説明

骨形成タンパク質のpHを制御するための緩衝液

本発明は、pH安定化されたTGF−βスーパーファミリータンパク質及び骨形成タンパク質を含むシステインノットタンパク質の処方物を提供する。特に、本発明は、ある緩衝液が、TGF−βスーパーファミリータンパク質及び骨形成タンパク質を含むシステインノットタンパク質の安定性を増強するという観察結果に関する。特に、本明細書中で開示されるのは、処方物のpHを安定化させるためにグリシルグリシン及び酒石酸緩衝液を用いて調製された液体及び凍結乾燥処方物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年9月17日に出願された米国仮特許出願第61/243,383号(その内容は、参照することによって本明細書中に組み込まれる)の優先権および利益を主張する。
【0002】
本発明は、骨形成タンパク質組成物のpHを安定化させるための組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
骨形成タンパク質(BMP)のファミリーを含む、システインノットタンパク質及びTGF−βスーパーファミリータンパク質の溶液及び凍結乾燥処方物の安定性は、処方物のpHに依存する。これらのタンパク質は塩基性であり、中性緩衝液に添加すると、pHが増加する。低濃度のこれらのタンパク質の添加は、結果としての処方物のpHに著しい影響を及ぼさない。しかし、処方物中のこれらのタンパク質の濃度が増加するにつれ、処方物のpHが増加し、それによりこれらの処方物の安定性が低下する。したがって、処方物を望ましいpHに戻すために、HClなどの強酸を添加する。pHを所望の範囲に戻すために必要な体積を減少させるために、強酸を使用する。しかし、HClを添加すると処方物のイオン強度が増大し、これによりそれらの安定性が低下する。したがって、BMPを含む、システインノットタンパク質及びTGF−βスーパーファミリータンパク質のpHをより良好に制御する新規方法及び組成物を特定する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ある緩衝液が、骨形成タンパク質(BMP)のファミリーを含む、システインノットタンパク質及びTGF−βスーパーファミリータンパク質の処方物、特に液体又は溶液処方物及び凍結乾燥処方物の安定性を増強するという発見に基づく。特に、塩基性であるこれらのタンパク質をある緩衝液に高濃度で添加すると、緩衝液のpHが増加する。特に治療計画におけるBMPの最適使用に対するこれまでの限定要因は、3.0±0.2を超えるpHを有する液体溶液BMP処方物及び3.5を超えるpHを有する凍結乾燥BMP処方物が、長期間安定ではなく、変性及び凝集を受けやすいことである。乳酸ナトリウムなどの従来技術の緩衝剤の使用は、処方物中のBMP濃度が限定され、これらの処方物中のBMPの安定性も限定される。なぜなら、pHを安定化させるために強酸を添加しなければならず、これにより処方物のイオン強度が増大するからである。本発明により、当業者は、治療指標で使用するための種々のさらに高度に濃縮されかつ安定なBMP処方物を調製することが可能になる。さらに、本発明は、製造プロセス中のpHのさらなる制御を可能にし、これにより製造されるBMP処方物のロット間のさらなる均一性を提供する、さらに確固とした製造プロセスを提供する。
【0005】
一態様では、本発明は、骨形成タンパク質及び水性グリシルグリシン緩衝液を含む溶液を想定する。一実施形態によれば、骨形成タンパク質は、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、GDF−5、GDF−6、又はGDF−7のうちのいずれかであり得る。好ましい実施形態では、BMPはBMP−7である。溶液のpHは、約2.5〜約4.0、さらに好ましくは約2.8〜約3.5、なおいっそう好ましくは約2.8〜約3.2の範囲であり得る。グリシルグリシン緩衝液は、約1mM〜約100mM、約2mM〜約20mM、さらには約5mM〜約15mM、又は約10mMの濃度を有し得る。溶液中の骨形成タンパク質濃度は、約0.01mg/mL〜約40mg/mL、約0.1mg/mL〜約1mg/mL、又は約0.1mg/mL〜約20mg/mL、又は約1mg/mL〜約20mg/mLであり得る。一実施形態によれば、溶液のpHは5〜40℃で6ヶ月間、又は36ヶ月もの貯蔵に際して約0.2pH単位を超えて変化しない。
【0006】
溶液は、リオプロテクタント、たとえば、マンニトール、マンノース、ラクトース、スクロース、若しくはトレハロースなどの糖、又はこれらの糖の任意の組み合わせも含み得る。別の実施形態では、リオプロテクタントは、好ましくは、マンニトール、マンノース、又はトレハロースである。たとえば、トレハロースは、約1%〜約15%(w/v)、又は約3%〜約10%(w/v)の量で含まれ得る。好ましい実施形態では、トレハロースは9%(w/v)を超えない。
【0007】
溶液は酸化防止剤も含み得る。たとえば、酸化防止剤は、メチオニン、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、グルタチオン、m−クレゾール、EDTA、メタ重硫酸ナトリウム、又はチオグリセロールであり得る。好ましい実施形態では、酸化防止剤はメチオニンである。さらに別の実施形態では、溶液は酸化防止剤を含まない。
【0008】
別の態様では、本発明は、骨形成タンパク質及びグリシルグリシン、グリシルグリシン塩、又はグリシルグリシ及びグリシルグリシン塩の組み合わせを含む固体組成物を想定する。さらなる実施形態では、グリシルグリシン塩はグリシルグリシンHClである。固体組成物は、リオプロテクタント、たとえば、糖を含み得る。糖は、マンニトール、ラクトース、スクロース、若しくはトレハロース又はこれらの糖の任意の組み合わせであり得る。たとえば、糖はトレハロースであり得、これは、たとえば、骨形成タンパク質のトレハロースに対する比が約7×10−5:1(w/w)〜約1.3:1(w/w)で含まれ得る。骨形成タンパク質のグリシルグリシン、グリシルグリシン塩、グリシルグリシンHCl又はグリシルグリシン及びグリシルグリシン塩の組み合わせに対する比は、たとえば、約8×10−4:1(w/w)〜約300:1(w/w)であり得る。固体組成物は、酸化防止剤も含み得る。酸化防止剤は、たとえば、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、グルタチオン、m−クレゾール、チオグリセロール、及びメチオニンであり得る。好ましい実施形態では、酸化防止剤はメチオニンである。
【0009】
固体組成物は、界面活性剤も含み得る。たとえば、一実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、又はポロキサマー407のうちの1つである。界面活性剤は、約0.001%〜0.5%(w/w)の範囲で存在し得る。好ましい実施形態では、界面活性剤は約0.01%(w/w)のポリソルベート20である。一実施形態では、組成物は界面活性剤を含まない。
【0010】
固体組成物は、骨形成タンパク質及びグリシルグリシンの溶液を凍結乾燥することによって調製することができる。一実施形態では、凍結乾燥された組成物はマンニトールを含まない。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、骨形成タンパク質及び水性酒石酸緩衝液を含む溶液を想定する。一実施形態では、骨形成タンパク質は、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、GDF−5、GDF−6、又はGDF−7のうちのいずれかであり得る。好ましい実施形態では、BMPはBMP−7である。溶液のpHは、約2.5〜約4.0、さらに好ましくは約2.8〜約3.5、なおいっそう好ましくは約2.8〜約3.2の範囲であり得る。酒石酸緩衝液は、約1mM〜約100mM、約2mM〜約20mM、さらには約5mM〜約15mM、又は約10mMの濃度を有し得る。溶液中の骨形成タンパク質濃度は、約0.01mg/mL〜約40mg/mL、約1mg/mL〜約20mg/mL、約0.1mg/mL〜約1mg/mL、又は約0.1mg/mL〜約20mg/mLである。一実施形態では、溶液のpHは、液体処方物中、凍結乾燥物として、又は凍結乾燥物から調製される再構成された溶液として、約0.2pH単位を超えて変化しない。
