表現型効果を示す画像である。パネルa:コントロールRAW-hU6細胞、パネルb:RANKリガンドで処理したRAW-hU6、パネルc:配列番号6に特異的なsiRNA(RAW-1200.混合体)で処理したRAW-hU6、並びにパネルd:RANKリガンド及び配列番号6に特異的なsiRNA(RAW-1200.混合体)で処理したRAW-hU6。
【図11B】RANKリガンドの存在下または非存在下、及び配列番号6に特異的なsiRNA(RAW-1200.混合体)の存在下または非存在下において観察されたRAW-hU6の破骨細胞分化に及ぼす表現型効果の時間的経過を示す画像である。
【図12】RANKリガンドの存在下または非存在下で配列番号6に特異的なsiRNAを発現するRAW細胞において、破骨細胞特異的マーカー遺伝子のTRAP及びカテプシンKの刺激を示す画像である。
【図13】配列番号8に特異的なsiRNAの存在下での破骨細胞分化に及ぼす表現型効果を示す画像である。パネルa:コントロールRAW-hU6細胞、パネルb:RANKリガンドで処理したRAW-hU6、並びにパネルc:RANKリガンド及び配列番号8に特異的なsiRNA(RAW-0682.1)で処理したRAW-hU6。
【図14A】配列番号1に特異的なsiRNAを発現する破骨細胞の吸収活性の低下を示す画像である。パネルa:コントロールRAW-hU6細胞、パネルb:RANKリガンドで処理したRAW-hU6、パネルc:RANKリガンド及び配列番号1に特異的なsiRNA(RAW-0440.1)で処理したRAW-hU6、パネルd:RANKリガンド及び配列番号1に特異的なsiRNA(RAW-0440.2)で処理したRAW-hU6、並びにパネルe:RANKリガンド及び配列番号1に特異的なsiRNA(RAW-0440.3)で処理したRAW-hU6。
【図14B】定量的様式で図14Aの結果を示すヒストグラムである。
【図15A】配列番号2に特異的なsiRNAを発現する破骨細胞の吸収活性の低下を示す画像である。パネルa:コントロールRAW-hU6細胞、パネルb:RANKリガンドで処理したRAW-hU6、パネルc:RANKリガンド及び配列番号2に特異的なsiRNA(RAW-0179.1)で処理したRAW-hU6、パネルd:RANKリガンド及び配列番号2に特異的なsiRNA(RAW-0179.2)で処理したRAW-hU6、並びにパネルe:RANKリガンド及び配列番号2に特異的なsiRNA(RAW-0179.3)で処理したRAW-hU6。
【図15B】定量的様式で図15Aの結果を示すヒストグラムである。
【図16A】種々のヒト組織及びヒト破骨細胞サンプルにおける、いくつかのヒトオルソログの差異的発現に関するマクロアレイハイブリダイゼーション結果の代表的実施態様を表す画像である。
【図16B】ヒト前駆体及び破骨細胞サンプルにおけるRT-PCR増幅させた配列番号1のアガロースゲル画像である。
【図17】配列番号1に対するヒトオルソログ(配列番号88)に特異的なsiRNAの存在下での破骨細胞分化に及ぼす表現型効果を示す画像である。右パネル:コントロールsiRNA、左パネル:AB0440 siRNA。
【図18】破骨細胞形成のインヒビターをスクリーンするための配列番号88に対する機能的相補性アッセイの有効性を示す画像である。
【図19】ツニカマイシンまたはホスホイノシトールホスホリパーゼCで処理したまたは処理しない配列番号88融合タンパク質を発現する細胞から得られた細胞ライセートのウェスタンブロット画像である。
【図20A】モノクローナル抗Tsp50(配列番号1)抗体を用いることによって、RAW264.7の破骨細胞への分化阻害を定量化しているヒストグラムである。
【図20B】モノクローナル抗Tsp50(配列番号1)抗体を用いることによって、RAW264.7の破骨細胞への分化の表現型阻害を表す画像である。
【図21A】d1イソ型と比較して、配列番号89(d2)発現が破骨細胞において上方制御されていることを示すノーザンブロット画像である。
【図21B】a4サブユニットではなく、d2のV-ATPase a3サブユニットとの相互作用を示すプルダウンアッセイのウェスタンブロット画像である。
【図22】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図23】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図24】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図25】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図26】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図27】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図28】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図29】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図30】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図31】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図32】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図33】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図34】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図35】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図36】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図37】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図38】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図39】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図40】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図41】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図42】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図43】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図44】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図45】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図46】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図47】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