説明

骨格ブロックの嵌合構造

【課題】 骨格ブロックを組み付けて構成した空間保持骨格ブロック構造体の強度が高く、また、作業者による組み立て時の作業性に優れた骨格ブロックの嵌合構造を提供する。
【解決手段】 基板3の支柱との嵌合部側に、支柱5が挿入可能な筒状の凸部37を形成する。この場合、支柱5は、凸部37に挿入され、支柱5の外周面が凸部37によって保持される。また、支柱5の先端は、凸部37の内周方向の基板3上面と当接する。凸部37は、支柱5の挿入時のガイドとしての機能と、筒状部が基板の断面を補強することから、基板3(支柱の嵌合部7)の補強の機能を有する。また、凸部37の内周面を支柱5の外周のテーパ形状に対応するテーパ形状とすることで、支柱5を支柱の嵌合部7に挿入した際に、支柱5の端面が受け部33で保持されるとともに、支柱5の先端部近傍の外側面が支柱の嵌合部7の内面と面接触し、より確実に支柱5を保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルあるいは集合住宅、特に団地、学校、病院等において、雨水等を防火用や散水用、あるいは洪水防止用等として使用すべく貯水するための水貯留施設に用いられる骨格ブロックの嵌合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、大きなビルや団地周辺の空き地や自転車置き場の地下等において、降った雨を貯水する貯水施設が種々設けられている。その1つのタイプは、降水を一時的に貯水施設に貯えておいて、少しずつ下水に流したり、周囲に浸透させて都市型の洪水を防ぐ目的で設けられているもの(一時貯水型)である。もう一つのタイプは、貯水施設に貯めた雨水を防火水として、あるいは花壇、菜園等の散水用として利用する目的で設けられたもの(貯水型)である。
特に昨今では、夏季の水不足に備えて、新しくビルや団地を建設する場合には、しばしばこの種の水貯水施設が設けられるようになってきている。
【0003】
この種の典型的な例として特許文献1に記載の貯水施設がある。これは前述した前者のタイプ、すなわち、都市型の洪水を防ぐ目的のための一時貯水型の貯水施設である。
これは図11に示すように、予め地面43を掘り下げて、例えば平面形状が長方形の掘穴47を形成し、しかる後この掘穴47の内表面を砂利や不織布等で覆い内張層を形成する。尚、貯水型の雨水等の貯留施設であれば防水シ−トで覆う。
【0004】
内張層を形成したら掘穴47内に骨格ブロック41を上下縦横に組み付け、その内部に貯水空間を有する空間保持骨格ブロック構造体を形成する。空間保持骨格ブロック構造体ができ上がったら、最後に空間保持骨格ブロック構造体上に、砂利や土を埋め戻して被覆層45を形成する。
図11においては、流入口49より雨水等が雨水貯留槽40へ流入し、流出口51より雨水貯留層内の水が外部へ流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−352080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、雨水地下浸透用貯留設備に用いられる収装用ブロックであり、基板部に高さの異なる筒体を4本突設し、上下に反転させた際に筒体先端部の係合用部同士が係合させ、対向する上下の筒体部の高さの和がすべて等しくなるように筒体同士を突き合わせたユニット部材に関するものである。
【0007】
図12は、このような骨格ブロックの一例である骨格ブロック41(41a、41b)を示す分解斜視図である。骨格ブロック41は、基板61および四本の支柱63等から構成される。基板61は矩形板状の部材であり、透水可能な複数の孔67が形成される。基板61の一方の側の4隅近傍には支柱63が立設される。支柱63の上面には、凹部69および凸部71が対角線上の支柱63にそれぞれ設けられる。
【0008】
図12に示す例では、支柱63が上方に向くように骨格ブロック41bを下段に配置し、その上方に、支柱63が下方に向くように骨格ブロック41aを配置する。この際、骨格ブロック41a、41bの互いの支柱63の先端同士が当接する。以上を繰り返して骨格ブロック41が上下方向に組上げられる。この際、互いに向かい合う骨格ブロック41aと骨格ブロック41bとの支柱63同士の当接部において、凹部69と凸部71が嵌合する。これにより、支柱63先端のずれが抑制される。
【0009】
しかし、このような骨格ブロック41は、単に支柱63先端同士を係合するものである。また支柱63先端同士を係合するため、係合部は、そもそも水平方向のせん断力に弱くずれ安い部分同士の係合となる。また、支柱63の頂面に係合部を設ける必要があることから、突起71は支柱63外径よりも小さくする必要がある。このため、突起71の水平方向に対するせん断強度は、支柱63自体が有する強度よりもさらに弱くなる。また、支柱63先端同士の当接であるため、基板間隔が支柱63高さの2倍となる。したがって、このような骨格ブロック41を用いた貯留設備では、土圧などの水平方向のせん断力に対して崩れなどの恐れがある。また、支柱63の先端に係合部を設ける必要があることから、支柱63部内に水や空気が溜まってしまい、このような骨格ブロック41を用いた場合には、貯留槽への水の貯留を効率良く行うことができないという問題がある。
【0010】
このような問題に鑑み、本発明は、骨格ブロックを組み付けて構成した空間保持骨格ブロック構造体の強度が高く、また、作業者による組み立て時の作業性に優れた骨格ブロックの嵌合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく第1の発明は、平板状の基板と、前記基板に立設された一対の支柱と、前記基板に設けられ前記支柱の先端が嵌合可能な一対の基板側嵌合部とを有する雨水貯水施設に使用される骨格ブロックの嵌合構造であって、前記支柱の先端部には、前記支柱の中心方向に折曲げられた折曲げ部が形成され、前記基板側嵌合部は、前記基板上に突出する筒状の凸部であり、前記支柱の先端は、前記凸部と嵌合することを特徴とする骨格ブロックの嵌合構造である。なお、基板側嵌合部は、前記支柱が立設された側に設けられることが望ましい。