【0012】
酒石酸の発明の場合、溶液は、リオプロテクタント、たとえば、マンニトール、ラクトース、スクロース、若しくはトレハロースなどの糖、又はこれらの糖の任意の組み合わせも含み得る。たとえば、トレハロースは、約1%〜約15%(w/v)、又は3%〜約10%(w/v)の量で含まれ得る。好ましい実施形態では、トレハロースは9%(w/v)を超えない。溶液は酸化防止剤も含み得る。たとえば、酸化防止剤は、メチオニン、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、グルタチオン、m−クレゾール、又はチオグリセロールであり得る。好ましい実施形態では、酸化防止剤はメチオニンである。さらに別の実施形態では、溶液は酸化防止剤を含まない。固体組成物は、界面活性剤も含み得る。たとえば、一実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、又はポロキサマー407である。界面活性剤は、たとえば、約0.001%〜0.5%(w/w)の範囲で存在する。好ましい実施形態では、界面活性剤は約0.01%(w/w)のポリソルベート20である。一実施形態では、組成物は界面活性剤を含まない。
【0013】
関連する態様では、本発明は、骨形成タンパク質並びに酒石酸、酒石酸塩、又は酒石酸及び酒石酸塩の組み合わせを含む固体組成物を想定する。酒石酸及び/又は酒石酸塩は、(+)酒石酸(右旋性酒石酸としても知られる)、(−)酒石酸(左旋性酒石酸としても知られる)、それらの組み合わせ(ラセミ酸としても知られる)、及び右旋性酒石酸の立体異性体(メソ酒石酸としても知られる)をはじめとする酒石酸塩の任意のエナンチオマー又は立体異性体を含み得る。好ましい実施形態では、酒石酸は、(+)酒石酸、すなわち右旋性酒石酸である。固体組成物はリオプロテクタント、たとえば糖を含み得る。糖は、マンニトール、ラクトース、スクロース、若しくはトレハロース又はこれらの糖の任意の組み合わせであり得る。たとえば、糖はトレハロースであり得、これは、たとえば骨形成タンパク質のトレハロースに対する比が約7×10−5:1(w/w)〜約1.3:1(w/w)で含まれ得る。骨形成タンパク質の酒石酸、酒石酸塩、又は酒石酸及び酒石酸塩の組み合わせに対する比は、たとえば、約7×10−4:1〜約270:1(w/w)であり得る。好ましい実施形態では、この比は、約0.07:1〜約13:1(w/w)(タンパク質対酒石酸、酒石酸塩、又は酒石酸及び酒石酸塩の組み合わせ)である。固体組成物は、酸化防止剤も含み得る。酸化防止剤は、たとえば、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、グルタチオン、m−クレゾール、チオグリセロール、及びメチオニンであり得る。固体組成物は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、又はポロキサマー407などの界面活性剤も含み得る。界面活性剤は、約0.001%〜0.5%(w/w)の範囲で存在し得る。好ましい実施形態では、界面活性剤は約0.01%(w/w)のポリソルベート20である。別の実施形態では、組成物は界面活性剤を含まない。
【0014】
固体組成物は、骨形成タンパク質及び酒石酸の溶液を凍結乾燥することによって調製することができる。一実施形態では、凍結乾燥組成物はマンニトールを含まない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施例2に記載するような、酒石酸(1)、グリシルグリシン(2)、リンゴ酸(3)、乳酸(4)、アスパラギン酸(5)、又はコハク酸(6)のいずれか及び9%のトレハロースを含む溶液のpHに対してBMP−7(mg/mL)の濃度をプロットした線グラフである。
【図2】図2は、実施例3で記載するような、グリシルグリシンpH3.1(1)、乳酸塩pH3.5(2)、酒石酸塩pH3.1(3)、乳酸塩+10mMのNaClpH3.1(4)、及び乳酸塩+10mMのNaCl、20mMのメチオニンpH3.1(5)の存在下での経時的なBMP−7の凝集率(%)をプロットした線グラフである。
【図3A】図3Aは、40℃で保持した1mg/mLのBMP−7の凍結乾燥処方物の経時的な凝集率(%)をプロットした線グラフである。
【図3B】図3Bは、40℃で保持した16mg/mLのBMP−7の凍結乾燥処方物の経時的な凝集率(%)をプロットした線グラフである。
【図4】図4は、10mMのグリシルグリシン、10mMの乳酸塩又は10mMの酒石酸塩を含む1mg/mLのBMP−7の凍結乾燥処方物の経時的な凝集率(%)をプロットした線グラフである。
【図5】図5は、成熟ヒトBMP−7(配列番号1)のアミノ酸配列である。
【図6】図6は、成熟ヒトBMP−2(配列番号2)のアミノ酸配列である。
【図7】図7は、成熟ヒトBMP−6(配列番号3)のアミノ酸配列である。
【図8】図8は、成熟ヒトBMP−4(配列番号4)のアミノ酸配列である。
【図9】図9は、成熟ヒトBMP−5(配列番号5)のアミノ酸配列である。
【図10】図10は、成熟ヒトGDF−5(配列番号6)のアミノ酸配列である。
【図11】図11は、成熟ヒトGDF−6(配列番号7)のアミノ酸配列である。
【図12】図12は、成熟ヒトGDF−7(配列番号8)のアミノ酸配列である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
BMP等のTGF−βスーパーファミリータンパク質を含む液体の又は再構成されたシステインノットファミリータンパク質の安定性は、処方物のpH及びイオン強度に依存し、所望のpH範囲は3.0±0.2である。低濃度のこれらのタンパク質、すなわち2mg/mL未満の添加は、結果として得られる処方物のpHに有意な影響を及ぼさない。しかし、これらのタンパク質の濃度が増大するにつれ、すなわち、2mg/mLを超えると、処方物のpHは、例えば3.4を超えるpHに増大する。増大したイオン強度でこれらのタンパク質は不安定であるので、pHで観察される増加を軽減するために用いることができる緩衝剤及びpH調節酸の濃度には制限がある。
【0017】
本出願者等は、驚くべきことに、そして意外にも、これらのタンパク質処方物、例えばBMPを含むものを、水性グリシルグリシン緩衝液又は酒石酸緩衝液を用いて調製することにより、タンパク質を添加した後に強酸を添加することによって、処方物のpHを低下させる必要がなくなることを見出した。
【0018】
更に広いBMP濃度範囲全体にわたってpHを制御する緩衝剤を選択する利点には、処方物のpHを、HClなどの強酸、又はNaOHなどの強塩基で調節する必要を排除又は軽減することなど、製造プロセス操作が少ないことが含まれる。これにより、処方物のイオン強度を低下させることによってBMP製剤の安定性が増強され、BMPタンパク質の変性及び/又は凝集が減少し、そしてBMPの安定な凍結乾燥製剤について可能な濃度範囲が増加する。
【0019】
BMPを含む処方物を、適切なpH3.0±0.2で調製するのが重要である。なぜなら、タンパク質のBMPファミリーのメンバーは、生理的条件下で、すなわち生理的pH、特に約1mg/mLを超える濃度で本質的に不溶性であるからである。したがって、pHを制御して、処方物中の必要な量のBMPタンパク質の溶解度を保証することが必要である。
【0020】
処方物
本発明による処方物には、これに限定されるものではないが、再構成された凍結乾燥物などの溶液(液体形態)並びに、これらに限定されるものではないが、凍結乾燥形態、ゲル、マイクロカプセル化粒子、及びペーストなどの固体形態が含まれる。ゲル、ペースト、又は粒子と組み合わせて用いられる再構成された凍結乾燥物から調製される液体処方物、凍結乾燥物、及び液体溶液の組み合わせも、本発明により想定される。
【0021】
