説明

骨固定装置

(I)第1および第2の端部を有する外科用ケーブルと、(II)少なくとも第1および第2の固定プレートとを含む骨固定装置であって、前記第1および第2の固定プレートが、それぞれ第1および第2の中央の穴と、前記第1および第2の中央の穴を取り囲むそれぞれ第1および第2のリングとを有しており、各固定プレートの外周部が、そのリングの外縁部を形成しており、そのリングの内縁部が、それが取り囲む穴に隣接しており、第1の固定プレートが、第2のプレートの上に、プレート間に隙間を残して積み重ねられた位置にあり、穴が互いに少なくともいくらか重なり合っており、ケーブル端部を引くことによってケーブルが骨片の周りで張力を受けてこれらの骨片を固定するように、ケーブル端部が、プレート周りおよびプレート間ならびに穴の中を進む連続軌道に従う、骨固定装置。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、外科用ケーブルを用いて骨片を固定する方法に関する。
【0002】
現代の外科医学では、多くの場合、手術の過程で分離された再び1つに結合させるべき骨片を動かなくする必要があり、または、骨片を他の骨片もしくは副木などの整形外科装置に対して一定の固定された距離および位置で維持する必要があり、以下、これを骨片の固定と呼ぶ。また、骨折の処置では、少なくとも身体が骨折を修復するのに必要な時間にわたって、またはより長い時間、多くの場合には何年にもわたって、この、ばらばらになった骨片を固定する必要がある。
【0003】
固定すべき骨片の周りに鋼ケーブルを巻き付け、例えば荷重をかけて、相対運動しないように骨片を固定するのに必要な張力状態に当該ケーブルをもっていき、少なくとも骨片が1つに結合し、かつ骨が十分に回復して再びその固有の機能を再開するまで、またはケーブルを除去するためのさらなる作業を回避するために永久的にまでも、当該ケーブルを適所に残しておくことが知られている。ケーブルの両端を金属ブロックの両側の貫通穴から導き、その両端に引く力を加えてケーブルに張力を付与し、穴が潰れてケーブルを固定するように金属ブロックを挟んで締め付けることによって、ケーブルが張力下で固定される。
【0004】
鋼ケーブルの使用には、いくつか欠点がある。鋼ケーブルは、疲労を起こして、それを構成する鋼繊維の破損をまねき、その後、鋭い端部が体内に突き出ることになりやすい。外科医による適用の間に繊維が破損すると、刺さる危険および血液接触の恐れが生じる。さらに、鋼鉄は、硬質材料であり、骨の周りで張力がかかるので、鋼ケーブルが骨を削る危険がある。
【0005】
米国特許第5,540,703号は、金属ケーブルの特定の欠点を克服するために、金属ケーブルの代わりにポリマー材料製の編組ケーブルを使用し、きつく張られて張力のかかったケーブルを、緩まない結び目(non-loosening knots)で係止させることを教示している。高性能、すなわち、高強度かつ高弾性率のポリエチレンが、特にポリマー材料として利用される。しかし、このタイプの繊維は、張力下にあるときに、結び目、クランプ、または他の手段によって固定するのが困難なことで知られている。
【0006】
そこで、本発明は、公知の手段の欠点がなく、張力のかかった高性能繊維の利用に関係した固定の難しさに対処する、ポリマー材料製の外科用ケーブルを用いて、骨片を固定する方法および手段の提供を図る。
【0007】
この目的は、本発明によれば、(I)第1および第2の端部を有する外科用ケーブルと、(II)少なくとも第1および第2の固定プレートとを含む骨固定装置であって、前記第1および第2の固定プレートが、それぞれ第1および第2の中央の穴と、前記第1および第2の中央の穴を取り囲むそれぞれ第1および第2のリングとを有しており、各固定プレートの外周部が、そのリングの外縁部を形成しており、そのリングの内縁部が、それが取り囲む穴に隣接しており、第1の固定プレートが、第2のプレートの上に、プレート間に隙間を残して積み重ねられた位置にあり、穴が互いに少なくともいくらか重なり合っており、ケーブルの少なくとも一端が、部分(j)として外縁部の外側から第2のリングの下を第2の穴まで進み、上方に曲がって、第2および第1の穴の中を進む第1の上行部分(a)に到達し、外側に向かう部分(b)へと曲がって第1のリングを横切ってその外縁部の方向に進み、前記外縁部の外側を上行部分(a)とは反対の方向に進む下行部分(c)に到達し、第2のリングの穴の中を進む部分(d)に到達する、連続軌道に従っており、部分(d)が、その一端で、固定プレート間の隙間を通過する軌道部分(e)につながり、かつその他端で、第2のリングの下を進む軌道部分(f、g)につながっており、ケーブルの他端が固定プレートに連結される装置を提供することによって達成される。