【0012】
前記支柱の先端は、筒状の前記凸部に挿入され、前記支柱の外周面が前記凸部によって保持され、前記支柱の先端は、前記凸部の内周方向の前記基板上面と当接してもよく、この場合、前記基板側嵌合部には孔が設けられ、前記孔には、前記折り曲げ部の内周面に接するように棒状部材が挿入され、前記支柱の外周部が前記凸部の内周部により保持され、前記支柱の内周部および前記基板が前記棒状部材により保持されてもよい。
【0013】
前記凸部は、前記支柱の先端の前記折曲げ部の内周部に挿入され、前記折曲げ部の内周面が前記凸部によって保持され、前記支柱の先端は、前記凸部の外周方向の前記基板上面と当接してもよく、この場合、前記基板側嵌合部には孔が設けられ、前記孔には棒状部材が挿入され、前記折り曲げ部の内周面が前記凸部の外周部により保持され、前記基板が前記棒状部材により保持されてもよい。
前記基板の前記支柱および前記基板側嵌合部の外周には、外径方向にリブが形成されてもよい。
【0014】
本発明によれば、支柱の位置がX1=A/4±A/24かつ、Y1=B/4±B/24であるため、水平方向に対してのせん断強度に優れるとともに、組み上げられた際の骨格ブロックの安定性に優れる。特に、組み上げられた状態での骨格ブロックは、水平方向のせん断力に対して最もずれやすいのは支柱先端となる。しかしながら、本発明によれば、最も水平方向のせん断力に対してずれやすい支柱先端が直接基板と嵌合するため、水平方向のせん断力に対して直接基板全体が力を受け持つことができる。
【0015】
また、支柱は、先端に行くにつれて縮径するテーパ形状であり、かつ、先端に行くにつれて肉厚が厚くすることにより、鉛直方向の強度を向上させることができる。この際、テーパ角度は2〜6°であり、かつ、支柱下端の基底部での肉厚に対する支柱先端の折り曲げ部の直下(支柱先端部)の肉厚の比率(以下支柱上下端の肉厚比)が、支柱下端の基底部から支柱先端部の直下に向けて連続的に増加させて1.2倍以上1.4倍以下とすれば、より効率良く強度向上の効果を得ることができる。また、このように支柱が基板に対して直角ではなく、所定角度のテーパ形状を有しているために、支柱基底部に応力集中を緩和して水平方向のせん断力による支柱基底部の変形を防止することができ、前記支柱上下端の肉厚の比率が1.2から1.4の範囲になるように連続的に肉厚が増加しているので、支柱基底部から上端部までの特定の個所に応力集中することがなく、強度も向上しているので、支柱が座屈することがない。
【0016】
なお、基板側嵌合部の底部に支柱受け部を形成すれば、基板側嵌合部と支柱との嵌合時に確実に支柱と基板側嵌合部とを嵌合させることができ、また、支柱がテーパを有する場合には、支柱のテーパ面と基板側嵌合部の縁部との接触と相まって、支柱と基板側嵌合部とをより確実に嵌合することができる。
【0017】
また、基板に嵌合突起および嵌合穴が形成され、第1の中心線と第2の中心線とで区分される4つの各区域の基板の外周端部にそれぞれ少なくとも1つずつ、第1の中心線及び前記第2の中心線それぞれに対称に形成されるため、基板同士を対向させて嵌合させた際に、水平方向のせん断応力が各区画に分散され、また、基板の中心を起点に90度回転させた際に、前記嵌合突起に対応する位置に嵌合穴が形成されているため、基板同士を向き合せて互いの嵌合突起および嵌合穴が嵌合することで水平方向のずれを防止し、支柱の先端同士と支柱の基底部同士を上下方向に基板に対して対向する方向で配置することができる。具体的には、支柱の先端同士を上下方向に基板の支柱受け部を介して基板に対して対向配置できる。また、支柱の基底部同士を上下方向に対向して基板を配置できる。
【0018】
このように、基板に嵌合突起および嵌合穴が第1の中心線及び前記第2の中心線それぞれに線対称に形成され、さらに基板の中心に対して90回転対称に形成されているために、基板と支柱の上下方向の配置を制御できる。もし、基板の中心に対して90回転対称性を有する構造を確保しないと、支柱の先端と基底部を対向する組み合わせと、前記支柱の先端同士と支柱の基底部同士を上下方向に基板に対して対向する方向で配置する組み合わせの両方とも可能になるので、これを前記支柱の先端同士と支柱の基底部同士を上下方向に基板に対して対向する組み合わせの配置のみに制限することができる。
【0019】
また、一対の骨格ブロック同士を、支柱が立設された面同士を対向させたとき、一方の骨格ブロックの支柱が、他方の骨格ブロックの基板側嵌合部に嵌合されるため、強度が高く、骨格ブロックの組み立て作業が容易になる。
【0020】
なお、骨格ブロックの支柱先端と基板側嵌合部は、いずれか一方が嵌合突起であり、他方が前記嵌合突起に嵌合する嵌合穴であるが、支柱先端部をそのまま嵌合突起として使用する場合に、基板側に受け部として嵌合穴を形成するか、あるいは嵌合穴を形成する代わりに嵌合用の凸部を形成して嵌合することができる。このとき、凸部を受け部として形成する場合には、凸部が基板の断面を強化し、基板強度を向上する効果があることから、基板強度を向上することができる嵌合方法としては、少なくとも凸部を設けることが望ましい。このように、対向して上下に位置する骨格ブロック同士の連結は、一方の骨格ブロックに形成されている嵌合突起と、他方の側の骨格ブロックの基板に形成した受け部、例えば凸部と嵌合穴、または凸部のみで行なうことができる。このように構造が簡単で、形成が容易な嵌合突起や嵌合受け部、例えば凸部と嵌合穴、または凸部のみで骨格ブロックの組み付けができるので、空間保持骨格ブロック構造体の構築を容易に行うことができる。骨格ブロック内の水抜き性を向上させるために、支柱先端部又は、基板側の受け部には、水抜き用の貫通穴を形成することができるので、骨格ブロックの支柱先端部に空気がたまり、骨格ブロックが浮力により浮き上がったりするのを防止することができる。
【0021】
また、骨格ブロックはその基板外周部に外周嵌合部と外周嵌合受け部とを有していて、骨格ブロック同士を水平方向縦横に隣接配置させたとき、一方の骨格ブロックの外周嵌合部が隣接する他方の骨格ブロックの外周嵌合受け部にそれぞれ嵌合できるようにしてもよい。このようにしてなる骨格ブロックによれば、骨格ブロックを水平方向に組み付け一体化することができる。その結果、組み上がった空間保持骨格ブロック構造体の機械的強度を向上させることができる。