たとえば、本発明による一実施形態では、処方物は、水性緩衝液及びBMPタンパク質を含む溶液である。たとえば、緩衝剤は、グリシルグリシン、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、アスパラギン酸、又はコハク酸であり得る。好ましい実施形態では、緩衝剤はグリシルグリシンであり、別の好ましい実施形態では、緩衝剤は酒石酸である。別の実施形態では、緩衝剤は、グリシルグリシン、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、アスパラギン酸、又はコハク酸の2以上の組み合わせである。たとえば、一実施形態では、緩衝剤はグリシルグリシン及び酒石酸である。
【0022】
さらに別の実施形態では、グリシルグリシン緩衝剤は、約1mM〜約100mM、さらに好ましくは約2mM〜約20mM、なおいっそう好ましくは約5mM〜約15mMの濃度を有し、そしてなおいっそう好ましくは、グリシルグリシン緩衝剤の濃度は約10mMである。
【0023】
別の実施形態によれば、液体溶液処方物は、安定剤をさらに含む。たとえば、安定剤は、プロリン、グリシン、バリン、イソロイシン、又はロイシンであり得る。好ましい一実施形態では、安定剤はプロリンであり、一方、さらに別の実施形態では、安定剤は、プロリン、グリシン、バリン、イソロイシン、又はロイシンの2以上の組み合わせである。
【0024】
一実施形態によれば、BMPはBMP−7である。別の実施形態によれば、BMPは、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、又はBMP−9である。別の実施形態によれば、BMPは、GDF−5、GDF−6、又はGDF−7である。処方物中のBMP濃度は、たとえば、約0.01mg/mL〜約40mg/mLである。さらに別の実施形態では、BMPタンパク質の濃度は、約1mg/mL〜約20mg/mLである。BMPの好ましい濃度は約0.1mg/mL〜約1mg/mLであり;BMPのさらに好ましい濃度は約0.1mg/mL〜約20mg/mLであり;BMPの最も好ましい濃度は約0.1mg/mL〜約1mg/mLである。
【0025】
さらに別の実施形態では、処方溶液のpHは、約2.5〜約4.0、さらに好ましくは約2.8〜約3.5、そしてなお一層好ましくは約2.8〜約3.2である。
【0026】
別の実施形態では、本明細書中で開示される本発明の液体処方物の凍結乾燥により、固体処方物を得る。
【0027】
別の実施形態では、処方物は、緩衝剤及びBMPタンパク質の溶液から誘導される固体形態である。たとえば、緩衝剤は、グリシルグリシン、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、アスパラギン酸塩、コハク酸塩、又はグリシルグリシン、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、アスパラギン酸塩、若しくはコハク酸塩の塩であり得る。好ましい実施形態では、緩衝剤は、グリシルグリシン又はグリシルグリシンの塩である。更に別の好ましい実施形態では、緩衝剤は酒石酸塩である。
【0028】
別の実施形態によれば、固体処方物は安定剤を含む。たとえば、安定剤は、プロリン、グリシン、バリン、イソロイシン、又はロイシンであり得る。好ましい一実施形態では、安定剤はプロリンである。さらに別の実施形態では、安定剤は、プロリン、グリシン、バリン、イソロイシン、又はロイシンのうちの2以上の組み合わせである。
【0029】
一実施形態によれば、BMPはBMP−7である。別の実施形態によれば、BMPは、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、又はBMP−9である。別の実施形態によれば、BMPは、GDF−5、GDF−6、又はGDF−7である。
【0030】
一実施形態では、BMPの緩衝剤に対する比は、約7.7×10ー4:1〜約310:1(w/w)である。たとえば、BMPのグリシルグリシン塩に対する比は、約7.7×10ー4:1〜約310:1(w/w)である。たとえば、BMPの酒石酸又は塩に対する比は、約6.7×10ー4:1〜約270:1である。
【0031】
別の実施形態では、液体又は固体形態処方物は、リオプロテクタントをさらに含む。一実施形態では、リオプロテクタントは糖である。たとえば、糖は、マンニトール、ラクトース、スクロース、若しくはトレハロース、又はこれらの糖の2以上の組み合わせであり得る。好ましい実施形態では、糖はトレハロースである。糖を約1%〜約15%(w/v)の量で、さらに好ましくは約3%〜約10%(w/v)で、液体形態の本発明の処方物に添加することができる。好ましい実施形態では、糖は9%(w/v)を超えない。別の実施形態では、糖は、固体形態の処方物中、約1:7×10ー5の約1:1.3(w/w)(糖:BMP)の量で存在する。
【0032】
さらに別の実施形態では、液体又は固体形態処方物は、酸化防止剤をさらに含む。たとえば、酸化防止剤は、メチオニン、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、グルタチオン、m−クレゾール、又はチオグリセロールであり得る。好ましい酸化防止剤はメチオニンである。
【0033】
下記表1は、本発明にしたがって作製することができる種々のグリシルグリシン緩衝液の成分を示す。グリシルグリシン緩衝剤は、グリシルグリシン、グリシルグリシン−HCl、グリシルグリシン塩、又はそれらの組み合わせから構成される。処方物の成分、特にトレハロースの百分率を調節して、目標の容量オスモル濃度を得ることができる。
【0034】
【表1】

下記表2は、本発明にしたがって作製することができる種々の酒石酸塩緩衝液の成分を示す。処方物の成分、特にトレハロースの百分率を調節して、目標の重量オスモル濃度を得ることができる。
【0035】
【表2】

本発明の処方物の予想外の利点のうちの1つは、処方物が時間をわたってそれらの安定性を維持することである。たとえば、本発明による溶液処方物を40℃で6ヶ月間貯蔵する場合、pHは約0.2pH単位を超えて変化しない。
【0036】
骨形成タンパク質
BMPは、本発明の組成物の好ましい例示的タンパク質である。BMPは、TGF−βスーパーファミリーに属する。TGF−βスーパーファミリータンパク質は、6つの保存されたシステイン残基により特徴付けられるサイトカインである。ヒトゲノムは、TGF−βスーパーファミリータンパク質をコード化する約42のオープンリーディングフレームを含む。TGF−βスーパーファミリータンパク質は、配列類似性及びそれらが活性化する特定のシグナリング経路に基づいて、BMPサブファミリー及びTGF−βサブファミリーに少なくとも分類することができる。BMPサブファミリーには、これらに限定されるものではないが、BMP−2、BMP−3(オステオゲニン)、BMP−3b(GDF−10)、BMP−4(BMP−2b)、BMP−5、BMP−6、BMP−7(骨形成タンパク質−1又はOP−1)、BMP−8(OP−2)、BMP−8B(OP−3)、BMP−9(GDF−2)、BMP−10、BMP−11(GDF−11)、BMP−12(GDF−7)、BMP−13(GDF−6、CDMP−2)、BMP−15(GDF−9)、BMP−16、GDF−1、GDF−3、GDF−5(CDMP−1、MP−52)、及びGDF−8(ミオスタチン)が含まれる。本発明に関して、好ましいスーパーファミリータンパク質としては、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6及びBMP−7、並びにGDF−5、GDF−6、及びGDF−7、並びにMP−52が挙げられる。特に好ましいタンパク質としては、BMP−2、BMP−7並びにGDF−5、GDF−6、及びGDF−7が挙げられる。最も好ましい例示的BMPは、ヒトBMP−7である。さらに、ヒト集団の異なるメンバー間ではBMP配列において対立遺伝子変異があり、今までに見いだされ、特徴づけられたBMP間では種間変動がある。本明細書中で用いられる場合、「BMPサブファミリー」、「BMP」、「BMPリガンド」及びその文法的に同等の語句は、特に別段の記載がない限り、BMPサブファミリーのメンバーを指す。本明細書中で開示されるBMPサブファミリーのメンバーのいずれかは、本発明による処方物中に含まれ得る。