図48】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図49】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図50】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図51】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図52】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図53】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図54】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図55】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図56】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図57】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図58】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図59】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図60】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図61】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図62】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図63】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図64】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図65】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図66】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図67】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図68】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図69】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図70】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図71】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図72】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図73】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図74】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図75】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図76】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図77】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図78】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図79】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図80】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図81】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図82】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図83】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図84】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図85】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図86】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。
【図87】本発明の代表的方法を用いて同定されたいくつかのポリヌクレオチド及びポリペプチドを表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未分化破骨前駆体細胞と比較して分化破骨細胞において差異的に発現する単離ポリヌクレオチドであって、:
a)配列番号1−56、配列番号83、配列番号86、または配列番号87のいずれか1つを含むポリヌクレオチド;
b)配列番号1−56、配列番号83、配列番号86、または配列番号87のいずれか1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド;
c)a)またはb)と実質的に同一である配列を含むポリヌクレオチド;
d)a)またはb)と実質的に相補的である配列を含むポリヌクレオチド;及び
e)a)からd)のいずれか1つの断片;
からなる群から選択される1種を含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記実質的に同一であるポリヌクレオチドが配列番号84、配列番号85、配列番号88、配列番号89、及び配列番号84、配列番号85、配列番号88、または配列番号89のいずれか1つのオープンリーディングフレームからなる群から選択される、請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記断片が、配列番号1−56または配列番号83−89のいずれか1つの核酸配列と実質的に相補的である少なくとも10核酸の配列を含む、請求項1または2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記断片が配列番号64−80または90のいずれか1つからなる群から選択される、請求項3に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
破骨細胞の分化に関与する単離ポリヌクレオチドであって、:
a)配列番号1−56または83−89のいずれか1つを含むポリヌクレオチド;
b)配列番号1−56または83−89のいずれか1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド;及び
c)a)またはb)と実質的に同一であるポリヌクレオチド;
からなる群から選択される単離ポリヌクレオチド。
【請求項6】