【0022】
また、骨格ブロックの基板の外形は、形状が簡単な、正方形、長方形等で形成できるため、運搬や組み立て作業を容易に行うことができる。また、正方形や長方形の場合には、トラック等による運搬効率を高くすることもでき、特に好ましい。
【0023】
また、支柱先端の折り曲げ部がリブにより補強されるため、鉛直荷重を長時間負荷してもクリープ変形による支柱先端折り曲げ部の撓みによる寸法変化を防止できる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、骨格ブロックを組み付けて構成した空間保持骨格ブロック構造体の強度が高く、また、作業者による組み立て時の作業性に優れた骨格ブロックの嵌合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の骨格ブロック1の組立構造を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は組み上げられた状態の骨格ブロック1の正面図であり、(b)は支柱5先端の拡大図である。
【図3】(a)は骨格ブロック1の平面図、(b)は図1のP−P線断面図である。
【図4】本発明の骨格ブロック1の支柱の内部形状を示す図であり、(a)は正面透視図、(b)は支柱先端近傍の断面斜視図である。
【図5】骨格ブロック1のさらに別の実施例を示す正面図である。
【図6】支柱5および支柱の嵌合部7の配置を示す図である。
【図7】骨格ブロック1のさらに別の実施例を示す平面図である。
【図8】支柱の嵌合部7における受け部33を示す図であり、(a)は支柱が支柱の嵌合部7の周囲に設けられた凹部に嵌合する場合を示す図、(b)は、支柱の嵌合部7の周囲に、リブ状の凸部を形成し、凸部の内周側に支柱が嵌合する場合を示す図、(c)は、支柱の嵌合部7の周囲に、リブ状の凸部を形成し、凸部の外周側に支柱が嵌合する場合を示す図、(d)は、支柱の先端に凸部を形成し、支柱先端の凸部が支柱の嵌合部7に嵌合する場合を示す図である。
【図9】骨格ブロックにパイプ39を貫通させた状態を示す断面図である。
【図10】支柱の嵌合部7と支柱5との嵌合部においてパイプ39が貫通した状態を示す図。
【図11】従来からある一般的な雨水等の貯水施設を示す断面図である。
【図12】従来からある骨格ブロック41を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の雨水等の貯水施設に使用する骨格ブロックの実施例を、図1〜図10を用いて詳細に説明する。尚、以下に説明する骨格ブロックは、図11に示す従来の雨水等の貯留施設の他にも種々の雨水等の貯留施設に用いることができる。そこで以下においては、雨水等の貯留施設の説明は省略し、本発明の雨水等の貯水施設における特徴である骨格ブロックについて詳細に説明することにする。
【0027】
図1は、骨格ブロック1(1a、1b、1c、1d)を示す分解斜視図であり、図2(a)は組みあげられた骨格ブロック1を示す正面図である。骨格ブロック1は、基板3および支柱5等から構成される。
【0028】
基板3は矩形板状の部材であり、透水可能な複数の孔11が形成される。基板3上には、一対の支柱5が配置される。支柱5は、基板3の一方の側に向かって立設する。基板3の支柱5が配置されていない部位には、一対の支柱の嵌合部7が設けられる。支柱の嵌合部7は、支柱5の先端形状に対応しており、支柱5の先端と支柱の嵌合部7とは嵌合可能であり、支柱の先端部に対応した嵌合孔や嵌合受け部等が形成される部位である。なお、支柱5および支柱の嵌合部7の配置については後述する。
【0029】
支柱5は筒状であり内部には孔9が形成される。支柱5は、先端方向に縮径するテーパ形状を有しており、支柱5を同一方向に向けて重ねると、下方の骨格ブロックの支柱5が上方の骨格ブロックの孔9に収まるため、運搬・保管時には場所を取ることがない。
【0030】
基板3の裏面(支柱5が立設される側とは反対側)には、基板の嵌合突起19および基板の嵌合孔21が設けられる。基板の嵌合突起19および基板の嵌合孔21については詳細を後述する。
【0031】
骨格ブロック1を組み上げるには、骨格ブロック1を上下方向に上下互いに反転させて、かつ、互いの支柱5と支柱の嵌合部7とが向かい合うように積み上げられる。骨格ブロック1が組上げられると、支柱5の先端は支柱の嵌合部7(嵌合孔)に嵌合する。図1の例では、支柱5が上方に向くように骨格ブロック1dを下段に配置し、その上方に、支柱5が下方に向くように骨格ブロック1cを配置する。この際、骨格ブロック1dの支柱5の先端が、骨格ブロック1cの支柱の嵌合部7(嵌合孔)に対して嵌合し、骨格ブロック1cの支柱5の先端が、骨格ブロック1dの支柱の嵌合部7(嵌合孔)に対して嵌合する。
【0032】
骨格ブロック1cの基板3上には、骨格ブロック1bが支柱5を上方に向けて配置される。さらに骨格ブロック1b上には、支柱5を下方に向けて骨格ブロック1aが配置される。骨格ブロック1a、1bは、互いの支柱5および支柱の嵌合部7を嵌合するように配置される。以上を繰り返して骨格ブロック1が上下方向に組上げられる。
【0033】
図2(a)に示すように、骨格ブロック1が上下方向に組み上げられた状態において、それぞれの支柱5(基板3)を貫通する孔9が鉛直方向に連通する。なお、支柱5の先端の端面には、略U字状の溝8が設けられる。溝8は、支柱5先端において、孔9の内面と支柱5の外面とを連通するように設けられる。溝8は、骨格ブロック1を組み上げた際に、支柱5の内部と外部とを連通させて、水や空気が溝8を通って、支柱5の内部または外部への移動を可能とするものである。溝8によって、水が支柱5内部に確実に行きわたり、効率良く水を貯留でき、また、支柱5内部に空気がたまることにより骨格ブロックが水中で浮きあがることを防止することができる。なお、他の図面においては、溝8の図示を省略する。
【0034】