【0037】
TGF−βサブファミリーには、これらに限定されるものではないが、TGF(たとえば、TGF−β1、TGF−β2、及びTGF−β3)、アクチビン(たとえば、アクチビンA)及びインヒビン、マクロファージ阻害サイトカイン−1(MIC−1)、ミュラー阻害物質、抗ミュラーホルモン、及びグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)が含まれる。本明細書中で用いられる場合、「TGF−βサブファミリー」、「TGF−β」、「TGF−βリガンド」及びそれらの文法的に同等の語句は、特に別段の記載がない限り、TGF−βサブファミリーのメンバーを指す。
【0038】
次に、TGF−βスーパーファミリーは、システインノットサイトカインスーパーファミリーのサブセットである。システインノットサイトカインスーパーファミリーの更なるメンバーとしては、これらに限定されるものではないが、血小板由来成長因子(PDGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、胎盤成長因子(PIGF)、ノギン、ニューロトロフィン(BDNF、NT3、NT4、及びβNGF)、ゴナドトロピン、フォリトロピン、ルトロピン、インターロイキン−17、及びコアグロゲンが挙げられる。
【0039】
これらの配列、並びにそれらの化学的及び物理的特性を開示する刊行物としては次のものが挙げられる:BMP−7及びOP−2(米国特許第5,011,691号;米国特許第5,266,683号;Ozkaynak et al., EMBO J., 9, pp. 2085−2093(1990);OP−3(WO94/10203(PCT US93/10520))、BMP−2、BMP−4、(WO88/00205;Wozney et al. Science, 242, pp. 1528−1534(1988))、BMP−5及びBMP−6、(Celeste et al., PNAS, 87, 9843−9847(1990))、Vgr−1(Lyons et al., PNAS, 86, pp. 4554−4558(1989));DPP(Padgett et al. Nature, 325, pp. 81−84(1987));Vg−1(Weeks, Cell, 51, pp. 861−867(1987));BMP−9(WO95/33830(PCT/US95/07084);BMP−10(WO94/26893(PCT/US94/05290);BMP−11(WO94/26892(PCT/US94/05288);BMP−12(WO95/16035(PCT/US94/14030);BMP−13(WO95/16035(PCT/US94/14030);GDF−1(WO92/00382(PCT/US91/04096)及びLee et al. PNAS, 88, pp. 4250−4254(1991);GDF−8(WO94/21681(PCT/US94/03019);GDF−9(WO94/15966(PCT/US94/00685);GDF−10(WO95/10539(PCT/US94/11440);GDF−11(WO96/01845(PCT/US95/08543);BMP−15(WO96/36710(PCT/US96/06540);MP−121(WO96/01316(PCT/EP95/02552);GDF−5(CDMP−1、MP52)(WO94/15949(PCT/US94/00657)及びWO96/14335(PCT/US94/12814)及びWO93/16099(PCT/EP93/00350));GDF−6(CDMP−2、BMP13)(WO95/01801(PCT/US94/07762)及びWO96/14335及びWO95/10635(PCT/US94/14030));GDF−7(CDMP−3、BMP12)(WO95/10802(PCT/US94/07799)及びWO95/10635(PCT/US94/14030))。前記刊行物は、参照することにより本明細書中に組み込まれる。
【0040】
本明細書中で用いられる場合、「TGF−βスーパーファミリーメンバー」又は「TGF−βスーパーファミリータンパク質」とは、形質転換成長因子−β(TGF−β)スーパーファミリーのメンバーとして当業者等に公知のタンパク質を意味する。構造的に、そのようなタンパク質は、疎水性シグナル配列、数百のアミノ酸のN末端プロ領域、並びに可変N末端領域と、保存された6又は7システイン骨格を有する特徴的なシステインモチーフを有する約100のアミノ酸を含む高度に保存されたC末端領域とを含む成熟ドメインを含む大きな前駆体ポリペプチド鎖として発現されるホモダイマー又はヘテロダイマーである。これらの構造的に関連するタンパク質は、種々の発生事象に関与することが確認されている。
【0041】
「形態形成タンパク質」という用語は、真の形態発生活性を有するタンパク質のTGF−βスーパーファミリーに属するタンパク質を指す。例えば、そのようなタンパク質は、前駆細胞を誘導して増殖及び/又は局所環境キューに応じて、軟骨、骨、腱、靱帯、神経又は他の種類の分化組織の形成に至る分化経路における事象のカスケードを開始するようにすることができる。したがって、本発明で有用な形態形成タンパク質は、異なる環境において異なって挙動できる。ある実施形態では、本発明の形態形成タンパク質は、ホモダイマー種又はヘテロダイマー種であり得る。
【0042】
「骨形成タンパク質(OP)」という用語は、軟骨及び/又は骨を形成するように前駆細胞を誘導することもできる形態形成タンパク質を指す。骨は、膜性骨又は軟骨性骨であり得る。ほとんどの骨形成タンパク質は、BMPサブファミリーのメンバーであり、したがってBMPでもある。しかし、逆は真ではない可能性がある。本発明によれば、DNA配列相同性又はアミノ酸配列同一性により同定されるBMPは、機能的バイオアッセイにおいて骨形成タンパク質となる明らかな骨形成又は軟骨形成活性も有するはずである。適切なバイオアッセイは、当該技術分野で周知であり;特に有用なバイオアッセイは、異所性骨形成アッセイである(例えば、米国特許第5,011,691号;米国特許第5,266,683号を参照)。
【0043】
BMPは、長いプロドメイン、1以上の切断部位、及び成熟ドメインを含むプロタンパク質として天然に発現される。このプロタンパク質は次いで細胞機構によってプロセッシングされて、ダイマー成熟BMP分子を生成する。プロドメインは、BMPの正しいフォールディング及びプロセッシングを援助すると考えられる。さらに、全てではないが幾つかのBMPで、プロドメインは成熟ドメインを非共有結合することができ、シャペロン、並びに阻害剤として作用することができる(例えば、Thies et. al.(2001) Growth Factors, 18:251−259)。
【0044】
構造的に、BMPは、ダイマーシステインノットタンパク質である。各BMPモノマーは、複数の分子内ジスルフィド結合を含む。さらなる分子間ジスルフィド結合は、ほとんどのBMPにおける二量体化を媒介する。BMPはホモダイマーを形成することができる。いくつかのBMPはヘテロダイマーを形成することができる。
【0045】
BMPシグナル伝達は、BMPダイマーが2つのI型及び2つのII型セリン/トレオニンキナーゼ受容体を結合する場合に開始される。I型受容体としては、これらに限定されるものではないが、ALK−1、ALK−2(ActRla又はActRIとも呼ばれる)、ALK−3(BMPRIaとも呼ばれる)、及びALK−6(BMPRIbとも呼ばれる)が挙げられる。II型受容体としては、これらに限定されるものではないが、ActRIIa(ActRIIとも呼ばれる)、ActRIIb、及びBMPRIIが挙げられる。ヒトゲノムは、7つのI型及び5つのII型受容体を含む受容体セリン/トレオニンキナーゼファミリーの12のメンバーを含み、これらは全てTGF−βシグナリングに関与する(Manning et al., 2002、その開示は参照することによって本明細書中に組み込まれる)。BMP結合後、II型受容体はI型受容体をリン酸化し、I型受容体は転写因子のSmadファミリーのメンバーをリン酸化し、そしてSmadは核にトランスロケーションし、多くの遺伝子の発現を活性化する。