【0008】
骨片と接触することになるプレートが第2のプレートとして示され、これらの骨片の上にあると仮定された状況で、軌道が定義されていることが理解される。他の状況は、回転させたかつ/または鏡に映した状況になるが、これらの状況では、上向きと下向きとを入れ換えなければならないことがあるが、軌道内の部分の形状および順序は、基本的には同一である。
【0009】
新規の固定装置は、固定すべき骨片の周りにケーブルを適用し、指定した軌道の端部のところで固定プレートから突き出るケーブルの両端を引くことによって、骨片を適所に維持するために容易に利用することができる。2つの端部を引くことによって、ケーブルに張力を付与するために必要な力が比較的小さくなり、その2つの端部を引くことが、同時に、プレートのリング間を進むケーブル部分に加わる2枚のプレートの締付け力を増大させる。この締付け固定力は、ケーブルにかかる張力によって加わる力よりもかなり大きいと考えられる。
【0010】
本発明による方法では、2つの端部を有する外科用繊維ケーブルが適用される。この繊維は、高性能繊維であり、引張強度が少なくとも1.8GPa、弾性率が少なくとも60GPaのポリエチレン繊維が好ましい。そのような繊維の例が、DSM High Performance Fibersの様々なDyneemaグレード、およびHoneywell Inc.の様々なSpectraグレードである。これらの繊維は、高分子量ポリエチレンから、特に、重量平均分子量が少なくとも2,000,000のポリエチレンから調製されている。
【0011】
具体的には、ケーブルは、平行な、縒り合わされた、または編み上げられた、前述のタイプの繊維の束である。また、必要な強度および弾性率を有する高性能テープにすることもできる。このテープは、単一のテープにすることができ、または高性能繊維の扁平な組紐の形態にすることができる。縒り合わせ(twisting)および編組(braiding)は、ケーブルの生産で一般的に利用される技術であり、これら一般的な技術によって得られるケーブルは、本発明による装置で利用可能である。これらの繊維の構造では、例えば、組紐や縒り合わされた束では、効率損失が生じる、すなわち、得られる構造の強度が構成繊維の強度の合計よりも低いことに留意すべきである。効率は、使用される組紐の構造、編組期間、および編組機械によって決まる。編組効率は、30〜70%にわたることがある。いずれの場合にもケーブルの必要な強度から開始して、少なくともその必要な強度を有するケーブルが得られるように、初期の繊維強度、ケーブルの厚さ、およびケーブルの構造の適切な組合せを選択することができる。骨片を固定するのに必要な力は、一般に、固定すべき骨のサイズおよび骨変に加わる力に応じて、500〜3000Nにわたる。指の場合のように、小さい骨では、より小さい力および厚さが適切なことがある。一般に、ケーブル全体の厚さは、500〜30,000dtexにわたる。
【0012】
ケーブルは、骨片の周りに位置決めするのに適したものでなければならず、細長い形状をしており、具体的には、ケーブルは、固定すべき骨片の周りに置いて張力を付与するのに十分な長さの、平行な、縒り合わされた、または編み上げられた繊維の束である。
【0013】
前述した繊維束の形状のケーブルは、2つの端部を有する。これらの端部は、通常、束が解けるまたは裂けるのを防ぐために処理されている。端部を、例えば、繊維を合わせて接着させる物質で処理する、合わせて溶融させる、または他の何らかの方法で解けないようにしておくことができる。この実施形態では、束の両端から数センチメートルが、末端部分を形成する。本発明の特定の実施形態では、繊維の一端を束に戻して繋ぎ合わせることによって、当該端部を輪にしておくことができる。