図3(a)は、基板3を裏面から見た図であり、基板3に設けられた基板の嵌合突起19および基板の嵌合孔21を示す模式図で、図3(b)は、骨格ブロック1等を組み上げた際の、図1のP−P線断面図である。
【0035】
図3(a)に示すように、基板の嵌合突起19および基板の嵌合孔21は、基板3を対角線で4つに区分したエリアの隅部近傍に設けられる。一方の側の互いに対向する二つの区分エリアには、嵌合穴である基板の嵌合孔21が設けられる。基板の嵌合孔21は区分エリアの各角部(基板3の隅部)にそれぞれ設けられる。すなわち、三角形の区分エリアの頂部(基板の中央部を除く)にそれぞれ三角形の基板の嵌合孔が形成される。また、他方の側の互いに対向する二つの区分エリアには、基板の嵌合突起19が設けられる。基板の嵌合突起19は基板3の隅部にそれぞれ設けられる。
【0036】
すなわち、三角形の区分エリアの頂部(基板の中央部を除く)にそれぞれ三角形の基板の嵌合突起19が設けられる。基板外周側に設けられる基板の嵌合突起19と基板の嵌合孔21は、基板3の中心を基準として90度回転させた際に、互いに対応する位置に形成される。したがって、基板の嵌合突起19と基板の嵌合孔21の配置は、基板3を2本の対角線で区分した4つの領域において、それぞれの互いに対向する領域に対称に配置される。
【0037】
図3(b)に示すように、骨格ブロック1は、支柱5および支柱の嵌合部7による嵌合のみでなく、対向する基板3同士も嵌合可能である。すなわち、互いに反転して組み上げられた骨格ブロック1cの基板3上面(裏面側)に設けられた基板の嵌合突起19、基板の嵌合孔21が、その上に配置される骨格ブロック1bの基板3下面の基板の嵌合孔21、基板の嵌合突起19とそれぞれ嵌合する。
【0038】
図4(a)は、支柱5内部の構造を示す図である。支柱5の先端部内面には、支柱5の孔9中心側に突出するように折曲げられた折り曲げ部27aが設けられることが望ましい。折り曲げ部27aは、支柱5の先端が支柱5の中心方向に折曲げられた形状である。すなわち、折り曲げ部27aによって、孔9の支柱先端の内径が他の部位に対して小さくなる。なお、折り曲げ部27aは孔9の全周に設けられても良く、または孔9の縁部に間隔をあけて形成されても良い。また、折り曲げ部27aの厚さは支柱5の肉厚に対して十分に厚い。
【0039】
また、この実施例の骨格ブロック1の支柱5は、基板3から先端に向かってテーパ角度θが2〜6°の円錐台形状の柱状のテーパ柱である。この際、支柱5の下端の基底部での(基板3直上位置)肉厚Qに対して、支柱5の先端の折り曲げ部27a直下の肉厚Rは厚さが厚い。たとえば、RはQの1.2倍以上であることが望ましい。
【0040】
また、図4(b)に示すように、折り曲げ部27aの下面には、放射状に複数のリブ29が形成される。なお、リブ29は、折曲げ部27aの下方の周方向に所定間隔で複数形成されることが望ましく、リブ29の設置数および設置位置は、必要な強度(耐クリープ性)に応じて適宜決定される。リブ29をもうけることで、支柱5の先端部の耐クリープ変形性が向上する。また、支柱5の内部は、二重筒にしたりしてもよい。これらの変形は本発明の骨格ブロック1の範囲内である。因みに、この骨格ブロック1は、低コストで、より軽量にして運搬や組み立てが容易であるように、通常、ポリプロピレン等の樹脂を射出成形して形成することが一般的である。
【0041】
図5は、支柱5の他の形態を示す図で、図5(a)は、折り曲げ部27bが形成される例である。折り曲げ部27bは、支柱5の先端が支柱5の中心方向に折曲げられ、さらに支柱5の上方に折曲げられた形状である。すなわち、支柱5の上面に突起が形成される。また、図5(b)は、折り曲げ部27cが形成される例である。折り曲げ部27cは、支柱5の先端が支柱5の中心方向に折曲げられ、さらに支柱5の下方に折曲げられた形状である。支柱5の先端形状は、以上のように強度を向上させるとともに、支柱5の先端部に厚肉部が形成されればいずれの形態であってもよい。
【0042】
上述した骨格ブロック1を、より具体的に図6により説明する。図6(a)は、骨格ブロック1の平面模式図である。基板3は、各辺がそれぞれA、Bである長方形の板状部材である。支柱5および支柱の嵌合部7は、長さAの辺に垂直な中心線31aと、長さBの辺に垂直な中心線31bとで区分される4つの区域にそれぞれ一つずつ設けられる。図6(a)の例では、支柱5同士および支柱の嵌合部7同士が、それぞれ基板3の中心点を挟んで互いに隣接しない対向する区域に配置されている。
【0043】
長さAの辺に隣接する区域に設けられる支柱5および支柱の嵌合部7のそれぞれの中心位置(基板3の平面上へ投影した中心位置)は、中心線31aより等距離に配置される。すなわち、図6(a)の例では、中心線31aから両側にそれぞれ中心線31aとは垂直な方向にX1離れた位置に配置される。したがって、長さBの辺からも等距離(X2)の位置に配置される。
【0044】
同様に長さBの辺に隣接する区域に設けられる支柱5および支柱の嵌合部7のそれぞれの中心位置(基板3の平面上へ投影した中心位置)は、中心線31bより等距離に配置される。すなわち、図6(a)の例では、中心線31bから両側にそれぞれ中心線31bとは垂直な方向にY1離れた位置に配置される。したがって、長さAの辺からも等距離(Y2)の位置に配置される。
【0045】
本発明においては、図6(b)に示すように、X1およびY1は、それぞれ中心線31a、31bから好ましくはA/4±A/24、B/4±B/24であり、特に望ましくはA/4±A/36、B/4±B/36の範囲である。すなわち、支柱5および支柱の嵌合部7は、図6(b)のハッチングした範囲に、基板の中心に対して線対称に配置される。これは、例えば支柱5または支柱の嵌合部7が、中心線31aに対してA/4+A/24を超える場合(基板3の外周側に位置した場合)には、基板3に水平方向のせん断力が付与された際に、基板3中心近傍のひずみが大きくなる。
【0046】