【0046】
BMPはまた、これらに限定されるものではないが、BAMBI(BMP及びアクチビン膜結合阻害剤)、BMPER(BMP結合内皮細胞前駆体由来の調節物質)、セルベルス、コルジン(cordin)、コルジン様、ダン(Dan)、ダンテ(Dante)、フォリスタチン、フォリスタチン関連タンパク質(FSRP)、エクトジン(ectodin)、グレムリン(gremlin)、ノギン、ダン及びセルベルスに関連するタンパク質(PRDC)、スクレロスチン、スクレロスチン様、及び子宮感作関連遺伝子−1(USAG−1)をはじめとする阻害剤、可溶性受容体、及び囮(decoy)受容体とも相互作用する。さらに、BMPは、補助受容体と相互作用することができ、例えばBMP−2及びBMP−4は補助受容体DRAGON(Samad et. al.(2005) J. Biol. Chem., 280:14122−14129)、並びに硫酸ヘパリン及びヘパリンなどの細胞外マトリックス成分を結合する(Irie et al. (2003) Biochem. Biophys. Res. Commun. 308: 858−865)。
【0047】
本明細書中で想定されるように、「BMP」という用語は、DNA相同性及びアミノ酸配列同一性に基づいて定義されるタンパク質のTGF−βスーパーファミリーのBMPサブファミリーに属するタンパク質を指す。本発明によれば、タンパク質は、BMPサブファミリーを特徴づける保存されたC末端のシステインリッチなドメイン内の既知BMPサブファミリーメンバーと少なくとも50%のアミノ酸配列同一性を有する場合にBMPサブファミリーに属する。BMPサブファミリーのメンバーは、全体的に50%未満のDNA又はアミノ酸配列同一性を有し得る。本明細書中で用いられる場合、「BMP」という用語はさらに、天然に存在する骨形成タンパク質のアミノ酸配列変異体、ドメイン交換変異体、並びにトランケーション及び活性フラグメントであるタンパク質、並びにBMP−2/7;BMP−4/7:BMP−2/6;BMP−2/5;BMP−4/7;BMP−4/5;及びBMP−4/6ヘテロダイマーなどの2つの異なるモノマーBMPペプチドから形成されるヘテロダイマータンパク質を指す。好適なBMP変異体及びヘテロダイマーには、US2006/0235204;WO07/087053;WO05/097825;WO00/020607;WO00/020591;WO00/020449;WO05/113585;WO95/016034及びWO93/009229で記載されているものが含まれる。
【0048】
一実施形態によれば、本発明による処方物において用いられるBMPは、対応する野生型BMPタンパク質配列と、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を維持し得る。
【0049】
一実施形態によれば、本発明による処方物で使用されるBMPは、対応する野生型BMPタンパク質配列のC末端領域の保存されたシステインドメインと少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を維持し得る。
【0050】
「対応する野生型タンパク質」により、修飾されたBMPの野生型バージョンを意味する。たとえば、修飾されたBMPが修飾されたBMP−7であるならば、対応する野生型BMPは野生型BMP−7である。
【0051】
2つのアミノ酸配列又は2つの核酸の同一性(%)を決定するために、最適比較目的で配列を整列させる(たとえば、第2アミノ酸又は核酸配列との最適アラインメントのために、第1アミノ酸又は核酸配列の配列中にギャップを導入することができる)。2つの配列間の同一性(%)は、配列が共有する同じ位置の数の関数である(すなわち、%相同性=同じ位置の数/位置の合計数×100)。2つの配列間の相同性(%)の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。2つの配列の比較のために用いられる数学的アルゴリズムの好ましい非限定的例は、Karlin and Altschul(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873−77で記載されているようにして変更された、Karlin and Altschul(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264−68のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschul, et al.(1990) J. Mol. Biol. 215:403−10のNBLAST及びXBLASTプログラム中に組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実施することができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実施することができる。比較目的でギャップ付アラインメントを得るために、Gapped BLASTをAltschul et al.,(1997) Nucleic Acids Research 25(17):3389−3402で記載されているようにして用いることができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラムのデフォルトパラメータ(たとえば、XBLAST及びNBLAST)を用いることができる。
【0052】
治療用途
固体形態の本発明のBMP処方物を、ヒトなどの哺乳動物患者中に移植して、種々の状態を治療することができる。本発明のBMP処方物を、固体、ゲル若しくはペースト形態で移植することができるか、又はゲル、ペースト若しくは液体形態で患者に注射することができる。
【0053】
本発明のBMP処方物は多種多様な状態を治療するために有用である。たとえば、BMPを含む処方物を用いて、外傷又は炎症性疾患に起因するかどうかにかかわらず、軟骨変性をはじめとする骨格の障害を治療することができる。たとえば、本発明の処方物によって治療可能な疾患としては、関節リウマチ(RA)及び変形性関節症(OA)、並びに全身性紅斑性狼瘡(SLE)及び強皮症などの自己免疫疾患が挙げられる。
【0054】
本発明のBMP処方物は、骨格の疾患又は傷害を治療するために有効に用いることができる。たとえば、処方物を用いて、開放骨折又は閉鎖骨折などの骨折を治療することができる。閉鎖骨折の治療に関して、処方物を好ましくは骨折部位で注射する。開放骨折、重大なサイズ欠陥又は持続性偽関節に関して、処方物を外科的移植により骨折部位で投与することができる。どちらの場合も、処方物を単独、或いは好適な担体、マトリックス又は足場、たとえば骨セメント、リン酸カルシウム材料、ゲル材料若しくはコラーゲンマトリックスとの組み合わせで投与することができる。好適な担体、マトリックス及び足場には、米国特許第6,919,308号;第6,949,251号;及び第7,041,641号で開示されているものが含まれる。
【0055】
好ましい実施形態では、本発明のBMP処方物を用いて、軟骨退化又は軟骨欠損の原因となる疾患又は傷害を治療することができる。たとえば、処方物を軟骨欠損部位、たとえば変性椎間板、又は腱、靱帯若しくは半月板をはじめとする他の線維軟骨組織に適用することができる。そのような方法は、米国特許第6,958,149号に記載されている。本発明の処方物はまた、公開されたPCT出願WO05/115438に記載されているように、関節軟骨、たとえば膝、肘、腰、又は肩を含む滑膜性の連結等の関節の内層(lining)の欠損又は変性を治療するために用いることもできる。この実施形態では、処方物を、好ましくは関節の滑膜腔中に注射する。別の実施形態では、本発明の処方物を用いて、関節における関節軟骨欠損部位、たとえば軟骨欠損又は骨軟骨欠損を治療する。そのような関節軟骨欠損は、変形性関節症若しくは関節リウマチなどの疾患経過の結果であり得るか、又は関節の傷害のためであり得る。この実施形態では、処方物を関節腔中に注射することができるか、又は外科的に移植することができる。たとえば、処方物を欠陥内に単独或いは1以上のさらなる活性剤、支持マトリックス若しくは足場、又は骨髄間質細胞と組み合わせて配置することができる。処方物を、場合によって好適な被膜、たとえば筋肉弁又は生体吸収性(bioresorbable)膜、たとえばコラーゲン膜で覆うことができる。