【0014】
当該装置は、2枚の固定プレートを含む。以下、本明細書では、固定プレートとは、以上で指定した骨固定に必要な引張力に耐えられる、平らな、またはわずかに湾曲した、生体適合性のある材料片と理解される。適した材料の例が、強化された熱硬化性樹脂、金属、およびセラミック材料である。材料は、ヒトおよび動物の身体に埋め込まれたときに、そのヒトおよび動物の身体に苦痛、炎症、刺激、ならびに中毒、または他の望ましくない作用を引き起こすことなく許容される場合に、生体適合性があると見なされる。
【0015】
固定プレートは、主に平らであるが、それが接触することになる骨片と共形になるように、わずかに湾曲させることもできる。
【0016】
各固定プレートは、中央の穴と、穴を取り囲むリングとを含む。中央の穴が、固定プレートの中央を含むことが好ましいが、この中央は、必ずしも穴の中央とは限らない。穴は、円形、楕円形、正方形、もしくは長方形、または他のいずれかの規則形状にすることができる。同じことが、穴を取り囲むリングの外周部にも当てはまる。穴の形状と外周部の形状とは、同一または異なるものにすることができる。細長い形状は、長い方の部分がケーブルの方向に置かれたリングの向きをもたらすと思われるので、細長い形状が好ましい。これが、滑らかな形状の構造をもたらし、またさらに、ケーブルが可能な最大領域の上で締め付けられるので、最適な締付け力が得られる。リングは、穴に隣接した内縁部と、リングの外周部を形成する外縁部とを有する。ヒトもしくは動物の身体に適用された後で周囲の組織に切り込むまたは刺さる作用を防ぎ、また、適用時および適用後に外科用ケーブルを完全または部分的に切断するのを防ぐために、縁部が丸みを帯びていることが好ましい。
【0017】
固定プレートのサイズは、当該プレートが適用されることになる骨片のサイズおよび形状によって設定される強度要件およびサイズ要件の両方に合致するように選択される。穴の最大寸法と、リングの最大幅、すなわちリングの内縁部と外縁部の間の距離との比は、広範にわたり、0.3〜0.9になることがある。一般に、厚さは、0.5〜4mmの範囲にあり、リングの最大寸法は、4〜30mmの範囲にある。ゆえに、固定プレートは、スケールの一方の限界値では、穴が比較的大きく、かつリングの厚さ対幅比が比較的大きい、金網の形状になり、スケールの他方の限界値では、穴が比較的小さく、かつリングの厚さ対幅比が比較的小さい、ワッシャの形状になる。プレートを互いに重ね合わせて安定に位置決めできるように、プレートの厚さが、リングの最大幅の0.5倍以下、さらには0.1倍未満であることが好ましい。
【0018】
2枚の固定プレートは、間に隙間を残して積み重ねられた位置にある。この隙間の幅は、初めはほぼ外科用ケーブルの厚さである。ケーブルに張力が付与された後で、張力を付与するために加えられた力によって固定プレートが押し合わされて、ケーブルが滑って緩むのを防ぐ。
【0019】
プレートが中心合わせして積み重ねられると、穴は、互いに少なくともいくらか重なり合う。2枚のプレートが、少なくともケーブルを締め付ける部分に関して、同等の形状およびサイズであることが好ましく、またさらに、穴が同一のサイズで、プレート内の同一の位置にあることが好ましい。
【0020】
2枚のプレートは、容易に張力を付与でき、かつ張力がかかった状態でケーブルを滑り戻すことなく張力を保持できる装置をもたらすような特定の方法で、ケーブルに連結される。これを達成するには、ケーブルの少なくとも一端が、部分(j)として外縁部の外側から第2のリングの下を第2の穴まで進み、上方に曲がって、第2および第1の穴の中を進む第1の上行部分(a)に到達し、外側に向かう部分(b)へと曲がって第1のリングを横切ってその外縁部の方向に進み、前記外縁部の外側を上行部分(a)とは反対の方向に進む下行部分(c)に到達し、第2のリングの穴の中を進む部分(d)に到達する、連続軌道に従わなければならず、部分(d)が、その一端で、固定プレート間の隙間を通過する軌道部分(e)につながり、かつその他端で、第2のリングの下を進む軌道部分(f、g)につながっており、ケーブルの他端が固定プレートに連結される。
【0021】