また、支柱5または支柱の嵌合部7が、中心線31aに対してA/4−A/24を下回る場合(基板3の中心側に位置した場合)、基板3に水平方向のせん断力が付与された際に、基板3外周近傍のひずみが大きくなる。従って、X1、Y1は、それぞれ中心線31a、31bからA/4±A/24、B/4±B/24の範囲であることが望ましい。また、このような水平方向のせん断力に対するひずみ防止効果は、特にX1およびY1がA/4±A/36、B/4±B/36の場合にはさらに向上するため、X1およびY1がA/4±A/36、B/4±B/36であることが特に望ましいことになり、基板の変形は全く認められない。このため、支柱および支柱の嵌合部7とは、上述の範囲に位置することが望ましい。
【0047】
なお、図7(a)に示すように、基板3が正方形であれば、X1=A/4±A/24、Y1=A/4±A/24の範囲の線対称な位置に支柱5および支柱の嵌合部7が位置すれば良い。また、図7(b)に示すように、支柱5および支柱の嵌合部7が、互いに隣り合うように配置されてもよい。この場合でも、図6と同様に、それぞれの配置範囲が規定される。ここで、支柱5および支柱の嵌合部7の基板中心からの位置が、X1=A/4、Y1=A/4の場合を基準位置とする。この場合、支柱の中心の基準位置に対するオフセット量は、正方形基板の中心線からの基準位置であるA/4の1/4以下であることが望ましく、さらに望ましくは基準位置の1/8程度である。
【0048】
すなわち、A/4の基準長さに対して、この1/6のオフセット量を許容するとすれば、支柱5および支柱の嵌合部7の位置がX1=A/4±A/24、Y1=A/4±A/24の範囲となり、また、A/4の基準長さに対して、この1/9のオフセット量を許容するとすれば、支柱5および支柱の嵌合部7の位置がX1=A/4±A/36、Y1=A/4±A/36の範囲となる。なお、後述する基板の寸法が720mmx720mmである場合には、1/6のオフセット量とは、30mmで、1/9のオフセット量とは、20mmに相当する。
【0049】
また、X1=A/4、Y1=B/4として、それぞれの配置が、辺と中心線との間に位置すれば、骨格ブロック同士を単に上下に組み上げるのみではなく、下段の骨格ブロックに対して上段の骨格ブロックを水平方向に半ピッチずつずらせて組み上げる、いわゆる千鳥配置とすることもできる。なお、図示は省略するが、前述したように、基板3における基板の嵌合突起19と基板の嵌合孔21の配置は、中心線31a、31bそれぞれに対して対称に形成される。
【0050】
ここで、支柱の嵌合部7の形態としては、図1等に示したような嵌合孔であってもよいが、図8に示すような各種の態様でもよい。たとえば、図8(a)に示すように、支柱の嵌合部7の下部に支柱の嵌合部7の内周方向に突出するように受け部33が設けられてもよい。すなわち、基板3の支柱との嵌合側に段差を形成して、支柱5を支柱挿入部35に挿入してもよい。この場合、支柱5が支柱の嵌合部7に嵌合する際、支柱5の先端面は、受け部33と接触する。すなわち、支柱5は受け部33で保持される。
【0051】
この際、支柱5にテーパが設けられれば、受け部33で支柱5が保持されるとともに、支柱挿入部35の縁部(図中上縁部)が支柱5の側面と接触し、仮に受け部33が変形等した場合であっても、支柱5が支柱の嵌合部7内に深く入り込むことがない。また、支柱挿入部35の内周面を支柱5の外周のテーパ形状に対応するテーパ形状とすることで、支柱5を支柱の嵌合部7に挿入した際に、支柱5の端面が受け部33で保持されるとともに、支柱5の先端部近傍の外側面が支柱の嵌合部7の内面と面接触し、より確実に支柱5を保持することができる。
【0052】
また、図8(b)に示すように、基板3の支柱との嵌合部側に、支柱5が挿入可能な筒状の凸部37を形成してもよい。この場合、支柱5は、凸部37に挿入され、支柱5の外周面が凸部37によって保持される。また、支柱5の先端は、凸部37の内周方向の基板3上面と当接する。すなわち、凸部37の内周方向における基板3上面が受け部33の機能を奏する。凸部37は、支柱5の挿入時のガイドとしての機能と、筒状部が基板の断面を補強することから、基板3(支柱の嵌合部7)の補強の機能を有する。また、凸部37の内周面を支柱5の外周のテーパ形状に対応するテーパ形状とすることで、支柱5を支柱の嵌合部7に挿入した際に、支柱5の端面が受け部33で保持されるとともに、支柱5の先端部近傍の外側面が支柱の嵌合部7の内面と面接触し、より確実に支柱5を保持することができる。
【0053】
また、図8(c)に示すように、基板3の支柱との嵌合部側に、支柱5の先端部における孔9に挿入可能な凸部37を形成してもよい。この場合、凸部37は支柱5の先端(例えば折曲げ部27aの内周部)に挿入され、支柱5の内周面(例えば折曲げ部27aの内周面)が凸部37によって保持される。また、支柱5の先端は、凸部37の外周方向の基板3上面と当接する。すなわち、凸部37の外周方向における基板3上面が受け部33の機能を奏する。凸部37は、支柱5の挿入時のガイドとしての機能と、筒状部が基板の断面を補強することから、基板3(支柱の嵌合部7)の補強の機能を有する。また、凸部37の外周面を支柱5の先端における孔9の内周のテーパ形状に対応するテーパ形状とすることで、支柱5を支柱の嵌合部7に挿入した際に、支柱5の端面が受け部33で保持されるとともに、支柱5の先端部近傍の内側面が支柱の嵌合部7の外面と面接触し、より確実に支柱5を保持することができる。
【0054】
また、図8(d)に示すように、基板3の嵌合孔(支柱の嵌合部7)に挿入可能な凸部38を支柱5の先端部に形成してもよい。この場合、凸部38は基板3の嵌合孔(支柱の嵌合部7)に挿入され、支柱5の先端部が支柱の嵌合部7によって保持される。また、支柱5の先端における凸部38の外周側は、基板3上面(嵌合孔外周部上面)と当接する。すなわち、嵌合孔の外周方向の基板3の上面が受け部33の機能を奏する。凸部38は、支柱5の挿入時のガイドとしての機能も有する。また、嵌合孔の内周面を支柱5の先端における凸部38の外周のテーパ形状に対応するテーパ形状とすることで、支柱5を支柱の嵌合部7に挿入した際に、支柱5の端面が受け部33で保持されるとともに、支柱5の凸部38の外側面が支柱の嵌合部7の内面と面接触し、より確実に支柱5を保持することができる。