【0056】
当業者には理解されるように、治療組成物において記載される化合物の濃度は、これらに限定されるものではないが、投与される薬剤の投薬量及び投与経路をはじめとする多くの因子によって変わるであろう。投与される薬剤の好ましい投薬量はまた、これらに限定されるものではないが、疾患の種類及び程度、組織損失又は欠損、特定の患者の全体的な健康状態、選択された化合物の相対的な生物学的有効性、化合物の処方、処方物中の賦形剤の存在及び種類、並びに投与経路をはじめとする変数に依存する可能性が高い。本発明を個体に提供することができ、この場合、典型的な用量は、1日につき体重1kgあたり約10ng〜約1gの範囲であり;好ましい用量範囲は、体重1kgあたり約0.1mg〜100mgであり、さらに特に好ましい投薬量範囲は10〜1000μg/用量である。特に好ましい実施形態では、10〜1000μgのBMP−7の投与量を変形性関節症にかかった個体に投与する。
【0057】
さらに、後述するように、タンパク質処方物、好ましくは本発明のBMP処方物を用いて、非骨格組織の疾患又は傷害を治療することができる。本発明によってさらに想定されるように、BMPは哺乳動物における骨形態形成及び、骨又は骨軟骨とは異なる種々の組織の組織形態形成の発生カスケードを誘導することができる。この形態発生活性は、前駆細胞の増殖及び分化を誘導する能力、並びに骨、軟骨、非ミネラル化骨格又は結合組織、及び他の成体組織の形成をもたらす事象の進行を通して分化型表現型を支持し、維持する能力を含む。
【0058】
たとえば、代謝性骨疾患において骨量の損失を防止する及び/又は骨量を増加させるための治療をするためにBMPを用いることができる。骨形成タンパク質を用いた代謝性骨疾患における骨量の損失を防止する及び/又は骨量を増加させるための治療の一般的方法は、米国特許第5,674,844号で開示され、その開示は参照することによって本明細書中に組み込まれる。本発明のBMPを、歯周組織再生のために使用することができる。骨形成タンパク質を用いた歯周組織再生のために一般的方法は、米国特許第5,733,878号に開示され、その開示は、参照することによって本明細書中に組み込まれる。BMPを肝臓再生に用いることができる。骨形成タンパク質を用いた肝臓再生のための一般的方法は、米国特許第5,849,686号に開示され、その開示は、参照することによって本明細書中に組み込まれる。BMPを慢性腎不全の治療に用いることができる。骨形成タンパク質を用いた慢性腎不全の治療のための一般的方法は、米国特許第6,861,404号に開示され、その開示は、参照することによって本明細書中に組み込まれる。中枢神経系虚血又は外傷後の機能的回復を強化するために、BMPを用いることができる。骨形成タンパク質を用いて中枢神経系虚血又は外傷後の機能回復を強化するための一般的方法は、米国特許第6,407,060号に開示され、その開示は、参照することによって本明細書中に組み込まれる。樹状突起成長を誘導するためにBMPを用いることができる。骨形成タンパク質を用いて樹状突起成長を誘導するための一般的方法は、米国特許第6,949,505号で開示され、その開示は、参照することによって本明細書中に組み込まれる。神経細胞接着を誘導するためにBMPを用いることができる。骨形成タンパク質を用いて神経細胞接着を誘導するための一般的方法は、米国特許第6,800,603号で開示され、その開示は、参照することによって本明細書中に組み込まれる。パーキンソン病の治療及び予防のためにBMPを用いることができる。骨形成タンパク質を用いてパーキンソン病を治療及び予防するための一般的方法は、米国特許第6,506,729号に開示され、その開示は、参照することによって本明細書中に組み込まれる。
【0059】
別の例として、BMPはまた、象牙質形成を誘導するためにも用いることができる。今日まで、歯髄組織の傷害に対する予測不可能な反応は、歯科学における基本的臨床問題である。さらに別の例として、BMPは、中枢神経系(CNS)修復に対して再生効果を誘導することができ、これはラット脳穿刺モデルを用いて評価することができる。
【実施例】
【0060】
実施例1 グリシルグリシン緩衝液及び酒石酸緩衝液は、BMPの増大する濃度でBMP処方物のpHを安定化させる。
【0061】
緩衝液が高濃縮BMP処方物で観察されるpHの増加を軽減する可能性を評価するために、例示的BMP、BMP−7を用いて6種類の緩衝液を試験した:酒石酸(pKa2.98、4.34)、グリシルグリシン(pKa3.14)、リンゴ酸(pKa3.40)、乳酸(pKa3.86)、アスパラギン酸(pKa3.90)、及びコハク酸(pKa4.21)。
【0062】
各緩衝液を10mMの濃度で調製し、必要に応じて1NのHCl又は1NのNaOHでpHを調節して、最終pH3.0を得た。各緩衝液はまた、9%のトレハロースを含んでいた。50mMの酢酸中BMP−7(1.6mg/mL)を10mg/mLまで濃縮し、次いで6種類の緩衝液のそれぞれに透析した。透析後、各緩衝液中のタンパク質濃度は15〜16mg/mLであった。室温でのタンパク質の濃度及びpHを各緩衝液について測定した。その後、タンパク質溶液のそれぞれをそれらの各緩衝液で8mg/mL及び1mg/mLまで希釈した。室温でのpH及びタンパク質濃度を希釈濃度のそれぞれで測定した。BMP−7濃度の関数としてのpHの結果を図1に示す。
【0063】
図1に示されるように、リンゴ酸、乳酸、アスパラギン酸、及びコハク酸の緩衝液について、BMP−7の濃度が増加するにつれ、pHにおいて望ましくない増加が観察される。対照的に、酒石酸又はグリシルグリシンの緩衝液では、BMP−7の濃度が増加するにつれて有意な増加は観察されない。したがって、BMP−7を緩衝液に添加することに起因するpHの増加を軽減するために、酒石酸又はグリシルグリシンのいずれかを緩衝剤として用いることができる。
【0064】
実施例2 グリシルグリシン緩衝液及び酒石酸緩衝液は凝集を軽減することによって長時間にわたりBMP液体処方物に安定性を付与する
液体安定性研究を実施して、例示的BMPであるBMP−7と、10mMのグリシルグリシン(pH3.1)、10mMの酒石酸塩(pH3.1)、10mMの乳酸塩(pH3.5)、10mMの乳酸塩と10mMのNaCl(pH3.1)、及び10mMの乳酸塩と10mMのNaCl及び20mMのメチオニン(pH3.1)の緩衝液を使用し、BMP処方物中のタンパク質凝集を評価した。凝集をはじめとするタンパク質における変化を最小限に抑える処方物は、凍結乾燥製剤の改善された安定性及びコンシステンシーを提供する。BMP−7濃度は16mg/mLであった。処方物を加速された安定性条件下、40℃で4週間保持した。液体処方物におけるBMP−7の凝集率(%)をサイズ排除クロマトグラフィーにより測定し、結果を図2に示す。
【0065】
図2に示すように、pH3.1でグリシルグリシン緩衝液を含む処方物は、4週間にわたって最低の凝集増加率を示し、このことは、グリシルグリシンが試験した他の緩衝液よりも高い安定性をBMP−7処方物に付与することを示す。
【0066】
実施例3 グリシルグリシン緩衝液及び酒石酸緩衝液は凝集を減少させることによって長時間にわたりBMP凍結乾燥処方物に安定性を付与する。
【0067】
凍結乾燥液体並びに凍結乾燥BMP及び緩衝液処方物の両方の加速された安定性試験を実施して、例示的BMPであるBMP−7を用い、10mMのグリシルグリシンHCl(pH3.1)、10mMの酒石酸塩(pH3.1)、10mMの乳酸塩(pH3.1)、10mMの乳酸塩と10mMのNaCl(pH3.1)、並びに10mMの乳酸塩と10mMのNaCl及び20mMのメチオニン(pH3.1)の緩衝液を含む処方物中で、BMPの凝集を評価した。BMP−7濃度は、1mg/mL又は16mg/mLのいずれかであった。液体安定性研究用の処方物をバイアル中に分注し、そして40℃で2ヶ月間保持するか、又は凍結乾燥し、40℃で6ヶ月間保持した。