第1の好ましい実施形態では、部分(c)が、さらに、第2のリングの外縁部の外側を進み、第2のリングの下をその外縁部からその穴へと進む軌道部分(f)を通じて部分(d)の一端につながっており、部分(d)の他端がすぐに、固定プレート間の隙間を通って外側に向かう方向に進み、かつプレートの外側でケーブル端部で終わる、部分(e)につながっている。
【0022】
第2の好ましい実施形態では、軌道部分が、(a)、(b)、(c)、(e)、(d)の順であり、その後に、第2のリングの下を穴から外縁部へと進み、かつプレートの外側でケーブル端部で終わる、軌道部分(g)が続く。
【0023】
一般に、ケーブルの両端は、軌道のうちの1つに従うことができ、2つの軌道は、同一または異なるものである。
【0024】
さらに大きな締付け力が好ましい場合、規定の軌道の前に追加のループを置くことができ、この追加のループが、穴を通って上方に進み、リングの外縁部に沿って下方に進んで穴へと戻り、その後、規定の軌道が始まる。
【0025】
締付け力は、いくらか、ケーブルの両端を引くことによってケーブルにさらに張力を付与するのを妨げることがあるので、好ましい実施形態では、ケーブルの一端だけが規定の軌道に従い、他端が、固定プレートに連結された張力付与装置に連結される。ゆえに、ケーブルの一端を引くことによってケーブルに最大限に張力を付与した後、張力付与装置を操作することによって、さらなる張力の付与を達成することができる。そのような張力付与装置は、ターンバックル、ウォーム歯車と駆動ねじとの組合せ、もしくは互いに直交する軸の周りで回転する2つの45°協働歯車で使用されるメカニズムを含むことができ、またはさらに、張力付与装置に螺入され、結び目によって、もしくは端部の輪に掛着させることによってケーブルの他端に連結できるフックで終端する、単純なねじを含むことができる。これらの張力付与装置は、引く力だけがケーブルに加わって、その短縮および張力付与をもたらすように、またさらに、引く力の代わりに、もしくは引く力の他にねじれの力もケーブルに加えて、ケーブルにさらなる張力付与をもたらすように、ケーブルに連結することができる。そのような装置が使用されるときには、ケーブルの他端を、例えば張力付与装置のフックに結び付けることができるが、ケーブルの他端が、例えば引き裂いて作られた輪、または当該ケーブルを張力付与装置に連結する他のいずれかの滑らない手段を含むことが好ましい。
【0026】
本発明は、さらに、固定すべき骨片の周りに、2つのケーブル端が前述の軌道に従う骨固定装置を適用するステップと、その後、ケーブルの両端を引いて、骨片を固定するのに必要な張力まで骨片の周りでケーブルに張力を付与するステップとを含む、骨片を固定する方法に関する。
【0027】
この方法の好ましい一実施形態では、ケーブルに張力が付与される前に固定プレート間にバーが挿入され、ケーブルに張力が付与された後でこのバーが除去される。この実施形態は、締付け力が、バーが除去された後にしか作用せず、それ以前にはケーブルへの張力付与を妨げないという利点がある。バーの厚さは、小さくすることができるが、その存在による十分な利益を得るには、少なくともケーブルの厚さに等しいことが好ましい。バーを除去すると、ケーブルの張力のかかった部分の伸長が最小になることがあるので、バーを薄くすべきであり、10mm以下が好ましく、5mm以下、またはさらに2mm以下がより好ましい。
【0028】
他の実施形態では、本発明は、固定すべき骨片の周りに、ケーブルの一端が前述の軌道に従い、かつ他端が固定リング5に連結された張力付与装置に固定される、骨固定装置を適用するステップと、その後、ケーブルの前記一端を引いて骨の周りでケーブルに張力を付与するステップと、ケーブルのたるみを取り除くステップと、次いで、張力付与装置を操作することによって骨片を固定するのに必要な張力までケーブルに張力を付与するステップとを含む、骨片を固定する方法に関する。
【0029】
図面から、固定プレートの周りの適切な軌道に沿ってケーブルを導く方法に関する情報を得ることができる。
【0030】
ここに記載する様々な実施形態および方法は、骨片の固定にしか適していないわけではなく、何らかの機能回復作用をもたらす人工要素、例えば副木に骨を連結するにも有用である。