【0055】
以上のような構造とすることで、支柱5が支柱の嵌合部7に案内されて、基板の所定の位置にセットされ、地震などにより、横荷重がかかったときにも、支柱がずれることがないため、骨格ブロックのずれ防止効果が認められる。なお、前述した支柱の嵌合部7の各種構成は、互いに組み合わせることも可能である。図8(a)から図8(d)の各構成を互いに組み合わせることで、より確実に支柱5と支柱の嵌合部7との嵌合部におけるずれを防止することができる。
【0056】
また、図9に示すように、上下方向に積み上げられた骨格ブロック1に、必要に応じて棒状部材であるパイプ39を設けてもよい。パイプ39は、骨格ブロック1の水平方向のずれを防止するためのものである。前述の通り、骨格ブロック1を上下方向に組み上げると、孔9が上下方向に連通する。この連通した孔(孔9)にパイプ39を挿入する。パイプ39は、孔への挿入性に問題がない限り孔との遊びが小さい(すなわち孔よりもわずかに小さい)外径であることが望ましい。
【0057】
パイプ39としては、樹脂製、金属製等が使用でき、必要に応じて複数のパイプを継ぎ足して一本のパイプ39を形成しても良いが、貯留槽内部に構造体として組み込んだ骨格ブロックの荷重をパイプ全長で受けるのが望ましいことから、パイプは接続個所がない1本のパイプを用いることが望ましい。また、パイプ39を全ての孔9等に挿入する必要はなく、配列させた骨格ブロックの一部の孔9等に挿入しても良い。ここで、パイプ内部に錘を挿入して、パイプの下端部を安定させることができる、また下端部を、水貯留施設の下端部に打設したコンクリートなどで固定することも可能である。このようにすることにより、パイプがより安定した状態で、骨格ブロック構造体を支えることができる。
【0058】
支柱5の先端部には、折曲げ部27a等が設けられる。積み上げられる骨格ブロックの鉛直方向に位置する支柱5を貫通するようにパイプ39が設けられ、骨格ブロックが支持される。この際、折曲げ部27a等により縮径される孔9の先端部内径は、パイプ39の外径とほぼ等しいかもしくはわずかに大きい。このため、折曲げ部27a等の内周面がパイプ39外周面と接触してパイプ39を支持する。したがって、パイプ39に対して骨格ブロック1がずれることがなく、また、パイプ39から受ける水平方向の力に対して、支柱5先端部に十分な強度を付与することができる。このようにして、地震などに際して、支柱5先端部から受ける力をパイプ39で受けることにより、骨格ブロックの支柱を補強することができる。また、このような構造をとることにより、地震の際に、パイプ39が撓むことにより、骨格ブロックのズレを吸収することができる。
【0059】
折曲げ部27a等は、パイプ39を確実に支持できるように、パイプ39との接触面積を大きくとれるような形状である。たとえば折曲げ部27aは鉛直方向に折曲げられた形状であり、この鉛直部分によりパイプ39との接触範囲を確保する。
【0060】
図10は、図8に示した支柱5の支柱の嵌合部7との嵌合部に対し、それぞれパイプ39を設けた状態を示す拡大模式図である。たとえば、図10(a)に示すように、支柱の嵌合部7の下部に支柱の嵌合部7の内周方向に突出するように受け部33を設け、折曲げ部27a内周面に接するようにパイプ39が設けられる。したがって、支柱5の外周部が支柱の嵌合部7の内周部により保持され、さらに支柱5の内周部がパイプ39により保持され、鉛直方向に対しては、支柱5の先端部が受け部33により保持される。したがって、支柱5が確実に保持される。なお、支柱の嵌合部7の孔径は、パイプ39の外径とほぼ等しいかもしくはわずかに大きい。このため、基板3もパイプ39によって保持される。
【0061】
また、図10(b)に示すように、基板3の支柱との嵌合部側に、支柱5が挿入可能な筒状の凸部37を設け、折曲げ部27a内周面に接するようにパイプ39が設けられる。したがって、支柱5の外周部が凸部37の内周部により保持され、さらに支柱5の内周部がパイプ39により保持され、鉛直方向に対しては、支柱5の先端部が受け部33により保持される。また、支柱の嵌合部7の孔径は、パイプ39の外径とほぼ等しいかもしくはわずかに大きい。このため、基板3もパイプ39によって保持される。
【0062】
また、図10(c)に示すように、基板3の支柱との嵌合部側に、支柱5の先端部における孔9に挿入可能な凸部37を形成し、凸部37の内周面に接するようにパイプ39が設けられる。したがって、支柱5の内周部を保持する凸部37がパイプ39により保持され、鉛直方向に対しては、支柱5の先端部が受け部33により保持される。なお、支柱の嵌合部7の孔径は、パイプ39の外径とほぼ等しいかもしくはわずかに大きい。このため、基板3および凸部37もパイプ39によって保持される。
【0063】
また、図10(d)に示すように、基板3の嵌合孔(支柱の嵌合部7)に挿入可能な凸部38を支柱5の先端部に形成し、凸部38(折曲げ部27b)の内周面に接するようにパイプ39が設けられる。したがって、支柱5の外周部が支柱の嵌合部7の内周部により保持され、さらに支柱5の内周部がパイプ39により保持され、鉛直方向に対しては、支柱5の先端部が受け部33により保持される。
【0064】
このように、パイプ39は受け部33等で支持され、上下に組み合わさられる一対の骨格ブロックの単位構造の上下二か所でパイプ39を保持することができる。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態にかかる骨格ブロック1によれば、支柱5の先端が直接基板3に設けられた支柱の嵌合部7と嵌合可能であるため、特に水平方向のせん断力に対して極めて強度が高い。また、支柱5および支柱の嵌合部7の配置範囲をそれぞれの辺の長さに対してA/4±A/24の範囲(Aは辺の長さ)としたため、バランスに優れ、水平方向のせん断力に対しても変形や破損等が防止される。また、支柱基底部が所定角度のテーパを有しているため、支柱基底部の応力集中を緩和することができる。
【0066】
また、基板3同士も嵌合が可能な基板の嵌合突起19および基板の嵌合孔21が形成されるため、骨格ブロック1を組み上げた際に、基板同士のずれが生じにくい。
