説明

骨及び軟骨形成タンパク質を含有する医薬品及び医療器具

【課題】生体内で強い炎症などの副作用を引き起こさず、骨芽細胞が存在するところでのみ作動し、軟骨形成を伴い自然治癒と同じ経過で骨形成を速やかに誘導する医薬の提供。
【解決手段】本発明は、炎症を起こさずに骨を処置するための、NELL1を含む骨治療剤を提供することによって上記課題を解決した。本発明は、病巣掻爬もしくは切除後の骨欠損補填、骨折の治癒遷延、偽関節、仮骨延長術、人工関節置換術、脊椎固定術、軟骨移植、顎裂骨移植、外傷による骨欠損部補填、開頭術後骨欠損補填、歯槽提形成術、上顎洞底挙上術、歯槽骨再生、人工歯根周囲の顎骨再生等において用いられる。


Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症を起こさずに骨を処置するための、NELL1を含む骨治療剤。
【請求項2】
前記骨は、治癒するのに軟骨内骨化の誘導を必要とするものである、請求項1に記載の骨治療剤。
【請求項3】
前記骨は、治癒するのに軟骨内骨化の誘導を必要とする疾患、障害または状態を有する、請求項1に記載の骨治療剤。
【請求項4】
病巣掻爬もしくは切除後の骨欠損補填、骨折の治癒遷延、偽関節、仮骨延長術、人工関節置換術、脊椎固定術、軟骨移植、顎裂骨移植、外傷による骨欠損部補填、開頭術後骨欠損補填、歯槽提形成術、上顎洞底挙上術、歯槽骨再生または人工歯根周囲の顎骨再生において使用するための、請求項1に記載の骨治療剤。
【請求項5】
前記骨は、頭頂骨、側頭骨、蝶形骨、上顎骨、下顎骨、上腕骨、りょう骨、尺骨、手骨、鎖骨、胸骨、肋骨、寛骨、仙骨、尾骨、髄、大腿骨、膝蓋骨、腓骨、脛骨および足骨からなる群より選択される、請求項1に記載の骨治療剤。
【請求項6】
前記NELL1が、ヒトNELL1(配列番号2)の残基17〜810、マウスNELL1(配列番号4)の残基22〜810、ラットNELL1(配列番号6)の残基22〜810およびツメガエルNELL1(配列番号13)の成熟配列からなる群より選択されるアミノ酸配列またはその改変体を含む、請求項1に記載の骨治療剤。
【請求項7】
前記NELL1が、ヒトNELL1(配列番号2)の残基17〜810、マウスNELL1(配列番号4)の残基22〜810、ラットNELL1(配列番号6)の残基22〜810およびツメガエルNELL1(配列番号13)の成熟配列からなる群より選択されるアミノ酸配列またはその改変体と、C末端にタグ(配列番号9)とを含むポリペプチドである、請求項1に記載の骨治療剤。
【請求項8】
前記NELL1が、ヒトNELL1(配列番号2)の残基17〜810と、C末端にタグとを含むポリペプチドである、請求項1に記載の骨治療剤。
【請求項9】
NELL1と薬学的に許容可能なキャリアとを含む、炎症を起こさずに骨を処置するための骨治療器具。
【請求項10】
前記キャリアが、コラーゲンスポンジ、コラーゲンゲル、コラーゲン硬化物、アテロコラーゲン、ハイドロキシアパタイト、β−リン酸三カルシウム、オクタカルシウムホスフェイト、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、チタンメッシュ、タンパク添加性チタン合金、合成スキャホールドペプチド、キチン、キチン化合物、およびポリ乳酸−ポリエチレングリコールからなる群より選択される、請求項9に記載の骨治療器具。
【請求項11】
炎症を起こさずに骨を処置するための方法であって、骨処置を必要とする被験体にNELL1を投与する工程を包含する、方法。
【請求項12】
前記投与は、前記処置を必要とする部位にNELL1を含む骨治療剤を移植することによって達成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記処置を必要とする部位は、頭頂骨、側頭骨、蝶形骨、上顎骨、下顎骨、上腕骨、骨、尺骨、手骨、鎖骨、胸骨、肋骨、寛骨、仙骨、尾骨、髄、大腿骨、膝蓋骨、腓骨、脛骨および足骨からなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記NELL1は、薬学的に許容可能なキャリアとともに投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記キャリアは、コラーゲンスポンジ、コラーゲンゲル、コラーゲン硬化物、アテロコラーゲン、ハイドロキシアパタイト、β−リン酸三カルシウム、オクタカルシウムホスフェイト、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、チタンメッシュ、タンパク添加性チタン合金、合成スキャホールドペプチド、キチン、キチン化合物、およびポリ乳酸−ポリエチレングリコールからなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記NELL1は、骨欠損体積1平方ミリメートルあたり、0.001μg〜300μg(1.6μg〜50g/kg体重)以下で前記被験体に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記骨は、治癒するのに軟骨内骨化の誘導を必要とするものである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記処置は、治癒するのに軟骨内骨化の誘導を必要とする疾患、障害または状態に対するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記処置は、病巣掻爬もしくは切除後の骨欠損補填、骨折の治癒遷延、偽関節、仮骨延長術、人工関節置換術、脊椎固定術、軟骨移植、顎裂骨移植、外傷による骨欠損部補填、開頭術後骨欠損補填、歯槽提形成術、上顎洞底挙上術、歯槽骨再生または人工歯根周囲の顎骨再生に対するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
NELL1を生産する方法であって、該方法は、
A)NELL1およびシグナル配列をコードする核酸をインフレームで作動可能に連結した核酸構築物を提供する工程;
B)該核酸構築物を細胞に導入する工程;
C)NELL1を発現する条件下に、該細胞を配置する工程;および
D)発現された該NELL1を回収する工程
を包含する、方法。
【請求項21】