【0031】
本発明は、また、骨固定装置の必須部分に関し、詳細には、本発明は、さらに、本発明による骨固定装置を構築するように調製もしくは適合された、または本発明の方法で利用するために調製された、少なくとも2枚の固定プレートと外科用ケーブルとのセット、外科用ケーブル、およびリングに関する。
【0032】
さらに、本発明を添付の図面によって説明する。
【0033】
図1では、番号2および4は、それぞれリング10/12によって取り囲まれた穴6/8をそれぞれ有する、丸みを帯びた固定プレートを示す。固定プレートの間には、取外し可能なバー14が存在する。ケーブル16は、骨片17(完全には示されていない)を取り囲んでいる。ケーブル16の一端は、部分(a)〜(f)が区別された軌道に沿って走る。ここでは、部分(a)が、下方から穴8および6を通って上方に進み、次いで外側に向かう方向で右へと曲がり、部分(b)としてリング10の上側表面18に沿って当該リング10の外縁部へと進み、その外縁部で下方に曲がって、部分(c)としてリング10および12の外周部20および22に沿って進む。次いで、ケーブルは、内側に向かう方向で左へと曲がり、部分(f)としてリング12の下側表面24に沿ってこのリングの内縁部へと進み、その内縁部で上方に曲がって、部分(d)としてプレート4内の穴8を通って進む。最後に、ケーブルは、部分(e)として隙間26を通って外側に向かう方向に進んで、端部28を隙間から外に出す。ケーブル16の他端は、類似の、ただし穴の中心に対して逆転した軌道に従う。端部28および30を掴み、引くように操り、骨片の周りでケーブル16に張力を付与して、これらを互いに対して固定された状態に維持することができる。バー14は、ケーブルが早くに締め付けられてケーブル16への張力付与を妨げるのを防ぐ。
【0034】
図2では、図1の実施形態の上面図が示されている。プレート2内の穴6を通じて、バー14を見ることができる。
【0035】
図3では、バー14が除去されており、プレートを取り囲むケーブルによってプレートが押し合わされている。ケーブルは、(e)のところでプレートからケーブルに加わる圧力によって滑り戻らないように固定されており、この時点では隙間26が閉じている。図4では、図1と同一の相対構成にある同一の2枚のプレートが存在する。
【0036】
図4では、対応する部品の番号が400増やされており、したがって、402は、図1などの2と同一の部品である。ケーブル416の一端は、部分(a)〜(g)((f)を除く)を区別できる軌道に沿って進む。ここでは、部分(a)が、下方から穴408および406を通って上方に進み、次いで外側に向かう方向で右へと曲がり、部分(b)としてリング410の上側表面418に沿って当該リング410の外縁部へと進み、その外縁部で下方に曲がって、部分(c)としてリング410の外周部420に沿って進む。次いで、ケーブルは、内側に向かう方向で左へと曲がり、部分(e)として隙間426を通って穴の間の隙間の部分に到達するまで進み、その部分で下方に曲がって、部分(d)としてプレート404内の穴408を通って進む。最後に、ケーブルは、部分(g)としてリング404の下側表面424の下を外側に向かう方向に進んで、端部428を隙間から外に出す。ケーブル416の他端は、類似した、ただし穴の中心に対して逆転した軌道に従う。端部428および430を掴み、引くように操り、骨片417の周りでケーブル416に張力を付与して、これらを互いに対して固定された状態に維持することができる。バー14は、ケーブルが早くに締め付けられてケーブル16への張力付与を妨げるのを防ぐ。
【0037】