【0067】
また、支柱5は先端が縮径するテーパ形状を有しており、また、支柱5の肉厚が先端に行くにつれて厚くなるため、支柱5にかかる鉛直方向の力に対して、より径の小さな支柱5の先端では肉厚が厚く、径の大きな支柱5の根本部では肉厚が薄くし、力を受ける断面積が支柱の鉛直方向の任意の位置で大きく変化しない。このため鉛直方向の力を確実に基板3側へ伝達し、座屈等を防止できるとともに、過剰な肉厚を減らしてコストおよび重量等を削減できる。
【0068】
また、支柱5の先端には、内周方向に突出する折り曲げ部27a等が設けられる。このため、支柱先端の強度が向上するとともに、骨格ブロック1を組み上げた際に、中に水や空気がたまることがない。また、折り曲げ部27aは強度を有するため、例えば、組み上げられた骨格ブロックに補強棒等を挿入することもできる。
【0069】
また、支柱の嵌合部7には受け部33が設けられるため、支柱5が挿入された際に、確実に支柱5を保持することができる。この際、支柱5のテーパ形状を考慮して、支柱の嵌合部7への支柱5の嵌合代に対応する支柱5の先端からの位置の外径と支柱挿入部35縁部との径を対応させることで、支柱5を受け部33と支柱挿入部35縁部で受けることができ、さらに、支柱の嵌合部7の内周面を支柱5のテーパ形状に対応させれば、支柱5をより確実に保持することができる。
【0070】
また、骨格ブロック1を貫通するパイプ39を設けることで、骨格ブロック1同士が鉛直方向にそろい、水平方向にずれることがない。このため、水平方向の力等に対しても、骨格ブロック1が水平方向にずれることがなく、これに伴う強度低下等の恐れがない。さらに、骨格ブロック1の支柱5内面に設けられる受け部27aや、支柱5を保持する凸部37、38等を設けることで、パイプ39が骨格ブロックを確実に保持し、骨格ブロック1等の横ずれや回転を防止することができる。
以上のように、本発明の骨格ブロックは、図3に示すような基板ー基板の嵌合と図8に示すような基板ー支柱の嵌合に加えて、さらに基板とパイプ、支柱とパイプの嵌合が可能になる。特に、パイプを介した基板とパイプ、支柱とパイプの嵌合は、特に横荷重がかかったときに有効なものとなる。その結果、強固で安定した骨格ブロックの組み立て構造(骨格ブロック構造体)が得られる。
【実施例】
【0071】
本発明にかかる骨格ブロックについて、載荷試験を行った。一対の骨格ブロック1を図1に示すように支柱の先端同士と支柱の基底部同士を上下方向に基板に対して対向する方向で、支柱および基板に形成された支柱の嵌合部を互いに嵌合させて組み上げて形成される供試体に対し、鉛直方向は220kN/mまで、水平せん断方向は5kN/mまでの載荷を行い、骨格ブロックの状況を観察した。また、骨格ブロック1を不陸地面に設置した状況を再現するため、骨格ブロックをわざと約2度傾けた状態として鉛直方向に同様に載荷を行った(すなわち、骨格ブロックの支柱軸に対して2度斜めの角度から載荷を行った)。骨格ブロック1は、基板サイズを720mmx720mm、支柱高さを390mmとした。また、支柱の基底部の直径は180mmとした。また、支柱および支柱の嵌合部の位置は、図7(a)のX1=X2、Y1=Y2のものを用いた。また、骨格ブロックはすべてポリプロピレン樹脂製のものを用いた。
【0072】
試験に供した骨格ブロックは、支柱のテーパ角度、支柱の肉厚および、支柱の基底部近傍に対する先端部近傍の肉厚比(以下単に「肉厚比」と称する)を変化させた。ここで、テーパ角度とは図4におけるθに対応し、支柱の肉厚は支柱中間における肉厚である。また、肉厚比とは、図4におけるR/Qである。この際の座屈状況を目視により観察した。試験条件(骨格ブロック形状)および結果を表1に示す。なお、耐鉛直荷重とは、支柱の軸に対してまっすぐに荷重をかけた場合の結果を示し、耐せん断荷重とは、最下部の基板を水平に保ったまま固定した状態で、最上部の基板を水平に保ったまま、最上部の基板を支柱の軸に対して
垂直な方向に荷重をかけた場合の結果を示す。耐斜め荷重とは、支柱軸に対して約2度傾けた方向から荷重をかけた場合の結果を示す。
【0073】
なお、積載効率とは、骨格ブロック(支柱)同士を重ねることができるか否かである。また、骨格ブロックが鉛直荷重を長時間受けることによるブロック先端部の変形から骨格ブロックの支柱先端折り曲げ部27aの下に、放射状のリブを円周方向に均等間隔で8個形成したものと、形成しないものについて、支柱先端部の耐クリープ性を調査した。リブは、幅3.5mmのものを45度間隔で8個設けた。試験に際しては、骨格ブロックの耐クリープ性は、骨格ブロックに鉛直荷重31kN/mを1年間加えて、1年後に荷重を除荷した後、試験開始前後の先端部に生じる変形を調査した。
【0074】
【表1】

【0075】
目視により支柱の座屈、破損、変形等が観察されたものを「×」とし、座屈等が見られなかったものを「○」とした。また、骨格ブロック同士を重ねることができれば○とし、できなければ×とした。なお、完全には重ならないが概ね支柱同士が重なるものを△とした。
【0076】
表より明らかなように、耐鉛直荷重は、テーパ角度が小さい方が優れる。たとえば、肉厚が3mm、肉厚比1.0のものでは、テーパ角度4度以上であると、座屈が確認された。同様に、肉厚をあげて、肉厚4.0mm、肉厚比1.0でも座屈が確認された。テーパ角度が2度以下であれば、座屈は確認さなれなかった。
【0077】
これに対し、肉厚比1.1以上とすることで、いずれの肉厚においても、テーパ角度4度で座屈は発生しなかった。さらに肉厚比1.2以上であれば、テーパ角度6度であっても座屈は確認されなかった。したがって、耐鉛直荷重としては、テーパ角度が小さい方が望ましく、テーパ角度6度以下であることが望ましい。また、肉厚比が大きい方が望ましい。
【0078】
耐せん断力は、テーパ角度が大きい方が優れ、テーパ角度0度では、支柱の基底部において変形または破損が確認された。したがって、耐せん断力としてはテーパ角度が大きい(2度以上)であることが望ましい。
【0079】