前記NELL1をコードする核酸が、前記NELL1が、ヒトNELL1(配列番号2)の残基17〜810、マウスNELL1(配列番号4)の残基22〜810、ラットNELL1(配列番号6)の残基22〜810およびツメガエルNELL1(配列番号13)の成熟配列からなる群より選択されるアミノ酸配列またはその改変体をコードする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記NELL1をコードする核酸が、前記NELL1が、ヒトNELL1(配列番号2)の残基17〜810、マウスNELL1(配列番号4)の残基22〜810、ラットNELL1(配列番号6)の残基22〜810およびツメガエルNELL1(配列番号13)の成熟配列を含むポリペプチドをコードする、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記NELL1をコードする核酸が、ヒトNELL1(配列番号2)の残基17〜810と、C末端にタグとを含むポリペプチドをコードする、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記NELL1をコードする核酸が、配列番号1(ヒトNELL1 DNA)の塩基183〜2564、配列番号3(マウスNELL1 DNA)の塩基103〜2472、配列番号5(ラットNELL1 DNA)の塩基122〜2491および配列番号12(ツメガエルNELL1 DNA)の成熟配列からなる群より選択される核酸を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記NELL1をコードする核酸が、ヒトNELL1(配列番号1)の残基17〜810である、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞が、Trichoplusia ni由来の細胞、Spodoptera frugiperda由来の細胞、チャイニーズハムスター卵巣由来の細胞およびヒト胎児腎臓由来の細胞からなる群より選択される細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞が、昆虫細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞が、Trichoplusia ni由来の細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞が、Trichoplusia ni由来のBTI Tn−5B1−4の細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
さらに、E)前記回収したNELL1を精製する工程を包含する、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記E)工程は、
E−i)前記回収されたNELL1を、Niレジンアフィニティカラムにかける工程;および
E−ii)100mM〜1.5Mのイミダゾールで溶出する工程
を包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記E−ii)工程において、前記イミダゾールが、100nM〜500mMの濃度である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記シグナル配列が、前記NELL1に対して内因性である、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
前記NELL1およびシグナル配列をコードする核酸は、配列番号1の塩基135〜2564、配列番号3の塩基40〜2472および配列番号5の塩基59〜2491からなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項35】
a)V5タグ、ヒスチジンタグ、内因性シグナルペプチドをコードする核酸配列(配列番号1のヌクレオチド135〜2564、配列番号3のヌクレオチド40〜2472または配列番号5のヌクレオチド59〜2491)を含むNELL1(hNELL1) cDNAを含む核酸構築物を提供する工程;
b)該核酸構築物によりTrichoplusia ni 由来のBTI Tn−5B1−4の細胞にトランスフェクトする工程;
c)NELL1を発現することができる条件下で、該Trichoplusia ni 由来のBTI Tn−5B1−4の細胞を培養する工程;
d)該Trichoplusia ni 由来のBTI Tn−5B1−4の細胞から分泌されたNELL1を含む培養上清を回収する工程;
e)回収されたNELL1を、Niレジンアフィニティカラムにかけ、500mM イミダゾールで溶出することにより、回収された該培養上清から該NELL1を精製する工程
を包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
炎症を起こさずに骨形成を促進する因子をスクリーニングする方法であって、
A)候補化合物を提供する工程;
B)該候補化合物についてMAPキナーゼの活性化能を検出する工程;
C)該候補化合物について、Smadの活性化能を検出する工程;
D)該候補化合物から、MAPキナーゼを活性化し、かつSmadを活性化しない化合物を炎症を起こさずに骨形成を促進する因子として選択する工程
を包含する、方法。
【請求項37】
炎症を起こさずに骨形成を促進する因子の候補化合物を生産する方法であって、
A)候補化合物を提供する工程;
B)該候補化合物についてMAPキナーゼの活性化能を検出する工程;
C)該候補化合物について、Smadの活性化能を検出する工程;
D)該候補化合物から、MAPキナーゼを活性化し、かつSmadを活性化しない化合物を炎症を起こさずに骨形成を促進する因子の候補化合物として選択する工程を包含する、方法。
【請求項38】
炎症を起こさずに骨を処置するための骨治療剤の製造のための、NELL1の使用。
【請求項39】
炎症を起こさずに骨を処置するための、NELL1を含む骨治療処方物であって、該NELL1は、骨欠損体積1平方ミリメートルあたり、0.001μg〜300μg(1.6μg〜50g/kg体重)以下で投与される、骨治療処方物。

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33A】
image rotate

【図33B】
image rotate

【図33C】
image rotate

【図33D】
image rotate

【図33E】
image rotate

【図33F】
image rotate

【図33G】
image rotate

【図33H】
image rotate

【図33I】
image rotate

【図33J】
image rotate

【図33K】
image rotate

【図33L】
image rotate

【図33M】
image rotate

【図33N】
image rotate


【公開番号】特開2011−16723(P2011−16723A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286810(P2007−286810)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(390016377)片山化学工業株式会社 (9)
【出願人】(592019213)学校法人昭和大学 (23)
【Fターム(参考)】