破骨細胞の分化を促進し得る単離ポリヌクレオチドであって、:
a)配列番号1−5、8−56、または83−89のいずれか1つ;
b)配列番号1−5、8−56、または83−89のいずれか1つのオープンリーディングフレーム;及び
c)配列番号6または配列番号7のいずれか1つの核酸配列と相補的である少なくとも10核酸の配列;
を含むポリヌクレオチドからなる群から選択される単離ポリヌクレオチド。
【請求項7】
破骨細胞の分化を阻害し得る単離ポリヌクレオチドであって、前記配列が:
a)配列番号6または配列番号7のいずれか1つ;
b)配列番号6または配列番号7のいずれか1つのオープンリーディングフレーム;及び
c)配列番号1−5、8−57、または83−89のいずれか1つの核酸配列と相補的である少なくとも10核酸の配列;
を含むポリヌクレオチドからなる群から選択される単離ポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列が配列番号64−82及び90からなる群から選択される、請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド配列。
【請求項9】
前記破骨細胞の分化を誘導する、請求項6または7のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド配列。
【請求項10】
前記ポリヌクレオチドがRNA分子である、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記ポリヌクレオチドがDNA分子である、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項12】
請求項10または11のいずれか一項に記載のDNAまたはRNA分子を含むベクター。
【請求項13】
前記ベクターが発現ベクターである、請求項12に記載のベクター。
【請求項14】
未分化破骨前駆体細胞と比較して分化破骨細胞において差異的に発現するポリヌクレオチド配列のライブラリーであって、:
a)配列番号1−57及び83−89のいずれか1つを含むポリヌクレオチド;
b)配列番号1−57及び83−89のいずれか1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド;
c)a)またはb)と実質的に同一である配列を含むポリヌクレオチド;
d)a)またはb)と実質的に相補的である配列を含むポリヌクレオチド;及び
e)a)からd)のいずれか1つの断片;
からなる群から選択される少なくとも1種を含むライブラリー。
【請求項15】
請求項14に記載の、ポリヌクレオチドのライブラリーを含み、前記ポリヌクレオチドのそれぞれが発現ベクター内に含まれる発現ライブラリー。
【請求項16】
請求項14に記載の、ポリヌクレオチド配列のライブラリーを含むアレイ。
【請求項17】
骨吸収を阻害するための医薬組成物であって、:
a)請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド;及び
b)製薬上許容し得る担体;
を含む医薬組成物。
【請求項18】
それを必要とする哺乳動物における骨吸収を阻害するための方法であって、前記方法は請求項7に記載の単離ポリヌクレオチドまたは請求項17に記載の医薬組成物を前記哺乳動物に投与する工程を含む方法。
【請求項19】
前記哺乳動物が、骨粗しょう症、骨減少症、骨軟化症、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、甲状腺中毒症、全身性肥満細胞症、成人型低ホスファターゼ症、副腎皮質機能亢進症、骨形成不全症、パジェット病、クッシング病/症候群、チューマー症候群、ゴーシェ病、エーラース-ダンロス症候群、マルファン症候群、メンケス症候群、ファンコニー症候群、多発性骨髄腫、高カルシウム血症、低カルシウム血症、関節炎症、歯周病、くる病、線維形成不全症骨、ピクノディスオストーシス等の骨硬化症障害、及びマクロファージ媒介性炎症プロセスによって引き起こされる障害からなる群から選択される状態に罹患している、請求項18記載の方法。
【請求項20】
骨吸収疾患の治療のための医薬品を調製するための、請求項7に記載の単離ポリヌクレオチドの使用。
【請求項21】
それを必要とする哺乳動物における破骨細胞の分化を促進するための医薬組成物であって、:
a)請求項6に記載の単離ポリヌクレオチド;及び
b)製薬上許容し得る担体;
を含む医薬組成物。
【請求項22】
それを必要とする哺乳動物における破骨細胞の分化を促進するための方法であって、請求項6に記載の単離ポリヌクレオチドまたは請求項21に記載の医薬組成物を前記哺乳動物に投与する工程を含む方法。
【請求項23】
不十分な骨吸収に関連する疾患の治療のための医薬品を調製するための、請求項6に記載の単離ポリヌクレオチドの使用。
【請求項24】
骨再構築に関連する状態を診断する際の、:
a)配列番号1−57及び83−89のいずれか1つを含むポリヌクレオチド;
b)配列番号1−57及び83−89のいずれか1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド;
c)a)またはb)と実質的に同一である配列を含むポリヌクレオチド;
d)a)またはb)と実質的に相補的である配列を含むポリヌクレオチド;
e)a)からd)のいずれか1つの断片;及び
f)a)からd)のいずれか1つを含むライブラリー;
からなる群から選択される少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用。
【請求項25】
骨再構築に関連する状態を診断するためのキットであって、配列番号1−57または83−89のいずれか1つと実質的に相補的である少なくとも1つの配列、配列番号1−57または83−89のいずれか1つのオープンリーディングフレーム、及びその断片を含むキット。
【請求項26】
破骨細胞の分化を促進し得る単離ポリペプチド配列であって、前記ポリペプチドが:
a)配列番号93−97または101−105のいずれか1つ;
b)a)のいずれか1つの生物学的な活性がある断片;
c)a)のいずれか1つの生物学的な活性がある類似体;
からなる群から選択される配列を含む、単離ポリペプチド配列。
【請求項27】
前記生物学的な活性がある類似体が、前記配列中に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、請求項26に記載の単離ポリペプチド。
【請求項28】
破骨細胞の分化を促進するための医薬組成物であって、請求項26または27のいずれか一項に記載のポリペプチド及び製薬上許容し得る担体を含む医薬組成物。
【請求項29】
それを必要とする哺乳動物における破骨細胞の分化を促進するための方法であって、請求項26または27に記載の単離ポリペプチドまたは請求項28に記載の医薬組成物を前記哺乳動物に投与する工程を含む方法。
【請求項30】
不十分な骨吸収に関連する疾患の治療のための医薬品を調製するための、請求項26または27に記載の単離ポリペプチドの使用。
【請求項31】
破骨細胞の分化を阻害し得る単離ポリペプチド配列であって、前記ポリペプチドが:
a)配列番号98及び配列番号99のいずれか1つの配列;
b)a)のいずれか1つの生物学的な活性がある断片;
c)a)のいずれか1つの生物学的な活性がある類似体;
からなる群から選択される配列を含む、単離ポリペプチド配列。
【請求項32】