耐斜め荷重は、荷重角度にもよるが、テーパ角度0度では破損が生じた。耐斜め荷重に対しては、ある程度のテーパ角度がある方がよいが、テーパ角度が大きすぎると、耐鉛直荷重と同様に、座屈が生じる。このため、耐斜め荷重では、テーパ角度は2〜6度程度が望ましい。
【0080】
なお、テーパ角度が0度のものは、骨格ブロック同士(支柱同士)を重ね合わせることができず、積載効率は極めて悪い。テーパ角度が2度になると、支柱内に支柱を挿入することができ、4度以上であれば、完全に骨格ブロックを重ね合わせることができる。このため、少なくともテーパ角度は2度以上あることが望ましい。
【0081】
以上より、肉厚比を1.2以上とすれば、テーパ角度2〜6度において、耐鉛直荷重、耐せん断荷重、耐斜め荷重、積載効率ともに優れ、これらの機能を両立することができる。なお、肉厚比が1.5以上とすると、樹脂の重量増やコスト増の問題がある。したがって、肉厚比は1.2〜1.4であることが望ましい。特に、テーパ角度と肉厚比とを適正に組み合わせることで、より薄い肉厚においても、耐荷重および積載効率に優れる骨格ブロックを得ることができる。すなわち、骨格ブロックの肉厚を薄くできるため、コストおよび軽量化に優れ、かつ、鉛直方向の強度に優れる骨格ブロックを得ることができる。なお、支柱および支柱の嵌合部の位置を、図6(b)の範囲(X1=A/4±A/24、Y1=B/4±B/24)とした場合でも同様の結果を得られた。
【0082】
さらに、表1の耐鉛直荷重、耐せん断荷重、耐斜め荷重のいずれの試験においても、良好な結果が得られた骨格ブロックの全ての組み合わせについて、支柱先端突起部27aの下に、放射状のリブを円周方向に均等にリブ長さ25mmxリブ厚さ3mmxリブ高さ50mmのリブを8個配置したものを用い、31kN/mの鉛直荷重を1年間負荷して、支柱先端面のへこみを調査した結果、支柱先端折り曲げ部27aの下側にリブを形成したものは、1年後にも変形が認められず、耐クリープ性が向上することが判った。
【0083】
なお、本試験においてリブの厚さは3.0mmx8個で全厚さは24mmとなるが、これは、試験に供した支柱先端部のリブ設置位置の周長約140mmに対して約20%となる。すなわち、リブの全幅の合計が支柱先端(リブ配置位置)の全周長の20%以上であれば、高い耐クリープ性を得られる。この場合、リブの個数は8個以上が望ましいが、この理由は、円周上に形成されたリブの数が多いほど応力を分散する効果が高いためで、リブを4個とする場合には、前述の条件では6mm以上の厚さのリブとすれば良い。また、リブを均等間隔で複数個形成する代わりに、全周(すなわち支柱先端部全周長の100%厚さのリブ)に形成しても良い。なお、リブの角度は特定しないが、水平面を基準として45度以上80度以下望ましいが、60度以上75度以下がさらに好ましい。
【0084】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0085】
1………骨格ブロック
3………基板
5………支柱
7………支柱の嵌合部
9………孔
11………孔
19………基板の嵌合突起
21………基板の嵌合孔
27a、27b、27c………折り曲げ部
29………リブ
31a、31b………中心線
33………受け部
35………支柱挿入部
37、38………凸部
39………パイプ
40………雨水貯留槽
41………骨格ブロック
43………地面
45………被覆層
47………堀穴
49………流入口
51………流出口
61………基板
63………支柱
65………孔
67………孔
69………凹部
71………凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基板と、前記基板に立設された一対の支柱と、前記基板に設けられ前記支柱の先端が嵌合可能な一対の基板側嵌合部とを有する雨水貯水施設に使用される骨格ブロックの嵌合構造であって、
前記支柱の先端部には、前記支柱の中心方向に折曲げられた折曲げ部が形成され、
前記基板側嵌合部は、前記基板上に突出する筒状の凸部であり、
前記支柱の先端は、前記凸部と嵌合することを特徴とする骨格ブロックの嵌合構造。
【請求項2】
前記支柱の先端は、筒状の前記凸部に挿入され、前記支柱の外周面が前記凸部によって保持され、前記支柱の先端は、前記凸部の内周方向の前記基板上面と当接することを特徴とする請求項1記載の骨格ブロックの嵌合構造。
【請求項3】
前記凸部は、前記支柱の先端の前記折曲げ部の内周部に挿入され、前記折曲げ部の内周面が前記凸部によって保持され、前記支柱の先端は、前記凸部の外周方向の前記基板上面と当接することを特徴とする請求項1記載の骨格ブロックの嵌合構造。
【請求項4】
前記基板側嵌合部には孔が設けられ、前記孔には、前記折り曲げ部の内周面に接するように棒状部材が挿入され、前記支柱の外周部が前記凸部の内周部により保持され、前記支柱の内周部および前記基板が前記棒状部材により保持されること特徴とする請求項2記載の骨格ブロックの嵌合構造。
【請求項5】
前記基板側嵌合部には孔が設けられ、前記孔には棒状部材が挿入され、前記折り曲げ部の内周面が前記凸部の外周部により保持され、前記基板が前記棒状部材により保持されること特徴とする請求項3記載の骨格ブロックの嵌合構造。
【請求項6】
前記基板の前記支柱および前記基板側嵌合部の外周には、外径方向にリブが形成されること特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の骨格ブロックの嵌合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−149269(P2011−149269A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130843(P2010−130843)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【分割の表示】特願2010−509599(P2010−509599)の分割
【原出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】