図5では、502および504は、それぞれ穴506および508を有する、非対称的な2枚の固定プレートである。各穴の周りのリングは、それぞれ、前述の軌道に従うケーブル上に十分な締付け力を与えるのに足る大きさの表面積をもつ、第1の部分510/512を有する。この図5では、ケーブルの一端が、図1に関して記載した軌道に従う。第1の部分に対して穴の反対側にあるリングのそれぞれの部分532/534は、第1の部分よりも小さい。張力付与装置536は、フック540が中に据え付けられる雌ねじ山が設けられた長手方向ボアが存在する、第1の部分538から成る。ケーブルの他端530は、フック540がそれに取り付けられた輪546を有する。張力付与装置536は、さらに第2の部分から成り、この第2の部分が、主として、装置のほぼ中央からボアが存在する側とは反対の端部へと延び、かつその全幅にわたって延びる、陥凹部542から成る。陥凹部は、壁544で終端する。この壁の厚さは、ケーブルを穴に通して締付軌道に沿って案内するための十分な空間を残して、プレートの穴に嵌合するような厚さである。下側のプレート504は、張力付与装置の一部を形成する。プレート502は、プレート504に対して上下に移動することができる。陥凹部542の底部544は、プレート504の表面と同一平面上にある。これによって、ケーブル端部528を引いてケーブルに張力を付与するときにプレート502が押し下げられると、リング510がその表面積全体にわたって下側のプレートのリング部分512と接触することになる。プレート502は、壁544が穴506を通って延びるように、張力付与装置上に据え付けられる。フック540を反時計回りの方向に回すと、ケーブルにさらに張力が付与される。
【0038】
さらに、この実施形態でも、張力を付与する間にリング間にバーを挿入し、次いで所望の張力が加わったときにこのバーを除去することができる。
【0039】
図6では、上部プレート602の穴606の中に、前記穴を通って突き出た壁644の頂部を見ることができる。輪646を備えたケーブル端部630が、フック640に連結される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による骨固定装置の第1の実施形態の概略側面図である。
【図2】前記第1の実施形態の上面図である。
【図3】張力のかかった状態にある第1の実施形態の概略側面図である。
【図4】本発明による骨固定装置の第2の実施形態の概略側面図である。
【図5】本発明による骨固定装置の第3の実施形態の概略側面図である。
【図6】第3の実施形態の上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)第1および第2の端部を有する外科用ケーブル(16、416)と、(II)少なくとも第1の固定プレート(2、402)および第2の固定プレート(4、404)とを含む骨固定装置であって、前記第1および第2の固定プレートが、それぞれ第1の中央の穴(6、406)/第2の中央の穴(8、408)と、前記第1の穴(6、406)/第2の穴(8、408)を取り囲むそれぞれ第1のリング(10、410)/第2のリング(12、412)とを有しており、各固定プレートの外周部(それぞれ、20、420/22、422)が、そのリング(それぞれ、10、410/12、412)の外縁部を形成しており、前記リング(それぞれ、10、410/12、412)の内縁部が、それが取り囲む穴(それぞれ、6、406/8、408)に隣接しており、前記第1の固定プレート(2、402)が、前記第2のプレート(4、404)の上に、前記プレート(2、402/4、404)間に隙間(26、426)を残して積み重ねられた位置にあり、前記穴(それぞれ、6、406/8、408)が互いに少なくともいくらか重なり合っており、前記ケーブル(16、416)の少なくとも一端が、部分(j)として前記外縁部の外側から前記第2のリング(12)の下を前記第2の穴(8)まで進み、上方に曲がって、前記第2および第1の穴(それぞれ、8、408/6、406)内を進む第1の上行部分(a)に到達し、外側に向かう部分(b)へと曲がって前記第1のリング(10、410)を横切ってその外縁部(20、420)の方向に進み、前記外縁部(20、420)の外側を前記上行部分(a)とは反対の方向に進む下行部分(c)に到達し、前記第2のリング(12、412)の前記穴(8、408)内を進む部分(d)に到達する、連続軌道に従っており、部分(d)が、その一端で、前記固定プレート(それぞれ、2、402/4、404)間の前記隙間(26、426)を通過する軌道部分(e)につながり、かつその他端で、前記第2のリング(12、412)の下を進む軌道部分(f、g)につながっており、前記ケーブル(16、416)の他端が前記固定プレート(それぞれ、2、402/4、404)に連結される装置。