前記生物学的な活性がある類似体が、前記配列中に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、請求項31に記載の単離ポリペプチド。
【請求項33】
請求項31または32に記載の単離ポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項34】
それを必要とする個体における骨吸収を改善するための方法であって、請求項31または32に記載の単離ポリペプチドまたは請求項33に記載の医薬組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項35】
それを必要とする個体における骨吸収を改善するための方法であって、配列番号93−97及び101−155からなる群から選択されるポリペプチドの活性または発現を阻害し得る化合物を投与する工程を含む方法。
【請求項36】
前記哺乳動物が、骨粗しょう症、骨減少症、骨軟化症、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、甲状腺中毒症、全身性肥満細胞症、成人型低ホスファターゼ症、副腎皮質機能亢進症、骨形成不全症、パジェット病、クッシング病/症候群、チューマー症候群、ゴーシェ病、エーラース-ダンロス症候群、マルファン症候群、メンケス症候群、ファンコニー症候群、多発性骨髄腫、高カルシウム血症、低カルシウム血症、関節炎症、歯周病、くる病、線維形成不全症骨、ピクノディスオストーシス等の骨硬化症障害、及びマクロファージ媒介性炎症プロセスによって引き起こされる障害からなる群から選択される状態に罹患している、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
それを必要とする個体における骨吸収疾患の治療のための医薬品を調製する際の、請求項31または32に記載のポリペプチドの使用。
【請求項38】
それを必要とする個体における骨吸収疾患の治療のための医薬品を調製するための、配列番号93−97及び101−155からなる群から選択されるポリペプチドの活性または発現を阻害し得る化合物の使用。
【請求項39】
配列番号93−97及び101−155からなる群から選択されるポリペプチドのいずれかと結合し得る、抗体及びその抗原結合断片。
【請求項40】
前記抗体が破骨細胞の分化を阻害し得る、請求項39に記載の抗体。
【請求項41】
a)請求項40に記載の抗体;及び
b)製薬上許容し得る担体;
を含む医薬組成物。
【請求項42】
破骨細胞の分化を阻害する方法であって、それを必要とする哺乳動物に請求項40に記載の抗体または請求項41に記載の医薬組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項43】
それを必要とする個体における骨吸収疾患の治療のための医薬品を調製するための、請求項40に記載の抗体の使用。
【請求項44】
配列番号93−155からなる群から選択されるポリペプチド、その類似体または断片、あるいは(a)配列番号1−56及び83−89、(b)配列番号1−56及び83−89のオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド、並びに(c)(a)または(b)のいずれか1つと実質的に同一である配列からなる群から選択される核酸、あるいはそれらの免疫学的な活性があるポリペプチドをコードし得る(a)、(b)、または(c)のいずれか1つの断片を含む免疫性組成物。
【請求項45】
それを必要とする個体における骨吸収障害または疾患に関連する状態の診断方法であって、前記個体由来のサンプル中の(a)配列番号1−56及び83−89、(b)配列番号1−56及び83−89のオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド、及び(c)(a)または(b)のいずれか1つと実質的に同一である配列からなる群から選択される核酸配列、あるいは93−155からなる群から選択されるポリペプチド配列を、標準または正常値と比較して定量化する工程を含む方法。
【請求項46】
配列番号93−97及び100−155からなる群から選択されるポリペプチドの機能または発現を害し得る阻害化合物を同定するための方法であって、前記ポリペプチドまたは前記ポリペプチドを発現する細胞を候補化合物と接触させる工程、及び前記ポリペプチドの機能または発現を測定する工程を含み、前記ポリペプチドの機能または活性の低下によって適切な阻害化合物を明確に同定する方法。
【請求項47】
前記害された機能または活性が、破骨細胞の分化を促進する前記ポリペプチドの能力の低下と関連する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記破骨細胞の分化を誘導する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞が前記ポリペプチドを本来発現せず、あるいは本来発現されるポリペプチド類似体の発現が抑制される、請求項46または47に記載の方法。
【請求項50】
前記ポリペプチドが配列番号153であり、配列番号93の発現が抑制され、且つ前記細胞がマウス破骨細胞である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記害された機能または活性が、既知のパートナーと相互作用する前記ポリペプチドの能力の低下と関連する、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記ポリペプチドが配列番号154であり、且つ前記化合物が前記ポリペプチドとv-ATPase-a3サブユニットの相互作用を害し得る、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
配列番号98及び配列番号99からなる群から選択されるポリペプチドの機能または発現を害し得る阻害化合物を同定するための方法であって、前記ポリペプチドまたは前記ポリペプチドを発現する細胞を候補化合物と接触させる工程、及び前記ポリペプチドの機能または発現を測定する工程を含み、前記ポリペプチドの機能または活性の低下によって適切な阻害化合物を明確に同定する方法。
【請求項54】
前記害された機能または活性が、破骨細胞の分化を阻害する前記ポリペプチドの能力の低下と関連する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記細胞が前記ポリペプチドを本来発現せず、あるいは本来発現されるポリペプチド類似体の発現が抑制される、請求項53または54に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【公表番号】特表2008−522632(P2008−522632A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545800(P2007−545800)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001917
【国際公開番号】WO2006/063462
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507196491)アレシア・バイオセラピューティクス・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】