【0068】
図3Aに示すように、乳酸塩とメチオニン及びグリシルグリシンを含むBMP−7処方物は、6ヶ月、1mg/mLで、これらの処方緩衝液について最低の凝集率を有していた。図3Bで示すように、16mg/mLで、試験した全ての緩衝液についてタンパク質凝集において増加が観察された。最低の凝集は、酒石酸塩を含む処方物中で見られた。この実施例は、10mMの乳酸塩を含む処方物と比較して、10mMのグリシルグリシン、9%のトレハロースを含むBMP−7処方物、pH3.0及び10mMの酒石酸塩、9%のトレハロースを含むBMP−7処方物、pH3.0に関連して改善された安定性を示した。
【0069】
実施例4 グリシルグリシン及び酒石酸緩衝液処方物からのBMPは生物学的活性を有する。
【0070】
40℃で6ヶ月間保持されたBMP及びグリシルグリシン緩衝液又は酒石酸緩衝液の溶液からのBMPが、ラット骨肉腫細胞系ROS17/2.8においてアルカリホスファターゼ(ALP)活性を誘導する能力を分析する。例示的BMPであるBMP−7を9ポイント用量反応において3連で試験する。特に、ROS17/2.8細胞を96ウェル組織培養プレート中に蒔く。グリシルグリシン溶液又は酒石酸溶液からのBMPを以下の投薬量:6000、2000、666、222、74、24、8、2、及び0.9ng/mlで細胞に添加し、そして48時間インキュベートする。細胞をその後溶解させ、BMP−7がALP活性を誘導する効力を試料の平均光学密度(OD)の非線形回帰から誘導されたEC50に基づいて評価する。グリシルグリシン溶液及び酒石酸溶液からの例示的BMPであるBMP−7はどちらも強力な生物学的活性を示す。
【0071】
実施例5 グリシルグリシン緩衝液を含むBMP処方物
BMP、例えばBMP−7を用いた透析、タンジェンシャルフロー濾過、又は限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)プロセスにより緩衝液交換を実施することにより、本発明による処方物を調製する。10mLの透析緩衝液中100mgのBMP−7を300mLの10mMのグリシルグリシン緩衝液、9%のトレハロース、及び20mMのメチオニン(pH3.0±0.2)に対して透析する(透析緩衝液を3回替える)。500mLの10mMのグリシルグリシン−HCl溶液(pH2.6)を210mLの10mMのグリシルグリシン(pH5.7)と混合することにより、グリシルグリシン緩衝液を調製する。BMP−7の結果としての濃度を、透析緩衝液を用いて1mg/mL(約100mL)に調節し、0.01%のポリソルベート20又は0.01%のポリソルベート80を添加する(最終pH3.0±0.2)。同様に、約10mL〜1000mLの透析緩衝液中約100mg〜10gのBMP−7をUF/DFにより約10×体積の10mMのグリシルグリシン緩衝液に対して交換する。トレハロース、メチオニン、及び/又はポリソルベート20などのさらなる処方物の構成成分を所望の量まで添加する。処方緩衝液を用いて処方物を所望の濃度まで希釈し、最終処方物のpHは3.0±0.2である。
【0072】
実施例6 酒石酸緩衝液を含むBMP処方物
BMP、例えばBMP−7を用いた透析又はタンジェンシャルフロー濾過により緩衝液交換を実施することによって、本発明による処方物を調製する。10mLの透析緩衝液中100mgのBMP−7を300mLの10mMの酒石酸緩衝液、9%のトレハロース、及び20mMのメチオニン(pH3.0±0.2)に対して透析する(透析緩衝液を3回交換する)。840mLの10mMの酒石酸溶液を310mLの10mMの酒石酸カリウムナトリウム(pH7.2)と混合することによって酒石酸緩衝液を調製する。透析緩衝液を用いてBMPの結果としての濃度を1mg/mL(約100mL)に調節し、0.01%のポリソルベート20又は0.01%のポリソルベート80を最終pH3.0±0.2で添加する。同様に、約10mL〜1000mL中約100mg〜約10gのBMP−7をUF/DFにより約10×体積の10mMの酒石酸塩緩衝液に対して交換する。トレハロース、メチオニン、及び/又はポリソルベート20などのさらなる処方物の構成成分を所望の量まで添加する。処方緩衝液を用いて処方物を所望の濃度まで希釈し、最終処方物のpHは3.0±0.2である。
【0073】
実施例7 酒石酸緩衝液及びトレハロースを含むBMP処方物
本明細書中で示されるように、グリシルグリシン及び酒石酸塩は、BMP−7処方物のpHを乳酸塩よりも更に有効に制御し、製剤の処方において有利であり得る。グリシルグリシン及び酒石酸塩中の凍結乾燥されたBMP−7の安定性を評価するために、長期凍結乾燥安定性研究を開始した。
【0074】
3ロットのBMP−7を、10mMの乳酸塩、9%のトレハロース、pH3.0中;10mMのグリシルグリシン、9%のトレハロース、pH3.0中;又は10mMの酒石酸塩、9%のトレハロース、pH3.0中のいずれかで1mg/mLにて処方した。全処方物のpHを3.0±0.2以内に制御した。処方した製剤を凍結乾燥し、長期安定性研究を5℃又は30℃で開始した。3ロットの安定性を2、6、及び9ヶ月にわたって評価した。
【0075】
乳酸塩を含む処方物におけるBPM−7凝集は、当初はグリシルグリシン又は酒石酸塩中よりも高かった。処方物のいずれについても5℃で凝集に関連する変化はなかった。30℃で全ての処方物について凝集が増加し、最低の凝集は、グリシルグリシンを含む処方物について観察された(図4を参照)。結果は、10mMのグリシルグリシン又は10mMの酒石酸塩を含むBMP−7処方物が、10mMの乳酸塩での緩衝と比較して、凍結乾燥製剤の安定性を改善できることを示唆する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨形成タンパク質及び水性グリシルグリシン緩衝液を含む溶液。
【請求項2】
前記骨形成タンパク質が、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、GDF−5、GDF−6及びGDF−7から選択される、請求項1記載の溶液。
【請求項3】
前記溶液のpHが約2.5〜約4.0である、請求項1記載の溶液。
【請求項4】
前記溶液のpHが、約2.8〜約3.5である、請求項1記載の溶液。
【請求項5】
前記溶液のpHが、約2.8〜約3.2である、請求項1記載の溶液。
【請求項6】
前記緩衝液が、約1mM〜約100mMのグリシルグリシン濃度を有する、請求項1記載の溶液。
【請求項7】
前記緩衝液が、約2mM〜約20mMのグリシルグリシン濃度を有する、請求項1記載の溶液。
【請求項8】
前記緩衝液が、約5mM〜約15mMのグリシルグリシン濃度を有する、請求項1記載の溶液。
【請求項9】
前記緩衝液が、約10mMのグリシルグリシン濃度を有する、請求項1記載の溶液。
【請求項10】
40℃で6ヶ月間の貯蔵に際して、pHが約0.2pH単位を超えて変化しない、請求項1記載の溶液。
【請求項11】
40℃で36ヶ月の貯蔵に際して、pHが約0.2pH単位を超えて変化しない、請求項1記載の溶液。
【請求項12】
前記骨形成タンパク質の濃度が約1mg/mL〜約20mg/mLである、請求項1記載の溶液。
【請求項13】
前記タンパク質の濃度が約0.1mg/mL〜約20mg/mLである、請求項1記載の溶液。
【請求項14】
前記タンパク質の濃度が約0.1mg/mL〜約1mg/mLである、請求項1記載の溶液。
【請求項15】
前記タンパク質の濃度が約0.1mg/mL〜約40mg/mLである、請求項1記載の溶液。
【請求項16】
リオプロテクタントをさらに含む、請求項1記載の溶液。
【請求項17】
前記リオプロテクタントが糖である、請求項16記載の溶液。
【請求項18】
前記リオプロテクタントが、マンニトール、ラクトース、スクロース及びトレハロース並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16記載の溶液。