【請求項2】
部分(c)が、さらに、前記第2のリング(4)の前記外縁部(22)の外側を進み、前記第2のリング(12)の下をその外縁部(22)からその穴(8)へと進む軌道部分(f)を通じて部分(d)の一端につながっており、部分(d)の他端がすぐに、前記固定プレート間の前記隙間(26)を通って外側に向かう方向に進み、かつ前記プレートの外側でケーブル端部(28)で終わる、部分(e)につながっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記軌道部分が、(a)、(b)、(c)、(e)、(d)の順であり、その後に、前記第2のリング(412)の下を前記穴(408)から前記外縁部(422)へと進み、かつ前記プレートの外側でケーブル端部(428)で終わる、軌道部分(g)が続く、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ケーブルの他端が前記軌道のうちの1つに従う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記他端(530、630)が、前記固定リングに連結された張力付与装置に固定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
固定すべき骨片(17、417)の周りに請求項1から4に記載の骨固定装置を適用するステップと、その後、前記ケーブルの端部(28、428/30、430)を引いて、前記骨片を固定するのに必要な張力まで前記骨片の周りで前記ケーブルに張力を付与するステップとを含む、骨片を固定する方法。
【請求項7】
前記ケーブルに張力が付与される前に前記固定プレート(2、402/4、404)間にバー(14、414)が挿入され、前記ケーブルに張力が付与された後で前記バーが除去される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
固定すべき骨片の周りに請求項5に記載の骨固定装置を適用するステップと、その後、前記ケーブルの前記一端(528、628)を引いて前記骨の周りで前記ケーブルに張力を付与するステップと、次いで、前記張力付与装置(536、646)を用いて前記骨片を固定するのに必要な張力まで前記ケーブルに張力を付与するステップとを含む、骨片を固定する方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の骨固定装置を構築するように適合された、少なくとも2枚の固定プレートと外科用ケーブルとのセット。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の骨固定装置で利用するために調製された固定プレート。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の骨固定装置で利用するために調製された外科用ケーブル。
【請求項12】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法で利用するために調製された、少なくとも2枚の固定プレートと外科用ケーブルとのセット。
【請求項13】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法で利用するために調製された固定プレート。
【請求項14】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法で利用するために調製された外科用ケーブル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−528741(P2007−528741A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502738(P2006−502738)
【出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000086
【国際公開番号】WO2004/069068
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】