【請求項19】
前記リオプロテクタントがトレハロースである、請求項18記載の溶液。
【請求項20】
前記トレハロースが約1%〜約15%(w/v)の量で存在する、請求項19記載の溶液。
【請求項21】
前記トレハロースが約3%〜約9%の量で存在する、請求項20記載の溶液。
【請求項22】
酸化防止剤をさらに含む、請求項1記載の溶液。
【請求項23】
前記酸化防止剤が、メチオニン、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、グルタチオン、m−クレゾール及びチオグリセロールからなる群から選択される、請求項22記載の溶液。
【請求項24】
請求項1記載の溶液を凍結乾燥するステップを含む方法により製造される固体組成物。
【請求項25】
(i)骨形成タンパク質;及び
(ii)グリシルグリシン、グリシルグリシン塩、又はそれらの組み合わせを含む、固体組成物。
【請求項26】
前記グリシルグリシン塩がグリシルグリシンHClである、請求項25記載の固体組成物。
【請求項27】
リオプロテクタントをさらに含む、請求項25記載の固体組成物。
【請求項28】
前記リオプロテクタントが糖である、請求項27記載の固体組成物。
【請求項29】
前記リオプロテクタントが、マンニトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27記載の固体組成物。
【請求項30】
前記リオプロテクタントがトレハロースである、請求項29記載の固体組成物。
【請求項31】
骨形成タンパク質のトレハロースに対する比が、約7×10−5:1〜約1.3:1(w/w)である、請求項30記載の固体組成物。
【請求項32】
骨形成タンパク質のグリシルグリシン、グリシルグリシン塩、又はそれらの組み合わせに対する比が、約8×10−4:1〜約310:1(w/w)である、請求項25記載の固体組成物。
【請求項33】
酸化防止剤をさらに含む、請求項25記載の固体組成物。
【請求項34】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、グルタチオン、m−クレゾール、チオグリセロール及びメチオニンからなる群から選択される、請求項33記載の固体組成物。
【請求項35】
骨形成タンパク質及び水性酒石酸緩衝液を含む溶液。
【請求項36】
前記骨形成タンパク質が、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、GDF−5、GDF−6及びGDF−7から選択される、請求項35記載の溶液。
【請求項37】
前記溶液のpHが約2.5〜約4.0である、請求項35記載の溶液。
【請求項38】
前記溶液のpHが約2.8〜約3.5である、請求項35記載の溶液。
【請求項39】
前記溶液のpHが約2.8〜約3.2である、請求項35記載の溶液。
【請求項40】
前記緩衝液が約1mM〜約100mMの酒石酸濃度を有する、請求項35記載の溶液。
【請求項41】
前記緩衝液が約2mM〜約20mMの酒石酸濃度を有する、請求項35記載の溶液。
【請求項42】
前記緩衝液が約5mM〜約15mMの酒石酸濃度を有する、請求項35記載の溶液。
【請求項43】
前記緩衝液が約10mMの酒石酸濃度を有する、請求項35記載の溶液。
【請求項44】
40℃で6ヶ月間の貯蔵に際して、pHが約0.2pH単位を超えて変化しない、請求項35記載の溶液。
【請求項45】
40℃で36ヵ月間の貯蔵に際して、pHが約0.2pH単位を超えて変化しない、請求項35記載の溶液。
【請求項46】
前記骨形成タンパク質の濃度が約0.01mg/mL〜約40mg/mLである、請求項35記載の溶液。
【請求項47】
前記タンパク質の濃度が約1mg/mL〜約20mg/mLである、請求項35記載の溶液。
【請求項48】
前記タンパク質の濃度が約0.1mg/mL〜約1mg/mLである、請求項35記載の溶液。
【請求項49】
前記タンパク質の濃度が約0.1mg/mL〜約20mg/mLである、請求項35記載の溶液。
【請求項50】
リオプロテクタントをさらに含む、請求項35記載の溶液。
【請求項51】
前記リオプロテクタントが糖である、請求項50記載の溶液。
【請求項52】
前記リオプロテクタントが、マンニトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項51記載の溶液。
【請求項53】
前記リオプロテクタントがトレハロースである、請求項52記載の溶液。
【請求項54】
前記トレハロースが約1%〜約15%(w/v)の量で存在する、請求項53記載の溶液。
【請求項55】
前記トレハロースが約9%の量で存在する、請求項54記載の溶液。
【請求項56】
酸化防止剤をさらに含む、請求項35記載の溶液。
【請求項57】
前記酸化防止剤が、メチオニン、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、グルタチオン、m−クレゾール、及びチオグリセロールからなる群から選択される、請求項56記載の溶液。
【請求項58】
請求項35記載の溶液を凍結乾燥するステップを含む方法により製造される固体組成物。
【請求項59】
(i)骨形成タンパク質;及び
(ii)酒石酸、酒石酸塩又はそれらの組み合わせ
を含む、固体組成物。
【請求項60】
リオプロテクタントをさらに含む、請求項59記載の固体組成物。
【請求項61】
前記リオプロテクタントが糖である、請求項60記載の固体組成物。
【請求項62】
前記リオプロテクタントが、マンニトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項61記載の固体組成物。
【請求項63】
前記リオプロテクタントがトレハロースである、請求項62記載の固体組成物。
【請求項64】
骨形成タンパク質のトレハロースに対する比が、約7×10−5:1〜約1.3:1(w/w)である、請求項63記載の固体組成物。
【請求項65】
骨形成タンパク質の酒石酸、酒石酸塩、又はその組み合わせに対する比が、約7×10−4:1〜約270:1(w/w)である、請求項64記載の固体組成物。
【請求項66】
酸化防止剤を更に含む、請求項59記載の固体組成物。
【請求項67】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、グルタチオン、m−クレゾール、チオグリセロール及びメチオニンからなる群から選択される、請求項66記載の固体組成物。
【請求項68】
骨形成タンパク質、水性緩衝液、並びにプロリン、グリシン、バリン、イソロイシン、及びロイシンからなる群から選択される安定剤を含む溶液。
【請求項69】
前記安定剤がプロリンを含む、請求項68記載の溶液。
【請求項70】
(i)骨形成タンパク質;
(ii)グリシルグリシン塩又は酒石酸塩;及び
(ii)プロリン、グリシン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリンの塩、グリシンの塩、バリンの塩、イソロイシンの塩、又はロイシンの塩からなる群から選択される化合物
を含む、固体組成物。
【請求項71】
前記化合物がプロリン又はプロリンの塩である、請求項70記載の固体組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−518808(P2013−518808A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529917(P2012−529917)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/049229
【国際公開番号】WO2011/035094
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(595148888)ストライカー コーポレイション (52)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER CORPORATION
【Fターム(参考)】